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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】建設機械用安全管理システム、管理装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/22 20060101AFI20240718BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240718BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20240718BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240718BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
G08B21/22
E02F9/26 B
G08B21/24
G08B25/00 510M
H04N7/18 J
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018549026
(86)(22)【出願日】2017-10-31
(86)【国際出願番号】 JP2017039457
(87)【国際公開番号】W WO2018084161
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-07-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2016214715
(32)【優先日】2016-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】泉川 岳哉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英彦
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】衣鳩 文彦
【審判官】寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-85091(JP,A)
【文献】特開2010-198519(JP,A)
【文献】特開2004-266623(JP,A)
【文献】特開2011-165143(JP,A)
【文献】特開2009-110066(JP,A)
【文献】特開2013-41448(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0327261(US,A1)
【文献】特開2004-251024(JP,A)
【文献】「フォークリフトの安全対策“危険の見える化”で労災防止」,MATERIAL FLOW,第56巻,第10号,日本,株式会社流通研究社,2015年10月1日発行,26~30頁
【文献】松井くにお,渡部勇,内野寛治,「ナレッジマネジメントにおけるテキストマイニング」,情報処理,第47巻,第8号,日本,社団法人情報処理学会,2006年8月15日発行,893~899頁
【文献】小林英男,「安全と技術社会の反映を担うリスクマネージメント」,まてりあ,第42巻,第10号(2003),日本,社団法人日本金属学会,2003年10月20日発行,713~716頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/24-9/28
G08B19/00-21/24
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の周辺の障害物に関する情報を取得する取得装置と、
前記取得装置の出力に基づき、前記建設機械の周辺の所定領域内への障害物の侵入を検知する検知装置と、
前記検知装置による検知結果、及び前記検知結果に対応する所定の関連情報の履歴を所定の形式に整理して記憶する記憶装置と、
前記所定の形式に整理された前記検知結果及び前記関連情報の履歴を用いて、前記検知結果又は前記関連情報に関する所定条件に基づき集計処理を行うことにより、前記検知結果と前記関連情報との間の相関関係を表す情報を生成する処理装置と、を備え、
前記関連情報には、オペレータによるアクチュエータの操作に起因する前記建設機械の状態に関する情報、及びオペレータによるアクチュエータの操作に起因しない、前記建設機械の状態又は前記建設機械の周辺の状態に関する情報が含まれる、
建設機械用安全管理システム。
【請求項2】
前記処理装置は、前記検知装置による前記障害物の検知頻度、及び、前記検知装置による前記障害物の検知数の少なくとも一方を含む、前記相関関係を表す情報を生成する、
請求項1に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項3】
前記所定条件は、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知された時間帯に関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知された場所に関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときの前記建設機械の操作状態に関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときの前記建設機械の作業モードに関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときに出力される警報の警報レベルに関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときの前記建設機械と前記障害物との距離に関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物としての人の侵入が検知されたときの当該人の事後動作に関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときの前記建設機械の作業内容に関する条件、又は前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときの前記建設機械の動作制限時における前記建設機械の操作状態に関する条件である、
請求項1又は2に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項4】
前記所定条件は、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときの警報開始からオペレータによる警報解除操作による警報解除までの経過時間に関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときの前記建設機械の動作制限開始からオペレータによる動作制限解除操作による動作制限解除までの経過時間に関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときの前記検知装置の検知性能の設定状態に関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときの周辺環境に関する条件、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときのショベルの安定度に関する条件、又は、前記検知装置により前記所定領域内への前記障害物の侵入が検知されたときのオペレータによる所定期間内における操作技能に関する条件である、
請求項1又は2に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項5】
前記所定条件は、前記検知装置による検知頻度に関する条件である、
請求項1又は2に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項6】
前記検知頻度に関する条件は、前記検知装置による前記障害物の検知頻度、又は、前記検知装置による前記障害物の検知数が所定基準を超えている条件である、
請求項5に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項7】
前記所定条件は、前記検知装置による前記所定領域内への侵入の検知に伴う前記建設機械による所定の応答の実行頻度に関する条件である、
請求項1又は2に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項8】
前記実行頻度に関する条件は、前記検知装置により前記所定領域内への侵入が検知されたことに起因して前記建設機械の動作が制限された回数、又は、前記建設機械から相対的に高い警報レベルの警報が出力された回数が所定基準を超えている条件である、
請求項7に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項9】
前記処理装置は、前記相関関係を表す情報として、前記検知装置による前記障害物の検知頻度、又は前記検知装置による前記障害物の検知数の時間変化に関する情報を生成する、
請求項3に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項10】
前記処理装置は、前記時間変化に関する情報として、所定期間内の曜日別、日付別、又は時間帯別の時系列データを生成する、
請求項9に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項11】
前記建設機械に設けられ、前記検知装置による前記検知結果と、前記検知結果に対応する前記関連情報とを、前記建設機械の外部の管理装置に送信する通信装置を備え、
前記処理装置は、前記管理装置、又は、前記管理装置と通信可能に接続される管理端末に設けられる、
請求項1乃至10の何れか一項に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項12】
前記建設機械のキャビン内に設けられる表示装置、又は、前記建設機械に設けられる通信装置を更に備え、
前記処理装置は、前記建設機械に設けられ、
前記表示装置は、前記相関関係を表す情報に対応する情報画像を表示する、又は、前記通信装置は、前記建設機械の外部に設けられる管理装置に前記相関関係を表す情報を送信する、
請求項1乃至10の何れか一項に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項13】
前記相関関係を表す情報に含まれる、前記検知装置による前記障害物の検知頻度、又は前記検知装置による前記障害物の検知数が所定の通知条件を満足した場合、前記表示装置は、前記情報画像を表示する、又は、前記通信装置は、前記管理装置に前記相関関係を表す情報を送信する、
請求項12に記載の建設機械用安全管理システム。
【請求項14】
建設機械の外部に設けられる管理装置であって、
前記建設機械の周辺の障害物に関する情報を取得する取得装置の出力に基づき、前記建設機械の周辺の所定領域内への障害物の侵入を検知する検知装置の検知結果と、前記検知結果に対応する所定の関連情報とを取得し、所定の形式に整理された前記検知結果及び前記関連情報の履歴を用いて、前記検知結果又は前記関連情報に関する所定条件に基づき集計処理を行うことにより、前記検知結果と前記関連情報との間の相関関係を表す情報を生成する処理装置を備え、
前記関連情報には、オペレータによるアクチュエータの操作に起因する前記建設機械の状態に関する情報、及びオペレータによるアクチュエータの操作に起因しない、前記建設機械の状態又は前記建設機械の周辺の状態に関する情報が含まれる、
管理装置。
【請求項15】
通信装置を備え、
