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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】関節窩インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/40 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
A61F2/40
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2023104165
(22)【出願日】2023-06-26
(62)【分割の表示】P 2021563251の分割
【原出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2023116820
(43)【公開日】2023-08-22
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】62/838,633
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516390026
【氏名又は名称】エンコア メディカル エル ピー
【氏名又は名称原語表記】Encore Medical, L.P.
【住所又は居所原語表記】9800 Metric Blvd Austin Texas 78758 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アクセルソン スチュアート エル
(72)【発明者】
【氏名】ハマン キャサリン アン
(72)【発明者】
【氏名】アクレー キャサリン ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】トリブル グラント リーダー
(72)【発明者】
【氏名】スリラム シュレイアス
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05702447(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0150065(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0274359(US,A1)
【文献】特表2014-511226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/30-2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節窩インプラントであって、
貫通した中央開口を有し、かつ、プレートに連結され、前記プレートから延びるボスを含む本体であって、前記ボスは複数のスロットを含む、本体と、
複数のフィンであって、前記複数のフィンの各々は、前記本体の前記ボスの前記複数のスロットの対応する1つと連結され、前記複数のフィンの各々が第1の略内側位置から第2の略外側位置向かって移動するように構成されている、複数のフィンと、
内側ねじ切りボアと複数の可撓性アームとを含むコレットであって、前記コレットは、前記複数の可撓性アームの各々が前記本体の前記ボスの前記複数のスロットの各々の1つに略隣接するように、前記本体の前記中央開口内に少なくとも部分的に収納されるように構成された、コレットと、
外側ねじ切り部分および先端部分を含むプラグであって、前記プラグの前記外側ねじ切り部分は、前記コレットの前記内側ねじ切りボアとねじ係合するように構成されており、前記プラグの前記先端部分が、前記コレットの前記複数の可撓性アームと係合して、前記複数の可撓性アームを移動させ、かつ、前記複数のフィンを前記第1の略内側位置から前記第2の略外側位置に向かって移動させるように構成されて、それによって、前記本体の患者の肩甲骨への固定を補助する、プラグと、
を備える関節窩インプラント。
【請求項2】
前記プレートに連結された関節窩部品をさらに含む、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項3】
前記プレートに連結されたグレノスフィアをさらに含む、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項4】
前記複数の可撓性アームの各々が、前記プラグの前記先端部分と係合するように構成された内向きテーパー面を有する、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項5】
前記複数のフィンの各々が、内側部分と、中間部分と、外側部分とを含み、前記複数のフィンの各々の前記内側部分が、前記コレットの前記複数の可撓性アームと前記ボスの内面との間に配置され、前記複数のフィンの各々の前記中間部分は、前記ボスの前記複数のスロットの対応する1つの中に少なくとも部分的に配置される、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項6】
前記複数のフィンの前記内側部分が湾曲形状を有する、請求項5に記載の関節窩インプラント。
【請求項7】
前記複数のフィンの各々の前記外側部分が湾曲形状を有する、請求項5に記載の関節窩インプラント。
【請求項8】
前記複数のフィンの各々の前記外側部分がくさび形を有する、請求項5に記載の関節窩インプラント。
【請求項9】
前記プラグは、前記プラグを回転させるためにツールによって係合されるように構成されたソケットを含む、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項10】
前記複数のフィンが4つのフィンを含み、前記コレットの前記複数の可撓性アームが4つの可撓性アームを含み、前記ボスの前記複数のスロットが4つのスロットを含む、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項11】
前記複数のフィンの各々が、前記第1の略内側位置と前記第2の略外側位置との間を所定の距離だけ移動するように構成される、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項12】
前記所定の距離が約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルの間である、請求項11に記載の関節窩インプラント。
【請求項13】
前記プレートが、前記プレートの上面から反対側の下面まで延びる複数の開口を含み、前記複数の開口が前記中央開口の周りに同心円状に配置されている、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項14】
複数の留め具をさらに含み、前記複数の留め具の各々が、前記プレートの前記複数の開口の対応する1つに収納されるように構成される、請求項13に記載の関節窩インプラント。
【請求項15】
前記複数の留め具が1つ以上の固定ねじを含む、請求項14に記載の関節窩インプラント。
【請求項16】
前記複数の留め具の各々が、ねじ切り部分と、溝を有するねじなし部分とを含む、請求項14に記載の関節窩インプラント。
【請求項17】
前記プレートおよび前記ボスが略円筒形である、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項18】
前記プレートが第1の直径を有し、前記ボスが前記プレートの前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する、請求項17に記載の関節窩インプラント。
【請求項19】
前記本体の前記中央開口は、前記プレートの上面から延びる皿穴を含む、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項20】
前記コレットの第1の部分が前記プレートの上面から突出し、前記コレットの第2の部分が、前記複数のフィンが前記第1の略内側位置にあるときに前記中央開口内に配置される、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項21】
前記本体が、前記患者の前記肩甲骨の関節窩腔に収納されるように構成される、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項22】
前記プラグの前記先端部分がテーパー状になっている、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項23】
前記ボスおよび前記本体の前記プレートが、単体または一体である、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項24】
前記ボスが圧入接続を介して前記プレートに連結されている、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項25】
前記ボスは、前記プレートと係合して、前記ボスが前記プレートに連結するのを補助するように構成された肩部を含む、請求項24に記載の関節窩インプラント。
【請求項26】
前記ボスの一部が前記プレートの一部に溶接されている、請求項25に記載の関節窩インプラント。
【請求項27】
前記プラグは、前記先端部分から延びるねじ切りシャフト部分を含み、前記ねじ切りシャフト部分は、前記患者の前記肩甲骨の一部にねじ係合して、前記関節窩インプラントの前記患者の前記肩甲骨への固定を補助ように構成される、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項28】
前記複数のスロットの各々が、前記ボスの周りに円周方向に配置されている、請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項29】
