(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】竹割機
(51)【国際特許分類】
B27J 1/00 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
B27J1/00 K
(21)【出願番号】P 2023204687
(22)【出願日】2023-12-04
【審査請求日】2023-12-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516269489
【氏名又は名称】トヨタエンジニアリング有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】豊田 弘美
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】実公昭35-013496(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹が挿通されるように間隔を空けて上下に配置された2つの送り出しローラと、
2つの前記送り出しローラの間に挿通された竹が送り出されるように、前記送り出しローラを駆動する送り出しローラ駆動部と、
前記送り出しローラから送り出された前記竹を複数に分割する刃物と、
前記刃物で分割された分割竹が挿通されるように間隔を空けて上下に配置された2つの引込ローラと、
前記分割竹を前記刃物から引き込むように、前記引込ローラを駆動する引込ローラ駆動部と、を備え
、
前記送り出しローラの表面に複数の突起が設けられており、
前記突起は前記送り出しローラの幅方向において4列配置されており、
中央側の2列の前記突起は、外側の2列の前記突起よりも、前記送り出しローラの表面からの高さが低く、
前記引込ローラの表面に複数の突起が設けられている、
ことを特徴とする竹割機。
【請求項2】
2つの前記送り出しローラの回転軸線を含む仮想的な面と、前記刃物との距離が140mm以上170mm以下であり、
前記刃物と、2つの前記引込ローラの回転軸線を含む仮想的な面との距離が140mm以上170mm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の竹割機。
【請求項3】
2つの前記送り出しローラの少なくとも一方が他方に接近するように弾性部材によって付勢されており、2つの前記送り出しローラの間に挿通される竹の直径に応じて2つの前記送り出しローラの間隔が調整される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の竹割機。
【請求項4】
2つの前記引込ローラの少なくとも一方が他方に接近するように弾性部材によって付勢されており、2つの前記引込ローラの間に挿通される前記分割竹の量に応じて2つの前記引込ローラの間隔が調整される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の竹割機。
【請求項5】
2つの前記送り出しローラの間に挿通する前記竹をスライド自在に支持する支持アームを備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の竹割機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹を分割する竹割機に関する。
【背景技術】
【0002】
伐採竹の利用方法として、竹を燃料化して熱利用することがこれまで行われている。竹を燃料化する方法の一つとして、竹を縦方向に切断して複数に分割し、その後、チッパー等でより細かく竹を裁断してチップにする方法が用いられている。竹を分割して減容すると、竹を乾燥し易くできる。竹を乾燥させると竹の燃焼熱量が増加することから、竹を分割することにより、竹を燃料として使用する際の効率を高めることができる。
【0003】
人力で竹を分割するための道具として、複数の刃を放射状に設けた竹割具等が用いられている。大量の竹を分割するために、竹割機、竹割装置等が用いられている。例えば、特許文献1には、チェーンに突設した爪によって竹を押して、鉈刃に竹を押し付けて、2分割する竹の2分割装置が開示されている。また、特許文献2には、油圧または空圧シリンダを用いて竹を押して移動させ、刃物で竹を縦方向に分割する竹割機が開示されている。さらに、特許文献3には、竹を鉛直方向に投入し、下方に配置した分割刃に竹を上から押し下げて分割させる竹割装置が開示されている。竹割機等によって竹を分割した後、竹を裁断してチップにすることで、竹を燃料として使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭52-38699号公報
【文献】特開2000-198102号公報
【文献】特開2004-262098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
竹を燃料として使用するために、チッパー等でチップ化する前に、大量の竹を連続してスムーズに分割する装置が必要である。従来の竹割機、例えば、特許文献1~3に開示されているものは、何れも竹を刃に押し付けて分割する竹割機である。竹を刃に押し付ける手段だけを用いた従来の竹割機は、分割した竹が刃の近傍に残存したり、竹の後端部まで分割できない場合があった。このような状態になると、作業員が竹を刃から取り除く手間が生じ、連続してスムーズに大量の竹を分割することができない。また、細長い竹は、従来の竹割機で刃物に押し当てて割ろうとすると曲がりやすく、節の部分を分割することが難しかった。小径(80mm以下)の竹の場合、従来の竹割機で押し割りすると曲損する場合があり、節近傍で割れずに折損することもあった。
