IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7522293バッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システム
<>
  • 特許-バッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システム 図1
  • 特許-バッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システム 図2A
  • 特許-バッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システム 図2B
  • 特許-バッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システム 図3
  • 特許-バッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システム 図4A
  • 特許-バッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システム 図4B
  • 特許-バッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システム 図4C
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】バッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240717BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J7/00 S
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023502589
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2020102403
(87)【国際公開番号】W WO2022011640
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チェン,バオグオ
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ジエンホア
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-231290(JP,A)
【文献】特開2001-161068(JP,A)
【文献】特開平04-049843(JP,A)
【文献】特開昭62-135233(JP,A)
【文献】特開2005-129036(JP,A)
【文献】特開2011-160517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0092311(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106532889(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-11/00
H02M3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニット及びDCDCコンバータを含むバッテリーアセンブリであって、
前記制御ユニットは、前記バッテリーアセンブリが第1の負荷に電力を供給するプロセスにおいて前記第1の負荷が短絡したとき、前記DCDCコンバータを制御して第1の電流を出力するように構成され、
前記第1の電流は、前記バッテリーアセンブリの最大公称放電電流よりも大きく、前記第1の負荷とバスバーとの間の電気接続を遮断するために使用され、前記バッテリーアセンブリの短絡保護電流よりも小さく、前記バッテリーアセンブリの前記最大公称放電電流は、前記バッテリーアセンブリが正常に放電されるときに許容される最大電流であり、前記バッテリーアセンブリの前記短絡保護電流は、前記バッテリーアセンブリと前記バスバーとの間の電気接続を遮断するために使用できる電流である、バッテリーアセンブリ。
【請求項2】
前記バッテリーアセンブリはバッテリーパックを更に含み、
前記DCDCコンバータの第1の端子は前記バッテリーパックの正極に電気的に接続され、前記DCDCコンバータの第2の端子は前記バッテリーパックの負極に電気的に接続され、前記DCDCコンバータの第3の端子は第1のバスバーに電気的に接続され、前記DCDCコンバータの第4の端子は第2のバスバーに電気的に接続され、前記DCDCコンバータの第5の端子は前記制御ユニットに電気的に接続され、前記第1のバスバー及び前記第2のバスバーは直流電流を提供するように構成され、前記第1の負荷は前記第1のバスバーと前記第2のバスバーとの間に並列に電気的に接続され、
前記制御ユニットは、前記第1の負荷が短絡したとき、第1の信号の第3のパルス幅に基づいて、前記DCDCコンバータを制御して前記バッテリーアセンブリの等価出力インピーダンスを減少させ、前記バッテリーアセンブリの放電電流を前記第1の電流になるように制御するように具体的に構成され、
前記第1の信号は前記DCDCコンバータにおけるパワースイッチングトランジスタのデューティサイクルを表し、前記第1の信号のパルス幅は、前記バッテリーアセンブリの前記等価出力インピーダンスを調整し、前記バッテリーアセンブリの前記放電電流を制御するために使用される、請求項1に記載のバッテリーアセンブリ。
【請求項3】
前記制御ユニットは、放電状態の前記バッテリーアセンブリのポート電圧を監視し、前記放電状態の前記バッテリーアセンブリの前記ポート電圧が第1のプリセット電圧以下であるとき、前記DCDCコンバータを制御して前記第1の電流を出力するように更に具体的に構成される、請求項1又は2に記載のバッテリーアセンブリ。
【請求項4】
電源アセンブリ、第1のバスバー、第2のバスバー及び請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のバッテリーアセンブリを含むエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記エネルギー貯蔵システムは監視ユニットを更に含み、前記監視ユニットは前記電源アセンブリに電気的に接続され、
電源コンポーネントは、電源が停電に遭遇した後に、停電アラーム信号を前記監視ユニットに送出するように構成され、
前記監視ユニットは、前記停電アラーム信号を受信したとき、電気負荷における二次負荷を電源オフにするように制御するように更に構成される、請求項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵システムは、以下のもの、すなわち、データセンタ、通信局又はエネルギー貯蔵発電所のいずれか1つを含む、請求項又はに記載のエネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、エネルギー技術の分野に関し、特にバッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池又はリチウム電池のようなバッテリーアセンブリは、様々な電源バックアップシナリオに広く適用されている。しかし、実際の適用プロセスでは、通常では、負荷が短絡し、及び/又は、電源が停電に遭遇し、その結果、システムが容易に故障する。
【発明の概要】
【0003】
この出願は、負荷が短絡したとき、及び/又は、電源が停電に遭遇したとき、エネルギー貯蔵システムが故障するという現象を解決するための、バッテリーアセンブリ及び蓄電システムを提供する。バッテリーアセンブリは、負荷が短絡したときの短絡電流制限出力の特性を有し、振幅がバッテリーアセンブリの最大公称放電電流よりも大きく且つバッテリーアセンブリの短絡保護電流よりも小さい放電電流を出力でき、それにより、バッテリーアセンブリの前にエネルギー貯蔵システムから負荷が切断され、エネルギー貯蔵システムにおけるバスバー(busbar)電圧が自動的に回復できるようにする。さらに、バッテリーアセンブリは、電源が停電に遭遇した後の短時間の過負荷放電能力を有する。バッテリーアセンブリの放電能力は、電源が停電に遭遇した時点から二次負荷が電源オフになる時点までの期間に向上でき、それにより、バッテリーアセンブリは一次負荷及び二次負荷の双方に電力を供給し、エネルギー貯蔵システムが故障しないことを確保するようにする。さらに、電源が停電に遭遇した後に、二次負荷が電源オフになるまで、バッテリーアセンブリの最大公称放電能力が回復でき、それにより、バッテリーアセンブリは一次負荷に電力を供給し、一次負荷の電力バックアップ持続時間を確保するようにする。
【0004】
第1の態様によれば、この出願は、制御ユニット及びDCDCコンバータを含むバッテリーアセンブリを提供する。
【0005】