前記複数のスロットの各々が軸方向に延びる、請求項28に記載の関節窩インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、関節窩インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2019年4月25日に出願された米国仮特許出願第62/838,633号の利益および優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
<背景技術>
肩関節置換手術(関節形成手術)は、多くの場合、肩関節の摩耗や損傷(例えば、関節炎および/または怪我)による痛みに苦しむ患者の治療に使用される。肩は、上腕骨(上腕の骨)、肩甲骨(肩の骨)、鎖骨(鎖骨)の3つの骨で構成される。上腕骨の一方の端にあるボールまたはヘッドが関節窩内に収まり、回転可能となる。肩関節置換手術では、損傷した部分を取り除き、プロテーゼと交換する。米国では毎年何万もの肩関節形成手術が行われているため、改良された関節窩インプラントの必要性が依然として存在する。本開示は、これらおよび他の問題および必要性を解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0004】
本開示のいくつかの実装によれば、関節窩インプラントは、本体と、複数のフィンと、コレットと、プラグとを含む。本体は、貫通した中央開口を有し、プレートに連結され、かつ、そのプレートから延びるボスを含む。ボスは複数のスロットを含む。複数のフィンの各々は、本体のボスの複数のスロットの対応する1つと連結されて、複数のフィンの各々は、第1の略内側位置から第2の略外側位置に向かって移動するように構成される。コレットは、内側ねじ切りボアと複数の可撓性アームとを含む。コレットは、複数の可撓性アームの各々が本体のボスの複数のスロットの対応する1つに略隣接するように、本体の中央開口内に少なくとも部分的に収納されるように構成される。プラグには、外側ねじ切り部分と先端部分とを含む。プラグの外側ねじ切り部分は、コレットの内側ねじ切りボアとねじ係合するように構成されており、プラグの先端部分が、コレットの複数の可撓性アームと係合して、複数の可撓性アームを移動させ、かつ、複数のフィンを第1の略内側位置から第2の略外側位置に向かって移動させるように構成されて、それによって、本体の患者の肩甲骨への固定を補助する。
【0005】
本開示のいくつかの実装によれば、関節窩インプラントは、本体と、コレットと、プラグと、複数のフィンとを含む。本体は、貫通した中央開口を有する。コレットは、本体の中央開口内に収納されるように構成され、コレットは、内側ねじ切りボアと複数の可撓性アームとを有する。プラグは、コレットの内側ねじ切りボアにねじねじ係合するように構成されたねじ切り部分を含み、プラグは、プラグを回転させるようにツールによって係合され、プラグが第1の軸方向に移動して、複数の可撓性アームを中央開口の中心軸に対して半径方向外側に撓ませるように構成されている。複数のフィンは、複数の可撓性アームの撓みに応答して第1の位置から第2の略外側位置に向かって半径方向外側に移動して、本体の患者の肩甲骨への固定を補助するように構成されている。
【0006】
本開示のいくつかの実装によれば、患者の骨に関節窩インプラントを設置する方法は、骨に形成された空洞内に本体、コレット、および複数のフィンを配置することを含み、コレットは、内側ねじ切りボアを含む。その方法は、プラグを第1の回転方向に回転させることによって、プラグをコレットの内側ねじ切りボア内にねじ込むことにより、プラグを第1の軸方向に移動させることも含む。その方法は、プラグのテーパー状の先端が複数のフィンと係合するようにプラグをコレットの内側ねじ切りボアにねじ込み続けることにより、複数のフィンを第1の略内側位置から第2の略外側位置に向かって半径方向外向きに移動させて、関節窩インプラントを患者の骨に固定するのを補助すること、をさらに含む。
【0007】
本開示のいくつかの実装によれば、関節窩インプラントは、本体と、プラグとを含む。本体は、プレートに連結されて、プレートから延びるボスと、内側ねじ切りボアとを有する。ボスは、第1の位置から第2の位置に向かって移動するように構成された複数の可撓性部分を含む。プラグは、先端部分と外側ねじ切り部分とを含む。プラグの外側ねじ切り部分は、本体の内側ねじ切りボアにねじ係合するように構成されて、プラグの回転によりプラグが本体に対して第1の軸方向に移動し、かつ、先端部分がボスの複数の可撓性部分に係合することより、複数の拡張可能部分が第1の位置から第2の位置に向かって移動し、関節窩インプラントの患者の骨への固定を補助する。
【0008】
上記の要約は、本開示の各実装またはすべての態様を表現することを意図するものではない。本開示の追加の特徴および利点は、以下に記載される詳細な説明および図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩インプラントの第1の斜視組み立て図である。
図1B】は、本開示のいくつかの実装による、図1Aの関節窩インプラントの第2の斜視組み立て図である。
図2】は、本開示のいくつかの実装による、図1Aの関節窩インプラントの分解図である。
図3A】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩インプラントの本体の第1の斜視図である。
図3B】は、本開示のいくつかの実装による、図1A~2の関節窩インプラントの本体の第2の斜視図である。
図4A】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩インプラントのコレットの第1の斜視図である。
図4B】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩インプラントのコレットの第2の斜視図である。
図5A】は、本開示のいくつかの実装による、図1Aの関節窩インプラントの複数のフィンの1つの第1の斜視図である。
図5B】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩インプラントの複数のフィンの1つの第2の斜視図である。
図6A】は、本開示のいくつかの実装による、代替フィンの第1の斜視図である。
図6B】は、本開示のいくつかの実装による、代替フィンの第2の斜視図である。
図7A】は、本開示のいくつかの実装による、図1A~2の関節窩インプラントのプラグの第1の斜視図である。
図7B】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩インプラントのプラグの第2の斜視図である。
図7C】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩インプラントの代替プラグの斜視図である。
図8】は、本開示のいくつかの実装による、図1A~2の関節窩インプラントの留め具の斜視図である。
図9A】は、本開示のいくつかの実装による、第1の軸方向位置にプラグがあり、第1の略内側位置に複数のフィンがある、図1Aの関節窩インプラントの部分斜視図である。
図9B】は、本開示のいくつかの実装による、プラグが第1の軸方向位置にあり、複数のフィンが第1の略内側位置にある、図1Aの関節窩インプラントの部分断面図である。
図10A】は、本開示のいくつかの実装による、プラグが第2の軸方向位置にある図1Aの関節窩インプラントの部分斜視図である。
図10B】は、本開示のいくつかの実装による、プラグが第2の軸方向位置にある図1Aの関節窩インプラントの部分断面図である。
図11A】は、本開示のいくつかの実装による、プラグが第3の軸方向位置にあり、複数のフィンが第2の略外側位置にある、図1Aの関節窩インプラントの部分斜視図である。
図11B】は、本開示のいくつかの実装による、プラグが第3の軸方向位置にあり、複数のフィンが第2の略外側位置にある、図1Aの関節窩インプラントの部分断面図である。
図12】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩部品に連結された図1Aの関節窩インプラントの斜視図である。
図13】は、本開示のいくつかの実装による、図12Aの関節窩インプラントおよび関節窩部品の分解図である。
図14】は、本開示のいくつかの実装による、グレノスフィアに連結された図1Aの関節窩インプラントの斜視図である。
図15】は、本開示のいくつかの実装による、図14の関節窩インプラントおよびグレノスフィアの部分分解図である。
図16】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩インプラントの斜視図である。
図17A】は、本開示のいくつかの実装による、図16の関節窩インプラントの第1の分解斜視図である。
図17B】は、本開示のいくつかの実装による、図16の関節窩インプラントの第2の分解斜視図である。
図18A】は、本開示のいくつかの実装による、第1の略内側位置に複数の可撓性部分がある、図16の関節窩インプラントの第1の断面図である。
図18B】は、本開示のいくつかの実装による、複数の可撓性部分が図18Aの第1の略内側位置から離れて移動した、図16の関節窩インプラントの第2の断面図である。
図18C】は、本開示のいくつかの実装による、複数の可撓性部分が第2の略外側位置にある、図16の関節窩インプラントの第3の断面図である。
図19】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩部品に連結された図16の関節窩インプラントの斜視図である。
図20】は、本開示のいくつかの実装による、グレノスフィアに連結された図16の関節窩インプラントの斜視図である。
