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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】防草構造及び防草用部材
(51)【国際特許分類】
   E01H 11/00 20060101AFI20240718BHJP
   E01C 11/22 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
E01H11/00 A
E01C11/22 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023072579
(22)【出願日】2023-04-26
【審査請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】523148698
【氏名又は名称】太陽工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】523158295
【氏名又は名称】堤 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100156959
【弁理士】
【氏名又は名称】原 信海
(72)【発明者】
【氏名】堤 晴夫
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3154350(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102220737(CN,A)
【文献】特開2021-085202(JP,A)
【文献】特開2005-090189(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101798858(CN,A)
【文献】特開2016-194239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 11/00
E01C 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道及び/又は歩道等の舗装面上に、又は当該舗装面に連接して立設された立体物と前記舗装面との境界に施工され、当該境界への草の生育を防止する防草構造であって、
前記境界に対向横臥された不透光な柱状の防草用部材と、該防草用部材と前記舗装面との間、及び前記立体物と防草用部材との間にそれぞれ介装された不透光な接着層とを備えることを特徴とする防草構造。
【請求項2】
前記防草用部材は前記舗装面に対向させる平面状の一側面と、前記立体物に対向させる平面状の他側面とを具備し、防草用部材の前記境界に対向する部分は、前記両側面の延長上の交点の高さ位置より低くなしてある請求項1記載の防草構造。
【請求項3】
前記防草用部材は断面視が台形状になしてある請求項2記載の防草構造。
【請求項4】
前記防草用部材はモルタルを成形してなり、内部に芯材が埋設してある請求項1から3のいずれかに記載の防草構造。
【請求項5】
前記接着層は、防草用部材を施工後も弾性を有する材で形成してある請求項1からのいずれかに記載の防草構造。
【請求項6】
車道及び/又は歩道等の舗装面上に、又は当該舗装面に連接して立設された立体物と当該舗装面との境界への草の生育を防止すべく、前記境界に対向横臥される不透光な柱状の防草用部材であって、
前記舗装面に対向させる平面状の一側面と、前記立体物に対向させる平面状の他側面とを具備し、前記境界に対向する部分は、前記両側面の延長上の交点の高さ位置より低くなしてあることを特徴とする防草用部材。
【請求項7】
断面視が台形状になしてある請求項6記載の防草用部材。
【請求項8】
モルタルを成形してなり、内部に芯材が埋設してある請求項6又は7記載の防草用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に、車道又は歩道と歩車道境界ブロックとの境界に雑草が生育することを防止するための防草構造、及び当該防草構造に使用する防草用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車道又は歩道と歩車道境界ブロックとの境界には土砂が堆積し易く、堆積した土砂に雑草が生育する。また、車道又は歩道と歩車道境界ブロックとの境界においては、車道又は歩道と歩車道境界ブロックとの膨張率・収縮率の相違、及び経年劣化等に起因するひび割れ等の隙間が発生し易く、当該隙間内には更に土砂が堆積し易いため、隙間内に堆積した土砂に雑草が生育する。そして、かかる雑草は、車道を通行する車、及び/又は歩道を通行する通行人の障害となり、また、事故を招来する恐れもあることから、作業員によって除草作業が実施されているが、除草作業は毎年実施する必要があるため、車道又は歩道と歩車道境界ブロックとの境界おける雑草の生育を防止することが強く望まれている。そこで、後記する特許文献1には次のような防草構造が開示されている。
