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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】電気炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A47J27/00 103P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021062462
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022157929
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】小林 真輝
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-187418(JP,A)
【文献】実開平03-107042(JP,U)
【文献】実開昭59-160012(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に操作パネル、後部に操作パネルに連接する蓋ユニットを備え、蓋ユニットの操作パネル側前端部に蓋開閉手段を作動させる蓋開閉レバーを設け、その開閉軸を蓋ユニット前端部の内鍋開口部に対応する位置よりも所定距離前方に設け、後方に向けて押圧操作するようにしてなる電気炊飯器であって、
蓋開閉レバーの開閉軸側端部が蓋ユニット前端部の一部を構成している電気炊飯器
【請求項2】
蓋開閉レバーの蓋開閉手段を作動させる操作方向先端が、開閉軸を中心とする所定回転円の接線方向に沿って延びる形状となっている請求項1記載の電気炊飯器。
【請求項3】
蓋ユニットの下面には内蓋が取り付けられるようになっており、内蓋は、後端側蓋ユニットとの係合部に第1のコイルバネを有し、該第1のコイルバネの付勢力を利用して前端側を蓋ユニット前端側の係合部に係合するようになっている請求項1又は2記載の電気炊飯器。
【請求項4】
前部に操作パネル、後部に操作パネルに連接する蓋ユニットを備え、蓋ユニットの操作パネル側前端部に蓋開閉手段を作動させる蓋開閉レバーを設け、その開閉軸を蓋ユニット前端部の内鍋開口部に対応する位置よりも所定距離前方に設け、後方に向けて押圧操作するようになっていると共に、蓋ユニットの下面には内蓋が取り付けられるようになっており、内蓋は、後端側蓋ユニットとの係合部に第1のコイルバネを有し、該第1のコイルバネの付勢力を利用して前端側を蓋ユニット前端側の係合部に係合するようになっている電気炊飯器であって、
蓋開閉手段は、炊飯器本体側係合部に係合することによって蓋ユニットを閉状態に維持する係合部を備えたストッパと、該ストッパを係合部が炊飯器本体側係合部に係合するように付勢する第2のコイルバネとを有し、蓋開閉レバーの第2のコイルバネの付勢力に抗した押圧操作により係合部の係合状態が解除されるようになっていると共に、内蓋取り外し時に内蓋を第1のコイルバネの付勢力に抗して蓋ユニット後方に操作することによって蓋ユニット前端側係合部との係合を解除する内蓋レバーと、該内蓋レバーを蓋ユニット後方に付勢する第3のコイルバネを備えてなり、第2、第3のコイルバネの付勢力を合わせた付勢力よりも第1のコイルバネの付勢力を大きくした電気炊飯器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋開閉レバーを備えた電気気炊飯器の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
電気炊飯器の炊飯器本体には蓋ユニット(蓋体)が設けられており、その開閉を行う蓋開閉レバーが設けられている。蓋開閉レバーは、炊飯器本体側に設けられているものもあるが、炊飯器本体側の前面部に操作パネル、その後部側に蓋ユニットを設けたものでは、操作パネル部を避けて蓋ユニット側に設けたものが多い。そして、蓋ユニット側に蓋開閉レバーを設けたものでは、蓋ユニット前端部の前端位置から所定位置後方に設けられるのが一般的である(たとえば、特許文献1の構成を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-187418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、炊飯器本体側に操作パネルを備えた電気炊飯器において、蓋ユニット前端部の前端位置から所定位置後方に蓋開閉レバーを設ける構成の場合、蓋ユニットを薄型化しようとした場合に蓋開閉レバーを設けることができず、実質的に薄型化を実現できない技術的課題が生じる。すなわち、炊飯器本体側に操作パネルを備えた電気炊飯器の場合、蓋ユニット前端から所定位置後方は内鍋の開口部に対応する上方に窪んだ凹部位置(たとえばポリカバーの)であり、同開口部上には内蓋のリング部材やパッキンが位置しており、上下方向の寸法に最も余裕がない位置である。したがって、薄型化を前提とした場合、同部分に上部側操作面から下部側開閉軸まで上下方向に所定の寸法が必要な回動型の蓋開閉レバーを設けることは困難である。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、蓋ユニットの操作パネル側前端部に蓋開閉手段を作動させる蓋開閉レバーを設けると共に、その開閉軸を蓋ユニット前端部の内鍋開口部に対応する位置よりも所定距離前方に設け、後方に向けて押圧操作するように構成することにより、蓋ユニットの薄型化を可能にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