図21】は、本開示のいくつかの実装による、関節窩インプラントを設置する方法のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、様々な変更および代替形態が可能であるが、特定の実装およびそれらの実施形態を例示として図面に示し、本明細書で詳細に説明する。しかしながら、本開示は、開示された特定の形式に限定されることを意図するものではなく、逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって規定されるように本開示の趣旨および範囲内にあるすべての変更、均等物、および代替物を網羅することを意図していることを理解されたい。
【0011】
多くの関節窩(肩ソケット)インプラントは、完全にポリエチレンから作成されており、骨セメント(例えば、ポリメタクリル酸メチル)、および/または、ねじを使用して皮質骨に固定される。関節窩インプラントの中には、金属製のベースプレートにポリエチレン製の挿入物が付いているものがあり、残存している軟骨を除去して骨の表面を平坦にした関節窩の表面に載せるように形成されている。これらのインプラントは、人工関節窩インプラントの背面にあるキールまたは複数の細長いペグを使用して、人工関節窩インプラントを関節窩円蓋内に固定する。
【0012】
キール型やペグ型の関節窩インプラントにはいくつかの不利点があり、移植後の寿命が短く、患者の年齢が要因となる場合に使用できる適応症の数が少なくなる。例えば、関節窩インプラントは、骨内の不十分な固定により緩む場合があり、また、接着、摩耗、および剪断応力のためにポリエチレンが摩耗し、かつ、疲労破壊する傾向がある。したがって、患者の肩甲骨にしっかりと埋め込まれる改良された関節窩インプラントの必要性が依然として存在する。
【0013】
概して図1A~2を参照すると、関節窩インプラント100が示されている。図1Aおよび1Bは、関節窩インプラント100の組み立て図である。図2は、関節窩インプラント100の分解図である。一般に、関節窩インプラント100の少なくとも一部は、患者の肩甲骨の一部(例えば、肩甲骨の関節窩腔)に収納され、固定される。
【0014】
関節窩インプラント100は、本体110と、コレット130と、複数のフィン150A~150Dと、プラグ160と、複数の留め具170A~170Dとを含む。コレット130の少なくとも一部は、本体110の少なくとも一部に収納される。同様に、プラグ160の少なくとも一部は、コレット130の少なくとも一部に収納される。本明細書でさらに詳細に説明するように、複数のフィン150A~150Dは、患者の肩甲骨の一部と係合するために本体110に対して第1の略内側位置から第2の略外側位置に向かって移動可能であり、それにより、関節窩インプラント100の肩甲骨への固定を補助し、かつ/または、関節窩インプラント100のオッセオインテグレーションを促進する。
【0015】
図3Aおよび3Bを参照すると、本体110は、貫通した中央開口112と、プレート114と、ボス120とを含む。本体110とボス120との双方は、金属材料(例えば、ステンレス鋼、チタン、タンタル、またはそれらの合金)を含む。中央開口112は、プレート114と本体110のボス120との双方を通って延びる。本明細書でさらに詳細に説明するように、関節窩インプラント100が組み立てられた構成にあるとき、コレット130の少なくとも一部は、中央開口112の少なくとも一部に収納される。いくつかの実装では、中央開口112は、プレート114の上面116(図3A)からプレート114の下面118(図3B)に向かって延びる皿穴またはカウンタボアを含む。
【0016】
プレート114は、略円筒形またはディスク形状を有し、上面116(図3A)と、下面118(図3B)とを含む。また、プレート114は、上面116(図3A)から下面118(図3B)に延びる複数の開口115A~115Dを含む。示されるように、複数の開口115A~115Dは、本体110の中央開口112の周りに同心円状に配置されている。複数の開口115A~115Dの各々は、任意でねじ切りされ、関節窩インプラント100の患者の肩甲骨への固定を補助ために、留め具170A~170D(図1A~2)の少なくとも一部をその中に収納されるような略サイズおよび形状である。
【0017】
ボス120は、概して円筒形であり、複数のスロット122A~122Dを含む。複数のスロット122A~122Dの各々は、概して長方形の形状を有する。複数のスロット122A~122Dは、ボス120の周りに円周方向に配置され、ボス120の外面とボス120の内面との間で軸方向に延びる。本明細書でさらに詳細に説明するように、スロット122A~122Dの各々は、フィン150A~150Dがボス120に対して第1の略内側位置と第2の略外側位置との間で移動可能となるように、複数のフィン150A~150D(図1A~2)の対応する1つと連結される。
【0018】
ボス120は、その周囲に延びる肩部128を含む。プレート114も対向する肩部119(図3B)を含む。ボス120の肩部128は、プレート114の対向する肩部119と係合して、プレート114とボス120との間に圧入接続を形成する。複数のフィン150A~150Dは、ボス120とプレート114との間に圧入接続を形成する前に、ボス120内の複数のスロット122A~122Dの中の対応するスロットに挿入される。したがって、組み立てられた構成では、本体110のボス120は、概して、プレート114の下面118(図3B)から延びる。
【0019】
いくつかの実装では、プレート114と本体110のボス120との間の圧入接続に加えて、ボス120の少なくとも一部がプレート114の少なくとも一部に溶接されて、ボス120のプレート114への固定をさらに補助する。例えば、溶接シームは、ボス120の肩部128とプレート114の対向する肩部119との間の圧入接続に略隣接して形成され、プレート114のボス120への固定を補助し得る。溶接シームは、連続的であるか、または複数の溶接シームを含むことができ、複数の溶接シームの各々は、一般に、プレート114の複数の開口115A~115Dの対の間で延びる(図3A)。
【0020】
プレート114およびボス120は、関節窩インプラント100が組み立てられた構成にあるときに共に連結される、分離した別個の部品として図3A~3Bに示されているが、いくつかの実装では、プレート114および本体110のボス120は、単一および/または一体である。本明細書でさらに詳細に説明するように、そのような実装では、複数のフィン150A~150Dは、2つ以上の分離した部品を含むことができ、その結果、複数のフィン150A~150Dは、ボス120の複数のスロット122A~122Dのうちの対応するものに設置され得る。
【0021】
本体110のボス120は、患者の肩甲骨の一部(例えば、関節窩)に少なくとも部分的に収納され、プレート114の下面118(図3B)は、患者の肩甲骨の表面に係合または接触して、関節窩インプラント100の肩甲骨への固定を補助する。この配置を容易にするために、プレート114は、ボス120の直径よりも大きい直径(例えば、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きいなど)を有することで、関節窩インプラント100の患者の肩甲骨への固定を補助し、かつ、関節窩インプラント100の全体が患者の肩甲骨の空洞内に落下することを防止する。
【0022】
図4Aおよび4Bを参照すると、コレット130は、円筒形部分132と、内側ねじ切りボア138と、複数の可撓性アーム140A~140Dとを含む。円筒形部分132は、上面134(図4A)と、下面136(図4B)とを含む。内側ねじ切りボア138は、円筒形部分132の上面134(図4A)および下面136(図4B)から延びる。本明細書でさらに詳細に論じられるように、内側ねじ切りボア138は、その中にプラグ160(図1A~2)の少なくとも一部を収納し、プラグ160にねじ係合する。円筒形部分132は、(例えば、圧入接続、モールス圧入接続、摩擦嵌め接続、またはそれらの任意の組み合わせ)によって)関節窩インプラント100が組み立てられた構成にあるとき、本体110の中央開口112(図3A~3B)内へのコレット130の固定を補助する内向きテーパー部分133を含む。いくつかの実装では、円筒形部分132の全体が、上面134(図4A)から下面136(図4B)に向かって内向きにテーパー状になっており、コレット130の本体110の中央開口112(図3Aおよび3B)内への固定を補助している。
【0023】
複数の可撓性アーム140A~140Dは、円筒形部分132の下面136(図4B)から延びる。複数の可撓性アーム140A~140Dの各々は、内向きテーパー内面と、反対側外面とを含む。例えば、第1の可撓性アーム140Aは、テ内向きーパー内面142Aと、外側湾曲部分144Aと、外側平坦部分146Aとを含み、第3の可撓性アーム144Cは、内向きテーパー内面142Cと、外側湾曲部分144Cと、外側平坦部分146Cとを含む。外側湾曲部分144Aは、可撓性アーム140Aが、円筒形部分132の内側ねじ切りボア138を通る中心軸に対して半径方向外向きに移動または可撓性となることを補助する。本明細書でさらに詳細に説明するように、可撓性アーム140Aの撓みの動きによって、外側平坦部分146Aの少なくとも一部が複数のフィン150A~150Dの対応する1つの少なくとも一部と接触し、それにより、フィンを第1の略内側位置から第2の略外側位置に向かって移動させる。
【0024】
複数のフィン150A~150D(図1A~2)の各々は、内側部分と、中間部分と、外側部分とを含む。図5Aおよび5Bを参照すると、複数のフィン150A~150D(図1A~2)のうちの第1のフィン150Aは、内側部分152Aと、中間部分154A、外側部分156Aとを含む。フィン150B~150D(図1A~2)の各々の内側部分、中間部分、および外側部分は、第1のフィン150Aの内側部分152A、中間部分154A、および外側部分156Aと同一か、または類似している(図5Aおよび5B)。
【0025】
