(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A47J27/00 103N
A47J27/00 103R
(21)【出願番号】P 2021007024
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】高橋 章浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 真輝
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-029816(JP,A)
【文献】特開2015-173787(JP,A)
【文献】特開2001-061644(JP,A)
【文献】特開2005-140345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱源を有する本体と、
前記本体に開閉可能に取り付けられる蓋体と、
前記蓋体に収容される操作基板と、
前記蓋体に収容される通信基板と、を備え、
前記操作基板は、前記蓋体の第1空間に配設されており、
前記通信基板は、前記蓋体において前記第1空間と離間して存在する第2空間に配設されて
おり、
前記通信基板には、アンテナ部が実装されると共に、取付穴が形成されており、
前記蓋体には、前記取付穴を介して前記通信基板を固定するためのボス部が形成されており、
平面透視において前記取付穴のアンテナ部実装側の反対側に配線が通されている、加熱調理器。
【請求項2】
前記蓋体は、ヒンジ構造体を介して前記本体に回動可能に取り付けられており、
前記通信基板は、側面視において前記操作基板と前記ヒンジ構造体との間に配設されている、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記通信基板は、中継基板を介して前記操作基板に接続されている、請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記配線は、前記通信基板の一部と、前記ボス部の根元側の部位との間に収められている
請求項
1から3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「基板収納室の内部に通信基板と、操作部を構成する電気部品とを収容する炊飯器」が提案されている(例えば、特開2018-033808号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に、通信基板は、その通信を阻害する部材等の周辺を避けて配設される。このため、上述のように基板収納室の内部において、操作部を構成する電気部品と共に通信基板を配設しようとすると、その配置にかなりの制限がかかってくるおそれがあり、場合によっては上述の電気部品の配置を変更しなければならないことがあり得る。
【0005】
本発明の課題は、通信基板の配置の自由度のみならず、操作部を構成する電気部品の配置の自由度も確保することができる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理器は、
加熱源を有する本体と、
前記本体に開閉可能に取り付けられる蓋体と、
前記蓋体に収容される操作基板と、
前記蓋体に収容される通信基板と、を備え、
前記操作基板は、前記蓋体の第1空間に配設されており、
前記通信基板は、前記蓋体において前記第1空間と離間して存在する第2空間に配設されており、
前記通信基板に、アンテナ部が実装されると共に、取付穴が形成されており、
前記蓋体に、前記取付穴を介して前記通信基板を固定するためのボス部が形成されており、
平面透視において前記取付穴のアンテナ部実装側の反対側に配線が通されている。
【0007】
上記構成によれば、操作基板と通信基板とが、異なる空間に配設される。このため、この加熱調理器では、通信基板の配置の自由度のみならず、操作部を構成する電気部品の配置の自由度も確保することができる。これにより、通信良好な位置に通信基板を配設することができるだけでなく、通信基板の仕様変更にも容易に対応することができ、さらに、デザイン性等を考慮して上述の電気部品を配置することもできる。また、上記構成によれば、ボス部によってアンテナ部から配線を遠ざけてアンテナ部の受信・送信性能を安定させることができるだけなく、配線を整線することができる。
【0008】
本発明では、
前記蓋体は、ヒンジ構造体を介して前記本体に回動可能に取り付けられており、
前記通信基板は、側面視において前記操作基板と前記ヒンジ構造体との間に配設されていると好適である。
【0009】
