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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】マスク冷却用のフレーム
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240718BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/08 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020171913
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063577
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】509122371
【氏名又は名称】有限会社岡田製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】520396418
【氏名又は名称】酒見 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】酒見 裕介
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/057168(WO,A1)
【文献】特開2011-10902(JP,A)
【文献】特開2021-179063(JP,A)
【文献】特開2014-124397(JP,A)
【文献】特開2021-139086(JP,A)
【文献】国際公開第2018/051735(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3223863(JP,U)
【文献】登録実用新案第3170873(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0320849(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の口と鼻の周りを覆うことができる外形に形成されている本体部と、
前記本体部の左右方向の両端部に夫々形成された一対の耳掛け部と、を有し、
前記本体部に、冷却液を流す本体部流路が形成され、
前記耳掛け部に、冷却液を流す耳掛け部流路が形成され、
前記本体部の外面又は内面に前記本体部流路を流れる冷却液により冷却されるマスク体が装着される、
マスク冷却用のフレーム。
【請求項2】
前記本体部は、使用者の口及び鼻に対向する部位に通気領域が形成されている、請求項1に記載のマスク冷却用のフレーム。
【請求項3】
前記本体部流路は、少なくとも前記本体部の外周縁近傍と前記通気領域の周囲に配置される、請求項2に記載のマスク冷却用のフレーム。
【請求項4】
前記本体部流路は、冷却液の入口に接続される上流側流路と、冷却液の出口に接続される下流側流路と、を有し、
前記耳掛け部流路は、前記上流側流路と前記下流側流路に直接的に接続される、
請求項1~3の何れか一項に記載のマスク冷却用のフレーム。
【請求項5】
前記本体部流路は、前記上流側流路及び下流側流路と間接的に繋がる中間部流路を有し、
前記耳掛け部は、第一耳掛け部と第二耳掛け部から成り、
前記第一耳掛け部は、前記上流側流路の一端と前記中間部流路の一端に接続される第一耳掛け部流路を有し、
前記第二耳掛け部は、前記中間部流路の他端と前記下流側流路の一端に接続される第二耳掛け部流路を有する、
請求項4項に記載のマスク冷却用のフレーム。
【請求項6】
前記本体部は、外面部材と、前記外面部材と接合される内面部材とから成り、
前記外面部材と内面部材の接合面の一方又は双方に、前記外面部材と内面部材が接合されると前記本体部流路が形成される流路溝が形成されている、
請求項4又は5に記載のマスク冷却用のフレーム。
【請求項7】
前記本体部流路は、前記本体部の通気領域に配置される通気領域流路を有する請求項6に記載のマスク冷却用のフレーム。
【請求項8】
前記本体部流路と前記耳掛け部流路が一つの管により形成され、
前記本体部は、前記管が着脱可能に嵌合する嵌合溝を有し、
前記耳掛け部は、前記嵌合溝に配置された前記管によって形成される請求項2~4の何れか一項に記載のマスク冷却用のフレーム。
【請求項9】
使用者の口と鼻の周りを覆うことができる外形で、口及び鼻に対向する部位に通気領域が形成されている本体部と、
前記本体部の左右方向の両端部に夫々形成されたに形成された一対の耳掛け部と、を有し、
前記本体部と耳掛け部には、内部に保冷機能を有する材料を充填させる充填部が形成されているマスク冷却用のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク冷却用のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天然繊維や化学繊維等を用いて形成された、通気性を有する矩形状の布や紙を用いて、口および鼻を覆うことができるように形成されたマスク本体部と、このマスク本体部を顔面に保持するために耳にかけられる耳かけ部とで構成されたマスクが、花粉症の予防や、細菌やウィルスなどによる感染の予防のために、用いられている。
