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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】計画方法及びその通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/12 20090101AFI20240717BHJP
   H04B 7/0452 20170101ALI20240717BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20240717BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240717BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20240717BHJP
【FI】
H04W16/12
H04B7/0452 100
H04B7/06 910
H04W16/28 110
H04W16/28 130
H04W16/28 151
H04W24/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023063017
(22)【出願日】2023-04-07
(65)【公開番号】P2024075463
(43)【公開日】2024-06-03
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】111144590
(32)【優先日】2022-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 志明
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-002822(JP,A)
【文献】特開2020-198512(JP,A)
【文献】特開2018-137649(JP,A)
【文献】特表2015-523004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H04B 7/0452
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークの計画方法であって、
複数の通信装置の観測データに応じて制約付き因果グラフを生成するステップであって、前記制約付き因果グラフの複数の因果変数と前記制約付き因果グラフの因果構造は一緒に決定される、ステップと、
複数のアンテナ素子の構成方法に関する動作データを生成するために、前記制約付き因果グラフを用いて有限領域表現計画を実行するステップであって、前記複数のアンテナ素子は、前記動作データに応じて複数のグループに分割され、前記複数のグループのうちの1つは、空間ダイバーシティ、シングルユーザ多重化、マルチユーザ多重化、シングルユーザビームフォーミング、またはマルチユーザビームフォーミングを採用する、ステップと、を含む計画方法。
【請求項2】
前記複数の通信装置の前記観測データに応じて前記制約付き因果グラフを生成する前記ステップは、
前記観測データを基礎データに変換するステップと、
最大事後確率推定及び点推定に基づいて、前記基礎データから前記制約付き因果グラフを生成するステップと、を含む、請求項1に記載の計画方法。
【請求項3】
前記制約付き因果グラフを用いて前記有限領域表現計画を実行する前記ステップは、
グラフ畳み込みネットワークを使用することによって複数の因果サブグラフを複数の2次元行列に変換するステップと、
前記複数の2次元行列を複数の第1の1次元ベクトルに変換するステップと、
前記制約付き因果グラフが少なくとも1つの代替のブランチを含むようにするために複数の第2の1次元ベクトルを探索するステップであって、前記複数の第2の1次元ベクトルのそれぞれが、前記複数の第1の1次元ベクトルのうちの1つと最小の余弦類似性を有して、前記第1の1次元ベクトルの代替として機能する、ステップと、を含む、請求項1に記載の計画方法。
【請求項4】
前記制約付き因果グラフを用いて前記有限領域表現計画を実行する前記ステップは、
ベイズ最適化、因果ベイズ最適化、または動的因果ベイズ最適化に従い、制約付き因果グラフに対応する計画ツリーを使用することによって、有限領域表現計画の解を決定するステップを含む、請求項1に記載の計画方法。
【請求項5】
複数の通信装置の観測データに応じて制約付き因果グラフを生成することであって、前記制約付き因果グラフの複数の因果変数と前記制約付き因果グラフの因果構造は一緒に決定される、生成すること、及び
複数のアンテナ素子の構成方法に関する動作データを生成するために、前記制約付き因果グラフを用いて有限領域表現計画を実行することであって、前記複数のアンテナ素子は、前記動作データに応じて複数のグループに分割され、前記複数のグループのうちの1つは、空間ダイバーシティ、シングルユーザ多重化、マルチユーザ多重化、シングルユーザビームフォーミング、またはマルチユーザビームフォーミングを採用する、実行することの命令を記憶するように構成された記憶回路と、
前記記憶回路に結合され、前記記憶回路に記憶された前記命令を実行するように構成された処理回路と、を備える、通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計画方法及びその通信装置に関し、特に、柔軟性及び効率性を向上させる計画方法及びその通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多入力多出力(MIMO)通信技術は、空間ダイバーシティ、空間多重化、及びビームフォーミングを含む。空間ダイバーシティは、同じデータを異なる伝播経路に送信することでシステムの信頼性を向上させる。空間多重化は、複数のメッセージが空間的に分離されているため、互いに干渉することなく同時に送信することでスループットを向上させる。ビームフォーミングは、より優れた信号対雑音比(SNR)を提供することによってスペクトル効率を向上させる。しかし、従来のMIMOスマートアンテナ装置は、これらの機能(すなわち、空間ダイバーシティ、空間多重化、及びビームフォーミング)のうちの一つしか持たず、そのことが柔軟性と効率性を制限している。