制御ユニットは、バッテリーアセンブリが第1の負荷に電力を供給するプロセスにおいて第1の負荷が短絡したとき、DCDCコンバータを制御して第1の電流を出力するように構成される。第1の電流は、バッテリーアセンブリの最大公称放電電流よりも大きく、第1の負荷とバスバーとの間の電気接続を遮断するために使用され、バッテリーアセンブリの短絡保護電流よりも小さく、バッテリーアセンブリの最大公称放電電流は、バッテリーアセンブリが正常に放電されるときに許容される最大電流であり、バッテリーアセンブリの短絡保護電流は、バッテリーアセンブリとバスバーとの間の電気接続を遮断するために使用できる電流である。
【0006】
第1の態様において提供されるバッテリーアセンブリは、短絡電流制限出力の特性を有する。具体的には、バッテリーアセンブリは、いずれか1つの負荷が短絡したとき、電流制限動作を継続でき、バッテリーアセンブリにより出力される放電電流の振幅は、バッテリーアセンブリの最大公称放電電流よりも大きく且つバッテリーアセンブリの短絡保護電流よりも小さく、バッテリーアセンブリの放電電流の持続時間は安定しており制御可能であり、それにより、いずれか1つの負荷が短絡したとき、短絡した負荷がバッテリーアセンブリの前にエネルギー貯蔵システムから切断され、エネルギー貯蔵システムにおけるバスバー電圧が自動的に回復できるようにする。
【0007】
可能な設計では、バッテリーアセンブリはバッテリーパックを更に含み、DCDCコンバータの第1の端子はバッテリーパックの正極に電気的に接続され、DCDCコンバータの第2の端子はバッテリーパックの負極に電気的に接続され、DCDCコンバータの第3の端子は第1のバスバーに電気的に接続され、DCDCコンバータの第4の端子は第2のバスバーに電気的に接続され、DCDCコンバータの第5の端子は制御ユニットに電気的に接続され、第1のバスバー及び第2のバスバーは直流電流を提供するように構成され、第1の負荷は第1のバスバーと第2のバスバーとの間に並列に電気的に接続され、制御ユニットは、第1の負荷が短絡したとき、第1の信号の第3のパルス幅に基づいて、DCDCコンバータを制御してバッテリーアセンブリの等価出力インピーダンスを減少させ、バッテリーアセンブリの放電電流を第1の電流になるように制御するように具体的に構成され、第1の信号はDCDCコンバータにおけるパワースイッチングトランジスタのデューティサイクルを表し、第1の信号のパルス幅は、バッテリーアセンブリの等価出力インピーダンスを調整し、バッテリーアセンブリの放電電流を制御するために使用される。したがって、バッテリーアセンブリ内の制御ユニットは、DCDCコンバータにおけるパワースイッチングトランジスタのデューティサイクルを制御し、それにより、バッテリーアセンブリにより出力される放電電流が第1の電流となり、バッテリーアセンブリが第1の電流を出力する可能な実現方式を提供するようにする。
【0008】
可能な設計では、制御ユニットは、放電状態のバッテリーアセンブリのポート電圧を監視し、放電状態のバッテリーアセンブリのポート電圧が第1のプリセット電圧以下であるとき、第1の負荷が短絡したと決定し、バッテリーアセンブリを制御して第1の電流を出力するように更に具体的に構成される。したがって、バッテリーアセンブリ内の制御ユニットは、放電状態のバッテリーアセンブリのポート電圧に基づいて、負荷が短絡したか否かを決定し、DCDCコンバータにより出力される放電電流を、タイムリーに第1の電流になるように制御できる。したがって、制御ユニットは、負荷が短絡したか否かを決定し、DCDCコンバータにより出力されるバッテリーアセンブリの放電電流を、タイムリーに第1の電流になるように制御できる。
【0009】
第2の態様によれば、この出願は、制御ユニット及びDCDCコンバータを含むバッテリーアセンブリを提供する。
【0010】
制御ユニットは、電源が停電に遭遇した後に、バッテリーアセンブリの放電能力を、バッテリーアセンブリの最大公称放電能力よりも大きくなるように制御し、DCDCコンバータを使用することにより第1の負荷及び第2の負荷に電力を供給し、第1の負荷が電源オフになった後に、バッテリーアセンブリの放電能力を、最大公称放電能力まで回復するように制御し、DCDCコンバータを使用することにより第2の負荷に電力を供給するように構成され、電源は、電源が停電に遭遇する前に第1の負荷及び第2の負荷に直流電流を提供するように構成され、第1の負荷の前に第2の負荷に電力が供給される。
【0011】
第2の態様において提供されるバッテリーアセンブリに基づいて、エネルギー貯蔵システム内の監視ユニットは、停電アラーム信号を使用することにより、二次負荷を電源オフにするように制御し、一次負荷の電力バックアップ持続時間を確保する。さらに、バッテリーアセンブリは短時間の過負荷放電能力を有する。具体的には、電源が停電に遭遇した時点から二次負荷が電源オフになる時点までの期間に、バッテリーアセンブリの放電能力(例えば、放電電力又は放電電流)は、バッテリーアセンブリの最大公称放電能力(例えば、最大公称放電電力又は最大公称放電電流)よりも大きく、バッテリーアセンブリの放電能力(例えば、放電電力又は放電電流)は安定しており制御可能である。したがって、バッテリーアセンブリは、電源が停電に遭遇した時点から二次負荷が電源オフになる時点までの期間に、一次負荷及び二次負荷の双方に電力を供給し、エネルギー貯蔵システムが故障しないことを確保する。電源が停電に遭遇した後に、二次負荷が電源オフになるまで、バッテリーアセンブリの放電能力(例えば、放電電力又は放電電流)は、バッテリーアセンブリの最大公称放電能力(例えば、最大公称放電電力又は最大公称放電電流)まで回復し、それにより、バッテリーアセンブリは一次負荷に電力を供給し、一次負荷の電力バックアップ持続時間を確保するようにする。
【0012】
可能な設計では、バッテリーアセンブリの放電能力がバッテリーアセンブリの放電電力を使用することにより表されるとき、制御ユニットは、電源が停電に遭遇した後に、電源が停電に遭遇した時点から第1の負荷が電源オフになる時点までの期間に、バッテリーアセンブリの放電電力を最大公称放電電力よりも大きくなるように制御するように構成され、最大公称放電電力は、バッテリーアセンブリが正常に放電されるときに許容される最大電力であり、第1の負荷が電源オフになった後に、バッテリーアセンブリを最大公称放電電力まで回復するように制御するように構成される。したがって、バッテリーアセンブリの放電電力は、バッテリーアセンブリの放電能力を表すために使用され、バッテリーアセンブリの放電能力を調整する可能な実現方式を提供する。
【0013】
代替として、バッテリーアセンブリの放電能力がバッテリーアセンブリの放電電流を使用することにより表されるとき、制御ユニットは、電源が停電に遭遇した後に、電源が停電に遭遇した時点から第1の負荷が電源オフになる時点までの期間に、バッテリーアセンブリの放電電流を最大公称放電電流よりも大きくなるように制御するように構成され、最大公称放電電流は、バッテリーアセンブリが正常に放電されるときに許容される最大電流であり、第1の負荷が電源オフになった後に、バッテリーアセンブリを最大公称放電電流まで回復するように制御するように構成される。したがって、バッテリーアセンブリの放電電流は、バッテリーアセンブリの放電能力を表すために使用され、バッテリーアセンブリの放電能力を調整する他の可能な実現方式を提供する。
【0014】
可能な設計では、第1の負荷は、5Gデータサービスを実現するために使用され、第2の負荷は、5Gデータサービスとは異なる音声サービス及び伝送サービスを実現するために使用される。
【0015】
可能な設計では、制御ユニットは、充電状態又はスタンバイ状態のバッテリーアセンブリのポート電圧が第2のプリセット電圧以下であるとき、バッテリーアセンブリの放電能力をバッテリーアセンブリの最大公称放電能力よりも大きくなるように制御するように更に構成される。したがって、制御ユニットは、電源が停電に遭遇したか否かを決定し、バッテリーアセンブリの放電能力をタイムリーに向上させることができる。
【0016】
可能な設計では、バッテリーアセンブリはバッテリーパックを更に含み、DCDCコンバータの第1の端子はバッテリーパックの正極に電気的に接続され、DCDCコンバータの第2の端子はバッテリーパックの負極に電気的に接続され、DCDCコンバータの第3の端子は第1のバスバーに電気的に接続され、DCDCコンバータの第4の端子は第2のバスバーに電気的に接続され、DCDCコンバータの第5の端子は制御ユニットに電気的に接続され、第1のバスバー及び第2のバスバーは電源を使用することにより直流電流を提供するように構成され、第1の負荷及び第2の負荷は第1のバスバーと第2のバスバーとの間に並列に電気的に接続され、制御ユニットは、第1の信号の第1のパルス幅に基づいて、DCDCコンバータを制御してバッテリーアセンブリの等価出力インピーダンスを減少させ、バッテリーアセンブリの放電能力を、バッテリーアセンブリの最大公称放電能力よりも大きくなるように制御し、プリセット持続時間の後に、第1の信号の第2のパルス幅に基づいて、DCDCコンバータを制御してバッテリーアセンブリの等価出力インピーダンスを増加させ、バッテリーアセンブリの放電能力を、バッテリーアセンブリの最大公称放電能力まで回復するように制御するように具体的に構成され、第1のパルス幅は第2のパルス幅以上であり、第1の信号のパルス幅は、バッテリーアセンブリの等価出力インピーダンスを調整し、バッテリーアセンブリの放電電力又は放電電流を制御するために使用される。したがって、バッテリーアセンブリ内の制御ユニットは、DCDCコンバータにおけるパワースイッチングトランジスタのデューティサイクルを制御し、バッテリーアセンブリの放電能力を変更し、それにより、バッテリーアセンブリの放電能力を調整する可能な実現方式を提供するようにする。
