(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】人工ニューラルネットワーク基盤の非侵襲的体内代謝物質定量化のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A61B5/055 376
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023049107
(22)【出願日】2023-03-25
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0037208
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0056351
(32)【優先日】2022-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523110569
【氏名又は名称】メトリト インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒョンフン
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/209566(WO,A1)
【文献】特表2018-526657(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0195974(US,A1)
【文献】HyeongHun Lee and Hyeonjin Kim,Bayesian deep learning-based 1H-MRS of the brain: Metabolite quantification with uncertainty estimation using Monte Carlo dropout,Proceedings of International Society for Magnetic Resonance in Medicine (2021),Vol. 29, No. 2014,International Society for Magnetic Resonance in Medicine,2021年04月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非侵襲的体内代謝物質定量化方法において、
人工知能ニューラルネットワークを利用して、前処理された入力スペクトルから前記入力スペクトルについてのサンプルスペクトルおよび内在的不確実性情報を予測する段階であって、前記サンプルスペクトルは前記前処理された入力スペクトルに比べて信号品質が改善された形態を有する段階;
前記サンプルスペクトルの平均を計算して予測平均スペクトル(Predictive mean spectrum)を生成する段階;
前記サンプルスペクトルの分散に基づいて前記サンプルスペクトルの認識論的不確実性スペクトル(Epistemic uncertainty spectrum)を計算する段階;
前記内在的不確実性情報の平均に基づいて前記サンプルスペクトルの内在的不確実性スペクトル(Aleatoric uncertainty spectrum)を計算する段階
;
前記認識論的不確実性スペクトルおよび前記内在的不確実性スペクトルに基づいて、前記サンプルスペクトルの2-標準偏差スペクトルを計算する段階
;
前記予測平均スペクトルおよび前記2-標準偏差スペクトルについてベースライン補正を遂行する段階;
前記補正された予測平均スペクトルに線形回帰を遂行して代謝物質濃度値を計算する段階;
前記補正された標準偏差スペクトルに線形回帰を遂行して代謝物質の標準偏差値を計算する段階;および
前記代謝物質濃度値および前記代謝物質の標準偏差値を正規化する段階を含
み、
前記正規化する段階は、水に対する前記代謝物質の相対濃度に基づき、
前記水に対する代謝物質の相対濃度は次の数式(1)に基づき、
【数1】
前記Conc
metaはターゲット代謝物質の濃度(mmol/L)、
前記S
meta
は前記ターゲット代謝物質の信号面積、
前記S
water
は前記水の信号面積、
前記CorrTissはMRS信号を得た生体組織内の水の比率、
前記Nspins
water
は共鳴信号を発生させるのに参加した水のスピン数、
前記Nspins
meta
は前記共鳴信号を発生させるのに参加した前記ターゲット代謝物質のスピン数を意味する、定量化方法。
【請求項2】
前記人工知能ニューラルネットワークは、
ベイジアン深層畳み込み人工ニューラルネットワーク(Bayesian convolutional neural network、BCNN)を含む、請求項1に記載の定量化方法。
【請求項3】
前記サンプルスペクトルは、前記前処理された入力スペクトルに比べて、SNR、線幅(linewith)、および位相/周波数が調整され、MM信号が追加されたものである、請求項1に記載の定量化方法。
【請求項4】
前記予測する段階は、
T回のモンテカルロドロップアウトサンプリング(Monte Carlo dropout sampling、MCDO sampling)を通じて前記前処理された入力スペクトルあたりT個のサンプルスペクトルおよびT個の内在的不確実性情報を予測する段階を含み、
前記サンプルスペクトルは代謝物質のみの出力スペクトルに対応し、
前記内在的不確実性情報はノイズ分散スペクトルに対応する、請求項1に記載の定量化方法。
【請求項5】
前記予測平均スペクトルは、
前記サンプルスペクトルのデータポイント別平均値に基づいて生成される、請求項4に記載の定量化方法。
【請求項6】
前記2-標準偏差スペクトルを計算する段階は、
前記認識論的不確実性スペクトルおよび前記内在的不確実性スペクトルを合わせて総不確実性スペクトル(Total uncertainty spectrum)を計算する段階;
前記総不確実性スペクトルの1/2乗から標準偏差スペクトル(Standard deviation spectrum、SD-spectrum)を計算する段階;および
前記標準偏差スペクトルに2をかけて、2-標準偏差スペクトル(two-standard deviation spectrum、2SD spectrum)を計算する段階を含む、請求項1に記載の定量化方法。
【請求項7】
前記正規化された代謝物質濃度値および前記正規化された代謝物質の標準偏差値をベクトル形態に変換して出力部に伝達する段階をさらに含む、請求項
1に記載の定量化方法。
【請求項8】
前記正規化された代謝物質濃度値と前記予測平均スペクトルとの間の差を計算して再構築信号を形成する段階;
前記正規化された代謝物質の標準偏差値と前記2-標準偏差スペクトルとの間の差を計算して再構築信号を形成する段階;および
前記再構築信号を比較した結果に基づいて、前記正規化の正確度を確認する段階をさらに含む、請求項
1に記載の定量化方法。
【請求項9】
前記予測平均スペクトルおよび前記2-標準偏差スペクトルを出力部に伝達する段階をさらに含む、請求項1に記載の定量化方法。
【請求項10】
体内代謝物質を定量化する定量化装置において、
一つ以上のプロセッサ;および
前記一つ以上のプロセッサによって実行される時、前記一つ以上のプロセッサに演算を遂行させる命令(instructions)が保存された一つ以上のメモリを含み、
前記一つ以上のプロセッサによって遂行される前記演算は、
暗号化されたMRS(MR spectroscopy)データを前処理して入力スペクトルを提供する演算;人工知能ニューラルネットワークを利用して、前記前処理された入力スペクトルから前記入力スペクトルについてのサンプルスペクトルおよび内在的不確実性情報を予測する演算;
前記予測されたサンプルスペクトルおよび前記予測された内在的不確実性情報に基づいて、前記予測されたサンプルスペクトルの予測平均スペクトル(Predictive mean spectrum)および前記予測されたサンプルスペクトルの2-標準偏差スペクトルを計算する演算;
