(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】炭酸カルシウム粒子の製造方法および炭酸カルシウム粒子の製造装置
(51)【国際特許分類】
C01F 11/18 20060101AFI20240717BHJP
B01D 9/02 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
C01F11/18 B
B01D9/02 601B
B01D9/02 625E
(21)【出願番号】P 2023110805
(22)【出願日】2023-07-05
【審査請求日】2024-01-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】311018921
【氏名又は名称】株式会社TBM
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 憲史
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 敦義
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510108(JP,A)
【文献】特開2011-126740(JP,A)
【文献】特開2008-115053(JP,A)
【文献】特開2004-210631(JP,A)
【文献】特開2020-001989(JP,A)
【文献】特開昭48-103100(JP,A)
【文献】特開2011-046554(JP,A)
【文献】特開2019-052065(JP,A)
【文献】特開2016-183066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 11/18
B01D 9/02
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウムを含む材料溶液の硫黄濃度を測定する工程と、
前記測定された硫黄濃度が、晶出させる炭酸カルシウムの粒径に応じて定められた所定の硫黄濃度とは異なる濃度であるときに、前記材料溶液の硫黄濃度を前記所定の硫黄濃度に調整する工程と、
前記硫黄濃度を調整された前記材料溶液に二酸化炭素または炭酸イオンを導入して、炭酸カルシウムを晶出させる工程と、を有する、
炭酸カルシウム粒子の製造方法。
【請求項2】
前記硫黄濃度を測定する工程は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)または誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)により行われる、
請求項1に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
【請求項3】
前記所定の硫黄濃度は、50mg/L以上10000mg/L以下の濃度である、
請求項1に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
【請求項4】
前記所定の硫黄濃度は、0.01mg/L以上50mg/L未満の濃度である、
請求項1に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
【請求項5】
前記材料溶液のバリウム濃度を所定のバリウム濃度に調整する工程を有し、
前記炭酸カルシウムを晶出させる工程では、前記硫黄濃度およびバリウム濃度を調整された前記材料溶液に二酸化炭素を導入する、
請求項1に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
【請求項6】
前記晶出させる工程は、前記材料溶液のpHを7.0以上として、二酸化炭素を導入することにより行う、
請求項1に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
【請求項7】
カルシウムを含む材料溶液の硫黄濃度を測定する測定部と、
前記材料溶液の前記測定された硫黄濃度を、晶出させる炭酸カルシウムの粒径に応じて定められた所定の硫黄濃度に調整する濃度調整部と、
前記硫黄濃度を調整された前記材料溶液に二酸化炭素を導入して、炭酸カルシウムを晶出させる晶出部と、を有する、
炭酸カルシウム粒子の製造装置。
【請求項8】
前記濃度調整部は、前記材料溶液の前記測定された硫黄濃度が、前記所定の硫黄濃度ではないときに、前記材料溶液の硫黄濃度を所定の硫黄濃度に調整する
