(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】固形化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20240718BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240718BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240718BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240718BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61K8/31
A61K8/92
A61K8/37
A61Q5/00
A61Q1/00
A61K8/02
(21)【出願番号】P 2019198733
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000213482
【氏名又は名称】中野製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 久美子
(72)【発明者】
【氏名】中野 亜衣子
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114830(JP,A)
【文献】特開2017-197439(JP,A)
【文献】特開2019-006727(JP,A)
【文献】特開2016-056173(JP,A)
【文献】特開2015-143195(JP,A)
【文献】特開2018-123129(JP,A)
【文献】MISSHA(ミシャ)グラムアートルージュ(PK02),Cosmetic-Info.jp ,2016年,https://www.cosmetic-info.jp/prod/detail.php?id=44150
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)セレシン、(B)合成ワックス、および(C)IOB値が0.18~0.45である
ジイソステアリン酸グリセリルおよび/またはトリ脂肪酸グリセリルを含有
し、
残部に油脂類を含み、
固形化粧料に含まれる前記(A)成分含有量が1~9質量%、前記(B)成分含有量が1~10質量%、前記(C)成分含有量が10~70質量%、
前記(A)成分と前記(B)成分の質量比[(A):(B)]が、9:1~1:8であることを特徴とする頭髪用固形化粧料(但し、トリメチルペンタフェニルトリシロキサンを含む固形化粧料、および一般式(1)
【化1】
(式中、Rは炭素数4~17の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、Xは-CO-O-又は-O-CO-を示し、Yは単結合又は-CH
2-を示す)で表されるエステル油を含む固形化粧料を除く)。
【請求項2】
更に、(D)ダイマージリノール酸エステル、および/または(E)ジイソステアリン酸プロパンジオールを含有する請求項
1に記載の固形化粧料。
【請求項3】
前記固形化粧料を手のひらに塗布後、頭髪に塗布して使用するものである請求項1
または2に記載の固形化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固形化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固形化粧料は常温で固形状の化粧料である。固形化粧料は化粧品として皮膚や髪に塗布して使用されており、例えばスティック状に成型された口紅、グロス、スティックファンデーション、ペンシル型化粧料、ヘアスティックや、容器に充填されたリップクリーム、ファンデーション等が知られている。
【0003】
固形化粧料は保存時に剤型を維持しつつ、塗布時には溶けるような塗り心地や化粧料の良好なのびと、化粧料が塗布部位に均一に塗布できることが求められている(以下、「塗布時の使用感」、という)。また固形化粧料を塗布した皮膚や髪のつや、手触り、しなやかさ、うるおい等の所望の効果を付与すること(以下、「美的効果」という)が求められている。このような特性を満たすために固形化粧料は基剤となる固形ワックスと液状油分等の選択や配合割合の調節、或いは各種添加剤が検討されている。例えば固形ワックスは製品の剤型を維持するために十分に配合しなければならないが、固形ワックスの配合量が多いと、塗布時の使用感や美的効果が低下する。これら効果は固形ワックスと液状油分の選択と配合量によって大きく変わるため、固形化粧料の開発においては様々な固形ワックスと液状油分との組み合わせや配合量が検討されている(例えば特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-052155号公報
【文献】特開2007-045711号公報
