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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】連結デバイスおよび連結する方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/04 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
F16B7/04 301B
F16B7/04 301F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020103250
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021196002
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000227593
【氏名又は名称】日之出水道機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 俊之
(72)【発明者】
【氏名】永田 誠
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-283358(JP,A)
【文献】実開昭49-139468(JP,U)
【文献】特開平07-158623(JP,A)
【文献】特開平09-296890(JP,A)
【文献】実開平02-054909(JP,U)
【文献】国際公開第02/25162(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/00-7/22
F16L 21/00-21/08
F16L 23/00-25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に延びる第1の部材と、前記第1の方向または前記第1の方向に沿う方向に延びる第2の部材とを、前記第1の方向に直交する放射方向の外側から覆うように配置される被覆部材と、
前記被覆部材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを連結させる連結部材とを備え、
前記被覆部材は、第1の外径を有する第1の円形状外周面と、
前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有する第2の円形状外周面とを含み、
前記連結部材は、前記第1の円形状外周面を介して前記被覆部材が前記放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、前記第1の円形状外周面の外側に嵌め込む第1のリング状部材と、
前記第2の円形状外周面を介して前記被覆部材が前記放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、前記第2の円形状外周面の外側に嵌め込む第2のリング状部材とを含み、
前記第1のリング状部材は、前記第1の円形状外周面の外側に前記第1の方向の一方側から嵌め込み可能に形成された第1の嵌め込み形状を含み、
前記第2のリング状部材は、前記第2の円形状外周面の外側に前記第1の方向の一方側から嵌め込み可能に形成された第2の嵌め込み形状を含み、
前記第1の部材は、前記第1の方向の一方側を遮蔽する第1の遮蔽物を介して前記第1の方向の一方側から他方側に向けて突出し、
前記第2の部材は、前記第1の方向の他方側を遮蔽する第2の遮蔽物を介して前記第1の方向の他方側から一方側に向けて突出し、
前記第1の遮蔽物と前記第2の遮蔽物との間の距離は、前記被覆部材と前記第1のリング状部材との前記第1の方向の合計距離よりも長く、前記被覆部材と前記第1のリング状部材と前記第2のリング状部材との前記第1の方向の合計距離よりも短い、連結デバイス。
【請求項2】
第1の方向に延びる第1の部材と、前記第1の方向または前記第1の方向に沿う方向に延びる第2の部材とを、前記第1の方向に直交する放射方向の外側から覆うように配置される被覆部材と、
前記被覆部材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを連結させる連結部材とを備え、
前記被覆部材は、第1の外径を有する第1の円形状外周面と、
前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有する第2の円形状外周面とを含み、
前記連結部材は、前記第1の円形状外周面を介して前記被覆部材が前記放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、前記第1の円形状外周面の外側に嵌め込む第1のリング状部材と、
