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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】図面処理装置、及び、図面処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/12 20200101AFI20240718BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20240718BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20240718BHJP
【FI】
G06F30/12
G06F30/10
G06F30/13
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024059907
(22)【出願日】2024-04-03
【審査請求日】2024-04-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322014222
【氏名又は名称】株式会社REVOX
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】フン カム ハオ
(72)【発明者】
【氏名】鹿内 寛
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-055219(JP,A)
【文献】特開2020-013377(JP,A)
【文献】特開2022-032741(JP,A)
【文献】特開2013-200729(JP,A)
【文献】特開2023-104477(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116225585(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の形状及び寸法を特定する図面要素が1又は複数含まれる図面データを処理する図面処理装置であって、
基準となる前記図面データである基準図面データと、前記基準図面データに対して比較対象となる前記図面データである比較図面データとの比較要求を受け付ける要求受付部と、
前記要求受付部により受け付けられた前記比較要求に係る前記基準図面データに含まれる前記図面要素を囲む基準図面領域と、前記要求受付部により受け付けられた前記比較要求に係る前記比較図面データに含まれる前記図面要素を囲む比較図面領域とを特定し、特定した前記基準図面領域及び前記比較図面領域を重ね合わせて表示する図面表示情報を生成する表示情報生成部とを備え、
前記表示情報生成部は、
前記基準図面データに対して特定した前記基準図面領域の領域特徴量と、前記比較図面データに対して特定した前記比較図面領域の領域特徴量とをそれぞれ算出し、
算出した前記基準図面領域の領域特徴量及び前記比較図面領域の領域特徴量を比較したときの類似度に基づいて、前記基準図面領域及び前記比較図面領域の組み合わせを選択し、
選択した前記基準図面領域及び前記比較図面領域の組み合わせに基づいて、前記図面表示情報を生成する、
図面処理装置。
【請求項2】
対象物の形状及び寸法を特定する図面要素が1又は複数含まれる図面データを処理する図面処理装置であって、
基準となる前記図面データである基準図面データと、前記基準図面データに対して比較対象となる前記図面データである比較図面データとの比較要求を受け付ける要求受付部と、
前記要求受付部により受け付けられた前記比較要求に係る前記基準図面データに含まれる前記図面要素を囲む基準図面領域と、前記要求受付部により受け付けられた前記比較要求に係る前記比較図面データに含まれる前記図面要素を囲む比較図面領域とを特定し、特定した前記基準図面領域及び前記比較図面領域を重ね合わせて表示する図面表示情報を生
成する表示情報生成部とを備え、
前記表示情報生成部は、
前記基準図面データに対して特定した前記基準図面領域の数と、前記比較図面データに対して特定した前記比較図面領域の数とをそれぞれ特定し、
特定した前記基準図面領域の数及び前記比較図面領域の数の両方が1である場合、
前記基準図面データに対して特定した前記基準図面領域と、前記比較図面データに対して特定した前記比較図面領域とに対して前記図面表示情報を生成し、
特定した前記基準図面領域の数及び前記比較図面領域の数の少なくとも一方が複数である場合、
前記基準図面データに対して特定した前記基準図面領域の領域特徴量と、前記比較図面データに対して特定した前記比較図面領域の領域特徴量とをそれぞれ算出し、
算出した前記基準図面領域の領域特徴量及び前記比較図面領域の領域特徴量を比較したときの類似度に基づいて、前記基準図面領域及び前記比較図面領域との組み合わせを選択し、
選択した前記基準図面領域及び前記比較図面領域の組み合わせに基づいて、前記図面表示情報を生成する、
図面処理装置。
【請求項3】
前記表示情報生成部は、
前記基準図面領域及び前記比較図面領域を重ね合わせたときの重複部分が多くなるように、前記基準図面領域及び前記比較図面領域の位置合わせを前記組み合わせ毎に行うことにより、前記図面表示情報を生成する、
請求項又は請求項に記載の図面処理装置。
【請求項4】
前記表示情報生成部は、
前記基準図面データを表示する基準図面データ表示エリアと、前記比較図面データを表示する比較図面データ表示エリアとを並べて配置する図面比較画面を表示する前記図面表示情報を生成し、
前記図面比較画面は、
前記比較図面データ表示エリアに表示された前記比較図面領域に含まれる前記図面要素に対して、前記基準図面領域に含まれる前記図面要素を重ね合わせて表示する、又は、
前記基準図面データ表示エリアに表示された前記基準図面領域に含まれる前記図面要素に対して、前記比較図面領域に含まれる前記図面要素を重ね合わせて表示する、
請求項1又は請求項に記載の図面処理装置。
【請求項5】
前記基準図面データの指定を受け付けるとともに、前記比較図面データの候補となる複数の候補図面データから前記比較図面データを選択する図面選択部を備え、
前記図面選択部は、
前記基準図面データの図面特徴量と、前記候補図面データの図面特徴量とをそれぞれ算出し、
算出した前記基準図面データの図面特徴量及び前記候補図面データの図面特徴量を比較したときの類似度に基づいて、前記比較図面データを選択し、
前記要求受付部は、
前記図面選択部により受け付けられた前記指定に係る前記基準図面データと、前記図面選択部により選択された前記比較図面データとに基づいて、前記比較要求を受け付ける、
