(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】次亜塩素酸ナトリウム製造システム及びこれを用いた水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/50 20230101AFI20240718BHJP
C02F 1/76 20230101ALI20240718BHJP
C01B 11/06 20060101ALI20240718BHJP
C25B 1/46 20060101ALI20240718BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240718BHJP
【FI】
C02F1/50 531P
C02F1/50 540B
C02F1/50 550H
C02F1/76 A
C02F1/50 520P
C02F1/50 550D
C01B11/06 A
C25B1/46
C25B9/00 E
(21)【出願番号】P 2022577554
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 KR2021007711
(87)【国際公開番号】W WO2022039363
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0103859
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0131648
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516357351
【氏名又は名称】テックウィン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TECHWIN Co., LTD
【住所又は居所原語表記】(Songjeong-dong) 60, Jikji-daero 474beon-gil, Heungdeok-gu, Cheongju-si, Chungcheongbuk-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ブン イク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン シク
(72)【発明者】
【氏名】チョ,テ シン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ドン ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】キム,テ ウ
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1079470(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1226640(KR,B1)
【文献】特開2000-140851(JP,A)
【文献】米国特許第04767511(US,A)
【文献】特開2005-138001(JP,A)
【文献】特開2000-265289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46- 1/48
C02F 1/50
C02F 1/76
C01B 11/06
C25B 1/00- 9/77
C25B 13/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水のメインストリームから分岐した第1のサブストリームを用いて飽和食塩水及び精製水を得る第1の手段と、
前記飽和食塩水及び前記精製水を電気分解して陽極生成物及び陰極生成物を得る第2の手段と、
被処理水の前記メインストリームから分岐した第2のサブストリームを用いて前記陽極生成物及び前記陰極生成物を反応させて次亜塩素酸ナトリウムを得る第3の手段と、を含
み、
前記第2のサブストリームは、前記陽極生成物及び前記陰極生成物を前記第3の手段に移送するための動力を提供し、
前記第2のサブストリームは、物質間反応に参加しないで物質を移送させるための不活性キャリア(carrier)として作用し、
前記第2のサブストリームは、前記次亜塩素酸と一緒に前記メインストリームに合流することを特徴とする、次亜塩素酸ナトリウム製造システム。
【請求項2】
前記第2の手段は、陽極を含む陽極室、陰極を含む陰極室、及び前記陽極室と前記陰極室とを区切る隔膜を含む、請求項1に記載の次亜塩素酸ナトリウム製造システム。
【請求項3】
前記第3の手段は、反応装置を含み、得られた前記次亜塩素酸ナトリウムに苛性ソーダを注入するための設備を含まない、請求項1に記載の次亜塩素酸ナトリウム製造システム。