前記第2の円形状外周面を介して前記被覆部材が前記放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、前記第2の円形状外周面の外側に嵌め込む第2のリング状部材とを含み、
前記第1のリング状部材は、前記第1の円形状外周面の外側に前記第1の方向の一方側から嵌め込み可能に形成された第1の嵌め込み形状を含み、
前記第2のリング状部材は、前記第2の円形状外周面の外側に前記第1の方向の一方側から嵌め込み可能に形成された第2の嵌め込み形状を含み、
前記第1の嵌め込み形状は、第1のめねじ部を含み、
前記第1の円形状外周面は、前記第1のめねじ部と締結可能に形成された第1のおねじ部を含み、
前記第2の嵌め込み形状は、第2のめねじ部を含み、
前記第2の円形状外周面は、前記第2のめねじ部と締結可能に形成された第2のおねじ部を含む、連結デバイス。
【請求項3】
第1の方向に延びる第1の部材と、前記第1の方向または前記第1の方向に沿う方向に延びる第2の部材とを、前記第1の方向に直交する放射方向の外側から覆うように配置される被覆部材と、
前記被覆部材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを連結させる連結部材とを備え、
前記被覆部材は、第1の外径を有する第1の円形状外周面と、
前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有する第2の円形状外周面とを含み、
前記連結部材は、前記第1の円形状外周面を介して前記被覆部材が前記放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、前記第1の円形状外周面の外側に嵌め込む第1のリング状部材と、
前記第2の円形状外周面を介して前記被覆部材が前記放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、前記第2の円形状外周面の外側に嵌め込む第2のリング状部材とを含み、
前記第1のリング状部材は、前記第1の円形状外周面の外側に前記第1の方向の一方側から嵌め込み可能に形成された第1の嵌め込み形状を含み、
前記第2のリング状部材は、前記第2の円形状外周面の外側に前記第1の方向の一方側から嵌め込み可能に形成された第2の嵌め込み形状を含み、
前記第1の嵌め込み形状は、前記第1の方向の一方側から他方側に向けて内径が漸次拡大するように傾斜する第1の傾斜内周面を含み、
前記第1の円形状外周面は、前記第1の傾斜内周面と接触可能に形成された第1の傾斜外周面を含み、
前記第2の嵌め込み形状は、前記第1の方向の一方側から他方側に向けて内径が漸次拡大するように傾斜する第2の傾斜内周面を含み、
前記第2の円形状外周面は、前記第2の傾斜内周面と接触可能に形成された第2の傾斜外周面を含む、連結デバイス。
【請求項4】
第1の方向に延びる第1の部材と、前記第1の方向または前記第1の方向に沿う方向に延びる第2の部材とを、前記第1の方向に直交する放射方向の外側から覆うように配置される被覆部材と、
前記被覆部材を介して前記第1の部材と前記第2の部材とを連結させる連結部材とを備え、
前記被覆部材は、第1の外径を有する第1の円形状外周面と、
前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有する第2の円形状外周面と、
み合わせることにより前記第1の円形状外周面および前記第2の円形状外周面を形成可能に分割された複数の分割被覆部材とを含み、
前記連結部材は、前記第1の円形状外周面を介して前記複数の分割被覆部材が前記放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、前記第1の円形状外周面の外側に嵌め込む第1のリング状部材と、
前記第2の円形状外周面を介して前記複数の分割被覆部材が前記放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、前記第2の円形状外周面の外側に嵌め込む第2のリング状部材とを含む、連結デバイス。
【請求項5】
第1の方向に対向する第1の遮蔽物および第2の遮蔽物と、
前記第1の遮蔽物を介して前記第1の方向の一方側から他方側に向けて突出する第1の部材と、
前記第2の遮蔽物を介して前記第1の方向の他方側から一方側に向けて突出する第2の部材と、
前記第1の遮蔽物と前記第2の遮蔽物との間で前記第1の部材と前記第2の部材とを連結する、請求項1~のいずれか一項に記載の連結デバイスとを備える、構造物。
【請求項6】
第1の方向に延びる第1の部材と、前記第1の方向または前記第1の方向に沿う方向に延びる第2の部材とを連結デバイスにより連結する方法であって、
