(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】蒸気浴装置
(51)【国際特許分類】
A61H 33/10 20060101AFI20240717BHJP
A61H 33/06 20060101ALI20240717BHJP
A61F 7/00 20060101ALI20240717BHJP
A61H 35/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61H33/10 R
A61H33/06 M
A61F7/00 320E
A61H35/00 K
(21)【出願番号】P 2023207484
(22)【出願日】2023-12-08
【審査請求日】2023-12-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524155909
【氏名又は名称】渡邊 鷹海
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 鷹海
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-125762(JP,A)
【文献】特開2009-034298(JP,A)
【文献】登録実用新案第3242424(JP,U)
【文献】特開2009-055968(JP,A)
【文献】特開2014-023594(JP,A)
【文献】特開昭60-072553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00-10
A61H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に薬草を用いた蒸気浴を提供するための蒸気浴装置であって、
前記薬草を含む液体から蒸気を生成させるための加熱装置と、
水からミストを生成するための霧発生装置と
、
前記霧発生装置を内部に収納可能であり開口部を有する筐体と、
前記筐体の外部に存在する前記加熱装置からの前記蒸気を前記筐体内部に取り込むためのダクトと
を備え、
前記蒸気の吐出口である前記ダクトの一端と、前記霧発生装置の吹出口とは一体ではなく、前記吹出口から前記筐体内に吹き出した前記ミストに前記ダクトの一端から吐出された前記蒸気が接触可能なように前記ダクトは前記筐体に接続され
前記水と前記薬草を含む液体とは混合することなく、
前記蒸気と前記ミストとの混合体を
前記開口部から前記対象者に放出するように構成されている、
蒸気浴装置。
【請求項2】
前記霧発生装置は、超音波発生機構を備える、請求項1に記載の蒸気浴装置。
【請求項3】
前記蒸気浴装置は、前記混合体の温度が43℃以下であるように前記霧発生装置および
/または前記加熱装置を制御するように構成されている、請求項
1に記載の蒸気浴装置。
【請求項4】
さらに、前記霧発生装置は、水素発生装置、酸化チタン供給装置、化粧水またはアロマ
オイルを供給する供給装置の少なくとも1つを備える、請求項1に記載の蒸気浴装置。
【請求項5】
さらに、前記対象者を収容するマントと、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の蒸気浴装置と
を備えた、蒸気浴装置キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬草を用いた蒸気浴を提供するための蒸気浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、よもぎは薬理作用が豊かで婦人病の治療に効果があることから、よもぎを煮て発生させた蒸気を体の患部などに当てる、いわゆるよもぎ蒸しが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、よもぎ蒸しに用いる椅子が開示されている。この椅子は、よもぎと水を入れる容器と、この容器を加熱する加熱手段と、これらを収容する筐体とを有し、この筐体の座面には、よもぎの加熱により発生した蒸気を筐体の外に出すための開口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載のよもぎ蒸しに用いられる椅子では、利用者が筐体の内部から出た蒸気で火傷するおそれがあるという大きな問題があった。また、蒸気は透明であることから、蒸気が患部など所望の部位に行き渡っているのかどうかが分かりにくいという問題もあった。
【0006】