【文献】特開2015-174844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記な事情に着目してなされたものあって、その目的は、塗布時の使用感や美的効果を満足する固形化粧料を提供することである。また本発明はこれら効果に加えて固形化粧料の美的効果の持続性(以下、「美的効果持続性」という)を有する固形化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し得た本発明の固形化粧料は、[1](A)セレシン、(B)合成ワックス、および(C)IOB値が0.18~0.45であるジ脂肪酸グリセリル、および/またはトリ脂肪酸グリセリルを含有することに要旨を有する。
【0007】
本発明の固形化粧料の好ましい実施形態は[2]前記(A)成分と前記(B)成分の質量比[(A):(B)]が、9:1~1:8である前記[1]に記載の固形化粧料である。
【0008】
本発明の固形化粧料の他の好ましい実施形態は[3]前記固形化粧料に含まれる前記(A)成分含有量が1~9質量%、前記(B)成分含有量が1~10質量%、前記(C)成分含有量が10~70質量%である前記[1]、または[2]に記載の固形化粧料である。
【0009】
本発明の固形化粧料の他の好ましい実施形態は[4]更に、(D)ダイマージリノール酸エステル、および/または(E)ジイソステアリン酸プロパンジオールを含有する前記[1]~[3]のいずれかに記載の固形化粧料である。
【0010】
本発明には[5]前記固形化粧料を手のひらに塗布後、毛髪や皮膚に塗布して使用するものである前記[1]~[4]のいずれかに記載の固形化粧料も含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば塗布時の使用感や美的効果を満足する固形化粧料を提供できる。更に本発明によれば美的効果持続性に優れた固形化粧料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
近年、固形化粧料は唇や頬などの皮膚への塗布だけでなく、ヘアスティックなどとして頭髪への塗布も検討されている。そこで本発明者らは従来の皮膚用に提供されていた固形化粧料の組成を頭髪用に転用できないか検討した。しかしながら皮膚用と比べて頭髪用は使用条件が厳しく、十分な効果を発揮しなかった。例えば頭髪用では口紅などのように顔料などの着色剤が添加されないため添加剤による美的効果向上は望めなかった。また頭髪には皮膚用では考慮されていない髪のまとまりなどが求められていた。このような相違により、従来の皮膚用で検討されていた固形化粧料をそのまま頭髪用に転用しても塗布時の使用感や美的効果を満足することはできなかった。更に頭髪は唇などの皮膚と比べて化粧料の再塗布頻度が少なく、1回の塗布で美的効果が長時間持続することが望まれている。
【0013】
本発明者らはこれら問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の固形ワックスを併用し、更に特定の液状油分とを組み合わせることで、皮膚だけでなく、毛髪にも適した固形化粧料、具体的には塗布時の使用感、及び美的効果に優れ、好ましくは更に美的効果持続性に優れた固形化粧料を発明するに至った。
【0014】
上記課題を解決できた本発明の固形化粧料は、必須成分として下記(A)成分~(C)成分を含有する。
(A)成分:セレシン
(B)成分:合成ワックス
(C)成分:IOB値が0.18~0.45であるジ脂肪酸グリセリル、および/またはトリ脂肪酸グリセリル
【0015】
本発明の固形化粧料は上記3成分を必須成分とすることで上記効果を奏する。セレシンは鉱物(オゾケライト)由来の炭化水素ワックスであり、パラフィンなどの石油を精製して得られるワックスや天然植物由来のワックスよりも粘度、硬度、融点が高いなどの性質を有する。しかしながら固形ワックスとしてセレシンのみを使用してもパラフィン等の他の固形ワックスと比べての効果に差異はなかった。またセレシンと他の固形ワックスとを組み合わせても同様に効果に差異はなかった。ところが(A)セレシンと(B)合成ワックスを併用すると共に更に(C)特定の液状油分を組み合わせたところ、これらの相乗効果により、塗布時の使用感、美的効果が顕著に向上し、更に美的効果の持続性も向上した。すなわち、本発明は特定の成分(A)~(C)を必須成分とした場合にのみ、従来の固形化粧料では得られなかった塗布時の使用感、美的効果、及びその持続性が得られる。特に本発明の固形化粧料は従来の固形化粧料では得られなかった髪に対する上記効果が得られるだけでなく、唇等の皮膚に対してもその効果が得られる。以下、本発明の固形化粧料の各成分について詳述する。
【0016】
(A)成分:セレシン
セレシンはオゾケライト(鉱物)を精製して得られた炭化水素ワックスであり、室温で固形の油性成分である。本発明ではセレシンを後記(B)、(C)成分と併用することで塗布時の使用感、美的効果、及び美的効果持続性を顕著に向上できる。本発明では各種化粧料用のセレシンを使用でき、好ましくは融点が60℃以上、より好ましくは70℃以上のセレシンである。市販品としてはCERESIN#810(日興リカ社製)、CERESIN#820(日興リカ社製)、CERESIN C(日興リカ社製)などが例示されるが、これに限定されない。1種、または2種以上のセレシンを組み合わせて用いることができる。
