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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ブラカップを有する衣類
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/12 20060101AFI20240718BHJP
   A41C 3/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A41C3/12 A
A41C3/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024034323
(22)【出願日】2024-03-06
【審査請求日】2024-03-06
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396021427
【氏名又は名称】長野 茂
(72)【発明者】
【氏名】長野 茂
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0015886(US,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2014-0005277(KR,U)
【文献】特開2019-137936(JP,A)
【文献】国際公開第2017/066260(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 3/12
A41C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の左右のバストを覆い補正する左右独立したバストを包む円錐形の形状としたブラカップにあって、前記ブラカップの内部に伸張素材の第1内カップを設け、前記第1内カップは、前記ブラカップの肩側トップを始点として、前記ブラカップのバストの基底ラインであるバージスラインに沿って、前記ブラカップの胸側縁を終点として前記第1内カップの幅は最も幅の広い場所にて前記バージスラインからブラカップ頂点までの距離の2/3の範囲内とした区間に前記第1内カップが設けられ、前記第1内カップは、前記ブラカップの外周に接する前記ブラカップの前記肩側トップを始点とし、前記バージスラインに接する線と終点である前記ブラカップの前記胸側縁に接する箇所は前記ブラカップに縫着されており、他の前記ブラカップ頂点に面している箇所は前記ブラカップには縫着されていない前記第1内カップにおいて、前記第1内カップは、前記ブラカップ頂点に面した長手方向内側の2箇所に前記ブラカップの前記バージスラインに向けて最短距離となる方向に第1溝と第2溝が設けられ、前記第1内カップを前記ブラカップの前記肩側トップから前記バージスラインに沿って前記ブラカップの前記胸側縁にかけて、第1内カップ脇部と第1内カップ下部と第1内カップ胸側中心部の3分割とした時に、前記第1溝は、前記第1内カップ脇部と前記第1内カップ下部の境界に設けられ、前記第2溝は、前記第1内カップ下部と前記第1内カップ胸側中心部の境界に設けられており、前記第1溝と前記第2溝とも溝の形をV字型とし、前記第1内カップの肌側に対して、前記第1溝の底部から前記バージスラインまでを結ぶ最短距離の線上に条溝を設け、さらに前記第2溝の底部から前記バージスラインまでを結ぶ最短距離の線上にも前記条溝を設けることを特徴とするブラカップを有する衣類。
【請求項2】
前記ブラカップのバストの基底ラインである前記バージスラインにワイヤーを設けることを特徴とする請求項1に記載のブラカップを有する衣類。
【請求項3】
女性の左右のバストを覆い補正する左右独立したバストを包む円錐形の形状としたブラカップにあって、前記ブラカップの内部に伸張素材の第1内カップを設け、前記第1内カップは、前記ブラカップの肩側トップを始点として、前記ブラカップのバストの基底ラインであるバージスラインに沿って、前記ブラカップの胸側縁を終点として前記第1内カップの幅は最も幅の広い場所にて前記バージスラインからブラカップ頂点までの距離の2/3の範囲内とした区間に前記第1内カップが設けられ、前記第1内カップは、前記ブラカップの外周に接する前記ブラカップの前記肩側トップを始点とし、前記バージスラインに接する線と終点である前記ブラカップの前記胸側縁に接する箇所は前記ブラカップに縫着されており、他の前記ブラカップ頂点に面している箇所は前記ブラカップには縫着されていない前記第1内カップにおいて、前記第1内カップは、前記ブラカップ頂点に面した長手方向内側の2箇所に前記ブラカップの前記バージスラインに向けて最短距離となる方向に第1溝と第2溝が設けられ、前記第1内カップを前記ブラカップの前記肩側トップから前記バージスラインに沿って前記ブラカップの前記胸側縁にかけて、第1内カップ脇部と第1内カップ下部と第1内カップ胸側中心部の3分割とした時に、前記第1溝は、前記第1内カップ脇部と前記第1内カップ下部の境界に設けられ、前記第2溝は、前記第1内カップ下部と前記第1内カップ胸側中心部の境界に設けられており、前記第1溝と前記第2溝とも溝の形をV字型とし、前記第1内カップの前記第1溝の底部から前記バージスラインまでを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔を設け、さらに前記第2溝の底部から前記バージスラインまでを結ぶ最短距離の線上の中間付近にも前記長孔を設けることを特徴とするブラカップを有する衣類。
【請求項4】
前記ブラカップのバストの基底ラインである前記バージスラインにワイヤーを設けることを特徴とする請求項3に記載のブラカップを有する衣類。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラジャーに代表される女性の左右の乳房を覆い補正する左右独立した乳房を包む円錐形の形状としたブラカップを有する女性用衣類において、ブラカップ内に肩側トップから脇そしてバージスラインに沿って伸張素材の第1内カップを設け、第1内カップを長手方向に内側2箇所にブラカップ頂点側からバージスラインに向けて溝を設け、その溝を基点に内カップを内カップ脇部と内カップ下部と内カップ胸側中心部の3区間に分けてバストをブラカップ内に包み込み補正させ、さらに併用法としてバージスライン内にワイヤー設けてバストをブラカップ内に包み込み補正させるように構成したブラカップを有する衣類に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のブラカップを有する女性用下着の代表であるブラジャーにおいて、バストをブラカップ部にて着用者が意図とするバストを形成するために一つの方法としてブラカップ自体が伸張するモールドカップ形式のブラジャーがある。モールドカップ形式のブラジャーは、ブラカップを構成する複数の生地が伸張素材にて構成され、ブラカップ内にてバスト(乳房)をサポートするためにブラカップ内部にはポリウレタンフォーム製の内カップを設けられた構造としたブラジャーがある。
【0003】
ところが、ブラカップ内に設けられた内カップの伸張性(伸縮性)を高めると、対応できるバスト(乳房)の大きさの範囲は広がるが、ブラジャーの着用者のバスト(乳房)の形状によっては、サポート力が弱まり、着用者の挙動変化に伴ってブラカップが浮きやすくブラカップ内にてバストが自由に動いてしまいバストを補正し、しっかりとホールドできない問題も生じている。逆にブラカップ内に設けられた内カップにてバストを補正し、しっかりとホールド性を高めるために内カップの伸張性(伸縮性)を低めると、特にバストへの締め付け感が強くなる威圧感に関する問題も生じている。
【0004】
そこでブラカップ内に設ける内カップに関して伸張性(伸縮性)や変形性を高めた内カップが幾つか考案されている。例えば特許文献1では、内カップに多数のスリットが設けられ、各スリットは上下方向に延在している。ブラジャーが身体に装着されるとスリットが開き、通気性が向上すると共に、伸度を調整する事ができるブラジャーが考案されている。特許文献2では、ブラカップ内部に伸張性のある内カップを備え、内カップは円周方向に複数の長孔を有し上辺部は波形形状の構造とした衣類が考案されている。特許文献2では、内カップに多数のスリットが設けられ、各スリットは上下方向に延在している。ブラジャーが身体に装着されるとスリットが開き、通気性が向上すると共に、伸度を調整する事ができるブラジャーが考案されている。
【0005】