そのため、MIMOスマートアンテナ装置の柔軟性と効率性をどのように向上させるかについては、まだ改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、柔軟性と効率性を向上させるための計画方法とその通信装置を提供することが、本発明の第一の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、計画方法を開示する。ネットワークの計画方法は、複数の通信装置の観測データに応じて制約付き因果グラフを生成するステップであって、前記制約付き因果グラフの複数の因果変数と前記制約付き因果グラフの因果構造は一緒に決定される、ステップと、複数のアンテナ素子の構成方法に関する動作データを生成するために、前記制約付き因果グラフを用いて有限領域表現計画を実行するステップであって、前記複数のアンテナ素子は、前記動作データに応じて複数のグループに分割され、前記複数のグループのうちの1つは、空間ダイバーシティ、シングルユーザ多重化、マルチユーザ多重化、シングルユーザビームフォーミング、またはマルチユーザビームフォーミングを採用する、ステップと、を含む。
【0005】
本発明の一実施形態は、命令を記憶するように構成された記憶回路と、前記記憶回路に結合され、前記記憶回路に記憶された前記命令を実行するように構成された処理回路と、を備える、通信装置を開示する。前記命令は、複数の通信装置の観測データに応じて制約付き因果グラフを生成することであって、前記制約付き因果グラフの複数の因果変数と前記制約付き因果グラフの因果構造は一緒に決定される、生成すること、及び複数のアンテナ素子の構成方法に関する動作データを生成するために、前記制約付き因果グラフを用いて有限領域表現計画を実行することであって、前記複数のアンテナ素子は、前記動作データに応じて複数のグループに分割され、前記複数のグループのうちの1つは、空間ダイバーシティ、シングルユーザ多重化、マルチユーザ多重化、シングルユーザビームフォーミング、またはマルチユーザビームフォーミングを採用する、実行することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明のこれらの目的および他の目的は、様々な図および図面に示されている好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むと、当業者にとって明らかになるに違いない。
【0007】
図1】本発明の実施形態によるネットワークシステムおよび通信装置の概略図である。
図2】本発明の実施形態によるネットワークシステムおよび通信装置の概略図である。
図3】本発明の実施形態による基礎データおよび因果グラフの一部の概略図である。
図4】本発明の実施形態による因果サブグラフのマッピングの概略図である。
図5】本発明の実施形態による因果サブグラフおよび因果グラフの概略図である。
図6】本発明の実施形態による状態および制約付き因果グラフの一部の概略図である。
図7】本発明の実施形態による計画ツリーの概略図である。
図8】本発明の実施形態による一次元問題に対するベイズ最適化の概略図である。
図9】ベイズ最適化、因果ベイズ最適化、動的因果ベイズ最適化の概略図である。
図10】本発明の実施形態によるネットワークシステムの一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施形態によるネットワークシステム10NWと複数の通信装置10UEの概略図である。ネットワークシステム10NW(すなわち、ネットワーク側)と通信装置10UE(すなわち、クライアント側)は、それぞれ複数のアンテナ素子NWaeとUEaeを含むことができる。ネットワークシステム10NWは、アルゴリズム(例えば、以下に詳述する計画方法)を使用して、アンテナ素子NWaeをチャネル特性(例えば、通信装置10UEからのチャネル状態情報(CSI)または他の情報)に従ってグループに分割し、アンテナ素子NWaeからのアンテナ素子のグループが送信のために空間ダイバーシティ、シングルユーザ多重化、マルチユーザ多重化、シングルユーザビームフォーミング、またはマルチユーザビームフォーミング(例えば、図5の(a)、(b)、または(c)に示されるように)を適用するようにすることができる。例えば、ネットワークシステム10NWは、少なくとも図1の(a)または(b)に示されるモードに切り替える(または動作させる)ことができる。また、アンテナ素子NWaeのグループの数は、通信装置10UEの数に依存することがある(すなわち、図1に示したグループよりも多くのグループが存在する可能性がある。)。
【0009】
そのため、ネットワークシステム10NWは、多機能MIMOスマートアンテナ装置として見なされ/機能することがあり、これは、通信リンクのチャネル特性ごとに、通信装置10UEに個別の機能を提供するために、アンテナ素子NWaeを継続的に再計画することができる。これにより、柔軟性と効率性を大幅に向上させることができる。
【0010】
図2は、本発明の一実施形態によるネットワークシステム20NWの概略図である。ネットワークシステム20NWは、複数の通信装置(例えば、サーバ20SVR、分散ユニット(DU)20DU、及び無線ユニット(RU)20RU)を含むことができる。ネットワークシステム20NWは、ネットワークシステム10NWを実現するために使用することができる。
【0011】
一実施形態では、本発明の計画方法は、ネットワークシステム20NW(例えば、しかしそれに限定されないが、サーバ20SVR)で使用(または実行)することができ、以下のステップを含むことができる。
【0012】
ステップS200:開始する。
【0013】
ステップS202:通信装置10UEの観測データ20bに従って制約付き因果グラフを生成する。制約付き因果グラフの複数の因果変数と制約付き因果グラフの因果構造は一緒に決定される。その後、ステップS204に進む。
【0014】
ステップS204:制約付き因果グラフに従って有限領域表現(FDR)計画を実行し、アンテナ素子NWaeの構成方法に関する動作データ20cを生成する。動作データ20cに従ってアンテナ素子NWaeを複数のグループに分割する。各グループは、空間ダイバーシティ、シングルユーザ多重化、マルチユーザ多重化、シングルユーザビームフォーミング、及びマルチユーザビームフォーミングのうちの一つで動作する。
【0015】
ステップS206:終了する。
【0016】
