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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/427 20060101AFI20240718BHJP
   B60N 2/75 20180101ALI20240718BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20240718BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20240718BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240718BHJP
   B60R 21/207 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B60N2/427
B60N2/75
B60N3/00 A
A47C7/54 Z
A47C7/62 B
B60R21/207
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023097525
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2018198967の分割
【原出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2023107927
(43)【公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】田邉 仁一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 生佳
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴弘
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-130114(JP,A)
【文献】特開2009-73230(JP,A)
【文献】国際公開第2017/068941(WO,A1)
【文献】特開2010-221759(JP,A)
【文献】特開2013-43500(JP,A)
【文献】特開2017-222221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
B60N 3/00
B60R 21/207
A47C 7/54、62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物に設けられる乗物用シートであって、
乗員の臀部を支持するシートクッションと、
前記シートクッションの後端部から立設され、乗員の背部を支持するシートバックと、
前記シートバックのシート幅方向の側端部に設けられ、乗員の腕部を支持するアームレストと、
前記アームレストの前端部に設けられ、前後方向に延在する回転軸を中心に回転可能に支持されるテーブルと、
エアバッグを有するエアバッグモジュールと、
前記アームレストの後方かつ前記シートバックのシート幅方向の側端部に設けられ、前記エアバッグモジュールを収容する収容部と、を備え、
前記シートバックは、シート幅方向の両側において前方に突出する土手部を有し、
前記アームレストおよび前記収容部は、前後方向に並んで前記シートバックの外側端部に設けられ、
前記収容部は、前記エアバッグモジュールの前記エアバッグが前記収容部から膨出する際に破断する破断部を有し、
前記破断部は、前記収容部のシート幅方向の外側端かつ前端部に上下方向に形成され、
前記エアバッグは、展開されたときに前記土手部よりも前方まで展開可能に構成され
前記テーブルは、前記回転軸を中心に、垂直方向に沿う位置と水平方向に沿う位置との間で回動可能に設けられることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の乗物用シートにおいて、
前記アームレストおよび前記収容部は、それぞれのシート幅方向の外側面が同一平面上に位置するように、前後方向に並んで前記シートバックの外側端部に設けられることを特徴とする乗物用シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の乗物用シートにおいて、
前記テーブルは、前記乗り物に設けられ、乗物用シートの前方に配置されるステアリングホイールに沿って湾曲する湾曲部を有することを特徴とする乗物用シート。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の乗物用シートにおいて、
前記アームレストは、前記シートバックのシート幅方向の両端部にそれぞれ設けられ、
前記テーブルは、基端部が一方側のアームレストの前端部に回動可能に支持されるとともに、先端部が他方側のアームレストの前端部に載置可能に構成され、
前記他方側のアームレストの前端部で前記テーブルの先端部を固定するロック機構をさらに備えることを特徴とする乗物用シート。
【請求項5】
請求項4に記載の乗物用シートにおいて、
前記テーブルは、幅方向に延在する回転軸を中心に回動可能に構成されており、
前記他方側のアームレストは、前記テーブルの先端部を載置可能な載置部を有し、
前記載置部は、幅方向に延在する回転軸を中心に所定の回動角度で回動可能に構成されることを特徴とする乗物用シート。
【請求項6】
請求項5に記載の乗物用シートにおいて、
前記載置部は、前記他方側のアームレストの内側に収納可能に構成されることを特徴とする乗物用シート。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の乗物用シートにおいて、
前記シートクッションの下方に設けられ、上下方向に延在する回転軸を中心に回転可能な回転機構をさらに備えることを特徴とする乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグを備える乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の側面衝突時に車両用シートのシートバックの側部に設けられたエアバッグを膨出展開させて、乗員を保護する車両用シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、シートバックの側部に回動可能なアームレストを備えた車両用シートについても知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5669567号公報
【文献】特開2007-229134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アームレストを備える車両用シートにおいて、アームレストと同じ側面にエアバッグを設けると、エアバッグを展開させた際にエアバッグとアームレストとが干渉し、エアバッグのスムーズな展開が妨げられるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、乗り物に設けられる乗物用シートであり、乗員の臀部を支持するシートクッションと、シートクッションの後端部から立設され、乗員の背部を支持するシートバックと、シートバックのシート幅方向の側端部に設けられ、乗員の腕部を支持するアームレストと、アームレストの前端部に設けられ、前後方向に延在する回転軸を中心に回転可能に支持されるテーブルと、エアバッグを有するエアバッグモジュールと、アームレストの後方かつシートバックのシート幅方向の側端部に設けられ、エアバッグモジュールを収容する収容部と、を備える。シートバックは、シート幅方向の両側において前方に突出する土手部を有し、アームレストおよび収容部は、前後方向に並んでシートバックの外側端部に設けられ、収容部は、エアバッグモジュールのエアバッグが収容部から膨出する際に破断する破断部を有し、破断部は、収容部のシート幅方向の外側端かつ前端部に上下方向に形成され、エアバッグは、展開されたときに土手部よりも前方まで展開可能に構成され、テーブルは、回転軸を中心に、垂直方向に沿う位置と水平方向に沿う位置との間で回動可能に設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートバックの側端部に設けられたアームレストによってエアバッグの展開が妨げられることなく、エアバッグをスムーズに膨出展開させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用シートが搭載された車両の構成を示す平面図。