【0006】
本発明は、分割した分割竹を刃物の近傍に残存させることなく、竹をスムーズに移動させて、竹の後端まで確実に分割できる竹割機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る竹割機は、竹が挿通されるように間隔を空けて上下に配置された2つの送り出しローラと、2つの前記送り出しローラの間に挿通された竹が送り出されるように、前記送り出しローラを駆動する送り出しローラ駆動部と、前記送り出しローラから送り出された前記竹を複数に分割する刃物と、前記刃物で分割された分割竹が挿通されるように間隔を空けて上下に配置された2つの引込ローラと、前記分割竹を前記刃物から引き込むように、前記引込ローラを駆動する引込ローラ駆動部と、を備える。
【0008】
係る構成を備える竹割機によれば、送り出しローラおよび引込ローラを用いることによって、竹を刃物に押し付けるだけでなく、分割竹を引込ローラで引き込み、さらに、2つの送り出しローラによって竹を圧縮して亀裂を生じさせることによって、竹を後端まで確実に連続してスムーズに分割することができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る竹割機において、2つの前記送り出しローラの回転軸線を含む仮想的な面と、前記刃物との距離が140mm以上170mm以下であり、前記刃物と、2つの前記引込ローラの回転軸線を含む仮想的な面との距離が140mm以上170mm以下である。
【0010】
係る構成を備える竹割機によれば、分割する竹の長さが一定の長さ以上であれば、分割竹を刃物から確実に取り除いて次の場所へと移動させることができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る竹割機は、2つの前記送り出しローラの少なくとも一方が他方に接近するように弾性部材によって付勢されており、2つの前記送り出しローラの間に挿通される竹の直径に応じて2つの前記送り出しローラの間隔が調整される。
【0012】
係る構成を備える竹割機によれば、2つの送り出しローラの間隔が変化することで、様々な直径の竹をスムーズに刃物へと送り出すことができる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る竹割機において、2つの前記引込ローラの少なくとも一方が他方に接近するように弾性部材によって付勢されており、2つの前記引込ローラの間に挿通される分割竹の量に応じて2つの前記引込ローラの間隔が調整される。
【0014】
係る構成を備える竹割機によれば、2つの引込ローラの間に分割竹が詰まりそうになっても、2つの引込ローラの間隔が変化することにより、分割竹が2つの引込ローラの間に詰まるのを阻止し、引込ローラが停止するのを防止することができる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る竹割機において、2つの前記送り出しローラの間に挿通する前記竹をスライド自在に支持する支持アームを備える。
【0016】
係る構成を備える竹割機によれば、作業員が2つの送り出しローラの間に竹を挿通する際に、竹の位置決めが容易になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、分割した分割竹を刃物の近傍に残存させることなく、竹をスムーズに移動させて、竹の後端まで確実に分割することができる竹割機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図4】(a)は送り出しローラの正面図であり、(b)は送り出しローラの右側面図である。
【
図5】(a)は刃物の正面図であり、(b)は刃物の側面図である。
【
図6】竹を分割している状態の竹割機の右側面図である。
【
図7】(a)は引込ローラの正面図であり、(b)は引込ローラの右側面図である。
【
図8】竹割機の左側面図であり、チェーンおよびスプロケットの概略図である。
【
図9】竹の前端部を送り出しローラに入れた状態の竹割機の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る竹割機1について、図面を参照しつつ説明する。
図1の右側面図、
図2の背面図および
図3の正面図に示すように、本実施形態の竹割機1は、上下に間隔を空けて配置された2つの送り出しローラ2と、2つの送り出しローラ2を駆動する送り出しローラ駆動部5と、竹10を複数に分割する刃物3と、上下に間隔を空けて配置された2つの引込ローラ4と、2つの引込ローラ4を回転させる引込ローラ駆動部5と、2つの送り出しローラ2の間に入れる竹10をスライド自在に支持する支持アーム6と、を備える。本実施形態は、送り出しローラ駆動部5および引込ローラ駆動部5として、1つの駆動部5を用いる。
図1に示すように、刃物3は、送り出しローラ2と引込ローラ4との間で、竹10が通過する位置に配置されている。本実施形態では、竹割機1が分割する竹10の大きさは、直径80mm以下としている。竹割機1が分割する竹10の大きさは限定するものではなく、竹割機1を、直径80mm以上の竹10を分割する構成とすることも可能である。
【0020】
図1および
図2に示すように、2つの送り出しローラ2は、竹10が挿通されるように上下に所定の間隔をあけて支柱11に取り付けられている。
