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特許7522480ヒト化4-1BBモノクローナル抗体及びその医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ヒト化4-1BBモノクローナル抗体及びその医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240718BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20240718BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240718BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
C07K16/28
C07K16/46
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K45/00
A61K38/20
A61K33/243
A61P35/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P31/12
A61P3/10
A61P1/04
A61P13/12
A61P1/16
A61P7/06
A61P9/10 101
A61P37/08
A61P11/02
A61P9/00
A61P15/00
A61P21/04
A61P19/02
A61P17/00
A61P37/06
A61P27/02
A61P31/14
A61P31/20
A61P11/00
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/13 ZNA
C12P21/08
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022528580
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 CN2020128615
(87)【国際公開番号】W WO2021098597
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】201911133718.7
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522192218
【氏名又は名称】非同(成都)生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SOUND BIOPHARMACEUTICALS CO. LTD.
【住所又は居所原語表記】Unit 1, 601, Building 5, Huigu Dong 2nd Road 8, Shuangliu District, Chengdu, Sichuan 610216, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】李 慶
(72)【発明者】
【氏名】馬 梵辛
(72)【発明者】
【氏名】王 忠
【審査官】中野 あい
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2000/029445(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/072870(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/141268(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントであって、前記ヒト化4-1BBモノクローナル抗体の重鎖可変領域は配列番号9又は配列番号10に示されるアミノ酸配列に含まれる重鎖可変領域であり、軽鎖可変領域は配列番号11に示されるアミノ酸配列に含まれる軽鎖可変領域である、ヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
前記ヒト化4-1BBモノクローナル抗体の重鎖は配列番号12又は配列番号13に示されるアミノ酸配列であり、軽鎖は配列番号14に示されるアミノ酸配列である、請求項1に記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記抗原結合フラグメントは、ヒト化4-1BBモノクローナル抗体のscFv、(scFv)、Fab、Fab’およびF(ab’)から選ばれる、請求項1に記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと、第2抗がん剤とを含む医薬組成物。
【請求項6】
前記第2抗がん剤は、PD-1抗体、CTLA-4抗体、GM-CSF、CD40抗体、シスプラチン、シクロホスファミド、サイトカイン誘導キラー細胞、IL-2から選ばれるいずれかである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
がん、自己免疫疾患、炎症性疾患又はウイルス感染症を治療するための、請求項4~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記がんは、食道がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮内膜がん、骨肉腫、前立腺がん、神経芽細胞腫から選ばれる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記自己免疫疾患は、グレーブス病、多発性硬化症、自己免疫性肝疾患、原発性副腎皮質低下症、慢性甲状腺炎、1型糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、クローン病、アトピー性皮膚炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血、重力筋無力症、脱髄性疾患、湿疹、移植片対宿主病、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、慢性腎炎、強直性脊椎炎、慢性活動性肝炎、萎縮性胃炎、自己免疫性糸球体腎炎、抗糸球体基底膜腎炎、特発性血小板減少性紫斑病、特発性白血球減少症、慢性甲状腺炎、悪性貧血、慢性潰瘍性大腸炎から選ばれる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記炎症性疾患は、関節炎、筋腱炎、動脈硬化症、リウマチ性多発筋痛症、滑液包炎、嚢胞性線維症、骨関節炎、巨細胞性動脈炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、天疱瘡、類天疱瘡、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、炎症性皮膚疾患、アスベスト症、珪肺、塵肺、サルコイドーシス、外因性アレルギー性肺胞炎、肝炎、遅延型アレルギー、肺炎、気道炎症、急性呼吸窮迫症候群、脳炎、即時型アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー、急性アレルギー反応、リウマチ熱、膀胱炎、慢性胆嚢炎、同種移植片拒絶反応、宿主対移植片拒絶反応、虫垂炎、動脈炎、細気管支炎、気管支炎、子宮頸管炎、胆管炎、絨毛膜羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、流行性耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、精巣炎、扁桃炎、尿道炎、ブドウ膜炎、膣炎、外陰炎、閉塞性血栓血管炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、心・血管炎症から選ばれる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記ウイルス感染症に関連する疾患は、網膜炎、腸炎、伝染性単核球症、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、鼻咽頭がん、後天性免疫不全症候群、上気道感染症、下気道感染症、心筋炎、脳炎、デング出血熱及デングショック症候群、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、歯肉口内炎、角結膜炎、皮膚丘疹、流行性耳下腺炎、ポリオ、狂犬病、風疹、水痘から選ばれる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか1項に記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするヌクレオチド。
【請求項13】
請求項12に記載のヌクレオチドを含むベクター。
【請求項14】
請求項13に記載のベクターを含む非ヒト宿主細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト化4-1BBモノクローナル抗体、その抗原結合フラグメント、その医薬組成物及び医学的用途に関する。
【背景技術】
【0002】
4-1BB(別称CD137、TNFRSF9)は、TNFRスーパーファミリーに属し、分子量が50~55kDaであり、T細胞、NK細胞、NKT細胞、樹状細胞(DC)、制御性T細胞(Treg)、PDCA B細胞に発現される。4-1BBはAPC細胞に発現される高親和性リガンド4-1BBLと結合することによって、T細胞の増殖を促進し、サイトカインの産生を増強し、活性化誘導細胞死(AICD)を防ぐ。
