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特許7522296容器洗浄システム付き飲料用ディスペンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】容器洗浄システム付き飲料用ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B67C 7/00 20060101AFI20240717BHJP
   B67D 1/07 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B67C7/00
B67D1/07
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023503484
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 IB2021056098
(87)【国際公開番号】W WO2022023844
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】102020000018697
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515181878
【氏名又は名称】ブルプラ,エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】グロッティーニ,ジャンニ
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-196302(JP,A)
【文献】特表2016-536233(JP,A)
【文献】特開2012-001238(JP,A)
【文献】特開2003-317144(JP,A)
【文献】国際公開第94/006547(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 7/00
B67D 1/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水及び/又はその他飲料を注出するディスペンサ(10)であって、
-支持台(110)及び上面(111)を有する筐体(100)と、
-ユーザーインターフェース(112)と、
-充填される容器(9)のための支持面(1130)を有する注出用区画室(113)と、
-前記支持面(1130)上に位置し、飲料水及び/又はその他飲料を注出する、少なくとも1つのノズル(114)と、
-前記容器(9)用の洗浄用区画室(1)と、
を備え、
前記洗浄用区画室(1)は、
-1種類又はそれ以上の洗浄液を前記容器(9)内に注出する洗浄装置と、
-1種類又はそれ以上の洗浄液を前記洗浄用区画室(1)外に排出する排出口(60)と、
を備え、
前記容器(9)用の前記洗浄用区画室(1)は、洗浄される前記容器(9)を上下逆さにして収容する際に用いる籠体(11)を備え、
前記籠体(11)は、
-前記洗浄用区画室(1)内に完全に挿入された状態で、収容された前記容器(9)の洗浄を可能にする第1動作位置と、
-少なくとも一部が前記洗浄用区画室(1)から突出した状態で、洗浄される前記容器(9)を挿入し、洗浄動作終了時に引き出すことを可能にする第2動作位置と、
の間を移動可能に構成され、
前記洗浄装置は、前記籠体(11)が前記第1動作位置にある時、水及びオゾン水を交互に供給するよう構成され
前記洗浄用区画室(1)の前記籠体(11)は、セルフセンタリングシート(24)を備え、前記セルフセンタリングシート(24)は、上下逆さで挿入された容器(9)の首部と接続するよう構成されたカラー(13)が設けられ、
前記洗浄装置は、第1ノズル(61)を備え、前記第1ノズル(61)は、前記1種類又はそれ以上の洗浄液を、前記セルフセンタリングシート(24)上に上下逆さで挿入された前記容器(9)内に、上向きに噴射して注出するよう位置決めされることを特徴とする、ディスペンサ(10)。
【請求項2】
前記第1ノズル(61)から注出される前記1種類又はそれ以上の洗浄液は、ろ過水及びオゾン水であることを特徴とする、請求項に記載のディスペンサ(10)。
【請求項3】
前記第1ノズル(61)は、
-前記容器(9)内部の予洗い工程を実行する際の、ろ過水に含まれる第1の液体と、
-前記容器(9)内部のすすぎ工程を実行する際の、オゾン水に含まれる第2の液体と、
-前記容器(9)内部のすすぎ工程を実行する際の、ろ過水に含まれる第3の液体と、を順に注出することを特徴とする、請求項に記載のディスペンサ(10)。
【請求項4】
前記第1ノズル(61)は、ポンプ及びオゾン発生器と流体連通する流出導管(71)を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のディスペンサ(10)。