図4に示すように、送り出しローラ2は、複数の突起21が送り出しローラ本体20の表面に設けられている。駆動部5によって2つの送り出しローラ2は互いに逆回転しており、2つの送り出しローラ2は、2つの送り出しローラ2の間に挿通された竹10を、突起21で引っ掛けて刃物3の方へと送り出し、竹10を刃物3に押し付ける。2つの送り出しローラ2によって竹10を送り出す際に、送り出しローラ2は竹10を圧縮し、さらに、送り出しローラ2の突起21が竹10に刺さることで竹10に亀裂、割れを生じさせる。
【0021】
2つの送り出しローラ2は、少なくとも一方の送り出しローラ2が、他方の送り出しローラ2に接近するように、弾性部材によって付勢されている。2つの送り出しローラ2の間に竹10が挿通されると、2つの送り出しローラ2の間隔は弾性部材によって調整される。本実施形態は、第1弾性部材27によって、上側の送り出しローラ2を下側の送り出しローラ2へと付勢する構成を用いている。そして、上側の送り出しローラ2が上下に移動することで、2つの送り出しローラ2の間に挿通される竹10の直径に応じて、2つの送り出しローラ2の間隔が変化して調整され、2つの送り出しローラ2は竹10を圧縮しながら通過させる。
【0022】
下側の送り出しローラ2は、支柱11に回転可能に支持されている。上側の送り出しローラ2は、第1支持部材25に回転可能に支持されている。第1支持部材25は、支柱11の上端に、軸26を中心に回動可能に取り付けられていることから、上側の送り出しローラ2は支柱11に対して上下に移動可能となっている。そして、第1支持部材25の上には、第1弾性部材27を配置しており、第1支持部材25には、第1弾性部材27によって下方への力が作用している。
【0023】
上側の送り出しローラ2の第1支持部材25は、
図1のように、2つの送り出しローラ2の間に竹10が挿入されていない状態では、支柱11に対して矢印Aの方向に回動可能な状態で取り付けられている。この時、第1弾性部材27であるバネによって第1支持部材25に対して下方への力が作用しており、第1弾性部材27によって、上側の送り出しローラ2を、下側の送り出しローラ2へと付勢する力が作用している状態である。
図1の状態で、上側の送り出しローラ2に対して上向きの力が作用すると、第1支持部材25に上向きの力が作用して、第1支持部材25が軸26を中心に矢印Aの方向に回動する。つまり、第1支持部材25は、上側の送り出しローラ2に作用する上向きの力によって上方に移動可能となっている。また、第1支持部材25が上方に移動することにより、上側の送り出しローラ2は、
図1の状態から上方に移動する。上側の送り出しローラ2が上方に移動すると、2つの送り出しローラ2の間隔は広くなる。
【0024】
上側の送り出しローラ2が上方に移動している状態で、上側の送り出しローラ2に加えられていた上向きの力が解除されると、第1支持部材25は矢印Aと逆方向に回動することにより、上側の送り出しローラ2は下方へと移動して、
図1の状態に戻る。竹割機1は、上側の送り出しローラ2を支持する第1支持部材25を上下に移動可能に支柱11に取り付け、第1支持部材25に対して下方への弾性力を作用させることにより、上側の送り出しローラ2を、下側の送り出しローラ2へと付勢する。2つの送り出しローラ2の間に力が作用した時に、上側の送り出しローラ2が上方に移動することで、2つの送り出しローラ2の間隔が調整され、送り出しローラ2の回転が停止するのを防止することができる。
【0025】
2つの送り出しローラ2の間隔よりも直径が大きい竹10を、水平方向に向けて2つの送り出しローラ2の間に挿通させると、竹10の前端部は2つの送り出しローラ2に挟持される。このとき、下側の送り出しローラ2は上下動不能に設けられているため、2つの送り出しローラ2の間へ竹10の前端部が挿入されることによって上側の送り出しローラ2のみが上方へ移動する。上側の送り出しローラ2が上方に移動して、2つの送り出しローラ2の間隔が広がり始めると、竹10は2つの送り出しローラ2によって圧縮されながら、2つの送り出しローラ2の間を通過して刃物3の方へと送り出されることになるので、送り出しローラ2は回転を停止することなく、竹10を圧縮しながら送り出すことができる。この時、上側の送り出しローラ2には第1弾性部材27によって下方への弾性力が作用していることから、上側の送り出しローラ2は竹10を上から押圧している。そのため、竹10は送り出しローラ2によって縦方向に圧縮されており、さらに、この時、竹10には、送り出しローラ2の突起21が刺さることから、竹10には亀裂、割れ等が生じた状態となる。このように、第1弾性部材27は、上側の送り出しローラ2に対して、上側の送り出しローラ2が竹10を圧縮した状態で送り出すことができる大きさの力を、作用させている。竹10が2つの送り出しローラ2の間に挿通されている時は、上側の送り出しローラ2が上方に移動した状態が続く。そして、竹10が2つの送り出しローラ2の間を通過し終わると、上側の送り出しローラ2は、下方へと移動して
図1の位置に戻る。このようにして、2つの送り出しローラ2の間隔が、分割する竹10の直径に応じて、上側の送り出しローラ2が上方に移動して、2つの送り出しローラ2の間隔を調整し、2つの送り出しローラ2は様々な直径の竹10を圧縮しながら送り出すことができ、竹割機1は、直径80mm以下の様々な直径の竹10を分割することができる。竹10の直径が、2つの送り出しローラ2の間隔と近い場合は、上側の送り出しローラ2は上方への移動量は少なくなり、竹10を十分に圧縮できない可能性があるが、この場合でも、送り出しローラ2は、突起21が竹10に刺さることで、竹10を刃物3へと送り出すことはできる。また、第1弾性部材17によって上側の送り出しローラ2に作用している下方への力は、一定の範囲の直径の竹10が圧縮されながら通過できる程度に設定することが好ましい。