【0017】
(B)成分、(C)成分と共に、(A)成分であるセレシンを含有させることで固形化粧料の軟化を抑制して剤型の形状維持性に寄与すると共に上記各種効果を向上できる。一方、セレシン含有量が多すぎると固形化粧料を塗布したときののびや塗り心地が悪化するなど塗布時の使用感が低下すると共に、上記各種効果が低下することがある。このような観点からセレシンの含有量(2種以上併用する場合は合計量)は固形化粧料全量(100質量%)に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であって、好ましくは9質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5.5質量%以下である。
【0018】
(B)成分:合成ワックス
本発明で合成ワックスとは炭化水素系合成ワックスである。本発明では各種化粧料用の合成ワックスを使用でき、好ましくは融点が80℃以上、より好ましくは90℃以上の合成ワックスである。合成ワックスとしてはフィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのホモポリマー;(エチレン/プロピレン)コポリマーワックス等のコポリマーが例示される。合成ワックスとしてフィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及び(エチレン/プロピレン)コポリマーワックスよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。市販品としてはLIPWAX A-4(日本ナチュラルプロダクツ社製)、LIPWAX PZ80-20(日本ナチュラルプロダクツ社製)、TITANEL(SASOL社製)、EXP 1583(SASOL社製)、サンワックス 151―P(三洋化成工業社製)、サンワックス 171―P(三洋化成工業社製)、Performalene 655 Polyethylene(ニューフェーズテクノロジー社製)等が例示されるが、これに限定されない。本発明では1種、または2種以上の合成ワックスを組み合わせて用いることができる。
【0019】
(A)成分、(C)成分と共に、(B)成分である合成ワックスを含有させることで固形化粧料の軟化抑制、剤型の形状維持性、更に上記各種効果を向上できる。一方、合成ワックス含有量が多すぎると固形化粧料を塗布したときののびや塗り心地が悪化するなど塗布時の使用感が低下すると共に、上記各種効果が低下することがある。このような観点から合成ワックスの含有量(2種以上併用する場合は合計量)は固形化粧料全量(100質量%)に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であって、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
【0020】
(A)成分と(B)成分の質量比
本発明では(A)セレシンと(B)合成ワックスの質量比を調整することが好ましい。(B)合成ワックスに対する(A)セレシンの質量比が大きくなりすぎると剤型が崩れやすくなり、また溶けるような塗布感が減少して塗り心地が悪化し、塗布時の使用感が悪くなると共に、美的効果、及び美的効果持続性も低下することがある。一方、(A)セレシンに対する(B)合成ワックスの質量比が大きくなりすぎると化粧料が硬くなるため力を加えて化粧料を崩しながら塗布する感覚となって塗布時の使用感が悪くなると共に、美的効果や美的効果持続性も低下することがある。このような観点から(A)成分と(B)成分の質量比は好ましくは9:1~1:8、より好ましくは5.3:1~1:3.7、更に好ましくは1.7:1~1:1.7である。
【0021】
(C)成分:IOB値が0.18~0.45であるジ脂肪酸グリセリルおよび/またはトリ脂肪酸グリセリル(「ジ又はトリ脂肪酸グリセリル」ということがある)
本発明においてIOB値(Inorganic Organic Balance)とは、有機化合物の無機性値と有機性値との比率(無機性/有機性比)を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標である。またIOB値は「有機概念図」(藤田穆)により定義されており、詳細は「フレグランスジャーナル」 vol.17(No.4)p29-38(1989);「乳化処方設計へのアプローチ」及び「有機概念図用原料集」日本エマルジョン社、2009年9月発行;「有機概念図-基礎と応用-」甲田善生、三共出版1984年発行、p11~17等で説明されている。化合物の有機性値と無機性値は化合物の基ごとに予め決められた値をそれぞれ分子全体について合計することによって当該化合物のIOB値を求めることができる。有機性値や無機性値は例えば「有機概念図用原料集」に収載されている値を使用すればよい。
【0022】
