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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】飲料用容器およびパッキン
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/16 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
B65D51/16 310
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024014015
(22)【出願日】2024-02-01
【審査請求日】2024-02-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519344914
【氏名又は名称】浙江和莎科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100180976
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】朱 海峰
(72)【発明者】
【氏名】楊 懿
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-237813(JP,A)
【文献】特開2019-077476(JP,A)
【文献】特開2014-061918(JP,A)
【文献】特開2003-170952(JP,A)
【文献】特開平11-349026(JP,A)
【文献】実開昭53-017555(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0200798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D51/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有する容器体と、前記容器体の前記開口に取り付けられる蓋ユニットと、を備える飲料用容器であって、
前記蓋ユニットは、
前記容器体に対して着脱自在に取り付けられる蓋体と、
前記蓋体と、前記開口を構成する前記容器体の縁部との間に設けられるパッキンと、
を有し、
前記パッキンは、
前記蓋ユニットを前記開口に取り付けた状態で、前記縁部の全周にわたり前記縁部と接触する第1部分と、
前記蓋ユニットを前記開口に取り付けた状態で、前記第1部分の周方向における一領域と、前記蓋体と、の間に介在する第2部分と、
前記蓋ユニットを前記開口に取り付けた状態で、前記第1部分の周方向における前記一領域以外の他領域と、前記蓋体と、の間に設けられる第3部分と、
を有し、
前記パッキンの前記開口側であって前記第1部分における前記縁部との当接部分よりも内側に溝が設けられ、
前記蓋ユニットを前記開口に取り付けた状態で、前記容器体の内圧が予め設定された圧力を超えた場合、前記第1部分の前記他領域が前記第3部分側に変形して前記縁部との間に隙間が構成される、飲料用容器。
【請求項2】
前記第3部分は、前記第1部分の前記他領域と前記蓋体との間に設けられる空隙を有する、請求項1記載の飲料用容器。
【請求項3】
前記第3部分は、前記第2部分よりも剛性の低い材料を有する、請求項1記載の飲料用容器。
【請求項4】
前記第1部分の前記他領域は、前記蓋体と前記容器体との間に設けられた空間と隣接する、請求項1記載の飲料用容器。
【請求項5】
前記第3部分は、前記周方向において複数箇所に設けられる、請求項1記載の飲料用容器。
【請求項6】
前記蓋ユニットは前記容器体の前記開口に螺合によって取り付けられ、
前記蓋ユニットを緩めて前記第1部分と前記縁部との間に隙間が生じるまで、前記蓋ユニットと前記容器体との螺合状態が継続される、請求項1記載の飲料用容器。
【請求項7】
前記蓋ユニットは前記容器体の前記開口に螺合によって取り付けられ、
前記パッキンが前記縁部に当接した後の前記蓋ユニットの締め込み深さを規制する規制手段が設けられる、請求項1記載の飲料用容器。
【請求項8】
上部に開口を有する容器体と、前記容器体の前記開口に取り付けられる蓋ユニットと、を備える飲料用容器に用いられ、
前記蓋ユニットに設けられ前記容器体に対して着脱自在に取り付けられる蓋体と、前記開口を構成する前記容器体の縁部と、の間に設けられるパッキンであって、
前記パッキンは、
前記蓋ユニットを前記開口に取り付けた状態で、前記縁部の全周にわたり前記縁部と接触する第1部分と、
前記蓋ユニットを前記開口に取り付けた状態で、前記第1部分の周方向における一領域と、前記蓋体と、の間に介在する第2部分と、
