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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20240718BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20240718BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W40/02
G08G1/14 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021010807
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114526
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日栄 悠
(72)【発明者】
【氏名】丸木 大樹
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 美帆
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-127065(JP,A)
【文献】特開2010-186257(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0039605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B62D 6/00- 6/10
B60R 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラにより撮像された車両の周辺領域の画像に含まれる1つ以上の特徴点を抽出するとともに1つ以上の前記特徴点に関する情報を取得するように構成される画像処理装置と、
前記車両の位置を測定する測位装置と、
前記カメラによって撮像された駐車場の入口の風景の画像に含まれる前記特徴点に関する情報、前記車両が前記駐車場の入口に到達して停車した際の前記車両の位置である第一位置、前記第一位置における前記車両の方向である第一方向、および前記第一位置に位置する前記車両を基準とする前記駐車場が存在する方向を前記駐車場の駐車場情報として登録するように構成されているとともに、登録されている前記特徴点に関する情報と前記カメラによって撮像された前記車両の前記周辺領域の画像に含まれる前記特徴点に関する情報とを照合することによって前記駐車場の入口に前記車両が到達したか否かを判定し、前記駐車場情報が登録されている前記駐車場の入口に前記車両が到着したと判定した場合、前記駐車場情報が登録されている前記駐車場への前記車両の駐車を支援するように構成されている制御装置と、
を有しており、
前記制御装置は、前記車両の走行中に、前記測位装置から取得した前記車両の位置の経時変化に基づいて推定される前記車両の方向および登録されている前記駐車場情報に基づいて、前記駐車場情報が登録されている前記駐車場が前記車両のいずれの側に存在するかを推定し、
前記画像処理装置は、前記車両の走行中において前記車両から前記駐車場情報が登録されている前記駐車場の入口までの距離が閾値以下であるか否かを判定し、前記距離が前記閾値以下である場合、前記カメラにより撮像された前記車両の前記周辺領域の画像に含まれる前記特徴点のうちの前記駐車場情報が登録されている前記駐車場が存在すると推定した側に存在する前記特徴点の抽出を実行し前記駐車場情報が登録されている前記駐車場が存在すると推定しなかった側に存在する前記特徴点の抽出を実行せず、前記距離が前記閾値超である場合、前記カメラにより撮像された前記車両の前記周辺領域の画像に含まれる前記特徴点抽出を実行しない、
駐車支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車支援装置であって、
前記制御装置は、前記駐車場の入口に到達して停車した際の前記車両の位置が登録されていない前記駐車場から前記車両が移動を開始すると、前記駐車場からの前記車両の走行距離および走行方向の変化を含む情報である走行履歴情報を蓄積し、
前記車両が前記駐車場から移動を開始した後において、前記測位装置から前記車両の位置を取得できた場合、前記車両の位置および前記走行履歴情報から前記駐車場の位置を逆算し、逆算して得られた位置を前記駐車場の位置として登録する、
駐車支援装置。
【請求項3】
請求項に記載の駐車支援装置であって、
前記制御装置は、前記第一方向が登録されていない前記駐車場から前記車両が移動を開始すると、前記駐車場からの走行方向の変化を含む情報である走行履歴情報を蓄積し、
前記車両が前記駐車場から移動を開始した後において、前記測位装置から取得した前記車両の位置の経時変化に基づいて前記車両の方向を推定できた場合、推定した前記車両の方向および前記走行履歴情報から前記第一方向を逆算して登録する、
駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺領域に存在する駐車場に車両を自動的に駐車させることができる駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両を駐車場に駐車する際に当該駐車場についての情報(以下、「駐車場情報」と記す)と登録する登録モードと、駐車場情報が登録済みである駐車場に車両を自動的に駐車する自動運転モードと、で動作する駐車支援装置が開示されている。この駐車支援装置は、車両の周囲に存在する立体物を撮影可能なカメラを有している。そして、この駐車支援装置は、登録モードで動作中においては、カメラにより車両の周囲の風景を撮影するとともに、撮影した画像中の立体物(すなわち、駐車場に存在する立体物、または駐車場の周囲に存在する立体物)の特徴点を当該駐車場の駐車場情報として登録する。一方、この駐車支援装置は、自動運転モードで動作中には、カメラにより車両の周囲の風景を撮影し、撮影した画像から駐車場情報を取得する。これによりこの駐車支援装置は、自動運転モードで動作中には、車両と駐車場との位置関係を把握しつつ、車両を自動的に駐車場に駐車することができる。
【0003】
このような駐車支援装置は、車両の周辺の地面に存在する特徴点を抽出し、抽出した特徴点と登録済みの駐車場の特徴点をと照合することにより、車両の周辺に登録済みの駐車場が存在するか否かを判定するように構成されている。そして、駐車支援装置は、車両が登録済みの駐車場の入口に到達した場合に、当該登録済みの駐車場への車両の駐車を支援できるように、走行中に車両の周辺の地面に存在する特徴点の抽出を実行する。このような構成であると、車両が登録済みの駐車場から遠い位置に存在しているにもかかわらず、駐車支援装置が特徴点の抽出を実行することがあるため、駐車支援装置の処理負荷が大きいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-138664号公報
【発明の概要】
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。すなわち、本発明の目的の1つは、処理負荷を低減できる駐車支援装置を提供することである。
【0006】
(課題を解決するための手段)
本発明に係る駐車支援装置(10)は、カメラ(113,114,115,116)により撮像された車両(10)の周辺領域の画像に含まれる1つ以上の特徴点を抽出するとともに1つ以上の前記特徴点に関する情報を取得するように構成される画像処理装置(102)と、
前記車両(10)の位置を測定する測位装置(126)と、
前記カメラ(113,114,115,116)によって撮像された駐車場(PS)の入口の風景の画像に含まれる前記特徴点に関する情報、前記車両(10)が前記駐車場(PS)の入口に到達して停車した際の前記車両(10)の位置である第一位置(P )、前記第一位置(P )における前記車両(10)の方向である第一方向(D )、および前記第一位置(P )に位置する前記車両(10)を基準とする前記駐車場(PS)が存在する方向を前記駐車場(PS)の駐車場情報として登録するように構成されているとともに、登録されている前記特徴点に関する情報と前記カメラ(113,114,115,116)によって撮像された前記車両(10)の前記周辺領域の画像に含まれる前記特徴点に関する情報とを照合することによって前記駐車場(PS)の入口に前記車両(10)が到達したか否かを判定し、前記駐車場情報が登録されている前記駐車場(PS)の入口に前記車両(10)が到着したと判定した場合、前記駐車場情報が登録されている前記駐車場(PS)への前記車両(10)の駐車を支援するように構成されている制御装置(101)と、
