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特許7522494広告制御システム、広告制御方法および広告制御プログラム
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  • 特許-広告制御システム、広告制御方法および広告制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】広告制御システム、広告制御方法および広告制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20240718BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240718BHJP
【FI】
G06Q30/0242
G06T19/00 300A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023170372
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2023-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523183585
【氏名又は名称】JP UNIVERSE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】田畑 端
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-147881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 30/0242
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の仮想空間のうち、ユーザのアバターが位置する仮想空間を特定し、
前記複数の仮想空間それぞれと当該仮想空間において表示可能な広告の属性情報を指定する表示条件とを関連付けたポリシーデータベースから、前記ユーザのアバターが位置する仮想空間に関連付けられた表示条件読み出し、
表示候補の属性情報の中に、読み出した前記表示条件を満たす属性情報が存在するか否かを判定し、
読み出した前記表示条件を満たす属性情報に係る広告を、表示広告決定する
広告制御部
を備える広告制御システム。
【請求項2】
前記ポリシーデータベースに記憶された前記表示条件は、広告に係る企業の指定を含む
請求項1に記載の広告制御システム。
【請求項3】
前記広告制御部は、前記アバターに属するアイテムの属性情報と、読み出した前記表示条件とに基づいて、前記表示広告を決定する
請求項1に記載の広告制御システム。
【請求項4】
前記属性情報は、前記アイテムを提供する企業の情報を含み、
読み出した前記表示条件を満たす企業のうち、前記アバターに属するアイテムに係る企業に関連する広告を前記表示広告に決定する
請求項3に記載の広告制御システム。
【請求項5】
前記表示広告は、前記アイテムが属するアバターの近傍に表示される
請求項3または請求項4に記載の広告制御システム。
【請求項6】
複数の仮想空間のうち、ユーザのアバターが位置する仮想空間を特定するステップと、
前記複数の仮想空間それぞれと当該仮想空間において表示可能な広告の属性情報を指定する表示条件とを関連付けたポリシーデータベースから、前記ユーザのアバターが位置する仮想空間に関連付けられた表示条件読み出すステップと、
表示候補の広告の属性情報の中に、読み出した前記表示条件を満たす属性情報が存在するか否かを判定するステップと、
読み出した前記表示条件を満たす属性情報に係る広告を、表示広告決定するステップと、
を備える広告制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、
複数の仮想空間のうち、ユーザのアバターが位置する仮想空間を特定するステップと、
前記複数の仮想空間それぞれと当該仮想空間において表示可能な広告の属性情報を指定する表示条件とを関連付けたポリシーデータベースから、前記ユーザのアバターが位置する仮想空間に関連付けられた表示条件読み出すステップと、
表示候補の広告の属性情報の中に、読み出した前記表示条件を満たす属性情報が存在するか否かを判定するステップと、
読み出した前記表示条件を満たす属性情報に係る広告を、表示広告決定するステップと、
を実行させるための広告制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告制御システム、広告制御方法および広告制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元の仮想空間を提供するメタバースサービスが知られている。特許文献1には、メタバースサービスにおいて、仮想空間にてアバターを介して実店舗の商品を発注する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7217831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮想空間に、現実世界の商品または役務を再現したオブジェクトを配置し、広告を提供したいというニーズがある。例えば、メタバースシステムは、広告対象のオブジェクトの近傍に広告主のロゴマークなどを含む広告情報を表示させることができる。一方で、仮想空間はポリシーを持って構築されることが多く、ポリシーから外れるような広告情報が表示されることは好ましくない。
【0005】