【請求項5】
前記籠体(11)には、さらに第2のシート(25)が設けられ、該第2のシート(25)は、前記セルフセンタリングシート(24)上に位置する前記容器(9)用のキャップ(91)を収容するよう構成されることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載のディスペンサ(10)。
【請求項6】
前記洗浄装置は、前記第2のシート(25)内にガス状オゾンを注出するよう構成された第2ノズル(63)を備えることを特徴とする、請求項に記載のディスペンサ(10)。
【請求項7】
前記第2ノズル(63)は、オゾン発生器と流体連通する流出導管(70)を備えることを特徴とする、請求項に記載のディスペンサ(10)。
【請求項8】
前記流出導管(70)は、第3ノズル(62)用の取付具(72)を備え、前記第3ノズル(62)は、前記セルフセンタリングシート(24)に上下逆さに位置する前記容器(9)の首部に対して、外向きにガス状オゾンを注出するよう位置決めされていることを特徴とする、請求項に記載のディスペンサ(10)。
【請求項9】
新しい容器(9)を引き出すよう構成された区画室(2)をさらに備え、
前記区画室(2)は、
-前記新しい容器(9)を受容するよう構成された籠体(21)であって、前記区画室(2)内に完全に挿入された状態で、前記新しい容器(9)の受容を可能にする第1動作位置と、少なくとも一部が前記区画室(2)から突出した状態で、内部に収容された前記新しい容器(9)を引き出すことを可能にする第2動作位置と、の間を移動可能に構成された籠体(21)と、
-複数の前記新しい容器(9)用の保管スペース(41)であって、前記籠体(21)が前記第1動作位置にある時に、新しい容器(9)を引き出すよう構成された前記区画室(2)の前記籠体(21)内部に、新しい容器(9)を1本ずつ、斜構(43)を介して移動させるための機構(42)を備えた保管スペース(41)と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載のディスペンサ(10)。
【請求項10】
前記洗浄用区画室(1)の前記籠体(11)と、新しい容器(9)を引き出すための前記区画室(2)の前記籠体(21)とは、それぞれの閉扉(12,22)と一体化されており、該閉扉(12,22)により、前記籠体(11,21)の、前記第1動作位置及び第2動作位置間の移動が可能になることを特徴とする、請求項に記載のディスペンサ(10)。
【請求項11】
前記閉扉(12,22)は、手動操作可能な回転扉であることを特徴とする、請求項10に記載のディスペンサ(10)。
【請求項12】
前記筐体(100)は、内部に通じる開扉(115)を備え、
前記洗浄用区画室(1)、引き出し用の前記区画室(2)、前記注出用区画室(113)、及び前記ユーザーインターフェース(112)は、前記開扉(115)上に位置することを特徴とする、請求項9乃至11のいずれか一項に記載のディスペンサ(10)。
【請求項13】
前記注出用区画室(113)及び前記容器(9)は、それぞれのセンタリング手段を備え、該センタリング手段を互いに接続することにより、無線通信システムを起動させ、該センタリング手段のそれぞれが有するダイアログ/読取手段を介して、前記ディスペンサ(10)及び前記容器(9)間でデータ交換を実行することを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のディスペンサ(10)。
【請求項14】
前記洗浄用区画室(1)の前記籠体(11)は、前記洗浄用区画室(1)の上部又は前記籠体(11)の側壁に位置する、1つ以上の殺菌手段を備えることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のディスペンサ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
飲料水及び/又は飲料一般を供給するための装置を以下に説明する。本装置は、注出された飲料を入れるための容器を洗浄・殺菌するシステムを備える。
【背景技術】
【0002】
既知のディスペンサ(以下、本用語は、広く一般の「水及び/又は飲料を注出するための装置」を指すものとして使用される)は、職場、飲食店、公共施設、及び/又は、屋外での使用を想定して設計されている。
【0003】
こうしたディスペンサは、例えば、本出願の出願人による特許文献1にも記載されている。
【0004】
一般的に、ディスペンサは、注出する水の本管及び/又は飲料の保存タンクと接続しており、(必要であれば、既知のフィルタ及び/又は殺菌ユニットによって浄水を行ったあとに)室温及び/又は(既知の冷蔵手段による)冷蔵温度で、及び/又は、(二酸化炭素を注入することで)炭酸を追加して、飲料水及び/又は飲料を供給するよう、設計されている。
