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特許7522298電極アセンブリ、電池、装置及び電極アセンブリの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】電極アセンブリ、電池、装置及び電極アセンブリの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20240717BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M10/04 W
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023506543
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 CN2021092210
(87)【国際公開番号】W WO2022233050
(87)【国際公開日】2022-11-10
【審査請求日】2023-01-31
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】白 清林
(72)【発明者】
【氏名】温 裕乾
(72)【発明者】
【氏名】姜 玲燕
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/146513(WO,A1)
【文献】特開2013-073872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/533
H01M 10/04-0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池に用いられる全タブ型の捲回式電極アセンブリであって、
本体部と、
前記本体部の端部に位置し、前記本体部に接続されるタブとを含み、
前記タブは、整形案内部と、整形変形領域とを含み、
前記整形案内部は、整形処理において所定変形を生じるように前記タブを案内して前記整形変形領域を形成する、電極アセンブリ。
【請求項2】
前記タブが平らに広げられた状態で、前記整形案内部は、複数の圧痕を含み、複数の前記圧痕は、間隔をあけて配列される、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項3】
前記圧痕は、前記電極アセンブリの軸線方向とのなす角が30°から90°である長尺形状の圧痕を含む、請求項2に記載の電極アセンブリ。
【請求項4】
前記圧痕は、第1のストリップ状圧痕と、第2のストリップ状圧痕とを含み、前記第1のストリップ状圧痕の前記本体部に近い端と前記第2のストリップ状圧痕の前記本体部に近い端とが重なることで、第1のストリップ状圧痕と第2のストリップ状圧痕とのなす角を30°から90°にする、請求項3に記載の電極アセンブリ。
【請求項5】
前記圧痕は、前記電極アセンブリの軸線方向とのなす角が90°である長尺形状の圧痕を含む、請求項2に記載の電極アセンブリ。
【請求項6】
前記圧痕は、前記電極アセンブリの軸線方向とのなす角が90°である間欠的に配列される長尺形状の圧痕を含む、請求項2に記載の電極アセンブリ。
【請求項7】
前記タブが平らに広げられた状態で、前記整形案内部は、間隔をあけて配列される複数の開口を含む、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項8】
前記開口は、前記電極アセンブリの軸線方向とのなす角が30°から90°である線形切欠を含む、請求項7に記載の電極アセンブリ。
【請求項9】
前記開口は、直線に沿って配列される複数の穴形切欠を含み、前記直線と前記電極アセンブリの軸線方向とのなす角は、30°から90°である、請求項7に記載の電極アセンブリ。
【請求項10】
前記圧痕間の配列間隔は、10mm以下である、請求項2~6のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項11】
前記開口間の配列間隔は、10mm以下である、請求項7~9のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項12】
前記タブの前記本体部に接続される端に、補強領域が設けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項13】
前記タブが平らに広げられた状態で、前記電極アセンブリの軸線方向における前記タブの長さは、4~15mmである、請求項1~9のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項14】
前記タブが平らに広げられた状態で、電極アセンブリの軸線方向に、前記整形案内部の長さは、前記タブの長さの1/5~4/5である、請求項1~9のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項15】
前記電極アセンブリの軸線方向に、前記整形案内部の前記本体部に近い側の端部から前記本体部の前記タブに接続される端部までの長さは、0.5mm以上である、請求項14に記載の電極アセンブリ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の電極アセンブリを含む、電池。
【請求項17】
請求項16に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを供給するために用いられる、装置。
【請求項18】
全タブ型の捲回式電極アセンブリの製造方法であって、
塗布領域及びタブ領域を含む極板と、セパレータとを提供するステップと、
前記極板と前記セパレータを捲回して電極アセンブリを形成するステップであって、前記塗布領域と前記セパレータは本体部を形成し、前記タブ領域はタブを形成し、前記タブは整形案内部を含むステップと、
前記タブ端部に対して整形処理を行うステップであって、前記整形案内部は、所定変形を生じるように前記タブを案内して整形変形領域を形成するステップとを含む、電極アセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エネルギー貯蔵デバイスの技術分野に関し、特に電極アセンブリ、電池、装置及び電極アセンブリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の大容量円柱形電池は、全タブ型正負極が多く用いられている。タブ端面は、電池の電流が集電板から出力されるように、集電板に溶接される必要がある。溶接前に、タブと集電板の溶接面積と溶接強度を確保し、溶接時に極板が焼けることを防止するために、タブ端面を整形し、タブを軸方向に沿って圧縮して、密で平坦な端面を得る必要がある。