請求項7に記載の炭酸カルシウム粒子の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸カルシウム粒子の製造方法および炭酸カルシウム粒子の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を低減するため、二酸化炭素をカルシウムと反応させて炭酸カルシウムとして固定化することが検討されている。特許文献1および特許文献2などに記載のように、コンクリートスラッジや鉄鋼スラグなどのカルシウムを含有する廃棄物から水中に抽出されたカルシウムと、上記水中に導入した二酸化炭素などと、を反応させることで、炭酸カルシウムを生成することができる。これらの方法は、カルシウムを含有する廃棄物の廃棄量も減らせるので、廃棄物による環境悪化も抑制できると期待される。
【0003】
炭酸カルシウム粒子は、プラスチック、紙および塗料などへの充填材、農薬および肥料などの土壌改良剤、接着剤、シーラント、研磨作用を利用して消しゴムや歯磨剤、ならびに、食品添加物および化粧品原料などの幅広い分野で使用される。また、最近では、炭酸カルシウム粒子を主原料としたシート・フィルム状の紙代替製品や、プラスチック代替製品が開発され、広く使用されている。紙代替製品としては、クリアファイル、名刺、冊子(パンフレット・写真集等)、販促POP、メニュー表、パッケージ、ポスター、電飾シート、シール・ラベル、マップ、マスクケース、タグの用途に使用されている。プラスチック代替製品としては、従来、プラスチックが用いられていた用途(各種成形品、たとえば、レジ袋・買い物袋、食品容器、飲料カップ、ハンガー、文房具、うちわ、化粧品容器、ボトル、建築資材等)に使用されている。これらの各用途には、それぞれに応じた粒子径の炭酸カルシウム粒子を使用する。そのため、所望の粒子径を有する炭酸カルシウム粒子を製造する方法が求められている。
【0004】
生成される炭酸カルシウム粒子の粒子径を制御する方法はいくつか検討されている。たとえば、特許文献3および特許文献4には、硫酸カルシウム、亜硫酸アルミニウムおよび硫酸亜鉛などの硫酸塩を水酸化カルシウム水溶液に添加し、さらに二酸化炭素ガスの導入条件を制御することにより、粒子径が0.03μm以下のような小粒径の炭酸カルシウム粒子を生成できると記載されている。特許文献5には、炭酸化の条件を精密に制御して、粒子径が0.8μm~1.0μmの解謬しやすい炭酸カルシウム粒子を生成し、これを機械的に磨砕または解砕することで、粒子径が0.1μm~0.5μmの炭酸カルシウム粒子を得る方法が記載されている。
【0005】
また、特許文献6には、DL-アラニンおよびグリシンの2種類のアミノ酸を含む中性アミノ酸含有水溶液に硫酸バリウムを添加することで、炭酸カルシウム粒子の粒子径を微細化できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-279552号公報
【文献】特開2014-148432号公報
【文献】特開昭48-103100号公報
【文献】特開昭54-041299号公報
【文献】特開昭62-202817号公報
【文献】特開2019-052065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4~特許文献6に記載のように、炭酸カルシウム粒子の粒子径を微細化する方法はいくつか知られている。しかし、特許文献4~特許文献5に記載の方法は、粒子径が0.03μm以下のような超微細粒子は作成できるが、粒子径がより大きい炭酸カルシウム粒子を作成することができない。さらには、特許文献4~特許文献5に記載の方法は、炭酸カルシウム粒子を晶出させる条件を精密に制御する必要があり、実用的ではない。
【0008】
また、特許文献6に記載の方法は、数μm程度の炭酸カルシウム粒子を生成することができるものの、得られる炭酸カルシウム粒子の粒子径が安定せず、狙いの粒子径を有する炭酸カルシウム粒子を生成することができなかった。
【0009】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、簡易な方法で、狙いの粒子径を有する炭酸カルシウム粒子を生成することができる、炭酸カルシウム粒子の製造方法、および当該方法を実施できる炭酸カルシウム粒子の製造装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、下記[1]~[6]の炭酸カルシウム粒子の製造方法に関する。
[1]カルシウムを含む材料溶液の硫黄濃度を測定する工程と、
前記測定された硫黄濃度が、晶出させる炭酸カルシウムの粒径に応じて定められた所定の硫黄濃度とは異なる濃度であるときに、前記材料溶液の硫黄濃度を前記所定の硫黄濃度に調整する工程と、
前記硫黄濃度を調整された前記材料溶液に二酸化炭素または炭酸イオンを導入して、炭酸カルシウムを晶出させる工程と、を有する、
炭酸カルシウム粒子の製造方法。
[2]前記硫黄濃度を測定する工程は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)または誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)により行われる、
[1]に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