関節窩インプラント100(図1A~1B)が組み立てられた構成では、第1のフィン150Aの内側部分152Aは、コレット130(図4A~4B)の複数の可撓性アーム140A~140Dのうちの対応する1つと、本体110のボス120の内面(図3A~3B)との間に配置される。内側部分152Aは、ボス120の内面の曲率に対応する略湾曲した形状を有することにより、(例えば、第1のフィン150Aが本明細書に記載の第2の略外側位置にある場合)内側部分152Aの表面は、ボス120の内面と略同一面になり得る。組み立てられた構成では、第1のフィン150Aの中間部分154Aは、本体110のボス120の複数のスロット122A~122D(図3A~3B)の対応する1つの中に配置され、一方では、フィン150Aの外側部分156Aは、本体110のボス120の外面から突出している。
【0026】
外側部分156Aは、ボス120の外面の曲率に対応する略湾曲形状を有することで、(例えば、第1のフィン150Aが本明細書に記載されている第1の略内側位置にある場合)外側部分156Aの表面は、ボス120の外面と略同一面になり得る。内側部分152Aと外側部分156Aとの間を延びる中間部分154Aの長さによって、コレット130の複数の可撓性アーム140A~140D(図4A~4B)の移動に応答して、ボス120(図3A~3B)のスロット122A~122Dの対応する1つに対して第1のフィン150Aの移動が可能となる。
【0027】
関節窩インプラント100が組み立てられた構成(図1A~1B)では、複数のフィン150A~150Dをボス120のスロット122A~122Dと連結されるように配置するために、ボス120が(例えば、圧入接続および/または溶接を介して)プレート114に連結されて本体110を形成する前に、複数のフィン150A~150Dの各々がスロット122A~122Dのそれぞれのスロット内にスライドする。
【0028】
しかしながら、上記のように、いくつかの実装では、本体110のプレート114およびボス120(図3A~3B)は、相互に圧入および/または溶接される分離した別個の部品ではなく、単一および/または一体である。そのような実装では、フィン150A~150Dの各々の内側部分も外側部分もスロット122A~122Dの間に収められないので、複数のフィン150A~150Dをスロット122A~122Dに取り付けることができない。
【0029】
したがって、本体110が単一および/または一体であるそのような実装にあっては、(i)各フィンの外側部分は、(単一および/または一体である)中間部分と内側部分から分離および独立させることができ、(ii)各フィンの内側部分は、フィンの取り付けを可能にするために、(単一および/または一体である)中間部分と外側部分から分離および独立させることができ、または(iii)内側部分、中間部分、および外側部分はすべて別々に独立している。そのような実装では、内側部分、中間部分、外側部分、またはそれらの任意の組み合わせは、例えば、溶接接続(例えば、1つ以上の仮付け溶接)、圧入接続、ピン接続、接着剤接続、またはそれらの任意の組み合わせを介して相互に連結することができる。例えば、内側部分および中間部分が単一および/または一体である場合、内側部分は、スロット122A~122Dの1つを通って突出した状態で中間部分はボス120内に配置され得る。次に、外側部分を中間部分に(例えば、1つ以上の仮付けまたはスポット溶接を介して)連結して、フィンを組み立てることができる。
【0030】
フィン150A~150D(図1A~2および図5A~5B)の各々は、外側部分に略平坦な外面を含むものとして本明細書に記載されているが、より一般的には、フィン150A~150Dの各々は、任意の適切な形状を有することができる。例えば、図6Aおよび6Bを参照して、本開示のいくつかの実装による代替フィン250が示されている。代替フィン250は、上記の第1のフィン150Aの内側部分152Aと、中間部分154と、外側部分156A(図5A~5B)とに同一または類似の内側部分252と、中間部分254と、外側部分256とを含む。
【0031】
代替フィン250の内側部分252は、内側部分252が内向きテーパー面243を有するという点で内側部分152Aとは異なる。内向きテーパー面343は、コレット130の複数の可撓性アーム140A~140D(図4A~4B)のうちの対応する1つと係合する。代替フィン250の外側部分256は、外側部分256が略くさび形状であり、テーパー面248と前縁249とを含む点で、第1のフィン150Aの外側部分156A(図5A~5B)とは異なる。代替フィン250が本体110に対して略外側位置移動すると、前縁249および外側部分246のテーパー面248の少なくとも一部は、患者の肩甲骨の少なくとも一部(例えば、関節窩の海綿骨)と係合して、関節窩インプラント100の肩甲骨への固定を補助し、かつ/または、骨との一体化を促進する。
【0032】
図7Aおよび7Bを参照すると、プラグ160は、先端部分162と、外側ねじ切り部分164と、ソケット166とを含む。先端部分162は、本明細書でさらに詳細に説明するように、コレット130に対するプラグ160の軸方向の動きに応答して、コレット130の複数の可撓性アーム140A~140D(図4A~4B)と係合する略内向きテーパー面を含む。
【0033】
関節窩インプラント100が組み立てられた構成にあるとき(図1Aおよび1B)、プラグ160の外側ねじ切り部分164は、コレット130の内側ねじ切りボア138に少なくとも一部がねじ係合する。本明細書でさらに詳細に説明するように、ソケット166は、ツール(例えば、ドライバー、トルクスキー、六角レンチ、アレンレンチなど)の一部を受け入れ、ツールへ回転可能となり、外側ねじ切り部分164がコレット130の内側ねじ切りボア138と一部が係合した状態でプラグ160を第1の回転方向(例えば、時計回り)に回転させると、プラグ160はコレット130に対して第1の軸方向に移動する。逆に、ツールは、ソケット166と係合し、第2の回転方向(例えば、反時計回り)に回転して、プラグ160をコレット130に対して第2の軸方向に移動させることができる。いくつかの実装では、ソケット166は、トルクスヘッドまたは六角ヘッドを含む。
【0034】
図7Cを参照すると、いくつかの実装では、プラグ160は、先端部分162から延びる留め具部分168を任意で含む。留め具部分168は、先端部分162と単一および/または一体であるか、あるいは、(例えば、溶接接続を介して、プラグ160の内側ねじ切りボアへのねじ接続を介して、または、その双方で)先端部分162に連結され得る。留め具部分168は、以下に説明する留め具170A(図8)と同一か類似しているが、ヘッド172Aを除いている。関節窩インプラント100の組み立てられた構成では(図1A~1B)、留め具部分168は、コレット130の内側ねじ切りボア138を通って延在し、一般に、本明細書に記載の複数の留め具170A~170Dと同一または同様の方法で患者の骨(例えば、肩甲骨の一部)に係合するために使用され、関節窩インプラント100の患者の肩甲骨への固定を補助する。すなわち、プラグ160の留め具部分168は、関節窩インプラント100の中央に固定するために使用することができる。
【0035】
図8を参照すると、複数の留め具170A~170D(図1A~2)のうちの第1の留め具170Aが示されている。第1の留め具170Aは、ヘッド172Aと、ねじ切りシャフト部分178Aと、ねじなしシャフト部分180Aとを含む。他の留め具170B~170D(図1A~2)の各々は、第1の留め具170Aのヘッド172Aと、ねじ切りシャフト部分178Aと、ねじなしシャフト部分180A(図7)と同一または同様のヘッドと、ねじ切りシャフト部分と、ねじなしシャフト部分とを含む。
【0036】
第1の留め具170Aのヘッド172Aは、ソケット174Aと、ねじ切り部分176Aとを含む。ねじ切り部分176Aは、本体110のプレート114の複数の開口115A~115D(図3A~3B)のうちの対応する1つにねじ係合して、第1の留め具170Aの本体110のプレート114への固定を補助する。ソケット174Aは、ソケット174Aと係合して第1の留め具170Aを回転させ、本体110に対して第1の留め具170Aの軸方向に移動させるツールの一部をその中に受け入れる。いくつかの実装では、ソケット174Aは、プラグ160のソケット166(図6A)と同一である。他の実装形態では、第1の留め具170Aのソケット174A(図7)は、プラグ160のソケット166(図6A)とは異なり、その場合、異なるツールが使用される(例えば、ソケット166はトルクスヘッドであり、ソケット174Aは六角頭である)。
【0037】
ねじ切りシャフト部分178Aは、患者の肩甲骨の一部にねじ係合して、関節窩インプラント100(図1A~1B)の肩甲骨への固定を補助する。いくつかの実装では、ねじ切りシャフト部分178Aは、セルフタッピングねじ山を含む。ねじなしシャフト部分180Aは、溝182Aを含む。溝182Aは、留め具170Aを取り付けるときに患者の骨の切り込みを補助する。
【0038】
関節窩インプラント100は、4つの留め具170A~170Dを有するものとして本明細書に示され、かつ説明されるが、より一般的には、関節窩インプラント100は、任意の適切な数の留め具(例えば、1つの留め具、3つの留め具、6つの留め具など)を有することができる。同様に、本体110のプレート114(図3A~3B)は、複数の留め具170A~170Dに対応する4つの開口115A~115Dを有するものとして示されているが、プレート114は、留め具の数に対応して任意の数の開口を有することができる。
【0039】
一般に図9A~11Bを参照すると、関節窩インプラント100は、患者の骨Bの一部(例えば、肩甲骨)に設置することができる。本明細書でさらに詳細に説明するように、取り付けられた関節窩インプラント100は、解剖学的肩関節置換手順または逆肩関節置換手順に使用することができる。
【0040】