ところが特許文献1では、内カップに多数のスリットが設けられ、各スリットは上下方向に延在している。ブラジャーが身体に装着されるとスリットが開き、通気性が向上すると共に、伸度を調整する事ができるブラジャーであるが、内カップがブラカップ全体を覆っており、ホールド性を高めるために内カップの伸張性を低めると、特にバストトップ辺りの締め付け感が強くなり威圧感に関する問題も生じると考えられる。またブラカップ内でのバストからブラカップに対しての負荷が異なるブラカップの脇部とバスト下部に対してブラカップを介してバストに的圧になることについての内カップ自体の構造に関しては触れられていない。特許文献2では、ブラカップ内部に伸張性のある内カップを備え、内カップは円周方向に複数の長孔を有し上辺部は波形形状の構造としたブラジャーであるが、内カップがブラカップ全体を覆っており、ホールド性を高めるために内カップの伸張性を低めると、特にバストトップ辺りの締め付け感が強くなり威圧感に関する問題も生じると考えられる。またブラカップ内でのバストからブラカップに対しての負荷が異なるブラカップの脇部とバスト下部に対してブラカップを介してバストに的圧になることについての内カップ自体の構造に関しては触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-179891号報
【0007】
【文献】国際公開番号W02019/163201号報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、ブラカップ内に内カップが設けられているブラジャーに代表されるブラカップを有する衣類において、ブラカップ内に設けられた内カップの伸張性(伸縮性)を高めると、サポート力が弱まり、しっかりとホールドできない問題と、一方、逆に内カップの伸張性(伸縮性)を低めた場合に、バストへの締め付け感が強くなり威圧感が生じる問題を鑑み、女性によって異なるバストの形状に対して無理なく順応させるべく、バストから最も負荷がかかるブラカップの中段と下段に対して、ブラカップ内に設けられた内カップによるバストの補正方法によって、女性がブラジャー又はブラカップを有する衣類を着用した時に圧迫感や威圧感を緩和しつつ適切なバストの補正効果を向上させることのできるブラカップを有する衣類を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記の課題を解決すべく、
1.女性の左右のバストを覆い補正する左右独立したバストを包む円錐形の形状としたブラカップにあって、前記ブラカップの内部に伸張素材の第1内カップを設け、前記第1内カップは、前記ブラカップの肩側トップを始点として、前記ブラカップのバストの基底ラインであるバージスラインに沿って、前記ブラカップの胸側縁を終点として前記第1内カップの幅は最も幅の広い場所にて前記バージスラインからブラカップ頂点までの距離の2/3の範囲内とした区間に前記第1内カップが設けられ、前記第1内カップは、前記ブラカップの外周に接する前記ブラカップの前記肩側トップを始点とし、前記バージスラインに接する線と終点である前記ブラカップの前記胸側縁に接する箇所は前記ブラカップに縫着されており、他の前記ブラカップ頂点に面している箇所は前記ブラカップには縫着されていない前記第1内カップにおいて、前記第1内カップは、前記ブラカップ頂点に面した長手方向内側の2箇所に前記ブラカップの前記バージスラインに向けて最短距離となる方向に第1溝と第2溝が設けられ、前記第1内カップを前記ブラカップの前記肩側トップから前記バージスラインに沿って前記ブラカップの前記胸側縁にかけて、第1内カップ脇部と第1内カップ下部と第1内カップ胸側中心部の3分割とした時に、前記第1溝は、前記第1内カップ脇部と前記第1内カップ下部の境界に設けられ、前記第2溝は、前記第1内カップ下部と前記第1内カップ胸側中心部の境界に設けられており、前記第1溝と前記第2溝とも溝の形をV字型とし、前記第1内カップの肌側に対して、前記第1溝の底部から前記バージスラインまでを結ぶ最短距離の線上に条溝を設け、さらに前記第2溝の底部から前記バージスラインまでを結ぶ最短距離の線上にも前記条溝を設けることを特徴としている。
2.上記1に記載のブラカップを有する衣類において、前記ブラカップのバストの基底ラインである前記バージスラインにワイヤーを設けることを特徴としている。
3.女性の左右のバストを覆い補正する左右独立したバストを包む円錐形の形状としたブラカップにあって、前記ブラカップの内部に伸張素材の第1内カップを設け、前記第1内カップは、前記ブラカップの肩側トップを始点として、前記ブラカップのバストの基底ラインであるバージスラインに沿って、前記ブラカップの胸側縁を終点として前記第1内カップの幅は最も幅の広い場所にて前記バージスラインからブラカップ頂点までの距離の2/3の範囲内とした区間に前記第1内カップが設けられ、前記第1内カップは、前記ブラカップの外周に接する前記ブラカップの前記肩側トップを始点とし、前記バージスラインに接する線と終点である前記ブラカップの前記胸側縁に接する箇所は前記ブラカップに縫着されており、他の前記ブラカップ頂点に面している箇所は前記ブラカップには縫着されていない前記第1内カップにおいて、前記第1内カップは、前記ブラカップ頂点に面した長手方向内側の2箇所に前記ブラカップの前記バージスラインに向けて最短距離となる方向に第1溝と第2溝が設けられ、前記第1内カップを前記ブラカップの前記肩側トップから前記バージスラインに沿って前記ブラカップの前記胸側縁にかけて、第1内カップ脇部と第1内カップ下部と第1内カップ胸側中心部の3分割とした時に、前記第1溝は、前記第1内カップ脇部と前記第1内カップ下部の境界に設けられ、前記第2溝は、前記第1内カップ下部と前記第1内カップ胸側中心部の境界に設けられており、前記第1溝と前記第2溝とも溝の形をV字型とし、前記第1内カップの前記第1溝の底部から前記バージスラインまでを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔を設け、さらに前記第2溝の底部から前記バージスラインまでを結ぶ最短距離の線上の中間付近にも前記長孔を設けることを特徴としている。
4.上記3に記載のブラカップを有する衣類において、前記ブラカップのバストの基底ラインである前記バージスラインにワイヤーを設けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、不特定多数のブラジャーの着用者に対し変化に富んだバスト(乳房)の大きさ、形などに対応すべく、ブラカップの内部に伸張素材の第1内カップを設け、設置場所を第1内カップは、ブラカップの肩側トップを始点として、ブラカップのバストの基底ラインであるバージスラインに沿って、ブラカップの胸側縁を終点として第1内カップの幅は最も幅の広い場所にてバージスラインからブラカップ頂点までの距離の2/3の範囲内とした区間に第1内カップを設け、第1内カップは、ブラカップの肩側トップを始点としてバージスラインに接する線上と終点であるブラカップの胸側縁に接するまでの区間は、ブラカップに縫着されており、他のブラカップの頂点に面している箇所はブラカップには縫着されていないこととした第1内カップによって、最もバストからブラカップに負荷がかかるバスト下段からバスト中段にかけてバストを伸張生地によって包み込み、的圧にてバストの下部からバスト脇側を支え理想とするバスト形成を行うことができ、第1内カップはブラカップ頂点に面した長手方向内側の2箇所にブラカップのバージスラインに向けて最短距離となる方向に向けた溝として第1溝と第2溝が設けられ、第1内カップを肩側トップからバージスラインに沿ってブラカップ胸側縁にかけて、第1内カップ脇部と第1内カップ下部と第1内カップ胸側中心部の3分割とした時に、第1溝は第1内カップ脇部と第1内カップ下部との境界に設けられ、第2溝は第1内カップ下部と第1内カップ胸側中心部との境界に設けられており、第1溝と第2溝とも溝の形をV字型とすることによって、第1内カップは内カップ脇部と内カップ下部と内カップ胸中心部の3区間に大きく分けられ、ブラジャー着用者の身体の挙動変化により隣接区間からの過剰な干渉を防ぎ、それぞれの対面するバストからの負荷を対応し伸張することができ、ブラカップによるバストへの的圧を維持することができるとともに、さらに第1内カップの第1溝と第2溝のそれぞれの底部からバージスラインまでを結ぶ最短距離の区間に第1内カップの肌側に条溝を設けることによって、ブラジャーを着用するとバストからの負荷に対して第1内カップの第1溝と第2溝と各溝に設けられた条溝とが連立して隣接する区間同士の負荷の緩衝作用を行い、第1溝と第2溝によってそれぞれ分離された隣接する区間からのブラジャー着用者の身体の挙動変化により隣接区間からの過剰な干渉を防ぎ、それぞれの区間の内カップは対面するバストからの負荷を対応し伸張することができ、ブラカップによるバストへの的圧を維持することができる。
【0011】