上記構成によれば、通常、利用されていない空間を有効利用とすることができる。また、通常、本体には電源基板および制御基板が配設されており、電源基板から延びる電気供給配線、および、制御基板から延びる通信線がヒンジ構造体を介して蓋体に延ばされてくるが、これらの配線を、通信基板を介して操作基板に接続することによって、それらの配線を短くすることができる。このため、配線のコスト削減に貢献することができると共に、上記配線がノイズ等の影響を受けにくくすることができる。
【0010】
本発明では、
前記通信基板は、中継基板を介して前記操作基板に接続されていると好適である。
【0011】
上記構成によれば、中継基板に電圧変換や基板言語の翻訳などを担わせることができる。このため、通信基板に仕様変更の敷居が低くなり、機種変更等の際に最新の通信基板を利用しやすくなる。
【0012】
本発明では、
前記配線は、前記通信基板の一部と、前記ボス部の根元側の部位との間に収められていると好適である。
【0013】
上記構成によれば、通信基板の一部を、配線飛び出しの防止壁として利用することができると共に、アンテナ部へ配線が被さるような不具合の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の平面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る炊飯器の平面透過図である。ただし、操作ボタン群や表示装置等の一部の部材の描画が省略されている。
【
図4】本発明の実施の形態に係る炊飯器の蓋体の底面透過図である。ただし、蓋基板等の一部の部材の描画が省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の構造>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、
図3に示されるように、主に、本体110、内鍋130、蓋体140およびヒンジ部品150から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0016】
1.本体
本体110は、
図3に示されるように、主に、筐体111、誘導加熱コイル(図示せず)、断熱材(図示せず)、フェライトコア(図示せず)、センターセンサ(図示せず)、送風ファンユニット116、電源回路基板117および自動巻取式電源コードユニット118から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0017】
(1)筐体
筐体111は、
図3に示されるように、主に、収容体111a、肩部材111cおよび保護枠から構成されており、断熱材、フェライトコア、誘導加熱コイル、センターセンサ、送風ファンユニット116、電源回路基板117および自動巻取式電源コードユニット118等を収容している。以下、筐体111の各構成要素について詳述する。
【0018】
収容体111aは、
図3に示されるように、主に、側壁部111xおよび底壁部111yから形成されている。側壁部111xは、平面視において略角丸長方形を呈する角筒状の囲い壁部位である。底壁部111yは、底面視において略角丸長方形の角皿状部位であって、
図3に示されるように側壁部111xの下側に形成されている。そして、
図3に示されるように、底壁部111yの後側には、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口SOが形成されており、底壁部111yの前側には、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。なお、
図3に示されるように、吸気口SOの上方には、送風ファンユニット116が配設されている。この送風ファンユニット116が駆動されると、外部の空気が吸気口SOを通って筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。
【0019】
肩部材111cは、平面視において略角丸長方形状を呈する枠体であって、
図3に示されるように収容体111aの側壁部111xの上側に嵌合されており、収容体111aの上側の開口の縁部を覆っている。この肩部材111cには、内鍋130を挿通させるための略円形の開口が形成されている。そして、この肩部材111cの下側には、保護枠が取り付けられている。なお、保護枠は保護枠フランジ部(後述)で肩部材111cに取り付けられている。
【0020】