本発明の目的は、仮想空間のポリシーに則した広告情報を提供することができる広告制御システム、広告制御方法および広告制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、広告制御システムは、複数の仮想空間それぞれと当該仮想空間において表示可能な広告の条件とを関連付けたデータベースから、複数の仮想空間のうちユーザのアバターが位置する仮想空間に関連付けられた条件を特定する特定部と、特定した条件に従って、表示広告を決定する決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、広告制御システムは、仮想空間のポリシーに則した広告情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係るメタバースシステムの構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係るサーバ装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る基幹サーバの機能構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係るメタバースシステムによる広告提供方法を示すフローチャートである。
図5】第1の実施形態に係る広告情報が表示された画面例を示す図である。
図6】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〈第1の実施形態〉
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係るメタバースシステムの構成を示す図である。
メタバースシステム1は、サーバ装置10と、クライアント端末30と、を備える。メタバースシステム1は、アバターを介して探索可能な仮想空間をユーザに提供する。企業は、メタバースシステム1を用いて現実世界の商品または役務をアバターを介してユーザに体験させる体験広告を提供することができる。つまり、メタバースシステム1は、広告制御システムの一例である。第1の実施形態に係るメタバースシステム1では、基幹となる仮想空間(ベース空間)が、様々な企業が提供する独自の仮想空間(サービス空間)にリンクする。これにより、ユーザは、アバターを介して複数の仮想空間を自由に移動することができる。第1の実施形態に係るメタバースシステム1では、複数の仮想空間は、それぞれ異なるサーバ装置10によって提供される。以下、ベース空間を提供するサーバ装置10を基幹サーバ10Bと呼び、サービス空間を提供するサーバ装置10を企業サーバ10Cとよぶ。
【0010】
サーバ装置10は、仮想空間の管理および制御を行う。なお、仮想空間の管理および制御は、当該仮想空間に配置されたアバターの管理および制御を含む。仮想空間の管理および制御は、サーバ装置10が搭載するメタバースエンジンによって実現される。メタバースエンジンは、例えば三次元オブジェクトの描画、オブジェクトの衝突判定、ファイルシステム管理などの機能を有するミドルウェアである。サーバ装置10は、複数のサーバ装置によって構成され、または仮想化された複数のサーバ装置によって構成された分散システムであってよい。
各サーバ装置10(特に企業サーバ10C)は、メタバースシステム1の管理者からPaaS(Platform as a Service)として提供される同一のクラウド基盤上に設けられた個別の実行環境であってもよい。
【0011】
サーバ装置10のうち特に基幹サーバ10Bは、ベース空間の管理および制御に加え、さらにユーザの管理および決済処理を行う。
企業サーバ10Cは、サービス空間の管理および制御を行う。企業サーバ10Cは、基幹サーバ10Bからユーザデータを取得し、当該ユーザデータに基づいてサービス空間におけるアバターの制御を行う。
【0012】
クライアント端末30は、ユーザによって操作される端末である。クライアント端末30の例としては、PC、スマートフォン、タブレット端末、VRヘッドセットなどが挙げられる。クライアント端末30は、少なくとも入力装置と出力装置とを備える。出力装置は、サーバ装置10から送信される仮想空間の表示データに従って、仮想空間を描画した画像を表示する。仮想空間の描画は、クライアント端末30においてなされてもよいし、サーバ装置においてなされてもよい。第1の実施形態に係るメタバースシステム1では、仮想空間の描画はサーバ装置においてなされる。クライアント端末30は、入力装置を介してユーザの操作を受け付け、操作信号をサーバ装置10に送信する。ユーザの操作には、アバターのアクションの指示、設定の変更指示などが含まれる。入力装置の例としては、タッチパネル、ボタン、ジョイスティックなどが挙げられる。
【0013】
サーバ装置10とクライアント端末30とは、インターネットなどのネットワークを介して互いにデータの送受信を行う。
【0014】
《サーバ装置10について》
図2は、第1の実施形態に係るサーバ装置10の機能構成を示すブロック図である。
サーバ装置10は、三次元の仮想空間をシミュレートする。
【0015】
サーバ装置10は、アセットデータベース11、配置部12、受信部13、オブジェクト制御部14、描画部15、送信部16、連携部17を備える。
【0016】
アセットデータベース11は、仮想空間に配置されるオブジェクトに関するデータを記憶する。具体的には、アセットデータベース11は、オブジェクト名と、オブジェクトの形状を表す三次元モデルと、オブジェクトに設定されたアルゴリズムと、を関連付けて記憶する。
【0017】
配置部12は、仮想空間にオブジェクトのインスタンスを配置する。以下、オブジェクトのインスタンスのことを単にオブジェクトともいう。オブジェクトには、アバター、NPC(Non Player Character)、地形、建造物、背景などが含まれる。
