(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】改良された熟成システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12H 1/14 20060101AFI20240718BHJP
C12H 1/16 20060101ALI20240718BHJP
B01J 23/38 20060101ALI20240718BHJP
B01J 23/70 20060101ALI20240718BHJP
B01J 21/18 20060101ALI20240718BHJP
B01J 27/053 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C12H1/14
C12H1/16
B01J23/38 M
B01J23/70 M
B01J21/18 M
B01J27/053 M
(21)【出願番号】P 2020571484
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(86)【国際出願番号】 IL2019050681
(87)【国際公開番号】W WO2019244152
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-23
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】520496383
【氏名又は名称】ヴァースティル ディスティレイション システムズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Verstill Distillation Systems LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ベン ツヴィ,イェチエル
(72)【発明者】
【氏名】エドヴィー,マタン
(72)【発明者】
【氏名】マオール,イドゥ
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02027129(US,A)
【文献】英国特許出願公告第00428518(GB,A)
【文献】国際公開第2017/122219(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0191685(US,A1)
【文献】米国特許第03590058(US,A)
【文献】特表2017-501750(JP,A)
【文献】FOOD ANDBIOPROCESS TECHNOLOGY,2007年,1(3),pp.234-245
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J,C12G,C12H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未熟性または部分熟成の蒸留酒を熟成させる改良された方法であって、
少なくとも1の触媒材料に未熟性または部分熟成の蒸留酒を曝すステップを含み、前記少なくとも1の触媒材料が、酸化鉄ナノ粒子と、アルミナ担持Fe(II)錯体と、Pd/Cと、多層カーボンナノチューブと、カーボンキセロゲルと、炭素系の固体酸触媒と、SO4
2-/TiO
2/γ-Al
2O
3と、Ti、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Ru、Rh、Ir、Pd、Ni、
V、Al、Siおよびそれらの混合物からなる群のなかから選択された元素とから構成される群のなかから選択された材料を含み、
曝している間中、蒸留酒は蒸留されることはなく、曝すステップが、蒸留酒中の少なくとも1の熟成コンジナーのレベルが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達するまで許容され、
曝すステップが、少なくともメインコンテナ内で行われ、前記メインコンテナが、金属、有機材料、プラスチック、ガラス、セラミックまたはそれらの任意の混合物からなる群のなかから選択された材料を含み、
少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の少なくとも所望の予め設定されたコンジナーレベルに達する前に、触媒材料および蒸留酒に対して、熱エネルギーを連続的に適用し、または熱エネルギーのパルスを適用し、または両方を適用し、それにより0℃~99℃の蒸留酒の温度および0℃~250℃の少なくとも1の触媒材料の温度に影響を及ぼすステップをさらに含み、
前記熱エネルギーが、前記少なくとも1の触媒材料を含む加熱要素によって、または、前記少なくとも1の触媒材料を含むシースを有する加熱要素によって、加えられることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法が、さらに、
少なくとも1の触媒材料に蒸留酒を曝すステップの前に、蒸留酒を分散システム内で分散させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記分散システムが気体環境を含み、当該方法がさらに、前記気体環境の内容物を制御するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法において、
前記少なくとも1の触媒材料が、金属、合金、配位子およびそれらの混合物のなかから選択された状態にあることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法において、
前記少なくとも1の触媒材料が、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の所望の予め設定されたコンジナーレベルに達する前に、液相および/または気相の蒸留酒に曝されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記少なくとも1の触媒材料が、銅を含む、または銅からなることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記銅が、Cu(I)およびCu(II)の酸化物、純度99.95%~99.99%の無酸素銅、およびそれらの混合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、蒸留酒が、開口部を介して内部コンテナの気体環境内に分散されていることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法において、
少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、蒸留酒を循環させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項2に記載の方法において、
前記分散システムが、前記メインコンテナの外部にあることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
蒸留酒が、エアロゾルとして分散されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、
分散された蒸留酒が外部エネルギー源に曝され、そのエネルギーが、超音波エネルギー、高剪断均質化、UV、非イオン化放射線およびそれらの組合せのなかから選択されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項2に記載の方法において、
少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、蒸留酒が前記メインコンテナの外部に一時的に保持されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項2に記載の方法において、
少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の少なくとも予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、前記メインコンテナと前記分散システムとの間で蒸留酒が循環されることを特徴とする方法。
【請求項15】
未熟性または部分熟成の蒸留酒中の少なくとも1の熟成コンジナーの予め設定された所望のレベルを得るための改良された熟成キットにおいて、
少なくとも1の触媒材料であって、この少なくとも1の触媒材料が、酸化鉄ナノ粒子と、アルミナ担持Fe(II)錯体と、Pd/Cと、多層カーボンナノチューブと、カーボンキセロゲルと、炭素系の固体酸触媒と、SO4
2-/TiO
2/γ-Al
2O
3と、Ti、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Ru、Rh、Ir、Pd、Ni、
V、Al、Siおよびそれらの混合物からなる群のなかから選択された元素とを含む触媒材料と、
前記少なくとも1の触媒材料を含む加熱要素、または前記少なくとも1の触媒材料を含むシースを有する加熱要素と、
金属、有機材料、プラスチック、ガラス、セラミックまたはそれらの任意の混合物からなる群のなかから選択された材料を含むメインコンテナと、を含み、
当該キットは、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、前記少なくとも1の触媒材料を液相または気相の蒸留酒に曝すことができるように構成され、
少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の少なくとも所望の予め設定されたコンジナーレベルに達する前に、触媒材料および蒸留酒に対して、熱エネルギーを連続的に適用し、または熱エネルギーのパルスを適用し、または両方を適用し、それにより0℃~99℃の蒸留酒の温度および0℃~250℃の少なくとも1の触媒材料の温度に影響を及ぼすことができることを特徴とするキット。
【請求項16】
請求項15に記載のキットが、
少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、蒸留酒を循環させることができるように構成された液体分散システムを含むことを特徴とするキット。
【請求項17】
請求項16に記載のキットにおいて、
前記分散システムが気体環境を含み、当該キットが、前記気体環境の内容物を制御するための手段を含むことを特徴とするキット。
【請求項18】
請求項15乃至17の何れか一項に記載のキットにおいて、
前記少なくとも1の触媒材料が、金属、合金、配位子およびそれらの混合物の何れかの状態から選択された少なくとも1の状態にあることを特徴とするキット。
【請求項19】
請求項15乃至17の何れか一項に記載のキットにおいて、
少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、前記少なくとも1の触媒材料を液相および気相の蒸留酒に曝すことができるようにさらに構成されていることを特徴とするキット。
【請求項20】
請求項15に記載のキットにおいて、
前記少なくとも1の触媒材料が、銅を含む、または銅からなることを特徴とするキット。
【請求項21】
請求項20に記載のキットにおいて、
前記銅が、Cu(I)およびCu(II)の酸化物、純度99.95%~99.99%の無酸素銅、およびそれらの混合物を含むことを特徴とするキット。
【請求項22】
請求項15乃至17の何れか一項に記載のキットにおいて、
前記少なくとも1の触媒材料のうちの少なくとも1つが前記メインコンテナ内にあることを特徴とするキット。
【請求項23】
請求項16に記載のキットにおいて、
前記分散システムが、前記メインコンテナの外部にあることを特徴とするキット。
【請求項24】
請求項16に記載のキットにおいて、
前記分散システムが、蒸留酒をエアロゾルとして分散させるように構成されていることを特徴とするキット。
【請求項25】
請求項15に記載のキットにおいて、
前記メインコンテナの外部にエネルギー源をさらに含み、そのエネルギーが、超音波エネルギー、高剪断均質化、UV、非イオン化放射線およびそれらの組合せのなかから選択されることを特徴とするキット。
【請求項26】
請求項15に記載のキットにおいて、
少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の少なくとも予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、前記メインコンテナの外部に蒸留酒を一時的に保持することができるようにさらに構成されていることを特徴とするキット。
【請求項27】
請求項16に記載のキットにおいて、