【0003】
アゴニスティック抗4-1BBモノクローナル抗体(mAb)は、様々な自己免疫疾患やウイルス感染症に有意な阻害効果を示す。4-1BBが関節リウマチ(RA)の病因に重要な役割を果たすことが多くの研究から判明されている。RA患者では、可溶性4-1BBと4-1BBLのレベルがいずれも健常者より高く、しかも両方のレベルが疾患の重症度に関係している。抗4-1BB抗体で治療した関節炎マウスにおいては、CD11cマーカーを共発現するCD8 T細胞の亜集団が多く出現している。当該CD11cCD8 T細胞は関節炎の症状緩和の要因であると判明した。更なる研究により、4-1BB抗体によって誘導されたCD11cCD8 T細胞が高レベルのIFN-γを発現することが判明された。実験的自己免疫性ブドウ膜網膜炎(EAU)は、視力障害ひいては失明につながる可能性がある目の血管層の炎症性疾患である。4-1BB抗体をEAUインデューサー(IRBP)と同時投与する場合にCD11cCD8IFN-γ T細胞とIDODCが大量に増幅され、両方が病原性CD4 T細胞を阻害することが研究により判明された。さらに、4-1BB抗体は、多発性硬化症(MS)、1型糖尿病(T1D)、狼瘡など他の自己免疫疾患を治療するためにも用いられる。また研究により、4-1BB抗体は、HSV-1、日本脳炎ウイルス(JEV)、牛痘ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)などの特定のウイルス感染を妨害し得ることも判明されている。
【0004】
4-1BB抗体の生体内抗腫瘍効果は1997年にMeleroらにより最初に発見され、抗4-1BB抗体がマウスの体内における低免疫原性肉腫と高免疫原性肥満細胞腫の増殖を阻害している。その後、研究者らが、4-1BB抗体が単独で又は他の抗腫瘍薬と併用する場合に強力な抗腫瘍効果を発揮できることを判明していた。4-1BB抗体をSCID腫瘍マウスに注射すると、腫瘍の成長が有意に阻害された。4-1BB抗体で肉腫細胞又は神経膠腫細胞を有しているマウスを処理すると、マウスの生存期間が延ばされ且つT細胞依存的な腫瘍退縮が認められた。さらに、内皮腫瘍、腎細胞腫瘍、肺がんでも4-1BB抗体は治療効果を示している。多くの研究から、4-1BB抗体を他の抗がん剤と組み合わせて使用する場合に、より優れた効果があることが示された。例えば、4-1BB抗体/PD-1抗体の組み合わせ、4-1BB抗体/CTLA-4抗体の組み合わせ、4-1BB抗体/GM-CSFの組み合わせ、4-1BB抗体/CD40抗体の組み合わせ、シスプラチン/4-1BB抗体の組み合わせ、シクロホスファミド/4-1BB抗体の組み合わせ、4-1BB抗体/サイトカイン誘導キラー細胞の組み合わせ、4-1BB抗体/CD4 T細胞枯渇の組み合わせ、IL-2/4-1BB抗体の組み合わせなどである。他の抗がん剤と組み合わせて使用される場合に4-1BB抗体が媒介する抗腫瘍効果が増幅され、これはがんの治療に新たな方向性を示している。4-1BB抗体のバリアント、例えば4-1BB抗体のScFvも有意な抗腫瘍効果を有し、腫瘍内に抗4-1BB ScFvを注射するとHepa1-6腫瘍が阻害され、このような抗腫瘍効果はIFN-γの増加と腫瘍へのT細胞の浸潤増加からもたらされる。
【0005】
しかし、今は4-1BB抗体がまだ市販されておらず、多くの臨床試験が失敗に終わり、生体内効果が不十分で失敗の主な原因は重篤な副作用(肝毒性、血小板減少症、白血球減少症など)であった。今臨床試験中の4-1BBモノクローナル抗体は、ブリストル・マイヤーズスクイブの完全ヒト化のウレルマブ(Urelumab)と、ファイザーのPF2566の2つしかない。そのために、市場のニーズを満たすためにはより多くの4-1BB抗体を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記モノクローナル抗体は、(1)重鎖相補性決定領域CDR1、CDR2、CDR3であって、前記CDR1は配列番号1又は配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR2は配列番号2又は配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR3は配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域と、(2)軽鎖相補性決定領域CDR1’、CDR2’、CDR3’であって、前記CDR1’は配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR2’は配列番号7に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR3’は配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域とを含む。
【0007】
本発明の別の態様は、ヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記モノクローナル抗体は重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含み、重鎖可変領域は配列番号9又は配列番号10に示されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む。
【0008】
本発明の別の態様は、さらに、ヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、前記モノクローナル抗体は重鎖と軽鎖とを含み、重鎖は配列番号12又は配列番号13に示されるアミノ酸配列を含み、軽鎖は配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0009】
本発明の別の態様は、さらに、本発明に記載のヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明の別の態様は、さらに、本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを含んで独立して存在する第1製剤と、抗がん活性を有して独立して存在する第2製剤とを含む医薬キットを提供する。前記第2製剤は、例えば、PD-1抗体、CTLA-4抗体、GM-CSF、CD40抗体、シスプラチン、シクロホスファミド、サイトカイン誘導キラー細胞、IL-2などである。
【0011】
本発明の別の態様は、さらに、がん、自己免疫疾患、炎症性疾患又はウイルス感染症を治療するための薬物の製造における本発明に記載のヒト4-1BBと結合するヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0012】
本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントは、例えば、がん、自己免疫疾患、炎症性疾患又はウイルス感染症を治療するために用いられるなど、幅広い医学的用途を有する。本発明の一態様において、対象におけるがんの治療方法を提供し、前記方法は本発明に記載のヒト4-1BBと結合するヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントの治療有効量を前記対象に投与することを含む。本発明の別の態様において、自己免疫疾患の治療方法を提供し、前記方法は本発明に記載のヒト4-1BBと結合するヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントの治療有効量を前記対象に投与することを含む。本発明の別の態様において、炎症性疾患の治療方法を提供し、前記方法は本発明に記載のヒト4-1BBと結合するヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントの治療有効量を前記対象に投与することを含む。本発明の別の態様において、ウイルス感染症の治療方法を提供し、前記方法は本発明に記載のヒト4-1BBと結合するヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントの治療有効量を前記対象に投与することを含む。
【0013】
さらに、本発明は、本発明に係る抗体又はその抗原結合フラグメントを産生する細胞株、本発明に係るヌクレオチドを含む組換え発現ベクター、及び抗体産生細胞株を培養することにより抗体を得る方法を提供する。
【0014】
発明の効果
本発明に係るヒト化モノクローナル抗体は、高い親和性と特異性でヒト4-1BBと結合することにより、T細胞の増殖とTNF-γの産生がいずれも有意に増加し、ヒト4-1BBが媒介する免疫応答を増強させ刺激する。これらの抗体は抗腫瘍又は抗ウイルス免疫応答の免疫増強剤として、又はT細胞が媒介する自己免疫疾患の免疫調節剤として用いることができる。またこれらの抗体は、がん、自己免疫疾患又は他の疾患の患者の血液又は組織からヒト4-1BBを検出するための診断試薬として用いることできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】抗rh4-1BB mAbの産生である。Aはハイブリドーマの生成とスクリーニングの概略図である。Bは血清滴定アッセイのELISAデータである。結合強度(OD450)は3連ウェルの平均として示される。CはmAbと4-1BB抗原の結合親和性測定結果である。
