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特許7522207電池、電気設備、電池の製造方法および電池の製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】電池、電気設備、電池の製造方法および電池の製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/242 20210101AFI20240717BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20240717BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240717BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20240717BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20240717BHJP
   H01M 50/375 20210101ALI20240717BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/289 101
H01M50/291
H01M50/271 Z
H01M50/342 201
H01M50/375
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022551380
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2022072017
(87)【国際公開番号】W WO2023133800
(87)【国際公開日】2023-07-20
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竜超
(72)【発明者】
【氏名】陳興地
(72)【発明者】
【氏名】王鵬
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-084595(JP,A)
【文献】特開2017-091948(JP,A)
【文献】特開2013-073918(JP,A)
【文献】国際公開第2021/079595(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと、
前記電池セルを収容する筐体と、
前記筐体内に設置され、第1方向の端部が前記筐体に固定される保護部材と、を備え、
前記電池セルは、前記第1方向に垂直の第2方向の少なくとも一端に電極端子が形成され、
前記保護部材は、保護部を備え、前記保護部は、前記第2方向において前記筐体支持、前記第2方向において前記電極端子と前記筐体との間に間隙を生じさせて前記電極端子を保護するように、前記保護部は前記電極端子よりも前記第2方向から突出するように構成され
前記筐体と前記電池セルとの間に、蓋部材が設置され、
前記蓋部材の前記電池セルに対向する面に、前記筐体が衝撃を受けたとき前記保護部を保護するガードが装着されている、電池。
【請求項2】
前記保護部材は、固定部材により前記筐体に固定され、前記固定部材は、前記保護部材の前記第1方向の両端部に位置する、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1方向および前記第2方向に垂直の第3方向において、前記保護部材と前記電池セルとが並んで配置されている、請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
前記保護部材の前記第3方向における前記電池セルに対向する面は、前記電池セルと接合される、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記保護部材は、前記第1方向に延在する板部材であり、前記保護部は、前記保護部材が前記第2方向において前記筐体へ突出した凸部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
前記蓋部材は、前記蓋部材の剛性を補強する補強部材を備え、
前記補強部材は、前記蓋部材の前記電池セルに対向する面に形成され、前記電池セルへ突出し、
前記ガードは、前記補強部材により形成される凹部と係合する、請求項1~5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記ガードは、溝が形成された本体部を備え、前記溝の前記電池セルに向かう側に開口が形成され、前記保護部が前記開口を介して前記溝内に挿入される、請求項1~6のいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
前記保護部と前記溝の側壁との間に間隙が形成される、請求項に記載の電池。
【請求項9】
前記ガードは、前記電池セルに支持される支持部を備える、請求項またはに記載の電池。
【請求項10】
前記電池セルは、前記電極端子が設置されるカバーを備え、前記電極端子は、前記第2方向において前記カバーから突出し、
前記ガードの前記支持部は、前記カバーと対向するように設置され、前記カバーに支持される、請求項に記載の電池。
【請求項11】
前記電池セルは、前記電極端子が設置されるカバーを備え、前記電極端子が前記第2方向において前記カバーから突出し、
前記蓋部材は、緩衝部材を備え、前記緩衝部材は前記カバーに対向するように設置され、前記カバーに支持される、請求項~1のいずれか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記電池セルの前記カバーは、前記電池セルの内部圧力または温度が閾値に達するとき作動して前記内部圧力を逃がす圧力逃がし機構をさらに備え、
前記蓋部材の前記圧力逃がし機構に対向する位置に排出口が設けられている請求項10または11に記載の電池。
【請求項13】
