(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】光学ガラス廃材からレアメタルを回収する方法
(51)【国際特許分類】
C22B 59/00 20060101AFI20240718BHJP
C22B 1/02 20060101ALI20240718BHJP
C22B 3/08 20060101ALI20240718BHJP
C22B 3/26 20060101ALI20240718BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
C22B59/00
C22B1/02
C22B3/08
C22B3/26
C22B3/44 101Z
(21)【出願番号】P 2024019147
(22)【出願日】2024-02-13
【審査請求日】2024-04-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506214460
【氏名又は名称】株式会社スリー・アール
(74)【代理人】
【識別番号】100134740
【氏名又は名称】小池 文雄
(72)【発明者】
【氏名】菅井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】菅井 弘
【審査官】隅川 佳星
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/128536(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0156660(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第2014612(GB,A)
【文献】中国特許出願公開第103131874(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 11/02 - 11/04
B09B 3/70
C22B 1/00 - 61/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ガラス廃材からレアメタルを回収する方法であって、
光学ガラス廃材を硫酸を用いて溶解しろ過してNb及びTaを含む第1沈殿物と第1溶解液を得るステップと、
前記第1溶解液にシュウ酸を添加しろ過してLa及びGdを含む第2沈殿物とホウ素(B)を含むろ液を得るステップと、
前記第2沈殿物を焼成してLaとGdの酸化物を得るステップと、
前記酸化物を硫酸を用いて溶解して第2溶解液を得るステップと、
前記第2溶解液を溶媒抽出してGdを含む抽出液とLaを含む抽出残液を得るステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記抽出残液にシュウ酸を添加しろ過してLaを含むシュウ酸水和物を得るステップと、
前記Laを含むシュウ酸水和物を焼成してLa酸化物を得るステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出液を逆抽出してGdを含む逆抽出液を得るステップと、
前記逆抽出液にシュウ酸を添加しろ過してGdを含むシュウ酸水和物を得るステップと、
前記Gdを含むシュウ酸水和物を焼成してGd酸化物を得るステップと、をさらに含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒抽出は抽出剤として2-エチルヘキシルリン酸モノ-2-エチルヘキシルエステルを用いて行うことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記逆抽出は希硫酸を用いて行うことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記シュウ酸は、(NH
4)
2C
2O
4・H
2OとH
2C
2O
4のいずれか一方または双方を含む、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラス廃材からレアメタルを回収する方法に関し、より具体的には、光学ガラス廃材からホウ素等の不純物を除去し、ランタン(La)またはガドリニウム(Gd)を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、La、Gd等といった希少金属元素(以下、本明細書において「レアメタル」と呼ぶ)は、消費量のほぼ全量を海外からの輸入に頼っている。そのため、安定な供給の確保が困難であり、また価格変動の影響を大きく受ける。一方で、レアメタルは様々な用途に用いられた後に廃棄されている現状にある。例えば、光学ガラスには上記したレアメタルを含む多種類のレアメタルが含まれているものの、製造工程でその大部分が廃棄されており、製品となるのは原料の半分以下である。こういった現状から、レアメタルを含む廃棄物からレアメタルを効率的かつ経済的に分離し回収する技術が必要とされている。
【0003】
レアメタルを回収する技術として、特許文献1は、塩化揮発法による光学ガラス廃材からのレアメタルの分離回収方法を開示する。また、特許文献2は、光学ガラス研磨・洗浄工程およびこれに付帯する排水処理装置から発生する光学ガラス汚泥から硫酸処理等を用いてレアメタル成分を回収する方法を開示する。しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、いずれも溶媒抽出によりLaまたはGdを回収する方法を開示するものではない。