前記予測平均スペクトルに線形回帰を遂行して代謝物質濃度値を計算する演算;
前記2-標準偏差スペクトルに線形回帰を遂行して代謝物質の標準偏差値を計算する演算
;
前記代謝物質濃度値と前記代謝物質の標準偏差値をそれぞれ正規化する演算を含
み、
前記正規化する演算は、水に対する前記代謝物質の相対濃度に基づき、
前記水に対する代謝物質の相対濃度は次の数式(1)に基づき、
【数1】
前記Conc
metaはターゲット代謝物質の濃度(mmol/L)、
前記S
meta
は前記ターゲット代謝物質の信号面積、
前記S
water
は前記水の信号面積、
前記CorrTissはMRS信号を得た生体組織内の水の比率、
前記Nspins
water
は共鳴信号を発生させるのに参加した水のスピン数、
前記Nspins
meta
は前記共鳴信号を発生させるのに参加した前記ターゲット代謝物質のスピン数を意味する、定量化装置。
【請求項11】
請求項1に記載された定量化方法を実行させるためのコンピュータプログラムを保存する、非一時的コンピュータ読み取り可能保存媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は人工ニューラルネットワーク技術を利用して非侵襲的に体内代謝物質を定量化する方法およびこのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、非侵襲的体内代謝物質定量化には磁気共鳴分光法(Magnetic Resonance Spectroscopy、MRS)が活用されている。MRSデータは、全身用磁気共鳴映像撮影装置(Magnetic Resonance Imaging、MRI)から獲得できる1次元データタイプの共鳴信号であって、特定の解剖学的位置領域で水を含んだ多様な代謝物質の共鳴信号が重畳されて現れ得る。
【0003】
しかし、共鳴信号の品質は患者の動き、ハードウェアの性能、スキャンパラメータの特性によって磁気共鳴映像データに比べて顕著に悪化している。体内代謝物質は患者の多様な病態生理学的情報を含んでいて医療的な診断に活用され得る潜在力を有しているので、MRSデータ中の代謝物質共鳴信号を情報の歪曲なく分離して定量化することは非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0118763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この要約は、下記の詳細な説明で追加で説明される単純化された形態への概念の選択を紹介するために提供される。この要約は請求された主題の主な特徴または必須の特徴を識別するためのものではなく請求された主題の範囲の決定を助けるためのものではない。
【0006】
本開示は前述した必要性により案出されたもので、本開示が解決しようとする課題は、MRSデータ形式に最適化されたベイジアン深層畳み込み人工ニューラルネットワーク(Bayesian Convolutional Neural Network、BCNN)基盤の変分推論(Variational Inference)ネットワークを構築し、ネットワークの前処理アルゴリズムと後処理アルゴリズムを開発して、代謝物質定量化についての正確度および代謝物質定量化についての不確実性情報を既存と比べて改善できる、非侵襲的体内代謝物質定量化方法および非侵襲的体内代謝物質定量化装置を提供することである。
【0007】
本開示が解決しようとする技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、以下の明細書の詳細な説明から本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施例に係る非侵襲的体内代謝物質定量化方法は、人工知能ニューラルネットワークを利用して、前処理された入力スペクトルから前記入力スペクトルについてのサンプルスペクトルおよび内在的不確実性情報を予測する段階であって、前記サンプルスペクトルは前記前処理された入力スペクトルに比べて信号品質が改善された形態を有する段階;前記サンプルスペクトルの平均を計算して予測平均スペクトル(Predictive mean spectrum)を生成する段階;前記サンプルスペクトルの分散に基づいて前記サンプルスペクトルの認識論的不確実性スペクトル(Epistemic uncertainty spectrum)を計算する段階;前記内在的不確実性情報の平均に基づいて前記サンプルスペクトルの内在的不確実性スペクトル(Aleatoric uncertainty spectrum)を計算する段階;および前記認識論的不確実性スペクトルおよび前記内在的不確実性スペクトルに基づいて、前記サンプルスペクトルの2-標準偏差スペクトルを計算する段階を含むことができる。
【0009】
前記人工知能ニューラルネットワークはベイジアン深層畳み込み人工ニューラルネットワーク(Bayesian convolutional neural network、BCNN)を含むことができる。
【0010】
前記サンプルスペクトルは、前記前処理された入力スペクトルに比べて、SNR、線幅(linewith)、および位相/周波数が調整され、MM信号が追加されたものであり得る。
【0011】
前記予測する段階は、T回のモンテカルロドロップアウトサンプリング(Monte Carlo dropout sampling、MCDO sampling)を通じて前記前処理された入力ストリーム当たりT個のサンプルスペクトルおよびT個の内在的不確実性情報を予測する段階を含む。前記サンプルスペクトルは代謝物質のみの出力スペクトルに対応し、前記内在的不確実性情報はノイズ分散スペクトルに対応する。
【0012】
前記予測平均スペクトルは、前記サンプルスペクトルのデータポイント別平均値に基づいて生成され得る。
【0013】
前記2-標準偏差スペクトルを計算する段階は、前記認識論的不確実性スペクトルおよび前記内在的不確実性スペクトルを合わせて総不確実性スペクトル(Total uncertainty spectrum)を計算する段階;前記総不確実性スペクトルの1/2乗から標準偏差スペクトル(Standard deviation spectrum、SD-spectrum)を計算する段階;および前記標準偏差スペクトルに2をかけて、2-標準偏差スペクトル(two-standard deviation spectrum、2SD spectrum)を計算する段階を含むことができる。
【0014】
前記定量化方法は、前記予測平均スペクトルおよび前記2-標準偏差スペクトルについてベースライン補正を遂行する段階;前記補正された予測平均スペクトルに線形回帰を遂行して代謝物質濃度値を計算する段階;前記補正された2-標準偏差スペクトルに線形回帰を遂行して代謝物質の標準偏差値を計算する段階;および前記代謝物質濃度値および前記代謝物質の標準偏差値を正規化する段階をさらに含むことができる。
【0015】
前記正規化方法は、前記正規化された前記代謝物質濃度値および前記正規化された代謝物質の標準偏差値をベクトル形態に変換して出力部に伝達する段階;をさらに含むことができる。
【0016】
前記正規化する段階は、(1)水に対する前記代謝物質の相対濃度または(2)基準代謝物質に対する前記代謝物質の相対濃度に基づくことができる。
【0017】
前記水に対する代謝物質の相対濃度は、次の数式(1)
【数1】
に基づいており、前記Conc
metaはターゲット代謝物質の濃度(mmol/L)、前記S
metaは前記ターゲット代謝物質の信号面積、前記S
waterは前記水の信号面積、前記CorrTissはMRS信号を得た生体組織内の水の比率、前記Nspins
waterは共鳴信号を発生させるのに参加した水のスピン数、前記Nspins
metaは前記共鳴信号を発生させるのに参加した前記ターゲット代謝物質のスピン数を意味し得る。
【0018】