【0003】
一般的なタブ端面の整形方法は、直接的な押圧整形と、超音波振動による平坦化と、機械的回転による平坦化とを含む。直接的な押圧整形において、大きい押圧力を必要とし、極板又はセパレータの軸方向ずれを引き起こしやすく、そして極板の縁が力を受けて脱炭と粉落ちを引き起こしやすく、また、タブの倒伏方向がランダムであり、押圧後の端面におけるタブの分布が不均一であり、レーザー溶接時にメルトスルーが発生しやすい。超音波振動による平坦化において、高周波超音波振動は、タブ箔材の破砕を引き起こし、大量の金属屑を発生し、電池コアの自己放電が大きすぎ、ひいては短絡することを引き起こす。機械的回転による平坦化において、フラットヘッドが高速回転してタブを転圧すると、金属屑を発生し、電池コアの自己放電が大きすぎ、ひいては短絡することを引き起こし、そして平坦化された端面が強固過ぎて、電解液の注液及び浸潤に不利になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題を解決するために、本出願は、タブ端面が整形されて密で平坦な端面を形成しやすい電極アセンブリ、電池、装置及び電極アセンブリの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施例の第1の態様は、二次電池に用いられる電極アセンブリを提供し、該電極アセンブリは、本体部と、本体部の端部に位置し、本体部に接続されるタブとを含み、タブは、整形案内部と、整形変形領域とを含み、整形案内部は、整形処理において所定変形を生じるようにタブを案内して整形変形領域を形成する。
【0006】
本出願による電極アセンブリでは、タブ上に整形案内部と整形変形領域が形成され、タブ端面に対して整形処理を行う時、整形案内部は、タブをほぼ規則的に変形させるように案内し、即ち、整形変形領域を形成することによって、タブの端面を密かつ平坦にする。それとともに、整形案内部が設置されているため、タブが皺になって変形するために必要な力が減少し、整形処理において、タブが変形しやすく、極板が破損したりずれたりすることがない。
【0007】
一つの可能な設計では、タブが平らに広げられた状態で、整形案内部は、複数の圧痕を含み、複数の圧痕は、間隔をあけて配列される。
【0008】
整形案内部は、間隔をあけて配列される複数の圧痕を含み、圧痕の設置によって、整形案内部は、良好な整形案内の役割を果たすことができ、且つ捲回後のタブの小さな曲率半径の内輪に対しても変形を案内する役割を果たすことができる。
【0009】
一つの可能な設計では、圧痕は、電極アセンブリの軸線方向とのなす角が30°から90°である長尺形状の圧痕を含む。
【0010】
圧痕と電極アセンブリの軸線方向とが30°から90°のなす角を形成することで、整形処理において、タブは、小さい軸方向の押圧力の作用で一定方向の倒伏を生じ、所定変形を生じることができる。
【0011】
一つの可能な設計では、圧痕は、第1のストリップ状圧痕と、第2のストリップ状圧痕とを含み、第1のストリップ状圧痕の本体部に近い端と第2のストリップ状圧痕の本体部に近い端とが重なることで、第1のストリップ状圧痕と第2のストリップ状圧痕とのなす角を30°から90°にする。
【0012】
二種の角度の長尺形状の圧痕を同時に設置することで、整形処理において、タブの内部の圧縮がより容易になり、二種の圧痕の間の圧縮されたタブを収容して密な端面を形成することができる。
【0013】
一つの可能な設計では、圧痕は、電極アセンブリの軸線方向とのなす角が90°である長尺形状の圧痕を含む。
【0014】
圧痕と電極アセンブリの軸線方向とのなす角が90°であることで、整形処理において、タブは、軸方向の押圧力を受ける時、圧縮がより容易になり、整形後のタブ端面をより密にする。
【0015】
一つの可能な設計では、圧痕は、電極アセンブリの軸線方向とのなす角が90°である間欠的に配列される長尺形状の圧痕を含む。
【0016】
一つの可能な設計では、タブが平らに広げられた状態で、整形案内部は、間隔をあけて配列される複数の開口を含む。
【0017】
一つの可能な設計では、開口は、電極アセンブリの軸線方向とのなす角が30°から90°である線形切欠を含む。
【0018】
線形切欠が良好な変形案内の役割を有することで、タブは、整形時に、小さい軸方向の押圧力の作用で一定方向の倒伏を生じ、所定変形を生じることができる。
【0019】
一つの可能な設計では、開口は、直線に沿って配列される複数の穴形切欠を含み、直線と電極アセンブリの軸線方向とのなす角は、30°から90°である。
【0020】
穴形切欠が直線方向に沿って配列され、良好な変形案内の役割を有することで、タブは、整形時に、小さい軸方向の押圧力の作用で一定方向の倒伏を生じ、所定変形を生じることができる。
【0021】
一つの可能な設計では、圧痕間の配列間隔は、10mm以下である。
【0022】
隣接する圧痕の間隔が10mm以下であることで、タブの内輪における圧痕が整形処理において案内の役割を果たすことをより良好に確保することができる。
【0023】
一つの可能な設計では、開口間の配列間隔は、10mm以下である。
【0024】
隣接する開口の間隔が10mm以下であることで、タブの内輪における開口が整形処理において案内の役割を果たすことをより良好に確保することができる。
【0025】
一つの可能な設計では、タブの本体部に接続される端に、補強領域が設けられている。
【0026】
タブの本体部端部に接続される端に補強領域を形成することで、タブの本体部端部に接続される位置の強度を向上させ、それによってタブ端面を整形する時、タブに対して支持力を提供し、極板の塗布領域の縁の破損を避け、極板を保護する。
【0027】
一つの可能な設計では、タブが平らに広げられた状態で、電極アセンブリの軸線方向におけるタブの長さは、4~15mmである。
【0028】
タブの長さを4~15mmとすることで、整形後に、タブが整形変形領域を形成するのに十分な厚さを有し、タブ端面と集電板を溶接する時にタブのメルトスルーが発生することを避けることができるだけでなく、タブの空いている箔領域が狭いことを確保し、材料コストを低減させることもできる。
【0029】