図2図1の車両に搭載される車載システムの構成を示す図。
図3】車両用シートの斜視図。
図4】アームレストを前に倒した使用状態の車両用シートの側面図。
図5】アームレストを上げた格納状態の車両用シートの側面図。
図6図5のVI-VI断面図であり、本実施形態に係る車両用シートにおけるエアバッグ収容部およびエアバッグモジュールの取付構造を説明する図。
図7】エアバッグが膨出した状態を示す図である。
図8】本実施形態の第1変形例に係る車両用シートにおけるエアバッグ収容部およびエアバッグモジュールの取付構造を説明する図。
図9】本実施形態の第2変形例に係る車両用シートの側面図。
図10】本実施形態の第3変形例に係る車両用シートの側面図。
図11】本実施形態の第4変形例に係る車両用シートの平面図。
図12】本実施形態の第5変形例に係る車両用シートの側面図。
図13A】本実施形態の第6変形例に係る車両用シートの平面図。
図13B図13Aの車両用シートの部分拡大図。
図14A】本実施形態の第7変形例に係る車両用シートのアームレストが、エアバッグの展開により移動する様子を示す図。
図14B図14Aの車両用シートの移動機構の概略斜視図。
図15】本実施形態の第7変形例に係る車両用シートの側面図。
図16図15の車両用シートの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図7を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る乗物用シートは、車両用シートとして好適に用いることができる。以下では、乗物用シートとしての車両用シートの一実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用シートSが搭載された車両の構成を示す平面図である。図1では、図示のように車両の前後方向、左右方向および上下方向を定義する。前後方向は車両の長さ方向に相当し、上下方向は車両の高さ方向に相当し、左右方向は車幅方向に相当する。
【0011】
図1に示すように、車両は、運転者によって操作されるステアリングホイールSWと、ステアリングホイールSWに面して配置された運転席シートS1と、運転席シートS1の側方に配置された助手席シートS2と、運転席シートS1と助手席シートS2の後方に配置された後席シートS3と、車体に対して開閉可能なドアDRと、を備える。乗員は、ドアDRを開くことで、車両の乗降口から車両に乗り降りする。運転席シートS1と助手席シートS2とは、互いに独立して左右に分かれて設けられ、これらをそれぞれ車両用シートSと呼ぶ。
【0012】
車両用シートSは、向きを変更可能に構成され、図1では、運転席シートS1が前方を向いているのに対し、助手席シートS2は後方を向いている。車両用シートSが前方を向いているとき、乗員は前方を向く乗車姿勢となり、後方を向いているとき、乗員は後方を向く乗車姿勢となる。なお、図1では、ステアリングホイールSWが車両の右側に配置されているが、左側に配置することもできる。
【0013】
図2は、図1の車両に搭載される車載システム1の構成を示す図である。図2に示すように、車載システム1はCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク19を備える。車載ネットワーク19には、周辺状況取得システム10、走行状態検出センサ群30、および、互いに異なる制御を行う複数の電子制御ユニット、すなわちECU(Electronic Control Unit)が、それぞれ接続される。
【0014】
より具体的には、車載システム1は、周辺状況取得システム10と、衝突予測制御ECU20と、走行状態検出センサ群30と、車内カメラ39と、車内状況監視ECU40と、入出力装置50と、座席制御ECU60と、エアバッグECU70と、自動運転制御ECU80と、を備える。これらは、車載ネットワーク19で各々接続され、各種情報の授受を行う。
【0015】
各ECU20,40,60,70,80は、動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および入出力インタフェース(I/Oインタフェース)、その他の周辺回路を備えたマイクロコンピュータで構成される。ECU20,40,60,70,80は、それぞれ複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
【0016】
周辺状況取得システム10は、GPS(Global Positioning System)装置11と、車載通信機12と、ナビゲーションシステム13と、レーダ装置14と、カメラ16と、を有し、自車両の周辺状況を表す情報等を取得し、出力する。
【0017】
GPS装置11は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、自車両の位置(例えば自車両の緯度および経度)を測位する。車載通信機12は、他車両との車車間通信および路側機との路車間通信を行う通信装置である。車載通信機12は、例えば、路側機と通信を行い、自車両の経路上の渋滞、事故等の交通情報を含む周辺情報を取得し、出力する。
【0018】
ナビゲーションシステム13は、地図情報を記憶する地図情報記憶部13aを含む。ナビゲーションシステム13は、GPS装置11から得られる位置情報と地図情報記憶部13aに記憶された地図情報とに基づいて、自車両の位置を地図上に表示し、目的地までの経路の案内を行う。ナビゲーションシステム13は、例えば、自車両の位置から目的地に至るまでの経路を設定し、ディスプレイへの表示およびスピーカの音声出力により目標ルートを乗員に報知する。
【0019】
レーダ装置14は、自車両の前方、後方、左方および右方等、自車両の周囲に存在する歩行者、他車両等の物体を検出し、検出した物体と自車両の相対位置および相対速度を取得し、出力する。レーダ装置14は、電波(例えばミリ波)を車両の周囲に送信し、障害物で反射された電波を受信することで物体を検出する。なお、レーダ装置14とともに、自車両の全方位の照射光に対する散乱光を測定して自車両から周辺の障害物までの距離を測定するライダ装置を用いることもできる。カメラ16は、例えば、車両のフロントガラス上部の室内側に設けられる。カメラ16は、車両の外部状況を撮影することにより、自車両の周囲の撮像情報を取得し、出力する。
【0020】
走行状態検出センサ群30は、車両の走行状態を取得する複数のセンサとして、ステアリングホイールSWの操舵角を検出する操舵角センサ31と、自車両の走行速度を検出する車速センサ32と、自車両に加わる加速度を検出する加速度センサ33と、を含む。車速センサ32は、例えば、自車両の車輪の回転速度を検出することで車速を検出し、検出した車速情報を出力する。加速度センサ33は、車両の加減速や、旋回、衝突等によって発生する加速度を検出する。加速度センサ33は、例えば、車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両の左右方向(車幅方向)の横加速度を検出する横加速度センサと、車両の上下方向の加速度を検出する上下加速度センサと、を含む。加速度センサは、車両の加速度情報を車載ネットワーク19に接続された機器へ出力する。
【0021】
衝突予測制御ECU20は、カメラ16から入力された画像上の物体の位置を、レーダ装置14から入力された情報(例えば個々の物体との相対位置等)に基づいて検出する。また、衝突予測制御ECU20は、検出した物体の特徴からその物体の種類(歩行者、車両等)を判別する。衝突予測制御ECU20は、上記処理を所定の制御周期で繰り返し行い、自車両の周囲に存在する物体を監視し、監視対象物体毎に自車両との衝突確率を演算する。
【0022】
衝突予測制御ECU20は、自車両との衝突確率が予め定められた所定値以上の監視対象物体を検知すると、自車両と監視対象物体が衝突すると予測し、座席制御ECU60およびエアバッグECU70に衝突予測信号を出力する。すなわち、加速度センサ33により衝突が検出される前に、衝突予測信号を出力する。衝突予測信号には、自車両と衝突予測物体との衝突形態(前面衝突/側面衝突/後突)を表す情報も含まれる。
【0023】