前記処理装置は、前記通信装置を通じて、ユーザが所持する管理端末に前記相関関係を表す情報を配信し、前記管理端末の表示部に前記相関関係を表す情報に対応する情報画像を表示させる、
請求項14に記載の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械用安全管理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の周辺の所定領域(監視領域)への人(作業員)の侵入を検知し、侵入情報を建設機械の遠隔に配備されるコンピュータに送信し、該コンピュータ内にデータベースとして蓄積・保存させる安全管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-85091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、蓄積された侵入情報に基づき事後的に作業現場の作業者や現場監督等に安全性の向上を促すことができるが、作業現場で現在生じている状況に対して、直ぐに安全性の向上を促すことができない。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、比較的即効性のある態様で、建設機械が使用される作業現場の安全性の向上を図ることが可能な建設機械用安全管理システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態では、
建設機械の周辺の障害物に関する情報を取得する取得装置と、
前記取得装置の出力に基づき、前記建設機械の周辺の所定領域内への障害物の侵入を検知する検知装置と、
前記検知装置による検知結果、及び前記検知結果に対応する所定の関連情報の履歴を所定の形式に整理して記憶する記憶装置と、
前記所定の形式に整理された前記検知結果及び前記関連情報の履歴を用いて、前記検知結果又は前記関連情報に関する所定条件に基づき統計処理を行うことにより、前記検知結果と前記関連情報との間の相関関係を表す情報を生成する処理装置と、を備え、
前記関連情報には、オペレータによるアクチュエータの操作に起因する前記建設機械の状態に関する情報、及びオペレータによるアクチュエータの操作に起因しない、前記建設機械の状態又は前記建設機械の周辺の状態に関する情報が含まれる、
建設機械用安全管理システムが提供される。
また、本発明の他の実施形態では、
建設機械の外部に設けられる管理装置であって、
前記建設機械の周辺の障害物に関する情報を取得する取得装置の出力に基づき、前記建設機械の周辺の所定領域内への障害物の侵入を検知する検知装置の検知結果と、前記検知結果に対応する所定の関連情報とを取所定の形式に整理された前記検知結果及び前記関連情報の履歴を用いて、前記検知結果又は前記関連情報に関する所定条件に基づき統計処理を行うことにより、前記検知結果と前記関連情報との間の相関関係を表す情報を生成する処理装置を備え、
前記関連情報には、オペレータによるアクチュエータの操作に起因する前記建設機械の状態に関する情報、及びオペレータによるアクチュエータの操作に起因しない、前記建設機械の状態又は前記建設機械の周辺の状態に関する情報が含まれる、
管理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
上述の実施形態によれば、比較的即効性のある態様で、作業機械が使用される作業現場の安全性の向上を図ることが可能な建設機械用安全管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る作業機械の一例を示す図である。
図2A】本実施形態に係る安全管理システムの構成の一例を示す図である。
図2B】本実施形態に係る安全管理システムの構成の他の例を示す図である。
図2C】本実施形態に係る安全管理システムの構成の更に他の例を示す図である。
図3】物体検知部による検知範囲を説明する図である。
図4】侵入履歴情報の一例を示す図である。
図5】情報生成部により生成される侵入度合情報の第1例を表す図である。
図6】情報生成部により生成される侵入度合情報の第2例を表す図である。
図7】情報生成部により生成される侵入度合情報の第3例を表す図である。
図8】情報生成部により生成される侵入度合情報の第4例を表す図である。
図9】情報生成部により生成される侵入度合情報の第5例を表す図である。
図10】情報生成部により生成される侵入度合情報の第6例を表す図である。
図11】表示装置等に表示された侵入度合情報を表す図である。
図12】情報生成部により生成される侵入度合情報の第7例を表す図である。
図13】管理端末における侵入度合情報の表示態様の一例を表す図である。
図14】表示制御部による処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図15】情報送信部による処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
[作業機械の概要]
まず、図1を参照して、本実施形態に係る安全管理システム100(図2参照)に含まれる作業機械について説明をする。
【0011】
図1は、本実施形態に係る安全管理システム100に含まれる作業機械の一例を示す図であり、具体的には、ショベルの側面図である。
【0012】
尚、本実施形態に係る安全管理システム100に含まれる作業機械は、当然の如く、ショベル以外の作業機械、例えば、ホイールローダ、アスファルトフィニッシャ等であってもよい。
【0013】
本実施形態に係るショベルは、一般的な構成として、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、作業装置としてのブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10を備える。
【0014】
下部走行体1は、例えば、左右1対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ(不図示)で油圧駆動されることにより、ショベルを走行させる。
【0015】
上部旋回体3は、旋回油圧モータ、或いは、電動機(共に不図示)等で駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
【0016】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0017】
キャビン10は、オペレータが搭乗する操縦室であり、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
【0018】
また、本実施形態に係るショベルは、安全管理システム100に関連する構成として、コントローラ30と、撮像装置40と、動作・姿勢状態センサ42と、表示装置50と、音声出力装置60と、外部報知装置70と、通信機器80を備える。
【0019】
コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う制御装置である。コントローラ30は、キャビン10内に搭載される。
【0020】
撮像装置40は、上部旋回体3の上部に取り付けられ、ショベルの周辺を撮像する。撮像装置40は、後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rを含む。
【0021】
後方カメラ40Bは、上部旋回体3の後端上部に取り付けられ、上部旋回体3の後方を撮像する。
【0022】
左側方カメラ40Lは、上部旋回体3の左端上部に取り付けられ、上部旋回体3の左側方を撮像する。
【0023】
右側方カメラ40Rは、上部旋回体3の右端上部に取り付けられ、上部旋回体3の右側方を撮像する。
【0024】
動作・姿勢状態センサ42は、ショベルの動作状態や姿勢状態を検知するセンサである。動作・姿勢状態センサ42は、ブーム角度センサ42Aと、アーム角度センサ42Bと、バケット角度センサ42Cと、三軸慣性センサ(IMU:Inertial Measurement Unit)42D,42Eと、旋回角度センサ42Fと、加速度センサ42Gを含む。
【0025】
ブーム角度センサ42Aは、上部旋回体3を基準とするブーム4の俯仰角度(以下、「ブーム角度」と称する)を検出する。ブーム角度センサ42Aは、例えば、ロータリエンコーダであり、以下、ブーム角度センサ42A、バケット角度センサ42C、及び、旋回角度センサ42Fについても同様であってよい。
【0026】
アーム角度センサ42Bは、ブーム4を基準とするアーム5の回動角度(以下、「アーム角度」と称する)を検出する。
【0027】
バケット角度センサ42Cは、アーム5を基準とするバケット6の回動角度(以下、「バケット角度」と称する)を検出する。
【0028】
IMU42Dは、ブーム4に取り付けられ、所定の三軸に沿ったブーム4の加速度、及び、所定の三軸廻りのブーム4の角加速度を検出する。
【0029】
IMU42Eは、アーム5に取り付けられ、所定の三軸に沿ったアーム5の加速度、及び、所定の三軸廻りのアーム5の角加速度を検出する。
【0030】
旋回角度センサ42Fは、上部旋回体3の所定の角度方向を基準とする旋回角度を検出する。
【0031】
加速度センサ42Gは、上部旋回体3の旋回軸から離れた位置に取り付けられ、上部旋回体3の当該位置における加速度を検出する。これにより、加速度センサ42Gの検出結果に基づき、上部旋回体3が旋回しているのか、或いは、下部走行体1が走行しているのか等が判別されうる。
【0032】
表示装置50は、キャビン10内の操縦席の周辺に設けられ、コントローラ30(後述する表示制御部304)による制御の下、オペレータに通知する各種画像情報を表示する。
【0033】
音声出力装置60は、キャビン10内の操縦の周辺に設けられ、コントローラ30による制御の下、オペレータに通知する各種音声情報を出力する。音声出力装置60は、例えば、スピーカやブザー等である。
【0034】
外部報知装置70は、ショベルの周辺の作業者や作業現場の監督者等に向けて報知を行う。外部報知装置70は、例えば、ショベルの周辺の作業者等に向けて点灯或いは点滅等する光源(灯火器)を含んでよい。また、外部報知装置70は、ショベルの周辺の作業者等に向けて画像情報(文字情報や描画情報等)を提示する外部向けの表示装置を含んでもよい。また、外部報知装置70は、ショベルの周辺の作業者等に向けて音声情報を出力する、スピーカやブザー等の外部向けの音声出力装置を含んでもよい。
【0035】
通信機器80は、所定の無線通信規格に基づき、所定の通信ネットワーク150(図2参照。例えば、基地局を末端とする携帯電話ネットワークやインターネット網等)を通じて、遠隔の外部機器(例えば、後述する管理サーバ200)と通信する通信デバイスである。
【0036】
[安全管理システムの構成]
次に、図2A図2Cを参照して、安全管理システム100の構成について説明する。
【0037】
まず、図2Aは、本実施形態に係る安全管理システム100の構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
安全管理システム100は、ショベルと、通信ネットワーク150を通じて、ショベルと通信可能に接続される管理サーバ200と、通信ネットワーク150を通じて、管理サーバ200と通信可能な管理端末300を含む。
【0039】
ショベルは、本実施形態に係る安全管理システム100に関連する構成として、コントローラ30と、撮像装置40と、動作・姿勢状態センサ42と、表示装置50等を含む。
【0040】