を有しており、
前記制御装置(10)は、前記車両(10)の走行中に、前記測位装置(126)から取得した前記車両(10)の位置の経時変化に基づいて推定される前記車両(10)の方向および登録されている前記駐車場情報に基づいて、前記駐車場情報が登録されている前記駐車場(PS)が前記車両(10)のいずれの側に存在するかを推定し、
前記画像処理装置(102)は、前記車両(10)の走行中において前記車両(10)から前記駐車場情報が登録されている前記駐車場(PS)の入口までの距離が閾値以下であるか否かを判定し、前記距離が前記閾値以下である場合、前記カメラ(113,114,115,116)により撮像された前記車両(10)の前記周辺領域の画像に含まれる前記特徴点のうちの前記駐車場情報が登録されている前記駐車場(PS)が存在すると推定した側に存在する前記特徴点の抽出を実行し前記駐車場情報が登録されている前記駐車場(PS)が存在すると推定しなかった側に存在する前記特徴点の抽出を実行せず、前記距離が前記閾値超である場合、前記カメラ(113,114,115,116)により撮像された前記車両(10)の前記周辺領域の画像に含まれる前記特徴点抽出を実行しない。
【0007】
本発明によれば、車両(10)から駐車場情報が登録されている駐車場(以下、「登録済みの駐車場(PS)」と記す)の入口までの距離が閾値超であると、画像処理装置(102)は車両(10)の周辺領域に存在する特徴点の抽出を実行しない。したがって、画像処理装置(102)の処理負荷の低減を図ることができる。さらに、本発明によれば、登録済みの駐車場(PS)の誤認識を防止または低減できる。すなわち、登録済みの駐車場(PS)の駐車場情報に含まれる特徴点に関する情報が類似している他の駐車場が存在する場合であっても、当該他の駐車場が登録済みの駐車場(PS)からの距離が大きい場合、画像処理装置(102)は、当該他の駐車場についての特徴点を抽出しない。したがって、当該他の駐車場を登録済みの駐車場(PS)であると誤認識されることが防止または抑制される。
【0009】
また、画像処理装置(102)は、駐車支援装置(100)に駐車場情報が登録されている場合、登録済みの駐車場が存在すると推定される側に存在する特徴点を抽出するが、登録済みの駐車場が存在すると推定されない側に存在する特徴点を抽出しない。したがって、画像処理装置(102)の処理負荷の低減を図ることができる。そして、画像処理装置(102)の処理負荷を低減させることにより、画像処理装置(102)が有する処理能力を、登録済みの駐車場が存在すると推定される側に存在する特徴点の抽出に割り当てることができる。
【0010】
本発明の一側面において、
前記制御装置(101)は、前記駐車場(PS)の入口に到達して停車した際の前記車両(10)の位置が登録されていない前記駐車場(PS)から前記車両(10)が移動を開始すると、前記駐車場(PS)からの前記車両(10)の走行距離および走行方向の変化を含む情報である走行履歴情報を蓄積し、
前記車両(10)が前記駐車場から移動を開始した後において、前記測位装置(126)から前記車両(10)の位置を取得できた場合、前記車両(10)の位置および前記走行履歴情報から前記駐車場(PS)の位置を逆算し、逆算して得られた位置を前記駐車場(PS)の位置として登録する。
【0011】
このような構成によれば、事後的に駐車場(PS)の位置を登録できる。そして、駐車場(PS)の位置を登録した後は、前記のとおり、登録済みの駐車場ではない他の駐車場を登録済みの駐車場であると誤認識されることが防止または抑制される。さらに、画像処理装置(102)の処理負荷の低減を図ることができる。
【0012】
本発明の一側面において、
前記制御装置(101)は、前記第一方向(D)が登録されていない前記駐車場(PS)から前記車両(10)が移動を開始すると、前記駐車場(PS)からの走行方向の変化を含む情報である走行履歴情報を蓄積し、
前記車両(10)が前記駐車場(PS)から移動を開始した後において、前記測位装置(126)から取得した前記車両(10)の位置の経時変化に基づいて前記車両(10)の方向を推定できた場合、推定した前記車両(10)の方向および前記走行履歴情報から前記第一方向(D)を逆算して登録する。
【0013】
このような構成によれば、駐車場(PS)の入口に到達した際の前記車両(10)の方向を登録できる。そして、駐車場(PS)の入口に到達した際の前記車両(10)の方向を登録した後は、前記のとおり、画像処理装置(102)の処理負荷の低減を図ること、および画像処理装置(102)が有する処理能力を、登録済みの駐車場が存在すると推定される側に存在する特徴点の抽出に割り当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、車両駐車支援装置を示す図である。
図2図2は、車両と駐車場との位置関係を示す図である。
図3図3は、車両に対する登録済みの駐車場の存在方向を示す上面図である。
図4図4は、CPUが実行するルーチンを示すフローチャートである。
図5図5は、CPUが実行するルーチンを示すフローチャートである。
図6図6は、CPUが実行するルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る駐車支援装置100は、車両10に適用される。以下、本発明の実施形態に係る駐車支援装置100を「本装置100」と記すことがある。図1に示されるように、本装置100は、車両制御ECU101、画像認識ECU102、エンジンECU103、ブレーキECU104、EPS・ECU105、SBW・ECU106、およびPM・ECU107を有している。各ECUはマイクロコンピュータを含む。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、読み書き可能な不揮発性メモリおよびインターフェース等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。これらのECUは、CAN(Controller Area Network)を介してデータ交換可能(通信可能)に互いに接続されている。従って、ある1つのECUに接続されたセンサによる検出結果およびスイッチ等に対する操作は、当該ある1つのECUとは別のECUも取得できる。
【0016】
車両制御ECU101には、複数のソナーセンサ111および駐車支援スイッチ112が接続されている。各ソナーセンサ111は、超音波を利用する周知なセンサである。各ソナーセンサ111は、超音波を所定の範囲に出射するとともに、物体によって反射した反射波を受信する。そして、各ソナーセンサ111は、超音波の送信から受信までの時間に基づいて立体物の有無および立体物までの距離を検出し、検出結果を車両制御ECU101に送信する。駐車支援スイッチ112は、車両10の使用者(運転者)が操作可能なスイッチである。車両制御ECU101は駐車支援スイッチ112への操作を検出できる。
【0017】
画像認識ECU102には、前方カメラ113、後方カメラ114、右側方カメラ115および左側方カメラ116が接続されている。前方カメラ113は、フロントバンパーの車幅方向の略中央部に設けられており、車両10の前方の風景を撮影して画像データ(以下、前方画像データと記す)を生成する。後方カメラ114は、車両10の後部のリアトランクの壁部に設けられており、車両10の後方の風景を撮影して画像データ(以下、後方画像データと記す)を生成する。右側方カメラ115は、右側のドアミラーに設けられており、車両10の右側の風景を撮影して画像データ(以下、右側方画像データと記す)を生成する。左側方カメラ116は、左側のドアミラーに設けられており、車両10の左側の風景を撮影して画像データ(以下、左側方画像データと記す)を生成する。各カメラ113,114,115,116は、生成した画像データを画像認識ECU102に逐次送信する。
【0018】
画像認識ECU102は、各カメラ113,114,115,116から受信した前方画像データ、後方画像データ、右側方画像データおよび左側方画像データを用いて周辺画像データを生成する。周辺画像データに基づいて表示(生成)される画像は周辺画像と称呼される。周辺画像は、車両10の周辺領域の少なくとも一部の範囲に対応する画像であり、カメラ視点画像および合成画像を含む。カメラ視点画像は、各カメラ113,114,115,116のそれぞれのレンズの配設位置を視点とする画像である。合成画像には、車両10の周囲の任意の位置に設定された仮想視点から車両10の周囲を見た画像(「仮想視点画像」とも称呼される。)が含まれる。この仮想視点画像の生成方法は、周知である。例えば、特開2012-217000号公報、特開2016-192772号公報および特開2018-107754号公報等を参照。
