(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】排気ガスシステムを加熱する方法、排気ガスシステム、および自動車両
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20240717BHJP
F01N 3/34 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
F01N3/20 K
F01N3/34 A
F01N3/34 N
(21)【出願番号】P 2023015996
(22)【出願日】2023-02-06
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】10 2022 103 350.3
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴァイスハー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス エンギン
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-101458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
F01N 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒コンバータ(12)を備えた自動車両の排気ガスシステム(10)を加熱する方法であって、前記排気ガスシステム(10)が、熱搬送媒体マスフロー(16)の流れ方向の、前記排気ガスシステム(10)内の前記触媒コンバータ(12)の前方に配置された電気的に加熱可能な加熱ディスク(14)を備え、
- 前記電気的に加熱可能な加熱ディスク(14)の前記加熱中に、所定の時間間隔で、一つ以上の電気的特性の値を決定するステップと、
- 前記電気的に加熱可能な加熱ディスク(14)の前記一つ以上の電気的特性の前記決定値を評価することによって、十分な熱搬送媒体マスフロー(16)があるかどうかを判定するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記熱搬送媒体マスフロー(16)が、二次空気ポンプ(18)または電気排気ガスターボチャージャー(20)によって前記排気ガスシステム(10)内に供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気的に加熱可能な加熱ディスク(14)の前記一つ以上の電気的特性が、前記電気的に加熱可能な加熱ディスク(14)の電流、電気抵抗、電圧、および/または電力であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記一つ以上の電気的特性の前記決定値の評価が、
- 前記少なくとも一つの電気的特性の前記決定値から、少なくとも一つの時間ベースの関数(22)を作成することと、
- 前記電気的に加熱可能な加熱ディスク(14)の前記少なくとも一つの電気的特性の前記決定値の前記時間ベースの関数(22)の、少なくとも一つの導関数(24)を決定して評価することと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記導関数(24)の前記評価が、
- 前記導関数(24)の特性と、理想的な既定の理想的な値から作成された理想的な関数(28)から決定される理想的な導関数(26)の特性とを比較すること、を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記導関数(24)の前記評価が、
- 前記導関数(24)の開始値(30)と、前記理想的な導関数(26)の理想的な開始値(32)とを比較すること、を含むことを特徴とする、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記導関数の評価(24)が、
- 前記導関数(24)の所定の閾値(36)を達成するために必要な期間(34)を決定することと、
- 前記決定された期間(34)を、前記理想的な導関数(26)の前記所定の閾値(36)を達成するために必要な理想的な期間(38)と比較することと、を含むことを特徴とする、
請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも一つの触媒コンバータ(12)および少なくとも一つの電気的に加熱可能な加熱ディスク(14)を備える、自動車両の排気ガスシステム(10)であって、前記排気ガスシステム(10)が、電気的に加熱可能な加熱ディスク(14)の電気的特性の少なくとも一つの値が決定されうるように構成されていると共に、請求項1に記載の方法で加熱されるように構成されている、排気ガスシステム(10)。
【請求項9】
請求項8に記載の排気ガスシステム(10)を備える、自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両の排気ガスシステムを加熱する方法、自動車両の排気ガスシステム、およびそのような排気ガスシステムを備えた自動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