図9Aおよび9Bを参照すると、関節窩インプラント100のプラグ160は、本体110およびコレット130に対して第1の軸方向位置にあり、複数のフィン150A~150Dは、第1の略内側位置にある。図9Bに示されるように、複数のフィン150A~150Dと、少なくとも複数の可撓性アーム140A~140Dを含むコレット130の一部と、少なくとも複数のスロット122A~122Dを含むボス120の一部とを含む、関節窩インプラント100の少なくとも一部は、骨B(例えば、肩甲骨)に形成された空洞内に収納される。プレート114の外径は、関節窩インプラント100の全体が開口または穴に落下するのを防止するために、骨Bの空洞の外径よりも大きい。
【0041】
第1の略内側位置(図9B)では、複数のフィン150A~150Dは、一般に、骨Bの空洞の縁と同一面にあり、かつ、その縁から間隔(例えば、0.5ミリメートル未満、1ミリメートル未満など)を置いて配置されており、それにより関節窩インプラント100の本体110のボス120が骨Bの空洞内に収納され得る。すなわち、第1の略内側位置(図9B)において、複数のフィン150A~150Dは、骨Bの空洞を覆う骨材の中には突出しない。
【0042】
本明細書で説明するように、プラグ160のソケット166は、ツールによって係合されて、コレット130に対してプラグ160を回転させることができる。プラグ160の外側ねじ切り部分164は、コレット130の内側ねじ切りボア138とねじ係合しているので、(例えば、ソケット166に係合するツールによって)プラグ160を回転させると、プラグ160矢印Aの方向(図9B)に軸移動する。
【0043】
ここで図10Aおよび10Bを参照すると、プラグ160の回転に応答して、プラグ160は、本体110およびコレット130に対して第2の軸方向位置に移動し、複数のフィン150A~150Dは、第1の略内側位置に移動する(図9B)。図9B図10Bとの比較によって示されるように、プラグ160は(例えば、ツールによる)回転に応答して矢印Aの方向に移動して、コレット130のプラグ160の先端部分162が複数の可撓性アーム140A~140Dと係合する。それによって、複数の可撓性アーム140A~140Dの各々がコレット130の残りの部分および関節窩インプラント100の中心軸に対して半径方向外向きに移動する。次いで、複数の可撓性アーム140A~140Dの半径方向外側の移動によって、複数のフィン150A~150Dを第1の略内側位置(図9B)から第2の略外側位置(図11B)に向けて半径方向外向きに移動させる。このようにして、プラグ160の先端部分162は、矢印Aの方向に移動するときに複数のフィン150A~150Bに間接的に係合し、その一方で、複数の可撓性アーム140A~140Dは、複数のフィン150A~150Dの対応するものに直接係合する。図10Bに示されるように、矢印Aの方向へのプラグ160の移動によって、複数のフィン150A~150Dは、骨Bの空洞の外縁(例えば、海綿状骨材料)に係合または接触する。
【0044】
図11Aおよび11Bを参照すると、プラグ160の継続的な回転に応答して、プラグ160は、本体110およびコレット130に対して第3の軸方向位置に移動し、複数のフィン150A~150Dは、本体110に対して第2の略外側位置に移動する。図11B図10Bとの比較によって示されるように、矢印Aの方向へのプラグ160の継続的な移動によって、先端部分162がコレット130の複数の可撓性アーム140A~140Dをコレット130の残りの部分および関節窩インプラント100の中心軸に対して半径方向外向きに移動する。次いで、複数の可撓性アーム140A~140Dの各々は、複数のフィン150A~150Dの対応するものを、本体110に対して第2の略外側位置(図11B)に移動させる。
【0045】
第2の略外側位置(図11B)では、複数のフィン150A~150Dが、骨Bの空洞を規定する骨(例えば、海綿状骨材料)の縁に係合して突出する。複数のフィン150A~150Dと骨材料との係合によって、関節窩インプラント100の骨Bへの固定が補助され、かつ/または、関節窩インプラント100のオッセオインテグレーションが促進される。
【0046】
複数の可撓性アーム140A~140Dの各々は、プラグ160が矢印Aの方向に移動するときにプラグ160の先端部分162と係合する内向きテーパー内面(図4A~4B)を有するので、複数のフィン150A~150Dの各々は、ある角度(例えば、約1度~約25度の間)で海綿骨材料に係合し、かつ、内部に突出する。すなわち、複数のフィン150A~150Dは、水平方向に骨材料内に移動し、かつ、垂直方向に矢印Aの反対方向に移動する。図9B図11Bとの比較によって示されるように、複数のフィン150A~150Dの第2の略外側位置の移動によって、複数のフィン150A~150Dが骨Bの開口の海綿骨に接触する角度のためにプレート114が矢印Aの方向に引き下げられ、関節窩インプラント100の骨Bへの固定がさらに補助される。
【0047】
複数のフィン150A~150Dの各々は、第1の略内側位置(図9B)と第2の略外側位置(図11B)との間を所定の距離だけ移動する。所定の距離は、例えば、約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートル、約0.25ミリメートル~約2.5ミリメートル、約0.1ミリメートル~約3ミリメートルなどであり得る。好ましくは、所定の距離は、約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルである。このようにして、骨Bの開口内に配置される関節窩インプラント100の部分の全体の直径は、約1ミリメートル~約3ミリメートルの間で増加することで、関節窩インプラント100の骨(例えば、肩甲骨)への固定を補助することができる。
【0048】
図9Aおよび図9Bに示すように、複数のフィン150A~150Dが第1の略内側位置にあるとき、プラグ160の外側ねじ切り部分164の一部がコレット130から突出し、一方では、プラグ160の先端部分162がコレット130の内側ねじ切りボア138内に完全に配置される。対照的に、図11Aおよび11Bに示されるように、複数のフィン150A~150Dが第2の略外側位置にあるとき、プラグ160の外側ねじ切り部分164の全体が、コレット130の内側ねじ切りボア138内に配置される。代替的に、いくつかの実装では、複数のフィン150A~150Dが第2の略外側位置にあるとき(図11B)、プラグ160の上面または上縁は、コレット130の上面または上縁と略同一平面になり得る。さらに代替的に、他の実装では、複数のフィン150A~150Dが第2の略外側位置にあっても(図11B)、プラグ160の外側ねじ切り部分164の一部は、コレット130から突出することができる。
【0049】
図12および13を参照すると、いくつかの実装では、本明細書に記載の関節窩インプラント100(図1A~11B)は、解剖学的肩関節置換手順(TSA)に使用することができる。解剖学的肩関節置換手順では、何年にもわたる変性の後、影響を受けた四肢(肩など)の球関節およびソケット関節の修復または交換が伴う。肩のボール部分(上腕骨頭とも呼ばれる)は金属球に置き換えられ、プラスチックまたは他の合成挿入物がソケットの代わりに使用される。このタイプの手順は、関節の問題や軟骨の喪失の原因となる関節炎や他の関連する状態の患者にとって最も有益となる。
【0050】
そのような実装では、関節窩部品300は、関節窩インプラント100に連結される。いくつかの実装では、関節窩部品300は、解剖学的関節窩挿入部品と呼ばれる。関節窩部品300は、概して洋ナシのような形状を有し、肩の回転を可能にするために、(例えば、患者の上腕骨に埋め込まれる)球形状またはボール形状の上腕骨部品と係合するように構成される。より具体的には、関節窩部品300は、回転を可能にするために上腕骨頭を置き換える金属球のソケットとして機能する湾曲した外面302を含む。
【0051】
また、関節窩部品300は、関節窩部品300を関節窩インプラント100に連結するために、下面308(図13)から突出する第1の縁部分304と、第2の縁部分306とを含む。より具体的には、第1の縁部分304および第2の縁部分306は、関節窩インプラント100の本体110のプレート114との圧入またはスナップフィット接続を形成して、関節窩部品300の下面308がプレート114の上面116と接触し、それによって、関節窩部品300が関節窩インプラント100に固定される(次いで、上記のように患者の肩甲骨に固定される)。
【0052】
図14および15を参照すると、いくつかの実装では、本明細書に記載の関節窩インプラント100(図1A~11B)は、逆肩関節置換手順(RSA)に使用することができる。逆肩関節置換手順は、ボールとソケットの配置が逆になっているという点で、解剖学的肩関節置換手順(図12および13)とは異なる。腱板断裂や関節炎、または回旋腱板の筋肉が機能しなくなったために関節症を患っている患者には、逆肩関節置換がよく使用される。逆肩関節置換手順は、回旋腱板ではなく三角筋に依存して、腕を位置決めし、かつ、動力を供給する。
【0053】
そのような実装において、グレノスフィア(関節頭)400は、関節窩インプラント100に連結される。グレノスフィア400は、略球形またはボールのような形状を有し、患者の上腕骨に取り付けられたソケットと係合する。いくつかの実装では、グレノスフィア400は、逆グレノスフィアと呼ばれることがある。
【0054】
グレノスフィア400は、関節窩インプラント100(図15)のプレート114の一部と係合して、圧入またはスナップフィット接続を介してグレノスフィア400を関節窩インプラント100に連結する下部縁404を含む。また、グレノスフィア400は、グレノスフィア400を関節窩インプラント100に装着するときにグレノスフィア400が収縮または屈曲可能となるのを補助する一対のノッチ406A~406Bを含む。
【0055】