図2】4-1BB抗体が細胞膜に結合した4-1BBと結合できることを示す。活性化T細胞における4-1BB mAbのフローサイトメトリーアッセイである。
図3】抗体4-1BBリガンドの競合活性のELISA評価である。AはELISAプレートに予め固定されたた一定量の4-1BBリガンドの存在下でのmAbと4-1BBの結合活性である。Bは2つの異なるクラスの抗体によって認識される4-1BBの概略図である。
図4】MP4-1と2D10が生体内で腫瘍の成長を阻害することを示す。NOD/SCIDマウス(各群n=5)にLS174T細胞(各マウス1×10)と新たに単離したヒトPBMC(各マウス5×10)を皮下移植し、その後、上記の担体(PBS、黒)、MP4-1(5mg/kg、赤)又は2D10(5mg/kg、青)で腹腔内より処理した。その後、腫瘍体積を測定した。データは5匹のマウスの腫瘍体積の平均として示される。エラーバーは標準誤差を表す(***はP<0.001、ダネット(Dunnett)の多重比較検定、担体とMP4-1の比較及び担体と2D10の比較)。
図5】ヒト化MP4-1の候補の特性評価であった。AはBLI法によるmAbと4-1BBの薬物動態学的相互作用の決定である。BはELISAプレートに予め固定された4-1BBリガンドの存在下でのmAbと4-1BBの結合活性である。
図6】PP9150が活性化T細胞と特異的に結合できることを示す。Jurkat細胞(A)と活性化T細胞(B)における4-1BB mAbのフローサイトメトリーアッセイである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「抗体」
本明細書で使用する用語「抗体」とは、所望の生物学的活性(例えば、リガンドとその受容体の結合阻害又はリガンドが誘導する受容体シグナル伝達の阻害)を示す抗体の任意の形態を指す。「抗体フラグメント」と「抗原結合フラグメント」とは抗体の抗原結合フラグメントと抗体の類似体を指し、一般に親抗体の抗原結合領域又は可変領域(例えば、1つ又は複数のCDR)の少なくとも一部を含む。抗体フラグメントは、親抗体の結合特異性の少なくとも一部を保持している。一般にモル基準で活性を示す場合に、抗体フラグメントは親抗体の結合活性の少なくとも10%を保持する。好ましくは、抗体フラグメントは標的に対する親抗体の結合親和性の少なくとも20%、50%、70%、80%、90%、95%、100%又はそれ以上を保持する。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fvフラグメントと、ダイアボディと、線状抗体と、sc-Fvなどの一本鎖抗体分子と、ナノボディと、ドメイン抗体と、抗体フラグメントからなる多重特異性抗体を含み、ただしそれらに限定されない。
【0017】
「Fabフラグメント」は1つの軽鎖と1つの重鎖のCH1と可変領域からなる。Fab分子の重鎖は別の重鎖分子とはジスルフィド結合を形成できない。「Fc」領域は抗体のCH1とCH2ドメインを備える2つの重鎖フラグメントを含む。2つの重鎖フラグメントは2つの又はそれ以上のジスルフィドによって結合され、CH3ドメインの疎水性相互作用によって保持されている。「Fab’フラグメント」は1つの軽鎖とVHドメインとCH1ドメイン及びCH1とCH2ドメインの間の領域を備える1つの重鎖の部分を含み、これにより2つのFab’フラグメントの2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成させてF(ab’)分子を形成することができる。「F(ab’)フラグメント」は2つの軽鎖とCH1とCH2ドメインの間の定常領域の部分を備える2つの重鎖を含み、これにより2つの重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合が形成される。したがって、F(ab’)フラグメントは2つの重鎖間のジスルフィド結合によって保持されている2つのFab’フラグメントからなる。「Fv領域」は重鎖と軽鎖の両方に由来する可変領域を含み、定常領域を欠いている。
【0018】
「一本鎖Fv抗体」(又は「scFv抗体」)とは抗体のVHとVLドメインを含む抗体フラグメントを指し、これらのドメインが単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、FvポリペプチドはVHとVLドメインの間にさらにポリペプチドリンカーを含み、当該リンカーによりscFvには抗原との結合に必要な構造が形成できる。
【0019】
「ダイアボディ」は2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントである。前記フラグメントは同一のポリペプチド鎖で軽鎖可変領域(VL)に連結された重鎖可変領域(VH)(VH-VL又はVL-VH)を含む。十分短いリンカーを使用することで同一の鎖の2つのドメインがペアリングできないようにし、これにより前記ドメインが別の鎖の相補的ドメインとペアリングして2つの抗原結合部位を形成する。
【0020】
「ヒト抗体」はアミノ酸配列がヒトから産生される抗体のアミノ酸配列に対応する抗体、及び/又はすでに本明細書に記載のヒト抗体の任意の製造技術で製造した抗体である。当該定義には非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体が明確に除外される。
【0021】
「モノクローナル抗体」
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体を指し、つまり前記集団を構成する各抗体は、少量で存在し得る自然突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高い特異性を有し、単一の抗原部位を標的とすることは可能である。さらに、複数の異なる決定基(エピトープ)を標的とする複数の異なる抗体を含む通常の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原における1つの決定基を標的とする。修飾語「モノクローナル」は実質的に均質な抗体集団から得られる抗体の特性を表し、特定の方法で前記抗体を得るとは理解されない。例えば、本発明に係るモノクローナル抗体はハイブリドーマ又は組換えDNA法により得られる。モノクローナル抗体は、「キメラ」抗体を含んでもよい。
【0022】
本発明の一態様において、本発明に係る4-1BBモノクローナル抗体は、(1)重鎖相補性決定領域CDR1、CDR2、CDR3であって、前記CDR1は配列番号1又は配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR2は配列番号2又は配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR3は配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域と、(2)軽鎖相補性決定領域CDR1’、CDR2’、CDR3’であって、前記CDR1’は配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR2’は配列番号7に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR3’は配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域とを含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記4-1BBモノクローナル抗体の相補性決定領域は次の組み合わせから選ばれる。(a)CDR1は配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、CDR2は配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、CDR3は配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、CDR1’は配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、CDR2’は配列番号7に示されるアミノ酸配列を含み、CDR3’は配列番号8に示されるアミノ酸配列を含み、又は(b)CDR1は配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、CDR2は配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、CDR3は配列番号3に示されるアミノ酸配列を含み、CDR1’は配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、CDR2’は配列番号7に示されるアミノ酸配列を含み、CDR3’は配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む。
【0024】
本発明に係る別の態様において、本発明に係る4-1BBモノクローナル抗体は、(1)配列番号9又は配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、(2)配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0025】