上記のように構成されるマスクは、口と鼻がマスク本体部で覆われるように着用することによって、花粉やウィルス等の人体への侵入を防ぐと共に、マスク使用者自身が保有する唾液やウィルスの飛散・拡散を防止することができる。
【0003】
しかし、上述したマスクは、市販されているものの多くが無地の白色のものであり、ファッション性に乏しく、自ら積極的に着用する場合は少ない。
そこで、特許文献1に記載のように、通気性を有し、マスク本体部の正面を覆うとともに、正面に文字、図形などのデザインが施されている長方形状の織布によって成形されたカバー本体と、このカバー本体の裏面に、マスクを構成する一方の耳かけが潜通される一方の潜通部と、マスクを構成する他方の耳かけが潜通される他方の潜通部とから構成されているマスクカバーが提案されている。
特許文献1のマスクカバーによれば、マスクを構成する一方の耳かけと他方の耳かけをそれぞれ潜通部に潜通させることにより、簡単にマスクに取り付けることができ、カバー本体部の正面に施された文字、図形などのデザインにより、ファッション性を向上させることができる。
このように、マスクを着用してもらうようにするために、様々な工夫が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3047179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、マスクを着用したときの効果を高めるために、様々な工夫が行われている。例えば、花粉や粉塵の吸引防止のために、ガーゼや不織布を重ねて積層化させた状態で構成させたマスク本体部を用いられているマスクや、ウィルスや細菌の飛沫感染の防止のために、積層化したマスク本体部の表面や内部に抗菌剤を付着させる等して殺菌効果を持たせたマスクなどが提案されている。
そして、積層化したマスク本体部を有するマスクを、気温が高い時期に流行する季節性の感染症の予防のために、気温が高い時期に着用することもある。
【0006】
しかし、気温が高い時期には、マスクを着用すると息苦しく、積層化したマスク本体部を有するマスクを着用すると、さらに息苦しくなるため、感染症が流行していてもマスクを着用しない人が増える可能性がある。
また運動をして体温が上がったときに、暑苦しさを感じてマスクを装着しない人が増える可能性がある。
そのため、運動をしているときや、気温が高い時期でも、マスクを着用してもらうようにする必要がある。
【0007】
従って本発明が解決しようとする課題は、運動をしているときや、気温が高い時期でも、マスクを着用させることができるマスク冷却用のフレームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明のマスク冷却用のフレームの構成は、使用者の口と鼻の周りを覆うことができる外形に形成されている本体部と、前記本体部の左右方向の両端部に夫々形成された一対の耳掛け部と、を有し、前記本体部に、冷却液を流す本体部流路が形成され、前記耳掛け部に、冷却液を流す耳掛け部流路が形成されていることを特徴とするものであり、本体部の外面又は内面に前記本体部流路を流れる冷却液により冷却されるマスク体が装着される。
【0009】
本体部は、使用者の口及び鼻に対向する部位に通気領域が形成されていることが好ましい。
【0010】
前記本体部流路は、少なくとも前記本体部の外周縁近傍と前記通気領域の周囲に配置されることが好ましい。
【0011】
前記本体部流路は、冷却液の入口に接続される上流側流路と、冷却液の出口に接続される下流側流路と、を有し、前記耳掛け部流路は、前記上流側流路と前記下流側流路に直接的に接続されることが好ましい。
【0012】
前記本体部流路は、前記上流側流路及び下流側流路と間接的に繋がる中間部流路を有し、
前記耳掛け部は、第一耳掛け部と第二耳掛け部から成り、前記第一耳掛け部は、前記上流側流路の一端と前記中間部流路の一端に接続される第一耳掛け部流路を有し、前記第二耳掛け部は、前記中間部流路の他端と前記下流側流路の一端に接続される第二耳掛け部流路を有することが好ましい。
【0013】
前記本体部は、外面部材と、前記外面部材と接合される内面部材とから成り、前記外面部材と内面部材の接合面の一方又は双方に、前記外面部材と内面部材が接合されると前記本体部流路が形成される流路溝が形成されていることが好ましい。
【0014】
前記本体部流路は、前記本体部の通気領域に配置される通気領域流路を有することが好ましい。
【0015】
前記本体部流路と前記耳掛け部流路が一つの管により形成され、前記本体部は、前記管が着脱可能に嵌合する嵌合溝を有し、前記耳掛け部は、前記嵌合溝に配置された前記管によって形成されることもできる。