【0026】
本実施形態では、第1弾性部材27によって上側の送り出しローラ2を下側の送り出しローラ2へと付勢することにより、2つの送り出しローラ2の間隔を調整する形態について説明した。しかしながら、弾性部材を用いて下側の送り出しローラ2を上側の送り出しローラ2へと付勢することにより、2つの送り出しローラ2の間隔を調整する形態、弾性部材を用いて上側の送り出しローラ2および下側の送り出しローラ2を互いに近づく方向に付勢することにより、2つの送り出しローラ2の間隔を調整する形態も可能である。
【0027】
本実施形態の送り出しローラ2は、
図4に示すように、突起21は、トガリ先六角穴付止ネジ22の略円錐形の先端を利用している。突起21は、筒状の送り出しローラ本体20の表面に所定の間隔で配置されている。本実施形態では、送り出しローラ本体20に、トガリ先六角穴付止ネジ22が、2つずつ円周方向に所定の間隔で配置されている。2つのトガリ先六角穴付止ネジ22の中心の、送り出しローラ2の幅方向の間隔は、広い間隔(44mm)と狭い間隔(22mm)の2種類である。広い間隔のトガリ先六角穴付止ネジ22と狭い間隔のトガリ先六角穴付止ネジ22とは、送り出しローラ本体20の円周方向に交互に配置されている。トガリ先六角穴付止ネジ22を、送り出しローラ本体20の外側からネジ穴に挿入してネジ係合させ、送り出しローラ本体20の表面でナット24をトガリ先六角穴付止ネジ22に係合させて、トガリ先六角穴付止ネジ22を送り出しローラ本体20に固定すると、ナット24からトガリ先六角穴付止ネジ22の先端が突出した状態となる。本実施形態では、長さの異なる2種類のトガリ先六角穴付止ネジ22を用いて、送り出しローラ本体20の表面からの突出量が異なる2種類の突起21を設ける。長い方のトガリ先六角穴付止ネジ22を、広い間隔のネジ穴に挿入してネジ係合させ、短い方のトガリ先六角穴付止ネジ22を、狭い間隔のネジ穴に挿入してネジ係合させ、長さおよび間隔の異なる2種類の突起21を設ける。送り出しローラ本体20に突起21を設けると、
図4に示すような、複数の突起21が設けられた送り出しローラ2となる。
【0028】
本実施形態では、長い方のトガリ先六角穴付止ネジ22は、送り出しローラ本体20の表面からの突出量を20mmとし、短い方のトガリ先六角穴付止ネジ22は、送り出しローラ本体20の表面からの突出量を15mmとしている。トガリ先六角穴付止ネジ22の突出量は、本実施形態の値に限定するものではなく、適宜変更可能である。トガリ先六角穴付止ネジ22によって形成した突起21は、送り出しローラ本体20の表面の幅方向において中央付近の2列の突起21は高さが低く、左右両側の突起21は高さが高くなっており、円筒形状の竹10の表面に合わせて突起21を配置している。このような突起21の配置によって、竹10の表面に対して全ての突起21が刺さりやすくなっている。異なる間隔および長さで配置した2種類の突起21がそれぞれ竹10の表面に刺さることで、送り出しローラ2は、竹10に亀裂、割れを生じさせながら、確実に竹10を刃物3の方へと送り出して、竹10を刃物3に押し付けることができる。突起21については、本実施形態のようなトガリ先六角穴付止ネジ22を用いる形態に限定するものではなく、他の形態も可能である。また、トガリ先六角穴付止ネジ22は、長さ、個数、間隔、配置等についても、本実施形態に限定するものではない。さらに、送り出しローラ2はローラ本体に突起を設けない形態も可能である。例えば、竹10を送り出すことができるように送り出しローラ2のローラ本体の表面に加工を施す、送り出しローラ2のローラ本体またはローラ本体の表面をゴム等で形成する形態等も可能である。
【0029】
送り出しローラ2には、
図4に示すように、送り出しローラ本体20の表面の両端部から全周にわたって半径方向に突出するリブ29が設けられている。本実施形態では、
図4(b)に示すように、リング状のプレートを送り出しローラ本体20の両側面に固定してリブ29を形成している。リブ29は、送り出しローラ本体20の表面からの突出量を、17.5mmとしており、2種類の長さのトガリ先六角穴付止ネジ22の突出量の間としている。2つの送り出しローラ2の間に竹10を挿通させる際に竹10が進行方向に対して左右に移動した時に、リブ29によって竹10が送り出しローラ2からはみ出るのを防止する。リブ29の形態はリング状のプレートに限定するものではなく、円形のプレートを送り出しローラ本体20に固定した形態等、様々な形態が可能である。
【0030】
刃物3は、竹10を複数に分割するための刃31を有している。本実施形態では、
図5に示すように、刃物3は、竹10を分割するための1つの刃31、刃31を支持する2本のアーム32、および、2本のアーム32が固定された矩形の固定プレート33を有する。刃31は、刃渡り方向を縦方向に向けた状態で、上端および下端が、固定プレート33から横方向に延伸する2本のアーム32によって支持されている。刃物3は、1つの刃31によって竹10を左右に2分割する。刃物3は、2つの送り出しローラ2と2つの引込ローラ4との間に、刃先を2つの送り出しローラ2の方に向けて、竹10が通過する高さで、支柱11に固定された取付部材12にボルトを用いて取り付けられている。竹10を左右2分割するために、正面視において、刃31の刃渡り方向が、送り出しローラ2の幅方向の中心線と重なるように、刃31は配置されている。取付部材12は、刃物3等を支柱11に取り付けるために設けられている溝形鋼である。刃物3を、ボルトで取付部材12に固定するために、固定プレート33には2つのボルト穴34が設けられている。