コントローラ30は、安全管理システム100における主たる制御処理を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いはその組み合わせにより実現されてよく、例えば、CPU,RAM,ROM,I/O等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、ROM等に格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、物体検知部301と、情報取得部302と、情報生成部303と、表示制御部304と、情報送信部305を含む。また、コントローラ30は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の内部メモリに規定される記憶領域としての記憶部310を含む。
【0041】
撮像装置40は、上述の如く、後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rを含む。後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rは、上部旋回体3の上部において、光軸が斜め下方に向くように取り付けられ、ショベル近傍の地面からショベルの遠方までを含む上下方向の撮像範囲(画角)を有する。後方カメラ40B、左側方カメラ40L、右側方カメラ40Rは、ショベルの運転中、所定周期(例えば、1/30秒)毎に、撮像画像をコントローラ30に出力し、撮像画像は、コントローラ30に取り込まれる。
【0042】
動作・姿勢状態センサ42は、上述の如く、ブーム角度センサ42Aと、アーム角度センサ42Bと、バケット角度センサ42Cと、IMU42D,42Eと、旋回角度センサ42Fと、加速度センサ42Gを含む。動作・姿勢状態センサ42に含まれるそれぞれのセンサは、検出結果(検出信号)をコントローラ30に出力し、検出結果は、コントローラ30に取り込まれる。
【0043】
表示装置50は、撮像装置40の撮像画像(スルー画像)や、コントローラ30により撮像装置40の撮像画像に基づき生成される周辺画像(例えば、ショベルの真上から見た俯瞰画像等の視点変換画像)等を表示する。また、表示装置50は、コントローラ30(後述する表示制御部304による制御の下、ショベルの所定領域への人の侵入度合を表す情報(以下、「侵入度合情報」と称する)を表示する。侵入度合情報の詳細については、後述する。
【0044】
音声出力装置60は、コントローラ30(物体検知部301)による制御の下、警報音を出力する。
【0045】
外部報知装置70は、コントローラ30(物体検知部301)による制御の下、ショベルの周辺に向けて、光源の点灯、光源の点滅、情報画像、音声等を用いて、警報を出力する。
【0046】
通信機器80は、コントローラ30の制御の下、ショベルの遠隔に設けられる管理サーバ200と通信ネットワーク150を介して通信可能に接続し、管理サーバ200との間で各種情報の送信を行う。
【0047】
物体検知部301(検知部の一例)は、撮像装置40の撮像画像に基づき、ショベルの周辺の所定領域内、例えば、ショベルから所定距離D1(例えば、5メートル)以内の所定の監視対象を検知する。即ち、物体検知部301は、ショベルの周辺の所定領域内(ショベルから所定距離D1以内)への監視対象の侵入を検知する。監視対象は、ショベルの周辺に存在或いは侵入しうる障害物である。例えば、監視対象には、ショベルの周辺の作業者等の人、ショベルの周辺で作業を行う他の作業機械や車両、ショベルの周辺に仮置きされる工材等が含まれうる。本実施形態では、以下、監視対象が作業者等の人である前提で説明を進める。
【0048】
例えば、物体検知部301は、既知の各種画像処理手法や機械学習ベースの識別器等を任意に適用することにより、撮像画像内の人を認識すると共に、認識した人の実在位置(ショベルから認識した人までの距離D等)を特定することができる。
【0049】
尚、物体検知部301は、撮像装置40の撮像画像に基づきショベルの周辺の人を検知するが、撮像装置40の撮像画像に代えて、或いは、加えて、他のセンサ、例えば、ミリ波レーダ、LIDAR(LIght Detection And Ranging)、ステレオカメラ等の検出結果(距離画像等)に基づきショベルの周辺の人を検知してもよい。この場合、これらの他のセンサがショベルに設けられる。
【0050】
また、物体検知部301は、ショベルから所定距離D1以内で人を検知した場合、キャビン10内のスピーカ等の音声出力装置60に警報音を出力させたり、表示装置50に所定の警報情報を表示させたりして、オペレータへの警報を行ってよい。この際、物体検知部301は、ショベルの周辺の所定領域におけるショベルに近接する第1領域、例えば、ショベルから所定距離D1より小さい所定距離D2(例えば、2.5m)以下の領域と、第1領域より遠い第2領域のうちの何れに人が侵入しているかにより警報の仕様を変更する。具体的には、物体検知部301は、検知された人のショベルからの距離が所定距離D1以下且つ所定距離D2より大きい場合、警戒状態であるとして、警報レベルが低い予備的な警報(例えば、比較的小音量の警報音を音声出力装置60に出力させる)を行う。また、物体検知部301は、検知された人のショベルからの距離が所定距離D2以下である場合、警告状態であるとして、警報レベルの高い正式な警報(例えば、比較的大音量の警報音を音声出力装置60に出力させる)を行う。
【0051】
また、物体検知部301は、警報の出力開始後、所定の条件に基づき、警報の出力を停止(解除)する。例えば、物体検知部301は、所定領域内で人が検知されなくなった場合に、警報の出力を停止してよい。また、物体検知部301は、警報の出力開始後、オペレータによる所定操作(警報解除操作)が行われた場合に、警報の出力を停止してもよい。また、物体検知部301は、警報の出力開始後、オペレータに安全確認を促したり、ショベルの周辺の作業者に退避を促したりするのに要する時間としての所定時間が経過した場合に、警報の出力を停止してもよい。
【0052】
また、物体検知部301は、ショベルから所定距離D1以内で人を検知した場合、外部報知装置70から警報音を出力させたり、所定の警報情報を表示させたりして、ショベルの周辺に向けた警報を行ってもよい。このとき、物体検知部301は、オペレータへの警報の場合と同様、ショベルから検知された人までの距離に応じて警報レベルを変化させてもよい。また、物体検知部301は、オペレータへの警報の場合と同様の方法で、開始させた警報を停止させてよい。
【0053】
また、物体検知部301は、ショベルから所定距離D3(≦D1)以内で人を検知した場合、ショベルの各種動作要素(例えば、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及び、バケット6等)の動作を制限してよい。以下、ショベルの各種動作要素の動作を制限することを、単に、「ショベルの動作制限」と称する。このとき、当該所定距離D3は、所定距離D1或いは所定距離D2と同じであってもよいし、所定距離D1,D2とは異なっていてもよい。また、物体検知部301は、ショベルから検知された人までの距離に応じて、制限度合いを変化させてもよい。例えば、物体検知部301は、ショベルから検知された人までの距離が、所定距離D3以下且つ所定距離D4(<D3)より長い場合、各種動作要素の操作状態に対する動作速度を緩やかにしてよい。そして、物体検知部301は、ショベルから検知された人までの距離が所定距離D4以下である場合、各種動作要素の操作状態に関わらず、各種動作要素を停止させてよい。このとき、所定距離D4は、所定距離D2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0054】
尚、物体検知部301は、例えば、各種動作要素を操作する油圧式の操作装置と各種動作要素を駆動する油圧アクチュエータとの間のパイロットラインに設けられる減圧弁或いは切換弁を作動させることにより、当該パイロットラインを減圧或いは遮断し、各種動作要素の動作を制限することができる。また、物体検知部301は、例えば、油圧式の操作装置に元圧を供給するパイロットラインに設けられる減圧弁或いは切換弁を作動させ、パイロットラインを減圧或いは遮断することによっても、各種動作要素の動作を制限することができる。
【0055】
また、物体検知部301は、ショベルの動作制限の開始後、所定の条件に基づき、動作制限を解除する。例えば、物体検知部301は、ショベルから所定距離D3以内で人が検知されなくなった場合に、ショベルの動作制限を解除してよい。また、物体検知部301は、オペレータによる所定操作(動作制限解操作)が行われた場合に、ショベルの動作制限を解除してもよい。また、物体検知部301は、ショベルから所定距離D3以内で人が検知されなくなり、且つ、オペレータによる動作制限解操作が行われた場合に、ショベルの動作制限を解除してもよい。
【0056】
また、物体検知部301は、相互に検知範囲が異なる複数の検知部を含み、それぞれの検知部の監視対象である人を検知する性能(以下、単に「検知性能」と称する)は、オペレータによる設定操作等に応じて、変更可能な態様であってもよい。例えば、物体検知部301は、後方カメラ40B、左側方カメラ40L、及び、右側方カメラ40Rのそれぞれの撮像画像から人を検知する後方検知部、左側方検知部、及び、側方検知部を含んでよく、それぞれの検知性能を変更可能な態様であってよい。
【0057】
検知性能には、一又は複数の性能の項目が含まれうる。例えば、検知性能に関する性能項目には、監視対象である人を検知可能な範囲(検知範囲)、検知精度、検知周期ごとの検知頻度(即ち、検知周期内において、監視対象である人の検知を行う回数)等が含まれうる。
【0058】
例えば、図3は、物体検知部301の検知範囲を説明する図である。
【0059】
図3に示すように、物体検知部301は、後方カメラ40B、左側方カメラ40L、及び、右側方カメラ40Rのそれぞれに対応する検知範囲MAB,MAL,MARを有する。つまり、上述した物体検知部の後方検知部、左側方検知部、及び、左側方検知部は、それぞれ、検知範囲MAB、MAL、MARを有する。
【0060】
ここで、例えば、検知範囲MABを広げたい場合、コントローラ30の処理リソースは限られるため、物体検知部301全体として検知処理を所定の処理時間で完了させるためには、他の検知範囲MAL,MARを狭めたり、後方検知部、左側方検知部、或いは、左側方検知部の他の検知性能(検知精度、検知頻度)を低下させる必要がある。
【0061】
このように、物体検知部301は、オペレータによる設定操作に応じて、コントローラ30のリソースの範囲内で、一の検知部の検知性能に関するある性能項目を高め、その代りに、一の検知部或いは他の検知部の検知性能を低下させるトレードオフにより、検知性能を変更できる。
【0062】
情報取得部302は、ショベルの各種状態(動作状態、制御状態等)に関連する情報を、ショベルに搭載される各種センサ(例えば、撮像装置40、動作・姿勢状態センサ42等)、各種アクチュエータ(例えば、油圧制御を行う電磁弁等)、各種制御装置(例えば、コントローラ30等)から取得する。
【0063】
例えば、情報取得部302は、物体検知部301によりショベルの周辺の所定領域への人の侵入が検知された場合、今回の所定領域への人の侵入と紐づける態様で、所定領域への人の侵入時における各種情報(後述する侵入関連情報)を侵入履歴情報3101として記憶部310に記憶させる。以下、図4を参照して、侵入履歴情報3101について説明する。
【0064】
図4は、侵入履歴情報3101の一例を示す図である。侵入履歴情報3101は、人検知部による検知結果の履歴の一例であると共に、後述の如く、音声出力装置60による警報の出力結果(警戒状態に係る警報と警告状態に係る警報の別)の履歴の一例である。侵入履歴情報3101は、物体検知部301によりショベルの周辺の所定領域への人の侵入が検知される度に、情報取得部30により履歴的に更新される。

【0065】