【0005】
また、ディスペンサは、飲料注出ノズルを利用するための、少なくとも1つの注出台が設けられており、該ノズルの下には、充填される容器が位置している。また、少なくとも1つの通貨受入装置(又は好適なプリペイド式カードやマイクロチップ付キーを認識する装置)や、注出する飲料の種類やその量など、ディスペンサの操作機能を選択するよう設計された、少なくとも1つのインターフェースといった、注出機能を起動する際の特定のコマンドに係るものも設けられている。
【0006】
現在、既知のディスペンサには、依然として、欠点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開第3049364号明細書
【文献】国際公開第94/06547号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特に、注出された飲料を入れるための容器の状態に関して、適切な衛生条件が満たされていることを、消費者に保証するディスペンサを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、使用者にとって人間工学的に好ましい特徴を備えたディスペンサを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実現可能な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。図面は、以下の通りである。
【0011】
図1図1は、本発明に係る、飲料水及び/又はその他の飲料を注出するディスペンサの斜視図である。
図2図2は、図1のディスペンサの詳細を示す正面図である。
図3図3は、図2で示したものの斜視図であり、飲料注出用区画室に位置する容器を示している。
図4図4は、図2及び図3と同様の詳細を示す斜視図であり、第1扉が開いて、容器の洗浄用区画室が見える状態にある。
図5図5は、図1のディスペンサの概略断面図である。
図6図6は、図2図3、及び図4と同様の詳細を示す斜視図であり、第2扉が開いて、容器を引き出すための区画室が見える状態にある。
図7図7は、洗浄及び殺菌対象である容器及びキャップを受け入れる籠体の斜視図である。
図8図8は、図7と同様の図であり、洗浄及び殺菌対象である容器及びキャップが籠体内部に位置する様子を示す。
図9図9は、図8の籠体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、特に、図面に示す例示を参照して、本発明の特徴を以下に説明する。
【0013】
また、次元及び空間を示す用語(例えば、「低い」、「高い」、「内部の」、「外部の」、「正面の」、「後面の」など)は、本発明の構成要素が添付の図面上で表される際の位置関係を示しているが、いかなる用語も、想定されうる動作状況を限定する意図はない。
【0014】
添付の図面を参照すると、符号10は、飲料水及び/又はその他飲料を注出する装置全体を示しており、以下では、「ディスペンサ10」のように、省略した形で記載する。
【0015】
ディスペンサ10は、支持台110及び上面111を有して、収容及び支持を行う筐体100を備える。図示例では、筐体100は、概略的及び/又は実質的に、多角形断面、例えば、四角形断面を有するが、筐体100は、設計の意図と用途における要件を考慮したうえであれば、任意に変化させた設計的及び寸法的構成を有し得る。
【0016】
筐体100は、ディスペンサにおける、従来の構造的及び機能的構成要素(油圧回路及びタンク、冷蔵及びガス化ユニット、殺菌要素など)が収容可能な内部容積を有しているが、これらは同分野における既知の技術の一部であるため、詳述は省略する。
【0017】
ディスペンサ10は、動作を制御し、使用者に操作手順を示す、タッチスクリーンなどのユーザーインターフェース112を備える。
【0018】
既知の技術同様、ディスペンサ10は、さらに注出台113(以下、「注出用区画室113」と称する)を備える。注出用区画室113は、容器9用の支持面1130と、支持面1130の上部に位置する、飲料を注出するための少なくとも1つのノズル114と、を有する。
【0019】
注出用区画室113の支持面1130は、好ましくは、容器9からあふれた、又は、注出ノズル114から滴り落ちる飲料を排出するためのグレーチングを備える。
【0020】
添付の図面の例示によれば、容器9は、ボトル又はフラスコである。しかしながら、本書に記載される通り、後述する注出用区画室113及び洗浄用区画室1内に載置できる形状及びサイズであれば、任意の容器を使用可能であることは言うまでもない。
【0021】
実際には、ディスペンサ10は、容器9用、特に、概略的及び/又は実質的にボトル形状を有する容器9用の洗浄用区画室1を備える。