【0003】
図9は特許文献1に開示された防草構造を説明する説明図である。
図9に示したように、防草構造は、道路舗装部100,100と、道路舗装部100,100の幅方向の端に該道路舗装部100,100の長手方向に沿って配置され、上部を道路舗装部100,100の上面よりも高く突出して設けられる歩車道境界ブロック20と、道路舗装部100,100と歩車道境界ブロック20との境界に沿って、所定の幅及び深さで道路舗装部100,100の上面から凹設させた凹溝140,140と、凹溝140,140の上部に隙間を残すような溝深さ中間位置まで凹溝140,140内に充填される無収縮性充填材150,150と、凹溝140,140内の隙間に充填され、凹溝140,140の幅方向両側の道路舗装部100,100と歩車道境界ブロック20とに密着して接合されて凹溝140,140の隙間を伸縮自在に閉鎖する伸縮性シール材160,160とを設けて構成してある。
【0004】
かかる防草構造では、道路境界部に沿って形成した凹溝140,140内に無収縮性充填材150,150と伸縮性シール材160,160とを併用したことで、道路境界部に土、埃、雑草等の侵入を防止できるとともに、道路舗装部100,100及び歩車道境界ブロック20が寒暖差等によって膨張、収縮した場合であっても、閉鎖状態を保持することができ、道路境界部における雑草の発生を良好に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3173280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の防草構造にあっては、歩車道境界ブロック20に沿って、当該歩車道境界ブロック20の両側それぞれに凹溝140,140を凹設する作業を実施しなければならないが、道路舗装部100,100と歩車道境界ブロック20との境界に凹溝140,140を正確に凹設するには、多大な困難を伴うという問題があった。特に、道路舗装部100,100に歩車道境界ブロック20が既に施工されている場合、既設の歩車道境界ブロック20が邪魔となるため、その境界に凹溝140,140を凹設する作業は非常に困難であった。
【0007】
また、凹設した両凹溝140,140内にそれぞれ無収縮性充填材150,150を充填して固化させ、その後、固化した無収縮性充填材150,150の上に伸縮性シール材160,160をそれぞれ積層させるが、傾斜した道路においては、充填する無収縮性充填材150,150及び/又は伸縮性シール材160,160が凹溝140,140から溢れないように施工する必要があるため、施工作業に多大な手間を要していた。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、既設の歩車道境界ブロックであっても、また、傾斜した道路においても、容易に施工することができる防草構造、及び当該防草構造に使用する防草用部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る防草構造は、車道及び/又は歩道等の舗装面上に、又は当該舗装面に連接して立設された立体物と前記舗装面との境界に施工され、当該境界への草の生育を防止する防草構造であって、前記境界に対向横臥された不透光な柱状の防草用部材と、該防草用部材と前記舗装面との間、及び前記立体物と防草用部材との間にそれぞれ介装された不透光な接着層とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の防草構造にあっては、車道及び/又は歩道等の舗装面上に、又は当該舗装面に連接して立設された立体物と前記舗装面との境界に施工され、当該境界への草の生育を防止する。ここで、舗装面は車道及び/又は歩道以外に、駐車場の舗装面、及び舗装された庭といった舗装敷地等も含まれる。また、立体物には、歩車道境界ブロック及び土留壁以外に、車道に設けられる安全地帯、又は中央分離帯を形成するブロック、舗装敷地に連接する建物の基礎等も含まれる。
【0011】
そして、本発明の防草構造は、不透光な柱状の防草用部材が前述した境界に対向して横臥してあり、この防草用部材と舗装面との間、及び立体物と防草用部材との間にそれぞれ不透光な接着層が介装してある。
【0012】
このように、不透光な柱状の防草用部材及び不透光な接着層によって、立体物と舗装面との境界を覆って、当該境界への日光の照射を遮断するため、当該境界における草の生育が防止される。