前記蓋ユニットを前記開口に取り付けた状態で、前記第1部分の周方向における前記一領域以外の他領域と、前記蓋体と、の間に設けられる第3部分と、
を有し、
前記パッキンの前記開口側であって前記第1部分における前記縁部との当接部分よりも内側に溝が設けられ、
前記蓋ユニットを前記開口に取り付けた状態で、前記容器体の内圧が予め設定された圧力を超えた場合、前記第1部分の前記他領域が前記第3部分側に変形して前記縁部との間に隙間が構成される、パッキン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器体と蓋ユニットとを備えた飲料用容器およびパッキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料用容器は、例えばステンレスによって筒型に設けられた容器と、容器の開口に着脱自在に設けられる蓋と、を備えている。飲料用容器には、水、お茶、ジュースのほか、炭酸飲料を入れる場合もある。密閉性の高い飲料用容器においては、容器の内圧が上昇して蓋が押し付けられ、蓋を外しにくくなることがある。また、蓋を外した際に開口から内圧が急激に開放され、大きな音が鳴ったり、飲料が噴出したりすることも起こり得る。
【0003】
特許文献1には、蓋体を容易に且つ安全に取り外すことを可能とした蓋付き容器が開示される。この蓋付き容器の蓋体は、開口部を覆う外蓋と、開口部から容器本体の内側に嵌め込まれる内蓋と、記内蓋の外周部に取り付けられた状態で、容器本体と内蓋との間を密閉するシール部材と、外蓋の内側中央部に位置して、内蓋の内側に嵌め込まれる中栓と、中栓の底面中央部に位置して、内蓋の中央部に設けられた通気孔を閉塞する栓体とを有する。
【0004】
特許文献2には、栓体に圧力調整口と圧力逃し通路と圧力調整弁とを設けた液体容器が開示される。この液体容器において、圧力調整弁は容器本体内の内部圧力が常圧時には圧力調整口を閉弁し、高圧時には開弁するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-186014号公報
【文献】特開2003-038360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
飲料用容器において、容器体の内圧を開放するための弁機構を設ける場合であっても、容器体の十分な密閉性を確保することが必要である。一方、飲料用容器において、開口を広くしたほうが利便性(飲料の収容や注ぎ出しのしやすさや、飲みやすさ)を得られ、また、構造の簡素化によるメンテナンス(清掃等)のしやすさも求められる。
【0007】
本発明は、容器体の内圧が所定の圧力を超えた際に自動的に圧力を逃がして内圧を一定範囲内にコントロールできるとともに、開口が広く、利便性の高い飲料用容器およびパッキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、上部に開口を有する容器体と、容器体の開口に取り付けられる蓋ユニットと、を備える飲料用容器であって、蓋ユニットは、容器体に対して着脱自在に取り付けられる蓋体と、蓋体と、開口を構成する容器体の縁部との間に設けられるパッキンと、を有し、パッキンは、蓋ユニットを開口に取り付けた状態で、開口の縁部の全周にわたり縁部と接触する第1部分と、蓋ユニットを開口に取り付けた状態で、第1部分の周方向における一領域と、蓋体と、の間に介在する第2部分と、蓋ユニットを開口に取り付けた状態で、第1部分の周方向における一領域以外の他領域と、蓋体と、の間に設けられる第3部分と、を有し、蓋ユニットを開口に取り付けた状態で、容器体の内圧が予め設定された圧力を超えた場合、第1部分の他領域が第3部分側に変形して縁部との間に隙間が構成される、飲料用容器である。
【0009】
このような構成によれば、蓋ユニットを開口に取り付けた状態で、容器体の内圧が予め設定された圧力を超えた場合、第1部分の他領域が第3部分側に変形して縁部との間に隙間が構成されることから、容器体の内圧上昇が抑制される。
【0010】
上記飲料用容器において、第3部分は、第1部分の他領域と蓋体との間に設けられる空隙を有する構成でもよい。これにより、容器体の内圧が所定の圧力を超えた場合、第1部分の他領域が第3部分の空隙側に変形しやすくなる。
【0011】
上記飲料用容器において、第3部分は、第2部分よりも剛性の低い材料を有する構成でもよい。これにより、第1部分の他領域の変形が生じる容器体の内圧を、第3部分の材料によって設定しやすくなる。
【0012】
上記飲料用容器において、第1部分の他領域は、蓋体と容器体との間に設けられた空間と隣接する構成でもよい。これにより、容器体の内圧が所定の圧力を超えて第1部分の他領域が変形した際、変形箇所から蓋体と容器体との間に設けられた空間に、容器体の内部の気体を逃がすことができる。