[3]前記所定の硫黄濃度は、50mg/L以上10000mg/L以下の濃度である、
[1]または[2]に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
[4]前記所定の硫黄濃度は、0.01mg/L以上50mg/L未満の濃度である、
[1]または[2]に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
[5]前記材料溶液のバリウム濃度を所定のバリウム濃度に調整する工程を有し、
前記炭酸カルシウムを晶出させる工程では、前記硫黄濃度およびバリウム濃度を調整された前記材料溶液に二酸化炭素を導入する、
[1]~[4]のいずれかに記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
[6]前記晶出させる工程は、前記材料溶液のpHを7.0以上として、二酸化炭素を導入することにより行う、
[1]~[5]のいずれかに記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、下記[7]~[8]の炭酸カルシウム粒子の製造装置に関する。
[7]カルシウムを含む材料溶液の硫黄濃度を測定する測定部と、
前記材料溶液の前記測定された硫黄濃度を、晶出させる炭酸カルシウムの粒径に応じて定められた所定の硫黄濃度に調整する濃度調整部と、
前記硫黄濃度を調整された前記材料溶液に二酸化炭素を導入して、炭酸カルシウムを晶出させる晶出部と、を有する、
炭酸カルシウム粒子の製造装置。
[8]前記濃度調整部は、前記材料溶液の前記測定された硫黄濃度が、前記所定の硫黄濃度ではないときに、前記材料溶液の硫黄濃度を所定の硫黄濃度に調整する
[7]に記載の炭酸カルシウム粒子の製造装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な方法で、狙いの粒子径を有する炭酸カルシウム粒子を生成することができる、炭酸カルシウム粒子の製造方法、および当該方法を実施できる炭酸カルシウム粒子の製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に関する炭酸カルシウム粒子の製造方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、
図1に示す炭酸カルシウム粒子の製造方法を実施できる炭酸カルシウム粒子の製造装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に関する炭酸カルシウム粒子の製造方法のフローチャートであり、
図2は、
図1に示す炭酸カルシウム粒子の製造方法を実施できる炭酸カルシウム粒子の製造装置の概略構成図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態では、カルシウムを含有する材料(以下、単に「カルシウム原料
」ともいう。)から水中にカルシウムを抽出し(工程S110)、固液分離によりカルシウムを含むカルシウム含有溶液(以下、単に「材料溶液」ともいう。)を分離する(工程S120)、そして、材料溶液中の硫黄濃度を測定し(工程S130)、測定された硫黄濃度が予め定められた所定の濃度であるか否かを判定する(工程S140)。測定された硫黄濃度が所定の濃度ではないときは、材料溶液の硫黄濃度を調整し(工程S150)、そのうえで材料溶液から炭酸カルシウム粒子を晶出させる(工程S160)。その後、材料溶液をろ過して晶出された炭酸カルシウム粒子を回収する(工程S170)。
【0016】
図2に示すように、炭酸カルシウム粒子の製造装置200は、カルシウムを抽出する抽出部210、固液分離により材料溶液を分離する分離部220、固液分離の濃度を測定する濃度測定部230、固液分離の濃度を調整する濃度調整部250、材料溶液から炭酸カルシウム粒子を晶出させる晶出部260、およびろ過により炭酸カルシウム粒子を回収する回収部270を有する。
【0017】
製造装置200が有する各構成部は、制御部240との間でデータの送受信が可能に構成されている。制御部240は、CPUなどの計算機と、ROMおよびRAMなどの記憶部と、を有する。そして、制御部240は、これらの構成部の動作、およびこれらの構成部を接続する流路に設けられた弁の開閉およびポンプ(不図示)の動作を制御する。なお、制御部240は製造装置200の内部に備えられている必要はなく、製造装置200の外部に配置されて通信機器による通信を通じてこれらの動作および開閉などを制御してもよい。
【0018】
以下、製造装置200を用いて炭酸カルシウム粒子を製造する方法の各工程を説明する。
【0019】
(カルシウムの抽出:工程S110)
まず、抽出部210が有する抽出槽212にカルシウム原料と水とを投入し、これらを攪拌してカルシウム原料からカルシウムを抽出する。
【0020】