請求項1又は請求項2に記載の図面処理装置。
【請求項6】
コンピュータにより実行されて、対象物の形状及び寸法を特定する図面要素が1又は複数含まれる図面データを処理する図面処理方法であって、
基準となる前記図面データである基準図面データと、前記基準図面データに対して比較対象となる前記図面データである比較図面データとの比較要求を受け付ける要求受付工程と、
前記要求受付工程により受け付けられた前記比較要求に係る前記基準図面データに含まれる前記図面要素を囲む基準図面領域と、前記要求受付工程により受け付けられた前記比較要求に係る前記比較図面データに含まれる前記図面要素を囲む比較図面領域とを特定し、特定した前記基準図面領域及び前記比較図面領域を重ね合わせて表示する図面表示情報を生成する表示情報生成工程とを備え、
前記表示情報生成工程は、
前記基準図面データに対して特定した前記基準図面領域の領域特徴量と、前記比較図面データに対して特定した前記比較図面領域の領域特徴量とをそれぞれ算出し、
算出した前記基準図面領域の領域特徴量及び前記比較図面領域の領域特徴量を比較したときの類似度に基づいて、前記基準図面領域及び前記比較図面領域の組み合わせを選択し、
選択した前記基準図面領域及び前記比較図面領域の組み合わせに基づいて、前記図面表示情報を生成する、
図面処理方法。
【請求項7】
コンピュータにより実行されて、対象物の形状及び寸法を特定する図面要素が1又は複数含まれる図面データを処理する図面処理方法であって、
基準となる前記図面データである基準図面データと、前記基準図面データに対して比較対象となる前記図面データである比較図面データとの比較要求を受け付ける要求受付工程と、
前記要求受付工程により受け付けられた前記比較要求に係る前記基準図面データに含まれる前記図面要素を囲む基準図面領域と、前記要求受付工程により受け付けられた前記比較要求に係る前記比較図面データに含まれる前記図面要素を囲む比較図面領域とを特定し、特定した前記基準図面領域及び前記比較図面領域を重ね合わせて表示する図面表示情報を生成する表示情報生成工程とを備え、
前記表示情報生成工程は、
前記基準図面データに対して特定した前記基準図面領域の数と、前記比較図面データに対して特定した前記比較図面領域の数とをそれぞれ特定し、
特定した前記基準図面領域の数及び前記比較図面領域の数の両方が1である場合、
前記基準図面データに対して特定した前記基準図面領域と、前記比較図面データに対して特定した前記比較図面領域とに対して前記図面表示情報を生成し、
特定した前記基準図面領域の数及び前記比較図面領域の数の少なくとも一方が複数である場合、
前記基準図面データに対して特定した前記基準図面領域の領域特徴量と、前記比較図面データに対して特定した前記比較図面領域の領域特徴量とをそれぞれ算出し、
算出した前記基準図面領域の領域特徴量及び前記比較図面領域の領域特徴量を比較したときの類似度に基づいて、前記基準図面領域及び前記比較図面領域との組み合わせを選択し、
選択した前記基準図面領域及び前記比較図面領域の組み合わせに基づいて、前記図面表示情報を生成する、
図面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図面処理装置、及び、図面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械、建築、土木、電気、アパレル等の様々な分野で取り扱われる図面は、図面データとしてデータベースに登録されて管理されることが一般的に行われている。例えば、特許文献1には、各図面データに名称や属性をそれぞれ付与してデータベースに登録することで、ユーザが所望の図面データを検索可能な部品図面管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-059474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された部品図面管理システムでは、ユーザが名称や属性を指定して、所望の図面データを検索し、その検索結果として図面データが表示される。検索結果として、例えば、2つの図面データが存在するような場合、2つの図面データの間で部品の形状や寸法にどのような違いがあるかは、ユーザが図面を実際に見比べて比較する他なかった。しかしながら、2つの図面データを比較したときの相違部分はユーザにとって直感的に分かりにくく、その相違部分を見落とすこともあった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、2つの図面データを比較したときの相違部分を容易に視認することが可能な図面処理装置、及び、図面処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る図面処理装置は、
対象物の形状及び寸法を特定する図面要素が1又は複数含まれる図面データを処理する図面処理装置であって、
基準となる前記図面データである基準図面データと、前記基準図面データに対して比較対象となる前記図面データである比較図面データとの比較要求を受け付ける要求受付部と、
前記要求受付部により受け付けられた前記比較要求に係る前記基準図面データに含まれる前記図面要素を囲む基準図面領域と、前記要求受付部により受け付けられた前記比較要求に係る前記比較図面データに含まれる前記図面要素を囲む比較図面領域とを特定し、特定した前記基準図面領域及び前記比較図面領域を重ね合わせて表示する図面表示情報を生成する表示情報生成部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る図面処理装置によれば、基準図面データに含まれる図面要素を囲む基準図面領域と、比較図面データに含まれる図面要素を囲む比較図面領域とが特定されて、基準図面領域と、比較図面領域とを重ね合わせて表示する図面表示情報が生成されるので、2つの図面データを比較したときの相違個所を容易に視認することができる。
【0008】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】図面管理システム1の一例を示す全体構成図である。
図2A】図面データD10の第1の例を示す図である。
図2B】図面データD10の第2の例を示す図である。
図3】図面データベース210の一例を示す図である。
図4】図面処理装置2の一例を示すブロック図である。
図5】要求受付部204及び表示情報生成部205の一例を示す機能説明図である。
