(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】無媒体投影システム
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20240717BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20240717BHJP
G02B 17/00 20060101ALI20240717BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240717BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B17/08
G02B17/00
B60K35/23
(21)【出願番号】P 2023513258
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2021142562
(87)【国際公開番号】W WO2022193780
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】202110288295.7
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519151253
【氏名又は名称】浙江水晶光電科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林暁露
(72)【発明者】
【氏名】馬紅虎
(72)【発明者】
【氏名】劉風雷
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0291051(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111948817(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、出光方向に沿って順に設置される、インテグレーターロッドと、第1フレネルレンズと、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイと、コリメート光学素子と、結像光学アッセンブリーとを備え、前記光源から出射する発散光束が、前記インテグレーターロッドおよび前記第1フレネルレンズによるコリメート、均一化を経て前記薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの入射光とされ、前記薄膜トランジスタ液晶ディスプレイから出射する光束が、前記コリメート光学素子を通って結像面上の各点の光束がアイボックスを満たすように前記結像光学アッセンブリーにより集光されて対象領域で結像
し、
前記結像光学アッセンブリーは、出光方向に沿って順に設置される第1反射鏡と第2反射鏡とを含み、前記コリメート光学素子から出射する光束が順に前記第1反射鏡および前記第2反射鏡を経由して対象領域において集光されて結像する
ことを特徴とする無媒体投影システム。
【請求項2】
光源と、出光方向に沿って順に設置される、インテグレーターロッドと、第1フレネルレンズと、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイと、コリメート光学素子と、結像光学アッセンブリーとを備え、前記光源から出射する発散光束が、前記インテグレーターロッドおよび前記第1フレネルレンズによるコリメート、均一化を経て前記薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの入射光とされ、前記薄膜トランジスタ液晶ディスプレイから出射する光束が、前記コリメート光学素子を通って結像面上の各点の光束がアイボックスを満たすように前記結像光学アッセンブリーにより集光されて対象領域で結像し、
前記コリメート光学素子は、第3反射鏡であり、前記第3反射鏡の面の形状は、球面、非球面または自由曲面である
ことを特徴とする無媒体投影システム。
【請求項3】
前記薄膜トランジスタ液晶ディスプレイは、透過機能を有する表示パネルである
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の無媒体投影システム。
【請求項4】
前記光源は、LED光源である
ことを特徴とする請求項1
~3のいずれか1項に記載の無媒体投影システム。
【請求項5】
前記第1反射鏡の面の形状および前記第2反射鏡の面の形状は、いずれも自由曲面である
ことを特徴とする請求項
1に記載の無媒体投影システム。
【請求項6】
前記薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの入光側に拡散膜が設けられる
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の無媒体投影システム。
【請求項7】
前記LED光源の光軸と前記薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの光軸とが規定の角をなすように構成される
ことを特徴とする請求項
4に記載の無媒体投影システム。
【請求項8】