少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の少なくとも予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、蒸留酒を前記メインコンテナと前記分散システムとの間で循環させることができるようにさらに構成されていることを特徴とするキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された熟成システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸留酒は、木樽が最も費用対効果が高く入手可能な適切な容器であったため、伝統的に木樽に保管されて出荷されていた。今日でも業界では、大規模な倉庫が長期間樽の中で熟成された液体で満たされているのを見付けるのが一般的である。蒸留酒を木材で熟成させると、希望のフレーバープロファイルを得られるまでに何年もかかり、蒸発により収量が低下する可能性があり、一貫した製品を保証するものではない。そのため、現在では様々な方法で蒸留酒の熟成を促進する傾向にある。
【発明の概要】
【0003】
一態様によれば、少なくとも従来の熟成方法および/またはシステムによって得られる市販の製品に匹敵する口当たりの良い熟成した製品を与える、あらゆるアルコールの強さおよびタイプの蒸留酒の製造および改良された熟成に関連する方法が提供される。
【0004】
別の態様によれば、少なくとも従来の熟成方法および/またはシステムによって得られる製品に匹敵する蒸留酒の製造および改良された熟成に関連するシステムおよび/またはデバイスおよび/または材料が提供される。
【0005】
「蒸留酒」という用語は、穀物、麦芽、豆類、果物、サトウキビに限定されるものではないが、これらで構成される少なくとも1回蒸留された任意の発酵溶液を指している。「熟成」とは、一般的に木材、通常はオーク樽で作られたコンテナ内に液体を数日からかなりの年数の間保持するなどのいくつかのプロセスによって、任意の蒸留酒の感覚的特性を改善することを指している。コンテナを作る材料の種類(具体的には樽に使用されている木材の種類や、コンテナに加えられる場合にはその種類)、木材のチャーリングレベル(もしあれば)、以前に樽やコンテナに入れられていた液体、コンテナの気孔率、樽やコンテナへのこれまでの充填回数、液体が樽やコンテナに入れられていた期間はすべて、最終的な熟成製品の特性に強く影響する。
【0006】
「未熟成または部分熟成」とは、まだ熟成されていない蒸留酒、または最終製品が得られない期間、熟成された蒸留酒を指している。
【0007】
「触媒作用」という用語は、「触媒」を用いて起こる反応に関連するものであり、これは反応中に消費されることなく反応速度を速め、反応中に繰り返し作用することができる。この場合、「触媒」という用語は、不均一または均一な触媒材料またはその混合物を指し、「配位子」は、中心の金属原子に結合した分子または官能基を指している。
【0008】
「断続的な電気抵抗パルス」とは、0.1秒~600秒またはそれ以上の時間長で蒸留酒に熱パルスを提供することと定義され、必ずしも後続の各パルスの時間長が等しいとは限らない。「連続加熱」とは、エネルギーのパルスを使用せずに、エネルギーを適用することを指している。
【0009】
「気体状態または液体状態」とは、蒸留酒が加熱要素/触媒材料/分散システム/コンテナまたは他の物品と接触している物理的な相を指している。蒸留酒は、液体相および/または気体相の両方の物品と相互作用することができる。
【0010】
「分散システム」とは、蒸留酒を通過させて蒸留酒に物理的変化を与えるシステムを指している。
【0011】
第1の態様によれば、未熟性または部分熟成の蒸留酒を熟成させる改良された方法が提供され、この方法が、
少なくとも1の触媒材料に蒸留酒を曝すステップを含み、前記少なくとも1の触媒材料が、酸化鉄ナノ粒子と、アルミナ担持Fe(II)錯体と、Pd/Cと、多層カーボンナノチューブと、カーボンキセロゲルと、炭素系の固体酸触媒と、SO4
2-/TiO2/γ-Al2O3と、Feを除く第4族~第12族の遷移金属、第13族元素、Siおよびそれらの混合物からなる群のなかから選択された元素とから選択される群からなり、
曝している間中、蒸留酒は蒸留されることはなく、曝すステップが、蒸留酒中の少なくとも1の熟成コンジナーのレベルが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達するまで許容される。
【0012】
第2の態様によれば、未熟性または部分熟成の蒸留酒の熟成を促進する方法が提供され、この方法が、
蒸留酒を分散システム内で分散させるステップと、
前記分散システム内の蒸留酒を、第4族~第12族の遷移金属、第14族元素、第13族元素およびそれらの混合物からなる群のなかから選択された元素を含む少なくとも1の触媒材料に曝すステップとを含み、
曝すステップが、蒸留酒中の少なくとも1の熟成コンジナーのレベルが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達するまで許容される。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記分散システムが気体環境を含み、本方法がさらに、前記気体環境の内容物を制御するステップを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記第4族~第12族の遷移金属が、Ti、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Ru、Rh、Ir、Pd、Ni、Vおよびそれらの混合物からなる群のなかから選択され、かつ/または前記第13族元素がAlである。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記第4族~第12族の遷移金属が、Ti、Fe、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Ru、Rh、Ir、Pd、Ni、Vおよびそれらの混合物からなる群のなかから選択され、かつ/または前記第13族元素がAlであり、かつ/または前記第14族元素がCおよびSiから選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1の触媒材料が、金属、合金、配位子およびそれらの混合物の何れかの状態から選択された少なくとも1の状態にある。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1の触媒材料が、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の所望の予め設定されたコンジナーレベルに達する前に、液相および/または気相の蒸留酒に曝される。
【0018】
いくつかの実施形態は、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の少なくとも所望の予め設定されたコンジナーレベルに達する前に、触媒材料および/または蒸留酒に対して、熱エネルギーを連続的に適用し、または熱エネルギーのパルスを適用し、または両方を適用し、それにより0℃~99℃の蒸留酒の温度および/または0℃~250℃の少なくとも1の触媒材料の温度に影響を及ぼすステップをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、熱エネルギーが、少なくとも1の触媒材料を含む加熱要素によって加えられる。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記加熱要素がシースを含み、前記シースが少なくとも1の触媒材料を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1の触媒材料が銅を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記銅が、Cu(I)およびCu(II)の酸化物、純度99.95%~99.99%の無酸素銅、およびそれらの混合物を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1の触媒材料が銅である。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記銅が、Cu(I)およびCu(II)の酸化物、純度99.95%~99.99%の無酸素銅、およびそれらの混合物を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、曝すステップが、少なくともメインコンテナ内で行われ、前記メインコンテナが、金属、有機材料、プラスチック、ガラス、セラミックまたはそれらの任意の混合物からなる群のなかから選択された材料を含む。
【0026】
いくつかの実施形態は、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、蒸留酒を循環させるステップをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記分散システムが、前記コンテナの外部にある。
【0028】
いくつかの実施形態では、蒸留酒が、エアロゾルとして分散される。
【0029】
いくつかの実施形態では、分散された蒸留酒が外部エネルギー源に曝され、そのエネルギーが、超音波エネルギー、高剪断均質化、UV、非イオン化放射線およびそれらの組合せのなかから選択される。
【0030】
いくつかの実施形態では、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、蒸留酒が前記メインコンテナの外部に一時的に保持される。
【0031】
いくつかの実施形態では、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の少なくとも予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、前記メインコンテナと前記分散システムとの間で蒸留酒が循環される。
【0032】
第3の態様によれば、未熟性または部分熟成の蒸留酒中の少なくとも1の熟成コンジナーの予め設定された所望のレベルを得るための改良された熟成キットが提供され、このキットが、
少なくとも1の触媒材料を含み、この少なくとも1の触媒材料が、酸化鉄ナノ粒子と、アルミナ担持Fe(II)錯体と、Pd/Cと、多層カーボンナノチューブと、カーボンキセロゲルと、炭素系の固体酸触媒と、SO4
2-/TiO2/γ-Al2O3と、Feを除く第4族~第12族の遷移金属、第13族元素、Siおよびそれらの混合物からなる群のなかから選択された元素を含み、
当該キットは、蒸留酒の蒸留を可能にするように構成されておらず、かつ、蒸留酒を触媒材料に曝して、蒸留酒中の少なくとも1の熟成コンジナーのレベルが変化することを許容し、少なくとも1の熟成コンジナーのレベルが少なくとも蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに少なくとも達するまで、曝すことを続けるように構成されている。
【0033】
第4の態様によれば、未熟性または部分熟成の蒸留酒中の少なくとも1の熟成コンジナーの予め設定された所望のレベルを得るための改良された熟成キットが提供され、このキットが、
少なくとも1の触媒材料を含む液体分散システムを含み、前記少なくとも1の触媒材料が、酸化鉄ナノ粒子と、アルミナ担持Fe(II)錯体と、Pd/Cと、多層カーボンナノチューブと、カーボンキセロゲルと、炭素系の固体酸触媒と、SO4
2-/TiO2/γ-Al2O3と、第4族~第12族の遷移金属、第13族元素、第14族元素およびそれらの混合物からなる群のなかから選択された元素とから選択された群からなり、
当該キットは、蒸留酒の蒸留を可能にするように構成されておらず、かつ、蒸留酒を触媒材料に曝して、蒸留酒中の少なくとも1の熟成コンジナーのレベルが変化することを許容し、少なくとも1の熟成コンジナーのレベルが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに少なくとも達するまで、曝すことを続けるように構成されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記分散システムが気体環境を含み、当該キットが、前記気体環境の内容物を制御するための手段を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記第4族~第12族の遷移金属が、Ti、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Ru、Rh、Ir、Pd、Ni、Vおよびそれらの混合物からなる群のなかから選択され、かつ/または前記第13族元素がAlである。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記第4族~第12族の遷移金属が、Ti、Fe、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Ru、Rh、Ir、Pd、Ni、Vおよびそれらの混合物からなる群のなかから選択され、かつ/または前記第13族元素がAlであり、かつ/または前記第14族元素がCおよびSiから選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1の触媒材料が、金属、合金、配位子およびそれらの混合物の何れかの状態から選択された少なくとも1の状態にある。