抽出槽212に投入されるカルシウム原料は、固体状であってもよいし、液体状(溶液状)であってもよいし、スラリー状であってもよい。カルシウム原料の種類は特に限定されず、石灰石や大理石などの精製品であってもよいし、廃棄物などの回収品であってもよい。上記回収品の例には、廃コンクリート、生コンクリートスラッジ、鉄鋼スラグ、廃石膏、石炭灰、バイオマス灰、焼却灰、アルカリ排水、および貝殻などが含まれる。これらのカルシウム原料は、中和処理や破砕処理または磨砕処理などの前処理を施されていてもよいし、前処理を施されていなくてもよい。カルシウムの抽出効率を高める観点からは、これらのカルシウム原料は、破砕処理または磨砕処理を施されていることが好ましい。
【0021】
水としては、イオン交換水、水道水および工業用水などを用いることができる。なお、カルシウムが良好に溶解する限りにおいて、水以外の他の溶媒を使用してもよいし、水と他の溶媒との混合液を用いてもよい。なお、液体状やスラリー状のカルシウム原料を抽出槽212に投入したときなど、不要であれば水を投入しなくてもよい。
【0022】
抽出槽212は、モーター214により駆動される攪拌器216を有する。抽出部210は、制御部240による制御の下で攪拌器216を回転させて、カルシウムを含む材料と水とを撹拌し、水中にカルシウムを抽出する。これにより、カルシウムを含む材料溶液にカルシウム原料が懸濁した懸濁液が得られる。攪拌速度および時間などの攪拌条件は特に限定されない。攪拌速度、攪拌時間、および攪拌時のpHなどの攪拌条件によって材料溶液中への各種元素の抽出量が変化するので、カルシウム原料の種類と、攪拌条件と、硫黄の抽出量との関係がわかっているときは、予め定められている所定の硫黄濃度に応じて、これに近い濃度となるように攪拌条件を設定してもよい。
【0023】
このようにして得られた懸濁液は、制御部240による制御の下で、分離部220に送られる。
【0024】
(固液分離:工程S120)
分離部220は、固液分離により、固体状のカルシウム原料やその他の夾雑物(微粒子等)を懸濁液から除去して、材料溶液を分離する。上記固液分離により、濃度測定部230における硫黄濃度の精度を高めることができる。さらには、上記固液分離により、晶出部260で晶出される炭酸カルシウム粒子への不純物の混入を抑制して純度が高い炭酸カルシウムを得たり、夾雑物の表面を介した炭酸カルシウム粒子同士の凝集を抑制したり、カルシウム原料による流路の詰まりを抑制したりすることもできる。
【0025】
分離部220の種類は特に限定されず、フィルタープレス、真空ベルトフィルター、真空回転ろ過機、スクリューデカンタ、および遠心脱水機などの公知の固液分離装置を用いることができる。
【0026】
分離部220で固液分離される懸濁液は、ナトリウム、カリウムおよびマグネシウムなどを含む凝集剤を添加されて、コロイド粒子などの微粒子を凝集されていてもよい。これにより、分離部220においてこれらの微粒子をより効率的に除去することができる。
【0027】
固液分離されて得られた材料溶液は、制御部240による制御の下で、晶出部260に送られる。分離部220と晶出部260とを連通する流路には、濃度測定部230および濃度調整部250が設けられている。固液分離により除去された固形分は、回収して廃棄されてもよいし、他の用途に使用されてもよい。
【0028】
(濃度測定:工程S130)
濃度測定部230は、上記流路を流通する材料溶液の硫黄濃度を測定する。
【0029】
濃度測定部230の種類は特に限定されず、硫黄原子(硫黄原子を含む化合物またはイオンを含む)の濃度を測定できる測定装置であればよい。これらの測定装置のうち、濃度測定部230は、硫酸イオン(SO4
2-)および亜硫酸イオン(SO3
2-)などの硫黄を含むイオンの濃度も測定できるものであることが好ましい。たとえば、濃度測定部230は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)または誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)により濃度を測定する測定装置であることが好ましい。
【0030】
濃度測定部230は、硫黄濃度のほかに、バリウム濃度、カルシウム濃度などの他の元素の濃度も測定してもよい。上述した測定装置は通常、硫黄、バリウムおよびカルシウムを含む複数の各元素の濃度を同時に測定することができる。
【0031】
濃度測定部230は、制御部240による制御の下で、分離部220と晶出部260とを連通する流路を流通する材料溶液の硫黄濃度を測定する。そして、濃度測定部230は、測定された硫黄濃度を制御部240に送信する。
【0032】
(濃度の判定:工程S140)
制御部240は、濃度測定部230からの硫黄濃度を受信すると、測定された硫黄濃度が予め定められた所定の硫黄濃度であるか否かを判定する。
【0033】