前記インテグレーターロッドは、中空角錐状ロッドであり、前記中空角錐状ロッドの内壁に反射膜がコーティングされており、前記中空角錐状ロッドの頂面が入光側であり、前記中空角錐状ロッドの底面が出光側であり、前記中空角錐状ロッドの頂面の面積が前記中空角錐状ロッドの底面の面積よりも小さい
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の無媒体投影システム。
【請求項9】
前記コリメート光学素子は、結像レンズである
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の無媒体投影システム。
【請求項10】
前記結像レンズは、球面レンズ、非球面レンズまたは第2フレネルレンズである
ことを特徴とする請求項9に記載の無媒体投影システム。
【請求項11】
折り返し光学アッセンブリーをさらに備え、前記折り返し光学アッセンブリーが光路を折り畳むように構成される
ことを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の無媒体投影システム。
【請求項12】
前記折り返し光学アッセンブリーは、1つまたは複数の反射鏡であり、前記反射鏡により光路を折り畳むように構成される
ことを特徴とする請求項
11に記載の無媒体投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、光学の技術分野に属し、具体的に、無媒体投影システムに関する。
【0002】
関係出願の相互参照
本出願は、2021年03月17日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202110288295.7であり、名称が「無媒体投影システム」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本出願に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
科学技術の迅速な発展に伴い、無媒体投影技術がますます成熟になり、無媒体投影技術とは、媒体としてのスクリーンを介せずに画像を見える技術のことである。無媒体投影技術は、媒体を一切使用せずに空中で結像できるため、自動車におけるヒューマンコンピュータインタラクションにも広く適用されている。
【0004】
従来技術における無媒体投影システムは、対象領域で結像するとき、画像の輝度および均一性が劣り、実際の使用ニーズを満たすことが困難である。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、従来の無媒体投影システムで結像するときに画像の輝度および輝度均一性が劣る問題を解決して、少なくとも従来技術における上記の不足を克服する無媒体投影システムを提供する。
【0006】
本出願の実施例は、無媒体投影システムを提供する。該無媒体投影システムは、光源と、出光方向に沿って順に設置される、インテグレーターロッドと、第1フレネルレンズと、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイと、コリメート光学素子と、結像光学アッセンブリーとを備え、光源から出射する発散光束が、インテグレーターロッドおよび第1フレネルレンズによるコリメート、均一化を経て薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの入射光とされ、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイから出射する光束が、コリメート光学素子を通って結像面上の各点の光束がアイボックスを満たすように結像光学アッセンブリーにより集光されて対象領域で結像する。
【0007】
任意で、前記薄膜トランジスタ液晶ディスプレイは、透過機能を有する表示パネルである。
【0008】
任意で、前記光源は、LED光源である。
【0009】
任意で、結像光学アッセンブリーは、出光方向に沿って順に設置される第1反射鏡および第2反射鏡を含み、コリメート光学素子から出射する光束が順に第1反射鏡および第2反射鏡を経由して対象領域において集光されて結像する。
【0010】
任意で、第1反射鏡の面の形状および第2反射鏡の面の形状は、いずれも自由曲面である。
【0011】
任意で、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの入光側に拡散膜が設けられる。
【0012】
任意で、前記LED光源の光軸と前記薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの光軸とが規定の角をなすように構成される。
【0013】
任意で、インテグレーターロッドは、中空角錐状ロッドであり、中空角錐状ロッドの内壁に反射膜がコーティングされており、中空角錐状ロッドの頂面が入光側であり、中空角錐状ロッドの底面が出光側であり、中空角錐状ロッドの頂面の面積が中空角錐状ロッドの底面の面積よりも小さい。
【0014】
任意で、コリメート光学素子は、結像レンズである。
【0015】
任意で、結像レンズは、球面レンズ、非球面レンズまたは第2フレネルレンズである。
【0016】
任意で、コリメート光学素子は、第3反射鏡であり、第3反射鏡の面の形状は、球面、非球面または自由曲面である。
【0017】
任意で、無媒体投影システムは、折り返し光学アッセンブリーをさらに備え、折り返し光学アッセンブリーが光路を折り畳むように構成される。