前記連結デバイスは、被覆部材と、連結部材とを備え、前記被覆部材は、第1の外径を有する第1の円形状外周面と、前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有する第2の円形状外周面と、組み合わせることにより前記第1の円形状外周面および前記第2の円形状外周面を形成可能に分割された複数の分割被覆部材とを含み、前記連結部材は、前記第1の円形状外周面の外側に嵌め込み可能な第1のリング状部材と、前記第2の円形状外周面の外側に嵌め込み可能な第2のリング状部材とを含み、
当該方法は、前記第1の部材に少なくとも前記第1のリング状部材を取り付けることと、
前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記第1の方向に直交する放射方向の外側から覆うように前記複数の分割被覆部材を配置することと、
前記第1の円形状外周面を介して前記複数の分割被覆部材が前記放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、前記第1の円形状外周面の外側に前記第1のリング状部材を嵌め込むことと、
前記第2の円形状外周面を介して前記複数の分割被覆部材が前記放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、前記第2の円形状外周面の外側に前記第2のリング状部材を嵌め込むこととを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結デバイスおよび連結デバイスにより連結する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、管部材の接続作業を狭い空間内で行う場合でも作業効率の悪化を招くことなく管継手からの各管部材の抜け出しを防止することができる配管接続構造を提供することが記載されている。そのため、特許文献1には、各管部材の端部がそれぞれ挿入される筒状の合成樹脂製の継手本体に、該継手本体の各管部材の端部に対応する各部分のそれぞれの少なくとも一部を溶融させるべく発熱する発熱体を設け、継手本体の前記各部分に、それぞれ発熱体の熱による溶融によって膨張した合成樹脂から受ける圧力により継手本体から各管部材に向けて押し出される複数の突起部材を設け、各管部材に、それぞれ継手本体内への挿入状態で各突起部材に係合する係合部を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-163957号公報(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
簡易な構成で、狭い作業スペースにおける連結作業に好適な連結デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、第1の方向に延びる第1の部材と、第1の方向または第1の方向に沿う方向に延びる第2の部材とを、第1の方向に直交する放射方向の外側から覆うように配置される被覆部材と、被覆部材を介して第1の部材と第2の部材とを連結させる連結部材とを備える連結デバイスである。被覆部材は、第1の外径を有する第1の円形状外周面と、第1の外径よりも大きい第2の外径を有する第2の円形状外周面とを含む。連結部材は、第1の円形状外周面を介して被覆部材が放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、第1の円形状外周面の外側に嵌め込む第1のリング状部材と、第2の円形状外周面を介して被覆部材が放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、第2の円形状外周面の外側に嵌め込む第2のリング状部材とを含む。
【0006】
この連結デバイスでは、被覆部材が外径の異なる2つの円形状外周面を含むため、2つのリング状部材を2つの円形状外周面の外側にそれぞれ嵌め込む際、第1の方向において「互いに近づける向き」や「互いに遠ざける向き」だけでなく、「一方側から他方側に向かう向き(第1の円形状外周面の側から第2の円形状外周面の側に向かう向き)」にも嵌め込むことが可能となる。これにより、2つのリング状部材を嵌め込む向きを増やすことができる。このため、作業スペースの広狭などの施工環境に応じて、2つのリング状部材を嵌め込む向きを選択することができる。したがって、嵌め込み作業の自由度を向上させることができる。
【0007】
第1のリング状部材は、第1の円形状外周面の外側に第1の方向の一方側から嵌め込み可能に形成された第1の嵌め込み形状を含み、第2のリング状部材は、第2の円形状外周面の外側に第1の方向の一方側から嵌め込み可能に形成された第2の嵌め込み形状を含むことが好ましい。
【0008】
2つのリング状部材が、第1の方向の一方側から嵌め込み可能に形成された嵌め込み形状をそれぞれ含むため、第1の方向の他方側に作業スペースが確保できない施工環境であっても、容易に、2つのリング状部材を第1の方向の一方側から他方側に向かう向きに嵌め込むことができる。