【0019】
画像認識ECU102は、生成した周辺画像データに対して公知の画像解析処理を施すことによって、周辺画像データに含まれている1つ以上の特徴点を抽出できる。特徴点は、周辺画像データに含まれる微小な領域であって、輝度の変化が閾値以上である領域(換言すると、輝度が急激に変化する領域)である。さらに、画像認識ECU102は、検出した特徴点を含む範囲(以下、特徴範囲と記す)の濃淡情報を取得する。具体的には、画像認識ECU102は、取得した1つの特徴点を中心として一辺が所定長の正方形の範囲を当該1つの特徴点に対応する特徴範囲に設定するとともに、設定した特徴範囲をそれぞれ複数の分割範囲(具体的には、5行5列の行列状に並ぶ25個の正方形)に分割する。そして、画像認識ECU102は、各分割範囲の輝度を取得し、各分割範囲についての「平均輝度(すなわち、すべての分割範囲の輝度の平均値)からの差分(=(各分割範囲の輝度)-(すべての分割範囲の輝度の平均値))」を演算する。画像認識ECU102は、演算した前記差分を、各特徴範囲における輝度の高低の傾向を示す濃淡情報として取得する。
【0020】
画像認識ECU102は、検出した各特徴点の位置情報(3次元位置)および各特徴点に対応する各特徴範囲の濃淡情報を含む情報を、各特徴点に関する情報(以下、「特徴点情報」と記す)として、各特徴点を識別するID情報と関連付けて不揮発性メモリに記憶できる。さらに、画像認識ECU102は、所定時間が経過する毎に、特徴点情報を車両制御ECU101に送信する。
【0021】
エンジンECU103は、エンジンアクチュエータ117およびアクセルペダルセンサ118に接続されている。エンジンアクチュエータ117は、車両10の駆動力源であるエンジン(内燃機関)のスロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。アクセルペダルセンサ118は、図略のアクセルペダルの操作量を取得できるように構成されている。そして、エンジンECU103は、アクセルペダルの操作量に応じてエンジンアクチュエータ117を駆動することによって、エンジンが発生するトルクを変更できる。エンジンが発生するトルクは、変速機123を介して駆動輪に伝達される。このように、エンジンECU103は、エンジンアクチュエータ117を制御することによって、車両10の駆動力を制御できる。なお、車両10がハイブリッド車両である場合、エンジンECU103は、駆動力源としての「エンジンおよび電動機」の何れか一方または両方によって発生する車両10の駆動力を制御できる。更に、車両10が電気自動車である場合、エンジンECU103は、駆動力源としての電動機によって発生する車両10の駆動力を制御できる。
【0022】
車両制御ECU101は、エンジンECU103に対して、駆動指令を送信することができる。エンジンECU103は、車両制御ECU101から駆動指令を受信すると、受信した駆動指令にしたがってエンジンアクチュエータ117を自動的に(すなわち、運転者によるアクセルペダルの操作を必要とせずに)制御する。
【0023】
ブレーキECU104は、ブレーキアクチュエータ119およびブレーキペダルセンサ120に接続されている。ブレーキペダルセンサ120は、図略のブレーキペダルの操作量を取得するように構成されている。ブレーキECU104は、ブレーキペダルの操作量に応じてブレーキアクチュエータ119を動作させることにより、ブレーキペダルの操作量に応じた制動力を車輪に付与する。
【0024】
車両制御ECU101は、ブレーキECU104に対して、制動指令を送信することができる。ブレーキECU104は、車両制御ECU101から制動指令を受信すると、受信した制動指令にしたがってブレーキアクチュエータ119を制御する。このため、ブレーキECU104は、ブレーキアクチュエータ119を制御することによって車両10の制動力を自動的に(すなわち、運転者によるブレーキペダルの操作を必要とせずに)制御できる。
【0025】
EPS・ECU105は、周知の電動パワーステアリングシステムの制御装置である。EPS・ECU105は、転舵用モータのモータドライバ121および操舵角センサ122に接続されている。転舵用モータは、モータドライバ121から供給される電力によってトルクを発生し、このトルクによって操舵アシストトルクを発生したり、左右の操舵輪を転舵したりすることができる。すなわち、転舵用モータは、車両10の操舵角(「転舵角」または「舵角」とも称呼される。)を変更することができる。更に、EPS・ECU105は、操舵角センサ122に接続されている。操舵角センサ122は、車両10の操舵ハンドルの操舵角を検出し、操舵角を表す信号を出力するように構成されている。EPS・ECU105は、この転舵用モータの駆動によって図略のステアリング機構に操舵トルク(操舵アシストトルク)を付与し、これにより、運転者の操舵操作をアシストすることができる。
【0026】
車両制御ECU101は、EPS・ECU105に操舵指令を送信できる。EPS・ECU105は、車両制御ECU101から操舵指令を受信すると、受信した操舵指令にしたがって転舵用モータを制御する。このように、車両制御ECU101は、EPS・ECU105を介して車両10の転舵輪の操舵角を自動的に(すなわち、運転者による操舵操作を必要とせずに)変更できる。
【0027】
SBW・ECU106は、変速機123および/または駆動方向切替え機構(図示省略)、並びにシフト位置センサ124に接続されている。シフト位置センサ124は、変速操作部の可動部としてのシフトレバーの位置を検出する。シフトレバーの位置には、駐車位置(P)、前進位置(D)および後進位置(R)が含まれる。SBW・ECU106は、シフトレバーの位置をシフト位置センサ124から受け取り、その位置に基づいて車両10の変速機123および/または駆動方向切替え機構(図示省略)を制御する(すなわち、車両10のシフト制御を行う)。
【0028】
PM・ECU107は、車両10の各部に供給する電力を制御する。イグニッションスイッチ125は、PM・ECU107に接続されている。PM・ECU107は、イグニッションスイッチ125をONにする操作を検出すると、車両10の各部への動作用の電力の供給を開始し、イグニッションスイッチ125をOFFにする動作を検出すると、車両10の各部への動作用の電力の供給を停止する。
【0029】
GNSS装置126は、測位衛星が発する電波を受信し、受信した電波に基づいて車両10の位置(具体的には、経度および緯度)を逐次測定する。そしてGNSS装置126は、測定した車両10の位置を車両制御ECU101に逐次送信する。
【0030】
車両制御ECU101は、GNSS装置126が測定した車両10の位置の経時変化に基づいて、車両10の方向(以下、「車両方向」と記す)を推定できる。車両方向は、基準方向に対する車両10の前後方向の軸線のなす角度で示される。例えば、基準方向を「北」とし、時計回りの方向を正の方向とすると、車両10が西向きである場合の車両方向は「270°」である。なお、車速が低いと車両10の位置の経時変化が小さいため、車両10の位置の経時変化を精度良く検出できないことがある。車両10が旋回中であると、車両10の進行方向が時間の経過とともに変化するため、車両方向を一方向に特定できないことがある。そこで、車両制御ECU101は、車速が所定の閾値以上(一例として10km/h)であり、かつ、操舵角の絶対値が所定の閾値(一例として10°)以下である場合、GNSS装置126による車両10の位置の経時変化に基づいて車両方向を推定してもよい。
【0031】
HMI(Human Machine Interface)127は、車両10の運転者が視認可能かつ操作可能な箇所に配置されている。HMI127は、画像を表示できるとともにタッチ操作を受け付けるタッチパネル表示器を有している。車両制御ECU101は、HMI127のタッチパネル表示器に各種の画像を表示させることができるとともに、タッチパネル表示器に対する操作を検出できる。
【0032】
車速センサ128は、車速を検出できる。走行距離センサ129は、車両10の走行距離を検出できる。車両制御ECU101は、車速センサ128が検出した車速および走行距離センサ129が検出した車両10の走行距離を取得できる。車両制御ECU101は、走行距離センサ129から車両10の走行距離を取得し、操舵角センサ122から操舵角を取得することにより、車両10の走行履歴情報を蓄積する。走行履歴情報は、所定の地点からの走行経路に関する情報である。走行履歴情報には、例えば、所定の地点からの走行距離、および車両10の走行方向の変化の履歴が含まれる。
