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特許7522543遺伝子療法適用のためのチミジンキナーゼ診断アッセイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】遺伝子療法適用のためのチミジンキナーゼ診断アッセイ
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/48 20060101AFI20240718BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240718BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20240718BHJP
   A61K 51/00 20060101ALI20240718BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20240718BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240718BHJP
   C12Q 1/70 20060101ALI20240718BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20240718BHJP
   C12N 15/38 20060101ALN20240718BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20240718BHJP
   C12N 15/867 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
C12Q1/48 Z
A61K35/76
A61K47/62
A61K51/00 200
A61K51/04 200
A61P35/00
C12Q1/70
G01T1/161 A ZNA
C12N15/10 200Z
C12N15/38
C12N15/54
C12N15/867 Z
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019148484
(22)【出願日】2019-08-13
(62)【分割の表示】P 2016503157の分割
【原出願日】2014-03-14
(65)【公開番号】P2019219412
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2019-09-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-08
(31)【優先権主張番号】61/784,901
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505389271
【氏名又は名称】ジェンビーボ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENVIVO, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ピー・レビ
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ・エイ・リード
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・マクナルティ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジー・ジョンソン・ジュニア
【合議体】
【審判長】光本 美奈子
【審判官】岡山 太一郎
【審判官】齋藤 恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-524590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00
A61K 35/00
A61K 47/00
A61K 51/00
A61P 35/00
C12N 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核外輸送配列を含むHSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を含む組成物であって、病変を有し、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができる患者を同定するために用いられる組成物において、HSV-TKポリヌクレオチドは、配列番号18のポリヌクレオチド配列を有し、該同定が、
a)患者に、核外輸送配列を含むHSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与すること、
b)患者に、放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を投与すること、
c)患者中に存在する放射活性シグナルの相対量および位置を測定することと、および
d)患者における病変の位置を決定すること
を含み、(i)放射活性シグナルの位置が、患者の工程(d)において測定された病変の位置と相関し、(ii)特定の閾値を上回る放射活性シグナルを有する患者が、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができると同定され、前記HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子が病変を治療することを含む、組成物。
【請求項2】
核外輸送配列を含むHSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を含む組成物であって、病変の治療を必要とし、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができる患者を同定するために用いられる組成物において、HSV-TKポリヌクレオチドは、配列番号18のポリヌクレオチド配列を有し、該同定が、
a)患者に、核外輸送配列を含むHSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与し、患者の細胞を、前記HSV-TKポリヌクレオチドを用いて形質導入すること、
b)細胞を、放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を用いて処理すること、