サーバ20SVRは、因果推論モジュール210Rと因果計画モジュール220Pを含むことができる。ステップS202で、因果計画モジュール220Pは、分散ユニット20DUから観測データ20bを受信することができる。観測データ20bは、チャネル特性(例えば、通信機器10UEからのCSIあるいは他の情報)に関連することができる。一実施形態では、因果計画モジュール220Pは、観測データ20bを基礎データに変換することができる。一実施形態では、観測データ20bは基礎データとしても機能することができる。
【0017】
ステップS202において、因果計画モジュール220Pは基礎データから因果グラフを導出/取得することができる。因果計画モジュール220Pは、因果グラフを導出/取得するように、最大事後確率(MAP)及び点推定に基づく最適化のための因果モデルを選択することができる。したがって、因果グラフの因果変数(例えば、因果変数の数、因果変数がどの属性を持つかや、因果変数の属性の数)と因果グラフの因果構造(例えば、属性同士がどのように接続しているか)は、一緒に(一度に、または一遍に)決定/発見/作成される。因果変数と因果構造を同時に/並行して決定することで、まず因果変数を決定し、それから因果構造を決定することで生じる問題を回避できる。
【0018】
例えば、図3は、本発明の一実施形態による基礎データ30gと因果グラフCGの一部の概略図である。図3の(a)と(b)は、基礎データ30gと因果グラフCGの二つの可能性を示している。ここで、i,jは正の整数である。図3において、因果グラフCGの因果構造は、因果変数(例えば、cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcv)の関係を表していると考えられる。観測関数f(i-1)、f、f(j-1)、およびfを使用して、基礎データ30gのサブデータw(i-1)、w、w(j-1)、およびwを因果変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvにマッピングし、それぞれ因果変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、cvと基礎データ30gのサブデータw(i-1)、w、w(j-1)、wとの関係を示すことができる。ここでのマッピングは、30gの(全体)基礎データではなく、対応するサブデータ(例えば、サブデータw(i-1)、w、w(j-1)、w)(例えば、図3の枠付き領域)に基づいている。
【0019】
一実施形態では、基礎データ30gのサブデータwを観測関数fと因果グラフCGの因果構造Cに割り当てる事後確率P(f,C|)w)を、因果計画モジュール220Pで最大化して、基礎データ30gのサブデータwに基づいて、対応する因果構造Cと対応する因果変数cvを決定/導出/選択することができる。したがって、因果モデルの推論は、ベイズネットワーク(例えば、因果構造について)と観測関数(例えば、f(i-1)、f、f(j-1)、およびf)を組み合わせて記述することができる。注目すべきは、対応する因果グラフ(例えば、CG)の因果変数(例えば、cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcv)及び対応する因果構造(例えば、C)が一緒に得られ/決定される(すなわち、因果変数(例えば、cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcv)は、因果構造(例えば、C)とともに学習される)ため、因果変数(例えば、cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcv)と因果構造(例えば、C)は相互に作用/影響/制約する可能性があることである。
【0020】
一実施形態では、事後確率P(f,C|w,Int)は、ベイズルールに従ってP(f,C|w,Int)∝P(f,C)P(w|f,C,Int)を満たす可能性があり、ここでfは対応する観測関数を表し、Cは対応する因果構造を表し、wは基礎データ30gの一部(例えば、サブデータ)を表し、Intは介入を表す可能性がある。一実施形態では、事後確率P(f,C|w)は、P(f,C)P(w|f,C)に比例してもよく、あるいは
【数1】
に比例してもよく、ここでst-1は、時刻t-1における(すべての因果変数の)状態を表してもよく、Tは現在の時刻を表してもよく、γは0.5でもよいが、これに限定されない。一実施形態では、
【数2】
であってもよい。一実施形態では、
【数3】
は、
【数4】
であってもよく、あるいは
【数5】
であってもよく、ここで、si,tは、ある時刻tでの因果変数cvの状態を示すことができ、sは、その時刻での状態を示すことができ、Ncvが全ての因果変数(例えば、因果変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvを含む)の総数を示すことができ、Ncvは正の整数であり、
【数6】
は、基礎データ30g内の因果変数cvの状態sと互換性のあるサブデータwのデータ量を示すことができる。一実施形態では、本発明は、データ量
【数7】
を最小化する因果変数cvを選択/見つけることができ、その結果、頻繁に使用される基礎データ30g内のデータ(例えば、サブデータw)は、まれに使用されるものよりも細かい部分に切断することができる。
【0021】
以上のように、ベイズ確率機構は、因果変数の数(例えば、因果変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvを含む)、因果変数の状態、因果変数の因果構造、または因果変数の観測関数(例えば、観測関数f(i-1)、f、f(j-1)、およびfを含む)を組み合わせて、関連する共同推論を導き出し、基礎データ30gを説明/解釈することにより、因果グラフCGを作成することができる。因果グラフCGの(例えば、因果変数cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcvを含む)因果変数(または因果変数の数)と因果構造(例えば、C)は、同時に決定される。したがって、因果計画モジュール220Pは、図3の(a)と(b)を区別することができ、その逆も同様である。
【0022】