【0031】
刃物3によって竹10を分割する数は特に限定するものではない。また、刃物3は、刃31が1枚の場合であっても、刃31の刃渡り方向の向きは縦方向に限定するものではなく、横方向、斜め方向とすることも可能である。竹割機1は、刃物3によって、直径80mm以下の竹10を2分割することを想定しているが、分割する竹10の大きさ、長さ等に合わせて、刃物3の刃31の大きさ、形状および配置等については適宜変更可能である。そして、刃物3は、刃31の数および大きさ等が異なる複数の刃物3を予め用意しておき、対象となる竹10の大きさ等に合わせて交換する形態も可能である。
【0032】
図6に示すように、2つの引込ローラ4は、刃物3で分割された分割竹10aが挿通できるように上下に所定の間隔をあけて支柱11に取り付けられている。
図7に示すように、引込ローラ4は、複数の突起41が引込ローラ本体40の表面に設けられている。引込ローラ4は、送り出しローラ2の約3分の1の直径を有し、送り出しローラ2とほぼ同じ幅を有している。駆動部5によって2つの引込ローラ4は互いに逆回転しており、刃物3で分割した分割竹10aを、突起41で引っ掛けて引き込み、刃物3から移動させる。
【0033】
2つの引込ローラ4は、少なくとも一方の引込ローラ4が、他方の引込ローラ4に接近するように、弾性部材によって付勢されている。2つの引込ローラ4の間に分割竹10aが挿通されると、2つの送り出しローラ2の間隔は弾性部材によって調整される。本実施形態は、第2弾性部材47によって、上側の引込ローラ4を下側の引込ローラ4へと付勢する構成を用いている。そして、上側の引込ローラ4が上下に移動することで、2つの引込ローラ4の間に挿通される分割竹10aの量に応じて、2つの引込ローラ4の間隔が変化して調整される。
【0034】
下側の引込ローラ4は第2支持部材45に回転可能に支持されている。第2支持部材45は支柱11に取り付けられており、固定されている。上側の引込ローラ4は、第3支持部材49に回転可能に支持されている。第3支持部材49は、支柱11に固定された取付部材12に、軸46を中心に回動可能に取り付けられていることから、上側の引込ローラ4は、支柱11に対して上下に移動可能に取り付けられている。そして、第3支持部材49の上には、第2弾性部材47が配置されており、第3支持部材49には、第2弾性部材47によって下方への力が作用している。
【0035】
上側の引込ローラ4の第3支持部材49は、
図1のように、2つの引込ローラ4の間に分割竹10aが挿通されていない状態では、支柱11に対して矢印Bの方向に回動可能な状態で取り付けられている。この時、第2弾性部材47であるバネによって第3支持部材49に対して下方への力が作用しており、第2弾性部材47によって、上側の引込ローラ4を、下側の引込ローラ4へと付勢する力が作用している状態である。
図1の状態で、上側の引込ローラ4に対して上向きの力が作用すると、第3支持部材49に上向きの力が作用して、第3支持部材49が軸46を中心に矢印Bの方向に回動する。つまり、第3支持部材49は、上側の引込ローラ4に作用する上向きの力によって上方に移動可能となっている。また、第3支持部材49が上方に移動することにより、上側の引込ローラ4は、
図1の状態から上方に移動する。上側の引込ローラ4が上方に移動すると、2つの引込ローラ4の間隔は広くなる。
【0036】
上側の引込ローラ4が上方に移動している状態で、上側の引込ローラ4に加えられていた上向きの力が解除されると、第3支持部材49は矢印Bと逆方向に回動することにより、上側の引込ローラ4は下方へと移動して、
図1の状態に戻る。竹割機1は、上側の引込ローラ4を支持する第3支持部材49を上下に移動可能に支柱11に対して取り付け、第3支持部材49に対して下方への弾性力を作用させることにより、上側の引込ローラ4を、下側の引込ローラ4へと付勢する。2つの引込ローラ4の間に力が作用した場合、上側の引込ローラ4が上方に移動することで、2つの引込ローラ4の間隔が調整され、引込ローラ4の回転が停止するのを防止することができる。
【0037】
2つの引込ローラ4の間に分割竹10aが挿通される時、2つの引込ローラ4の間隔よりも、分割竹10aの高さが大きいことにより、分割竹10aによって2つの引込ローラ4に対して力が加わる。このとき、下側の引込ローラ4は上下動不能に設けられているため、分割竹10aからの力によって上側の引込ローラ4のみが上方へ移動する。上側の引込ローラ4のみが上方に移動して、2つの引込ローラ4の間隔が広がると、分割竹10aは、2つの引込ローラ4の間を通過できるようになって、分割竹10aは2つの引込ローラ4の間を通過することができる。分割竹10aが2つの引込ローラ4の間を通過し終わると、上側の引込ローラ4は、下方へと移動して
図1の状態に戻る。上側の引込ローラ4が移動することにより、分割竹10aを引込んで、分割竹10aを刃物3から次の場所へと移動させることができる。
【0038】