エアバッグECU70には、後述する車両用シートSのシートバック102の側部に設けられるエアバッグモジュール170(図6参照)の一部を構成するインフレータ172が接続される。インフレータ172は、エアバッグ171を膨らませるためのガスを発生させる装置である。エアバッグECU70は加速度センサ33によって検出された加速度が予め定められた閾値以上となった場合に、インフレータ172に信号を出力し、インフレータ172によりエアバッグ171を展開させる。エアバッグECU70は、衝突予測制御ECU20から衝突予測信号が入力された場合に、上記の加速度の閾値を変更する。
【0024】
自動運転制御ECU80は、運転者の操作に基づき車輪の転舵、加速、減速、制動等が行われる手動運転モードと、車輪の転舵、加速、減速、制動等を自動的に行う自動運転モードとの切り替えを行う。自動運転制御ECU80は、自車両の周辺状況および走行状態等に基づいて自動運転レベルを設定し、自動運転レベルに応じた自動運転制御を行う。自動運転モードと手動運転モードの切り替えは、例えば、運転者が入出力装置50を操作することで行うことができる。
【0025】
自動運転制御ECU80は、自車両のスロットル開度を変更するスロットルアクチュエータ91、自車両の制動装置が発生する制動力を調整するブレーキアクチュエータ92、および、自車両の転舵装置による車輪の転舵量を変更する転舵アクチュエータ93を制御する。スロットルアクチュエータ91は、自動運転制御ECU80の指示に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、車両の駆動力を制御する。ブレーキアクチュエータ92は、自動運転制御ECU80の指示に応じてブレーキシステムを制御し、車両の車輪へ付与する制動力を制御する。転舵アクチュエータ93は、電動パワーステアリングシステムの一部を構成するアシストモータの駆動を制御する。
【0026】
自動運転制御ECU80は、車両の運転モードが自動運転モードに設定されている場合に、運転席に着席している乗員による運転操作を伴わずに、自車両を自動的に走行させる自動運転制御処理を行う。この自動運転制御処理は、周辺状況取得システム10および走行状態検出センサ群30からの情報に基づいて自車両およびその周辺の状況を判断し、スロットルアクチュエータ91、ブレーキアクチュエータ92および転舵アクチュエータ93を制御することで実現される。
【0027】
自動運転制御ECU80は、自車両の周辺状況および自車両の走行状態に基づいて、複数の自動運転レベルのうちの一つを選択する。自動運転には、自動運転システムの介入度合いに応じてレベル0~5がある。なお、レベル0は、加速、操舵、制動などすべての動作を運転者が手動で行うレベル(手動運転状態)であり、本明細書では、手動運転モードとして説明する。レベル1は、加速、操舵、制動のうちのいずれか1つをシステムで行うレベルである。レベル2は、加速、操舵、制動のうちの複数をシステムで行うレベルである。レベル3は、加速、操舵、制動の全てをシステムで行うが、例えば、高速道路から降りる際、緊急時等、システムの要請に応じて、運転者の操作が必要になるレベルである。レベル4は、特定の状況下において運転者が一切運転に関与する必要がなく、加速、操舵、制動の全てをシステムで行うレベルである。レベル5は、どんな状況下においても、加速、操舵、制動の全てをシステムで行うレベルであり、運転者を必要としないレベルである。自動運転制御ECU80は、設定される自動運転レベルに応じて、自動運転制御処理を実行する。自動運転制御処理は公知の技術を用いて実現することができる。
【0028】
自動運転制御ECU80は、車両位置認識部81と、外部状況認識部82と、走行状態認識部83と、走行計画生成部84と、走行制御部85と、を含む。自動運転制御ECU80は、上記各部により車両の周辺情報と地図情報とに基づいて予め設定された目標ルートに沿った走行計画を生成し、生成した走行計画に従って車両が自立走行するよう運転を制御する。
【0029】
車両位置認識部81は、GPS装置11で受信した車両の位置情報、および地図情報記憶部13aの地図情報に基づいて、地図上における自車両の位置を認識する。なお、車両位置認識部81は、ナビゲーションシステム13で用いられる自車両の位置をナビゲーションシステム13から取得して認識してもよい。
【0030】
外部状況認識部82は、車載通信機12が取得した周辺情報や周辺状況取得システム10の検出結果(例えば、レーダ装置14の障害物情報、カメラ16の撮像情報等)に基づいて、車両の外部状況を認識する。外部状況は、例えば、車両に対する走行車線の白線の位置や、車線中心の位置、道路幅、道路形状、車両の周辺の障害物の状況等を含む。車両の周辺の障害物の状況としては、例えば、固定障害物と移動障害物を区別する情報、車両に対する障害物の位置、車両に対する障害物の移動方向、車両に対する障害物の相対速度等がある。
【0031】
走行状態認識部83は、走行状態検出センサ群30の検出結果(例えば、車速センサ32の車速情報、加速度センサ33の加速度情報等)に基づいて、車両の走行状態を認識する。
【0032】
走行計画生成部84は、例えば、ナビゲーションシステム13で演算された目標ルート、車両位置認識部81で認識された車両位置、および、外部状況認識部82で認識された車両の外部状況(車両位置、方位を含む)に基づいて、車両の進路を生成する。すなわち、目標ルートにおいて車両が進む軌跡を生成する。
【0033】
走行制御部85は、走行計画生成部84で生成した走行計画に基づいて車両の走行を自動で制御する。走行制御部85は、走行計画に応じた制御信号を各アクチュエータ91,92,93に出力する。これにより、走行制御部85は、走行計画に沿って車両が自立走行するように、車両の運転を制御する。走行制御部85は、車両の走行を制御する際に、車両位置認識部81、外部状況認識部82、および走行状態認識部83の各認識結果を監視しながら走行計画に従って車両の走行を制御する。
【0034】
入出力装置50は、乗員への車両の状態等の各種情報の報知と、乗員からの情報の入力とを行う。入出力装置50は、例えば、方向指示灯、前照灯、ワイパー等を操作するためのスイッチ、自動運転に関する切替操作部、各種情報を表示するとともに乗員の手指等の接触を検知するタッチセンサを有する操作パネル、その他、各種操作入力を行うための操作部等を含む。なお、自動運転に関する切替操作部は、手動運転から自動運転への切り替えの指示、および自動運転から手動運転への切り替えの指示を行う操作部である。
【0035】
車内状況監視ECU40には、車内カメラ39が接続され、車内カメラ39からの情報が入力される。車内状況監視ECU40は、車内カメラ39によって撮影された車室内の画像に基づいて、運転席に着席している乗員を含む自車両の乗員の状態を監視する。乗員の状態には、例えば、眠気の有無、脇見運転の有無等がある。車内状況監視ECU40には画像認識により乗員の視線、顔の向き、眼球の動き、顔の動きの少なくとも1つを含む生体情報を検出し、検出した生体情報に基づいて、乗員(特に運転席に着席している乗員)の状態を検出する。
【0036】
座席制御ECU60は、後述する車両用シートS(図3)のシートバック102の角度を調整するシートバック駆動部161、および車両用シートSのシートクッション101を鉛直軸を中心に回転させるシートクッション駆動部162を制御する。
【0037】
座席制御ECU60は、シートバック駆動部161の駆動を制御することで、シートバック102の角度を調整する。例えば、座席制御ECU60は、自動運転制御ECU80から現在の自動運転レベルが4以上であることを表す信号が入力されているときに、入出力装置50から車両用シートSをリクライニングする操作信号が入力されると、シートバック駆動部161を駆動する。これにより、シートバック102を倒伏させるように、シートバック102の角度を調整し、車両用シートSをリクライニングさせる。座席制御ECU60は、自動運転レベルが4以上の自動運転モード中に自動運転制御ECU80から自動運転レベルが4未満になったことを表す信号が入力されると、シートバック駆動部161を駆動することにより、シートバック102を起立させるように、シートバック102の角度を調整する。
【0038】
座席制御ECU60は、シートクッション駆動部162の駆動を制御することで、車両用シートSの向きを変更する。例えば、座席制御ECU60は、自動運転制御ECU80から現在の自動運転レベルが4以上であることを表す信号が入力されているときに、入出力装置50から車両用シートSを後方に向けるための操作信号が入力されると、シートクッション駆動部162を駆動することにより、シートクッション101を180度回転させ、車両用シートSを後方に向ける。座席制御ECU60は、自動運転レベルが4以上の自動運転モード中に自動運転制御ECU80から自動運転レベルが4未満になったことを表す信号が入力されると、シートクッション駆動部162を駆動することにより、シートクッション101を回転させ、車両用シートSを前方に向ける。