c)標的組織中に存在する放射活性トレーサーからのシグナルの相対量および位置を測定すること、
d)放射活性トレーサーからのシグナルのレベルが、閾値を上回るかを同定すること、
e)患者における病変の位置を決定すること、および
f)工程(a)の前記HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を患者に再投与することにより、測定された放射活性シグナルが、閾値を上回り、工程(e)において測定された病変の位置に位置する病変の細胞を殺すこと
を含む、組成物。
【請求項3】
核外輸送配列を含むHSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を含む組成物であって、形質導入されたHSV-TKの酵素活性を測定するために用いられる組成物において、HSV-TKポリヌクレオチドは、配列番号18のポリヌクレオチド配列を有し、該測定が、
a)患者に、核外輸送配列を含むHSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与し、患者の細胞を、前記HSV-TKポリヌクレオチドを用いて形質導入すること、
b)細胞を、放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を用いて処理すること、および
c)標的組織中に存在する放射活性トレーサーからのシグナルの相対量を測定すること、ここで、該標的組織は閾値を上回る放射活性シグナルを有する、
を含む、組成物。
【請求項4】
HSV-TKの基質が、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
HSV-TKの基質が、FHBG(9-(4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
放射活性トレーサーが、18F、64Cu、99mTe、11C、14C、124I、123I、131I、15O、13Nおよび/または82RbClである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
放射活性トレーサーが18Fである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
HSV-TK基質が、[18F]FHBG(9-[4-18F-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
放射活性トレーサーシグナルが、陽電子放射型断層撮影(PET)スキャニングを使用して測定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
陽電子放射型断層撮影(PET)スキャニングを使用して放射活性シグナルが測定されたときに、閾値レベルが、少なくとも2.0SUV(標準化取り込み値)を上回るか、またはバックグラウンドを少なくとも20%上回る、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
陽電子放射型断層撮影(PET)スキャニングを使用して放射活性シグナルが測定されたときに、閾値レベルが、1.0SUVと3.0SUVの間であるか、またはバックグラウンドを20%~40%の間上回る、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
さらに病変を有する患者を治療するために用いられる、請求項1または3に記載の組成物。
【請求項13】
遺伝子療法レトロウイルス粒子が、第2の治療用ポリヌクレオチドを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項14】
核外輸送配列(NES)が、発現されるHSV-TKの突然変異形態のアミノ末端にかまたはその付近に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
遺伝子療法レトロウイルス粒子が、ウイルスエンベロープで発現されるターゲッティングタンパク質をコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ターゲッティングタンパク質が、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカンまたはRGDと結合する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
ターゲッティングタンパク質が、コラーゲンと結合する、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
ターゲッティングタンパク質が、配列番号25である、請求項17に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年3月14日に出願された米国特許仮出願番号第61/784,901号の利益を主張する。
【0002】
本願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日に出願された、以下の同時係属特許出願番号[まだ割り当てられていない]、代理人整理番号第30863-722.201号に関連する。
【背景技術】
【0003】
癌などの増殖性疾患は、社会に対して容易でない課題を提示する。悪性癌性成長を含めた癌性成長は、例えば、悪性組織の調節されない成長をもたらす制御不能な細胞増殖、局所、さらには遠隔組織にまで浸潤する能力、分化の欠如、検出可能な症状の欠如および最も著しくは、有効な治療および予防の欠如などの独特の特徴を有する。
【0004】
癌は、任意の年齢で任意の臓器の任意の組織において発達し得る。癌の病因論は、明確に規定されていないが、遺伝的感受性、染色体切断障害、ウイルス、環境因子および免疫学的障害などの機序はすべて、悪性細胞成長および形質転換と関係していた。癌は、世界中で何百万人もの個人に影響を及ぼす医学的状態の大きなカテゴリーを包含する。癌細胞は、身体のほとんどいかなる臓器および/または組織においても生じ得る。世界中で、毎年1000万人超が、癌と診断され、この数字は、2020年までに毎年1500万の新規症例まで増大すると推測されている。癌は、毎年600万人の死亡、すなわち、世界中の死亡の12%を引き起こす。
【発明の概要】
【0005】
遺伝子療法治療から恩恵を受けることができる対象または患者を同定するための方法および組成物が、本明細書において提供される。より詳しくは、遺伝子療法剤中に含まれる治療用タンパク質を十分な量で発現する対象または患者を同定するための方法および組成物が、本明細書において提供される。好ましくは、治療用タンパク質は、酵素、より詳しくは、ウイルスチミジンキナーゼまたは突然変異体ウイルスチミジンキナーゼである。