前記正規化された前記代謝物質濃度値と前記予測平均スペクトルとの間の差を計算して再構築信号を形成する段階、前記正規化された代謝物質の標準偏差値と前記2-標準偏差スペクトルとの間の差を計算して再構築信号を形成する段階;および前記再構築信号を比較した結果に基づいて、前記正規化の正確度を確認する段階をさらに含むことができる。
【0019】
前記予測平均スペクトルおよび前記2-標準偏差スペクトルを出力部に伝達する段階をさらに含むことができる。
【0020】
本開示の一実施例に係る非侵襲的体内代謝物質定量化装置は、一つ以上のプロセッサ;および前記一つ以上のプロセッサによって実行される時、前記一つ以上のプロセッサに演算を遂行させる命令(instructions)が保存された一つ以上のメモリを含み、前記一つ以上のプロセッサによって遂行される前記演算は、暗号化されたMRS(MR spectroscopy)データを前処理して入力スペクトルを提供する演算;人工知能ニューラルネットワークを利用して、前記前処理された入力スペクトルから前記入力スペクトルについてのサンプルスペクトルおよび内在的不確実性情報を予測する演算;前記予測されたサンプルスペクトルおよび前記予測された内在的不確実性情報に基づいて、前記予測されたサンプルスペクトルの予測平均スペクトル(Predictive mean spectrum)および前記予測されたサンプルスペクトルの2-標準偏差スペクトルを計算する演算;前記予測平均スペクトルに線形回帰を遂行して代謝物質濃度値を計算する演算;前記2-標準偏差スペクトルに線形回帰を遂行して代謝物質の標準偏差値を計算する演算;および前記代謝物質濃度値と前記代謝物質の標準偏差値をそれぞれ正規化する演算を含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示の実施例によると、MRSデータ形式に最適化されたベイジアン深層畳み込み人工ニューラルネットワーク(Bayesian Convolutional Neural Network、BCNN)基盤の変分推論(Variational Inference)ネットワークを構築し、ネットワークの前処理アルゴリズムと後処理アルゴリズムを開発することによって、代謝物質定量化についての正確度および代謝物質定量化についての不確実性情報を改善することができる。
【0022】
本開示で得られる効果は以上で言及した効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は以下の記載から本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【0023】
本開示の前記および他の側面は、添付された図面を参照して本開示の例示的な実施例を詳細に説明することによって当業者により明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示に関連した電子機器を説明するためのブロック図である。
【
図2】本開示の一実施例に係るAI装置のブロック図である。
【
図3A】本開示に適用され得る定量化装置のパイプラインを例示する。
【
図3B】
図3Aの定量化装置に適用され得るベイジアン深層畳み込み人工ニューラルネットワークの単純化されたデザインおよび該当人工ニューラルネットワークの訓練についてのワークフローを例示する。
【
図4】本開示が適用され得る入力部の動作の例示である。
【
図5】本開示が適用され得る予測部の動作の例示である。
【
図6】本開示が適用され得る後処理部の動作の例示である。
【
図7】本開示が適用され得る正常作動検証の例示である。
【
図8】本開示が適用され得る定量化装置の動作の一実施例を図示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に関する理解を助けるために、詳細な説明の一部として含まれる添付図面は本明細書に対する実施例を提供し、詳細な説明と共に本明細書の技術的特徴を説明する。
【0026】
以下、添付された図面を参照して本明細書に開示された実施例を詳細に説明するものの、図面符号にかかわらず、同一または類似する構成要素は同一の参照番号を付し、これに対する重複する説明は省略することにする。以下の説明で使われる構成要素に対する接尾辞、「モジュール」および「部」は明細書作成の容易さのみが考慮されて付与または混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味または役割を有するものではない。また、本明細書に開示された実施例の説明において、関連した公知技術に対する具体的な説明が本明細書に開示された実施例の要旨を曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付された図面は本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本明細書の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0027】
第1、第2等のように序数を含む用語は多様な構成要素の説明するに使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されはしない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
【0028】
或る構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたりまたは接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、或る構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。
【0029】
単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0030】
本出願で、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0031】
図1は、本開示に関連した電子機器を説明するためのブロック図である。
【0032】
前記電子機器100は、無線通信部110、入力部120、センシング部140、出力部150、インターフェース部160、メモリ170、制御部180、および電源供給部190等を含むことができる。
図1に図示された構成要素は電子機器100の具現に必須のものではなく、本明細書上で説明される電子機器は前記にて列挙された構成要素より多いか、または少ない構成要素を有することができる。
【0033】
より具体的には、前記構成要素のうち、無線通信部110は、電子機器100と無線通信システムとの間、電子機器100と他の電子機器100との間、または電子機器100と外部サーバーとの間の無線通信を可能にする一つ以上のモジュールを含むことができる。また、前記無線通信部110は電子機器100を一つ以上のネットワークに連結する一つ以上のモジュールを含むことができる。
【0034】
このような無線通信部110は、放送受信モジュール111、移動通信モジュール112、無線インターネットモジュール113、近距離通信モジュール114、位置情報モジュール115のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0035】
入力部120は、映像信号入力のためのカメラ121または映像入力部、オーディオ信号入力のためのマイクロホン122、またはオーディオ入力部、使用者から情報の入力を受けるための使用者入力部123を含むことができる。使用者入力部123としては、タッチキー(touch key)、プッシュキー(mechanical key)等を例に挙げることができる。入力部120で収集した音声データやイメージデータは分析されて使用者の制御命令として処理され得る。
【0036】