【0039】
図3は、車両用シートS(運転席シートS1、助手席シートS2)の斜視図である。運転席シートS1と助手席シートS2とは左右対称に構成される。以下では、便宜上、図示のように車両用シートSの前後方向、左右方向および上下方向を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。前後方向のうち前方は、乗車姿勢の乗員が向く方向であり、左右方向はシート幅方向であり、上下方向はシート高さ方向である。なお、図1に示すように運転席シートS1がステアリングホイールSWに面して配置されるとき、車両用シートSの前後方向、左右方向および上下方向と車両の前後方向、左右方向および上下方向とが一致する。
【0040】
図3に示すように、車両用シートSは、乗員の臀部を支持するシートクッション101と、乗員の背部を支持するシートバック102と、シートバック102の上部に設けられ、乗員の頭部を支持するヘッドレスト103と、シートバック102の左右側端部に設けられ、乗員の腕部を支持するアームレスト104と、を備える。シートクッション101は、前後方向および左右方向に延在し、上方から見ると全体が略矩形状を呈する。シートバック102は、上下方向および左右方向に延在し、前方から見ると全体が略矩形状を呈する。シートバック102は、シートクッション101の後端部に前後方向に傾動可能に支持される。
【0041】
アームレスト104は、シートバック102の左側部に設けられる左側アームレスト104Lと、シートバック102の右側部に設けられる右側アームレスト104Rとを含む。すなわち、車両用シートSには、左右対称の一対のアームレスト104(104L,104R)が設けられる。各アームレスト104は、左右方向に延在する軸部141を中心として回動可能にシートバック102に取り付けられる。
【0042】
図4は、アームレスト104の使用状態を示す車両用シートSの側面図であり、図5は、アームレスト104の格納状態を示す車両用シートSの側面図である。アームレスト104は、図4に示す使用位置と図5に示す格納位置との間を、略90°にわたって回動可能に設けられる。図4に示すように、アームレスト104は、使用位置においてシートバック102から前方に突出し、この状態で乗員はアームレスト104の上面に腕部を載せることができる。図5に示すように、アームレスト104は、格納位置においてシートバック102から前方に突出することなく退避される。
【0043】
図6は、図4のVI-VI線に沿って切断した断面図である。図3,6に示すようにシートバック102およびシートクッション101は、シートフレーム110と、シートフレーム110に装着されるウレタンフォームなどからなるシートパッド105aと、シートパッド105aに被せられる布地や皮革などからなる表皮材105bと、をそれぞれ備える。アームレスト104は、アームフレーム140と、アームフレーム140に装着されるウレタンフォームなどからなるアームパッド140aと、アームパッド140aに被せられる布地や皮革などからなる表皮材140bと、を備える。
【0044】
シートバック102は、車両用シートSの幅方向、すなわち車両左右方向の両側において左右方向中央部よりも前方に突出する左右一対の土手部115を有し、シートバック102の前面は凹状に形成される。より詳しくは、図6に示すように、土手部115は、前方かつ左右方向外側に向けて傾斜する傾斜部115aと、傾斜部115aの前端部から後方に延在する側壁部115bとを有する。左右一対の土手部115は、車両用シートSに着座する乗員を左右方向に保持する。
【0045】
図3に示すように、シートクッション101の下方には、車両用シートSを上下方向の回転軸を中心に回転させる回転機構163が設けられる。この回転機構163により、車両用シートS(例えば助手席シートS2)は、図1に示すように180度向きを変えることができる。
【0046】
図6に示すように、車両用シートSは、エアバッグ171(いわゆるサイドエアバッグ)を有する。これに関連し、図3,6に示すように、車両用シートSは、シートバック102の左右側端部に設けられる左右一対のエアバッグモジュール170と、左右一対のエアバッグモジュール170をそれぞれ収容する左右一対のエアバッグ収容部107とを備える。より詳しくは、図3に示すように、エアバッグモジュール170は、左側部に設けられる左側エアバッグモジュール170Lと、シートバック102の右側部に設けられる右側エアバッグモジュール170Rとを含み、これらは左右対称に構成される。エアバッグ収容部107は、左側エアバッグモジュール170Lを収容する左側エアバッグ収容部107Lと、右側エアバッグモジュール170Rを収容する右側エアバッグ収容部107Rとを含み、これらは左右対称に構成される。左側エアバッグ収容部107Lは、左側アームレスト104Lの後方に設けられ、右側エアバッグ収容部107Rは、右側アームレスト104Rの後方に設けられる。
【0047】
エアバッグ収容部107は、全体が上下方向に細長の略直方体形状に構成され、シートバック102の左右側端部に沿って配置される。このエアバッグ収容部107の外側前端部、より厳密には、左右方向外側面と前端面とが交差する角部には、上下方向に破断部108が形成される。破断部108は、エアバッグ収容部107に収容されたエアバッグモジュール170のエアバッグ171が膨出する際に破断し、展開するエアバッグ171の出口となる箇所である。換言すれば、破断部108は、エアバッグ収容部107の外側前端部に沿って形成されたティアラインである。
【0048】
エアバッグ収容部107に収容されるエアバッグモジュール170は、車両の衝突時の衝撃を吸収し乗員を保護する装置を構成する。エアバッグモジュール170は、モジュールケースを有しないケースレスエアバッグモジュールとしてもよいし、モジュールケースを有していてもよい。
【0049】
図6に示すように、エアバッグモジュール170は、エアバッグ171と、インフレータ172とを備える。エアバッグ171およびインフレータ172は共にラップ材に包まれて保持される。インフレータ172は、図示しないハーネスからの入力信号に応じてガスを発生する装置である。図2に示すエアバッグECU70は、加速度センサ33によって検出された加速度が予め定められた閾値以上となった場合に、インフレータ172に作動信号を出力する。インフレータ172に作動信号が入力されると、インフレータ172はガスを発生させてエアバッグ171にガスを注入する。これにより、車両の衝突時に、エアバッグ171が膨出展開する。なお、衝突予測信号に応じてインフレータ172を作動させることもできる。
【0050】
エアバッグモジュール170は、シートバックフレーム110Bに取り付けられる。シートバックフレーム110Bは、車両用シートSの骨格をなすシートフレーム110のうち、シートバック102部分の骨格部分である。すなわち、シートバックフレーム110Bは、シートフレーム110の一部である。
【0051】
図3に示すように、シートバックフレーム110Bは、逆さU字形のパイプフレーム111と、左右一対の板状フレーム112と、左右一対の板状フレーム112の下端部の間に架設される下部フレーム114と、を備える。すなわち、シートバックフレーム110Bは、上下左右方向に延在するシートバック102の外形形状に沿って全体が略矩形の枠状に構成される。
【0052】
より詳しくは、パイプフレーム111の左右方向に延在する上部により、シートバックフレーム110Bの上部フレーム111Aが構成される。パイプフレーム111の上部の左右両端部から下方に延在するパイプフレーム111の左右一対の側部111Bと左右一対の板状フレーム112の上端部とは、溶接により接合される。パイプフレーム111の側部111Bと板状フレーム112との接合により、シートバックフレーム110Bのサイドフレーム113が構成される。
【0053】