【0006】
したがって、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができる患者を同定するための方法であって、患者に、HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与することと、患者に、放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を投与することと、患者中に存在する放射活性シグナルの相対量および位置を測定することと、患者における病変の位置を決定することとを含み、特定の閾値を上回る放射活性シグナルを有し、放射活性シグナルの位置が工程(d)において測定された病変と相関する患者が、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができると同定される、方法が、本明細書において提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、HSV-TKの基質は、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体からなる群から選択される。なお他の実施形態では、HSV-TKの基質は、FHBG(9-(4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である。
【0008】
さらに他の実施形態では、放射活性トレーサーは、18F、64Cu、99mTe、11C、14C、124I、123I、131I、15O、13Nおよび/または82RbClである。他の実施形態では、放射活性トレーサーは、18Fである。
【0009】
一実施形態では、HSV-TK基質は、[18F]FHBG(9-(4-18F-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である。さらに他の実施形態では、放射活性トレーサーシグナルは、陽電子放射型断層撮影(PET)スキャニングを使用して測定される。
【0010】
さらに他の実施形態では、閾値レベルは、少なくとも2.0SUV(標準化取り込み値)を上回りまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回るまたは約1.0SUVと約3.0SUVの間であるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドの約20%から約40%の間上回る。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は、患者をHSV-TKレトロウイルス粒子を用いて治療することをさらに含む。
【0012】
さらに他の実施形態では、コードされるHSV-TKポリヌクレオチドのウイルス核局在性配列(NLS)が突然変異している。なお他の実施形態では、チミジンキナーゼポリヌクレオチドは、発現されるチミジンキナーゼタンパク質のアミノ末端にかまたはその付近に核外輸送配列(NES)を含むように突然変異している。一実施形態では、チミジンキナーゼポリヌクレオチドは、発現されるチミジンキナーゼタンパク質の基質結合を増大するように突然変異している。別の実施形態では、突然変異はA168Hである。
【0013】
さらに他の実施形態では、本明細書において開示される方法は、チミジンキナーゼポリヌクレオチドを、ウイルス核局在性配列(NLS)を除去し、発現されるチミジンキナーゼタンパク質のアミノ末端にかまたはその付近に核外輸送配列(NES)を含むように突然変異させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、HSV-チミジンキナーゼポリヌクレオチドは、配列番号18である。
【0014】
一実施形態では、本明細書において開示される方法は、ウイルスエンベロープで発現されるターゲッティングタンパク質をさらに含む。いくつかの実施形態では、ターゲッティングタンパク質は、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカンまたはRGDと結合する。さらに他の実施形態では、ターゲッティングタンパク質は、コラーゲンと結合する。なお他の実施形態では、ターゲッティングタンパク質は、配列番号25である。
【0015】
また、病変の治療を必要とし、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができる患者または対象を同定するための方法および組成物も本明細書において提供され、方法は、a)HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与し、患者から得た細胞を、HSV-チミジンキナーゼをコードするポリヌクレオチドを用いて形質導入することと、b)細胞を、放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を用いて処理することと、c)標的組織中に存在する放射活性シグナルの相対量を測定することと、d)放射活性標識されたHSV-TK基質のレベルが、閾値を上回る患者を同定することと、e)患者における病変の位置を決定することと、f)患者における測定された放射活性シグナルが、特定の閾値を上回り、測定された放射活性シグナルの位置が、患者の工程(e)において測定された病変と相関する場合に、前記患者または対象を、HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を用いて治療することとを含む。
【0016】
形質導入されたHSV-チミジンの酵素活性を測定するための方法および組成物が、本明細書において提供され、方法は、a)HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与し、患者から得た細胞を、HSV-チミジンキナーゼをコードするポリヌクレオチドを用いて形質導入することと、b)細胞を、放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を用いて処理することと、c)標的組織中に存在する放射活性シグナルの相対量を測定することとを含む。
【0017】
