(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス材料およびその素子
(51)【国際特許分類】
C07F 15/00 20060101AFI20240718BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240718BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240718BHJP
【FI】
C07F15/00 E CSP
C09K11/06 660
H05B33/14 B
(21)【出願番号】P 2022107349
(22)【出願日】2022-07-01
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】202110747323.7
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210612368.8
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519333413
【氏名又は名称】北京夏禾科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ソウ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 宏博
(72)【発明者】
【氏名】桑 明
(72)【発明者】
【氏名】王 珍
(72)【発明者】
【氏名】蔡 ▲維▼
(72)【発明者】
【氏名】▲クアン▼ 志遠
(72)【発明者】
【氏名】夏 伝軍
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0106028(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111875640(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110845543(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110818741(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108864195(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111116674(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112175017(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第03663308(EP,A1)
【文献】J. Organ. Chem.,2009年,694,2757-2769
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C07D
C09K 11/06
H10K 50/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ir(L
a)
m(L
b)
nの一般式を有する金属錯体であって、
L
aおよびL
bは、それぞれ金属Irと配位する第1配位子および第2配位子であり、
mは、1または2から選ばれ、nは、1または2から選ばれ、m+nは、金属Mの酸化状態に等しく、mが2の場合、2つのL
aは、同一または異なり、nが2の場合、2つのL
bは、同一または異なり、
L
aは、出現毎に同一または異なって式1Aで表される構造を有する、金属錯体。
【化1】
(U
1~U
6は、出現毎に同一または異なってCR
uから選ばれ、
R
uは、出現毎に同一または異なって水素、重水素
、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル
基からなる群から選ば
れ、
R
1
およびR
2は、
同一または異なって式2で表される構造を有し、
【化2】
R
1
、R
2の炭素原子数が4以上であり、
R
3、R
4、R
5は、出現毎に同一または異なっ
て置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル
基からなる群から選ばれ、
【化3】
は、式2と式1Aとの結合箇所を表し、
R
3、R
4、R
5のうちの2つの隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
L
bは、出現毎に同一または異なって式1B
aで表される構造を有し、
【化4】
X
3~X
8は、出現毎に同一または異なってCR
xから選ばれ、
Y
1~Y
4
は、出現毎に同一または異なってCR
yから選ば
れ、
R
y
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基からなる群から選ばれ、
R
x
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基
、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル
基、シアノ基、およびイソシアノ基からなる群から選ばれ、
X
8
は、CR
x
から選ばれ、且つ前記R
x
は、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基から選ばれ、
隣り合う置換基R
x、R
yは、結合して環を形成していてもよい。)
【請求項2】
R
3、R
4、R
5は、出現毎に同一または異なっ
て置換または非置換の炭素原子数1~6のアルキル
基からなる群から選ばれる、請求項1に記載の金属錯体。
【請求項3】
式2で表される構造は、出現毎に同一または異なって
【化5】
のいずれか1種の構造を表し、
*は、式1Aとの結合箇所を表し、
上記構造における水素原子は、重水素原子で一部または全部置換されていてもよい、請求項1に記載の金属錯体。
【請求項4】
金属錯体は、一般式Ir(L
a)
m(L
b)
3-mで表される構造を有し、且つ、式
3で表される、請求項1に記載の金属錯体。
【化6】
(mは
、2から選ばれ
、2つのL
aは、同一または異なり、
X
3~X
8は、出現毎に同一または異なってCR
xから選ばれ、
Y
1~Y
4は、出現毎に同一または異なってCR
yから選ばれ
、
U
1~U
6は、出現毎に同一または異なってCR
uから選ばれ
、
R
uは、出現毎に同一または異なって水素、重水素
、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル
基からなる群から選ばれ、
R
y
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基からなる群から選ばれ、
R
x
は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基
、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、シアノ基、およびイソシアノ基からなる群から選ばれ、
X
8
は、CR
x
から選ばれ、且つ前記R
x
は、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基から選ばれ、
R
3、R
4、R
5は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル
基からなる群から選ばれる。)
【請求項5】
R
xは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、およびシアノ基からなる群から選ばれ
、
且つX
8
におけるCR
x
中のR
x
は、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基から選ばれる、請求項
1または4に記載の金属錯体。
【請求項6】
X
3~X
7
のうちの少なくとも1つは、CR
xから選ばれ、且つ前記R
xは、シアノ基またはフッ素から選ばれる、請求項
1または4に記載の金属錯体。
【請求項7】
X
5~X
7
のうちの少なくとも1つは、CR
xから選ばれ、且つ前記R
xは、シアノ基またはフッ素から選ばれる、請求項
1または4に記載の金属錯体。
【請求項8】
X
7
は、CR
xから選ばれ、且つ前記R
xは、シアノ基またはフッ素から選ばれる、請求項
1または4に記載の金属錯体。
【請求項9】
R
u、R
yは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、または置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基からなる群から選ばれる、請求項
1または4に記載の金属錯体。
【請求項10】
L
aは、出現毎に同一または異なって
【化7】
からなる群から選ばれ、
上記L
aにおける水素原子は、一部または全部重水素化されていてもよい、請求項1に記載の金属錯体。
【請求項11】
L
bは、出現毎に同一または異なって
【化8】
からなる群から選ばれ、
L
bにおける水素原子は、一部または全部重水素化されていてもよい、請求項
10に記載の金属錯体。
【請求項12】
金属錯体は、Ir(L
a)
2L
bの構造を有し、2つのL
aは、同一または異なり、L
aは、
L
a1-1
~L
a1-3
、L
a1-9
、L
a1-11
~L
a1-14
、L
a1-16
、L
a1-20
、L
a1-22
~L
a1-25
、L
a1-31
、L
a1-33
~L
a1-36
、L
a1-42
、L
a1-44
~L
a1-47
、L
a1-53
、L
a1-55
~L
a1-58
、L
a1-64
、L
a1-66
~L
a1-69
、L
a1-75
、L
a1-77
~L
a1-80
、L
a1-82
~L
a1-83
、L
a1-85
、L
a1-88
、L
a1-90
~L
a1-92
、L
a1-98
、L
a1-100
~L
a1-101
、L
a1-105
~L
a1-114
、L
a1-120
、L
a1-122
~L
a1-131
、L
a1-133
、L
a1-135
~L
a1-148
、L
a1-150
~L
a1-151
、L
a1-157
、L
a1-159
~L
a1-172
、L
a1-174
~L
a1-175
、L
a1-182
、L
a1-184
、L
a1-191
、L
a1-193
、L
a1-196
~L
a1-198
、L
a2-1
~L
a2-2
、L
a2-6
、L
a2-8
~L
a2-11
、L
a2-13
、L
a2-15
~L
a2-17
、L
a2-21
、L
a2-23
~L
a2-26
、L
a2-28
、L
a2-30
~L
a2-32
、L
a2-36
、L
a2-38
~L
2-41
、L
a2-43
、L
a2-45
~L
a2-47
、L
a2-51
、L
a2-53
~L
a2-56
、L
a2-58
、L
a2-60
~L
a2-62
、L
a2-66
、L
a2-68
~L
a2-71
、L
a2-73
、L
a2-75
~L
a2-77
、L
a2-81
~L
a2-85
、L
a2-87
、L
a2-89
、L
a2-91
~L
a2-92
、L
a2-97
~L
a2-99
、L
a2-101
~L
a2-115
、L
a2-149
~L
a2-161
、L
a3-1
~L
a3-2
、L
a3-4
~L
a3-6
、L
a3-10
、L
a3-26
、L
a3-28
、L
a3-30
~L
a3-33
、L
a3-40
、L
a3-61
、L
a3-65
~L
a3-67
、L
a3-71
~L
a3-72
、L
a3-76
、L
a3-83
~L
a3-84
、L
a3-89
~L
a3-91
、L
a3-94
~L
a3-96
、L
a3-112
、L
a3-114
からなる群から選ばれ、L
bは、
L
b1-57
~L
b1-101
、L
b1-108
~L
b1-119
、L
b1-126
~L
b1-150
、L
b1-155
~L
b1-157
、L
b1-159
~L
b1-179
、L
b1-181
~L
b1-184
、L
b1-186
~L
b1-189
、L
b1-191
~L
b1-194
、L
b1-196
~L
b1-199
、L
b1-201
~L
b1-204
、L
b1-282
~L
b1-302
、L
b1-311
、L
b1-313
~L
b1-343
、L
b1-352
~L
b1-355
、L
b2-28
~L
b2-29
、L
b2-31
~L
b2-32
、L
b2-34
~L
b2-35
、L
b2-37
~L
b2-38
、L
b2-40
~L
b2-41
、L
b2-43
~L
b2-44
、L
b2-46
~L
b2-47
、L
b2-49
~L
b2-93
、L
b2-100
~L
b2-111
、L
b2-118
~L
b2-142
、L
b2-147
~L
b2-148
、L
b2-150
、L
b2-192
~L
b2-204
、L
b2-213
~L
b2-223
、L
b2-228
~L
b2-253
、L
b2-255
~L
b2-259
、L
b3-66
~L
b3-109
、L
b3-116
~L
b3-127
、L
b3-134
~L
b3-158
、L
b3-163
~L
b3-165
、L
b3-167
~L
b3-168
、L
b3-170
~L
b3-171
、L
b3-173
~L
b3-174
、L
b3-176
~L
b3-177
、L
b3-179
~L
b3-180
、L
b3-182
~L
b3-183