図6】コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
図7】図面処理装置2による図面処理方法の第1の動作例を示すフローチャートである。
図8A】図面比較画面13Aの第1の表示例を示す図である。
図8B】図面比較画面13Bの第2の表示例を示す図である。
図9】図面処理装置2による図面処理方法の第2の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
図1は、図面管理システム1の一例を示す全体構成図である。図面管理システム1は、図面データD10を管理するシステムとして機能する。
【0012】
図面管理システム1で取り扱われる図面データD10は、例えば、組立図や部品図等の機械図面、建築図面、電気回路図面、空気圧回路図面、油圧回路図面、アパレル図面等の任意の図面をデジタルデータとして記録したものである。その際、図面データD10は、ベクタ形式のデータでもよいし、ラスタ形式のデータでもよい。例えば、図面データD10は、各種のCADソフトウェアによって出力されたCADデータ(ベクタ形式の一例)でもよいし、紙媒体に印刷された図面をスキャナ等によって読み取ることで出力された画像データ(ラスタ形式の一例)でもよい。なお、図面データD10は、任意の投影法で作図されたものでよく、三次元の図面でもよい。
【0013】
図面管理システム1は、図1に示すように、図面処理装置2と、ユーザ端末装置3とを備える。図面処理装置2及びユーザ端末装置3は、有線又は無線のネットワーク4に接続され、各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、図面処理装置2及びユーザ端末装置3の数やネットワーク4の接続構成は、図1の例に限られず、適宜変更してもよい。
【0014】
図面処理装置2は、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータであり、汎用又は専用のコンピュータ(後述の図6参照)等で構成される。図面処理装置2は、図面データD10と、当該図面データD10に含まれる付帯情報(詳細は後述)とを関連付けて登録可能な図面データベース210を備える。
【0015】
図面処理装置2は、ユーザ端末装置3から新規の図面データD10を受け付けて、図面データD10に含まれる付帯情報を取得し、図面データベース210に登録する。また、図面処理装置2は、図面データベース210に登録済み(既存)の図面データD10及び付帯情報を参照したり、編集したりするための表示情報をユーザ端末装置3に提供する。
【0016】
ユーザ端末装置3は、クライアント型コンピュータであり、汎用又は専用のコンピュータ(後述の図6参照)等で構成される。ユーザ端末装置3は、新規の図面データD10の登録、既存の図面データD10の参照、編集等を行うために、アプリやブラウザ等の表示画面を介して各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面や音声を介して各種の情報を出力する。
【0017】
図2Aは、図面データD10の第1の例を示す図である。図2Bは、図面データD10の第2の例を示す図である。図2A及び図2Bに示す図面データD10は、一部の形状や寸法が異なる部品を表す部品図である。本実施形態では、図面データD10は、図2A及び図2Bに示すように、部品図である場合を中心に説明する。
【0018】
図面データD10には、対象物の形状及び寸法を特定する1又は複数の図面要素11が含まれる。図2A及び図2Bに示す図面データD10の全体領域10には、上面図及び正面図をそれぞれ表す2つの図面要素11(11-1、11-2)と、表題欄12とが配置されている。全体領域10は、図面データD10を紙媒体に印刷したときの紙面全体の領域に相当する。
【0019】
図面要素11は、組立品や部品の形状及び寸法を特定するための各種の線や文字で構成される。図面要素11を構成する線としては、例えば、外形線、寸法線、かくれ線、中心線、想像線等が記載される。図面要素11を構成する文字としては、例えば、寸法、公差、加工指示等が記載される。
【0020】
なお、図面データD10に含まれる図面要素11の種類は、図2A及び図2Bに示す上面図及び正面図に限られず、例えば、側面図、背面図、底面図、断面図のように、他の種類の図面を表すものでもよい。
【0021】
表題欄12は、図面データD10に含まれる表の一種である。表題欄12は、縦線及び横線を組み合わせた罫線と、罫線により区切られたボックスとを有する。ボックス内には、文字が記載されるとともに、各ボックスには、ボックス内に記載された文字の属性が定められる。また、ボックスは、ボックスの種類を示すプロパティにより分類される。プロパティとしては、属性見出しプロパティ、通番見出しプロパティ、属性無しフィールドプロパティ、属性有りフィールドプロパティ等が挙げられる。
【0022】
表題欄12の属性としては、図2A及び図2Bに示すように、例えば、品名、図面番号、尺度、日付、設計者、承認者等が挙げられる。表題欄12が有する各ボックスは、属性有りフィールドプロパティと、属性見出しプロパティと、属性無しフィールドプロパティとに分類される。属性有りフィールドプロパティに分類されるボックスには、表題欄12の記載内容としてのフィールド文字(図2Aの例では、「1:2」、「2024/1/11」、「GUIDE A」、「F1-222-33-A」)と、フィールド文字の属性を定める属性文字(図2A及び図2Bの例では、「尺度」、「日付」、「品名」、「図面番号」)とが記載される。属性見出しプロパティに分類されるボックスには、フィールド文字の属性を定める属性文字(図2A及び図2Bの例では、「設計者」、「承認者」)が記載される。属性無しフィールドプロパティに分類されるボックスには、表題欄12の記載内容としてのフィールド文字(図2Aの例では、「AAA」、「BBB」)が記載される。
【0023】
なお、図面データD10に含まれる表の種類は、表題欄12に限られず、例えば、部品表のように、他の種類の表でもよい。また、表を構成するボックスの配置や数は、表の種類に応じて適宜変更されてもよく、各ボックスに定められる属性は上記の例に限られない
【0024】
図3は、図面データベース210の一例を示す図である。図面データベース210には、図面データD10と、当該図面データD10に関する付帯情報D11とが図面データD10毎に関連付けられて登録される。
【0025】