本発明に係る別の態様において、本発明に係る4-1BBモノクローナル抗体は、(1)配列番号12又は配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む重鎖と、(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0026】
本発明に係るモノクローナル抗体の結合ドメインは、一般に分泌タンパク質のN末端に位置し、15~30のアミノ酸からなるシグナルペプチドを備えてもよいことが予想される。シグナルペプチド配列が合成されると、シグナル認識粒子(SRP)によって認識され、タンパク質合成が中断又は緩和され、シグナル認識粒子がリボソームを小胞体に担持して、タンパク質合成を再開させる。シグナルペプチドの誘導で、新たに合成されるタンパク質が小胞体腔に入り、シグナルペプチダーゼの作用でシグナルペプチド配列が切断される。輸送停止配列が新たに生成されるペプチド鎖のC末端に存在する場合に、例えば、オボアルブミンが内部シグナルペプチドを含む場合に、シグナルペプチダーゼによって切断されなくてもよい。その前駆体も成熟型もシグナルペプチダーゼによって切断されない。例示的なシグナルペプチド配列はMDPKGSLSWRILLFLSLAFELSYGである。別の例示的なシグナルペプチド配列はMETDTLLLWVLLLWVPGSTGである。
【0027】
「特異的結合」とは本発明に係るモノクローナル抗体が各ヒト標的分子の少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個又はそれ以上のアミノ酸と特異的に相互作用できることを指す。抗体の「特異的結合」は主に、定性的パラメーター(結合エピトープ又は抗体結合部位)と定量的パラメーター(結合親和性又は結合強度)の2つのパラメーターで特徴づけられる。抗体結合エピトープは、FACS、ドットブロットアッセイ、質量分析又はペプチドELISAによって決定できる。Biacore及び/又はELISA法で特定のエピトープに対する抗体の結合強度を測定することができる。一般に信号(signal)対雑音(noise)比は結合特異性の代表的な尺度として計算される。信号対雑音比では、信号が目的エピトープに対する抗体の結合強度を表し、雑音が他の非目的エピトープに対する抗体の結合強度を表す。好ましくは、目的エピトープへの信号対雑音比が約50である場合に被評価抗体が目的エピトープと特異的に結合し、つまり「特異的結合」であると見なす。
【0028】
「バリアント」
本明細書で使用する配列「バリアント」とは、1つ又は複数のアミノ酸残基が対象配列と違うが分子の生物学的活性を保持している配列を指す。
【0029】
「保存的に修飾されたバリアント」又は「保存的アミノ酸置換」は当業者に知られているアミノ酸置換であり、このような置換を行っても一般には対象分子の生物学的活性が変わらない。一般に、ポリペプチドの非必須領域における単一のアミノ酸置換は生物学的活性を実質的に変えないと当業者が考えている。
【0030】
本明細書で使用する2つの配列の「%同一性」とは、対象配列によって共有される同一位置の数の関数(%同一性=同一位置数/合計位置数×100)を指し、ギャップ数と各ギャップの長さが考慮され、前記ギャップは2つの配列の最適なアラインメントを行う時に入れる。配列比較と2つの配列の%同一性の決定は数学的アルゴリズムにより実現できる。例えば、2つのアミノ酸配列の%同一性はE.MeyersとW.Miller(Comput.Appl.Biosci.,4:11-17(1988))によるアルゴリズムで決定することができ、当該アルゴリズムは、PAM120重み付き残基表を使用し、ギャップ長ペナルティは12で、ギャップペナルティは4であり、すでにプログラムALIGN(バージョン2.0)に組み込まれている。また、2つのアミノ酸配列の%同一性はNeedlemanとWunsch(J.MoI.Biol.48:444-453(1970))によるアルゴリズムで決定することができ、当該アルゴリズムは、Blossum62行列又はPAM250行列を使用し、ギャップの重みは16、14、12、10、8、6又は4で、長さの重みは1、2、3、4、5又は6であり、すでにGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(www.gcg.comより利用可能)に組み込まれている。
【0031】
リガンド/受容体、抗体/抗原又は他の結合対が言及される場合に、「特異的」結合とは、タンパク質及び/又は他の生化学試薬の不均一な集団において前記タンパク質が存在するかどうかを決定する結合反応を指す。したがって、特定の条件下では、特定のリガンド/抗原が特定の受容体/抗体と結合し、サンプルに存在する他のタンパク質とは有意な量で結合しない。
【0032】
「ヒト化抗体」
ヒト化抗体は非ヒト由来のアミノ酸残基を1つ又は複数有する。一般に齧歯類CDR又はCDR配列でヒト抗体の対応の配列を置換してヒト化を行うことができる。したがって、前記「ヒト化」抗体はキメラ抗体であり、完全ヒト可変ドメインのごく少数の一部が非ヒト種からの相当の配列によって置換される。実際には、ヒト化抗体は一般にその一部のCDR残基と特定の一部のFR残基が非ヒト(例えば、齧歯類)由来の抗体の類似部位の残基によって置換されるヒト抗体である。
【0033】
ヒト化抗体の製造のためのヒト可変ドメイン(軽鎖と重鎖の両方)の選択は抗原性を低下させるためには重要な事項である。いわゆる「ベストフィット」法によれば、既知のヒト可変ドメイン配列の完全なライブラリーに基づいて齧歯類抗体の可変ドメイン配列をスクリーニングする。その後、齧歯類配列に最も近いヒト配列をヒト化抗体のヒトフレームワーク(FR)として使用する。他には、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループ由来の全てのヒト抗体共通配列の特定のフレームワークを利用するという方法がある。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使うことができる。
【0034】
さらに大切なのは、抗原に対する高い親和性と他の好ましい生物学的特性を保持させるよう抗体をヒト化することである。それを実現するためには、好ましい方法として、親配列とヒト化配列の三次元モデルを用いて親配列と理論的にヒト化された様々な生成物を解析する方法でヒト化抗体を得る。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に利用可能であり、しかも当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能な三次元コンフォメーション構造を解明及び表示するコンピュータプログラムは利用できる。構造を解明するこれらの作業は、候補免疫グロブリン配列の機能において残基が果たす役割を解明し、つまり候補免疫グロブリンのその抗原との結合能力に影響を与える残基を分析することができる。このようにして、受容体と入力配列から選択しFR残基と合わせて、例えば、1つ又は複数の標的抗原に対する親和性が向上するなど、所望の抗体特性を得ることができる。一般に、CDR残基は抗原結合への影響に直接的かつ最も十分に関与している。
【0035】
抗体のヒト化はタンパク質工学におけるシンプルな作業である。ほぼ全てのネズミ抗体はCDRのグラフト化によるヒト化で、抗原結合性を保持することができる。又は、今は免疫化後に内因性免疫グロブリンを産生せずにヒト抗体の完全なレパートリーを産生できる遺伝子改変動物(例えば、マウス)を得ることができる。例えば、キメラと生殖細胞変異マウスで抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失が内因性抗体の産生を完全に阻害していることがすでに判明された。
【0036】
「抗体の精製」
組換え技術を用いる場合に、抗体は細胞内、ペリプラズム空間で産生されるか、又は直接培地に分泌される。抗体が細胞内で産生される場合に、最初のステップで、例えば、遠心分離又は限外濾過により粒子状の破片(宿主細胞又は溶解した断片)を除去する。抗体が培地に分泌される場合に、一般には最初に市販のタンパク質濃縮フィルター(例えば、Amicon又はMillipore Pellicon限外濾過ユニット)で前記発現系からの上清を濃縮する。任意の前記ステップでプロテアーゼ阻害剤(例えば、PMSF)を使用してタンパク質分解を阻害することができ、抗生物質を使用して外来汚染物質の増殖を防ぐことができる。
【0037】
回収する抗体によっては、他に利用可能なタンパク質精製技術は、例えば、イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカゲルクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換樹脂(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫安沈殿などである。一実施形態において、糖タンパク質は、糖タンパク質をレクチン基質(例えば、レクチンアフィニティーカラム)に吸着させて、調製物からフコースを含む糖タンパク質を除去しフコース不含糖タンパク質を集中させるように精製することができる。
【0038】
「医薬組成物と医薬キット」