【0009】
第1の部材は、第1の方向の一方側を遮蔽する第1の遮蔽物を介して第1の方向の一方側から他方側に向けて突出し、第2の部材は、第1の方向の他方側を遮蔽する第2の遮蔽物を介して第1の方向の他方側から一方側に向けて突出し、第1の遮蔽物と第2の遮蔽物との間の距離は、被覆部材と第1のリング状部材との第1の方向の合計距離よりも長く、被覆部材と第1のリング状部材と第2のリング状部材との第1の方向の合計距離よりも短いものであってもよい。
【0010】
この連結デバイスによれば、2つのリング状部材を第1の方向の一方側から他方側に向かう向きに嵌め込むことができるため、2つの遮蔽物の間に、被覆部材と2つのリング状部材とを第1の方向に並べて配置するスペースが確保できない場合であっても、被覆部材と第1のリング状部材とを第1の方向に並べて配置するスペースが確保できる場合には、2つの部材の連結作業を効率よく行うことができる。
【0011】
第1の嵌め込み形状は、第1のめねじ部を含み、第1の円形状外周面は、第1のめねじ部と締結可能に形成された第1のおねじ部を含み、第2の嵌め込み形状は、第2のめねじ部を含み、第2の円形状外周面は、第2のめねじ部と締結可能に形成された第2のおねじ部を含むものであってもよい。
【0012】
第1の嵌め込み形状は、第1の方向の一方側から他方側に向けて内径が漸次拡大するように傾斜する第1の傾斜内周面を含み、第1の円形状外周面は、第1の傾斜内周面と接触可能に形成された第1の傾斜外周面を含み、第2の嵌め込み形状は、第1の方向の一方側から他方側に向けて内径が漸次拡大するように傾斜する第2の傾斜内周面を含み、第2の円形状外周面は、第2の傾斜内周面と接触可能に形成された第2の傾斜外周面を含むものであってもよい。
【0013】
被覆部材は、組み合わせることにより第1の円形状外周面および第2の円形状外周面を形成可能に分割された複数の分割被覆部材を含むものであってもよい。
【0014】
本発明の他の態様は、第1の方向に対向する第1の遮蔽物および第2の遮蔽物と、第1の遮蔽物を介して第1の方向の一方側から他方側に向けて突出する第1の部材と、第2の遮蔽物を介して第1の方向の他方側から一方側に向けて突出する第2の部材と、第1の遮蔽物と第2の遮蔽物との間で第1の部材と第2の部材とを連結する上記連結デバイスとを備える構造物である。
【0015】
本発明の他の態様は、第1の方向に延びる第1の部材と、第1の方向または第1の方向に沿う方向に延びる第2の部材とを連結デバイスにより連結する方法である。連結デバイスは、被覆部材と、連結部材とを備え、被覆部材は、第1の外径を有する第1の円形状外周面と、第1の外径よりも大きい第2の外径を有する第2の円形状外周面とを含み、連結部材は、第1の円形状外周面の外側に嵌め込み可能な第1のリング状部材と、第2の円形状外周面の外側に嵌め込み可能な第2のリング状部材とを含む。当該方法は、第1の部材に少なくとも第1のリング状部材を取り付けることと、第1の部材と第2の部材とを、第1の方向に直交する放射方向の外側から覆うように被覆部材を配置することと、第1の円形状外周面を介して被覆部材が放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、第1の円形状外周面の外側に第1のリング状部材を嵌め込むことと、第2の円形状外周面を介して被覆部材が放射方向の外側から内側に向けて押し込まれるように、第2の円形状外周面の外側に第2のリング状部材を嵌め込むこととを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態の連結デバイスを備えた構造物の概要を示す斜視図。
図2】構造物の断面(図1のII-II線断面)を示す断面図。
図3】第1の部材に第1のリング状部材および第2のリング状部材を取り付ける様子を示す断面図。
図4】第1の部材と第2の部材とを覆うように被覆部材を配置する様子を示す断面図。
図5】第2の円形状外周面の外側に第2のリング状部材を嵌め込む様子を示す断面図。
図6】連結デバイスの変形例の概要を示す断面図。
図7】第2の実施形態の連結デバイスを備えた構造物の概要を示す断面図。
図8】被覆部材に第2のリング状部材を取り付ける様子を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に、本発明の第1の実施形態の連結デバイス1Aを備えた構造物100の概要を斜視図により示している。図2に、構造物100の断面(図1のII-II線断面)を断面図により示している。
【0018】