【0033】
<本装置100の動作の概要>
本装置100は、駐車支援制御を実行可能に構成されている。駐車支援制御は、駐車場PSに目標駐車範囲TAを設定し、運転者によるアクセルペダルの操作、ブレーキペダルの操作、および操舵ハンドルの操作を要することなく、車両10を目標駐車範囲TAに駐車する制御である。なお、「目標駐車範囲TA」は、駐車場PSにおいて車両10が収まる範囲であり、上面視において車両10と略同一の形状および寸法を有する範囲である。さらに、本装置100は、駐車場PSに関する情報を登録可能に構成されている。以下、駐車場PSに関する情報を「駐車場情報」と記す。駐車場情報の具体的な内容については後述する。さらに、説明の便宜上、駐車場情報が登録されていない駐車場を「未登録の駐車場PS」、駐車場情報が登録されている駐車場を「登録済みの駐車場PS」と記して区別することがある。
【0034】
ここでは、図2に示すように、運転者が車両10を駐車場PSに駐車するために当該駐車場PSの入口またはその近傍に車両10を一時的に停車させた位置から車両10を後進させて当該駐車場PSに直角駐車させる制御を例に示す。図2は、車両10と駐車場PSとの位置関係を示す図である。より具体的には、図2は、運転者が車両10を駐車場PSに駐車するために当該駐車場PSの入口またはその近傍に車両10を一時的に停車させた状態(すなわち、車両10が駐車場PSの入口またはその近傍に到達した状態)および駐車場PSへの駐車が完了した状態をまとめて示す上面図である。図2に示すように、運転者が未登録の駐車場PSに駐車するとともに当該未登録の駐車場PSの駐車場情報を登録するために当該未登録の駐車場PSの入口またはその近傍に車両10を一時的に停車させた位置を「第一位置P」と記し、その際の車両方向を「第一方向D」と記す。未登録の駐車場PSへの駐車が完了し当該未登録の駐車場PSの駐車場情報の登録された時点(換言すると、当該駐車場PSが「未登録の駐車場PS」から「登録済みの駐車場PS」になった後)での車両10の位置を「第二位置P」と記し、その際の車両方向を「第二方向D」と記す。
【0035】
本装置100に登録される駐車場情報には、少なくとも、第一位置P、第一方向D、「第一位置Pから第二位置P(すなわち、駐車完了位置)に移動するまでの車両方向の変化(換言すると、第一方向Dと第二方向Dとの関係)」、および「車両10が第一位置Pに位置し、車両方向が第一方向Dである場合に、車両10から見た駐車場PSが存在する方向(以下、「第三方向D」と記す)」が含まれる。車両制御ECU101は、「車両10が第一位置Pから第二位置Pに移動するまでの車両方向の変化」、および第三方向Dを、車両10が第一位置Pから第二位置Pに移動するまでの走行履歴に基づいて取得できる。なお、登録される駐車場情報には、「第一位置Pから第二位置Pに移動するまでの車両方向の変化」に代えて、第二方向Dが含まれてもよい。本実施形態では、第三方向Dは、「右」または「左」で表される。図2に示す例では、第一方向Dが「西(「北」を基準として時計回り方向を正とする角度で示すと270°)」であり、第三方向Dが「左」である。
【0036】
(未登録の駐車場PSに駐車するとともに当該未登録の駐車場PSの駐車場情報を登録する動作)
車両制御ECU101は、車両10の走行中に車速が閾値以下になると、車両10の周辺領域に存在する特徴点の抽出を開始するための前提条件が成立したと判定する。そして、本装置100に駐車場情報が登録されていない場合、車両制御ECU101は、前提条件が成立している間(すなわち、車速が閾値以下である間)、画像認識ECU102に、車両10の周辺領域のうちの車両10の左右両側の所定の範囲に存在する特徴点の抽出を実行させる。そして、画像認識ECU102は、周辺画像データのうちの車両10の右側に対応する所定の範囲および車両10の左側に対応する所定の範囲に対して特徴点を抽出する処理を実行する。
【0037】
車両制御ECU101は、特徴点の抽出後であって停車している間に駐車支援スイッチ112の操作を検出すると、HMI127に設定画像を表示させる。設定画像には、平面視画像、目標駐車範囲画像、移動ボタン画像および確定ボタン画像が含まれる。車両10の周辺領域に未登録の駐車場PSが存在する場合(換言すると、登録済みの駐車場PSが存在しない場合)に表示させる設定画像には、さらに登録ボタン画像が含まれる。平面視画像は、車両10および車両10の周辺の範囲であって駐車場PSを含む範囲の風景を鉛直上側から見た画像であり、画像認識ECU102によって生成される画像である。目標駐車範囲画像は、目標駐車範囲TAを示す四角形の枠状の画像であり、平面視画像に重畳して表示される画像である。移動ボタン画像は、目標駐車範囲画像を移動させるために使用者が操作する画像である。車両制御ECU101は、移動ボタン画像へのタッチ操作を検出すると、タッチ操作に応じて平面視画像上の目標駐車範囲画像を移動させる。
【0038】
確定ボタン画像は、目標駐車範囲画像の位置を目標駐車範囲TAとして設定する(確定する)ために使用者が操作する画像である。車両制御ECU101は、設定画像を表示中に確定ボタン画像へのタッチ操作を検出すると、平面視画像に写っている駐車場PSに重畳して表示される目標駐車範囲画像の位置および向きを、実際の駐車場PSにおける目標駐車範囲TAの位置および向きとして確定する。そして、車両制御ECU101は、目標駐車範囲TAの位置および向きを確定すると、車両10を目標駐車範囲TAに駐車させるために車両10を走行させる目標走行ルートTRを設定する。登録ボタン画像は、駐車場情報を本装置100に登録するために使用者が操作する画像である。車両制御ECU101は、登録ボタン画像へのタッチ操作を検出すると、画像認識ECU102により認識された駐車場PS(未登録の駐車場PS)の駐車場情報を登録する。
【0039】
さらに、確定ボタン画像へのタッチ操作を検出すると、画像認識ECU102は、抽出した1つ以上の特徴点を、駐車場PSの入口またはその近傍の地面に存在する1つ以上の特徴点(以下、「入口特徴点」と記す)として取得する。なお、駐車場PSの入口またはその近傍の地面とは、図2に示すように車両10の左側に駐車場PSが存在する場合、車両10の左側の所定の領域であって駐車場PSの車両10に近い側の一部の領域を含む地面である。そして、入口特徴点が取得されると、車両制御ECU101は、取得した入口特徴点の仮座標系における座標を仮入口座標としてRAMに格納する。さらに、車両制御ECU101は、画像認識ECU102が取得した入口特徴点に対応する特徴範囲の濃淡情報を、仮入口濃淡情報としてRAMに格納する。なお、仮座標系は、目標駐車範囲TA内の所定位置を原点とした座標系である。
【0040】
車両制御ECU101は、車両10が停車している間の車両10の位置をGNSS装置126から取得するとともに、車両10が停車している間の車両方向を推定する。そして車両制御ECU101は、取得した車両10の位置および推定した方向をRAMに格納する。なお、GNSS装置126は、測位衛星からの電波の受信状態によっては、車両10が停車している間または停車直前の車両10の位置を取得できないことがある。同様に、車両制御ECU101は、車両10が停車している間の車両方向を推定できないことがある。車両制御ECU101は、GNSS装置126から車両10の位置を取得できなかった場合、車両10の位置を「不明」とする。同様に、車両制御ECU101は、車両方向を推定できなかった場合、車両方向を「不明」とする。
【0041】
車両制御ECU101は、目標駐車範囲TAの確定、目標走行ルートTRの確定、駐車場PSの入口特徴点の取得およびRAMへの格納、車両10が停車している間の車両10の位置および車両10が停車している間の車両方向のRAMへの格納を完了すると、HMI127に駐車開始ボタン画像を表示させる。そして、車両制御ECU101は、駐車開始ボタン画像へのタッチ操作を検出すると駐車走行処理を開始する。駐車走行処理は、ソナーセンサ111により検出された車両10の周囲に存在する立体物に関する情報、各カメラ113,114,115,116により撮像した周辺画像、および車速センサ128から取得した車速などに基づいて、車両10を設定した目標走行ルートTRに沿って目標駐車範囲TAまで走行させる処理である。図2に示すように、車両10の左側に駐車場PSが存在する場合、車両制御ECU101は、駐車走行処理を開始すると、まず、車両10を前進させつつ右旋回させ、次いで、後進させつつ左旋回させる。駐車走行処理の実行中であって車両10が後進している間に、画像認識ECU102は、車両10の後方に存在する複数の特徴点を中間特徴点として取得する。そして、車両制御ECU101は、取得された中間特徴点の仮座標系における座標を仮中間座標としてRAMに格納するとともに、取得された中間特徴点に対応する特徴範囲の濃淡情報を仮中間濃淡情報としてRAMに格納する。
