(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】電場処理フライヤー
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A47J37/12 331
(21)【出願番号】P 2017124489
(22)【出願日】2017-06-26
【審査請求日】2020-06-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521380074
【氏名又は名称】ZERO-FORM株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099379
【氏名又は名称】南條 眞一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 武比古
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/030762(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3179641(JP,U)
【文献】特開2012-143274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容される加熱媒体が透過不可能な金属製外部容器、
前記金属製外部容器の中に収納される加熱媒体が透過可能な金属製内部容器、
前記金属製外部容器と前記金属製内部容器との間に介挿され、前記金属製外部容器と前記金属製内部容器とを電気的に絶縁する絶縁体、
前記金属製外部容器と前記金属製内部容器との間に交流高電圧を印可する電源、
前記金属製外部容器に収容された加熱媒体を加熱する熱源を有し、
前記金属製外部容器に収容された加熱媒体に投入された食品を加熱加工する電場処理フライヤーであって、
前記熱源が
前記金属製外部容器の全ての側面と前記金属製内部容器の全ての側面との間に配置され、前記金属製外部容器と前記金属製内部容器に適応する形状の電磁誘導加熱コイルであることを特徴とする電場処理フライヤー。
【請求項2】
前記電磁誘導加熱コイルが
スパイラルコイルであることを特徴とする請求項1の電場処理フライヤー。
【請求項3】
前記電磁誘導加熱コイルが
ヘリカルコイルであることを特徴とする請求項1の電場処理フライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を油により加熱加工するフライヤー、特に食品を電場処理して加熱調理を行う電場処理フライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
食品を油により加熱加工するフライヤーに、外部電極として機能し食用油等の加熱媒体が収容される金属等から成る外部容器、外部容器の内部に絶縁体を介して配置され食用油等の加熱媒体が透過可能な内部電極として機能する金属等から成る内部容器から構成され。外部電極と内部電極との間に高電圧交流を印加し、シーズヒータ等の加熱装置により油等の加熱媒体を加熱して、食品の電場加熱加工を行う電場処理フライヤーがある。
【0003】
電場処理フライヤーでは、交流高電圧により生じた電場により被処理食物を構成する分子を電気力線方向に沿って分極させ、分極した分子を電気力線方向に配向整列させることを繰り返し、分子の配列を次第に規則正しく整列させることにより、被処理食物を改質する。
【0004】
本発明者は、WO2004/110179号公報に電場処理フライヤーを開示した。
図1を用いて、WO2004/110179号公報に記載された電場処理加熱加工装置の概要を説明する。
【0005】
図1において、(a)は先行技術の電場処理フライヤーの正面断面図、(b)は同上面断面図、(c)は電場発生用電源である。
【0006】
図1において、1は上部が開放された有底直方体形状で、食用油等の加熱媒体が収容されるステンレス板等で構成された外部容器であり、電場処理の外部電極として機能する。
2は上部が開放された直方体形状であり、食用油等の加熱媒体が透過可能なように金網又はパンチングメタルで構成された内部容器でり、電場処理の内部電極として機能する。
内部容器2は外部容器1の内部に間隔を開けて収納され、外部容器1と内部容器2とは絶縁体3により電気的に分離されている。
【0007】