付帯情報D11は、全体領域10に記載された文字(主にフィールド文字)がテキストデータとして属性別に取得されることで、図面データベース210に登録される。また、付帯情報D11は、ユーザによりユーザ端末装置3を介して入力された属性別の入力データが取得されることで、図面データベース210に登録される。図3には、図2A及び図2Bに示す図面データD10に含まれる表題欄12から取得された属性別のテキストデータと、ユーザにより入力された入力データとが、付帯情報D11として図面データベース210に登録された場合が図示されている。
【0026】
なお、図面データベース210において、図面データD10に関連付けられて登録される付帯情報D11は、表題欄12の記載内容に限られず、必要に応じて任意の情報を関連付けることができる。例えば、図面データベース210には、図面要素11に基づく情報(寸法、公差、加工指示等)、見積り依頼に関する情報(ユーザ名、見積り日時、見積り価格等)が登録可能に構成されてもよく、これらに限られない。
【0027】
(図面処理装置2の構成)
図4は、図面処理装置2の一例を示すブロック図である。図5は、要求受付部204及び表示情報生成部205の一例を示す機能説明図である。図面処理装置2は、制御部20と、データ記憶部21と、学習済みモデル記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25とを備える。
【0028】
通信部23は、ネットワーク4を介して外部装置(例えば、ユーザ端末装置3等)と接続され、各種のデータを送受信する通信インターフェースとして機能する。入力部24は、各種の入力操作を受け付けるとともに、出力部25は、表示画面や音声を介して各種の情報を出力することで、ユーザインターフェースとして機能する。なお、入力部24及び出力部25は省略されてもよい。
【0029】
データ記憶部21には、図面データベース210と、図面処理プログラム211とが記憶されている。図面データベース210には、図3に示すように、図面データD10や付帯情報D11が関連付けられて複数登録される。図面データベース210の具体的な構成は、図3の例に限られず、適宜設計すればよい。
【0030】
学習済みモデル記憶部22には、機械学習済みの推論モデルとして、図面特徴量推論モデル220と、図面領域推論モデル221と、領域特徴量推論モデル222とが記憶されている。
【0031】
図面特徴量推論モデル220は、図面データD10が入力されることで、当該図面データD10に対する図面特徴量を推論する。推論結果としての図面特徴量は、例えば、固定長の数値配列によるベクトル形式のデータで出力されるが、ベクトル形式に限られず、他のデータ形式で出力されてもよい。図面特徴量推論モデル220は、例えば、図面データD10同士が類似するほど図面特徴量同士を比較したときの類似度が高くなるように、機械学習が行われる。類似度は、例えば、図面特徴量同士を比較したときの距離で規定されるものであり、例えば、ユークリッド距離、マンハッタン距離、チェビシェフ距離、マハラノビス距離等の距離指標や、コサイン類似度等の類似指標が用いられる。なお、図面特徴量推論モデル220には、図面データD10に対して所定の前処理(サイズ調整等)が
行われた後のデータが入力されてもよいし、図面データD10とともに、付帯情報D11が入力されてもよい。また、図面特徴量推論モデル220から出力された図面特徴量のベクトルに対して所定の後処理(次元削減等)が行われてもよい。
【0032】
図面領域推論モデル221は、図面データD10が入力されることで、当該図面データD10に含まれる図面要素11を囲む図面領域を推論する。なお、図面データD10(図5に示すD10A、D10B)に複数の図面要素11(図5に示す11-1A~11-3A、11-1B~11-3B)が含まれている場合には、図面領域推論モデル221は、複数の図面要素11をそれぞれ囲む複数の図面領域(図5に示す10-1A~10-3A、10-1B~10-3B)を推論する。図面領域は、例えば、四角形等の多角形で表される。そのため、推論結果としての図面領域は、全体領域10に対して所定の座標系が設定されている場合、当該座標系において、例えば、図面領域が有する頂点の座標を含むデータとして出力される。なお、図面領域推論モデル221には、図面データD10に対して所定の前処理が行われた後のデータが入力されてもよい。
【0033】
領域特徴量推論モデル222は、図面データD10から切り出された図面領域のデータが入力されることで、当該図面領域のデータに対する領域特徴量を推論する。推論結果としての領域特徴量は、図面特徴量と同様に、例えば、固定長の数値配列によるベクトル形式のデータで出力されるが、ベクトル形式に限られず、他のデータ形式で出力されてもよい。領域特徴量推論モデル222は、例えば、図面領域のデータ同士が類似するほど領域特徴量同士を比較したときの類似度が高くなるように、機械学習が行われる。類似度は、例えば、領域特徴量同士を比較したときの距離で規定されるものであり、図面特徴量と同様に、例えば、距離指標や類似指標が用いられる。なお、領域特徴量推論モデル222には、図面特徴量推論モデル220と同様に、図面領域のデータに対して所定の前処理(サイズ調整等)が行われた後のデータが入力されてもよいし、図面領域のデータとともに、付帯情報D11が入力されてもよい。また、領域特徴量推論モデル222から出力された図面特徴量のベクトルに対して所定の後処理(次元削減等)が行われてもよい。
【0034】
なお、各推論モデル220~222は、例えば、ニューラルネットワーク等を適用したものが用いられるが、任意の機械学習モデルを用いることができる。学習済みモデル記憶部22に記憶される各推論モデル220~222の数は、それぞれ1つに限定されず、例えば、機械学習の手法、データの違い等のように、条件が異なる複数の推論モデル220~222が記憶されて、選択的又は並列的に利用可能としてもよい。
【0035】
また、図4では、データ記憶部21及び学習済みモデル記憶部22が、2つの記憶部として示されているが、これらは単一の記憶部で構成されてもよいし、3つ以上の記憶部で構成されていてもよい。また、データ記憶部21及び学習済みモデル記憶部22の少なくとも一方は、外部コンピュータ(例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータ)の記憶部で構成されていてもよい。
【0036】
制御部20は、データ記憶部21に記録された図面処理プログラム211を実行することにより、送受信制御部200、データベース管理部201、文字認識部202、図面選択部203、要求受付部204、及び、表示情報生成部205として機能する。