前記電池は、複数の前記電池セルを備え、複数の前記電池セルが、前記第1方向に配列され、前記保護部材は、前記第1方向に延在し、複数の前記電池セルを保護するように構成される請求項1~1のいずれか1項に記載の電池。
【請求項14】
電力を供給する請求項1~1のいずれか1項に記載の電池を備える電気設備。
【請求項15】
電池セルを提供し、
前記電池セルを収容する筐体を提供し、
前記筐体内に設置され、第1方向の端部が前記筐体に固定される保護部材を提供し、
前記電池セルは、前記第1方向に垂直の第2方向の少なくとも一端に電極端子が形成されており、
前記保護部材は、保護部を備え、前記保護部は、前記第2方向において前記筐体支持、前記第2方向において前記電極端子と前記筐体との間に間隙を生じさせて前記電極端子を保護するように、前記保護部は、前記電極端子よりも前記第2方向に突出していること、
を含み、
前記筐体と前記電池セルとの間に、蓋部材が設置され、
前記蓋部材の前記電池セルに対向する面に、前記筐体が衝撃を受けたとき前記保護部を保護するガードが装着されている、電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エネルギー貯蔵デバイスの技術分野に属し、具体的に、電池、電気設備、電池の製造方法および電池の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネ及び排出削減は、自動車産業の持続可能な発展の鍵である。したがって、電気自動車は、省エネ、エコロジーの特徴を有するので、自動車産業の持続可能な発展の重要な部分になる。そして、電池技術は、電気自動車の開発に関わる肝心な要素である。
【0003】
電池技術の開発では、電池の性能を向上させるだけでなく、多くの設計要素も考慮することが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、電池の安全性を向上する電池、電気設備、電池の製造方法および電池の製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1局面は、電池を提供する。電池は、電池セルと、前記電池セルを収容する筐体と、前記筐体内に設置され、第1方向の端部が前記筐体に固定される保護部材と、を備え、前記電池セルは、前記第1方向に垂直の第2方向の少なくとも一端に電極端子が形成され、前記保護部材は、保護部を備え、前記保護部は、前記第2方向において前記筐体に支持され、前記第2方向において前記電極端子と前記筐体との間に間隙を生じさせ前記電極端子を保護するように、前記保護部は、前記電極端子よりも前記第2方向に突出するように構成されている。
【0006】
電池は、電池セルの電極端子が筐体に面するように設置される場合、筐体側が衝突または衝撃を受けたときに、該衝撃力により筐体が変形する可能性があり、さらに、電極端子に衝突し、電池セルを破壊してしまう恐れがある。
【0007】
本出願の実施形態の技術案は、筐体内に保護部を備える保護部材を設置し、保護部材の第1方向の端部を筐体に固定し、そして、筐体で第2方向において保護部を支持し、電極端子よりも第2方向に突出した保護部により、第2方向において電極端子と筐体との間に間隙を形成するようにすることで、筐体が外部衝撃を受けたときに、保護部材の保護部で衝撃を受け、そして保護部材を介して第1方向の端部から衝撃力を筐体に伝達するようになるので、電極端子が衝撃を受け、電池セルを破壊することを防ぐことができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記保護部材は、固定部材で前記筐体に固定され、前記固定部材は前記保護部材の前記第1方向の両端部に位置する。固定部材で保護部材の第1方向の両端部を筐体に固定することで、より確実に保護部材を設置でき、外部衝撃力を保護部材および固定部材を介して筐体へ伝達することを確実に実施することができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記第1方向および前記第2方向に垂直の第3方向において、前記保護部材と前記電池セルとが並んで配置されている。保護部材を電池セルの側面に並んで配置することで、保護部材の設置空間を節約でき、電池セル全体を容易に保護できる。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記保護部材の前記第3方向における前記電池セルに対向する面は、前記電池セルと接合される。保護部材を電池セルに接合することで、保護部材の剛性を向上させるとともに、保護部材の設置空間をさらに節約でき、筐体内の空間利用率を上げることができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記保護部材は、前記第1方向に延在する板部材であり、前記保護部は、前記保護部材が前記第2方向において前記筐体へ突出した凸部である。これによって、簡単な構成で本出願の保護電池セルの技術的効果を実現できる。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記筐体と前記電池セルとの間に、蓋部材が設置されている。電池セルと筐体との間に蓋部材を設置することで、筐体が外部衝撃を受けたとき、蓋部材で衝撃エネルギーを吸収でき、電池セルを保護でき、電極端子の絶縁性を強化することができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記蓋部材の前記電池セルに対向する面に、前記筐体が衝撃を受けたとき前記保護部を保護するガードが装着されている。蓋部材にガードを設置することで、外部衝撃力を受けたときに、ガードで保護部を保護でき、保護部が力を受け大幅に変形または破壊されることはなく、電池全体の構成安定性を保証することができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記蓋部材は、前記蓋部材の剛性を補強する補強部材を備え、前記補強部材は、前記蓋部材の前記電池セルに対向する面に形成され、前記電池セルへ突出し、前記ガードは、前記補強部材により形成された凹部と係合する。