【0016】
上記の課題を解決するためになされた本発明の他のフレームの構成は、使用者の口と鼻の周りを覆うことができる外形で、口及び鼻に対向する部位に通気領域が形成されている本体部と、前記本体部の左右方向の両端部に夫々形成されたに形成された一対の耳掛け部と、を有し、前記本体部と耳掛け部には、内部に保冷機能を有する材料を充填させる充填部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本体部に、冷却液を流す本体部流路が形成され、耳掛け部に、冷却液を流す耳掛け部流路が形成されていることにより、本体部の外面又は内面に装着されたマスク体を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のマスク冷却用のフレームの第一実施形態の正面図。
図2図1のマスク冷却用のフレームの左側面図。
図3図1のマスク冷却用のフレームのA-A線断面図。
図4図1のマスク冷却用のフレームの背面図。
図5】本発明のマスク冷却用のフレームの第二実施形態の正面図。
図6図5のマスク冷却用のフレームのA-A線断面図。
図7図5のマスク冷却用のフレームのB-B線断面図。
図8】本発明のマスク冷却用のフレームの第三実施形態の正面図。
図9】本発明のマスク冷却用のフレームの第四実施形態の正面図。
図10】本発明のマスク冷却用のフレームの第五実施形態の正面図。
図11図3に対応する本発明のマスク冷却用のフレームの第六実施形態のA-A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のマスク冷却用のフレーム(以下、単にフレームという。)は、マスク体に取り付けられて用いられる。
以下に、本発明のフレームの第一実施形態について、図1~4を参照しながら説明する。
【0020】
なお、本明細書において「マスク体」とは、口と鼻を覆うことができるものであり、マスク本体部と耳掛け部とを有するものである。マスク本体部は、単層のもの、積層化されたもの、素材など限定されない。
さらに、使用者の口と対向する側を内面側、その反対側を表面側として説明する。
冷却液は、上流側から下流側に流れるものとする。
【0021】
〔第一実施形態〕
本実施形態のフレーム1は、図1及び図2に示すように、略長方形状に形成されている本体部10と、本体部10の左右方向の両端部に夫々形成されたに形成された一対の耳掛け部40と、を有している。
本体部10には、冷却水等の冷媒(以下、冷媒Rという。)を流せる本体部流路C1が形成され、耳掛け部40には、本体部流路C1と繋がり、冷媒Rを流せる耳掛け部流路C6が形成されている。
フレーム1は、上流側管92を介して、冷媒Rを貯留するためのタンクと繋がっているポンプに接続されており、このポンプにより、タンクに貯留された冷媒Rが本体部10に形成された入口12aより本体部流路C1に供給され、本体部流路C1から、耳掛け部40に形成された耳掛け部流路C6に供給される。本体部流路C1と耳掛け部流路C6に供給された冷媒Rは、本体部10に形成された出口13aより下流側管93を介して、タンクに戻る。
なお、上流側管92と下流側管93を区別する必要がないときは、これらを総称して管90として説明する。また、第一耳掛管42と第二耳掛管43を区別する必要がないときは、これらを総称して耳掛管41として説明する。
以下に、各構成要素について説明する。
【0022】
[本体部10]
本体部10は、マスク体の裏面側に位置して、マスク体と使用者の顔の間の空間の空気を冷やすためのものである。
本体部10は、図1及び図2に示すように、使用者の鼻や口に対向する位置に通気領域11と、本体部10の下側の端に、上流側管92から本体部流路C1に冷罵Rが流入することができるように上流側管92を取り付けることができる上流側管取付部12と、本体部流路C1から冷媒Rを流出させることができるように下流側管93を取り付けることができる下流側管取付部13と、本体部10の右側の端に、管状に形成され内部に耳掛け部流路C6が形成されている第一耳掛管42を取り付けるための右側取付部14と、本体部10の左側の端に、管状に形成され内部に耳掛け部流路C6が形成されている第二耳掛管43を取り付けるための左側取付部15と、を有する。
【0023】
本体部10は、図3に示すように、使用者が装着するときに、外面側に位置する外面部材20と内面側に位置する内面部材30とを有する。
本体部10は、外面部材20と内面部材30が接合されることにより形成されている。
本体部10は、所定の可撓性を有する紙製、合成樹脂製、又は金属製にすることができる。外面部材20と内面部材30は、同じ材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。
【0024】