【0013】
上記飲料用容器において、第3部分は、周方向において複数箇所に設けられていてもよい。第3部分を設ける個数によって、容器本体の内圧を逃がす所定圧力が調整される。
【0014】
上記飲料用容器において、パッキンの開口側であって第1部分における縁部との当接部分よりも内側に溝が設けられていてもよい。この溝を設けることで、第1部分の縁部との当接部分の厚さよりも、溝の部分の厚さが薄くなり、第3部分の側への変形を行いやすくなる。
【0015】
上記飲料用容器において、蓋ユニットは容器体の開口に螺合によって取り付けられ、蓋ユニットを緩めて第1部分と縁部との間に隙間が生じるまで、蓋ユニットと容器体との螺合状態が継続されることが好ましい。これにより、蓋ユニットを緩める際、容器本体の内部から気体が抜けるまで、蓋ユニットが容器体から外れることがなく、内圧によって蓋ユニットが急激に外れてしまうことを防ぐことができる。
【0016】
上記飲料用容器において、蓋ユニットは容器体の開口に螺合によって取り付けられ、パッキンが縁部に当接した後の蓋ユニットの締め込み深さを規制する規制手段が設けられていてもよい。これにより、蓋ユニットを最も締め込んだ状態でも、容器体の内圧の上昇によって第1部分が第3部分側へ変形できる余地を残しておくことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、容器体の内圧が所定の圧力を超えた際に自動的に圧力を逃がして内圧を一定範囲内にコントロールできるとともに、開口が広く、利便性の高い飲料用容器およびパッキンを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る飲料用容器を例示する斜視図である。
図2】飲料用容器の構成を例示する断面図である。
図3】(a)および(b)は、蓋ユニットに設けられるパッキンを例示する斜視図である。
図4図2のA部の拡大図(一部断面図)である。
図5図2のA部においてパッキンが変形した状態を例示する拡大図(一部断面図)である。
図6】内部の気体の外部への通路を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0020】
(飲料用容器の構成)
図1は、本実施形態に係る飲料用容器を例示する斜視図である。
本実施形態に係る飲料用容器1は、容器体10と、容器体10に取り付けられる蓋ユニット20と、を備える。容器体10は、例えばステンレスによる二重構造(例えば、真空断熱構造)であって底11bが閉じ、上部に開口11hが設けられた筒型の容器本体11を有する。なお、本実施形態では、容器本体11の開口11hが設けられた側を「上」、容器本体11の底11bの側を「下」、上下方向と直交する方向を「径方向」ということにする。容器体10は、容器本体11の開口11hに取り付けられる飲み口体(図示せず)を有していてもよい。
【0021】
図2は、飲料用容器の構成を例示する断面図である。
図3(a)および(b)は、蓋ユニットに設けられるパッキンを例示する斜視図である。
図3(a)はパッキンを上側からみた斜視図が示され、図3(b)にはパッキンを下側からみた斜視図が示される。
【0022】
図2に示すように、蓋ユニット20は、容器体10に螺合によって着脱自在に取り付けられる。容器体10は、容器本体11の上方に延出する上方筒部12を有する。上方筒部12は容器本体11の開口11hよりも上方に設けられた筒状部分であり、開口11hと連通している。すなわち、実質的に開口11hは、上方筒部12の筒内を含むものとなる。上方筒部12の内側には雌ねじ部11aが設けられる。一方、蓋ユニット20には雄ねじ部21aが設けられ、この雄ねじ部21aと雌ねじ部11aとが螺合することで蓋ユニット20が容器体10(容器本体11)の開口11hに着脱自在に取り付けられる。
【0023】
(蓋ユニットの構成)
図2に示すように、蓋ユニット20は、容器本体11の開口11hに嵌め込まれる蓋体21と、この蓋体21と、開口11hを構成する容器本体11の縁部11dとの間に設けられるパッキン22と、を有する。蓋ユニット20は、蓋体21の外側を覆う外装カバー23を有していてもよい。外装カバー23は蓋体21の上側と外周外側とを覆うように設けられる。蓋体21を開口11hに嵌め込むと、外装カバー23は容器本体11の上方筒部の外側に被せられ、蓋体21と容器本体11の上方筒部との螺合部分をカバーするとともに、飲料用容器1の外観の一部を構成する。
【0024】
蓋体21は、上下方向に延在する筒部分211と、筒部分の下側に設けられる底部分212と、を有する。筒部分211の外周には雄ねじ部21aが設けられる。蓋体21を開口11hに螺合によって嵌め込むと、蓋体21の底部分212が開口11hを塞ぐように配置される。蓋ユニット20を開口11hに取り付けた状態で、パッキン22は、蓋体21の底部分212と容器本体11の縁部11dとの間に挟み込まれ、底部分212と縁部11dとの隙間を密閉する役目を果たす。