一般に図16~18Cを参照すると、本開示のいくつかの実装による関節窩インプラント500が示されている。関節窩インプラント500は、関節窩インプラント500が本体510と、プラグ560と、複数の留め具570A~570Dとを含むという点で、関節窩インプラント100(図1A~11B)と同様である。
【0056】
本体510は、関節窩インプラント500の本体510がプレート514と、ボス520とを含むという点で、関節窩インプラント100の本体110(図3A~3B)と同様である。関節窩インプラント500の本体510は、関節窩インプラント500の本体510が、ねじのない中央開口ではなく、それを通って延びる内側ねじ切りボア512を含むという点で、関節窩インプラント100の本体110(図3A~3B)とは異なる。また、関節窩インプラント500の本体510は、関節窩インプラント500の本体510のプレート114とボス520が単一および/または一体であるという点で、関節窩インプラント100の本体110(図3A~3B)とは異なる。
【0057】
関節窩インプラント500の本体510のプレート514は、上記の関節窩インプラント100の本体110のプレート114(図3A~3B)と同一であるか、または類似しており、複数の留め具570A~570D(図16)の対応するもの、並びに、上面516(図17A)および下面518(図17B)を収納する複数の開口515A~515Dを含む。
【0058】
図17Bに示すように、ボス520は、プレート514の下面518から延びる。ボス520は、本明細書に記載の関節窩インプラント100の複数のフィン150A~150Dと同一または同様の方法で機能する複数の可撓性部分522A~522Dを含む。複数の可撓性部分522A~522Dは、ボス520内の横方向に延びる開口524と、一対のギャップ526A~526Bと、一対のスロット528A~528Bとによって規定される。横方向に延びる開口524は、本体510の内側ねじ切りボア512(図17A)が延びる軸に略直交または垂直である軸に沿って延びる。横方向に延びる開口と、一対のギャップ526A~526Bと、一対のスロット528A~528Bとによって、複数の可撓性部分522A~522Dは、第1の略内側位置と第2の略外側位置との間で本体510の残りの部分に対して移動することが可能となる。
【0059】
図17Aおよび17Bを参照すると、関節窩インプラント500のプラグ560は、関節窩インプラント100のプラグ160(図7A~7B)と同一であるか、または類似しており、先端部分562と、外側ねじ切り部分564と、ソケット566とを含む。関節窩インプラント500が組み立てられた構成にあるとき(図16)、外側ねじ切り部分564は、本体510の内側ねじ切りボア512にねじ係合する。ソケット566は、本体510に対してプラグ560を回転させるツールと係合する。いくつかの実装では、プラグ560はまた、関節窩インプラント100のプラグ160の留め具部分168(図7C)と同一または類似である、先端部分562から延びるねじ切りシャフト部分を含む。
【0060】
図16に戻ると、関節窩インプラント500の複数の留め具570A~570D(図16)は、関節窩インプラント100の複数の留め具170A~170D(図1A~1Bおよび図8)と同一または類似している。
【0061】
図18A~18Cを参照すると、関節窩インプラント500は、患者の骨Bの一部(例えば、空洞)に設置することができる。本明細書でさらに詳細に説明するように、取り付けられた関節窩インプラント500は、解剖学的肩関節置換手順または逆肩関節置換手順に使用することができる。
【0062】
図18Aを参照すると、関節窩インプラント500は、患者の骨Bの空洞内に配置されている。より具体的には、ボス520と、プレート514の一部、およびプラグ560の一部は、空洞内に配置される。示されるように、関節窩インプラント500のプラグ560は、本体510に対して第1の軸方向位置にあり、複数の可撓性部分522A~522Dは、第1の略内側位置にある。プレート514の外径は、骨Bの空洞の外径よりも大きく、関節窩インプラント500全体が開口または穴に落下するのを防止する。
【0063】
第1の略内側位置(図18A)では、複数の可撓性部分522A~522Dは、骨Bの空洞の縁と略同一平面であるか、または、その縁から(例えば、0.5ミリメートル未満だけ、1ミリメートル未満だけなど)離間しており、それにより関節窩インプラント500の本体510のボス520が骨Bの空洞内に収納され得る。すなわち、第1の略内側位置(図18A)においては、複数の可撓性部分522A~522Dは、骨Bの空洞を覆う骨材料内に突き出ない。
【0064】
本明細書で説明するように、プラグ560のソケット566は、ツールによって係合されて、プラグ560を本体510に対して回転させることができる。プラグ560の外側ねじ切り部分564は、本体510の内側ねじ切りボア512とねじ係合しているので、(例えば、ソケット166に係合するツールによって)プラグ560が回転すると、プラグ560は矢印Aの方向(図18A)に軸移動する。
【0065】
図18Bを参照すると、プラグ560の回転に応答して、プラグ60は、本体510に対して第2の軸方向位置に移動し、複数の可撓性部分522A~522Dは、第1の略内側位置(図18A)から移動する。図18A図18Bとの比較によって示されるように、プラグ560は、(例えば、ツールによる)回転に応答して矢印Aの方向に移動して、プラグ560の先端部分562が本体510の複数の可撓性部分522A~522Dと直接係合し、それによって、複数の可撓性部分522A~522Dの各々が本体510の残りの部分および関節窩インプラント500の中心軸に対して半径方向外向きに移動する。図18Bに示されるように、矢印Aの方向へのプラグ560の移動により、複数の可撓性部分522A~522Dが骨B(例えば、海綿状骨材料)の空洞の外縁に係合または接触する。
【0066】
図18Cを参照すると、プラグ560の継続的な回転に応答して、プラグ560は、本体510に対して第3の軸方向位置に移動し、複数の可撓性部分522A~522Dは、本体に510対して第2の略外側位置に移動する。図18B図18Cとの比較によって示されるように、矢印Aの方向へのプラグ560の継続的な移動によって、先端部分562は、複数の可撓性部分522A~522Dをさらに半径方向外向きに移動させる。第2の略外側位置(図18C)では、複数の可撓性部分522A~522Dが、骨Bの空洞を規定する骨(例えば、海綿状骨材料)の縁に係合してその縁に突入する。複数の可撓性部分522A~522Dと骨材料との係合により、関節窩インプラント500の骨Bへの固定が補助され、かつ/または、関節窩インプラント500のオッセオインテグレーションが促進される。
【0067】
複数の可撓性部分522A~522Dの各々は、プラグ560が矢印Aの方向に移動するときにプラグ560の先端部分562に係合する内向きテーパー内面を有するので、複数の可撓性部分522A~522Dの各々は海綿骨材料に係合し、ある角度(例えば、約1度~約25度の間)で突入する。すなわち、複数の可撓性部分522A~522Dは、水平方向に骨材料内に移動し、かつ、垂直方向に矢印Aの反対方向に移動する。図18A図18Cとの比較によって示されるように、複数の可撓性部分522A~522Dの第2の略外側位置の移動によって、複数の可撓性部分522A~522Dが骨Bの開口の海綿骨に接触する角度のためにプレート114が矢印Aの方向に引き下げられ、関節窩インプラント500の骨Bへの固定がさらに補助される。
【0068】
複数の可撓性部分522A~522Dの各々は、第1の略内側位置(図18A)と第2の略外側位置(図18C)との間を所定の距離だけ移動する。所定の距離は、例えば、約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートル、約0.25ミリメートル~約2.5ミリメートル、約0.1ミリメートル~約3ミリメートルなどであり得る。好ましくは、所定の距離は、約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルである。このようにして、骨Bの開口に配置される関節窩インプラント500の本体510の全体の直径は、関節窩インプラント500の骨(例えば、肩甲骨)への固定を補助するために、約1ミリメートル~約3ミリメートルの間で増加することができる。
【0069】
図19を参照すると、いくつかの実装では、関節窩インプラント500は、解剖学的肩関節置換手順に使用することができる。そのような実装では、関節窩部品600は、関節窩インプラント500に連結される。関節窩部品600は、上記の関節窩部品300(図12および13)と同一または類似しており、外面602と、関節窩インプラント500のプレート514の一部と係合して関節窩部品600を関節窩インプラント500に固定するための圧入接続を形成する第1の縁部分604および第2の縁部分606とを含む。
【0070】
図20を参照すると、いくつかの実装では、関節窩インプラント500は、逆肩関節置換手順に使用することができる。そのような実施において、グレノスフィア700は、関節窩インプラント500に連結される。グレノスフィア700は、上記のグレノスフィア400(図14および15)と同一または類似しており、外面702と、プレート514と係合してグレノスフィア700の関節窩インプラント500への固定を補助するための圧入接続を形成する外縁704と、グレノスフィア700が収縮してプレート514上に圧入を形成可能になることを補助するノッチ706Aとを含む。
【0071】
図21を参照すると、本開示のいくつかの実装による関節窩インプラントを設置するための方法800が示されている。方法800は、解剖学的肩関節置換手順または逆肩関節置換手順のいずれかのために、本明細書に記載の関節窩インプラント100(図1A~11B)または関節窩インプラント500(図16~18C)を使用して実施することができる。