【0013】
一方、柱状の防草用部材を前記境界に対向して横臥させ、防草用部材と舗装面との間、及び立体物と防草用部材との間に介装させた接着層によって、舗装面及び立体物と防草用部材とを互いに固着させるため、歩車道境界ブロックといった既設の立体物であっても、また、傾斜した舗装面においても、容易に施工することができる。
【0014】
(2)本発明に係る防草構造は、前記防草用部材は前記舗装面に対向させる平面状の一側面と、前記立体物に対向させる平面状の他側面とを具備し、防草用部材の前記境界に対向する部分は、前記両側面の延長上の交点の高さ位置より低くなしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明の防草構造にあっては、前述した防草用部材は前記舗装面に対向させる平面状の一側面と、前記立体物に対向させる平面状の他側面とを具備して構成してある。そして、防草用部材の前記境界に対向する部分は、前記両側面の延長上の交点の高さ位置より低くなしてある。これによって、防草用部材を施工する際に、防草用部材の境界に対向する部分と、当該境界との間に間隙が形成されるため、予め除去した雑草の残部が境界に存在していた場合であっても、当該残部に影響されることなく、防草用部材を円滑に施工することができる。
【0016】
(3)本発明に係る防草構造は、前記防草用部材は断面視が台形状になしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明の防草構造にあっては、前述した防草用部材は断面視が台形状になしてある。従って、防草用部材を製造するための型枠の構造が簡単であり、またそのような型枠から型抜きする作業を円滑に行うことができる。そのため、防草用部材の製造コストを可及的に廉価にすることができる。
【0018】
(4)本発明に係る防草構造は、前記防草用部材はモルタルを成形してなり、内部に芯材が埋設してあることを特徴とする。
【0019】
本発明の防草構造にあっては、防草用部材は、例えば所定の型枠内にモルタルを充填することによって所定の形状に成形してある。モルタルは歩車道境界ブロック又は建物の基礎等と同質の材料であるため、互いに強固に接着させることができる。また、防草用部材の内部には、芯材が埋設してあるため、防草用部材を取り扱う際に印加される外力によって、防草用部材に破損が生じることが防止される。
【0020】
(5)本発明に係る防草構造は、前記接着層は、防草用部材を施工後も弾性を有する材で形成してあることを特徴とする。
【0021】
本発明の防草構造にあっては、前述した接着層は、防草用部材を施工後も弾性を有する材で形成してある。そのような材としては、例えば、ポリウレタン系シーリング材、エポキシ系シーリング材又はシリコーン系シーリング材等を単体又は組み合わせて適用することができる。舗装面と立体物との間に膨張率の差が存在していても、接着層が施工後も弾性を有するため、当該接着層にひび割れが発生せず、高い防草効果を維持することができる。
【0022】
(6)本発明に係る防草用部材は、車道及び/又は歩道等の舗装面上に、又は当該舗装面に連接して立設された立体物と当該舗装面との境界への草の生育を防止すべく、前記境界に対向横臥される不透光な柱状の防草用部材であって、前記舗装面に対向させる平面状の一側面と、前記立体物に対向させる平面状の他側面とを具備し、前記境界に対向する部分は、前記両側面の延長上の交点の高さ位置より低くなしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明の防草用部材にあっては、不透光な柱状をなし、車道及び/又は歩道等の舗装面上に、又は当該舗装面に連接して立設された立体物と当該舗装面との境界への草の生育を防止すべく、前記境界に対向して横臥される。これによって、立体物と舗装面との境界が覆われ、当該境界への日光の照射が遮断されるため、当該境界における草の生育が防止される。
【0024】
また、本防草用部材は、舗装面に対向させる平面状の一側面と、立体物に対向させる平面状の他側面とを具備し、境界に対向する部分は、前記両側面の延長上の交点の高さ位置より低くなしてある。これによって、防草用部材を施工する際に、防草用部材の境界に対向する部分と、当該境界との間に間隙が形成されるため、予め除去した雑草の残部が境界に存在していた場合であっても、当該残部に影響されることなく、防草用部材を円滑に施工することができる。
【0025】
(7)本発明に係る防草用部材は、断面視が台形状になしてあることを特徴とする。
【0026】