【0018】
任意で、前記折り返し光学アッセンブリーは、1つまたは複数の反射鏡であり、前記反射鏡により光路を折り畳むように構成される。
【0019】
本出願は、少なくとも下記の有益な効果を有する。
【0020】
本出願は、無媒体投影システムを提供する。該無媒体投影システムは、光源と、出光方向に沿って順に設置される、インテグレーターロッドと、第1フレネルレンズと、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイと、コリメート光学素子と、結像光学アッセンブリーとを備え、光源から出射する発散光束が、インテグレーターロッドおよび第1フレネルレンズによるコリメート、均一化を経て薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの入射光とされ、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイから出射する光束が、コリメート光学素子を通って結像光学アッセンブリーにより集光されて対象領域で結像し、このようにすれば、結像面上の各点の光束がアイボックスを満たすようになり、アイボックスの範囲内に実像を肉眼で見ることができ、無媒体結像が実現される。光源と薄膜トランジスタ液晶ディスプレイとの間にインテグレーターロッドと第1フレネルレンズとを設置することにより、光源から出射する光束に対して最初のコリメート、均一化を行うことができ、これによって、画像ソースの段階で画像の輝度および均一性を向上させることができ、そして、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの出光側にコリメート光学素子を設置することにより、コリメート光学素子により薄膜トランジスタ液晶ディスプレイから出射する各視野の光束の主光線に対して再度の補正を行って、結像に使用する光束の各視野の主光線が略平行にされ、対象領域での結像の輝度および輝度均一性がさらに向上し、したがって、対象領域でより鮮明な画像表示が実現され、画像の結像品質およびユーザの使用体験が向上する。また、上記のデバイスを利用して無媒体投影を実現することができるとともに、製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するため、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。説明する図面は、本出願のいくつかの実施例を示すものにすぎず、範囲を限定するものではない。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面をもとに他の関連図面を得ることも可能である。
【
図1】本出願の実施例による無媒体投影システムの模式的構成図のその1である。
【
図2】本出願の実施例による無媒体投影システムの模式的構成図のその2である。
【
図3】本出願の実施例による無媒体投影システムの模式的構成図のその3である。
【
図4】本出願の実施例による無媒体投影システムの模式的構成図のその4である。
【
図5】本出願の実施例による無媒体投影システムの模式的構成図のその5である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願の実施例の目的、技術案および利点をより明瞭にするため、以下、本出願の実施例に用いられる図面を参照しながら、本出願の実施例における技術案を明瞭かつ完全に説明し、説明される実施例が本出願の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではないことは無論である。ここで図面を用いて示した本出願の実施例における部品は、さまざまな配置方法で配置、設計することが可能である。
【0023】
このため、以下の図面に示された本出願の実施例に対する詳細な説明は、本出願の選択された実施例を示すものにすぎず、保護しようとする本出願の範囲を限定するものではない。なお、矛盾がない限り、本出願の実施例における各特徴を互いに組み合わせることができ、組み合わせた実施例も本出願の保護範囲内に属する。
【0024】
なお、同様な符号は、図面において同様なものを示すので、1つの図面で定義された場合、その他の図面でさらに定義、解釈することが不要になる。
【0025】
本出願の説明において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、区別して説明するためのものにすぎず、相対重要性を明示または暗示するものではない。
【0026】
本出願のいくつかの実施例は、無媒体投影システムを提供する。
図1および
図3に示すように、該無媒体投影システムは、光源11と、出光方向に沿って順に設置される、インテグレーターロッド12と、第1フレネルレンズ13と、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15と、コリメート光学素子2と、結像光学アッセンブリーとを備える。光源11から出射する発散光束111が、インテグレーターロッド12および第1フレネルレンズ13によるコリメート、均一化を経て薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15の入射光とされ、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15から出射する光束111が、コリメート光学素子2を通って結像面上の各点の光束がアイボックスを満たすように光学アッセンブリーにより集光されて対象領域で結像する。