本発明は、薬草の加熱により生じた蒸気による火傷の抑制することを目的とする。また本発明の別の目的として、薬草の蒸気の可視化を可能とする蒸気浴装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の項目を提供する。
【0008】
(項目1)
対象者に薬草を用いた蒸気浴を提供するための蒸気浴装置であって、
前記薬草を含む液体から蒸気を生成させるための加熱装置と、
霧状体の水を生成するための霧発生装置と
を備え、
前記蒸気と前記霧状体の水との混合体を前記対象者に放出するように構成されている、蒸気浴装置。
【0009】
(項目2)
前記対象者の座面に開口部を有する筐体を有し、前記混合体は前記筐体内から前記開口部を経て外部に放出するように構成されている、項目1に記載の蒸気浴装置。
【0010】
(項目3)
前記筐体は、内部に前記霧発生装置を備えるとともに、前記筐体の外部に存在する前記加熱装置からの前記蒸気を前記筐体内部に取り込むためのダクトを備える、項目2に記載の蒸気浴装置。
【0011】
(項目4)
前記霧発生装置は、超音波発生機構を備える、項目1に記載の蒸気浴装置。
【0012】
(項目5)
前記蒸気浴装置は、前記混合体の温度が43℃以下であるように前記霧発生装置および/または前記加熱装置を制御するように構成されている、項目4に記載の蒸気浴装置。
【0013】
(項目6)
さらに、前記霧発生装置は、水素発生装置、酸化チタン供給装置、化粧水またはアロマオイルを供給する供給装置の少なくとも1つを備える、項目1に記載の蒸気浴装置。
【0014】
(項目7)
さらに、前記対象者を収容するマントと、
項目1~6のいずれか一項に記載の蒸気浴装置と
を備えた、蒸気浴装置キット。
【0015】
(項目8)
前記マントの内側にはアルミ膜を備える、項目7に記載の蒸気浴装置キット。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、薬草の加熱により生じた蒸気による火傷の抑制、および/または薬草の蒸気の可視化を可能とする蒸気浴装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態1による蒸気浴装置100を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0019】
本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
【0020】
本発明は、薬草の加熱により生じた蒸気による火傷の抑制、および/または薬草の蒸気の可視化を可能とする蒸気浴装置を得ることを課題とし、
対象者に薬草を用いた蒸気浴を提供するための蒸気浴装置であって、
薬草を含む液体から蒸気を生成させるための加熱装置と、
霧状体の水を生成するための霧発生装置と
を備え、
蒸気と霧状体の水との混合体を対象者に放出するように構成されている、蒸気浴装置を提供することにより、上記の課題を解決したものである。
【0021】
従って、本発明の蒸気浴装置は、薬草を含む液体の加熱により生じた蒸気に霧状体の水を混合して対象者に放出するものであれば、特に限定されるものではない。
【0022】
(加熱装置)
例えば、加熱装置は、発熱源を有するものでも有さないものでもよいが、発熱源を有する場合は、加熱装置は、例えば、水および薬草を収容した容器を、発熱源の発熱により水および薬草とともに加熱するものである。ここで、発熱源は、ヒータ、バーナー、あるいは磁力の変化で加熱される発熱体でもよい。また、加熱装置は、発熱源を有さない場合は、例えば、容器内の水および薬草をマイクロ波で直接加熱するものである。
【0023】
なお、薬草も特定のものに限定されるものではないが、代表的な薬草はよもぎである。
【0024】
また、よもぎ以外の薬草としては以下のものが挙げられる。
【0025】
例えば、冷えに効くものとして蒸し生姜が挙げられる。
【0026】
さらに、冷えに対する効果に加えて血流改善を図るには、蒸し生姜に加えて熊笹、松葉、朝鮮人参などが混入することが有効である。
【0027】
むくみに効くものとしては、桂枝(けいし)、ハトムギが挙げられる。
【0028】
便通に効くものとして、棗(なつめ)が挙げられる。
【0029】
なお、棗(なつめ)は冷え対策あるいは血流対策に使う人もいる。
【0030】
さらには、ストレスの緩和には、みかんの皮、エゾウコギ、紫蘇などが有効である。
【0031】