【0042】
車両10が後進している間に車両10の移動方向が真っ直ぐになると、画像認識ECU102は、車両10の後方に存在する特徴点を少なくとも1つ以上の後方特徴点として取得する。なお、画像認識ECU102は、車両10が後進している間に車両10の移動方向が真っ直ぐになったとき、およびその後に車両10が所定距離だけ後進したときに後方特徴点を取得してもよい。車両制御ECU101は、後方特徴点に加えて、前方特徴点、左側特徴点および右側特徴点の少なくとも何れかを取得してもよい。
【0043】
そして、車両制御ECU101は、取得された中間特徴点の仮座標系における座標を仮中間座標として取得してRAMに格納すると共に、取得された中間特徴点に対応する特徴範囲の濃淡情報を仮中間濃淡情報として取得してRAMに格納する。
【0044】
車両制御ECU101は、車両10の全体が目標駐車範囲TA内に収まったとき、車両10を停止させて駐車走行処理を終了する。これにより、駐車場PSへの車両10の駐車が完了する。このとき、画像認識ECU102は、前方特徴点、左側特徴点および右側特徴点を取得する。これらの特徴点に加え、画像認識ECU102は、後方特徴点を取得してもよい。
【0045】
そして、画像認識ECU102は、前方分割範囲(車両10の前方の領域を複数に分割して得られる複数の範囲)のそれぞれに存在する少なくとも1つ以上の前方特徴点、左側分割範囲(車両10の左側の領域を複数に分割して得られる複数の範囲)のそれぞれに存在する少なくとも1つ以上の左側特徴点、および右側分割範囲(車両10の右側の領域を複数に分割して得られる複数の範囲)のそれぞれに存在する少なくとも1つ以上の右側特徴点を、最終特徴点として取得する。このとき、画像認識ECU102は、後方特徴点を取得している場合、前記各特徴点に加え、後方分割範囲(車両10の後方の領域を複数に分割して得られる複数の範囲)のそれぞれに存在する少なくとも1つ以上の後方特徴点を最終特徴点として取得してもよい。
【0046】
車両制御ECU101は、取得された最終特徴点の登録座標系における座標を登録座標として取得して登録すると共に、取得された最終特徴点に対応する特徴範囲の濃淡情報を登録濃淡情報として取得して登録する。登録座標系は、目標駐車範囲TAに車両10の駐車が完了したときの車両10の左後輪と右後輪とをつなぐシャフトの車両幅方向の中央の位置を原点とする座標系である。なお、登録座標および登録濃淡情報は、駐車場情報に含まれる。
【0047】
さらに、車両制御ECU101は、入口特徴点の仮座標系における座標(仮入口座標)を登録座標系における座標に変換し、入口特徴点の登録座標系における座標と濃淡情報(登仮入口濃淡情報)を、目標駐車範囲TAを含む駐車場PSの駐車場情報として登録する。同様に、車両制御ECU101は、中間特徴点の仮座標系にける座標を登録座標系における座標に変換し、中間特徴点の登録座標系における座標と濃淡情報を、この目標駐車範囲TAを含む駐車場PS(未登録の駐車場PS)の駐車場情報として登録する。さらに、車両制御ECU101は、前記情報に加え、RAMに格納した車両10の位置(駐車場PSの入口またはその近傍に到達し停車した位置)を第一位置Pとして登録するとともに、RAMに格納した車両方向(第一位置に到達した際の車両方向)を第一方向Dとして登録する。なお。第一位置Pは、「車両10の停車後であって駐車支援スイッチ112の操作が検出された時点における車両10の位置と言うこともできる。
【0048】
なお、車両制御ECU101は、駐車場PSの入口またはその近傍に到達した際の車両10の位置が不明である場合(車両10の位置を取得できなかった場合)、第一位置Pを「不明」として登録する。すなわち、車両制御ECU101は、第一位置Pの具体的な位置を登録しない。同様に、車両制御ECU101は、車両方向を推定できなかった場合、第一方向Dを「不明」として登録する。すなわち、車両制御ECU101は、第一方向Dの具体的な方向を登録しない。そして、車両制御ECU101は、第一位置Pと第一方向Dとの少なくとも一方が「不明」である場合、そのことを示すフラグ(以下、「不明フラグ」と記す)を成立させる。なお、この不明フラグは、成立後にイグニッションスイッチ125がOFF操作された場合であっても、成立が維持される。一方、不明フラグが成立中に車両10が移動すると、車両制御ECU101は、不明フラグを「成立」から「不成立」に変更する。
【0049】
(駐車場に駐車場情報を登録せずに駐車する動作)
車両制御ECU101は、登録ボタン画像へのタッチ操作を検出せずに駐車開始ボタン画像へのタッチ操作を検出した場合、駐車場情報を登録しない。この場合、車両10の後進中および目標駐車範囲TAへの到達後に特徴点の抽出を行わない点と、駐車場情報を登録しない点を除いては、上記「未登録の駐車場PSに駐車するとともに当該未登録の駐車場PSの駐車場情報を登録する動作」と同じである。
【0050】
(登録済みの駐車場の探索)
車両制御ECU101は、本装置100に駐車場情報が登録されている場合、前提条件が成立している間、車両10の位置を取得できたか否か、および車両方向を推定できたか否かに応じて、次の(1)乃至(4)の何れかの処理を実行する。これは、車両制御ECU101は、GNSS装置126による電波の受信状況によっては、車両10の位置と車両方向の少なくとも一方を取得できないことがあるためである。車両制御ECU101は、車両10の位置を測定できたか否か、および車両方向を推定できたか否かに応じて、異なる処理を実行する。
【0051】
(1) 車両10の位置を測定でき、かつ車両方向を推定できた場合
車両制御ECU101は、車両10から登録済みの駐車場PSの入口までの距離が閾値以下であるか否かを判定する。具体的には、車両制御ECU101は、GNSS装置126から取得した車両10の位置、および駐車場情報として登録されている第一位置Pに基づいて、車両10から登録済みの駐車場PSの入口までの距離を演算する。そして、車両制御ECU101は、演算した距離が閾値以下であるか否かを判定する。
【0052】
図3は、車両10に対する登録済みの駐車場PSの存在方向を示す上面図である。車両制御ECU101は、車両方向および登録されている駐車場情報に基づいて、車両10に対する登録済みの駐車場PSの存在方向を推定する。なお、ここで推定する「登録済みの駐車場PSの存在方向」は、「車両10の現在の位置を基準とする(車両10の現在の位置から見た)登録済みの駐車場PSが位置する方向」ではなく、車両10が現在の車両方向Dを維持して登録済みの駐車場PSの入口またはその近傍に到達した場合(すなわち、車両10が第一位置Pに到達した場合)での車両10に対する登録済みの駐車場PSの位置する方向である。この「登録済みの駐車場PSの存在方向」は、「右」または「左」で表される。以下、ここで推定する「登録済みの駐車場PSの存在方向」を「第四方向D」と記す。
【0053】
車両制御ECU101は、車両方向D、第一方向D、および第三方向Dに基づいて、第四方向Dを推定する。なお、図3に示すように、車両方向Dが第一方向Dに対して傾斜していることがある。このため、図3に示す例では、実際の「登録済みの駐車場PSの存在方向」は「左前方」である。ただし、この場合、車両制御ECU101は、第四方向Dを「左」と推定する。具体的には、車両制御ECU101は、車両方向Dと第一方向Dとがなす角度αの絶対値が90°未満であれば、第四方向Dは第三方向Dと同じ方向であると推定する。一方、車両方向Dと第一方向Dとのなす角度αの絶対値が90°超であれば、第四方向Dは第三方向Dと反対方向であると推定する。
【0054】
そして、車両10の走行中、車両10の位置から登録済みの駐車場PSの入口までの距離が閾値以下である場合、車両制御ECU101は、画像認識ECU102に、第四方向Dの側に位置する範囲SAのみ特徴点の抽出を実行させ、その反対方向(すなわち、登録済みの駐車場PSが存在すると推定されなかった方向)の領域の特徴点の抽出を実行させない。図3に示す例であれば、画像認識ECU102は、周辺画像データのうちの車両10の左側に位置する範囲SAに対して特徴点の抽出を実行し、車両10の右側に位置する範囲に対しては特徴点の抽出を実行しない。
【0055】