第1の発明の形態において第2の発明によれば、バージスラインに取りつけられているワイヤーの効果によりホールド力が高まり「寄せる」「上げる」といったバストの補正効果と、ワイヤーによってサポート力を高め身体の挙動変化に伴ってブラカップがバスト(乳房)からのずれてしまう事を防止することができる。
【0012】
第3の発明によれば、不特定多数のブラジャーの着用者に対し変化に富んだバスト(乳房)の大きさ、形などに対応すべく、ブラカップの内部に伸張素材の第1内カップを設け、設置場所を第1内カップは、ブラカップの肩側トップを始点として、ブラカップのバストの基底ラインであるバージスラインに沿って、ブラカップの胸側縁を終点として第1内カップの幅は最も幅の広い場所にてバージスラインからブラカップ頂点までの距離の2/3の範囲内とした区間に第1内カップを設け、第1内カップは、ブラカップの肩側トップを始点としてバージスラインに接する線上と終点であるブラカップの胸側縁に接するまでの区間は、ブラカップに縫着されており、他のブラカップの頂点に面している箇所はブラカップには縫着されていないこととした第1内カップによって、最もバストからブラカップに負荷がかかるバスト下段からバスト中段にかけてバストを伸張生地によって包み込み、的圧にてバストの下部からバスト脇側を支え理想とするバスト形成を行うことができ、第1内カップはブラカップ頂点に面した長手方向内側の2箇所にブラカップのバージスラインに向けて最短距離となる方向に向けた溝として第1溝と第2溝が設けられ、第1内カップを肩側トップからバージスラインに沿ってブラカップ胸側縁にかけて、第1内カップ脇部と第1内カップ下部と第1内カップ胸側中心部の3分割とした時に、第1溝は第1内カップ脇部と第1内カップ下部との境界に設けられ、第2溝は第1内カップ下部と第1内カップ胸側中心部との境界に設けられており、第1溝と第2溝とも溝の形をV字型とすることによって、第1内カップは内カップ脇部と内カップ下部と内カップ胸中心部の3区間に大きく分けられ、ブラジャー着用者の身体の挙動変化により隣接区間からの過剰な干渉を防ぎ、それぞれの対面するバストからの負荷を対応し伸張することができ、ブラカップによるバストへの的圧を維持することができるとともに、さらに第1溝と第2溝のそれぞれの底部からバージスラインまでを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔を設けることによって、ブラジャーを着用するとバストからの負荷に対して第1内カップの第1溝と第2溝と各溝に設けられた長孔とが連立して隣接する区間同士の負荷の緩衝作用を行い、第1溝と第2溝によってそれぞれ分離された隣接する区間からのブラジャー着用者の身体の挙動変化により隣接区間からの過剰な干渉を防ぎ、それぞれの区間の内カップは対面するバストからの負荷を対応し伸張することができ、ブラカップによるバストへの的圧を維持することができる。
【0013】
第3の発明の形態において第4の発明によれば、バージスラインに取りつけられているワイヤーの効果によりホールド力が高まり「寄せる」「上げる」といったバストの補正効果と、ワイヤーによってサポート力を高め身体の挙動変化に伴ってブラカップがバスト(乳房)からのずれてしまう事を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1によるブラジャーのブラカップの表側における説明図である。
図2】実施例1による図1でのA-B間の区間の説明図である。
図3】実施例1による図1でのC-D間の区間の説明図である。
図4】実施例1による図1でのE-H間の区間の説明図である。
図5】実施例1による第1溝と条溝の説明図である。
図6】実施例1による第1溝と条溝の作用説明図である。
図7】実施例1と実施例2による条溝の説明図である。
図8】実施例2による第1溝と長孔の説明図である。
図9】実施例2による第1溝と長孔の作用説明図である。
図10】実施例3によるブラジャーのブラカップの表側における説明図である。
図11】実施例3による図10でのS-T間の区間の説明図である。
図12】実施例3による図10でのU-V間の区間の説明図である。
図13】実施例3による図10でのM-P間の区間の説明図である。
図14】実施例3による第1溝と条溝の作用説明図である。
図15】実施例3による第1溝と長孔の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明についてブラカップを有する衣類の代表例としてブラジャーを採用しブラジャー2に関して説明をする。本発明では、乳房の事をバスト1と呼称する。またバストの下部の人体への付け根ラインと言われているバストの基底ラインの事をバージスライン5と呼称する。
(ブラジャーの全体構成)
【0016】
本発明では、ブラカップ3又はブラカップ3に収納されるバスト(乳房)にて、ブラカップの頂点4とバージスライン5を最短距離で結ぶ線上において、ブラカップの頂点4からバージスライン5に向けての区間の距離を3等分にした時に、それぞれをバスト頂点4側からバージスライン5側に向けて順にバスト上段15、バスト中段16、バスト下段17と呼称する。さらに本発明では、第1内カップにおいて、肩側トップからバージスラインに沿ってブラカップ胸側縁にかけて、脇部とバスト下部と胸側中心部の3分割とした時に、それぞれを第1内カップ脇部、第1内カップ下部、第1内カップ胸側中心部またはブラカップ脇部、ブラカップ下部、ブラカップ胸側中心部と呼称する。また本発明では、第1内カップと第2内カップに用いる素材について、伸張性(伸縮性)の高い又は低いに関しての表現は、伸張性(伸縮性)が高い素材については負荷を掛けたときに伸びやすい素材である事とし、逆に伸張性(伸縮性)が低い素材については負荷を掛けたときに伸びにくい素材である事とする。本発明では、ブラジャー2のバージスライン5にワイヤーを設けないタイプのブラジャーを実施例1とし、ブラジャー2のバージスライン5にワイヤーを設けているタイプのブラジャーを実施例2として説明している。従って、実施例1と実施例2の違いは、ブラジャー2のバージスライン5内にワイヤーを設けているかないかの違いのみである。
【0017】
本発明による実施例1における図1に示すブラジャー2は、女性の胸部の左右のバストの内、身体の左側のブラカップ3周辺を代表例として示し、本発明を説明するにあたりブラジャー1の左胸表側を示している。図2では図1でのA-B間の区間の説明図を示し第1溝にて分けられた第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22のバスト1から円周方向の負荷の向きの説明図を示している。図3では図1でのC-D間の区間の説明図を示し第2溝にて分けられた第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23のバスト1から円周方向の負荷の向きの説明図を示している。図4では実施例1によるブラカップ内に第1内カップ20を設けたときの図1でのE-H間の区間の説明図を示している。本発明では、ブラジャーのバストの基底ラインをバージスライン5と呼称するブラジャーのバージスラインにワイヤーが設けられていない。実施例1と実施例2のブラジャーのバージスライン5には補整材10が設けられている。ブラジャー側バージスラインに設けられている補整材10を補整材と呼称する。ブラジャー側バージスライン補整材10の構造は、中心に心材を設けブラカップ3の生地を重ね折りした形状としている。ブラジャー側バージスライン補整材10に関しての説明は省略する。実施例3では、ブラジャー側バージスライン補整材10にワイヤー31を設けている。図5は実施例1による第1溝と条溝の位置関係の説明図である。図6は実施例1によるバスト1から第1内カップ下部22に集中して過剰の負荷が生じた時の第1溝と条溝の作用説明図である。図7は実施例1又は実施例2による条溝の説明図である。実施例1と実施例2とも構造は同じである。図8は実施例1による第1溝と長孔の位置関係の説明図である。図9は実施例1によるバスト1から第1内カップ下部22に集中して過剰の負荷が生じた時の第1溝と長孔の作用説明図である。
【0018】
ブラジャー2はバスト1の形を整え補正することを目的としている。大きく分けてバスト1を適正の形状に補正するブラカップ3と、そのブラカップ3をバスト1に固定させるベルト6とストラップ7にて構成されているブラジャー2は、左右おのおののバスト1に対して適正なるバスト1の形成を施すためにブラカップの頂点4を頂点として円錐状の形成をした左右おのおののバスト1にあてがわれ独立した2個のブラカップ3(図1図10では片側に限定して図示している)とブラカップ3とブラカップ3を胸部中央にて結び連結させ、かつ左カップ端から背中を一周させて右のカップ端に連結させて、胸部の横方向からブラジャー2のブラカップ3をバスト1に固定させるベルト6とブラカップ3の上端から肩を回って背中のベルト6に連結されているストラップ7と背中中央において切断されているベルト6とベルト6をつなぎ合わせるベルト6の両末端に備えられた雄カンと雌カンの止め金具によって構成されている。