【0038】
いくつかの実施形態は、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、前記少なくとも1の触媒材料を液相および/または気相の蒸留酒に曝すことができるようにさらに構成されている。
【0039】
いくつかの実施形態は、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、触媒材料および/または蒸留酒に対して、熱エネルギーを連続的に適用し、または熱エネルギーのパルスを適用し、または両方を適用し、それにより0℃~99℃の蒸留酒の温度および/または0℃~250℃の少なくとも1の触媒材料の温度に影響を及ぼすことができる温度制御システムをさらに備える。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記温度制御システムが、前記少なくとも1の触媒材料を含む加熱要素を備える。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記加熱要素がシースを含み、前記シースが少なくとも1の触媒材料を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1の触媒材料が銅を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記銅が、Cu(I)およびCu(II)の酸化物、純度99.95%~99.99%の無酸素銅、およびそれらの混合物を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1の触媒材料が銅である。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記銅が、Cu(I)およびCu(II)の酸化物、純度99.95%~99.99%の無酸素銅、およびそれらの混合物を含む。
【0046】
いくつかの実施形態は、メインコンテナをさらに備え、前記メインコンテナが、金属、有機材料、プラスチック、ガラス、セラミックまたはそれらの任意の混合物からなる群のなかから選択された材料を含み、前記少なくとも1の触媒材料のうちの少なくとも1つが前記メインコンテナ内にある。
請求項22乃至26の何れか一項に記載のキットが、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、蒸留酒を循環させることができるようにさらに構成されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記分散システムが、前記メインコンテナの外部にある。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記分散システムが、蒸留酒をエアロゾルとして分散させることができる。
【0049】
いくつかの実施形態は、前記メインコンテナの外部にエネルギー源をさらに含み、そのエネルギーが、超音波エネルギー、高剪断均質化、UV、非イオン化放射線およびそれらの組合せのなかから選択される。
【0050】
いくつかの実施形態は、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の少なくとも予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、前記メインコンテナの外部に蒸留酒を一時的に保持することができるようにさらに構成されている。
【0051】
いくつかの実施形態は、少なくとも1の熟成コンジナーが蒸留酒中の少なくとも予め設定された所望のコンジナーレベルに達する前に、蒸留酒を前記メインコンテナと前記分散システムとの間で循環させることができるようにさらに構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、外部分散システムと、メインコンテナ内の蒸留酒ヘッド空間の気相用と液相用に指定された空間に別々に配置された加熱および/または触媒装置とを有する独自の改良された熟成システムを概略的に示している。
【
図2】
図2は、メインコンテナ内に単一の物理的要素としての加熱および/または触媒装置と、外部分散システムとを備えた別の独自の改良された熟成システムを示している。
【
図3】
図3は、メインコンテナ内に単一の物理的要素として配置された加熱および/または触媒装置を有するが、外部分散システムを有していないさらに別の独自の改良された熟成システムを示している。
【
図4】
図4は、実施例2に従って調製された2つの蒸留酒サンプルの経時的な酢酸濃度をプロットしたグラフである。
【
図5】
図5は、実施例2に従って調製された2つの蒸留酒サンプルの経時的な酢酸エチルの濃度をプロットしたグラフである。
【
図6】
図6は、実施例3に従って調製された蒸留酒サンプルと市販のシングルモルトウイスキーにおける主要な熟成コンジナーの比較図である。
【
図7】
図7は、実施例3に従って調製された蒸留酒サンプルと伝統的に熟成された蒸留酒の経時的な酢酸濃度をプロットしたグラフである。
【
図8】
図8は、実施例3に従って調製された蒸留酒サンプルと伝統的に熟成された蒸留酒の経時的な酢酸エチル濃度の比較図である。
【
図9】
図9は、実施例3に従って調製されたサンプルと伝統的に熟成された蒸留酒について、経時的なバニリンの濃度を比較したグラフである。
【
図10】
図10は、伝統的に熟成された蒸留酒(左側)と実施例3に従って調製された蒸留酒サンプル(右側)を比較した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の実施形態およびその態様は、システム、ツールおよび方法と関連して記載および説明しているが、それらは例示的なものであって、範囲を限定するものではない。
【0054】
図1、
図2、
図3は、3つの独自の改良された熟成キット1000、2000、3000をそれぞれ概略的に示している。
【0055】
以下に、改良された独自の熟成システムの特徴を説明する。
【0056】
1.触媒
金属触媒反応はよく知られており、化学や化学工学の分野で広く利用されている[Y.Zhu et al.,J.Org.Chem.2013,78,9898-9905],[Liu et al.,Org.Biomol.Chem.,2014,12,2637]。触媒は、反応の進行を促進するために、金属、合金または配位子などとして使用することができる[Zeng et al.,https://www.intechopen.com/books/chemical-kinetics/recent-developments-on-the-mechanism-and-kinetics-of-esterification-reaction-promoted-by-various-cat]。
【0057】
特に、Cuは、蒸留中に蒸留酒中に見られる一般的なエステルの濃度を2倍にすることができることが示されている[Larson,V.F.,Yeast Biotechnology,1987,501-531]。
【0058】
酸化鉄ナノ粒子は、アルコールの存在下でカルボン酸のエステル化反応を触媒することが示されており[Rajabi et al.,Materials 2016,9,557]、アルミナ担持Cu(II)、Co(II)およびFe(II)錯体は、エステル化反応の触媒として使用することができ[Hossain et al,Bioresources 2018,13(3)5512-5533]、Pd/C触媒による水素化反応は、カルボン酸と様々なアルコールとのエステル化反応を触媒することが示されており[Aavula et al.,Tetrahedron Letters 54(2013)5690-5694]、SO4
2-/TiO2/γ-Al2O3は、エステル化のための固体酸触媒として有効であることが示されている[Yaun et al.,Cjche(2018)]。
【0059】
また、エステル化反応には、様々な炭素系の触媒を利用することができる。酢酸とエタノールのエステル化反応のための固体酸触媒として優れた性能を示す多層カーボンナノチューブやカーボンキセロゲル[Rocha et al.,Catalysis Today 218-219(2013)51-56]、および炭素系の固体酸触媒は、エステル化反応の潜在的な触媒として利用されることが示されている[Rathod,2017 J.Chem.Environ.Vol.21,11]。
【0060】
我々は、蒸留の完了後に、特定の単一の触媒または1または複数の特定の触媒の組合せ(キット1000の105、106、113、114、キット2000の205、206、キット3000の305)、例えば第4族~第12族の遷移金属、第13族元素、第14族元素およびそれらの任意の混合物の何れかを使用して、蒸留酒中の少なくとも1の熟成コンジナーのレベルを実質的に変えることを可能にすることによって、非常に望ましい属性を有する生成物が生成されることを発見した。例えば、いくつかの実施形態では、2.5週熟成のウイスキーサンプルが、専門的な官能判定者から4~18年熟成の一貫した年数推定値を得ている。さらに、分析結果は、サンプルの化学組成が業界標準のウイスキーに匹敵することを強く示している。
【0061】
さらに、いくつかの実施形態では、条件、反応物および/または試薬が、上述した刊行物における触媒の使用とは大きく異なるが、金属触媒が蒸留酒の熟成プロセスを改善するのに非常に有用であるという仮説を立てた。
【0062】
例えば、後述するように、独自に改良された熟成蒸留酒に対して蒸留後に銅を使用すると、驚くべきことに、サンプルの化学組成が業界標準のウイスキーに匹敵することを強く示していることを発見した。
【0063】
触媒材料は、液相または気相またはそれらの混合物の蒸留酒と接触させることができる。
【0064】
他のいくつかの実施形態では、触媒としてセラミック膜を含む。Al2O3またはゼオライト系材料などの一部のセラミック膜は、エステル化の反応速度を加速することで知られている[Bruggen,Handbook of Membrane Reactors,Reactor Types and Industrial Applications Volume 2 in Woodhead Publishing Series in Energy 2013,107-151ページ]。例えば、アクリル酸からブタノールによるエステル化の促進などであるが[Emine et al.,J.of Polytechnic 2017,20,437-440]、これは蒸留酒の熟成中に起こる多くの反応に類似したものである。しかしながら、参照された膜は、蒸留酒の熟成中に起こる反応に関連して有効であることが、これまでは示されていない。
【0065】
Pt、Pd、Ni、Cu、Ag、Au、Ru、Rh、Ir、Pd、Ni、Vまたはそれらの混合物などの特定の遷移金属[H.Sellers and E.Shustorovich,Surface Science 356(1996)209-221]は、液相および気相の両方で硫黄化合物などの化合物とある条件下で反応する場合がある。我々は、熟成中に、いくつかの触媒材料、特に第8族~第12族の遷移金属のいくつかが、驚くべきことに、いくつかの実施形態において、触媒および反応性材料の両方としての役割を果たすことを発見した。例えば、エステル化反応の反応速度を増大させるための触媒として、さらに有害な硫黄化合物の沈殿および/または蒸発のための反応剤としての役割をともに果たすことを発見した。このような触媒材料を利用することで、従来の方法と比較して、熟成を加速し、最終製品の感覚的特性を大幅に改善できることを発見した。これらの触媒材料は、不要な有害な硫黄化合物、例えばSO2のような化合物を蒸留酒から除去することができ、それらは、より有害性の低い化合物に変換され、蒸発し、吸収され、吸着され、かつ/または溶液から沈殿する。
【0066】
いくつかの実施形態では、より良い触媒効果を得るために、2以上の異なる触媒を併せて使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも2の触媒が存在し、そのうちの少なくとも1つがFeを含有し、少なくとも1つはFeを含有しないが、上述した非Fe材料のうちの1つを含有する。
【0067】
2.温度制御