図6に示すように、アームレスト104は、軸受金具190を介して、板状フレーム112の前部に取り付けられる。具体的には、板状フレーム112は、シートバック102の土手部115の後方の空間において、前後方向に延在する側板部112Aと、土手部115の形状に沿って左右方向内側に円弧状に屈曲する側板部112Aの前端の屈曲部112Bと、側板部112Aの後端から左右方向内側に向けて折り曲げられ、左右方向に延在するエアバッグ支持部112Cとを有する。側板部112Aの左右外側の表面のうち屈曲部112Bの近接に、軸受金具190が取り付けられる。
【0054】
軸受金具190は、それぞれ前後方向に延在する前後一対の板状のフランジ部191と、前後一対のフランジ部191の間において左右方向外側に突出する断面略コ字状の軸取付部192とを有する。フランジ部191は、土手部115の側壁部115bの左右内側面に面して配置され、板状フレーム112の側板部112Aを貫通したボルト等の締結具195により、板状フレーム112に固定される。このとき、軸取付部192は、シートパッド部105aの内部に、シートパッド部105aを貫通した状態で収容される。軸取付部192の左右方向外側端部には、アームレスト104を左右方向に貫通した軸部141の端部が固定される。これにより、アームレスト104は、軸部141を中心軸としてシートバック102に対して回動可能に支持される。
【0055】
板状フレーム112のエアバッグ支持部112Cには、板状のブラケット180が取り付けられる。ブラケット180は、左右方向に延在する第1取付部181と、第1取付部181の左右外側端部から後方に延在する後方延在部182と、後方延在部182の後端部から左右方向外側に延在する第2取付部183とを有し、全体がクランク状に折り曲げて形成される。第1取付部181は、板状フレーム112のエアバッグ支持部112Cの後端面に、ボルト等の締結具185を用いて固定される。
【0056】
第2取付部183には、エアバッグモジュール170のインフレータ172から突出するスタッドボルト172aが挿通される貫通孔が形成される。この貫通孔にスタッドボルト172aが挿通された状態で、締結具184によりインフレータ172がブラケット180に固定される。これにより、エアバッグモジュール170がブラケット180に固定される。
【0057】
エアバッグ収容部107は、前板部107aと、前板部107aの左右両端部から後方に延在する左右一対の側板部107b,107cと、左右一対の側板部107b,107cの後端部同士を接続する後板部107dとを有し、全体が断面略矩形状を呈する。前板部107aは、シートバック102の土手部115の側壁部115bの後端面に面して側壁部115bの後方に配置される。左右方向内側の側板部107cは、板状フレーム112の側板部112Aおよびブラケット180の延在部182に面してこれらの左右方向外側に配置される。エアバッグ収容部107の左右方向外側端部は、シートバック102の左右側端部よりも左右方向外側に突出する。その突出量は、アームレスト104の左右方向の厚さとほぼ等しく、側板部107bの左右方向外側端面は、アームレスト104の左右方向外側端面の延長線上ないしほぼ延長線上に位置する。これにより、車両用シートSの最大シート幅は、アームレスト104により規定される。
【0058】
エアバッグ収容部107の側板部107cには、ブラケット180の第2取付部183を差し込むスリットが形成される。このスリットにブラケット180の第2取付部183が差し込まれた状態で、エアバッグ収容部107がブラケット180に固定される。これにより、エアバッグ収容部107の内部に、エアバッグモジュール170が収容された状態で、エアバッグ収容部107およびエアバッグモジュール170がサイドフレーム113に取り付けられる。
【0059】
前板部107aと左右方向外側の側板部107bとの接続部に沿って、破断部108が形成される。換言すると、エアバッグ収容部107のシート外側かつシート前方に位置する角部に、破断部108が上下方向に形成される。なお、破断部108は、エアバッグ収容部107にスリットを形成して構成されてもよい。
【0060】
図7は、エアバッグ171の作動状態を示す平面図である。本実施形態では、アームレスト104の左右方向外側端面の後方へのほぼ延長線上に、エアバッグ収容部107の破断部108が形成される。これにより、図7に示すように、エアバッグモジュール170が膨張した場合に、エアバッグ171が破断部108を押し広げて、車両用シートSの側部の空間に膨出可能となる。これにより、アームレスト104と干渉しないようにエアバッグ171を膨出展開させることができる。
【0061】
アームレスト104の基端部、すなわち後端かつ左右方向外側端部には、展開した状態のエアバッグ171の外周面に沿って湾曲する逃げ部104cが設けられる。逃げ部104cを設けることにより、エアバッグ171とアームレスト104との干渉をより効果的に抑制することができる。なお、逃げ部104cの位置および形状は、上述したものに限らず、エアバッグ171の展開方向等を考慮して、アームレスト104に適宜逃げ部を設定することができる。
【0062】
エアバッグ171は、展開されたときに、土手部115の前端部を規定する直線L1よりも前方まで展開可能に構成されている。これにより、衝突時の乗員90の側方からの衝撃を効率よく吸収することができる。なお、エアバッグ収容部107は、表皮材で覆うようにしてもよい。この場合、破断部108で表皮材がエアバッグ171の膨張に応じて開裂するように、破断部108に近接する位置で表皮を縫合すればよい。
【0063】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態に係る乗物用シートは、車両に設けられる車両用シートSとして構成される(図1)。この車両用シートSは、乗員の臀部を支持するシートクッション101と、シートクッション101の後端部から立設され、乗員の背部を支持するシートバック102と、乗員の腕部を支持するアームレスト104と、エアバッグ171を有し、アームレスト104の後方かつシートバック102のシート幅方向の側端部に設けられるエアバッグモジュール170と、エアバッグモジュール170を収容するエアバッグ収容部107と、を備える(図3)。シートバック102は、シート幅方向の両側において前方に突出する土手部115を有する(図3)。エアバッグ収容部107は、エアバッグモジュール170のエアバッグ171がエアバッグ収容部107から膨出する際に破断する破断部108を有し、破断部108は、エアバッグ収容部107のシート幅方向の側端かつ前端部に上下方向に形成される(図3,6)。エアバッグ171は、展開されたときに土手部115よりも前方まで展開可能に構成される(図7)。これにより、アームレスト104と干渉しないようにエアバッグ171を膨出展開させることができ、乗員90の側方からの衝撃を効率よく吸収することができる。このように、本実施形態によれば、シートバック102の側部に設けられたアームレスト104によって、同じ側部に設けられたエアバッグ171の展開が妨げられることを防止し、エアバッグ171の膨出展開がスムーズになされる車両用シートSを提供することができる。
【0064】
(2)アームレスト104には、展開した状態のエアバッグ171の外周面に沿って湾曲する逃げ部104cが設けられる(図7)。これにより、エアバッグ171とアームレスト104との干渉をより効果的に抑制することができる。
【0065】
(3)車両用シートSは、前後方向の向きを変更可能に設けられる(図1)。アームレスト104は、シートバック102の左側部に設けられる左側アームレスト104L(第1アームレスト)と、シートバック102の右側部に設けられる右側アームレスト104R(第2アームレスト)と、を有し、エアバッグモジュール170は、左側アームレスト104Lの後方に設けられる左側エアバッグモジュール170L(第1エアバッグモジュール)と、右側アームレスト104Rの後方に設けられる右側エアバッグモジュール170R(第2エアバッグモジュール)と、を有する(図3)。これにより、車両用シートSがリクライニングしたとき、あるいは車両用シートが180度回転し、後方を向いた状態において、運転者を適切に保護することができる。
【0066】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、図8図16を参照して本実施形態の変形例について説明する。
<第1変形例>