【0017】
第3の態様によれば、この出願は、電源アセンブリ、第1のバスバー、第2のバスバー及び第1の態様又は第1の態様の可能な設計のいずれか1つにおけるバッテリーアセンブリ、及び/又は、電源アセンブリ、第1のバスバー、第2のバスバー及び第2の態様又は第2の態様の可能な設計のいずれか1つにおけるバッテリーアセンブリを含むエネルギー貯蔵システムを提供する。
【0018】
可能な設計では、エネルギー貯蔵システムは監視ユニットを更に含み、監視ユニットは電源アセンブリに電気的に接続される。電源コンポーネントは、電源が停電に遭遇した後に、停電アラーム信号を監視ユニットに送出するように構成され、監視ユニットは、停電アラーム信号を受信したとき、電気負荷における二次負荷を電源オフにするように制御するように更に構成される。したがって、電源が停電に遭遇したとき、監視ユニットは二次負荷をタイムリーに電源オフにするように制御でき、それにより、バッテリーアセンブリが長時間の過負荷放電能力を有する必要がなく、バッテリーアセンブリの損傷を回避するようにする。
【0019】
可能な設計では、エネルギー貯蔵システムは、以下のもの、すなわち、データセンタ、通信局又はエネルギー貯蔵発電所のいずれか1つを含む。
【0020】
第3の態様及び第3の態様の可能な設計のいずれか1つにおいて提供されるエネルギー貯蔵システムの有益な効果については、第1の態様及び第1の態様の可能な実現方式のいずれか1つによりもたらされる有益な効果を参照し、及び/又は、第2の態様及び第2の態様の可能な実現方式のいずれか1つによりもたらされる有益な効果を参照する。詳細はここでは再び説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この出願の実施形態によるエネルギー貯蔵システムの構造の概略図である。
図2A】この出願の実施形態によるバッテリーアセンブリの構造の概略図である。
図2B】既存のリチウム電池の構造の概略図である。
図3】この出願の実施形態によるバッテリーアセンブリの短絡電流制限出力の時系列の概略図である。
図4A】この出願の実施形態によるバッテリーアセンブリの充電から放電までの時系列の概略図である。
図4B】この出願の実施形態によるバッテリーアセンブリの電圧U-電流I外部特性曲線の図である。
図4C】この出願の実施形態によるバッテリーアセンブリの電圧U-電流I外部特性曲線の図である。
【符号の説明】
【0022】
10:エネルギー貯蔵システム
20:電気負荷
30:電源
11:電源アセンブリ
W1:第1のバスバー
W2:第2のバスバー
12:バッテリーアセンブリ
13:バッテリーシャント
K1:BLVD接触器
K2:スイッチングモジュール
21:第1の負荷
22:第2の負荷
14:監視ユニット
15:負荷シャント
K3:LLVD接触器
K41及びK42:負荷回路遮断器
121:バッテリーパック
122:DCDCコンバータ
123:制御ユニット
1231:サンプリングモジュール
1232:調整モジュール
1233:BMS
200:双方向スイッチ
300:充電器
400:コントローラ
【発明を実施するための形態】
【0023】
この出願は、バッテリーアセンブリ及びエネルギー貯蔵システムを提供し、通信局、データセンタ及びエネルギー貯蔵発電所のような様々な電力バックアップシナリオに適用されてもよい。バッテリーアセンブリは、短絡電流制限出力の特性を有する。具体的には、バッテリーアセンブリは、いずれか1つの負荷が短絡したとき、電流制限動作を継続でき、バッテリーアセンブリにより出力される放電電流の振幅は、バッテリーアセンブリの最大公称放電電流よりも大きく且つバッテリーアセンブリの短絡保護電流よりも小さく、バッテリーアセンブリの放電電流の持続時間は安定しており制御可能であり、それにより、いずれか1つの負荷が短絡したとき、短絡した負荷がバッテリーアセンブリの前にエネルギー貯蔵システムから切断され、エネルギー貯蔵システムにおけるバスバー電圧が自動的に回復できるようにする。
【0024】
さらに、エネルギー貯蔵システム内の監視ユニットは、停電アラーム信号を使用することにより、二次負荷を電源オフにするように制御し、一次負荷の電力バックアップ持続時間を確保する。さらに、バッテリーアセンブリは短時間の過負荷放電能力を有する。具体的には、電源が停電に遭遇した時点から二次負荷が電源オフになる時点までの期間に、バッテリーアセンブリの放電能力(例えば、放電電力又は放電電流)は、バッテリーアセンブリの最大公称放電能力(例えば、最大公称放電電力又は最大公称放電電流)よりも大きく、バッテリーアセンブリの放電能力(例えば、放電電力又は放電電流)は安定しており制御可能である。したがって、バッテリーアセンブリは、電源が停電に遭遇した時点から二次負荷が電源オフになる時点までの期間に、一次負荷及び二次負荷の双方に電力を供給し、エネルギー貯蔵システムが故障しないことを確保する。電源が停電に遭遇した後に、二次負荷が電源オフになるまで、バッテリーアセンブリの放電能力(例えば、放電電力又は放電電流)は、バッテリーアセンブリの最大公称放電能力(例えば、最大公称放電電力又は最大公称放電電流)まで回復し、それにより、バッテリーアセンブリは一次負荷に電力を供給し、一次負荷の電力バックアップ持続時間を確保するようにする。
【0025】
電力が負荷に優先的に供給されるか否かは、負荷のサービスの重要度に基づいて設定されてもよい。通常では、電力は、サービスのより高い重要度に対応する負荷に優先的に供給される。言い換えると、電力は二次負荷の前に一次負荷供給される。さらに、二次負荷及び一次負荷の具体的な種類はこの出願では限定されない。
【0026】
以下に、具体的な実施形態を参照して、この出願におけるバッテリーアセンブリ12及びエネルギー貯蔵システム10の具体的な実現方式について個別に詳細に説明する。
【0027】
図1は、この出願の実施形態によるエネルギー貯蔵システムの構造の概略図である。図1に示すように、この出願におけるエネルギー貯蔵システム10は、電源アセンブリ11、第1のバスバーW1、第2のバスバーW2及び少なくとも1つのバッテリーアセンブリ12を含んでもよい。エネルギー貯蔵システム10の具体的な実現方式は、この出願では限定されない。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵システム10は、以下のもの、すなわち、データセンタ、通信局又はエネルギー貯蔵発電所のいずれか1つを含んでもよい。
【0028】
第1のバスバーW1及び第2のバスバーW2は、直流電流を提供するために使用される。エネルギー貯蔵システム10におけるバスバー電圧は、第1のバスバーW1と第2のバスバーW2との間の電圧である。バッテリーアセンブリ12は、第1のバスバーW1と第2のバスバーW2との間に電気的に並列に接続されてもよく、それにより、バッテリーアセンブリ12が充電又は放電できるようにする。さらに、電気負荷20も第1のバスバーW1と第2のバスバーW2との間に電気的に並列に接続され、それにより、電気負荷20が電気エネルギーを取得できるようにする。この出願では、バッテリーアセンブリ12と第2のバスバーW2との間の電気接続が遮断される例を使用することにより、バッテリーアセンブリ12とバスバーとの間の電気接続が遮断されることが示され、電気負荷20と第2のバスバーW2との電気接続が遮断される例を使用することにより、電気負荷20とバスバーとの間の電気接続が示されている点に留意すべきである。
【0029】
バッテリーアセンブリ12の数及び具体的な実現構造はこの出願では限定されない。1つよりも多くのバッテリーアセンブリ12が存在するとき、依然として図1を参照すると、エネルギー貯蔵システム10は、バッテリーシャント13及びバッテリー低電圧降下(battery low voltage down, BLVD)接触器K1を更に含んでもよい。さらに、バッテリーアセンブリ12が第1のバスバーW1と第2のバスバーW2との間に電気的に並列に接続されるとき、この出願では、バッテリーアセンブリ12を保護するために、通常では、バッテリーアセンブリ12と第2のバスバーW2との間にスイッチングモジュールK2が追加される。説明を容易にするために、2つのバッテリーアセンブリ12が図1における例示に使用されており、各バッテリーアセンブリ12は、スイッチングモジュールK2、BLVD接触器K1及びバッテリーシャント13を使用することにより、第2のバスバーW2に電気的に接続される。
【0030】
