(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】センサー
(51)【国際特許分類】
G01H 11/08 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
G01H11/08 C
(21)【出願番号】P 2020114660
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】武島 儀忠
(72)【発明者】
【氏名】森山 由美子
(72)【発明者】
【氏名】秋山 真哉
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-250832(JP,A)
【文献】特開昭54-113378(JP,A)
【文献】実開昭58-021827(JP,U)
【文献】特開平05-079895(JP,A)
【文献】特開2005-077326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出素子と、
前記検出素子と並べて配置される錘と、
前記錘の摺動を案内するガイドと、
を備え
、
前記錘は、前記検出素子と前記錘との並び方向が重力方向と一致する姿勢の場合に、前記検出素子に接触していることを特徴とするセンサー。
【請求項2】
前記錘は、固定されていないことを特徴とする請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記ガイドは、前記錘の外周を囲んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサー。
【請求項4】
前記ガイドに、前記ガイドの内径方向に突出した凸部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のセンサー。
【請求項5】
前記錘に、前記凸部に対応した形状の凹部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のセンサー。
【請求項6】
前記ガイドは、前記錘の軸方向に設けられた孔に挿通されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサー。
【請求項7】
前記ガイドは、
前記錘の外周を囲む第1ガイドと、
前記錘の軸方向に設けられた孔に挿通される第2ガイドと、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサー。
【請求項8】
前記検出素子と、前記錘と、前記ガイドと、を内部に収容するケースをさらに備えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項9】
前記錘は、略円筒形状であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項10】
前記検出素子と、前記錘と、前記ガイドと、を内部に収容するケースをさらに備え、
前記ケースは、内部が中空の略円筒形状であることを特徴とする請求項9に記載のセンサー。
【請求項11】
前記ケースを押さえるための錘をさらに備えることを特徴とする請求項8又は10に記載のセンサー。
【請求項12】
測定対象に対する角度を調整するための調整機構をさらに備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項13】
前記調整機構は、測定対象と略平行に延び、略平行から揺動する調整バーを有することを特徴とする請求項12に記載のセンサー。
【請求項14】
前記調整機構は、前記調整バーを支持する支持部をさらに有することを特徴とする請求項13に記載のセンサー。
【請求項15】
前記調整機構は、測定対象に接触する部分が、略錐状に形成された錐部を有することを特徴とする請求項13又は14に記載のセンサー。
【請求項16】
前記検出素子は、ピエゾ素子であることを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載のセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を検出するセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、測定対象に伝わる振動をピエゾセンサーで読み取る装置を例示した図である。
図6に示す従来の装置においては、マウンティングスタッド(杭)を、直接、測定対象に打つことで、センサーを固定し、測定対象(床面)の振動を、電気信号に変えている。なお、特許文献1には、ピエゾ素子(圧電素子)の破壊を防止するための発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、道路で測定を実施する場合、公共物である道路に杭を打つには、管理当局への申請と、道路の修復と、が必要となるため、道路振動の測定を安易に行うことができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、測定対象に損傷等を与えることなく、容易に測定を行うことが可能な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のセンサーは、ピエゾ素子と、前記ピエゾ素子と並べて配置される錘と、
前記錘の摺動を案内するガイドと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、ピエゾ素子と並べて配置される錘の摺動を案内するガイドが設けられている。このため、測定対象が振動したときに、慣性の法則でとどまろうとする錘と、測定対象と、の間で、ピエゾ素子が圧縮され、ピエゾ素子により、効率よく、電圧が発生する。これにより、センサーを測定対象に杭打ち等により固定する必要がないため、測定対象を損傷等させることなく、容易に測定を行うことができる。