本発明の防草用部材にあっては、断面視が台形状になしてある。そのため、防草用部材を製造するための型枠の構造が簡単であり、またそのような型枠から型抜きする作業を円滑に行うことができ、防草用部材の製造コストを可及的に廉価にすることができる。
【0027】
(8)本発明に係る防草用部材は、モルタルを成形してなり、内部に芯材が埋設してあることを特徴とする。
【0028】
本発明の防草用部材にあっては、モルタルを成形してなり、内部に芯材が埋設してある。モルタルは歩車道境界ブロック又は建物の基礎等と同質の材料であるため、互いに強固に接着させることができる。また、防草用部材の内部には、芯材が埋設してあるため、防草用部材を取り扱う際に印加される外力によって、防草用部材に破損が生じることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】車道又は歩道と歩車道境界ブロックとの境界に本発明に係る防草構造を施工した一例を示す外観斜視図である。
図2図1に示した車道及び歩道等の縦断面図である。
図3図2に示した防草構造の拡大図である。
図4図1及び図2に示した防草用部材を示す斜視図である。
図5図4に示した防草用部材のV-V線による拡大部分断面図である。
図6】防草用部材の各部寸法を説明するための説明図である。
図7】防草用部材の製造に使用する型枠の一例を示す斜視図である。
図8図7に示した型枠を用いて防草用部材を製造する方法を説明する説明図である。
図9】特許文献1に開示された防草構造を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る防草構造及び防草用部材を図面に基づいて詳述する。
なお、本実施の形態で説明する防草構造及び防草用部材は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含むことはいうまでもない。
【0031】
図1は、車道又は歩道と歩車道境界ブロックとの境界に本発明に係る防草構造を施工した一例を示す外観斜視図であり、図中、10は車道、15は歩道である。また、図2図1に示した車道10及び歩道15等の縦断面図である。
【0032】
図1及び図2に示したように、車道10と歩道15との間には、端面視が略縦長長方形であり長尺な歩車道境界ブロック20が延設してあり、車道10を走行する自動車及び自動二輪車等が歩道15内へ進入することを防止している。車道10と歩車道境界ブロック20との間には側溝13が埋設してあり、側溝13の上部開口は蓋部材11によって塞止されている。この蓋部材11には側溝13内へ雨水等を通流させる複数の貫通孔12,12,…が長手方向へ適宜の間隔で開設してある。
【0033】
一方、歩道15の歩車道境界ブロック20とは反対側の縁には、土留壁30が延設してあり、土留壁30の天面に距離を隔てて立設した複数の支柱40,40,…間には、歩道15を通行する歩行者の転落を防止する転落防止バー41,41が、歩道15の表面に平行な姿勢で架設してある。
【0034】
そして、車道10及び歩道15と歩車道境界ブロック20との境界、並びに歩道20と土留壁30との境界にはそれぞれ、雑草の生育を防止するための防草用部材2,2,2を用いてなる防草構造1,1,1が施工されており、それら各境界において雑草の生育が防止されている。
【0035】
図4図1及び図2に示した防草用部材2を示す斜視図であり、図5図4に示した防草用部材2のV-V線による拡大部分断面図である。
【0036】
図4及び図5から明らかなように、防草用部材2は、主にモルタル材を用いて断面視が略台形の柱状に成形してなり、その中心軸上に金属製又は樹脂製の芯材3を埋設して、所要の強度を有するように構成してある。この防草用部材2の長さ寸法は適宜でよいが、1m~2m程度が好適である。防草用部材2の長さ寸法が1m程度より短い場合、防草構造1の形成作業の効率が低下する一方、防草用部材2の長さ寸法が2m程度より長い場合、防草用部材2の荷重が過大となるため、持ち運び作業に支障を来してしまう。ここで、1m程度及び2m程度とは、1m±20cmの範囲及び2m±20cmの範囲をいうものとする。
【0037】
また、防草用部材2の輪郭寸法も適宜でよいが、図6に示したように台形の下底を構成する辺2cの長さ寸法Cが4cm程度以上8cm程度以下、台形の一斜辺を構成する辺2aの長さ寸法Aが3cm程度以上4cm程度以下、台形の他斜辺を構成する辺2bの長さ寸法Bが3cm程度以上4cm程度以下、前記辺2cと辺2bとがなす角αが40°程度以上60°程度以下、前記辺2cと辺2aとがなす角βが40°程度以上60°程度以下が好ましい。一方、前記辺2aと辺2bとがなす角γは90°±5°が好ましい。また、芯材3の直径φは2mm以上4mm以下が好ましい。
【0038】