保護枠は、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保つ役目を担う部材であって、主に、内鍋収容部および保護枠フランジ部から形成されている。内鍋収容部は、内鍋130の外周を覆う椀状の部位であって、保護枠の下側部分を構成している。内鍋収容部の底部中央には開口が形成されており、この開口からセンターセンサの先端部が突出している。保護枠フランジ部は、保護枠の上側部分を構成し、肩部材111cの下側に位置しており、肩部材111cを外側に向かって張ることにより肩部材111cの形状を維持している。
【0021】
(2)誘導加熱コイル
誘導加熱コイルは、内鍋130を誘導加熱するためのものであって、保護枠の底部の下面および側部下側の外周面に取り付けられている。
【0022】
(3)断熱材
断熱材は、保護枠の内鍋収容部の外周および誘導加熱コイルの外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が保護枠の外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0023】
(4)フェライトコア
フェライトコアは、誘導加熱コイルへの通電時に生じる磁束を外部に出さないようにするための部材であって、誘導加熱コイルの周囲に配設されている。
【0024】
(5)センターセンサ
センターセンサは、内鍋130の底部の温度を検知すると共に内鍋130の有無を検知するためセンサであって、保護枠の底部中央の開口に突出可能にコイルバネによって上方に向かって付勢されている。
【0025】
(6)送風ファンユニット
送風ファンユニット116は、軸流ファンおよびヒートシンク等から構成されるものであって、上述の通り、筐体111の収容体111aの底壁部111yの吸気口SOの上方に、ファンの回転軸が略上下方向に沿うようにして配設されている(
図3参照)。すなわち、この送風ファンユニット116中の送付ファンが駆動されると、外部の空気が吸気口SOから吸い込まれて筐体111内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンクを通って電源回路基板117などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0026】
(7)電源回路基板
電源回路基板117は、電源回路を構成する基板であって、AC電源、インバータ、スイッチング電源、いくつかの発熱部品を実装している。なお、この電源回路基板117は、
図3に示されるように筐体111の後側空間に収容されている。そして、この電源回路基板117は、ヒンジ部品150を介して蓋体140に延びる配線(図示せず)によって、蓋体140に収容されるアンテナ基板AB(後述)に通信接続されている。なお、後述するが、アンテナ基板ABは中継基板RB(後述)と接続され、中継基板RBは制御回路基板CBと接続される。このため、電源回路基板117は、アンテナ基板ABを介して中継基板RBと接続され、アンテナ基板ABおよび中継基板RBを介して制御回路基板CBと接続されることになる。
【0027】
(8)自動巻取式電源コードユニット
自動巻取式電源コードユニット118は、電源コードおよび自動巻取機構(図示せず)等から構成されており、
図3に示されるように筐体111の後側空間に収容されている。電源コードは、差込プラグPG(
図1および
図2参照)および電気線(図示せず)から構成されている。差込プラグPGは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0028】
2.内鍋
内鍋130は、
図3に示されるように上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口に挿通されると共に、保護枠の内鍋収容部に所定の隙間をもって収容される。なお、ここで、内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)であって、誘導加熱コイルによって誘導加熱され得る。
【0029】
3.蓋体
蓋体140は、
図3に示されるように、ヒンジ部品150を介して本体110に回動自在に取り付けられている。そして、蓋体140は、
図1~
図4および
図6に示されるように、主に、蓋基板141、外装体142、操作ボタン群143、情報表示パネルDI、基板支持部144、制御回路基板CB、アンテナ基板AB、中継基板RB、内蓋146、蒸気処理ユニット147および開閉機構から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0030】
(1)蓋基板
蓋基板141は、蒸気センサ等の部品・部材を支持するものであって、