2つの引込ローラ4の間に分割竹10aが挿通される時に、分割竹10aの厚み、向き等によって、分割竹10aが2つの引込ローラ4の間に詰まりそうになる場合がある。2つの引込ローラ4の間で、分割竹10aが詰まりそうになって引込ローラ4の回転が停止しそうになると、分割竹10aによって2つの引込ローラ4に対してさらなる力が作用する。しかしながら、分割竹10aが詰まりそうな状態となっても、上側の引込ローラ4が上方に移動することで、2つの引込ローラ4の間隔が広がることから、詰まりかけた分割竹10aは、2つの引込ローラ4の間を通過できるようになる。このように、上側の引込ローラ4を第2弾性部材47によって、下側の引込ローラ4へと付勢していることにより、分割竹10aは詰まることなく2つの引込ローラ4の間を通過することができ、引込ローラ4の回転が停止するのを防止することができる。
【0039】
本実施形態では、第2弾性部材47によって上側の引込ローラ4を下側の引込ローラ4へと付勢することにより、2つの引込ローラ4の間隔を調整する形態について説明した。しかしながら、弾性部材を用いて下側の引込ローラ4を上側の引込ローラ4へと付勢することにより、2つの引込ローラ4の間隔を調整する形態、弾性部材を用いて上側の引込ローラ4および下側の引込ローラ4を互いに近づく方向に付勢することにより、2つの引込ローラ4の間隔を調整する形態も可能である。
【0040】
本実施形態では、
図7に示すように、引込ローラ4の突起41は、トガリ先六角穴付止ネジ42の略円錐形の先端を利用している。突起41は、筒状の引込ローラ本体40の表面に所定の間隔で配置されている。本実施形態では、引込ローラ本体40には、トガリ先六角穴付止ネジ42が、引込ローラ本体40の幅方向に4列配置されており、各列のトガリ先六角穴付止ネジ42は円周方向に等間隔で配置されている。そして、隣接する列のトガリ先六角穴付止ネジ42は互い違いになるように配置されている。これにより、
図7に示すように、突起41は、引込ローラ本体40の表面に、千鳥配置されている。トガリ先六角穴付止ネジ42を、引込ローラ本体40の外側からネジ穴に挿入してネジ係合させ、引込ローラ本体40の表面でナット44をトガリ先六角穴付止ネジ42に係合させて固定すると、ナット44からトガリ先六角穴付止ネジ42の先端が突出した状態となる。本実施形態の突起41は、ナット44から突出したトガリ先六角穴付止ネジ42の略円錐形状の先端の部分を用いている。
図4(a)と
図7(a)とを比較すると分かるように、引込ローラ4の突起41は、送り出しローラ2の突起21よりも狭ピッチで配置されていることから、突起41は、分割竹10aを引き込んで次の場所へと移動させるだけではなく、分割竹10aに亀裂を生じさせることができる。トガリ先六角穴付止ネジ42の長さは、全て同じである。突起41については、本実施形態のようなトガリ先六角穴付止ネジ42を用いるものに限定するものではなく、他の形態も可能である。また、トガリ先六角穴付止ネジ42は、長さ、個数、間隔、配置等についても、本実施形態に限定するものではない。さらに、引込ローラ4はローラ本体に突起を設けない形態も可能である。例えば、竹10を引き込むことができるように引込ローラ4のローラ本体の表面に加工を施す、引込ローラ4のローラ本体またはローラ本体の表面をゴム等で形成する形態等も可能である。
【0041】
本実施形態では、
図8に示すように、駆動部5は1つのモータ51を有し、1つのモータ51によって、2つの送り出しローラ2および2つの引込ローラ4を全て同時に回転させる。駆動部5は何れも無端状の第1チェーン52、第2チェーン53および第3チェーン54を有する。駆動部5は、第1チェーン52によって、1つのモータ51で、2つの送り出しローラ2を互いに逆方向に回転させる。第1チェーン52は、モータ51のスプロケット55、支柱11に対して回転可能に支持されているスプロケット59、および、2つの送り出しローラ2の回転軸28にそれぞれ取り付けられた2つの第1スプロケット56に掛け渡されている。第2チェーン53が、上側の送り出しローラ2の回転軸28に取り付けられた第2スプロケット57、および、上側の引込ローラ4の回転軸48に取り付けられたスプロケット58に掛け渡されることで、駆動部5は、1つのモータ51によって、上側の送り出しローラ2と同じ方向に、上側の引込ローラ4を回転させる。第3チェーン54が、下側の送り出しローラ2の回転軸28に取り付けられた第2スプロケット57、および、下側の引込ローラ4の回転軸48に取り付けられたスプロケット58に掛け渡されることで、駆動部5は、1つのモータ51によって、下側の送り出しローラ2と同じ方向に、下側の引込ローラ4を回転させる。
【0042】
竹割機1は、駆動部5の1つのモータ51によって、2つの送り出しローラ2および2つの引込ローラ4を同時に回転させることから、送り出しローラ2によって竹10を移動させる速度と、引込ローラ4によって分割竹10aを移動させる速度との関係を調整することが望ましい。送り出しローラ2が竹10を移動させる速度と、引込ローラ4が分割竹10aを移動させる速度との関係を調整するためには、第2スプロケット57およびスプロケット58の大きさを調整する。例えば、分割竹10aを引込ローラ4によって引き込む際に分割竹10aが滑る、詰まる等の状況が生じた場合に、送り出しローラ2が竹10を無理に押し続けることを防止するために、送り出しローラ2によって竹10を移動させる速度よりも、引込ローラ4によって分割竹10aを移動させる速度の方が少し速くなるように、予め第2スプロケット57およびスプロケット58の大きさを設定することが可能である。