外面部材20は、図1及び図3に示すように、使用者の口と鼻の周りを覆うことができる外形に形成されている基部21と、基部21の表面21aから、基部21の裏面21b側から表面21a側に向けて盛り上がっている肉盛部22と、基部21の表面21aと裏面21bを貫通して形成されている通気口部23と、上流側管取付部12や下流側管取付部13を形成する管取付部形成部24と、右側取付部14や左側取付部15を形成する耳掛け取付部形成部25と、を有する。
【0025】
基部21は、図1及び図2に示すように、略長方形状に形成されている。
肉盛部22は、図1に示すように、基部21の上端部と下端部に、他の部分よりも肉厚な肉盛部22が形成されている。さらに、上端部と下端部に形成された肉盛部22は、各々の左右方向の中程から縦方向に沿って伸びて繋がっている。
【0026】
肉盛部22は、図3に示すように、内部に、裏面21bに開口する流路溝22aを有する。
流路溝22aは、外面部材20の裏面21bに内面部材30の表面31aを当接させて、開口を閉蓋することにより、本体部流路C1を形成させるためのものである。
外面部材20と内面部材30が接合されると、図1に示すように、本体部流路C1として、冷却液の入口12aに接続される上流側流路C2と、冷却液の出口13aに接続される下流側流路C3と、上流側流路C2及び下流側流路C3と間接的に繋がる中間部流路C4と、が形成されるように形成されている。
【0027】
中間部流路C4は、図1に示すように、上側の肉盛部22と、上側の肉盛部22の中程から縦方向に沿って伸びている肉盛部22の内部に形成されている。
具体的には、中間部流路C4は、右側取付部14に形成された流路から上側の肉盛部22の中程にまで形成され、その中程から下方に形成され、上流側管取付部12及び下流側管取付部13の近傍で、上方に折り返し、上側の肉盛部22に繋がり、上側の肉盛部22から左側取付部15に形成された流路に繋がっている。
中間部流路C4が上述した構成であることにより、本体部10と使用者の顔面の間の空間の空気を効率良く冷やすことができる。
【0028】
通気口部23は、図1に示すように、基部21の左右方向に沿って2つ設けられている。
通気口部23の大きさは、適宜決めることができる。
通気口部23と通気口部33の内縁が重なって、通気領域11が形成されている。
【0029】
管取付部形成部24は、図3に示すように、基部21の下側から下方に伸びて形成されている。
管取付部形成部24は、基端側に小径部と、小径部よりも先端側に広径部と、を有している。
管取付部形成部24は、内部に、基端から先端まで、裏面24bに開口を有する流路溝22aが形成されている。この流路溝22aの基端側は、肉盛部22に形成された流路溝22aと繋がっている。
管取付部形成部24の流路溝22aは、裏面24bに内面部材30の管取付部形成部34の表面を当接させて、開口を閉蓋することにより、管取付部形成部24の先端に入口12aを形成させ、入口12aと本体部10の本体部流路C1を繋げる本体部流路C1を形成させるためのものである。
【0030】
管取付部形成部24は、図1に示すように、基部21の下側の端に2つ形成されている。
管取付部形成部24は、図2に示すように、後述する内面部材30の基部31の下側の端に2つ形成されている管取付部形成部34とともに、上流側管取付部12と下流側管取付部13を形成する。
【0031】
耳掛け取付部形成部25は、図1に示すように、基部21の左右側の両端から横方向に沿って伸びて形成されている。
耳掛け取付部形成部25は、基端側に小径部と、小径部よりも先端側に広径部とを有する。
耳掛け取付部形成部25は、管取付部形成部24と同様に、内部に、基端から先端まで、裏面24bに開口を有する流路溝22aが形成されている。この流路溝22aの基端側は、肉盛部22に形成された流路溝22aと繋がっている。
耳掛け取付部形成部25の流路溝22aは、耳掛け取付部形成部25の裏面に内面部材30の耳掛け取付部形成部35の表面を当接させて、開口を閉蓋することにより、耳掛け取付部形成部25の先端に、耳掛け部流路C6に冷媒Rを流出入させる流出入口を形成させ、その流出入と本体部10の本体部流路C1を繋げる本体部流路C1を形成させるためのものである。
【0032】
耳掛け取付部形成部25は、図1に示すように、基部21の左右側の両端に夫々2つ、合計して4つ形成されている。夫々の耳掛け取付部形成部25は、後述するように内面部材30の基部31の左右側の両端に取付部形成部25と対向するように形成された耳掛け取付部形成部35とともに、右側取付部14と左側取付部15を形成する。
【0033】
次に、内面部材30について説明する。
内面部材30は、図3に示すように、外面部材20の肉盛部22と流路溝22aに相当するものを有していないことを除けば、外面部材20と同じように形成されている。
具体的には、内面部材30は、使用者の口と鼻の周りを覆うことができる程度の大きさに形成されている基部31と、基部31の表面31aと裏面31bを貫通して形成されている通気口部33と、上流側管取付部12や下流側管取付部13を形成する管取付部形成部34と、右側取付部14や左側取付部15を形成する耳掛け取付部形成部35と、を有する。