一つの可能な設計では、タブが平らに広げられた状態で、電極アセンブリの軸線方向に、整形案内部の長さは、タブの長さの1/5~4/5である。
【0030】
整形案内部の長さをタブの長さの1/5~4/5とすることで、整形時に、タブが変形して皺になることが容易であり、整形変形領域を形成することを確保することができる。
【0031】
一つの可能な設計では、電極アセンブリの軸線方向に、整形案内部の本体部に近い側の端部からタブに接続される本体部の端部までの長さは、0.5mm以上である。
【0032】
整形案内部と本体部端部との間に一定の距離を維持することで、軸方向の押圧力が塗布領域の縁に伝達されて極板の破損を引き起こすことを避けることができる。
【0033】
本出願の実施例の第2の態様は、上述した電極アセンブリを含む電池を提供する。
【0034】
本出願の実施例の第3の態様は、電気エネルギーを提供するための上述した電池を含む装置を提供する。
【0035】
本出願の実施例の第4の態様は、電極アセンブリの製造方法を提供し、当該方法は、塗布領域及びタブ領域を含む極板と、セパレータとを提供するステップと、極板とセパレータを捲回して電極アセンブリを形成するステップであって、塗布領域とセパレータは本体部を形成し、タブ領域はタブを形成し、タブは整形案内部を含むステップと、タブの端部に対して整形処理を行うステップであって、整形案内部は、所定変形を生じるようにタブを案内して整形変形領域を形成するステップとを含む。
【0036】
本出願による電極アセンブリ、電池、装置及び電極アセンブリの製造方法では、タブ上に整形案内部が形成されており、タブ端面に対して整形処理を行う時、整形案内部は、タブをほぼ規則的に変形させるように案内し、整形変形領域を形成することによって、タブの端面を密かつ平坦にする。それとともに、整形案内部が設置されているため、タブが皺になって変形するために必要な力が減少し、整形処理において、タブが変形しやすく、極板が破損したりずれたりすることがない。
【0037】
理解すべきこととして、以上の一般的な記述と以下の詳細な記述は、例示的なものに過ぎず、本出願を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本出願の実施例による技術案をより明確に説明するために、以下では、本出願の実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明するが、明らかなことに、以下に説明する図面は、本出願の具体的な実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を支払うことなく、以下の図面に基づいて他の実施例を入手することができる。
【0039】
図1】一つの具体的な実施例における本出願による装置の構造概略図である。
図2】本出願の一つの具体的な実施例における電池セルの構造概略図である。
図3図2に示す電池セルの構造分解概略図である。
図4】本出願の一つの具体的な実施例の電極アセンブリの構造概略図である。
図5図4の電極アセンブリの一部を展開した構造概略図である。
図6】本出願の一つの具体的な実施例の第1の極板の局所概略図である。
図7】一つの具体的な実施例における図6のI部分の局所拡大図である。
図8図2に示す電池セルの軸線位置での断面図である。
図9図8のII部分の局所拡大図である。
図10】第1の極板の局所概略図であり、整形時のタブの受力状況及び整形案内部の具体的な形態を説明する。
図11図7のA1-A1矢視断面図であり、圧痕の一つの実施例を示す。
図12図7のA1-A1矢視断面図であり、圧痕の別の実施例を示す。
図13】第1の極板の局所概略図であり、整形案内部の別の具体的な実施例を示す。
図14】第1の極板の局所概略図であり、整形案内部の別の具体的な実施例を示す。
図15図14のA2-A2矢視断面図である。
図16】第1の極板の局所概略図であり、整形案内部の別の具体的な実施例を示す。
図17図16のA3-A3矢視断面図である。
図18】第1の極板の局所概略図であり、整形案内部の別の具体的な実施例を示す。
図19図18のA4-A4矢視断面図である。
図20】第1の極板の局所概略図であり、整形案内部の別の具体的な実施例を示す。
図21図20のA5-A5矢視断面図である。
図22】第1の極板の局所概略図であり、整形案内部の別の具体的な実施例を示す。
図23】本出願の一つの具体的な実施例の電極アセンブリの製造方法のフローチャートである。
【0040】
ここでの図面は明細書に合併して本明細書の一部を構成し、本出願に合致する実施例を示し、かつ明細書と共に本出願の原理を解釈するためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本出願の技術案をよりよく理解するために、以下では、図面を結合して本出願の実施例に対して詳細に説明する。
【0042】
説明する実施例は、本出願の全ての実施例でなく、その一部の実施例のみであることは明らかである。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労働をすることなく得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0043】
本出願の実施例において使用される用語は特定の実施例を説明する目的を果たすに過ぎず、本出願を制限するものではない。本出願の実施例と添付される特許請求の範囲に使用される単数形式の「一種の」、「前記」と「該」は多数の形式を含むことを目的とするが、文脈に他の意味を明確に表示する場合は除外される。
【0044】
理解すべきこととして、本明細書における「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、3つの関係が存在し得ることを表し、例えば、A及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの三つのケースを表してもよい。また、本文における「/」といる文字は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0045】
注意すべきこととして、本出願実施例に記述された「上」、「下」、「左」、「右」、などの方位用語は図面に示す角度で記述されたものであり、本出願の実施例を限定するものとして理解すべきではない。なお、文脈上では、さらに理解すべきこととして、1つの素子が別の素子の「上」又は「下」に接続されると言及した時、それは別の素子の「上」又は「下」に直接接続することができるだけではなく、中間素子を介して別の素子の「上」又は「下」に接続することができる。