【請求項4】
前記第1のサブストリームは、前記精製水及び前記飽和食塩水を前記第2の手段に移送するための動力を提供する、請求項1に記載の次亜塩素酸ナトリウム製造システム。
【請求項5】
前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムは、前記第3の手段で得た前記次亜塩素酸ナトリウムを貯蔵するための設備を含まない、請求項1に記載の次亜塩素酸ナトリウム製造システム。
【請求項6】
被処理水の前記メインストリームと前記次亜塩素酸ナトリウムとのpHの差は、2以下である、請求項1に記載の次亜塩素酸ナトリウム製造システム。
【請求項7】
請求項1~7のいずれか一項に記載の前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムを用いた水処理方法であって、
(a)被処理水のメインストリームから分岐した第1のサブストリームを用いて飽和食塩水及び精製水を得る段階と、
(b)前記飽和食塩水及び前記精製水を電気分解して陽極生成物及び陰極生成物を得る段階と、
(c)被処理水の前記メインストリームから分岐した第2のサブストリームを用いて前記陽極生成物及び前記陰極生成物を反応させて次亜塩素酸ナトリウムを得る段階と、
(d)前記次亜塩素酸ナトリウムを貯蔵せずに被処理水の前記メインストリームに注入する段階と、を含む、水処理方法。
【請求項8】
被処理水の前記メインストリームと前記次亜塩素酸ナトリウムとのpHの差は、2以下である、請求項
7に記載の水処理方法。
【請求項9】
前記(d)段階において、前記次亜塩素酸ナトリウムの注入による被処理水の前記メインストリームのpH変化量は、2以下である、請求項
7に記載の水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次亜塩素酸ナトリウム製造システム及びこれを用いた水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)は、上下水処理、廃水処理、海水電解、及び船舶平衡水処理、農食品及び食資材の殺菌消毒など種々の分野に適用されている。
【0003】
このような次亜塩素酸ナトリウムは、その濃度によって、低濃度の次亜塩素酸ナトリウム製造システム及び高濃度の次亜塩素酸ナトリウム製造システムを用いて製造される。
【0004】
濃度が0.4~1.0%の低濃度の次亜塩素酸ナトリウムは、食塩水を接触式電極反応が行われる無隔膜式電気分解槽を通過させて得られる。濃度が2%以上の高濃度の次亜塩素酸ナトリウムは、陽極と陰極が隔膜によって画成された隔膜式電気分解槽で生成された塩素ガス及び苛性ソーダを別途の反応装置で反応させて得られる。
【0005】
図1は、従来の高濃度の次亜塩素酸ナトリウム製造システムを示した模式図である。
図1を参照すると、従来の次亜塩素酸ナトリウム製造システムは、被処理水1の中で分岐した一部を処理して精製水を得る原水処理装置2と、精製水3の中の一部と塩タンク4に貯蔵された塩から製造された飽和食塩水5を処理する食塩水処理処置6とを含むことができ、前記食塩水処理処置6で得た精製飽和食塩水7及び前記精製水3の残部は、それぞれ電気分解装置8を構成する陽極室及び陰極室に移送されることができる。
【0006】
前記電気分解装置8は、隔膜式電気分解槽であって、陽極室、陰極室、及び前記陽極室と陰極室とを区切るための隔膜を含むことができ、陽極室及び陰極室は、それぞれ陽極生成物及び陰極生成物を循環させる陽極水タンク10及び陰極水タンク14を含み、前記陽極水タンク10及び前記陰極水タンク14からそれぞれ陽極水11及び水素ガス16が排出される。
【0007】
また、前記陽極室及び前記陰極室でそれぞれ生成された塩素ガス12及び苛性ソーダ15は、前記陽極水及び陰極水タンク10、14を経て反応装置17に移動して反応することで次亜塩素酸ナトリウムが生成される。
【0008】
また、得られた次亜塩素酸ナトリウムのpHを12以上に維持させて安定的に貯蔵できるように反応装置17及び/または次亜塩素酸ナトリウムタンク22に苛性ソーダを注入するための苛性ソーダタンク18及び注入装置20が具備され、次亜塩素酸ナトリウムの貯蔵間の副産物の生成を抑制するための冷却装置23がさらに具備される。
【0009】
