(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】車室内照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/80 20170101AFI20240718BHJP
B60Q 3/233 20170101ALI20240718BHJP
B60Q 3/76 20170101ALI20240718BHJP
【FI】
B60Q3/80
B60Q3/233
B60Q3/76
(21)【出願番号】P 2021056478
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】大島 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】押野 優汰
(72)【発明者】
【氏名】猪瀬 康夫
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-196059(JP,A)
【文献】特開2007-125985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/00-3/88
B60H 1/00
B60H 1/24
B60N 2/00-2/90
G08G 1/16
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに着座した乗員の睡眠状態を検出する睡眠状態検出部と、
車外の照度を検出する照度検出部と、
前記シートに対応して設けられた照明部と、
前記睡眠状態検出部および前記照度検出部の検出結果に基づいて、前記照明部の照明状態を制御する照明制御部と、を備え、
前記照明制御部は、
前記睡眠状態検出部により睡眠状態が検出されると前記照明部を消灯し、
前記照度検出部で検出される照度が所定値以下であって、かつ、前記睡眠状態検出部により睡眠状態でないことが検出されると前記照明部を点灯することを特徴とする車室内照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車室内照明装置において、
前記照明部は、少なくとも前記シートを含むシート領域を照明する第1の照明部と、前記シートに着座した乗員の手元領域を照明する第2の照明部とを含み、
前記照明制御部は、
前記睡眠状態検出部により睡眠状態が検出されると前記第1および第2の照明部を消灯し、
前記照度検出部により検出される照度が所定値以下であって、かつ、前記睡眠状態検出部により睡眠状態でないことが検出されると、前記第1および第2の照明部のいずれか一方を点灯することを特徴とする車室内照明装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車室内照明装置において、
前記シートに着座している乗員の着座姿勢状態を検出する姿勢検出部をさらに備え、
前記照明部は、少なくとも前記シートを含むシート領域を照明する第1の照明部と、前記シートに着座した乗員の手元領域を照明する第2の照明部とを含み、
前記照明制御部は、手元作業時の着座姿勢状態が前記姿勢検出部により検出されると、少なくとも前記第2の照明部を点灯することを特徴とする車室内照明装置。
【請求項4】
シートに着座した乗員の睡眠状態を検出する睡眠状態検出部と、
前記シートに対応して設けられた照明部と、
ナビゲーション装置からのトンネル情報が入力される入力部と、
前記睡眠状態検出部の検出結果および前記トンネル情報に基づいて前記照明部の照明状態を制御する照明制御部と、を備え、
前記照明制御部は、
前記睡眠状態検出部により睡眠状態が検出されると前記照明部を消灯し、
前記睡眠状態検出部が睡眠状態でないことを検出すると前記照明部を点灯し、かつ、トンネルの出口および入口からトンネルの中央に近づくほど前記照明部の照度を高くすることを特徴とする車室内照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動運転が可能な車両において、自動運転中に車外が暗くなると自動的に室内灯の照度を調整し、車内の照度を確保する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転者は運転操作に集中しているが、他の乗員はそれぞれの態様で過ごしているのが一般的である。例えば、読書やゲームを行っていたり、睡眠を取っていたりしている。そのような状況においても、上述した従来の技術では、車内の照度が画一的に調整されるため、読書やゲームには暗すぎたり、睡眠には明るすぎたりして、乗員個々のニーズに応えきれていないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による室内照明装置は、シートに着座した乗員の睡眠状態を検出する睡眠状態検出部と、車外の照度を検出する照度検出部と、前記シートに対応して設けられた照明部と、前記睡眠状態検出部および前記照度検出部の検出結果に基づいて、前記照明部の照明状態を制御する照明制御部と、を備え、前記照明制御部は、前記睡眠状態検出部により睡眠状態が検出されると前記照明部を消灯し、前記照度検出部で検出される照度が所定値以下であって、かつ、前記睡眠状態検出部により睡眠状態でないことが検出されると前記照明部を点灯する。