【0007】
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、前部に操作パネル、後部に操作パネルに連接する蓋ユニットを備え、蓋ユニットの操作パネル側前端部に蓋開閉手段を作動させる蓋開閉レバーを設け、その開閉軸を蓋ユニット前端部の内鍋開口部に対応する位置よりも所定距離前方に設け、後方に向けて押圧操作するようにしてなる電気炊飯器であって、蓋開閉レバーの開閉軸側端部が蓋ユニット前端部の一部を構成している
【0008】
すなわち、この発明の課題解決手段では、まず前部に操作パネル、後部に操作パネルに連接する蓋ユニットを備えた電気炊飯器において、蓋ユニットの操作パネル側前端部に蓋開閉手段を作動させる蓋開閉レバーを設け、その開閉軸を蓋ユニット前端部の内鍋開口部に対応する位置よりも所定距離前方に設け、後方に向けて押圧操作するようにしている。
【0009】
蓋ユニット側に蓋開閉レバーを設けた電気炊飯器は一般的である。しかし、それらは殆ど蓋ユニット本体の厚さ寸法が大きい。したがって、操作面から開閉軸まで上下方向に所定の寸法が必要な回動操作型の蓋開閉レバーでも、比較的自由に設置位置を設定することができる。しかし、所定寸法以上に蓋ユニット本体の厚さ寸法を小さくし、薄型化しようとすると、種々の制約があり、特に内鍋及び内鍋の開口部に対応した位置では内蓋が取り付けられる関係もあり、より制約が大きい。また、薄型化の寸法変化を操作パネル側で大きくしようとすると、より難しくなる。
【0010】
そこで、この発明の課題解決手段では、まず蓋開閉レバーの開閉軸を蓋ユニット前端部の内鍋開口部に対応する位置よりも所定距離前方に寄せて設け、後方に向けて押圧操作するようにしている。このような構成によると、蓋開閉レバーの開閉軸を内鍋に対応しない上下方向に余裕のある部分に設置することができ、可及的な蓋ユニットの薄型化を可能とすることができる。そして、このようにして蓋ユニットを薄型化できると、炊飯器全体の高さも低くすることができ、斬新な炊飯器デザインを可能とすることができる。
【0011】
そして、この発明の課題解決手段では、次に同構成を前提として、さらに蓋開閉レバーの開閉軸側端部が蓋ユニット前端部の一部を構成するようにしている。
【0012】
このような構成の場合、蓋ユニット側の蓋開閉レバーを炊飯器本体側の操作パネルに近接して設置することができるので、操作性が良くなる。また、蓋開閉レバーの開閉軸と押圧操作部との距離をより大きくすることができ、レバー比が大きくなるので、操作力が小さくて済むようになる。また、蓋開閉レバーの設置が容易になる。さらに、蓋開閉レバー成形の寸法制約が緩やかになり、蓋開閉レバーと蓋ユニットとを同一平面でつなぐことができるので、お手入れ性が向上する。
【0013】
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段では、請求項1の発明の課題解決手段の電気炊飯器において、蓋開閉レバーの蓋開閉手段を作動させる操作部先端が、開閉軸を中心とする所定回転円の接線方向に沿って延びる形状となっている。
【0014】
このような構成によると、蓋ユニット側端部と蓋開閉レバー側端部との隙間を可能な限り小さくすることができ、水や異物が蓋ユニット内に侵入することを防止することができる。
【0015】
(3)請求項3の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、請求項1又は2の発明の課題解決手段の電気炊飯器において、蓋ユニットの下面には内蓋が取り付けられるようになっており、内蓋は、後端側蓋ユニットとの係合部に第1のコイルバネを有し、該第1のコイルバネの付勢力を利用して前端側を蓋ユニット前端側の係合部に係合するようになっている。
【0016】
このような構成によると、従来の内蓋レバーに係合させて取り付けるものに比べて、構成部品の数を少なくすることができ、構成が簡単になる。また、内蓋を取り付けずに蓋を閉めようとしても蓋が閉まらない構造を容易に実現することができる。
【0017】
(4)請求項4の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、前部に操作パネル、後部に操作パネルに連接する蓋ユニットを備え、蓋ユニットの操作パネル側前端部に蓋開閉手段を作動させる蓋開閉レバーを設け、その開閉軸を蓋ユニット前端部の内鍋開口部に対応する位置よりも所定距離前方に設け、後方に向けて押圧操作するようになっていると共に、蓋ユニットの下面には内蓋が取り付けられるようになっており、内蓋は、後端側蓋ユニットとの係合部に第1のコイルバネを有し、該第1のコイルバネの付勢力を利用して前端側を蓋ユニット前端側の係合部に係合するようになっている電気炊飯器であって、蓋開閉手段は、炊飯器本体側係合部に係合することによって蓋ユニットを閉状態に維持する係合部を備えたストッパと、該ストッパを係合部が炊飯器本体側係合部に係合するように付勢する第2のコイルバネとを有し、蓋開閉レバーの第2のコイルバネの付勢力に抗した押圧操作により係合部の係合状態が解除されるようになっていると共に、内蓋取り外し時に内蓋を第1のコイルバネの付勢力に抗して蓋ユニット後方に操作することによって蓋ユニット前端側係合部との係合を解除する内蓋レバーと、該内蓋レバーを蓋ユニット後方に付勢する第3のコイルバネを備えてなり、第2、第3のコイルバネの付勢力を合わせた付勢力よりも第1のコイルバネの付勢力を大きく構成している。