このように、従来の次亜塩素酸ナトリウム製造システムは、陽極水タンクから排出される陽極水によって周辺環境が汚染されるという問題、製造された高濃度の次亜塩素酸ナトリウムの安定した貯蔵のための多数の設備(タンク、配管など)が複雑に構成されることによってメインテナンスに対する負担が加重されるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述した従来の技術の問題点を解決するためのもので、本発明の目的は、環境にやさしく、かつメインテナンス及び管理が便利な次亜塩素酸ナトリウム製造システム及びこれを用いた水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、被処理水のメインストリームから分岐した第1のサブストリームを用いて飽和食塩水及び精製水を得る第1の手段と、前記飽和食塩水及び前記精製水を電気分解して陽極生成物及び陰極生成物を得る第2の手段と、被処理水の前記メインストリームから分岐した第2のサブストリームを用いて前記陽極生成物及び前記陰極生成物を反応させて次亜塩素酸ナトリウムを得る第3の手段と、を含む次亜塩素酸ナトリウム製造システムを提供する。
【0012】
一実施形態において、前記第2の手段は、陽極を含む陽極室、陰極を含む陰極室、及び前記陽極室と前記陰極室とを区切る隔膜を含むことができる。
【0013】
一実施形態において、前記第3の手段は、反応装置を含み、得られた前記次亜塩素酸ナトリウムに苛性ソーダを注入するための設備を含まなくてもよい。
【0014】
一実施形態において、前記第1のサブストリームは、前記精製水及び前記飽和食塩水を前記第2の手段に移送するための動力を提供することができる。
【0015】
一実施形態において、前記第2のサブストリームは、前記陽極生成物及び前記陰極生成物を前記第3の手段に移送するための動力を提供することができる。
【0016】
一実施形態において、前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムは、前記第3の手段で得た前記次亜塩素酸ナトリウムを貯蔵するための設備を含まなくてもよい。
【0017】
一実施形態において、被処理水の前記メインストリームと前記次亜塩素酸ナトリウムとのpHの差は、2以下であることができる。
【0018】
本発明の他の一態様によれば、前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムを用いた水処理方法であって、(a)被処理水のメインストリームから分岐した第1のサブストリームを用いて飽和食塩水及び精製水を得る段階と、(b)前記飽和食塩水及び前記精製水を電気分解して陽極生成物及び陰極生成物を得る段階と、(c)被処理水の前記メインストリームから分岐した第2のサブストリームを用いて前記陽極生成物及び前記陰極生成物を反応させて次亜塩素酸ナトリウムを得る段階と、(d)前記次亜塩素酸ナトリウムを貯蔵せずに被処理水の前記メインストリームに注入する段階と、を含む水処理方法を提供する。
【0019】
一実施形態において、被処理水の前記メインストリームと前記次亜塩素酸ナトリウムとのpHの差は、2以下であることができる。
【0020】
一実施形態において、前記(d)段階において、前記次亜塩素酸ナトリウムの注入による被処理水の前記メインストリームのpH変化量は、2以下であることができる
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様による次亜塩素酸ナトリウム製造システムは、被処理水の中の一部を分岐して製造システム内における物質移動に必要な動力として作用させて被処理水と次亜塩素酸ナトリウムとのpHの差を最小化することで、製造された次亜塩素酸ナトリウムを別途貯蔵する必要なく直ちに被処理水に注入することができ、これによって、製造システムにおける次亜塩素酸ナトリウムのpHを別途調節するか、または次亜塩素酸ナトリウムを別途貯蔵するための設備乃至装置が省略されることができるので、メインテナンス及び管理の便利であるという長所がある。
【0022】
また、前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムにおける電気分解のための第2の手段は、陽極室、陰極室、及び隔膜を含み、必要によって、前記陰極室で得られた前記陰極生成物を循環させるための陰極水タンク及び/または前記陽極室で得られた前記陽極生成物を循環させるための陽極水タンクを含まないことにより、従来の陽極水タンクから多量の副産物を含有する陽極水が排出されることによって、周辺環境を悪化させる問題を解決することができる。
【0023】
本発明の効果は、前記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または請求範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、従来の次亜塩素酸ナトリウム製造システムを示した模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による次亜塩素酸ナトリウム製造システムを示した模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態による電気分解装置及び反応装置を示した模式図である。