(2)車両10の位置を取得できたが、車両方向Dを推定できなかった場合
この場合、車両制御ECU101は、登録済みの駐車場PSが車両10の左右のいずれの側に存在するかを判定できない。そこで、車両制御ECU101は、車速が所定の閾値以下であり、かつ、車両10から登録済みの駐車場PSの入口までの距離が閾値以下である場合、画像認識ECU102に、車両10の左右両側に存在する特徴点の抽出を実行させる。すなわち、画像認識ECU102は、周辺画像データのうちの車両10の右側に位置する範囲および左側に位置する範囲に対して特徴点の抽出を実行する。
【0056】
(3)車両方向Dを推定できたが、車両10の位置を測定できなかった場合
この場合、登録済みの駐車場PSが車両10の左右のいずれの側に存在するかを判定できるが、車両10から登録済みの駐車場PSの入口までの距離を測定できない。そこで、車両制御ECU101は、車両方向Dおよび登録されている第一方向Dに基づいて、第四方向Dを推定する。そして、車両制御ECU101は、前提条件が成立している間、画像認識ECU102に、第四方向Dに位置する範囲SAのみ特徴点の抽出を実行させ、その反対方向(すなわち、駐車場が存在すると推定されなかった方向)の領域の特徴点の抽出を実行させない。
【0057】
(4)車両10の位置を取得できず、かつ、車両方向Dを推定できなかった場合
この場合、車両制御ECU101は、車両10から登録済みの駐車場PSの入口までの距離を測定できない。さらに、車両制御ECU101は、登録済みの駐車場PSが車両10の左右のいずれの側に存在するかを推定できない。したがってこの場合、車両制御ECU101は、前提条件が成立している間、画像認識ECU102に、周辺画像データのうちの車両10の右側に位置する範囲および左側に位置する範囲に対して特徴点の抽出を実行させる。
【0058】
その後車両10が停止すると、車両制御ECU101は、取得された特徴点の濃淡情報と登録済み入口特徴点の濃淡情報とを照合する。車両制御ECU101は、取得された特徴点の濃淡情報に、登録済みの入口特徴点の濃淡情報と一致または略一致するものが存在するか否か判断する。そして、一致または略一致する特徴点が存在する場合、車両制御ECU101は、車両10が登録済みの駐車場PSの入口またはその近傍に到達したと判定する。すなわち、車両制御ECU101は、登録済みの駐車場PSが車両10の右側または左側に存在すると判断する。一方、一致または略一致するものが存在しない場合、車両制御ECU101は、車両10が登録済みの駐車場PSの入口またはその近傍に到達していないと判定する。すなわち、車両制御ECU101は、登録済みの駐車場PSが存在しないと判断する。
【0059】
このような制御によれば、画像認識ECU102の処理負荷を低減できる。すなわち、画像認識ECU102は、車両10の位置の取得ができている間は、車両10から登録済みの駐車場PSの入口までの距離が所定閾値超であれば、車両10の周囲に存在する特徴点を取得する処理を実行しない。したがって、画像認識ECU102の処理量を低減させることができるから、画像認識ECU102の処理負荷を低減させることができる。さらに、第四方向Dが推定できた場合、画像認識ECU102は、第四方向Dの側に位置する範囲についてのみ特徴点を抽出する処理を実行する。したがって、車両10の左右両側の範囲に存在する特徴点を抽出する処理に比較して、処理量を低減させることができる。この場合、「登録済みの駐車場PSが存在する側に位置する範囲に存在する特徴点を抽出する処理」に割り当てることができる処理能力を増加させることができる。
【0060】
さらに、このような動作によれば、登録済みの駐車場PSの誤認識を防止または低減できる。すなわち、特徴点の抽出の精度は、日照条件および気象条件の影響を受けることがある。このため、日照条件と気象条件との少なくとも一方が変化した場合であっても登録済みの駐車場PSを認識できるように、車両制御ECU101は、特徴点情報が完全に一致していなくても類似している場合、登録済みの駐車場PSが存在すると判定することがある。このため、車両制御ECU101は、登録済みの駐車場PSとは異なるが特徴点情報が類似している他の駐車場を、登録済みの駐車場PSであると誤認識することがある。上記処理によれば、車両10から登録済みの駐車場PSの入口までの距離が閾値超である場合、画像認識ECU102は特徴点の抽出を実行しないため、登録済みの駐車場PSから離れている別の駐車場を当該登録済みの駐車場PSであると誤認識されることが防止される。
【0061】
(第一位置Pと第一方向Dとの少なくとも一方が「不明」である場合の動作)
車両制御ECU101は、第一位置Pと第一方向Dとの少なくとも一方が「不明」である場合(すなわち、第一位置Pの具遺体的な位置と第一方向Dの具体的な方向との少なくとも一方が登録されていない場合)、次に示す動作を実行する。これにより、車両制御ECU101は、第一位置Pの具体的な位置(経度および緯度)の登録、および第一方向Dの具体的な方向の登録を実行する。
【0062】
イグニッションスイッチ125がONにされると、車両制御ECU101は、駐車場情報を登録する動作の完了後から車両10が移動していないか否かを判定する。具体的には、車両制御ECU101は、イグニッションスイッチ125がONにされると、不明フラグが成立しているか否かを判定する。不明フラグが成立している場合、車両制御ECU101は、駐車場情報を登録する動作の完了後から車両10が移動していないと判定する。
【0063】
車両制御ECU101は、イグニッションスイッチ125がONにされると、イグニッションスイッチ125がONにされた時点において車両10が存在する地点を基準点(座標原点)とする座標系を設定する。なお、第一位置Pが「不明」である場合、この基準点の具体的な位置(経度および緯度)は不明である。そして、車両制御ECU101は、車両10が移動を開始すると、走行履歴情報を蓄積していく。
【0064】
車両10の走行中、車両制御ECU101は、GNSS装置126から車両10の位置を取得できるようになると、車両方向を推定する。そして、車両制御ECU101は、取得した車両10の位置および走行履歴情報を用いて、基準点の位置(経度および緯度)を逆算する。車両制御ECU101は、基準点からの走行距離および基準点からの車両方向の変化を継続的に取得しているから、車両10の位置が明らかになれば、基準点の位置を逆算できる。そして、車両制御ECU101は、逆算した基準点の位置を、登録済みの駐車場PSの駐車場情報の第一位置Pとして登録する。なお、厳密には、基準点の位置は第二位置Pであるが、第一位置Pと第二位置Pは近いため、逆算された基準点の位置を第一位置Pとみなしてよい。
【0065】
同様に、車両制御ECU101は、車両方向を推定できれば、基準点における車両方向(すなわち第二方向D)を逆算できる。そして、車両制御ECU101は、逆算した「基準点における車両方向」および登録されている「第一方向Dと第二方向Dとの関係」に基づいて、第一方向Dを推定する。そして、車両制御ECU101は、推定した第一方向Dを、当該駐車場PSの第一方向Dとして登録する。すなわち、第一方向Dを「不明」から「逆算により推定した車両方向」に変更する。
【0066】
このような動作によれば、未登録の駐車場PSに車両10を駐車する際に第一位置Pの具体的な位置と第一方向Dの具体的な方向との少なくとも一方を登録できなかった場合であっても、その後に登録できる。そして、これらが登録された後であれば、前述のように、登録済みの駐車場の誤認識の防止または低減、および画像認識ECU102の処理負荷の低減を図ることができる。
【0067】
なお、イグニッションスイッチ125がONにされた後、車両制御ECU101がGNSS装置126から車両10の位置を取得することなく(取得できないまま)イグニッションスイッチ125がOFFにされることがある。この場合に車両10が移動すると、車両制御ECU101は、駐車場情報における第一位置Pを「不明」のままとする。同様に、イグニッションスイッチ125がONにされた後、車両制御ECU101が車両方向を推定することなく(推定できないまま)イグニッションスイッチ125がOFFにさると、車両制御ECU101は駐車場情報における第一方向Dを「不明」のままとする。
【0068】
(登録済みの駐車場PSに駐車する動作)