図3に示すように、各因果変数(例えば、cv)は観測関数(例えば、f)に対応することができる。一実施形態では、高次元の環境変数(例えば、基礎データ30g)から低次元の状態属性(例えば、因果変数cvの状態の属性)を予測するために、因果意味生成(CSG)モデルを使用して観測関数(例えば、fi)を計算/導出することができる。因果変数(例えば、cv(i-1)、cv、cv(j-1)、およびcv)が手動で定義される場合(例えば、ドメインエキスパートによって(非自動的かつ個別に)定義されたり、ドメインエキスパートによって記述されたルールを持つプログラムを使用して自動的に定義されたりする。)、各因果変数(例えば、cv)は、対応するサブデータ(例えば、サブデータw)(例えば、図3の枠付き領域)に因果変数を基礎付けるための専用のCSG観測関数を持つことができる。つまり、サブデータ(例えば、図3のフレーム化された領域に対応するサブデータw(i-1)、w、w(j-1)、またはw)は、ドメインエキスパートによる特定の因果変数の定義に従って定義/決定される。さらに、CSGモデルは、変動要因を因果変数の原因とみなすことを避け(例えば、cv)、意味的要因を因果変数の原因と正しく判断することができる。一実施形態では、変動要因と意味的要因は、観測データを構成し/属することができる。一実施形態では、CSGモデルは、主に因果不変原理に基づいており、変分ベイズを含む。
【0023】
一実施形態では、観察関数fは、si,t=f(w,t)を満足し得る。一実施形態では、観測関数fは、多変量ガウス分布を使用して実装することができる:例えば、観測関数fは、
【数8】
を満たすことができる。あるいは、観測関数fは、
【数9】
に関係していてもよく、ここで、zは、基礎データ30g内の(因果変数cvに寄与しない)データを示し、
【数10】
及びμは、0ベクトルとして固定された手段を示し、Σは例えばΣ=LLを満たすようにコレスキー分解によってパラメータ化されるかもしれない。行列Lは正の対角を持つ下三角行列であってもよく、例えば、
【数11】
を満たすようにパラメータ化されてもよい。行列
【数12】
及びLzzの各々は、より小さな下三角行列であってもよい。行列
【数13】
は任意の行列であってもよい。行列
【数14】
及びLzzの各々は、(指数写像によって保証される)正の対角成分と(正の対角成分のない)下三角行列の和によってパラメータ化されてもよい。
【0024】
一実施形態では、因果変数(例えば、cv)とサブデータ(例えば、w)との関係は未知であっても、因果変数はCSGモデルを用いてサブデータから予測/推論することができる。例えば、意味的要因と変動要因との間に領域固有の事前確率が存在する場合がある。あるいは、意味的要因と変動要因との間に独立した事前確率を導入して介入を反映させ、分布外一般化の性能を向上させることもできる。あるいは、意味的要因と変動要因との間に事前確率を導入して因果不変の原則に従って介入を反映させ、管理されていないデータを活用することもできる。あるいは、本発明は、尤度を最大化することによってCSGモデルをサブデータに適合させ、変動推論と証拠下界(ELBO)を使用して計算を行い、再パラメータ化トリックを適用した後にモンテカルロを使用して期待値を推定することもできる。
ステップS202において、因果計画モジュール220Pは、代替手段として機能する他の可能な経路/ブランチを見つけることができる。例えば、図3の(a)の因果変数cv(i-1)は、因果変数cvの原因となる可能性があり、因果計画モジュール220Pは、因果変数cv(i-1)に代わる(すなわち、因果変数cvの原因となる)別の因果変数を見つけることもできる。因果グラフ(例えば、CG)の因果変数(例えば、cv(i-1))および因果変数(例えば、cv(i-1))の代替として使用される他の因果変数は、完全な因果グラフを構成する可能性がある。
【0025】
一実施形態では、本発明は、因果グラフの代替を見つけるために、因果はしごレベル3(例えば、構造因果モデル(SCM))を活用することができる。一実施形態では、代替を見つけるために、深層構造化意味モデル(DSSM)を使用することができる。一実施形態では、領域の専門家によって事前に定義されたすべての因果サブグラフ(または因果グラフ)を意味空間(例えば、DSSMモデルによる)にマップすることができ、その後、本発明は、意味空間における距離関数(余弦類似性で測定された関連性によって実装することができる)に従って、問題の因果サブグラフの最近傍(例えば、別の因果サブグラフ)を探索することができる。例えば、図4に示すように、因果サブグラフCG(または因果グラフ)は、例えばグラフ畳み込みネットワーク(GCN)を使用して、2次元行列2Dm(すなわち2次元の特徴)に変換することができる。そして、2次元行列2Dmは、例えば、ハッシュ層、畳み込み層、プーリング層、最大プーリング層、意味層、完全連結層、または平坦化層を使用して、1次元ベクトル1Dv(すなわち、1次元の特徴)に変換することができる。したがって、因果サブグラフCGは、2次元特徴によって表されるGCNの出力から変換された1次元特徴によって表される。その後、1次元ベクトル1Dvに対する最小(またはより小さい)余弦類似性を持つ1次元ベクトルを意味空間から選択/探索して、代替として使用することができる。
【0026】
例えば、図5は、本発明の一実施形態による因果サブグラフMd、SMm、MMm、SMb、MMb、および因果グラフCGvの概略図である。図5において、(a)は空間ダイバーシティに対応する因果サブグラフMdを、(b)はシングルユーザ多重化に対応する因果サブグラフSMmまたはマルチユーザ多重化に対応する因果サブグラフMMmを、(c)はシングルユーザビームフォーミングに対応する因果サブグラフSMbまたはマルチユーザビームフォーミングに対応する因果サブグラフMMbを示している。図5の(d)の因果グラフCGvは、複数の因果サブグラフ(例えば因果サブグラフMd,SMm,MMm,SMb,MMb)から形成される。因果計画モジュール220Pは、因果サブグラフMd、SMm、MMm、SMb、MMbを1次元ベクトルに(1つずつ)変換することができる。1つの実施形態では、因果グラフCGvの1行目の因果サブグラフMdに対応する1次元ベクトルと、因果グラフCGvの1行目の因果サブグラフSMm(またはMMb)に対応する1次元ベクトルとの余弦類似性が小さい場合があるため、因果サブグラフSMm(またはMMb)を因果サブグラフMdの代替として使用することができる。同様に、因果グラフCGvの2行目の因果サブグラフMMmは、因果グラフCGvの2行目の因果サブグラフSMmの代替として使用することができる。因果グラフCGvの3行目の因果サブグラフMMbは、因果グラフCGvの3行目の因果サブグラフMMmの代替として使用することができる。つまり、因果グラフの因果変数(例えば、Md)とその代替(例えば、因果サブグラフMdの代替となる因果サブグラフSMm)は、完全な因果グラフCGvを構成することができる。