蓋部材に補強部材を設けることで、蓋部材の剛性を補強でき、蓋部材の衝撃エネルギーの吸収能力を向上させることができる。また、補強部材を蓋部材の電池セルに対向する面に形成し、電池セルへ突出させ、さらにガードを補強部材により蓋部材に形成された凹部と係合させることで、簡単な構成で、ガードの位置決めを実現することができる。また、ガードを固定する部材を別途設置する必要がないので、製造プロセスが簡単になり、コストを削減することができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記ガードは、溝が形成された本体部を備え、前記溝の前記電池セルに向かう側に開口が形成され、前記保護部が前記開口を介して前記溝内に挿入される。溝に保護部を挿入する開口が形成されることで、ガードで開口に挿入される保護部の一部を囲むようになり、保護部をより確実に保護することができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記保護部と前記溝の側壁との間に間隙が形成される。保護部と溝の側壁との間に間隙を形成することで、外部衝撃力を受けたときに、保護部がある程度変形することが可能になり、保護部の変形により衝撃エネルギーを吸収することができるため、保護部材の使用寿命を延ばすことができる。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記ガードは、前記電池セルに支持される支持部を備える。ガードに電池セルに支持される支持部が設置されることは、ガードのみを蓋部材に形成された凹部に係合させる構成に比べて、ガードの装着がより確実になり、また支持部が電池セルに支持されているので、筐体が外部衝撃を受けたときに、支持部でガードの保護部材への保護作用を強化することができる。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記電池セルは、前記電極端子が設置されるカバーを備え、前記電極端子は、前記第2方向において前記カバーへ突出し、前記ガードの前記支持部は、前記カバーと対向するように設置され、前記カバーに支持される。これによって、ガードの支持部が電池セルのカバーのうちの電極端子が設置されていない部分に支持され、電池内の空間利用率を上げることができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、前記電池セルは、前記電極端子が設置されるカバーを備え、前記電極端子は、前記第2方向において前記カバーへ突出し、前記蓋部材は、緩衝部材を備え、前記緩衝部材が前記カバーに対向するように設置され、前記カバーに支持される。蓋部材に設置された緩衝部材は、電池セルのカバーのうちの電極端子が設置されていない部分に支持されるため、衝撃エネルギーをよりよく吸収できるとともに、電池内の空間利用率を上げることができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記電池セルの前記カバーは、前記電池セルの内部圧力または温度が閾値に達するとき作動して前記内部圧力を逃がす圧力逃がし機構をさらに備え、前記蓋部材の前記圧力逃がし機構に対向する位置に排出口が設けられている。蓋部材の圧力逃がし機構に対向する位置に排出口を設けることで、気体を容易にガイドして排出させることができるので、熱暴走で電池セルに生じた熱の隣接する電池セルへの拡散を阻止することができ、熱暴走が発生するとき、蓋部材で断熱、防火を実現することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記電池は、複数の前記電池セルを備え、複数の前記電池セルは、前記第1方向に配列され、前記保護部材は、前記第1方向に延在し、複数の前記電池セルを保護するように構成される。複数の電池セルが第1方向に配列される場合、保護部材も第1方向に延在するようにすることで、保護部材が複数の電池セルを覆うようになり、広範囲で電池セルを保護することができる。
【0022】
第2局面は、電力を供給する第1局面の電池を備える電気設備を提供する。
【0023】
第3局面は、電池の製造方法を提供する。電池の製造方法は、電池セルを提供し、前記電池セルを収容する筐体を提供し、前記筐体内に設置され、第1方向の端部が前記筐体に固定される保護部材を提供し、前記電池セルは、前記第1方向に垂直の第2方向の少なくとも一端に電極端子を有し、前記保護部材は、保護部を備え、前記保護部は、前記第2方向において前記筐体に支持され、前記第2方向において前記電極端子と前記筐体との間に間隙を生じさせて前記電極端子を保護するように、前記保護部は、前記電極端子よりも前記第2方向に突出していること、を含む。
【0024】
第4局面は、電池の製造装置を提供する。電池の製造装置は、電池セルを提供する第1提供モジュールと、前記電池セルを収容する筐体を提供する第2提供モジュールと、保護部を有する保護部材を提供する第3提供モジュールと、前記保護部材を前記筐体内に設置し、前記保護部材の第1方向の端部を前記筐体に固定する装着モジュールと、を備え、前記電池セルは、前記第1方向に垂直の第2方向の少なくとも一端に電極端子が形成され、前記装着モジュールは、前記保護部が前記第2方向において前記筐体に支持され、前記第2方向において前記電極端子と前記筐体との間に間隙を生じさせて前記電極端子を保護するように、前記保護部は、前記電極端子よりも前記第2方向に突出するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ここで、説明する図面は、本出願の一部として、本出願に対する理解のためのものであり、本出願の例示的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するためのものであり、いずれも本出願を限定するものではない。
図1図1は、本出願の一実施形態の車両の模式図である。