いくつかの実施形態では、触媒材料を組み入れている間に蒸留酒および/または装置の温度を制御することが、熟成時間を著しく加速し、優れた製品を提供することを発見した。温度は、複数の加熱装置(104、112、204、304)により、メインコンテナ(100、200、300)内の様々な場所、および/または外部コンテナ内で制御することができる。加熱装置は、金属またはセラミック、多孔性または不浸透性、触媒性または非触媒性、または1または複数の材料の組合せであってもよく、また、ヘッドスペース領域(134、228、308)内の気相/ヘッドスペース、またはメインコンテナ(100、200、300)内の下部領域(135、229、309)内の液相、またはその両方と接触するようにしてもよい。熱エネルギーは、それぞれの加熱装置(104、112、204、304)を介して、コンテナ100、200、300内の蒸留酒および/または触媒材料が所望の予め設定された温度(0℃~99℃)(0℃~250℃)に達するまで、メインコンテナ内の蒸留酒1リットル当たり0.1~1500Wのエネルギー出力を有する断続的な電流パルスによって、または蒸気/液体の流れによる(例えば、導管を介した)メインコンテナ100、200、300内の蒸留酒1リットル当たり0.1~15000Wの最大エネルギー出力を有する一定のエネルギー出力によって、蒸留酒に供給される。
【0068】
液体蒸留酒の温度は、第1のコネクタ(110、210、307)を介して制御ユニット(101、201、301)に接続された第1のサーミスタ/熱電対(109、209、306)によって監視することができ、断続的な電流パルスまたは蒸気/液体流による一定のエネルギー出力の何れかによって、温度制御装置を介して、所望の予め設定された液体蒸留酒温度(例えば、0℃~99℃)を維持するように、エネルギーを加えることができる。
【0069】
気体蒸留酒の温度は、第2のコネクタ(108、208)を介して制御ユニット(101、201、301)に接続された第2のサーミスタ/熱電対(107、207)によって監視することができ、断続的な電気抵抗パルスまたは蒸気/液体流による一定のエネルギー出力の何れかによって、温度制御装置を介して、所望の予め設定された気体蒸留酒温度(例えば、0℃~250℃)を維持するように、エネルギーを加えることができる。
【0070】
主要な熱エネルギー伝達エンティティとして作用するか、または非触媒材料(金属合金など)と混合されているか、または熱エネルギー伝達装置上にメッキまたは付着されている、1または複数の別個の触媒材料(105、106、113、114、205、206、305)により、温度制御装置を介して、蒸留酒を加熱および/または冷却することが可能である。単一の熱源を介して基質を厳密に加熱および/または冷却することが可能であり、または複数の温度制御源、例えば、1または複数の触媒、1または複数の不活性物質、またはそれらの混合物を有することが可能である。一例として、不活性加熱要素は蒸留酒を加熱し、触媒加熱要素は並行して機能する別の加熱プロファイルを提供することができる。
【0071】
例えば、金属加熱要素による加熱において、触媒材料は、熱を伝導する金属シース(例えば、Pt、Pd、Ni、Cu、Ag、Au、Ru、Rh、Ir、Pd、Ni、V)であってもよく、または加熱要素は、非触媒材料と触媒材料との合金、例えば、鋼上にメッキされた銅、ニッケル上にメッキされた銀、または加熱要素の表面に付着したPt、Pd、Cu、Ti、Ag、Ag、Ru、Rh、Ir、Pd、Niおよび/またはVの粒子を含むことができる。
【0072】
図1に概略的に図示されたキットの実施形態1000の場合、温度制御システム1100は、制御ユニット(101)と、フロントパネル(102)と、気相サーミスタ/熱電対(107)と、制御ユニット(101)と気相サーミスタ/熱電対(107)との間の気相配線(108)と、液相サーミスタ/熱電対(109)と、制御ユニット(101)と液相サーミスタ/熱電対(109)との間の液相配線(110)と、気相シール(103)を有する1または複数の気相触媒材料またはその合金/混合物(105、106)を有する気相温度制御装置(104)と、1または複数の液相触媒材料またはその合金/混合物(113、114)を有する液相温度制御装置(112)と、液相シール(111)とを備える。
【0073】
図2は、蒸留酒の外部循環を有する、独自に改良された熟成システムの別のバージョンを概略的に示している。温度制御システム2100は、制御ユニット(201)、フロントパネル(202)、気相サーミスタ/熱電対(207)および気相配線(208)、液相サーミスタ/熱電対(209)および液相配線(210)、1または複数の液相触媒材料またはその合金/混合物(205、206)および液相シール(203)を有する温度制御装置(204)を備える。
【0074】
図3は、蒸留酒の外部循環を伴わない、独自に改良された熟成システムの別のバージョンを概略的に示している。温度制御システム3100は、制御ユニット(301)、フロントパネル(302)、液相サーミスタ/熱電対(306)と配線(307)、気相と液相の両方のための1または複数の触媒材料またはその合金/混合物(305)を有する温度制御装置(304)、および温度制御装置304とメインコンテナ300との間のシール(303)を備えている。
【0075】
3.メインコンテナ
蒸留酒を入れるメインコンテナは、最終製品の品質に影響を与えることもあれば、そうでないこともある。伝統的にコンテナは木材、最も一般的にはオークをベースとしたものであり、移動/貯蔵時間が長くなると、アルコール性液体が木材に浸透し、時間の経過とともに好ましい属性を抽出することを可能にしていた。特定の実施形態の所望の結果に応じて、蒸留酒の熟成に使用されるメインコンテナ(100、200、300)は、有機物(例えば、木材系)、金属または金属合金(例えば、ステンレス鋼)、セラミックス、ガラス、熱可塑性プラスチックまたはそれらの混合物などの1または複数の材料を含むことができる。メインコンテナに使用される材料は、不活性または反応性、多孔性または不浸透性であってもよく、よって、コンテナと蒸留酒との間の化学的相互作用を可能にするか、あるいは蒸留酒と外部の影響との間の化学的相互作用を防ぐことができる。
【0076】
いくつかの例示的な使用としては、例えば次のようなものがある。
伝統的にビール、ワインおよび蒸留酒のために利用されている木材系のコンテナ
一部のワインの熟成や業界内で貯蔵容器として利用されているステンレス鋼製のコンテナ
伝統的に米やソルガムの蒸留酒の熟成に利用されているセラミック製のかめ
消費前にワインを瓶の中で熟成するために利用されているガラス
蒸留酒業界では貯蔵と熟成に広く使用されている熱可塑性プラスチック
【0077】
4.液体分散システム
蒸留酒の伝統的な樽熟成の重要な要素は、外部環境から樽内への酸素の拡散であり、これにより多くの有益な酸化還元反応が起こる。
【0078】
実施形態では、分散システムを介して液体の酸素付加を提供することができる。エステル化などの反応のための反応速度は、還流およびメインコンテナ内のバルク液体への再導入の前および/または途中の液体への外部エネルギー(例えば、超音波または電磁波)の入力を介して増加させることができる。
【0079】
さらに、分子をさらに分離するために膜を使用することができ、いくつかの実施形態では、液体を対流させる代わりに、開口部またはノズルを介してセラミックパーベーパレーション膜が使用される[Bruggen,Handbook of Membrane Reactors,Reactor Types and Industrial Applications Volume 2 in Woodhead Publishing Series in Energy 2013,107-151ページ]。
【0080】
いくつかの実施形態では、液体蒸留酒が、制御可能な一方向弁の有無にかかわらず、ポンプ(118、214)によって、バルク基質(135、229)からチューブ(117、213)を介して液体分散システム(115、211)内に引き込まれ、開口部(119、215)を介して内部コンテナ(120、216)の気体環境(121、217)内に分散されている。
【0081】
一方向弁を持たないことにより、分散システム1200、2200内で蒸留酒を処理しながら、様々な比率の気体をメインコンテナ100、200内に導入することができる。
【0082】
内部コンテナ(120、216)の気体環境(121、217)は、空気、酸素リッチガス、不活性ガス、反応ガス、様々な湿度の乾燥ガス、または混合物であってもよく、入口/出口制御システム(122、218)によって調整され、いくつかの実施形態では、気体流量制御弁を含み、任意選択的な実施形態では気体/質量流量計を含む。この入口/出口制御システム122、218は、大気に開放されていてもよいし、分散システムの内部気体環境、例えば、より高い比率のO2/N2を制御するために、ガスタンク(図示省略)に接続されていてもよい。
【0083】
上述した気体混合物は、加圧されるか(0.1Bar~250Bar)、または真空圧力(0~-1e-4mBar)が入口/出口制御システム(122、218)を介して使用されるものであってもよい。気体混合物または圧力変化は、分散システム入口(117、213)および出口(128、222)チューブ/パイプ内の制御可能な一方向弁を介して、メインコンテナ(100、200、300)内のヘッドスペース領域(134、228、308)内の気体ヘッドスペース相に直接影響を与えることができる。内部コンテナ(120、216)は、有機、金属、熱可塑性またはセラミック材料またはそれらの組合せで作ることができ、多孔性または不浸透性であってもよく、化学種またはそれらの組合せの分離に使用される膜の性質を有していてもよい。
【0084】
気体環境(121、217)の温度は、サーミスタ/熱電対(123)によって測定され、分散された蒸留酒は、還流(127、221)下で凝縮され、制御可能な一方向弁の有無にかかわらず、出口管(128、222)を介してメインコンテナ(100、200)に逆流し、液体として基質(129、223)に再構成される。
【0085】
ここで、
図1に概略的に示されたキットの実施形態1000を参照する。
【0086】
分散システム1200は、内部コンテナ120と、内部コンテナ120と動作上の遣り取りを行う制御ユニット(115)と、制御可能な一方向弁の有無にかかわらずメインコンテナ100から内部コンテナ120に蒸留酒を引き出すためのサイフォン管(117)と、メインコンテナ100からサイフォン管117を介して分散システム1200に液体蒸留酒を送りこむためのポンプ(118)と、ポンプ118に動作可能に結合され、内部コンテナ120内に蒸留酒を効果的に分散できるように構成されたノズル(119)とを備える。内部コンテナ120の領域は、内部気体/真空環境(121)として指定されている。
【0087】
分散システム1200は、内部コンテナ120の周囲の環境および内部コンテナ120、特に内部気体/真空環境(121)と動作上の遣り取りを行うガス組成および圧力/真空入口/出口制御ユニット(122)と、内部コンテナ120、特に内部気体/真空環境(121)と動作上の遣り取りを行うサーミスタ/熱電対(123)と、サーミスタ/熱電対123を制御ユニット115に接続する配線(124)と、熱電対/サーミスタおよび内部コンテナ120に動作可能に接続された、電磁/熱放射エミッタなどの内部エネルギー源(125)および電磁/熱放射エミッタなどの外部エネルギー源(126)と、制御可能な一方向弁を有する又は有さない蒸留酒再導入管(128)と、サイフォン管117および再導入管128を密封してメインコンテナ100と内部コンテナ120との間の漏れを防止するシール(116)とを備える。
【0088】
動作中、分散システム1200は、液体または気体の形態で再構成された分散処理後蒸留酒(129)を生成し、この蒸留酒を、メインコンテナ100内の気体ヘッドスペース領域134に滴下する。基質に対する分散システム1200の動作は、内部コンテナ120内に分散液体の還流127を形成する。
【0089】
引き出し管117に一方向弁が無いことにより、パイプ117内での追加の還流を可能にするが、一方向弁は、メインコンテナ100内への液体の逆流を防止する。
【0090】
同様に、
図2に概略的に示すキットの実施形態2000の場合、分散システム2200は、制御ユニット(211)と、分散システム2200とメインコンテナ200との間のシール(212)と、制御可能な一方向弁の有無にかかわらず蒸留酒をシステム2200内に引き込むための管(213)と、蒸留酒をシステム2200内に送り込むためのポンプ(214)と、基質を分散させるためのノズル(215)と、内部コンテナ(216)と、内部気体/真空環境(217)のために指定された領域と、ガス組成および圧力/真空入口/出口制御ユニット(218)と、電磁/熱放射エミッタなどの内部エネルギー源(219)と、電磁/熱放射エミッタなどの外部エネルギー源(220)と、制御可能な一方向弁を有する又は有さない蒸留酒再導入管(222)とを備える。基質に対する分散システム2200の動作中に、分散された液体(221)の還流があり、液体または気体の形態の再構成された分散処理後蒸留酒(223)がメインコンテナ200内に導入される。
【0091】
5.