センシング部140は、電子機器100内の情報、電子機器100を取り囲む周辺環境情報および使用者情報のうち少なくとも一つをセンシングするための一つ以上のセンサを含むことができる。例えば、センシング部140は、近接センサ(141、proximity sensor)、照度センサ(142、illumination sensor)、タッチセンサ(touch sensor)、加速度センサ(acceleration sensor)、磁気センサ(magnetic sensor)、重力センサ(G-sensor)、ジャイロセンサ(gyroscope sensor)、モーションセンサ(motion sensor)、RGBセンサ、赤外線センサ(IRセンサ:infrared sensor)、指紋認識センサ(finger scan sensor)、超音波センサ(ultrasonic sensor)、光センサ(optical sensor)、環境センサ(例えば、気圧計、湿度計、温度計、放射能感知センサ、熱感知センサ、ガス感知センサなど)、化学センサ(例えば、電子鼻、ヘルスケアセンサ、生体認識センサなど)のうち少なくとも一つを含むことができる。一方、電子機器100は、このようなセンサのうち二つ以上のセンサでセンシングされる情報を組み合わせて活用することができる。
【0037】
出力部150は、視覚、聴覚、または触覚などに関連した出力を発生させるためのものである。出力部150は、ディスプレイ部151、音響出力部152、ハプティクスモジュール153、光出力部154のうち少なくとも一つを含むことができる。ディスプレイ部151はタッチセンサと相互にレイヤ構造をなすか一体型に形成されることによって、タッチスクリーンを具現することができる。このようなタッチスクリーンは、電子機器100と使用者との間の入力インターフェースを提供する使用者入力部123として機能するとともに、電子機器100と使用者との間の出力インターフェースを提供することができる。
【0038】
インターフェース部160は、電子機器100に連結される多様な種類の外部機器との通路の役割を遂行する。このようなインターフェース部160は、有/無線ヘッドセットポート(wired/wireless headset port)、外部充電器ポート、有/無線データポート(wired/wireless data port)、メモリカードポート(memory card port)、識別モジュールが備えられた装置を連結するポート(port)、オーディオI/Oポート(Audio Input/Output port)、ビデオI/Oポート(Video Input/Output port)、イヤホンポート(earphone port)のうち少なくとも一つを含むことができる。電子機器100では、前記インターフェース部160に外部機器が連結されることに対応して、連結された外部機器に関連した適切な制御を遂行できる。
【0039】
また、メモリ170は電子機器100の多様な機能を支援するデータを保存する。メモリ170は、電子機器100で駆動される多数の応用プログラム(application programまたはapplication)、電子機器100の動作のためのデータ、命令語を保存することができる。このような応用プログラムのうち少なくとも一部は、無線通信を通じて外部サーバーからダウンロードされ得る。また、このような応用プログラムのうち少なくとも一部は、電子機器100の基本的な機能(例えば、電話着信、発信機能、メッセージ受信、発信機能)のために出庫当時から電子機器100上に存在することができる。一方、応用プログラムは、メモリ170に保存され、電子機器100上にインストールされて、制御部180によって前記電子機器の動作または機能を遂行するように駆動され得る。
【0040】
制御部180は、前記応用プログラムに関連した動作の他にも、通常的に電子機器100の全般的な動作を制御する。制御部180は前記にて詳察した構成要素を通じて入力または出力される信号、データ、情報などを処理したりメモリ170に保存された応用プログラムを駆動することによって、使用者に適切な情報または機能を提供または処理することができる。
【0041】
また、制御部180は、メモリ170に保存された応用プログラムを駆動するために、
図1と共に詳察した構成要素のうち少なくとも一部を制御することができる。ひいては、制御部180は、前記応用プログラムの駆動のために、電子機器100に含まれた構成要素のうち少なくとも二つ以上を互いに組み合わせて動作させることができる。
【0042】
電源供給部190は、制御部180の制御下で、外部の電源、内部の電源が印加されて電子機器100に含まれた各構成要素に電源を供給する。このような電源供給部190はバッテリーを含み、前記バッテリーは内蔵型バッテリーまたは取り替え可能な形態のバッテリーとなり得る。
【0043】
前記各構成要素のうち少なくとも一部は、以下で説明される多様な実施例に係る電子機器100の動作、制御、または制御方法を具現するために互いに協力して動作することができる。また、前記電子機器100の動作、制御、または制御方法は、前記メモリ170に保存された少なくとも一つの応用プログラムの駆動によって電子機器100上で具現され得る。
【0044】
本明細書で電子機器100は、体内代謝物質定量化装置(以下、「定量化装置」という)を含むことができる。
【0045】
図2は、本開示の一実施例に係るAI装置のブロック図である。
【0046】
前記AI装置20は、AIプロセッシングを遂行できるAIモジュールを含む電子機器または前記AIモジュールを含むサーバーなどを含むことができる。また、前記AI装置20は、
図1に図示された電子機器100の少なくとも一部の構成として含まれてAIプロセッシングのうち少なくとも一部を共に遂行するように備えられてもよい。
【0047】
具体的には、前記AI装置20は、
図2に図示された通り、AIプロセッサ21、メモリ25、および/または通信部27を含むことができる。
【0048】
前記AI装置20は、ニューラルネットワークを学習できるコンピューティング装置であって、サーバー、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPCなどのような多様な電子装置で具現され得る。
【0049】
AIプロセッサ21はメモリ25に保存されたプログラムを利用して、人工ニューラルネットワークを学習することができる。特に、AIプロセッサ21は1次元MRSスペクトルの入力を受けて、入力を受けたスペクトルに比べて信号品質が改善されたスペクトルを予測し、予測されたスペクトルを出力することができる。ここで、信号品質を改善する方法としては、ノイズ除去(Denoising)、周波数/位相調整(Frequency/Phase-adjustment)、および線幅狭小化(Line-narrowed)を例に挙げることができる。
【0050】
また、AIプロセッサ21は後述される予測部に搭載された人工ニューラルネットワークを構成することができる。
【0051】
一方、前述したような機能を遂行するAIプロセッサ21は汎用プロセッサ(例えば、CPU、Central Processing Unit)であり得るが、人工知能学習のためのAI専用プロセッサ(例えば、GPU、Graphics Processing Unit)であり得る。
【0052】
メモリ25はAI装置20の動作に必要な各種プログラムおよびデータを保存することができる。メモリ25は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、フラッシュメモリ(flash-memory)、ハードディスクドライブ(HDD)、またはソリッドステートドライブ(Solid-State Drive、SDD)等で具現することができる。メモリ25は、AIプロセッサ21によりアクセスされ、AIプロセッサ21によるデータの読み取り/記録/修正/削除/更新などが遂行され得る。また、メモリ25は本開示の一実施例に係るデータ分類/認識のための学習アルゴリズムを通じて生成されたニューラルネットワークモデル(例えば、ディープラーニングモデル)を保存することができる。