【0018】
受信部13は、クライアント端末30からアバターの操作信号を受信する。
【0019】
オブジェクト制御部14は、仮想空間に配置されたオブジェクトを制御する。例えば、オブジェクト制御部14は、オブジェクトに設定されたアルゴリズムに従ってオブジェクトの位置および姿勢を決定する。オブジェクト制御部14は、受信部13が受信した操作信号に従ってアバターのオブジェクトの位置および姿勢を制御する。オブジェクト制御部14は、複数のオブジェクトどうしの衝突判定を行い、判定結果に基づいてアルゴリズムに従った処理を実行する。
【0020】
描画部15は、仮想空間に配置された仮想カメラの視点に基づいて仮想空間を描画する。仮想カメラは、例えばアバターの背後(三人称視点)に位置していてもよいし、アバターの視点(一人称視点)に位置していてもよい。
【0021】
送信部16は、仮想空間を描画した画像データを表示させるための表示信号をクライアント端末30に送信する。
【0022】
連携部17は、他のサーバ装置10とのデータの授受を行う。例えば、連携部17は、アバターが他の仮想空間へ移動するときに、移動先の仮想空間を管理する他のサーバ装置10に、制御に必要な情報を送信する。例えば、連携部17は、仮想空間におけるサービスの提供のために、アバターに係るユーザの情報の授受を行う。
【0023】
《基幹サーバ10Bについて》
図3は、第1の実施形態に係る基幹サーバ10Bの機能構成を示すブロック図である。
基幹サーバ10Bは、サーバ装置10の機能に加え、さらにユーザデータベース18、ユーザ管理部19、アイテムデータベース20、広告データベース21、ポリシーデータベース22および広告制御部23を有する。
【0024】
ユーザデータベース18は、メタバースシステム1のユーザの情報を記憶する。具体的には、ユーザデータベース18は、ユーザのアカウント名と、認証情報と、アバターの設定データと、決済手段情報を関連付けて記憶する。
【0025】
認証情報は、メタバースシステム1へのログインのためにユーザ個人を認証するためのデータである。認証情報の例としては、パスワードや生体データ(例えば指紋データ)などが挙げられる。履歴データは、ユーザの行動履歴を示すデータである。
【0026】
決済手段情報は、ユーザが保有する、メタバースシステム1において利用可能な仮想通貨(暗号資産に限らない)の情報である。メタバースシステム1において法定通貨が用いられる場合、決済手段情報は、クレジットカード情報や銀行口座情報であってもよい。
【0027】
ユーザ管理部19は、ユーザからクライアント端末30を介してアカウント名および認証情報の入力を受け付け、ユーザの認証処理を行う。ユーザ管理部19は、認証処理に成功したら、アクセスされたクライアント端末30と認証されたユーザのアカウントとを紐づけるログイン処理を行う。以降、サーバ装置10は、クライアント端末30から操作信号を受信した場合、当該操作信号が当該クライアント端末30に紐づけられたユーザのアバターについての操作信号であると判断する。
【0028】
アイテムデータベース20は、アバターごとに、当該アバターに属するアイテムの情報を記憶する。アイテムとは、アバターの装飾に用いられるデータである。アイテムの例としては、衣服や自動車などの物品や、髪型やメイクなどの非物品、ダンスアクションやポーズなどのアバターのアクションなどが挙げられる。アイテムは、三次元モデルであるオブジェクトであってもよいし、テクスチャデータのような形状のないデータであってもよい。具体的には、アイテムデータベース20は、アバターを識別するアバターIDと、当該アバターに属するアイテムを識別するアイテムIDと、当該アイテムの提供元(スポンサー)の企業を識別する企業IDと、商品種別とを関連付けて記憶する。なお、アイテムデータベース20において企業IDは任意項目であってよい。つまり、スポンサーが存在しないアイテムがあってもよい。企業IDおよび商品種別は、アイテムの属性情報の一例である。
【0029】
広告データベース21は、広告情報を記憶する。具体的には、広告データベース21は、企業を特定する企業IDと、広告データと、業種データとを関連付けて記憶する。広告データは、クライアント端末30に表示させる広告情報のデータである。広告データの例としては、企業名を表す文字列、企業のロゴマークを表示する画像、動画像、三次元モデルなどが挙げられる。業種データは、企業が属する業種を表す。業種データは、例えば、製造業、建設業、小売業、サービス業などの大分類、食品製造業、飲料製造業、繊維工業、印刷業、電気機械器具製造業などの中分類、および織物業、シャツ製造業、下着類製造業、和装製品製造業などの小分類で、異なる粒度で業種を特定かのうなデータである。
【0030】
ポリシーデータベース22は、各サービス空間における広告情報の表示ポリシーを記憶する。具体的には、ポリシーデータベース22は、サービス空間のIDと、広告の表示条件と、適用条件とを関連付けて記憶する。表示条件は、広告の表示を許可する企業の企業ID、または表示を許可する企業の業種を指定するもの(ホワイトリスト)であってもよいし、広告の表示を禁止する企業の企業ID、または表示を禁止する企業の業種を指定するもの(ブラックリスト)であってもよい。ホワイトリストの場合は、例えば自社の企業ID、協業相手の企業IDなどが指定される。ブラックリストの場合は、例えば競合企業の企業ID、自社と同一の業種、サービス空間の世界観にそぐわない業種などが指定される。適用条件は、表示条件による広告の抑制を適用する条件を表す。適用条件の例としては、サービス空間から退出するまで適用、サービス空間の滞在10分間に適用、ユーザによる選択に従って適用、などが挙げられる。