外部容器1及び内部容器2に各々対応する長方形形状の外蓋4及び内蓋5が設けられ、外蓋4と内蓋5との間には絶縁体3が介挿されている。
外蓋4は、外部容器1と同様にステンレス板等で構成され、内蓋5は内部容器2と同様に金網あるいは有孔金属板で構成されている。
電場処理加熱加工中は外蓋4及び内蓋5は閉じられ、そのとき外蓋4は外部容器2に、内蓋5は内部容器2に電気的に接続される。
【0008】
外部電極1と内部電極2との間に(c)に例示した電源装置7により、商用電源から変圧器8で2~6kVに昇圧された高電圧交流が供給される。
外部電極1の底部外側に面状のシーズヒータ等の熱源6が配置されている。
【0009】
シーズヒータは、金属製パイプの中にニクロム線ヒータが収納され、ニクロム線ヒータと金属製パイプが電気的に絶縁されるように酸化マグネシウム等の絶縁粉末が金属製パイプ内に充填され、両端が絶縁体で封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
シーズヒータはニクロム線発熱体が発生した熱を酸化マグネシウムと金属製パイプを介して熱伝導により加熱媒体を加熱するため、熱効率が悪い。
【0012】
図1に示したシーズヒータは外部容器1内に収容されているが、そうすると外部容器1内の清掃がしにくいため、シーズヒータを外部容器1外に配置することがあるが、そうするとますます熱効率は悪化する。
【0013】
本出願に係る発明は、熱効率の高い電場処理フライヤーを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題を解決するために、本出願に係る発明においては高周波誘導加熱により磁性体である外部容器あるいは内部容器自体により発熱する。
【0015】
高周波誘導加熱用のコイルとして、渦巻き(スパイラル)形状のコイルあるいは螺旋(ヘリカル)形状のコイルを使用する。
渦巻き(スパイラル)コイルは板状であるため、配置する場所の形状に適応する任意形状として配置する。
【0016】
螺旋(ヘリカル)形状の高周波誘導コイルは筒状であるため、発熱体となる外部容器あるいは内部容器に巻き付ける形で取り付ける。
【0017】
高周波誘導コイルは、1面につき1個配置する他に、1面に複数個配置する。
もちろん、従来の装置と同様に外部容器の底近くに配置することもできるが、その場合は個々の発熱量を少なくする。
【0018】
高周波誘導加熱で発熱する容器は磁性体を使用する。
【発明の効果】
【0019】
高周波誘導加熱では高周波電磁界中に配置された磁性体自身が発熱するため、発生した熱が直接に加熱媒体に加えられるため、熱効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】先行技術の電場処理フライヤーの正面断面図及び上面断面図。
【
図2】本発明実施例1の電場処理フライヤーの正面断面図及び上面断面図。
【
図3】本発明実施例2の電場処理フライヤーの正面断面図及び上面断面図。
【
図4】本発明実施例3の電場処理フライヤーの正面断面図及び上面断面図。
【
図5】本発明実施例4の電場処理フライヤーの正面断面図及び上面断面図。
【
図6】本発明実施例5の電場処理フライヤーの正面断面図及び上面断面図。
【
図7】本発明実施例6の電場処理フライヤーの正面断面図及び上面断面図。
【
図8】本発明実施例7の電場処理フライヤーの正面断面図及び上面断面図。
【
図9】本発明実施例8の電場処理フライヤーの正面断面図及び上面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この出願に係る発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0022】
図2に、実施例1の電場処理フライヤーの概要構成を模式的に示す。
この図において、(a)は電場処理フライヤーの正面断面図、(b)は同上面断面図、(c)は電場発生用電源である。
この実施例では、外部容器の内側底部にスパイラル高周波誘導加熱コイルが配置されている。
【0023】
図2において、11は上部が開放された有底直方体形状で、食用油等の加熱媒体が収容される磁性ステンレスで構成された外部容器であり、電場処理の外部電極として機能する。
12は上部が開放された直方体形状で、食用油等の加熱媒体が透過可能なような磁性ステンレス金網又は磁性ステンレスパンチングメタルで構成された内部容器であり、電場処理の内部電極として機能する。