図1および図2に示すように、構造物100は、第1の方向(例えば、水平方向)D1に対向する第1の遮蔽物110および第2の遮蔽物120と、第1の遮蔽物110を介して第1の方向D1の一方側D11から他方側D12に向けて突出する第1の部材130と、第2の遮蔽物120を介して第1の方向D1の他方側D12から一方側D11に向けて突出する第2の部材140と、第1の遮蔽物110と第2の遮蔽物120との間で第1の部材130と第2の部材140とを連結する連結デバイス1Aとを備える。なお、図1および図2においては、説明の便宜上、両遮蔽物110,120の一部を抜き出して図示するとともに、両部材130,140の延長を省略して図示している。以降の図においても同様である。
【0019】
第1の遮蔽物110および第2の遮蔽物120の一例は、互いに距離Lを隔てて平行に配置された壁状体(隔壁)である。第1の部材130および第2の部材140の一例は、第1の方向D1に延びる、外径が等しい円柱状の部材である。本例では、第1の部材130と第2の部材140とは、第1の部材130の端部131と第2の部材140の端部141とが第1の方向D1に対向するように同軸上に配置されている。
【0020】
なお、第1の遮蔽物110および第2の遮蔽物120は、第1の方向D1を塞ぐものであれば、例えば、壁状体、柱状体、管状体などの人工物であってもよく、地盤などの自然物であってもよい。また、第1の遮蔽物110と第2の遮蔽物120とは第1の方向D1の両側に配置されていなくてもよく、いずれか一方の遮蔽物が第1の方向D1の片側のみに配置されていてもよい。また、第1の部材130および第2の部材140は、任意の形状であってもよく、例えば、角柱状、円管状、角管状などの部材であってもよい。また、第1の部材130と第2の部材140とは同軸上に配置されていなくてもよく、互いに沿うように配置されていてもよい。
【0021】
連結デバイス1Aは、第1の部材130と第2の部材140とを、第1の方向D1に直交する放射方向の外側から覆うように配置される鋳鉄製の被覆部材10と、被覆部材10を介して第1の部材130と第2の部材140とを連結させる鋳鉄製の連結部材20とを備える。なお、被覆部材10および連結部材20は、鋳鉄製以外の任意の材質であってもよいが、鋳鉄製であれば形状自由度が高く、鋳造による一体成形が可能である。
【0022】
被覆部材10は、円筒状の本体部(以下、「円筒状本体部」という。)11と、円筒状本体部11の第1の方向D1の他方側D12の一部が、円筒状本体部11の外周面11sに対して放射方向の外側に突出した円環状の突出部(以下、「円環状突出部」という。)12aとを含む。
【0023】
円筒状本体部11は、第1の部材130および第2の部材140に対して放射方向の外側から接触する円形状内周面30と、第1の外径d1を有する第1の円形状外周面31とを含む。第1の円形状外周面31は、円筒状本体部11の第1の方向D1の一方側D11の端部に形成されている。円環状突出部12aは、円筒状本体部11の第1の方向D1の他方側D12の端部に形成されている。また、円環状突出部12aは、第1の外径d1よりも大きい第2の外径d2を有する第2の円形状外周面32を含む。
【0024】
なお、本明細書において、被覆部材10の「円形状外周面」は、当該外周面が、第1の方向D1を中心軸とする円周方向に連続的に(切れ目なく)形成されている場合だけでなく、当該円周方向に断続的に(途切れ途切れに)形成されている場合を含む。本例の被覆部材10は、組み合わせることにより円形状内周面30、第1の円形状外周面31および第2の円形状外周面32を形成可能に2分割された分割被覆部材10a,10bを含む。被覆部材10は、組み合わせることにより第1の円形状外周面31および第2の円形状外周面32を形成可能であれば、3分割以上の分割被覆部材を含むものであってもよい。このように、2分割以上の分割被覆部材においては、組み合わされることにより、第1の円形状外周面31および第2の円形状外周面32が、第1の方向D1を中心軸とする円周方向に断続的に形成されていればよい。
【0025】
連結部材20は、第1の円形状外周面31の外側に嵌め込まれた第1のリング状部材21と、第2の円形状外周面32の外側に嵌め込まれた第2のリング状部材22とを含む。本例では、第1の部材130および第2の部材140と、被覆部材10とが、円形状内周面30を介して接触している。このため、各リング状部材21,22が嵌め込まれることにより、各円形状外周面31,32を介して分割被覆部材10a,10bが放射方向の外側から内側に向けて押し込まれ、結果として、両部材130,140が分割被覆部材10a,10bにより強固に締め付けられることで連結されている。
【0026】
第1のリング状部材21は、全体が円環状であり、第1の円形状外周面31の外側に第1の方向D1の一方側D11から嵌め込み可能に形成された第1の嵌め込み形状21sを含む。第2のリング状部材22は、全体が円環状であり、第2の円形状外周面32の外側に第1の方向D1の一方側D11から嵌め込み可能に形成された第2の嵌め込み形状22sを含む。両リング状部材21,22は、鋳造により予め形成された嵌め込み形状21s,22sを含むため、施工現場における嵌め込み形状21s,22sの加工作業を省略することができる。