【0027】
また、因果サブグラフ(例えば、Md、SMm、MMm、SMb、またはMMb)は、因果グラフにおいて複合因果変数とみなされ/扱われることがあり、複数の正常な因果変数(例えば、図5の(a)、(b)または(c)に示すアンテナユニットNWae、UEaeおよびアンテナポートNWapのいずれか)を含む。アンテナユニットNWae、UEae、またはアンテナポートNWapの数は、設計上の考慮事項によって異なる場合がある。一実施形態では、観測データ20bは、例えば、チャネル特性またはソフトウェア/ハードウェアの実装に従って、各通信装置(例えば、10UE)に関して因果サブグラフ(例えば、因果グラフCGvの1行目の因果サブグラフMd、2行目の因果サブグラフSMm、3行目の因果サブグラフMMm)にマッピングされる場合がある。一実施形態では、因果グラフCGvの異なる行の因果サブグラフは、異なる通信デバイスに対応する。例えば、因果グラフCGvの1行目の因果サブグラフ(例えば、因果サブグラフMd)は、通信デバイス10UEに対応し、因果グラフCGvの2行目の因果サブグラフ(例えば因果サブグラフSMm)は、別の通信デバイス10UEに対応する。
【0028】
ステップS202において、因果計画モジュール220Pは、因果グラフ(例えば、CGやCGv)に制約を追加して、制約付き因果グラフ(例えば、因果グラフCGの因果変数cv(i-1)とcviの因果関係や、因果グラフCGvの複合因果変数MdとSMmの因果関係)の(複合)因果変数間に因果関係があり、また制約付き因果グラフは、ある動作に基づいて、因果変数(例えば、因果変数cv(i-1)や複合因果変数Md)が別の因果変数(例えば、因果変数cvや複合因果変数SMm)につながることを定義するように、因果グラフを制約付き因果グラフに変換することができる。なお、2つの複合因果変数の間には因果関係と動作がある場合があり、複合因果変数の2つの通常の因果変数の間には因果関係はあっても動作はない場合がある。
【0029】
例えば、図6は、本発明の一実施形態による状態u、vおよび制約付き因果グラフCG(Π)の一部の概略図である。図6の(a)および(b)は、制約付き因果グラフCG(Π)の2つの可能性を示している。FDR計画タスクは、Π=(V,A,c,I,G)とすることができ、Vは状態変数の有限集合、Aは動作の有限集合、cは損失関数、Iは初期状態、Gは目標状態を表すことができる。制約付き因果グラフCG(Π)は、状態uが状態vと等しくなく、かつ、「事前条件pre_a(u)と結果eff_a(v)の両方が定義されるようなa∈Aが存在する」か、「結果eff_a(u)と結果eff_a(v)の両方が定義されるようなa∈Aが存在する」ようなa∈Aを満たす動作aが存在する場合、頂点Vと円弧/経路(例えば、経路(u,v))を持つ有向グラフであってもよい。状態uとvの間に経路(u,v)があってもよい。前提条件pre_a(u)は、所与の動作aについて(前提条件としての)頂点uの(前提条件)状態を示すかもしれない。これは、前提条件がどの状況(例えば、状態)下で動作が実行され得るかを定義するかもしれないからである。結果eff_a(v)は、所与の動作aについて(結果としての)頂点vの(結果)状態を示すことができる。動作は状態を変更し、新しい状態を生成する(つまり、特定の結果を生み出す)ことができ、それによって最終的に特定の目標状態を達成する。
【0030】
図2に示すように、因果計画モジュール220PはFDR計画モジュール222FDRを含むことができ、ステップS204において、FDR計画モジュール222FDRは、FDR計画を動的に実行するために制約付き因果グラフ(例えば、CG(Π))を利用することができる。一実施形態では、FDR計画の解決策は、探索空間における初期状態(例えば、初期状態e0)から目標状態までの計画である。一実施形態では、FDR計画の解決策は有向グラフであってもよい。
【0031】
一実施形態では、ステップS204において、アルゴリズムを使用して制約付き因果グラフを構築/作成した後、制約付き因果グラフを計画領域記述ライブラリ(PDDL)のドメインファイル(すなわち、システムの説明)に変換/翻訳して、FDR計画モジュール222FDRの動的因果ベイズ最適化およびFDR計画を実行することができる。つまり、本発明のドメインファイルは、(例えば、専門家によって提供されるように)手動/人工的に定義されなくてもよい。
【0032】
一実施形態では、ドメインファイルは、動作を記述するように構成されてもよく、問題ファイルは、初期状態および目標状態を記述するように構成されてもよい。一実施形態では、ドメインファイルの内容は以下を含むことができる。
precond_1->action_1->effect_1
precond_2->action_2->effect_2
...
precond_n->action_n->effect_n
【0033】
状態precond_1~precond_nは、前提条件として使用されてもよい。action_1からaction_nは動作であってもよい。状態effect_1~effect_nは、結果として使用されてもよい。ここで、nは正の整数である。状態effect_iは、action_iが状態precond_iに作用した後に発生してもよい。一実施形態では、precond_i->action_i->effect_iは、制約付き因果グラフ(例えば、CG(Π))の一部に対応する可能性がある。例えば、図6の(a)に示す制約付き因果グラフCG(Π)では、原因となる状態u(すなわち、因果変数)が前提条件precond_iに対応し、結果となる状態v(すなわち、別の因果変数)が結果effect_iに対応する可能性がある。つまり、制約付き因果グラフは、状態と動作の構造を表す可能性がある。
【0034】
一実施形態では、結果effect_1は状態precond_3の原因であってもよく、結果effect_3は状態precond_7の原因である可能性がある。したがって、FDR計画の解決策は、少なくとも動作action_1、action_3、action_7の(動作)シーケンスを含んでもよいが、例えば、動作action_2、またはaction_4~action_6を含まなくてもよい。
【0035】