本発明においてジ脂肪酸グリセリル、トリ脂肪酸グリセリルとは、脂肪酸とグリセリンのジエステル、トリエステルである。本発明では上記(A)成分と(B)成分を(C)成分と組み合わせた場合にのみ、塗布時の使用感、美的効果、及び美的効果の持続性を向上させる効果が得られる。IOB値が低すぎるジ又はトリ脂肪酸グリセリルを使用すると塗布感が軽くなりすぎて溶けるような塗り心地やのびが得られなくなり、塗布時の使用感が悪化する。またIOB値が高すぎるジ又はトリ脂肪酸グリセリルを使用すると塗布時に化粧料を力で崩す感じとなり、溶けるような塗り心地が得られなくなると共に、化粧料の皮膚への均一な付着性や髪のまとまりも悪化する。したがってジ又はトリ脂肪酸グリセリルのIOB値は0.18以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.23以上、更に好ましくは0.25以上であって、0.45以下、好ましくは0.43以下、より好ましくは0.40以下、更に好ましくは0.38以下である。
【0023】
本発明では上記IOB値を満足するジ又はトリ脂肪酸グリセリルであればいずれも使用可能であり、1種、または2種以上組み合わせて使用できる。IOB値が0.18~0.45であるジ又はトリ脂肪酸グリセリルとしては好ましくは、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル[IOB値:0.33]、トリイソステアリン酸PEG-3グリセリル[IOB値:0.20]、トリカプリリン(トリカプリル酸グリセリル)[IOB値:0.33]、トリエチルヘキサノイン(トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル)[IOB値:0.35]、ジイソステアリン酸グリセリル [IOB値:0.29]等が例示される。またIOB値を満足する市販品はいずれも使用可能であり、例えばMYRITOL 318(BASF社製)、NIKKOL トリエスターF-810(日光ケミカルズ社製)、EMALEX GWIS-303(日本エマルション社製)、パナセート800(日油社製)、パナセート800B(日油社製)、T.I.O(日清オイリオ社製)、サンオイル GDI-D(太陽化学社製)等が挙げられる。なお、2種以上の(C)成分を組み合わせて使用する場合は、各(C)成分のIOB値が上記範囲を満足していればよい。
【0024】
(A)成分、(B)成分と共に、(C)成分の含有量を多くすることで上記効果をより一層向上できる。(C)成分の含有量(2種以上併用する場合は合計量)は固形化粧料全量(100質量%)に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であって、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
【0025】
本発明の固形化粧料は、上記(A)成分、(B)成分、および(C)成分を必須成分として含んでいればよい。上記(A)~(C)成分の適切な含有量の範囲は他の成分を含んでいる場合であっても同じである。また本発明の固形化粧料は上記必須成分以外にも必要に応じて下記(D)成分~(G)成分よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させることで各成分に起因してより一層優れた効果が得られるため好ましい。また固形化粧料は上記必須成分、及び必要により添加される各種添加剤を含み、残部は上記成分以外の油脂類である。本発明の上記各成分含有量が上記範囲となるように適宜調整すればよい。残部を形成する油脂類は特に限定されず、固形化粧料で使用されているエステル油などの各種公知の油脂類を使用できる。エステル油としては例えばコレステロール脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等が挙げられるがこれに限定されない。残部を構成する油脂類は1種、又は2種以上併用して使用することができる。
【0026】
(D)成分:ダイマージリノール酸エステル
ダイマージリノール酸エステルは塗布時の塗り心地やのびの向上に寄与する成分であり、特に塗布時にこってりとした質感が得られる。ダイマージリノール酸エステルとしては特に限定されないが、例えばダイマージリノール酸ダイマージリノレイルなどのダイマージリノール酸とダイマージオールとのエステル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)などのダイマージリノール酸とアルコールやその混合物とのエステル等が挙げられ、該例示よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。市販品としてはLUSPLAN DD-DA5、LUSPLAN PI-DA、Plandool-H、Plandool-G(いずれも日本精化社製)等が例示されるが、これに限定されない。本発明では1種、または2種以上のダイマージリノール酸エステルを併用できる。
【0027】
ダイマージリノール酸エステルの含有量が少なすぎると塗り心地や塗布時ののびにこってりとした質感が十分に得られない。一方、ダイマージリノール酸エステルの含有量が多すぎると重くなりべたつきが生じ、例えば毛髪に重すぎるまとまりを与えることがある。ダイマージリノール酸エステルの含有量(2種以上併用する場合は合計量)は固形化粧料全量(100質量%)に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であって、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