以下に、図2Aを参照して、この出願におけるバッテリーアセンブリ12の具体的な実現構造について説明する。図2AにおけるスイッチングモジュールK2、バッテリーシャント13、BLVD接触器K1は図示されていない点に留意すべきである。
【0031】
図2Aは、この出願の実施形態によるバッテリーアセンブリの構造の概略図である。図2Aに示すように、この出願におけるバッテリーアセンブリ12は、バッテリーパック121、DCDCコンバータ122(direct current-direct current converter, 直流-直流変換器)及び制御ユニット123を含んでもよい。
【0032】
DCDCコンバータ122の第1の端子1はバッテリーパック121の正極(+)に電気的に接続され、DCDCコンバータ122の第2の端子2はバッテリーパック121の負極(-)に電気的に接続され、DCDCコンバータ122の第3の端子3は第1のバスバーW1に電気的に接続され、DCDCコンバータ122の第4の端子4は第2のバスバーW2に電気的に接続され、DCDCコンバータ122の第5の端子5は制御ユニット123に電気的に接続される。
【0033】
バッテリーパック121の具体的な実現方式は、この出願では限定されない。いくつかの実施形態では、バッテリーパック121は少なくとも1つの電気化学セルを含んでもよい。バッテリーパック121が複数の電気化学セルを含むとき、複数の電気化学セルは直列に電気的に接続されるか、或いは、複数の電気化学セルは並列に電気的に接続されるか、或いは、複数の電気化学セルは直列に且つ並列に電気的に接続される。さらに、電気化学セルの具体的な種類はこの出願では限定されない。例えば、電気化学セルの種類はリチウム電池でもよい。
【0034】
DCDCコンバータ122の具体的な実現方式は、この出願では限定されない。いくつかの実施形態では、DCDCコンバータ122は、以下のもの、すなわち、バックコンバータ回路(Buck回路)、ブーストコンバータ回路(Boost回路)、バックブーストコンバータ回路(Buck-Boost回路)、フライバック回路、フォワード回路、ハーフブリッジトポロジ、フルブリッジトポロジ及びトポロジの少なくとも1を含む分離又は非分離回路のいずれか1つを含んでもよい。
【0035】
制御ユニット123は、集積チップ、例えば、マイクロコントローラユニット(microcontroller unit, MCU)又はシステム・オン・チップ(system on a chip, SoC)でもよく、或いは、複数のコンポーネントを組み合わせることにより形成されてもよく、或いは、集積チップ及び周辺回路を組み合わせることにより形成されてもよい。これはこの出願では限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態では、制御ユニット123は、サンプリングモジュール1231、調整モジュール1232及びバッテリー管理システム(battery management system, BMS)1233を含んでもよい。
【0037】
サンプリングモジュール1231は、バッテリーアセンブリ12の放電電流を収集し、第1のバスバーW1及び第2のバスバーW2に基づいてバッテリーアセンブリ12のポート電圧(例えば、DCDCコンバータ122の第3の端子3と第4の端子4との間の電圧)を収集するように構成される。サンプリングモジュール1231は、バッテリーアセンブリ12の放電電流及びポート電圧を調整モジュール1232に送出する。バッテリーアセンブリ12のポート電圧は、放電状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧と、充電状態又はスタンバイ状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧とを含んでもよい。
【0038】
調整モジュール1232は、放電状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧及び第1のプリセット電圧に基づいて、電気負荷20が短絡したか否かを決定し、放電状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧が第1のプリセット電圧以下であるとき、電気負荷20が短絡したと決定するように構成される。第1のプリセット電圧は、バッテリーアセンブリ12と第2のバスバーW2との間の線の長さに基づいて構成されてもよい。
【0039】
調整モジュール1232は、バッテリーアセンブリ12の放電電流に基づいて第1の信号を計算するか、或いは、バッテリーアセンブリ12の放電電流及び放電状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧に基づいて第1の信号を計算するように更に構成される。例えば、調整モジュール1232は、シングルループ又はマルチループ比例積分微分制御(proportional-integral-derivative control, PID control)を通じて第1の信号を取得する。調整モジュール1232は第1の信号をDCDCコンバータ122に出力する。
【0040】
第1の信号は、DCDCコンバータ122におけるパワースイッチングトランジスタのデューティサイクルを表し、第1の信号は、バッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスを調整し、バッテリーアセンブリ12の放電電力又は放電電流を制御するために使用される。第1の信号の具体的な実現方式はこの出願では限定されない。例えば、第1の信号はパルス幅変調(pulse width modulation, PWM)信号でもよい。
【0041】
調整モジュール1232は、充電状態又はスタンバイ状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧に基づいて、電源装置30が停電に遭遇したか否かを決定するように更に構成され、それにより、バッテリーアセンブリ12は、充電されるべきか、スタンバイ状態にするべきか、放電されるべきかを決定するようにする。例えば、調整モジュール1232は第2のプリセット電圧を予め構成してもよい。第2のプリセット電圧の具体的な値はこの出願では限定されない。通常では、第2のプリセット電圧は、充電状態又はスタンバイ状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧よりもわずかに低い。充電状態又はスタンバイ状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧が第2のプリセット電圧以下であるとき、調整モジュール1232は、電源電力30が停電に遭遇したと決定してもよく、それにより、バッテリーアセンブリ12が充電状態又はスタンバイ状態から放電状態に遷移してもよいようにする。充電状態は、フロート充電(float charging)状態又は均等充電(equalized charging)状態として理解されてもよく、スタンバイ状態は、バッテリーアセンブリ12の充電チャネルが遮断され、バッテリーアセンブリ12の放電チャネルが導通される場合、言い換えると、バッテリーアセンブリ12が充電できず放電できる場合であると理解されてもよい。
【0042】
BMS1233は、バッテリーパック121の充電可能及び放電可能容量と、他のバッテリー管理機能とを管理するように構成される。BMS1233は、ソフトウェアアルゴリズム及び/又はハードウェア回路を使用することにより実現されてもよい。
【0043】
上記の説明に基づいて、制御ユニット123は、放電状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧及び第1のプリセット電圧に基づいて、電気負荷20が短絡したか否かを決定し、放電状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧が第1のプリセット電圧以下であるとき、電気負荷20が短絡したと決定するように構成される。したがって、制御ユニット123は、DCDCコンバータ122を制御して、第1の信号に基づいてバッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスを調整してもよく、それにより、バッテリーアセンブリ12の放電電流が変化するようにする。
【0044】
さらに、制御ユニット123は、充電状態又はスタンバイ状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧及び第2のプリセット電圧に基づいて、電源装置30が停電に遭遇したか否かを決定してもよく、それにより、バッテリーアセンブリ12は、充電されるべきか、スタンバイ状態にするべきか、放電するべきかを決定するようにする。さらに、充電状態又はスタンバイ状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧が第2のプリセット電圧以下であるとき、制御ユニット30は、電源30が停電に遭遇したと決定し、バッテリーアセンブリ12は充電状態又はスタンバイ状態から放電状態に遷移してもよい。したがって、制御ユニット123は、第1の信号に基づいてDCDCコンバータ122を制御してバッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスを調整してもよく、それにより、バッテリーアセンブリ12の放電電力又は放電電流が変化するようにする。