【0027】
例示的に、
図1および
図3に示すように、無媒体投影システムは、光源11と、インテグレーターロッド12と、第1フレネルレンズ13と、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15と、コリメート光学素子2と、結像光学アッセンブリーとを備え、インテグレーターロッド12、第1フレネルレンズ13、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15、コリメート光学素子2および結像光学アッセンブリーが出光方向に沿って順に設置され、光源11がインテグレーターロッド12の入光側に位置する。作動時、光源11から発散光束111が出射し、発散光束111が、インテグレーターロッド12の入光側からインテグレーターロッド12に入射し、インテグレーターロッド12によるコリメート、均一化を経てインテグレーターロッド12の出光側から出射し、インテグレーターロッド12による最初のコリメート、均一化を経て、光束111が、第1フレネルレンズ13の入光側から入射し、第1フレネルレンズ13の均一化作用により処理されて第1フレネルレンズ13の出光側から出射し、そして薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15を通って、コリメート光学素子2の入光側から入射し、コリメート光学素子2により各視野の光束の主光線に対して補正を行い、これによって、結像に使用する光束の各視野の主光線が略平行にされて結像光学アッセンブリーに向かって出射し、そして、結像光学アッセンブリーによる集光作用で光束111が対象領域の空気で結像し、結像面上の各点の光束がアイボックスを満たすようになり、したがって、アイボックス範囲内で実像を肉眼で見ることができ、無媒体結像が実現される。光源11と薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15との間にインテグレーターロッド12と第1フレネルレンズ13とを設置することにより、光源11から出射する光束111に対して最初のコリメート、均一化を行うことができ、これによって、画像ソースの段階で画像の輝度および均一性を向上させることができ、そして、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15の出光側にコリメート光学素子2を設置することにより、コリメート光学素子2により薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15から出射する各視野の光束111の主光線に対して再度の補正を行って、結像に使用する光束111の各視野の主光線が略平行にされ、対象領域での結像の輝度および輝度均一性がさらに向上し、したがって、対象領域でより鮮明な画像表示が実現され、画像の結像品質およびユーザの使用体験が向上する。また、本出願に係る無媒体投影システムは、コストが比較的低く、量産に適する。
【0028】
図1および
図3に示すように、対象領域、すなわち結像面位置5で集光、結像し、実際の使用において、アイボックス6の範囲を
図1および
図3に示す位置にすることができ、このようにすれば、ユーザがアイボックス6の範囲内で空中に浮遊する画像を肉眼で見ることおよび観察することができる。なお、本出願に係るアイボックスは、仮想のものであり、空間範囲を表すものにすぎない。
【0029】
光源11、インテグレーターロッド12、第1フレネルレンズ13、および薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15などにより無媒体投影システムの画像生成ユニット1を構成することができる。画像生成ユニット1は、マイクロ投影モジュールであり得、マイクロ投影モジュールが投影部と投影受信スクリーンとを含み、投影部が、レーザーMEMS投影モジュール、DLP投影モジュールおよびLCOS投影モジュールなどを含み得る。薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15は、透過機能を有する表示パネルであり得る。
【0030】
コリメート光学素子2は、結像レンズ21であってもよく、第3反射鏡22であってもよく、結像に関与するものであり、設置するとき、実際のニーズ例えば使用する対象、取付スペースなどに応じて合理的に選択することができる。説明の便宜上、以下、結像レンズ21および第3反射鏡22を使用する実施例をそれぞれ説明する。
【0031】
いくつかの実施例において、
図1および
図2に示すように、コリメート光学素子2は、結像レンズ21であり、すなわち、光束111が結像レンズ21の一側から入射し、対向する他側から出射し、これによって結像レンズ21から出射する光束111の各視野の主光線が略平行にされる。結像レンズ21は、球面レンズ、非球面レンズおよび第2フレネルレンズのうちの1種であり得る。
【0032】
図1および