【0037】
(送受信制御部200)
送受信制御部200は、外部装置(例えば、ユーザ端末装置3等)との間で各種のデータを送受信する。送受信制御部200は、例えば、ユーザ端末装置3に各種の表示画面を出力するための表示情報をユーザ端末装置3に送信するとともに、ユーザ端末装置3の表示画面に対して行われた入力操作を受け付けるための操作情報をユーザ端末装置3から受信する。その際、送受信制御部200は、各部201~204と連携し、ユーザ端末装置
3に表示情報を送信したり、ユーザ端末装置3から操作情報を受信したりする。
【0038】
(データベース管理部201)
データベース管理部201は、例えば、ユーザ端末装置3から送受信制御部200を介して新規の図面データD10を受信することで、図面データベース210に登録する。その際、データベース管理部201は、文字認識部202により新規の図面データD10から認識された文字の認識結果(テキストデータや位置データ)や、ユーザにより入力された入力データを付帯情報D11として、当該図面データD10に関連付けて図面データベース210に登録する。
【0039】
また、データベース管理部201は、図面データベース210に登録済みの図面データD10を読み出して、登録済みの図面データD10を表示するための表示情報をユーザ端末装置3に送受信制御部200を介して送信する。そして、データベース管理部201は、ユーザ端末装置3から送受信制御部200を介して図面データD10を編集する操作情報を受信すると、図面データベース210に登録済みの図面データD10を修正する。
【0040】
(文字認識部202)
文字認識部202は、新規の図面データD10に含まれる文字を認識する文字認識処理を行う。文字認識部202は、例えば、光学的文字認識処理(OCR)を行い、テキストデータとして読み取ることで、図面データD10に含まれる文字を認識する。文字の認識結果としては、当該文字を示すテキストデータと、当該文字が記載された位置を示す位置データとが取得される。その際、文字の認識結果は、ユーザ端末装置3の表示画面に表示され、ユーザによる編集操作が行われてもよい。なお、図面データD10にテキストデータが埋め込まれている場合には、文字認識部202は、そのテキストデータを読み取ることで、図面データD10に含まれる文字を認識してもよい。また、文字認識部202は、図面データベース210に登録済みの図面データD10に対して文字認識処理を行ってもよい。
【0041】
(図面選択部203)
図面選択部203は、例えば、ユーザ端末装置3から送受信制御部200を介して、基準となる図面データである基準図面データD10Aの指定を受け付ける。
【0042】
例えば、図面選択部203は、図面データベース210に登録済みの図面データD10の一覧を表示するための表示画面をユーザ端末装置3に表示し、当該表示画面において特定の図面データD10がユーザにより選択されることで、当該図面データD10を基準図面データD10Aの指定として受け付ける。また、図面選択部203は、新規の図面データD10をアップロードするための表示画面をユーザ端末装置3に表示し、当該表示画面において新規の図面データD10がアップロードされることで、当該図面データD10を基準図面データD10Aの指定として受け付ける。
【0043】
また、図面選択部203は、図面データベース210を参照し、基準図面データD10Aに対して比較対象となる図面データD10である比較図面データD10Bの候補となる複数の候補図面データD10(図面データベース210に登録済みの図面データD10)から比較図面データD10Bを選択する。
【0044】
例えば、図面選択部203は、基準図面データD10Aの図面特徴量と、候補図面データD10の図面特徴量とをそれぞれ算出し、算出した基準図面データD10Aの図面特徴量及び候補図面データD10の図面特徴量を比較したときの類似度に基づいて、比較図面データD10Bを選択する。
【0045】
(要求受付部204)
要求受付部204は、図面選択部203により受け付けられた指定に係る基準図面データD10Aと、図面選択部203により選択された比較図面データD10Bとに基づいて、比較要求を受け付ける。
【0046】
なお、要求受付部204は、例えば、ユーザ端末装置3から送受信制御部200を介して、基準図面データD10Aと、比較図面データD10Bとの比較要求を受け付けてもよい。例えば、要求受付部204は、図面データベース210に登録済みの図面データD10の一覧を表示するための表示画面をユーザ端末装置3に表示し、当該表示画面において特定の2つの図面データD10がユーザにより選択されることで、当該2つの図面データD10を、基準図面データD10Aと、比較図面データD10Bとして比較要求を受け付けてもよい。
【0047】
(表示情報生成部205)
表示情報生成部205は、要求受付部204により受け付けられた比較要求に係る基準図面データD10Aに含まれる図面要素11-1A~11-3Aを囲む基準図面領域10-1A~10-3Aと、要求受付部204により受け付けられた比較要求に係る比較図面データD10Bに含まれる図面要素11-1B~11-3Bを囲む比較図面領域10-1B~10-3Bとを特定し、特定した基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bを重ね合わせて表示する図面表示情報D12を生成する。
【0048】
そして、表示情報生成部205は、上記のように生成した図面表示情報D12をユーザ端末装置3に送受信制御部200を介して送信することで、当該図面表示情報D12に基づいて、基準図面データD10A及び比較図面データD10Bを比較するための表示画面をユーザ端末装置3に表示する。なお、図面表示情報D12の具体的な生成方法や表示画面の詳細は後述する。
【0049】
(各装置のハードウエア構成)
図6は、コンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。図面管理システム1における図面処理装置2及びユーザ端末装置3は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。
【0050】
コンピュータ900は、図6に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0051】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0052】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン、マイク等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は