【0072】
方法800のステップ801では、患者の骨(例えば、肩甲骨)に(例えば、ドリルで)1つ以上の穴を形成する。例えば、ステップ801は、肩甲骨に関節窩インプラントの本体の少なくとも一部を収納する第1の穴または空洞を(例えば、ドリルで)形成することを含み得る(ステップ802)。ステップ801は、その中に留め具を収納するための複数の穴を形成またはドリルで形成することも含み得る(ステップ804)。
【0073】
方法800のステップ802は、関節窩インプラントの少なくとも一部を、患者の骨の穴または空洞の1つに配置することを含む。例えば、ステップ802は、図9Bに示されるように、患者の肩甲骨の空洞内に関節窩インプラント100の本体110の一部を配置することを含み得る。別の例として、ステップ802は、図18Aに示されるように、患者の肩甲骨の空洞内に関節窩インプラント500の本体510の一部を配置することを含み得る。
【0074】
方法800のステップ803は、プラグを関節窩インプラントの内側ねじ切りボアにねじ込むことを含む。例えば、ステップ803は、関節窩インプラント100のプラグ160をコレット130の内側ねじ切りボア138にねじ込み、複数のフィン150A~150Dを第1の略内側位置(図9B)から第2の略外側位置(図11B)移動させ、関節窩インプラント100を骨に固定する。別の例として、ステップ803は、関節窩インプラント500のプラグ560を本体510の内側ねじ切りボア512にねじ込んで、複数の可撓性部分522A~522Dを第1の略内側位置(図18A)から第2の略外側位置(図18C)に移動させて関節窩インプラント500を骨に固定する。ステップ803は、ツールを使用してプラグを回転させ、プラグを内側ねじ切りボアにねじ係合させることを含み得る。
【0075】
方法800のステップ804は、1つ以上の留め具を、骨の1つ以上の穴のうちの他の穴にねじ込むことを含む(ステップ801)。ステップ804は、ツールを使用して、1つ以上の留め具を回転させることを含み得る。例えば、ステップ804は、関節窩インプラント100の複数の留め具170A~170D(図1A~1B)をプレート514の複数の開口115A~115D(図3A~3B)を介して位置決めして、複数が留め具170A~170Dを骨に形成またはドリルで形成された穴の対応する1つにねじ係合させることを含む。別の例として、ステップ804は、関節窩インプラント500の複数の留め具570A~570D(図16)をプレート514の複数の開口515A~515D(図17A)を介して位置決めして、複数が留め具570A~570Dを骨に形成またはドリルで形成された穴の対応する1つにねじ係合させることを含む。
【0076】
いくつかの実装では、ステップ804は、ステップ803の後に実行される。他の実装形態では、ステップ804は、ステップ803の前に、しかし、ステップ802の後に実行される。いずれの実装においても、ステップ802~804は、ステップ805の前に実行される。
【0077】
方法800のステップ805は、関節窩部品またはグレノスフィアを関節窩インプラントに連結させることを含む。例えば、ステップ805は、解剖学的肩関節置換手順のために上記のように関節窩部品300(図12および13)を関節窩インプラント100に連結すること、または、逆肩関節置換手順のために上記のようにグレノスフィア400(図14および15)を関節窩インプラント100に連結することを含み得る。別の例として、ステップ805は、解剖学的肩関節置換手順のために上記のように関節窩部品600(図19)を関節窩インプラント500に連結すること、または、逆肩関節置換手順のために上記のようにグレノスフィア700を関節窩インプラント500に連結することを含み得る。
【0078】
以下の請求項1~70のいずれかの一項以上から1つ以上の要素または態様またはステップ、またはその任意の部分を、他の請求項1~70のいずれかの一項以上から1つ以上の要素または態様またはステップ、またはその任意の部分、またはそれらの組み合わせと組み合わせて、本開示の1つ以上の追加の実装および/または請求項を形成することができる。
【0079】
本開示を、1つ以上の特定の実施形態または実装を参照して説明してきたが、当業者であれば本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、数多くの変更が行われ得ることを認識するであろう。これらの実装およびその明らかな変形例の各々は、本開示の趣旨および範囲内に入るものとして想到される。また、本開示の態様による追加の実装が、本明細書に記載される実装のいずれかからの任意の数の特徴を組み合わせ得ることも想到される。
【0080】
<付記>
[1]
関節窩インプラントであって、
貫通した中央開口を有し、かつ、プレートに連結され、前記プレートから延びるボスを含む本体であって、前記ボスは複数のスロットを含む、本体と、
複数のフィンであって、前記複数のフィンの各々は、前記本体の前記ボスの前記複数のスロットの対応する1つと連結され、前記複数のフィンの各々が第1の略内側位置から第2の略外側位置向かって移動するように構成されている、複数のフィンと、
内側ねじ切りボアと複数の可撓性アームとを含むコレットであって、前記コレットは、前記複数の可撓性アームの各々が前記本体の前記ボスの前記複数のスロットの各々の1つに略隣接するように、前記本体の前記中央開口内に少なくとも部分的に収納されるように構成された、コレットと、
外側ねじ切り部分および先端部分を含むプラグであって、前記プラグの前記外側ねじ切り部分は、前記コレットの前記内側ねじ切りボアとねじ係合するように構成されており、前記プラグの前記先端部分が、前記コレットの前記複数の可撓性アームと係合して、前記複数の可撓性アームを移動させ、かつ、前記複数のフィンを前記第1の略内側位置から前記第2の略外側位置に向かって移動させるように構成されて、それによって、前記本体の患者の肩甲骨への固定を補助する、プラグと、
を備える関節窩インプラント。
[2]
前記プレートに連結された関節窩部品をさらに含む、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[3]
前記プレートに連結されたグレノスフィアをさらに含む、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[4]
前記複数の可撓性アームの各々が、前記プラグの前記先端部分と係合するように構成された内向きテーパー面を有する、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[5]
前記複数のフィンの各々が、内側部分と、中間部分と、外側部分とを含み、前記複数のフィンの各々の前記内側部分が、前記コレットの前記複数の可撓性アームと前記ボスの内面との間に配置され、前記複数のフィンの各々の前記中間部分は、前記ボスの前記複数のスロットの対応する1つの中に少なくとも部分的に配置される、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[6]
前記複数のフィンの前記内側部分が湾曲形状を有する、上記[5]に記載の関節窩インプラント。
[7]
前記複数のフィンの各々の前記外側部分が湾曲形状を有する、上記[5]に記載の関節窩インプラント。
[8]
前記複数のフィンの各々の前記外側部分がくさび形を有する、上記[5]に記載の関節窩インプラント。
[9]
前記複数のフィンの各々の前記内側部分が、前記プラグの前記ヘッドと係合するように構成されたテーパー面を有する、上記[8]に記載の関節窩インプラント。
[10]
前記プラグは、前記プラグを回転させるためにツールによって係合されるように構成されたソケットを含む、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[11]
前記複数のフィンが4つのフィンを含み、前記コレットの前記複数の可撓性アームが4つの可撓性アームを含み、前記ボスの前記複数のスロットが4つのスロットを含む、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[12]
前記複数のフィンの各々が、前記第1の略内側位置と前記第2の略外側位置との間を所定の距離だけ移動するように構成される、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[13]
前記所定の距離が約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルの間である、上記[12]に記載の関節窩インプラント。
[14]
前記プレートが、前記プレートの前記上面から前記反対側の下面まで延びる複数の開口を含み、前記複数の開口が前記中央開口の周りに同心円状に配置されている、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[15]
複数の留め具をさらに含み、前記複数の留め具の各々が、前記プレートの前記複数の開口の対応する1つに収納されるように構成される、上記[14]に記載の関節窩インプラント。
[16]
前記複数の留め具が1つ以上の固定ねじを含む、上記[15]に記載の関節窩インプラント。
[17]
前記複数の留め具の各々が、ねじ切り部分と、溝を有するねじなし部分とを含む、上記[15]に記載の関節窩インプラント。
[18]
前記プレートおよび前記ボスが略円筒形である、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[19]
前記プレートが第1の直径を有し、前記ボスが前記プレートの前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する、上記[18]に記載の関節窩インプラント。
[20]