内部容器12は外部容器11の内部に間隔を開けて収納され、外部容器11と内部容器12とは絶縁体13により電気的に分離されている。
【0024】
外部容器11及び内部容器12に各々対応する長方形形状の外蓋14及び内蓋15が設けられ、外蓋14と内蓋15との間には絶縁体13が介挿されている。加熱処理加工中は外蓋14及び内蓋15は閉じられ、そのとき外蓋14は外部容器12に、内蓋15は内部容器12に電気的に接続される。
外部電極11と内部電極12との間に2~6kVの交流高電圧が電場生成用電源16の変圧器18から供給される。
【0025】
16は外部容器11の底部内側に配置されたスパイラル高周波誘導加熱コイルであり、このスパイラル高周波誘導加熱コイル16には高周波電流源17から200kHzの高周波電力が供給される。
【0026】
高周波電力を供給されたスパイラル高周波誘導加熱コイル16により高周波電磁界が発生し、近くにある磁性ステンレスで構成された外部容器11の底板及び外部容器12の底板に誘導電流が誘起され、誘起された誘導電流により、外部容器11の底板及び内部容器12の底板が発熱する。
【0027】
食用油等の加熱媒体に直接に接触している外部容器11の底板及び外部容器12の底板が発熱源であるため、熱効率が高くなり、省電力が図れる。
【実施例2】
【0028】
図3に、実施例2の電場処理フライヤーの概要構成を模式的に示す。
この図において、(a)は電場処理フライヤーの正面断面図、(b)は同上面断面図である。
電場発生用電源は実施例1と同じであるため説明は省略する。
この実施例では、スパイラル高周波誘導加熱コイルは外部容器の外に配置される。
【0029】
図3において、11は上部が開放された有底直方体形状で、食用油等の加熱媒体が収容される磁性ステンレスで構成された外部容器であり、電場処理の外部電極として機能する。
12は上部が開放された直方体形状で、食用油等の加熱媒体が透過可能なような磁性ステンレス金網又は磁性ステンレスパンチングメタルで構成された内部容器であり、電場処理の内部電極として機能する。
内部容器12は外部容器11の内部に間隔を開けて収納され、外部容器11と内部容器12とは絶縁体13により電気的に分離されている。
【0030】
外部容器11及び内部容器12に各々対応する長方形形状の外蓋14及び内蓋15が設けられ、外蓋14と内蓋15との間には絶縁体13が介挿されている。加熱処理加工中は外蓋14及び内蓋15は閉じられ、そのとき外蓋14は外部容器12に、内蓋15は内部容器12に電気的に接続される。
外部電極と内部電極との間に2~6kV交流高電圧が電場生成用電源の変圧器から供給される。
【0031】
16は外部容器11の底部外側に配置されたスパイラル高周波誘導加熱コイルであり、このスパイラル高周波誘導加熱コイル16には高周波電流源20から200kHzの高周波電力が供給される。
【0032】
高周波電力を供給されたスパイラル高周波誘導加熱コイル16により高周波電磁界が発生し、近くにあるフェライト系ステンレス等の磁性体で構成された外部容器11の底板に誘導電流が誘起され、誘起された誘導電流により、外部容器11の底板が発熱する。
【0033】
実施例1のスパイラル高周波誘導加熱コイルは外部容器1の内部に配置されているため電場加熱フライヤーの手入れに手間がかかるが、実施例2のスパイラル高周波誘導加熱コイル19は外部容器1の外部に配置されているため多少熱効率が低下するが、電場加熱フライヤーの手入れが簡便である。
【実施例3】
【0034】
図4に、実施例3の電場処理フライヤーの概要構成を模式的に示す。
この図において、(a)は電場処理フライヤーの正面断面図、(b)は同上面断面図である。
電場発生用電源は実施例1と同じであるため説明は省略する。
この実施例では、スパイラル高周波誘導加熱コイルは外部容器の側面に配置される。
【0035】
図4において、11は上部が開放された有底直方体形状で、食用油等の加熱媒体が収容される磁性ステンレスで構成された外部容器であり、電場処理の外部電極として機能する。
12は上部が開放された直方体形状で、食用油等の加熱媒体が透過可能なような磁性ステンレス金網又は磁性ステンレスパンチングメタルで構成された内部容器であり、電場処理の内部電極として機能する。
内部容器12は外部容器11の内部に間隔を開けて収納され、外部容器11と内部容器12とは絶縁体13により電気的に分離されている。