本発明者の新たな知見によれば、晶出部260で晶出される炭酸カルシウム粒子の粒子径は、材料溶液の硫黄濃度により制御され得る。具体的には、材料溶液の硫黄濃度を高くするほど炭酸カルシウム粒子の粒子径を小さくすることができ、材料溶液の硫黄濃度を低くするほど炭酸カルシウム粒子の粒子径を大きくすることができる。
【0034】
この理由は定かではないものの、材料溶液中の硫黄原子は、硫酸イオン(SO4
2-)および亜硫酸イオン(SO3
2-)などのイオンとして存在することが多く、これらのイオンが、材料溶液に溶出したカルシウムイオン(Ca2+)のカウンターイオンとして作用して材料溶液中のカルシウム濃度を高めるためであると考えられる。そのため、材料溶液中の硫黄濃度を高くするほど、材料溶液中のカルシウム濃度が低下しにくく、カルシウムは過飽和状態になりやすい。そして、過飽和状態ではカルシウムの核形成が促進されるため、粒子径が小さい炭酸カルシウム粒子が多数形成されやすい。一方で、材料溶液中の硫黄濃度を低くするほど、カルシウムイオンは過飽和状態になりにくく、核形成は促進されにくい。そのため、硫黄濃度を低くすると、炭酸カルシウム粒子は結晶成長が促進され、粒子径が大きくなると考えられる。
【0035】
本発明者の知見によれば、材料溶液の硫黄濃度が50mg/L以上10000mg/L以下であると、粒度分布におけるD50が0.1μm以上15μm未満、D90が5μm以上25μm以下の、比較的小粒径の炭酸カルシウム粒子が生成しやすい。このような小粒径の炭酸カルシウム粒子を得る観点からは、材料溶液の硫黄濃度は100mg/L以上5000mg/L以下であることが好ましく、200mg/L以上1000mg/L以下であることがより好ましい。
【0036】
一方で、材料溶液の硫黄濃度が0.01mg/L以上50mg/L未満だと、粒度分布におけるD50が15μm以上30μm以下、D90が25μm以上50μm以下の、比較的大粒径の炭酸カルシウム粒子が生成しやすい。このような大粒径の炭酸カルシウム粒子を得る観点からは、材料溶液の硫黄濃度は0.05mg/L以上10mg/L以下であることが好ましく、0.1mg/L以上1mg/L以下であることがより好ましい。
【0037】
なお、本明細書において、炭酸カルシウム粒子の粒子径(平均粒子径、D50、D90など)は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定されたものとする。
【0038】
このような知見に基づき、制御部240には、生成させようとする炭酸カルシウム粒子の粒子径に応じて予め定められた所定の硫黄濃度が記憶されている。なお、上記所定の硫黄濃度は、ある程度の範囲を有する濃度範囲として定められていることが好ましい。そして、制御部240は、濃度測定部230が測定した硫黄濃度が、上記所定の硫黄濃度(の範囲内)であるか、上記所定の硫黄濃度(の範囲内)とは異なる濃度であるか、を判定する。そして、制御部240は、測定された硫黄濃度が所定の硫黄濃度(の範囲内)とは異なるとき(工程S140:NO)には、材料溶液の硫黄濃度を上記所定の硫黄濃度(の範囲内)に調整するように、濃度調整部250の動作を制御する(次工程)。
【0039】
なお、特許文献6には、材料溶液に硫酸バリウムを添加することで炭酸カルシウム粒子を小粒径化できることが記載されている。しかし、特許文献6に記載の方法では、得られる炭酸カルシウム粒子の粒子径が安定しなかった。これは、特許文献6に記載の方法では材料溶液が元来有していた硫黄原子の濃度を考慮しておらず、材料溶液の元来の硫黄濃度によって硫酸バリウムを添加した後の硫黄濃度が変化していたためだと考えられる。これに対し、本実施形態では、前工程で材料溶液の硫黄濃度を測定したうえで、予め定められていた濃度になるように、次工程で材料溶液の硫黄濃度を調整する。そのため、炭酸カルシウム粒子を晶出させる際の硫黄濃度を、晶出させる粒子の粒子径に応じた濃度とすることができ、当該硫黄濃度に応じた狙いの粒子径を有する炭酸カルシウム粒子を晶出させることができる。
【0040】
(濃度調整:工程S150)
濃度調整部250は、濃度測定部230により測定された硫黄濃度が所定の硫黄濃度とは異なるとき(工程S140:NO)、制御部240による制御の下で、分離部220と晶出部260とを連通する流路を流通する材料溶液の硫黄濃度を、上記所定の硫黄濃度に調整する。なお、濃度測定部230により測定された硫黄濃度が所定の硫黄濃度であるとき(工程S140:YES)は、濃度調整部250による硫黄濃度の調整は行ってもよいし行わなくてもよい。
【0041】
具体的には、材料溶液の硫黄濃度が所定の硫黄濃度よりも低いときには、濃度調整部250は、材料溶液の硫黄濃度を上記所定の硫黄濃度まで高める。硫黄濃度を高める方法の例には、硫酸塩および亜硫酸塩などの硫黄を含む化合物を材料溶液に添加する方法や、硫黄酸化物を含むガスを材料溶液に導入する方法などが含まれる。これらの方法はいずれかを単独で行ってもよいし、両方を同時に、または別々に行ってもよい。