【0053】
一方、AIプロセッサ21はデータ分類/認識のためのニューラルネットワークを学習するデータ学習部を含むことができる。例えば、データ学習部は、学習に利用される学習データを獲得し、獲得された学習データをディープラーニングモデルに適用することによって、ディープラーニングモデルを学習することができる。
【0054】
通信部27はAIプロセッサ21によるAIプロセッシング結果を外部電子機器に伝送することができる。
【0055】
ここで、外部電子機器は他の端末および/またはサーバーを含むことができる。
【0056】
一方、
図2に図示されたAI装置20は、AIプロセッサ21とメモリ25、通信部27等で機能的に区分して説明したが、前述した構成要素が一つのモジュールで統合されてAIモジュールまたは人工知能(AI)モデルと呼称されてもよい。
【0057】
図3Aは、本開示に適用され得る定量化装置のパイプラインを例示する。
【0058】
図3Aを参照すると、定量化装置300は、入力部330、制御部180、および出力部340を含むことができ、定量化装置300の制御部180は、予測部310および後処理部320を含むことができる。
【0059】
一般的に、MRSデータ内の代謝物質定量化は非線形最小二乗法(Nonlinear-Least-Squares method、NLLS method)に基づいたデジタル信号処理方式で処理されていたが、これは初期の媒介変数条件およびアルゴリズムによる不完全な定量化結果を示す問題点があった。
【0060】
このような定量化結果の不確実性信頼指標としては、クラメール・ラオの下限(Cramer-Rao lower bound、CRLB)を活用した。具体的には、従来はCRLB criterion(20%、30%または50%)を経験的に設定した後、それ以上のCRLB値を示す定量化結果については、「信頼できない定量化結果」と判断して、研究/診断の目的などで活用せずに除いた。
【0061】
しかし、CRLBの統計的意味は正確度ではなく精密度であるので、上限を基準として定量化結果の活用可否を判断する目的でデータスクリーニングをする場合、医療統計偏向を示す危険があることが報告された。
【0062】
したがって、代謝物質定量化方式および性能改善、より正確な定量化結果の信頼指標の開発はMRSデータを医療診断の目的で活用するために非常に重要である。本開示で定量化装置300は、改善された代謝物質定量化の正確度および不確実性情報を提供することができる。このために、予測部310は人工ニューラルネットワークを含むことができる。人工ニューラルネットワークはベイジアン深層畳み込み人工ニューラルネットワーク(Bayesian convolutional neural network、BCNN)であり得る。BCNNの単純化されたデザイン、そして代謝物質濃度(metabolite content)および関連した不確実性(associated uncertainty、)を推定するための該当人工ニューラルネットワークの訓練についてのワークフローを図示すると、
図3Bの通りである。
【0063】
図3Bを参照すると、人工ニューラルネットワークの入力は3.0Tでシミュレーションされた人間の脳のスペクトルである。これは、一般的に、低いSNR、線幅広がり(line-broading)、MM信号(MM signal)、分からないベースライン(unknown baseline)、および位相/周波数偏移(phase/frequency shift)によって低下する。グラウンドトゥルースターゲットスペクトルは、SNR、線幅(linewith)、および位相/周波数を調整する前、かつMM信号を追加する前の代謝物質のみのスペクトル(Metobolite-only spectrum)である。人工ニューラルネットワークの出力は、代謝物質のみのスペクトル(Metabolite-only spectrum)とノイズ分散スペクトル(Noise variance spectrum)で構成される。T回のモンテカルロドロップアウトサンプリング(Monte Carlo dropout sampling)で入力スペクトル当たり総T個の出力を得る(T=50)。代謝物質のみの出力スペクトル(Metabolite-only output spectra)の平均(予測平均スペクトル、Predictive mean spectrum)は、BCNN-予測スペクトル(BCNN-predicted spectrum)で指定される。代謝物質のみの出力スペクトルの分散(variance)は、認識論的(モデル)不確実性スペクトル(Epistemic(model) uncertainty spectrum)で指定される。ノイズ分散スペクトル(noise variance spectra)の平均は、内在的(データ)不確実性スペクトル(Aleatoric(data) uncertainty spectrum)で指定される。2-標準偏差スペクトル(two-standard deviation spectrum、2SD spectrum)は、2×標準偏差スペクトルと定義される。標準偏差スペクトル(SD-spectrum)は(総不確実性スペクトル)
1/2から獲得される。総不確実性スペクトル(Total uncertainty spectrum)は、内在的不確実性スペクトルと認識論的不確実性スペクトルを合わせたものである。個別代謝物質濃度(individual metabolite content)および関連した不確実性(associated uncertainty、)をそれぞれ推定するために、代謝物質基礎セット(Metabolite basis set)を利用して、BCNN-予測スペクトルと2SDスペクトルの双方で多重回帰(multiple regression)が遂行される。前記不確実性(uncertainty)は2-標準偏差スペクトル(2SD spectrum)から推定されるが、2-標準偏差スペクトルが絶対モード(absolute mode)で与えられると、この場合、代謝物質基礎セット(Metabolite basis set)も絶対モードとして使われる。最後に、BCNN-予測代謝物質濃度(BCNN-predicted metabolite content)は「代謝物質濃度(%不確実性)」で表示される。ここで、「%不確実性」は、推定された不確実性をそれぞれの代謝物質濃度の百分率に変換することによって得ることができる。
【0064】
再び
図3Aを参照すると、予測部310は、入力部330から、1次元MRSスペクトルの入力を受けて該当スペクトルの信号品質が改善されたスペクトルを予測し、このように予測された第1データを出力部340に伝達して出力することができる。第1データは、
図3Bを参照した説明において代謝物質のみの出力スペクトル(Metabolite-only output spectra)に対応し得る。
【0065】
また、予測部310は、教師なし学習(Unsupervised learning)に基づいて、予測された出力スペクトルについての分散スペクトル(variance spectrum)である第2データを出力部340に伝達して第2データを第1データと共に出力することができる。第2データは、
図3Bを参照した説明においてノイズ分散スペクトル(noise variance spectra)に対応し得る。
【0066】
後処理部320は、予測部310から第1データおよび第2データをそれぞれ1次元信号処理した後、代謝物質濃度である第3データ、代謝物質の百分率標準偏差値である第4データを計算することができる。
【0067】
出力部340は、第3データ、第4データ、および前述したパイプラインで発生し得る中間段階のスペクトル(例えば、第1データ、第2データ、入力部330の前処理されたデータなど)の伝達を受けて、そのスペクトルを使用者画面に表示することができる。
【0068】
図4は、本開示が適用され得る入力部の動作の例示である。
