(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】砂杭締固め工法での砂排出方法
(51)【国際特許分類】
E02D 3/08 20060101AFI20240717BHJP
E02D 3/10 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
E02D3/08
E02D3/10 104
(21)【出願番号】P 2024051307
(22)【出願日】2024-03-27
【審査請求日】2024-05-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐司
(72)【発明者】
【氏名】今給黎 健一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 竹史
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-017027(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0492512(KR,B1)
【文献】特開2008-308839(JP,A)
【文献】特開2005-009169(JP,A)
【文献】特開昭52-113010(JP,A)
【文献】特開昭48-100913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/00-3/115
7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中に貫入したケーシングパイプより粒状体材料を排出し、排出した粒状体材料を打ち戻して締固め砂杭を地盤中に造成する砂杭締固め工法で、地盤中に粒状体材料を排出するときに、操作器具を操作して粒状体材料を排出する砂杭締固め工法での砂排出方法であって、
粒状体材料を排出するための操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料の排出状態を、排出する粒状体材料の種類
及び状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎に収集する第一の工程と、
収集した操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料の排出状態より、排出する粒状体材料の種類
及び状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎の最適な操作器具の操作パターンを取得する第二の工程と、
取得した操作器具の操作パターンの中から、粒状体材料を排出する場所の条件に合った最適な操作器具の操作パターンを求め、求めた操作器具の操作パターンに基づいて操作器具を操作して、地盤中に粒状体材料を排出する第三の工程と、
を有することを特徴とする砂杭締固め工法での砂排出方法。
【請求項2】
請求項1に記載された砂杭締固め工法での砂排出方法において、
粒状体材料を排出するための操作器具は、ケーシングパイプ内に給気を行うための給気用操作スイッチ
及びケーシングパイプ内より排気を行うための排気用操作スイッチ
及びケーシングパイプ内への圧縮空気による噴射を行うためのジェット用操作スイッチである砂杭締固め工法での砂排出方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された砂杭締固め工法での砂排出方法において、
第三の工程での操作器具の操作は、手動又は自動で行うようにする砂杭締固め工法での砂排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中に締固め砂杭を造成して地盤の改良を行う砂杭締固め工法で、地盤中に砂や砕石などの粒状体材料を排出するときの砂排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤中に締固め砂杭を造成して地盤の改良を行う砂杭締固め工法としては、サンドコンパクションパイル工法、サンドドレーン工法あるいは静的締固め砂杭工法などが知られている。
【0003】
例えば、サンドコンパクションパイル工法について説明する。サンドコンパクションパイル工法において用いる地盤改良装置1は、
図1に示すように、運転室3を設けた自走可能な施工機2を備え、この施工機2の前部にマスト4を立設する。これとともに、立設したマスト4に沿って上下に向かう地盤中に貫入可能なケーシングパイプ5を備える。施工機2は、ケーシングパイプ5の地盤中への貫入又は地盤中からの引抜きを行う。ケーシングパイプ5は、円筒形の管で、その内部を砂や砕石などの粒状体材料Mを収容し、その下端に設ける排出口6から地盤中に粒状体材料Mを排出する。
【0004】
この地盤改良装置1を用いて行うサンドコンパクションパイル工法は、
図2に示すように、粒状体材料Mを収容したケーシングパイプ5を地盤中の所定深度まで貫入する(
図2A)。貫入後、ケーシングパイプ5を引抜きながら、その下端の排出口6より粒状体材料Mを地盤中に排出する(
図2B)。続いて、排出した粒状体材料Mを打ち戻す(