図4に示すように、侵入履歴情報3101は、テーブル形式のデータとして記憶部310に記憶されている。侵入履歴情報3101には、所定領域への人の侵入時における各種情報として、検知された日時(日付、曜日、時刻)に関する情報、検知場所に関する情報、警報レベルに関する情報、検知された人の事後動作に関する情報、検知時の操作状態に関する情報、検知時の作業モードに関する情報、検知時の画像情報(検知時画像情報)が含まれる。所定領域への人の侵入時における各種情報は、換言すれば、所定領域の人の侵入に関連する(影響する)情報(以下、「侵入関連情報」と称する)である。侵入関連情報は、情報取得部302により取得される。
【0066】
検知場所は、所定領域内の予め区分される複数の領域の何れで人の侵入が検知されたかを表し、本例では、ショベルの左方エリア、右方エリア、後方エリアの3つのエリアの何れで人の侵入が検知されたかを表す。
【0067】
尚、検知場所は、ショベルに対する相対的な位置情報ではなく、GPS位置情報等の絶対的な位置情報であってもよい。この場合、作業者が携帯する(例えば、ヘルメットに取り付けられる)GPSセンサと通信を行う通信機がショベルに設けられる。これにより、コントローラ30は、当該通信機を通じて、物体検知部301により人が検知されたときのGPS位置情報を作業者が携帯するGPSセンサから受信することができる。
【0068】
警報レベルは、上述の如く、物体検知部301により第1領域(ショベルから所定距離D2以下の領域)で人の侵入が検知された場合の警告状態と、第2領域(ショベルから所定距離D2より大きく且つ所定距離D1以下の領域)で人の侵入が検知された場合の警戒状態との何れかを表す。
【0069】
検知された人の事後動作は、物体検知部301により所定領域内への人の侵入が検知された後の所定時間(例えば、1分間)経過した時点で、所定領域から退避したか、所定領域内の滞在を継続していたかを表す。
【0070】
検知時の操作状態は、物体検知部301により所定領域内への人の侵入が検知されたときのオペレータによるショベルの操作状態を表し、本例では、下部走行体1が操作される走行状態、上部旋回体3が操作される旋回状態、作業機(ブーム4、アーム5、バケット6)が操作される作業状態の少なくとも1つか、操作されない状態かを表す。
【0071】
検知時の作業モードは、一定回転数で運転されるエンジンの設定回転数の高低に対応する複数の作業モードの何れかを表し、本例では、エンジンの設定回転数が比較的高く作業スピードを優先するSP(Super Power)モード、エンジンの設定回転数が中程度で比較的作業負荷の高い重作業に最適なH(Heavy)モード、エンジン設定回転数が比較的低く幅広い作業に対応するA(Auto)モードの何れかを表す。
【0072】
画像情報は、物体検知部301により所定領域内への人の侵入が検知されたときの撮像装置40の撮像画像である。テーブル形式のデータである侵入履歴情報3101の画像情報の各欄には、画像情報を識別するための識別子(例えば、図中のAAA,BBB,CCC,...,JJJ等)が記憶され、該識別子に基づき、記憶部310に記憶される画像情報にアクセス可能になっている。
【0073】
侵入履歴情報3101は、図4の一例に示される上述の侵入関連情報の少なくとも一部を含む態様であってよいし、上述の侵入関連情報に代えて、或いは、加えて、上述の侵入関連情報以外の侵入関連情報、即ち、以下に示す情報の少なくとも一部を含む態様であってもよい。
【0074】
例えば、侵入履歴情報3101は、侵入関連情報の一例として、物体検知部301により所定領域内への人の侵入が検知されたときにショベルにより行われていた作業内容に関する情報(作業内容情報)を含みうる。このとき、情報生成部303は、例えば、ショベルに搭載され、ショベルの前方を撮像する前方カメラの撮像画像や、各種動作要素を駆動する油圧アクチュエータの駆動状態(例えば、油圧アクチュエータの油室内の圧力状態等)に基づき、作業内容を判断してよい。対象となる作業内容には、例えば、掘削積み込み作業、土手打ち作業等が含まれうる。
【0075】
また、例えば、侵入履歴情報3101は、侵入関連情報の一例として、物体検知部301により所定領域内への人の侵入が検知されたときのショベルの動作要素の制限の有無や制限度合いに関する情報(動作制限情報)を含みうる。
【0076】
また、例えば、侵入履歴情報3101は、侵入関連情報の一例として、物体検知部301により所定領域内への人の侵入が検知されたときの警報の出力開始からオペレータの警報解除操作に基づく警報の出力停止(警報解除)までの経過時間に関する情報(警報時間情報)を含みうる。また、同様に、侵入履歴情報3101は、物体検知部301によりショベルから所定距離D3以内への人の侵入が検知され、ショベルの動作制限が行われたときの動作制限の開始からオペレータの動作制限解除操作に基づく動作制限の解除までの経過時間に関する情報(動作制限時間情報)を含みうる。
【0077】
また、例えば、侵入履歴情報3101は、侵入関連情報の一例として、物体検知部301によりショベルから所定領域内への人の侵入が検知されたときの物体検知部301に含まれる相互に検知範囲が異なる複数の検知部ごとの検知性能の設定状態に関する情報(検知性能設定情報)を含みうる。
【0078】
また、例えば、侵入履歴情報3101は、侵入関連情報の一例として、物体検知部301の検知性能に影響しうる周辺環境に関する情報(検知時周辺環境情報)を含みうる。周辺環境情報には、例えば、天候の種別、温度状態、視界状態(霧や霞の有無等)、時間帯の種別(例えば、朝、昼、夜の別)等が含まれうる。
【0079】
また、例えば、侵入履歴情報3101は、侵入関連情報の一例として、物体検知部301により所定領域内への人の侵入が検知されたときのショベルの姿勢安定度に関する情報(姿勢安定度情報)を含みうる。ショベルの姿勢安定度は、例えば、ショベルがオペレータの意図しない動作を起こさない動作・姿勢状態であるかを示す指標である。オペレータの意図しないショベルの動作には、例えば、バランスを崩して転倒する転倒動作、掘削反力等によりショベルの下部走行体1の一部が浮き上がったり、前後に滑ったりする浮き上がり動作や滑り動作等がある。例えば、情報取得部302は、動作・姿勢状態センサ42の検出結果に基づき、例えば、所定の力学モデル等に基づく計算式やマップ等に基づき、所定の姿勢安定度を算出することができる。
【0080】
また、例えば、侵入履歴情報3101は、侵入関連情報の一例として、物体検知部301により所定領域内への人の侵入が検知されたときのショベルのオペレータの操作技能(例えば、直近の所定期間内の操作技能)に関連する情報(操作技能情報)を含みうる。操作技能情報は、例えば、ショベルの燃費(具体的には、動力源であるエンジン)、単位時間あたりの所定の基準による作業量、ショベルのいわゆる油圧リリーフの頻度等を含みうる。
【0081】
また、例えば、侵入履歴情報3101は、侵入関連情報の一例として、物体検知部301によりショベルから所定距離D3以内への人の侵入が検知され、ショベルの動作が制限されたときのオペレータによるショベルの操作状態を表す情報(動作制限時操作情報)を含みうる。動作制限時操作情報は、上述の検知時操作情報と同様、例えば、当該下部走行体1が操作される走行状態、上部旋回体3が操作される旋回状態、作業機(ブーム4、アーム5、バケット6)が操作される作業状態の少なくとも1つか、操作されない状態かを表す。
【0082】
情報生成部303は、物体検知部301により所定領域への人の侵入が検知されるたびに、情報取得部302により更新される侵入履歴情報3101に基づき、侵入度合情報3102を生成する。具体的には、情報生成部303は、侵入履歴情報3101を統計的に処理することにより、侵入度合情報3102を生成する。そして、情報生成部303は、生成した侵入度合情報3102を記憶部310に記憶させる。侵入度合情報3102の詳細は、後述する。
【0083】
表示制御部304は、表示装置50に各種情報画像を表示させる。例えば、表示制御部304は、予め規定された通知条件が成立すると、情報生成部303により生成された侵入度合情報3102を表示装置50に表示させる。表示制御部304による処理の詳細は、後述する。
【0084】
尚、表示制御部304は、オペレータによる所定操作に応じて、情報生成部303が生成した侵入度合情報3102を表示装置50に表示させてもよい。
【0085】
情報送信部305は、予め規定された通知条件が成立すると、通信機器80を制御し、情報生成部303により生成された侵入度合情報3102を管理サーバ200に送信する。情報送信部305による処理の詳細は、後述する。
【0086】
管理サーバ200(管理装置の一例)は、ショベルから送信される各種情報に基づき、ショベルの各種管理を行う。管理サーバ200は、ショベル(通信機器80)と通信ネットワーク150を介して通信可能に接続し、ショベルから送信される各種情報を受信する。例えば、管理サーバ200は、ショベルを含む作業現場の安全状況に関する情報(例えば、後述する侵入度合情報)をショベルから受信し、該情報を、作業現場の監督者や作業者が使用するコンピュータ端末、作業現場の監督者の携帯端末、作業現場の他の作業機械等に送信する。これにより、作業現場の監督者、作業者、他の作業機械のオペレータ等に作業現場の安全状況を把握させて、安全行動を促すことができる。
【0087】
管理サーバ200は、通信機器210と、処理装置220とを含む。
【0088】
通信機器210は、通信ネットワーク150を通じて、ショベル及び管理端末300のそれぞれと双方向で通信を行うための任意の通信デバイスである。
【0089】
処理装置220は、管理サーバ200における各種制御処理を行う。処理装置220は、その機能が、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、これらの組み合わせにより実現されてよく、例えば、CPUと、RAMと、ROMと、補助記憶装置と、所定の通信インターフェース等を含む一又は複数のサーバコンピュータを中心に構成される。処理装置220は、ROMや補助記憶装置に格納される一以上のプログラムを実行することにより実現される機能部として、データ取得部2201と、データ配信部2202を含む。また、処理装置220は、サーバコンピュータの補助記憶装置内の記憶領域として実現される記憶部2200を含み、記憶部2200に各種データを保存する(記憶させる)処理は、ROMや補助記憶装置に格納される所定のプログラムにより実現される。
【0090】
データ取得部2201は、通信機器210を通じて、ショベルから管理サーバ200に向けて送信される侵入度合情報を取得する。データ取得部2201は、取得した侵入度合情報を記憶部2200に記憶させる(侵入度合情報2200A)。
【0091】
データ配信部2202は、携帯端末からのリクエストに応じて、或いは、予め規定されたプッシュ通知の要件に応じて、通信機器210を制御し、管理端末300に侵入度合情報2200Aを配信する。
【0092】
尚、データ配信部2202は、管理端末300の他、管理サーバ200と通信可能に接続される他の作業機械(侵入度合情報の送信元であるショベル以外の、同じ作業現場の他の作業機械)、例えば、ショベルの他、ブルドーザ等に配信されてもよい。
【0093】
管理端末300は、管理サーバ200と通信可能に接続され、ショベルが作業する作業現場を管理する監督者や実際に作業を行う作業者等がディスプレイ等の表示部に表示される各種情報を閲覧可能な任意の端末である。管理端末300は、例えば、作業現場に仮設される建屋に定置されるデスクトップ型の端末であってよい。また、管理端末300は、作業現場の監督者や作業者が所持する携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末であってもよい。
【0094】
管理端末300は、通信機器315と、処理装置320と、タッチパネル式のディスプレイ330を含む。
【0095】