【0019】
本発明では、ブラカップ3のバージスライン5に縫着された土台生地とブラカップ3の脇に縫着されたサイドパネル生地と左右のサイドパネル生地から側方に延びるベルトをベルト6と呼称する。そしてベルト6のサイドラインには、ストレッチテープの縫いつけが施されている。またこのストレッチテープは、ベルト6のサイドラインからストラップ8へ繋がるブラカップ3の上部にてもストレッチテープ9がベルト6のサイドラインから延長して縫いつけが施されている。このストレッチテープによってブラジャー自体2の各部の補強を行っている。
【0020】
ブラカップ3は複数枚の生地を重ね合わせて出来ており表生地41の上には装飾としてレース生地が縫いつけられている。ブラカップ3の裏側である肌に接する生地42の素材は肌の吸水性を考慮し綿素材が多く使われている。主に市販されているブラカップ3の素材は、ウレタン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、綿等にて構成されている。本発明では、ブラカップ3に用いる素材またはブラカップ3を形成する生地の枚数については設計製造段階にてブラジャーの機能・適正に応じて設定する。また本発明では、ブラカップ3の裏側である肌側に通常設けられているカップ自体を繋ぎ形成するカップはぎまたはテープに関しての説明は省略する。
【実施例1】
【0021】
図1では、実施例1における女性の胸部の左右のバストの内、身体の右側のバスト1を覆い補正するブラカップ3周辺の表側から観た図を示している。バスト1を包む円錐形の形状としたブラカップ3を構成する複数枚の繊維生地の中心に第1内カップ20が設けられている。ブラカップ3内に設けられている第1内カップ20は、ブラカップ3の肩側トップ8を始点として、ブラカップ3のバスト1の基底ラインであるバージスライン5に沿って、ブラカップ3の胸側縁11を終点として第1内カップ20の幅は最も幅の広い場所にてバージスライン5からブラカップ頂点4までの距離の2/3の範囲内とした区間に第1内カップ20が設けられている。図4に示す通りバストから見るとブラカップ裏生地42の次に第1内カップ20そしてブラカップ表生地41となる。
【0022】
第1内カップ20の素材として、軟質合成樹脂フォームであるポリウレタンフォーム又はラテックスの発泡体やナイロンポリウレタンフォームなどの素材が挙げられる。適した素材を設計時に決める。
【0023】
第1内カップ20は、ブラカップ3の肩側トップ8を始点とする線からバージスライン5に接する線を経由して終点であるブラカップ3の胸側縁11に接する箇所はブラカップ3に縫着されている。肩側トップ8からストレッチテープ9までの区間をブラカップ2に縫着する事によって第1内カップ20自身が伸張してブラカップ3の肩側トップ8からストレッチテープ9までの区間を越えてはみ出す事を無くしている。第1内カップ20においてバージスライン5に接する箇所をブラカップ2に縫着する事によって第1内カップ20自身が伸張してバージスライン5を越えてはみ出す事を無くしている。第1内カップ20がブラカップ3の胸側縁11に接している箇所をブラカップ3に縫着する事によって第1内カップ20自身が伸張してブラカップ3の胸側縁11からはみ出す事を無くしている。即ち、第1内カップ20の伸張作用の目的からブラカップの頂点4に面している区間(箇所)はブラカップ3には縫着されていない。
【0024】
第1内カップ20のブラカップ3に縫着されていないブラカップ頂点4に面した長手方向内側の2箇所にブラカップ3のバージスライン5に向けて最短距離となる方向にV字型の溝が設けられている。ブラカップ3の脇側から順に第1溝24と第2溝25が設けられている。第1内カップ20を肩側トップからバージスライン5に沿ってブラカップ胸側縁11にかけて、第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23の3分割とした時に、第1溝24は、第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22の境界に設けられ、第2溝25は、第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23の境界に設けられている。
【0025】
第1内カップ20にブラカップ頂点4に面した長手方向内側の2箇所に設けられた第1溝24と第2溝25の溝の形と深さは同じとしている。第1溝24と第2溝25の溝の形はV字型としている。V字型の幅は対象とするブラジャー2のカップの大きさと形状によって設計時に決める。第1溝24と第2溝25のV字型溝の深さを0.5mm~1.5mmの範囲内としている。V字型溝の深さは、対象とするブラカップの大きさによって決める。ブラカップ3が小さいAカップは0.5mm近辺であり、ブラカップ3がCカップDカップEカップFカップへと大きくなるに従い溝の深さは最大値の1.5mmへと近づく。
【0026】
第1内カップ20の肌側に対して、第1溝24の溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上に条溝26を設けている。さらに第2溝25についても溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上にも条溝26を設けている。条溝26の幅は対象とするブラジャー2のカップの大きさと形状によって設計時に決める。ブラカップ3のサイズが小さいAカップの場合は条溝26の幅は狭くても良いが、ブラカップ3のサイズがCカップからDカップへと大きくなるにつれて条溝26の幅は広くなる傾向となる。
【実施例2】
【0027】
実施例1と実施例2との違いは、実施例1では、第1内カップ20の第1溝24と第2溝25の底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上に条溝を設けている事に対して、実施例2では、第1内カップ20の第1溝24と第2溝25の底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上に長孔を設けている事にある。他の構造は全て実施例1と実施例2と同じである。従って実施例2において図面上の符号について長孔以外は実施例1と全て共通としている。また実施例2における第1内カップ20の第1溝24と第2溝25については、実施例と作用と効果の説明図は実施例1を代用する。
【0028】
図1では、実施例1における女性の胸部の左右のバストの内、身体の右側のバスト1を覆い補正するブラカップ3周辺の表側から観た図を示している。バスト1を包む円錐形の形状としたブラカップ3を構成する複数枚の繊維生地の中心に第1内カップ20が設けられている。ブラカップ3内に設けられている第1内カップ20は、ブラカップ3の肩側トップ8を始点として、ブラカップ3のバスト1の基底ラインであるバージスライン5に沿って、ブラカップ3の胸側縁11を終点として第1内カップ20の幅は最も幅の広い場所にてバージスライン5からブラカップ頂点4までの距離の2/3の範囲内とした区間に第1内カップ20が設けられている。図4に示す通りバストから見るとブラカップ裏生地42の次に第1内カップ20そしてブラカップ表生地41となる。
【0029】
第1内カップ20の素材として、軟質合成樹脂フォームであるポリウレタンフォーム又はラテックスの発泡体やナイロンポリウレタンフォームなどの素材が挙げられる。適した素材を設計時に決める。
【0030】
第1内カップ20は、ブラカップ3の肩側トップ8を始点とする線からバージスライン5に接する線を経由して終点であるブラカップ3の胸側縁11に接する箇所はブラカップ3に縫着されている。肩側トップ8からストレッチテープ9までの区間をブラカップ2に縫着する事によって第1内カップ20自身が伸張してブラカップ3の肩側トップ8からストレッチテープ9までの区間を越えてはみ出す事を無くしている。第1内カップ20においてバージスライン5に接する箇所をブラカップ2に縫着する事によって第1内カップ20自身が伸張してバージスライン5を越えてはみ出す事を無くしている。第1内カップ20がブラカップ3の胸側縁11に接している箇所をブラカップ3に縫着する事によって第1内カップ20自身が伸張してブラカップ3の胸側縁11からはみ出す事を無くしている。即ち、第1内カップ20の伸張作用の目的からブラカップの頂点4に面している区間(箇所)はブラカップ3には縫着されていない。