【
図4】
図3は、本発明の一実施形態による電気分解装置及び反応装置を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で具現されることができ、したがって、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書の全般に亘って類似した部分に対しては類似した符号を付した 。
【0026】
明細書の全般において、ある部分が他の部分と「連結」されているとされるとき、これは「直接に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の部材を介在して「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とされるとき、これは特別に反対の意味で記載される別途の記載がない限り、他の構成要素を排除するものではなく、他の構成要素をさらに具備することができるということを意味する。
【0027】
次亜塩素酸ナトリウム製造システム
図2は、本発明の一実施形態による次亜塩素酸ナトリウム製造システムを示した模式図である。
【0028】
図2を参照すると、本発明の一様態による次亜塩素酸ナトリウム製造システムは、被処理水のメインストリームから分岐した第1のサブストリームを用いて飽和食塩水及び精製水を得る第1の手段と、前記飽和食塩水及び前記精製水を電気分解して陽極生成物及び陰極生成物を得る第2の手段と、被処理水の前記メインストリームから分岐した第2のサブストリームを用いて前記陽極生成物及び前記陰極生成物を反応させて次亜塩素酸ナトリウムを得る第3の手段と、を含むことができる。
【0029】
前記第1の手段は、被処理水のメインストリーム1から分岐した第1のサブストリーム1′を処理して精製水3を得る原水処理装置2と、精製水3の一部及び塩タンク4に貯蔵された塩から製造された飽和食塩水5を処理する食塩水処理処置6と、を含むことができる。
【0030】
本明細書に使われた用語「被処理水」は、前記製造システムを用いて得た次亜塩素酸ナトリウムによる処理、殺菌が必要な汚染水を意味し、「メインストリーム」は、既に設定済みの場所に貯留するか、既に設置済みの経路に沿って流れる汚染水の動的状態を通称することができる。また、「サブストリーム」は、被処理水のメインストリームの中の一部が分岐して設定された経路に沿って流れる汚染水の動的状態を意味する。
【0031】
被処理水のメインストリーム1が既に設定済みの経路に沿って流れる汚染水の動的状態を意味する場合、前記メインストリーム1から分岐した前記第1のサブストリーム1′は、前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムを構成する前記第1~第3の手段を経て次亜塩素酸ナトリウム21と一緒に前記メインストリーム1に再合流することができる。
【0032】
また、前記メインストリーム1から分岐した前記第2のサブストリーム1″は、前記第3の手段を経て次亜塩素酸ナトリウム21と一緒に前記メインストリーム1に再合流することができる。
【0033】
前記第1及び第2のサブストリーム1′、1″のうち少なくとも一部は、前記第1~第3の手段のうちの少なくとも一つで物質間反応に直接参加することができ、場合によって、このような反応に参加しないで物質を移送させるための不活性キャリア(carrier)のみで作用することもできる。
【0034】
前記食塩水処理処置6で得られた精製された飽和食塩水7及び前記精製水3の中の残部は、それぞれ後述する第2の手段の電気分解装置を構成する陽極室及び陰極室に移送されることができる。
【0035】
前記第2の手段は、電気分解装置、好ましくは、隔膜式電気分解槽8であってもよい。前記隔膜式電気分解槽は、陽極を含む陽極室、陰極を含む陰極室、及び前記陽極室と前記陰極室とを区切る隔膜を含むことができる。
【0036】
前記陽極室では、前記精製飽和食塩水が電気分解されて陽極生成物13である塩素ガスCl2が生成されることができ、前記陰極室では、前記隔膜を介して移動してきたナトリウムイオンNa+と水との電気分解によって生成された水酸化イオンOH-が反応して陰極生成物9である苛性ソーダ(NaOH)が生成されることができる。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態による電気分解装置及び反応装置を示した模式図である。
図2及び