ここで、4cm程度、8cm程度及び3cm程度とは、4cm±0.5cm、8cm±0.5cm、及び3cm±0.5cmの範囲をいうものとする。また、40°程度及び60°程度とは、40°±2°及び60°±2°をいうものとする。防草用部材2の輪郭寸法がこれらの範囲を超えると、所要の防草効果が得られなくなる虞があり、また、防草用部材2の施工が困難になる虞が生じる。
【0039】
なお、台形の上底を構成する辺2dは図4図6に示したように直線分状であってもよいが、これに限定されず、前述した辺2aと辺2bとの延長上の交点の高さ位置より低くなしてあれば、その形状は種々であってよい。
【0040】
このような防草用部材2は例えば次のようにして製造することが出来る。
【0041】
図7は防草用部材2の製造に使用する型枠の一例を示す斜視図である。
図7に示したように型枠Kは、例えば所要長さの金属製の板材を、端面視において複数の三角形が連続する蛇腹状に曲げ加工し、又は、複数のアングル材を互いに平行に配置し、その両端縁を塞止してなり、相隣る頂部の間、即ち谷部の底部に金属材又は樹脂材を所定深さまで流し込むことによって倒立台形状の複数のモールド部M,M,…が設けてある。
【0042】
図8に示したように、かかる型枠Kのモールド部M,M,…内にモルタルといった流動性固化材を、モールド部M,M,…の底面から1/3程度の深さになるまで流し込んで固化させる。次に、各モールド部M,M,…の略中央の位置にそれぞれ金属製又は樹脂製の芯材3,3,…を配設し、その上から更に前記流動性固化材を各モールド部M,M,…の天井高さまで流し込んで固化させる。そして、各モールド部M,M,…から型抜きすることによって防草用部材2,2,…を得る。なお、型抜き操作を円滑にするために、各モールド部M,M,…の内表面に離型剤を塗布しておいてもよい。
【0043】
ここで、前述した流動性固化材としては、歩車道境界ブロック20と同種の素材、例えばモルタルであれば、前述した防草構造1を施工する際に防草用部材2と歩車道境界ブロック20との接着性が良好であるため好適であるが、金属製素材又は不透光な樹脂製素材であってもよい。なお、金属製素材を用いた場合、前述した芯材3を埋設しなくてよい。
【0044】
流動性固化材としてモルタルを用いた場合、セメントと砂との混合比は1:1程度が好適であるが、これに限定されない。
【0045】
このような防草用部材2を用いて防草構造1を施工するには、図1から図3に示したように、車道10と歩車道境界ブロック20との境界、歩道15と歩車道境界ブロック20との境界、及び歩道15と土留壁30との境界に生育している雑草を除去すると共に、そこに堆積した土砂も除去した後、必要に応じて、車道10、歩車道境界ブロック20、歩道15及び土留壁30の対応する前記境界に連なる適宜領域を洗浄する。なお、洗浄作業は、高圧水によって行うとよい。
【0046】
所要数の防草用部材2,2,…を準備しておき、各防草用部材2,2,…の両側面、即ち図6に示した辺2a及び辺2bにそれぞれ接着剤を適宜厚さの層状になるように塗布する。
【0047】
ここで、接着剤としては、不透光であり、接着後も弾性を有する素材を適用するが、例えばポリウレタン系シーリング材、エポキシ系シーリング材又はシリコーン系シーリング材等を単体又は組み合わせた場合にあっては耐候性及び耐衝撃性が高いため好適である。なお、耐候性及び耐衝撃性をより向上させるために添加材を混入してもよい。
【0048】
そして、防草用部材2の両側面に接着剤を適宜厚さの層状に塗布した後、当該防草用部材2を、台形状の防草用部材2の上底部分が車道10と歩車道境界ブロック20との境界に対向し、当該防草用部材2にて前記境界を覆うように配置し、防草用部材2の一側面の接着層4を車道10の表面又は蓋部材11の表面に、また防草用部材2の他側面の接着層4を歩車道境界ブロック20の表面にそれぞれ固着させる。
【0049】
このとき、防草用部材2の上底部分と、車道10と歩車道境界ブロック20との境界との間に空隙Eが形成されるため、前述した如く除去した雑草の残部が当該境界に存在していた場合であっても、当該残部に影響されることなく、防草用部材2を設置することができる。
【0050】
なお、本実施の形態にあっては、防草用部材2と、車道10と歩車道境界ブロック20との境界との間に空隙Eを形成すべく、縦断面視が台形状に成形した防草用部材2について説明したが、本発明はこれに限らず、防草用部材を縦断面視が三角形状に成形してもよい。この場合、予め、車道10と歩車道境界ブロック20との境界から、雑草及び/又は土砂等をほぼ全て除去しておくとよい。これによって、縦断面視が三角形状に成形した防草用部材であっても、前同様に、車道10と歩車道境界ブロック20との境界を覆うように施工することができる。