「医薬組成物」とはヒトに使用する薬物製剤を指す。当該医薬組成物は本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと、担体、安定剤及び/又は賦形剤とを含む適切な製剤である。本発明は本発明に係るモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを含む薬物製剤を提供する。医薬組成物又は滅菌組成物を得るために、抗体又はその抗原結合フラグメントと薬学的に許容される担体又は賦形剤を混合する。生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤と混合することで、例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液剤又は懸濁剤となる治療又は診断用の薬物製剤を得ることができる。
【0039】
細胞培養物又は実験動物において、単独で投与された又は免疫抑制剤と組み合わせて投与された抗体組成物の毒性と治療効果を標準的な薬学的方法で測定することができ、前記方法は、例えば、LD50(対象集団の50%を死亡させる用量)とED50(対象集団の50%を効果的に治療できる用量)を測定するための方法である。毒性と治療効果に関する用量の比は治療指数であり、LD50とED50の比として示す。これらの細胞培養アッセイと動物実験から得られるデータはヒト用の用量範囲を設定するために利用できる。化合物の用量は好ましくは毒性が非常に低い又は非毒性のED50の循環濃度範囲内である。使用する剤形と投与経路によって、用量を当該範囲において変化させてもよい。
【0040】
適切な投与経路には、非経口投与(例えば、筋肉内、静脈内、皮下投与)と、経口投与が含まれる。医薬組成物における又は本発明の方法の実施のための抗体を様々な通常の経路で投与することができ、これらの経路は、例えば、経口取込み、吸入、局所投与、経皮、皮下、腹腔内、非経口、動脈内、静脈内注射である。一実施形態において、本発明に係る結合化合物を静脈内投与する。別の実施形態において、本発明に係る結合化合物を皮下投与する。又は、全身的ではなく局所的に(一般にはデポ剤又は徐放性製剤)で抗体を投与し、例えば、抗体を作用部位に直接注射する。また、標的化薬物送達システムで抗体を投与することができる。
【0041】
適切な用量は、例えば、本分野で周知される又は治療に影響を与えると推定若しくは予想されるパラメーター又は因子により臨床医が決定する。一般には、開始用量は最適用量よりやや低く、その後、有害な副作用に関して所望の又は最適な効果が得られるまで少しずつ増やす。診断のための重要な測定には、例えば、炎症性症状又は産生された炎症性サイトカインのレベルの測定が含まれる。
【0042】
持続注入により又は間隔をあけた(例えば、毎日、1週間ごとに又は週1~7回)投与で抗体、抗体フラグメント、サイトカインを提供することができる。静脈内、皮下、腹腔内、経皮、局所、経口、経鼻、経直腸、筋肉内、脳内、脊髄内又は吸入により用量を実現する。好ましい用量計画は、有意な望ましくない副作用が避けられる最大用量又は投与頻度からなるものを含む。総週間用量は一般に少なくとも0.05μg/kg体重であり、より一般には少なくとも0.2μg/kgであり、最も一般には少なくとも0.5μg/kgであり、典型的には少なくとも1μg/kgであり、より典型的には少なくとも10μg/kgであり、最も典型的には少なくとも109μg/kgであり、好ましくは少なくとも0.2mg/kgであり、より好ましくは少なくとも1.0mg/kgであり、最も好ましくは少なくとも2.0mg/kgであり、望ましくは少なくとも10mg/kgであり、より望ましくは少なくとも25mg/kgであり、最も望ましくは少なくとも50mg/kgである。モル/kg基準で計算する場合に、小分子治療剤(例えば、ペプチド模倣物、天然物又は有機化学物質)の所定の用量は抗体又はポリペプチドの用量と近く又は同じである。
【0043】
本発明に係る医薬組成物は、細胞毒性剤、細胞増殖阻害剤、抗血管新生剤又は代謝拮抗剤、標的化腫瘍薬、免疫刺激剤若しくは免疫調節剤又は細胞毒性剤、細胞増殖阻害剤若しくは毒性のある他の薬物と複合した抗体を含み、ただしそれらに限定されない他の薬剤を含んでもよい。他の治療手段(例えば、手術、化学療法、放射線)と共に前記医薬組成物を投与してもよい。典型的な獣医、実験又は研究対象には、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ウマ、ヒトが含まれる。
【0044】
本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントは単独で使用されてもよいし、又は他の物質として、抗腫瘍剤又は免疫原剤(例えば、弱毒化がん細胞、腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、糖類分子を含む)、抗原提示細胞(例えば、腫瘍由来の抗原又は核酸によって刺激される樹状細胞)、免疫刺激サイトカイン(例えば、IL-2、IFNa2、GM-CSF)、免疫刺激サイトカイン(例えば、GM-CSFであり、ただしそれらに限定されない)をコードする遺伝子によってトランスフェクトされる細胞、標準的ながん治療(例えば、化学療法、放射線療法、手術)、又は他の抗体(VEGF、EGFR、VEGF受容体、他の成長因子受容体、CD20、CD40、CTLA-4、OX-40、4-IBB、ICOSを標的とする抗体を含み、ただしそれらに限定されない)と組み合わせて使用される。
【0045】
さらに、本発明は上記の併用療法を行うために医薬キットを提供し、本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを含んで独立して存在する第1製剤と、抗がん活性を有して独立して存在する第2製剤とを含む。いくつかの実施形態において、第2製剤と本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを同時投与することがある。いくつかの実施形態において、第2製剤と本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントをそれぞれ投与する。いくつかの実施形態において、第2製剤又はがん患者に投与する他の典型的な薬剤と本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを組み合わせて医薬組成物として投与してもよい。
【0046】
本明細書で使用する用語「第2製剤」又は「第2抗がん剤」とは、任意の抗腫瘍薬を指し、PD-1抗体、CTLA-4抗体、GM-CSF、CD40抗体、シスプラチン、シクロホスファミド、サイトカイン誘導キラー細胞、IL-2などを含み、ただしそれらに限定されない。
【0047】
本発明の一態様は、腫瘍の治療方法を提供し、前記方法は本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントの治療有効量を、腫瘍を有している対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、前記ヒト化モノクローナル抗体は、(1)重鎖相補性決定領域CDR1、CDR2、CDR3であって、前記CDR1は配列番号1又は配列番号4に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR2は配列番号2又は配列番号5に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR3は配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域と、(2)軽鎖相補性決定領域CDR1’、CDR2’、CDR3’であって、前記CDR1’は配列番号6に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR2’は配列番号7に示されるアミノ酸配列を含み、前記CDR3’は配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域とを含む。いくつかの実施形態において、前記ヒト化モノクローナル抗体は、(1)配列番号9又は配列番号10に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域VHと、(2)配列番号11に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態において、前記ヒト化モノクローナル抗体は、(1)配列番号12又は配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む重鎖VLと、(2)配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態において、前記対象は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
【0048】
本発明の別の態様は、腫瘍の治療方法を提供し、前記方法は、本発明に係る医薬組成物の治療有効量を、腫瘍を有している対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと薬学的に許容される担体とを含む。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと第2抗がん剤とを含む。いくつかの実施形態において、前記対象は哺乳動物であり、好ましくはヒトである。
【0049】
「治療(Treatment)」