【0046】
図1は、一つの具体的な実施例における本出願による装置の構造概略図である。
【0047】
図1に示すように、本出願の実施例は、電池D、及び該電池Dを電源として使用する装置を提供する。
【0048】
電池Dを電源として使用する装置は車両A、船舶、小型飛行機等の機器を含み、該装置は電池Dを採用して電力を提供し、該装置を駆動する駆動力を生成する。該装置は電力と他のタイプのエネルギー(例えば、化石エネルギー)とを同時に使用し、共に駆動力を生成してもよい。電池Dを電源として使用することができる装置であれば、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0049】
図1に示すように、車両Aを例として、本出願の実施例における車両Aは新エネルギー自動車であってもよく、該新エネルギー自動車は純電気自動車であってもよく、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車等であってもよい。例えば、車両AはモータM、コントローラC及び電池Dを含む。電池Dは車両本体の底部に水平に設置され、コントローラCは、電池DをモータMに給電するように制御し、モータMが伝達機構を介して車両本体上の車輪に接続されることによって、車両Aが走行するように駆動する。
【0050】
異なる電力消費需要を満たすために、電池Dは複数の電池セルBを含んでもよく、ここで、複数の電池セルBの間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよく、直並列接続は、直列接続と並列接続との混合を指す。電池Dは、電池パックと呼ばれてもよい。任意選択的に、複数の電池セルBをまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池Dを構成する。つまり、複数の電池セルBは直接的に電池Dを構成してもよく、又は、まず電池モジュールを構成し、さらに電池モジュールで電池Dを構成してもよい。
【0051】
電池セルBは、一般的には、円柱形電池セル、四角形電池セル及び軟質パウチ電池セルに分けられ、以下の実施例では、円柱形電池セルを例として本出願を詳しく説明する。
【0052】
図2は、本出願の一つの具体的な実施例における電池セルBの構造概略図であり、図3は、図2に示す電池セルBの構造分解概略図である。
【0053】
図2に示すように、本実施例における電池セルBは、円柱形電池セルである。円柱形電池セルは、電池セルBの外観が円柱形構造をなすものを指す。
【0054】
図3に示すように、本実施例の電池セルBは、二次電池であり、それは、ハウジング200と、ハウジング200内に設置される電極アセンブリ100とを含む。本実施例のハウジング200は、筒状構造である。軸線方向Xに沿うハウジング200の両側の端部は、開口201を有し、その内部に、電極アセンブリ100と電解液を収容する収容空間を有する。ハウジング200は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金又はプラスチックなどの材料で製造されてもよい。電極アセンブリ100は、本体部101と、軸線方向Xに沿う本体部101の両側の端部に位置するタブ102とを含む。電極アセンブリ100は、ハウジング200の端部の開口201からハウジング200内の収容空間内に入れてもよい。
【0055】
図3に示すように、電池セルBは、エンドキャップアセンブリ300をさらに含む。エンドキャップアセンブリ300は、ハウジング200の両側の開口201を封止するためのものである。エンドキャップアセンブリ300は、エンドキャップ32と、絶縁部材33と、電極端子31と、集電板34とを含む。エンドキャップ32は、ハウジング200の開口201をカバーし、ハウジング200に接続される。例えば、エンドキャップ32は、ハウジング200に溶接接続されてもよい。絶縁部材33及び電極端子31はいずれもエンドキャップ32上に設置される。絶縁部材33は、エンドキャップ32の、ハウジング200の内部に近い側に設置される。電極端子31は、集電板34を介して電極アセンブリ100に電気的に接続され、集電板34は、エンドキャップアセンブリ300のタブ102に向かう側に固定されて取り付けられる。例示的には、ハウジング200は、対向する二つの開口201を有し、エンドキャップアセンブリ300の数は、二つであり、二つのエンドキャップ32はそれぞれ二つの開口201をカバーし、ハウジング200に接続される。軸線方向Xに沿う電極アセンブリ100の両端のうちの各端に、一つのエンドキャップアセンブリ300が対応して設置される。電池セルBを組み立てる時、まず、電極アセンブリ100をハウジング200内に置いてから、両側のタブ102をそれぞれ両側のエンドキャップアセンブリ300の集電板34に溶接接続し、続いて、両側のエンドキャップ32をそれぞれハウジング200に固定接続し、電池セルBの組み立てを完了する。
【0056】
図4は、本出願の一つの具体的な実施例の電極アセンブリ100の構造概略図である。
【0057】
図4に示すように、本出願の一つの具体的な実施例における電極アセンブリ100の両側のタブ102は、全タブ構造である。全タブ構造の電極アセンブリ100は、以下の方式で形成される。電極アセンブリ100の正負極板に活物質を塗布する時、極板の上下縁に、活物質が塗布されない一部の領域を残し、活物質が塗布された領域は、塗布領域となり、活物質が塗布されていない領域は、タブ領域となり、極板とセパレータを捲回する時、塗布領域が捲回された後に本体部101となり、タブ領域が捲回された後に全タブ102となる。全タブ構造は、円柱形電極アセンブリ100の過電流能力をより強くすることができるだけでなく、極板の製造工程を簡略化することもできる。
【0058】
図4における電極アセンブリ100は、本体部101と、軸線方向Xに沿う本体部101の両側に設置されるタブ102とを含む。極板の活物質塗布境界に、本体部101のタブ102に接続される本体部端部103が形成され、二つのタブ102は、軸線方向Xに沿ってそれぞれ両側の本体部端部103から延在する。軸線方向Xに沿うタブ102の端部にタブ端面104を有し、両側のタブ端面104はそれぞれ両側のエンドキャップアセンブリ300の集電板34に溶接接続される。
【0059】