【0051】
かかる操作を車道10の長手方向へ、相隣る防草用部材2,2の対向端部が互いに密接するように繰り返して実施することによって、車道10と歩車道境界ブロック20との境界を覆う防草構造1を形成する。
【0052】
また、同様の操作を実施して、歩道15と歩車道境界ブロック20との境界を覆う防草構造1、及び、歩道15と土留壁30との境界を覆う防草構造1をそれぞれ形成する。
【0053】
このような防草構造1にあっては、車道10と歩車道境界ブロック20との境界、歩道15と歩車道境界ブロック20との境界、又は歩道15と土留壁30との境界を、前述した如く防草用部材2,2,…及び接着層4,4、4,4、…,…にて覆うため、各境界が遮光される。雑草が生育するには日光が必要であるが、防草構造1によって各境界が遮光されるため、雑草の生育が防止されるのである。
【0054】
また、前述したように車道10と歩車道境界ブロック20との境界、歩道15と歩車道境界ブロック20との境界、又は歩道15と土留壁30との境界に対向させて、防草用部材2を横臥させ、車道10又は歩道15と歩車道境界ブロック20との間、及び歩道15と土留壁30との間に介装させた接着層4,4,…によって、それらを互いに固着させるため、歩車道境界ブロック20又は土留壁30といった既設の立体物であっても、また、車道10及び歩道15が傾斜していた場合であっても、防草構造1を容易に施工することができる。
【0055】
一方、接着層4,4、4,4、…,…は接着後も弾性を有する素材にて構成してあるため、車道10又は歩道15と、歩車道境界ブロック20又は土留壁30と、防草用部材2との間に膨張率の差が存在していても、また、走行する自動車による振動によっても、接着層4,4、4,4、…,…にひび割れが発生せず、防草構造1は高い防草効果を維持することができる。同様に、
【0056】
また、接着層4,4、4,4、…,…の厚さを適宜調整することができるため、歩車道境界ブロック20又は土留壁30の側面が傾斜していた場合であっても、当該側面と防草用部材2との間に間隙が生じるのを回避することができる。
【0057】
一方、歩車道境界ブロック20又は土留壁30の側面の傾斜が大きい場合、それに対応した傾斜の側面になした防草用部材2を作製しておき、当該防草用部材2を用いて防草構造1を施工する。
【0058】
ところで、防草用部材2の素材としてモルタルを適用した場合であっても、防草用部材2には芯材3が埋設してあるため、防草用部材2を取り扱う際に印加される外力によって、防草用部材2に破損が生じることが防止される。
【0059】
なお、本実施の形態では、車道10と歩車道境界ブロック20との境界、歩道15と歩車道境界ブロック20との境界、又は歩道15と土留壁30との境界に防草構造1を施工した場合について示したが、本発明はこれに限らず、車道10及び歩道15以外に、駐車場の舗装面、及び舗装された庭といった舗装敷地等を防草構造1の施工対象としてもよいことは言うまでもない。本明細書では、それらを総称して舗装面とする。
【0060】
また、防草構造1の施工対象として、歩車道境界ブロック20及び土留壁30以外に、車道10に設けられる安全地帯、又は中央分離帯を形成するブロック、前述した舗装敷地に連接する建物の基礎等も含まれる。本明細書では、それらを総称して立体物とする。
【0061】
ところで、前述した如く流動性固化材を型枠K(図7参照)に充填して防草用部材2を製造する際に、流動性固化材に黒色、紺色又は茶色等、吸光性が高い着色剤を混入させるとよい。そのような着色剤が混入された防草用部材2にあっては、日光を吸収して自身の温度が上昇するため、当該防草用部材2及びその周辺において苔といった地衣類の生育を防止することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 防草構造
2 防草用部材
3 芯材
4 接着層
10 車道(舗装面)
15 歩道(舗装面)
20 歩車道境界ブロック
30 土留壁
【要約】
【課題】 既設の歩車道境界ブロックであっても、傾斜した道路においても、容易に施工することができる防草構造、及び防草用部材を提供する。
【解決手段】 防草用部材2の両側面に接着剤を適宜厚さの層状に塗布した後、当該防草用部材2を、台形状の防草用部材2の上底部分が車道10と歩車道境界ブロック20との境界に対向し、当該防草用部材2にて前記境界を覆うように配置し、防草用部材2の一側面の接着層4を車道10の表面又は蓋部材11の表面に、また防草用部材2の他側面の接着層4を歩車道境界ブロック20の表面にそれぞれ固着させる。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9