【0031】
広告制御部23は、クライアント端末30に表示させる広告データを決定する。広告制御部23による広告データの決定方法は、以下の通りである。
まず広告制御部23は、仮想空間のうち描画部15によって描画される範囲に存在するアバター(操作対象のアバターを含む)を特定する。広告制御部23は、アイテムデータベース20から、特定されたアバターそれぞれに属するアイテムのスポンサーを特定する。広告制御部23は、ポリシーデータベース22を参照し、特定したスポンサーのうち、描画される仮想空間における広告の表示条件を満たすものを抽出する。広告制御部23は、抽出したスポンサーに係る広告データを広告データベース21から読み出す。広告制御部23は、読み出した広告データを、当該広告データに係るスポンサーのアイテムを持つアバターの近傍に配置する。なお、アバターが持つアイテムの中に、表示条件を満たすアイテムがない場合、広告制御部23は、当該アバターの近傍に広告データを配置しない。
【0032】
広告制御部23は、受信部13がクライアント端末30から受信する操作信号や、連携部17が企業サーバ10Cから受信するユーザデータに基づいて、アバターが存在する仮想空間を特定することができる。
【0033】
《広告の提供方法》
ユーザは、クライアント端末30を用いて基幹サーバ10Bにアクセスする。ユーザは、クライアント端末30を用いてアカウント名および認証情報を基幹サーバ10Bに送信する。基幹サーバ10Bのユーザ管理部19は、クライアント端末30から受信したアカウント名と認証情報の組み合わせをユーザデータベース18に記憶されたアカウント名と認証情報の組み合わせと照合し、ユーザのログイン処理を行う。
【0034】
ログイン処理に成功すると、基幹サーバ10Bの配置部12は、ベース空間にユーザのアバターを配置する。描画部15は、アバターに応じた視点でベース空間を描画し、送信部16がクライアント端末30に表示信号を送信する。これによりクライアント端末30には、ベース空間の画像が表示される。ユーザは、クライアント端末30を操作し、ベース空間を探索することができる。
【0035】
図4は、第1の実施形態に係るメタバースシステム1による広告提供方法を示すフローチャートである。サーバ装置10は、アバターが仮想空間に存在する間、以下の処理を繰り返し実行する。
サーバ装置10は、クライアント端末30からユーザの操作による操作信号を受信する(ステップS1)。オブジェクト制御部14が操作信号に基づいてアバターのオブジェクトを制御する(ステップS2)。なお、オブジェクト制御部14は、アバターのオブジェクトのみならず、複数のオブジェクトそれぞれについて制御を行う。描画部15は、制御後のアバターに係る視点で仮想空間を描画する(ステップS3)。
【0036】
広告制御部23は、ユーザのアバターが位置する仮想空間を特定する(ステップS4)。広告制御部23は、ポリシーデータベース22において、特定された仮想空間に関連付けられた表示条件および適用条件を読み出す(ステップS5)。
【0037】
広告制御部23は、描画範囲に存在するアバターを特定する(ステップS6)。広告制御部23は、ステップS6で特定されたアバターを1つずつ選択し(ステップS7)、選択されたアバターについて、以下のステップS8からステップS11の処理を実行する。
【0038】
広告制御部23は、選択されたアバターに属する1または複数のアイテムそれぞれに関連付けられた企業IDを特定する(ステップS8)。広告制御部23は、特定した企業IDの中に、ステップS5で読み出した表示条件および適用条件を満たす企業が存在するか否かを判定する(ステップS9)。条件を満たす企業が存在する場合(ステップS9:YES)、広告制御部23は、条件を満たす企業から、所定の上限数以内で広告を表示させる企業を決定する(ステップS10)。広告制御部23は、広告データベース21から決定した企業に係る広告データを読み出し、描画された画像のうちステップS7で選択されたアバターの近傍に配置する(ステップS11)。
他方、条件を満たす企業が存在しない場合(ステップS9:NO)、広告制御部23は、ステップS7で選択されたアバターの近傍に広告データを配置しない。
【0039】
ステップS6で特定されたアバターそれぞれの近傍に広告データが配置されると、送信部16はクライアント端末30に表示信号を送信する(ステップS12)。これにより、図5に示すように、アバターの近傍に広告情報が配置された画像がクライアント端末30に表示される。図5は、第1の実施形態に係る広告情報が表示された画面例を示す図である。
【0040】
このように、第1の実施形態によれば、メタバースシステム1は、複数の仮想空間それぞれと当該仮想空間において表示可能な広告の条件とを関連付けたデータベースから、複数の仮想空間のうちユーザのアバターが位置する仮想空間に関連付けられた条件を特定し、特定した条件に従って、表示広告を決定する。これにより、メタバースシステム1は、仮想空間のポリシーに則した広告情報を提供することができる。
【0041】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0042】
上述した実施形態に係るメタバースシステム1は、サーバ装置10にて仮想空間の描画を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るメタバースシステム1は、クライアント端末30で描画処理を行ってもよい。第1の実施形態では、広告制御部23は、ステップS6で、描画範囲に存在するアバターを特定するが、仮想空間の描画をクライアント端末30で行う場合、広告制御部23は、例えばユーザのアバターまたはカメラから所定距離以内に存在するアバターを特定するようにしてもよい。そして、送信部16は、描画前の三次元モデルと、表示させる広告データと対応するアバターとの関係を示すデータとを、クライアント端末30に送信してもよい。