【0004】
光学ガラス廃材から溶媒抽出により金属を回収する技術として、特許文献3は、光学ガラス廃材からLa、Zn、Gdを分離する希土類元素の分離方法を開示する。しかし、特許文献3に記載の方法は、光学ガラス廃材から最初に亜鉛を除去することに特徴がある発明であって(文献3の段落5、6、請求項1等)、光学ガラス廃材の処理が複雑であって、必ずしも簡素で効率的に高純度なLa、Gdを回収するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5504531号公報
【文献】特開平11-50168号公報
【文献】特許第5678231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、光学ガラス廃材からホウ素等の不純物を簡素で効率的に除去し、高純度のLaまたはGdを回収する方法を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光学ガラス廃材からレアメタルを回収する方法を提供する。その方法は、(a)光学ガラス廃材を硫酸を用いて溶解しろ過してNb及びTaを含む第1沈殿物と第1溶解液を得るステップと、(b)第1溶解液にシュウ酸を添加しろ過してLa及びGdを含む第2沈殿物とホウ素(B)を含むろ液を得るステップと、(c)第2沈殿物を焼成してLaとGdの酸化物を得るステップと、(d)酸化物を硫酸を用いて溶解して第2溶解液を得るステップと、(e)第2溶解液を溶媒抽出してGdを含む抽出液とLaを含む抽出残液を得るステップと、を含む。
【0008】
本発明の一態様では、(f)抽出残液にシュウ酸を添加しろ過してLaを含むシュウ酸水和物を得るステップと、(g)Laを含むシュウ酸水和物を焼成してLa酸化物を得るステップをさらに含む。
【0009】
本発明の一態様では、(h)抽出液を逆抽出してGdを含む逆抽出液を得るステップと、(i)逆抽出液にシュウ酸を添加しろ過してGdを含むシュウ酸水和物を得るステップと、(j)Gdを含むシュウ酸水和物を焼成してGd酸化物を得るステップをさらに含む。
【0010】
本発明の一態様では、溶媒抽出は抽出剤として2-エチルヘキシルリン酸モノ-2-エチルヘキシルエステルを用いて行うことができ、逆抽出は硫酸を用いて行うことができ、あるいは、シュウ酸は、(NH4)2C2O4・H2OとH2C2O4のいずれか一方または双方を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の方法の工程を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態の方法の工程を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態の方法の工程を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態のLaを含むシュウ酸水和物の熱分析結果を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態のGaを含むシュウ酸水和物の熱分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図表を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1から
図3は、本発明の一実施形態の方法の工程を示す図である。
図1は、本発明の一実施形態の方法の溶媒抽出(S6)までの工程を示す。
図2は、
図1の工程S6で得たLaを含む抽出残液の処理工程(A)の内容を示す。
図3は、
図1の工程S6で得たGaを含む抽出液の処理工程(B)の内容を示す。
図2と
図3の工程は、別々に実施可能であり、あるいは並行して実施可能であり、連続してまたは不連続に(時間を空けて)実施可能である。
【0013】
図1の工程S1において、光学ガラス廃材を準備する。光学ガラス廃材は、光学ガラスの製造工程で出てくるガラス廃材であって、レアメタルを含む希少元素が含まれている。本発明の一実施形態では、回収の対象となるLa、Gd、Ta、Nbに加えて、例えば、Zn、Zr、B、Siの4つの元素が含まれる光学ガラス廃材を準備する。なお、Ta、Nb、La、Gdに加えて含まれる元素は、この4つの元素に限定されるものではなく、光学ガラスの種類に応じて、それらの元素の一部あるいは他の元素が含まれる場合であっても本発明の方法は適用可能である。
【0014】
工程S2において、準備した光学ガラス廃材を硫酸(H2SO4)を用いて溶解し所定時間後にろ過してNb及びTaを含む第1沈殿物と第1溶解液を得る。溶解時間として例えば2時間以上とすることが望ましい。硫酸以外の鉱酸、例えば、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、ホウ酸(H3BO3)、硫酸(H2SO4)、炭酸(H2CO3)、リン酸(H3PO4)、あるいはフッ化水素酸の少なくとも1つ以上を用いることができる。鉱酸(硫酸)は所定濃度とし、溶解の際の温度は、例えば略50℃~略70℃とすることができるがこの範囲の温度に限定されるものではない。工程S2において、過酸化水素水(H2O2)を添加しながら硫酸で溶解させてもよい。その際、過酸化水素水は所定の温度下で、所定時間毎に所定量を添加、あるいは連続して少量を添加してもよい。