上記実施形態では、エアバッグ収容部107およびエアバッグモジュール170がブラケット180を介して側板112Aに取り付けられるようにしたが(図6)、シートバックフレーム110Bに対するエアバッグ収容部107およびエアバッグモジュール170の取付構造は、これに限定されず、種々の形態を採用することができる。図8は、図6の変形例を示す図である。図8では、エアバッグ収容部107およびエアバッグモジュール170が板状フレーム112の側板112Aに直接、取り付けられる。以下、図8の構成について具体的に説明する。
【0067】
図8に示すように、エアバッグ収容部107の左右方向内側の側板部107cには、インフレータ172のスタッドボルト172aが挿通される貫通孔が形成される。これに対応し、側板112Aにもインフレータ172のスタッドボルト172aが挿通される貫通孔が形成される。エアバッグ収容部107の取付時には、エアバッグ収容部107と側板112Aのそれぞれの貫通孔にインフレータ172のスタッドボルト172aを挿通した上で、スタッドボルト172aをナット等の締結具184により側板112Aに固定する。これにより、エアバッグ収容部107の内部に、エアバッグモジュール170が収容された状態で、エアバッグ収容部107およびエアバッグモジュール170がサイドフレーム113の側部に取り付けられる。
【0068】
<第2変形例>
上記実施形態では、アームレスト104をシートバック102の側端部に回動可能に支持するようにしたが、シートバック102以外から支持するようにしてもよい。図9は、その一例を示す車両用シートSの側面図である。図9では、アームレスト204が連結部243を介してシートクッション101から支持される。より具体的には、連結部243の一端部は、取付部241を介してシートクッション101の前側に取り付けられる。
【0069】
取付部241は、ボルト、ナット等の締結具により、シートクッション101の内側に配設されるシートクッションフレーム110Cに取り付けてもよいし、溶接等によりシートクッションフレーム110Cに取り付けてもよい。なお、シートクッションフレーム110Cは、シートフレーム110のうちシートクッション101部分の骨格部分である。連結部243は、取付部241から上方に延在する鉛直部243aと、鉛直部243aの先端から90度後方に向かって屈曲し、後方に延在する水平部243bと、を有する。アームレスト204は、水平部243bに固定されるアームフレーム240と、アームフレーム240に装着されるアームパッド140aと、アームパッド140aに被せられる表皮材140bと、を有する。
【0070】
このように、アームレスト204の取付部241をシートクッション101の前側に設けることにより、シートバック102の側方において、上記実施形態に比べて広いスペースを確保することができる。このため、図9に二点鎖線で示すエアバッグ271が膨張展開する範囲の設定自由度が高く、膨張展開するエアバッグ271とアームレスト204の干渉を容易に回避することができる。
【0071】
<第3変形例>
図10は、アームレスト304の他の取付構造を示す車両用シートSの側面図である。図10では、図9と異なり、アームレスト304が連結部343を介してシートクッション101の下方から支持される。より具体的には、アームレスト304の取付部341は、シートクッション101の前後方向移動を案内するガイドレール349に係合する係合部109に設けられる。
【0072】
係合部109は、シートクッションフレーム110Cの下部に設けられる。これにより、シートバック102の側方において、上記実施形態に比べて広いスペースを確保することができる。このため、エアバッグ271が膨張展開する範囲の設定自由度が高く、膨張展開するエアバッグ271とアームレスト304の干渉を容易に回避することができる。
【0073】
<第4変形例>
図11は、アームレスト304のさらなる他の取付構造を示す車両用シートSの平面図である。図11では、アームレスト404の取付部441は、シートクッション101の内側に設けられる。例えば、図11に示すように、アームレスト404の取付部441は、シートクッション101を構成するシートクッションフレーム110C(図11において不図示)に取り付けられ、連結部442が取付部441から上方に延在するように設けられる。この構成により、シートバック102の側方において、上記実施形態に比べて広いスペースを確保することができる。このため、エアバッグ471が膨張展開する範囲の設定自由度が高く、膨張展開するエアバッグ471とアームレスト404の干渉を容易に回避することができる。
【0074】
さらに、図11の例では、アームレスト404全体が、平面視でシートクッション101の内側に配置される。このため、エアバッグ収容部107の設置位置を、上記実施形態に比べて、シートバック102の内側に設定することができる。その結果、車両用シートSの左右幅Wを小さくすることができ、図11に二点鎖線で示すエアバッグ471の展開スペースをさらに広くとることができる。
【0075】
このように、上記第2変形例、第3変形例および第4変形例では、アームレスト204,304,404の取付部241,341,441を、シートクッション101の前側、内側、下方のうちのいずれかに設けることにより(図9図10図11参照)、上記実施形態に比べて、アームレスト204,304,404をエアバッグ収容部107から離間させることができる。このため、エアバッグ271,471が展開する際に、エアバッグ271,471がアームレスト204,304,404に干渉することを、より効果的に防止することができる。また、エアバッグ収容部107の設置位置の自由度も高くなる。なお、アームレストを支持するアームレスト支持部としての連結部243,343、442の構成は上述したものに限らない。
【0076】
<第5変形例>
車両用シートSは、アームレスト104を移動させる移動装置を備えるようにしてもよい。図12は、その一例を示す車両用シートSの側面図(一部拡大図)である。図12では、車両用シートSが、アームレスト104をスライド移動させるスライド移動装置550を備える。
【0077】
図12に示すように、板状フレーム112には、略上下方向に延在する長孔112bが形成され、長孔112bに、軸受金具190の軸取付部192が嵌入される。軸取付部192は、長孔112bに沿って移動可能である。スライド移動装置550は、軸取付部192を下方から支持する支持軸551と、支持軸551を軸方向(前後方向)に移動させる電動アクチュエータ552と、を備える。電動アクチュエータ552は、駆動源としての電動モータと、電動モータの回転運動を支持軸551の直線運動に変換する運動変換機構であるボールねじ機構、あるいはラックアンドピニオン機構と、を有する。
【0078】
座席制御ECU60(図2)は、衝突予測信号が入力されると作動信号を出力することにより電動アクチュエータ552を駆動し、軸取付部192を支持する支持軸551を後方に移動させる。これにより、軸取付部192を支持するものがなくなるので、軸取付部192が長孔112bに沿って重力により落下する。その結果、アームレスト104がエアバッグ収容部107から離間する。このような変形例によれば、衝突が予測され、エアバッグ171が展開する前に、アームレスト104をエアバッグ収容部107から離間させることができるので、上記実施形態に比べて、エアバッグ171が展開する際にエアバッグ171がアームレスト104に干渉することを、より効果的に防止することができる。また、エアバッグ収容部107の設置位置の自由度も高くなる。
【0079】
<第6変形例>
スライド移動装置550に代えて、アームレスト104を回動させる回動装置を備えてもよい。図13Aは、その一例を平面図であり、図13Bは、図13Aの要部拡大図である。図13Aおよび図13Bでは、車両用シートSが、アームレスト104を回転移動(回動)させる回動装置650を備える。
【0080】
図13A,13Bに示すように、回動装置650は、土手部115の内側に設けられる第1電動モータ651と、アームレスト604の基端部に設けられる第2電動モータ652と、を備える。第1電動モータ651のステータ651sは、シートバックフレーム110Bの左右側部に固定される。第1電動モータ651のロータ651rと第2電動モータ652のステータ652sは連結部材653により連結される。第2電動モータ652のロータ652rは、アームレスト604のアームフレームに固定される。
【0081】
第1電動モータ651のロータ651rおよび第2電動モータ652のロータ652rは、上下方向に延在するように設けられる。シートバック102およびアームレスト604には、連結部材653の移動を許容可能な開口が形成される。
【0082】