【0018】
この発明の課題解決手段では、まず前部に操作パネル、後部に操作パネルに連接する蓋ユニットを備えた電気炊飯器において、蓋ユニットの操作パネル側前端部に蓋開閉手段を作動させる蓋開閉レバーを設け、その開閉軸を蓋ユニット前端部の内鍋開口部に対応する位置よりも所定距離前方に設け、後方に向けて押圧操作するようにしている。
【0019】
蓋ユニット側に蓋開閉レバーを設けた電気炊飯器は一般的である。しかし、それらは殆ど蓋ユニット本体の厚さ寸法が大きい。したがって、操作面から開閉軸まで上下方向に所定の寸法が必要な回動操作型の蓋開閉レバーでも、比較的自由に設置位置を設定することができる。しかし、所定寸法以上に蓋ユニット本体の厚さ寸法を小さくし、薄型化しようとすると、種々の制約があり、特に内鍋及び内鍋の開口部に対応した位置では内蓋が取り付けられる関係もあり、より制約が大きい。また、薄型化の寸法変化を操作パネル側で大きくしようとすると、より難しくなる。
【0020】
そこで、この発明の課題解決手段では、まず蓋開閉レバーの開閉軸を蓋ユニット前端部の内鍋開口部に対応する位置よりも所定距離前方に寄せて設け、後方に向けて押圧操作するようにしている。このような構成によると、蓋開閉レバーの開閉軸を内鍋に対応しない上下方向に余裕のある部分に設置することができ、可及的な蓋ユニットの薄型化を可能とすることができる。そして、このようにして蓋ユニットを薄型化できると、炊飯器全体の高さも低くすることができ、斬新な炊飯器デザインを可能とすることができる。
【0021】
また、蓋ユニットの下面には内蓋が取り付けられるようになっており、内蓋は、後端側蓋ユニットとの係合部に第1のコイルバネを有し、該第1のコイルバネの付勢力を利用して前端側を蓋ユニット前端側の係合部に係合するようになっている。
【0022】
このような構成によると、従来の内蓋レバーに係合させて取り付けるものに比べて、構成部品の数を少なくすることができ、構成が簡単になる。また、内蓋を取り付けずに蓋を閉めようとしても蓋が閉まらない構造を容易に実現することができる。
【0023】
同構成の場合、内蓋は内蓋後端の第1のコイルバネにより常時前方側への付勢力が与えられており、それによって内蓋レバーに関係なく蓋ユニット前端側の係合部に係合されている。しかし、一方内蓋レバーを介して第3のコイルバネの付勢力により逆に後方への付勢力も受けている。したがって、第3のコイルバネの付勢力より第1のコイルバネの付勢力が小さいと、内蓋着脱時などに脱落するおそれがあり、操作性が悪い。
【0024】
そこで、この発明の課題解決手段では、トータルとして第2、第3のコイルバネの付勢力を合わせた実質的な後方への付勢力よりも第1のコイルバネの前方への付勢力を十分に大きくしている。このようにすると、内蓋着脱時などの脱落を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の結果、本発明によると、炊飯器本体側に操作パネルを備えた電気炊飯器において、蓋ユニットの薄型化を実現しながら、簡単な構成で蓋ユニットの前端部に操作性に優れた蓋開閉レバーを設けることができる。
【0026】
その結果、蓋ユニット外周面と炊飯器本体側操作パネル外周面との2つの面の同一面状態に近い連接も可能となり、電気炊飯器のデザイン性が向上し、お手入れ性も良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施の形態に係る電気炊飯器の蓋ユニット閉状態における炊飯器筐体の構成を示す平面図である。
図2】同電気炊飯器の蓋ユニット閉状態における炊飯器筐体の斜視図である。
図3】同電気炊飯器の蓋ユニット閉状態における炊飯器筐体の断面図(図1のA-A線切断部断面図)である。
図4】同電気炊飯器の蓋ユニット要部の構成を示す図3の部分拡大図である。
図5】同電気炊飯器の蓋ユニット要部の構成を示す図4の部分拡大図である。
図6】同電気炊飯器の蓋ユニットにおける蓋開閉レバー設置部の構成を示す斜視図である。
図7】同電気炊飯器の蓋ユニットにおける蓋開閉レバー先端の構成を示す説明図である。
図8】同電気炊飯器の蓋ユニット開閉状態を示す断面図である。
図9】同電気炊飯器の蓋ユニット単体の構成を示す平面図である。
図10】同電気炊飯器の蓋ユニット単体の構成を示す断面図(図9のB-B線切断部断面図)である。
図11】同電気炊飯器の内蓋の構成を示す平面図である。
図12】同電気炊飯器の内蓋の構成を示す断面図(図11のC-C線切断部断面図)である。
図13】同電気炊飯器の内蓋の構成を示す斜視図である。
図14】同電気炊飯器の内蓋非装着状態における蓋ユニット単体の構成を示す断面図(図9のB-B線切断部断面図に対応)である。
図15】同電気炊飯器の内蓋非装着状態におけるストッパ部及び内蓋レバー部の作動状態を示す要部の拡大平面図である。
図16】同電気炊飯器の内蓋装着状態における蓋開閉レバー操作時の蓋ユニット単体の構成を示す断面図(図9のB-B線切断部断面図に対応)である。
図17】同電気炊飯器の蓋ユニットの蓋開閉レバーを残して蓋カバー及び蓋本体を取り外した状態におけるポリカバー上面側の構成を示す斜視図である。
図18】同電気炊飯器の蓋ユニットの蓋開閉レバー、蓋カバー、蓋本体をそれぞれ取り外した状態におけるポリカバー上面側の構成を示す斜視図である。