循環システム
液体の温度勾配により、溶液をゆっくりと混合する対流セルが作られる。しかしながら、対流だけでは、液体の所望の設定温度に到達するためには、より長い加熱時間が必要であり、よって、循環システムは、加熱の効率を大幅に向上させることができる。さらに、より多くの混合は、一般に、より速い反応速度、より均質な生成物を意味する。循環システム1300、2300、3300は、バング/シール/フランジ(132、226、312)によってメインコンテナ(100、200、300)内に密封されている。液体蒸留酒は、入口チューブ(130、224、310)を介してポンプ(133、227、313)によって送られ、出口チューブ(131、225)からバルク液体基質に戻るか、または出口チューブ(311)から気体ヘッドスペース蒸留酒に戻る。循環は、
図1または
図3のように、メインコンテナ(100、200)の外部の配管で行われてもよいし、
図2のように完全にメインコンテナ内で行われてもよい。
【0092】
実施例1
図1に示すように、キット1000は、液体蒸留酒(135)を保持するメインコンテナ(100)、好ましくは木樽を有する。加熱は、電気抵抗を利用した気相加熱装置(104)によって気体ヘッドスペース領域(134)に提供され、一定の蒸気/液体導管加熱法を利用した加熱装置(112)によって液体蒸留酒領域(135)に提供され、両加熱装置が、Pt、Pd、Ni、Cu、Ag、Auまたはそれらの混合物の触媒材料の本体(105、106、113、114)を有する。ヘッドスペース領域(134)のヘッドスペース気体蒸留酒に曝された加熱装置(104)は、シール(103)を介して樽100内に垂直に封入されている。別の加熱装置(112)は、液状蒸留酒領域(135)に完全に沈められ、シール(111)を介して樽内に封入されている。一つの熱電対(109)はメインコンテナ(100)の嵌合穴を介して液体蒸留酒領域135に配置され、別の熱電対(107)は嵌合穴を介してヘッドスペース気相領域(134)に配置されている。
【0093】
熱電対107、109および加熱装置104、112は、制御ユニット(101)に接続され、この制御ユニットは、必要なエネルギー/電気出力を供給するとともに、システム制御を可能にするフロントパネル(102)を有する。1つの温度プロファイルは次のようになる。
i.液体蒸留酒領域(135)およびそこにある蒸留酒は、平衡に達するまで、連続加熱蒸気/液体導管加熱装置(112)によって、好ましくは5℃ステップの段階的な加熱レジメンで、35℃~90℃の予め設定された温度に加熱される。
ii.ヘッドスペース気体蒸留酒領域(134)と、メインコンテナ100内に基質がある場合の基質中の気相は、液体蒸留酒の加熱と併せて、電気抵抗を利用した加熱装置(104)によって加熱される。加熱は、液体蒸留酒の温度とは無関係に継続する熱パルス(01秒~600秒)によって行われる。
iii.液体蒸留酒が所望の温度に達すると、フロントパネル(102)に設定された温度に関連して、サーミスタ/熱電対(109)の測定により、予め設定された設定温度が維持される。液体蒸留酒の所望の平衡温度に達すると、ポンプ(118)は、金属、プラスチック、ガラスまたはセラミックのうちの1または複数から選択された材料からなるパイプ(117)を介して、液体基質を液体分散システム(1200)内に引き込む。
【0094】
空気は、入口/出口制御システム(122)によって大気圧で供給される。液体基質は、金属、ガラス、プラスチック、またはセラミックのうちの1または複数から選択される材料で作られた多孔質膜状の内部コンテナ(120)内に、多孔質材料で作られたインサートを含むノズル119から噴霧される。エネルギー入力は、内部コンテナ120の内部または外部の何れかに配置された380~700nmの間の波長を有する電磁放射(これに限定されるものではない)からなるエネルギー源(125)、(126)によって提供され、それにより酸触媒エステル化反応および酸化反応に限定されるものではないが、そのような化学反応の反応速度が加速される。噴霧は液体(127)に還流し、パイプ(128)を介して樽(メインコンテナ100)内に逆流する。液体分散システム1200は、シール(116)によってメインコンテナ(100)にシールされている。液体蒸留酒の循環は、加熱レジームの開始から、入口(130)および出口(131)のパイプを介してポンプ(133)によって行われ、循環システム1300は、フランジ(132)によってメインコンテナ100にシールされている。
【0095】
別の実施形態は、ステンレス鋼またはアルミナなどの不浸透性のメインコンテナ(100)を有する、実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0096】
別の実施形態は、様々な構成の多孔性で不浸透性の材料からなるメインコンテナ(100)を有する、実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0097】
別の実施形態は、一定の蒸気/液体導管加熱を利用した気体ヘッドスペース蒸留酒領域(134)内の第1の加熱装置(104)と、電気抵抗加熱を利用した液体蒸留酒領域(135)内の第2の加熱装置(112)とによって熱が提供されて、両加熱装置が同一または異なる触媒材料(Pt、Pd、Ni、Cu、Ag、Au、Ru、Rh、Ir、Pd、Ni、V)の混合物の1または複数の本体(105、106、113、114)を有する、実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0098】
別の実施形態は、同じ加熱レジーム、循環および分散方法/デバイスを利用するが、電気抵抗または導管蒸気/液体加熱を利用するとともに不活性本体(例えば、ステンレス鋼304)(105、106)を有する液体蒸留酒領域(135)の第2の加熱装置(112)により熱が与えられる、実施例1に記載されたものと同様のキットである。気体蒸留酒領域(134)の第1の加熱装置(104)によって提供される熱は、電気抵抗または導管蒸気/液体加熱を使用し、同じまたは異なる触媒材料の混合物の1または複数の本体(105、106)を有する。
【0099】
さらに別の実施形態は、同じ加熱レジーム、循環および分散方法を利用するが、電気抵抗または導管水蒸気/液体加熱方法を使用して気体蒸留酒領域(134)の第1の加熱装置(104)によって熱が提供され、第1の加熱装置(104)が不活性本体(113、114)を有する、実施例1に記載されたのと同様のキットである。液体基質領域(135)の第2の加熱装置(112)によって提供される熱は、電気抵抗または導管蒸気/液体加熱法を使用する。第2の加熱装置(112)は、同一または異なる触媒材料の1または複数の混合物の本体(113、114)を有する。
【0100】
別の実施形態は、気体ヘッドスペース蒸留酒を介して液体蒸留酒を再導入する循環手段を有する、実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0101】
別の実施形態は、循環を伴わない、実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0102】
別の実施形態は、所望の平衡温度に達した後の循環を伴わない、実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0103】
さらに別の実施形態は、不浸透性材料からなる液体分散システム(115、120)を有する、実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0104】
別の実施形態は、多孔質インサートを有さない、実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0105】
別の実施形態は、液体蒸留酒をエアロゾルとして分散させることができる、実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0106】
別の実施形態は、0.1%~100%の酸素濃度、不活性ガスまたはその混合物、0~100%の相対湿度レベルの空気、非酸素反応ガス、およびそれらの混合物に限られるものではないが、それらにより構成される内部気体環境を有する、上述した実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0107】
別の実施形態は、内部エネルギー源(125)からのエネルギー入力タイプが外部エネルギー源(126)からのエネルギー入力タイプと異なり、それら入力が連続的なものと断続的なものとの間で独立して変化する、実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0108】
別の実施形態は、液体蒸留酒の分散がない、上述した実施例1に記載されたものと同様のキットである。
【0109】
実施例2
図1に示すキット1000と同様に、
図2に概略的に示すキット2000は、メインコンテナ200内に液体蒸留酒(229)を含み、メインコンテナが、場合によっては液体基質を保持するセラミックコンテナである。熱伝導性触媒材料Pt、Pd、Ni、Cu、Ag、Auおよびそれらの混合物の本体(205、206)を有する触媒装置(204)は、シール(203)を介してメインコンテナ内に封入され、一部が液体蒸留酒(229)の中に沈められ、一部がヘッドスペース気体蒸留酒(228)に曝されている。
【0110】
ポンプ(214)は、金属、熱可塑性、ガラス、セラミックまたはそれらの混合物のうちの1または複数から選択された材料で作られたパイプ(213)を介して、液体蒸留酒を液体分散システム(2200)に引き込む。酸素は、様々な圧力(50mBar~250Bar)で入口/出口システム(218)によって供給される。液体蒸留酒は、ノズル(215)からエアロゾルとして、金属、ガラス、プラスチックおよびセラミックのうちの1または複数から選択された不浸透性材料(216)で作られたチャンバ(217)内に噴霧される。
【0111】
噴霧は液体(221)に還流し、パイプ(222)を介して樽内に逆流する。液体分散システムは、フランジ(212)によって樽(200)にシールされている。
【0112】
別の実施形態は、加熱方法として一定の蒸気/液体導管加熱を利用する加熱装置であって、熱伝導性触媒材料から選択された材料の本体(205、206)を有する加熱装置(204)によって熱が提供される、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0113】
別の実施形態は、加熱方法として一定の蒸気/液体導管加熱を利用する加熱装置であって、1または複数の触媒材料または混合物から本質的に構成される本体を備えた加熱装置(204)によって熱が提供される、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0114】
別の実施形態は、加熱方法として一定の蒸気/液体導管加熱を利用するとともに1または複数の熱伝導性反応性材料または混合物からなる本体のみを有する加熱装置(204)により熱が提供される、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0115】
別の実施形態は、加熱方法として電気抵抗または一定の蒸気/液体導管加熱を利用するとともに不活性材料の本体を有する加熱装置(204)により熱が提供される、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0116】