動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、器官又は体液に「投与」し又は「治療」するとは、外因性薬物、治療剤、診断剤又は組成物を動物、ヒト、被治療者、細胞、組織、器官又は体液と接触させることを指す。「投与」と「治療」は、例えば、治療方法、薬物動態学的方法、診断方法、研究方法、実験方法を指す。細胞治療は、試薬を細胞と接触させることと試薬を流体と接触させることを含み、前記流体が細胞と接触する。「投与」と「治療」はまた、例えば、試薬、診断剤、結合組成物により又は他の細胞を介してインビトロ又はエクスビボにおいて細胞を対象とする治療を行うことを意味する。
【0050】
本明細書で使用する用語「阻害」又は「治療」は、疾患に関連する症状の進行を遅延させること及び/又は前記疾患で発生する又は進行が予想されるこれらの症状の重症度を緩和することを含む。前記用語には、既存の症状を緩和し、他の症状を防止することとこれらの症状の潜在的な要因を緩和又は防止することがさらに含まれる。そのために、前記用語は有益な結果を、疾患を有している脊椎動物対象に与えていることを意味する。
【0051】
「治療有効量」
本明細書で使用する用語「治療有効量」又は「有効量」とは、本発明に係る二重特異性抗体又はそのフラグメントを細胞、組織又は被治療者に単独で投与し又は別の治療剤と組み合わせて投与する場合に、治療対象の疾患又は障害を効果的に防止又は緩和する量を指す。治療有効用量とはさらに症状を十分に緩和する前記化合物の量を指し、前記症状の緩和は、例えば、関連の医学的状態を治療、完治、防止又は緩和すること又は前記障害の治療率、完治率、防止率又は緩和率を向上させることである。対象に有効成分を単独で投与する場合に、治療有効量とは当該単独の成分を指す。組み合わせとして投与する場合に、組合せ投与、連続投与、同時投与に関係なく、治療有効量とは治療効果を得る有効成分の合計量を指す。治療有効量で症状は一般に少なくとも10%、より一般に少なくとも20%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%緩和される。
【0052】
本発明において、「約」とは数値は当業者によって測定された特定の値の許容可能な誤差範囲内にあることを指し、どのように測定したのか(測定系の限界)も前記数値に影響を与える。例えば、本分野では実行するたびに「約」とは1以内又は1を超える標準偏差を意味する。又は、「約」又は「実質的に含む」は最大20%の範囲を意味する。さらに、特に生物学的システム又はプロセスの場合に、当該用語は最大1桁又は数値の最大5倍を意味することがある。特に説明がある場合を除いて、本明細書と特許請求の範囲で特定の値が出現する場合に、「約」又は「実質的に含む」の意味は当該特定の値の許容可能な誤差範囲内にあると推定される。
【0053】
「がん」
本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントはがんを治療し(腫瘍細胞の成長又は生存を阻害する)ために用いることができる。本発明に係る抗体で成長を阻害できるがんとして好ましくは一般に免疫療法に応答のあるがんを含む。治療対象がんとして好ましい例は、食道がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮内膜がん、骨肉腫、前立腺がん、神経芽細胞腫を含み、ただしそれらに限定されない。
【0054】
「自己免疫疾患」
本明細書で使用する用語「自己免疫疾患」とは自身に対する免疫寛容の崩壊により、体内免疫系が自身の器官、組織又は細胞を攻撃することが引き起こす損傷で誘発する一連の疾患を指す。これが特定の器官に限定され又は異なる部位に位置する特定の組織に影響を与えることがある。自己免疫疾患の治療では一般に免疫抑制、例えば、免疫応答を低減する薬物を使用する。
【0055】
本発明において、本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントは自己免疫疾患を治療するために用いることができる。本発明に係る抗体又はその抗原結合フラグメントで治療可能な自己免疫疾患は、グレーブス病(Graves’ disease)、多発性硬化症、自己免疫性肝疾患、原発性副腎皮質低下症、慢性甲状腺炎、1型糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、クローン病(Crohn’s disease)、アトピー性皮膚炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血、重力筋無力症、脱髄性疾患、湿疹、移植片対宿主病、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、慢性腎炎、強直性脊椎炎、慢性活動性肝炎、萎縮性胃炎、自己免疫性糸球体腎炎、抗糸球体基底膜腎炎、特発性血小板減少性紫斑病、特発性白血球減少症、慢性甲状腺炎、悪性貧血、慢性潰瘍性大腸炎を含み、ただしそれらに限定されない。
【0056】
「炎症性疾患」
本明細書で使用する「炎症性疾患」とは、炎症が引き起こす、炎症から生み出される、又は炎症を引き起こす疾患を指す。用語「炎症性疾患」とは、制御不能な炎症反応を指してもよく、前記反応がマクロファージ、顆粒球、及び/又はTリンパ球の過剰反応を起こして、異常な組織損傷及び/又は細胞死をもたらす。炎症性疾患は急性又は慢性の炎症状態であり、且つ感染性又は非感染性の要因が引き起こすものであってもよい。
【0057】
本発明において、本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントは炎症性疾患を治療するために用いることができる。本発明に係る抗体又はその抗原結合フラグメントで治療可能な炎症性疾患は、関節炎、筋腱炎、動脈硬化症、リウマチ性多発筋痛症、滑液包炎、嚢胞性線維症、骨関節炎、巨細胞性動脈炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、天疱瘡、類天疱瘡、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、炎症性皮膚疾患、アスベスト症、珪肺、塵肺、サルコイドーシス、外因性アレルギー性肺胞炎、肝炎、遅延型アレルギー、肺炎、気道炎症、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳炎、即時型アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー、急性アレルギー反応、リウマチ熱、膀胱炎、慢性胆嚢炎、同種移植片拒絶反応、宿主対移植片拒絶反応、虫垂炎、動脈炎、細気管支炎、気管支炎、子宮頸管炎、胆管炎、絨毛膜羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、流行性耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、精巣炎、扁桃炎、尿道炎、ブドウ膜炎、膣炎、外陰炎、閉塞性血栓血管炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、心・血管炎症を含み、ただしそれらに限定されない。
【0058】
「ウイルス感染症」
本明細書で使用する用語「感染」とは、生物組織への病原体の侵入、それらの増殖、それらの生物と生成される毒素に対する宿主組織の応答を指す。感染は、例えば、ウイルス、ウイロイド、プリオン、細菌、線虫(例えば、寄生性回虫、蟯虫)、節足動物(例えば、ダニ、ノミ、シラミ)、真菌(例えば、癬)、他の巨大な寄生虫(例えば、サナダ虫)、他の蠕虫などの感染因子が引き起こす。本発明において、前記感染因子はウイルスである。
【0059】
「ウイルス感染症」とはウイルスが様々な経路で体内に侵入し、感受性のある宿主細胞において増殖する過程を指す。本発明において、本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントはウイルス感染症を治療するために用いることができる。前記ウイルス感染症の原因となるウイルスはサイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2型(HIV-2)、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス(coxsackievirus)、デングウイルス、日本脳炎ウイルス(JEV)、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、ヒトヘルペスウイルス8型、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルスを含み、ただしそれらに限定されない。
【0060】
前記ウイルス感染症に関連する疾患又は障害は、網膜炎、腸炎、伝染性単核球症、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫(Burkitt’s lymphoma)、鼻咽頭がん、後天性免疫不全症候群(AIDS)、上気道感染症(URI)、下気道感染症(LRI)、心筋炎、脳炎、デング出血熱とデングショック症候群(DHF/DSS)、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、歯肉口内炎(gingivostomatitis)、角結膜炎、皮膚丘疹、流行性耳下腺炎、ポリオ、狂犬病、風疹、水痘を含み、ただしそれらに限定されない。