【0028】
(E)成分:ジイソステアリン酸プロパンジオール
ジイソステアリン酸プロパンジオールは塗布時の塗り心地やのびの向上に寄与する成分であり、特に塗布時の化粧料ののびになめらかさが得られる。ジイソステアリン酸プロパンジオールとしては例えばサラコス PR-17(日清オイリオ社製)等の市販品を使用できるが、これに限定されない。
【0029】
ジイソステアリン酸プロパンジオールの含有量が少なすぎると塗り心地や塗布時ののびのなめらかさが十分に得られないことがある。一方、ジイソステアリン酸プロパンジオールの含有量が多くなりすぎると塗布感が軽くなり、溶けるような塗り心地感が低下することがある。ジイソステアリン酸プロパンジオールの含有量は固形化粧料全量(100質量%)に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であって、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
【0030】
(F)成分:無機粉体
無機粉体は塗布時のべたつきの軽減やのびの良さ、毛髪に対するツヤ等の向上に寄与する成分である。無機粉体は化粧料用の無機粉体であれば特に限定されないが、例えば酸化チタン、カオリン、マイカ、海泥等が挙げられ、このうち酸化チタン、マイカ、カオリンが好ましい。市販品としてはKTZ Interfine(KOBO社製)等が例示されるが、これに限定されない。本発明では1種、または2種以上の無機粉体を併用できる。
【0031】
無機粉体の含有量が少なすぎると上記添加効果が十分に得られず、一方、含有量が多すぎると化粧料が硬くなって塗布感が悪くなることがある。無機粉体は1種または2種以上を併用してもよく、無機粉体の含有量(2種以上併用する場合は合計量)は固形化粧料全量(100質量%)に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であって、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
【0032】
(G)成分:シリコーン化合物
シリコーン化合物は塗布時ののびの良さや美的効果の向上に寄与する成分であり、特に毛髪に対するツヤやまとまり感の向上に寄与する成分である。シリコーン化合物は化粧料用であれば特に限定されないが、例えばジメチルポリシロキサン、環状シリコーン、フェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、シリコーンレジン等が挙げられ、このうち特に低重合ジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ポリプロピルシルセスキオキサンが好ましい。市販品としてはDOWSIL SH200C FLUID 6CS、DOWSIL SH200C FLUID 5CS,DOWSIL SH556 FLUID、DOWSIL 680 ID FLUID(いずれも東レ・ダウコーニング社製)、KF-56A(信越化学工業社製)等が例示されるが、これに限定されない。本発明では1種、または2種以上のシリコーン化合物を併用できる。
【0033】
シリコーン化合物の含有量が少なすぎると上記添加効果が十分に得られず、一方、含有量が多すぎると塗布感が軽くなることがある。シリコーン化合物の含有量(2種以上併用する場合は合計量)は固形化粧料全量(100質量%)に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは4質量%以上であって、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下である。
【0034】
(H)成分:溶剤
更に本発明では必要に応じて(H)溶剤として水を配合してもよい。水の含有量は特に限定されず適宜設定すればよいが、例えば固形化粧料全量(100質量%)に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下(0質量%を含まない)である。また本発明では(H)溶剤として水を配合せずに非水系の固形化粧料としてもよい。
【0035】
本発明の固形化粧料には、上記(D)成分~(H)成分以外にも必要に応じて化粧料に通常添加される成分を添加剤として配合してもよい。添加剤としては例えば油脂類(上記(A)成分~(C)成分を除く)、セット樹脂類、タンパク質類、加水分解タンパク質類、アミノ酸類、植物エキス類、紫外線吸収剤、保湿剤、ラノリン類、高級アルコール類、フッ素系化合物類、カチオン系ポリマー類、界面活性剤(カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤)、消臭剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、溶剤(水を除く)、抗炎症剤、増粘剤、香料、色素等を挙げることができる。これら添加剤は1種、または2種以上を併用できる。