【0036】
外部容器11及び内部容器12に各々対応する長方形形状の外蓋14及び内蓋15が設けられ、外蓋14と内蓋15との間には絶縁体13が介挿されている。加熱処理加工中は外蓋14及び内蓋15は閉じられ、そのとき外蓋14は外部容器12に、内蓋15は内部容器12に電気的に接続される。
外部電極と内部電極との間に2~6kVの交流高電圧が電場生成用電源の変圧器から供給される。
【0037】
21a,21b,21c,21dは外部容器11の外側側面に配置されたスパイラル高周波誘導加熱コイルであり、これらのスパイラル高周波誘導加熱コイル21a,21b,21c,21dには高周波電流源20から200kHzの高周波電力が供給される。
【0038】
高周波電力を供給されたスパイラル高周波誘導加熱コイル21a,21b,21c,21dにより高周波電磁界が発生し、近くにあるフェライト系ステンレス等の磁性体で構成された外部容器11の側面板に誘導電流が誘起され、誘起された誘導電流により、外部容器11の側面板が発熱する。
【0039】
実施例3のスパイラル高周波誘導加熱コイルは外部容器11の側面に配置されているため、効果的に加熱が行われる。
【0040】
スパイラル高周波誘導加熱コイル21a,21b,21c,21dは外部容器11と内部容器12との間に配置することも可能である。このような配置により電場加熱フライヤーの手入れに手間はかかるが、内部容器12も発熱体となるため加熱がより効果的に行われる。
【0041】
また、加熱をより効果的に行うために、実施例1のようにスパイラル高周波誘導加熱コイルを外部容器11の底部内側に配置又は実施例2のように外部容器11の底部と内部容器12の間に配置することも可能である。
【実施例4】
【0042】
図5に、実施例4の電場処理フライヤーの概要構成を模式的に示す。
この図において、(a)は電場処理フライヤーの正面断面図、(b)は同上面断面図である。
電場発生用電源は実施例1と同じであるため説明は省略する。
この実施例では、スパイラル高周波誘導加熱コイルは外部容器の各側面に複数個配置される。
【0043】
図5において、11は上部が開放された有底直方体形状で、食用油等の加熱媒体が収容される磁性ステンレスで構成された外部容器であり、電場処理の外部電極として機能する。
12は上部が開放された直方体形状で、食用油等の加熱媒体が透過可能なような磁性ステンレス金網又は磁性ステンレスパンチングメタルで構成された内部容器であり、電場処理の内部電極として機能する。
内部容器12は外部容器11の内部に間隔を開けて収納され、外部容器11と内部容器12とは絶縁体13により電気的に分離されている。
【0044】
外部容器11及び内部容器12に各々対応する長方形形状の外蓋14及び内蓋15が設けられ、外蓋14と内蓋15との間には絶縁体13が介挿されている。加熱処理加工中は外蓋14及び内蓋15は閉じられ、そのとき外蓋14は外部容器12に、内蓋15は内部容器12に電気的に接続される。
外部電極と内部電極との間に2~6kVの交流高電圧が電場生成用電源の変圧器から供給される。
【0045】
19a,19b,19c,19d,19e,19f,19g,19hは外部容器11の外側側面に配置されたスパイラル高周波誘導加熱コイルであり、これらのスパイラル高周波誘導加熱コイル19a,19b,19c,19d,19e,19f,19g,19hには図示省略の高周波電流源20から200kHzの高周波電力が供給される。
【0046】
高周波電力を供給されたスパイラル高周波誘導加熱コイル19a,19b,19c,19d,19e,19f,19g,19hにより高周波電磁界が発生し、近くにある磁性ステンレスで構成された外部容器11の側面板に誘導電流が誘起され、誘起された誘導電流により、外部容器11の側面板が発熱する。
【0047】
実施例3のスパイラル高周波誘導加熱コイルは外部容器11の側面に配置されているため、効果的に加熱が行われる。
また、複数のスパイラル高周波誘導加熱コイルに供給される高周波電力を個々に制御することにより、加熱ムラが防止される。
【0048】
スパイラル高周波誘導加熱コイル19a,19b,19c,19d,19e,19f,19g,19hは外部容器11と内部容器12との間に配置することも可能である。このような配置により電場加熱フライヤーの手入れに手間はかかるが、内部容器12も発熱体となるため加熱がより効果的に行われる。
【0049】