【0069】
図4を参照すると、入力部330は入力されるデータを処理して予測部310または出力部340に伝達することができる。
【0070】
入力部330は暗号化されたMRSデータの入力を受ける(S410)。
【0071】
その後、入力部330は暗号化されたMRSデータのヘッダ認識が可能であるかを判断する(S420)。
【0072】
判断の結果、ヘッダ認識が不可である場合(S420、N)、使用者は直接MRSデータの情報を入力することができる(S430)。
【0073】
判断の結果、ヘッダ認識が可能な場合(S420、Y)、入力部330はヘッダからMRSデータのメーカーおよび暗号化情報を獲得することができる。
【0074】
その後、入力部330は暗号化情報に基づいて、MRSデータの復号化を進める(S440)。
【0075】
入力部330は復号化されたデータを高速フーリエ変換し(Fast Fourier Transform、FFT)、実数値を獲得する(S450)。
【0076】
入力部330は実数値のデータを正規化する(S460)。例えば、正規化方法はzero to one、zero centered、四分位範囲(interquartile range、IQR)等が使われ得る。
【0077】
入力部330は、正規化されたデータを予測部310に入力できるようにインデクシング(indexing)し、データを切断する(S470)。
【0078】
このように切断されたデータすなわち、前処理が完了したデータは予測部310に伝達され、予測部310でベクトル化された後、出力部340でスペクトル図の形態で表示され得る。
【0079】
図5は、本開示が適用され得る予測部の動作の例示である。
【0080】
図5を参照すると、予測部310は入力部330から前処理されたデータの入力を受ける(S510)。
【0081】
予測部310は前処理されたデータに基づいてサンプルスペクトルおよびサンプルスペクトルの内在的不確実性情報を予測する(S520)。例えば、予測部310は人工ニューラルネットワークを利用して、サンプルスペクトルおよび内在的不確実性情報を予測することができる。より詳しくは、予測部310に搭載された人工ニューラルネットワークはモンテカルロドロップアウト(Monte-Carlo Dropout)を使ったベイジアン近似化(Bayesian approximation)基盤の変分推論(Variational Inference)ネットワーク構造を示す。前記人工ニューラルネットワークは、教師あり学習(Supervised learning)を通じて予測されたサンプル(Predicted Sample)について、各サンプルの内在的不確実性情報を教師なし学習に基づいて予測して出力することができる。ここで、「サンプルスペクトル」および「内在的不確実性情報」は、それぞれ
図3Bを参照した説明において「代謝物質のみの出力スペクトル(Metabolite-only output spectra)」および「ノイズ分散スペクトル(noise variance spectra)」に対応し得る。このような人工ニューラルネットワークは、異分散(Heteroscedasticity)を考慮した損失関数(loss function)を使って事前訓練され得る。事前訓練のためにビッグデータが利用され得る。
【0082】
一例として、予測部310は、前処理されたデータに含まれたサンプル数(N)により、サンプル数だけ繰り返して内在的不確実性情報を予測することができる。他の例として、繰り返される予測回数は使用者によって経験的に設定され得る。
【0083】
例えば、N回予測される場合、予測部310は入力されたスペクトルに対応するN個のサンプルスペクトルと各サンプルスペクトルに対応するN個の内在的不確実性スペクトル(ノイズ分散スペクトル)を生成することができる。
【0084】
前述した通り、前処理されたデータからサンプルスペクトルおよび内在的不確実性情報(ノイズ分散スペクトル)が予測されると、予測部310は予測されたサンプルスペクトルおよび予測された内在的不確実性情報をそれぞれ一時保存する(S530、S540)。S530段階で保存されるサンプルスペクトルは、入力された前処理データのスペクトルと比べて信号品質が改善された形態を示すことができる。ここで、信号品質が改善された形態とは、ノイズの除去(Denoising)、周波数/位相調整(Frequency/Phase-adjustment)、および線幅狭小化(Line-narrowed)のうち一つ以上が遂行された形態であることを意味し得る。
【0085】
S530段階の後、予測部310はサンプルスペクトルについての平均を計算する(S550)。
【0086】
S530段階の後、予測部310はサンプルスペクトルについての分散を計算する(S560)。例えば、予測部310はサンプルスペクトルについての分散計算を通じて認識論的不確実性スペクトル(Epistemic uncertainty spectrum)を導き出し、これを保存することができる。
【0087】
より詳しくは、予測部310は人工ニューラルネットワークを利用して、サンプルスペクトルの分散を演算し、演算結果を認識論的不確実性スペクトルとして導き出すことができる。
【0088】
一方、S540段階の後、予測部310はサンプルスペクトル別に内在的不確実性情報(ノイズ分散スペクトル)の平均を計算する(S570)。例えば、予測部310はサンプルスペクトルについての内在的不確実性情報(ノイズ分散スペクトル)の平均計算を通じて内在的不確実性スペクトル(Aleatoric uncertainty spectrum)を導き出し、これを保存することができる。
【0089】
より詳しくは、予測部310はサンプルスペクトルと共に人工ニューラルネットワークの教師なし学習に基づいて、該当サンプルスペクトルについてのノイズ分散スペクトルも予測することができる。したがって、該当ノイズ分散スペクトルもサンプル数だけ形成され得る。
【0090】
例えば、各サンプルスペクトルが50個生成されると、これと同一の個数で50個のノイズ分散スペクトルが共に生成され得、予測部310は50個のノイズ分散スペクトルを平均計算して内在的不確実性スペクトル(Aleatoric uncertainty spectrum)を導き出すことができる。
【0091】
ここで、人工ニューラルネットワークで予測されたサンプルスペクトルの平均は代謝物質定量化に活用され得る。そして、人工ニューラルネットワークで予測されたサンプルスペクトルの分散は認識論的不確実性スペクトル(Epistemic uncertainty spectrum)として活用され得る。そして、人工ニューラルネットワークで予測されたノイズ分散スペクトルの平均は内在的不確実性スペクトル(Aleatoric uncertainty spectrum)として活用され得る。そして、内在的不確実性スペクトルと認識論的不確実性スペクトルの和である総不確実性スペクトルは2-標準偏差スペクトル(2SD spectrum)に活用され得る。そして、2-標準偏差スペクトルは絶対モード(absolute mode)の代謝物質基礎セットとの組み合わせで、多重回帰によって代謝物質濃度(metabolite content)の不確実性を推定するのに使われ得る。すなわち、2-標準偏差スペクトルは代謝物質定量化標準偏差に活用され得る。
【0092】
一方、S550段階の後、予測部310は、計算されたサンプルスペクトルの平均に基づいて、予測平均スペクトル(Predictive mean spectrum)を導き出す(S580)。
【0093】
例えば、N個のサンプルスペクトルについて、予測部310はこれを平均計算して平均スペクトルを計算することができる。より詳しくは、1024 data pointsを有する各サンプルスペクトルが50個生成された場合、予測部310は50個のサンプルスペクトルについて各data point別に平均を計算して予測平均スペクトルを導き出すことができる。
【0094】