【0036】
本発明の固形化粧料は室温(25℃)で溶解しないため任意の形状に成型できる。本発明の固形化粧料の形状は特に限定されず、スティック状(棒状)、ケーキ状、または容器に充填された形態など任意の形状を採用できる。本発明の固形化粧料の製造方法は特に限定されるものではなく、一般的な製法で得ることができる。例えば成分(A)~(E)を加熱溶融した後、成分(F)、(G)等その他の成分を必要に応じて添加して、均一に混合分散し、これを容器または型に加熱溶解後に流し込み充填し、冷却して各スティック状固形化粧料を得ることができる。例えばスティック状に成型した固形化粧料を容器に充填し、容器より繰り出して使用する。
【0037】
また本発明の固形化粧料は手のひらに塗布後、毛髪や皮膚に塗布して使用することが好ましい。本発明の固形化粧料はヘアスティック、口紅、グロス、リップクリーム、ファンデーション、スティックファンデーション、ペンシル型化粧料、ハンドクリーム、フェースクリーム、フット(足)用クリーム等の頭髪用化粧料、皮膚用化粧料に幅広く使用・応用できる。
【0038】
本発明の固形化粧料の使用方法として、例えば固形化粧料を適量手のひらに塗布した後、毛髪や皮膚に塗布して使用することが挙げられる。特に本発明の固形化粧料を髪に適用すると、塗り心地や塗布後の髪でののびが良く、また塗布された髪のつやや手触り、まとまりなどに優れた効果が得られると共に、該効果も長時間持続するため好ましい。また本発明の固形化粧料を唇や頬など皮膚に適用すると、塗り心地や塗布後の皮膚でののびがよく、皮膚への均一な付着性が得られると共に、塗布部位にツヤなどの美的効果を付与できる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0040】
本発明ではスティック状に成型した固形化粧料を用いて試験を行った。本発明の固形化粧料は各表に示す成分(A)~(C)、及び必要により添加した成分(D)、(E)を110~120℃に加熱溶融した後、必要により添加した成分(F)、(G)及びその他の成分を均一に混合分散し、これを円柱型容器(直径1.5cm、深さ4cm)に加熱溶解後に流し込み充填し、室温まで冷却して各スティック状固形化粧料を得た。円柱型容器に充填した各スティック状固形化粧料を用いて専門パネラー10名による官能評価を行い、下記項目について評価した。
【0041】
[塗り心地]
スティック状固形化粧料を手のひらに滑らせるように塗布した。その際、溶けるような塗り心地が得られたかについて下記3段階で評価し、各パネラーの評価点の合計点に基づいて以下の評価基準で判定した。
[3段階評価基準]
3点:非常に溶けるような塗り心地
2点:溶けるような塗り心地
1点:溶けるような塗り心地でない
[塗り心地の評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0042】
[塗布時ののび]
スティック状固形化粧料を手のひらに滑らせるように塗布し(0.1g)、試験用ウィッグ(毛髪の長さ:30cm、2回ブリーチ「商品名:キャラデコ トーナー ブリーチパウダーEX(中野製薬社製)」処理済み)の一部に均一に伸ばした。その際、毛髪に対して化粧料がのび良く塗布できたかについて下記3段階で評価し、各パネラーの評価点の合計点に基づいて以下の評価基準で判定した。
[3段階評価基準]
3点:非常にのびが良い
2点:のびが良い
1点:のびが良くない
[塗布時ののびの評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0043】
[ツヤ]
上記化粧料を塗布した後の試験用ウィッグを用いて毛髪表面を外観観察してツヤ感について下記3段階で評価し、各パネラーの評価点の合計点に基づいて以下の評価基準で判定した。
[3段階評価基準]
3点:非常にツヤがある
2点:ツヤがある
1点:ツヤがない
[ツヤの評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0044】
[まとまり]
上記化粧料を塗布した後の試験用ウィッグを用いて毛髪が良好なまとまりを有しているかについて下記3段階で評価し、各パネラーの評価点の合計点に基づいて以下の評価基準で判定した。なお、良好なまとまりとは、毛束および毛先が自然にまとまり、べたつきを感じない状態をいう。
[3段階評価基準]
3点:非常に良好なまとまりがある
2点:良好なまとまりがある
1点:良好なまとまりがない
[まとまりの評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0045】
[皮膚への均一な付着性]
スティック状固形化粧料を手のひらに塗布し(0.1g)、手を合わせて手のひら全体に均一に伸ばした。化粧料が手のひらに均一に付着したかについて下記3段階で評価し、各パネラーの評価点の合計点に基づいて以下の評価基準で判定した。なお、「皮膚への均一な付着性」は、皮膚に対するのびやべたつき、なめらかで保湿感のある被膜感を総合的に判断した。
[3段階評価基準]
3点:非常に良好な皮膚への均一な付着性がある