、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0053】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(図1のネットワーク4と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVDドライブ、CDドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0054】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA、ASIC等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0055】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよいし、例えば、制御盤、コントローラ(マイコン、プログラマブルロジックコントローラ、シーケンサを含む)等と呼ばれる組込型コンピュータでもよい。
【0056】
(図面処理装置2の動作)
図7は、図面処理装置2による図面処理方法の第1の動作例を示すフローチャートである。以下では、図面データベース210に、多数の図面データD10が登録済みであるものとして説明する。
【0057】
まず、ステップS100(図面選択工程)において、図面選択部203は、登録済みの図面データD10の一覧を表示する表示画面にて特定の図面データD10が基準図面データD10Aとしてユーザにより選択されることで、基準図面データD10Aの指定を受け付ける。
【0058】
そして、ステップS101において、図面選択部203は、図面データベース210を参照し、ステップS100で受け付けられた指定に係る基準図面データD10Aに対して、比較図面データD10Bを選択する。
【0059】
具体的には、図面選択部203は、基準図面データD10Aを図面特徴量推論モデル220に入力することで、その推論結果として、基準図面データD10Aの図面特徴量を取得する。また、図面選択部203は、図面データベース210に登録済みの各図面データD10(以下、候補図面データD10という)を図面特徴量推論モデル220にそれぞれ入力することで、その推論結果として、各候補図面データD10の図面特徴量をそれぞれ取得する。そして、図面選択部203は、基準図面データD10Aの図面特徴量に対して各候補図面データD10の図面特徴量の類似度をそれぞれ算出し、複数の候補図面データD10から類似度が最も高い候補図面データD10を比較図面データD10Bとして選択する。
【0060】
次に、ステップS110(要求受付工程)において、要求受付部204は、ステップS110で受け付けられた指定に係る基準図面データD10Aと、ステップS111で選択された比較図面データD10Bとに基づいて、比較要求を受け付ける。
【0061】
次に、ステップS120(表示情報生成工程)において、表示情報生成部205は、図5に示すように、ステップS110で受け付けられた比較要求に係る基準図面データD10Aに含まれる図面要素11-1A~11-3Aを囲む基準図面領域10-1A~10-3Aと、ステップS110で受け付けられた比較要求に係る比較図面データD10Bに含まれる図面要素11-1A~11-3Aを囲む比較図面領域10-1B~10-3Bとを特定する。
【0062】
具体的には、表示情報生成部205は、基準図面データD10Aを図面領域推論モデル221に入力することで、その推論結果として、基準図面領域10-1A~10-3Aを特定する。また、表示情報生成部205は、比較図面データD10Bを図面領域推論モデル221に入力することで、その推論結果として、比較図面領域10-1B~10-3Bを特定する。
【0063】
次に、ステップS130において、表示情報生成部205は、図5に示すように、ステップS120で基準図面データD10Aに対して特定した基準図面領域10-1A~10-3Aの領域特徴量と、ステップS120で比較図面データD10Bに対して特定した比較図面領域10-1B~10-3Bの領域特徴量とをそれぞれ算出する。
【0064】
具体的には、表示情報生成部205は、基準図面領域10-1A~10-3Aのデータを領域特徴量推論モデル222に入力することで、その推論結果として、基準図面領域10-1A~10-3Aの領域特徴量を算出する。また、表示情報生成部205は、比較図面領域10-1B~10-3Bのデータを領域特徴量推論モデル222に入力することで、その推論結果として、比較図面領域10-1B~10-3Bの領域特徴量を算出する。
【0065】
次に、ステップS131において、表示情報生成部205は、図5に示すように、ステップS130で算出した基準図面領域10-1A~10-3Aの領域特徴量及び比較図面領域10-1B~10-3Bの領域特徴量を比較したときの類似度に基づいて、基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bの組み合わせを選択する。
【0066】
具体的には、表示情報生成部205は、基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bの総当たりによって、基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bを任意に組み合わせたときの類似度をそれぞれ算出する。そして、表示情報生成部205は、類似度が高くなるように、基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bの組み合わせを選択する。図5に示すように、基準図面領域10-1A~10-3Aの数が「3」であり、比
較図面領域10-1B~10-3Bの数が「3」であるような同数の場合、類似度が最も高くなるように、3つの組み合わせを選択する。図5では、類似度により選択された3つの組み合わせが実線で図示されている。また、基準図面領域10-1A~10-3Aの数が「1」であり、比較図面領域10-1B~10-3Bが「3」であるような異数の場合、類似度が最も高くなるように、図面領域の数が少ない側に合わせた1つの組み合わせを選択する。
【0067】