また、加熱をより効果的に行うために、実施例1のようにスパイラル高周波誘導加熱コイルを外部容器11の底部内側に配置又は実施例2のように外部容器11の底部と内部容器12の間に配置することも可能である。
【実施例5】
【0050】
図6に、実施例5の電場処理フライヤーの概要構成を模式的に示す。
この図において、(a)は電場処理フライヤーの正面断面図、(b)は同上面断面図である。
電場発生用電源は実施例1と同じであるため説明は省略する。
外部容器及び内部容器は有底円筒体形状であり、外蓋及び内蓋の形状は円形である。
この実施例では、スパイラル高周波誘導加熱コイルは外部容器の側面に配置される。
【0051】
図6において、21は上部が開放された有底円筒体形状で、食用油等の加熱媒体が収容される磁性ステンレスで構成された外部容器であり、電場処理の外部電極として機能する。
22は上部が開放された円筒体形状で、食用油等の加熱媒体が透過可能なような磁性ステンレス金網又は磁性ステンレスパンチングメタルで構成された内部容器であり、電場処理の内部電極として機能する。
円筒体形状の内部容器22は円筒体形状の外部容器21の内部に間隔を開けて収納され、円筒体形状の外部容器21と円筒体形状の内部容器22とは絶縁体23により電気的に分離されている。
【0052】
円筒体形状の外部容器21及び円筒体形状の内部容器22に各々対応する円形の外蓋24及び内蓋25が設けられ、外蓋24と内蓋25との間には絶縁体23が介挿されている。加熱処理加工中は外蓋24及び内蓋25は閉じられ、そのとき外蓋24は円筒体形状の外部容器22に、内蓋25は円筒体形状の内部容器22に電気的に接続される。
外部電極と内部電極との間に2~6kVの交流高電圧が電場生成用電源17から供給される。
【0053】
36a,36bは円筒体形状の外部容器21の外側側面に配置された半円筒形状のスパイラル高周波誘導加熱コイルであり、これらのスパイラル高周波誘導加熱コイル36a,36bには高周波電流源20から200kHzの高周波電力が供給される。
【0054】
高周波電力を供給された半円筒形状のスパイラル高周波誘導加熱コイル36a,36bにより高周波電磁界が発生し、近くにある磁性ステンレス等の磁性体で構成された円筒体形状の外部容器21の側面板に誘導電流が誘起され、誘起された誘導電流により、円筒体形状の外部容器21の側面板が発熱する。
【0055】
実施例5のスパイラル高周波誘導加熱コイルは円筒体形状外部容器21の側面に配置されているため、効果的に加熱が行われる。
【0056】
スパイラル高周波誘導加熱コイル36a,36bは円筒体形状の外部容器21と円筒体形状の内部容器22との間に配置することも可能である。このような配置により電場加熱フライヤーの手入れに手間はかかるが、円筒体形状の内部容器22も発熱体となるため加熱がより効果的に行われる。
【0057】
また、加熱をより効果的に行うために、実施例1のようにスパイラル高周波誘導加熱コイルを有底円筒体形状の外部容器21の底部内側に配置又は実施例2のように有底円筒体形状の外部容器21の底部と有底円筒体形状の内部容器22の間に配置することも可能である。
【実施例6】
【0058】
図7に、実施例6の電場処理フライヤーの概要構成を模式的に示す。
この図において、(a)は電場処理フライヤーの正面断面図、(b)は同上面断面図である。
電場発生用電源は実施例1と同じであるため説明は省略する。
外部容器及び内部容器は実施例5と同様に有底円筒体形状であり、外蓋及び内蓋の形状は円形である。
この実施例では、スパイラル高周波誘導加熱コイルは外部容器の側面に複数個、例えば12個配置される。
【0059】
図7において、31は上部が開放された有底円筒体形状で、食用油等の加熱媒体が収容される磁性ステンレスで構成された外部容器であり、電場処理の外部電極として機能する。
22は上部が開放された円筒体形状で、食用油等の加熱媒体が透過可能なような磁性ステンレス金網又は磁性ステンレスパンチングメタルで構成された内部容器であり、電場処理の内部電極として機能する。
円筒体形状の内部容器22は円筒体形状の外部容器21の内部に間隔を開けて収納され、円筒体形状の外部容器21と円筒体形状の内部容器22とは絶縁体23により電気的に分離されている。
【0060】