図5は、図4の電極アセンブリ100の一部を展開した構造概略図である。
【0060】
図5に示すように、本実施例の電極アセンブリ100は、第1の極板1、第2の極板2及びセパレータ3を捲回することで形成され、ここで、セパレータ3は、第1の極板1と第2の極板2との間に介在する絶縁体であり、第1の極板1と第2の極板2を絶縁隔離し、第1の極板1と第2の極板2との接触を避けるためのものである。第1の極板1は、第1の塗布領域11と、第1のタブ領域12とを含み、第2の極板2は、第2の塗布領域21と、第2のタブ領域22とを含む。第1の極板1の活物質は、第1の極板1の第1の塗布領域11に塗布され、第2の極板2の活物質は、第2の極板2の第2の塗布領域21に塗布される。第1のタブ領域12、第2のタブ領域22に活物質が塗布されていない。
【0061】
第1の極板1、第2の極板2及びセパレータ3を捲回する時、第1の極板1の第1の塗布領域11、第2の極板2の第2の塗布領域21及びセパレータ3の対応する部分は、捲回されて本体部101を形成し、第1の極板1の第1のタブ領域12が捲回されて第1のタブ102aを形成し、第2の極板の第2のタブ領域22が捲回されて第2のタブ102bを形成する。本体部101の第1の端部103aは、第1の塗布領域11と第1のタブ領域12との接続境界となり、本体部101の第2の端部103bは、第2の塗布領域21と第2のタブ領域22との接続境界となる。
【0062】
タブ102は、多層構造である。第1のタブ102aと第2のタブ102bとは、極性が逆であり、例示的には、第1のタブ102aは、正極タブ102aであり、第2のタブ102bは、負極タブ102bである。
【0063】
一つの具体的な実施例では、第1のタブ領域12の第1の端部103aに近い端に、第1の補強領域13が設けられ、第2のタブ領域22の第2の端部103bに近い端に、第2の補強領域23が設けられる。第1の補強領域13と第2の補強領域23は、第1のタブ領域12と第2のタブ領域22の本体部端部103に近い領域にタブ接着剤を塗布することで形成されてもよい。タブ接着剤が塗布された第1の補強領域13と第2の補強領域23の剛度は、タブ接着剤が塗布されていない領域のタブの箔材剛度よりも高い。第1の補強領域13と第2の補強領域23は、タブ102の本体部端部103に接続される位置の強度を向上させ、タブ端面104を整形する時、支持を提供し、第1の塗布領域11、第2の塗布領域21の破損を避け、第1の極板1、第2の極板2を保護することができる。無論、実際の必要に応じて、第1の補強領域13、第2の補強領域23を設置しなくてもよい。
【0064】
図6は、本出願の一つの具体的な実施例の第1の極板1の局所概略図である。
【0065】
図6に示すように、第1の極板1は、第1の塗布領域11と、第1のタブ領域12と、第1の補強領域13とを含む。以下では、第1の極板1を例として詳しく説明し、第2の極板2の構造は、第1の極板1の構造と同じであってもよい。
【0066】
図7は、一つの具体的な実施例における図6のI部分の局所拡大図である。
【0067】
図7に示すように、一つの具体的な実施例では、第1のタブ領域12上に整形案内部121が予め作製された。整形案内部121は、第1のタブ領域12上に形成された圧痕構造又は開口構造又は圧痕と開口構造の組み合わせであってもよい。該圧痕構造と開口構造は、第1のタブ領域12の構造強度を低下させる。注意すべきこととして、図7に例示されたものは、圧痕構造の整形案内部121であり、それは、複数の長尺形状の圧痕121aを含む。
【0068】
整形案内部121は、第1の極板1を作製する時に加工されて作製されてもよく、又は、第1の極板1、第2の極板2、セパレータ3を捲回するプロセスにおいて、第1のタブ領域12上に整形案内部121に加工してもよい。
【0069】
第1のタブ102aと集電板34を溶接する前に、タブ端面104を整形し、第1のタブ102aを軸方向に圧縮して、密で平坦な端面104を得て、タブ102と集電板34の溶接面積と溶接強度を確保し、溶接時に極板1が焼けることを防止する必要がある。第1のタブ102aに対して整形加工を行う時、タブ端面104が軸方向の押圧力Fを受け、第1のタブ領域12に変形を生じさせ、整形変形領域122(図9を参照する)を形成する。タブ端面104が整形された後に集電板34に溶接され、電池セルBの組み立てが完了される。
【0070】
図8は、図2に示す電池セルBの軸線位置での断面図である。
【0071】
図8に示すように、本出願の一つの具体的な実施例の電池セルBは、電極アセンブリ100と、ハウジング200と、エンドキャップアセンブリ300とを含む。電極アセンブリ100は、ハウジング200内に組み込まれ、両端のタブ102はそれぞれ両端のエンドキャップアセンブリ300の集電板34に溶接接続され、エンドキャップ32は、ハウジング200に接続される。
【0072】
第1の極板1、第2の極板2及びセパレータ3が捲回されて電極アセンブリ100を形成した後、第1のタブ領域12に予め作製された整形案内部121(図7を参照する)は、円周方向Rに沿ってタブ102上に配列される。
【0073】
図9図8のII部分の局所拡大図である。
【0074】
図9では、符号122は、整形変形領域を表す。タブ端面104に対して整形加工を行う時、タブ102上に整形案内部121(図7を参照する。図9では図示されない)が予め作製されているため、タブ102が軸方向の押圧力Fを受ける時、整形案内部121は、所定変形を生じるようにタブ102を案内して整形変形領域122を形成する。
【0075】
一つの具体的な実施例では、タブ端面104を平坦化することで整形を行い、タブ端面104を平坦かつ密にする。平坦化処理プロセスにおいて、タブ102は、軸方向の押圧力Fを受けて変形を生じる。整形案内部121が存在するため、タブ102が軸方向の押圧力Fを受ける時、タブ102は、円周方向Rに沿ってほぼ同一の方向へ倒伏し、ほぼ規則的な変形を生じる。倒伏方向は、整形案内部121と軸線方向Xとのなす角からの影響を受ける。
【0076】
図10は、第1の極板1の局所概略図であり、整形時のタブ102の受力状況及び整形案内部121の具体的な形態を説明する。
【0077】
図10では、第1のタブ領域12に整形案内部121が予め作製されており、例えば、整形案内部121は、複数の(図10では3つが示される)圧痕又は切欠を含む。注意すべきこととして、図10に例示されたものは、切欠構造の整形案内部121である。
【0078】