低排出量を確保するために、加熱ディスクを自動車両の排気ガスシステムを予熱するために使用することができる。この目的のために、キャリアマスフロー(例えば、空気)が、電気的に加熱された加熱ディスクの周りを流動し、または加熱ディスクを潅流し、下流の触媒コンバータを加熱する。キャリアマスフローが不在または不十分である場合、加熱ディスクの過熱または破損が発生しかねない。
【0003】
特許文献1は、電気的に加熱可能な触媒コンバータを備えた排気ガスシステムの温度を推定するためのシステムおよび方法を開示しており、排気ガスシステムの温度は、電気的に加熱可能な触媒コンバータの電気的特性によって推定される。
【0004】
ここで不利なことは、キャリアマスフローが不在または不十分であることを確実には検出できず、加熱ディスクを過熱による破損から保護できないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明によって対処される問題は、自動車両の排気ガスシステムを加熱する方法、自動車両の排気ガスシステム、およびこうした排気ガスシステムを備えた自動車両を提供することであり、キャリアマスフローが不在または不十分であることを確実に検出することができ、過熱による加熱ディスクの破損を防止することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、請求項1に記載の自動車両の排気ガスシステムを加熱する方法、請求項8に記載の自動車両の排気ガスシステム、および請求項10に記載の自動車両によって解決される。
【0008】
触媒コンバータを備えた自動車両の排気ガスシステムを加熱するための本発明による方法、特に、触媒コンバータを加熱または予熱する方法であって、排気ガスシステムは、キャリアマスフロー(例えば、空気)の流れ方向の、排気ガスシステムの触媒コンバータの前方に配置された電気的に加熱可能な加熱ディスクを含み、方法は、以下のステップを含む:
【0009】
電気的に加熱可能な加熱ディスクの加熱中に、時間間隔、特に定期的な間隔で、一つ以上の電気的特性の(その時点での)値(例えば、読取り値)を決定するステップ。
【0010】
電気的に加熱可能な加熱ディスクの一つ以上の電気的特性の決定値を評価することによって、十分なキャリアマスフローが存在するかを判定するステップ。
【0011】
不十分なキャリアマスフローは、例えば、加熱ディスクおよびキャリアマスフローにつながるラインの弁の漏れまたは締め付けによって引き起こされる場合がある。不十分なキャリアマスフローは、時間間隔で不在の、および/または中断されるキャリアマスフローである場合がある。また、不十分なキャリアマスフローは、キャリアマスフローが(絶えず)存在するが、不十分(すなわち、加熱された加熱ディスクからの熱エネルギーを分散させるのに十分ではなく、加熱ディスクの過熱を起こしうるほど)であるときにもありうる。
【0012】
一つ以上の電気的特性の決定値を評価することによって、キャリアマスフローが存在するか、またそれが加熱された加熱ディスクからの熱エネルギーを放散するのに十分かを確実に決定することができる。キャリアマスフローが十分でないと決定された場合、例えば、加熱ディスクのスイッチをオフにすることができ、したがって、加熱ディスクの過熱を防止することができる。
【0013】
好ましくは、排気ガスシステム内のキャリアマスフローは、二次空気ポンプまたは電気ターボチャージャーによって提供されうる。
【0014】
電気的に加熱可能な加熱ディスクの一つ以上の電気的特性は、電気的に加熱可能な加熱ディスクの電流、電気抵抗、電圧、および/または電力であるのが好ましい。
【0015】
電力は直接的には決定(測定)できない。しかしながら、例えば、決定された電圧およびアンペア数によって、特に計算によって見出す(決定する)ことができる。
【0016】
好ましくは、一つ以上の電気的特性の決定値の評価は、次を含みうる:
【0017】
少なくとも一つの電気的特性の決定値から、少なくとも一つの時間ベースの関数を生成すること。特性曲線が、特性の決定値および値が決定された時間間隔から生成されるのが好ましい。換言すると、特性の決定値は、図に経時的にグラフ化され、その結果、特性曲線が形成される。
【0018】
電気的に加熱可能な加熱ディスクの少なくとも一つの電気的特性の決定値についての時間ベースの関数の、少なくとも一つの導関数(または勾配)を決定して評価すること。
【0019】
ここで、導関数とは、一次導関数を意味する。導関数は特に、数学的意味における微分、すなわち、電気的特性の決定値(測定値)からの時間ベースの関数の勾配に対応する。
【0020】
好ましくは、導関数の評価は、以下を含みうる:
導関数(または勾配)の特性を、理想的な既定の理想的な値から生成された理想的な関数から決定された理想的な導関数の特性と比較すること。理想的な導関数もまた、数学的意味における一次導関数である。
【0021】
言い換えれば、(導関数の)実際の勾配と(理想的な導関数の、理想的な)目標勾配とを比較することができる。また、値の評価は、決定値からの時間ベースの関数と、理想的な関数との比較によって、または個別の値と理想的な値との比較によって実施されることも考えられる。
【0022】
理想的な関数は、十分に大きい、すなわち、正常な状態の、キャリアマスフローに対応する理想的な値から生成(決定)することができる。比較において偏差が見つかった場合、キャリアマスフローの不在および/または不十分なキャリアマスフローを推論することができる。
【0023】
好ましくは、導関数の評価は、以下を含みうる:
導関数の開始値を、理想的な導関数の理想的な開始値と比較すること。