【0045】
通常では、第1の信号のより大きいパルス幅は、バッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスのより小さい値をもたらし、バッテリーアセンブリ12のより大きい放電電力又はより大きい放電電流をもたらす。第1の信号のより小さいパルス幅は、バッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスのより大きい値をもたらし、バッテリーアセンブリ12のより小さい放電電力及びより小さい放電電流をもたらす。
【0046】
バッテリーアセンブリ12の実現方式は当該実現方式に限定されない点に留意すべきである。
【0047】
電気負荷20の数及び種類はこの出願では限定されない。電気負荷20における二次負荷の数が1より大きいとき、依然として図1を参照すると、エネルギー貯蔵システム10は、負荷シャント15及び負荷低電圧降下(Load Low Voltage Down, LLVD)接触器K3を更に含んでもよい。さらに、電気負荷20が第1のバスバーW1と第2のバスバーW2との間に電気的に並列に接続されるとき、通常では、この出願において電気負荷20と第2のバスバーW2との間に負荷回路遮断器(K41及びK42)が追加される。
【0048】
いくつかの実施形態では、電気負荷20が第1の負荷21を含むとき、第1の負荷21の第1の端子は第1のバスバーW1に電気的に接続され、第1の負荷21の第2の端子は第1の負荷21の負荷回路遮断器K41を使用することにより第2のバスバーW2に電気的に接続される。第1の負荷21の負荷回路遮断器K41は、第1の負荷21が短絡したときに存在する過電流を回避するように構成されてもよい。
【0049】
いくつかの他の実施形態では、電気負荷20が第1の負荷21及び第2の負荷22を含むとき、電力は第1の負荷21の前に第2の負荷22に供給される。言い換えると、第1の負荷21は二次負荷であり、第2の負荷22は一次負荷である。いくつかの実施形態では、第1の負荷21は5Gデータサービスを実現するように構成され、第2の負荷22は、5Gデータサービスとは異なる音声サービス及び伝送サービス、例えば、2G/3G/4Gサービスを実現するように構成される。ここで、第1の負荷21が二次負荷であり、第2の負荷22が一次負荷であることは、単なる例である点に留意すべきである。第1の負荷21及び第2の負荷22の具体的な種類はこの出願では限定されない。
【0050】
説明を容易にするために、1つの一次負荷及び2つの二次負荷、すなわち、1つの第2の負荷22及び2つの第1の負荷21が図1における例示に使用されている。2つの第1の負荷21はそれぞれ、負荷回路遮断器K41を使用することによりLLVD接触器K3及び負荷シャント15を通じて第2のバスバーW2に電気的に接続され、第2の負荷22は、負荷回路遮断器K42を使用することによりLLVD接触器K3及び負荷シャント15を通じて第2のバスバーW2に電気的に接続される。電源30は電源アセンブリ11を使用することにより第2のバスバーW2に直流電流を提供し、電源アセンブリ11は電源30の状態を更に監視してもよい。電源アセンブリ11の具体的な実現方式はこの出願では限定されない。
【0051】
いくつかの実施形態では、電源アセンブリ11は整流器ユニットを含んでもよい。整流器ユニットの入力端子は電源30(すなわち、交流電源)に電気的に接続され、整流器ユニットの出力接地端子は第1のバスバーW1に電気的に接続され、整流器ユニットの出力電源端子は第2のバスバーW2に電気的に接続される。整流器ユニットは電源30により提供される交流を直流に変換し、整流器ユニットは第2のバスバーW2に直流電流を提供する。整流器ユニットの具体的な実現方式はこの出願では限定されない。例えば、整流器ユニットは整流器回路及びフィルタ回路を含む。さらに、電源30は風力エネルギーのようなエネルギーでもよい。
【0052】
いくつかの他の実施形態では、電源アセンブリ11は代替としてDCDCパワーコンバータを含んでもよい。DCDCパワーコンバータの入力端子は電源30(すなわち、直流電源)に電気的に接続され、DCDCパワーコンバータの出力接地端子は第1のバスバーW1に電気的に接続され、DCDCパワーコンバータの出力電源端子は第2のバスバーW2に電気的に接続され、DCDCパワーコンバータは第2のバスバーW2に直流電流を提供する。DCDCパワーコンバータの具体的な実現方式はこの出願では限定されない。電源30は、高電圧直流電流(HVDC)又はソーラーパネルのようなエネルギーでもよい。
【0053】
さらに、この出願におけるエネルギー貯蔵システム10は、監視ユニット14を更に含んでいてもよい。監視ユニット14は電源アセンブリ11に電気的に接続され、監視ユニット14はLLVD接触器K3及びBLVD接触器K1の制御端子に電気的に更に接続される。さらに、監視ユニット14は第1のバスバーW1と第2のバスバーW2との間に並列に電気的に接続され、電気エネルギーを取得してもよく、それにより、監視ユニット14が正常に動作するようにする。
【0054】
電源30が停電に遭遇したとき、電源アセンブリ11は、停電アラーム信号を監視ユニット14に送出してもよく、それにより、監視ユニット14はLLVD接触器K3を切断されるように制御し、二次負荷(すなわち、第1の負荷21)がエネルギー貯蔵システム10から切断されるようにする。停電アラーム信号の具体的な表現形式はこの出願では限定されない。
【0055】
実際の適用プロセスにおいて、電源30が停電に遭遇した後に、バッテリーアセンブリは電気負荷20に電力を供給する必要があり、それにより、電気負荷20が動作を維持できるようにする。電気負荷20が第1の負荷21を含むことが例として使用される。バッテリーアセンブリが第1の負荷21に電力を供給するとき、バッテリーアセンブリ、第1のバスバーW1、第2のバスバーW2及び第1の負荷21は回路ループを形成してもよい。
【0056】
バッテリーアセンブリが既存の鉛蓄電池であるとき、第1の負荷21が短絡した場合、既存の鉛蓄電池は数百~数千アンペアの放電電流を出力し、放電電流は制御不可能であり、全体のエネルギー貯蔵システムに安全上の危険をもたらす。したがって、既存の鉛蓄電池は高価な直流ヒューズで構成される必要があり(言い換えると、スイッチングモジュールK2が直流ヒューズである)、次いで、直流ヒューズ及び第1の負荷21に対応する負荷スイッチK41の作動電流(tripping current)閾値と、直流ヒューズ及び第1の負荷21に対応する負荷スイッチK41との間の時間差とに基づいて、階層的な短絡保護が実現される。しかし、直流ヒューズは高コスト及び大きい体積を有する。
【0057】
図2Bに示すように、バッテリーアセンブリが既存のリチウム電池であるとき、既存のリチウム電池は、バッテリーパック121、双方向スイッチ200、充電器300及びコントローラ400を含んでもよい。バッテリーパック121の第1の端子は双方向スイッチ200を使用することにより第2のバスバーW2に電気的に接続され、バッテリーパック121の第2の端子は第1のバスバーW1に電気的に接続される。充電器300は双方向スイッチ200の両側に並列に電気的に接続される。
【0058】
図2Bは既存のリチウム電池が第1のバスバーW1及び第2のバスバーW2のそれぞれに接続される実現可能な接続方式のみを示している点に留意すべきである。既存のリチウム電池と第1のバスバーW1との間、及び/又は既存のリチウム電池と第2のバスバーW2との間に、他のモジュールが更に含まれてもよい。これはこの出願では限定されない。
【0059】
第1の負荷21が短絡した場合、既存のリチウム電池により出力された放電電流が特定の閾値に達したとき、双方向スイッチ200は回路ループを切断する。双方向スイッチ200は、接触器、リレー、又は直列に接続された2つのパワー半導体デバイス(例えば、双方向MOSトランジスタ)のようなコンポーネントを含むが、これらに限定されない。
【0060】
回路ループ内の電流は制御不可能であり、持続時間は短くなり(通常では数百マイクロ秒)、第1の負荷21の負荷回路遮断器K41は通常では機械スイッチであると理解され得る。既存のリチウム電池における双方向スイッチ200が双方向MOSトランジスタである場合、双方向MOSトランジスタは電子スイッチである。電子スイッチの感度は機械スイッチの感度よりも高い。具体的には、機械スイッチは或る期間の遅延の後に差動し、電子スイッチは対応する命令を受けた直後に開かれる。したがって、既存のリチウム電池は既存のリチウム電池を事前に保護してもよく、第1の負荷21の前に第2のバスバーW2から電気的に切断され、短絡した第1の負荷21によりエネルギー貯蔵システム10のバスバー電圧がクランプされるというリスクを引き起こし、エネルギー貯蔵システム10が故障するという現象を引き起こす。双方向スイッチ200が接触器又はリレーである場合、第1の負荷21が短絡したとき、短絡電流により接触器又はリレーが強制的に作動し、接触器又はリレーにおける接点を著しく損傷するか、或いは、接触器又はリレーの接点が溶けて付着することさえ引き起こす。