図3に示されるように、外装体142の内部であって基板支持部144の下側に収容されている。また、
図3に示されるように、この蓋基板141の下面には、着脱自在に内蓋146が配設されている。
【0031】
(2)外装体
外装体142は、
図1~
図4および
図6に示されるように、略直方体状のカバー部材であって、蓋基板141の上側を覆っている。なお、
図1、
図2および
図6に示されるように、外装体142の後側には、蒸気処理ユニット147が配設されている。また、この外装体142には、
図1および
図2に示されるように、上面が外装体142の上側に露出するように操作ボタン群143および開閉ボタンBTが配設されている。
【0032】
(3)操作ボタン群
操作ボタン群143は、例えば、発停ボタンや、炊飯方法の選択ボタン等の各操作ボタンから成るものであって炊飯器100の運転方法を使用者に選択させるためのものである。そして、この操作ボタン群143中の各操作ボタンは、上述の通り、上面が外装体142の上側に露出するように外装体142に取り付けられている。
【0033】
(4)情報表示パネル
情報表示パネルDIは、
図1に示されるように、操作ボタン群143の直ぐ後に配設されている。情報表示パネルDIは、炊飯経過情報や、使用者が選択した炊飯メニュー情報等の各種情報を表示するためのものであって、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等から構成されている。
【0034】
(5)基板支持部
基板支持部144は、制御回路基板CBやアンテナ基板AB等の部品・部材を支持するものであって、
図3、
図4および
図6に示されるように、外装体142と蓋基板141との間に配設されている。基板支持部144は、
図3~
図6に示されるように、主に、本体部144a、受け皿部144bおよびボス部144cから形成されている。本体部144aは、
図4に示されるように、底面視において角丸長方形状を呈している。受け皿部144bは、
図3~
図5に示されるように、本体部144aの前部において、下方に膨らんでいる(凹んでいる/窪んでいる)。なお、
図4および
図5に示されるように、受け皿部144bの左後部には、リード線LW(後述)を通すための切欠き部NOが形成されている。ボス部144cは、
図3~
図6に示されるように、受け皿部144bより後側の本体部144aの左部から下方に延びる円筒形状の壁部位である。
【0035】
図3に示されるように、外装体142および受け皿部144bで囲まれる第1空間SP1が形成されている。この第1空間SP1内には、
図3に示されるように、制御回路基板CBが配設されている。そして、
図3~
図5に示されるように、蓋基板141、本体部144aの後部および受け皿部144bの後壁部で囲まれる第2空間SP2が、第1空間SP1と離間して形成されている。この第2空間SP2内には、
図3~
図5に示されるように、アンテナ基板ABおよび中継基板RBが配設されている。
【0036】
(6)制御回路基板
制御回路基板CBは、制御回路を構成する基板であって、上述の通り、第1空間SP1内に配設されている。制御回路基板CBは、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装しており、蓋体140の操作ボタン群143、蒸気センサ等に通信接続されると共に、本体110の誘導加熱コイルや、センターセンサ、送風ファンユニット116等に通信接続されている。このマイクロコンピュータには不揮発性メモリが搭載されている。不揮発性メモリには、炊飯器100の識別情報や、炊飯工程を実行するための各種プログラム、使用者の炊飯状況情報等が格納されている。また、制御回路基板CBは、
図4および
図5に示されるように、リード線LWを介して中継基板RBと接続される。
【0037】
(7)アンテナ基板
アンテナ基板ABは、インターネット回線、キャリア網、ルータなどを介して、炊飯器100の製造者が管理するサーバ等と通信するためのものであって、上述の通り、中継基板RBと共に第2空間SP2内に配設されている(すなわち、アンテナ基板ABは、
図3に示されるように、側面視において制御回路基板CBとヒンジ部品150との間に配設されている。)。アンテナ基板ABは、
図2、
図4および
図5に示されるように、略長方形状の板状体である。また、アンテナ基板ABは、
図2~
図5に示されるように、中継基板RBと接続される。アンテナ基板ABと中継基板RBとの接続には、接続コネクタ(図示せず)が使用される。また、
図4および
図5に示されるように、アンテナ基板ABの右部の前端には、取付穴AB1が形成されている。
図3、
図5および