座席制御ECU60(図2)は、衝突予測信号が入力されると、第1電動モータ651により、ロータ651rを中心としてアームレスト604を一の方向(図示反時計回り)に90度回転させるとともに、第2電動モータ652によりロータ652rを中心としてアームレスト604を他の方向(図示時計回り)に90度回転させる。これにより、アームレスト604がシートクッション101の上方に位置する。
【0083】
換言すれば、平面視で、アームレスト604がシートクッション101の外側から内側に移動する。つまり、アームレスト604が、エアバッグ収容部107から離間する。これにより、衝突が予測され、エアバッグ171が展開する前に、アームレスト604をエアバッグ収容部107から離間させることができる。したがって、上記実施形態に比べて、エアバッグ171が展開する際にエアバッグ171がアームレスト604に干渉することを、より効果的に防止することができる。また、エアバッグ収容部107の設置位置の自由度も高くなる。
【0084】
<第7変形例>
上記第6変形例では、第1電動モータ651および第2電動モータ652によりアームレスト604を駆動するようにしたが、エアバッグ171が膨張展開する際の力を利用してアームレストを移動させるようにしてもよい。図14A、14Bは、そのようなアームレスト704の移動を可能にする移動機構750の構成を示す図である。
【0085】
特に図14Aは、アームレスト704がエアバッグ171の展開により移動する様子を示す図であり、図14Bは、移動機構750の概略斜視図である。図14A,14Bに示すように、移動機構750は、シートバックフレーム110Bに固定される上下一対の第1筒状部材751と、アームフレーム740に固定される上下一対の第2筒状部材752と、一端部が第1筒状部材751に回動自在に取り付けられ、他端部が第2筒状部材752に回動自在に取り付けられる連結部材753と、を備える。第1筒状部材751は、土手部115の内側に配置され、第2筒状部材752は、アームレスト704の基端部704aに配置される。
【0086】
連結部材753は、その両端部に上下方向に貫通する貫通孔が設けられる。連結部材753の一端部は、一対の第1筒状部材751に挟まれるようにして配置される。連結部材753の一端部および第1筒状部材751の貫通孔には上下方向に延在するピン751pが挿通される。連結部材753の他端部は、一対の第2筒状部材752に挟まれるようにして配置される。連結部材753の他端部および第2筒状部材752の貫通孔には上下方向に延在するピン752pが挿通される。
【0087】
図14Aに示すように、通常使用時において、アームレスト704は、基端部704aが、土手部115の側方に位置するように配置される(二点鎖線参照)。エアバッグ171が膨張展開すると、エアバッグ171がアームレスト704の基端部704aを後方から前方に向けて付勢する。これにより、ピン751pを中心にアームレスト704が図示反時計回りに回転するとともに、ピン752pを中心にアームレスト704が図示時計回りに回転する。その結果、アームレスト704は、上記第6変形例と同様、基端部704aが、土手部115の前方に位置するように配置される(実線参照)。アームレスト704が、土手部115の前方に配置され、エアバッグ収容部107から離間するので、シートバック102の側方における、エアバッグ171の展開スペースを広くとることができる。
【0088】
なお、第1筒状部材751には、連結部材753の軸部に当接可能なストッパ751a,751bが設けられる。ストッパ751a,751bは、ピン751pを中心とする連結部材753の回動範囲が90度程度となるように設けられる。第2筒状部材752には、連結部材753の軸部に当接可能なストッパ752a,752bが設けられる。ストッパ752a,752bは、ピン752pを中心とする連結部材753の回動範囲が90度程度となるように設けられる。
【0089】
このように、第7変形例に係る車両用シートSは、エアバッグ171が展開することに連動して、アームレスト704がエアバッグ171から離れるように、アームレスト704を移動させる移動機構750を備える。このため、電動モータ等の駆動源を設けることなく、アームレスト704を移動させ、エアバッグ171の展開スペースを容易に確保することができる。
【0090】
<第8変形例>
アームレストに付属品を設けることもできる。図15,16はその一例を示す車両用シートSの側面図および平面図である。図15,16では、左側アームレスト804Lにテーブル891が設けられる。なお、テーブル891は、左右のアームレスト804のいずれに設けてもよい。
【0091】
図15,16に示すように、テーブル891は、アームレスト804の前端部に連結される。アームレスト804の前端部には、左右一対の保持板847が設けられる。左右一対の保持板847間には、回動部材892が配置される。左右一対の保持板847および回動部材892には貫通孔が設けられ、この貫通孔に左右方向に延在するピン848が挿着される。このため、テーブル891は、ピン848を中心に、先端部がアームレスト804の下方に配置される位置(図15における二点鎖線参照)と、先端部がアームレスト804の上方に配置される位置(図15における実線参照)との間で回動可能である。
【0092】
回動部材892の端部には、ピン848と直交する方向に延在するピン893が設けられる。テーブル891は、基端部がピン893に回動可能に取り付けられる。つまり、テーブル891は、ピン893を中心に、垂直方向に沿う位置(図15参照)と水平方向に沿う位置(図16参照)との間で回動可能である。なお、右側アームレスト104Rには、テーブル891の端部が載置される載置部895が設けられる。載置部895は、右側アームレスト104Rの内側に収納可能である。
【0093】
テーブル891は、ステアリングホイールSWに沿って湾曲する湾曲部891aを有する。湾曲部891aは、ステアリングホイールSWに干渉しないように形成される逃げ部である。テーブル891を使用する際には、図15において二点鎖線で示される非使用状態のテーブル891を、矢印Aに示すようにピン848を中心に回動させて垂直に立ち上げた後、矢印Bに示すようにピン893を中心に回動させ、図16に示すようにテーブル891の先端部を右側アームレスト104Rの載置部895に載置させる。なお、テーブル891を載置部895で固定するロック機構を設けてもよい。
【0094】
なお、テーブル891の先端部を固定する載置部895を所定の回動角度で回動可能な構成としてもよい。載置部895は、左右方向に延在する回動軸を介して右側アームレスト804Rに連結される。載置部895は回動軸を中心に、所定の回動範囲で回動可能である。これにより、テーブル891を所定の角度に傾斜させることができるので、車両用シートSをリクライニングさせた状態のときに、テーブル891の角度を調整し、本やスマートフォン等の情報端末を乗員の見やすい位置に設定することができる。このため、自動運転状態における車両の快適性を向上することができる。
【0095】
[その他の実施形態]
さらに、車両用シートSは、車両の運転モードに応じて、以下に示すような形態をとってもよい。
【0096】
例えば、自動運転レベル4以上の自動運転モードが設定され、乗員により車両用シートSをリクライニングする操作がなされたときに、ドアDR側のアームレスト104を使用状態に位置させるように回動する電動モータを設けてもよい。さらに、左右のアームレスト104において乗員の腕部が載置可能な上面の面積が拡張するように、アームレスト104内に収納されたサブアームレストを前方にスライド移動させるような構成としてもよい。
【0097】
ところで、レベル2やレベル3の自動運転モードでは、運転者はステアリングホイールSWから手を離してはいるものの、緊急時等に即座にステアリングホイールSWを操作可能なようにステアリングホイールSWの近傍に手を置いておく必要があり、このことが運転者にとって負担となりやすい。そこで、所定の自動運転モードが設定された場合に、運転席シートS1に着座する乗員の上腕(肩の関節と肘ひじの関節との間の部分)を下方から支持する補助アームレストを、車両用シートSに設けるようにしてもよい。補助アームレストとしては、例えば、土手部115に回動自在に設けられる回動式補助アームレストを採用することができる。回動式補助アームレストは、手動運転モードが設定されている場合、運転者に触れない位置に格納される。車両の運転モードが手動運転モードから所定レベルの自動運転モードに切り替えられると、回動式補助アームレストは、回動して乗員の上腕を下方から支持する支持位置に配置される。この構成によれば、所定レベルの自動運転モードにおいて、補助アームレストによって上腕を支持することができるため、運転者の疲労を軽減することができる。また、運転者は、スマートフォン等の情報端末の操作を容易に行うことも可能であり、快適性を向上することができる。