図2図2は、本出願の一実施形態の電池の構成の斜視模式図である。
図3図3は、本出願の一実施形態の電池の保護部材の具体的な構成の模式図である。
図4図4は、本出願の一実施形態の蓋部材が設置された電池の構成の模式図である。
図5(a)】図5(a)は、本出願の一実施形態のガードが装着される蓋部材の電池セルに面する側の構成模式図である。
図5(b)】図5(b)は、図5(a)のA部拡大図である。
図5(c)】図5(c)は、ガードの構成模式図である。
図6(a)】図6(a)は、本出願の一実施形態の電池の組立後の構成の平面模式図である。
図6(b)】図6(b)は、図6(a)のI-I断面図である。
図6(c)】図6(c)は、図6(b)のB部拡大図である。
図6(d)】図6(d)は、図6(b)のC部拡大図である。
図7(a)】図7(a)は、図6(a)のII-II断面図である。
図7(b)】図7(b)は、図7(a)のD部拡大図である。
図8図8は、本出願の一実施形態の電池の製造方法の流れ模式図である。
図9図9は、本出願の一実施形態の電池の製造装置のブロック模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本出願の実施形態の目的、技術案及び利点をより明瞭にするため、以下、本出願の実施形態の図面を参照しながら、本出願の実施形態の技術案を明瞭に説明する。説明する実施形態は、本出願の一部の実施形態にすぎず、全ての実施形態ではないことは無論である。本出願の実施形態をもとに、当業者が発明能力を用いることなく得た全ての他の実施形態も、本出願の保護範囲に属する。
【0027】
特に断りがない限り、本出願で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、本出願が属する分野の一般技術者の通常の理解と同様の意味を有する。本出願において、本願明細書に使用される用語は、具体の実施例を説明するためのものにすぎず、本出願を限定するものではない。また、本出願の明細書、特許請求の範囲および図面の説明に記載の用語「含む」、「有する」及びその類義語は、非排他的包含をカバーすることが意図される。本出願の明細書、特許請求の範囲及び図面に記載の「第1」、「第2」等の用語は、類似の対象を区別するためのものすぎず、特定の順序又は順位を限定するものではない。
【0028】
「実施形態」への本出願での言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が本出願の少なくとも一実施形態に含まれ得ることを意味する。明細書における様々な部分でのこのフレーズの出現は、全てが同じ実施形態を参照しているのではないし、他の実施形態を互いに除いた別個のまたは代替的な実施形態でもない。本明細書に記載された実施形態は、他の実施形態と組み合わせてもよいことが、当業者によって明示的または暗示的に理解される。
【0029】
本出願の説明において、明確な定義や限定がない限り、「取付」、「連係」、「接続」、「固定」などの用語を、広義的に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。また、直接接続してもよいし、中間物を介して間接的に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通し又は2つの素子が相互に作用してもよい。当業者は、本出願における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0030】
本出願に使用される用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3つの関係が存在できることを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、Bが単独で存在することの3つの状況を示すことができる。また、本明細書の文字「/」は一般的に前後関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0031】
本出願において、「複数」は、2つ以上(2つを含む)のことを意味し、同様に、「複数群」は、2群以上(2群を含む)のことを意味し、「複数枚」は、2枚以上(2枚を含む)のことを意味する。
【0032】
本出願の実施形態で言及される電池は、より高い電圧および容量を提供するために複数の電池セルを含む単一の物理モジュールである。例えば、本出願で言及される電池は、電池モジュールまたは電池バックなどを含み得る。
【0033】
電池セルは、電極ユニットと電解液を含み、電極ユニットは、正極板、負極板、およびセパレータからなる。電池セルは、主に、正極板と負極板の間の金属イオンの移動によって動作する。正極板は、正極集電体と、正極活物質層とを含む。正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布される。正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極活物質層が塗布された集電体から突出し、正極タブとして使用される。リチウムイオン電池を例にすると、正極集電体の材料は、アルミニウムであり、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、3元リチウムまたはマンガン酸リチウムなどであり得る。負極板は、負極集電体と負極活物質層を含む。負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布される。負極活物質層が塗布されていない集電体は、負極活物質層が塗布された集電体から突出し、負極タブとして使用される。負極集電体の材質は、銅であり、負極活物質は、カーボンやシリコン等であり得る。大電流が通過しても溶断しないことを確保するために、複数の正極タブを設け積み重ね、複数の負極タブを設け積み重ねるようにする。セパレータの材料は、PPまたはPE等で有り得る。さらに、電極ユニットは、コイル状構造または積層構造からなるものであってもよく、これらに限定されない。