別の実施形態は、加熱方法として電気抵抗または一定の蒸気/液体導管加熱を利用するとともに不活性材料の本体(205)の部分および触媒材料の部分(206)を有する加熱装置(204)により熱が提供される、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0117】
別の実施形態は、加熱方法として電気抵抗または一定の蒸気/液体導管加熱を利用するとともに本体(205)不活性材料の部分および触媒材料の部分(206)を有する加熱装置(204)により熱が提供される、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0118】
別の実施形態では、液体蒸留酒を噴霧として分散させるための手段を含む、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0119】
さらに別の実施形態は、1~100%の酸素濃度、不活性ガスまたはその混合物、反応性ガスまたはその混合物、0~99%の湿度レベルの空気、およびそれらの混合物に限定されるものではないが、それらから構成される内部気体環境を有する、上述した実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0120】
別の実施形態は、エネルギー出力を有する内部エネルギー源(219)および別の外部エネルギー源(220)を備え、それぞれが個々に連続的または断続的なエネルギー源である、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0121】
別の実施形態は、液状蒸留酒を分散させない、上述した実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0122】
別の実施形態は、所望の予め設定された平衡温度に達した後に循環させない、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0123】
別の実施形態は、機械的に循環が誘導されない(循環が、対流/組成勾配によるものだけである)、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0124】
別の実施形態は、メインコンテナ(200)がステンレス鋼で作られた、実施例2に記載されたものと同様のキットである。
【0125】
銅製のシースを使用し、一方向弁を使用せず、周囲の空気条件での分散と循環を利用して、実施例2に従って調製されたサンプルの化学分析は、蒸留酒中の熟成コンジナーの増加を示している。
図4および
図5は、5日間と30日間のサンプルの熟成コンジナーの濃度の差を示している。酢酸と酢酸エチルは蒸留酒の熟成時間とともに増加することが知られており[Reazin,G.,Am.J.Enol.Vitic.,Vol.32,No.4,1981]、
図4および
図5から分かるように、本実施例に従って調製した5日熟成のサンプルと30日熟成のサンプルとの間で濃度が増加している。
【0126】
56のシングルモルトスコッチウイスキーについて、酢酸エチルの濃度が12~66g/100L A.A.であることが示されている[Aylott et al.,J.Inst.Brew.116(3),215-229,2010]。実施例2に係る独自の改良された熟成のたった5日後に、酢酸エチル濃度が、法律上少なくとも3年間熟成されなければならないシングルモルトスコッチウイスキーの範囲内にあることが分かった。
【0127】
実施例3
図3に概略的に示されているように、キット3000は、メインコンテナ300内に蒸留酒(309)を収容しており、好ましくはメインコンテナは、液体蒸留酒を保持する木樽であって、好ましくはオーク材で作られている。加熱装置(304)は、シール(303)を介してメインコンテナ内に密封されており、気体ヘッドスペース蒸留酒(308)に部分的に曝されるとともに、液体蒸留酒(309)に部分的に曝されている。熱は、加熱方法として電気抵抗を利用する加熱装置304を介して提供され、この加熱装置は、熱伝導性触媒材料またはその混合物(305)、特に本実施例では銅またはステンレス鋼を含むシース304’を有する。サーミスタ(306)は、樽の嵌合穴を介して液体の上層に配置されており、フロントパネル(302)上の予め設定された温度に基づいて、制御ユニット(301)によって加熱要素に供給される電力を調節する。1つの温度プロファイルは次のようになる。
i.蒸留酒(309)は、設定された平衡温度に達するまで、液相の蒸留酒の全体的な温度を5℃だけ上昇させる一連のパルスを使用して、段階的な加熱パルスレジメン(室温から250℃まで、01秒~600秒またはそれ以上の持続時間のパルス)に従って、最初に、室温から32℃~73℃に加熱される。熱は、10~180秒のパルスで適用される。
ii.ヘッドスペース気体蒸留酒(308)を液体蒸留酒と並行して加熱する。
iii.平衡温度に達したら、フロントパネル(302)に設定された温度との関係で、液体蒸留酒(309)内のサーミスタ(306)によって測定される温度のヒステリシスにより、加熱パルス(01秒~600秒またはそれ以上)を用いることができる。
【0128】
別の実施形態は、加熱方法として一定の蒸気/液体導管加熱を利用する加熱要素(305)により熱が提供され、当該加熱装置が、熱伝導性触媒および/または反応性材料またはそれらの混合物の本体(305)を有する、実施例3に記載されたものと同様のキットである。
【0129】
別の実施形態は、加熱方法として一定の蒸気/液体導管加熱を利用する加熱装置(305)を用いて熱が提供され、当該加熱装置が、熱伝導性触媒材料のみからなる本体を有する、実施例3に記載されたものと同様のキットである。
【0130】
別の実施形態は、加熱方法として一定の蒸気/液体導管加熱を利用する加熱要素(305)により熱が提供され、当該加熱装置が、触媒材料のみからなる本体を有する、実施例3に記載されたものと同様のキットである。
【0131】
別の実施形態は、加熱方法として電気抵抗または一定の蒸気/液体導管加熱を利用する加熱要素(305)により熱が提供され、当該加熱要素が、不活性材料の本体を有する、実施例3に記載されたものと同様のキットである。
【0132】
別の実施形態は、所望の平衡温度に達するまで、液体蒸留酒を保持するメインコンテナ(310)から液体蒸留酒を循環させて、気体ヘッドスペース基質(311)を介して再導入することを可能にするように構成された、実施例3に記載されたものと同様のキットである。
【0133】
別の実施形態は、所望の平衡温度に達するまでの間および達した後に、液体基質のために指定された領域の循環、すなわち、液体基質(310)から吸い出して、気体ヘッドスペース基質(311)を介しての再導入を可能にするように構成された、実施例3に記載されたものと同様のキットである。
【0134】
別の実施形態は、機械的に循環を誘導しない、実施例3に記載されたものと同様のキットである。
【0135】
さらに別の実施形態は、ヘッドスペース気相のために指定された領域にサーミスタ/熱電対を有する、実施例3に記載されたものと同様のキットである。
【0136】
ステンレス鋼のシースを利用して実施例3に従って調製されたサンプルの専門的な官能試験は、木質が強く、刺激性で、鋭く、若いと説明された。この実施形態では、木材系のコンジナー抽出が促進されたが、エステル化反応の促進にはあまり影響がないことが明らかであり、上記の快楽的な説明につながった。
【0137】
銅シースを利用した実施例3に従って調製したサンプルの専門的な官能試験は、調製した独自の改良された熟成シングルモルトウイスキーレシピが、4~7年の熟成、最高18年熟成の伝統的に製造されたシングルモルトウイスキーに匹敵するという結果を与えた。実施例3に従って調製されたシングルモルトレシピに基づく、独自に改良された熟成シングルモルトウイスキー中の主要な熟成コンジナーの化学分析は、
図6に示すように、様々な熟成年数の市販のシングルモルトウイスキーに匹敵する結果を与えた。
【0138】
現時点では、これらの実施形態が最もよく機能すると考えられるが、他の実施形態も満足のいくものである。
【0139】
図7~
図9は、独自に改良された熟成蒸留酒サンプルと伝統的な熟成を利用したサンプルの様々な熟成コンジナーの濃度を経時的に示しており、各サンプルには同じ蒸留酒が使用されている。
図7および
図8は、独自の改良熟成サンプルと伝統的な熟成サンプルのそれぞれについて、酢酸および酢酸エチルの濃度の所望の変化を示している。
図7は、酢酸濃度の経時変化を示している。伝統的に調製されたサンプルの濃度は、最初に減少した後、増加し、その後再び減少して、合計で84%の増加するのに対して、独自に改良された熟成サンプルデータは、一貫した増加傾向を示し、合計で280%増加している。
【0140】
56のシングルモルトスコッチウイスキーについて、酢酸エチルの濃度が12~66g/100L A.A.であることが示されている[Aylott et al.,J.Inst.Brew.116(3),215-229,2010]。驚くべきことに、独自に改良された熟成のたった21日後に、酢酸エチル濃度が、法律上少なくとも3年間熟成されなければならないシングルモルトスコッチウイスキーの範囲内にあることが判明した。
図8に示すように、伝統的な熟成サンプルと独自改良の熟成サンプルの酢酸エチルの初期濃度は、シングルモルトスコッチウイスキーの範囲内にあるが、伝統的に調製されたサンプルの濃度は、初期測定の付近で減少したり増加したりするため、必ずしも濃度が増加するわけではなく、合計で1.27%の増加であるのに対して、独自改良の熟成サンプルのデータは増加傾向を示し、合計で16.78%増加している。このため、分析機器の許容測定公差を±1g/100L A.A.とした場合、対照測定で観察された増加は無視できる程度と考えられる。
【0141】
バニリンはリグニン誘導体であり、熟成蒸留酒に見られる一般的な成熟コンジナーである。
図9は、伝統的な熟成サンプルと比較して、独自に改良された熟成蒸留酒のバニリン濃度の顕著な増加傾向を示している。56のシングルモルトスコッチウイスキーについて、バニリンの濃度が0.4~3g/100L A.A.であることが示されている[Aylott et al.,J.Inst.Brew.116(3),215-229,2010]。本実施形態を利用した独自に改良された熟成のたった8.8日後のバニリンの濃度が、3年間熟成されたシングルモルトスコッチウイスキーの0.67g/100L A.A.に匹敵することが判明し、独自に改良された熟成のたった21日後のバニリンの濃度が、15年間熟成されたシングルモルトスコッチウイスキーの1.36g/100L A.A.に匹敵することが判明した。これは、バニリンの濃度をより高いまたはより低い濃度に操作して、様々なフレーバープロファイルを作り出すことができることを示している。
【0142】
図10に見られるように、透明な蒸留酒は、熟成中に木材中のリグニン誘導体からすべての色を得る。
図9に示すように、バニリンの増加には明確な傾向があり、それがリグニンからフェニルアラニンに反応し、桂皮酸からオイゲノールおよびグアイアコールに反応するため、フルフラールのような木材系のコンジナーの実質的な抽出物と反応があることを示しており、それが蒸留酒の色および望ましい感覚的特性に寄与している。
【0143】
いくつかの実施形態では、システムが、液体を照射するための手段を含む。例えば、そのような手段は、化学光源を含む。このようなシステムを使用する方法は、木材を、メインコンテナの一部として、またはメインコンテナから独立したものとして、加熱条件下で未熟成の蒸留酒と接触させるステップと、得られた熱処理済みの蒸留酒を化学光に接触させるステップとを含むことができる。