【0061】
既存の鉛蓄電池又は既存のリチウム電池が使用され、負荷が短絡したとき、安全上のリスク及びシステム故障のリスクが存在することが分かる。
【0062】
この出願におけるバッテリーアセンブリ12がバッテリーアセンブリとして使用されるとき、バッテリーアセンブリ12の最大公称放電電流よりも大きく且つバッテリーアセンブリ12の短絡保護電流よりも小さい第1の電流がこの出願において設定される。第1の電流は、第1の負荷21が短絡したとき、バッテリーアセンブリ12により出力される放電電流である。バッテリーアセンブリ12の最大公称放電電流は、バッテリーアセンブリ12が正常に放電されるときに許容される最大電流であり、バッテリーアセンブリ12の短絡保護電流は、バッテリーアセンブリ12と第2のバスバーW2との間の電気接続を遮断するために使用できる電流である。この出願では、第2の電流は、第1の負荷21と第2のバスバーW2との間の電気接続を遮断するために使用される電流、すなわち、第1の負荷21の負荷回路遮断器K41の作動電流閾値である。当業者は、通常では第2の電流がバッテリーアセンブリ12の最大公称電流以下であることを理解し得る。したがって、第1の電流は第2の電流よりも大きい。
【0063】
第1の電流、第2の電流、バッテリーアセンブリ12の短絡保護電流及びバッテリーアセンブリ12の最大公称放電電流の具体的な値はこの出願では限定されない。いくつかの実施形態では、大きい負荷が存在するシナリオにおいて、負荷回路遮断器(K41又はK42)の容量が構成されているとき、作動電流閾値は、バッテリーアセンブリ12の最大公称放電電流に近づいてもよく或いはこれを超えてもよい。ここでの負荷回路遮断器の容量は、負荷回路遮断器が作動していないときに負荷スイッチを通過することが許容される最大電流である。例えば、第1の電流はバッテリーアセンブリ12の最大公称放電電流の50%よりも大きく設定されてもよく、第2の電流はバッテリーアセンブリ12の最大公称放電電流の25%~30%よりも大きく設定されてもよい。
【0064】
当該構成に基づいて、この出願におけるバッテリーアセンブリ12は短絡電流制限出力の特性を有する。具体的には、負荷が短絡したとき、この出願におけるバッテリーアセンブリ12により出力される第1の電流の振幅は、バッテリーアセンブリ12の最大公称放電電流の振幅よりも大きく且つバッテリーアセンブリ12の短絡保護電流の振幅よりも小さく、それにより、この出願におけるバッテリーアセンブリ12により出力される第1の電流の持続時間が制御可能になり、この出願において第1の負荷21がバッテリーアセンブリ12の前に第2のバスバーW2から電気的に切断され、エネルギー貯蔵システム10におけるバスバー電圧が自動的に回復でき、エネルギー貯蔵システム10が故障するというリスクを回避できるようにする。
【0065】
いくつかの実施形態では、バッテリーアセンブリ12は、放電状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧及び第1のプリセット電圧に基づいて、第1の負荷21が短絡したか否かを決定してもよい。放電状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧が第1のプリセット電圧以下であるとき、第1の負荷21が短絡したと決定されてもよい。第1の負荷21が短絡した場合、第1の電流はバッテリーアセンブリ12の最大公称放電電流よりも大きく且つバッテリーアセンブリ12の短絡保護電流よりも小さくなるように設定されているので、バッテリーアセンブリ12は、第1の信号に基づいて、DCDCコンバータ122を制御してバッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスを減少させてもよく、それにより、バッテリーアセンブリ12の放電電流を増加させるようにする。したがって、バッテリーアセンブリ12は、振幅及び持続時間が安定しており制御可能である第1の電流を出力でき、第1の電流は第2の電流よりも大きく、それにより、第1の負荷21はバッテリーアセンブリ12の前に第2のバスバーW2から電気的に切断される。したがって、短絡した第1の負荷21はエネルギー貯蔵システム10から切断され、エネルギー貯蔵システム10におけるバスバー電圧が自動的に回復される。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1の負荷21が短絡したとき、バッテリーアセンブリ12内の制御ユニット123は、第1の信号のパルス幅(すなわち、第3のパルス幅)を増加させてもよく、それにより、バッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスが減少し、バッテリーアセンブリ12により出力される第1の電流が増加し、バッテリーアセンブリ12により出力される第1の電流がバッテリーアセンブリ12の最大公称電流よりも大きくなるようにする。
【0067】
第1の信号の第3のパルス幅は、バッテリーアセンブリ12の最大公称電流及び第2の電流に基づいて設定されてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、第2の電流は、第1の負荷21の負荷回路遮断器K41の作動電流閾値である。したがって、第1の負荷21は、第1の負荷21の負荷回路遮断器K41を使用することにより自動的に切断される。言い換えると、第1の負荷21の負荷回路遮断器K41が作動し、それにより、第1の負荷21が第2のバスバーW2から電気的に切断され、第1の負荷21がエネルギー貯蔵システム10から切断され、DCDCコンバータ122及び第2のバスバーW2が電気的に接続され続け、バッテリーアセンブリ12が電気負荷20における他の負荷に電力を供給し続けることができることを確保するようにする。
【0069】
図3を参照して、以下に、この出願における既存の鉛蓄電池、既存のリチウム電池及びバッテリーアセンブリ12の放電電流における変化の例示的な説明を提供する。
【0070】
図3は、この出願の実施形態によるバッテリーアセンブリの短絡電流制限出力の時系列の概略図である。図3において、水平座標は時間tを表し、垂直座標は電流Iを表す。曲線1は、第1の負荷21が短絡したときに既存の鉛蓄電池の放電電流が時間と共に変化することを示す曲線であり、曲線2は、第1の負荷21が短絡したときに既存のリチウム電池の放電電流が時間と共に変化することを示す曲線であり、曲線3は、第1の負荷21が短絡したときにこの出願におけるバッテリーアセンブリ12の放電電流が時間と共に変化することを示す曲線である。
【0071】
図3に示すように、第1の負荷21が時点t1において短絡し、それにより、時点t1の後に、既存の鉛蓄電池の放電電流、既存のリチウム電池の放電電流、この出願におけるバッテリーアセンブリ12の放電電流の振幅が全て増加する。この出願におけるバッテリーアセンブリ12について、DCDCコンバータ122は時点t2において第1の電流I3を出力し、それにより、この出願におけるバッテリーアセンブリ12の第1の電流I3の振幅は、バッテリーアセンブリ12の最大公称放電電流の振幅よりも大きく且つバッテリーアセンブリ12の短絡保護電流の振幅よりも小さくなり、第1の電流I3の持続時間は安定しており制御可能になるようにする。第1の電流I3は第2の電流よりも大きく、それにより、第1の負荷21の負荷スイッチK41が自動的に作動し、エネルギー貯蔵システムにおけるバスバー電圧が自動的に回復するようにする。既存のリチウム電池について、時点t3において、双方向スイッチが既存のリチウム電池と第2のバスバーW2との間の電気接続を速やかに切断し、それにより、既存のリチウム電池の放電電流がゼロになり、既存のリチウム電池がデッドロックされることを引き起こし、エネルギー貯蔵システムが故障するという現象を引き起こす。既存の鉛蓄電池について、時点t4において直流ヒューズが既存の鉛蓄電池と第2のバスバーW2との間の電気接続を遮断し、それにより、既存の鉛蓄電池の放電電流がゼロになるようにする。
【0072】
したがって、曲線1と比較すると、この出願におけるバッテリーアセンブリ12は、第1の負荷21が短絡したときに自動的に電流を制限でき、安全な範囲内で既存の鉛蓄電池のように高価な直流ヒューズで構成される必要がない。曲線2と比較すると、この出願におけるバッテリーアセンブリ12は、第1の負荷21が短絡したときに既存のリチウム電池がデッドロックされ、その結果、エネルギー貯蔵システムが故障するという問題を解決し、バッテリーアセンブリ12の通常の動作が手動で回復される必要がないか、或いは、短絡した第1の負荷21が手動で取り外される必要がなく、メンテナンスコストを低減する。