【0024】
特に、値(すなわち、特性曲線図中のそれぞれのX値間の距離)の偏差が、ここで最大である可能性がある。したがって、例えば、加熱ディスクの加熱段階の開始時にすぐに、キャリアマスフローの不在が推論でき、加熱ディスクの電源を切る、および/または警報信号を(聴覚的および/または視覚的に)自動車両のユーザーまたはドライバーに出力するなどの適切な措置を取ることができる。
【0025】
好ましくは、導関数の評価は、以下を含みうる:
導関数の所定の閾値を達成するために必要な期間を決定すること。
【0026】
決定された期間を、理想的な導関数の所定の閾値を達成するために必要な理想的な期間と比較すること。
【0027】
決定された期間と理想的な期間との間に偏差がある場合、キャリアマスフローの不在および/または不十分なキャリアマスフローを推論することができる。
【0028】
本発明によると、少なくとも一つの触媒コンバータおよび少なくとも一つの電気的に加熱可能な加熱ディスクを含む、自動車両の排気ガスシステムが提案されており、排気ガスシステムは、電気的に加熱可能な加熱ディスクの電気的特性の少なくとも一つの値を決定(測定)できるように構成されている。
【0029】
排気ガスシステムは、二次空気ポンプまたは電気排気ガスターボチャージャーを備えてもよい。
【0030】
好ましくは、排気ガスシステムが上記の説明による方法によって加熱されるように構成されうる。このようにして達成されうる利点に関して、本方法に関する関連する説明を参照する。本方法に関連して以下に説明および/または考察する手段は、排気ガスシステムのさらなる設計に役立ちうる。
【0031】
特に、本方法では、排気ガスシステムの触媒コンバータが加熱されうる。
【0032】
本発明によると、上記の実施形態による排気ガスシステムを備えた自動車両が提案されている。このようにして達成され得る利点に関して、排気ガスシステムに関する関連する説明を参照する。排気ガスシステムに関連して以下に説明および/または考察する手段は、自動車両のさらなる設計に役立ちうる。
【0033】
自動車両は、二次空気ポンプまたは電気排気ガスターボチャージャーを備えてもよい。
【0034】
本発明のさらなる利点および実施形態は、以下の説明および図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】自動車両の排気ガスシステムを概略的に示す。
【
図2b】時間の経過に伴う現存の十分なキャリアマスフローと不在のキャリアマスフローとの間の差異を示す。
【
図2c】定電圧下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数で示す。
【
図2d】定電圧下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数の導関数で示す。
【
図2e】定電圧下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数で示す。
【
図2f】定電圧下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数の導関数で示す。
【
図2g】定電圧下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数で示す。
【
図2h】定電圧下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数の導関数で示す。
【
図4b】時間の経過に伴う現存のキャリアマスフローと不在のキャリアマスフローとの間の差異を示す
【
図4c】定電力下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数で示す。
【
図4d】定電力下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数の導関数で示す。
【
図4e】定電力下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数で示す。
【
図4f】定電力下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数の導関数で示す。
【
図4g】定電力下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数で示す。
【
図4h】定電力下の排気ガスシステムの挙動を、特性の決定値の時間依存関数の導関数で示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、触媒コンバータ12を備えた自動車両の排気ガスシステム10を概略的に示す。排気ガスシステムは、電気的に加熱可能な加熱ディスク14を備える。本事例では、キャリアマスフロー16は、二次空気ポンプ18または電気ターボチャージャー20によって供給される。キャリアマスフロー16は、加熱ディスク14の周りを流動し、または加熱ディスクを潅流し、その後触媒コンバータ12に入る。言い換えれば、加熱ディスク14は、キャリアマスフロー16の流れ方向の、排気ガスシステム10内の触媒コンバータ12の前方に配置される。
【0037】