、L
b3-185
~L
b3-186
、L
b3-188
~L
b3-189
、L
b3-191
~L
b3-192
、L
b3-194
~L
b3-195
、L
b3-197
~L
b3-198
、L
b3-200
~L
b3-201
、L
b3-316
~L
b3-336
、L
b3-341
、L
b3-345
、L
b3-347
~L
b3-371
、L
b3-374
~L
b3-379
からなる群から選ばれる、請求項11に記載の金属錯体。
【請求項13】
金属錯体は、下記金属錯体からなる群から選ばれ、前記金属錯体は、Ir(L
a)
2L
bの構造を有し、2つのL
aが同一であり、L
aおよびL
bは、それぞれ以下の表に示す構造に対応する、請求項
11に記載の金属錯体。
【請求項14】
陽極、陰極、および陽極と陰極との間に設けられた有機層を含むエレクトロルミネッセンス素子であって、
前記有機層のうちの少なくとも1層は、請求項1に記載の金属錯体を含む、エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項15】
前記金属錯体を含む前記有機層は、発光層である、請求項
14に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項16】
発光層には、第1ホスト化合物がさらに含まれ、
或いは、発光層には、第2ホスト化合物がさらに含まれる、請求項
15に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項17】
前記第1ホスト化合物および/または第2ホスト化合物は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、アザカルバゾール、インドロカルバゾリル、ジベンゾチオフェン、アザジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アザジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、フルオレニル、シリコンフルオレン、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナントレン、およびアザフェナントレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化学基を含む、請求項
16に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項18】
前記金属錯体は、前記第1ホスト化合物および第2ホスト化合物にドーピングされ、金属錯体の重量が、発光層の合計重量に対して1%~30%である、請求項
16に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項19】
前記金属錯体は、前記第1ホスト化合物および第2ホスト化合物にドーピングされ、金属錯体の重量が、発光層の合計重量に対して3%~13%である、請求項
16に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項20】
請求項1に記載の金属錯体を含む、化合物
組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子などの、有機電子素子に用いられる化合物に関する。より特に、式1Aの構造を有するLa配位子と、式1Bの構造を有するLb配位子とを含む金属錯体、該金属錯体を含む有機エレクトロルミネッセンス素子および化合物の組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子素子は、有機発光ダイオード(OLEDs)、有機電界効果トランジスタ(O-FETs)、有機発光トランジスタ(OLETs)、有機起電セル(OPVs)、色素-増感太陽電池(DSSCs)、有機光検出器、有機感光装置、有機電界効果素子(OFQDs)、発光電気化学セル(LECs)、有機レーザダイオードおよび有機プラズマ発光素子を含むが、それに限定されない。
【0003】
1987年、イーストマンコダック(Eastman Kodak)のTangおよびVan Slykeにより、電子輸送層および発光層として、アリールアミン正孔輸送層とトリス-8-ヒドロキシキノリン-アルミニウム層とを含む二層有機エレクトロルミネセント素子が報道されている(Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915)。素子に対してバイアスが一旦印加されると、緑色光が素子から発射される。この発明は、現代の有機発光ダイオード(OLEDs)の発展に対する基礎を築き上げている。最も先進的なOLEDsは、電荷注入・輸送層、電荷・励起子ブロッキング層、および陰極と陽極との間の1つまたは複数の発光層などの複数の層を含んでもよい。OLEDsは、自発光性ソリッドステート素子であるので、表示および照明の適用に対して極めて大きな潜在力を提供している。また、有機材料の固有な特性、例えばそれらの可撓性は、可撓性基板で行った製造などの特殊な適用に非常に適合するようになっている。
【0004】
OLEDは、その発光メカニズムに応じて、3種の異なるタイプに分けられている。Tangおよびvan Slykeにより発明されたOLEDは、蛍光OLEDであり、一重項発光のみを使用する。素子において生成した三重項が非輻射減衰通路により浪費され、蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)が25%に過ぎないため、この制限はOLEDの商業化を妨害している。1997年、ForrestおよびThompsonにより、錯体含有重金属からの三重項発光を発光体として用いるりん光OLEDが報道されている。そのため、一重項および三重項を収穫し、100%のIQEを実現することができる。その効率が高いため、りん光OLEDの発見および発展は、直接的にアクティブマトリクスOLED(AMOLED)の商業化に貢献する。最近、Adachiは、有機化合物の熱活性化遅延蛍光(TADF)によって高効率を実現している。これらの発光体は、小さい一重項-三重項ギャップを有するため、励起子が三重項から一重項に戻るトランジションが可能となる。TADF素子において、三重項励起子がリバースシステム間で貫通すること(逆項間交差)によって一重項励起子を生成することに起因してIQEが高くなっている。
【0005】
OLEDsは、さらに、所用材料の形態に応じて、小分子とポリマーOLEDに分けられてもよい。小分子とは、ポリマーではない、有機または有機金属のいずれかの材料を指し、精確な構造を有すれば、小分子の分子量が大きくてもよい。明確な構造を有するデンドリマーは、小分子と認められている。ポリマーOLEDは、共役ポリマーと、側鎖の発光基を有する非共役ポリマーとを含む。製造過程において後重合を発生すると、小分子OLEDがポリマーOLEDになり得る。
【0006】
様々なOLEDの製造方法が公知されている。小分子OLEDは、一般的に、真空熱蒸発により製造されるものである。ポリマーOLEDは、例えばスピンコート、インクジェット印刷およびノズル印刷などの溶液法により製造されるものである。材料が溶剤に溶解または分散することが可能であれば、小分子OLEDも溶液法により製造されることができる。
【0007】
OLEDの発光色は、発光材料の構造設計により実現することができる。OLEDは、所望のスペクトルを実現するように、1つまたは複数の発光層を含んでもよい。緑色、黄色、赤色OLEDにおいて、りん光材料は、既に商業化の実現に成功したが、青色のりん光素子には、依然として、青色が飽和せず、耐用年数が短く、作業電圧が高いなどの問題が存在する。市販のフルカラーOLEDディスプレイは、一般的に混合策略を用い、青色の蛍光、および黄色、赤色または緑色のりん光を用いる。現在、りん光OLEDの効率が高輝度の場合に急速に低下するという問題が存在する。また、より飽和した発光スペクトル、より高い効率、およびより長いデバイス耐用年数を有することが望まれている。
【0008】
US20190280221A1では、以下の構造を有する配位子を含む金属錯体であって、
【化1】
以下の一般式で表される構造をさらに有する金属錯体が開示されている。
【化2】
(ただしR
3は、アルキル基またはシクロアルキル基から選ばれ、R
1は、一置換、複数置換または無置換を表す。)
【0009】
該出願では、以下の構造がさらに開示されているが、
【化3】
【化4】
【化5】
R
1およびR
3がいずれも特定の置換基である金属錯体、および有機エレクトロルミネッセンス素子の性能に対する影響が開示も教示もされていない。
【0010】
EP3663308A1では、以下の構造を有する配位子を含む金属錯体であって、
【化6】
および
【化7】
以下の一般式で表される構造をさらに有する金属錯体が開示され、
【化8】
(R
12は、水素でもメチル基でもなく、CY
1は、C
5~C
30の炭素環またはC
1~C
30のヘテロ環から選ばれ、且つc1は、1~4から選ばれる。)
以下の具体的な構造がさらに開示されている。
【化9】
【0011】
該出願では、1つの配位子におけるピリジンがシリル置換基と、水素またはメチル基ではない置換基とを含み、且つ他の配位子におけるピリジンが炭素環またはヘテロ環置換基を有する金属錯体、および有機エレクトロルミネッセンス素子の性能に対する影響が開示されているが、Z1およびZ2がいずれも特定の置換基である金属錯体、および素子の性能に対する影響が開示も教示もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許出願公開第20190280221A1号
【文献】欧州特許出願公開第3663308A1号
【非特許文献】
【0013】
【文献】Applied Physics Letters、1987、51(12):913~915
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述した問題の少なくとも一部を解決するために、式1Aの構造を有するLa配位子と、式1Bの構造を有するLb配位子とを含む一連の金属錯体を提供することを目的とする。前記金属錯体は、エレクトロルミネッセンス素子における発光材料として用いることができる。これらの新規な金属錯体は、より低い蒸着温度を有する。これらの新規な金属錯体は、エレクトロルミネッセンス素子に用いられることにより、素子の耐用年数を向上させ、半値全幅がより狭いなどのより良好な素子の性能を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施例によれば、M(L
a)
m(L
b)
n(L
c)
qの一般式を有する金属錯体であって、
L
a、L
bおよびL
cは、それぞれ金属Mと配位する第1、第2および第3配位子であり、且つL
a、L
b、L
cは、同一または異なってもよく、L
a、L
bおよびL
cは、結合して多座配位子を形成していてもよく、
金属Mは、相対原子質量が40超えの金属から選ばれ、
mは、1または2から選ばれ、nは、1または2から選ばれ、qは、0または1から選ばれ、m+n+qは、金属Mの酸化状態に等しく、mが2の場合、2つのL
aは、同一または異なり、nが2の場合、2つのL
bは、同一または異なり、
L
aは、出現毎に同一または異なって式1Aで表される構造を有し、L
bは、出現毎に同一または異なって式1Bで表される構造を有する、金属錯体が開示される。
【化10】
(環Cy1は、出現毎に同一または異なって環原子数5~6のヘテロ芳香族環から選ばれ、
環Cy2は、出現毎に同一または異なってベンゼン環、または環原子数5~6のヘテロ芳香族環から選ばれ、
Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
a、b、c、d、eは、出現毎に同一または異なって0または1から選ばれ、且つa、b、c、dのうちの少なくとも1つは、1から選ばれ、
Zは、出現毎に同一または異なってOまたはX=Xから選ばれ、
Xは、出現毎に同一または異なってNまたはCR’から選ばれ、
U
1~U
6は、出現毎に同一または異なってCR
uまたはNから選ばれ、
R’’は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換から選ばれ、
R’、R’’、R
uは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
「*」は、環Cy1または環Cy2との結合箇所を表し、
式1Aにおける隣り合う置換基R
uは、結合して環を形成していてもよく、
式1Bにおける隣り合う置換基R’、R’’は、結合して環を形成していてもよく、
R
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数4~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数4~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数4~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数4~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
R
2は、式2で表される構造を有し、
【化11】
R
2の炭素原子数が4以上であり、
R
3、R
4、R
5は、出現毎に同一または異なってハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
【化12】
は、式2と式1Aとの結合箇所を表し、
R
3、R
4、R