【0073】
したがって、この出願では、バッテリーアセンブリ12及び電気負荷20が正確に連携し、電気負荷20が短絡した後に、電気負荷20がバッテリーアセンブリ12の前にエネルギー貯蔵システム10におけるバスバー電圧から切断される。さらに、バッテリーアセンブリ12の短絡放電電流の振幅及び持続時間がユーザにより構成されてもよく、エネルギー貯蔵システム10の柔軟性を増加させる。
【0074】
実際の適用シナリオでは、負荷が短絡することは、エネルギー貯蔵システムが故障するというリスクをもたらし、電源が停電に遭遇することはまた、エネルギー貯蔵システムの電源バックアップの信頼性に影響する。既存のエネルギー貯蔵システムは、通常では、5Gデータサービス及び2G/3G/4G音声及び伝送サービスの双方をサポートする。電気負荷20が第1の負荷21及び第2の負荷22を含むことが例として使用される。第2の負荷22は、第1の負荷21の前に電力を供給する。言い換えると、第1の負荷21は二次負荷であり、第2の負荷22は一次負荷である。具体的には、既存のエネルギー貯蔵システムにおけるバッテリーアセンブリが充電状態又はスタンバイ状態であり、電源30が停電に遭遇したとき、バッテリーアセンブリは充電状態又はスタンバイ状態から放電状態に遷移し、バッテリーアセンブリは電気負荷20に電力を供給し、第1の負荷21及び第2の負荷22の双方に電力を供給する。
【0075】
従来の技術では、電源30が停電に遭遇した場合、既存のエネルギー貯蔵システム内の監視ユニットは、通常では、最初に二次負荷を電源オフにするように制御し、次いで、一次負荷を電源オフにするように制御し、それにより、階層的な電源オフが実行され、低いバッテリー容量が構成されるとき一次負荷の電力バックアップ持続時間が延長できるようにする。
【0076】
具体的な実現プロセスは以下を含む。電源30が停電に遭遇した後に、既存のエネルギー貯蔵システムにおける既存のバッテリーアセンブリが一次負荷及び二次負荷の双方に電力を供給し、監視ユニットがバスバー電圧をリアルタイムで検出する。放電持続時間が増加するにつれてバスバー電圧がLLVDポイントまで減少したとき、既存のエネルギー貯蔵システム内の監視ユニットは二次負荷を電源オフにするように制御し、バスバー電圧がBLVDポイントに達するまで、既存のエネルギー貯蔵システム内の監視ユニットはBLVD接触器K1を動作させて、既存のバッテリーアセンブリを既存のエネルギー貯蔵システムから分離するように制御する。
【0077】
バッテリーアセンブリは通常では高価であるので、多くのシナリオでは、既存のエネルギー貯蔵システムにおいて、既存のバッテリーアセンブリの容量(すなわち、I2*T11)は、一次負荷の電流I2及び電力バックアップ持続時間T11に基づいて構成されればよい。このような構成条件では、電源が停電に遭遇した後に存在する初期放電比はIL/(I2*T11)であり、ILは一次負荷の電流I2と二次負荷の電流I1との和である。ILがI2よりもはるかに大きい場合、既存のバッテリーアセンブリの実際の放電比(比=電流/容量)は非常に大きくなる。この場合、以下の2つの問題が存在する。
【0078】
問題1:既存のバッテリーアセンブリの分極特性が非常に深刻であり、既存のバッテリーアセンブリのポート電圧が急速に低下し、階層的な電源オフ効果は理想的でない。
【0079】
問題2:既存のバッテリーアセンブリの実際の放電比が1Cよりもはるかに大きい場合、既存のバッテリーアセンブリに対して過電流保護が実行され、既存のバッテリーアセンブリが自動的に保護され、既存のエネルギー貯蔵システムから分離されることを引き起こし、既存のエネルギー貯蔵システムが故障するという現象を引き起こす。
【0080】
この出願では、電源30が停電に遭遇したとき、この出願における電源アセンブリ11は、停電アラーム信号を監視ユニット14に送出してもよい。停電アラーム信号を受信したとき、監視ユニット14はLLVD接触器K3を切断されるように制御し、それにより、第1の負荷21が電源オフになるようにする。さらに、この出願におけるバッテリーアセンブリ12は、電源30が停電に遭遇したと決定した後に、充電状態又はスタンバイ状態から放電状態に遷移し、それにより、この出願におけるバッテリーアセンブリ12が電気負荷20に電力を供給するようにする。
【0081】
電源30が停電に遭遇したとき、バッテリーアセンブリ12のポート電圧は急速に低下するので、この出願におけるバッテリーアセンブリ12は、充電状態又はスタンバイ状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧に基づいて、電源30が停電に遭遇したか否かを決定してもよい。例えば、バッテリーアセンブリ12内の制御ユニット123は、充電状態又はスタンバイ状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧の値及び第2のプリセット電圧の値を決定し、電源30が停電に遭遇したか否かを決定し、バッテリーアセンブリ12を更に制御して、充電状態又はスタンバイ状態から放電状態に遷移させてもよい。例えば、充電状態又はスタンバイ状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧が第2のプリセット電圧以下であるとき、この出願におけるバッテリーアセンブリ12は、電源30が停電に遭遇したと決定してもよく、それにより、この出願におけるバッテリーアセンブリ12が充電状態又はスタンバイ状態から放電状態に遷移するようにする。
【0082】
さらに、監視ユニット14はLLVD接触器K3を切断する際の特定の遅延を制御するので、電源30が停電に遭遇した時点から第1の負荷21が電源オフになる時点までの期間に、バッテリーアセンブリ12の放電能力(すなわち、放電電力又は放電電流)は、この出願において最大公称放電能力(すなわち、最大公称放電電力又は最大公称放電電流)よりも大きくなるように設定される。バッテリーアセンブリ12の最大公称放電電力は、バッテリーアセンブリ12が正常に放電されるときに許容される最大電力である。第1の負荷21が電源オフになった後に、バッテリーアセンブリ12の放電能力は最大公称放電能力まで回復する。言い換えると、電源30が停電に遭遇する前に、バッテリーアセンブリ12の放電能力は最大公称放電能力である。
【0083】
いくつかの実施形態では、この出願におけるバッテリーアセンブリ12は、第1の信号に基づいてバッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスを調整し、それにより、電源30が停電に遭遇した時点から第1の負荷21が電源オフになる時点までの期間に、バッテリーアセンブリ12の放電電力がバッテリーアセンブリ12の最大公称放電電力よりも大きくなり、第1の負荷21が電源オフになった後にバッテリーアセンブリ12が最大公称放電電力まで回復され、バッテリーアセンブリ12の実際の放電電力が一次負荷の負荷量に依存するようにする。
【0084】
代替として、この出願におけるバッテリーアセンブリ12は、第1の信号に基づいてバッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスを調整し、それにより、電源30が停電に遭遇した時点から第1の負荷21が電源オフになる時点までの期間に、バッテリーアセンブリ12の放電電流がバッテリーアセンブリ12の最大公称放電電流よりも大きくなり、第1の負荷21が電源オフになった後にバッテリーアセンブリ12が最大公称放電電流まで回復され、バッテリーアセンブリ12の実際の放電電流が一次負荷の負荷量に依存するようにする。
【0085】
いくつかの実施形態では、この出願におけるバッテリーアセンブリ12が充電状態又はスタンバイ状態から放電状態に遷移するとき、バッテリーアセンブリ12内の制御ユニット123は、第1の信号のパルス幅(すなわち、第1のパルス幅)を増加させてもよく、それにより、バッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスが減少し、バッテリーアセンブリ12の放電電力又は放電電流が増加するようにする。プリセット持続時間の後に、この出願におけるバッテリーアセンブリ12は、第1の信号のパルス幅(すなわち、第2のパルス幅)を減少させてもよく、それにより、バッテリーアセンブリ12の等価出力インピーダンスが増加し、バッテリーアセンブリ12の放電電力又は放電電流が減少するようにし、言い換えると、バッテリーアセンブリ12が最大公称放電電力まで回復するか、或いは、バッテリーアセンブリ12が最大公称放電電流まで回復し、バッテリーアセンブリ12の正常な動作を回復させる。第1のパルスは第2のパルスよりも大きい。
【0086】