図2C)。このケーシングパイプ5の引抜きながらの粒状体材料Mの排出と排出した粒状体材料Mの打ち戻しを上方に向かって繰り返し行う(
図2D,E)。これにより、地盤中に拡径した締固め砂杭Pを造成する(
図2F)。このように地盤中に拡径した締固め砂杭Pを造成することで、地盤を強固なものに改良することができる(特許文献1)。
【0005】
ところで、サンドコンパクションパイル工法において、ケーシングパイプ5を引抜きながら粒状体材料Mを地盤中に排出するとき、ケーシングパイプ5から過不足なく適正な量の粒状体材料Mを地盤中に排出できるようにするため、地盤改良装置1は各種の機器を備えている。つまり、ケーシングパイプ5の内部には、収容した粒状体材料Mの上部空間Eへの圧縮空気の給気Aや排気Bを行う機器、あるいは粒状体材料Mに圧縮空気による噴射(以下、ジェットJという)を行う機器などを備える。
【0006】
すなわち、
図3に示すように、ケーシングパイプ5の内部において、収容した粒状体材料Mの上部空間Eにコンプレッサー10から圧縮空気を給気Aする、あるいは上部空間E内の空気を排気Bするなどの給気Aと排気Bをコントロールして、上部空間Eの管内圧力を調整する。これにより、粒状体材料Mを地盤中に排出するとき、上部空間Eの管内圧力を高めて、ケーシングパイプ5の内部の粒状体材料Mを排出口6より適正な量を地盤中に排出できるようにする。また、ケーシングパイプ5の上部空間E内には圧力センサー11を設け、圧力センサー11で管内圧力を測定する。さらに、ケーシングパイプ5の下部の内面には、ジェットJを行う噴射孔12を設け、粒状体材料Mを排出口6から排出するとき、噴射孔12よりジェットJを粒状体材料Mに噴射して、締め固まった粒状体材料Mをほぐすことで、粒状体材料Mを排出口6より適正な量を排出できるようにする。なお、ケーシングパイプ5内に収容した粒状体材料Mを地盤中に排出したとき、適正な量を排出しているかどうかは、ケーシングパイプ5内の設けた砂面計13で、排出前後のケーシングパイプ5内の粒状体材料Mの上面の位置を計測することで、判断することができる。
【0007】
また、ケーシングパイプ5の内部への給気A、排気B、ジェットJの噴射などを行う機器は、施工機2の運転室3を設けた操作器具で操作する。この操作器具は、給気Aを行うオン・オフ式の給気用操作スイッチ、排気Bを行うオン・オフ式の排気用操作スイッチ、ジェットJの噴射を行うオン・オフ式のジェット用操作スイッチなどである。
【0008】
しかしながら、サンドコンパクションパイル工法においてケーシングパイプ5を引抜きながら粒状体材料Mを地盤中に排出するとき、作業者は、施工機2の運転室3に設けた操作器具、つまり給気用操作スイッチ、排気用操作スイッチ、ジェット用操作スイッチを操作して、粒状体材料Mを過不足なく適正な量を排出するが、このとき、操作器具の操作では、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎に異なる。
【0009】
すなわち、作業者は、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件に応じて、操作器具を操作しなければならない。しかも、この操作器具の操作は1秒から数秒単位での操作であり、複雑である。そのため、熟練の作業者であれば、操作器具を適切に操作して適正な量の粒状体材料Mを地盤中に排出することができるが、それ以外の作業者では、操作器具を適切に操作することが難しく、地盤中に適正な量の粒状体材料Mを排出することができない。つまり、地盤中に所定の締固め砂杭Pを造成することができず、計画通りの地盤の改良を行うことができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、地盤の改良を行う砂杭締固め工法で、ケーシングパイプより粒状体材料を地盤中に排出するとき、熟練の作業者だけでなく、それ以外の作業者でも、排出する粒状体材料の種類や状態(例えば、粒状体材料Mが湿っているか乾燥しているか、あるいは固く締まった状態かやわらかくほぐれた状態なのか)又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎に応じて、操作器具を適切に操作し、地盤中に適正な量の粒状体材料を排出できるようにする砂杭締固め工法での砂排出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、地盤中に貫入したケーシングパイプより粒状体材料を排出し、排出した粒状体材料を打ち戻して締固め砂杭を地盤中に造成する砂杭締固め工法で、地盤中に粒状体材料を排出するときに、操作器具を操作して粒状体材料を排出する砂杭締固め工法での砂排出方法であって、粒状体材料を排出するための操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料の排出状態を、排出する粒状体材料の種類及び状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎に収集する第一の工程と、収集した操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料の