2点:良好な皮膚への均一な付着性がある
1点:良好な皮膚への均一な付着性がない
[皮膚への均一な付着性の評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0046】
[24時間後のツヤ、および48時間後のツヤ>
試験用毛束(26cm、0.4g、2回ブリーチ「商品名:キャラデコ トーナー ブリーチパウダーEX(中野製薬社製)」処理済み)にスティック状固形化粧料0.02gを均一に塗布した。20℃、60%RH条件下で放置し、24時間後および48時間後の毛髪表面を外観観察してツヤ感について下記3段階で評価し、各パネラーの評価点の合計点に基づいて以下の評価基準で判定した。
[3段階評価基準]
3点:非常にツヤがある
2点:ツヤがある
1点:ツヤがない
[24時間後・48時間後のツヤの評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0047】
[24時間後のまとまり、および48時間後のまとまり]
試験用毛束(26cm、0.4g、2回ブリーチ「商品名:キャラデコ トーナー ブリーチパウダーEX(中野製薬社製)」処理済み)にスティック状固形化粧料0.02gを均一に塗布した。20℃、60%RH条件下で放置し、24時間後および48時間後の髪のまとまりについて下記3段階で評価し、各パネラーの評価点の合計点に基づいて以下の評価基準で判定した。
[3段階評価基準]
3点:非常に良好なまとまりがある
2点:良好なまとまりがある
1点:良好なまとまりがない
[24時間後および48時間後のまとまりの評価基準]
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0048】
【0049】
表1から以下のことがわかる。処方例1は本発明で規定する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む発明例であり、評価項目全てにおいて極めて優れた評価が得られた。特に(A)成分を含むことで髪に対する使用時の塗布感、及び美的効果が著しく向上した。一方、処方例2~7は(A)成分であるセレシンに代えて他の固形ワックスを用いた比較例である。これら比較例では溶けるような塗り心地が減少し、重さがでてのびが悪かったため、塗り心地や塗布時ののびといった塗布時の使用感が悪く、髪に求められる美的効果であるツヤが減少すると共に、自然なまとまりが得られなかった。またのびが悪かったため皮膚への均一な塗布性も悪かった。
【0050】
【0051】
表2から以下のことがわかる。処方例1、8~10は本発明で規定する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む発明例であり、評価項目全てにおいて極めて優れた評価が得られた。一方、処方例11、12は(B)成分である合成ワックスに代えて天然の植物ロウを用いた比較例である。これら比較例では溶けるような塗り心地が減少し、塗り心地や塗布時ののびといった塗布時の使用感が悪かった。また(A)成分と(C)成分を植物ロウと組み合わせても髪に求められる美的効果であるツヤやまとまりは得られず、皮膚への均一な塗布性も悪かった。
【0052】
【0053】
表3から以下のことがわかる。処方例1、14~16、19は本発明で規定する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む発明例であり、評価項目全てにおいて優れた評価が得られた。一方、処方例13は(C)成分としてIOB値が低いトリイソステアリンを用いた比較例である。処方例13では塗布感が軽く、溶けるような塗り心地が得られず、また塗布時ののびが悪かった。またツヤやまとまりも不十分であり、皮膚への均一な塗布性も悪かった。また処方例17、18は(C)成分としてIOB値が高いトリイソステアリン酸PEG-10グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-30グリセリルを用いた比較例である。これら処方例では固形化粧料を崩す感じが強くなり、塗り心地やのびが悪かった。またIOB値が高くなる程、髪のツヤやまとまりが悪くなると共に、皮膚への均一な付着性も低下した。
【0054】
【0055】
表4から以下のことがわかる。処方例1、22~24は本発明で規定する好適な範囲の(A)成分と(B)成分の質量比を満足する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む発明例であり、評価項目全てにおいて優れた評価が得られ、24時間経過後もツヤやまとまりを維持しており、髪に対する優れた美的効果持続性が認められた。処方例1、23は評価項目全てにおいて極めて優れた評価が得られた。処方例21、25は本発明で規定する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む発明例であるが、(A)成分と(B)成分の質量比が本発明の好適な範囲を外れるため、処方例1、21~24と比べると若干、評価が低くなったが優れた評価が得られた。一方、(A)成分を含まない処方例26、及び(B)成分を含まない処方例20はいずれも比較例であり、溶けるような塗り心地が得られず、塗布時ののびも悪かった。またツヤやまとまりも不十分であり、皮膚への均一な塗布性も悪かった。これら比較例は24時間後の美的効果持続性が悪かった。