そして、竹割機1は、駆動部5として1つのモータ51だけを用いていることにより、2つの送り出しローラ2および2つの引込ローラ4のうちいずれかが回転が停止した場合、残りの送り出しローラ2および引込ローラ4を全て緊急停止させる必要がある。このような問題を解決するために、上述のように、竹割機1は、上側の送り出しローラ2および上側の引込ローラ4を上方に移動可能とすることで、2つの送り出しローラ2および2つの引込ローラ4が停止するのを防止して、モータ51を緊急停止させることを予防している。本実施形態の駆動部5は、送り出しローラ駆動部5および引込ローラ駆動部5を兼ねているが、送り出しローラ駆動部と引込ローラ駆動部とを別の駆動部とすることも可能である、例えば、送り出しローラ駆動部のモータと、引込ローラ駆動のモータとを別々に配置することも可能である。このように、駆動部5として、複数のモータを用いることも可能である。
【0043】
支持アーム6は、作業員が竹10を2つの送り出しローラ2の間に挿通する際に、竹10の位置決めをし易くするために設けられている。
図1に示すように、支持アーム6は、2つの送り出しローラ2の竹10を挿通する側に配置されている。
図2に示すように、支持アーム6は、略半円筒形状を有しており、下から竹10を支持する形状を有している。支持アーム6は、略半円筒形状の部分が、2つの送り出しローラ2の間に位置する高さに設けられている。竹10を分割する際に、作業員が支持アーム6に竹10を載せた状態で、竹10を2つの送り出しローラ2に向かって押してスライドさせることで、竹10の前端部を2つの送り出しローラ2の間に入れ易くなり、細長い竹10を、手作業で正確にそしてスムーズに2つの送り出しローラ2の間に挿通することができる。
【0044】
竹割機1によって竹10を分割し、分割竹10aの前端部が引込ローラ4に引き込まれ始めた時、竹10はまだ送り出しローラ2によって送り出されている状態にある。分割竹10aが引込ローラ4に引き込まれ始めてからしばらくの間は、
図6に示すように、竹10を送り出しローラ2で送り出しながら、分割竹10aを引込ローラ4で引き込む状態が継続する。そして、送り出しローラ2から竹10が離れた後も、引込ローラ4が分割竹10aを引き込んでいることから、竹10は、長さが一定の長さ以上であれば、刃物3を最後まで確実に通過することができる。そして、分割竹10aは、引込ローラ4によって刃物3から離れて次の場所へと移動される。このように、竹10を送り出しローラ2で送り出していると同時に、分割竹10aを引込ローラ4で引き込んでいる状態が生じるように、送り出しローラ2、刃物3および引込ローラ4を所定の間隔で支柱11に対して配置する。竹割機1は、2つの送り出しローラ2の回転軸線を含む仮想的な面Dと、刃物3の中心線C(竹10の進行方向と交差する、刃物3の縦方向の中心線)との距離L1を、140mm以上170mm以下とする。そして、刃物3の中心線Cと、2つの引込ローラ4の回転軸線を含む仮想的な面Eとの距離L2を、140mm以上170mm以下とする。
【0045】
竹割機1は、2つの引込ローラ4によって、分割竹10aを刃物3から離して次の場所へと移動させることができるので、作業員が刃物3の近傍に残存した分割竹10aを取り除く作業が不要となり、竹割機1は、連続してスムーズに竹10を分割することができる。竹割機1は、送り出しローラ2によって竹10を移動させている状態、送り出しローラ2および引込ローラ4によって竹10を移動させている状態、引込ローラ4によって分割竹10aを移動させている状態を連続して行うことで、竹10を最後まで確実に移動させることができ、竹10をスムーズに分割させることができる。
【0046】
竹割機1によって竹10を分割する動作について、
図9および
図6を用いて説明する。まず初めに、作業員は、竹10の前側を支持アーム6に載せて、
図9に示すように、竹10の前端部を2つの送り出しローラ2の間に挿通する。この時、作業員は、竹10の前側を支持アーム6に載せ、竹10の前端部を上下左右に動かして調整するだけで、簡単に竹10の前端部を2つの送り出しローラ2の間に位置決めして挿通することができる。2つの送り出しローラ2の間隔よりも大きい直径の竹10の場合、作業員が竹10を2つの送り出しローラ2の間に挿通すると、竹10の前端部によって、上側の送り出しローラ2を上方に押す力が作用し、第1支持部材25が、
図9に示す矢印Aの方向に回動する。第1支持部材25が回動することにより、上側の送り出しローラ2が上方へと移動する。上側の送り出しローラ2が上方へと移動することで、2つの送り出しローラ2の間隔が広くなり、竹10は2つの送り出しローラ2の間を通過し、刃物3の方へと送り出される。
図9の場合、上側の送り出しローラ2は、竹10によって上方に押されて上方へと移動し、その後、
図6に示すような状態となる。
【0047】
図6では、上側の送り出しローラ2は、竹10によって上方に移動しており、
図9に記載の2つの送り出しローラ2よりも、
図6に記載の2つの送り出しローラ2の方が、間隔が広くなった状態となっている。上側の送り出しローラ2が、