プリセット持続時間の開始時点は、バッテリーアセンブリ12が充電状態又はスタンバイ状態から放電状態に遷移する時点である。プリセット持続時間の具体的な値はこの出願では限定されない。この出願では、バッテリーアセンブリ12内のDCDCコンバータ122の放電能力は、総負荷の電力に基づいて制御されてもよい。したがって、この出願におけるバッテリーアセンブリ12の放電能力(すなわち、放電電力又は放電電流)は総負荷をサポートできる。これに基づいて、この出願では、バッテリーアセンブリ12のバックアップ容量は、一次負荷の電力(又は電流)及び電力バックアップ持続時間のみに基づいて構成されてもよい。
【0087】
従来の技術と比較して、この出願では、電源30が停電に遭遇したとき、監視ユニット14は停電アラーム信号を監視し、二次負荷を電源オフにするように制御し、バスバー電圧を収集して階層的な電源オフを実行するシーケンスを制御する必要なく、LLVDポイント及びBLVDポイントの2つのパラメータの設定に依存する必要なく、既存のバッテリーアセンブリの分極特性が、大容量放電の場合に階層的な電源オフ効果に影響する場合を回避し、短時間の大容量放電の場合に既存のバッテリーアセンブリが過電流保護作用をトリガーする場合を回避する。
【0088】
さらに、バッテリーアセンブリ12が充電状態又はスタンバイ状態から放電状態に遷移した後に、二次負荷が電源オフになる前の期間に放電能力が向上し、電力が一次負荷及び二次負荷の双方に供給でき、この出願におけるエネルギー貯蔵システム10が停電に遭遇しないことを確保し、エネルギー貯蔵システムが故障するという現象を回避する。二次負荷が電源オフになった後に、バッテリーアセンブリ12の放電能力は最大公称放電能力まで回復し、この場合、バッテリーアセンブリ12は一次負荷のみに電力バックアップを提供する。したがって、この出願におけるバッテリーアセンブリ12が小容量で構成されるとき、一次負荷の電力バックアップ持続時間は基本的に影響を受けない。
【0089】
第1の負荷21が二次負荷であり、第2の負荷22が一次負荷であることが例として使用される。電源30が停電に遭遇した時点から第1の負荷21が電源オフになる時点までの期間に、バッテリーアセンブリ12は短時間の過負荷放電能力を有し、それにより、バッテリーアセンブリ12は第1の負荷21及び第2の負荷22に電力を供給し、この出願におけるエネルギー貯蔵システム10において総負荷をサポートし、エネルギー貯蔵システムが故障するという現象を回避する。第1の負荷21が電源オフになった後に、バッテリーアセンブリ12は第2の負荷22に電力を供給し、一次負荷の電力バックアップ持続時間を確保する。したがって、この出願におけるエネルギー貯蔵システム10内のバッテリーアセンブリ12の容量構成が低減され、エネルギー貯蔵システム10内のバッテリーアセンブリ12の数が低減され、コストが低減される。
【0090】
図4A図4Cを参照して、以下に、電源30が停電に遭遇した後のこの出願におけるバッテリーアセンブリ12の具体的な動作プロセスの例示的な説明を提供する。
【0091】
図4Aは、この出願の実施形態によるバッテリーアセンブリの充電から放電までの時系列の概略図である。図4Aにおいて、水平座標は時間tを表し、垂直座標は電流Iを表す。
【0092】
図4Aに示すように、0からt1までの時間に、バッテリーアセンブリ12は充電状態である。言い換えると、バッテリーアセンブリ12が充電状態であることを示す曲線は、曲線1又は曲線2でもよい。曲線1は、バッテリーアセンブリ12がフロート充電状態であることを表し、曲線2は、バッテリーアセンブリ12が均等充電状態であることを表す。時点t1において、電源30は停電に遭遇する。この場合、バッテリーアセンブリ12は第1の負荷21及び第2の負荷22に電力を供給し、バッテリーアセンブリ12の放電電流はI1+I2である。時点t2において、言い換えると、期間T1の後に、第1の負荷21はエネルギー貯蔵システム10から切断され、バッテリーアセンブリ12は第2の負荷22に電力を供給し、バッテリーアセンブリ12の放電電流はI2になる。I1はバッテリーアセンブリ12が第1の負荷21に電力を供給する放電電流であり、I2はバッテリーアセンブリ12が第2の負荷22に電力を供給する放電電流である。
【0093】
したがって、バッテリーアセンブリ12は期間T1において短時間の過負荷放電能力を有し、バッテリーアセンブリ12の放電電力(又は放電電流)は、時点t2の後に存在するバッテリーアセンブリ12の放電電力(又は放電電流)よりも大きく、期間T1におけるバッテリーアセンブリ12の放電電力(又は放電電流)も安定しており制御可能である。時点t2の後に存在するバッテリーアセンブリ12の放電能力は、最大公称放電能力まで回復し、それにより、バッテリーアセンブリ12は通常動作の放電電力(又は放電電流)に基づいて電力を供給し続ける。
【0094】
図4B及び図4Cはそれぞれ、この出願の実施形態によるバッテリーアセンブリの電圧U-電流I外部特性曲線の図である。図4B及び図4Cにおいて、水平座標は電流Iであり、垂直座標は電圧Vである。
【0095】
バッテリーアセンブリ12の動作モードは、図4Bに示す定電圧モード、定電力モード又は定電流モードのいずれか1つを含んでもよい。バッテリーアセンブリ12が定電圧モードであるとき、DCDCコンバータ122は、バッテリーアセンブリ12が定電圧を出力できることを確保してもよい。バッテリーアセンブリ12の動作モードは、図4Cに示す実際のバッテリーのシミュレートされた動作モードを更に含んでもよい。具体的には、放電時間が長くなるにつれてポート電圧は徐々に減少する。
【0096】
曲線1は、短時間の過負荷放電能力のみを有するバッテリーアセンブリ12を表す。曲線2は、短絡電流制限出力の特性及び短時間の過負荷放電能力の双方を有するバッテリーアセンブリ12を表す。
【0097】
図4B及び図4Cを参照すると、バッテリーアセンブリ12の特定の動作モードにかかわらず、電源30が停電に遭遇した後に、電源30が停電に遭遇した時点から第1の負荷21が電源オフになる時点までの期間に、バッテリーアセンブリ12の電圧U-電流I外部特性曲線は曲線1から曲線2に変化する。したがって、バッテリーアセンブリ12は短時間の過負荷放電能力を有し、バッテリーアセンブリ12は第1の負荷21及び第2の負荷22に電力を供給する。第1の負荷2が電源オフになった後に、バッテリーアセンブリ12は第2の負荷22に電力を供給する。
【0098】
さらに、放電状態のバッテリーアセンブリ12のポート電圧が電圧V1(すなわち、第1のプリセット電圧)に低下したとき、バッテリーアセンブリ12は第1の負荷21が短絡したと決定してもよい。したがって、バッテリーアセンブリ12は、第1の信号に基づいて、動作点V1より下のバッテリーアセンブリ12の放電電流の振幅を、動作点V1より上の最大公称放電電流よりも大きく且つバッテリーアセンブリ12の短絡保護電流よりも小さくなるように制御し、動作点V1より下のバッテリーアセンブリ12の放電電流の振幅及び持続時間が安定しており制御可能になるように制御し、言い換えると、バッテリーアセンブリ12の電流は電流I4から電流I3(すなわち、第1の電流)に増加する。電流I4は、バッテリーアセンブリ12が正常に動作するときに存在する最大公称放電電流である。
【0099】
結論として、この出願におけるバッテリーアセンブリは短絡電流制限出力の特性を有するだけでなく、短時間の過負荷放電能力も有する。この出願におけるバッテリーアセンブリは、短絡電流制限出力の特性のみを有してもよく、或いは、短時間の過負荷放電能力のみを有してもよく、或いは、短絡電流制限出力の特性及び短時間の過負荷放電能力の双方を有してもよい点に留意すべきである。
【0100】
例えば、この出願はユーザ機器を更に提供する。この出願におけるデバイスは、電気負荷20及びエネルギー貯蔵システム10を含んでもよい。
【0101】
ユーザ機器の具体的な実現方式は、この出願では限定されない。
【0102】
電源30は、エネルギー貯蔵システム10及び電気負荷20に電力を供給するように構成される。エネルギー貯蔵システム10は、電気負荷20に電力を供給し、電気デバイスが正常に動作することを確保する。電気負荷20は、トランシーバデバイスを含んでもよく、トランシーバデバイスは、信号を受信するか或いは信号を送信するように構成される。さらに、この出願における電気デバイスは制御デバイスを更に含んでもよく、制御デバイスは、トランシーバデバイスを制御して信号を受信するか或いは信号を送信してもよい。
【0103】
この出願における電気デバイスは、図1図4Cに示す実施形態における技術的解決策を実行するように構成されてもよい。電気デバイスの実現原理及び技術的効果は同様である。各モジュールの実現動作については、方法の実施形態の関連する説明を参照する。詳細は、ここでは再び説明しない。
【0104】
上記の説明は、この出願の単なる具体的な実現方式であり、この出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。この出願において開示される技術的範囲内で当業者により容易に理解されるいずれかの変更又は置換は、この出願の保護範囲内に入るものとする。したがって、この出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C