ステップS204で、FDR計画モジュール222FDRのプランナがドメインファイルを読み取ると、プランナはドメインファイルに対応する計画ツリー(または制約付き因果グラフ)を生成する可能性がある。例えば、図7は、本発明の一実施形態による計画ツリー70の概略図である。計画ツリー70は有向グラフとして表すことができる。計画ツリー70の経路(すなわち、図7の矢印)は動作であり、計画ツリー70の頂点は状態(すなわち、因果変数)である。各状態は状態変数の集合によって表すことができ、各動作は状態変数の集合をマップする関数によって表すことができる。経路は状態の依存関係を示すことがある。つまり、複合因果変数は計画ツリー(例えば、70)に示されることがある。ただし、通常の因果変数は対応する動作を持たないため、計画ツリー(例えば、70)に示されないことがある。動作act1に対して、初期状態e0を前提条件として使用し、状態e1を結果として使用することができる。動作act11については、動作act1の結果(すなわち、状態e1)を前提条件として使用し、状態e11を結果として使用することができる。計画ツリー70は、探索スペースとして使用することができる。FDR計画モジュール222FDRの解決策は、初期状態e0から開始し目標状態sgで終了する計画ツリー70内の動作の(順序付けられた)シーケンスである場合がある。例えば、動作act1のブランチは現在の(環境の)状態に応じてFDR計画モジュール222FDRの解ではないと判断され、動作act2およびact3のブランチはFDR計画モジュール222FDRの解であると判断される。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0036】
一実施形態では、プランナは、FDR計画モジュール222FDRの解を見つけるために、探索アルゴリズム(最善優先探索、反復深化探索、山登り探索、貪欲最善優先探索など)を使用して探索を実行することができる。
【0037】
一実施形態では、代替(例えば、代替となる因果変数とその経路)は、計画ツリー(例えば、70)の一部を構成/に対応することができ、したがって、初期状態e0と目標状態sgの間に複数の経路/ブランチがある。プランナは、動的因果ベイズ最適化(またはベイズ最適化、または因果ベイズ最適化)に基づいてFDR計画の最良の解決策を見つけることができる。ベイズ最適化を例にとる。ベイズ最適化は、式が未知の関数の極値問題を解くためのブラックボックス最適化アルゴリズムである。例えば、B(cvP)=uef(cvP)であり、ここで、B()は目的関数を表し、uef()は式が未知の関数を表し、cvPは経路/ブランチのすべての(複合)因果変数を表すことができる。つまり、目的関数B()と複合因果変数cvPの間の関係関数uef()の式は未知である。目的関数B()を最大化(または最小化)する複合因果変数cvPは、ベイズ最適化を使用して計算することができ、その手段はFDR計画のどの計画(または行動のシーケンス)が最適かを見つける。一実施形態では、目的関数B()は、複合因果変数cvP(つまり、どの経路/ブランチか)のどの組み合わせがより好まれるかを決定するために、領域専門家によって定義される。
【0038】
関係関数uef()の式は未知であるため、ベイズ最適化は、極値点を見つけるために、部分/有限のサンプリング点を使用して関係関数uef()を大まかにフィットさせ、前のサンプリング点の情報を活用して、次のサンプリング点を決定することができる。例えば、図8は、本発明の一実施形態による一次元問題に対するベイズ最適化の概略図であり、太い実線は目的関数B()の推定関数値を表し、黒い実線P1~P5は発見されたサンプリング点を表し、2本の点線で囲まれた領域は、各点における目的関数B()の変動範囲(平均値を中心とし、標準偏差に比例する)を表し、細い実線は取得関数を表す。ベイズ最適化の考え方は、まず初期の候補解集合(例えば、目的関数と黒点P1に対応する複合因果変数)を生成し、それから、初期の候補解集合内のサンプリング点に基づいて、極値を持つ可能性のある次のサンプリング点(例えば、黒点P2)を探索し、反復が終了するまで、極値を持つ可能性のある次のサンプリング点(例えば、黒点P3-P5)を繰り返し探索し、発見されたすべてのサンプリング点(例えば、黒点P1-P5)を候補解集合に追加するというものである。最後に、問題の解として候補解集合のサンプリング点から(大域的な)極値点を発見する(例えば、目的関数と黒点P5に対応する複合因果変数)。したがって、本発明は、(候補解集合のサンプリング点から)発見された複合因果変数を使用して、どの経路/ブランチが最適解であるかを決定することができる。
【0039】
ベイズ最適化は、発見されたサンプリング点の関数値(例えば、黒点P1に対応する目的関数)に基づいて真の目的関数の平均値と分散を推定し、すでに発見されたサンプリング点(例えば、黒点P1)に従って次のサンプリング点(例えば、黒点P2)を決定する。図8の細い実線で表される取得関数は、平均値と分散に従って構成することができる。つまり、取得関数は平均値と分散の関数であることができる。取得関数の相対的極値点は、目的関数の次のサンプリング点に対応することができる。例えば、図8の長方形のボックスで表される点P5は、取得関数の最大点であり、(対応する複合因果変数に応じて)目的関数の次のサンプリング点(すなわち、黒点P5)に対応することができる。
【0040】
本発明は、目的関数B()と複合因果変数cvPとの間の因果関係、または目的関数B()及び複合因果変数cvPによって作成された因果グラフを見出し、最適化のために因果ベイズ最適化を使用することができる。因果ベイズ最適化の因果固有次元は、複合因果変数cvPの原因である因果変数の数ではなく、目的関数B()の原因/親である複合因果変数cvPの数で与えられるため、最適な意思決定戦略についての推論能力を大幅に向上させることができる。さらに、本発明は、動的因果ベイズ最適化に拡張することができ、これは、因果変数間の因果関係を提供/説明することができ、因果関係は時間の経過とともに進化/変化する可能性があり、したがって、因果グラフ内のすべての因果結果が時間の経過とともに変化するシナリオを容易にする。
【0041】