さらに、遺伝子療法粒子の投与後に対象または患者におけるトレーサーシグナルのレベルを決定し、トレーサーシグナルのレベルが指定の閾値を上回る場合に、遺伝子療法粒子を用いる治療のための対象または患者を選択するための方法および組成物が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、トレーサーは、放射活性、発光または蛍光シグナルである。いくつかの実施形態では、放射活性トレーサー元素は、18F、64Cu、99mTe、11C、14C、124I、123I、131I、15O、13Nおよび/または82RbClである。
【0018】
なお他の実施形態では、チミジンキナーゼ遺伝子療法コンストラクトの投与後に、対象または患者において放射性トレーサーシグナルのレベルを決定し、トレーサーシグナルのレベルが指定の閾値を上回る場合に、遺伝子療法コンストラクトを用いる治療のための対象または患者を選択するための方法および組成物が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、トレーサーは、放射活性トレーサーである。他の実施形態では、放射活性トレーサー元素は、18F、64Cu、99mTe、11C、14C、124I、123I、131I、15O、13Nおよび/または82RbClである。なお他の実施形態では、放射活性トレーサー元素は、ヌクレオシドまたは合成ヌクレオシド標的と連結されて、放射活性標識を形成する。いくつかの実施形態では、ヌクレオシド標的は、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バル-ガンシクロビル、アシクロビル、バル-アシクロビル(val-acivlovir)、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体である。好ましくは、放射活性標識は、[18F]FHBG(9-(4-18F-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン)である。
【0019】
また、(a)対象において[18F]FHBGシグナルのレベルを決定することと、(b)組成物を用いる治療のために、FHBGのレベルが、閾値レベルを上回る対象を選択することとを含む方法も本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、閾値レベルは、少なくとも約2.0SUV(標準取り込み値)であるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドシグナルを少なくとも20%上回る。
【0020】
さらに、(a)対象における[18F]FHBGシグナルのレベルを決定することと、(b)組成物を用いる治療から、対象におけるFHBGのレベルが、約2.0SUVより高いかまたはPETスキャンでのバックグラウンドシグナルを約20%上回る対象を排除することと、(c)前記対象に抗癌剤を投与することとを含む方法が、本明細書において提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明は、癌治療に対して感受性がある対象を同定するための方法を提供し、方法は、a)対象において[18F]FHBGの発現を同定することと、b)対象を治療することとを含む。
【0022】
HSV-TK-FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バル-ガンシクロビル、アシクロビル、バル-アシクロビル(val-acivlovir)、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-様、ガンシクロビル-様またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体媒介性バイスタンダー効果を測定する方法が本明細書において提供され、方法は、a)HSV-TKおよび第1の蛍光タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて細胞を形質導入することと、b)第1の蛍光または生物発光タンパク質と光学的に識別可能である、第2のまたは生物発光タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて細胞を形質導入することと、c)HSV-TKによってリン酸化されていると細胞傷害性になる薬剤を用いて細胞を処理することと、d)第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質の発現の相対量を測定することとを含む。一実施形態では、工程d)は、Perkin Elmer Plateリーダー、蛍光光度計、蛍光活性化セルソーター(FACS)、セロメーターまたは分光光度計を含む。別の実施形態では、工程d)は、対象においてインビボ(in vivo)で第2の蛍光または生物発光タンパク質の蛍光結果を測定することを含む。
【0023】
本発明の新規特徴は、特に、添付の特許請求の範囲において示される。本発明の特徴および利点の良好な理解は、本発明の原則が利用される例示的実施形態を示す以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、9-[4-[18F]フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン([18F]FHBG)の構造およびその阻害の機序を示す。
図2図2は、[18F]FHBGの4.53mCi i.v.注射後の4種の別個の期間での、健常なヒト対象における[18F]FHBG体内分布の全身冠状イメージを示す。
図3図3は、第IA相臨床試験の概略図である。
図4図4は、第IB相臨床試験の概略図である。
図5図5は、AAVレトロウイルスベクター粒子中のHSV-TKを用いる治療に対する患者の反応である。
図6図6は、PETスキャン(一番上のパネル)、CTスキャン(中央パネル)およびシグナルの融合(下部パネル)における[18F]FHBGの投与に対する患者の反応を測定する。
図7図7は、動物におけるHSV-TKレトロウイルスベクター粒子の体内分布の蛍光像である。
図8図8は、Reximmune C1およびC2を投与されたラットにおける5mm切片の冠状3時間イメージの比較である。左側の腫瘍は、Reximmune-C2を発現し、右側はReximmune-C1である。
図9図9は、1時間および3時間イメージの腫瘍内の平均の平均値を示す図8のグラフ表示である。エラーバーは、平均値の標準誤差である。B12は、Reximmune-C2発現腫瘍であり、A9は、Reximmune-C1発現腫瘍である。C6は、天然細胞株腫瘍である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