【0027】
本例では、第2のリング状部材22の外径は第1のリング状部材21の外径よりも大きく、第2のリング状部材22の内径は第1のリング状部材21の内径よりも大きく、第2のリング状部材22の内径は第1のリング状部材21の外径よりも大きく、両リング状部材21,22の放射方向の厚み(本例では平均厚み)tは等しく、両リング状部材21,22の第1の方向D1の幅wは等しい。なお、第2のリング状部材22の内径は第1のリング状部材21の外径よりも小さくてもよく、両リング状部材21,22の厚みtおよび幅wはそれぞれ異なっていてもよい。
【0028】
第1のリング状部材21の第1の嵌め込み形状21sは、第1の方向D1の一方側D11から他方側D12に向けて内径が漸次直線的に拡大するように傾斜する第1の傾斜内周面41を含む。したがって、被覆部材10の第1の円形状外周面31は、第1の傾斜内周面41と接触可能に形成された第1の傾斜外周面31aを含む。第1の傾斜外周面31aは、第1の方向D1の一方側D11から他方側D12に向けて外径が漸次直線的に拡大するように傾斜しており、一部に第1の外径d1を有する。
【0029】
また、第2のリング状部材22の第2の嵌め込み形状22sは、第1の方向D1の一方側D11から他方側D12に向けて内径が漸次直線的に拡大するように傾斜する第2の傾斜内周面42を含む。したがって、被覆部材10の第2の円形状外周面32は、第2の傾斜内周面42と接触可能に形成された第2の傾斜外周面32aを含む。第2の傾斜外周面32aは、第1の方向D1の一方側D11から他方側D12に向けて外径が漸次直線的に拡大するように傾斜しており、一部に第2の外径d2を有する。
【0030】
図3図5に、連結デバイス1Aにより第1の部材130と第2の部材140とを連結する様子を示している。図3は、第1の部材130に第1のリング状部材21および第2のリング状部材22を取り付ける様子を示す断面図、図4は、第1の部材130と第2の部材140とを覆うように被覆部材10を配置する様子を示す断面図、図5は、第2の円形状外周面32の外側に第2のリング状部材22を嵌め込む様子を示す断面図である。
【0031】
図3に示すように、第1の遮蔽物110と第2の遮蔽物120とは、互いに距離Lを隔てて平行に配置されている。第1の部材130は、第1の遮蔽物110に設けられた貫通孔110hを通じて第1の方向D1の一方側D11から他方側D12に向けて突出している。まず、連結デバイス1Aの第1のリング状部材21および第2のリング状部材22を、端部131の側から第1の部材130に通して取り付ける(引っ掛ける)。その際、第1のリング状部材21の放射方向の外側に第2のリング状部材22を重ねた状態で、両リング状部材21,22を端部131よりも第1の遮蔽物110に近接した位置に配置(仮置き)する。
【0032】
次に、図4に示すように、第2の部材140を、第2の遮蔽物120に設けられた貫通孔120hを通じて第1の方向D1の他方側D12から一方側D11に向けて突出させ、端部131,141同士が第1の方向D1に対向するように配置する。そして、第1の部材130と第2の部材140とを、放射方向の外側から覆うように分割被覆部材10a,10bを配置し、分割被覆部材10a,10b同士を組み合わせることにより円形状内周面30、第1の円形状外周面31および第2の円形状外周面32を形成する。
【0033】
次に、図5に示すように、第1の遮蔽物110に近接した位置に仮置きされた両リング状部材21,22のうち、第2のリング状部材22を第1の方向D1の一方側D11から他方側D12に向けて、被覆部材10の円筒状本体部11の放射方向の外側を通るように移動させ、第2の傾斜外周面32aの外側に嵌め込む。その際、被覆部材10の第2の傾斜外周面32aに対して、第2のリング状部材22の第2の傾斜内周面42が面接触した状態で嵌め合わされるため、被覆部材10と第2のリング状部材22との間にくさび力を発生させることができる。次に、第1のリング状部材21を第1の方向D1の一方側D11から他方側D12に向けて移動させ、第1の傾斜外周面31aの外側に嵌め込む。その際、被覆部材10の第1の傾斜外周面31aに対して、第1のリング状部材21の第1の傾斜内周面41が面接触した状態で嵌め合わされるため、被覆部材10と第1のリング状部材21との間にもくさび力を発生させることができる。これにより、図2に示すように、傾斜外周面31a,32aを介して分割被覆部材10a,10bが放射方向の外側から内側に向けて押し込まれ、両部材130,140が分割被覆部材10a,10bにより強固に締め付けられることで確実に連結される。
【0034】