【0008】
第2の発明のセンサーは、第1の発明のセンサーにおいて、前記錘は、固定されていないことを特徴とする。
【0009】
本発明では、錘は、固定されていない。すなわち、錘は、浮いた(フローティングした)状態である。これにより、錘を拘束するものがほとんどない状態とすることができる。
【0010】
第3の発明のセンサーは、第1又は第2の発明のセンサーにおいて、前記ガイドは、前記錘の外周を囲んでいることを特徴とする。
【0011】
第4の発明のセンサーは、第3の発明のセンサーにおいて、前記ガイドに、前記ガイドの内径方向に突出した凸部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明のセンサーは、第4の発明のセンサーにおいて、前記錘に、前記凸部に対応した形状の凹部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明のセンサーは、第1又は第2の発明のセンサーにおいて、前記ガイドは、前記錘の軸方向に設けられた孔に挿通されていることを特徴とする。
【0014】
第7の発明のセンサーは、第1又は第2の発明のセンサーにおいて、前記ガイドは、前記錘の外周を囲む第1ガイドと、前記錘の軸方向を貫通する孔に挿通される第2ガイドと、を有することを特徴とする。
【0015】
第8の発明のセンサーは、第1~第7のいずれかの発明のセンサーにおいて、前記ピエゾ素子と、前記錘と、前記ガイドと、を内部に収容するケースをさらに備えることを特徴とする。
【0016】
第9の発明のセンサーは、第1~第8のいずれかの発明のセンサーにおいて、前記錘は、略円筒形状であることを特徴とする。
【0017】
第10の発明のセンサーは、第9の発明のセンサーにおいて、前記ピエゾ素子と、前記錘と、前記ガイドと、を内部に収容するケースをさらに備え、前記ケースは、内部が中空の略円筒形状であることを特徴とする。
【0018】
第11の発明のセンサーは、第8又は第10の発明のセンサーにおいて、前記ケースを押さえるための錘をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
第12の発明のセンサーは、第1~第11のいずれかの発明のセンサーにおいて、測定対象に対する角度を調整するための調整機構をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
本発明では、センサーは、測定対象に対する角度を調整するための調整機構を備える。これにより、測定対象が、傾斜していたり、平らでなく、測定対象に凹凸があったりする場合でも、センサーを測定対象に密着させることができる。
【0021】
第13の発明のセンサーは、第12の発明のセンサーにおいて、前記調整機構は、測定対象と略平行に延び、略平行から揺動する調整バーを有することを特徴とする。
【0022】
本発明では、調整機構は、測定対象と略平行に延び、略平行から揺動する調整バーを有する。これにより、測定対象に対するセンサーの角度を調整することができる。
【0023】
第14の発明のセンサーは、第13の発明のセンサーにおいて、前記調整機構は、前記調整バーを支持する支持部をさらに有することを特徴とする。
【0024】
第15の発明のセンサーは、第13又は第14の発明のセンサーにおいて、前記調整機構は、測定対象に接触する部分が、略錐状に形成された錐部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、測定対象を損傷等させることなく、容易に測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るセンサーを示す図である。
【
図2】(a)は、錘と外周ガイドとを模式的に示す斜視図である。(b)は、一例の錘と外周ガイドとの平面視を示す図である。(c)、及び、(d)は、他の例の錘と外周ガイドとの平面視を示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係るセンサーを示す図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係るセンサーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサー1を示す図である。センサー1は、ピエゾ素子2、錘3、ガイド4、ケース5等を備える。センサー1は、例えば、測定対象である道路の上に載置され、測定対象である道路で発生する振動を検出(測定)する。
【0029】
ピエゾ素子(圧電素子)2は、圧電体に加えられた力を電圧に変換する。ピエゾ素子2は、例えば、扁平な略円盤状である。錘3は、ピエゾ素子2と並べて配置されている。具体的には、錘3は、ピエゾ素子2の上に並べて配置されている。錘3は、ガイド4によって案内され、上下方向(垂直方向)に摺動する。また、錘3は、他の部材等に接続されておらず、固定されていない。すなわち、錘3は、他の部材等から浮いた(フローティングした)状態である。錘3は、例えば、略円筒形状である。錘3の平面視の中心には、軸方向に延びる、後述する軸ガイド7を挿通するための孔が設けられている。なお、錘3に設けられている孔は、防水のため、錘3を貫通していないが、錘3を貫通していてもよい。
【0030】
ガイド4は、錘3の上下方向(垂直方向)の摺動を案内する。ガイド4は、外周ガイド6(第1ガイド)と、軸ガイド7(第2ガイド)と、を有する。外周ガイド6は、略円筒形状の錘3の外周を囲っている。従って、外周ガイド6は、内部が中空の略円筒形状である。