図2に示すように、光源11と第1フレネルレンズ13との間に設置されるインテグレーターロッド12は、中空角錐状ロッドであり、中空角錐状ロッドの内壁に反射膜がコーティングされており、中空角錐状ロッドの頂面が入光側であり、中空角錐状ロッドの底面が出光側である。光源11が中空角錐状ロッドの入光側に設置され、中空角錐状ロッドが光源11の光軸に位置し、第1フレネルレンズ13が中空角錐状ロッドの底面に密接するように設置され、中空角錐状ロッドの頂面の面積が中空角錐状ロッドの底面の面積よりも小さいようにされ、このように設置すれば、光源11からの大角度の光束が、コリメートにより小角度の光束111にされ、そして均一に第1フレネルレンズ13に入射し、そして、第1フレネルレンズ13によりインテグレーターロッド12から出射する光束111に対して更なる集光、均一化を行うこともできる。また、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15の入光側に拡散膜14がさらに設置され、拡散膜14により薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15に入射する光束111に対して更なる均一化を行って、均一性を向上させる。
【0033】
光源11は、LED光源11であり得、LED光源11および薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15の位置を決めるとき、LED光源11の光軸と薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15の光軸とが規定の角をなすようにすることができる。すなわち、
図1および
図2に示すように、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15がLED光源11の光軸に対して規定角度で傾斜するように設置され、このようにして、対象領域の結像に使用する光束111の角度が対象領域の結像に必要な角度よりも大きくなり、画像の輝度均一性を向上させることができる。
【0034】
図1および
図2に示すように、結像光学アッセンブリーは、出光方向に沿って順に設置される第1反射鏡3および第2反射鏡4を含み、結像レンズ21から出射する光束111が順に第1反射鏡3および第2反射鏡4を経由して対象領域において集光されて結像する。第1反射鏡3および第2反射鏡4の面の形状は、自由曲面であってもよく、無論、他の実施例において、非球面、球面または平面であってもよい。また、折り返し光学アッセンブリーをさらに設置してもよく、例えば、1つまたは複数の反射鏡を設置し、反射鏡により光路を折り畳むことにより、システムの体積を小さくし、したがって、無媒体投影システムデバイスは、サイズが柔軟に調整されることができ、適用範囲が広くなる。
【0035】
該実施例において、結像レンズ21の面の形状が球面であり、第1反射鏡3の面の形状が自由曲面であり、かつ第2反射鏡4の面の形状が自由曲面である場合の例を説明する。
【0036】
球面の結像レンズ21の焦点距離が100mm超であり、第1フレネルレンズ13の角度が40mm超であり、第1反射鏡3および第2反射鏡4の面の形状は、次式により表される。
【数1】
【0037】
式において、zが矢高であり、cが曲率であり、kが円錐係数であり、Aiがi番目の項のxy多項式の係数であり、Nがxyの項数である。
【0038】
第1反射鏡3の面の形状の場合、上記の式において、Nが19であり、他のパラメータが表1に示されている。
【0039】
【0040】
第2反射鏡4の面の形状の場合、上記の式において、Nが30であり、他のパラメータが表2に示されている。
【0041】
【0042】
このようにして、各主光線の角度の差を4度未満の範囲内に抑えることができ、アイボックス6の範囲内の画像の輝度、均一性を70%超にすることができる。
【0043】
他のいくつかの実施例において、
図3、
図4および
図5に示すように、コリメート光学素子2が第3反射鏡22であることにおいて前の実施例と相違しており、すなわち、光束111が第3反射鏡22の同じ側で入出射し、これによって第3反射鏡22から出射する光束111の各視野の主光線が略平行にされ、各視野の主光線の角度の差が小さいほど、射出瞳が大きくなり、光束111の開口数が比較的大きくなり、輝度が高くなる。第3反射鏡22の面の形状は、球面、非球面、平面および自由曲面のうちの1種である。
【0044】
図4に示すように、インテグレーターロッド12を設置するとき、上記の実施例における形態を参照することができる。例えば、光源11と第1フレネルレンズ13との間に設置されるインテグレーターロッド12は、中空角錐状ロッドであり、中空角錐状ロッドの内壁に反射膜がコーティングされており、中空角錐状ロッドの頂面が入光側であり、中空角錐状ロッドの底面が出光側である。光源11が中空角錐状ロッドの入光側に設置され、中空角錐状ロッドが光源11の光軸に位置し、第1フレネルレンズ13が中空角錐状ロッドの底面に密着するように設置され、中空角錐状ロッドの頂面の面積が中空角錐状ロッドの底面の面積よりも小さいようにされ、このように設置すれば、光源11からの大角度の光束が、コリメートにより小角度の光束111にされ、そして均一に第1フレネルレンズ13に入射し、そして、第1フレネルレンズ13によりインテグレーターロッド12から出射する光束111に対して更なる集光、均一化を行うこともできる。また、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15の入光側に拡散膜14がさらに設置され、拡散膜14により薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15に入射する光束111に対して更なる均一化を行って、均一性を向上させる。