一方、S570段階の後、予測部310は認識論的不確実性スペクトルおよび内在的不確実性スペクトルに基づいて、2-標準偏差スペクトル(2SD spectrum)を導き出して保存する(S590)。
【0095】
例えば、2-標準偏差スペクトル(2SD spectrum)で「標準偏差スペクトル(SD spectrum)」は(総不確実性スペクトル)1/2から獲得される。総不確実性スペクトルは「内在的不確実性スペクトル+認識論的不確実性スペクトル」と定義され得る。内在的不確実性(aleatoric uncertainty)は等分散的内在的不確実性(homoscedastic aleatoric uncertainty)と異分散的内在的不確実性(heteroscedastic aleatoric uncertainty)に分類され得る。
【0096】
図6は、本開示が適用され得る後処理部の動作の例示である。
【0097】
図6を参照すると、後処理部320は予測部310から予測平均スペクトル(Predictive mean spectrum)の入力を受ける(S610)。また、後処理部320は予測部310から2-標準偏差スペクトルの入力を受ける(S620)。
図6で「入力1」および「入力2」は、それぞれ予測平均スペクトルおよび2-標準偏差スペクトルを意味する。
【0098】
後処理部320は予測平均スペクトルおよび2-標準偏差スペクトルにそれぞれベースライン補正(baseline correction)を遂行する(S630)。例えば、後処理部320は、ベースライン補正を通じて、共鳴スペクトルがない領域はすべて0に補正することができる。
【0099】
後処理部320は、代謝物質基礎セット(Metabolite basis set)を利用して、ベースライン補正されたデータの線形回帰を施行する(S640)。
【0100】
例えば、信号品質が低く、各代謝物質スペクトルが重畳されている体内MRSスペクトルとは異なり、代謝物質基礎セットは各代謝物質別の高品質の基準MRSスペクトルの集合を含む。
【0101】
また、代謝物質基礎セットを構成する各代謝物質スペクトルは、体内MRSスペクトルを獲得する時のMRSスキャンパラメータ(例えば、Repetition time(TR)、Echo time(TE)、Localization pulse sequenceなど)と完全に同一の条件下で獲得されなければならない。
【0102】
例えば、1024 data pointsを有する体内MRSスペクトルを対象に17個の代謝物質を定量化しようとする時に使われ得る代謝物質基礎セットは17×1024の行列形式で構成され得、各代謝物質別に独立的なベクトル形態のスペクトル集合で構成され得る。
【0103】
ここで、代謝物質基礎セットを構成する各代謝物質スペクトルを獲得する方法としては、次を例に挙げることができる。
【0104】
1)密度行列(Density matrix)を使った量子力学的計算。すなわち、近似化されたシミュレーション方式;各代謝物質の分子構造に起因した磁場環境での量子力学的特性(Number of spin、Chemical shift、J-coupling)が特定のMRS scan parameter(TR、TE、Localization pulse sequence)下で示す反応。
【0105】
2)各代謝物質試料を高濃度水溶液として製造した後、円形のガラス球などに入れてターゲットとなる体内MRSスペクトルと同一のプロトコルでMRS scanをしてデータを獲得する方法。
【0106】
後処理部320は、線形回帰を通じて、予測平均スペクトルで代謝物質濃度値を計算し、これを一時保存する(S612)。
【0107】
後処理部320は、線形回帰を通じて、2-標準偏差スペクトルで代謝物質の標準偏差値を計算し、これを一時保存する(S622)。
【0108】
例えば、線形回帰でムーア-ペンローズの擬似逆行列(Moore-Penrose pseudo inverse matrix)を通じての特異値分解(Singular Value Decompsition;SVD)がなされ得る。
【0109】
後処理部320は、正規化関数を通じて、代謝物質濃度値および代謝物質の標準偏差値をそれぞれ正規化して、正規化された代謝物質濃度値および正規化された代謝物質の標準偏差値をそれぞれ一時保存する(S614、S624)。
【0110】
例えば、正規化過程は数式1により計算され得る。具体的には、水に対する代謝物質の相対濃度、または基準代謝物質(e.g.Creatine+Phosphocreatine)に対する相対濃度を考慮し、水に対する代謝物質の相対濃度の計算は次の数式(1)により計算され得る。
【数2】
【0111】
数式1で、Concmetaはターゲットとなる代謝物質の濃度(mmol/L)を意味し得る。SmetaとSwaterはそれぞれ代謝物質の信号面積、水の信号面積を意味し得る。CorrTissはMRS信号を得た生体組織内の水の比率を意味し得る。Nspinswaterは共鳴信号を発生させるのに参加した水のスピン数、Nspinsmetaは共鳴信号を発生させるのに参加したターゲット代謝物質のスピン数を意味し得る。数式1は、水のT1弛緩時間とT2弛緩時間、および代謝物質のT1弛緩時間とT2弛緩時間を考慮した補正項の追加を通じて変形され得る。後処理部320は正規化された代謝物質濃度値および正規化された代謝物質の標準偏差値それぞれをベクトル形態に変換して出力部340に伝達することができる。
【0112】
また、後処理部320は、代謝物質濃度値に相応する代謝物質基礎セット内の代謝物質共鳴信号と代謝物質濃度値のスカラー積を取った後、すべてを合わせて再構築信号を形成し、入力値(入力1)と再構築信号との差を示す信号を求めることができる(S613)。
【0113】
また、後処理部320は、正規化された代謝物質の標準偏差値に相応する代謝物質基礎セット内の代謝物質共鳴信号と正規化された代謝物質の標準偏差値のスカラー積を取った後、すべてを合わせて再構築信号を形成し、入力値(入力2)と再構築信号との差を示す信号を求めることができる(S623)。例えば、このような偏差関連演算に活用される代謝物質基礎セットは絶対値の形態に変換された形態を有することができる。
【0114】
再構築信号は、正規化された代謝物質濃度値および正規化された代謝物質の標準偏差値が実際に正確に演算されたかを確認するのに使われ得る。
【0115】
例えば、1024 data pointsを有するMRSスペクトルを利用して予測される予測平均スペクトルおよび2-標準偏差スペクトルは、すべてそれぞれ1024 data pointsを示すことができる。
【0116】
この時、1024 data pointsを有する17種の代謝物質濃度の算出のためのムーア-ペンローズの擬似逆行列(Moore-Penrose pseudo inverse matrix)基盤の線形回帰(pinv)過程は、代謝物質濃度算出過程と代謝物質標準偏差算出過程からなるが、各過程についての算出式は次の通りである。下記の算出式でpinvは擬似逆行列を意味し、absは絶対値を意味する。
【0117】
‐代謝物質濃度[1×17vector]=予測平均スペクトル[1×1024vector]×pinv(代謝物質基礎セット)[1024×17matrix]
‐代謝物質標準偏差[17]=標準偏差スペクトル[1024]×pinv(abs(代謝物質基礎セット))[1024×17]
一方、再構築は予測平均スペクトルについての再構築スペクトル算出過程と2×標準偏差スペクトルについての再構築スペクトル算出過程からなり、各過程についての算出式は次の通りである。下記の算出式で、sumは和を意味し、absは絶対値を意味する。
【0118】
‐予測平均スペクトルの再構築スペクトル[1024]=sum(代謝物質濃度×(代謝物質基礎セット))
‐2-標準偏差スペクトルの再構築スペクトル[1024]=sum(代謝物質標準偏差×(abs(代謝物質基礎セット)))