図9から少し上方に移動した状態では、上側の送り出しローラ2は第1弾性部材27によって下方への力が作用しており、送り出しローラ2および第1支持部材25の重量も作用していることから、上側の送り出しローラ2は下側の送り出しローラ2へと付勢されており、上側の送り出しローラ2は竹10を上から押圧している。上側の送り出しローラ2が竹10を押圧することで、突起21が竹10に刺さり、送り出しローラ2は竹10を送り出すことができる。2つの送り出しローラ2は、突起21で竹10を引っ掛けながら、刃物3の方へと竹10を送り出し、刃物3に竹10を押し付ける。この時、竹10は2つの送り出しローラ2によって圧縮され、さらに、突起21が竹10に刺さることによって、竹10は亀裂、割れが生じた状態で、刃物3の方向に送り出される。2つの送り出しローラ2によって刃物3に押し付けられた竹10は、刃物3の刃31によって複数に分割される。竹割機1は、1つの刃31によって竹10を左右2つに分割する。刃物3によって分割された分割竹10aの前端部は、2つの引込ローラ4の間に引き込まれる。このようにして、2つの送り出しローラ2によって竹10に亀裂を生じさせた後で、刃物3で竹10を分割することから、竹10をよりスムーズに分割することができる。
【0048】
分割竹10aが2つの引込ローラ4の間に挿通されると、分割竹10aによって、上側の引込ローラ4を上方に押す力が作用し、第3支持部材49が矢印Bの方向に回動する。第3支持部材49が回動することにより、上側の引込ローラ4が上方に移動する。上側の引込ローラ4が上方に移動することで、2つの引込ローラ4の間隔が広くなり、分割竹10aは引込ローラ4の突起41に引っ掛けられながら、2つの引込ローラ4の間に引き込まれていく。その後、分割竹10aは、
図6に示すように、2つの引込ローラ4の間を、引込ローラ4によって押圧されて圧縮されながら通過していく。この時、2つの引込ローラ4は分割竹10aを圧縮し、突起41によって、分割竹10aにさらに亀裂、割れを生じさせることができる。
【0049】
竹割機1は、分割竹10aが引込ローラ4によって引き込まれ始めてから一定の時間は、
図6に示すように、竹10は、送り出しローラ2によって送り出されている状態が続いている。つまり、竹割機1は、刃物3で竹10を分割する際、一定の時間は、
図6に示すように、竹10が、送り出しローラ2および引込ローラ4によって、移動されている状態となっている。竹割機1において、2つの送り出しローラ2から竹10の後端が離れる時、竹10の後端は刃物3を通過し終わっていない。つまり、2つの送り出しローラ2は、竹10が刃物3を完全に通過する最後まで、竹10を移動させ続けることはできない。しかしながら、竹割機1は、送り出しローラ2から竹10が離れた後も、引込ローラ4が分割竹10aを引き込んでいることから、竹10を最後まで確実に刃物3を通過させることができる。さらに、竹割機1は、分割竹10aを、引込ローラ4によって、刃物3の近傍に留まらせることなく、次の場所へと移動させることができる。
【0050】
竹割機1は、竹10を刃物3の方へと移動させる動作と、分割した分割竹10aを刃物3から移動させる動作を一時的に並行して行うことによって、竹10を確実に最初から最後まで移動させることができ、連続してスムーズに竹10を分割することができる。さらに、竹割機1は、2つの送り出しローラ2によって竹10を圧縮し、さらに突起21が竹10に刺さることで、竹10に亀裂、割れを生じさせて、刃物3で竹10を節まで分割し易くすることができる。引込ローラ4によって分割竹10aを引き込む際にも圧縮し、突起41によって分割竹10aにさらに亀裂を生じさせることで、分割竹10aを細分化し易くすることができ、分割竹10aのチップへの裁断作業が容易になる。また、引込ローラ4によって、分割竹10aを次の場所へと移動させることから、作業員が手作業で、刃物3の近傍に留まった分割竹10aを取り除く作業が不要になる。竹割機1は、作業員が竹10を2つの送り出しローラ2の間に入れるだけで、直径の小さい竹10、短い竹10等も、連続してスムーズに分割することができる。竹割機1は、直径が小さく細長い竹であっても曲がることなく分割することができ、曲損および折損を防止することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば、竹を燃料用のチップとして使用するために、竹を分割する竹割機として使用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 竹割機
10 竹
10a 分割竹
11 支柱
12 取付部材
2 送り出しローラ
20 送り出しローラ本体
21 突起
22 トガリ先六角穴付止ネジ
24 ナット
25 第1支持部材
26 軸
27 第1弾性部材
28 回転軸
29 リブ
3 刃物
31 刃
32 アーム
33 固定プレート
34 ボルト穴
4 引込ローラ
40 引込ローラ本体
41 突起
42 トガリ先六角穴付止ネジ
44 ナット
45 第2支持部材
46 軸
47 第2弾性部材
48 回転軸
49 第3支持部材
5 駆動部
51 モータ
52 第1チェーン
53 第2チェーン
54 第3チェーン
55 スプロケット
56 第1スプロケット
57 第2スプロケット
58 スプロケット
59 スプロケット
6 支持アーム
【要約】 (修正有)
【課題】分割した竹を刃物の近傍に残存させることなく、竹をスムーズに移動させて、竹の後端まで確実に分割できる竹割機を提供する。
【解決手段】竹割機は、竹が挿通されるように間隔を空けて上下に配置された2つの送り出しローラと、2つの前記送り出しローラの間に挿通された竹が送り出されるように、前記送り出しローラを駆動する送り出しローラ駆動部と、前記送り出しローラから送り出された前記竹を複数に分割する刃物と、前記刃物で分割された分割竹が挿通されるように間隔を空けて上下に配置された2つの引込ローラと、前記分割竹を前記刃物から引き込むように、前記引込ローラを駆動する引込ローラ駆動部と、を備える。
【選択図】
図1