【0061】
「免疫アジュバント」
本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントは、これらのタンパク質に対する免疫応答を向上させるために(接種において)他の組換えタンパク質及び/又はペプチド(例えば、腫瘍抗原又はがん細胞)と組み合わせて使用することができる。例えば、ヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと目的抗原(例えば、ワクチン)を同時投与することにより、ヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントは抗原特異的免疫応答を刺激するために用いることができる。そのために、本発明は別の態様において抗原に対する被治療者の免疫応答を増強させる方法を提供し、前記方法は、抗原に対する被治療者の免疫応答を向上させるために、(i)抗原と、(ii)本発明に係るヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを被治療者に投与すること含む。例えば、抗原は腫瘍抗原、ウイルス抗原、細菌抗原又は病原体由来の抗原であってもよい。前記抗原の例は、腫瘍抗原又はウイルス、細菌若しくは他の病原体由来の抗原を含み、ただしそれらに限定されない。
【0062】
「他の併用療法」
上述したように、本発明に係るモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントを1種又は複数種の他の治療剤(例えば、細胞毒性剤、放射性薬剤、免疫抑制剤)と同時投与することができる。前記抗体は前記薬剤と組み合わされてもよく(免疫複合体になる)、又は治療剤とは別に投与されてもよい。後者(別個の投与)の場合は、治療剤を投与する前に、その後若しくは同時に抗体を投与してもよいし、又は他の既知の療法と共に投与してもよい。
【0063】
抗体はインビボ診断のための測定にも用いられる。イムノイメージング又は陽電子放出断層撮影により抗原又は抗体を発現する細胞を特定できるように、一般には放射性核種(例えば、111In、99Tc、C、31I、125I、H、32P、35S、18F)で抗体を標識する。
【0064】
本開示は、例えば、以下に関する。
[1]
重鎖相補性決定領域CDR1は配列番号1又は配列番号4に示されるアミノ酸配列であり、
重鎖相補性決定領域CDR2は配列番号2又は配列番号5に示されるアミノ酸配列であり、
重鎖相補性決定領域CDR3は配列番号3に示されるアミノ酸配列であり、
軽鎖相補性決定領域CDR1’は配列番号6に示されるアミノ酸配列であり、
軽鎖相補性決定領域CDR2’は配列番号7に示されるアミノ酸配列であり、
軽鎖相補性決定領域CDR3’は配列番号8に示されるアミノ酸配列である、
ヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
[2]
(a)CDR1は配列番号1に示されるアミノ酸配列で、CDR2は配列番号2に示されるアミノ酸配列であり、又は
(b)CDR1は配列番号4に示されるアミノ酸配列で、CDR2は配列番号5に示されるアミノ酸配列である、前記[1]記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
[3]
前記ヒト化4-1BBモノクローナル抗体の重鎖可変領域は配列番号9又は配列番号10に示されるアミノ酸配列であり、軽鎖可変領域は配列番号11に示されるアミノ酸配列である、前記[1]記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
[4]
前記ヒト化4-1BBモノクローナル抗体の重鎖は配列番号12又は配列番号13に示されるアミノ酸配列であり、軽鎖は配列番号14に示されるアミノ酸配列である、前記[1]記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
[5]
前記抗原結合フラグメントは、抗体4-1BBのscFv、(scFv) 、Fab、Fab’又はF(ab’) から選ばれる、前記[1]記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
[6]
前記[1]~[5]のいずれか1項に記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
[7]
前記[1]~[5]のいずれか1項に記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントと、第2抗がん剤とを含む医薬組成物。
[8]
前記第2抗がん剤は、PD-1抗体、CTLA-4抗体、GM-CSF、CD40抗体、シスプラチン、シクロホスファミド、サイトカイン誘導キラー細胞、IL-2から選ばれるいずれかである、前記[7]記載の医薬組成物。
[9]
がん、自己免疫疾患、炎症性疾患又はウイルス感染症を治療するための薬物の製造における前記[1]~[5]のいずれか1項に記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は前記[6]~[8]のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
[10]
前記がんは、食道がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、膵臓がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮内膜がん、骨肉腫、前立腺がん、神経芽細胞腫から選ばれる、前記[9]記載の使用。
[11]
前記自己免疫疾患は、グレーブス病、多発性硬化症、自己免疫性肝疾患、原発性副腎皮質低下症、慢性甲状腺炎、1型糖尿病、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、クローン病、アトピー性皮膚炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血、重力筋無力症、脱髄性疾患、湿疹、移植片対宿主病、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、慢性腎炎、強直性脊椎炎、慢性活動性肝炎、萎縮性胃炎、自己免疫性糸球体腎炎、抗糸球体基底膜腎炎、特発性血小板減少性紫斑病、特発性白血球減少症、慢性甲状腺炎、悪性貧血、慢性潰瘍性大腸炎から選ばれる、前記[9]記載の使用。
[12]
前記炎症性疾患は、関節炎、筋腱炎、動脈硬化症、リウマチ性多発筋痛症、滑液包炎、嚢胞性線維症、骨関節炎、巨細胞性動脈炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、天疱瘡、類天疱瘡、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、炎症性皮膚疾患、アスベスト症、珪肺、塵肺、サルコイドーシス、外因性アレルギー性肺胞炎、肝炎、遅延型アレルギー、肺炎、気道炎症、急性呼吸窮迫症候群、脳炎、即時型アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー、急性アレルギー反応、リウマチ熱、膀胱炎、慢性胆嚢炎、同種移植片拒絶反応、宿主対移植片拒絶反応、虫垂炎、動脈炎、細気管支炎、気管支炎、子宮頸管炎、胆管炎、絨毛膜羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、膵臓炎、流行性耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎、口内炎、滑膜炎、精巣炎、扁桃炎、尿道炎、ブドウ膜炎、膣炎、外陰炎、閉塞性血栓血管炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎、心・血管炎症から選ばれる、前記[9]記載の使用。
[13]
前記ウイルス感染症に関連する疾患は、網膜炎、腸炎、伝染性単核球症、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、鼻咽頭がん、後天性免疫不全症候群、上気道感染症、下気道感染症、心筋炎、脳炎、デング出血熱及デングショック症候群、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、歯肉口内炎、角結膜炎、皮膚丘疹、流行性耳下腺炎、ポリオ、狂犬病、風疹、水痘から選ばれる、前記[9]記載の使用。
[14]
前記[1]~[5]のいずれか1項に記載のヒト化4-1BBモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするヌクレオチド配列。
[15]
前記[14]記載のヌクレオチド配列を含むベクター。
[16]
前記[15]記載のベクターを含む非ヒト宿主細胞。
以下、本発明の一層の理解のために実施例を参照する。しかしながら、これらの実施例は本発明の範囲への限定とは理解されない。本明細書で言及される文献と引用特許の全てが参照により本明細書に組み込まれる。

【実施例
【0065】
実施例1:抗rh4-1BB mAbの産生
実験動物
全ての動物実験は中山大学動物実験センターの許可を得て実施した。Balb/cマウスは中山大学動物実験センターより購入した。非肥満糖尿病-重症複合免疫不全(NOD/SCID)マウスはCharles River Laboratoriesより購入した。免疫無防備状態のマウスを用いる実験では、病原体のない条件下で隔離室に動物を飼育する。