内面部材30が、外面部材20の肉盛部22と流路溝22aに相当するものを有していないことにより、内面部材30を簡単に製造することができる。
【0034】
[耳掛け部40]
耳掛け部40は、本体部10を使用者の顔に保持するためのものである。
耳掛け部40は、耳掛管41が本体部10の右側取付部14と左側取付部15に取り付けられることにより形成され、左右の各々の耳掛け部40には、耳掛け部流路C6が形成される。
具体的には、図1に示すように、右側取付部14に第一耳掛管42が取り付けられて、第一耳掛け部流路C7が形成され、左側取付部15に第二耳掛管43が取り付けられて、第二耳掛け部流路C8が形成される。
第一耳掛け部流路C7は、上流側が上流側流路C2と繋がり、下流側が中間部流路C4と繋がっている。
第二耳掛け部流路C8は、上流側が中間部流路C4と繋がり、下流側が下流側流路C3と繋がっている。
【0035】
耳掛管41は、耳掛け部40に、使用者の耳が挿通される耳掛け孔40aが形成される程度の長さを有していれば足りる。
耳掛管41は、上述したいように耳掛け部40を構成するものであるから、使用者が付けやすい程度の柔軟性を有していることが好ましい。
耳掛管41としては、柔軟性のあるシリコンゴムやポリウレタンなどからなるチューブを用いることができる。
【0036】
耳掛管41は、本実施形態では横断面が円形であるが、フレーム1を装着した使用者と接する面積を大きくするため、横断面が長方形状や楕円形状であってもよい。
【0037】
フレーム1は、上述した構成により、図1に示すように、上流側管取付部12に、冷媒Rが貯留されているタンクと繋がっている上流側管92を取り付け、下流側取付部13に、下流側管93を取り付けると、冷媒Rが、入口12a、上流側流路C2、第一耳掛け部流路C7、中間部流路C4、第二耳掛け部流路C8、下流側流路C3、出口13aの順に流れて、下流側管93を介して、タンクに戻る。
【0038】
[フレーム1により奏する効果について]
次に、フレーム1により奏する効果について説明する。
フレーム1は、上記の構成により、タンクに貯留された冷媒をポンプにより流路に供給すると、冷媒が管に形成された冷媒が流路を通ることにより、口及び鼻の周りとフレームの間の空間にある気体を冷却するとともに、フレームに配置された管や耳掛け部に接触する使用者の部位を冷却できる。そのため、運動により体温が上昇した場合や、気温が高い時期でも、使用者にマスクを着用させることができる。
【0039】
〔第二実施形態〕
次に、第二実施形態について図5~7を参照して説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態の本体部10Aは、第一実施形態と異なり、通気口部23に柵部26が形成されている外面部材20Aと、通気口部33に柵部36が形成されている内面部材30Aと、を有する。
【0040】
柵部36には、図6に示すように、柵部36の裏面36dから、表面36c側から裏面36d側に向けて肉盛部36aが形成されている。
肉盛部36aは、図6及び図7に示すように、内部に、表面36cに開口する流路溝36bを有する。
流路溝36bは、柵部36の表面36cに、柵部26の裏面26dを当接させて、開口を閉蓋することにより、通気領域流路C5を形成させるためのものである。
上記の構成により、本体部10Aには、通気領域11Aに通気領域流路C5が形成されている。
通気領域流路C5は、図5に示すように、上流側で上流側流路C2から分岐して形成され、下流側で上流側流路C2と合流する。
【0041】
本実施形態のフレーム1Aによれば、通気領域11Aに形成された通気領域流路C5を通過する冷媒Rにより、通気領域11Aが大きくても、フレーム1Aと使用者の顔面の間の空気を冷やすことができる場合がある。
【0042】
〔第三実施形態〕
次に、第三実施形態について図8を参照して説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のフレーム1Bは、第二実施形態のフレーム1Aと異なり、通気領域流路C5を形成する経路溝が、外面部材20Bに形成されている。また、中間部流路C4が上側の肉盛部22Bにのみ形成されている。
【0043】
本実施形態のフレーム1Bによれば、中間部流路C4を、第一実施形態のフレーム1と比較して簡単な形状にすることができるので、簡単に製造することができる場合がある。
【0044】
〔第四実施形態〕
次に、第四実施形態について図9を参照して説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のフレーム1Cは、第一実施形態のフレームが上流側管92と下流側管93が1本ずつ取り付けられているのに対し、本体部10Cの右側と左側にそれぞれ上流側管92と下流側管93が取り付けられている。つまり、中間部流路C4が形成されておらず、本体部10Cの右側では、上流側流路C2、第一耳掛け部流路C7、下流側流路C3の順に冷媒Rが流れ、左側では、右側に形成された上流側流路C2とは別に形成された上流側流路C2に流入した冷媒Rが、第二耳掛け部流路C8、右側に形成された下流側流路C3とは別に形成された下流側流路C3の順に流れるように形成されている。