図3を参照すると、前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムは、陽極を含む陽極室、陰極を含む陰極室、及び前記陽極室と前記陰極室とを区切る隔膜を含む第2の手段、すなわち、隔膜式電気分解槽8を含むことができ、前記陽極室及び前記陰極室で生成された物質を反応させて次亜塩素酸ナトリウムを得る第3の手段、すなわち、反応装置17をさらに含むことができる。
【0038】
前記反応装置17は、前記隔膜式電気分解槽8の外部に別途具備されることができる。前記陽極室と前記反応装置との間、及び前記陰極室と前記反応装置との間には、それぞれ陽極水タンク及び陰極水タンクが具備されることができ、前記陽極水タンク及び前記陰極水タンクに貯蔵された陽極水及び陰極水は、それぞれ、前記陽極室と前記陽極水タンク、及び前記陰極室と前記陰極水タンクを循環することができる。
【0039】
前記陽極水タンク及び前記陰極水タンクは、前記隔膜式電気分解槽の前記陽極室及び前記陰極室をそれぞれ循環する陽極水及び陰極水を貯蔵するための設備である。
【0040】
必要によって、前記陽極水タンク及び/または前記陰極水タンクは、伝導度センサー及び/または水位センサーを具備することができる。好ましくは、前記伝導度センサーは、陽極水循環管路及び/または陰極水循環管路上に具備されることができ、前記水位センでは、前記陽極水タンク及び/または前記陰極水タンク内に具備され得る。
【0041】
前記伝導度センサーによって伝導度バルブを開閉することで陽極水及び/または陰極水の濃度を制御することができ、前記水位センサーによって水位バルブを開閉することで純水の供給とそれによる陽極水及び/または陰極水の水位を制御することができる。すなわち、前記伝導度センサー及び前記水位センサーを介して陽極水及び/または陰極水の水位と濃度を同時に制御することで前記陽極水タンク及び/または前記陰極水タンクの物質バランスを調節することができる。
【0042】
ただし、このように陽極室及び陰極室で生成された物質を適切に循環、排出するためには貯蔵槽、配管など設備が複雑になるだけでなく、陽極水タンクから多量の副産物を含有した陽極水を排出することによって周辺環境が悪くなる問題がある。
【0043】
前記のように、第1~第3の手段を具備した前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムは、必要によって、従来の陽極室及び陰極室で生成された物質を適切に循環、排出するために具備された設備を省略してもよい。
【0044】
被処理水のメインストリームの中で分岐したサブストリームが、前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムを構成する前記第1~第3の手段の中で少なくとも一つで、及び/または前記第1~第3の手段を介した物質(原料、中間生成物、最終生成物を含む)の移送にキャリア(carrier)として作用して必要な動力を提供するようにすることで、従来の陽極室及び陰極室で生成された物質を適切に循環、排出するために具備された陽極水タンク、陰極水タンク、循環ラインのような設備を省略することができ、この場合、全体的なシステムをコンパクト化して生産性、経済性を改善することができるのみならず、陽極水排出による問題を解決して環境にやさしさを向上させることができる。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態による電気分解装置及び反応装置を示した模式図である。
図2及び
図4を参照すれば、前記第3の手段の前記反応装置17を前記第2の手段の前記隔膜式電気分解槽8と一体型で構成することで、陽極水タンク、陰極水タンク、循環ラインなどを適切に省略することができ、それによって、前述のような作用効果が得られる。
【0046】
前記第2の手段の陽極室及び陰極室でそれぞれ生成された塩素ガス及び苛性ソーダは、前記第2の手段の下流に具備された第3の手段の反応装置17に移送されて相互反応することにより、次亜塩素酸ナトリウムが生成されることができる。
【0047】
前記被処理水は、弱酸性、弱塩基性、または中性であることができ、すなわち、前記被処理水のpHは、約5~9であることができ、このような被処理水の中の一部を分岐して前記製造システム内の物質移動に必要な動力として作用させることにより製造された次亜塩素酸ナトリウムのpHも約5~9であることができる。
【0048】
すなわち、前記被処理水と前記次亜塩素酸ナトリウムとのpHの差は、2以下、好ましくは、1以下、より好ましくは、0.5であることができ、この場合、これらのpHが実質的に同一であるから、製造された次亜塩素酸ナトリウムを別途貯蔵しないで直ちに被処理水に連続的に注入、適用することができる。
【0049】