例えば、図9は、ベイズ最適化、因果ベイズ最適化、および動的因果ベイズ最適化の概略図である。図9において、X~Xは3つの異なる時刻における因果変数を表す。YからYは3つの異なる時刻における別の因果変数を表す。ZからZは3つの異なる時刻における他の因果変数を表す。しかし、本発明はそれに限定されず、より多くの時刻またはより多くの因果変数に拡張することができる。例えば、動的因果ベイズ最適化では、図9に示すように、第1の時刻における因果変数Yは、第1の時刻における因果変数Zの関数である。したがって、(目的関数B()を表現してもよく、または目的関数B()と対応してもよい)因果変数Yの極値は、因果変数Yに直接関係する因果変数Zのみを用いて求めることができ、因果固有次元は1である。同様に、第2の時刻における因果変数Yは、第2の時刻における因果変数Zと第1の時刻における因果変数Yの関数である。したがって、(目的関数B()を表現してもよく、または目的関数B()と対応してもよい)因果変数Yの極値は、因果変数Yに直接関係する因果変数YとZのみを用いて求めることができ、因果固有次元は2である。同様に、第3の時刻における因果変数Yは、第3の時刻における因果変数Zと第2の時刻における因果変数Yの関数である。したがって、(目的関数B()を表現してもよく、または目的関数B()と対応してもよい)因果変数Yの極値は、因果変数Yに直接関係する因果変数YおよびZのみを用いて求めることができ、因果固有次元は2である。つまり、ある時刻において従属変数としての役割を果たす因果変数は、それ以前の時刻における(従属変数または独立変数としての役割を果たす)因果変数の関数であるから、前者の因果変数(すなわち、ある時刻において従属変数としての役割を果たす因果変数)の極値は、前者の因果変数に直接関係する後者の因果変数(すなわち、それ以前の時刻において従属変数または独立変数としての役割を果たす因果変数)のみを用いて求めることができる。
【0042】
ステップS204では、チャネル特性(例えば、CSI)に基づいて因果サブグラフ(すなわち、複合因果変数)を構築/選択することができる。チャネルが高い信頼性を必要とする場合は、空間ダイバーシティが望ましい。チャネルが高いスループットを必要とする場合は、多重化が望ましい。チャネルが高いゲインと長い範囲を必要とする場合は、ビームフォーミングが望ましい。シングルユーザとマルチユーザについては、ソフトウェア/ハードウェアの実装によって決定される。つまり、本発明は、チャネル特性に基づいて、どの(動的)動作(例えば、因果サブグラフMd,SMm,MMm,SMb,MMbに対応する動作)を実行すべきかを決定し、チャネル特性に応じて、因果サブグラフ(例えば、Md、SMm、MMm、SMb、またはMMb)が必要とする動作データ20cを、(動的)動作によって分散ユニット20DUに出力することができる。分散ユニット20DUは、動作データ20cを無線ユニット20RUに送信することができる。
【0043】
一実施形態では、動作データ20cは、FDR計画の解決策を含んでもよく、または関連してもよい。例えば、動作データ20cは、FDR計画の解決策のすべての動作を含むことができる。一実施形態では、動作データ20cは、ネットワークシステム10NWのアンテナ素子NWaeの構成に関連することができる。本発明は、因果サブグラフを構築する(または計画ツリーを拡張する)ために、幅優先トラバーサルまたは奥行き優先トラバーサルを使用することができる。本発明は、さらに因果サブグラフのノードをトラバーサルして、全体の構造的関係を決定することができ、それに応じてアンテナ素子NWaeを構成/配置することができる。動作データ20cは、因果サブグラフ(例えば、Md、SMm、MMm、SMb、またはMMb)に対して幅優先トラバーサルまたは奥行き優先トラバーサルを実行することで取得/発見できる。例えば、あるシナリオでは、因果計画モジュール220Pは、図5に示す因果グラフCGvの左端の(垂直の)ブランチ/列の因果サブグラフMd、SMm、及びMMmを、図1に示す3つの通信デバイス10UEに計画し/割り当て、動作データ20cは、アンテナ素子NWaeの3つの異なるグループ(それぞれ3つの通信装置10UEに対応する)に、それぞれ空間ダイバーシティ、シングルユーザ多重化、マルチユーザ多重化を採用させることができる。
【0044】
ステップS204において、因果推論モジュール210Rは、因果計画モジュール220Pに初期状態e0を提供することができる。因果計画モジュール220Pは、初期状態e0を出発点として使用し、制約付き因果グラフに従ってFDR計画を実行することができる。
【0045】
図2に示すように、因果推論モジュール210Rは、構造因果モデル(SCM)モジュール212SCMまたはベイズネットワークモジュール212Bを含むことができる。ステップS204において、因果推論モジュール210Rは、SCMモジュール212SCMまたはベイズネットワークモジュール212Bに(一般的な)因果グラフを入力して、初期状態e0を出力することができる。因果推論モジュール210Rは、構造因果モデルまたはベイズネットワークに従って(一般的な)因果グラフを検証または処理した後、現在の状態を予測/推論し、現在の状態を因果計画モジュール220Pの初期状態e0として使用することができる。初期状態e0を決定する方法については、本発明は因果グラフを制約せずに因果推論を使用することができる。本発明は、構造化因果モデルまたはベイズネットワークを使用して、一般的な因果グラフを操作し、次に現在の状態を予測(すなわち推論)することができ、それが因果計画の初期状態に供給される。一般的な因果グラフは、制約のない因果グラフであってもよい。
【0046】
一実施形態では、因果推論モジュール210Rは、SCMモジュール212SCMとベイズネットワークモジュール212Bのうちの1つだけを含んでも/使用しても/構成してもよい。SCMモジュール212SCMとベイズネットワークモジュール212Bのうちのもう1つは、因果推論モジュール210Rから取り外しても、または存在しなくてもよい。
【0047】
一実施形態では、因果グラフCGと同様に、因果推論モジュール210Rは、最大事後確率推定と点推定に基づいて、通信装置10UEからの情報または環境データ(例えば、初期通信リンクのチャネル特性、通信装置10UEまたはアンテナユニットUEaeの数、位置、または角度、アンテナ素子NWaeの数、アンテナ素子NWaeを分割できるグループの(最大)数、グループ内のアンテナ素子NWaeの(最大)数、またはグループ内のアンテナ素子NWaeの数が奇数または偶数であり得るかどうか)に関連するものから(一般的な)因果グラフを取得/導出することができる。
【0048】