遺伝子療法送達系を用いる治療に対して感受性がある患者を同定するための方法および組成物が、本明細書において提供される。また、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができる対象または患者を同定するための方法および組成物も本明細書において提供される。さらに、遺伝子療法コンストラクト中に含まれる治療用タンパク質を十分な量で発現する対象または患者を同定するための方法および組成物が、本明細書において提供される。十分な量の治療用タンパク質を発現できる対象または患者の同定によって、開業医が特定の遺伝子療法治療から恩恵を受け得る患者をスクリーニングし、同定することが可能となる。そのようにすることによって、患者および対象は、例えば、原発性および転移性病変を治療するために遺伝子療法粒子によって抗癌剤を送達できる早期の段階で同定される。
【0026】
いくつかの実施形態では、ウイルス粒子中に含まれる遺伝子療法コンストラクトから発現される抗癌剤は、静脈内注入によって患者に投与され得る。なお他の実施形態では、遺伝子療法コンストラクトから発現される抗癌剤は、動脈内注入によって患者に投与され得る。なお他の実施形態では、抗癌剤を含有するウイルス粒子は、腫瘍内に投与され得る。さらに他の実施形態では、遺伝子療法コンストラクトから発現される抗癌剤は、インビトロ(in vitro)で標的細胞に選択的に形質導入され得る。
【0027】
なお他の実施形態では、遺伝子療法コンストラクトから発現される抗癌剤は、原発性および転移性病変にターゲッティングされ得、それによって、正常細胞および組織を残しながら、原発性および転移性病変(legions)に腫瘍死滅遺伝子を送達する。いくつかの実施形態では、遺伝子療法コンストラクトのターゲッティングは、特異的である。なお他の実施形態では、遺伝子療法コンストラクトのターゲッティングは、細胞表面または細胞外タンパク質である。いくつかの実施形態では、細胞表面または細胞外タンパク質は、コラーゲンである。なお他の実施形態では、遺伝子療法コンストラクトのターゲッティングは、腫瘍細胞によって発現される特定のタンパク質へである。このような抗癌剤は、癌細胞を特異的にターゲッティングでき、それによって、他の既知癌治療の不要な副作用を軽減する強力なツールを提供する。
【0028】
いくつかの実施形態では、遺伝子療法コンストラクトは、レトロウイルスである。レトロウイルスは、通常、3つの共通オープンリーディングフレーム、gag、polおよびenvを有し、これらは、それぞれ、マトリックス、gagおよびヌクレオカプシド構造タンパク質をコードし、逆転写酵素、インテグラーゼおよびプロテアーゼを含めた酵素をコードし、エンベロープタンパク質および膜貫通膜融合性タンパク質をコードする。通常、レトロウイルスベクター粒子は、必要なgag、polおよびenv遺伝子産物をトランスに提供するパッケージング細胞株によって製造される(Miller,et al., Huma Gene Therapy, Vol. 1, pgs. 5-14 (1990))。このアプローチは、哺乳動物細胞を形質導入するが、細胞のゲノム中に組み込まれた後にさらに複製することはできないレトロウイルスベクター粒子の製造をもたらす。
【0029】
いくつかの実施形態では、レトロウイルスは、遺伝子療法コンストラクトによって送達される少なくとも1種の治療用タンパク質またはペイロードを含む。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質またはペイロードは、酵素である。なお他の実施形態では、治療用タンパク質またはペイロードは、チミジンキナーゼである。さらに他の実施形態では、チミジンキナーゼは、HSV(単純ヘルペスウイルス)チミジンキナーゼである。なお他の実施形態では、チミジンキナーゼは、HSV(単純ヘルペスウイルス)チミジンキナーゼ-1である。
【0030】
いくつかの実施形態では、HSV-TK遺伝子療法コンストラクトは、癌遺伝子療法を含めたインビトロおよびインビボの両方で最大遺伝子発現および腫瘍死滅活性に関して最適化される。いくつかの実施形態では、HSV-TK遺伝子は、コドン最適化される。さらに他の実施形態では、HSV-TK遺伝子療法コンストラクトは、特定の腫瘍細胞または組織へターゲッティングされる。なお他の実施形態では、HSV-TK遺伝子療法コンストラクトは、腫瘍細胞において特異的に発現される細胞表面タンパク質にターゲッティングされる。さらに他の実施形態では、HSV-TK遺伝子療法コンストラクトは、腫瘍組織または細胞において発現される細胞表面タンパク質にターゲッティングされる。他の実施形態では、HSV-TK遺伝子療法コンストラクトは、コラーゲンにターゲッティングされる。
【0031】
HSV-TKは、細胞においてインビボで発現される場合、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バル-ガンシクロビル、アシクロビルおよびバル-アシクロビルなどの同時投与されたヌクレオシド剤を酵素的に切断し、続いて、同時投与された薬剤を細胞傷害性薬剤に変換する。哺乳動物チミジンキナーゼは、これらの同時投与された薬剤に対して非感受性である。したがって、細胞傷害性薬剤に対する感受性は、HSV-TK遺伝子の発現後に腫瘍細胞のみに付与される。ガンシクロビルは、得られたHSV-TKによって、一リン酸化された生成物に変換され、次いで、これは、宿主キナーゼによって二リン酸および三リン酸に変換され、細胞毒性および腫瘍細胞死につながる。ウイルスチミジンキナーゼ療法は、神経膠腫、肝細胞腫および黒色腫を含めたいくつかの癌の治療において有望であるとこれまでに示されている。
【0032】
HSV-TKはまた、例えば、FHBG分子から放射活性トレーサー18Fを切断する9-[4-18F-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン([18F]FHBG)(図1)のヌクレオシド類似体を選択的にリン酸化する。したがって、HSV-TK発現は、陽電子放射型断層撮影(PET)スキャンを用いて入念にモニタリングされ得る。
【0033】
したがって、遺伝子療法ベクターの投与後に、対象または患者におけるトレーサーシグナルのレベルを決定し、トレーサーシグナルのレベルが指定の閾値を上回る場合に、遺伝子療法ベクターを用いる治療のための対象または患者を選択するための方法および組成物が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、トレーサーは、放射活性、発光または蛍光シグナルである。いくつかの実施形態では、放射活性トレーサー元素は、18F、64Cu、99mTe、11C、14C、124I、123I、131I、15O、13Nおよび/または82RbClである。