車両制御ECU101は、車両10の周辺領域に登録済みの駐車場PSが存在すると判断した場合、平面視画像、目標駐車範囲画像、および駐車開始ボタン画像を含む画像をHMI127に表示させる。このとき、平面視画像には、登録済みの駐車場PSの風景が含まれるようにする。さらに、車両制御ECU101は、目標駐車範囲画像を、平面視画像上の「当該駐車場PSの駐車場情報を登録した際に実際に車両10を駐車した位置」に表示させる。そして、車両制御ECU101は、駐車開始ボタン画像へのタッチ操作を検出すると、HMI127に表示されている平面視画像上における目標駐車範囲画像の位置を実際の駐車場における目標駐車範囲TAとして確定する。そして、車両制御ECU101は、確定した目標駐車範囲TAに駐車するために車両10を走行させる目標走行ルートTRを設定する。その後、車両制御ECU101は駐車走行処理を行う。
【0069】
次に、車両制御ECU101のCPUが実行するルーチンについて、図4を参照して説明する。車両制御ECU101のCPUは、車両10が停止している状態で駐車支援スイッチ112の操作を検出すると、図4のフローチャートに示すルーチンを実行する。以下において「CPU」は特に規定されない限り、車両制御ECU101のCPUを意味する。なお、画像認識ECU102は、車両10の走行中に車両10の周辺領域に存在する特徴点の抽出を実行する。このため、車両10が停止した時点で車両10の周辺領域に存在する特徴点が抽出されている。さらにCPUは、車両10の位置をGNSS装置126から逐次取得するとともに、取得した車両10の位置に基づいて車両方向を逐次推定する。
【0070】
ステップS101において、CPUは、設定画像をHMI127に表示させる。そして、CPUは、設定画像をHMI127に表示させている間に移動ボタン画像へのタッチ操作を検出すると、平面視画像上の目標駐車範囲画像をタッチ操作に応じて移動させる。
【0071】
ステップS102において、CPUは、目標駐車範囲TAを確定する操作があったか否か、具体的には確定ボタン画像へのタッチ操作があったか否かを判定する。CPUは、確定ボタン画像へのタッチ操作を検出するまではこのステップで待機し、確定ボタン画像へのタッチ操作を検出するとステップS103に進む。
【0072】
ステップS103において、CPUは、確定ボタン画像へのタッチ操作を検出した時点における平面視画像上の目標駐車範囲画像の位置を、実際の駐車場PSにおける目標駐車範囲TAとして確定する。そして、車両制御ECU101は、車両10が現在存在する地点から目標駐車範囲TAまでの車両10の目標走行ルートTRを演算する。このほか、車両制御ECU101は、確定ボタン画像へのタッチ操作を検出すると、上述のとおり入口特徴点に関する情報をRAMに格納する。
【0073】
ステップS104において、CPUは、車両10が停車した位置をGNSS装置126から取得できたか否かを判定する。CPUは、車両10が停車した位置をGNSS装置126から取得できた場合、ステップS105に進む。ステップS105において、CPUは、車両10が停車した位置(すなわち第一位置P)としてGNSS装置126から取得した位置をRAMに格納する。一方、CPUは、GNSS装置126から車両10の位置を取得できなかった場合、ステップS106に進む。ステップS106において、CPUは、第一位置Pの具体的な位置を「不明」としてRAMに格納する。そしてステップS107に進む。
【0074】
ステップS107において、CPUは、車両方向を推定できたか否かを判定する。CPUは、車両方向を推定できた場合、ステップS108に進む。ステップS108において、CPUは、推定した車両方向(すなわち第一方向D)として、推定した方向をRAMに格納する。一方、CPUは、車両方向を推定できていない場合にはステップS109に進む。ステップS109において、CPUは、第一方向Dの具体的な方向を「不明」としてRAMに記憶する。そしてステップS110に進む。
【0075】
ステップS110において、CPUは、使用者からの駐車走行処理の開始を指示する操作を待つ。具体的には、CPUは、HMI127に駐車開始ボタン画像を表示させ、その後、駐車開始ボタン画像がタッチ操作されたか否かを判定する。CPUは、駐車開始ボタン画像へのタッチ操作を検出した場合、ステップS111に進む。タッチ操作を検出しない場合、このステップで待機する。
【0076】
ステップS111において、CPUは、駐車走行処理を実行する。なお、上述のとおり、CPUは、車両10を目標駐車範囲TAに移動させている間および車両10を目標駐車範囲TAに移動させた後(車両10が停車した後)において、画像認識ECU102に、所定の特徴点の抽出を実行させる。さらにCPUは、特徴点に関する情報を駐車場情報として登録する。
【0077】
ステップS112において、CPUは、ステップS105またはS106においてRAMに格納した第一位置P、およびステップS108またはS109においてRAMに格納した第一方向Dを、この駐車場PSの駐車場情報の一部として登録する。なお、車両制御ECU101は、第一位置Pを「不明」として登録した場合と第一方向Dを「不明」として登録した場合との少なくとも一方に該当する場合、「不明フラグ」を成立させる。
【0078】
次に、第一位置Pおよび第一方向Dの一方または両方が「不明」の場合に、これらを登録すためのルーチンについて説明する。図5はこのルーチンを示すフローチャートである。CPUは、イグニッションスイッチ125がONにされると、イグニッションスイッチ125がONにされた時点で車両10が存在する地点を原点(基準点)とする座標系を設定する。そして、CPUは、イグニッションスイッチ125がONにされている間、車両10の走行履歴情報のRAMへの蓄積を継続する。なお、CPUは、座標系の設定と走行履歴情報の蓄積を、第一位置Pと第一方向Dとの一方または両方が「不明」であるか否かにかかわらず実行する。基準点および走行履歴情報は、イグニッションスイッチ125がOFFにされると消去(初期化)される。そして、CPUは、イグニッションスイッチ125がONにされると、図5のフローチャートに示すルーチンを所定の周期で繰り返し実行する。
【0079】
ステップS201において、CPUは、登録されている駐車場情報の第一位置Pと第一方向Dとの少なくとも一方が「不明」でないか否かを判定する。両方ともに「不明」でない場合、このルーチンを終了する。少なくとも一方が「不明」である場合、ステップS202に進む。
【0080】
ステップS202において、CPUは、駐車場情報を登録してから基準点を設定するまでの間に車両10が移動したか否かを判定する。具体的には、CPUは、イグニッションスイッチ125がONにされた時点で「不明フラグ」が成立していたか否かを判定する。イグニッションスイッチ125がONにされた時点で駐車場情報の登録後に車両10が移動していない場合、すなわち、不明フラグが成立している場合、基準点の位置と登録されている駐車場の位置とが一致する可能性が高い。そこでこの場合、CPUは、ステップS203に進む。駐車場情報の登録後に車両10が移動した場合、基準点の位置と登録済みの駐車場の位置とは一致しない(または一致しない可能性が高い)から、基準点の位置を逆算できても、登録済みの駐車場の位置を推定できない。したがってこの場合、CPUはこのルーチンを終了する。
【0081】
ステップS203において、CPUは、車両10が移動を開始したか否かを判定する。移動を開始していない場合、いったんこのルーチンを終了する。移動を開始した場合、ステップS204に進む。
【0082】
ステップS204において、CPUは、第一位置Pが「不明」であるか否か、およびGNSS装置126から車両10の位置を取得できたか否かを判定する。CPUは、第一位置Pが「不明」であり、かつ、GNSS装置126から車両10の位置を取得できた場合、ステップS205に進む。CPUは、第一位置Pが「不明」ではない場合と車両10の位置を取得できない場合との少なくとも一方に該当する場合、ステップS205およびS206を経ずにステップS207に進む。
【0083】
ステップS205において、CPUは、取得した車両10の位置および走行履歴情報を用いて、基準点の位置を演算(逆算)する。そして、ステップS206において、CPUは、ステップS205において演算により得られた基準点の位置を当該駐車場についての第一位置Pとして登録する。換言すると、CPUは、第一位置Pを「不明」から「演算により得られた基準点の位置」に変更する。
【0084】
ステップS207において、CPUは、第一方向Dが「不明」であるか否か、および、車両方向を推定できたか否かを判定する。CPUは、第一方向Dが「不明」であり、かつ、車両方向を推定できた場合、ステップS208に進む。CPUは、第一方向Dが「不明」ではない場合と車両方向を推定できた場合との少なくとも一方に該当する場合、このルーチンをいったん終了する。
【0085】