図19】同電気炊飯器の蓋ユニットの蓋開閉レバー、ストッパ、内蓋レバー、蓋カバー、蓋本体を全て取り外した状態におけるポリカバー上面の構成を示す平面図である。
図20】同電気炊飯器の蓋ユニットにおける蓋開閉レバー部分の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態に係る電気炊飯器の構成について、添付の図1図18を参照しながら詳細に説明して行く。
【0029】
先ず図1図3は、同実施の形態に係る電気炊飯器の炊飯器本体1及び蓋ユニット2よりなる筐体部全体の構成を示している。
【0030】
<炊飯器本体1の基本的な構成>
この電気炊飯器の炊飯器本体1は、たとえば図1図3に示されるように、ステンレス鋼板等の磁性金属板よりなる内鍋3を任意に収納セットし得る有底筒状の内ケース4と、内ケース4を保持する外部筺体である有底筒状の外ケース5と、外ケース5と内ケース4を上部側で一体化する肩部材6と、外ケース5と内ケース4を下部側で一体化する底部材7と、内ケース4の底壁部4aの下方側に設けられたワークコイル設置用のコイル台8と、コイル台8の上部側に内鍋3の底壁部3aに対応する形で設けられたワークコイル9a、9bと、内ケース4の側壁部4b外周に内鍋3の側壁部3bに対応する形で設けられた保温ヒータ10と、内ケース4の前部壁と外ケース5の前部壁との間に設けられた電源基板12及び電源基板カバー13と、肩部材6の前部側操作パネル設置部51上に設置された操作パネル40と、操作パネル設置部51の下部側に設けられたマイコン基板50とからなっている。
【0031】
電源基板12には、ワークコイル9a、9bを通電制御するIGBTやIGBT駆動回路、保温ヒータ10を駆動する保温ヒータ駆動回路、蓋ユニット2側の蓋ヒータ26aを駆動する蓋ヒータ駆動回路、電源電圧整流用のダイオードブリッジ、平滑回路などが設けられている。IGBTが駆動され、ワークコイル9a、9bに通電されると、内鍋3の略全体にうず電流が誘起され、その全体を略均一に加熱する。また、マイコン基板50上には、マイコン制御ユニットや各種メモリ、バックアップ電源などに加えて、後述する各種の操作スイッチ41~48、LED等の照明手段、液晶ディスプレイ49が設けられている。
【0032】
炊飯器本体1の肩部材6は耐熱性の合成樹脂により全体として断面U状に成形され、蓋ニット2の断面U状の外周部を嵌合する蓋ユニット嵌合部61を形成している。蓋ユニット嵌合部61の前側の縦壁部61aは略鉛直方向に起立し、その上端に操作パネル40の後端40b側鉛直方向に延びて成形された係合部40cを係合する係合段部61cを形成している。これにより操作パネル40後端の係合部40cの縦壁面と肩部材6の蓋ユニット嵌合部61前側の縦壁部61aの縦壁面とが相互に面一に連続する鉛直面を形成している。そして、この蓋ユニット嵌合部61部分に後述するように前端部が同様の鉛直面に構成された蓋ユニット2(図4及び図5参照)が嵌合される。
【0033】
したがって、図3および図4に示されるように、蓋ユニット2を閉じた状態では、相互に連続する操作パネル40後端の係合部40cの縦壁面及び肩部材6の蓋ユニット嵌合部61前側の縦壁部61aの縦壁面と蓋ユニット2の前端部縦壁面との間の隙間は極めて小さなものとなる。しかも、この実施の形態の電気炊飯器筐体では、図2図4から明らかなように、蓋ユニット2自体の上下方向の厚さ寸法を十分に小さくし、かつ蓋開閉レバー28を含めて同蓋ユニット2の後端部側から炊飯器本体1の前部側操作パネル40の前端40aに至る形状を相互に滑らかな同一の連続面を形成する曲面状態で大きく下降傾斜させている。そのため、正面方向から見た時には、より操作パネル40後端40bと蓋ユニット2の蓋本体22前端22aとの隙間が小さく見えるようになる。
【0034】
なお、炊飯器本体1の蓋ユニット嵌合部61前側の縦壁部61a上端の後面には、その左右方向中央部に位置して所定寸法後方に突出する蓋ユニット係合部61bが設けられている。この蓋ユニット係合部61bは、下面側が水平な係合面、上面側が前方から後方に下降傾斜するガイド面に形成されていて、後述する蓋ユニット2側の逆形状の蓋開閉爪29aを着脱可能に係合する。下面側の水平な係合面は鉛直面より少し前方に窪んで形成されている。蓋ユニット2を閉じるときには、上面側の下降傾斜するガイド面によって蓋ユニット2側の蓋開閉爪29aの同様の形状のガイド面をガイドしてスムーズに係合させる。
【0035】
<操作パネル40部分の構成>
この実施の形態の場合、操作パネル40は炊飯器本体1の前部正面にあって、たとえば図1図3に示すように、後述する蓋ユニット2の後端部から同一面状態で滑らかに下降する連続面を形成している。そして、その操作面には、たとえば炊飯スイッチ41、取消スイッチ42、予約スイッチ43、保温スイッチ44、時スイッチ45、分スイッチ46、メニュースイッチ47,48などの操作スイッチと現在時刻、タイマー予約時刻、炊飯メニュー等表示用の表示手段49が設けられている。操作パネル40の裏面側には、それら操作スイッチ41~48、表示手段49に対応したマイコン基板50が設けられている。
【0036】
<蓋ユニット2の構成>
次に、図1図5図7図8は炊飯器本体1に取り付けた状態での蓋ユニット2の構成、図9及び図10は、炊飯器本体1から取り外した状態の蓋ユニット2単体の構成を示している。蓋ユニット2は、最上部面側にあって蓋ユニット2の外周面を構成する蓋カバー21と、蓋カバー21の下面側にあって蓋ユニット2の外形的な構造部を形成する蓋本体22と、蓋本体22の下面側にあって蓋ユニット2の基本的な構造体を構成するポリカバー23と、ポリカバー23の下面に着脱可能に取り付けられる内蓋24とからなっている。