【0042】
上記硫酸塩および亜硫酸塩の例には、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、亜硫酸カリウムなどが含まれる。これらのうち、炭酸カルシウム粒子の生成に寄与しない不純物の導入を抑制し、かつ材料溶液のカルシウム濃度を高めて生成される炭酸カルシウム粒子の量を増やす観点からは、硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムが好ましい。これらの硫黄を含む化合物は、1種類のみを添加してもよいし、2種類以上を混合して、または別々に添加してもよい。
【0043】
上記硫黄酸化物を含むガスの例には、一酸化硫黄(SO)、二酸化硫黄(SO2)および三酸化硫黄(SO3)などが含まれる。これらのうち、炭酸カルシウム粒子の粒子径の制御効果が高い硫酸イオンを、材料溶液に導入されたときに生成しやすいことから、二酸化硫黄が好ましい。これらの硫黄酸化物は、窒素ガスなどのキャリアとともに導入されてもよい。また、これらの硫黄酸化物は、1種類のみを導入してもよいし、2種類以上を混合して、または別々に導入してもよい。
【0044】
また、材料溶液の硫黄濃度が所定の硫黄濃度よりも高いときには、濃度調整部250は、材料溶液の硫黄濃度を上記所定の硫黄濃度まで低下させる。硫黄濃度を低下させる方法の例には、イオン交換樹脂などにより硫黄原子を含むイオンまたは硫黄原子を含む化合物を吸着除去する方法や、硫黄をエトリンガイトなどの難溶性の塩として沈殿させ、その後ろ過などにより沈殿した固形分を除去する方法などが含まれる。上記吸着除去は、短時間で硫黄濃度を低下させることができる。上記沈殿および除去は、簡易な方法で硫黄濃度を低下させることができる。これらの方法はいずれかを単独で行ってもよいし、両方を同時に、または別々に行ってもよい。
【0045】
濃度調整部250はたとえば、上述したような硫黄濃度を高める動作を行う濃度上昇部と、上述したような硫黄濃度を低下させる動作を行う濃度低下部と、を独立に有し、これらが制御部240により独立に制御される構成とすることができる。濃度上昇部はたとえば、硫黄を含む化合物を貯留する化合物貯留槽と、上記化合物を材料溶液に添加する添加部と、を有する構成や、硫黄酸化物を含むガスを貯留するガス貯留槽と、上記ガスを材料溶液に添加する添加部と、を有する構成とすることができる。濃度低下部はたとえば、イオン交換樹脂などの除去器を有する流路や、エトリンガイトを生成させるためのアルミニウム添加物を添加する添加部などを有する構成とすることができる。
【0046】
濃度調整部250は、これらの濃度調整操作を行った後に、材料溶液の濃度を均一化するための攪拌槽や、精製した不純物、夾雑物や沈殿したエトリンガイトなどを除去するためのろ過装置などを有していてもよい。
【0047】
このようにして硫黄濃度を調整された材料溶液は、制御部240による制御の下で、晶出部260に送られる。
【0048】
(炭酸カルシウム粒子の晶出:工程S160)
晶出部260は、所定の硫黄濃度を有する材料溶液から、炭酸カルシウム粒子を晶出させる。
【0049】
炭酸カルシウム粒子を晶出させる方法は特に限定されないが、二酸化炭素の導入や、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムなどの炭酸塩の添加などにより、材料溶液中で溶解しているカルシウムイオン(Ca2+)と炭酸イオン(CO3
2-)とを反応させる方法が好ましい。これらのうち、工程が容易であり、炭酸固定により温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を低減する効果も見込まれ、さらには不要な副生成物の生成が少ないことから、二酸化炭素の導入が好ましい。
【0050】
本実施形態において、晶出部260は、炭酸カルシウム粒子を晶出させる晶出槽262を有し、晶出槽262は、モーター264により駆動される攪拌器266を有する。また、晶出部260は、二酸化炭素を含むガスを貯留するガスタンク268を有する。晶出部260は、制御部240による制御の下で攪拌器266を回転させて、晶出槽262中の材料溶液を攪拌する。同時に、晶出部260は、制御部240による制御の下でガスタンク268から供給された二酸化炭素を含むガスを気泡化して晶出槽262に導入(バブリング)して、炭酸カルシウム粒子を晶出させる。
【0051】
導入されるガス中の二酸化炭素の濃度は特に限定されず、たとえば導入するガスのうち10体積%以上100体積%以下とすることができる。二酸化炭素濃度を10体積%以上とすることで、短時間で炭酸カルシウム粒子を晶出させることができる。
【0052】
なお、二酸化炭素を含むガスは、工場排ガスや、石油および天然ガスの燃焼排ガス、および廃棄物の焼却排ガスなどであってもよい。これらの排ガスを使用することで、大気中への二酸化炭素の排出量を低減して、環境負荷の低減に寄与することができる。