【0031】
第1内カップ20のブラカップ3に縫着されていないブラカップ頂点4に面した長手方向内側の2箇所にブラカップ3のバージスライン5に向けて最短距離となる方向にV字型の溝が設けられている。ブラカップ3の脇側から順に第1溝24と第2溝25が設けられている。第1内カップ20を肩側トップからバージスライン5に沿ってブラカップ胸側縁11にかけて、第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23の3分割とした時に、第1溝24は、第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22の境界に設けられ、第2溝25は、第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23の境界に設けられている。
【0032】
第1内カップ20にブラカップ頂点4に面した長手方向内側の2箇所に設けられた第1溝24と第2溝25の溝の形と深さは同じとしている。第1溝24と第2溝25の溝の形はV字型としている。V字型の幅は対象とするブラジャー2のカップの大きさと形状によって設計時に決める。第1溝24と第2溝25のV字型溝の深さを0.5mm~1.5mmの範囲内としている。V字型溝の深さは、対象とするブラカップの大きさによって決める。ブラカップ3が小さいAカップは0.5mm近辺であり、ブラカップ3がCカップDカップEカップFカップへと大きくなるに従い溝の深さは最大値の1.5mmへと近づく。
【0033】
第1内カップ20の第1溝24の底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔27を設けている。さらに第2溝25についても底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔27を設けている。長孔27の長さや数は対象とするブラジャー2のカップの大きさと形状によって設計時に決める。ブラカップ3のサイズが小さいAカップの場合は長孔27の長さは短くても数は1つでも良いが、ブラカップ3のサイズがCカップからDカップへと大きくなるにつれて長孔27の長さは長くなり、数は複数になる。
【0034】
以下、実施例1と実施例2に記載された本実施形態の作用及び効果について説明する。ブラジャー2を着用する最大の目的は、バスト1を適正の形状に補正する事を目的としている。女性のバスト1(乳房)の形は同じではなく千差万別である。ブラカップ3のサイズがBカップの女性達の中にはBカップが適正の人もいればAカップに近いBカップの人もいるしCカップに近いBカップの人もいる。できるだけ理想のバストラインに保つこととバスト1(乳房)自体の重みと重力が作用する負荷を低減させることがブラジャー2に対しての課題でもある。
【0035】
実施例1と実施例2に記載された形態は、ブラジャー2のサイズとブラカップ3ベルト6がよく伸びる素材で出来ているモールド形式のブラジャーのようにS,M,L,LLと分けられているモールド形式のブラジャーにとどまることなく、バスト1のアンダーサイズが65,70,75,80と分けられブラカップのサイズもA,B,C,D,E,Fと分けられている通常のブラジャーやブラカップを有する衣類全般に対しても同様に、モールド形式のブラジャーに採用されている内カップを適用しバスト1を支えるホールド力の向上とやさしく包み込まれ感を得ることを目的としている。
【0036】
ブラジャー2を着用したときにブラカップ3内において最もバスト自体のからの負荷が大きい箇所はどこかと言えば、バスト1の中段16と下段17である。本発明では、ブラジャー2を着用したときにバスト1から最も負荷がかかるブラカップ3の中段16と下段17に着目し、ブラカップ3の肩側トップ8始点として、ブラカップ3のバスト1の基底ラインであるバージスライン5に沿って、ブラカップ3の胸側縁11を終点として第1内カップ20の幅は最も幅の広い場所にてバージスライン5からブラカップ頂点4までの距離の2/3の範囲内とした区間に第1内カップ20が設けられている。伸張性のある第1内カップ20によってブラカップ肩側からバージスライン5に沿ってブラカップの胸側縁までの区間のバスト中段16と下段17にかけてバストを包み込み、的圧にて第1内カップ20にて該当する第1内カップ下部22と第1内カップ脇部23と第1内カップ胸中心部23を支え理想とするバスト形成を行っている。
【0037】
第1内カップ20は、バスト頂点4に面している側はブラカップ3に縫着されていない。ブラジャー2の着用者のバスト(乳房)の大きさ又はブラジャーを着用している時の姿勢などの挙動変化によって第1内カップ20への負荷変動が生じるとバスト1からブラカップ3への過剰な負荷は対処すべくブラカップ3の外側へと伸張し膨らみ負荷に対応するか、それともブラカップ頂点4側に伸張して対応するかになる。第1内カップ20は、ブラカップ頂点4に面している側はブラカップ3に縫着されていない事から、負荷変動に応じてブラカップ頂点4へ第1内カップ20は伸張し対応し、負荷が元に戻れば元に戻る。ブラカップ3内において最もバスト自体のからの負荷が小さい箇所はどこかと言えば、バスト1の上段15である。仮にバストから過剰な負荷が掛かったときに第1内カップ20の伸張作用によってバスト1の上段15に逃がす事ができれば、的圧にて第1内カップ20にて該当する第1内カップ下部22と第1内カップ脇部23と第1内カップ胸側中心部23を支え理想とするバスト形成を行うことができる。
【0038】
さらに第1内カップ20では、ブラカップ頂点4に面した長手方向内側の2箇所にブラカップのバージスラインに向けて最短距離となる方向にV字型とした第1溝24と第2溝25が設けられている。第1溝24の位置は、第1内カップ20のブラカップ頂点4に面した内側の第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22との境界に設け、一方、第2溝25の位置は、第1内カップ20のブラカップ頂点4に面した内側の第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23との境界に設けられている。図6に示すように仮にブラジャーの着用者の姿勢などの挙動変化によって第1内カップ20への負荷変動が生じるとバスト1からブラカップ3への過剰な負荷に対処すべく、負荷が掛かった区間はV字型溝の幅を狭めながらブラカップ頂点4に向けて伸張し過剰な負荷に第1内カップ20が対応する。通常、バスト1はバスト頂点4に向かうにつれ円周方向の長さが段々短くなっていく。このV字型溝が無かった想定すると、ブラカップ頂点4に面した長手方向内側では、負荷が掛かった面と掛かっていない面同士が互いに干渉し合い、第1内カップ20はブラカップ頂点4へと伸張しにくくなってしまう。そしてうまく時間差なく過剰な負荷を受け流すことが出来なくなってしまう。ブラカップ3の外側へ負荷の逃げ道を模索するために第1内カップ20の伸張度を高めて伸びやすくするとブラカップ3のサポート力は落ちてしまい、通常の状態でもバスト1をしっかり支え補正する効果は落ちてしまうことになりかねない。
【0039】
第1内カップ20のブラカップ頂点4に面した長手方向内側の2箇所にブラカップのバージスラインに向けて最短距離となる方向にV字型とした第1溝24と第2溝25が設け、第1溝24の位置は第1内カップ20のブラカップ頂点4に面した内側の第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22との境界とし、一方、第2溝25の位置は、第1内カップ20のブラカップ頂点4に面した内側の第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23との境界に設けられている。何故この位置にV字型溝を2箇所にしてあるかは、第1内カップ20について述べれば、バスト1(乳房)の形状から円周方向にバストからの負荷の向きを考えると第1内カップ下部22と第1内カップ脇部21の境界付近と第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23との境界付近でバスト1からの負荷は長手方向に伸張する向きが変わる。第1内カップバスト下部では長手方向の伸張Gは主として左右方向の伸張になるが、一方、第1内カップ脇部22の伸張Fと第1内カップ胸側中心部23の伸張Kでは主としてブラカップ3の形状に合わせて長手方向かつ上下方向の伸張に変わる。この境界にV字型溝を設けることによって第1内カップ20の役割分担を行っている。第1内カップ20の脇部分21に対しては主としてバスト脇部からの負荷に連動した伸張作用が行われる。第1内カップ20の第1内カップ下部部分22に対しては主としてバスト(乳房)下部からの負荷に連動した伸張作用し、第1内カップ20の胸側中心部分23に対しては、主としてブラカップ頂点4であるバスト(乳房)頂点からブラカップ3のバスト胸側中心部への負荷に連動した伸張作用が行われる。これらの伸張作用によって第1内カップ20においてV字型溝にて3区間に分けられた区間は隣接する区間からの負荷変動にできるだけ影響を受けにくくし、対面するバスト1からの負荷変動に集中して伸張できる構造としている。この構造とすることによって的圧にてバスト下部とバスト脇側とバスト胸側中心側を支え理想とするバスト形成を行うことができる。