【0025】
(パッキンの構成)
パッキン22は、蓋体21の底部分212の外周に嵌め込まれている。例えば、パッキン22の全体の形状としては円環状に設けられており、円環状のパッキン22の内周に凹条部22aが設けられている。蓋体21の底部分212の外周に設けられる凸条部212aにパッキン22の内周に設けられた凹条部22aが嵌め込まれることで、パッキン22が蓋体21の底部分212の外周に取り付けられる。なお、パッキン22の全体の形状は円環状に限定されず、皿状(底部分に被せるキャップ状)やOリング状など他の形状であってもよい。パッキン22にはつまみ部225が設けられているとよい。分解清掃やパッキン22の交換を行う場合など、蓋体21の底部分212に嵌め込まれたパッキン22を取り外す際につまみ部225を持って引っ張ることで、容易に取り外すことができるようになる。
【0026】
パッキン22は、第1部分221、第2部分222および第3部分223を有する。第1部分221、第2部分222および第3部分223は互いに一体に形成されていてもよいし、一部が別体に設けられていてもよい。本実施形態では、パッキン22の材料は例えばシリコーン樹脂であり、第1部分221、第2部分222および第3部分223が互いに一体に形成されている。
【0027】
パッキン22の第1部分221は、蓋ユニット20を開口11hに取り付けた状態で、開口11hを構成する縁部11dの全周にわたり縁部11dと接触する部分である。蓋ユニット20を開口11hに取り付けることで、パッキン22の第1部分221によって蓋体21と縁部11dとの隙間が密閉される。
【0028】
パッキン22の第2部分222は、蓋ユニット20を開口11hに取り付けた状態で、第1部分221の周方向における一領域と、蓋体21と、の間に介在する部分である。すなわち、第2部分222は、第1部分221と蓋体21の底部分の外周との間であって、第1部分221の周方向における一部の領域に設けられる。図3(a)に示すように、本実施形態では、第1部分221の上側における縁部分の周方向における2箇所に第2部分222が設けられる。なお、第2部分222は第1部分221の周方向における1箇所に設けられていてもよいし、3箇所以上に設けられていてもよい。
【0029】
パッキン22の第3部分223は、蓋ユニット20を開口11hに取り付けた状態で、第1部分221の周方向における第2部分222が設けられた一領域以外の他領域と、蓋体21と、の間に設けられる部分である。
【0030】
第3部分223は、第3部分223が設けられる第1部分221の他領域上と蓋体21との間に設けられる空隙を有する構成でもよいし、第2部分222よりも剛性の低い材料を有する構成でもよい。
【0031】
第3部分223が設けられていることで、パッキン22の周方向における第1部分221の剛性として、第2部分222が設けられた領域(一領域)の剛性よりも、第3部分223が設けられた領域(他領域)の剛性の方が低くなる。これにより、第1部分221における第3部分223の設けられた領域(他領域)が、第2部分222の設けられた領域(一領域)よりも変形しやすくなる。つまり、例えば、パッキン22の第1部分221が容器本体11からの内圧を受けて、この内圧が所定の圧力を超えた場合、第1部分221における他領域が第3部分223の側へ変形して、第1部分221と縁部11dとの間の密閉性が破られることになる。これにより、容器本体11の内部の気体を外部に逃がし、容器本体11の内圧を下げることができる。
【0032】
図4は、図2のA部の拡大図(一部断面図)である。
パッキン22の第1部分221は、容器本体11の縁部11dと蓋体21の底部分212の外周との間に介在し、両者間の隙間を密閉している。例えば、蓋体21の底部分212の外径は、容器本体11の開口11hの内径(縁部11dの内径)よりも小さくなっており、蓋ユニット20を開口11hに取り付けると、底部分212の外周と開口11hの縁部11dとの間の隙間にパッキン22の第1部分221が介在して、隙間の密閉性を確保している。
【0033】
蓋体21の筒部分211の外径は底部分212の外径よりも大きく、底部分212の外周にパッキン22を取り付けた状態で、パッキン22の外径は筒部分211の外径とほぼ等しくなる。容器本体11の縁部11dは上方筒部12よりも内側にくびれており、このくびれによって段差を構成している。パッキン22は、この縁部11dの段差に当接して開口11hの密閉性を確保している。
【0034】