【0034】
電池の技術の発展に伴い、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、Cレートなどの性能パラメータなどの、多くの設計要素を考慮する必要がある。さらに、電池の安全性も考慮しなければならない。
【0035】
現在、電気自動車の電池は、通常、数十ひいては数千の電池セルからなる。
【0036】
電気設備において、筐体内に複数の電池セルを収納する場合、筐体は、外部からの衝撃力を受けると変形する可能性があり、さらに、電池セルに衝突し、電池セルの性能を影響してしまう恐れがある。例えば、電気自動車に用いられる電池では、電池セルの少なくとも一部の電極端子が、車両シャシまたは地面に向かうように、筐体内に配置される場合、電気自動車のシャシに配置された電池をぶつけたり、または異物の衝撃を受けたとき、該衝撃力で電池セルの破壊、ひいては発火、爆発などの事故が発生してしまう恐れがある。
【0037】
本出願は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、電池を提供する。電池は、電池セルと、前記電池セルを収容する筐体と、前記筐体内に設置される保護部材と、を備える。前記保護部材の第1方向の端部が前記筐体に固定され、前記電池セルの前記第1方向に垂直の第2方向の少なくとも一端に電極端子が形成される。前記保護部材は、前記第2方向において前記筐体に支持される保護部を備える。前記第2方向において前記電極端子と前記筐体との間に間隙を生じさせて前記電極端子を保護するように、前記保護部は、前記電極端子よりも前記第2方向に突出するように構成される。
【0038】
筐体内に、保護部を備える保護部材を設置し、保護部材の第1方向の端部を筐体に固定し、そして、第2方向において筐体で保護部を支持し、電極端子よりも第2方向に突出した保護部で、第2方向において電極端子と筐体との間に間隙を有するようにすることで、筐体が外部衝撃を受けるとき、保護部材の保護部で衝撃を受け、そして保護部材を介して第1方向の端部から衝撃力を筐体に伝達するので、電極端子が衝撃を受け、電池セルを破壊することを防ぐことができる。
【0039】
本出願の一実施形態は、電池を用いて給電する電気設備を提供する。
【0040】
本出願の実施形態に記載の技術案は、例えば、携帯電話、携帯端末、ノートパソコン、電動車、電動玩具、電動工具、電気自動車、船、および飛行機、ロケット、スペースシャトルおよび宇宙船などを含む航空機などの、各種の電池を利用する設備に適用できる。
【0041】
なお、本出願の実施形態に記載の技術案は、上記設備だけではなく、電池を利用する全ての設備に適用できる。説明を簡潔にするために、以下の実施形態は、いずれも電気自動車を例として説明する。
【0042】
例えば、図1は、本出願の一実施形態の車両100の構成模式図を示す。車両100には、ガソリン自動車、天然ガス自動車または新エネルギー自動車が含まれ、新エネルギー自動車には、電気自動車、ハイブリッド車またはレンジエクステンダー式電気自動車などが含まれる。車両100の内部には、モータ2、制御器3および電池1が配置され、制御器3が電池1のモータ2への給電を制御するためのものである。例えば、電池1は、車両100の底部、前部または後部に設置されることが可能である。電池1は、車両100に給電するためのものであり、例えば、動作電源として車両100の電気回路システムに適用することができる。例えば、車両100の始動、ナビゲートおよび走行時の動作の電源として使用することができる。本出願の他の実施形態では、電池1は、車両100の動作電源として使用可能だけでなく、ガソリンや天然ガスの代わりに車両100に駆動電力を提供するための車両100の駆動電源としても使用することができる。
【0043】
電力の要求に応じて、電池1は、直列、並列または直並列される複数の電池セル32を含み得る。
【0044】
図2は、本出願の一実施形態の電池1の構成の斜視分解模式図を示す。電池1は、複数の電池セル10を備え、複数の電池セル10が、第1方向Xおよび第1方向Xと直交する第3方向Yに配列されている。すなわち、電池1における複数の電池セル10は、マトリックス状に配列されている。任意選択で、電池1は、1つの電池セル10のみを含んでもよいし、第1方向Xに沿って配列される複数の電池セル10を含んでもよいし、第3方向Yに沿って配列される複数の電池セル10を含んでもよい。電池1は、複数の電池セル10を収容する内部中空を有する筐体4をさらに含む。図2に示すように、筐体4は、上蓋41およびケース42という2つの部分を含む。上蓋41とケース42とが合体している。上蓋41およびケース42の形状は、複数の電池セル10の組み合わせてなる形状によって定められる。例えば、上蓋41およびケース42は、いずれも中空の長方体状を呈し、それぞれの一方の面だけが開口され、上蓋41の開口とケース42の開口とが対向するように設置され、上蓋41とケース42とは一体的に密閉室を有する筐体4を形成してもよい。また、上蓋41が開口を有する長方体状を呈し、ケース42がシート状を呈し、または、ケース42が開口を有する長方体状を呈し、上蓋41がシート状を呈し、上蓋41とケース42とは、対向するように設置され、一体的に密閉室を有する筐体4を形成するようになってもよい。複数の電池セル10は、直列、並列または直並列されたあと、上蓋41とケース42とが一体的に形成する筐体4内に配置される。
【0045】
図2に示すように、筐体4と電池セル10とが対向するように設置され、筐体4に保護部材7が設置され、保護部材7の第1方向Xの端部が、固定部材6で筐体4に固定されている。固定部材6が保護部材7の第1方向Xの両端部に位置するので、保護部材7を確実に設置することができるとともに、外部衝撃を受けるとき、保護部材7および固定部材6を介して衝撃力を筐体4へ伝達することができる。以下、図3を参照しながら、電池セル10、保護部材7の具体的な構成を説明する。
【0046】