【0040】
本発明の第1内カップ20では、V字型溝にて第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23の3区間としているが、さらにV字型溝にて3区間に分けられた各区間において、隣接する区間からの負荷変動にできるだけ影響を受けにくくし、対面するバスト1からの負荷変動に集中して伸張できる構造を2つ備え、実施例1と実施例2として記載している。設計時にどちらを採用するかはその時のブラジャーの形式により選択する。
【0041】
選択一つ目として、実施例1に記載の第1内カップ20の肌側に対して、第1溝24の溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上に条溝26を設け、第2溝25についても溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上にも条溝26を設けている。選択二つ目として、実施例2に記載の第1内カップ20の第1溝24の底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔27を設け、第2溝25についても底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔27を設けている。
【0042】
選択1つ目である実施例1では、第1内カップ20の肌側に対して、第1溝24の溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上に条溝26を設け、第2溝25についても溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上にも条溝26を設けている。図5図6にて説明する。図5で示すように条溝は細長く、断面図の図7で示すよう横幅は狭く深さは浅い溝である。図6で示すようブラジャー着用者のバスト1の形状又は身体の挙動変化によって第1内カップ下部22だけが伸張したと仮定すると第1内カップ下部22は矢印の方向に伸張する。斜線は伸張した時の状態を示す。この時に第1溝24の幅は狭くなり条溝26では、条溝26の幅が広くなり斜め上方に開き少し捩れた状態になり、出来るだけ隣接する第1内カップ脇部21が伸張されないような作用が起き、第1内カップ脇部21の伸張量は最小限に抑えられる。又もう1つ条溝26を設ける利点として、条溝26を設けることによってここが基点となって第1内カップ20自身が中折れしてバスト1に沿うように円周方向に内側向けて丸い形状を作り出しやすくなり、第1内カップ20自身がバスト1の形状に馴染みブラジャー2の着用感を向上させる構造としている。
【0043】
選択2つ目である実施例2では、第1内カップ20の第1溝24の底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔27を設け、第2溝25についても底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔27を設けている。図8図9にて説明する。図8で示すように長孔27は細長く楕円状に空けられた穴である。図9で示すようブラジャー着用者のバスト1の形状又は身体の挙動変化によって第1内カップ下部22だけが伸張したと仮定すると第1内カップ下部22は矢印の方向に伸張する。斜線は伸張した時の状態を示す。この時に第1溝24の幅は狭くなる。長孔27では、長孔27の穴が広くなり斜め上方に口が開いた状態になり、出来るだけ隣接する第1内カップ脇部21が伸張されないような作用が起き、第1内カップ脇部21の伸張量は最小限に抑えられる。
【実施例3】
【0044】
実施例1と実施例2に対して実施例3との違いは、ブラジャー2のブラカップ3の外周に位置するバージスライン5にワイヤー43を設けているか、設けていないかの違いのみである。バージスライン5に設けられているワイヤー43以外の実施例3の他の構成と構造は、全て実施例1と実施例2と同じある。従って実施例3において図面上の符号について、ワイヤー43以外は実施例1と実施例2と全て共通としている。
【0045】
図10では、実施例3における女性の胸部の左右のバストの内、身体の右側のバスト1を覆い補正するブラカップ3周辺の表側から観た図を示している。バスト1を包む円錐形の形状としたブラカップ3を構成する複数枚の繊維生地の中心に第1内カップ20が設けられている。ブラカップ3内に設けられている第1内カップ20は、ブラカップ3の肩側トップ8を始点として、ブラカップ3のバスト1の基底ラインであるバージスライン5に沿って、ブラカップ3の胸側縁11を終点として第1内カップ20の幅は最も幅の広い場所にてバージスライン5からブラカップ頂点4までの距離の2/3の範囲内とした区間に第1内カップ20が設けられている。図4に示す通りバストから見るとブラカップ裏生地42の次に第1内カップ20そしてブラカップ表生地41となる。
【0046】
第1内カップ20の素材として、第1実施例と同じく軟質合成樹脂フォームであるポリウレタンフォーム又はラテックスの発泡体やナイロンポリウレタンフォームなどの素材が挙げられる。適した素材を設計時に決める。
【0047】
第1内カップ20は、第1実施例と同じくブラカップ3の肩側トップ8を始点とする線からバージスライン5に接する線を経由して終点であるブラカップ3の胸側縁11に接する箇所はブラカップ3に縫着されている。肩側トップ8からストレッチテープ9までの区間をブラカップ2に縫着する事によって第1内カップ20自身が伸張してブラカップ3の肩側トップ8からストレッチテープ9までの区間を越えてはみ出す事を無くしている。第1内カップ20においてバージスライン5に接する箇所をブラカップ2に縫着する事によって第1内カップ20自身が伸張してバージスライン5を越えてはみ出す事を無くしている。第1内カップ20がブラカップ3の胸側縁11に接している箇所をブラカップ3に縫着する事によって第1内カップ20自身が伸張してブラカップ3の胸側縁11からはみ出す事を無くしている。即ち、第1内カップ20の伸張作用の目的からブラカップの頂点4に面している区間(箇所)はブラカップ3には縫着されていない。
【0048】
第1内カップ20のブラカップ3に縫着されていないブラカップ頂点4に面した長手方向内側の2箇所にブラカップ3のバージスライン5に向けて最短距離となる方向にV字型の溝が設けられている。ブラカップ3の脇側から順に第1溝24と第2溝25が設けられている。第1内カップ20を肩側トップからバージスライン5に沿ってブラカップ胸側縁11にかけて、第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23の3分割とした時に、第1溝24は、第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22の境界に設けられ、第2溝25は、第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23の境界に設けられている。
【0049】
第1内カップ20にブラカップ頂点4に面した長手方向内側の2箇所に設けられた第1溝24と第2溝25の溝の形と深さは同じとしている。第1溝24と第2溝25の溝の形はV字型としている。V字型の幅は対象とするブラジャー2のカップの大きさと形状によって設計時に決める。第1溝24と第2溝25のV字型溝の深さを0.5mm~1.5mmの範囲内としている。V字型溝の深さは、対象とするブラカップの大きさによって決める。ブラカップ3が小さいAカップは0.5mm近辺であり、ブラカップ3がCカップDカップEカップFカップへと大きくなるに従い溝の深さは最大値の1.5mmへと近づく。
【0050】
第1内カップ20の肌側に対して、第1溝24の溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上に条溝26を設けている。さらに第2溝25についても溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上にも条溝26を設けている。条溝26の幅は対象とするブラジャー2のカップの大きさと形状によって設計時に決める。ブラカップ3のサイズが小さいAカップの場合は条溝26の幅は狭くても良いが、ブラカップ3のサイズがCカップからDカップへと大きくなるにつれて条溝26の幅は広くなる傾向となる。