円筒体形状の外部容器21及び円筒体形状の内部容器22に各々対応する円形の外蓋24及び内蓋25が設けられ、外蓋24と内蓋25との間には絶縁体23が介挿されている。加熱処理加工中は外蓋24及び内蓋25は閉じられ、そのとき外蓋24は円筒体形状の外部容器22に、内蓋25は円筒体形状の内部容器22に電気的に接続される。
外部電極と内部電極との間に2~6kVの交流高電圧が図示しない電場生成用電源から供給される。
【0061】
37a,37b,37c,37d,37e,37f,37g,37h,37i,37j,37k,37lは、円筒体形状の外部容器31の外側側面に配置された12分割円筒形状のスパイラル高周波誘導加熱コイルであり、これらのスパイラル高周波誘導加熱コイル37a,37b,37c,37d,37e,37f,37g,37h,37i,37j,37k,37lには図示しない高周波電流源から200kHzの高周波電力が供給される。
【0062】
高周波電力を供給されたスパイラル高周波誘導加熱コイル37a,37b,37c,37d,37e,37f,37g,37h,37i,37j,37k,37lにより高周波電磁界が発生し、近くにある磁性ステンレス等の磁性体で構成された円筒体形状の外部容器21の側面板に誘導電流が誘起され、誘起された誘導電流により、円筒体形状の外部容器21の側面板が発熱する。
【0063】
実施例6のスパイラル高周波誘導加熱コイル37a,37b,37c,37d,37e,37f,37g,37h,37i,37j,37k,37lは円筒体形状外部容器11の側面に配置されているため、効果的に加熱が行われる。
【0064】
スパイラル高周波誘導加熱コイル37a,37b,37c,37d,37e,37f,37g,37h,37i,37j,37k,37lは円筒体形状の外部容器21と円筒体形状の内部容器22との間に配置することも可能である。このような配置により電場加熱フライヤーの手入れに手間はかかるが、円筒体形状の内部容器22も発熱体となるため加熱がより効果的に行われる。
【0065】
また、加熱をより効果的に行うために、実施例1のようにスパイラル高周波誘導加熱コイルを有底円筒体形状の外部容器21の底部内側に配置又は実施例2のように有底円筒体形状の外部容器21の底部と有底円筒体形状の内部容器22の間に配置することも可能である。
【実施例7】
【0066】
図8に、実施例7の電場処理フライヤーの概要構成を模式的に示す。
この図において、(a)は電場処理フライヤーの正面断面図、(b)は同上面断面図である。
電場発生用電源は実施例1と同じであるため説明は省略する。
外部容器及び内部容器は実施例5及び実施例6と同様に有底円筒体形状であり、外蓋及び内蓋の形状は円形である。
高周波誘導加熱コイルの形状は実施例1~実施例6のスパイラル(渦巻き)形状と異なり、ヘリカル(螺旋状)の形状である。
【0067】
図8において、21は上部が開放された有底円筒体形状で、食用油等の加熱媒体が収容される磁性ステンレス等の磁性体で構成された外部容器であり、電場処理の外部電極として機能する。
22は上部が開放された円筒体形状で、食用油等の加熱媒体が透過可能なような磁性ステンレス金網又は磁性ステンレスパンチングメタルで構成された内部容器であり、電場処理の内部電極として機能する。
円筒体形状の内部容器22は円筒体形状の外部容器21の内部に間隔を開けて収納され、円筒体形状の外部容器21と円筒体形状の内部容器22とは絶縁体23により電気的に分離されている。
【0068】
円筒体形状の外部容器21及び円筒体形状の内部容器22に各々対応する円形の外蓋24及び内蓋25が設けられ、外蓋24と内蓋25との間には絶縁体23が介挿されている。加熱処理加工中は外蓋24及び内蓋25は閉じられ、そのとき外蓋24は円筒体形状の外部容器22に、内蓋25は円筒体形状の内部容器22に電気的に接続される。
外部電極と内部電極との間に2~6kVの交流高電圧が電場生成用電源17の図示しない変圧器から供給される。
【0069】
38は、円筒体形状の外部容器21の外側側面に密着巻回された円筒形状のヘリカル状高周波誘導加熱コイルであり、このヘリカル状高周波誘導加熱コイル38には高周波電流源20から200kHzの高周波電力が供給される。
【0070】
高周波電力を供給されたヘリカル状高周波誘導加熱コイル38により高周波電磁界が発生し、磁性ステンレス等の磁性体で構成された円筒体形状の外部容器21に誘導電流が誘起され、誘起された誘導電流により、円筒体形状の外部容器21の側面板が発熱する。
【0071】