以上のように、サーバ20SVRのソフトウェアのアルゴリズムは、因果推論と因果計画に分けられる。因果推論では、初期状態は高次元の環境変数から推測または演繹される。因果計画では、現在の状態を考慮するように、初期状態に従って計画が行われることがある。
【0049】
図10は、本発明の一実施形態によるネットワークシステム90NWの一部の概略図である。ネットワークシステム90NWは、サーバ90SVRと分散ユニット90DUを含むことができる。ネットワークシステム90NWは、ネットワークシステム10NWまたは20NWを実装するために使用できる。
【0050】
分散ユニット90DUは、アプリケーションモジュール982pおよびシステムモジュール982sを含むことができる。アプリケーションモジュール982pは、イベントの信号をシステムモジュール982sに出力し、システムモジュール982sからコマンドを受信することができる。システムモジュール982sは、観測データ20bをサーバ90SVRに出力し、動作データ20cをサーバ90SVRから受信することができる。一実施形態では、分散ユニット90DUは、無線ユニット、あるいは分散ユニットと無線ユニットの組み合わせによって置き換えられることがある。
【0051】
サーバ90SVRは、コントローラ922c、スケジューラ922s、プランナ922p、およびポリシーメーカーモジュール922pmを含むことができる。コントローラ922cは、受信した観測データ20bを拡張マークアップ言語(XML)形式に変換し、それに応じてXML形式の実行状況をスケジューラ922sに出力することができる。スケジューラ922sは、可変長のXML形式を固定長の形式に変換し、それに応じて反応性の信号(例えば、基礎データ30g)をプランナ922pに出力することができる。
【0052】
プランナ922pは、初期状態e0、(例えば、目標状態sgに対応する)目的の信号、スケジューラ922sからの反応性の信号、及びポリシーメーカーモジュール922pmからのシステムの記述に応じて、(どの動作についての情報かを提供するために)それが何であるかについてのスケジュールされていない計画をスケジューラ922sに出力してもよい。それに応じて、スケジューラ922sは、(どのように、いつ動作についての情報を提供するかを指示するために)それがいつ、どのようなものであるかについてのスケジュールされた計画をコントローラ922cに出力することができる。
【0053】
一実施形態では、アンテナユニットNWaeがステップS204で構成または配置された後、プランナ922pは反応性の信号に応じて再計画するかどうかを決定することができる。プランナ922pが再計画が必要であると判定した場合(例えば、反応性の信号が目的の信号から逸脱した場合)、サーバ90SVRは(調整された)動作データ20cを分散ユニット90DUに出力して、アンテナユニットNWaeを再配置することができる。目的は、ユーザによって決定される場合もあれば、アプリケーションシナリオに関連する場合もある。
【0054】
本発明の計画方法は、ネットワークシステム10NW(またはサーバ20SVR)の処理回路で実行されるプログラムコードにコンパイルされ、ネットワークシステム10NW(またはサーバ20SVR)の記憶回路に記憶される場合もある。一実施形態では、記憶回路は、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、またはハードディスクであってもよいが、これらに限定されない。一実施形態では、処理回路は、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、または特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよいが、これらに限定されない。一実施形態では、サーバ20SVRは、Oracleアクセスマネージャ(OAM)サーバであってもよいが、これに限定されない。
【0055】
一実施形態では、無線ユニットと分散ユニットとの間のインタフェースは、eCPRIインタフェースであってもよいが、これに限定されない。例えば、CPRIインタフェースを採用することもできる。
【0056】
一実施形態では、通信装置120は、ユーザ機器(UE)、端末機器、移動局(MS)、固定または移動機器などのクライアント側であってもよい。
【0057】
一実施形態では、前記複数の通信装置の前記観測データに応じて前記制約付き因果グラフを生成する前記ステップは、前記観測データを基礎データに変換するステップと、最大事後確率推定及び点推定に基づいて、前記基礎データから前記制約付き因果グラフを生成するステップと、を含む。最大事後確率推定と点推定に基づいて、基礎データから制約付き因果グラフを生成するステップは、複数の観測関数を使用して、基礎データ内の複数のサブデータを制約付き因果グラフの複数の因果変数にマッピングすることを含む。複数の観測関数は、因果意味生成モデルに基づいて得られる。
【0058】
一実施形態では、前記制約付き因果グラフを用いて前記有限領域表現計画を実行する前記ステップは、制約付き因果グラフを計画領域記述ライブラリのドメインファイルに変換して有限領域表現計画を実行するステップを含む。制約付き因果グラフにおける原因は、ドメインファイルにおける動作の前提条件に対応し、原因によって引き起こされる結果は、ドメインファイルにおける動作の結果に対応する。
【0059】
一実施形態では、前記制約付き因果グラフを用いて前記有限領域表現計画を実行する前記ステップは、初期状態と制約付き因果グラフを用いて有限領域表現計画を実行するステップを含む。初期状態は、構造因果モデルまたはベイズネットワークに従う別の因果グラフを用いて生成される。
【0060】
要約すると、ネットワークシステムは、アルゴリズムを使用して、アンテナ素子のグループ化を最適化するために通信リンクのチャネル特性に応じてアンテナ素子を継続的に再計画し、1つのアンテナ素子のグループの送信について、送信を最適化するために、空間ダイバーシティ、シングルユーザ多重化、マルチユーザ多重化、シングルユーザビームフォーミング、及びマルチユーザビームフォーミングのうちの一つを採用して、柔軟性と効率性を向上させることができる。
【0061】
当業者は、発明の教示を保持しながら、装置及び方法の多数の修正及び変更が行われ得ることを容易に観察するであろう。従って、上記の開示は、添付された特許請求の範囲の内容及び範囲によってのみ限定されるものとして解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10