通信機器315は、通信ネットワーク150を通じて、管理サーバ200等と通信を行う任意のデバイスである。通信機器315は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の通信規格に対応する移動通信モジュールである。
【0096】
処理装置320は、管理端末300における各種制御処理を行う。処理装置320は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、これらの組み合わせにより実現されてよく、例えば、CPUと、RAMと、ROMと、補助記憶装置と、所定の通信インターフェース等を含むコンピュータを中心に構成されてよい。処理装置320は、例えば、ROMや補助記憶装置に格納される一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、データ取得部3201と、表示制御部3202を含む。また、処理装置320は、例えば、補助記憶装置内の記憶領域として実現される記憶部3200を含み、記憶部3200に各種データを保存する(記憶させる)処理は、ROMや補助記憶装置に格納される所定のプログラムにより実現される。
【0097】
例えば、データ取得部3201及び表示制御部3202の機能は、例えば、処理装置320の補助記憶装置等にインストールされるアプリケーションプログラム(以下、「管理アプリ」と称する)が起動されることによって、実行可能になる態様であってよい。
【0098】
データ取得部3201は、所定の条件に応じて、通信機器315を通じて、管理サーバ200から各種データ、具体的には、侵入度合情報を取得する。データ取得部3201は、取得した侵入度合情報を記憶部3200に記憶させる(侵入度合情報3200A)例えば、データ取得部3201は、ユーザによる侵入度合情報の表示を要求する所定操作に応じて、通信機器315を制御し、管理サーバ200に配信リクエストを送信することにより、侵入度合情報を管理サーバ200から取得してよい。このとき、ユーザによる管理端末300に対する操作は、例えば、管理アプリの動作と連動して、ディスプレイ330に表示される所定のGUI(Graphical User Interface)に対するタッチパネルを利用したソフトウェアによる操作であってもよいし、管理端末300に搭載、或いは、付属するハードウェアによる操作部等に対する操作であってもよい。以下、管理端末300におけるその他の操作についても同様である。
【0099】
また、例えば、データ取得部3201は、所定のプッシュ通知の要件に応じて、管理サーバ200から配信される侵入度合情報を取得してもよい。
【0100】
表示制御部3202は、侵入度合情報3200Aをディスプレイ330に表示させる。これにより、ユーザは、ショベルに搭乗していない場合であっても、作業現場の安全環境に関連する侵入度合情報を確認することができるため、例えば、後日の安全状態の確認や現場管理(例えば、ヒヤリハットの分析)に活用することができる。
【0101】
例えば、表示制御部3202は、ユーザによる所定操作に応じて、侵入度合情報3200Aをディスプレイ330に表示させてもよい。
【0102】
また、例えば、表示制御部3202は、侵入度合情報が管理サーバ200からプッシュ通知の態様で配信される場合に、データ取得部3201により侵入度合情報が取得されると、ディスプレイ330に表示させてもよい。このとき、表示制御部3202は、侵入度合情報をポップアップ表示としてディスプレイ330に表示させたり、ダイジェスト版の侵入度合情報をディスプレイ330に表示させたり等してもよい。
【0103】
以下、表示制御部3202の機能によって、ディスプレイ330に表示される侵入度合情報の表示態様の詳細については、後述する(図13参照)。
【0104】
尚、本例(図2A)では、ショベルのコントローラ30によって、侵入度合情報が生成されるが、管理サーバ200や管理端末300によって、侵入度合情報が生成されてもよい。つまり、情報生成部303の機能は、管理サーバ200や管理端末300に移管されてもよい。
【0105】
例えば、図2Bは、本実施形態に係る安全管理システム100の構成の他の例を示すブロック図である。
【0106】
本例では、ショベル(コントローラ30)の情報生成部303が省略され、代わりに、管理サーバ200の処理装置220に情報生成部2203が追加される。
【0107】
具体的には、コントローラ30の情報送信部305は、通信機器80を制御し、侵入履歴情報3101を管理サーバ200に送信する。
【0108】
管理サーバ200のデータ取得部2201は、通信機器210を通じて、ショベルから管理サーバに向けて送信された侵入履歴情報を取得し、記憶部2200に記憶させる(侵入履歴情報2200B)。
【0109】
そして、管理サーバ200の情報生成部2203は、図2Aの情報生成部303と同様、侵入履歴情報2200Bに基づき、侵入度合情報を生成し、記憶部2200に記憶させる(侵入度合情報2200A)。
【0110】
これにより、管理サーバ200は、通信機器210を通じて、自身が生成した侵入度合情報を管理端末300に配信することができる。また、管理サーバ200は、通信機器210を通じて、侵入履歴情報の送信元であるショベルに配信することができる。また、管理サーバ200で集中管理を行うことができるため、ショベルの構成を簡易にすることができ、ショベルのコストアップ等を抑制できる。
【0111】
また、例えば、図2Cは、本実施形態に係る安全管理システム100の構成の更に他の例を示すブロック図である。
【0112】
本例では、ショベル(コントローラ30)の情報生成部303が省略され、代わりに、管理端末300の処理装置320に情報生成部3203が追加される。
【0113】
具体的には、コントローラ30の情報送信部305は、通信機器80を制御し、侵入履歴情報3101を管理サーバ200に送信する。
【0114】
管理サーバ200のデータ取得部2201は、通信機器210を通じて、ショベルから管理サーバに向けて送信された侵入履歴情報を取得し、記憶部2200に記憶させる(侵入履歴情報2200B)。
【0115】
管理サーバ200のデータ配信部2202は、管理端末300からのリクエストに応じて、或いは、予め規定されたプッシュ通知の要件に応じて、通信機器210を制御し、管理端末300に侵入履歴情報2200Bを配信する。
【0116】
管理端末300のデータ取得部3201は、通信機器315を通じて、管理端末300から配信される侵入履歴情報2200Bを取得し、記憶部3200に記憶させる(侵入履歴情報3200B)。
【0117】
管理端末300の情報生成部3203は、所定のタイミング(例えば、侵入履歴情報2200Bがデータ取得部3201により取得された直後のタイミングや所定のバッチ処理のタイミング等)や、ユーザによる侵入度合情報の表示要求に対応する所定操作等に応じて、図2Aの情報生成部303と同様、侵入履歴情報3200Bに基づき、侵入度合情報を生成し、記憶部3200に記憶させる(侵入度合情報3200A)。
【0118】
これにり、管理端末300は、管理サーバ200から侵入履歴情報取得し、自ら、侵入度合情報を生成し、ディスプレイ330に表示させることができる。
【0119】
[侵入度合情報の詳細]
次に、図5図11を参照して、情報生成部303,2203,3203(以下、便宜的に「情報生成部303等」と称する)により生成される侵入度合情報(侵入度合情報3102,2200A,3200A)について説明をする。
【0120】
まず、図5は、情報生成部303等により生成される侵入度合情報の第1例を表す図である。
【0121】
図5に示すように、本例に係る侵入度合情報は、直近の所定時間(本例では、11:00-12:00の1時間)内における所定領域への人の侵入の検知回数、検知された人の人数(検知人数)、及び追加情報である、所定領域への人の侵入が検知された各回の画像情報(撮像装置40の撮像画像)を表すテーブル形式の情報である。
【0122】
尚、本例における侵入度合情報には、検知回数と検知人数の双方が含まれるが、何れか一方が含まれる態様であってもよい。また、本例における侵入度合情報には、検知回数に代えて、或いは、加えて、ショベルが動作制限された回数(動作制限回数)が含まれてもよい。以下、図6図10(第2例~第6例)を含む後述する侵入度合情報に関する実施例についても同様である。
【0123】
検知回数には、所定時間内における合計の検知回数の他、検知時の警報レベル別(警戒状態、警告状態の別)の検知回数、検知時の操作状態別(走行状態、非走行状態の別、旋回状態、非旋回状態の別、作業状態、非作業状態の別)の検知回数、及び、検知時の作業モード別(SPモード、Hモード、Aモードの別)の検知回数が含まれている。また、検知回数には、上記内容の少なくとも一部に代えて、或いは、加えて、検知時の作業内容別の検知回数、警報開始からオペレータによる警報解除操作に基づく警報解除までの経過時間別(例えば、1分刻みの時間区分ごと)の検知回数、検知時の検知性能の設定状態別の検知回数、検知時の周辺環境別の検知回数、検知時のショベルの姿勢安定度別の検知回数、検知時のオペレータの操作技能別の検知回数等が含まれてもよい。以下、図5図9(第2例~第5例)を含む後述する侵入度合情報に関する実施例についても同様である。
【0124】
尚、本例の侵入度合情報に動作制限回数が含まれる場合、動作制限回数には、所定時間内における合計の動作制限回数の他、動作制限度合い別の動作制限回数、動作制限時の操作状態別の動作制限回数、及び、動作制限時の作業モード別の動作制限回数等が含まれうる。また、動作制限回数には、動作制限の開始からオペレータによる動作制限解除操作に基づく動作制限の解除までの経過時間別の動作制限回数、検知時(動作制限時)の検知性能の設定状態別の動作制限回数、検知時(動作制限時)の周辺環境別の動作制限回数等が含まれうる。
【0125】
また、検知人数には、所定時間内における合計の検知人数の他、検知場所別の検知人数、及び事後動作別の検知人数が含まれている。
【0126】
また、追加情報には、検知時における各回の画像情報にアクセスするためのリンク情報(図中のリンク1~リンク10)が含まれている。
【0127】
続いて、図6は、情報生成部303により生成される侵入度合情報の第2例を表す図である。
【0128】
図6に示すように、本例に係る侵入度合情報は、所定の検知場所(本例では、ショベルの後方エリア)における所定領域への人の侵入の検知回数、検知された人の人数(検知人数)、及び追加情報である、所定領域への人の侵入が検知された各回の画像情報(撮像装置40の撮像画像)を表すテーブル形式の情報である。
【0129】
検知回数には、所定の検知場所における合計の検知回数の他、本日の時間帯別の検知回数、検知時の警報レベル別(警戒状態、警告状態の別)の検知回数、検知時の操作状態別(走行状態、非走行状態の別、旋回状態、非旋回状態の別、作業状態、非作業状態の別)の検知回数、及び検知時の作業モード別(SPモード、Hモード、Aモードの別)の検知回数が含まれている。
【0130】
また、検知人数には、所定の検知場所における合計の検知人数の他、事後動作別の検知人数が含まれている。
【0131】
また、追加情報には、第1例と同様、検知時における各回の画像情報にアクセスするためのリンク情報(図中のリンク1~リンク10)が含まれている。
【0132】
続いて、図7は、情報生成部303により生成される侵入度合情報の第3例を表す図である。
【0133】
図7に示すように、本例に係る侵入度合情報は、所定の操作状態(本例では、旋回状態)における所定領域への人の侵入の検知回数、検知された人の人数(検知人数)、及び追加情報である、所定領域への人の侵入が検知された各回の画像情報(撮像装置40の撮像画像)を表すテーブル形式の情報である。
【0134】