パッキン22の第1部分221の上側、すなわち第1部分221と蓋体21の縮径部分213(筒部分211から底部分212に至るまでの部分)との間は、周方向に第2部分222と第3部分223とが設けられる。第3部分223が空隙になっている場合、第3部分223の位置におけるパッキン22の厚さは、第2部分222の位置におけるパッキン22の厚さよりも薄くなる。
【0035】
図5は、図2のA部においてパッキンが変形した状態を例示する拡大図(一部断面図)である。
容器本体11に例えば炭酸飲料が入れられている場合など、蓋ユニット20を閉めた状態で容器本体11の内圧が上昇した場合、内圧が所定の圧力を超えると、第1部分221における第3部分223が設けられた領域が押し上げられるように変形する。この変形によって、第1部分221と縁部11dとの間に隙間が発生し、両者間の密閉性が破られることになる。そして、矢印Rに示すように、この隙間から容器本体11の内部の気体が外部に逃げて、容器本体11の内圧を下げることができる。
【0036】
パッキン22の第1部分221が変形する圧力は、第3部分223の大きさや材料によって決定することができる。第3部分223が空隙を有する構成の場合、第3部分223でのパッキン22の薄肉部分の厚さや長さ(周方向の長さ)によって、第1部分221が変形する圧力が設定される。また、第3部分223の材料として、第2部分222の材料よりも剛性の低い材料を用いる構成でもよい。この場合、第3部分223の材料によって第1部分221が変形する圧力を設定しやすくなる。第3部分223は周方向に複数箇所設けられていてもよい。複数箇所設けられる場合、周方向に均等な間隔で設けられることが好ましい。第3部分223を設ける個数によって、容器本体11の内圧を逃がす所定圧力を調整することができる。
【0037】
パッキン22の第1部分221における下端221a(縁部11dとの接触端部)は、R曲面やテーパ面になっていてもよい。これにより、第1部分221が変形した際、容器本体11の気体がR曲面やテーパ面になっている下端221aを滑らかに流れていくことができる。
【0038】
また、パッキン22において、第1部分221に周方向に延在する溝224を設けてもよい。溝224は、パッキン22の開口11h側であって第1部分221における縁部11dとの当接部分よりも内側に設けられる。溝224は周方向に連続して設けられていてもよいし、周方向に断続的に設けられていてもよい。溝224は第3部分223とは反対側に設けられていることが好ましい。溝224を設けることで、第1部分221の縁部11dとの当接部分(外周部分)の厚さによりも、溝224の部分の厚さが薄くなり、第3部分223の側への変形を行いやすくなる。また、溝224が開口11hと連通していることで、容器本体11の内圧が上昇した際、内部の気体による圧力を溝224で受けやすくなり、第1部分221の変形の制御を安定させることができる。
【0039】
図6は、内部の気体の外部への通路を例示する断面図である。
本実施形態に係る飲料用容器1において、第1部分221の他領域(第3部分223が設けられた領域)を、蓋体21と容器体10の上方筒部12との間に設けられた空間Sと隣接させておく。これにより、容器本体11の内圧が所定の圧力を超えてパッキン22の第1部分221が変形した場合、容器本体11の内部の気体は、第1部分221と縁部11dとの隙間から空間Sに排出される。空間Sは、例えば雄ねじ部21aと雌ねじ部11aとの隙間から容器体10の上方筒部12と蓋ユニット20の外装カバー23との隙間を抜けて、外部に放出される。気体が抜けやすいように、雄ねじ部21aと雌ねじ部11aの少なくとも一方の一部に切れ目を設けておいてもよい。
【0040】
容器本体11の内部から気体が抜けることで内圧が低下する。これにより、蓋ユニット20を容器体10から取り外した際に、開口11hから内圧が急激に開放され、大きな音が鳴ったり、飲料が噴出したりすることが防止される。
【0041】
容器本体11の内圧が低下して所定の圧力以下になると、第1部分221は弾性によって元の形状に復帰し、第1部分221と縁部11dとの隙間が閉じて、再度密閉性を発揮することになる。
【0042】
なお、容器本体11の内圧が上昇しても、所定の圧力を超えずにパッキン22の第1部分221の変形に至らない場合もあり得る。この状態で蓋ユニット20の螺合を緩めて容器体10から外す場合、蓋ユニット20を緩めることでパッキン22の第1部分221と容器本体11の縁部11dとの間に隙間が生じ、この隙間から容器本体11の内部の気体が外部に逃げることになる。ここで、蓋ユニット20を緩めて第1部分221と縁部11dとの間に隙間が生じるまで、蓋ユニット20と容器体10との螺合(雄ねじ部21aと雌ねじ部11aとの螺合)状態が継続されるように、螺合の長さを設定しておく。これにより、容器本体11の内部から気体が抜けるまで、蓋ユニット20が容器体10から外れることがなく、内圧によって蓋ユニット20が急激に外れてしまうことを防ぐことができる。