【0051】
ブラカップ3の外周に位置するバスト1の基底ラインであるバージスライン5には、バスト(乳房)1を支え、ホールドする目的の為にワイヤー43が設けられている。ワイヤー43の形状は、円形又は楕円形のどちらでもホールド効果は得られる。ワイヤー43からバスト1に掛ける圧やバスト1からワイヤー43に掛かる負荷またはブラジャー2の着用感などを考量するとワイヤー43の形状は、楕円形が最も適切である。ブラカップ3の形状や大きさ又はブラジャー2自体の価格や、その時々のデザインを考慮して決定する。一方、ワイヤー43の材質は、一般的にブラジャー2のワイヤーに使用されている金属製のステンレススチール、アモルファス合金、形状記憶合金などの金属製ワイヤー、または柔軟性に富んだプラスチック素材や繊維強化ブスチックや樹脂製などの柔軟性に富んだ材質などから選定する。ブラカップ3の形状や大きさ又はブラジャー2自体の価格や、その時々のデザインなどを考量し決定する。ワイヤー43はバイアステープ等で作られた帯状の収納袋(ワイヤーチューブ)に収納され、ブラジャー本体2のブラカップ3の外周に位置するバスト1の基底ラインであるバージスライン5に取りつけられている。
【0052】
以下、実施例3に記載された本実施形態の作用及び効果について説明する。実施例1並びに実施例2と実施例3の違いは、ブラジャー2のバージスライン5にワイヤー43を設けているか、設けていないかの違いのみである。ブラジャー2のバージスライン5にワイヤー43を設けている利点については、ワイヤー43の効果によりホールド力が高まり「寄せる」「上げる」といったバスト1の補正効果と、ワイヤー43によってサポート力を高めて身体の挙動変化に伴ってブラカップ3がバスト(乳房)1からずれてしまう事を改善することができるなどの利点が挙げられる。
【0053】
ブラジャー2を着用したときにブラカップ3内において最もバスト1自体のからの負荷が大きい箇所はどこかと言えば、バスト1の中段16と下段17である。本発明では、ブラジャー2を着用したときにバスト1から最も負荷がかかるブラカップ3の中段16と下段17に着目し、ブラカップ3の肩側トップ8始点として、ブラカップ3のバスト1の基底ラインであるバージスライン5に沿って、ブラカップ3の胸側縁11を終点として第1内カップ20の幅は最も幅の広い場所にてバージスライン5からブラカップ頂点4までの距離の2/3の範囲内とした区間に第1内カップ20が設けられている。さらに実施例3では、ブラジャー2のバージスライン5にワイヤー43を設けている。ブラカップ3のバージスライン5に接する箇所と第1内カップ20のバージスライン5に接する箇所は、バージスラインに設けられたワイヤー43によってバスト1に密着している状態にて、伸張性のある第1内カップ20によってブラカップ肩側からバージスライン5に沿ってブラカップの胸側縁までの区間のバスト中段16と下段17にかけてバストを包み込み、的圧にて第1内カップ20にて該当する第1内カップ下部22と第1内カップ脇部23と第1内カップ胸中心部23を支えるとともにバージスライン5に設けられたワイヤー43の併用によりバストを「寄せる」「上げる」などの理想とするバスト形成を行っている。
【0054】
第1内カップ20は、バスト頂点4に面している側はブラカップ3に縫着されていない。ブラジャー2の着用者のバスト(乳房)の大きさ又はブラジャーを着用している時の姿勢などの挙動変化によって第1内カップ20への負荷変動が生じるとバスト1からブラカップ3への過剰な負荷は対処すべくブラカップ3の外側へと伸張し膨らみ負荷に対応するか、それともブラカップ頂点4側に伸張して対応するかになる。第1内カップ20は、ブラカップ頂点4に面している側はブラカップ3に縫着されていない事から、負荷変動に応じてブラカップ頂点4へ第1内カップ20は伸張し対応し、負荷が元に戻れば元に戻る。ブラカップ3内において最もバスト自体からの負荷が小さい箇所はどこかと言えば、バスト1の上段15である。仮に身体の挙動変化に伴ってバストから過剰な負荷が掛かったときに、実施例3に示すバージスライン5に設けられたワイヤー43によってブラカップ3がバスト1に対して、ずれることなく密着している状態にて、第1内カップ20の伸張作用によってバスト1の上段15に逃がす事ができれば、的圧にて第1内カップ20にて該当する第1内カップ下部22と第1内カップ脇部23と第1内カップ胸側中心部23を支え理想とするバスト形成を行うことができる。このバージスライン5に設けられたワイヤー43によるホールド力とサポート力によって身体の挙動変化に対して順応させてブラカップ3がバスト1から、ずれてしまう事を改善し、ブラカップ3の安定感と着用感を向上させている。
【0055】
さらに第1内カップ20では、ブラカップ頂点4に面した長手方向内側の2箇所にブラカップ3のバージスライン5に向けて最短距離となる方向にV字型とした第1溝24と第2溝25が設けられている。第1溝24の位置は、第1内カップ20のブラカップ頂点4に面した内側の第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22との境界に設け、一方、第2溝25の位置は、第1内カップ20のブラカップ頂点4に面した内側の第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23との境界に設けられている。図6に示すように仮にブラジャーの着用者の姿勢などの挙動変化によって第1内カップ20への負荷変動が生じるとバスト1からブラカップ3への過剰な負荷に対処すべく、負荷が掛かった区間はV字型溝の幅を狭めながらブラカップ頂点4に向けて伸張し過剰な負荷に第1内カップ20が対応する。通常、バスト1はバスト頂点4に向かうにつれ円周方向の長さが段々短くなっていく。このV字型溝が無かった想定すると、ブラカップ頂点4に面した長手方向内側では、負荷が掛かった面と掛かっていない面同士が互いに干渉し合い、第1内カップ20はブラカップ頂点4へと伸張しにくくなってしまう。そしてうまく時間差なく過剰な負荷を受け流すことが出来なくなってしまう。ブラカップ3の外側へ負荷の逃げ道を模索するために第1内カップ20の伸張度を高めて伸びやすくするとブラカップ3のサポート力は落ちてしまい、通常の状態でもバスト1をしっかり支え補正する効果は落ちてしまうことになりかねない。
【0056】
第1内カップ20のブラカップ頂点4に面した長手方向内側の2箇所にブラカップのバージスラインに向けて最短距離となる方向にV字型とした第1溝24と第2溝25が設け、第1溝24の位置は第1内カップ20のブラカップ頂点4に面した内側の第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22との境界とし、一方、第2溝25の位置は、第1内カップ20のブラカップ頂点4に面した内側の第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23との境界に設けられている。何故この位置にV字型溝を2箇所にしてあるかは、第1内カップ20について述べれば、バスト1(乳房)の形状から円周方向にバストからの負荷の向きを考えると第1内カップ下部22と第1内カップ脇部21の境界付近と第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23との境界付近でバスト1からの負荷は長手方向に伸張する向きが変わる。第1内カップバスト下部では長手方向の伸張Gは主として左右方向の伸張になるが、一方、第1内カップ脇部22の伸張Fと第1内カップ胸側中心部23の伸張Kでは主としてブラカップ3の形状に合わせて長手方向かつ上下方向の伸張に変わる。この境界にV字型溝を設けることによって第1内カップ20の役割分担を行っている。第1内カップ20の脇部分21に対しては主としてバスト脇部からの負荷に連動した伸張作用が行われる。第1内カップ20の第1内カップ下部部分22に対しては主としてバスト(乳房)下部からの負荷に連動した伸張作用し、第1内カップ20の胸側中心部分23に対しては、主としてブラカップ頂点4であるバスト(乳房)頂点からブラカップ3のバスト胸側中心部への負荷に連動した伸張作用が行われる。これらの伸張作用によって身体の挙動変化に伴う負荷変動に対して、第1内カップ20においてV字型溝にて3区間に分けられた区間は隣接する区間からの負荷変動にできるだけ影響を受けにくくし、さらにブラカップ3のバージスライン5にワイヤー43を設けバスト補正を併用するワイヤー併用法の効果により、ブラカップ3と第1内カップ20がバスト(乳房)1から、ずれてしまう事を無くし、対面するバスト1からの負荷変動に集中して伸張できる構造としている。この構造とすることによって的圧にてバスト下部とバスト脇側とバスト胸側中心側を支え理想とするバスト形成を行うことができる。