検知回数には、所定の操作状態における合計の検知回数の他、本日の時間帯別の検知回数、検知時の警報レベル別(警戒状態、警告状態の別)の検知回数、及び検知時の作業モード別(SPモード、Hモード、Aモードの別)の検知回数が含まれている。
【0135】
また、検知人数には、所定の検知場所における合計の検知人数の他、検知場所別の検知人数、及び事後動作別の検知人数が含まれている。
【0136】
また、追加情報には、第1例等と同様、検知時における各回の画像情報にアクセスするためのリンク情報(図中のリンク1~リンク10)が含まれている。
【0137】
続いて、図8は、情報生成部303により生成される侵入度合情報の第4例を表す図である。
【0138】
図8に示すように、本例に係る侵入度合情報は、所定の作業モード(本例では、Hモード)における所定領域への人の侵入の検知回数、検知された人の人数(検知人数)、及び追加情報である、所定領域への人の侵入が検知された各回の画像情報(撮像装置40の撮像画像)を表すテーブル形式の情報である。
【0139】
検知回数には、所定の作業モードにおける合計の検知回数の他、本日の時間帯別の検知回数、検知時の警報レベル別(警戒状態、警告状態の別)の検知回数、及び検知時の操作状態別(走行状態、非走行状態の別、旋回状態、非旋回状態の別、作業状態、非作業状態の別)の検知回数が含まれている。
【0140】
また、検知人数には、所定の作業モードにおける合計の検知人数の他、検知場所別の検知人数、及び事後動作別の検知人数が含まれている。
【0141】
また、追加情報には、第1例等と同様、検知時における各回の画像情報にアクセスするためのリンク情報(図中のリンク1~リンク10)が含まれている。
【0142】
続いて、図9は、情報生成部303により生成される侵入度合情報の第5例を表す図である。
【0143】
図9に示すように、本例に係る侵入度合情報は、所定の警報レベル(本例では、警告状態)における所定領域への人の侵入の検知回数、検知された人の人数(検知人数)、及び追加情報である、所定領域への人の侵入が検知された各回の画像情報(撮像装置40の撮像画像)を表すテーブル形式の情報である。
【0144】
検知回数には、所定の警報レベルにおける合計の検知回数の他、本日の時間帯別の検知回数、検知時の警報レベル別(警戒状態、警告状態の別)の検知回数、検知時の操作状態別(走行状態、非走行状態の別、旋回状態、非旋回状態の別、作業状態、非作業状態の別)の検知回数、及び検知時の作業モード別(SPモード、Hモード、Aモードの別)の検知回数が含まれている。
【0145】
また、検知人数には、所定の作業モードにおける合計の検知人数の他、検知場所別の検知人数、及び事後動作別の検知人数が含まれている。
【0146】
また、追加情報には、第1例等と同様、検知時における各回の画像情報にアクセスするためのリンク情報(図中のリンク1~リンク10)が含まれている。
【0147】
このように、第1例~第5例では、情報生成部303等によって、検知回数、検知人数等を含む侵入度合情報が生成される。具体的には、情報生成部303等によって、ショベルの周辺の所定領域への監視対象(人)の侵入度合と、侵入関連情報との関係を確認可能な表を生成するための侵入度合情報が生成される。これにより、ショベルのコントローラ30(表示制御部304)は、生成された侵入度合情報を表示装置50に表示させて、ショベルの周辺の所定領域への監視対象(人)の侵入状況(侵入度合)をオペレータに把握させることができる。また、管理端末300は、生成された侵入度合情報をディスプレイ300に表示させて、ショベルの周辺の所定領域への監視対象(人)の侵入状況を作業現場の監督者や作業者に把握させることができる。また、管理サーバ200は、生成された侵入度合情報を管理端末300だけでなく、対象の作業機械とは異なる、他の作業機械に配信し、他の作業機械の表示装置等に表示させることができる。そのため、対象の作業機械(ショベル)のオペレータだけでなく、作業現場の監督者、作業者、他の作業機械のオペレータ等に、ショベルの周辺の所定領域への人の侵入状況(侵入度合)を把握させることができる。よって、ショベルのオペレータ、作業現場の監督者、作業者、他の作業機械のオペレータ等に対して、安全行動を促すことが可能となり、比較的即効性のある態様で、ショベルが使用される作業現場の安全性の向上を図ることができる。
【0148】
また、侵入度合情報は、動作制限回数を含みうる。これにより、当該ショベルのオペレータや作業現場の監督者、作業者に対して、ショベルの周辺への人の侵入によって、どの程度のショベルの動作制限が発生しているか等を把握させることができる。
【0149】
また、第1例~第5例では、情報生成部303等によって、侵入度合情報に関する所定条件下におけるショベルの周辺の所定領域への監視対象(人)の侵入度合いを確認可能な表を生成するための侵入度合情報が生成される。つまり、情報生成部303等は、侵入関連情報に関する所定条件での絞り込みを行い、当該所定条件で絞り込まれた、ショベルの周辺の所定領域内への侵入度合いを確認可能な表を生成するための侵入度合情報を生成する。具体的には、オペレータ等は、所定時間、所定の検知場所、所定の操作状態、所定の作業モード、或いは所定の警報レベル、等の各条件下における検知回数、検知人数、動作制限回数等を把握することができる。そのため、オペレータ等は、様々な条件下での検知回数、検知人数、動作制限回数により、様々な視点から作業現場の安全状況を認識することができる。また、オペレータ等は、検知回数と動作制限回数との比較等により、作業現場の作業効率と、作業現場の安全性との両立を図るための行動方針等を検討することもできる。
【0150】
また、例えば、時間帯別の検知回数によれば、オペレータ等は、時間経過に応じた検知回数の増減傾向等を把握することができる。そのため、オペレータ等は、例えば、検知回数が増加傾向にある状況を認識して、周囲に対して、より注意を払う等により作業現場の安全性の向上を図ることができる。
【0151】
また、例えば、警報レベル別の検知回数によれば、オペレータ等は、警報レベルが高い第1領域への侵入度合を把握することができる。また、同様、動作制限度合い別の動作制限回数によれば、オペレータ等は、動作制限度合いが高い領域、つまり、ショベルにより近接した領域への侵入度合を把握することができる。そのため、オペレータは、現在の作業現場における作業員のショベルへの近づきやすさ等の状況を認識した上で、ショベルの操縦やショベル周辺での作業を行い、作業現場の安全性を向上させることができる。
【0152】
また、例えば、操作状態別の検知回数や作業モード別の検知回数によれば、オペレータは、どのような操作状態や作業モードの際に人の侵入に前もって気付けなかったかを把握することができるため、今後、対象となる操作状態や作業モードでは、より注意を払う等により作業現場の安全性の向上を図ることができる。
【0153】
また、検知場所別の検知人数によれば、オペレータ等は、所定領域のうちのどのエリアへの侵入に前もって気付けなかったか、或いは現在の作業現場の状況では、どのエリアへの侵入が多いのか等を把握することができる。そのため、オペレータ等は、対象となるエリアでは、より注意を払う等により作業現場の安全性の向上を図ることができる。
【0154】
また、事後動作別の検知回数によれば、物体検知部301により所定領域への人の侵入が検知され、音声出力装置60から警報が出力された後、所定時間経過しても、オペレータ等による適切な行動がなされなかったことにより、所定領域から離れない人(作業者等)の存在を把握することができる。そのため、仮に、ショベルの周辺の所定領域に人が侵入してしまった場合でも、直ぐに所定領域から退避したり、ショベルの操縦を停止したり等の行動の徹底等をオペレータ等に促し、作業現場の安全性の向上を図ることができる。
【0155】
また、例えば、検知時の作業内容別の検知回数等によれば、オペレータ等は、どのような作業内容のときに所定領域内への人の侵入を前もって気付けなかったのかや、どのような作業内容のときにショベルの周辺に人が近づきやすいか等を把握することができる。そのため、オペレータ等は、例えば、対象となる作業内容では、より注意を払う等により作業現場の安全性の向上を図ることができる。
【0156】
また、例えば、警報開始から警報解除操作に基づく警報解除までの経過時間別の検知回数等によれば、オペレータ等は、警報開始からオペレータが警報解除操作を行うまでの経過時間の傾向を把握することができる。また、同様に、ショベルの動作制限の開始から動作制限解除操作に基づくショベルの動作制限の解除までの経過時間別の動作制限回数等によれば、オペレータ等は、ショベルの動作制限の開始からオペレータが動作制限解除操作を行うまでの経過時間の傾向を把握することができる。そのため、オペレータ等は、例えば、警報開始或いはショベルの動作制限開始から警報解除操作或いは動作制限解除操作が行われるまでの時間が比較的短い場合、オペレータによるショベルの周囲の確認が不十分な可能性があるため、周囲の確認を徹底する等により作業現場の安全性の向上を図ることができる。
【0157】
また、例えば、検知時の検知性能の設定状態別の検知回数等によれば、オペレータ等は、どのような検知性能の設定状態の場合に、検知回数が多いか等を把握することができる。そのため、オペレータ等は、例えば、作業現場での検知性能の設定状態を決定する上での判断材料にすることができる。
【0158】
また、例えば、検知時の周辺環境別の検知回数等によれば、オペレータ等は、どのような周辺環境のときに所定領域内への人の侵入を前もって気付けなかったのかや、どのような周辺環境のときにショベルの周辺に人が近づきやすいか等を把握することができる。そのため、オペレータ等は、例えば、対象となる周辺環境では、より注意を払う等により作業現場の安全性の向上を図ることができる。
【0159】
また、例えば、検知時の姿勢安定度別の検知回数等によれば、オペレータ等は、姿勢安定度と、ショベルの周辺の所定領域内への人の侵入度合いとの相関(例えば、姿勢安定度が低下すると、オペレータの操作への注力度高くなり、逆に、ショベルの周辺への注意が低くなる等)を確認することができる。従って、例えば、現場監督等は、現場の環境(例えば、作業現場が不安定な場所か否か、バケット6の動作に比較的大きな高低差があるか否か、アタッチメントを上部旋回体3から比較的離れた位置まで延在させる必要があるか否か等)等に起因するショベルの姿勢安定度の低下と、人の侵入度合いとの関係性に応じて、今後の、作業現場の安全性向上に向けた施策(環境改善等)を検討することができる
また、例えば、検知時のオペレータの操作技能別の検知回数等によれば、オペレータ等は、オペレータの操作技能とショベルの周辺の所定領域内への人の侵入度合いとの相関(例えば、オペレータの操作技能が低いほど、操作への注力度が高くなるため、逆に、ショベルの周辺への注意が低くなる等)を確認することができる。従って、現場監督等は、複数の作業機械の担当を配置する上で、周辺で作業する作業員が多い場所の作業には、熟練のオペレータを配置するなどを行うことができる。
【0160】
また、画像情報によれば、オペレータ等は、具体的にどのような形で所定領域への侵入が行われたのか等を把握することができるため、以後の安全性の改善に対する行動方針等を具体的に立てることができる。
【0161】
尚、第1例~第5例において、侵入度合情報には、時間帯別の検知回数、警報レベル別の検知回数、操作状態別の検知回数、作業モード別の検知回数、検知場所別の検知人数、及び事後動作別の検知人数のうちの5つが含まれるが、一部又は全部が省略されてもよい。また、第1例~第5例において、図2Aの安全管理システムに対応する情報送信部305は、侵入度合情報を管理サーバ200に送信する際、併せて、侵入度合情報における各回の画像情報へのリンク情報に対応する画像データを管理サーバ200に送信する。また、第1例~第5例において、追加情報として画像情報(へのリンク情報)が含まれるが、画像情報は、省略されてもよい。