【0043】
また、蓋ユニット20を容器体10に取り付ける際、パッキン22が縁部11dに当接した後の蓋ユニット20の締め込み具合によってパッキン22の潰れ方が変わることになる。この際、締め込んだ状態でも第3部分223において第1部分221が蓋体21(縮径部分213)に接触しないように、蓋ユニット20の締め込み深さを規制する規制手段を設けてもよい。例えば、蓋ユニット20の外装カバー23が容器本体11の肩部分に当たることで規制手段として機能させてもよいし、別途のストッパ機構を設けてもよい。また、規制手段は、ストッパ機構に限定されず、例えば蓋ユニット20を適切な位置まで締め込んだ際にクリック感を与える機構でもよい。クリック感を与える機構は、雌ねじ部11aや雄ねじ部21aの所定箇所に突起などを設けたり、蓋ユニット20と容器体10との間に乗り越えた際にクリック感を与える突起などを設けたりすることが挙げられる。これにより、蓋ユニット20を最も締め込んだ状態でも、容器体10の内圧の上昇によって第1部分221が第3部分223側へ変形できる余地を残しておくことができる。
【0044】
また、本実施形態に係るパッキン22を用いることで、蓋ユニット20の締め込み量によって第1部分221の変形が生じる容器体10の内圧(内圧減の閾値)を調整することができる。例えば、蓋ユニット20の締め込み量が多いと縁部11dに当接するパッキン22の潰れが多くなり、第1部分221へ加わる圧縮応力が大きくなる。これにより、第1部分221の剛性が高まり、第1部分221の第3部分223側への変形が行われにくくなって、内圧減の閾値が高くなる。一方、蓋ユニット20の締め込み量が少ないと第1部分221へ加わる圧縮応力が小さくなり、内圧減の閾値が低くなる。
【0045】
この特性を利用して、パッキン22が縁部11dに当接した後の蓋ユニット20の締め込み量を調整可能な調整機構を設けておき、蓋ユニット20の締め込み量によって内圧減の閾値を調整できるようにしてもよい。例えば、パッキン22が縁部11dに当接した後の蓋ユニット20の締め込み量に応じて複数段階でクリック感を与えるようにして、蓋ユニット20を締め込んだ際に得られるクリック感の回数に応じて内圧減の閾値を調整できるようにしてもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、容器体10の内圧が所定の圧力を超えた際に自動的に圧力を逃がして内圧を一定範囲内にコントロールできるとともに、開口11hが広く、利便性の高い飲料用容器1を提供することが可能になる。また、従来の飲料用容器に対して部品点数を増やすことなく内圧上昇を抑制する機構を備えた飲料用容器1を提供することが可能になる。
【0047】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る飲料用容器1は、飲料以外でも、液体、粉体、固体、クリーム状のものなど、各種の容器としても好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…飲料用容器
10…容器体
11…容器本体
11a…雌ねじ部
11b…底
11d…縁部
11h…開口
12…上方筒部
20…蓋ユニット
21…蓋体
21a…雄ねじ部
22…パッキン
22a…凹条部
23…外装カバー
211…筒部分
212…底部分
212a…凸条部
213…縮径部分
221…第1部分
221a…下端
222…第2部分
223…第3部分
224…溝
225…つまみ部
S…空間
【要約】
【課題】容器体の内圧が所定の圧力を超えた際に自動的に圧力を逃がして内圧を一定範囲内にコントロールできるとともに、開口が広く、利便性の高い飲料用容器を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、開口を有する容器体と、容器体の開口に取り付けられる蓋ユニットと、を備える飲料用容器であって、蓋ユニットは、容器体に対して着脱自在に取り付けられる蓋体と、蓋体と、開口を構成する容器体の縁部との間に設けられるパッキンと、を有し、パッキンは、蓋ユニットを開口に取り付けた状態で、縁部の全周にわたり縁部と接触する第1部分と、第1部分の周方向における一領域と、蓋体と、の間に介在する第2部分と、第1部分の周方向における一領域以外の他領域と、蓋体と、の間に設けられる第3部分と、を有し、容器体の内圧が予め設定された圧力を超えた場合、第1部分の他領域が第3部分側に変形して縁部との間に隙間が構成される、飲料用容器である。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6