後処理部320は、このように再構築されたスペクトルと基準となる各スペクトルとの差を確認することができる。そして、確認結果に基づいて、予測部310が正常作動されるかどうかを確認することができる。
【0119】
図7は、本開示が適用され得る正常作動検証の例示である。
【0120】
図7の(A)は、上から順にターゲット体内頭脳MRSスペクトル(in vivo)、予測平均スペクトル(Pred.)、再構築された予測平均スペクトル(Recon.)、予測平均スペクトルと再構築された予測平均スペクトルとの間の差(Pred.-Recon.)を例示する。
図7の(B)は、上から順に2×標準偏差スペクトル(2SD)、再構築された2×標準偏差スペクトル(Recon2SD)、2×標準偏差スペクトル(2SD)と再構築された2×標準偏差スペクトル(Recon2SD)との間の差(2SD-Recon2SD)を例示する。
【0121】
再び
図6を参照すると、後処理部320は、S613段階およびS623段階でそれぞれ獲得したスペクトルをベクトル行列に変換した後、出力部340に含まれたデータ出力部に伝達することができる。
【0122】
出力部340は次のデータの入力を受けて出力することができる。
【0123】
‐入力部330から、前処理が完了したMRSデータ
‐予測部310から、予測平均スペクトル、2-標準偏差スペクトル(2SD spectrum)
‐後処理部320から、正規化された代謝物質濃度値(代謝物質正規化値)、正規化された代謝物質の標準偏差値(代謝物質標準偏差正規化値)、正規化された代謝物質濃度値と予測平均スペクトル(S610)との間の差のスペクトル、正規化された代謝物質の標準偏差値と標準偏差スペクトル(S620)との間の差のスペクトル
出力部340は、各入力を使用者画面上に結果として表示することができる。
【0124】
例えば、患者から獲得されて前処理が完了したMRSデータから定量化結果スペクトル(人工ニューラルネットワーク予測スペクトルおよび再構築スペクトル)までの一連の定量化過程が順に配置および表示され得、これと共に各代謝物質別定量化濃度、信頼指標情報が共に表示され得る。
【0125】
また、出力部340のインターフェースは、使用者が望む各代謝物質の単独定量化結果を表示できるユーザ反応型で構成され得る。また、インターフェースには、定量化結果をスプレッドシートまたはイメージの形態で装置の外部に出力できるオプションが含まれ得る。
【0126】
図8は、本開示が適用され得る定量化装置の動作の一実施例を図示したフローチャートである。
【0127】
図8を参照すると、定量化装置300は、前述した入力部330、予測部310、後処理部320、および出力部340を含むことができる。
【0128】
定量化装置300は、入力部330を通じて、暗号化されたMRS(MR spectroscopy)データの入力を受けて、これを前処理して前処理されたデータを予測部310に伝達する(S8010)。例えば、前処理は予測部310に入力されるための、復号化、高速フーリエ変換を通じての実数値の獲得、実数値の正規化、インデクシング、およびデータ切断作業を含むことができる。
【0129】
定量化装置300は、予測部310に含まれた人工ニューラルネットワークを通じて、前処理されたデータに基づいて、MRSデータのサンプルスペクトルおよび内在的不確実性情報(ノイズ分散スペクトル)を予測する(S8020)。例えば、人工ニューラルネットワークはベイジアン深層畳み込み人工ニューラルネットワーク(Bayesian Convolutional Neural Network、BCNN)であり得、予測部310は人工ニューラルネットワークを通じて、内在的不確実性情報(ノイズ分散スペクトル)を予測することができる。万一、前処理されたデータに含まれたサンプルの数が複数である場合、予測部310はサンプルの数に応じて繰り返して内在的不確実性情報(ノイズ分散スペクトル)を予測することができる。
【0130】
また、サンプルスペクトルは、前処理されたデータのスペクトルと比べて信号品質が改善された形態を有することができる。
【0131】
定量化装置300は、サンプルスペクトルの平均を計算して予測平均スペクトル(Predictive mean spectrum)を生成する(S8030)。例えば、予測平均スペクトルはサンプルスペクトルのdata point別平均値に基づいて生成され得る。
【0132】
定量化装置300は、サンプルスペクトルの認識論的不確実性スペクトルを計算する(S8040)。例えば、予測部310はサンプルスペクトルについての分散計算を通じて認識論的不確実性スペクトル(Epistemic uncertainty spectrum)を計算することができる。
【0133】
定量化装置300は、サンプルスペクトルの内在的不確実性スペクトルを計算する(S8050)。例えば、予測部310は内在的不確実性情報の平均を通じてサンプルスペクトルの内在的不確実性スペクトル(Aleatoric uncertainty spectrum)を計算することができる。
【0134】
定量化装置300は、認識論的不確実性スペクトルおよび内在的不確実性スペクトルに基づいて、前記サンプルスペクトルの2-標準偏差スペクトル(2SD spectruam)を計算する(S8060)。
【0135】
定量化装置300は、予測平均スペクトルおよび2-標準偏差スペクトル(2SD spectruam)を後処理部320および出力部340に伝達する。例えば、後処理部320は前述した定量化装置300の定量化が正常作動するかどうかを判断することができる。
【0136】
これを通じて、本明細書はMRSデータを通じての体内代謝物質定量化方法として、既存の技術に比べて顕著に改善された定量化正確度で代謝物質基盤の医療情報の提供が可能である。
【0137】
また、定量化結果信頼度情報は既存の方法と比べて顕著に改善された性能を示して不確実な定量化結果に対するスクリーニングをすることができ、既存の方法と比べて遥かに速い速度で代謝物質定量化が可能であるので、MRSスキャン直後即刻に精密な代謝物質定量化の進行および診断の補助に活用することができる。
【0138】
前述した本明細書は、プログラムが記録された媒体にコンピュータ読み取り可能なコードで具現することが可能である。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータシステムによって読み込まれ得るデータが保存されるすべての種類の記録装置を含む。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Disk)、SDD(Silicon Disk Drive)、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ保存装置などがあり、また、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じての伝送)の形態で具現されるものも含む。したがって、前記の詳細な説明はすべての面で制限的に解釈されてはならず、例示的なものとして考慮されるべきである。本明細書の範囲は添付された請求項の合理的解釈によって決定されるべきであり、本明細書の等価的範囲内でのすべての変更は本明細書の範囲に含まれる。
【0139】
また、以上でサービスおよび実施例を中心に説明したが、これは単に例示に過ぎず、本明細書を限定するものではなく、本明細書が属する分野の通常の知識を有する者であれば、本サービスおよび実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲で以上に例示されていない多様な変形と応用が可能であることが分かるであろう。例えば、実施例に具体的に示された各構成要素は変形して実施できるものである。そして、このような変形と応用に関係した差異点は、添付した請求の範囲で規定する本明細書の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。