図3は、本出願の一実施形態の電池1の保護部材7の具体的な構成の模式図を示す。
【0047】
図3は、第1方向Xに沿って複数の電池セル10を配列する場合の実施形態を示す。電池セル10は、ハウジング101と、カバー102と、極性の相反する2つの電極端子103と、ハウジング101に設置される1つまたは複数の電極ユニット(図示せず)とを備える。ハウジング101の形状は、1つまたは複数の電極ユニットが組み合わせられてなる形状により定められる。例えば、ハウジング101は、中空の長方体、立方体または円柱体に形成されてもよい。図3に示すハウジング101は、中空の長方体状を呈する。ハウジング101は、開口を有し、1つまたは複数の電極ユニットを開口を介してハウジング101内に配置し、カバー102で該開口を封止するように構成される。ハウジング101内には、例えば電解液のような電解質が充填されている。図3に示すように、ハウジング101の第2方向Zの一端に開口が形成され、電池セル10が、ハウジング101の該開口を封止するカバー102を含む。極性の相反する2つの電極端子103がいずれも該カバー102に形成される。なお、ハウジング101の第2方向Zにおける電池セル10の両端にいずれも開口が形成され、ハウジング101の該2つの開口を封止する2つのカバー102を有するようにしてもよい。極性の相反する2つの電極端子103が2つのカバー102のそれぞれに形成されてもよい。第2方向Zは、第1方向Xと第3方向Yのそれぞれに直交するものである。電極端子103は、円柱状、長方体状、立方体状、多角柱体状などの各形状を呈してもよい。本実施形態に示す電極端子103は長方体状のものである。
【0048】
図3に示すように、カバー102は、電池セル10の内部圧力または温度が閾値に達したとき該内部圧力を逃がす圧力逃がし機構104をさらに含む。圧力逃がし機構104は、電池セル10の内部圧力または温度が予め設定された閾値に達したとき作動して内部圧力または熱を逃がす素子または部材を指す。閾値は、必要に応じて設定することができる。前記閾値は、電池セル10の正極板、負極板、電解液およびセパレータの素材のうちの少なくとも1つによって決定されるものである。圧力逃がし機構104は、例えば、防爆弁、空気弁、圧力逃がし弁または安全弁などであってもよい。さらに、圧力感応素子または温度感応素子、或いは圧力感応構造または温度感応構造を採用することができる。すなわち、電池セル10の内部圧力または温度が予め設定された閾値に達するとき、圧力逃がし機構104が作動するか、または圧力逃がし機構104に設けられた脆弱構造を破壊することにより、内部の圧力または熱を逃がすための開口または通路を形成するように構成される。
【0049】
本出願で言及される「作動」とは、電池セル10の内部圧力および熱を逃がすように、特定の状態になると、圧力逃がし機構104が動作するか、またはアクティブにされることを指す。圧力逃がし機構104の動作は、圧力逃がし機構104の少なくとも一部の破裂、破砕、破れ、開放などを含むが、これらに限定されない。圧力逃がし機構104が作動すると、電池セル10内の高温高圧物質が排出物として作動する部分から排出される。したがって、圧力または温度を制御可能な範囲内で、電池セル10の圧力および熱を逃がすことができ、潜在的なより深刻な事故の発生を回避することができる。
【0050】
本出願で言及される排出物は、電解液、溶解又は分解された正極板、負極板、セパレータの屑、反応で生成された高温高圧の気体、炎等を含むが、これらに限定されない。
【0051】
保護部材7は、締結部品72で固定部材6に固定されている。例えば、図3に示すように、締結部品72の例として、ボルトが使用される。保護部材7および固定部材6にねじ孔が形成され、ボルトを保護部材7および固定部材6のねじ孔に挿入することで、保護部材7を固定部材6に固定する。保護部材7と固定部材6との固定方式は、限定されておらず、溶接、粘着などのような各種のものであってもよい。
【0052】
図3に示すように、保護部材7は、電極端子103よりも第2方向Zに突出した保護部71を備える。上蓋41が電池セル10に対向するように設置される場合、保護部71は、第2方向Zにおいて電極端子103と上蓋41との間に間隙を有するように、筐体4の上蓋41を支持する。
【0053】
電池1は、電池セル10の電極端子103が筐体4に面するように構成される場合、筐体4側が衝突または衝撃を受けたとき、衝撃力で筐体4が変形することがあり、さらに、電極端子103に衝突し、電池セル10を破壊してしまうおそれがある。
【0054】
本出願の実施形態において、筐体4内に保護部71を備える保護部材7が設置され、保護部材7の第1方向Xの端部が筐体4に固定され、第2方向Zにおいて保護部71で筐体を支持し、電極端子103よりも第2方向Zに突出した保護部71によって、第2方向Zにおいて電極端子103と筐体4との間に間隙を有するように構成されるので、筐体4に外部衝撃が加えられたとき、保護部材7の保護部71で衝撃を受け、保護部71の変形により一部の衝撃エネルギーを吸収できる。また、保護部材7の設置により、衝撃力が第1方向Xの端部から固定部材6を介して筐体4に伝達されるので、電極端子103を保護することができる。
【0055】
図3に示すように、第3方向Yにおいて、保護部材と電池セル10とが並んで配置されている。保護部材7を電池セル10の側面に接するように配置しているので、電池セル10全体を確実に保護することができる。保護部材7の第3方向Yにおける電池セル10に対向する面は、電池セル10と接合されてもよい。このため、保護部材7の剛性を向上させることができるとともに、保護部材7の設置空間を節約することができる。これによって、筐体4内の空間利用率を上げることができる。保護部材7と電池セル10との接合は、例えば、粘着剤で実現される。
【0056】