【0057】
本発明の第1内カップ20では、V字型溝にて第1内カップ脇部21と第1内カップ下部22と第1内カップ胸側中心部23の3区間としているが、さらにV字型溝にて3区間に分けられた各区間において、隣接する区間からの負荷変動にできるだけ影響を受けにくくし、対面するバスト1からの負荷変動に集中して伸張できる構造を2つ備えている。設計時にどちらを採用するかはその時のブラジャーの形式により選択する。
【0058】
選択一つ目として、第1内カップ20の肌側に対して、第1溝24の溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上に条溝26を設け、第2溝25についても溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上にも条溝26を設けている。選択二つ目として、第1内カップ20の第1溝24の底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔27を設け、第2溝25についても底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔27を設けている。
【0059】
選択1つ目である実施例1の第1内カップ20の肌側に対して、第1溝24の溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上に条溝26を設け、第2溝25についても溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上にも条溝26を設けている。図5図6にて説明する。図5で示すように条溝は細長く、断面図の図7で示すよう横幅は狭く深さは浅い溝である。図6で示すようブラジャー着用者のバスト1の形状又は身体の挙動変化によって第1内カップ下部22だけが伸張したと仮定すると第1内カップ下部22は矢印の方向に伸張する。斜線は伸張した時の状態を示す。この時に第1溝24の幅は狭くなり条溝26では、条溝26の幅が広くなり斜め上方に開き少し捩れた状態になり、出来るだけ隣接する第1内カップ脇部21が伸張されないような作用が起き、第1内カップ脇部21の伸張量は最小限に抑えられる。又もう1つ条溝26を設ける利点として、条溝26を設けることによってここが基点となって第1内カップ20自身が中折れしてバスト1に沿うように円周方向に内側向けて丸い形状を作り出しやすくなり、第1内カップ20自身がバスト1の形状に馴染みブラジャー2の着用感を向上させる構造としている。さらに実施例3では、バージスライン5にワイヤー43を設けるワイヤー43との併用により、ブラカップの外周に位置するバージスライン5にワイヤー43の効果により、ブラカップ3のバージスライン5側はワイヤー43によって、しっかりホールドされ、バスト側を抑えられている状態となり、ブラカップ3はバスト1から、ずれることなく密着されている。第1内カップ20のV字型の溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上に設けられた条溝は、身体の挙動変化に伴ってバスト1から第1内カップ20に過剰な負荷が掛かったとしてもブラカップ3のバージスライン5側はワイヤー43によって、バスト1からのずれをなくしてバスト側をしっかり抑えられることにより理想的な第1内カップ20の伸張作用が施されバスト1は常に安定した的圧にてバスト下部とバスト脇側とバスト胸側中心側を支えられ理想とするバスト形成を行うことができる。
【0060】
選択2つ目である実施例2の第1内カップ20の第1溝24の底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔27を設け、第2溝25についても底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に長孔27を設けている。図8図9にて説明する。図8で示すように長孔27は細長く楕円状に空けられた穴である。図9で示すようブラジャー着用者のバスト1の形状又は身体の挙動変化によって第1内カップ下部22だけが伸張したと仮定すると第1内カップ下部22は矢印の方向に伸張する。斜線は伸張した時の状態を示す。この時に第1溝24の幅は狭くなる。長孔27では、長孔27の穴が広くなり斜め上方に口が開いた状態になり、出来るだけ隣接する第1内カップ脇部21が伸張されないような作用が起き、第1内カップ脇部21の伸張量は最小限に抑えられる。さらに実施例3では、バージスライン5にワイヤー43を設けるワイヤーとの併用により、ブラカップ3の外周に位置するバージスライン5に設けられたワイヤー43の効果により、ブラカップ3のバージスライン5側はワイヤー43によって、ずれることなくバスト1側をしっかり抑えられている状態となり、ブラカップ3はバスト1から、ずれることなく密着されている。第1内カップ20のV字型の溝底部からバージスライン5までを結ぶ最短距離の線上の中間付近に設けられた長孔27は、身体の挙動変化に伴ってバスト1から第1内カップ20に過剰な負荷が掛かったとしてもブラカップ3のバージスライン5側はワイヤー43によって、バスト1からのずれをなくしてバスト1側をしっかり抑えられることにより理想的な第1内カップ20の伸張作用が施されバスト1は常に安定した的圧にてバスト下部とバスト脇側とバスト胸側中心側を支えられ理想とするバスト形成を行うことができる。
【0061】
実施例1と実施例2に対して実施例3との違いは、ブラジャー2のブラカップ3の外周に位置するバージスライン5にワイヤー43を設けているか、設けていないかの違いのみである。ブラジャー2を着用する女性には、バージスライン5に取りつけられているワイヤー43による締め付け感があまり好きではない人もいれば、逆にバージスライン5に取りつけられているワイヤー43の効果によりホールド力が高まり「寄せる」「上げる」といったバストの補正効果と、ワイヤー31によってサポート力を高め身体の挙動変化に伴ってブラカップ3がバスト(乳房)1からのずれを気にする人はワイヤー機能43があるブラジャー2が好まれる。本発明では、どちらの人にも対応すべく、バージスライン5に取りつけられているワイヤー43による締め付け感があまり好きではない人やワイヤー43が苦手な人に対しては実施例1と実施例2が適切であり、バージスライン5に取りつけられているワイヤー43によるバストメイクと補正効果が得られるブラジャーを好む人には実施例3を提案する。
【0062】
本発明ではブラジャー2に限定することなく、ブラカップを有する衣類である、ボディスーツ、ブラスリップ、ブラキャミソール、水着などに関しても適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、ブラジャーに代表されるブラカップを有する女性用衣類を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0064】
2.ブラジャー
3.ブラカップ
4.ブラカップの頂点
5.バストの基底ラインであるバージスライン
8.ブラカップ肩側トップ
11.ブラカップ胸側縁
20.第1内カップ
21.第1内カップ脇部
22.第1内カップ下部
23.第1内カップ胸側中心部
41.ブラカップ表生地
42.ブラカップ裏生地(肌側生地)
43.ワイヤー
G.第1内カップ下部への伸張力
F.第1内カップ脇部への伸張力
K.第1内カップ胸側中心部への伸張力


【要約】
【課題】 ブラカップ内の内カップによる適切なバストの補正効果を向上させ理想のバストラインに保つことができるブラカップを有する衣類を提供する。
【解決手段】 ブラカップ内のバスト中段16からバスト下段17にかけて肩側トップからバージスラインに沿って胸側縁まで伸張素材の第1内カップを設け、第1内カップを長手方向に内側2箇所にブラカップ頂点側からバージスラインに向けて最短距離となる方向に向けてV字型溝を設け、その溝を基点に第1内カップを脇部、下部、胸側中心部の3区間に分けてバストをブラカップ内に包み込み補正させ、さらにV字型溝の底部からバージスラインに向けて条溝又は長孔を設け、第1内カップの伸張作用の向上を図る。
【選択図】 図1



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図2
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