本発明の一態様による室内照明装置は、シートに着座した乗員の睡眠状態を検出する睡眠状態検出部と、前記シートに対応して設けられた照明部と、ナビゲーション装置からのトンネル情報が入力される入力部と、前記睡眠状態検出部の検出結果および前記トンネル情報に基づいて前記照明部の照明状態を制御する照明制御部と、を備え、前記照明制御部は、前記睡眠状態検出部により睡眠状態が検出されると前記照明部を消灯し、前記睡眠状態検出部が睡眠状態でないことを検出すると前記照明部を点灯し、かつ、トンネルの出口および入口からトンネルの中央に近づくほど前記照明部の照度を高くする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、乗員の状況に応じた照明環境を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、車室内照明装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、車室内の概略構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の車室内照明装置の一例を示すブロック図である。
図1に示す車室内照明装置1は、車室内外の情報を取得するための照度センサ11、睡眠検出部12および姿勢検出部13と、車室内を照明する照明部14(14b~14d),15(15b~15d)と、照明部14,15による照明を制御する制御部10を備えている。制御部10は、ナビゲーション装置2からナビゲーション情報を受信する通信部100を備えている。制御部10は、照度センサ11、睡眠検出部12および姿勢検出部13の検出結果と、ナビゲーション情報とに基づいて、照明部14(14b~14d),15(15b~15d)を制御する。
【0009】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)と、制御プログラムを格納したROM、データを一時的に格納するRAM 等のメモリと、その周辺機器(通信モジュールなど)を備えている。CPUは、メモリに格納されている制御プログラムに従い、制御部10として機能する。
【0010】
ナビゲーション装置2は、車両に搭載されているナビゲーション装置でも良いし、ナビゲーションアプリケーションがインストールされた携帯端末機であっても良い。その場合、制御部10の通信部100は、無線通信により携帯端末機と通信する。本実施の形態では、ナビゲーション装置2から取得されるトンネル情報が、照明制御に利用される。
【0011】
図2は、車室200内の概略構成を模式的に示す斜視図である。車室外の照度を検出する照度センサ11は、一般的には車室外に設けられるが、
図2に示すように、外光が検出できるインストルメントパネル17のフロントシールドの近傍等に配置しても良い。各シート20b,20c,20dに対応して、照明部14b~14dと、照明部15b~15dとが設けられている。なお、本実施の形態では、運転者が着座するシート20aに関しては、運転環境を優先する意味で照明部14,15を設けていない。
【0012】
照明部14b~14dおよび照明部15b~15dは、各シート20b,20c,20dに対応して設けられたドア4b,4c,4dのドアトリム、および、ドア上部のルーフ部分に設けられている。各照明部14b~14dは、各シート20b~20dに着座した乗員の手元領域をそれぞれ照明する照明部である。
図2では照明部14b~14dをドアトリムに設けているが、手元を照明できる位置であればこれに限らず、例えば、着座している乗員に対向している前席のシートバック22や、インストルメントパネル17等に設けても良い。
【0013】
一方、各照明部15b~15dは、各シート20b~20dに着座した乗員を全体的に照明することができる。
図2では照明部15b~15dをドア上部のルーフ部分に設けているが、ピラー16,19等に配置しても良い。なお、
図1では、シート20b,20dに対応するドア4b,4dおよび照明部14b,14d、15b,15dは図示されていない。
【0014】
各シート20a~20dは、乗員の臀部を支持するシートクッション21と、乗員の腰部および背部を支持するシートバック22と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト23とを有する。各シート20b~20dは、シートクッション21に4つの圧力センサS1が設けられ、シートバック22に1つの圧力センサS2が設けられている。シートバック22に設けられた圧力センサS2により睡眠検出部12が構成され、シートクッション21の4つの圧力センサS1およびシートバック22の圧力センサS2により姿勢検出部13が構成される。
【0015】