ステップS208において、CPUは、推定した車両方向および走行履歴情報を用いて、車両10が基準点に位置していた時点における車両方向を逆算する。さらにCPUは、演算した「車両10が基準点に位置していた時点における車両方向」、および登録されている「第一方向Dと第二方向Dとの関係」から、第一方向Dを演算する。そして、ステップS209において、CPUは、ステップS208における演算結果を登録済みの駐車場についての第一方向Dとして登録する。換言すると、CPUは、第一方向Dを「不明」から「演算により得られた方向」に変更する。
【0086】
次に、本装置100に駐車場情報が登録されている場合に登録済みの駐車場を探索する制御について説明する。図6は、CPUが登録済みの駐車場を探索するために実行するルーチンを示すフローチャートである。CPUは、車両10の走行中、所定の周期で図6に示すルーチンを継続的に実行する。
【0087】
ステップS301において、CPUは、特徴点を抽出する前提条件が成立しているか否か、具体的には、車速が閾値以下であるか否かを判定する。前提条件が成立していない場合、すなわち、車速が閾値超である場合、CPUは、このルーチンを終了する。この場合、画像認識ECU102は、特徴点の抽出を実行しない。前提条件が成立している場合、すなわち車速が閾値以下である場合、CPUはステップS302に進む。
【0088】
ステップS302において、CPUは、GNSS装置126から車両10の位置を取得できたか否かを判定する。車両10の位置を取得できた場合、CPUはステップS303に進み、車両10の位置を取得できなかった場合、CPUは、ステップS303およびステップS304を経ずにステップS305に進む。
【0089】
ステップS303において、CPUは、第一位置Pが「不明」でないかを判定する。不明である場合、CPUは、ステップS304を経ずにステップS305に進む。不明でない場合、CPUはステップS304に進む。ステップS304において、CPUは、車両10の位置から登録済みの駐車場PSの入口までの距離が閾値以下であるか否かを判定する。閾値以下である場合、CPUはステップS305に進む。閾値超である場合、CPUはこのルーチンを終了する。すなわち、画像認識ECU102は、特徴点の抽出を実行しない。
【0090】
ステップS305において、CPUは、車両方向を推定できたか否かを判定する。推定できた場合、CPUはステップS306に進む。推定できない場合、CPUはステップS306を経ずにステップS308に進む。ステップS306において、CPUは、第一方向Dが「不明」ではないか否かを判定する。第一方向Dが「不明」ではない場合、CPUはステップS307に進む。不明である場合、CPUはステップS308に進む。
【0091】
CPUは、ステップS307に進んだ場合、推定した車両方向および第一方向Dに基づいて、第四方向Dを推定する。そして、CPUは、画像認識ECU102に、推定した第四方向Dについてのみ特徴点の抽出を実行させる。一方、ステップS308に進んだ場合、CPUは、画像認識ECU102に、方向を限定せずに、すなわち車両10の左右両側について特徴点の抽出を実行させる。
【0092】
このルーチンによれば、第一位置Pが「不明」でない場合(S303において「Y」)、前提条件が成立しており(S301において「Y」)、かつ、車両10から登録済みの駐車場PSの入り口までの距離が閾値以下になると(S304において「Y」)、画像認識ECU102は車両10の周辺領域に存在する特徴点の抽出を実行する。この場合、さらに車両10の方向を取得でき(S305において「Y」)、かつ、第一方向Dが「不明」でない場合(S306において「Y」)、画像認識ECU102は、推定した第四方向Dの側の範囲のみ、特徴点の抽出を実行する。
【0093】
一方、第一位置Pが「不明」である場合(S303において「N」)、前提条件が成立していると(S301において「Y」)、画像認識ECU102は車両10の周辺領域に存在する特徴点の抽出を実行する。さらにこの場合、車両方向を取得でき(S305において「Y」)、かつ、第一方向Dが「不明」でない場合(S306において「Y」)、画像認識ECU102は、推定した第四方向Dの側の範囲のみ、特徴点の抽出を実行する。一方、車両10の方向を取得できない場合(S305において「N」)、画像認識ECU102は、車両10の左右両側に存在する特徴点の抽出を実行する。車両10の方向を取得できても(S305において「Y」)、第一方向Dが不明であれば(S306において「Y」)、画像認識ECU102は、車両10の左右両側に存在する特徴点の抽出を実行する。
【0094】
なお、本装置100は、複数の駐車場PSの駐車場情報を登録可能に構成されていてもよい。この場合、車両制御ECU101は、登録されている駐車場PSごとに上記処理を実行する。すなわち、車両制御ECU101は、前提条件が成立し、かつ、車両10から複数のうちの1つの登録済みの駐車場PSの入口までの距離が閾値以下になると、当該1つの駐車場PSが存在すると推定される側のみ特徴点の抽出を実行する。なお、複数のうちの一部の駐車場PSの第一位置Pが「不明」として登録されることがある。この場合、車両制御ECU101は、前提条件が成立すると、車両10と第一位置Pが明確である登録済みの駐車場PSの入口との距離にかかわらず、特徴点の抽出を実行してもよい。このような制御によれば、複数の登録済みの駐車場PSのうちの第一位置Pが「不明」として登録されている登録済みの駐車場PSを探索できる。一方、車両制御ECU101は、前提条件が成立し、かつ、複数の登録済みの駐車場PSのうちの車両10と第一位置Pが明確である登録済みの駐車場PSの入口との距離が閾値以下になった場合、特徴点の抽出を実行してもよい。このような制御によれば、画像認識ECU102の処理負荷の低減を図ることができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形例を採用することができる。
【0096】
前記実施形態では、画像認識ECU102は、車速が閾値以下であり、かつ、車両10から登録済みの駐車場PSの入口(すなわち、第一位置P)までの距離が閾値以下になった場合に特徴点の抽出を開始するが、このような構成に限定されない。例えば、画像認識ECU102は、登録済みの駐車場PSの位置(すなわち、第二位置P)が明らかである場合には、車速が閾値以下であり、かつ、車両10から登録済みの駐車場PS(すなわち、第二位置P)までの距離が閾値以下になった場合に特徴点の抽出を開始してもよい。なお、車両制御ECU101は、第一位置Pが不明でなければ、第一位置Pから駐車完了までの走行履歴情報に基づいて、第二位置Pを演算できる。
【0097】
前記実施形態では、車両制御ECU101が車両方向を推定するが、GNSS装置126が車両方向を推定してもよい。前記実施形態では、車両制御ECU101が取得した新規特徴点の濃淡情報と登録済み入口特徴点の濃淡情報とを照合しているが、画像認識ECU102がこの照合を実行してもよい。
【0098】
前記実施形態では、本装置100に登録される駐車場情報には、少なくとも第一位置P、第一方向D、および第二方向Dが含まれるが、このような構成に限定されない。本装置100に登録される駐車場情報は、第一位置P、第一方向D、および第二方向Dを推定できる情報であればよい。したがって、例えば登録される駐車場情報には、第一位置P、第一方向D、および第二位置Pが含まれてもよい。他の例として、登録される駐車場情報には、第二位置P、第二位置Pにおける車両方向、および「第一方向D(駐車開始ボタン画像がタッチ操作された時点の車両方向)と第二方向Dとの角度差」が含まれてもよい。
【0099】
さらに、前記実施形態では、駐車支援制御として、登録済みの駐車場に自動的に車両を駐車する制御を示したが、駐車支援制御は前記制御に限定されない。例えば、車両が目標走行ルートTRに沿って走行するように、運転者に対してハンドル操作、アクセル操作、およびブレーキ操作を指示する制御であってもよい。さらに、駐車支援制御において取得する特徴点の種類および特徴点の取得方法は、前記実施形態に限定されない。駐車場情報として登録される特徴点に関する情報も、前記実施形態に記載の情報に限定されない。駐車場情報として登録される特徴点に関する情報は、駐車場を認識できる情報であればよい。
【符号の説明】
【0100】
10…車両、100…駐車支援装置、101…車両制御ECU、102…画像認識ECU、115…右側方カメラ、116…左側方カメラ、126…GNSS装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6