このように、連結デバイス1Aでは、被覆部材10が外径の異なる2つの円形状外周面31,32を含むため、2つのリング状部材21,22を2つの円形状外周面31,32の外側にそれぞれ嵌め込む際、第1の方向D1において「互いに近づける向き」や「互いに遠ざける向き」だけでなく、「一方側D11から他方側D12に向かう向き」にも嵌め込むことが可能となる。これにより、2つのリング状部材21,22を嵌め込む向きを増やすことができる。このため、作業スペースの広狭などの施工環境に応じて、2つのリング状部材21,22を嵌め込む向きを選択することができる。したがって、嵌め込み作業の自由度を向上させることができる。例えば、作業スペースが広ければ「互いに近づける向き」に嵌め込み、作業スペースが狭ければ「一方側D11から他方側D12に向かう向き」に嵌め込むなど、作業スペースの広狭に応じて、嵌め込み作業の作業効率を最適化することができる。
【0035】
本例の2つのリング状部材21,22は、第1の方向D1の一方側D11から嵌め込み可能に形成された嵌め込み形状21s,22sをそれぞれ含むため、第1の方向D1の他方側D12に作業スペースが確保できない施工環境であっても、容易に、2つのリング状部材21,2を第1の方向D1の一方側D11から他方側D12に向かう向きに嵌め込むことができる。具体的には、図4に示すように、第1の遮蔽物110と第2の遮蔽物120との間の距離Lが、第1の方向D1における「被覆部材10の距離L10」と「第1のリング状部材21の距離L21」との合計距離(L10+L21)よりも長く、第1の方向D1における「被覆部材10の距離L10」と「第1のリング状部材21の距離L21」と「第2のリング状部材22の距離L22」との合計距離(L10+L21+L22)よりも短い、いわゆる狭隘な施工環境に対して連結デバイス1Aは好適である。
【0036】
すなわち、連結デバイス1Aによれば、2つのリング状部材21,22を第1の方向D1の一方側D11から他方側D12に向かう向きに嵌め込むことができるため、2つの遮蔽物110,120の間に、被覆部材10と2つのリング状部材21,22とを第1の方向D1に並べて配置するスペースが確保できない場合であっても、被覆部材10と第1のリング状部材21とを第1の方向D1に並べて配置するスペースが確保できる場合には、2つの部材130,140の連結作業を効率よく行うことができる。
【0037】
なお、両円形状外周面31,32は、円筒状本体部11の第1の方向D1における任意の位置に形成されていてもよいが、本例のように円筒状本体部11の第1の方向D1の両端部に形成されることにより、第1の方向D1における「被覆部材10の距離L10」を最短にすることができる。したがって、第1の遮蔽物110と第2の遮蔽物120との間の距離Lが極めて短い狭隘な施工環境であっても、高効率な連結作業を可能にする連結デバイス1Aを提供することができる。
【0038】
なお、本例では、第2のリング状部材22を嵌め込んだ後に第1のリング状部材21を嵌め込む例を示したが、第1のリング状部材21を嵌め込んだ後に第2のリング状部材22を嵌め込むようにしてもよく、両リング状部材21,22を同時に嵌め込むようにしてもよい。
【0039】
図6に、連結デバイス1Aの変形例の概要を断面図により示している。図6に示すように、連結デバイス1Aの変形例である連結デバイス1A1も、第1の部材130と第2の部材140とを、第1の方向D1に直交する放射方向の外側から覆うように配置される被覆部材10と、被覆部材10を介して第1の部材130と第2の部材140とを連結させる連結部材20とを備える。なお、本例において、第1の実施形態と共通の構成については共通の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0040】
第1のリング状部材21は、全体が円環状であり、第1の円形状外周面31の外側に第1の方向D1の一方側D11から嵌め込み可能に形成された第1の嵌め込み形状21sを含む。第2のリング状部材22は、全体が円環状であり、第2の円形状外周面32の外側に第1の方向D1の一方側D11から嵌め込み可能に形成された第2の嵌め込み形状22sを含む。第1のリング状部材21の第1の嵌め込み形状21sは、第1のめねじ部51を含む。したがって、被覆部材10の第1の円形状外周面31は、第1のめねじ部51と締結可能に形成された第1のおねじ部31bを含む。第1のおねじ部31bは、第1のめねじ部51と締結可能にねじ切られており、一部に第1の外径d1を有する。また、第2のリング状部材22の第2の嵌め込み形状22sは、第2のめねじ部52を含む。したがって、被覆部材10の第2の円形状外周面32は、第2のめねじ部52と締結可能に形成された第2のおねじ部32bを含む。第2のおねじ部32bは、第2のめねじ部52と締結可能にねじ切られており、一部に第2の外径d2を有する。
【0041】