【0034】
なお他の実施形態では、チミジンキナーゼ遺伝子療法ベクターの投与後に、対象または患者において放射性トレーサーシグナルのレベルを決定し、トレーサーシグナルのレベルが指定の閾値を上回る場合に、遺伝子療法ベクターを用いる治療のための対象または患者を選択するための方法および組成物が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、トレーサーは、放射活性トレーサーである。他の実施形態では、放射活性トレーサー元素は、18F、64Cu、99mTe、11C、14C、124I、123I、131I、15O、13Nおよび/または82RbClである。なお他の実施形態では、放射活性トレーサー元素は、ヌクレオシドまたは合成ヌクレオシド標的と連結されて、放射活性標識を形成する。いくつかの実施形態では、ヌクレオシド標的は、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体である。好ましくは、放射活性標的は、[18F]FHBG(9-(4-18F-フルオロ-3-[ヒドロキシメチル]ブチル)グアニン)である。
【0035】
また、(a)対象において[18F]FHBGシグナルのレベルを決定することと、(b)遺伝子療法組成物を用いる治療のために、[18F]FHBGのレベルが、少なくとも約2.0SUVであるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る対象を選択することとを含む方法も本明細書において提供される。
【0036】
さらに、(a)対象において[18F]FHBGシグナルのレベルを決定することと、(b)組成物を用いる治療を有する対象を含み、対象におけるFHBGのレベルが、PETスキャンで約2.0SUVよりも高いことと、(c)前記対象に抗癌剤を投与することとを含む方法も本明細書において提供される。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明は、癌治療に対して感受性がある対象を同定するための方法を提供し、方法は、a)対象における[18F]FHBGの発現を同定することと、b)対象を治療することとを含む。
【0038】
HSV-TK媒介性FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体媒介性バイスタンダー効果を測定する方法が本明細書において提供され、方法は、a)HSV-TKおよび第1の蛍光タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて細胞を形質導入することと、b)第1の蛍光または生物発光タンパク質と光学的に識別可能である、第2の蛍光または生物発光タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて細胞を形質導入することと、c)HSV-TKによってリン酸化されていると細胞傷害性になる薬剤を用いて細胞を処理することと、d)第1の蛍光タンパク質および第2の蛍光タンパク質の発現の相対量を測定することとを含む。一実施形態では、工程d)は、Perkin Elmer Plateリーダー、蛍光光度計、蛍光活性化セルソーター(FACS)、セロメーターまたは分光光度計を含む。別の実施形態では、工程d)は、対象においてインビボで第2の蛍光または生物発光タンパク質の蛍光結果を測定することを含む。
【0039】
また、対象における[18F]FHBGシグナルのレベルを決定し、遺伝子療法組成物を用いる治療のための対象を選択し、[18F]FHBGのレベルが、少なくとも約2.0SUVまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る方法が、本明細書において提供される。
【0040】
定義
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。すべての特許、特許出願、公開された出願および刊行物、GenBank配列、ウェブサイトおよび本明細書における全開示を通じて参照される他の公開された材料は、別に記載されない限り、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書において用語について複数の定義がある事象では、この節におけるものが優先する。URLまたは他のこのような識別子もしくはアドレスが参照される場合には、このような識別子は、変わり得ることおよびインターネットでの特定の情報は移り変わる場合があるが、同等の情報は、インターネットを検索することによって見出され得ることは理解される。それに対する参照によって、このような情報の利用の可能性および一般への普及が証明される。
【0041】
本明細書において、「核酸」とは、少なくとも2つの共有結合によって連結されたヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体サブユニットを含有するポリヌクレオチドを指す。核酸は、一般に、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)またはDNAもしくはRNAの類似体である。ヌクレオチド類似体は、市販されており、このようなヌクレオチド類似体を含有するポリヌクレオチドを調製する方法は、公知である(Lin et al. (1994) Nucl. Acids Res. 22:5220-5234; Jellinek et al. (1995) Biochemistry 34:11363-11372; Pagratis et al. (1997) Nature Biotechnol. 15:68-73)。核酸は、一般に、一本鎖、二本鎖またはそれらの混合物である。本明細書における目的上、別に明記されない限り、核酸は、二本鎖であるか、または文脈から明らかである。
【0042】
本明細書において、「DNA」とは、cDNA、プラスミドならびに修飾されたヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含むDNAを含めた、すべての種類および大きさのDNA分子を含むものとする。
【0043】
本明細書において、「ヌクレオチド」は、ヌクレオシド一、二および三リン酸を含む。ヌクレオチドはまた、それだけには限らないが、ホスホロチオエートヌクレオチドおよびデアザプリンヌクレオチドおよび他のヌクレオチド類似体などの修飾されたヌクレオチドも含む。