いくつかの実施形態では、蒸留酒が、加熱処理および化学光処理を経て順次処理される。
いくつかの実施形態では、加熱処理された蒸留酒が、光で別個に処理された蒸留酒と混合されて、熟成した蒸留酒の特性が与えられる。
【0144】
例えば、いくつかの実施形態では、飲料の処理が、熱処理、光処理、反応性材料と飲料との接触、循環のうちの1または複数を含む。いくつかの実施形態では、そのような処理のうちの1または複数は、適用される時間が同時または重複している。
【0145】
特定の実施形態では、熟成工程の前に、酢酸エチルが原料飲料に添加される。
【0146】
いくつかの実施形態では、飲料は、先ず、上述したステップ/特徴のうちの1または複数の処理を行わずに樽の中で熟成され、選択された熟成時間に、飲料が上述した1または複数の追加的な処理を受ける。
【0147】
いくつかの実施形態では、飲料の熟成を改善するために樽内に配置するこことができるインサートをさらに含む。インサートは、樽の一方の端部から他方の端部まで実質的に延びる複数の角度を付けて配置された焦げ面を有するように形成されたバッフル部材を含むことができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、原料の蒸留液は、上述したような循環手段によって、樽に入れる前に、または入れた後でも、沸騰に近い温度で、微細に分割された木炭で処理され、そこから、沸騰アルコール溶液に可溶なすべての抽出物がほぼ完全に浸出される。
【0149】
いくつかの実施形態では、樽内の液体または循環経路に沿った液体が、液体透過性のコンテナに封入された焦げた木材の塊と接触し、かつ/または気相が、気体透過性コンテナに封入された焦げていない木材の塊と接触する。
【0150】
このような焦げた木材は、ホワイトオーク(Quercus Alba)のようなオーク、またはQuercusと呼ばれる他のオーク種から得られたものであってもよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、熟成を促進することが、
エタノールベースの溶液をメインコンテナに導入するステップと、
ガス含有成分をメインコンテナに導入することにより、エタノールベースの溶液の特定のガス濃度、好ましくは酸素濃度を増加させるステップと、
指定された期間、エタノールベースの溶液とメインコンテナ内のガスの平均運動エネルギーを増加させるステップとをさらに備える。
【0152】
いくつかの実施形態では、エタノールベースの溶液が、有機材料を含む。
いくつかの実施形態では、エタノールベースの溶液が、従来の方法で熟成されたアルコールを含む。
【0153】
いくつか実施形態は、エタノールベースの溶液を導入することに関連して、有機材料をメインコンテナ内に導入することをさらに含む。
【0154】
いくつかの実施形態は、沸騰、調理、カラメル化、焙煎またはチャーリングのうちの少なくとも1つによって有機材料を調製することをさらに含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、有機材料が、木材、抽出物、果実、ハーブ、野菜、ナッツ、花、肉または植物のうちの少なくとも1つを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、有機材料を組み合わせることが、エタノールベースの溶液1.5リットル当たり、0.0005~100グラム、2~60グラム、5~40グラム、8~30グラム、または10~25グラムの有機材料のうちの少なくとも1つを含む範囲で有機材料を組み合わせることを含む。
【0157】
いくつかの実施形態は、さらに、メインコンテナ内に追加の有機材料を加えることによって蒸留酒の濃縮物を形成することを含み、濃縮物が、1または複数の異なる種類の蒸留酒を形成するために1または複数種類の液体と結合するように構成されている。
【0158】
いくつかの実施形態は、炭素、木炭、活性炭または活性木炭のうちの少なくとも1つを含む炭素含有化合物を組み合わせることをさらに含む。いくつかの実施形態では、炭素含有化合物を組み合わせることが、エタノールベースの溶液1.5リットルあたり0.0005~100グラム、2~60グラム、5~40グラム、8~30グラム、または10~25グラムの炭素を含む少なくとも1の範囲で炭素含有化合物を組み合わせることを含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、酸素含有成分をメインコンテナ内に導入することが、酸素含有ガスをメインコンテナ内に導入することを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、酸素含有ガスを導入することが、エタノールベースの溶液を酸素で曝気することを含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、酸素含有成分をメインコンテナ内に導入することが、大気圧以上の圧力で酸素含有ガスをメインコンテナ内に導入して、メインコンテナの内圧を上昇させることを含む。
【0162】
いくつかの実施形態は、エタノールベースの溶液をメインコンテナ内に閉じ込めるための圧力シールを形成することを含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、少なくともメインコンテナ内の圧力を大気圧以上に上昇させること、エタノールベースの溶液を加熱すること、エタノールベースの溶液を機械的に撹拌すること、時間的に変化する電磁場をメインコンテナ内に導入すること、またはエタノールベースの溶液を超音波で撹拌することによって、平均運動エネルギーが増加される。
【0164】
いくつかの実施形態では、エタノールベースの溶液の運動エネルギーを増加させることが、0.001~2,000、100~20,000、200~12,000、500~6,000、800~4,000、1,000~3,000、または1,500~2,500psigのうちの少なくとも1つを含む範囲で、メインコンテナ内の圧力を増加させることを含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、エタノールベースの溶液の運動エネルギーを増加させることが、0.001~2,000、100~600、110~450、125~300、140~250、150~220、または160~200°Fのうちの少なくとも1つを含む範囲でメインコンテナの温度を増加させることを含む。
【0166】
別の態様によれば、システムがさらに提供され、このシステムが、
エタノールベースの溶液を受け入れるように構成されたメインコンテナと、
メインコンテナに接続されたガス供給源、好ましくは酸素供給源であって、エタノールベースの溶液のガス濃度を増加させるガス含有主成分をコンテナ内に導入するように構成されたガス供給源と、
指定された期間、メインコンテナ内のエタノールベースの溶液とガスの平均運動エネルギーを増加させるように構成されたエネルギー要素とを備える。
【0167】
別の態様によれば、システムがさらに提供され、このシステムが、
反応容器と、
反応容器に結合されたガス源、好ましくは酸素供給源と、
反応容器の内容物に関与するように適合された運動エネルギー源と、
コントローラとを備え、当該コントローラが、
エタノールベースの溶液を反応容器内に導入し、
ガス源からガス含有成分を反応容器内に導入することにより、エタノールベースの溶液のガス濃度を増加させ、
容器内のエタノールベースの溶液およびガスの平均運動エネルギーを、運動エネルギー源を用いて指定された期間増加させるように構成されている。
【0168】
いくつかの実施形態は、有機材料源をさらに含み、コントローラが、有機材料源からある量の有機材料をエタノールベースの溶液に導入するようにさらに構成されている。
【0169】
いくつかの実施形態は、木材、抽出物、果実、ハーブ、野菜、ナッツ、花、肉または植物のうちの少なくとも1つを含む有機材料をさらに備える。
【0170】
いくつかの実施形態は、エタノールベースの溶液1.5リットルあたり0.1~100グラム、2~60グラム、5~40グラム、8~30グラムまたは10~25グラムの有機材料のうちの少なくとも1つを含む範囲で有機材料を組み合わせるようにさらに動作可能なコントローラをさらに含む。
【0171】
別の態様によれば、蒸留酒を熟成させるためのプロセスが、
蒸留された消費可能なアルコールを提供するステップと、
消費可能なアルコールを、当該アルコールの化学的特性を変化させるのに十分な時間の間、少なくとも約3ワット/リットルのパワーで超音波エネルギーに曝すステップとをさらに備える。
【0172】
いくつかの実施形態では、蒸留された消費可能なアルコールが、約20度~約190度のアルコール含有量である。
【0173】
いくつかの実施形態では、蒸留された消費可能なアルコールが、約80度から約150度のアルコール含有量である。
【0174】
いくつかの実施形態では、アルコールが、超音波エネルギーを受けている間、反応容器を通って再循環される。いくつかの実施形態では、アルコールが、少なくとも約5ワット/リットルのパワーで超音波エネルギーに曝される。
【0175】
いくつかの実施形態では、アルコールが、約10~約80ワット/リットルのパワーで超音波エネルギーに曝される。
【0176】
いくつかの実施形態では、超音波エネルギーが、約35,000Hzを超える周波数である。
【0177】
いくつかの実施形態では、超音波エネルギーが、約20,000~約170,000Hzの周波数である。
【0178】
いくつかの実施形態では、アルコールが超音波エネルギーに曝されている間に、消費可能なアルコールが、約70°F~約150°Fにある。
【0179】
いくつかの実施形態は、消費可能なアルコールを精製剤と組み合わせることをさらに含み、その精製剤が、活性炭、珪藻土、フィルタおよびそれらの混合物からなる群のなかから選択された材料である。
【0180】
いくつかの実施形態では、フィルタが、約5pm未満の平均細孔径を有する。
【0181】
いくつかの実施形態では、アルコールの化学的特性を変化させるのに十分な時間、消費可能なアルコールを少なくとも約3ワット/リットルのパワーで超音波エネルギーに曝すステップを含むプロセスが提供され、消費可能なアルコールが、少なくとも約1時間超音波エネルギーに曝される。
【0182】
いくつかの実施形態では、消費可能なアルコールが、約12時間~約36時間、超音波エネルギーに曝される。
【0183】
いくつかの実施形態は、消費可能なアルコールを少なくとも1の香料と接触させることをさらに含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、香料が固体である。
【0185】
いくつかの実施形態は、アルコールを超音波エネルギーに曝した後に、混合物から固体を濾過することをさらに含む。
【0186】
いくつかの実施形態は、アルコールから固体を濾過した後に、アルコールをさらに超音波エネルギーに曝すことをさらに含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、香料が抽出物である。
【0188】
いくつかの実施形態では、香料が、木材、種子、果樹、ナッツ、果物、植物、野菜およびそれらの混合物からなる群のなかから選択される。
【0189】
いくつかの実施形態では、アルコールを超音波エネルギーに曝す前に、アルコールが香料と接触される。
【0190】
いくつかの実施形態では、アルコールを超音波エネルギーに曝した後に、アルコールが香料と接触される。
【0191】