また、この場合、前記第3の手段で製造された次亜塩素酸ナトリウムのpHを別途調節するか、またはこれを別途貯蔵するための設備乃至装置、例えば、前記反応槽11に苛性ソーダを注入するための苛性ソーダタンク及び/または製造された次亜塩素酸ナトリウムを貯蔵するための次亜塩素酸ナトリウムタンクが省略可能ので、メインテナンス及び管理の便利であるという長所がある。
【0050】
水処理方法
本発明の他の一態様によれば、前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムを用いた水処理方法であって、(a)被処理水のメインストリームから分岐した第1のサブストリームを用いて飽和塩水及び精製水を得る段階と、(b)前記飽和塩水及び前記精製水を電気分解して陽極生成物及び陰極生成物を得る段階と、(c)被処理水の前記メインストリームから分岐した第2のサブストリームを用いて前記陽極生成物及び前記陰極生成物を反応させて次亜塩素酸ナトリウムを得る段階と、(d)前記次亜塩素酸ナトリウムを貯蔵しないで被処理水の前記メインストリームに注入する段階と、を含む水処理方法を提供する。
【0051】
前記(a)~(c)段階は、前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムを構成する前記第1~第3の手段を用いることを特徴とするので、各段階での構成と作用効果については前述したものと同様である。
【0052】
前記(d)段階では、前記次亜塩素酸ナトリウムを貯蔵しないで被処理水の前記メインストリームに注入することができる。
【0053】
前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムは、得られた次亜塩素酸ナトリウムのpHを既に設定済みの範囲に調節するための別途の設備、具体的に、前記第3の手段で生成された前記次亜塩素酸ナトリウムを貯蔵するための設備、及び/または生成された前記次亜塩素酸ナトリウムに苛性ソーダを注入するための設備を含まなくてもよい。
【0054】
その代わり、被処理水のメインストリームから分岐した一つ以上のサブストリームを前記次亜塩素酸ナトリウム製造システムにおける物質移動に必要な動力、すなわち、キャリアとして用いることで、生成された次亜塩素酸ナトリウムのpHを既に設定済みの範囲、例えば、被処理水のpHと類似した範囲に調節することができ、この場合、前記次亜塩素酸ナトリウムの注入による被処理水の前記メインストリームのpH変化量を最小化することができる。
【0055】
また、前記水処理方法は、得られた次亜塩素酸ナトリウムのpHを、既に設定済みの範囲に調節するための別途の設備と制御方法を要しないので、運転、メインテナンス及び管理が便利であるという長所がある。
【0056】
被処理水の前記メインストリームと前記次亜塩素酸ナトリウムとのpHの差は、2以下、好ましくは、1以下、より好ましくは、0.5以下であることができる。また、前記(d)段階において、前記次亜塩素酸ナトリウムの注入による被処理水の前記メインストリームのpH変化量が2以下、好ましくは、1以下、より好ましくは、0.5以下であることができる。
【0057】
前述の本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者は本発明の技術的思想や要旨を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解することができるはずである。したがって以上で述べた実施形態は、すべての面で例示的なものであり限定的なものではないことを理解しなければならない。例えば、単一型ものと説明されている各構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に、分散したものと説明されている構成要素も、結合された形態で実施されてもよい。
【0058】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるもの解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0059】
1 被処理水のメインストリーム
1′ 被処理水の第1のサブストリーム
1″ 被処理水の第2のサブストリーム
2 原水処理装置
3 精製水
4 塩タンク
5 飽和食塩水
6 食塩水処理処置
7 精製飽和食塩水
8 隔膜式電気分解槽
9 陽極生成物
10 陽極水タンク
11 陽極水
12 塩素ガス
13 陰極生成物
14 陰極水タンク
15 陰極水(苛性ソーダ)
16 水素ガス
17 反応装置
18 苛性ソーダタンク
19 苛性ソーダ
20 苛性ソーダ注入装置
21 次亜塩素酸ナトリウム
22 次亜塩素酸ナトリウムタンク
23 冷却装置
24 次亜塩素酸ナトリウム注入装置