加熱ディスク14が加熱されると(矢印によって示される)、加熱ディスク14の温度が上がり、キャリアマスフロー16を加熱し、キャリアマスフロー16が加熱ディスク14の周りを流動し、加熱ディスク14を潅流する。このように加熱されたキャリアマスフロー16がさらに、触媒コンバータ12を加熱する。キャリアマスフローが不在の場合、または十分に存在しない場合、熱エネルギーが加熱ディスク14から除去されないか、または不十分にしか除去されず、その結果、加熱ディスク14の過熱が起こりうる。これは、加熱ディスク14の少なくとも一つの電気的特性の特性値を決定および評価することによって防止することができる。
【0038】
図2a~2hは、一定の電圧(U)下での排気ガスシステム10の挙動を示す。言い換えれば、時間(t)の経過に伴う電圧(U)は一定である(
図2a参照)。本事例では、
図2bは、時間(t)の経過に伴う、現存の十分なキャリアマスフロー16(mSL)(実線)と、不在のキャリアマスフロー16(mSL)(破線)との間の差異を示す。
【0039】
図2c、2e、2gでは、時間(t)の経過に伴う特性の決定値の時間ベースの関数22をそれぞれグラフ化している。時間ベースの関数22の値は、不在のキャリアマスフロー16で決定された。これらの時間ベースの関数22は、それぞれの破線で示されている。さらに、時間(t)の経過に伴う理想的な関数28は、破線によって示されている。理想的な関数28はそれぞれ、現存のキャリアマスフロー16で測定される理想的な値に対応する。したがって、それぞれの特性のそれぞれの値の偏差は、現存の、または不在のキャリアマスフロー16の関数としてそれぞれ示されている。
【0040】
図2cでは、時間(t)の経過に伴う電流(I)が特性としてグラフ化されている。
図2eでは、時間(t)の経過に伴う電気抵抗(R)が特性としてグラフ化されている。
図2gでは、時間(t)の経過に伴う電力(P)が特性としてグラフ化されている。
【0041】
図2d、2f、2hはそれぞれ、時間ベースの関数22の導関数24、ならびに理想的な関数28の理想的な導関数26を示す。したがって、
図2dでは、時間(t)の経過に伴う電流の導関数(I’)がグラフ化されている。
図2fでは、時間(t)の経過に伴う電気抵抗の導関数(R’)がグラフ化されている。
図2hでは、時間(t)の経過に伴う電力の導関数(P’)がグラフ化されている。
【0042】
図3は、
図2dの図の拡大図を示す。導関数24の開始値30は、理想的な導関数26の理想的な開始値32から著しくはずれていることが分かる。本事例では、これら二つの開始値30、32の比較は、キャリアマスフロー16の存在または不在を示しうる。本事例では、開始値30は、理想的な開始値32よりも小さい。
【0043】
さらに、所定の閾値36に到達するために必要な時間は、それぞれの導関数24、26から決定することができる。したがって、この閾値36は、導関数24では期間34後に達成される。理想的な導関数26では、この閾値36は、理想的な期間38後に達成される。本事例では、これら二つの期間34、38の比較は、キャリアマスフロー16の存在または不在を示しうる。本事例では、期間34は、理想的な期間38よりも短い。
【0044】
図4a~4hは、一定の電力(P)下での排気ガスシステム10の挙動を示す。言い換えれば、電力(P)は、時間(t)の経過に伴い一定である(
図4a参照)。本事例では、
図4bは、時間(t)の経過に伴う、現存のキャリアマスフロー16(mSL)(実線)と、不在のキャリアマスフロー16(mSL)(破線)(t)との間の差異を示す。
【0045】
図4c、4e、4gでは、時間(t)の経過に伴う特性の決定値の時間ベースの関数22をそれぞれグラフ化している。時間ベースの関数22の値は、不在のキャリアマスフロー16で決定された。これらの時間ベースの関数22は、それぞれの破線で示されている。さらに、時間(t)の経過に伴う理想的な関数28は、破線によって示されている。理想的な関数28はそれぞれ、現存のキャリアマスフロー16で測定される理想的な値に対応する。したがって、それぞれの特性のそれぞれの値の偏差は、現存の、または不在のキャリアマスフロー16の関数としてそれぞれ示されている。
【0046】
図4cでは、時間(t)の経過に伴う電流(I)が特性としてグラフ化されている。
図4eでは、時間(t)の経過に伴う電気抵抗(R)が特性としてグラフ化されている。
図4gでは、時間(t)の経過に伴う電圧が特性としてグラフ化されている。
【0047】
図4d、4f、4hはそれぞれ、時間ベースの関数22の導関数24、ならびに理想的な関数28の理想的な導関数26を示す。したがって、
図4dでは、時間(t)の経過に伴う電流の導関数(I’)がグラフ化されている。
図4fでは、時間(t)の経過に伴う電気抵抗の導関数(R’)がグラフ化されている。
図4hでは、時間(t)の経過に伴う電圧の導関数(U’)がグラフ化される。
【0048】
図5は、
図4hの図の拡大図を示す。導関数24の開始値30は、理想的な導関数26の理想的な開始値32から著しくはずれていることが分かる。本事例では、これら二つの開始値30、32の比較は、キャリアマスフロー16の存在または不在を示しうる。本事例では、開始値30は、理想的な開始値32よりも大きい。
【0049】
さらに、所定の閾値36に到達するために必要な時間は、それぞれの導関数24、26から決定することができる。したがって、この閾値36は、導関数24では期間34後に達成される。理想的な導関数26では、この閾値36は、理想的な期間38後に達成される。本事例では、これら二つの期間34、38の比較は、キャリアマスフロー16の存在または不在を示しうる。本事例では、期間34は、理想的な期間38よりも長い。