婦人科系の体調不良には、当帰(とうき)、せんきゅうなどが有効である。
【0032】
(霧発生装置)
霧発生装置は、霧状体の水(水のミスト)を生成するものであれば、水を噴霧して霧状体にする機構は限定されるものではなく、水を吐出するノズルの構造によるものでもよいし、あるいは超音波発生機構によるものでもよい。
【0033】
(蒸気と霧状体の水との混合のための機構)
蒸気と霧状体の水との混合のための機構も、蒸気が対象者に当たる前に蒸気と霧状体の水との混合が行われるように構成された機構であれば、その他の構成は限定されるものではない。
【0034】
例えば、蒸気浴装置が対象者の座面に開口部を有する筐体を有する場合、蒸気浴装置は、混合体が筐体内から開口部を経て外部に放出するように構成される。
【0035】
ここで、筐体は、内部に霧発生装置を備えるとともに、筐体の外部に存在する加熱装置からの蒸気を筐体内部に取り込むためのダクトを備えていてもよい。
【0036】
あるいは、筐体は、内部に加熱装置を備えるとともに、筐体の外部に存在する霧発生装置からの霧状体の水を筐体内部に取り込むためのダクトを備えていてもよい。
【0037】
さらには、加熱装置および霧発生装置は、筐体の外部に存在しており、筐体は、霧発生装置からの霧状体の水を筐体内部に取り込むためのダクトと、加熱装置からの蒸気を筐体内部に取り込むためのダクトとを備えていてもよい。
【0038】
霧状体の水の温度は、混合体の温度を対象者が火傷しない程度の温度まで冷却できる温度であればよい。
【0039】
霧状体の水の温度は、霧発生装置に提供される水などの液体の温度で調整可能であり、蒸気浴装置は、霧発生装置に供給する水などの液体を加熱あるいは冷却する手段を有していてもよい。
【0040】
また、混合体の温度は、対象者が火傷しない程度の温度であればよく、蒸気浴装置は、例えば、混合体の温度が43℃以下であるように霧発生装置および/または加熱装置を制御するように構成されていることが好ましい。低温火傷を生じる温度が44℃~50℃前後であるため、その温度よりも低い温度に調整することで火傷を防止することが可能となる。
【0041】
混合体の温度の調整方法としては、例えば、霧発生装置および/または加熱装置では単位時間当たりに発生する霧状体の液体の量および/または蒸気の量で混合体の温度を制御してもよいが、混合体の温度は、霧状体の温度で制御してもよい。
【0042】
さらに、霧発生装置は、水素発生装置、酸化チタン供給装置、化粧水またはアロマオイルを供給する供給装置の少なくとも1つを備えることが好ましい。なぜなら、霧発生装置がこれらの装置の少なくとも1つを備えることで、混合体には、水素ガス、酸化チタン、化粧水、あるいはアロマオイルの成分が含まれることとなり、薬草の蒸気浴による効果に加えて、日々の生活で体に溜まった活性酸素を水素で無毒化する効果、酸化チタンによる紫外線防御効果、化粧水により肌に潤いを与える効果、整肌効果、アロマオイルによりストレスなどによる体や心の緊張をほぐす効果などが得られる。また、アロマオイルなどは高温になると香りなど効果が著しく減少するが、本発明のように加熱装置は別に高温とはならない霧発生装置に供給することでその効果の減少を防ぐことが可能となる。
【0043】
さらに、このような蒸気浴装置は、対象者を収容するマントとともに蒸気浴装置キットを構成することが好ましい。対象者はマントを着用し、マント内で薬草の蒸気と霧状体の水との混合体を導入することで、家でこの蒸気浴装置を用いて薬草の蒸気浴を手軽に行うことが可能となる。
【0044】
さらに、マントの内側にはアルミ膜を備えることが好ましい。アルミ膜を備えることで、マント内部からマント外部への赤外線放散を抑制することができ、マント内部の保温効果を高めることができるからである。また、水素は分子が小さいのでアルミ以外の素材ではマントを抜けてしまい効果が軽減してしまうことも、アルミ膜を備えることの好ましい理由である。上述においてはアルミ膜で説明したが、水素分子の透過を防ぐ効果が得られる膜であれば、アルミ膜に限定されずその他の組成からなる膜であってもよい。また、マントは抗菌・抗ウイルス処理されたものであったり、ディスポーザブルであってもよい。ディスポーザブルにすることで衛生面での品質を確実に確保することが可能となる。
【0045】
また、蒸気浴を提供される対象者を収容する収容体は、対象者の首から下の部分を収容するマントに限定されるものではなく、対象者の全身を覆う収容室であってもよい。
【0046】