【0053】
二酸化炭素の導入条件は特に限定されない。たとえば、二酸化炭素の導入速度は、0.01L/min以上10L/min以下とすることができる。また、二酸化炭素の導入時間は、60分以上240分以下とすることができる。また、二酸化炭素の導入温度は、10℃以上40℃以下とすることができる。
【0054】
二酸化炭素を導入するときの材料溶液のpHは、7.0以上であることが好ましい。pHを7.0以上とすることで、炭酸カルシウムとして晶出したカルシウムの再溶解を抑止することができる。材料溶液のpHは、7.0以上13.0以下であることが好ましく、8.0以上13.0以下であることがより好ましい。
【0055】
また、材料溶液に種結晶を投入して、炭酸カルシウム粒子の結晶化を促進させてもよい。ただし、種結晶の表面で結晶成長が生じることや、種結晶が新たな結晶核の生成を促進することによる、粒子径のばらつきを抑制する観点からは、種結晶を投入しないことが好ましい。
【0056】
このようにして晶出した炭酸カルシウム粒子を含む材料溶液は、制御部240による制御の下で、回収部270に送られる。
【0057】
(ろ過:工程S170)
回収部270は、炭酸カルシウム粒子を含む材料溶液をろ過して、炭酸カルシウム粒子を回収する。
【0058】
回収部270によるろ過は、吸引ろ過などの公知の方法で行えばよい。
【0059】
回収された炭酸カルシウム粒子は、必要に応じて乾燥や粉砕されてもよい。また、用途に応じて、脂肪酸などによる表面処理を施されてもよい。ろ過によりろ別された液体成分(処理液)は、廃液処理をされて廃棄されてもよいし、他の用途に使用されてもよいし、材料溶液として再利用してもよい。
【0060】
このようにして得られた炭酸カルシウム粒子は、プラスチック、紙および塗料などへの充填材、農薬および肥料などの土壌改良剤、接着剤、シーラント、研磨作用を利用して消しゴムや歯磨剤、炭酸カルシウム粒子を主原料としたシート・フィルム状の紙代替製品や、プラスチック代替製品ならびに、食品添加物および化粧品原料などの幅広い用途に使用することができる。
【0061】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態は本発明の一例を示すものであり、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において、他の種々多様な各実施形態も可能であることは言うまでもない。
【0062】
たとえば、材料溶液の濃度を測定する工程(工程S130)において、濃度測定部230は、硫黄以外の元素の濃度も測定してもよい。そして、判定工程(工程S140)による判定を経て、材料溶液の濃度を調製する工程(工程S150)において、濃度調整部250は、硫黄以外の他の元素の濃度も調整してもよい。なお、上述した濃度の測定方法であれば、濃度測定部230による濃度の測定の際に、硫黄以外の元素の濃度も同時に測定することができる。なお、他の元素の濃度の測定、判定および調整は、硫黄濃度の測定、判定および調整と同時に行ってもよいし、これとは別に行ってもよい。
【0063】
本発明者の知見によると、硫黄濃度とともに、バリウム濃度やカルシウム濃度も調整することで、炭酸カルシウム粒子の粒子径をさらに微調整することができる。そのため、濃度測定部230が材料溶液中のバリウム濃度やカルシウム濃度を測定し、制御部240により予め定められた所定のバリウム濃度やカルシウム濃度であるか否かを判定したうえで、所定のバリウム濃度やカルシウム濃度とは異なるときには、濃度調整部250により材料溶液中のバリウム濃度やカルシウム濃度を所定のバリウム濃度やカルシウム濃度に調整することで、炭酸カルシウム粒子の粒子径をさらに微調整してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、固液分離を行う分離部220から晶出を行う晶出部260に流通する間で、材料溶液の硫黄濃度の測定、判定および調整を行っていた。しかし、これらの測定、判定および調整は、晶出部260において、晶出前(たとえば、二酸化炭素の導入前)に行ってもよいし、晶出中(たとえば、二酸化炭素を導入している間)に行ってもよい。また、硫黄濃度の測定および判定を、抽出部210によるカルシウムの抽出中に行い、判定結果に応じて抽出条件を変更して、カルシウム原料からの硫黄の抽出量を変化させてもよい。
【実施例】
【0065】
本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0066】
[実験1]
1.材料の用意
市販のポルトランドセメントを用意し、カルシウム原料とした。800gのカルシウム原料と、3200mLのイオン交換水とを混合し、攪拌してカルシウム原料を懸濁させた懸濁液を得た。その後、固液分離装置により上記懸濁液をろ過し、カルシウム含有溶液(材料溶液)を得た。