実施例7のヘリカル状高周波誘導加熱コイルは円筒体形状外部容器21に密着して巻回されているため、磁束が円筒体形状外部容器21に集中し、効果的に加熱が行われる。
【0072】
ヘリカル高周波誘導加熱コイルは円筒体形状の外部容器21と円筒体形状の内部容器22との間に配置することも可能である。このような配置により電場加熱フライヤーの手入れに手間はかかるが、円筒体形状の内部容器22も発熱体となるため加熱がより効果的に行われる。
【0073】
また、加熱をより効果的に行うために、さらに実施例1のようにスパイラル高周波誘導加熱コイルを有底円筒体形状の外部容器21の底部内側に配置又は実施例2のように有底円筒体形状の外部容器21の底部と有底円筒体形状の内部容器22の間に配置することも可能である。
【実施例8】
【0074】
図9に、実施例8の電場処理フライヤーの概要構成を模式的に示す。
この図において、(a)は電場処理フライヤーの正面断面図、(b)は同上面断面図である。
実施例8は、実施例7の改良である。
電場発生用電源は実施例1と同じであるため説明は省略する。
外部容器及び内部容器は実施例5~実施例7と同様に有底円筒体形状であり、外蓋及び内蓋の形状は円形である。
高周波誘導加熱コイルの形状は実施例7と同様にヘリカル(螺旋状)の形状であるが、複数個使用する。
【0075】
図8において、21は上部が開放された有底円筒体形状で、食用油等の加熱媒体が収容される磁性ステンレスで構成された外部容器であり、電場処理の外部電極として機能する。
22は上部が開放された円筒体形状で、食用油等の加熱媒体が透過可能なような磁性ステンレス金網又は磁性ステンレスパンチングメタルで構成された内部容器であり、電場処理の内部電極として機能する。
円筒体形状の内部容器22は円筒体形状の外部容器21の内部に間隔を開けて収納され、円筒体形状の外部容器21と円筒体形状の内部容器22とは絶縁体23により電気的に分離されている。
【0076】
円筒体形状の外部容器21及び円筒体形状の内部容器22に各々対応する円形の外蓋24及び内蓋25が設けられ、外蓋24と内蓋25との間には絶縁体23が介挿されている。加熱処理加工中は外蓋24及び内蓋25は閉じられ、そのとき外蓋24は円筒体形状の外部容器22に、内蓋25は円筒体形状の内部容器22に電気的に接続される。
外部電極と内部電極との間に2~6kVの交流高電圧が図示しない電場生成用電源から供給される。
【0077】
39a,39b,39cは、円筒体形状の外部容器21の外側側面に密着巻回された複数個の円筒形状のヘリカル状高周波誘導加熱コイルであり、このヘリカル状高周波誘導加熱コイル39a,39b,39cには図示しない高周波電流源から200kHzの高周波電力が供給される。
【0078】
高周波電力を供給されたヘリカル状高周波誘導加熱コイル39a,39b,39cにより高周波電磁界が発生し、磁性ステンレス等の磁性体で構成された円筒体形状の外部容器21に誘導電流が誘起され、誘起された誘導電流により、円筒体形状の外部容器21が発熱する。
【0079】
実施例8のヘリカル状高周波誘導加熱コイルは円筒体形状外部容器21に複数個巻回されているため、それぞれに供給する高周波電流を制御することができる。
【0080】
ヘリカル高周波誘導加熱コイルは円筒体形状の外部容器21と円筒体形状の内部容器22との間に配置することも可能である。このような配置により電場加熱フライヤーの手入れに手間はかかるが、円筒体形状の内部容器22も発熱体となるため加熱がより効果的に行われる。
【0081】
また、加熱をより効果的に行うために、さらに実施例1のようにスパイラル高周波誘導加熱コイルを有底円筒体形状の外部容器21の底部内側に配置又は実施例2のように有底円筒体形状の外部容器21の底部と有底円筒体形状の内部容器32の間に配置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る電場処理フライヤーは、電場処理と共に電磁誘導により容器自体が発熱するため、良好な加熱処理効果と共に省電力化を実現できる。
【符号の説明】
【0083】
1,11,21 外部容器
2,12,19 内部容器
3,13,23 絶縁体
4,14,24 外蓋
5,15,25 内蓋
6 シーズヒータ
7,17 電場生成用電源
16,19,21a~21d,19a~19h,38a,38b,37a~37
20 電磁誘導加熱用電源
16,16a~16d,17a~17h,38a,38b,39a~39l 電磁誘導加熱コイル