いくつかの実施形態は、アルコールと香料の混合物をさらに超音波エネルギーに接触させることを含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、混合物が、約2時間~約4時間の期間、追加の超音波エネルギーに曝される。
【0193】
別の態様によれば、
穀物アルコールを提供するステップと、
穀物アルコールを促進剤と組み合わせて混合物を形成するステップと、
穀物アルコールの化学的特性を変化させるのに十分な時間、少なくとも約3ワット/リットルのパワーで混合物を超音波エネルギーに曝すステップとを備えるプロセスが提供される。
【0194】
促進剤は、上述した触媒とは異なり、特に飲料アルコールと反応する。促進剤は、糖、有機酸、エステル、木材抽出物またはそれらの組合せのなかから選択するこことができる。
【0195】
混合物は、超音波エネルギーに曝されている間、反応容器を通って再循環されるようにしてもよい。
【0196】
いくつかの実施形態では、混合物が、少なくとも約5ワット/リットルのパワーで超音波エネルギーに曝される。
【0197】
いくつかの実施形態では、混合物が、約10~約80ワット/リットルのパワーで超音波エネルギーに曝される。
【0198】
いくつかの実施形態では、超音波エネルギーが、約35,000Hzを超える周波数である。
【0199】
いくつかの実施形態では、超音波エネルギーが、約20,000~約170,000Hzの周波数である。
【0200】
いくつかの実施形態では、混合物が超音波エネルギーに曝されている間、混合物が、約70°F~約150°Fである。
【0201】
いくつかの実施形態では、混合物が、少なくとも約1時間超音波エネルギーに曝される。
【0202】
いくつかの実施形態では、混合物が、約12時間~約36時間、超音波エネルギーに曝される。
【0203】
いくつかの実施形態では、触媒が、糖、エステル、有機酸、木材抽出物およびそれらの混合物からなる群のなかから選択される。
【0204】
さらに別の態様によれば、
約20度~約190度の消費可能なアルコール原料を提供するステップと、
反応容器を通してアルコールを再循環させるステップと、
アルコールが反応容器内にある間、アルコールを超音波エネルギーに曝すステップとを含むプロセスであって、
アルコールが、少なくとも約1リットル当たり約5ワットの量の超音波エネルギーに少なくとも約1時間曝され、超音波エネルギーが、約35,000Hz~約170,000Hzの周波数である、プロセスがさらに提供される。
【0205】
いくつかの実施形態は、アルコールを、活性炭、珪藻土、約5[mu]m未満の平均細孔径を有するフィルタ、およびそれらの混合物からなる群のなかから選択された精製剤と接触させることをさらに含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、アルコールが、超音波エネルギーに曝されている間、約70°F~約150°Fの温度にある。
【0207】
いくつかの実施形態では、アルコールが、超音波エネルギーに曝されている間、約90°F~約120°Fの温度にある。
【0208】
いくつかの実施形態では、アルコールが、約80,000Hzの周波数で超音波エネルギーに曝される。
【0209】
いくつかの実施形態では、アルコールが、約12時間~約36時間、超音波エネルギーに曝される。
【0210】
いくつかの実施形態では、アルコールが、約15ワット/リットル~約40ワット/リットルの量の超音波エネルギーに曝される。
【0211】
いくつかの実施形態は、消費可能なアルコールを少なくとも1の香料と接触させることをさらに含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、香料が固体である。
【0213】
いくつかの実施形態は、アルコールを超音波エネルギーに曝した後、混合物から固体を濾過することをさらに含む。
【0214】
いくつかの実施形態は、アルコールから固体を濾過した後に、アルコールをさらに超音波エネルギーに曝すことをさらに含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、香料が抽出物である。
【0216】
いくつかの実施形態では、香料が、木材、種子、果樹、ナッツ、果物、植物、野菜およびそれらの混合物からなる群のなかから選択される。
【0217】
いくつかの実施形態では、アルコールが、超音波エネルギーに曝される前に、香料と接触される。
【0218】
いくつかの実施形態では、アルコールが、超音波エネルギーに曝された後に、香料と接触される。
【0219】
いくつかの実施形態は、アルコールと香料の混合物を追加の超音波エネルギーに接触させることをさらに含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、混合物が、約4時間未満の期間、追加の超音波エネルギーに曝される。
【0221】
いくつかの実施形態は、触媒に加えて、金属形態および/または酸化物としてのクロム、モリブデンおよび/または亜鉛などの材料を含む少なくとも1の触媒促進剤を含む。
【0222】
一般に、触媒は、工具に一般的に使用される鋼または鉄の他の合金を含まない。
【0223】
一般に、触媒は、蒸留酒の熟成に使用される樽または他のコンテナに以前に使用されていた構成要素ではなく、また蒸留酒の熟成に使用されることが以前に知られていた構成要素の一部でもない。
【0224】
いくつかの実施形態は、ニッケルを含む触媒を含み、触媒が10%を超えるニッケルを含むことができる。任意選択的には、それらの触媒は、0.1~10%のアルミニウムも含む。いくつかの実施形態は、銅を含み、触媒が0.1~99.99%の銅を含むことができる。いくつかの実施形態は、モリブデンを含み、触媒が10%を超えるモリブデンを含むことができる。いくつかの実施形態は、コバルトおよび/またはマンガンおよび/またはニオブを含み、触媒が1%を超えるコバルトおよび/またはマンガンおよび/またはニオブをそれぞれ含むことができる。いくつかの実施形態は、クロムを含み、触媒が20%を超えるクロムを含むことができる。
いくつかの実施形態は、ホウ素を含み、触媒が0.1%を超えるホウ素を含むことができる。
いくつかの実施形態は、チタンを含み、触媒が10%を超えるチタンを含むことができる。
いくつかの実施形態は、タングステンを含み、触媒が20%を超えるタングステンを含むことができる
【0225】
いくつかの実施形態では、液状蒸留酒が、熟成期間中の少なくとも一部で脱気され、脱気は、触媒の活性を高めることができる。
【0226】
さらに別の態様によれば、消費可能なアルコールが提供され、その消費可能なアルコールが、
オーク材の樽の中で約3年以上熟成されていない蒸留された消費可能なアルコールを含み、この消費可能なアルコールが、約4.0mg/Lを超える量のバニリンと、約8.0mg/Lを超える量のシリンガルデヒドとを含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、蒸留された消費可能なアルコールが、少なくとも約3ワット/リットルの超音波エネルギーに曝されている。
【0228】
いくつかの実施形態では、消費可能なアルコールが、超音波エネルギーに曝されていない同種のアルコールよりもフリーラジカルが少ない。
【0229】
いくつかの実施形態では、アルコールが、フレーバーアルコールである。
【0230】
いくつかの実施形態では、フレーバーが、種子、木材、果樹、ナッツ、果物、植物、野菜およびそれらの混合物からなる群のなかから選択される。
【0231】
いくつかの実施形態では、アルコールが、約5.0~約7.5mg/Lの量のバニリンと、約7.0~約15.0mg/Lの量のシリングアルデヒドとを含む。
【0232】
さらに別の態様によれば、消費可能なアルコールが提供され、その消費可能なアルコールが、
超音波エネルギーに曝された蒸留された消費可能なアルコールを含み、この消費可能なアルコールが、超音波エネルギーに曝されていない同様の蒸留された消費可能なアルコールよりも少なくとも約20%少ないアミルアルコールを含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、消費可能なアルコールが、
超音波エネルギーに曝されていない同様の蒸留された消費可能なアルコールよりも少なくとも約50%少ないイソブタノールをさらに含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、アルコールがフレーバーアルコールである。
【0235】
いくつかの実施形態では、フレーバーが、種子、木材、果樹、ナッツ、果物、植物、野菜およびそれらの混合物からなる群のなかから選択される。
【0236】
いくつかの実施形態では、消費可能なアルコールが、超音波エネルギーに曝されていない同種の蒸留アルコールよりもフリーラジカルが少ない。
【0237】
いくつかの実施形態では、消費可能なアルコールが、少なくとも約3ワット/リットルの量の超音波エネルギーに曝されている。
【0238】
当業者であれば、上述した特徴は、図示したものとは形状および構造が異なる場合があるが、同一または同様の目的を果たして、例えば本質的に同じ結果を達成することを理解するであろう。
【0239】
明確化のために別個の実施形態中で説明されている本開示の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできることを理解されたい。反対に、簡潔にするために単一の実施形態中で説明されている本開示の様々な特徴は、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで、または本開示の記載された他の実施形態における適切な特徴として、提供されるものであってもよい。様々な実施形態中で説明されている特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【0240】
本開示を、その特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替、修正および変形が、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲に含まれるそのようなすべての代替、修正および変形を包含することが意図されている。
【0241】
本出願の明細書および特許請求の範囲では、「備える」、「含む」、「有する」という動詞およびそれらの活用語の各々は、動詞の1または複数の目的語が、必ずしも動詞の1または複数の主語のコンポーネント、要素または部分の完全なリストではないことを示すために使用されている。
【0242】
本明細書では、特に明記しない限り、「実質的に」や「約」などの形容詞は、ある実施形態の1または複数の特徴に特徴的な条件または関係を修飾する。それらの用語は、条件または特性が、それが意図されている用途のための実施形態の機能に受け入れられる許容範囲内に定義されていることを意味すると理解される。特に明記しない限り、明細書および特許請求の範囲における「または」という語は、排他的な「または」ではなく、包含的な「または」であると考えられ、それが結合する項目の少なくとも1つ、または任意の組合せを示している。
【0243】
本願における実施形態の説明は、例示のために提供されるものであり、範囲を限定することを意図するものではない。説明した実施形態は、様々な特徴を含み、それらのすべてが、すべての実施形態で必要とされるわけではない。いくつかの実施形態では、特徴の一部のみを利用するか、または特徴の可能な組合せを利用する。説明した実施形態のバリエーション、および説明した実施形態に記載されている特徴の様々な組合せを含む実施形態は、当業者に思い付くであろう。