【0067】
このとき、ポルトランドセメントの出所または攪拌の条件を変更して、組成が異なる4つのカルシウム含有溶液1~カルシウム含有溶液4(以下、単に「Ca溶液1」~「Ca溶液4」ともいう。)を得た。
【0068】
これらのカルシウム含有溶液の組成を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)で測定し、Ca溶液2000mL中の各元素の濃度を調べた。Ca溶液1~Ca溶液4について測定された元素濃度を、表1に示す。なお、表1に示した各元素の濃度の単位は、mg/Lである。
【0069】
【0070】
それぞれのカルシウム含有溶液のpHを7.0以上に調整し、二酸化炭素(CO2)と窒素(N2)との混合ガスを導入(バブリング)して、炭酸カルシウムを晶出させた。混合ガスは、CO2濃度を10体積%とした。導入時の混合ガスの流量は、50mL/minとした。導入は、90分間行った。
【0071】
混合ガスの導入を停止した後、それぞれのカルシウム含有溶液に対して吸引ろ過を行って、炭酸カルシウム粒子を得た(Ca溶液1~Ca溶液4から得られた炭酸カルシウム粒子を、それぞれ「CaCO3粒子1」~「CaCO3粒子4」とする。)。レーザ回折式粒度分布測定装置(Malvern Panalytical社製 MASTERSIZER3000)を使用して、それぞれの炭酸カルシウム粒子の粒度分布を測定した。測定された粒度分布から、それぞれの炭酸カルシウム粒子のD50およびD90を算出した。
【0072】
また、カルシウム含有溶液中のカルシウム量(モル)に対する、得られた炭酸カルシウム粒子の質量から計算した炭酸カルシウム粒子中のカルシウム量(モル)の比率を計算して、それぞれの炭酸カルシウム粒子の晶出率を算出した。
【0073】
CaCO3粒子1~CaCO3粒子4のD50およびD90を、表2に示す。
【0074】
【0075】
表1および表2の結果から、カルシウム含有溶液(材料溶液)の硫黄濃度に応じて、生成される炭酸カルシウム粒子の粒子径が変化することがわかる。
【0076】
[実験2]
実験1で得られたCa溶液4に、硫酸ナトリウムを添加して、硫黄濃度を500mg/Lに変化させたカルシウム溶液5(Ca溶液5)を得た。
【0077】
Ca溶液5に、実験1と同様の条件で二酸化炭素と窒素との混合ガスを導入し、炭酸カルシウム粒子(CaCO3粒子5)を得た。CaCO3粒子5の粒子径を実験1と同様に測定したところ、D50は8.3μm、D90は15.3μmだった。また、炭酸カルシウム粒子の晶出率は、69.6%だった。
【0078】
実験2の結果から、カルシウム含有溶液(材料溶液)の硫黄濃度を変化させることで、生成される炭酸カルシウム粒子の粒子径を硫黄濃度に応じて変化させ得ることがわかる。
【0079】
[実験3]
実験1で得られたCa溶液2に、塩化バリウムを添加して、バリウム濃度を2.3mg/Lに変化させたカルシウム溶液6(Ca溶液6)を得た。
【0080】
Ca溶液6に、実験1と同様の条件で二酸化炭素と窒素との混合ガスを導入し、炭酸カルシウム粒子(CaCO3粒子6)を得た。CaCO3粒子6の粒子径を実験1と同様に測定したところ、D50は11.4μm、D90は19.6μmだった。また、炭酸カルシウム粒子の晶出率は、42.0%だった。
【0081】
実験3の結果から、カルシウム含有溶液(材料溶液)のバリウム濃度を変化させることで、生成される炭酸カルシウム粒子の粒子径をバリウム濃度に応じて微調整できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、所望の粒子径を有する炭酸カルシウム粒子を簡易な方法で得ることができる。そのため、本発明は、炭酸カルシウム粒子による炭酸固定の効率を高め、環境負荷をより一層低減させ、さらには各種用途への炭酸カルシウム粒子の普及をさらに促進すると期待される。
【符号の説明】
【0083】
200 製造装置
210 抽出部
212 抽出槽
214 モーター
216 攪拌器
220 分離部
230 濃度測定部
240 制御部
250 濃度調整部
260 晶出部
262 晶出槽
264 モーター
266 攪拌器
268 ガスタンク
270 回収部
【要約】 (修正有)
【課題】簡易な方法で、狙いの粒子径を有する炭酸カルシウム粒子を生成することができる、炭酸カルシウム粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、カルシウムを含む材料溶液の硫黄濃度を測定する工程と、前記測定された硫黄濃度が、晶出させる炭酸カルシウムの粒径に応じて定められた所定の硫黄濃度とは異なる濃度であるときに、前記材料溶液の硫黄濃度を前記所定の硫黄濃度に調整する工程と、前記硫黄濃度を調整された前記材料溶液に二酸化炭素または炭酸イオンを導入して、炭酸カルシウムを晶出させる工程と、を有する、炭酸カルシウム粒子の製造方法に関する。
【選択図】
図1