【0037】
蓋カバー21および蓋本体22は、相互に前端側21a、22a、後端側21b、22b部分で係合一体化され、前端側左右方向中央部に位置して所定左右幅、所定前後幅の方形の蓋開閉レバー28の嵌装口(3面構造の配置口)を形成している。そして、この蓋開閉レバー28の嵌装口に蓋開閉レバー28が配置されている。蓋開閉レバー28は、蓋カバー21と同一の連続面を形成する蓋開閉レバー本体の前端(反操作端)28b側の左右両側に下方に延びる所定の長さの支持レバー28c,28cを有し、その下端部外側に支軸(回動操作型の開閉軸)28d,28dを備えて構成されている(図17参照)。そして、同支軸28d,28dを介して後述するポリカバー23の所定のリブ部分に支持されている。
【0038】
蓋開閉レバー28の前端(反操作端)28bは、図5及び図7に示すように、後述するポリカバー23前端の縦壁部23aの上端に対応している一方、後端(操作端)28aは、上記支軸28d,28dを中心とする回転円Sの接戦L方向に沿う下方向に所定の長さ曲成され(図7参照)、その先端を後述するストッパ29の蓋開閉ガイド29dのガイド面上端に対応させている。蓋開閉ガイド29dは断面台形ものよりなり、前側のガイド面は上端側から下方に所定の角度で下降傾斜している。そして、この状態では、同ガイド面上端に対応している先端側上部を蓋本体22先端の下面側係合部に係合し、蓋カバー21の外周面に隙間なく沿う安定した支持状態を維持するようになっている。したがって、蓋本体22側端部との隙間も小さく、水や異物も侵入しにくい。
【0039】
他方、蓋開閉レバー本体の後端(操作端)側上面には押圧操作部(押圧用凸部)28eが設けられており、上記の状態で押圧操作部28eを押すと、蓋開閉レバー本体の後端(操作端)28aが上記蓋開閉ガイド29dのガイド面を押し、後方に作動させる(後述)。
【0040】
ポリカバー23は、その前端側下方から上方に延びる縦壁部23aの左右方向中央部に所定の大きさの蓋開閉爪出入口(スリット)23c、同蓋開閉爪出入口23cに臨む前部位置に後述するストッパ29及び内蓋レバー30の設置部23d、後端側上方から下方に延びる縦壁部23b内面の左右両側に内蓋取付爪24f,24fの係合溝23e,23e、最後端部に炊飯器本体1後端への連結用のヒンジ軸11を設けている。蓋開閉爪出入口23cに臨むストッパ29及び内蓋レバー30の設置部23dは、たとえば図5図6に示すように、所定の広さのフラット面上に所定の高さのリブ壁a1~a2、a1~a2を設け、それらの内側に位置して設けられている(リブ壁a1~a2、a1~a2の作用については後述する)。
【0041】
蓋本体22とポリカバー23との間には、蒸気導入口25a及び蒸気排出孔25bを備えた蒸気ユニット25が設けられ、ポリカバー23側蒸気導入口25a内には蒸気センサ27が挿入されている。ポリカバー23下部の蒸気ユニット25外周には、上面側に蓋ヒータ26aが貼り付けられた放熱板26が設けられている。放熱板26の上方には所定の放熱空間26bが設けられている。これら蒸気ユニット25及び放熱空間26bが設けられたポリカバーユニット23は所定の厚さ寸法を有し、その外周部には内蓋24の外周部を嵌合する嵌合部(段差部)が設けられている。
【0042】
内蓋24は、図11図13に示すように、ポリカバー23側の放熱板26により加熱される大径の放熱板24aを備え、その外周に合成樹脂製のリング部材(樹脂リング)24bを介してゴム製パッキン24cを固定している。リング部材24bは、前端側にポリカバー23の前端側縦壁部23a内側左右に一対設けられた内蓋係合部(リブ)23f,23fに係合する左右方向にフラットな所定の幅の係合片24d、後端側にポリカバー23の後端側縦壁部23b内側左右に一対設けられた内蓋24の爪係合溝23e,23eに係合する係合爪24f、24fを備えた左右方向にフラットな所定の幅の爪支持片24eが一体に成形されている。係合爪24f、24fは、図12のように扁平な爪ケース24g、24g内に第1のコイルバネ(第1の付勢手段)24h、24hを介して設けられており、常時所定の寸法だけ突出するように構成されている。
【0043】
ポリカバー23の後端側縦壁部23b内側左右に一対設けられた内蓋24の爪係合溝23e,23eに係合するに際しては、押し込まれた状態においても所定の長さの突出長さを維持し得るようにケース内への収縮寸法規制用のストッパ24jが設けられている。これにより、後述するように、第1のコイルバネ(第1の付勢手段)24h、24hを収縮させた状態においても、係合爪24f、24fを爪係合溝23e,23e内に適切に挿入できるようになっている。また、前部側所定の幅の係合片24dの左右両側には着脱操作用の所定の起立長さの摘み24i、24iが一体に設けられている。パッキン24cは、図4図5のように内鍋3の開口部3cからフランジ部3d部分にかけて当接される。
【0044】
<ストッパ29の構成>