【0162】
続いて、図10は、情報生成部303等により生成される侵入度合情報の第6例を表す図である。
【0163】
図10に示すように、侵入度合情報には、ショベルの周辺の所定領域への人の侵入の検知回数及び検知人数の時系列データ(本例では、直近の1週間の曜日別の時系列データと、作業当日である9月5日(月)の10:30現在のデータ)が含まれる。
【0164】
また、本例では、各曜日について、合計の検知回数及び検知人数の他、警報レベル別(警戒状態、警告状態の別)の検知回数及び検知人数が含まれる。
【0165】
このように、第6例では、情報生成部303等によって、第1例~第5例と同様、検知回数、検知人数等を含む侵入度合情報が生成される。これにより、表示制御部304は、生成された侵入度合情報を表示装置50に表示させて、ショベルの周辺の所定領域への人の侵入状況(侵入度合)をオペレータに把握させることができる。また、情報送信部305は、生成された侵入度合情報を管理サーバ200に送信し、管理サーバ200から作業現場のコンピュータ端末、携帯端末、他の作業機械等に送信してもらうことができる。そのため、作業現場の監督者、作業者、他の作業機械のオペレータ等に、ショベルの周辺の所定領域への人の侵入状況(侵入度合)を把握させることができる。よって、ショベルのオペレータ、作業現場の監督者、作業者、他の作業機械のオペレータ等に対して、安全行動を促すことが可能となり、比較的即効性のある態様で、ショベルが使用される作業現場の安全性の向上を図ることができる。
【0166】
例えば、直近1週間の曜日別の検知回数や検知人数の特徴(増減等)を把握することができる。そのため、オペレータ等は、前回の同じ曜日の他の曜日に対する傾向(例えば、他の曜日よりも検知回数等が著しく多い等)を参考にして、作業現場の状況を把握し、ショベルを操縦したり、各種作業を行ったりすることで、作業現場の安全性の向上を図ることができる。また、例えば、侵入度合情報として、代わりに、特定の1日或いは直近24時間の時間帯(例えば、1時間単位、2時間単位等)別の検知回数や検知人数の時系列データを採用することにより、直近24時間の時間帯別の検知回数や検知人数の特徴(増減等)を把握することができる。そのため、同様、オペレータ等は、前回の同じ時間帯に対する傾向(例えば、作業終了直前の時間帯は、他の時間帯よりも検知回数等が著しく多い等)を参考にして、作業現場の状況を把握し、ショベルを操縦したり、各種作業を行ったりすることで、作業現場の安全性の向上を図ることができる。また、例えば、侵入度合情報として、代わりに、直近の所定期間(所定日数)における日付別(日別)の検知回数や検知人数の時系列データを採用することも可能である。
【0167】
第6例に係る侵入度合情報は、テーブル形式で表示装置50や作業現場のコンピュータ端末携帯端末、他の作業機械の表示装置等に表示させる以外に、グラフ表示させることができる。以下、図11を参照して、図10における検知回数等の時系列データを表示装置50や作業現場のコンピュータ端末携帯端末、他の作業機械の表示装置等に表示させる際の表示態様の他の例について説明をする。
【0168】
例えば、図11は、表示装置50等に表示された侵入度合情報を表す図であり、具体的には、検知回数の時系列データを表示装置50等にグラフ表示した図である。
【0169】
尚、本例に係る侵入度合情報の内容は、図10に示す侵入度合情報と同じである。
【0170】
このように、検知回数等の時系列データをグラフ表示することにより、オペレータ等は、
直近1週間の曜日別の検知回数や検知人数の時系列データの特徴(増減等)を容易に把握することができる。また、検知回数の合計のうちの警報レベル別の検知回数が、異なる表示態様(具体的には、警戒状態をドット表示とし、警告状態をボーダー表示とする表示態様)で表されるため、警報レベル別の時系列データの特徴も容易に把握することができる。よって、オペレータ等は、より即効性のある態様で、ショベルが使用される作業現場の安全性の向上を図ることができる。
【0171】
また、図5図10の例示以外の侵入度合情報が生成されてもよい。
【0172】
例えば、侵入度合情報は、物体検知部301により人が検知されたときの作業内容別の検知回数、検知人数、動作制限回数、追加情報等を含む態様であってよい。これにより、当該ショベルのオペレータや作業現場の管理者、監督者、及び、他の作業機械のオペレータ等は、侵入度合情報を視認し、どのような作業内容が行われているときに当該ショベルの周辺への侵入者が多いか等を把握することができる。
【0173】
また、例えば、侵入度合情報は、物体検知部301により人が検知された検知性能の設定状態別の検知回数、検知人数、動作制限回数、追加情報等を含む態様であってよい。これにより、当該ショベルのオペレータや作業現場の管理者、監督者、及び、他の作業機械のオペレータ等は、侵入度合情報を視認し、どのような検知性能の設定状態が適切か等を検討することができる。
【0174】
また、例えば、侵入度合情報は、物体検知部301により人が検知されたときの周辺環境別(例えば、朝、昼、夜の別や晴、曇り、雨の別等)の検知回数、検知人数、動作制限回数、追加情報等を含む態様であってよい。これにより、当該ショベルのオペレータや作業現場の管理者、監督者、及び、他の作業機械のオペレータ等は、侵入度合情報を視認し、どのような周辺環境状態で、ショベルの周辺への侵入者が多いか等を把握することができる。
【0175】
また、例えば、侵入度合情報は、物体検知部301によりショベルの動作制限が開始されたときの操作状態別の動作制限回数、追加情報等を含む態様であってもよい。これにより、当該ショベルのオペレータや作業現場の管理者、監督者、及び、他の作業機械のオペレータ等は、どのような操作が行われているとき、つまり、ショベルがどのような動作を行っているときに、ショベルの動作制限が行われる頻度が高いか等を把握できる。また、作業現場の管理者、監督者は、例えば、ショベルの動作制限の頻度が高い操作状態について、作業効率と、安全性の観点から停止させる必要があるかなどの検討を行うことができる。
【0176】
続いて、図12は、情報生成部303等によって生成される侵入度合情報の第7例を表す図である。
【0177】
本例では、第1例~第5例と異なり、情報生成部303等によって、侵入度合いに関する所定条件下における侵入関連情報を確認可能な表を生成するための侵入度合情報が生成される。具体的には、情報生成部303等によって、検知頻度(例えば、一時間あたり等の単位時間あたりの検知回数、検知人数等)が所定基準を超える侵入関連情報の項目が強調して表示される。
【0178】
図12に示すように、侵入度合情報は、複数の侵入関連情報(検知時の時間帯に関する情報、検知時の操作状態に関する情報、検知時の作業モードに関する情報、検知時の人の検知場所に関する情報、検知時のショベルの姿勢安定度に関する情報、及び、検知時のオペレータの操作技能に関する情報)のそれぞれに対応する全項目と、それぞれの項目に対応する単位時間当たりに換算したときの検知頻度とを対応付けたテーブル形式の情報である。
【0179】
尚、検知頻度は、例えば、ある侵入関連情報のある項目に該当する累計時間内での検知回数を、当該累計時間で除することにより算出される。
【0180】
そして、本例では、侵入度合いに関する所定条件が成立する、つまり、侵入度合い(検知頻度)が比較的高い侵入関連情報の項目は、強調して表示されている(図中のハッチング部分参照)。具体的には、それぞれの侵入関連情報に対応する全項目のうち、検知頻度が単位時間あたり"2.0"以上である項目が強調して表示される。
【0181】
このように、情報生成部303等によって、ショベルの周辺の所定領域内への監視対象(人)の侵入度合い(侵入頻度)に関する所定条件下における侵入関連情報の項目を確認可能な表を生成するための侵入度合情報が生成される。つまり、情報生成部303等は、ショベルの周辺の所定領域内への監視対象(人)の侵入度合いに関する所定条件での絞り込みを行い、当該所定条件で絞り込まれた、侵入関連情報(の項目)を確認可能な表を生成するための侵入度合情報を生成する。これにより、現場監督等は、直接的に、ショベルの周辺の所定領域内への監視対象(人)の侵入度合いが相対的に高い、侵入関連情報の項目を洗い出すことができる。そのため、現場監督等は、例えば、比較的安全性が低いと考えられる、洗い出された侵入関連情報の項目に関する条件から作業現場の安全性の向上を図る施策を検討することができる。
【0182】
尚、本例では、ショベルの周辺の所定領域内への監視対象(人)の侵入度合いに関する条件として、検知回数に基づく、検知頻度を用いたが、例えば、検知人数に基づく検知頻度や動作制限回数に基づく、動作制限頻度が用いられてもよい。
【0183】
[管理端末における侵入度合情報の表示態様]
次に、図13を参照して、管理端末300のディスプレイ330に表示される侵入度合情報の表示態様の具体例について説明する。
【0184】
図13は、管理端末300における侵入度合情報の表示態様の一例を表す図である。当該表示態様は、上述した管理端末300の表示制御部3202(つまり、管理アプリ)により実現される。
【0185】
図13に示すように、本例の管理端末300の横長のディスプレイ330の右側半分の領域には、侵入度合情報に対応する表330Aが表示されている。
【0186】
また、ディスプレイ330の左側半分の領域の上半分には、表330Aとして表示させる侵入度合情報の仕様を選択するための仕様選択部330Bが表示される。
【0187】
仕様選択部330Bでは、予め登録される仕様(例えば、侵入関連情報及び侵入度合いの何れに関する条件で侵入度合情報を絞り込んだ侵入度合情報を表示させるのかや、具体的にどのような条件で絞り込むのか等の仕様)に対応する侵入度合情報が、"テーブル1"~"テーブル5"の名称で表示されている。ユーザは、例えば、図中の太枠で示されるカーソル等をタッチパネルのスライド操作や図示しないハードウェアによる操作部(例えば、マウス等)により移動させて、所定の決定操作をすることにより、対応する仕様の侵入度合情報を表330Aとしてディスプレイ330に表示させることができる。
【0188】
また、ディスプレイ330の左側半分の領域の下半分には、ユーザが仕様選択部330Bで選択するための仕様を登録するためのカスタマイズ部330CのGUIが表示される。これにより、ユーザは、自分が確認したい仕様の侵入度合情報を仕様選択部330Bに登録できる。
【0189】
[侵入履歴情報の表示処理]
次に、図14を参照して、図2Aに係る安全管理システム100に対応する表示制御部304による処理について説明をする。
【0190】
図14は、表示制御部304による処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、例えば、ショベルの運転中、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0191】
ステップS102にて、表示制御部304は、所定の検知条件下で、物体検知部301によるショベルの周辺の所定領域への人の侵入の検知回数N1が所定閾値N1th以上になったか否かを判定する。所定条件とは、例えば、(1)ある時点からの所定時間内(所定の時間帯内)であること、(2)所定の検知場所であること、(3)所定の操作状態であること、(4)所定の作業モードであること、(5)所定の警報レベルであること等の少なくとも1つであってよい。表示制御部304は、判定条件を満足しない場合、ステップS104に進み、判定条件を満足する場合、ステップS106に進む。
【0192】
尚、表示制御部304は、所定の検知条件下で、物体検知部301によるショベルの動作制限の回数(動作制限回数)が相対的に多くなった(所定閾値以上になった)か否かを判定してもよい。以下、後述する図15のステップS202についても同様である。