図10に示すように、タブ端面104を整形する時、タブ102が軸方向の押圧力Fを受けることで、タブ102を軸線方向Xに圧縮する。軸方向の押圧力Fは、整形案内部121の切欠に垂直な分力F1と、整形案内部121の切欠に平行な分力F2とに分解されてもよく、分力F1は、タブ102をF1の方向へ倒伏させる。
【0079】
タブ端面104が平坦化されて整形された後、タブ102において、整形案内部121以外の、変形を生じた領域は、整形変形領域122と呼ばれる。上述したように、整形変形領域122は、ほぼ分力F1の方向へ倒伏し、ほぼ規律的な変形を形成する。従来技術では、タブ上に整形案内部121が設置されておらず、タブ端面を平坦化して整形する時、タブ102の変形方向がランダムであり、規律的な変形が形成されていない。本出願の実施例では、タブ102に整形案内部121が予め設けられているため、整形時に、タブ102がほぼ同一の方向(分力F1の方向)へ倒伏するように案内し、ほぼ規律的な変形を生じ、平坦で密な端面を形成する。
【0080】
整形案内部121が予め設けられているため、タブ102の強度が低下し、小さい軸方向の押圧力Fにより、タブ102に良好な変形を生じさせ、平坦で密な端面を得ることができるため、本体部101は、整形プロセスにおいて破損しにくい。
【0081】
説明しやすくするために、以下では、タブ102が平らに広げられた状態で(捲回状態ではない)整形案内部121の具体的な形態を説明する。
【0082】
図10に示すように、一つの具体的な実施例では、タブ102が平らに広げられた状態で、電極アセンブリの軸線方向Xにおけるタブ102の長さL1は、4ミリメートル(mm)~15ミリメートル(mm)である。つまり、軸線方向Xにおける第1の極板1の第1のタブ領域12の長さL1は、4mm~15mmである。軸線方向Xにおける第1のタブ領域12の長さL1を4mm~15mmの範囲とすることで、タブ102が十分な長さを有し、整形により圧縮された後に依然として十分な厚さを有することを確保し、タブ端面104と集電板34を溶接する時にタブ102のメルトスルーが発生することを避けることができ、且つタブ102の長さが小さいことを確保し、材料コストを低減させることができる。
【0083】
さらに、タブ102が平らに広げられた状態で、電極アセンブリの軸線方向Xにおける整形案内部121の長さL2は、タブの長さL1の1/5~4/5である。L2をL1の1/5~4/5とすることで、整形時に、タブ102が変形しやすいことを確保することができる。
【0084】
整形処理において本体部101が軸方向の押圧力Fからの影響を受けないことを確保するために、電極アセンブリの軸線方向Xに、整形案内部121の本体部101に近い側の端部から本体部端部103までの長さL3は、0.5mm以上である。整形案内部121と本体部端部103との間に一定の距離を維持することで、軸方向の押圧力Fが第1の塗布領域11の縁に伝達されて第1の極板1の破損を引き起こすことを避けることができる。
【0085】
一実施例では、本体部101に接続されるタブ102の端部位置にタブ接着剤が塗布されて補強領域13を形成し、本体部端部103は、補強領域13に塗布されたタブ接着剤の縁と第1のタブ領域12との接続位置である。図10では、長さL3は、整形案内部121の端部からタブ接着剤の縁までの距離である。別の実施例では、タブ102は、空いている箔材であり、即ち、タブ102上に他の材料が塗布されておらず、この時、本体部端部103は、第1の塗布領域11の、活物質が塗布された縁と第1のタブ領域12との接続位置である。
【0086】
一つの具体的な実施例では、タブ102が平らに広げられた状態で、整形案内部121は、間隔をあけて配列される複数の圧痕を含む。図7に示す実施例における整形案内部121は、圧痕の一例である。複数の圧痕121aが間隔をあけて配列されることで、タブ102の小さな曲率半径の内輪に、第1のタブ領域12における圧痕も変形案内の役割を果たすことを確保することができる。
【0087】
具体的には、隣接する圧痕121aの間隔L4が10mm以下であることで、タブ102の内輪における圧痕が変形案内の役割を果たすことをより良好に確保することができる。本実施例における間隔L4は、極板の長手方向Yにおける隣接する二つの圧痕121aの距離を指す。
【0088】
圧痕と電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角を設定することで、タブ102を所定方向へ倒伏させ、タブ102に所定変形を生じさせ、整形変形領域122を形成することができる。本出願では、圧痕と電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角は、圧痕の中心線と電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角を指し、下記の各実施例における長尺形状の圧痕、開口などと電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角はいずれも各長尺形状の圧痕の中心線又は開口の中心線と電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角を指し、ここでは説明を省略する。
【0089】
具体的には、図7に示すように、圧痕121aは、長尺形状であり、長尺形状の圧痕121aと電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角α1は、30°から90°である。長尺形状の圧痕121aと軸線方向Xとのなす角α1を30°から90°とすることで、タブ102が軸方向の押圧力Fを受ける時、長尺形状の圧痕121aが良好な変形案内の役割を有し、タブ102は、整形時に、小さい軸方向の押圧力Fの作用で一定方向の倒伏を生じ、所定変形を生じることができる。
【0090】
図11は、図7のA1-A1矢視断面図であり、圧痕121aの一つの実施例を示す。
【0091】
図11に示すように、複数の長尺形状の圧痕121aは、極板1の同一側へ突出し、複数の長尺形状の圧痕121aは、間隔をあけて配列され、隣接する圧痕の間の間隔L4は、10mm以下である。極板1の同一側へ突出する長尺形状の圧痕121aは、圧痕を予め作製するプロセスにおいて作製がより容易である。
【0092】
図12は、図7のA1-A1矢視断面図であり、圧痕121aの別の実施例を示す。
【0093】