前記本体の前記中央開口は、前記プレートの前記上面から延びる皿穴を含む、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[21]
前記コレットの第1の部分が前記プレートの上面から突出し、前記コレットの第2の部分が、前記複数のフィンが前記第1の略内側位置にあるときに前記中央開口内に配置される、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[22]
前記本体が、前記患者の前記肩甲骨の関節窩腔に収納されるように構成される、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[23]
前記プラグの前記先端部分がテーパー状になっている、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[24]
前記ボスおよび前記本体の前記プレートが、単体または一体である、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[25]
前記ボスが圧入接続を介して前記プレートに連結されている、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[26]
前記ボスは、前記プレートと係合して、前記ボスが前記プレートに連結するのを補助するように構成された肩部を含む、上記[25]に記載の関節窩インプラント。
[27]
前記ボスの一部が前記プレートの一部に溶接されている、上記[26]に記載の関節窩インプラント。
[28]
前記プラグは、前記先端部分から延びるねじ切りシャフト部分を含み、前記ねじ切りシャフトは、前記患者の前記肩甲骨の一部にねじ係合して、前記関節窩インプラントの前記患者の前記肩甲骨への固定を補助ように構成される、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[29]
前記複数のスロットの各々が、前記ボスの周りに円周方向に配置されている、上記[1]に記載の関節窩インプラント。
[30]
前記複数のスロットの各々が軸方向に延びる、上記[29]に記載の関節窩インプラント。
[31]
関節窩インプラントであって、
貫通した中央開口を有する本体と、
前記本体の前記中央開口内に収納されるように構成されたコレットであって、前記コレットは、内側ねじ切りボアと複数の可撓性アームとを有する、コレットと、
前記コレットの前記内側ねじ切りボアにねじ係合するように構成されたねじ切り部分を含むプラグであって、前記プラグは、前記プラグを回転させるようにツールによって係合され、前記プラグが第1の軸方向に移動して、前記複数の可撓性アームを前記本体の前記中央開口の中心軸に対して半径方向外側に撓ませるように構成された、プラグと、
前記複数の可撓性アームの撓みに応答して第1の位置から第2の略外側位置に向かって半径方向外側に移動して、前記本体の患者の骨への固定を補助するように構成された複数のフィンと、
を備える関節窩インプラント。
[32]
前記本体に連結された関節窩部品をさらに含む、上記[31]に記載の関節窩インプラント。
[33]
前記関節窩部品が、圧入接続を介して前記本体のプレートに連結されている、上記[32]に記載の関節窩インプラント。
[34]
前記関節窩部品が、前記本体の前記プレートの少なくとも一部と係合して前記圧入接続を形成するように構成された、第1の縁部分と、第2の縁部分とを含む、上記[33]に記載の関節窩インプラント。
[35]
前記本体に連結されたグレノスフィアをさらに含む、上記[31]に記載の関節窩インプラント。
[36]
前記グレノスフィアが、圧入接続を介して前記本体のプレートに連結されている、上記[35]に記載の関節窩インプラント。
[37]
前記複数のフィンの各々が、前記第1の位置から前記第2の位置まで所定の距離を移動する、上記[31]に記載の関節窩インプラント。
[38]
前記所定の距離が約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルとの間である、上記[37]に記載の関節窩インプラント。
[39]
前記プラグの先端部分がテーパー状になっている、上記[31]に記載の関節窩インプラント。
[40]
前記プラグは、前記ツールと係合するように構成されたソケットヘッドを含む、上記[31]に記載の関節窩インプラント。
[41]
前記本体がプレートと、ボスとを含む、上記[31]に記載の関節窩インプラント。
[42]
前記プレートと前記本体の前記ボスが、単体または一体である、上記[41]に記載の関節窩インプラント。
[43]
前記プレートが圧入接続を介して前記ボスに連結されている、上記[41]に記載の関節窩インプラント。
[44]
前記プレートの一部が前記ボスの一部に溶接されている、上記[43]に記載の関節窩インプラント。
[45]
前記プラグが前記コレットの前記複数の可撓性アームに直接係合する、上記[31]に記載の関節窩インプラント。
[46]
前記プラグが前記複数のフィンと間接的に係合する、上記[31]に記載の関節窩インプラント。
[47]
関節窩インプラントを患者の骨に設置する方法であって、
本体、コレット、および複数のフィンを、前記骨に形成された空洞内に配置することであって、前記コレットは、内側ねじ切りボアを含み、
プラグを第1の回転方向に回転させることによって、前記プラグを前記コレットの前記内側ねじ切りボア内にねじ込むことにより、前記プラグを第1の軸方向に移動させること、
前記プラグのテーパー状の先端が前記複数のフィンと係合するように前記プラグを前記コレットの前記内側ねじ切りボアにねじ込み続けることにより、前記複数のフィンを第1の略内側位置から第2の略外側位置に向かって半径方向外向きに移動させて、前記関節窩インプラントの前記患者の前記骨への固定を補助すること、
を含む方法。
[48]
関節窩部品を前記本体に連結することをさらに含む、上記[47]に記載の方法。
[49]
グレノスフィアを前記本体に連結することをさらに含む、上記[47]に記載の方法。
[50]
複数の留め具を複数の開口を通じて前記本体内にねじ込むことで、前記関節窩インプラントの前記肩甲骨への固定を補助すること、をさらに含む、上記[47]に記載の方法。
[51]
前記1つ以上の留め具が前記患者の前記骨の少なくとも一部とねじ係合するように前記本体の一部を通じて1つ以上の留め具をねじ込むことによって、前記関節窩インプラントの前記患者の前記骨への固定を補助することをさらに含む、上記[47]に記載の方法。
[52]
前記プラグを前記内側ねじ切りボアにねじ込む後に、前記1つ以上の留め具をねじ込む、上記[51]に記載の方法。
[53]
前記1つ以上の留め具をねじ込んだ後に、前記プラグを内側ねじ切りボアにねじ込む、上記[51]に記載の方法。
[54]
前記患者の前記肩甲骨に1つ以上の穴をドリルで開けることをさらに含む、上記[47]に記載の方法。
[55]
関節窩インプラントであって、
プレートに連結され、前記プレートから延びるボスと、内側ねじ切りボアとを有する本体であって、前記ボスは、第1の位置から第2の位置に向かって移動するように構成された複数の可撓性部分を含む、本体と、
先端部分と外側ねじ切り部分とを含むプラグであって、前記プラグの前記外側ねじ切り部分は、前記本体の内側ねじ切りボアにねじ係合するように構成されて、前記プラグの回転により前記プラグが前記本体に対して第1の軸方向に移動し、かつ、前記先端部分が前記ボスの前記複数の可撓性部分に係合することより、複数の拡張可能部分が第1の位置から第2の位置に向かって移動し、前記関節インプラントの患者の骨への固定を補助する、プラグと、
を備える関節窩インプラント。
[56]
前記プラグの前記先端部分が内向きにテーパー状になっている、上記[55]に記載の関節窩インプラント。
[57]
前記プラグは、ツールと係合して前記プラグを回転させるように構成されたソケットを含む、上記[55]に記載の関節窩インプラント。
[58]
前記ボスの前記複数の拡張可能部分が、横方向に延びる開口および一対のスロットによって規定される、上記[55]に記載の関節窩インプラント。
[59]
前記中央開口が第1の軸に沿って延び、前記外側開口が第2の軸に沿って延びる、上記[58]に記載の関節窩インプラント。
[60]
前記第1の軸が前記第2の軸に直交する、上記[59]に記載の関節窩インプラント。
[61]
前記複数のフィンの各々が、第1の略内側位置と第2の略外側位置との間を所定の距離だけ移動する、上記[55]に記載の関節窩インプラント。
[62]
前記所定の距離が約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルの間である、上記[61]に記載の関節窩インプラント。
[63]
前記プレートが複数の開口を含む、上記[55]に記載の関節窩インプラント。
[64]
複数の留め具をさらに含み、前記複数の留め具の各々は、前記プレートの前記複数の開口の対応する1つの内部に部分的に収納され、前記本体の前記患者の前記肩甲骨への固定を補助するように構成される、上記[63]に記載の関節窩インプラント。
[65]
前記プレートおよび前記本体の前記ボスが、単体または一体である、上記[55]に記載の関節窩インプラント。
[66]
前記本体に連結された関節窩部品をさらに含む、上記[55]に記載の関節窩インプラント。
[67]
前記関節窩部品が、圧入接続を介して前記本体に連結される、上記[66]に記載の関節窩インプラント。
[68]
前記本体に連結されたグレノスフィアをさらに含む、上記[55]に記載の関節窩インプラント。
[69]
前記グレノスフィアは、圧入接続を介して前記本体に連結される、上記[55]に記載の関節窩インプラント。
[70] 前記複数の可撓性部分の各々は、前記プラグと係合するように構成された内向きテーパー内面を含む、上記[55]に記載の関節窩インプラント。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21