次に、ステップS132において、表示情報生成部205は、図5に示すように、ステップS131で選択した基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bの組み合わせに基づいて、図面表示情報D12を生成する。
【0068】
具体的には、表示情報生成部205は、後述の図面比較画面13(図8Aに示す図面比較画面13A、図8Bに示す図面比較画面13B)を表示する図面表示情報D12を生成する。例えば、表示情報生成部205は、基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bを重ね合わせたときの重複部分が多くなるように、基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bの位置合わせを行うことにより、図面表示情報D12を生成する。
【0069】
基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bの位置合わせには、例えば、位相限定相関法が用いられるが、任意の手法を用いることができる。これにより、図面要素11-1A~11-3Aを構成する線や文字と、図面要素11-1A~11-3Aを構成する線や文字との間で共通する重複部分以外の相違部分が強調されて抽出される。
【0070】
その際、ステップS131で選択した組み合わせの数が複数である場合には、表示情報生成部205は、図5に示すように、基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bの位置合わせを組み合わせ毎に行うことにより、図面表示情報D12を生成する。これにより、基準図面データD10A及び比較図面データD10Bにおいて、組み合わせとして選択された図面要素11が記載された位置がずれているような場合であっても、各組み合わせに対して位置合わせが行われるので、各図面領域に含まれる図面要素11を比較したときの相違部分を容易に視認することができる。
【0071】
なお、表示情報生成部205は、基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bの位置合わせを行う際に、基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bの少なくとも一方に対して、拡大、縮小、回転等の変形処理を行うようにしてもよい。変形処理は、例えば、基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bに記載された寸法、付帯情報D11として記憶された尺度に基づいて行われる。
【0072】
そして、ステップS140において、表示情報生成部205は、ステップS132で生成した図面表示情報D12をユーザ端末装置3に送受信制御部200を介して送信する。その結果、当該図面表示情報D12に基づいて、基準図面データD10A及び比較図面データD10Bを比較するための図面比較画面13が、ユーザ端末装置3に表示される。
【0073】
図8Aは、図面比較画面13Aの第1の表示例を示す図である。図8Aでは、図2A及び図2Bに示す図面データD10が、基準図面データD10A及び比較図面データD10Bとして指定された場合が図示されている。
【0074】
図面比較画面13Aは、基準図面データD10A(図2Aに示す図面データD10)における2つの基準図面領域と、比較図面データD10B(図2Bに示す図面データD10
)における2つの比較図面領域とを重ね合わせて表示する表示画面である。その際、基準図面データD10Aに含まれる2つの図面要素11-1、11-2と、比較図面データD10Bに含まれる2つの図面要素11-1、11-2とは、表示形態を異ならせて表示される。表示形態としては、例えば、線や文字の色、種類、太さ等が変更されるものであるが、表示形態は、ユーザにより指定可能であってもよい。また、基準図面データD10Aに含まれる2つの図面要素11-1と、比較図面データD10Bに含まれる2つの図面要素11-1、11-2とは、いずれが前景に設定されてもよいし、背景に設定されてもよい。
【0075】
なお、基準図面データD10Aに含まれる2つの図面要素11-1、11-2と、比較図面データD10Bに含まれる2つの図面要素11-1、11-2とを重ね合わせたときの重複部分を第1の表示形態、重複部分以外の相違部分のうち、基準図面データD10Aに含まれる2つの図面要素11-1、11-2を第2の表示形態、重複部分以外の相違部分のうち、比較図面データD10Bに含まれる2つの図面要素11-1、11-2を第3の表示形態として、第1乃至第3の表示形態を異ならせてもよい。また、基準図面領域と、比較図面領域とを重ね合わせたときの位置関係は、ユーザにより上下左右指定可能なボタン(不図示)の操作やドラッグ操作が図面比較画面13Aに対して行われることで変更可能であってもよい。
【0076】
図8Bは、図面比較画面13Bの第2の表示例を示す図である。図8Bでは、図8Aと同様に、図2A及び図2Bに示す図面データD10が、基準図面データD10A及び比較図面データD10Bとして指定された場合が図示されている。
【0077】
図面比較画面13Bは、基準図面データD10A(図2Aに示す図面データD10)を表示する基準図面データ表示エリア130Aと、比較図面データD10B(図2Bに示す図面データD10)を表示する比較図面データ表示エリア130Bと、基準図面データ表示エリア130Aに対して比較図面データD10Bを重ね合わせて表示するか否かをオン又はオフで設定する比較図面表示設定ボタン131Aと、比較図面データ表示エリア130Bに対して基準図面データD10Aを重ね合わせて表示するか否かをオン又はオフで設定する基準図面表示設定ボタン131Bとを備える。
【0078】
比較図面表示設定ボタン131Aが「On」に設定された場合、基準図面データ表示エリア130Aに表示された基準図面領域に含まれる2つの図面要素11-1、11-2に対して、比較図面領域に含まれる2つの図面要素11-1、11-2が重ね合わされて表示される。
【0079】
基準図面表示設定ボタン131Bが「On」に設定された場合、比較図面データ表示エリア130Bに表示された比較図面領域に含まれる2つの図面要素11-1、11-2に対して、基準図面領域に含まれる2つの図面要素11-1、11-2が重ね合わされて表示される。
【0080】