図12に示すように、別の具体的な実施例では、複数の長尺形状の圧痕121aは、間隔をあけて配列され、該複数の長尺形状の圧痕121aは、極板1の両側へ突出し、例えば、隣接する長尺形状の圧痕121aはそれぞれ極板1の反対側面に向かい、そして、隣接する圧痕の間の間隔L4は、10mm以下である。隣接する長尺形状の圧痕121aはそれぞれ極板1の反対側面に位置することで、整形案内部121がより良好な案内の役割を果たすことができる。
【0094】
図13は、第1の極板1の局所概略図であり、整形案内部121の別の具体的な実施例を示す。
【0095】
図13に示すように、整形案内部121は、第1のストリップ状圧痕121bと第2のストリップ状圧痕121cで形成される複数のV字状の構造を含み、第1のストリップ状圧痕121bの本体部101に近い端と第2のストリップ状圧痕121cの本体部101に近い端とが重なることで、傾斜したV字状の構造を形成し、第1のストリップ状圧痕121bと第2のストリップ状圧痕121cとのなす角α2は、30°から90°である。二種の異なる傾斜角度の長尺形状の圧痕を同時に設置することで、整形処理において、タブ102の内部の圧縮がより容易になり、二種の圧痕の間の圧縮されたタブを収容して密な端面を形成することができる。
【0096】
図14は、第1の極板1の局所概略図であり、整形案内部121の別の具体的な実施例を示す。
【0097】
図14に示すように、整形案内部121は、電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角α3が90°である複数の第3のストリップ状圧痕121dを含み、即ち、第3のストリップ状圧痕121dとタブ端面104は平行に設置される。
【0098】
第3のストリップ状圧痕121dがタブ端面104に平行であるため、第3のストリップ状圧痕121dは、連続した長尺形状の圧痕であってもよい。タブ102が平らに広げられた状態で、極板の長手方向Yに沿って、第3のストリップ状圧痕121dの長さが第1のタブ領域12全体の全長まで延在でき、それによって第1の極板1、第2の極板2及びセパレータ3を捲回して電極アセンブリ100を形成した後、第3のストリップ状圧痕121dは、タブ102を囲む環状圧痕を形成する。
【0099】
図15図14のA2-A2矢視断面図である。
【0100】
図15に示すように、第3のストリップ状圧痕121dは、電極アセンブリの軸線方向Xに間隔をあけて配列され、A2-A2に沿う断面上に波状構造を形成する。第3のストリップ状圧痕121dと電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角α3が90°であり、且つ電極アセンブリの軸線方向Xに間隔をあけて配列されることで、タブ102は、軸方向の押圧力Fを受ける時、圧縮がより容易になり、整形後のタブ端面104をより密にする。
【0101】
図16は、第1の極板1の局所概略図であり、整形案内部121の別の具体的な実施例を示す。
【0102】
図16に示すように、整形案内部121は、電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角α3が90°である間欠的に配列される複数の第4のストリップ状圧痕121eを含む。第4のストリップ状圧痕121eと電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角α3が90°であり、即ち、第4のストリップ状圧痕121eとタブ端面104は平行に設置される。タブ102が平らに広げられた状態で、極板の長手方向Yに沿って複数の第4のストリップ状圧痕121eが間隔をあけて配列され、軸線方向Xに沿って複数の第4のストリップ状圧痕121eも間隔をあけて配列される。
【0103】
第4のストリップ状圧痕121eの圧痕形状は、長円形構造であってもよく、例えば、極板の長手方向Yにおける第4のストリップ状圧痕121eの両端は円弧状であり、それによって第4のストリップ状圧痕121eの境界がより円滑であり、軸方向の押圧力Fを受ける時、圧縮がより容易である。
【0104】
図17図16のA3-A3矢視断面図である。
【0105】
図17に示すように、第4のストリップ状圧痕121eが軸線方向Xに沿って間隔をあけて配列され、且つ電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角α3が90°であり、それによってタブ102は、軸方向の押圧力Fを受ける時、圧縮がより容易になり、整形後のタブ端面104をより密にする。
【0106】
図18は、第1の極板1の局所概略図であり、整形案内部121の別の具体的な実施例を示す。
【0107】
図18に示すように、整形案内部121は、電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角α3が90°である間欠的に配列される第5のストリップ状圧痕121fを含む。第5のストリップ状圧痕121fの配列方式は、第4のストリップ状圧痕121eの配列方式と同じであってもよい。
【0108】
本実施例では、第5のストリップ状圧痕121fの圧痕形状は、略台形状であり、軸線方向Xに隣接する二つの第5のストリップ状圧痕121fは、対称に設置され、そして、それぞれ極板1の反対側へ突出する。
【0109】
図19図18のA4-A4矢視断面図である。
【0110】
図19に示すように、隣接する二つの第5のストリップ状圧痕121fはそれぞれ極板1の反対側へ突出し、A4-A4に沿う断面上に波状構造を形成する。これにより整形案内部121は、変形案内の役割をより良好に果たすことができ、変形がより発生しやすい。
【0111】
本出願の整形案内部121は、上記各実施例の圧痕に加えて、間隔をあけて配列される複数の開口を含んでもよい。
【0112】
図20は、第1の極板1の局所概略図であり、整形案内部121の別の具体的な実施例を示す。
【0113】
図20に示すように、整形案内部121は、電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角α4が30°から90°である線形切欠121gを含む。線形切欠121gは、第1のタブ領域12に切り欠かれた細長い形状の開口であり、それによって第1のタブ領域12の強度を軽減する。
【0114】
線形切欠121gと軸線方向Xとのなす角α4が30°から90°であるため、整形の場合、タブ102が軸方向の押圧力Fを受ける時、線形切欠121gが良好な案内の役割を有し、タブ102は、小さい軸方向の押圧力Fの作用で一定方向の倒伏を生じ、所定変形を生じることができる。