【0066】
モノクローナル抗体の産生
抗rh4-1BB mAbを産生するために、4週齢の雌Balb/cマウスには3回皮下免疫(S.C)として2週間の間隔でヒト4-1BBエクトドメインタンパク質(Acro Biosystems)を皮下注射した。3回目注射の1週間後、全てのマウスから採血し、間接ELISAスクリーニングにより免疫応答を決定するために血清を収集した。免疫化マウスの脾細胞を単離し、標準的な手順でSP2/0マウス骨髄腫細胞(上海セルバンクより購入)と融合させた。細胞を96ウェルプレートに播種し、ハイブリドーマ増殖培地(20%FBS、1×HAT培地サプリメント(Sigma)を含むRPMI-1640(Gibco、Life Technologies))で培養した。間接ELISAによりハイブリドーマ上清をスクリーニングし、クローニングのために陽性ウェルを選択した(限界希釈法)。抗体の増幅と特性評価のために安定的なモノクローナルを選択した。
【0067】
結果:抗4-1BB抗体を産生させる以前の試みでは、一次免疫で高用量(各マウス50μg)とし、全てのマウスが10日以内に死亡した。ヒト4-1BBがマウス4-1BBと60%のアミノ酸配列同一性を有するため、rh4-1BB分子は刺激されると強力な免疫応答を誘導して、マウスを死に至らしめるという可能性がある。その後、用量を各マウス30μgに低減して、2回の免疫を行った。免疫化の有効性をテストするために、間接ELISAにより免疫化前と3回目の注射後にマウスから収集した血清をテストした。免疫化マウスの血清は1/8000の希釈率下で陽性の吸収を示した(OD>0.2)(図1のB)。その後にハイブリドーマクローンを産生し、4-1BBタンパク質を使用してELISAによりスクリーニングした。これにより高結合を有する5つの異なるハイブリドーマクローンを得て、更にアッセイを行うために選択した。
【0068】
実施例2:mAbの4-1BB結合親和性
バイオレイヤー干渉法(BLI)による親和性の決定
装置Octet RED96(ForteBio、Pall Life Sciences)を用いて4-1BBエクトドメインに対する抗体親和性を測定した。全てのアッセイはアッセイバッファー(PBS、pH7.4、0.02%(v/v)Tween20)において1000rpmで攪拌しながら行った。アッセイは、真っ黒な96ウェルプレート(Greiner Bio-one、655209)において30℃下で行った。PBSTで精製した4-1BB抗体を抗マウスIgG Fv捕獲バイオセンサー(AMQ)の表面にロードした。その後、バイオセンサー上の抗体と対象抗原の複合を分析する前に、バイオセンサーベースラインステップを300秒間行った。7つの滴定シリーズで対象抗原を2倍の濃度勾配に拡大させた。その後、アッセイバッファーを含むウェルにおいて解離相互作用を記録した。ベースラインドリフトは抗原とインキュベートされなかった抗体センサーによって記録されたオフセットを差し引いて修正した。データ解析ソフトウェアのバージョン9.0(PALL/ForteBio)を用いてオクテットを評価し、フルフィットの1:1モダリティでKD値を決定した。
【0069】
細胞表面の4-1BBと結合する抗体のフローサイトメトリーアッセイ
37℃と湿度5%COのインキュベーターにおいて、6ウェルプレートの底部にプレコートされた0.5μg/ml OKT3と0.5μg/ml可溶性PFC-1(IL-15融合タンパク質)で精製後のT細胞を刺激した。刺激7日後に、活性化T細胞を収集した。4-1BB抗体を活性化T細胞又はJurkat細胞(上海セルバンクより購入)と共にインキュベートした。その後、細胞を洗浄し、Alexa Fluor 488で標識したヤギ抗ヒト又はマウスIgG(H+L)特異的抗体で細胞と結合した抗体を検出し、フローサイトメーターFC500(BECKMAN COULTER)において分析した。
【0070】
結果:mAbと4-1BBの結合を評価するために、抗原に対する様々な抗体の親和性を測定した。BLI法により、組換えヒト4-1BBに対するMP4-1の優れた結合が判明された。4-1BB ECDの平衡解離定数(KD)は0.0865nMで、他のmAb候補より35倍以上高かった(図1のC)。上記のように刺激された初代ヒトT細胞を使用して、フローサイトメトリー(FACS)により細胞膜に結合した4-1BBへのmAbの結合を測定した。陽性コントロールPF2566と同じように、いずれの4-1BB抗体も活性化T細胞と結合した(図2)。
【0071】
実施例3:抗体4-1BBリガンド競合活性
抗体4-1BBリガンド競合アッセイ
4-1BB抗体が4-1BBとそのリガンドの相互作用を遮断できるかどうかを判断するために、4-1BBに対しELISAを実施した。簡単に説明すると、Fcタグ付きヒト4-1BBリガンド(4-1BBL)タンパク質の細胞外ドメイン(Acro Biosystems)をELISAプレートにコーティングし、その後、4-1BB抗体の存在下でヒト4-1BBタンパク質(Hisタグ)と共にインキュベートした。HRP結合抗6×Hisタグ抗体(Abcam)を使用してそのリガンドと結合した4-1BBタンパク質を検出した。その後、TMB基質溶液(TIANGEN)を使用して検出した。吸光マイクロプレートリーダー(infinite F50、TECAN)を使用してOD450/620でサンプルを分析した。
【0072】
データ解析
有意性分析は全てソフトウェアGraphPad Prism 7.0(GraphPad Software、米カリフォルニア州ラ・ホーヤ)を用いて行った。統計分析は一元配置分散分析で行い、その後、ダネットの多重比較検定を実行した。*はP<0.05であり、**はP<0.01であり、***はP<0.001である。特に説明がある場合を除いて、データは平均±SEMとして示される。
【0073】
結果:ELISAアッセイで抗体の、ヒト4-1BBタンパク質とプレートに結合した組換え4-1BBリガンドの結合を遮断する能力をテストした。これまでの報告と同じように、PF2566が組換えヒト4-1BBリガンド(4-1BBL)と競合的に組換えヒト4-1BBと結合した(図3のA)。4-1BB抗体の場合、MP4-1と10A3は異なる能力で4-1BBとそのリガンドの相互作用を遮断できるが、2D10と9B4は相互作用に影響を与えない(図3のA)。MP4-1がPF2566よりも強力な遮断活性を示すことが明らかになる。
【0074】
実施例4:MP4-1と2D10による腫瘍の成長阻害
PBMCとT細胞の単離
説明に従って、健常なドナーから直前調製した全血を採取し、Ficoll(GE Healthcare)密度勾配遠心分離によりヒト末梢血単核細胞(PBMC)を単離した。EasySepヒトCD3陽性選択キット(STEMCELL Technologies Inc.,カナダ・バンクーバー)でT細胞を精製した。アッセイを行う前に、単離したT細胞を、10%ウシ胎児血清と1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含む完全RPMI 1640において37℃と湿度5%COのインキュベーターで培養した。
【0075】
異種移植モデル
4~5週齢のNOD/SCIDマウスの右脇腹に1×10のLS174 T細胞と5×10のヒトPBMCの細胞混合物を含む200μLのPBSを注射した。移植2時間後に、4-1BB抗体(5mg/kg)又は担体コントロール(PBS)を腹腔内投与した。その後、0日目、2日目、6日目、8日目、10日目、12日目に動物を処理した(各マウス100μg)。直交する2つの次元においてノギスで測定し、式(幅×長さ)/2で腫瘍体積を計算した。
【0076】
結果:4-1BB抗体が生体内で腫瘍細胞の成長を阻害できるかどうかを更に研究するために、MP4-1と2D10を使用してNOD/SCIDマウスにおける抗腫瘍活性を評価した。図4に示すように、10日目より、各群で腫瘍体積が増加し始め、担体群は腫瘍体積が最も早く増加し、4-1BB MP4-1群と4-1BB 2D10群より明らかに腫瘍体積が早く増加した。14日目に、4-1BB MP4-1群と4-1BB 2D10群とで腫瘍体積に有意差がないが、いずれも担体群の腫瘍体積より有意に小さかった(P<0.001)。これらのデータが、4-1BB抗体MP4-1と2D10が異種移植マウスモデルにおいて腫瘍の成長を効果的に阻害できることを示した。
【0077】
実施例5:ヒト化MP4-1の特性評価
結合親和性と4-1BB抗体の4-1BBとそのリガンドの相互作用を遮断する活性に基づいて、更なるヒト化のためにMP4-1を選択した。ヒトIgG1構造を有する9つの候補を構築し4-1BBとの結合親和性をテストした。図5のAに示すように、ナノモルレベルでKD値を測定できたのはPP9150とPP9153だけであった。抗体4-1BBリガンド競合アッセイにおいて、PP9150はMP4-1と似たような遮断活性を示した(図5のB)。その後、PP9150と細胞膜に結合した4-1BBの結合をテストし、コントロールPF2566と同じように、PP9150と4-1BB陰性Jurkat細胞の結合が観察されなかった(図6のA)。PP9150及びPF2566の活性化T細胞との特異的結合が検出された(図6のB)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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