排出状態より、排出する粒状体材料の種類及び状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎の最適な操作器具の操作パターンを取得する第二の工程と、取得した操作器具の操作パターンの中から、粒状体材料を排出する場所の条件に合った最適な操作器具の操作パターンを求め、求めた操作器具の操作パターンに基づいて操作器具を操作して、地盤中に粒状体材料を排出する第三の工程とを有する砂杭締固め工法での砂排出方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、砂杭締固め工法においてケーシングパイプより粒状体材料を地盤中に排出するとき、粒状体材料を排出する場所の条件に合った最適な操作器具の操作パターンを求め、求めた操作器具の操作パターンに基づいて操作器具を操作することで、地盤中に過不足なく適正な量の粒状体材料を排出することができる。これにより、熟練の作業者だけでなく、それ以外の作業者でも、適正な量の粒状体材料を排出することができ、地盤中に所定の締固め砂杭を造成することで、計画通りの地盤の改良を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】砂杭締固め工法で用いる地盤改良装置を示す側面図である。
【
図3】地盤改良装置のケーシングパイプの内部を示す断面図である。
【
図4】本発明の砂杭締固め工法での砂排出方法のフロー図である。
【
図5】粒状体材料を排出するための操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料の排出状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の砂杭締固め工法での砂排出方法の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る砂杭締固め工法での砂排出方法は、地盤中に締固め砂杭を造成して地盤の改良を行う砂杭締固め工法、例えば、サンドコンパクションパイル工法において、ケーシングパイプより砂や砕石などの粒状体材料を地盤中に排出するとき、排出する粒状体材料の種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎に応じて、操作器具を適切に操作し、地盤中に過不足なく適正な量の粒状体材料を排出できるようにする砂排出方法である。なお、ここでは、砂杭締固め工法としてサンドコンパクションパイル工法であるが、これに限らず、サンドドレーン工法や静的締固め砂杭工法などのその他の砂杭締固め工法でもよい。
【0016】
この砂杭締固め工法での砂排出方法において、ケーシングパイプ5は、既に説明した従来のもの(
図3に示す)と同様である。つまり、ケーシングパイプ5の内部において上部空間Eに給気Aあるいは排気Bするとともに、ケーシングパイプ5の内面に設けた噴射孔12よりジェットJを粒状体材料Mに噴射するようになる。また、ケーシングパイプ5の内部への給気A、排気B、ジェットJの噴射などを行う機器も施工機2の運転室3を設けた操作器具である給気用操作スイッチ、排気用操作スイッチ、ジェット用操作スイッチで操作できるようになる。また、ケーシングパイプ5の上部空間Eの圧力を測定する圧力センサー11や粒状体材料Mの排出状態を求める砂面計13も備える。
【0017】
本実施形態の砂杭締固め工法での砂排出方法は、
図4に示すように、粒状体材料を排出するための操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料Mの排出状態を、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎に収集する第一の工程(S1)と、収集した操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料Mの排出状態より、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎の最適な操作器具の操作パターンを取得する第二の工程(S2)と、取得した操作器具の操作パターンの中から、粒状体材料Mを排出する場所の条件に合った最適な操作器具の操作パターンを求め、求めた操作器具の操作パターンに基づいて操作器具を操作する第三の工程(S3)を有する。
なお、この砂排出方法では、図示していないが、処理装置(例えばコンピュータ)を備え、この処理装置には各種のプログラムを格納し、格納したプログラムを用いて各種の処理作業を行うようにしている。
【0018】
<第一の工程>
第一の工程(S1)は、実験や実際の現場での施工によって、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度が異なるいろいろな条件での粒状体材料Mを排出するための操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料Mの排出状態を収集する工程である。
【0019】