ストッパ29は、上述した蓋開閉レバー28の押圧操作に対応して前後方向にスライド動作し、その先端に設けられている蓋開閉爪29aの炊飯器本体1側蓋開閉爪係合部61bとの係合状態を維持、又は解除するものである。ストッパ29は、前端側下部に炊飯器本体1側の係合部61bに係合する蓋開閉爪29a、後端側上部に前後方向にスライドするスライド部を設けて構成されている。蓋開閉爪29aは前後、左右方向に所定の幅の水平な板部材の先端に設けられており、ポリカバー23の蓋開閉爪出入口23cを出入するようになっている。スライド部は、蓋開閉爪29aを備えた水平な板部材の後端から所定寸法上方に起立したのち後方に向けて曲成され、その後水平に伸びている。水平な板部材の後端から上方に起立し、後方に延びる部分は全体として左右2組の細幅の板部材29b、29bに形成され、所定寸法後方位置に先ず第1のストッパ片29c、次に蓋開閉ガイド29d、第2のストッパ片29g、さらに左右一対の縦壁構造のスライド壁29e、29eが一体に成形されている。左右一対の縦壁構造のスライド壁29e、29eの間には、ストッパ29を常時前方(蓋開閉爪29aが常時蓋開閉爪出入口23cから突出する方向)に付勢する第2のコイルバネ(第2の付勢手段)29fが設けられている。この第2のコイルバネ29fは、後述する内蓋レバー30のレバー本体後端の左右方向の縦壁30e中央と蓋開閉ガイド29d中央との間に改装されている。このストッパ部29は第2のコイルバネ29fと共に蓋開閉手段を構成している。
【0045】
<内蓋レバー30の構成>
内蓋レバー30は、レバー本体の先端側操作部30aを後方に押すことによってレバー本体を後方にスライドさせ、レバー本体の縦壁部30bで内蓋24の前端側係合片24d部分を後方に押すことによって、同係合片24dの左右両側のポリカバー23の対応する左右両側にある内蓋係合部23f,23fとの係合を解除するものである。内蓋レバー30のレバー本体は、傾斜構造の先端側操作部30a、同先端側操作部30aから上方に起立する縦壁部30b、縦壁部30bの上部から水平方向後方に曲成され水平な板面構造となって後方に延びる所定の長さの平板部30d(図5参照)、同平板部30d後端の左右に延びる縦壁部30eからなり、また縦壁部30eの前面側左右には上記ストッパ29の後端側左右スライド壁29e,29eの外周側に対応する左右スライド壁30h、30h、縦壁部30e両側にあって第3のコイルバネ(第3の付勢手段)30f、30fの後端側を支持する支持壁30g,30gが一体に設けられている。支持壁30g,30gの前面側は、ポリカバー23上面の平板部30dに沿う形で所定の高さ起立して形成されたリブ壁a2、a2側の固定壁23i,23iに対して所定の間隔をおいて対向しており、それらの間にそれぞれ第3のコイルバネ30f、30fが介装されている。
【0046】
これにより、内蓋レバー本体は常時第3のコイルバネ30f、30fの伸長方向の付勢力により、蓋ユニット2の後方(内蓋24が外れる方向)に付勢されている。平板部30dは、図4および図5から明らかなように、前端側から所定寸法後方寄り位置では後端側までの全体に亘って所定寸法厚さが薄く形成されて、段差部30cを形成している。そして、この段差部30cより後部側の低面上に上述したストッパ29の左右2組の細幅の板部材29b、29b間の前端側第1のストッパ片29c、蓋開閉ガイド29d、後端側第2のストッパ片29g部分が相対的にスライド可能に重合して設置されている。
【0047】
<内蓋24取り付け時における内蓋レバー30の作用>
次に、蓋ユニット2の下面に内蓋24を取り付ける場合の内蓋レバー30の作用について説明する。
【0048】
ポリカバー23後端の縦壁部23b内面には、すでに述べたように、内蓋24後端の係合爪24f、24fを係合する爪係合溝23e、23eが設けられている。また、ポリカバー23前端の縦壁部23a内面には、内蓋24前端の係合片24dを係合する係合リブ23f、23fが設けられている。そこで、内蓋24は、まず後端側の係合爪24f、24fをポリカバー23後端の爪係合溝23e、23eに係合する。そして、次に前端側の係合片24dの両端をポリカバー23前端の係合リブ23f、23fに係合する。この場合、ポリカバー23側の係合リブ23f、23fの下部側係合面は円弧面となっており、同円弧面を下方から上方に乗り超える形で係合される。したがって、同円弧面を乗り超える時に後端側の係合爪24f、24fを突出方向に支持する第1のコイルバネ24h、24hを所定寸法収縮させ、その後、係合リブ23f、23fの上面に係合し、所定寸法前進する。
【0049】
この時、内蓋24前端の係合片24dが内蓋レバー30の縦壁部30bを所定寸法前方に押し、内蓋レバー30が所定寸法前方にスライドする。すると、それに対応して第2のコイルバネ29fの押圧力が高くなり、ストッパ29も内蓋レバー30に追随して所定寸法前方にスライドする。その結果、ストッパ29先端の蓋開閉爪29aがポリカバー23前端側縦壁部23aの蓋開閉爪出入口23cから所定寸法前方に突出する。その結果、上述の作用で蓋ユニット2を閉めることが可能となる。それと同時に、蓋開閉ガイド29dも所定寸法前進し、蓋開閉レバー28の前端(先端)28aが蓋開閉ガイド29dの傾斜面上端(押圧操作開始位置)に乗り上げた状態となり、蓋開閉レバー28の上面は蓋カバー21の上面と同一面状態に保持される。
【0050】