5のうちの2つの隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
L
cは、モノアニオン2座配位子である。)
【0016】
本発明の他の実施例によれば、陽極、陰極、および陽極と陰極との間に設けられた有機層を含むエレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層の少なくとも1層は、上記実施例に記載された金属錯体を含むエレクトロルミネッセンス素子がさらに開示される。
【0017】
本発明の他の実施例によれば、上記実施例に記載された金属錯体を含む化合物の組合せがさらに開示される。
【0018】
本発明は、式1Aの構造を有するLa配位子と、式1Bの構造を有するLb配位子とを含む一連の金属錯体を開示する。これらの新規な化合物は、より低い蒸着温度を有し、工業的過程で長時間にわたって大量の材料を加熱し蒸着する必要があるため、蒸着温度が低い場合、工業的過程におけるエネルギー消費を低減させることができるばかりでなく、素子の製造過程における材料の熱安定性の向上に寄与し、材料の工業的使用に寄与する。これらの金属錯体は、エレクトロルミネッセンス素子における発光材料として用いることができ、エレクトロルミネッセンス素子に用いられることにより、十分に優れた素子の性能を取得することができ、特に、素子の耐用年数の向上が予想外である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る金属錯体および化合物の組合せを含んでもよいエレクトロルミネッセンス装置の模式図である。
【
図2】本発明に係る金属錯体および化合物の組合せを含んでもよい他のエレクトロルミネッセンス装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
OLEDは、ガラス、プラスチック、および金属などの様々な基板で製造することができる。
図1は、有機発光装置100を例示的に制限せずに示している。図面に対して、必ずしも縮尺どおりに製作するわけではなく、図において、必要に応じて一部の層構造を省略してもよい。装置100には、基板101、陽極110、正孔注入層120、正孔輸送層130、電子ブロッキング層140、発光層150、正孔ブロッキング層160、電子輸送層170、電子注入層180および陰極190が含まれてもよい。装置100は、記載される層を順に堆積することにより製造されてもよい。各層の性質、機能および例示的な材料については、米国特許US7279704B2の第6~10欄においてより詳細に記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0021】
これらの層のそれぞれには、より多くの実例がある。例示的には、全文を援用するように組み込まれた米国特許第5844363号において、可撓性で透明な基板-陽極の組合せが開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、p型ドープの正孔輸送層の実例は50:1のモル比でF4-TCNQがドーピングされたm-MTDATAであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた、トンプソン(Thompson)らによる米国特許第6303238号において、ホスト材料の実例が開示されている。例えば、全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2003/0230980号において、n型ドープの電子輸送層の実例は1:1のモル比でLiがドーピングされたBPhenであることが開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第5703436号および第5707745号において、例えばMg:Agなどの金属薄層と、その上に被覆された、スパッタ堆積された透明な導電ITO層とを有する複合陰極を含む陰極の実例が開示されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許第6097147号および米国特許出願公開第2003/0230980号において、より詳細に、ブロッキング層の原理と使用が記載されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において注入層の実例が提供されている。全文を援用するように組み込まれた米国特許出願公開第2004/0174116号において、保護層が記載されている。
【0022】
非限定的な実施例により上述した分層構造が提供される。上述した各種の層を組み合わせることによってOLEDの機能が実現することができ、或いは、一部の層を完全に省略することができる。それは、明確に記載されていない他の層を含んでもよい。それぞれの層内に、最適な性能を実現するように、単一の材料または多種の材料の混合物を使用することができる。機能層はいずれも、複数なサブ層を含んでもよく、例えば、発光層は、所望の発光スペクトルを実現するように、2層の異なる発光材料を有してもよい。
【0023】
一実施例において、OLEDは、陰極と陽極との間に設けられた「有機層」を有すると記載されてもよい。当該有機層は、1つまたは複数の層を含んでもよい。
【0024】
OLEDにもカプセル化層が必要であり、
図2に示すように、有機発光装置200が例示的に制限せずに示されている。
図1との相違点は、水分および酸素などの外界からの有害物質を防止するように、陰極190上にカプセル化層102を含んでもよい。ガラス、または有機-無機混合層などのカプセル化機能を提供可能ないかなる材料も、カプセル化層として用いられてもよい。カプセル化層は、OLED素子の外部に、直接または間接的に配置されるべきである。多層薄膜カプセル化については、米国特許US7968146B2において記載されており、そのすべての内容を本明細書に援用する。
【0025】
本発明の実施例により製造される素子は、当該素子の1つまたは複数の電子部材モジュール(或いは、ユニット)を有する各種の消費製品に組み込まれてもよい。これらの消費製品は、例えば、フラットパネルディスプレイ、モニタ、医療用モニタ、テレビ、ビルボード、室内または室外用照明ランプおよび/または信号ランプ、ヘッドアップディスプレイ、全部または一部透明のディスプレイ、可撓性ディスプレイ、スマートフォン、フラットパネルコンピューター、フラットパネル携帯電話、ウェアラブル素子、スマートウォッチ、ラップトップコンピューター、デジタルカメラ、携帯型ビデオカメラ、ファインダー、マイクロディスプレイ、3-Dディスプレイ、車載ディスプレイおよびテールライトを含む。
【0026】
本明細書に記載される材料および構造は、上述にて列挙されている他の有機電子素子にも用いられてもよい。
【0027】
「頂部」とは、基板から最も遠く、「底部」とは、基板から最も近いことを意味する。第1層が第2層「上」に設けられていると記載されている場合、第1層が基板から相対的に遠いように設けられている。第1層が第2層「と」「接触する」ことを規定していない限り、第1層と第2層との間に他の層が存在してもよい。例示的には、陰極と陽極との間に各種の有機層が存在しても、依然として、陰極が陽極「上」に設けられていると記載されることができる。
【0028】
「溶液が処理可能である」とは、溶液または懸濁液の形態で液体媒体に溶解、分散または輸送可能であり、および/または液体媒体から堆積可能であることを意味する。
【0029】
配位子は、直接的に発射材料の感光性質を促成すると、「感光性」と呼ばれてもよいことが信じられている。配位子は、発射材料の感光性質を促成しないと、「補助性」と呼ばれてもよい。しかし、補助性の配位子は、感光性配位子の性質を変更することができることが信じられている。
【0030】
蛍光OLEDの内部量子効率(IQE)は、遅延蛍光の存在によって25%のスピン統計による制限を超えてもよいことが信じられている。遅延蛍光は、一般的に2つのタイプ、すなわちP型遅延蛍光およびE型遅延蛍光に分けられてもよい。P型遅延蛍光は、三重項-三重項消滅(TTA)により生成される。
【0031】
一方、E型遅延蛍光は、2つの三重項の衝突ではなく、三重項と一重項との励起状態の変換に依存する。E型遅延蛍光を生成可能な化合物は、エネルギー状態の変換を行うように、極めて小さい一重項-三重項ギャップを有することが必要である。熱エネルギーは、三重項から一重項までの遷移を活性化することができる。このようなタイプの遅延蛍光は、熱活性化遅延蛍光(TADF)とも呼ばれる。TADFの顕著な特徴は、遅延成分が温度の上昇と伴って向上することにある。リバースシステム(RISC)間の貫通(逆項間交差)の速度が十分に速いと、三重項からの非輻射減衰を最小化させ、バックフィルした一重項の励起状態の割合は75%に達することができる。一重項の合計割合は100%であってもよく、エレクトロによる励起子のスピン統計の25%をはるかに超えている。
【0032】
E型遅延蛍光の特徴は、励起複合物系または単一の化合物から見える。理論に限定されず、E型遅延蛍光は、発光材料が小さい一重項-三重項エネルギーギャップ(ΔES-T)を有する必要がある。有機非金属含有の供与体・受容体発光材料は、この点を実現する可能性がある。これらの材料の発射は、通常、供与体・受容体電荷遷移(CT)型発射であると特徴付けられる。これらの供与体・受容体型化合物において、HOMOとLUMOとの空間分離は、一般的に小さいΔES-Tを生成することになる。これらの状態は、CT状態を含んでもよい。通常、供与体・受容体発光材料は、電子供与体部分(例えば、アミン基またはカルバゾール誘導体)と電子受容体部分(例えば、N含有の六員芳香族環)を結合することにより構築される。
【0033】
置換基の専門用語の定義について
【0034】
ハロゲンまたはハロゲン化物とは、本明細書に用いられるように、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0035】
アルキル基とは、本明細書に用いられるように直鎖および分岐鎖のアルキル基を含む。アルキル基は、炭素原子数1~20のアルキル基であってもよく、炭素原子数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~6のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基の実例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、ネオペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-ペンチルヘキシル、1-ブチルペンチル、1-ヘプチルオクチル、および3-メチルペンチルを含む。そのうち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチルおよびn-ヘキサンであることが好ましい。また、アルキル基は、置換されていてもよい。
【0036】
シクロアルキル基とは、本明細書に用いられるように環状のアルキル基を含む。シクロアルキル基は、環炭素原子数3~20のシクロアルキル基であってもよく、炭素原子数4~10のシクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の実例は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ノルボルニル基、2-ノルボルニル基などを含む。そのうち、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、4,4-ジメチルシクロヘキシルであることが好ましい。また、シクロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0037】
ヘテロアルキル基とは、本明細書に用いられるように、アルキル鎖のうちの1つまたは複数の炭素が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、リン原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれるヘテロ原子で置換されてなる。ヘテロアルキル基は、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基であってもよく、炭素原子数1~10のヘテロアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~6のヘテロアルキル基であることがより好ましい。ヘテロアルキル基の実例は、メトキシメチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、エチルチオエチル基、メトキシメトキシメチル基、エトキシメトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、ジメチルアミノメチル基、トリメチルゲルマニウムメチル基、トリメチルゲルマニウムエチル基、トリメチルゲルマニウムイソプロピル基、ジメチルエチルゲルマニウムメチル基、ジメチルイソプロピルゲルマニウムメチル基、tert-ブチルジメチルゲルマニウムメチル基、トリエチルゲルマニウムメチル基、トリエチルゲルマニウムエチル基、トリイソプロピルゲルマニウムメチル基、トリイソプロピルゲルマニウムエチル基、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリメチルシリルイソプロピル基、トリメチルシリルイソプロピル基、トリイソプロピルシリルメチル基、トリイソプロオイルシリルエチル基。また、ヘテロアルキル基は、置換されていてもよい。
【0038】
アルケニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖、分岐鎖および環状オレフィン基を含む。鎖状のアルケニル基は、炭素原子数2~20のアルケニル基であってもよく、炭素原子数2~10のアルケニル基であることが好ましい。アルケニル基の例は、ビニル基、プロピレン基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、1-メチルビニル基、スチリル基、2,2-ジフェニルビニル基、1,2-ジフェニルビニル基、1-メチルアリル基、1,1-ジメチルアリル基、2-メチルアリル基、1-フェニルアリル基、2-フェニルアリル基、3-フェニルアリル基、3,3-ジフェニルアリル基、1,2-ジメチルアリル基、1-フェニル-1-ブテニル基、3-フェニル-1-ブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタトリエニル基、シクロオクテニル基、シクロオクタテトラエニル基およびノルボルニルアルケニル基を含む。また、アルケニル基は、置換されていてもよい。
【0039】
アルキニル基とは、本明細書に用いられるように、直鎖のアルキニル基を含む。アルキニル基は、炭素原子数2~20のアルキニル基であってもよく、炭素原子数2~10のアルキニル基であることが好ましい。アルキニル基の実例は、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3,3-ジメチル-1-ブチニル基、3-エチル-3-メチル-1-ペンチニル基、3,3-ジイソプロピル1-ペンチニル基、フェニルエチニル基、フェニルプロピニル基などを含む。そのうち、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、フェニルエチニル基であることが好ましい。また、アルキニル基は、置換されていてもよい。
【0040】
アリール基または芳香族基とは、本明細書に用いられるように、非縮合および縮合系を考慮する。アリール基は、炭素原子数6~30のアリール基であってもよく、炭素原子数6~20のアリール基であることが好ましく、炭素原子数6~12のアリール基であることがより好ましい。アリール基の例は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、テトラフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、およびアズレンを含み、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、トリフェニレン、フルオレンおよびナフタレンであることが好ましい。非縮合アリール基の例は、フェニル、ビフェニル-2-イル、ビフェニル-3-イル、ビフェニル-4-イル、p-ターフェニル-4-イル、p-ターフェニル-3-イル、p-トリビフェニル-2-イル、m-ターフェニル-4-イル、m-ターフェニル-3-イル、m-ターフェニル-2-イル、o-トリル、m-トリル、p-トリル、p-(2-フェニルプロピル)フェニル、4’-メチルビフェニル、4’’-tert-ブチル-p-ターフェニル-4-イル、o-クミル、m-クミル、p-クミル、2,3-キシリル、3,4-キシリル、2,5-ジメチルフェニル、メシチレンおよびm-テトラフェニルを含む。また、アリール基は、置換されていてもよい。
【0041】
複素環基または複素環とは、本明細書に用いられるように、非芳香族の環状基を考慮する。非芳香族複素環基は、環原子数3~20の飽和複素環基および環原子数3~20の不飽和非芳香族複素環基を含み、そのうちの少なくとも1つの環原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれ、非芳香族複素環基は、環原子数3~7のものであることが好ましく、窒素、酸素、ケイ素または硫黄などの少なくとも1つのヘテロ原子を含む。非芳香族複素環基の実例は、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソペンチル、ジオキサニル、アジリジニル、ジヒドロピロール、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、オキサシクロヘプタトリエニル、チアシクロヘプタトリエニル、アザシクロヘプタトリエニルおよびテトラヒドロシロールを含む。また、複素環基は、置換されていてもよい。
【0042】
ヘテロアリール基とは、本明細書に用いられるように、ヘテロ原子数1~5の非縮合および縮合ヘテロ芳香族基を含んでもよく、そのうちの少なくとも1つのヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、ケイ素原子、リン原子、ゲルマニウム原子およびホウ素原子からなる群から選ばれる。イソアリール基とは、ヘテロアリール基も指す。ヘテロアリール基は、炭素原子数3~30のヘテロアリール基であってもよく、炭素原子数3~20のヘテロアリール基であることが好ましく、炭素原子数3~12のヘテロアリール基であることがより好ましい。好適なヘテロアリール基は、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリドインドール、ピロロピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インデノアジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、ベンゾフランピリジン、フランジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノビピリジン、ベンゾセレノピリジン、およびセレンベンゾピリジンを含み、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、イミダゾール、ピリジン、トリアジン、ベンズイミダゾール、1,2-アザボラン、1,3-アザボラン、1,4-アザボラン、ボラゾールおよびそのアザ類似物を含むことが好ましい。また、ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。
【0043】
アルコキシ基とは、本明細書に用いられるように、-O-アルキル基、-O-シクロアルキル基、-O-ヘテロアルキル基または-O-複素環基で表される。アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基および複素環基の例および好ましい例は、上記例と同様である。アルコキシ基は、炭素原子数1~20のアルコキシ基であってもよく、炭素原子数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、メトキシプロピルオキシ、エトキシエチルオキシ、メトキシメチルオキシおよびエトキシメチルオキシを含む。また、アルコキシ基は、置換されていてもよい。
【0044】
アリールオキシ基とは、本明細書に用いられるように、-O-アリール基または-O-ヘテロアリール基で表される。アリール基およびヘテロアリール基の例および好ましい例は、上記例と同様である。アリールオキシ基は、炭素原子数6~30のアリールオキシ基であってもよく、炭素原子数6~20のアリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例は、フェノキシおよびビフェノキシを含む。また、アリールオキシ基は、置換されていてもよい。
【0045】
アラルキル基とは、本明細書に用いられるように、アリール基で置換されたアルキル基を含む。アラルキル基は、炭素原子数7~30のアラルキル基であってもよく、炭素原子数7~20のアラルキル基であることが好ましく、炭素原子数7~13のアラルキル基であることがより好ましい。アラルキル基の例は、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピル、2-フェニルイソプロピル、フェニル-tert-ブチル、α-ナフチルメチル、1-α-ナフチルエチル、2-α-ナフチルエチル、1-α-ナフチルイソプロピル、2-α-ナフチルイソプロピル、β-ナフチルメチル、1-β-ナフチル-エチル、2-β-ナフチル-エチル、1-β-ナフチルイソプロピル、2-β-ナフチルイソプロピル、p-メチルベンジル、m-メチルベンジル、o-メチルベンジル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、o-クロロベンジル、p-ブロモベンジル、m-ブロモベンジル、o-ブロモベンジル、p-ヨードベンジル、m-ヨードベンジル、o-ヨードベンジル、p-ヒドロキシベンジル、m-ヒドロキシベンジル、o-ヒドロキシベンジル、p-アミノベンジル、m-アミノベンジル、o-アミノベンジル、p-ニトロベンジル、m-ニトロベンジル、o-ニトロベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-ヒドロキシ-2-フェニルイソプロピルおよび1-クロロ-2-フェニルイソプロピルを含む。そのうち、ベンジル、p-シアノベンジル、m-シアノベンジル、o-シアノベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、1-フェニルイソプロピルおよび2-フェニルイソプロピルであることが好ましい。また、アラルキル基は、置換されていてもよい。
【0046】
アルキルシリル基とは、本明細書に用いられるように、アルキル基で置換されたシリル基を含む。アルキルシリル基は、炭素原子数3~20のアルキルシリル基であってもよく、炭素原子数3~10のアルキルシリル基であることが好ましい。アルキルシリル基の例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メチルジエチルシリル、エチルジメチルシリル、トリプロピルシリル、トリブチルシリル、トリイソプロピルシリル、メチルジイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、トリ-tert-ブチルシリコン、トリイソブチルシリル、ジメチル-tert-ブチルシリル、およびメチルジ-tert-ブチルシリルを含む。また、アルキルシリル基は、置換されていてもよい。
【0047】
アリールシリル基とは、本明細書に用いられるように、少なくとも1つのアリール基で置換されたシリル基を含む。アリールシリル基は、炭素原子数6~30のアリールシリル基であってもよく、炭素原子数8~20のアリールシリル基であることが好ましい。アリールシリル基の例は、トリフェニルシリル、フェニルジビフェニルシリル、ジフェニルビフェニルシリル、フェニルジエチルシリル、ジフェニルエチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジイソプロピルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフェニルイソブチルシリル、ジフェニル-tert-ブチルシリルを含む。また、アリールシリル基は、置換されていてもよい。
【0048】
アルキルゲルマニウム基とは、本明細書に用いられるように、アルキル基で置換されたゲルマニウム基を含む。アルキルゲルマニウム基は、炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基であってもよく、炭素原子数3~10のアルキルゲルマニウム基であることが好ましい。アルキルゲルマニウム基の例は、トリメチルゲルマニウム基、トリエチルゲルマニウム基、メチルジエチルゲルマニウム基、エチルジメチルゲルマニウム基、トリプロピルゲルマニウム基、トリブチルゲルマニウム基、トリイソプロピルゲルマニウム基、メチルジイソプロピルゲルマニウム基、ジメチルイソプロピルゲルマニウム基、トリ-tert-ブチルゲルマニウム基、トリイソブチルゲルマニウム基、ジメチル-tert-ブチルゲルマニウム基、メチルジ-tert-ブチルゲルマニウム基を含む。また、アルキルゲルマニウム基は、置換されていてもよい。
【0049】
アリールゲルマニウム基とは、本明細書に用いられるように、少なくとも1つのアリール基またはヘテロアリール基で置換されたゲルマニウム基を含む。アリールゲルマニウム基は、炭素原子数6~30のアリール基ゲルマニウム基であってもよく、炭素原子数8~20のアリールゲルマニウム基であることが好ましい。アリールゲルマニウム基の例は、トリフェニルゲルマニウム基、フェニルジビフェニルゲルマニウム基、ジフェニルビフェニルゲルマニウム基、フェニルジエチルゲルマニウム基、ジフェニルエチルゲルマニウム基、フェニルジメチルゲルマニウム基、ジフェニルメチルゲルマニウム基、フェニルジイソプロピルゲルマニウム基、ジフェニルイソプロピルゲルマニウム基、ジフェニルブチルゲルマニウム基、ジフェニルイソブチルゲルマニウム基、ジフェニル-tert-ブチルゲルマニウム基を含む。また、アリールゲルマニウム基は、置換されていてもよい。
【0050】
アザジベンゾフラン、アザジベンゾチオフェンなどにおける「アザ」とは、対応する芳香族フラグメントにおける1つまたは複数のC-H基が窒素原子に置換されることを指す。例えば、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリン、ジベンゾ[f,h]キノリン、および環系において2つ以上の窒素を有する他の類似物を含む。当業者であれば、上述したアザ誘導体の他の窒素類似物を容易に想到することができ、且つこれらの類似物は、すべて本明細書に記載される専門用語に含まれるものとして確定される。
【0051】