【0115】
図21図20のA5-A5矢視断面図である。
【0116】
図21に示すように、複数の線形切欠121gが間隔をあけて配列されることで、タブ102の小さな曲率半径の内輪における線形切欠121gも変形案内の役割を果たすことを確保することができる。具体的には、隣接する線形切欠121gの間隔L5が10mm以下であることで、タブ102の内輪における線形切欠121gが変形案内の役割を果たすことをより良好に確保することができる。本実施例における間隔L5は、極板の長手方向Yに、隣接する二つの線形切欠121gの間の距離を指す。
【0117】
図22は、第1の極板1の局所概略図であり、整形案内部121の別の具体的な実施例を示す。
【0118】
図22に示すように、整形案内部121は、直線Lに沿って配列される複数の穴形切欠121hを含み、直線Lと電極アセンブリの軸線方向Xとのなす角α5は、30°から90°である。整形時、タブ102が軸方向の押圧力Fを受ける時、直線Lに沿って配列される穴形切欠121hは、良好な変形案内の役割を果たすことができ、タブ102に小さい軸方向の押圧力Fの作用で一定方向の倒伏を生じ、所定変形を生じることができる。
【0119】
本出願の実施例の穴形切欠121は、図22における円形切欠に限定されず、例えば、長円形切欠などであってもよく、その配列方式も直線Lに沿う配列に限定されず、整形案内部121の変形案内の役割を実現できる切欠の形式及びその配列方式はいずれも本出願の保護範囲内にある。
【0120】
図23は、本出願の一つの具体的な実施例の電極アセンブリ100の製造方法のフローチャートである。
【0121】
図23に示すように、本出願の実施例は、電極アセンブリの製造方法をさらに提供し、該製造方法は、以下のステップを含む。
【0122】
ステップS1、塗布領域及びタブ領域を含む極板と、セパレータとを提供する。
【0123】
ステップS1では、第1の極板1と第2の極板2を用意し、第1の極板1と第2の極板2に活物質を塗布し、極板に活物質を塗布する時、いずれも極板の縁に、活物質が塗布されない領域を残し、活物質が塗布された領域は、塗布領域であり、活物質が塗布されない領域は、タブ領域である。第1の極板1の活物質は、第1の極板1の第1の塗布領域11に塗布され、第2の極板2の活物質は、第2の極板2の第2の塗布領域21に塗布される。塗布領域では、活物質は、金属シートによって形成された集電体上に塗布されるが、タブ領域では、活物質が塗布されない。
【0124】
ステップS2、極板と前記セパレータを捲回して電極アセンブリを形成し、ここで、塗布領域とセパレータは本体部を形成し、タブ領域はタブを形成し、タブは、整形案内部を含む。
【0125】
タブ領域上に整形案内部121を予め作製する。整形案内部121は、電極アセンブリを捲回する前に、タブ領域上に予め作製されてもよく、又は、極板とセパレータ3を捲回するプロセスにおいて、タブ領域上に整形案内部121に加工してもよい。
【0126】
第1の極板1、第2の極板2及びセパレータ3を捲回して電極アセンブリ100を形成し、セパレータ3は、第1の極板1と第2の極板2との間に介在して両者に対して絶縁を行う。
【0127】
ステップS3、タブ端面104に対して整形処理を行い、ここで、整形案内部121は、所定変形を生じるようにタブ102を案内して整形変形領域122を形成する。
【0128】
電極アセンブリ100のタブ102の端面を整形する時、平坦化処理を採用してもよい。整形処理プロセスにおいて、整形案内部121は、所定変形を生じるようにタブ102を案内して整形変形領域122を形成し、タブ102を所定方向へ倒伏させ、ほぼ規律的な変形を形成する。
【0129】
本出願による電極アセンブリ100、電池D、装置及び電極アセンブリの製造方法では、タブ102上に整形案内部121を設け、タブ端面104に対して整形処理を行う時、整形案内部121は、タブ102をほぼ規則的に変形させるように案内することによって、密で平坦なタブ端面104を形成する。それとともに、整形案内部121が設けられていることで、タブ102が皺になって変形するために必要な力が減少し、極板が破損したりずれたりすることを避ける。
【0130】
上記したのは、本出願の好適な実施例に過ぎず、本出願を制限するためのものではなく、当業者にとって、本願は、種々な変更や変形が有り得る。本出願の精神及び原則内で行われる全ての修正、同等の置き換え、改善などは、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0131】
A 車両
B 電池セル
C コントローラ
D 電池
M モータ
100 電極アセンブリ
101 本体部
102 タブ
102a 第1のタブ
102b 第2のタブ
103 本体部端部
103a 第1の端部
103b 第2の端部
104 タブ端面
200 ハウジング
201 開口
300 エンドキャップアセンブリ
31 電極端子
32 エンドキャップ
33 絶縁部材
34 集電板
1 第1の極板
11 第1の塗布領域
12 第1のタブ領域
121 整形案内部
121a 長尺形状の圧痕
121b 第1のストリップ状圧痕
121c 第2のストリップ状圧痕
121d 第3のストリップ状圧痕
121e 第4のストリップ状圧痕
121f 第5のストリップ状圧痕
121g 線形切欠
121h 穴形切欠
122 整形変形領域
13 第1の補強領域
2 第2の極板
21 第2の塗布領域
22 第2のタブ領域
23 第2の補強領域
3 セパレータ
F 軸方向の押圧力
F1 整形案内部に垂直な分力
F2 整形案内部に平行な分力
X 電極アセンブリの軸線方向
Y 極板の長手方向
R 電極アセンブリの円周方向
L 直線
L1 電極アセンブリの軸線方向におけるタブの長さ
L2 電極アセンブリの軸線方向における整形案内部の長さ
L3 整形案内部の本体部に近い側の端部から電極アセンブリの軸線方向における本体部端部までの長さ
L4 隣接する圧痕の間隔
L5 隣接する開口の間隔
α1 圧痕と電極アセンブリの軸線方向とのなす角
α2 第1のストリップ状圧痕と第2のストリップ状圧痕とのなす角
α3 長尺形状の圧痕と電極アセンブリの軸線方向とのなす角
α4 開口と電極アセンブリの軸線方向とのなす角
α5 直線と電極アセンブリの軸線方向とのなす角
図1
図2
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