基準図面データ表示エリア130A及び比較図面データ表示エリア130Bには、図8Aに示す図面比較画面13Aと同様に、表示形態を異ならせて表示される。なお、図8Bでは、基準図面データ表示エリア130A及び比較図面データ表示エリア130Bは、左右方向に並べて配置されているが、上下方向に並べて配置されてもよい。また、基準図面データ表示エリア130A及び比較図面データ表示エリア130Bの大きさは、異なっていてもよい。さらに、比較図面表示設定ボタン131A及び基準図面表示設定ボタン131Bの一方は省略されてもよい。
【0081】
図9は、図面処理装置2による図面処理方法の第2の動作例を示すフローチャートであ
る。以下では、図7に示すフローチャートと異なる点を中心に説明する。
【0082】
まず、ステップS111(要求受付工程)において、要求受付部204は、登録済みの図面データD10の一覧を表示する表示画面にて特定の2つの図面データD10が基準図面データD10A及び比較図面データD10Bとしてユーザにより選択されることで、基準図面データD10A及び比較図面データD10Bの比較要求を受け付ける。
【0083】
次に、ステップS120(表示情報生成工程)において、表示情報生成部205は、図5に示すように、ステップS111で受け付けられた比較要求に係る基準図面データD10Aに含まれる図面要素11を囲む基準図面領域10-1A~10-3Aと、ステップS110で受け付けられた比較要求に係る比較図面データD10Bに含まれる図面要素11を囲む比較図面領域10-1B~10-3Bとを特定する。
【0084】
次に、ステップS121において、表示情報生成部205は、ステップS120で基準図面データD10Aに対して特定した基準図面領域10-1A~10-3Aの数(図5の例では「3」)と、ステップS120で比較図面データD10Bに対して特定した比較図面領域10-1B~10-3Bの数(図5の例では「3」)とをそれぞれ特定する。
【0085】
次に、ステップS122において、表示情報生成部205は、ステップS121で特定した基準図面領域10-1A~10-3Aの数及び比較図面領域10-1B~10-3Bの数の両方が「1」であるか否かを判定する。
【0086】
その結果、表示情報生成部205が、基準図面領域10-1A~10-3Aの数及び比較図面領域10-1B~10-3Bの数の両方が1であると判定した場合(ステップS122で「Yes」)、ステップS133に進む。そして、ステップS133において、表示情報生成部205は、ステップS120で特定した1つの基準図面領域と、ステップS120で特定した1つの比較図面領域とに対して図面表示情報D12を生成する。
【0087】
一方、表示情報生成部205が、基準図面領域10-1A~10-3Aの数及び比較図面領域10-1B~10-3Bの数の少なくとも一方が複数であると判定した場合(ステップS122で「No」)、ステップS130~S132に進み、図7に示すフローチャートと同様にして、図面表示情報D12を生成する。なお、図5の例では、ステップS122で「No」と判定される。
【0088】
そして、ステップS140において、表示情報生成部205は、ステップS132又はステップS133で生成した図面表示情報D12をユーザ端末装置3に送受信制御部200を介して送信する。その結果、当該図面表示情報D12に基づいて、基準図面データD10A及び比較図面データD10Bを比較するための図面比較画面13が、ユーザ端末装置3に表示される。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る図面処理装置2及び図面処理方法によれば、基準図面データD10Aに含まれる図面要素11を囲む基準図面領域と、比較図面データD10Bに含まれる図面要素11を囲む比較図面領域とが特定されて、基準図面領域と、比較図面領域とを重ね合わせて表示する図面表示情報D12が生成されるので、2つの図面データD10を比較したときの相違個所を容易に視認することができる。
【0090】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0091】
上記実施形態では、図面処理装置2は、単一の装置で構成される場合について説明したが、複数の装置で構成されていてもよい。例えば、図面処理装置2が備える各部200~205が複数の装置に分散されてもよい。その際、上記の各装置が備える各部(各工程)は、コンピュータ900で実行可能なプログラムにより実現されるものでもよい。
【0092】
上記実施形態では、図面処理装置2が、図7又は図9に示すフローチャートに従って動作する場合について説明したが、各ステップの実行順序を適宜変更してもよいし、一部のステップを省略してもよい。例えば、図9に示すフローチャートにおいて、ステップS111に代えて、ステップS100~S110を実行することにより、基準図面データD10A及び比較図面データD10Bの比較要求を受け付けてもよい。
【0093】
上記実施形態では、図面処理装置2が、基準図面データD10A及び比較図面データD10Bの比較要求に対して図面表示情報D12を生成する場合について説明した。これに対し、ユーザ端末装置3が、図面処理装置2の各部200~205を備えることにより、図面処理装置2と同様に機能するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1…図面管理システム、2…図面処理装置、3…ユーザ端末装置、
20…制御部、21…データ記憶部、22…学習済みモデル記憶部、
23…通信部、24…入力部、25…出力部、
200…送受信制御部、201…データベース管理部、202…文字認識部、
203…図面選択部、204…要求受付部、205…表示情報生成部、
210…図面データベース、211…図面処理プログラム
【要約】
【課題】2つの図面データを比較したときの相違部分を容易に視認することが可能な図面処理装置を提供する。
【解決手段】図面処理装置は、基準となる図面データである基準図面データD10Aと、基準図面データD10Aに対して比較対象となる図面データである比較図面データD10Bとの比較要求を受け付ける要求受付部204と、要求受付部204により受け付けられた比較要求に係る基準図面データD10Aに含まれる図面要素11-1A~11-3Aを囲む基準図面領域10-1A~10-3Aと、要求受付部204により受け付けられた比較要求に係る比較図面データD10Bに含まれる図面要素11-1B~11-3Bを囲む比較図面領域10-1B~10-3Bとを特定し、特定した基準図面領域10-1A~10-3A及び比較図面領域10-1B~10-3Bを重ね合わせて表示する図面表示情報D12を生成する。
【選択図】 図5
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9