本発明において、特に断りのない限り、置換のアルキル基、置換のシクロアルキル基、置換のヘテロアルキル基、置換の複素環基、置換のアラルキル基、置換のアルコキシ基、置換のアリールオキシ基、置換のアルケニル基、置換のアルキニル基、置換のアリール基、置換のヘテロアリール基、置換のアルキルシリル基、置換のアリールシリル基、置換のアルキルゲルマニウム基、置換のアリールゲルマニウム基、置換のアミノ基、置換のアシル基、置換のカルボニル基、置換のカルボキシル基、置換のエステル基、置換のスルフィニル基、置換のスルホニル基、置換のホスフィノ基からなる群のうちのいずれかの用語を使用すると、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、ヘテロシクリル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、アルキニル、アリール基、ヘテロアリール基、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルキルゲルマニウム基、アリールゲルマニウム基、アミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、スルフィニル基、スルホニル基、およびホスフィノ基のうちのいずれか1つの基が、重水素、ハロゲン、非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、非置換の環原子数3~20の複素環基、非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、非置換の炭素原子数6~30のアリール基、非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基およびこれらの組合せから選ばれる1つまたは複数により置換され得ることを意味する。
【0052】
分子フラグメントについて、置換基または他の形態で他の部分に結合させると記載する場合、フラグメント(例えば、フェニル基、フェニレン基、ナフチル基、ジベンゾフラニル基)であるか否か、或いは、分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるか否かにより、その名称を確定することができることを理解すべきである。本明細書に用いられるように、置換基の指定、或いはフラグメントの結合の異なる形態は、均等であると認められている。
【0053】
本明細書で言及される化合物において、水素原子が重水素で一部または全部置換されてもよい。他の原子、例えば炭素および窒素も、それらの他の安定した同位体で置換されてもよい。素子の効率および安定性を向上させるために、化合物において他の安定した同位体の置換が好ましい可能性がある。
【0054】
本明細書で言及される化合物において、複数置換とは、二重置換を含む、最も多くの使用可能な置換に達するまでの範囲を指す。本明細書で言及される化合物中のある置換基は、複数置換(二重置換、三重置換、四重置換などを含む)を意味すると、その置換基はその結合構造上の複数の利用可能な置換位置に存在してもよいことを意味し、複数の利用可能な置換位置にいずれも存在する当該置換基は、同じ構造であってもよいし、異なる構造であってもよい。
【0055】
本明細書で言及される化合物において、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいように特に限定されない限り、前記化合物における隣り合う置換基は結合して環を形成することができない。本明細書で言及される化合物において、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいことは、隣り合う置換基が結合して環を形成してもよい情況を含むだけでなく、隣り合う置換基が結合して環を形成しない情況を含む。隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよい場合、形成される環は、単環または多環、および脂環、ヘテロ脂環、アリール環、またはヘテロアリール環であってもよい。このような記述において、隣り合う置換基は、同一の原子に結合された置換基、互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基、または更に離れた炭素原子に結合された置換基を指してもよい。好ましくは、隣り合う置換基は、同一の炭素原子に結合された置換基および互いに直接結合する炭素原子に結合された置換基を指す。
【0056】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、同一の炭素原子に結合された2つの置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【化13】
【0057】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【化14】
【0058】
隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、さらに離れる炭素原子に結合された2つの置換基が化学結合により互いに結合して環を形成することを意味すると認められ、下記式で例示することができる。
【化15】
【0059】
また、隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよいという記述も、互いに直接結合する炭素原子に結合された2つ置換基の一方が水素を表す場合に、第2置換基は水素原子が結合された位置に結合されて環を形成することを意味すると認められている。下記式で例示する。
【化16】
【0060】
本発明の一実施例によれば、M(L
a)
m(L
b)
n(L
c)
qの一般式を有する金属錯体であって、
L
a、L
bおよびL
cは、それぞれ金属Mと配位する第1、第2および第3配位子であり、且つL
a、L
b、L
cは、同一または異なり、L
a、L
bおよびL
cは、結合して多座配位子を形成していてもよく、
金属Mは、相対原子質量が40超えの金属から選ばれ、
mは、1または2から選ばれ、nは、1または2から選ばれ、qは、0または1から選ばれ、m+n+qは、金属Mの酸化状態に等しく、mが2の場合、2つのL
aは、同一または異なり、nが2の場合、2つのL
bは、同一または異なり、
L
aは、出現毎に同一または異なって式1Aで表される構造を有し、L
bは、出現毎に同一または異なって式1Bで表される構造を有する、金属錯体が開示される。
【化17】
(環Cy1は、出現毎に同一または異なって環原子数5~6のヘテロ芳香族環から選ばれ、
環Cy2は、出現毎に同一または異なってベンゼン環、または環原子数5~6のヘテロ芳香族環から選ばれ、
Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
a、b、c、d、eは、出現毎に同一または異なって0または1から選ばれ、且つa、b、c、dのうちの少なくとも1つは、1から選ばれ、
Zは、出現毎に同一または異なってOまたはX=Xから選ばれ、
Xは、出現毎に同一または異なってNまたはCR’から選ばれ、
U
1~U
6は、出現毎に同一または異なってCR
uまたはNから選ばれ、
R’’は、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換または無置換から選ばれ、
R’、R’’、R
uは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
「*」は、環Cy1または環Cy2との結合箇所を表し、
式1Aにおける隣り合う置換基R
uは、結合して環を形成していてもよく、
式1Bにおける隣り合う置換基R’、R’’は、結合して環を形成していてもよく、
R
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数4~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数4~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数4~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数4~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
R
2は、式2で表される構造を有し、
【化18】
R
2の炭素原子数が4以上であり、
R
3、R
4、R
5は、出現毎に同一または異なってハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
【化19】
は、式2と式1Aとの結合箇所を表し、
R
3、R
4、R
5のうちの2つの隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよく、
L
cは、モノアニオン2座配位子である。)
【0061】
本明細書において、「隣り合う置換基R’、R’’が結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基グループ、2つの隣り合う置換基R’、2つの隣り合う置換基R’’のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0062】
本明細書において、「隣り合う置換基Ruが結合して環を形成していてもよい」とは、U1~U6のうちの複数がCRuから選ばれる場合、そのうちのいずれか2つの隣り合う置換基Ruからなる群のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0063】
本明細書において、「R3、R4、R5のうちの2つの隣り合う置換基が結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基グループ、たとえば、置換基R3およびR4同士、置換基R4およびR5同士、置換基R3およびR5同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0064】
本明細書において、「a、b、c、d、eが出現毎に同一または異なって0または1から選ばれる」とは、a~eが0から選ばれる場合、対応する置換基または基が存在せず、a~eが1から選ばれる場合、対応する置換基または基が存在することを意味する。たとえば、aが0の場合、環Cy1においてAr置換基が存在せず、aが1の場合、環Cy1においてAr置換基が存在しなければならないことを意味する。同様に、他の情況は、これに基づき類推する。
【0065】
本明細書において、「Zが出現毎に同一または異なってOまたはX=Xから選ばれる」とは、
【化20】
が以下の2種の構造を有することを意味する。
【化21】
環Cy2における2つの「*」は、cが1の場合、環Cy2において少なくとも2つの隣り合うCが存在し、且つ
【化22】
とともに、
【化23】
のうちのいずれか1つの構造を形成してもよく、cが0の場合、環Cy2が
【化24】
と結合しないことを示す。
【0066】
本明細書において、「eが出現毎に同一または異なって0または1から選ばれる」とは、eが0または1の場合、
【化25】
がそれぞれ以下の構造を有する。
【化26】
環Cy1における2つの「*」は、dが1の場合、Cy1において少なくとも2つの隣り合うCが存在し、且つそれぞれ
【化27】
と結合して
【化28】
を形成し、dが0の場合、環Cy1が
【化29】
と結合しないことを示す。
【0067】
本発明の一実施例によれば、L
cは、出現毎に同一または異なって
【化30】
からなる群から選ばれるいずれか1種で表される構造である。
(R
a、R
bおよびR
cは、出現毎に同一または異なって一置換、複数置換、または無置換を表し、
X
bは、出現毎に同一または異なってO、S、Se、NR
N1、CR
C1R
C2からなる群から選ばれ、
R
a、R
b、R
c、R
N1、R
C1およびR
C2は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
a、R
b、R
c、R
N1、R
C1およびR
C2は、結合して環を形成していてもよい。)
【0068】
本明細書において、「隣り合う置換基Ra、Rb、Rc、RN1、RC1およびRC2が結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基グループ、たとえば、2つの置換基Ra同士、2つの置換基Rb同士、2つの置換基Rc同士、置換基RaおよびRb同士、置換基RaおよびRc同士、置換基RbおよびRc同士、置換基RaおよびRN1同士、置換基RbおよびRN1同士、置換基RaおよびRC1同士、置換基RaおよびRC2同士、置換基RbおよびRC1同士、置換基RbおよびRC2同士、ならびにRC1およびRC2同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0069】
本発明の一実施例によれば、環Cy1は、出現毎に同一または異なって
【化31】
からなる群から選ばれるいずれか1種の構造である。
(「#」は、金属Mとの結合箇所を表し、
【化32】
は、環Cy2との結合箇所を表す。)
【0070】
本発明の一実施例によれば、環Cy2は、出現毎に同一または異なって
【化33】
からなる群から選ばれるいずれか1種の構造である。
(「#」は、金属Mとの結合箇所を表し、
【化34】
は、環Cy1との結合箇所を表す。)
【0071】
本発明の一実施例によれば、L
bは、出現毎に同一または異なって式1Ba~1Bmのいずれか1つで表される構造を有する。
【化35】
(X
1~X
8は、出現毎に同一または異なってCR
xまたはNから選ばれ、
Y
1~Y
12は、出現毎に同一または異なってCR