【0022】
容器用の洗浄用区画室が設けられたディスペンサの例は、先行文献である特許文献2にも示されている。
【0023】
ディスペンサ10は、洗浄用区画室1内部の洗浄される容器9を収容するよう構成された第1籠体11(又は洗浄籠体11)を備える。
【0024】
籠体11は、第1動作位置及び第2動作位置間を移動可能となっている。
【0025】
第1動作位置(図1図2、及び図3参照)では、籠体11は、洗浄用区画室1内に完全に挿入された状態で、収容された容器9の洗浄動作を実行可能である。
【0026】
第1動作位置において、籠体11は、逆さ位置、つまり、首部が下向きで底部が上向きになっている状態の容器9を収容するよう設計されている。
【0027】
第2動作位置(図4参照)では、籠体11は、少なくとも一部が洗浄用区画室1から突出した状態で、洗浄される容器9を挿入し、洗浄動作終了時に引き出すことが可能となっている。
【0028】
籠体11は閉扉12と一体化されており、扉を動作させることで、籠体11が第1動作位置及び第2動作位置間を移動可能となっている。
【0029】
ディスペンサ10は、以下に詳述する、洗浄装置を備える。籠体が第1動作位置、つまり、洗浄用区画室1内に完全に挿入された状態にある時、洗浄装置は、籠体11内に挿入された容器9の内部に、1種類又はそれ以上の洗浄液を注出する。
【0030】
洗浄装置は、ろ過水及びオゾン水を交互に供給するよう設計されている。より具体的に、洗浄装置は、
容器9内部の予洗い工程を実行する際の、ろ過水に含まれる第1の液体と、
容器9内部の殺菌工程を実行する際の、オゾン水に含まれる第2の液体と、
容器9内部のすすぎ工程を実行する際の、ろ過水に含まれる第3の液体と、
を順に注出するよう、設計されている。
【0031】
図7図8、及び図9を参照すると、上述した籠体11及び対応する洗浄装置の構成を、より容易に理解できる。
【0032】
図示の例では、逆さ位置で挿入された容器9の首部と接続するよう設計されたセルフセンタリングシート24を有するよう、籠体11が形成されている。
【0033】
容器9用のセルフセンタリングシート24は、カラー13を備える。カラー13は、容器9の首部用のセンタリング要素としての機能に加え、洗浄装置から注出された洗浄液のしぶきに対し、油圧シールとしても機能する。言い換えれば、カラー13によって、容器9の上部の外側部分(つまり、カラー13の上部に位置する容器9の一部)が洗浄液で濡れるのを防いでいる。
【0034】
図9に示すように、洗浄装置は、第1ノズル61を備える。第1ノズル61は、洗浄液を、セルフセンタリングシート24上に上下逆さで挿入された容器9内に、上向きに噴射して注出するよう位置決めされている。
【0035】
第1ノズル61は、流出導管71を備える。流出導管71は、加圧水を供給するポンプやオゾン発生器といった、ディスペンサ10内部に配置される図示略の好適な構成要素と流体連通する。
【0036】
洗浄装置の第1ノズル61から注出された洗浄液は、逆さ位置にある容器9の首部の口から、自重によって排出され、籠体11の底部に形成された排出口60を通って、洗浄用区画室1から流出する。
【0037】
図示の例では、籠体11は、第2のシート25をさらに備える。第2のシート25は、セルフセンタリングシート24に配置された容器9のキャップ91(例えば、スクリューキャップ又は加圧キャップ)を収容するよう設計される。
【0038】
洗浄装置は、第2のシート25内に液体を注出する第2ノズル63を備える。液体は、オゾン発生器と流体連通する流出導管70を介して供給された、ガス状オゾンを含む。ここで、オゾン発生器は、容器9内に第1ノズル61によって注出した水にオゾンを添加するために使用した発生器と同一のものであってもよい。あるいは、具体的に、第2ノズル63の流出導管70に接続された、第2オゾン発生器を設けてもよい。
【0039】
流出導管70は、第3のノズル62用の取付具72をさらに備える。取付具72は、容器9の首部に対して、外向きにガス状オゾンを注出するよう位置決めされている。
【0040】
したがって、流出導管70は、(第2ノズル63を介して)ガス状オゾン流体の一部を、キャップ91を収容するよう設計されたシート25に向けて、そして、(前述の取付具72によって流出導管に接続した第3のノズル62を介して)ガス状オゾン流体の一部を、セルフセンタリングシート24の下部の容器9の首部に向ける。
【0041】
なお、ガスの高い揮発性(籠体11が閉扉12によって開けられるとすぐに、大気中に分散すること)を鑑みると、第2ノズル63を介してシート25に向けてガス状オゾンを注出することは、使用者がキャップ91を内部に配置しなかった場合においても、実行され得る。また、シート25においてキャップ91がなかった場合でも、ガス状オゾンを注出することによって、籠体11の上部を該気体に接触させることができる。これにより、籠体11の上部に対してだけでなく、セルフセンタリングシート24のカラー13の上部に位置する容器9の外側部に対しても、殺菌が実行できる。