図3は、保護部材7および保護部71の具体的な構成として、保護部材7が第1方向Xにおいて延在する板部材であり、保護部71が保護部材7の第2方向Zに筐体4から突出した凸部であるものを示した。これによって、簡単な構成により、本出願の電池セル10を保護する技術的効果を奏することができる。なお、保護部材7および保護部71の具体的な構成は、限定されず、第2方向Zにおいて電極端子103と筐体との間に間隙を有するように、保護部71が電極端子103よりも第2方向Zに突出し、電極端子103を保護するように構成されればよい。例えば、保護部材7が支持梁からなり、保護部71が支持梁の筐体側へ突出したブロックであってもよい。
【0057】
上記の実施形態において、電池セル10は、第2方向Zの上蓋41に近い端部がカバー102を備え、該カバー102に電極端子103が形成される。なお、本出願はこれに限定されない。電池セル10の第2方向Zの両側にいずれも電極端子103を有する場合、上蓋41およびケース42からの外部衝撃力を緩和できるように、保護部材7の第2方向Zの両側に保護部71を設置してもよい。
【0058】
図4は、本出願の一実施形態の蓋部材5が設置された電池1の構成の模式図を示す。
【0059】
図4に示すように、本実施形態では、第2方向Zにおける電池セル10の電極端子103が設置される側において、筐体4(上蓋41)と電池セル10と間に、蓋部材5が設置されている。これによって、上蓋41が外部衝撃を受けるとき、蓋部材5で電池セル10を保護し、電池セル10の耐衝撃性の能力を向上させることができる。なお、本出願は、これに限定されない。電池セル10の第2方向Zの両側にいずれも電極端子103を有する場合、上蓋41およびケース42からの外部衝撃力を緩和できるように、上蓋41と電池セル10との間に、およびケース42と電池セル10との間に、ともに蓋部材5を設置してもよい。
【0060】
図4に示すように、上蓋41と電池セル10との間に蓋部材5が設置される場合、上蓋41側が衝突または衝撃を受けるとき、該衝撃力は、上蓋41から蓋部材5を介して電極端子103側に加わる。この場合、第2方向Zにおいて電極端子103と上蓋41との間に間隙を有するように、保護部71が蓋部材5を支持するので、電極端子103を保護することができる。
【0061】
すなわち、第2方向Zの電極端子103が設置される側において、保護部71が電極端子103(電池セル10の最も筐体4に近い部分)よりも筐体4に近接して設置されているので、外部衝撃を受けるとき電極端子を保護する本出願の技術的効果を奏することができる。
【0062】
図5(a)は、本出願の一実施形態のガードが装着される蓋部材の電池セルに面する側の構成模式図を示す。図5(b)は、図5(a)のA部拡大図を示す。図5(c)は、ガード8の構成模式図を示す。
【0063】
図5(a)に示すように、蓋部材5の電池セル10に対向する面にガード8が装着され、ガード8は、筐体4が衝撃を受けるとき保護部材7の保護部71を保護するものである。筐体4が外部衝撃力を受けるとき、ガード8の設置により、該衝撃力が直接に保護部71に作用しないようになるので、力を受けることによる保護部71の大幅な変形または破壊を防ぐことができる。ガード8の材料については、摩耗性が高く、難燃性が高いものが望ましく、例えば、PA66(ナイロン66)+20%GF(ガラス繊維)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)+20%GF(ガラス繊維)などの材料を利用することができる。
【0064】
また、蓋部材5は、蓋部材5の剛性を補強する補強部材51を備える。これによって、蓋部材5の衝撃エネルギーの吸収能力を補強することができる。補強部材51は、図4に示すように、例えば、縦横に交差した補強筋により構成されてもよい。なお、これに限定されない。例えば、補強筋は、ハニカム状のものに形成してもよい。また、蓋部材は、さらに緩衝部材52を備える。これによって、衝撃エネルギーをより効果的に吸収することができる。緩衝部材52の材料については、弾力性および難燃性が高いものが望ましく、例えば、ゴム、MPPE(変性ポリフェニレンエーテル)、PU(ポリウレタン)などを利用することができる。
【0065】
蓋部材5には排出口53が設けられ、該排出口53は、電池セル10の圧力逃がし機構104に対向する位置に設けられている。これによって、圧力逃がし機構104が作動するとき、気体をガイドして排出させることができるので、熱暴走で電池セル10に生じた熱が隣接する電池セル10に拡散することを阻止することができる。
【0066】
図5(b)に示すように、補強部材51は、蓋部材5の電池セル10に対向する面に形成されるとともに電池セル10へ突出するように構成され、これによって、複数の凹部が形成される。ガード8は、補強部材51により形成された凹部と係合する。これによって、簡単な構成で、ガード8の位置決めを実現することができる。また、ガード8を固定する部材を別途設置する必要がないので、コストを削減することができる。なお、これに限定されず、ガード8は、螺合、粘着、カシメなどで蓋部材5に設置されてもよい。
【0067】
図5(c)に示すように、ガード8は、第1方向Xに延在する本体部81を備え、本体部81には、電池セル10に面する側に開口を有する溝82が設けられている。この場合、開口を介して溝82内に保護部71を挿入することが可能である。これによって、開口に挿入された保護部71の部分がガード8の溝82に囲まれ、より確実に保護部71を保護することができる。溝82に挿入された保護部71の部分と、溝82の側壁との間に間隙が形成される。これによって、外部衝撃力を受けるとき、保護部71がある程度で変形することが可能になり、保護部71の変形により衝撃エネルギーを吸収することができるため、保護部材7の使用寿命を延ばすことができる。
【0068】
本体部81の第3方向Yにおけるガード8の両側に支持部83が形成され、支持部83が電池セル10に支持される。ガードに電池セル10に支持される支持部83が設置されることは、ガード8のみを蓋部材5に形成された凹部に係合させる構成に比べて、ガード8の装着がより確実になる。また、支持部83が電池セル10に支持されているため、筐体4が外部衝撃を受けるときに、支持部83により、ガード8の保護部材7への保護作用を強化することができる。