【0193】
ステップS104にて、表示制御部304は、ステップS102と同じ所定条件下で、物体検知部301によるショベルの周辺の所定領域への人の侵入の検知人数N2が所定閾値N2th以上になったか否かを判定する。表示制御部304は、判定条件を満足する場合、ステップS106に進み、判定条件を満足しない場合、今回の処理を終了する。
【0194】
ステップS106にて、表示制御部304は、侵入度合情報3102を表示装置50に表示させる。例えば、表示制御部304は、所定の検知条件が上記(1)の場合、上述した第1例に相当する侵入度合情報3102を表示装置50に表示させてよい。また、例えば、表示制御部304は、所定の検知条件が上記(2)の場合、上述した第2例に相当する侵入度合情報3102を表示装置50に表示させてよい。また、例えば、表示制御部304は、所定の検知条件が上記(3)の場合、上述した第3例に相当する侵入度合情報3102を表示装置50に表示させてよい。また、例えば、表示制御部304は、所定の検知条件が上記(4)の場合、上述した第4例に相当する侵入度合情報3102を表示装置50に表示させてよい。また、例えば、表示制御部304は、所定の検知条件が上記(5)の場合、上述した第5例に相当する侵入度合情報3102を表示装置50に表示させてよい。
【0195】
尚、ステップS104,S106の処理の何れか一方は、省略されてもよい。また、ステップS104、S106の処理の順序は、逆であってもよいし、平行処理されてもよい。また、ステップS106の処理が行われると、検知回数N1,検知人数N2は、リセットされ、再度、上記所定条件下において、カウントが開始される。
【0196】
このように、表示制御部304は、侵入度合情報3102に含まれる、物体検知部301により所定領域内への人の侵入が検知された回数(検知回数)、所定領域内への侵入が検知された人数(検知人数)、又は、ショベルの動作制限が行われた回数(動作制限回数)が所定の通知条件を満足した場合、表示装置50に侵入度合情報3102を表示させる。具体的には、表示制御部304は、上記通知条件として、所定の検知条件下における検知回数検知人数、又は、動作制限回数が、所定閾値以上になったことを満足した場合、表示装置50に侵入度合情報3102を表示させる。これにより、作業現場の安全性の向上を図る必要がある状況に限定して、侵入度合情報3102が表示されるため、オペレータに与える煩わしさや違和感を抑制することができる。
【0197】
尚、表示装置50に侵入度合情報3102を表示させるための上記通知条件は、当該態様に限定されない。例えば、表示制御部304は、上記通知条件として、検知回数、検知人数、又は、動作制限回数が急に増加していること、即ち、所定基準以上に増加していることを満足した場合、表示装置50に侵入度合情報3102を表示させてもよい。例えば、所定期間(1日の作業開始から現時点までの期間、1日の所定の時間帯等)における検知回数、検知人数、又は、動作制限回数が、過去の平均値(過去1週間の各日の平均値、過去1週間の同じ時間帯の平均値等)の5割増し以上になっている場合、検知回数、検知人数、又は、動作制限回数が所定基準以上に増加していると判断してよい。これにより、上述した実施形態と同様、作業現場の安全性の向上を図る必要がある状況に限定して、侵入度合情報3102が表示されるため、オペレータに与える煩わしさや違和感を抑制することができる。また、所定基準を適宜設定することにより、検知回数、検知人数、又は、動作制限回数が、図14における所定閾値以上になる前の増加している段階で、侵入度合情報3102を表示することもできるため、作業現場の管理者、監督者、他の作業機械のオペレータ等は、より前段階で、作業現場の安全性に対する対応を取ることができる。
【0198】
[侵入履歴情報の送信処理]
次に、図15を参照して、図2Aに係る安全管理システム100に対応する情報送信部305による処理について説明をする。
【0199】
図15は、情報送信部305による処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、例えば、ショベルの運転中、所定時間毎に繰り返し実行される。
【0200】
ステップS202にて、情報送信部305は、所定の検知条件下で、物体検知部301によるショベルの周辺の所定領域への人の侵入の検知回数N1が所定閾値N1th以上になったか否かを判定する。所定条件とは、例えば、上述の(1)~(5)等であってよい。情報送信部305は、判定条件を満足しない場合、ステップS204に進み、判定条件を満足する場合、ステップS206に進む。
【0201】
ステップS204にて、情報送信部305は、ステップS202と同じ所定条件下で、物体検知部301によるショベルの周辺の所定領域への人の侵入の検知人数N2が所定閾値N2th以上になったか否かを判定する。情報送信部305は、判定条件を満足する場合、ステップS206に進み、判定条件を満足しない場合、今回の処理を終了する。
【0202】
ステップS206にて、情報送信部305は、侵入度合情報3102を管理サーバ200に送信する。例えば、情報送信部305は、所定の検知条件が上記(1)の場合、上述した第1例に相当する侵入度合情報3102を管理サーバ200に送信してよい。また、例えば、情報送信部305は、所定の検知条件が上記(2)の場合、上述した第2例に相当する侵入度合情報3102を管理サーバ200に送信してよい。また、例えば、情報送信部305は、所定の検知条件が上記(3)の場合、上述した第3例に相当する侵入度合情報3102を管理サーバ200に送信してよい。また、例えば、情報送信部305は、所定の検知条件が上記(4)の場合、上述した第4例に相当する侵入度合情報3102を管理サーバ200に送信してよい。また、例えば、情報送信部305は、所定の検知条件が上記(5)の場合、上述した第5例に相当する侵入度合情報3102を管理サーバ200に送信してよい。
【0203】
尚、ステップS204,S206の処理の何れか一方は、省略されてもよい。また、ステップS204、S206の処理の順序は、逆であってもよいし、平行処理されてもよい。また、図14の場合と同様、ステップS206の処理が行われると、検知回数N1,検知人数N2は、リセットされ、再度、上記所定条件下において、カウントが開始される。
【0204】
このように、情報送信部305は、所定の検知条件下において、物体検知部301により所定領域内への人の侵入が検知された回数、所定領域内への侵入が検知された人数、又は、ショベルの動作制限が行われた回数が、所定閾値以上になった場合、管理サーバ200に侵入度合情報3102を送信する。これにより、作業現場の安全性の向上を図る必要がある状況に限定して、侵入度合情報3102が送信されるため、作業現場の管理者、監督者、他の作業機械のオペレータ等に与える煩わしさや違和感を抑制することができる。
【0205】
尚、管理サーバ200に侵入度合情報3102を送信させるための上記通知条件は、表示装置50に侵入度合情報3102を表示させるための上記通知条件と同様、当該態様に限定されない。例えば、情報送信部305は、表示制御部304と同様、上記通知条件として、検知回数、検知人数、又は、動作制限回数が急に増加していること、即ち、所定基準以上に増加していることを満足した場合、管理サーバ200に侵入度合情報3102を送信してもよい。例えば、所定期間(1日の作業開始から現時点までの期間、1日の所定の時間帯等)における検知回数、検知人数、又は、動作制限回数が、過去の平均値(過去1週間の各日の平均値、過去1週間の同じ時間帯の平均値等)の5割増し以上になっている場合、検知回数、検知人数、又は、動作制限回数が所定基準以上に増加していると判断してよい。これにより、上述した図14の場合と同様、作業現場の安全性の向上を図る必要がある状況に限定して、侵入度合情報3102が送信されるため、作業現場の管理者、監督者、他の作業機械のオペレータ等に与える煩わしさや違和感を抑制することができる。また、所定基準を適宜設定することにより、検知回数、検知人数、又は、動作制限回数が、図15における所定閾値以上になる前の増加している段階で、侵入度合情報3102を送信することもできるため、作業現場の管理者、監督者、他の作業機械のオペレータ等は、より前段階で、作業現場の安全性に対する対応を取ることができる。
【0206】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0207】
例えば、上述した実施形態では、表示制御部304が表示装置50に侵入度合情報3102を表示させると共に、情報送信部305が管理サーバ200に侵入度合情報3102を送信されるが、何れか一方が行われる態様であってもよい。
【0208】
また、上述した実施形態及びその変形例では、一の作業機械(ショベル)において、一の作業機械に関する侵入度合情報(侵入度合情報3102、侵入度合情報2200A、侵入度合情報3200A)が生成されるが、当該態様には限定されない。例えば、作業現場で作業する複数の作業機械(例えば、ショベル、ブルドーザ等)のそれぞれに記憶される侵入履歴情報3101が集約された複数の作業機械に関する侵入度合情報、つまり、作業現場全体での侵入度合情報が生成されてよい。そして、生成された侵入度合情報が対象となるそれぞれの作業機械のオペレータから視認可能な表示装置に表示されてよいし、複数の作業機械のそれぞれと通信可能な管理サーバに送信されてもよい。このとき、それぞれの作業機械で記憶される侵入履歴情報は、相互に通信可能に接続される複数の作業機械のうちの特定の作業機械に集められ、当該作業機械において、複数の作業機械に関する侵入度合情報が作成されてよい。また、それぞれの作業機械で記憶される侵入履歴情報は、相互に通信可能に接続される複数の作業機械の相互間で共有化され、それぞれの作業機械において、複数の作業機械に関する侵入度合情報が作成されてもよい。また、例えば、管理サーバ200は、作業現場で作業する複数の作業機械から侵入履歴情報を取得し、管理サーバ200或いは管理端末300は、管理サーバ200に集約された複数の作業機械に関する侵入履歴情報に基づき、作業現場全体での侵入度合情報を生成してもよい。これにより、作業現場の管理者、監督者、それぞれの作業機械のオペレータ等は、管理端末300やショベルの表示装置50等を通じて、作業現場全体での侵入度合情報を把握することができる。そのため、作業現場の安全性に対する対応を更に促進させることができる。
【0209】
尚、本願は、2016年11月1日に出願した日本国特許出願2016-214715号に基づく優先権を主張するものであり、その日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0210】
30 コントローラ
40 撮像装置
40B 後方カメラ
40L 左側方カメラ
40R 右側方カメラ
42 動作・姿勢状態センサ
50 表示装置
60 音声出力装置
70 外部報知装置
80 通信機器
100 安全管理システム(作業機械用安全管理システム)
150 通信ネットワーク
200 管理サーバ(管理装置)
210 通信機器
220 処理装置
300 管理端末
301 物体検知部(検知部)
302 情報取得部
303 情報生成部
304 表示制御部
305 情報送信部(送信部)
310 記憶部
315 通信機器
320 処理装置
3101 侵入履歴情報
3102 侵入度合情報
2200 記憶部
2200A 侵入度合情報
2200B 侵入履歴情報
2201 データ取得部
2202 データ配信部
2203 情報生成部
3200 記憶部
3200A 侵入度合情報
3200B 侵入履歴情報
3201 データ取得部
3202 表示制御部
3203 情報生成部
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15