【0056】
【0057】
表5から以下のことがわかる。処方例1、27~30は本発明で規定する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含み、(A)成分の含有量を変化させた発明例である。
処方例1、28~29は本発明で規定する好適な範囲の(A)成分含有量を満足する例であり、評価項目全てにおいて優れた評価が得られた。(A)成分含有量が若干少ない処方例27は固形化粧料が崩れやすくなっており、塗り心地が若干減少した。他の評価項目も処方例1、28、29と比べると若干、評価が低くなったが優れた評価が得られた。また(A)成分含有量が多い処方例30は固形化粧料が若干硬くなり、溶けるような塗り心地が減少した。他の評価項目も処方例1、28、29と比べると若干、評価が低くなったが優れた評価が得られた。処方例1、28は評価項目全てにおいて極めて優れた評価が得られた。
【0058】
【0059】
表6から以下のことがわかる。処方例1、32、33は本発明で規定する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含み、(B)成分の含有量を変化させた発明例である。
処方例1、32、33は本発明で規定する好適な範囲の(B)成分含有量を満足する例であり、評価項目全てにおいて優れた評価が得られ、特に髪に対する美的効果が高かった。(B)成分含有量が若干少ない処方例31は固形化粧料が崩れやすくなっており、塗り心地が若干減少した。他の評価項目も若干、評価が低くなったが優れた評価が得られた。また(B)成分含有量が多い処方例34は固形化粧料が若干硬くなり、溶けるような塗り心地が減少した。また他の評価項目も若干、評価が低くなったが優れた評価が得られた。
【0060】
【0061】
表7から以下のことがわかる。処方例36~40は本発明で規定する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含み、(C)成分の含有量を変化させた発明例である。処方例37~39は本発明で規定する好適な範囲の(C)成分含有量を満足する例であり、評価項目全てにおいて優れた評価が得られ、特に塗布時ののび、及び皮膚への均一な付着性に対する効果が高かった。特に処方例38は極めて優れた評価が得られた。(C)成分含有量が少ない処方例36は塗布感が若干軽くなっており、塗り心地が若干減少した。他の評価項目も若干、評価が低くなったが優れた評価が得られた。また(C)成分含有量が多い処方例40は固形化粧料が若干重くなり、塗布時ののびが減少した。他の評価項目も若干、評価が低くなったが優れた評価が得られた。一方、(C)成分を含まない処方例35は比較例であり、固形化粧料の滑りが軽く、溶けるような塗り心地が得られず、またツヤやまとまりが悪く、皮膚への均一な付着性も悪かった。
【0062】
【0063】
表8から以下のことがわかる。処方例41~43、45は本発明で規定する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含み、更に(D)成分を添加した発明例である。処方例41~45ではいずれも(D)成分に起因して塗り心地や塗布時ののびにおいて、こってりとした質感が得られた。また(D)成分が好適な範囲にある処方例41~45は評価項目全てにおいて極めて優れた評価が得られた。(D)成分含有量が多かった処方例44はこってりとした質感が強くなってツヤ以外の評価が若干低くなったが優れた評価が得られた。
【0064】
【0065】
表9から以下のことがわかる。処方例46~49は本発明で規定する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含み、更に(E)成分を添加した発明例である。処方例46~49ではいずれも(E)成分に起因して塗り心地や塗布時ののびにおいて、なめらかさが得られた。また処方例46~48は評価項目全てにおいて極めて優れた評価が得られたが、(E)成分の好適な含有量を満足する処方例47、48は複数の評価で28点以上の特に優れた評価が得られた。
【0066】
【0067】
表10から以下のことがわかる。処方例50~52は本発明で規定する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む発明例であり、評価項目全てにおいて極めて優れた評価が得られた。特に処方例50~51は48時間後もツヤやまとまりを持続しており、髪に対して極めて優れた美的効果持続性を示した。処方例50は更に(D)成分、及び(E)成分を添加した発明例であり、(D)成分と(E)成分の相乗効果が加わって各評価項目の評価が最も高かった。処方例51は更に(F)成分を添加した発明例であり、(F)成分に起因してさらっとしたのびが得られると共に、マイカ特有のツヤが得られた。処方例52は更に(G)成分を添加した発明例であり、(G)成分に起因して光沢のあるツヤが得られた。