yまたはNから選ばれ、
Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
R
x、R
yは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
x、R
yは、結合して環を形成していてもよい。)
【0072】
本明細書において、「隣り合う置換基Rx、Ryが結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基グループ、たとえば、2つの置換基Rx同士、2つの置換基Ry同士、置換基RxおよびRy同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成してもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0073】
本発明の一実施例によれば、Lbは、出現毎に同一または異なって1Ba~1Biのいずれか1つで表される構造を有する。
【0074】
本発明の一実施例によれば、Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~24のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~24のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0075】
本発明の一実施例によれば、Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~18のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~18のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0076】
本発明の一実施例によれば、Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~12のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~12のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0077】
本発明の一実施例によれば、Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換のフェニル基、置換または非置換のビフェニル基、置換または非置換のピリジン基、またはこれらの組合せから選ばれる。
【0078】
本発明の一実施例によれば、R1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数4~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数4~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数4~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数4~20のヘテロ環基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0079】
本発明の一実施例によれば、R1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数4~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数4~10のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0080】
本発明の一実施例によれば、R1は、式2で表される構造を有する。
【0081】
本発明の一実施例によれば、金属Mは、出現毎に同一または異なってCu、Ag、Au、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtからなる群から選ばれ。
【0082】
本発明の一実施例によれば、金属Mは、出現毎に同一または異なってPtまたはIrから選ばれる。
【0083】
本発明の一実施例によれば、 R3、R4、R5は、出現毎に同一または異なってハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基からなる群から選ばれる。
【0084】
本発明の一実施例によれば、R3、R4、R5は、出現毎に同一または異なってハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0085】
本発明の一実施例によれば、R3、R4、R5は、出現毎に同一または異なってハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~6のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~6のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0086】
本発明の一実施例によれば、式2で表される構造は、出現毎に同一または異なって
【化36】
のいずれか1種の構造を表し、
*は、式1Aとの結合箇所を表し、
好ましくは、上記構造における水素原子は、重水素原子で一部または全部置換されていてもよい。
【0087】
本発明の一実施例によれば、金属錯体は、一般式Ir(L
a)
m(L
b)
3-mで表される構造を有し、且つ、式3、式4または式5で表される。
【化37】
(mは、1または2から選ばれ、m=1の場合、2つのL
bは、同一または異なり、m=2の場合、2つのL
aは、同一または異なり、
X
3~X
8は、出現毎に同一または異なってCR
xまたはNから選ばれ、
Y
1~Y
8は、出現毎に同一または異なってCまたはCR
yまたはNから選ばれ、
U
1~U
6は、出現毎に同一または異なってCR
uまたはNから選ばれ、
Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
R
x、R
y、R
uは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
R
3、R
4、R
5は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基からなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
x、R
yは、結合して環を形成していてもよく、
R
3、R
4、R
5のうちの2つの隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよい。)
【0088】
本発明の一実施例によれば、金属錯体は、一般式Ir(L
a)
m(L
b)
3-mで表される構造を有し、且つ式6、式7、式8または式9で表される。
【化38】
(mは、1または2から選ばれ、m=1の場合、2つのL
bは、同一または異なり、m=2の場合、2つのL
aは、同一または異なり、
R
x、R
y、R
uは、出現毎に同一または異なっては、一置換、複数置換または無置換を表し、
Arは、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
R
x、R
y、R
uは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
R
3、R
4、R
5は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基からなる群から選ばれ、
隣り合う置換基R
x、R
yは、結合して環を形成していてもよく、
R
3、R
4、R
5のうちの2つの隣り合う置換基は、結合して環を形成していてもよい。)
【0089】
本発明の一実施例によれば、Rxは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0090】
本発明の一実施例によれば、Rxは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、シアノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0091】
本発明の一実施例によれば、X3~X8のうちの少なくとも1つは、CRxから選ばれ、且つ前記Rxは、シアノ基またはフッ素から選ばれる。
【0092】
本発明の一実施例によれば、X5~X8のうちの少なくとも1つは、CRxから選ばれ、且つ前記Rxは、シアノ基またはフッ素から選ばれる。
【0093】
本発明の一実施例によれば、X7またはX8は、CRxから選ばれ、且つ前記Rxは、シアノ基またはフッ素から選ばれる。
【0094】
本発明の一実施例によれば、X3~X8のうちの少なくとも2つは、CRxから選ばれ、且つそのうちの1つの前記Rxは、シアノ基またはフッ素から選ばれ、他の少なくとも1つの前記Rxは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0095】
本発明の一実施例によれば、X5~X8のうちの少なくとも2つは、CRxから選ばれ、且つそのうちの1つの前記Rxは、シアノ基またはフッ素から選ばれ、他の少なくとも1つの前記Rxは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0096】
本発明の一実施例によれば、X7およびX8は、CRxから選ばれ、且つそのうちの1つのRxは、シアノ基またはフッ素であり、他の1つのRxは、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0097】
本発明の一実施例によれば、U1~U6は、出現毎に同一または異なってCRuから選ばれる。
【0098】
本発明の一実施例によれば、X1~X8は、出現毎に同一または異なってCRxから選ばれる。
【0099】
本発明の一実施例によれば、X3~X8は、出現毎に同一または異なってCRxから選ばれる。
【0100】
本発明の一実施例によれば、Y1~Y4は、出現毎に同一または異なってCRyから選ばれる。
【0101】
本発明の一実施例によれば、Ruは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0102】
本発明の一実施例によれば、Ruは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~10のアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0103】
本発明の一実施例によれば、Ruは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0104】
本発明の一実施例によれば、Ryは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0105】
本発明の一実施例によれば、Ryは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数6~10のアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0106】
本発明の一実施例によれば、Ryは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0107】
本発明の一実施例によれば、R’およびR’’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0108】
本発明の一実施例によれば、R’およびR’’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数2~10のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数6~10のアリール基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0109】
本発明の一実施例によれば、R’およびR’’は、出現毎に同一または異なって水素、重水素、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素原子数2~10のアルケニル基、置換または非置換の環炭素原子数3~10のシクロアルキル基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる。
【0110】
本発明の一実施例によれば、U1~U3のうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、たとえば、U1~U3のうちの1つまたは2つは、Nから選ばれる。
【0111】
本発明の一実施例によれば、U4~U6のうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、たとえば、U4~U6のうちの1つまたは2つは、Nから選ばれる。
【0112】
本発明の一実施例によれば、Y1~Y4のうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、たとえば、Y1~Y4のうちの1つまたは2つは、Nから選ばれる。
【0113】
本発明の一実施例によれば、X3~X8のうちの少なくとも1つは、Nから選ばれ、たとえば、X3~X8のうちの1つまたは2つは、Nから選ばれる。
【0114】