この第一の工程(S1)では、まず、ケーシングパイプ5内に投入されて地盤中に排出する粒状体材料Mの種類について、粒状体材料Mが砂なのか砕石なのかまたその混合物なのかなどと粒状体材料Mの粒子の大きさによって分けることで区別する。また、粒状体材料Mの状態について、粒状体材料Mが湿っているか乾燥しているか、あるいは固く締まった状態かやわらかくほぐれた状態なのかによって分けることで区別する。また、排出先の原地盤状態について、原地盤の土質の種類(礫、砂、シルト、粘土など)や地盤密度などによって分けることで区別する。施工深度について、粒状体材料Mを地盤中に排出するときの深度によって分けることで区別する。
【0020】
このように区分したものにおいて、つまり、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎に、操作機器(給気用操作スイッチ、排気用操作スイッチ、ジェット用操作スイッチ)をどのように操作したかの操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料Mの排出状態をデータとして収集する。
なお、そのときの粒状体材料Mの排出状態は、粒状体材料Mの排出が良好か、過排出か、不足かである。この良好とは、ケーシングパイプ5より地盤中に粒状体材料Mが過不足なく適正な量を排出した場合であり、過排出とは、その量が多い場合、不足とは、その量が少ない場合である。この排出した量については、ケーシングパイプ5内の設けた砂面計13を用いて計測する。
【0021】
このデータの収集は、実際の現場での施工によって収集することもできるが、すべてを収集することは難しい。そこで、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度のそれぞれの条件に合ったものを作り、この条件下で実験を行って、操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料Mの排出状態のデータを収集する。
この収集した操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料Mの排出状態のすべてのデータは処理装置に記憶される。
【0022】
この収集するデータについて具体的に述べる。データは、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎に区別されたものにおいて、排出開始前から排出終了後までのそれぞれの区間での操作器具の操作状態を調べ、これと同時に、そのときの粒状体材料Mの排出状態を調べたものである。
例えば、
図5に示すように、排出開始前の1区間、排出開始後の1区間、排出開始後の2区間、排出開始後の3区間、排出開始後の4区間、それから排出終了後の1区間における
図5中の操作パターン1、2、3で示す操作器具の操作状態、つまり給気用操作スイッチのオン・オフ、排気用操作スイッチのオン・オフ、ジェット用操作スイッチのオン・オフを調べて、この操作パターン1、2、3で操作機器を操作したときの、粒状体材料Mの排出状態が過排出か、良好か、不足かを調べて、これらをデータとして取得する。なお、ここでの排出開始前の1区間、排出開始後の1区間、排出開始後の2区間などの区間とは、例えば秒数で区切ったものであり、1秒でもよい。ただし1秒に限定されるものではない。
【0023】
このように、第一の工程(S1)では、粒状体材料Mを排出するための操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料Mの排出状態を、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎に収集する。
【0024】
<第二の工程>
第二の工程(S2)は、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎の最適な操作器具の操作パターンを取得する工程で、この最適な操作器具の操作パターンの取得は、処理装置で行われる。
【0025】
この第二の工程(S2)では、第一の工程(S1)で収集し、処理装置に記憶されている操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料Mの排出状態のデータを解析し、その中から、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度毎において、粒状体材料Mの排出状態が良好となる、つまりケーシングパイプ5より過不足なく適正な量の粒状体材料Mを地盤中に排出できる最適な操作器具の操作パターンを取得する。
【0026】
この最適な操作器具の操作パターンの取得は、ごく一般的な統計的手法によって、収集した操作器具の操作状態のデータから、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度毎の最適な操作器具の操作パターンを取得する。
また、これとは別に、収集した操作器具の操作状態のデータから、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度毎の最適な操作器具の操作パターンをコンピュータに機械学習させることで、最適化や推論、判断などをコンピュータで自動的に行って、最適な操作器具の操作パターンを取得することもできる。