すなわち、この実施の形態の構成の場合、内蓋レバー30は、内蓋24との関係において、蓋ユニット2の開閉機能(ストッパ29のコントロール)には関与するが、その取付支持には関与しない。したがって、同構成の場合、内蓋レバー30が無くても内蓋24を取り付けることができる。そして、内蓋24が取り付けられていない状態では、図14及び図15に示すように、第1のコイルバネ24h、24hの付勢力が作用しない。したがって、ストッパ29及び内蓋レバー30は第2のコイルバネ29f及び第3のコイルバネ30f、30fによりケース後端23j側までスライドした状態となる。この結果、蓋開閉ガイド29dが後退したままとなり、蓋開閉レバー28は、その前端(先端)28aが蓋本体22の前端部22aの下方に向けて傾斜したままの状態となる。したがって、ストッパ29を作動させることができず、蓋開閉爪29aをポリカバー23の前端側縦壁部23aの蓋開閉爪出入口23cから突出させることができない。したがって、蓋ユニット2を閉めることができない。その結果、内蓋24を取り付けていないことを容易に認識することができ、内蓋24を付け忘れた炊飯を確実に防止することができる。
【0051】
他方、内蓋24が適切に取り付けられているときは、蓋ユニット2の閉状態において、蓋開閉レバー28の押圧部28eを押圧操作すれば、それに応じてストッパ29の蓋開閉ガイド29dが所要寸法スムーズに後退し、内蓋レバー30とは関係なく、ストッパ29のみを同所要寸法後退させる。その結果、ストッパ29前端の蓋開閉爪29aが蓋開閉爪出入口23c内に後退するので確実に蓋ユニット2を開くことができる。
【0052】
<内蓋24側第1のコイルバネ24h、24hの付勢力とストッパ29側第2のコイルバネ29f及び内蓋レバー30側第3のコイルバネ30f、30fの付勢力との関係>
ポリカバー23の下面に取り付けられた内蓋24は、内蓋24後端の第1のコイルバネ24h、24hの付勢力により、常に前端方向に押圧されており、ポリカバー23前端の係合リブ23f、23fとの安定した係合状態を維持する。しかし、同状態では、内蓋レバー30を後退方向に付勢している第2のコイルバネ29f、第3のコイルバネ30f、30fによって後方へも付勢力を受けている。したがって、内蓋24側第1のコイルバネ24h、24hの付勢力と第2のコイルバネ29f及び第3のコイルバネ30f、30f合計の付勢力との差が小さくなると、ポリカバー23前端の係合リブ23f、23fとの安定した係合状態が維持できなくなり、内蓋レバー30を操作する内蓋24の着脱時に脱落の可能性が生じる。
【0053】
そこで、この実施の形態では、上述した内蓋24側第1のコイルバネ24h、24h合計の付勢力をストッパ29側第2のコイルバネ29f及び内蓋レバー30側第3のコイルバネ30f、30f合計の付勢力よりも所定レベル以上に大きく(強く)設定している。このような構成にすると、ポリカバー23前端の係合リブ23f、23fとの安定した係合状態を実現することができ、内蓋レバー30を操作する内蓋24の着脱時にも脱落の可能性がなくなる。
【0054】
<蓋開閉レバー28の設置位置と蓋開閉レバー28の支軸28d位置>
この実施の形態の場合、蓋開閉レバー28を蓋ユニット2の前端側左右方向中央部に位置して設け、蓋開閉レバー28の前端側端面が蓋ユニット2自体の前端側端面と左右方向に同一の連続した端面を形成するように構成している。そして、その支軸28d、28dを内鍋3の開口部3c部分よりも前方の蓋ユニット2の前端側所定寸法下部に設ける一方、その押圧操作部28eを支軸28d、28dよりも十分な距離離れた後端部に位置させている。符号28c、28cは蓋開閉レバー28の支持レバーであり、所定の幅で上下略鉛直方向に延びている(図17参照)。
【0055】
このような構成による場合、たとえば図11から明らかなように、蓋開閉レバー28の支軸28d、28d位置を内鍋3の開口3cに対応した位置から十分に離れた蓋ユニット2の前端側位置に設けることができ、十分に下方のポリカバー23の前端位置に設定することができる。したがって、図示の如く蓋ユニット2の厚さを相当に薄く形成し、操作パネル40方向に大きく傾斜させて構成した場合にも、支軸28d、28d部分を十分に蓋体下方に寄せて設けることが出る。また、それに合わせて蓋開閉レバー28そのものの前後方向の寸法を大きくし、その押圧操作部28eを後方に寄せて形成することができる。
【0056】
その結果、設置が容易になることはもちろん、蓋開閉レバー28のレバー比を大きく取ることができ、蓋開閉ガイド29dガイド面の傾斜角が十分に大きくない場合にも、操作の容易なものとすることができる。また、操作パネル40側に大きく傾斜した傾斜面において後方側下方に操作することができ、その点でも操作性が向上する。また、この実施の形態の場合、蓋開閉レバー28の後端(先端)28aは、蓋ユニット2の蓋本体22の前端22aの下部に入り込んだ形でストッパ29の蓋開閉ガイド29dのガイド面に対応しているので、常に蓋ユニット外周面に沿っており、蓋開閉レバー28が後方側上方に突出する構成のものに比べて見栄えも良くなる。
【0057】
ところで、以上のように、蓋開閉レバー28を所定のレバー比で回動操作するようにした場合、上下方向に昇降操作する蓋開閉ボタンなどの場合に比べて、蓋開閉レバー28と蓋ユニット2との間の隙間が大きくなり、デザイン性に欠ける問題がある。また、隙間が大きいと、水や埃なども侵入しやすくなる。そこで、この実施の形態では、たとえば図7に示すように、蓋開閉レバー28の先端(後端)28aと蓋ユニット2の蓋本体22前端22との隙間を上記支軸28dを中心とする回転円Sの接戦Lに沿う方向のものに形成している。このように構成すると、蓋開閉レバー28と蓋ユニット2との間の隙間を可能な限り小さくすることができ、デザイン性に優れたものとなる。また、水や埃などの侵入も回避することができる。
【0058】