図6に示されるように、この取付穴AB1と基板支持部144のボス部144cの取付孔とにネジSCが通されることにより、アンテナ基板ABが基板支持部144に取り付けられる。
【0038】
また、
図4および
図5に示されるように、アンテナ基板ABの左端部には、アンテナ部AB2が実装されている。アンテナ部AB2は、インターネット、キャリア網、ルータなどを介してサーバ等に炊飯器100のデータ(例えば、炊飯状況情報等)を送信する。また、アンテナ部AB2は、インターネット回線、キャリア網、ルータなどを介してサーバ等からデータ(例えば、お米の銘柄に応じた炊飯制御情報、更新プログラム等)を受信して、中継基板RBを介してそのデータを制御回路基板CBのマイクロコンピュータに受け渡したりする。
【0039】
(8)中継基板
中継基板RBは、電圧変換や基板言語の翻訳などを担うためのものであって、上述の通り、アンテナ基板ABと共に第2空間SP2内に配設されている。中継基板RBは、
図2、
図4および
図5に示されるように、略長方形状の板状体である。
【0040】
上述の通り、中継基板RBは、リード線LWを介して制御回路基板CBと接続されると共に、接続コネクタを介してアンテナ基板ABと接続される。このように中継基板RBを介することにより、制御回路基板CBとアンテナ基板ABとの接続が可能になる。なお、このリード線LWは、
図4~
図6に示されるように、底面視においてアンテナ基板ABの右端と基板支持部144のボス部144cとの間に収められるように(言い換えれば、アンテナ基板ABの上側且つアンテナ基板ABの取付穴AB1の右側(取付穴AB1のアンテナ部AB2実装側の反対側)を通るように)、中継基板RBおよび制御回路基板CBを接続している。すなわち、ボス部144cによって、リード線LWがアンテナ基板ABの下側(すなわち、アンテナ部AB2等の実装側)に近づくことないようにリード線LWの位置を規制している。
【0041】
(9)内蓋
内蓋146は、
図3に示されるように、内鍋130の上部を覆って密閉するための部材であって、蓋基板141の下側に着脱自在に取り付けられている。
【0042】
(10)蒸気処理ユニット
蒸気処理ユニット147は、炊飯時に内鍋130から上昇してくる蒸気や、溜まったおねばをトラップして内鍋130に戻すものであって、上述の通り、外装体142の後側に配設されている。なお、
図1および
図2に示されるように、この蒸気処理ユニット147には左右方向に延びる蒸気口BOが形成されており、この蒸気口BOを通じて蒸気が外部に放出される。
【0043】
(11)開閉機構
開閉機構は、蓋体140の開閉を司る機構であって、蓋体140の前側部分に配設されており、主に、開閉ボタンBTおよびレバー部材(図示せず)から構成されている。開閉ボタンBTは、
図1および
図2に示されるように、蓋体140を開閉するための角丸長方形状のボタンであって、コイルバネによって上方に向かって付勢されている。レバー部材は、蓋体140の閉状態を維持するためのものであって、蓋体140の閉状態時に本体110の筐体111の肩部材111cと係合する。蓋体140を開状態とするとき、使用者は、開閉ボタンBTを押し下げる。すると、開閉ボタンBTの下端部位がレバー部材に当接し、レバー部材と肩部材111cとの係合状態が解除される。そして、ヒンジ部品150の付勢力により蓋体140が上方に持ち上げられ、蓋体140が開状態となる。
【0044】
4.ヒンジ部品
ヒンジ部品150は、上述の通り、蓋体140が本体110に対して回動自在となるように蓋体140を本体110に取り付けている。なお、このヒンジ部品150は、蓋体140を開方向に向かって付勢している。
【0045】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の特徴>
(1)
本実施の形態に係る炊飯器100では、蓋体140の外装体142および蓋体140の基板支持部144の受け皿部144bで囲まれる第1空間SP1が形成される。この第1空間SP1内には、制御回路基板CBが配設される。また、蓋体140の蓋基板141、基板支持部144の本体部144aの後部および基板支持部144の受け皿部144bの後壁部で囲まれる第2空間SP2が、第1空間SP1と離間して形成される。そして、この第2空間SP2内には、アンテナ基板ABおよび中継基板RBが配設される。このため、この炊飯器100では、アンテナ基板ABの配置の自由度のみならず、制御回路基板CBの配置の自由度も確保することができる。これにより、通信良好な位置にアンテナ基板ABを配設することができるだけでなく、アンテナ基板ABの仕様変更にも容易に対応することができ、さらに、操作ボタン群143のデザイン性等を考慮して制御回路基板CBを配置することもできる。