【0045】
本実施形態によれば、冷媒Rの流れる流路を2つに分けて、個々の流路の長さを短くできるので、フレーム1Aと使用者の顔面の間の空気を効率よく冷やすことができる場合がある。
【0046】
〔第五実施形態〕
次に、第五実施形態について図10を参照して説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のフレーム1Dは、本体部10Dに、通気領域11Dが、使用者の口と鼻に対応する箇所に形成されている。
【0047】
本実施形態のフレーム1Dによれば、使用者がマスク体を係止させたフレーム1Dと装着したときの息苦しさをより軽減できる場合がある。
なお、通気領域11Dの周囲に中間部流路C4を配置させてもよい。
【0048】
〔第六実施形態〕
次に、第六実施形態について図11を参照して説明する。
図11は、本実施形態のフレーム1Eを、図1のA-A線と同様に断面にした状態を示すものである。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態のフレーム1Eは、外面部材20Eのみで形成され、外面部材20Eの肉厚部22Eには、管94が着脱可能に嵌合する嵌合嵌合溝22bが形成されている。つまり、嵌合溝22bにはめ込まれた管94により、上流側流路C2、中間部流路C4、下流側流路C3が形成される。
管94は、その一部が外面部材20Eの左右の各々の端から耳掛け部40を形成するように出ている。つまり、管94により、第一耳掛け部流路C7と第二耳掛け部流路C8が形成される。
【0049】
なお、管94は、本実施形態では横断面が円形であるが、フレーム1を装着した使用者と接する面積を大きくするため、横断面が長方形状や楕円形状であってもよい。
耳掛管41の横断面が長方形状や楕円形状の場合には、嵌合溝22bの幅は、管94が楕円形状の場合は、その長径と略等しく、管94が長方形状の場合には、長辺と略等しく形成されている。
また、管94が嵌合溝22bに嵌って固定されるのではなく、本体部10に溶着や縫合されて固定されていてもよい。
【0050】
本実施形態のフレーム1Eによれば、管94を外面部材20Eに取り付けることにより製造することができる。
【0051】
〔第七実施形態〕
次に、第七実施形態について説明する。
第一実施形態と同じ構成要素には、第一実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態は、第一実施形態と異なり、本体部の本体部流路C1と耳掛け部の耳掛け部流路C6が、内部に保冷機能を有する材料を充填させる充填部に形成されている。
具体的には、内部に保冷機能を有する材料としては、公知のものを適宜用いることができるが、保冷効果が一定時間持続するものであり、冷却効果が低下した場合であっても、再度冷却することで、繰り返し使用することができるものであることが好ましい。
なお、本体部10の裏面側にポケットが形成され、そのポケットに保冷剤が収容されるようにしてもよい。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
例えば、第一実施形態では、流路溝22aが外面部材20に形成されていたが本発明はこれに限定されない。流路溝22aが内面部材30側に形成されていてもよく、外面部材20と内面部材30側の双方に形成されていてもよい。
【0053】
本体部流路C1の配置は、第一~第七実施形態のものに限定されない。本体部流路C1は、本体部の外周縁近傍と通気領域の周囲の一方又は双方に配置されることもできる。
また、第一実施形態では、中間部流路C4は、一直線上に形成されているが、本発明はこれに限定されない。中間部流路C4は、途中で分岐して、通気領域11の周囲に配置されていてもよい。
【0054】
さらに、上述した第一実施形態~第七実施形態では、本体部流路C1と耳掛け部流路C6が繋がっているが、本発明はこれに限定されない。本体部流路C1と耳掛け部流路C6が、別々に冷媒Rが貯蔵されているタンクに繋がっていてもよい。
【0055】
また、上述した第一実施形態~第七実施形態の本体部は、その外面又は内面にマスク体を係止させための係止部が形成されていてもよい。係止部は、マスク体を本体部10に係止できるものであれば、好適に用いることができる。
【0056】
タンクには、流路を循環して戻ってきた冷媒を冷却するための冷却装置が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 フレーム
10 本体部
40 耳掛け部
C1 本体部流路
C6 耳掛け部流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11