また、超音波発生機構による霧状体の水(水のミスト)の発生は、発生するミストが細かくなり浮遊しやすくなることから全身を包み込む全身蒸気浴に適しており、従って、収容室の具体的な形態として、例えば、対象者が1人の場合は、人ひとりの全身を包み込むように内部空間が確保された全身蒸気浴の筐体が用いられてもよいし、あるいは、対象者が複数人の場合は、例えば、多人数を収容可能なサウナルームが用いられてもよい。この場合、霧状体の水を派生させるための水に、化粧水タイプあるいは粉末タイプの入浴剤を混入させることで美容効果あるいはリラックス効果を得ることが期待される。
【0047】
このように本発明の蒸気浴装置は、薬草を含む液体の加熱により生じた蒸気に霧状体の水を混合して対象者に放出するものであれば、特に限定されるものではないが、以下の実施形態では、蒸気浴装置として、対象者の座面に開口部を有する筐体を有し、蒸気と霧状体の水との混合体が筐体内から開口部を経て外部に放出するように構成されているものを挙げる。
【0048】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0049】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による蒸気浴装置100を含む蒸気浴装置キット10を説明するための図であり、
図1(a)は蒸気浴装置キット10の全体を示し、
図1(b)は、蒸気浴装置キット10を構成する蒸気浴装置100における筐体101の内部の構成を示す。
【0050】
実施形態1の蒸気浴装置100は、
図1(a)に示すように、対象者Tに薬草を用いた蒸気浴を提供するための蒸気浴装置であり、薬草を含む液体(ここでは水)から蒸気Sを生成させるための加熱装置110と、霧状体の水Wを生成するための霧発生装置120とを備えている。そして、この蒸気浴装置100は、蒸気Sと霧状体の水Wとの混合体Mを対象者Tに放出するように構成されている。
【0051】
具体的には、蒸気浴装置100は、対象者Tの座面に開口部101aを有する筐体101を有し、混合体Mが筐体101内から開口部101aを経て外部に放出するように構成されている。
【0052】
ここで、筐体101は、内部に霧発生装置120を備えるとともに、筐体101の外部に存在する加熱装置110からの蒸気Sを筐体101の内部に取り込むためのダクト130を備えている。また、霧発生装置120は、超音波発生機構を備えており、水に超音波振動を与えて霧状体を形成するように構成されている。この霧発生装置120では、水を加熱しているわけではないので、例えば室温(約25℃)の水を超音波振動で噴霧して霧状体の水に変換した場合、霧状体の水の温度は、噴霧前の水の温度(約25℃)と同じである。ただし、蒸気浴装置100が、霧発生装置120に供給される水を加熱あるいは冷却する手段を有することで、霧状体の水の温度を適宜調整可能である。
【0053】
また、この蒸気浴装置100は、混合体Mの温度が43℃以下であるように霧発生装置120および/または加熱装置110を制御するように構成されている。ここで、霧状態の水の上限温度あるいは混合体Mの上限温度を43℃としているのは、この温度が低温火傷が生じる温度である44℃~50℃よりも低い温度であり対象者が火傷をすることを防止することが可能となる。
【0054】
加熱装置110での制御は、単位時間当たりに発生させる蒸気の量の制御であり、霧発生装置120での制御は、単位時間当たりに発生させる霧状体の水の量の制御である。ただし、蒸気浴装置100が、霧発生装置120に供給される水を加熱あるいは冷却する手段を有する場合は、混合体Mの温度制御は、霧発生装置120に供給される水を、加熱手段あるいは冷却手段で制御することで行うこともできる。
【0055】
筐体101内では、ダクト130の一端側(筐体101内側)の開口である蒸気Sの吐出口130aは、霧発生装置120における霧状体の水Wの吹出口120aの直上に近接させて配置されている。これにより筐体101の外部に存在する加熱装置110からの蒸気Sは、筐体101の座面の開口部101aから出る前に筐体101内で霧状体の水Wと混合されて冷却される。
【0056】
ここで、実施形態1の蒸気浴装置100は、対象者Tを収容するマント11で覆ったに蒸気浴を提供するものであり、マント11とともに蒸気浴装置キット10として提供されるものであり、以下、蒸気浴装置キット10の使用方法を説明する。
【0057】
対象者Tは、衣服を脱いで