【0042】
図示の例では、ディスペンサ10は、引き出し用の区画室2をさらに備える。引き出し用の区画室2は、概略的及び/又は実質的にボトル形状を有する新しい容器9を供給し、引き出す。
【0043】
ディスペンサ10は、引き出し用の区画室2の内部に新しい容器9を受容するよう設計された、第2籠体21(又は、引き出し用籠体21)を備える。籠体21は、引き出し用の区画室2内に完全に挿入される第1動作位置と、少なくとも一部が、引き出し用の区画室2から突出した状態で、使用者が内部にある容器9を引き出すことが可能な第2動作位置と、の間を移動可能である。
【0044】
籠体21は、閉扉22と一体化されており、その開閉によって、籠体21の、第1動作位置及び第2動作位置間の移動が可能になる。
【0045】
図5に示すように、ディスペンサ10は、筐体100内に収容スペース41(以下、「保管スペース41」)を備え、複数の新しい容器9が保管されるよう設計される。
【0046】
籠体21が第1動作位置にある時に、既知の機構42によって、保管スペース41から下部の斜構43(例示では、アイドルローラーコンベア構成)に向かって、容器9を1本ずつ自重により下降させ、引き出し用の区画室2の籠体21へ搬送する。
【0047】
洗浄用区画室1に載置されて洗浄されるよう、続いて、注出用区画室113において選択された飲料で充填されるよう設計された容器9(あるいは、同様の目的で設計された類似の容器)を、使用者が所有していない場合、引き出し用の区画室2が、ディスペンサ10の使用者によって使用される。言い換えれば、使用者が類似の容器を既に所有している場合、新しい容器9を供給し、引き出す機能は必須ではなく、引き出し用の区画室2に関連するディスペンサ10の機能は、使用されないままとなる。
【0048】
図示の例では、洗浄用区画室1の籠体11の閉扉12と、引き出し用の区画室2の籠体21の閉扉22との両方が、傾斜ドアであり、手動操作可能である場合が示されている。
【0049】
さらに、飲料注出用区画室113は、ユーザーインターフェース112よりも下の高さに配置され、洗浄用区画室1及び注出用区画室2は、注出用区画室113よりも下の高さに配置されている。
【0050】
ディスペンサ10の使用者にとっての使いやすさを向上させるうえで、こうした手法を組み合わせることは、非常に有用である。これにより、構造システムに特定のストレスを掛けることなく、また、洗浄用区画室1の使用時、あるいは、新しい容器9を注出用区画室2から引き出す際に、屈む必要もなくため、人間工学的原理に基づいて、機能を活用することができる。
【0051】
図示の例では、ディスペンサ10の筐体100は、開扉115を備える。これにより、内部に手が届くため、新しい容器9の保管スペース41への供給や、種々の構造的及び機能的構成要素に対する保守作業といった、通常のメンテナンス業務が可能となる。
【0052】
この実施形態において、洗浄用区画室1、引き出し用の区画室2、注出用区画室113、及びユーザーインターフェース112は、開扉115上に位置する。
【0053】
以上の説明の通り、公知技術の解決策に対し、本発明で達成し得る利点は、使用時の機能性及び実用性の両面で明らかに発揮されるものである。
【0054】
上述のディスペンサ10に対し、本発明の概念における革新的な領域を逸脱することなく、多数の変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。また、これら研究結果の実装においては、前述の構成要素の多くを、技術的に同等の要素によって置き換え可能であることも、明らかである。
【0055】
例えば、ディスペンサ10の変形例を提示することが可能である。この変形例では、注出用区画室113が、同出願人による特許文献1によって保護された特徴を有している、つまり、注出用区画室113及び容器9の、それぞれのセンタリング要素間の接続を含むシステムが設けられている。この接続により、無線通信システムを起動させ、センタリング要素のそれぞれが有するダイアログ/読取手段を介して、容器9及びディスペンサ10間でデータ交換を実行する。
【0056】
ディスペンサ10の他の変形例では、洗浄用区画室1の籠体11が、例示の洗浄装置に加えて、1つ以上の殺菌手段(例えば、UVランプなど)を備え得る。該殺菌手段は、洗浄用区画室1の上部又は籠体11の側壁に配置され、これにより、キャップ91や容器9の外部のさらなる殺菌が可能になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9