さらには、一般的な統計的手法と機械学習の両者を併用して、収集した操作器具の操作状態のデータから、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度毎の最適な操作器具の操作パターンを取得するようにしてもよい。
【0027】
このように、第二の工程(S2)では、第一の工程(S1)で収集した操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料Mの排出状態より、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎の最適な操作器具の操作パターンを取得する。
【0028】
<第三の工程>
第三の工程(S3)は、第二の工程で取得した条件毎の最適な操作器具の操作パターンの中から、粒状体材料Mを排出する場所の条件に合った最適な操作器具の操作パターンを求め、求めた操作器具の操作パターンに基づいて操作器具を操作する工程である。ここでの最適な操作器具の操作パターンを求める作業は、処理装置で行われる。
【0029】
第三の工程(S3)では、第二の工程(S2)で取得した排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度毎の最適な操作器具(給気用操作スイッチ、排気用操作スイッチ、ジェット用操作スイッチ)の操作パターンの中から、粒状体材料Mを排出する場所の条件に合った最適な操作器具の操作パターンを求める。続いて、求めた操作器具の操作パターンを、例えば、操作機器のある施工機2の運転室3内に設けたモニター(図示はなし)に表示する。次に、作業者はモニターに表示された操作器具の操作パターンに基づいて操作器具を操作する。つまり、操作器具の給気用操作スイッチ、排気用操作スイッチ、ジェット用操作スイッチそれぞれのオン・オフが、モニターに表示され、表示された操作器具の操作パターンに基づいて操作器具(給気用操作スイッチ、排気用操作スイッチ、ジェット用操作スイッチ)の操作を行う。これにより、ケーシングパイプ5より過不足なく適正な量の粒状体材料Mを地盤中に排出することができる。
【0030】
また、操作器具の操作については、ここでは作業者がモニターを見ながら手動で操作器具の操作を行うようにしているが、この代わりに、例えば施工機2に搭載するコンピュータなどを用いて自動で操作器具の操作を行うようにしてもよい。
【0031】
このように、第三の工程(S3)では、粒状体材料Mを排出する場所の条件に合った最適な操作器具の操作パターンを求め、求めた操作器具の操作パターンに基づいて操作器具を操作して、地盤中に粒状体材料Mを排出することで、ケーシングパイプ5より過不足なく適正な量の粒状体材料Mを地盤中に排出することができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、排出する粒状体材料Mの種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎の最適な操作器具の操作パターンを取得し、取得した操作器具の操作パターンの中から、粒状体材料を排出する場所の条件に合った最適な操作器具の操作パターンを求め、求めた操作器具の操作パターンに基づいて操作器具を操作することで、地盤中に過不足なく適正な量の粒状体材料Mを排出することができる。これにより、熟練の作業者だけでなく、それ以外の作業者でも、適正な量の粒状体材料Mを排出することができ、地盤中に所定の締固め砂杭Pを造成することで、計画通りの地盤の改良を行うことができる。
【0033】
しかも、砂杭締固め工法において粒状体材料Mを地盤中に排出する作業は、熟練の作業者だけでなく、それ以外の作業者でもその作業を的確に行えることから、昨今の建設業界における人手不足、あるいは作業者の高齢化などによる人材の確保が困難であるという建設業界の問題の解消にも役立てることができる。
【符号の説明】
【0034】
1…地盤改良装置、2…施工機、3…運転室、4…マスト、5…ケーシングパイプ、6…排出口、10…コンプレッサー、11…圧力センサー、12…噴射孔、13…砂面計。
【要約】
【課題】砂杭締固め工法で粒状体材料を地盤中に排出するとき、熟練の作業者だけでなく、それ以外の作業者でも、地盤中に適正な量の粒状体材料を排出できるようにする。
【解決手段】砂杭締固め工法での砂排出方法であって、粒状体材料を排出するための操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料の排出状態を、排出する粒状体材料の種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎に収集する第一の工程と、収集した操作器具の操作状態とそのときの粒状体材料の排出状態より、排出する粒状体材料の種類や状態又は排出先の原地盤状態及び施工深度の条件毎の最適な操作器具の操作パターンを取得する第二の工程と、取得した操作器具の操作パターンの中から、粒状体材料を排出する場所の条件に合った最適な操作器具の操作パターンを求め、求めた操作器具の操作パターンに基づいて操作器具を操作して、地盤中に粒状体材料を排出する第三の工程を有する。
【選択図】
図4