【0015】
工程S2で得られる第1溶解液には、TaとNbは含まれず、他のLa、Gd、B等が含まれる。その理由は、光学ガラス廃材(ガラス原料)中のTa2O5やNb2O5はいわゆる「難溶解性物質」に相当し、水に不溶で塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸に簡単に溶解しないからである。工程S2で得られるNb及びTaを含む第1沈殿物は、Nb及びTaの回収工程へ回され、例えば、リパルプ洗浄された後にNb、Ta含有の中間製品として利用される。
【0016】
工程S3において、第1溶解液にシュウ酸を添加し所定時間攪拌後にろ過してLa及びGdを含む第2沈殿物とホウ素(B)を含むろ液を得る。シュウ酸を添加するのは、第1溶解液からホウ素(B)を除去し、La、Gdのシュウ酸塩(シュウ酸ランタン:La2(C2O4)3・10H2O、シュウ酸ガドリニウム:Gd2(C2O4)3・10H2O)として回収するためである。シュウ酸には、(NH4)2C2O4・H2OとH2C2O4のいずれか一方または双方を用いることができる。
【0017】
工程S4において、第2沈殿物(シュウ酸ランタン、シュウ酸ガドリニウム)を焼成してLaとGdの酸化物を得る。ここで、酸化物に転換するのはシュウ酸塩(水和物)が酸に溶けにくいからである。熱分解による酸化物への転換については、例えば、下記の文献a、bにおいて報告されている。文献aのZhan等によれば、シュウ酸ランタンLa2(C2O4)3・10H2Oの熱分解は5段階で進み、745.6℃でLa2O3まで分解する。同様に文献bのHusseina等によれば、Gd2(C2O4)3・10H2Oは575℃でGd2O3に分解する。したがって、これらのシュウ酸塩を例えば700~800℃程度で1時間以上焼成することでLaとGdの酸化物を得ることができる。
a:Zhan Guang, Yu Jun-xia, Xu Zhi-gao, Zhou Fang, Chi Ru-an, Kinetics of thermal decomposition of lanthanum oxalate hydrate, Trans. Nonferrous Met. Soc. China, 22(2012) 925-934
b:G.A.M Husseina, M. H Khedrb, A. A Farghalib, Gadolinium oxide from gadolinium oxalate hydrate physicochemical characterization., Colloids and Surfaces, 203(2002) 137-142
【0018】
工程S5において、工程S4で得られたLaとGdの酸化物を硫酸で溶解して第2溶解液(再溶解液)を得る。工程S6において、第2溶解液を溶媒抽出してGdを含む抽出液とLaを含む抽出残液を得る。抽出剤としてはリン系化合物を利用することができ、例えば2-エチルヘキシルリン酸モノ-2-エチルヘキシルエステル(2-ethylhexyl-phosphoric acid-mono-2-ethylhexyl ester(PC-88A:大八化学工業社の商品名))を使用することができるが、これに限定されるものではない。抽出操作を繰返し実施することでGdを優先的に抽出しLaを分離することができる。なお、PC-88Aでの分離が困難な不純物、例えばZn等が第2溶解液(再溶解液)中に一定濃度含まれる場合にはジ-2-エチルヘキシルリン酸(di-2-ethylhexyl-phosphoric-acid:略称D2EHPA)を用いた溶媒抽出を併用する必要がある。
【0019】
図2を参照して、工程S7において、Laを含む抽出残液にシュウ酸を添加しろ過してLaを含むシュウ酸水和物(沈殿)を得る。工程S3の場合と同様に、シュウ酸には、(NH
4)
2C
2O
4・H
2OとH
2C
2O
4のいずれか一方または双方を用いることができる。工程S8において、Laを含むシュウ酸水和物を焼成してLa酸化物を得る。シュウ酸塩を例えば700~800℃程度で焼成することでLa酸化物を得ることができる。
【0020】
工程S9において、Gdを含む抽出液を逆抽出してGdを含む逆抽出液を得る。逆抽出は例えば希硫酸を用いて行うことができる。工程S10において、逆抽出液にシュウ酸を添加しろ過してGdを含むシュウ酸水和物を得る。工程S7の場合と同様に、シュウ酸には、(NH4)2C2O4・H2OとH2C2O4のいずれか一方または双方を用いることができる。工程S10において、Gdを含むシュウ酸水和物を焼成してGd酸化物を得る。工程S8の場合と同様に、シュウ酸塩を例えば700~800℃程度で焼成することでGd酸化物を得ることができる。
【0021】
図1~
図3の本発明の一実施形態の方法(工程)を用いて実際に光学ガラス廃材からLa酸化物とGd酸化物を回収した結果を実施例として以下に示す。
【実施例】
【0022】
光学ガラス廃材のサンプルとして、Ta、Nb、La、Gdに加えて、Zn、Zr、B、Siの4つの元素が含まれる光学ガラス廃材のサンプルを準備した。その光学ガラス廃材のサンプル中の各元素(金属)の重量比率(%)と酸化物形式での重量比率(%)を表1に示す。
【表1】
【0023】