【0043】
上述した実施形態に係るメタバースシステム1の広告制御部23は、アイテムデータベース20と広告データベース21とを参照して、アイテムが属する企業とその業種を特定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るメタバースシステム1では、アイテムID自体が、企業および製品の種類を表すものであってもよい。例えば、アイテムIDが「A100TM」のように6桁の英数字で表される場合に、1文字目のアルファベットが業種の大分類を示し、2-4文字目の数字が業種の中分類を示し、5文字目のアルファベットが企業を示し、6文字目のアルファベットが製品の種類を示すものであってよい。また、他の実施形態に係るメタバースシステム1では、企業IDが、企業の業種を表すものであってもよい。
【0044】
上述した実施形態に係るメタバースシステム1は、描画される各アバターの近傍に広告情報を表示させるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るメタバースシステム1は、ユーザのアバターの近傍に広告情報を表示させ、他のアバターの近傍には広告情報を表示させないものであってもよい。また例えば、他の実施形態に係るメタバースシステム1は、アバターの近傍のみならず、NPCオブジェクトや、非人物オブジェクトの近傍にも広告情報を表示させるものであってもよい。
【0045】
上述した実施形態に係るメタバースシステム1は、異なる座標空間に構築された仮想空間であるベース空間とサービス空間とをリンクさせることで、一連のメタバースを提供するが、これに限られない。例えば他の実施形態に係るメタバースシステム1に係るサービス空間は、ベース空間の一部領域であってもよい。このようにベース空間上に設けられる企業ごとのサービス空間も、複数の仮想空間の一例である。この場合、広告制御部23は、ベース空間においてアバターが存在する座標から、アバターがいずれのサービス空間に存在するかを特定することができる。
【0046】
〈コンピュータ構成〉
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ93、ストレージ95、インタフェース97を備える。
上述のサーバ装置10は、1または複数のコンピュータ90によって実現される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ95に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ95から読み出してメインメモリ93に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ93に確保する。プロセッサ91の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0047】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ90は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ91によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。また、他の実施形態においては、コンピュータ90は、1または複数のコンピュータ上で仮想化されたものであってもよい。
【0048】
ストレージ95の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ95は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース97または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ93に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ95は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0049】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ95に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…メタバースシステム 10…サーバ装置 10B…基幹サーバ 10C…企業サーバ 11…アセットデータベース 12…配置部 13…受信部 14…オブジェクト制御部 15…描画部 16…送信部 17…連携部 18…ユーザデータベース 19…ユーザ管理部 20…アイテムデータベース 21…広告データベース 22…ポリシーデータベース 23…広告制御部 30…クライアント端末 90…コンピュータ 91…プロセッサ 93…メインメモリ 95…ストレージ 97…インタフェース
【要約】
【課題】仮想空間のポリシーに則した広告情報を提供する。
【解決手段】特定部は、複数の仮想空間それぞれと当該仮想空間において表示可能な広告の条件とを関連付けたデータベースから、複数の仮想空間のうちユーザのアバターが位置する仮想空間に関連付けられた条件を特定する。決定部は、特定した条件に従って、表示広告を決定する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6