図1(a)に示すように身体の首から下の部分を覆うようにマント11を装着した状態で、筐体101の座面に筐体101もマント11に覆われるようにして座る。ここで、マント11にはその内側にアルミ膜が取り付けられたものを用いる。なお、マント11はアルミ膜を有していないものでもよい。
【0058】
その後、筐体101内に収容されている霧発生装置120をオンして霧状体の水Wを発生させると同時に、加熱装置110をオンして薬草を水とともに加熱して薬草の蒸気Sを発生させると、薬草の蒸気Sはダクト130を通ってマント11内の筐体101に導入され、筐体101内の霧発生装置120から筐体101内に噴出してくる霧状体の水Wが薬草の蒸気Sに混入される。このように筐体101内での薬草の蒸気Sへの霧状体の水Wの混入により得られた混合体Mは、筐体101の開口部101aから筐体101の外部に出て対象者Tの下半身の対象部位に当たる。
【0059】
このように、本実施形態1の蒸気浴装置100では、対象者Tが座る座面を有する筐体101の外部に存在する加熱装置110からの蒸気Sは、筐体101の座面の開口部101aから出る前に筐体101内で霧状体の水Wと混合されるので、加熱装置110からの蒸気Sは、霧発生装置120からの霧状体の水Wで冷却されることとなり、これにより、対象者Tが薬草の蒸気Sで火傷することを回避あるいは抑制することができる。
【0060】
また、加熱装置110からの蒸気Sに、霧発生装置120からの霧状体の水Wが混合されることで、加熱装置110からの無色透明の蒸気Sがこれに含まれる霧状体により可視化されることとなり、薬草の蒸気Sが体の所望の箇所に行き渡っているかを確認することが可能となる。
【0061】
なお、上記実施形態1では、霧発生装置120は水の噴霧により霧状体の水を生成するものとしているが、霧発生装置120は水素発生装置、酸化チタン供給装置、化粧水またはアロマオイルを供給する供給装置の少なくとも1つを備えていてもよい。
【0062】
例えば、霧発生装置が水素発生装置を備える場合、蒸気浴装置100では、薬草の蒸気浴による効果に加えて、日々の生活で体に溜まった活性酸素を水素で無毒化する効果が得られる。
【0063】
また、霧発生装置が酸化チタン供給装置を備える場合、蒸気浴装置100では、薬草の蒸気浴による効果に加えて、酸化チタンによる紫外線防御効果が得られる。
【0064】
また、霧発生装置が化粧水またはアロマオイルを供給する供給装置を備える場合、化粧水により肌に潤いを与える効果、アロマオイルによりストレスなどによる体や心の緊張をほぐす効果などが得られる。
【0065】
また、上記実施形態1では、蒸気浴を提供される対象者を収容する収容体は、対象者の首から下の部分を収容するマントである場合を示したが、超音波発生機構による霧状体の水(水のミスト)の発生は、発生するミストが細かくなり浮遊しやすくなることから、全身を包み込む全身蒸気浴に適していることを考慮すると、収容体は、対象者の全身を収容するように覆うものであってもよい。このような収容体の具体的な形態として、例えば、対象者が1人の場合は、人ひとりの全身を包み込むように内部空間が確保された筐体が用いられてもよい。また、対象者が複数人の場合は、例えば、収容体として多人数を収容可能なサウナルームが用いられてもよい。
【0066】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、蒸気浴装置の分野において、薬草の加熱により生じた蒸気による火傷の抑制、および/または薬草の蒸気の可視化を可能とする蒸気浴装置を得ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0068】
10 蒸気浴キット
11 蒸気浴マント
100 蒸気浴装置
101 筐体
101a 開口部
110 加熱装置
120 霧発生装置
120a 吹出口
130 ダクト
130a 吐出口
M 混合体
S 蒸気
T 対象者
W 霧状体の水
【要約】
【課題】本発明の課題は、薬草の加熱により生じた蒸気による火傷の抑制、および/または薬草蒸気の可視化を可能とする蒸気浴装置を得ることである。
【解決手段】本発明の蒸気浴装置100は、対象者Tに薬草を用いた蒸気浴を提供するための蒸気浴装置であって、前記薬草を含む液体から蒸気Sを生成させるための加熱装置110と、霧状体の水Wを生成するための霧発生装置120とを備え、前記蒸気Sと前記霧状体の水Wとの混合体Mを前記対象者Tに放出するように構成されている。
【選択図】
図1