連結デバイス1A1によれば、被覆部材10の各おねじ部31b,32bに対して、両リング状部材21,22の各めねじ部51,52をねじ込むことにより、締め付けトルクを管理することができる。したがって、2つの部材130,140を所望の締め付け力により連結することができる。
【0042】
図7に、本発明の第2の実施形態の連結デバイス1Bを備えた構造物100の概要を斜視図により示している。図7に示すように、連結デバイス1Bも、第1の部材130と第2の部材140とを、第1の方向D1に直交する放射方向の外側から覆うように配置される被覆部材10と、被覆部材10を介して第1の部材130と第2の部材140とを連結させる連結部材20とを備える。なお、本例において、第1の実施形態と共通の構成については共通の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0043】
被覆部材10は、円筒状本体部11と、円筒状本体部11の第1の方向D1の他方側D12の一部が、円筒状本体部11の外周面11sに対して放射方向の外側に突出した円環状突出部12aと、円筒状本体部11の第1の方向D1の一方側D11の一部が、円筒状本体部11の外周面11sに対して放射方向の外側に突出した円環状突出部12bとを含む。円環状突出部12aは、円筒状本体部11の第1の方向D1の他方側D12の端部に形成されており、円環状突出部12bは、円筒状本体部11の第1の方向D1の一方側D11の端部に形成されている。したがって、被覆部材10は、円筒状本体部11の第1の方向D1の両端部の2つの円環状突出部12a,12bに挟まれることにより形成された凹部15をさらに含む。円環状突出部12aは、第1の外径d1よりも大きい第2の外径d2を有する第2の円形状外周面32を含む。円環状突出部12bは、第1の外径d1を有する第1の円形状外周面31を含む。
【0044】
図8に、被覆部材10に第2のリング状部材22を取り付ける様子を断面図により示している。図8に示すように、連結デバイス1Bでは、被覆部材10が凹部15を含むため、第2のリング状部材22を凹部15に引っ掛けた状態で仮置きすることができる。したがって、第1の方向D1が鉛直方向の場合や、水平方向に対して傾斜する方向の場合などであっても、円環状突出部12aまたは円環状突出部12bにより第2のリング状部材22を支持することができる。このため、第2のリング状部材22が下方(重力作用方向)に脱落することを抑制することができる。したがって、2つの部材130,140を水平方向以外の方向に連結する場合であっても、連結作業を効率よく行うことができる。
【0045】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に規定されたものを含む。例えば、被覆部材10は、第1の外径d1を有する第1の円形状外周面31と、第1の外径d1よりも大きい第2の外径d2を有する第2の円形状外周面32と、両円形状外周面31,32に挟まれる位置において、第1の外径d1よりも大きく、かつ、第2の外径d2よりも小さい第3の外径を有する第3の円形状外周面(不図示)とを含むものであってもよい。この場合、連結部材は、第1の円形状外周面31の外側に嵌め込む第1のリング状部材21と、第2の円形状外周面32の外側に嵌め込む第2のリング状部材22と、第3の円形状外周面の外側に嵌め込む第3のリング状部材(不図示)とを含む。なお、被覆部材10は、第3の外径d3が第1の外径d1よりも大きく第2の外径d2よりも小さい条件下において、第3の外径d3が等しいまたは異なる複数の第3の円形状外周面を含んでいてもよく、その場合、第3のリング状部材は、第3の円形状外周面の個数に応じて複数設けられる。
【0046】
なお、上記の実施形態では、「水平」、「平行」、「等しい」、「沿う」、「直交」、「鉛直」といった表現を用いたが、厳密にこれらの状態であることを要しない。すなわち、これらの各表現は、製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【符号の説明】
【0047】
1A,1A1,1B 連結デバイス、 D1 第1の方向、 130 第1の部材、 140 第2の部材、 10 被覆部材、 20 連結部材、 d1 第1の外径、 31 第1の円形状外周面、 d2 第2の外径、 32 第2の円形状外周面、 21 第1のリング状部材、 22 第2のリング状部材、 21s 第1の嵌め込み形状、 22s 第2の嵌め込み形状、 110 第1の遮蔽物、 120 第2の遮蔽物、 L 第1の遮蔽物と第2の遮蔽物との間の距離、 51 第1のめねじ部、 31b 第1のおねじ部、 52 第2のめねじ部、 32b 第2のおねじ部、 41 第1の傾斜内周面、 31a 第1の傾斜外周面、 42 第2の傾斜内周面、 32a 第2の傾斜外周面、 10a,10b 分割被覆部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8