【0045】
無論、光源11も上記の実施例を参照することができる。すなわち、光源11は、LED光源11であり得、LED光源11および薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15の位置を決めるとき、LED光源11の光軸と薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15の光軸とが規定の角をなすようにすることができる。すなわち、
図4に示すように、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ15がLED光源11の光軸に対して規定角度で傾斜するように設置され、このようにして、対象領域の結像に使用する光束111の角度が対象領域の結像に必要な角度よりも大きくなり、画像の輝度均一性を向上させることができる。
【0046】
図4に示すように、結像光学アッセンブリーは、出光方向に沿って順に設置される第1反射鏡3および第2反射鏡4を含み、第3反射鏡22から出射する光束111が順に第1反射鏡3および第2反射鏡4を経由して対象領域において集光されて結像する。第1反射鏡3および第2反射鏡4の面の形状は、自由曲面であってもよく、無論、他の実施例において、非球面、球面または平面であってもよい。また、折り返し光学アッセンブリーをさらに設置してもよく、例えば、1つまたは複数の反射鏡を設置し、反射鏡により光路を折り畳むことにより、システムの体積を小さくし、したがって、無媒体投影システムデバイスは、サイズが柔軟に調整されることができ、適用範囲が広くなる。
【0047】
該実施例において、第3反射鏡22の面の形状が球面であり、第1反射鏡3の面の形状が自由曲面であり、かつ第2反射鏡4の面の形状が自由曲面である場合の例を説明する。
【0048】
第1フレネルレンズ13の角度が40mm超であり、第3反射鏡22の焦点距離が100mm超であり、第1反射鏡3は、y方向の焦点距離が200mm超であり、面の形状が自由曲面であり、第2反射鏡4は、y方向の焦点距離が100mm超であり、面の形状が自由曲面であり、第1反射鏡3および第2反射鏡4の面の形状は、次式により表される。
【数2】
【0049】
式において、zが矢高であり、cが曲率であり、kが円錐係数であり、Aiがi番目の項のxy多項式の係数であり、Nがxyの項数である。
【0050】
第1反射鏡3の面の形状の場合、上記の式において、Nが20であり、他のパラメータが表3に示されている。
【0051】
【0052】
第2反射鏡4の面の形状の場合、上記の式において、Nが30であり、他のパラメータが表4に示されている。
【0053】
【0054】
上記は、本出願の好ましい実施例にすぎず、本出願を限定するものではない。当業者にとって、本出願に各種の変更や変化を有してもよい。本出願の精神および原理から逸脱しない限り、行った如何なる変更、均等置換、改良なども、本出願の保護範囲内に属する。
産業上の利用可能性
【0055】
本出願は、無媒体投影システムを提供する。該無媒体投影システムによれば、光源から出射する発散光束が、インテグレーターロッドおよび第1フレネルレンズによるコリメート、均一化を経て薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの入射光とされ、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイから出射する光束が、コリメート光学素子を通って結像面上の各点の光束がアイボックスを満たすように結像光学アッセンブリーにより集光されて対象領域で結像し、したがって、アイボックスの範囲内で空気に浮遊する像を肉眼で見ることができ、無媒体投影が実現される。光源と薄膜トランジスタ液晶ディスプレイとの間にインテグレーターロッドと第1フレネルレンズとを設置し、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの出光側にコリメート光学素子を設置することにより、結像に使用する光束の各視野の主光線が略平行にされ、対象領域での結像の輝度および輝度均一性がさらに向上し、したがって、対象領域でより鮮明な画像表示が実現され、画像の結像品質およびユーザの使用体験が向上する。
【0056】
なお、本出願に係る無媒体投影システムは、実施可能なものであり、さまざまな産業用途に適用することができる。例えば、本出願に係る無媒体投影システムは、光学の技術分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 画像生成ユニット
11 光源
111 光束
12 インテグレーターロッド
13 第1フレネルレンズ
14 拡散膜
15 薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ
2 コリメート光学素子
21 結像レンズ
22 第3反射鏡
3 第1反射鏡
4 第2反射鏡
5 結像面位置
6 アイボックス