【0098】
補助アームレストの構成は、上記回動式補助アームレストに限定されない。例えば、土手部115の一部に膨張可能な膨張部を設け、この膨張部を補助アームレストとして用いてもよい。車両の運転モードが手動運転モードに設定されている場合、膨張部は収縮状態であり、所定レベルの自動運転モードに切り替えられると、膨張式補助アームレストが膨張し、膨張部により運転者の上腕を下方から支持する。この場合も、運転者の疲労を軽減することができる。
【0099】
また、アームレスト104を電動モータ等により回動可能に構成するとともに、アームレスト104の先端部に電動モータ等により回動可能に取り付けられる補助アームレストを設けてもよい。この補助アームレストは、車両の運転モードが手動運転モードに設定されている場合、アームレスト104の先端部から前方に延在するように配置される。車両の運転モードが例えばレベル3以上の自動運転モードに設定されると、電動モータ等によりアームレスト104が格納状態まで移動し、さらに、補助アームレストが電動モータ等により90度回転し、運転者の上腕を下方から支持する。この場合も、運転者の疲労を軽減することができる。
【0100】
自動運転モードが設定された場合に操作可能となる入出力装置50(図2)をアームレスト104に設けてもよい。入出力装置50は、例えば、アームレスト104の先端部における上面または側面に設けられるトラックボール、タッチパネル等である。また、入出力装置50は、カメラによる撮像データを用いたジェスチャーコントロール機能を備えた装置を用いてもよい。さらに、入出力装置50は、音声により所定の車載システム1の各部を制御する音声認識機能を備えていてもよい。
【0101】
アームレスト104に照明部を設けてもよい。照明部は、アームレスト104の動作、車両の運転モードに応じて点灯、消灯が制御される。例えば、照明部は、自動運転モードから手動運転モードに切り替えられるときに、点滅するように制御され、手動運転モードに切り替えられることを運転者に報知する。また、照明部は、アームレスト104が移動する際、移動中であることを認識させるために点滅したり、移動方向を認識させるように点灯部が移動したりするように構成してもよい。また、照明部は、例えばレベル3以上の自動運転モードが設定されている場合に、本等の対象物を照らすように制御される。さらに、照明部は、例えば乗員が車両を乗り降りする際に点灯するように制御される。なお、照明部は、任意の場所を照らすことができるように、移動可能なように設けられることが好ましい。
【0102】
アームレスト104は、手動運転モードのときと自動運転モードのときとで、乗員の腕部が載置される部位の幅が変更可能なように構成されていてもよい。例えば、アームレスト104が前に倒された使用状態において、所定レベル(例えばレベル4以上)の自動運転モードが設定され、乗員により車両用シートSをリクライニングさせる操作が行われると、アームレスト104の長手方向に沿って延びる軸を中心に90度程度アームレスト104を回動させる。これにより、手動運転モードのときに側面であった部位が、上面に位置し、乗員の腕部を載せることが可能になる。つまり、手動運転モードのときにおけるアームレスト104の側面の幅が、上面の幅よりも大きくなるように、アームレスト104を縦長の矩形断面形状に形成しておくことで、所定レベルの自動運転モードが設定されたときに、乗員の腕部を支持する部位の幅を拡張することができる。このように、自動運転レベル、および/またはリクライニングの操作に応じて、アームレスト104における乗員の腕部が載置される部位の幅を可変可能に構成することにより、車両内での快適性を向上することができる。
【0103】
アームレスト104に液晶パネル等の表示装置を設けてもよい。さらに、車両用シートSのリクライニングの角度に応じて、表示装置の表示画面の角度を変更するようにしてもよい。表示装置には、例えばアームレスト104内に配策されるハーネスを介してカメラ16(図2)からの情報が入力され、表示装置には、例えば車両の後方の映像を表示することができる。これにより、自動運転状態のときに、乗員はアームレスト104の表示装置の表示画面によって、車両の後方の様子を確認することができる。
【0104】
アームレスト104に車内カメラ39(図2)を設けてもよい。この場合、例えばアームレスト104に設けられた車内カメラ39により撮影された運転者の画像情報が車内状況監視ECU40に出力され、車内状況監視ECU40により運転者がモニタリングされる。アームレスト104にスマートフォン等の情報端末を保持するホルダや情報端末の充電が可能な充電器を設けてもよい。
【0105】
手動運転モードが設定されている場合のアームレスト104の可動範囲に比べて、自動運転モードが設定されている場合のアームレスト104の可動範囲が大きくなるように、可動範囲を調整可能な装置を設けてもよい。これにより、手動運転状態のときに、アームレスト104が意図せずに動くなどして、運転の妨げになるようなことが防止され、自動運転状態のときに、アームレスト104を任意の位置に移動させ、快適性を向上することができる。
【0106】
上記実施形態のように、車両用シートSの左右にアームレスト104が設けられる形態では、ドアDR側のアームレスト104が乗員の乗り降りの際に妨げとなる場合がある。このため、ドアDRの開閉スイッチの操作に連動して、アームレスト104の先端部が車外に位置するようにアームレスト104を回動させ、乗員の乗り降りの経路を確保するようにしてもよい。この場合、アームレスト104の先端部に設けられた照明部を点滅、あるいは点灯させ、後方の他車両の運転者に対し、ドアDRが開閉され、アームレスト104が車外に突出している状態であることを報知することが好ましい。アームレスト104が車内から車外に向かって側方に延在して配置されるので、乗員が乗り降りする際につかまることができる。つまり、乗員が乗り降りする際のサポート部材として、アームレスト104を用いることができる。
【0107】
車両の運転モードに応じて、左右のアームレスト104の間隔を変更するように構成してもよい。例えば、自動運転モードが設定されている場合の左右のアームレスト104の間隔を手動運転モードが設定されている場合に比べて大きくする。これにより、自動運転モードでの快適性を向上できる。この場合、自動運転モードから手動運転モードに切り替えられる際、左右のアームレスト104が運転者の胴体に近づくように移動し、左右のアームレスト104の間隔が小さくなる。運転者の腕部は、左右のアームレスト104の移動により、内側に移動させられるため、手動運転モードに切り替えられることを直感的に認識することができる。
【0108】
自動運転モードと手動運転モードとで車両に搭載されるエアバッグの作動範囲が変更されるようにしてもよい。例えば、自動運転モードでは、手動運転モードの時に比べてエアバッグの作動範囲を拡大させてもよい。これにより、自動運転モードにおいて運転席シートS1がリクライニングされている状態において乗員を適切に保護することができる。自動運転モードから手動運転モードへの切換時に、アームレスト104を可動してステアリングホイールSWに運転者の腕部を誘導させるようにしてもよい。
【0109】
上記の実施形態では、車両用シートを乗物用シートの一例として説明したが、本発明は、エアバッグを設けることが可能な車両以外の種々の乗物における乗物用シートに適用可能である。
【0110】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0111】
101・・・シートクッション、102・・・シートバック、104・・・アームレスト、107・・・エアバッグ収容部(収容部)、170・・・エアバッグモジュール、171・・・エアバッグ、115・・・土手部、108・・・破断部、241・・・取付部、243・・・連結部、550・・・スライド移動装置(移動装置)、650・・・回動装置(移動装置)、750・・・移動機構、104c・・・逃げ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16