このように、この実施の形態では、可能な限り蓋開閉レバー28と蓋ユニット2との間の隙間を小さくし、水や埃などの侵入を回避するようにしている。しかし、それでも少なくとも隙間がある以上、完全に水の侵入を回避することは難しい。そして、蓋ユニット2内のポリカバー23部分に水が侵入すると、すでに述べたように蓋ヒータ26aを貼り付けている放熱板26部分にまで侵入する可能性がある。たとえば図19及び図20に示すように、ポリカバー23には、その中央に上述した蒸気ユニット25があり、その外周部(下面側)には上面側に蓋ヒータ26aを貼り付けた放熱板26が設けられており、電源配線があるので、水の侵入は好ましくない。
【0059】
そこで、この実施の形態では、たとえば図19及び図20に示すように、ポリカバー23上面の前端側蓋開閉レバー28設置部に、蓋開閉レバー28と蓋ユニット2との間の隙間位置外周をエンドレスに囲み得る所定の高さのリブ壁a1~a2~a1~a2を設けて蓋ユニット2の内側に連通する通路を完全になくし、蓋開閉レバー28と蓋ユニット2との間の隙間から侵入した水(矢印参照)を、その底面の切り欠き孔55を介して蓋ユニット2外部へ排出するようにしている。これにより蓋ヒータ26aを貼り付けている放熱板26部分に水が侵入することを回避できるようにした。これにより、仮に蓋開閉レバー28と蓋ユニット2との間の隙間から蓋開閉レバー設置部に水が入っても、蓋ヒータ26aを貼り付けた放熱板26側には侵入しないようになる。しかも、この実施の形態では、これらのリブ壁をケース構造体として利用して、ストッパ29及び内蓋レバー30を設置しており、内蓋レバー30用第3のコイルバネ30f、30fの支持壁23i、23iとしても活用している。
【0060】
蓋ユニット2の開閉操作を行う蓋開閉レバー28は、蓋ユニット2前端部の左右方向中央部に位置して、図9のように、蓋ユニット2前端部の左右方向のラインと蓋開閉レバー28の軸支部側端部の左右方向のラインが全体として同一線状に連続するように設けられている。そして、蓋開閉レバー28の反軸支部側押圧操作部28e部分を蓋ユニット2の後方に向けて押すと、蓋ユニット2と炊飯器本体1側ロック部のロック状態が解除されて蓋ユニット2が開かれる。蓋開閉レバー28の上面は、また蓋ユニット2の蓋カバー21上面と同一面状態に滑らかに連続している。このように構成された蓋ユニット2は、さらに閉状態において、次に述べる炊飯器本体1側の操作パネル20面と同一連続面を形成する。
【0061】
<蓋開閉レバー28を操作した時の動作について>
いま、たとえば上述の図4図5に示すように、蓋ユニット2に内蓋24が適正に取り付けられ、かつ同蓋ユニット2が炊飯器本体1に対して確実に閉じられた状態にあるとする。図10は、同状態における蓋ユニット2単体の構成を示している。この状態では、上述したように、内蓋24は蓋ユニット2のポリカバー23の後端側爪係合溝23e、23eと前端側の係合リブ23f、23fに係合し、ストッパ29側第2のコイルバネ29f及び内蓋レバー30側第3のコイルバネ30f、30f合計の付勢力よりも十分に大きい第1のコイルバネ24h、24hの押圧付勢力により確実に蓋ユニット2に取り付けられている。また、それによりストッパ29も有効に前進しているため、蓋開閉爪29aは炊飯器本体1側の蓋ユニット係合部61bに有効に係合している。したがって、蓋ユニット2は開かない。
【0062】
一方、この状態から上記蓋開閉レバー28が押されると、同蓋開閉レバー28の後端(先端)28aが上記ストッパ29の蓋開閉ガイド29dの前面側傾斜面を上端側から下端側まで押し、ストッパ29は同蓋開閉ガイド29dを介して所定距離後方にスライドし、第2のストッパ片29gが内蓋レバー30の後端側縦壁部30eに当接する。この蓋開閉レバー28を押し切った状態を図16に示す。この状態では、図示のように蓋開閉爪29aが完全に炊飯器本体1側の蓋ユニット係合部61bから離れ、ポリカバー23の先端部内に移動する。そのため、蓋ユニット2が図8のように開放される。この開閉レバー28の押圧操作中は、第2のコイルバネ29f、第2のコイルバネ30fが収縮した状態となり、これら両コイルバネからの力が内蓋レバー30を後退させる力として作用する。
【0063】
そして、一旦開放した後に蓋開閉レバー28の押圧操作を止めると、その後は第2のコイルバネ29fの付勢力で再びストッパ29は元の前進位置にスライドし、図10のように蓋開閉爪29aを突出させる。この時、蓋開閉レバー28も蓋開閉ガイド29dの前進により押圧前の状態に戻される。したがって、再び蓋ユニット2を閉じることが可能となる。
【0064】
一方、たとえば上記蓋ユニット2を開放した状態において、内蓋レバー30の先端側操作部30を後方に押すと、第1のストッパ片29cを介して内蓋レバー30と共にストッパ29も後退し、内蓋24後端の第1のコイルバネ24h、24hが収縮し、内蓋24が後退するので内蓋24先端の係合片24dと係合リブ23f、23fとの係合を解除し、内蓋24を取り外すことができる。
【符号の説明】
【0065】
1は炊飯器本体、2は蓋ユニット、21は蓋カバー、22は蓋本体、23はポリカバー、23cは蓋開閉爪出入口、24hは第1のコイルバネ、28は蓋開閉レバー、28aは蓋開閉レバー先端、28cは支持レバー、28dは支軸(開閉軸)、28eは押圧操作部、29はストッパ、29aは蓋係合爪、29fは第2のコイルバネ、30fは第3のコイルバネ、30は内蓋レバー、40は操作パネル、61bはである。
図1
図2
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