【0044】
本明細書において用語「ポリヌクレオチド」とは、任意の長さのヌクレオチドの多量体形態を意味し、リボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドを含む。このような用語はまた、一本鎖および二本鎖DNAならびに一本鎖および二本鎖RNAを含む。この用語はまた、メチル化またはキャップドポリヌクレオチドなどの修飾されたポリヌクレオチドも含む。
【0045】
本明細書において、用語「対象」とは、大きなDNA分子が導入される、動物、植物、昆虫および鳥類を指す。ヒト、霊長類、げっ歯類、ウシ、ブタ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、モルモット、ネコ、イヌ、ウマ、ニワトリなどを含めた哺乳動物および鳥類などの高等生物が含まれる。
【0046】
本明細書において、「対象に投与すること」は、1種または複数の送達物質および/または大きな核酸分子が、一緒にかまたは別個に、対象中に導入されるかまたは対象に適用され、その結果、対象中に存在する標的細胞が、物質および/または大きな核酸分子と均一に接触される手順である。
【0047】
本明細書において、「送達ベクター」または「送達媒体」または「治療用ベクター」または「治療系」とは、外因性核酸分子を有し、標的細胞または組織に輸送する、ウイルスおよび非ウイルス粒子の両方を指す。ウイルス媒体として、それだけには限らないが、レトロウイルス、アデノウイルス、レンチウイルスウイルス、ヘルペスウイルスおよびアデノ随伴ウイルスが挙げられる。非ウイルス媒体として、それだけには限らないが、マイクロ粒子、ナノ粒子、リロソームおよびリポソームが挙げられる。「ターゲッティングされた」とは、本明細書において、送達媒体と関連しており媒体を細胞または組織にターゲッティングするリガンドの使用を指す。リガンドとして、それだけには限らないが、抗体、受容体およびコラーゲン結合ドメインが挙げられる。
【0048】
本明細書において、「形質導入」と同義的に使用される「送達」とは、外因性核酸分子が細胞中に移動され、その結果、それらが細胞内に局在するプロセスを指す。核酸の送達は、核酸の発現とは別個のプロセスである。
【0049】
本明細書において、「多重クローニング部位(MCS)」とは、複数の制限酵素部位を含有し、そのうちいずれかが、ベクターを消化するために標準組換え技術とともに使用され得るプラスミド中の核酸領域である。「制限酵素消化」とは、核酸分子中の特定の位置でのみ機能する酵素での核酸分子の触媒切断を指す。これらの制限酵素のうち多数が市販されている。このような酵素の使用は、当業者によって広く理解されている。MCS内で切断し、外因性配列がベクターと連結されることを可能にする制限酵素を使用して、ベクターが線形化されるか断片化されることが頻繁にある。
【0050】
本明細書において、「複製起点」(「ori」と呼ばれることが多い)は、複製が開始される特定の核酸配列である。あるいは、宿主細胞が酵母である場合には、自立複製配列(ARS)が使用され得る。
【0051】
本明細書において、「選択可能なまたはスクリーニング可能なマーカー」は、細胞に同定可能な変化を付与し、発現ベクターを含有する細胞の容易な同定を可能にする。一般に、選択マーカーは、選択を可能にする特性を付与するものである。陽性選択マーカーは、マーカーの存在がその選択を可能にするものであり、陰性選択マーカーは、その存在がその選択を阻止するものである。陽性選択マーカーの一例として、薬物耐性マーカーがある。
【0052】
普通、薬物選択マーカーを含むことは、形質転換体のクローニングおよび同定に役立ち、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシンおよびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子が、有用な選択マーカーである。条件の実施に基づく形質転換体の区別を可能にする表現型を付与するマーカーに加えて、その基礎が比色分析であるGFPなどのスクリーニング可能なマーカーを含めた他の種類のマーカーも考慮される。いくつかの実施形態では、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などのスクリーニング可能な酵素が利用される。当業者ならばまた、恐らくはFACS解析とともに免疫学的マーカーを使用する方法を承知するであろう。使用されるマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現されることができさえすれば、重要であると考えられない。選択可能な、スクリーニング可能なマーカーのさらなる例は、当業者にとって周知である。
【0053】
本明細書において、「発現」とは、核酸がペプチドに翻訳されるか、またはRNAに転写され、これが例えば、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に翻訳され得るプロセスを指す。核酸がゲノムDNAに由来する場合には、発現は、適当な真核細胞宿主細胞または生物が選択される場合には、mRNAのスプライシングを含む。異種核酸が宿主細胞において発現されるには、最初に細胞に送達され、次いで、細胞中にあれば、最終的に核中に存在しなくてはならない。
【0054】
本明細書において、「治療経過」とは、規定された期間内の、本明細書に開示されるベクターの周期的投与または時限投与を指す。このような期間は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも5日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月または少なくとも6ヶ月である。投与はまた、慢性的に、すなわち、規定されない期間、起こり得る。周期的投与または時限投与は、1日1回、1日2日、1日3回または他のセットの時限投与を含む。
【0055】
本明細書において、用語「同時投与」、「と組み合わせて投与された」およびその文法上の等価物などは、単一患者への選択された治療剤の投与を包含するものとし、薬剤が同一もしくは異なる投与経路によって、または同時にもしくは異なる時間に投与される治療計画を含むものとする。いくつかの実施形態では、本願に開示されるような治療剤は、他の薬剤と同時投与される。これらの用語は、両薬剤および/またはその代謝産物が同時に動物中に存在するような動物への2種以上の薬剤の投与を包含する。それらは、別個の組成物での同時投与、別個の組成物での異なる時点での投与および/または両薬剤が存在する組成物での投与を含む。したがって、いくつかの実施形態では、治療剤および他の薬剤(複数可)は、単一組成物で投与される。いくつかの実施形態では、治療剤および他の薬剤(複数可)は、組成物中に混合される。さらなる実施形態では、治療剤および他の薬剤(複数可)は、別個の用量で別個の時間で投与される。