本発明の一実施例によれば、Laは、出現毎に同一または異なってLa1-1~La1-231、La2-1~La2-161、La3-1~La3-130からなる群から選ばれる。そのうち、La1-1~La1-231、La2-1~La2-161、La3-1~La3-130の具体的な構造は、請求項17に示される。
【0115】
本発明の一実施例によれば、La1-1~La1-231、La2-1~La2-161、La3-1~La3-130における水素原子は、一部または全部重水素化されていてもよい。
【0116】
本発明の一実施例によれば、Lbは、出現毎に同一または異なってLb1-1~Lb1-355、Lb2-1~Lb2-261、Lb3-1~Lb3-650からなる群から選ばれる。そのうち、Lb1-1~Lb1-355、Lb2-1~Lb2-261、Lb3-1~Lb3-650の具体的な構造は、請求項18に示される。
【0117】
本発明の一実施例によれば、Lb1-1~Lb1-355、Lb2-1~Lb2-261、Lb3-1~Lb3-650における水素原子は、一部または全部重水素化されていてもよい。
【0118】
本発明の一実施例によれば、Lcは、出現毎に同一または異なってLc1~Lc360からなる群から選ばれる。そのうち、Lc1~Lc360の具体的な構造は、請求項19に示される。
【0119】
本発明の一実施例によれば、金属錯体は、Ir(La)2Lbの構造を有し、2つのLaは、同一または異なり、Laは、出現毎に同一または異なってLa1-1~La1-231、La2-1~La2-161、La3-1~La3-130からなる群から選ばれ、Lbは、Lb1-1~Lb1-355、Lb2-1~Lb2-261、Lb3-1~Lb3-650からなる群から選ばれる。
【0120】
本発明の一実施例によれば、金属錯体は、IrLa(Lb)2の構造を有し、2つのLbは、同一または異なり、Laは、La1-1~La1-231、La2-1~La2-161、La3-1~La3-130からなる群から選ばれ、Lbは、出現毎に同一または異なってLb1-1~Lb1-355、Lb2-1~Lb2-261、Lb3-1~Lb3-650からなる群から選ばれる。
【0121】
本発明の一実施例によれば、金属錯体は、Ir(La)(Lb)(Lc)の構造を有し、Laは、La1-1~La1-231、La2-1~La2-161、La3-1~La3-130からなる群から選ばれ、Lbは、Lb1-1~Lb1-355、Lb2-1~Lb2-261、Lb3-1~Lb3-650からなる群から選ばれ、Lcは、Lc1~Lc360からなる群から選ばれる。
【0122】
本発明の一実施例によれば、金属錯体は、金属錯体1~金属錯体2128からなる群から選ばれる。そのうち、金属錯体1~金属錯体2128の具体的な構造は、請求項20に示される。
【0123】
本発明の一実施例によれば、陽極、陰極、および陽極と陰極との間に設けられた有機層を含むエレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機層の少なくとも1層は、上述したいずれか1つの実施例に記載された金属錯体を含むエレクトロルミネッセンス素子がさらに開示される。
【0124】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子において、前記金属錯体を含む前記有機層は、発光層である。
【0125】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子は、緑色光を放射する。
【0126】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子は、白色光を放射する。
【0127】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子における前記発光層には、第1ホスト化合物が含まれる。
【0128】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子における前記発光層には、第1ホスト化合物および第2ホスト化合物が含まれる。
【0129】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子において、前記第1ホスト化合物および/または第2ホスト化合物は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、カルバゾール、アザカルバゾール、インドロカルバゾリル、ジベンゾチオフェン、アザジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、アザジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、フルオレニル、シリコンフルオレン、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナントレン、アザフェナントレン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1種の化学基を含む。
【0130】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子において、第1ホスト化合物は、式Xで表される構造を有する。
【化39】
(L
xは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Vは、出現毎に同一または異なってC、CR
vまたはNから選ばれ、且つVのうちの少なくとも1つは、Cであり、L
xに結合し、
Tは、出現毎に同一または異なってC、CR
tまたはNから選ばれ、且つTのうちの少なくとも1つは、Cであり、L
xに結合し、
R
vおよびR
tは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Ar
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R
vおよびR
tは、結合して環を形成していてもよい。)
【0131】
該実施例において、「隣り合う置換基RvおよびRtが結合して環を形成していてもよい」とは、隣り合う置換基グループ、たとえば、2つの置換基Rv同士、2つの置換基Rt同士、置換基RvおよびRt同士のうちのいずれか1つまたは複数が結合して環を形成していてもよいことを意味する。明らかには、これらの置換基同士がいずれも結合して環を形成しなくてもよい。
【0132】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子において、第1ホスト化合物は、式X-a~式X-jのうちの1つで表される構造を有する。
【化40】
(L
xは、出現毎に同一または異なって単結合、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキレン基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリーレン基、置換または非置換の炭素原子数3~20のヘテロアリーレン基、またはこれらの組合せから選ばれ、
Vは、出現毎に同一または異なってCR
vまたはNから選ばれ、
Tは、出現毎に同一または異なってCR
tまたはNから選ばれ、
R
vおよびR
tは、出現毎に同一または異なって水素、重水素、ハロゲン、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換または非置換の環炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、置換または非置換の環原子数3~20のヘテロ環基、置換または非置換の炭素原子数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換または非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールシリル基、置換または非置換の炭素原子数3~20のアルキルゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数6~20のアリールゲルマニウム基、置換または非置換の炭素原子数0~20のアミノ基、アシル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、イソシアノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、スルフィニル基、スルホニル基、ホスフィノ基、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、
Ar
1は、出現毎に同一または異なって置換または非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素原子数3~30のヘテロアリール基、またはこれらの組合せから選ばれ、
隣り合う置換基R
vおよびR
tは、結合して環を形成していてもよい。)
【0133】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子において、金属錯体が前記第1ホスト化合物および第2ホスト化合物にドーピングされる場合、金属錯体の重量が発光層の総重量に対して1%~30%である。
【0134】
本発明の一実施例によれば、前記エレクトロルミネッセンス素子において、金属錯体が前記第1ホスト化合物および第2ホスト化合物にドーピングされる場合、金属錯体の重量が発光層の総重量に対して3%~13%である。
【0135】
本発明の他の実施例によれば、上述したいずれか1つの実施例に記載された金属錯体を含む、化合物の組合せが開示される。
【0136】
他の材料との組合せ
【0137】
本発明に記載される有機発光素子に用いられる特定層の材料は、素子に存在する各種の他の材料と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せについて、米国特許出願US2016/0359122A1の第0132~0161段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0138】
本明細書において、有機発光素子に用いられる具体的な層の材料は、前記素子に存在する多種の他の材料と組み合わせて使用することができると記載されている。例示的には、本明細書において開示される発光ドーパントは、多種のホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極および他の存在可能な層と組み合わせて使用することができる。これらの材料の組合せは、特許出願US2015/0349273A1の第0080~0101段落において詳細に記載されており、その内容を全て本明細書に援用する。記載または言及された材料は、本明細書に開示される化合物と組み合わせて使用可能な材料の非限定的な実例であり、且つ当業者にとっては、文献を容易に参照して組み合わせて使用可能な他の材料を識別することができる。
【0139】
材料合成の実施例において、説明しない限り、すべての反応が窒素の保護で行われる。すべての反応溶剤は、無水であり、且つ市販品由来のまま使用される。合成される生成物に対して、本分野通常の1種または多種の機器(Bruker製の核磁気共鳴装置、Shimadzu製の液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/質量分析計、気体クロマトグラフィー/質量分析計、示差熱走査熱量装置、上海稜光技術製の蛍光分光光度計、武漢科思特製の電気化学作業ステーション、安徽貝意克製の昇華装置などを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法で構造確認と特性テストを行った。素子の実施例において、素子の特性に対しても、本分野通常の機器(Angstrom Engineering製の蒸着機、蘇州弗士達製の光学テストシステム、耐用年数テストシステム、北京量拓製のエリプソメーターなどを含むがそれに限定されず)を用いて、当業者にとって熟知の方法でテストを行った。当業者は上述した機器の使用、テスト方法などの関連内容を知っているので、サンプルの固有データを確実に、影響を受けずに取得することができるため、上記関連内容を本明細書において繰り返し説明はしない。
【実施例】
【0140】
【0141】
250mLの乾燥した丸底フラスコに、順に中間体1(2.9g、3.1mmol)、中間体2(1.5g、4.3mmol)、2-エトキシエタノール(30mL)およびDMF(30mL)を添加した。N2の保護下で、90℃で144h加熱しながら反応させた。反応が冷却した後、珪藻土で濾過した。ジクロロメタンで2回洗浄し、有機相を回収し、減圧し、濃縮させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である金属錯体43(2.0g、1.9mmol、収率60%)を得た。該生成物は、分子量が1070.4の目標生成物として確認された。
【0142】
【0143】
250mLの乾燥した丸底フラスコに、順に中間体3(1.1g、2.5mmol)、中間体1(1.7g、1.8mmol)、2-エトキシエタノール(30mL)およびDMF(30mL)を添加した。N2の保護下で、100℃で120h加熱しながら反応させた。反応が冷却した後、珪藻土で濾過した。ジクロロメタンで2回洗浄し、有機相を回収し、減圧し、濃縮させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である金属錯体91(0.95g、0.8mmol、収率46%)を得た。該生成物は、分子量が1146.5の目標生成物として確認された。
【0144】
【0145】