【0069】
図6(a)は、本出願の一実施形態の電池の組立後の構成の平面模式図を示す。図6(b)は、図6(a)のI-I断面図を示す。図6(c)は、図6(b)のB部拡大図を示す。図6(d)は、図6(b)のC部拡大図を示す。図6(b)に示すI-I断面図において、拡大部Bは、ガード8の本体部81の部分の断面図を示し、拡大部Cは、ガード8の支持部83の部分の断面図を示す。
【0070】
図6(b)に示すように、電池1は、第3方向Yに配列される複数の電池セル10を含み、第3方向Yにおいて隣接する2つの電池セル10の間に、保護部材7が設置されている。図6(c)の拡大部Bに示すように、蓋部材5が上蓋41に被着するように設置され、蓋部材5にガード8が設置されている。保護部材7の上蓋41へ突出した保護部71が、ガード8の溝82に挿入され、保護部71と溝82の側壁との間に間隙が形成されている。図6(c)に示すように、ガード8の設置により、外部衝撃を受けるときの、保護部71の湾曲変形による電気接続部材9との接触を防止することができ、電池全体の絶縁性を向上させることができる。
【0071】
図6(d)の拡大部Cに示すように、ガード8の支持部83は、電池セル10のカバー102に対向するように設置されるとともに、カバー102に支持されている。また、蓋部材5に設置された緩衝部材52は、電池セル10のカバー102に対向するように設置されるとともに、カバー102に支持されている。これによって、ガード8の支持部83は、電池セル10のカバー102のうちの電極端子103が設置されていない部分に支持されるので、電池内の空間利用率を上げることができる。また、蓋部材5に設置された緩衝部材52は、電池セル10のカバー102のうちの電極端子103が設置されていない部分に支持されるので、緩衝部材52で衝撃エネルギーを吸収するとともに、電池内の空間利用率を上げることができる。なお、第2方向Zにおいて、電池セル10のカバー102に対する緩衝部材52の高さは、カバー102に対するガード8の高さよりも低い。
【0072】
この場合、第2方向Zにおける電極端子103が設置される側において、保護部71が挿入されたガード8は、電極端子103(電池セル10の最も蓋部材5に近い部分)よりも蓋部材5に近接して設置されているため、外部衝撃を受けるとき電極端子を保護する本出願の技術的効果を奏することができる。
【0073】
図7(a)は、図6(a)のII-II断面図を示す。図7(b)は、図7(a)のD部拡大図を示す。図7(a)に示すように、電池1は、第1方向Xに配列される複数の電池セル10を備える。保護部材7は、第1方向Xに延在し、複数の電池セル10を保護するように構成される。図7(b)の拡大部Dに示すように、保護部材7の保護部71の頂部の一部がガード8の本体部81の溝82に挿入されている。なお、これに限定されず、保護部71の全体が溝82内に挿入されてもよい。
【0074】
本出願の一実施形態は、上記各実施形態に記載の電池1を備える電気設備を提供する。電池1は、該電気設備へ給電するためのものである。
【0075】
以上、本出願の実施形態の電池および電気設備を説明したが、以下、本出願の実施形態の電池の製造方法および製造装置を説明する。詳しく説明されていない部分について、上記各実施形態を参照できる。
【0076】
図8は、本出願の一実施形態の電池の製造方法200の流れ模式図を示す。図8に示すように、該方法200は、以下のステップを含む。
【0077】
ステップ210は、電池セル10を提供する。
【0078】
ステップ220は、電池セル10を収容する筐体4を提供する。
【0079】
ステップ230は、筐体4内に設置され、第1方向Xの端部が筐体4に固定される保護部材7を提供する。
【0080】
電池セル10は、第1方向Xに垂直の第2方向Zの少なくとも一端に電極端子103が形成されている。
【0081】
保護部材7は、保護部71を備え、保護部71は第2方向Zにおいて筐体4に支持され、第2方向Zにおいて電極端子103と筐体4との間に間隙を生じさせて電極端子103を保護するように、保護部71は、電極端子103よりも第2方向Zに突出している。
【0082】
図9は、本出願の一実施形態の電池の製造装置300のブロック模式図を示す。図9に示すように、電池の製造装置300は、第1提供モジュール310、第2提供モジュール320、第3提供モジュール330および装着モジュール340を備える。
【0083】
第1提供モジュール510は、電池セル10を提供する。
【0084】
第2提供モジュール520は、電池セル10を収容する筐体4を提供する。
【0085】
第3提供モジュール530は、保護部71を備える保護部材7を提供する。
【0086】
装着モジュール540は、保護部材7を筐体4内に設置し、保護部材7の第1方向Xの端部を筐体4に固定する。
【0087】
電池セル10は、第1方向Xに垂直の第2方向Zの少なくとも一端に電極端子103が形成されている。
【0088】
装着モジュール540は、保護部71が第2方向Zにおいて筐体4に支持され、第2方向Zにおいて電極端子103と筐体4との間に間隙を有生じさせて電極端子103を保護するように、保護部71は、電極端子103よりも第2方向Zに突出するように構成されている。
【0089】
最後に、上記各実施形態は、本出願の技術案を説明するためのものにすぎず、これを限定するものではないことに留意されたい。上記各実施形態を用いて本出願を詳細に説明したが、当業者であれば、上記各実施形態に記載された技術案を変更し、又はその内の一部或いは全部の技術的特徴に対して均等置換を行うこともできる。これらの変更又は置換は、該当技術案の本質を本出願の各実施形態による技術案の範囲から逸脱させない。
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図6(d)】
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9