シートバック22に設けられた圧力センサS2の検出値は、着座している乗員の呼吸の周期に応じて周期的に変動する。制御部10は、圧力センサS1の検出値の変動周期が睡眠状態判断の閾値よりも長くなった場合に、睡眠状態であると判断する。また、着座している乗員が姿勢を変えると、姿勢変更前後で圧力センサS1,S2の検出値が変化する。制御部10は、圧力センサS1,S2の検出値に基づいて乗員の着座姿勢状態の判断を行う。
【0016】
例えば、シートクッション21の4つの圧力センサS1の内、前側の圧力センサS1の検出値が大きくなり、かつ、後ろ側の圧力センサS1およびシートバック22の圧力センサS2の検出値が小さくなった場合には、読書やゲーム等によって乗員の重心位置が前方に移動し、手元付近を注視していると判断する。すなわち、手元作業時の着座姿勢状態であると判断する。
【0017】
なお、本実施の形態では、睡眠検出部12および姿勢検出部13として、シートに配置された圧力センサを用いているが、この構成に限られない。例えば、シートバック22やインストルメントパネル17等にデジタルカメラを配置し、デジタルカメラで撮影された乗員の表情および姿勢から、乗員の睡眠状態および姿勢を判断しても良い。
【0018】
[照明制御]
次いで、制御部10による照明制御について説明する。以下では、
図2のシート20cに設けられた照明部14c,15cを例に説明する。
(1)第1の制御例
制御部10は、シート20cに対応した睡眠検出部12(具体的には、シート20cに設けられた圧力センサS2)、睡眠状態を検出すると照明部14c、15cを消灯する。一方、照度センサ11で検出される照度が所定値以下であって、睡眠検出部12が乗員の非睡眠状態(すなわち覚醒状態)を検出した場合には、照明部14c,15cを点灯する。ここで、所定値としては、例えば、読書に支障が出る程度の照度が考えられる。なお、
図1,2に示す例では照明部14c、15cの両方を備えていて、両方とも点灯または消灯するようにしたが、一方しか設けられていない場合には、設けられている一つの照明部を点灯または消灯する。
【0019】
(2)第2の制御例
シート20cに対して2種類の照明部14c,15cが設けられている場合であって、制御部10は、睡眠検出部12により睡眠状態が検出されると照明部14c,15cの両方を消灯する。一方、照度センサ11により検出される照度が所定値以下であって、かつ、睡眠検出部12により睡眠状態でないことが検出されると、照明部14cおよび照明部15cのいずれか一方を点灯する。
【0020】
さらに、シート20cの姿勢検出部13(圧力センサS1,S2)により検出された乗員の着座姿勢状態が手元作業時の姿勢状態である場合には、少なくとも手元照明用の照明部14cを点灯する。上述のように、照度が所定値以下と判定されて照明部15cが既に点灯している場合には照明部14cがさらに点灯され、一方、照明部14cが点灯している場合にはその点灯状態が維持される。また、照度が所定値よりも大きいと判定されていて照明部14c,15cが非点灯状態である場合には、手元作業時の姿勢状態が検出されると照明部14cが点灯される。その結果、シート20cに関する照明状態は、読書等に適した照明状態となる。
【0021】
(1)第3の制御例
第3の制御例は、通信部100を介してナビゲーション装置2からトンネル情報が制御部10に入力された場合の制御例である。例えば、
図3に示すようなトンネルTがナビゲーション情報として取得された場合、点灯している照明部14c、15cの照度をハッチング300で示すように制御する。走行している車両の位置は、自車位置AからB,C,D,Eの順に移動する。
【0022】
第3の制御例では、シート20cに着座している乗員が睡眠状態でない場合には照明部を点灯し、トンネルTの出口および入口からトンネルTの中央に近づくほど照明部の照度を大きくする。
図2に示すように、シート20cに対して2つの照明部14c,15cが設けられている場合には、照明部14c,15cの少なくとも一つを点灯する。そして、車両が自車位置Bからトンネル中央(自車位置C)に近づくに伴って照度を高くし、トンネル中央を過ぎたらトンネル出口に近づくに従って照度を低下させる。
【0023】
上述のように、トンネル中央(自車位置C)が最も照度が高く、トンネル入り口および出口に近いほど照度を低下させ、入口(自車位置B)および出口(自車位置D)が最も照度が低い。このような照明制御を行うことで、トンネルを通過する場合でもシート20cにおける明るさをほぼ一定に維持することができる。
【0024】
上述した実施の形態では、乗員の睡眠状態か否かに応じて照明部の点消灯を制御することで、各乗員の状況に応じた照明を行うことができる。例えば、睡眠状態の乗員に対しては照明部を消灯することで、照明光によって安眠を妨げることが無い。また、乗員が読書をしている場合には、その姿勢を検知して手元用の照明部(14b~14d)を点灯するようにしたので、最適な読書環境を提供できる。
【0025】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0026】
1…車室内照明装置、2…ナビゲーション装置、10…制御部、11…照度センサ、12…睡眠検出部、13…姿勢検出部、14,14b~14d,15,15b~15d…照明部、20a~20d…シート、100…通信部、S1,S2…圧力センサ