250mLの乾燥した丸底フラスコに、順に中間体5(0.75g、1.8mmol)、中間体1(0.9g、0.95mmol)、2-エトキシエタノール(30mL)およびDMF(30mL)を添加した。N2の保護下で、100℃で120h加熱しながら反応させた。反応が冷却した後、珪藻土で濾過した。ジクロロメタンで2回洗浄し、有機相を回収し、減圧し、濃縮させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である金属錯体227(0.34g、0.2mmol、収率31%)を得た。該生成物は、分子量が1139.5の目標生成物として確認された。
【0146】
【0147】
250mLの乾燥した丸底フラスコに、順に中間体6(0.45g、0.14mmol)、中間体1(0.88g、0.94mmol)およびエタノール(60mL)を添加した。N2の保護下で、加熱還流しながら48h反応させた。反応が冷却した後、珪藻土で濾過した。メタノール、n-ヘキサンでそれぞれ2回洗浄した。珪藻土の上方における黄色固体をジクロロメタンで溶解させ、有機相を回収し、減圧し、濃縮させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である金属錯体275(0.13g、0.1mmol、収率13.2%)を得た。該生成物は、分子量が目標生成物として確認された1045.4。
【0148】
【0149】
250mLの乾燥した丸底フラスコに、順に中間体4(1.0g、4.3mmol)、中間体1(3.1g、3.3mmol)、2-エトキシエタノール(30mL)およびDMF(30mL)を添加した。N2の保護下で、加熱還流しながら120h反応させた。反応が冷却した後、珪藻土で濾過した。メタノール、n-ヘキサンでそれぞれ2回洗浄した。珪藻土の上方における黄色固体をジクロロメタンで溶解させ、有機相を回収し、減圧し、濃縮させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である金属錯体297(0.41g、0.43mmol、収率13%)を得た。該生成物は、分子量が955.4の目標生成物として確認された。
【0150】
当業者であれば、上記調製方法は、例示的なものに過ぎず、それを改良することによって本発明の他の化合物の構造を取得することができることを知るべきである。
【0151】
素子の実施例1
まず、厚みが80nmのインジウムスズ酸化物(ITO)陽極を有するガラス基板を洗浄した後、酸素プラズマおよびUVオゾンで処理した。処理した後、基板をグローブボックスで乾燥させて水を除去した。その後、基板を基板ホルダ上に取り付けて真空室に置いた。以下、指定された有機層に対して、真空度が約10-8トルの場合、0.2~2オングストローム/秒の速度でホット真空蒸着によって順にITO陽極上に蒸着を行った。化合物HIを正孔注入層(HIL)として用いた。化合物HTを正孔輸送層(HTL)として用いた。化合物H1を電子ブロッキング層(EBL)として用いた。そして、本発明に係る金属錯体43をドーパントとして化合物H1および化合物H2と共蒸着して発光層(EML)として用いた。EML上において、化合物HBを正孔ブロッキング層(HBL)として用いた。HBL上において、化合物ETおよび8-ヒドロキシキノリン-リチウム(Liq)を電子輸送層(ETL)として共蒸着した。最後に、厚み1nmの8-ヒドロキシキノリン-リチウム(Liq)を電子注入層として蒸着するとともに、120nmのアルミニウムを陰極として蒸着した。そして、該素子をグローブボックスに転移させ、ガラスカバーを用いてカプセル化して該素子を完成させた。
【0152】
素子の比較例1
素子の比較例1の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD1で本発明における金属錯体43を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0153】
素子の比較例2
素子の比較例2の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD2で本発明における金属錯体43を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0154】
詳細な素子の層構造および厚みを、以下の表に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0155】
【0156】
素子に用いられる材料の構造は、以下のように表される。
【化46】
【0157】
素子のIVL特性を測定した。1000cd/m2で、素子のCIEデータ、最大放射波長λmax、電流効率(CE)および外部量子効率(EQE)を測定した。材料の蒸着温度(TSub)は、真空度が約10-8トルの場合、0.2オングストローム/秒の速度でホット真空によって金属錯体を蒸着する時に測定したものである。耐用年数(LT97)のデータは、80mA/cm2の定電流下で測定された。これらのデータは、表2に記録されて示される。
【0158】
【0159】
表2のデータから分かるように、実施例1、比較例1および比較例2に用いられた金属錯体、いずれも同一のLb配位子を有した。実施例1および比較例1における金属錯体を比較すると、相違点は、La配位子の6員ヘテロ芳香族環の特定の位置上において炭素原子数4以上の置換基を存在するか否かのみである。実施例1および比較例2における金属錯体を比較すると、La配位子の芳香族環の特定の位置上において式2で表される構造を有する置換基が存在するか否かのみである。実施例1におけるCEおよびEQEは、いずれも比較例1および比較例2よりも優れている。また、特に明らかには、実施例1における耐用年数は、比較例1および比較例2に対して、向上幅がそれぞれ172%および40.3%に達した。これは、当業者にとって予想外のものであり、本発明に係る技術案を使用することにより、性能がより優れた素子を取得できることを証明した。それと同時に、実施例1は、比較例1および比較例2に対して、予想外のより低い蒸着温度を有した。蒸着温度が低いことは、本発明に係る錯体が素子の製造過程でより高い熱安定性を備え、材料の工業的使用に寄与しながら、工業的過程におけるエネルギー消費を低減できることを証明した。
【0160】
素子の実施例2
素子の実施例2の実施形態は、発光層(EML)において金属錯体91で本発明における金属錯体43を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0161】
素子の比較例3
素子の比較例3の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD3で本発明における金属錯体43を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0162】
素子の比較例4
素子の比較例4の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD4で本発明における金属錯体43を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0163】
素子の比較例5
素子の比較例5の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD5で本発明における金属錯体43を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0164】
詳細な素子の層構造および厚みを、以下の表に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0165】
【0166】
素子に新たに用いられる材料の構造は、以下のように表される。
【化47】
【0167】
素子のIVL特性を測定した。15mA/cm2で、素子のCIEデータ、最大放射波長λmax、半値全幅(FWHM)、電流効率(CE)および外部量子効率(EQE)を測定した。材料の蒸着温度(TSub)は、真空度が約10-8トルの場合、0.2オングストローム/秒の速度でホット真空によって金属錯体を蒸着する時に測定したものである。耐用年数(LT97)のデータは、80mA/cm2の定電流下で測定された。これらのデータは、表4に記録されて示される。
【0168】
【0169】
表4のデータから分かるように、実施例2、比較例3~比較例5において用いられた金属錯体は、いずれも同一のLb配位子を有した。それらの相違点は、La配位子における特定の位置での置換基が異なるのみである。実施例2は、比較例3~比較例5に対して、いずれも高いEQEレベルに達した場合、耐用年数が極めて大きく向上し、それぞれ44.4%、78%および86.7%向上した。これは、当業者にとって予想外のものである。より狭い半値全幅を有し、半値全幅は、それぞれ2.3nm、5.5nmおよび2.4nm狭くなった。それと同時に、実施例2は、より低い蒸着温度を有し、蒸着温度が予想外にそれぞれ17℃、7℃および35℃低下した。これは、本発明に係る技術案を使用することにより、性能がより優れた素子を取得しながら、本発明に係る錯体が素子の製造過程でより高い熱安定性を備え、材料の工業的使用により寄与しており、工業的過程におけるエネルギー消費を低減できることをさらに証明した。
【0170】
素子の実施例3
素子の実施例3の実施形態は、発光層(EML)において金属錯体275で本発明における金属錯体43を代替し、発光層における化合物H1:化合物H2:金属錯体275=47:47:6である以外、素子の実施例1と同様である。
【0171】
素子の実施例4
素子の実施例4の実施形態は、発光層(EML)において金属錯体227で本発明における金属錯体43を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0172】
素子の比較例6
素子の比較例6の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD6で本発明における金属錯体275を代替する以外、素子の実施例3と同様である。
【0173】
素子の比較例7
素子の比較例7の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD7で本発明における金属錯体43を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0174】
素子の比較例8
素子の比較例8の実施形態は、発光層(EML)において化合物GD8で本発明における金属錯体43を代替する以外、素子の実施例1と同様である。
【0175】
詳細な素子の層構造および厚みを、以下の表に示す。用いられる材料が1種超えの層は、前記重量比で異なる化合物をドーピングすることにより得られる。
【0176】
【0177】
素子に新たに用いられる材料の構造は、以下のように表される。
【化48】
【0178】
素子のIVL特性を測定した。10mA/cm2で、素子のCIEデータ、最大放射波長λmax、半値全幅(FWHM)、電流効率(CE)および外部量子効率(EQE)を測定した。材料の蒸着温度(TSub)は、真空度が約10-8トルの場合、0.2オングストローム/秒の速度でホット真空によって金属錯体を蒸着する時に測定したものである。これらのデータは、表6に記録されて示される。
【0179】
【0180】
表6のデータから分かるように、実施例3および比較例6において用いられた金属錯体は、いずれも同一のLb配位子を有した。それらの相違点は、La配位子における特定の位置に式2で表される置換基を有するか否かのみである。実施例3は、比較例6に対して、CEおよびEQEがそれぞれ3.7%および4.0%向上した。それと同時に、実施例3は、比較例6に対して、蒸着温度が9℃低下した。
【0181】
同様に、実施例4と比較例7および比較例8との相違点は、La配位子における特定の位置に式2で表される置換基を有するか否かのみである。実施例4は、比較例7に対して、CEおよびEQEがそれぞれ4.4%および4.6%向上した。実施例4は、比較例8に対して、CEおよびEQEがそれぞれ8.0%および8.8%向上した。比較例7および比較例8が優れた性能を既に有した場合、実施例4は、それらに対して、性能が非常にありがたいである。それと同時に、実施例4は、比較例7および8に対して、より低い蒸着温度を有し、蒸着温度がそれぞれ13℃および44℃低下した。
【0182】
以上の結果から分かるように、本発明における金属錯体が用いられた素子は、より優れた素子の性能を取得しながら、本発明における金属錯体が素子の製造過程でより高い熱安定性を備え、材料の工業的使用により寄与しており、工業的過程におけるエネルギー消費を低減できることが証明されている。
【0183】
要するに、式1AのLa配位子と式1BのLb配位子を同時に有する本願に係る金属錯体は、十分に優れた素子の性能を取得することができ、特に素子の耐用年数の大幅な向上が予想外である。それと同時に、さらに蒸着温度を予想外に低減させることができることで、本発明における錯体が素子の製造過程でより高い熱安定性を備え、材料の工業的使用により寄与しており、工業的過程におけるエネルギー消費を低減させることができる。
【0184】
ここで記載される各種の実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するためのものではないことを理解すべきである。そのため、当業者にとって、保護しようとする本発明は、本明細書に記載される具体的な実施例および好ましい実施例の変形を含むことが自明である。本発明の構想を逸脱しない前提で、本明細書に記載される材料および構造の多くは、他の材料および構造で代替することができる。本発明がなぜ機能するかについての様々な理論は、限定的ではないことを理解すべきである。