図2(a)は、錘3と外周ガイド6とを模式的に示す斜視図である。
図2(b)は、一例の錘3と外周ガイド6との平面視を示す図である。
図2(c)、及び、(d)は、他の例の錘3と外周ガイド6との平面視を示す図である。
図2(c)に示すように、外周ガイド6に、外周ガイド6の内径方向に突出した凸部が設けられていてもよい。また、
図2(d)に示すように、錘3に、外周ガイド6の凸部に対応した形状の凹部が設けられていてもよい。また、
図2(b)に示すように、凸部、及び、凹部は、設けられていなくてもよい。
【0031】
軸ガイド7は、錘3の軸方向に設けられた孔に挿通されている。ケース5は、ピエゾ素子2と、錘3と、ガイド4と、を内部に収容している。ケース5は、錘3の外形形状にあわせて、例えば、内部が中空の略円筒形状となっている。軸ガイド7の上端、及び、下端は、ケース5の上端、及び、下端に固定されている。また、センサー1は、ケース5を押さえるための錘8を備える。錘8は、例えば、扁平な略円盤状であり、ケース5の上に設けられている。なお、ガイド4は、外周ガイド6、軸ガイド7のいずれか一方のみであってもよい。
【0032】
センサー1において、ケース5は、測定対象である道路の地面に密着し、錘3は、フローティング状態であるので、独立して動ける構造となっている。ただし、センサー1が地面に対して傾かず、且つ、錘3が垂直(上下)に動くように、ガイド4が設けられている。
【0033】
このような構成とすることで、センサー1を地面にボルト締めすることなく、センサーユニットを地面に追従させて動かし、錘3は、拘束されるものがほとんどない状態とすることができる。これにより、地面が振動したとき、慣性の法則でとどまろうとする錘3と地面との間で、ピエゾ素子2が圧縮され、ピエゾ素子2により、効率よく電圧が発生する。
【0034】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係るセンサー101を示す図である。第2実施形態に係るセンサー101は、第1実施形態に係る、
図1に示すセンサー1と比較して、調整機構9が追加されている点が相違する。調整機構9は、測定対象に対する角度を調整するためのものである。調整機構9は、調整バー10、支持部11、錐部12を有する。調整バー10は、測定対象(地面)と略平行(水平方向)に延び、略平行状態から揺動する。調整バー10は、ケース10の外周を支持している。支持部11は、調整バー10を支持する。支持部11は、錘3の軸方向(垂直方向)に延びている。支持部11は、ケース5の外側に位置する。錐部12は、ケース5の下方に位置し、測定対象に接触する部分である。錐部12は、例えば、略円錐形状、又は、略三角錐形状に形成されている。また、センサー101には、錘3の上部に、気泡式水準器13が設けられている。
【0035】
図4は、センサー101の感度特性を示す図である。
図4(a)は、錐部12が設けられている場合を示し、
図4(b)は、錐部12が設けられていない場合を示している。図示するように、錐部12が設けられていても、感度が悪化することなく、例えば、傾いた地面等にも対応することが可能となる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態では、ピエゾ素子2と並べて配置される錘3の摺動を案内するガイド4が設けられている。このため、測定対象が振動したときに、慣性の法則でとどまろうとする錘3と、測定対象と、の間で、ピエゾ素子2が圧縮され、ピエゾ素子2により、効率よく、電圧が発生する。これにより、センサー1、101を測定対象に杭打ち等により固定する必要がないため、測定対象を損傷等させることなく、容易に測定を行うことができる。
【0037】
また、本実施形態では、錘3は、固定されていない。すなわち、錘3は、浮いた(フローティングした)状態である。これにより、錘3を拘束するものがほとんどない状態とすることができる。
【0038】
第1実施形態に係るセンサー1では、センサー1を接地する歩道、又は、道路に傾斜があったり(例えば、歩道の場合、日本国内では、傾斜が最大8度である)、平らでなく、道路に凹凸があったりする場合には、センサー1を地面に密着させることができないという問題がある。第2実施形態では、センサー101は、測定対象に対する角度を調整するための調整機構9を備える。これにより、測定対象が、傾斜していたり、平らでなく、測定対象に凹凸があったりする場合でも、センサー101を測定対象に密着させることができる。
【0039】
また、第2実施形態では、調整機構9は、測定対象と略平行に延び、略平行から揺動する調整バー10を有する。これにより、測定対象に対するセンサー101の角度を調整することができる。
【0040】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態にかかるセンサー101を示す図である。第3実施形態においては、支持部11が伸縮することで、錘3の摺動方向が重力と同じ方向になるように調整可能であり、斜面に対応可能である。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、振動を検出するセンサーに好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0043】
1、101 センサー
2 ピエゾ素子
3 錘
4 ガイド
5 ケース
6 外周ガイド(第1ガイド)
7 軸ガイド(第2ガイド)
8 錘
9 調整機構
10 調整バー
11 支持部
12 錐部
13 気泡式水準器