【0046】
(2)
本実施の形態に係る炊飯器100では、アンテナ基板ABは、側面視において制御回路基板CBとヒンジ部品150との間に配設されている。そして、本体110の電源回路基板117は、ヒンジ部品150を介して蓋体140に延びる配線によってアンテナ基板ABに通信接続され、アンテナ基板ABおよび中継基板RBを介して制御回路基板CBと接続される。このため、この炊飯器100では、ヒンジ部品150を介して蓋体140に延びる配線を短くすることができる。したがって、この炊飯器100では、配線のコスト削減に貢献することができると共に、配線がノイズ等の影響を受けにくくすることができる。
【0047】
(3)
本実施の形態に係る炊飯器100では、中継基板RBは、リード線LWを介して制御回路基板CBと接続されると共に、接続コネクタを介してアンテナ基板ABと接続される。このため、この炊飯器100では、中継基板RBに電圧変換や基板言語の翻訳などを担わせることができる。したがって、この炊飯器100では、通信基板に仕様変更の敷居が低くなり、機種変更等の際に最新のアンテナ基板を利用しやすくなる。
【0048】
(4)
本実施の形態に係る炊飯器100では、アンテナ基板ABの取付穴AB1と基板支持部144のボス部144cの取付孔とにネジSCが通されることにより、アンテナ基板ABが基板支持部144に取り付けられる。そして、中継基板RBおよび制御回路基板CBを接続するリード線LWが、アンテナ基板ABの右端と基板支持部144のボス部144cとの間に収められている。このため、この炊飯器100では、基板支持部144のボス部144cによってアンテナ基板ABに実装されるアンテナ部AB2からリード線LWを遠ざけてアンテナ部AB2の受信・送信性能を安定させることができるだけなく、リード線LWを整線することができる。また、この炊飯器100では、アンテナ基板ABの右部を、リード線LW飛び出しの防止壁として利用することができると共に、アンテナ部AB2へリード線LWが被さるような不具合の発生を抑制することができる。
【0049】
<変形例>
(A)
先の実施の形態では特定の構成を有する炊飯器100に本発明が適用されたが、本発明は他の構成を有する炊飯器に適用されてもよい。
【0050】
(B)
先の実施の形態では本発明が炊飯器100に適用されたが、本発明は炊飯器以外の加熱調理器(例えば、電子レンジ、オーブントースター、ホームベーカリー等)に適用されてもよい。
【0051】
(C)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、電源回路基板117は、ヒンジ部品150を介して蓋体140に延びる配線によって、アンテナ基板ABに通信接続されていた。しかし、電源回路基板117は、ヒンジ部品150を介して蓋体140に延びる配線によって、中継基板RBに通信接続されてもよい。かかる場合、電源回路基板117は、中継基板RBを介してアンテナ基板ABおよび制御回路基板CBと接続される。
【0052】
(D)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、基板支持部144のボス部144cは、基板支持部144の受け皿部144bより後側の基板支持部144の本体部144aの左部から下方に延びていた。そして、アンテナ基板ABの取付穴AB1とこのボス部144cの取付孔とにネジSCが通されることにより、アンテナ基板ABが基板支持部144に取り付けられていた。しかし、アンテナ基板ABの下側に位置する蓋基板141から上方に延びるボス部(例えば、円筒形状)が形成され、アンテナ基板ABの取付穴AB1とこのボス部の取付孔とにネジが通されることにより、アンテナ基板ABが蓋基板141に取り付けられてもよい。かかる場合、リード線LWは、アンテナ基板ABの右端と蓋基板141のボス部との間に収められるように(言い換えれば、アンテナ基板ABの下側且つアンテナ基板ABの取付穴AB1の右側を通るように)、中継基板RBおよび制御回路基板CBを接続することになる。
【0053】
なお、上記変形例は、単独で適用されてもよいし、組み合わせて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 炊飯器(加熱調理器)
110 本体
140 蓋体
144c ボス部
150 ヒンジ部(ヒンジ構造体)
AB アンテナ基板(通信基板)
AB1 取付穴
AB2 アンテナ部
CB 制御回路基板(操作基板)
LW リード線(配線)
RB 中継基板
SP1 第1空間
SP2 第2空間