光学ガラス廃材のサンプルの溶解試験において、レアメタル成分の溶出率に関係する要素として溶解試験時の酸の種類・濃度、サンプルと酸溶液の液固比、温度、時間を考え、これらの要素について検討を行った。溶液中の元素濃度の分析には ICP発光分光分析装置を使用した。溶解には硫酸及び塩酸を用いた。一条件として濃硫酸30ml、水100mlを混合した50℃硫酸溶液に対して光学ガラス廃材のサンプルを30g添加し、所定時間ごとにサンプルを採取した。また、過酸化水素水(H
2O
2)を添加した条件でも試験を行った。表2に溶解試験結果を示す。
【表2】
【0024】
表2の試験結果からLa、Gd、B、Nb、Ta等含有ガラス廃材のサンプルを鉱酸、例えば硫酸を用いてNbとTa以外の成分を優先的に溶解分離できることが明らかとなった。例えば、溶解時間が2、3時間で溶液中のNbとTaの濃度を0.1(g/L)以下とすることができた。したがって、溶解時間として2時間以上とすることが望ましいことがわかった。なお、溶解時に過酸化水素水を添加するとNb、Taの溶解も促進されることから、NbとTaの収率改善の観点から添加量は少量に抑制することが望ましい。
【0025】
得られた光学ガラス廃材のサンプルの溶解液中からホウ素を分離するため、シュウ酸、ここではシュウ酸アンモニウム((NH
4)
2C
2O
4・H
2O)を添加し、La及びGdをシュウ酸塩として回収する試験を実施した。ガラス溶解液に添加剤を加え一定時間攪拌後にろ過し、ろ液中に残存する元素濃度をICPで測定しシュウ酸沈殿の沈殿率を求めた。表3にその沈殿率(%)を示す。表3の結果から、例えば3.0Mの(NH
4)
2C
2O
4・H
2Oを添加することでシュウ酸沈殿としてGdは100%、Laは85%以上をシュウ酸沈殿として回収できることが分かった。一方、ホウ素Bはいずれの場合も100%ろ液側に分離することができた。
【表3】
【0026】
次に、シュウ酸沈殿物は酸には難溶解であることから、熱分解(焼成)による酸化物への転換を行った。一例として、シュウ酸沈殿物(水和物)を800℃で1時間焼成して酸化物とした。そのLaとGdの酸化物を硫酸で再溶解を行って、LaとGdを含む再溶解液を得た。表4にその再溶解液の組成分析結果を示す。表4からLaとGd以外の金属は0.01(g/L)未満とほぼゼロにすることができた。
【表4】
【0027】
LaとGdを含む再溶解液からLaとGdを分離するために再溶解液に対して溶媒抽出を行った。抽出剤として、2-エチルヘキシルリン酸モノ-2-エチルヘキシルエステル(2-ethylhexyl-phosphoric acid-mono-2-ethylhexyl ester:PC-88A)を用いた。溶媒抽出はPC-88Aを用いて複数回繰り返し行った。表5にその抽出結果として抽出残液中の金属濃度(g/L)を示す。抽出操作を繰返し実施することでGdを優先的に抽出液中に抽出し、抽出残液中にLaを残し分離することができることができた。例えば、抽出を4、5回行うことで抽出残液中のGdを0.01(g/L)未満とほぼゼロにすることができた。
【表5】
【0028】
次に表5のNo.1~3で得たGdを含む抽出液(PC-88A)に対して希硫酸で逆抽出した溶液の分析結果を表6に示す。表6からLaを0.1(g/L)未満しか含まないGdを含む逆抽出液を得ることができた。
【表6】
【0029】
回収したLaを含む抽出残液とGdを含む逆抽出液に1Mのシュウ酸(H2C2O4)を添加してGdシュウ酸水和物とLaシュウ酸水和物を得た。次にこれらのシュウ酸水和物を酸で溶解しやすい酸化物に転換するために行う焼成条件を設定するため、これら水和物沈殿の熱分析を行った。熱分析は、熱重量分析(Thermogravimetric Analysis: TGA)と示差熱分析(Differential Thermal Analysis: DTA)を同時に行った。
【0030】
図4にLaシュウ酸水和物の熱分析結果を示す。
図5にGdシュウ酸水和物の熱分析結果を示す。各図中のTGAグラフの重量変化(Weight loss /%)に着目すると、Laシュウ酸水和物とGdシュウ酸水和物は共に700~800℃で重量が一定となっていることから、熱処理時の温度は800℃で十分と考えられる。以上の結果を踏まえ、Laシュウ酸水和物とGdシュウ酸水和物を800℃で焼成し、La酸化物(酸化ランタン)及びGd酸化物(酸化ガドリニウム)を得ることができた。
【0031】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明をした。しかし、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施できるものである。
【要約】
【課題】光学ガラス廃材から溶媒抽出によりレアメタルを回収する方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、(a)光学ガラス廃材を硫酸を用いて溶解しろ過してNb及びTaを含む第1沈殿物と第1溶解液を得るステップと、(b)第1溶解液にシュウ酸を添加しろ過してLa及びGdを含む第2沈殿物とホウ素(B)を含むろ液を得るステップと、(c)第2沈殿物を焼成してLaとGdの酸化物を得るステップと、(d)酸化物を硫酸を用いて溶解して第2溶解液を得るステップと、(e)第2溶解液を溶媒抽出してGdを含む抽出液とLaを含む抽出残液を得るステップと、を含む。
【選択図】
図1