【0056】
用語「宿主細胞」は、例えば、送達ベクターを製造するための複数のコンストラクトのレシピエントとして使用され得るかまたは使用されている、微生物、酵母細胞、昆虫細胞および哺乳類細胞を示す。この用語は、トランスフェクトされている元の細胞の後代を含む。したがって、本明細書において「宿主細胞」とは、一般に、外因性DNA配列を用いてトランスフェクトされている細胞を指す。単一親細胞の後代は、天然の、偶発的または計画的突然変異のために元の親と、形態においてまたはゲノムもしくは総DNA相補体において必ずしも完全に同一でないということは理解される。
【0057】
本明細書において、「遺伝子治療」は、治療または診断が探し求められる障害または状態を有する哺乳類、特に、ヒトの特定の細胞、標的細胞への異種DNAの移動を含む。異種DNAが発現され、それによってコードされる治療用生成物が製造されるような方法で、DNAが選択された標的細胞中に導入される。いくつかの実施形態では、異種DNAは、治療用生成物をコードするDNAの発現を直接的または間接的に媒介する。いくつかの実施形態では、異種DNAは、治療用生成物の発現を直接的または間接的に媒介するペプチドまたはRNAなどの生成物をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子治療は、欠陥のある遺伝子と置き換わるよう、または導入される哺乳類または細胞によって製造される遺伝子産物を補完するよう、遺伝子産物をコードする核酸を送達ために使用される。いくつかの実施形態では、導入された核酸は、したがって、哺乳類宿主では一般に産生されないかまたは治療有効量でもしくは治療上有用な時間で産生されない受容体などの、成長因子もしくはその阻害剤または腫瘍壊死因子もしくはその阻害剤など治療用化合物をコードする。いくつかの実施形態では、治療用生成物をコードする異種DNAは、生成物またはその発現を増強するかまたはそうでなければ変更するよう、苦しんでいる宿主の細胞中への導入に先立って修飾される。
【0058】
本明細書において、「異種核酸配列」は、一般に、発現される細胞によってインビボで普通製造されないRNAおよびタンパク質をコードするか、または転写、翻訳もしくは他の調節可能な生化学的プロセスに影響を及ぼすことによって内因性DNAの発現を変更するメディエーターを媒介もしくはコードするDNAである。当業者が、発現される細胞にとって異種もしくは外来と認識するかまたは考える任意のDNAが、本明細書において異種DNAによって包含される。異種DNAの例として、それだけには限らないが、薬物耐性を付与するタンパク質などの追跡可能なマーカータンパク質をコードするDNA、抗癌剤、酵素およびホルモンなどの治療上有効な物質をコードするDNAならびに抗体などの他の種類のタンパク質をコードするDNAが挙げられる。いくつかの実施形態では、異種DNAによってコードされる抗体は、異種DNAが導入されている細胞の表面上に分泌または発現される。
【0059】
本明細書において、用語「チミジンキナーゼ突然変異体」とは、本明細書に記載される特定のタンパク質(ならびにこれらのタンパク質をコードする核酸配列)だけでなく、生物活性を保持する一次タンパク質の種々の構造形態を含み得るそれらの誘導体も指す。
【0060】
本明細書において、「突然変異していないチミジンキナーゼ」とは、天然または野生型チミジンキナーゼポリペプチド配列を指す。
【0061】
本明細書において、「自殺遺伝子」とは、それ自体によって、または他の化合物の存在下で細胞死を引き起こす生成物をコードする核酸を指す。
【0062】
本明細書において、用語「突然変異した」または「別のヌクレオチドによって置き換えられた」とは、特定の位置のヌクレオチドが、突然変異していないかまたはこれまでに突然変異した配列中に存在するもの以外のヌクレオチドによってその位置で置き換えられていることを意味する。すなわち、いくつかの場合には、種々のヌクレオチドにおいて、特定の修飾が行われ得る。いくつかの実施形態では、置換は、関連スプライス供与および/または受容部位が、遺伝子中にもはや存在しないように行われる。
【0063】
本明細書において、「極性アミノ酸」とは、アミノ酸残基Asp(N)、Cys(C)、Gln(Q)、Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)またはTyr(Y)を指す。
【0064】
本明細書において、「非極性アミノ酸」とは、アミノ酸残基Ala(A)、Ile(I)、Leu(L)、Met(M)、Phe(F)、Pro(P)、Trp(W)またはVal(V)を指す。
【0065】
本明細書において、「塩基性アミノ酸」とは、アミノ酸残基Arg(R)、His(H)またはLys(K)を指す。
【0066】
本明細書において、「酸性アミノ酸」とは、アミノ酸残基Asp(D)またはGlu(E)を指す。
【0067】
遺伝子療法
遺伝子療法は、療法または診断が探し求められる障害または状態を有する哺乳動物、特に、ヒトの特定の細胞への異種DNAの移動を含む。異種DNAが発現され、それによってコードされる治療用生成物が製造されるような方法で、DNAが選択された標的細胞中に導入される。
【0068】
いくつかの実施形態では、異種DNAは、治療用生成物をコードするDNAの発現を直接的または間接的に媒介する。いくつかの実施形態では、異種DNAは、治療用生成物の発現を直接的または間接的に媒介するペプチドまたはRNAなどの生成物をコードする。いくつかの実施形態では、導入された核酸は、したがって、哺乳動物宿主では一般に産生されないかまたは治療有効量でもしくは治療上有用な時間で産生されない受容体などの、成長因子もしくはその阻害剤または腫瘍壊死因子もしくはその阻害剤など治療用化合物をコードする。
【0069】
異種治療用DNAを細胞中に送達するために、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス粒子、ヘルペスウイルス粒子、ワクシニアウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、セムリキウイルスおよび偽型ウイルスに由来するウイルスベクター粒子を含めた非ウイルスおよびウイルス法が使用されてきた。
【0070】
したがって、遺伝子療法のためのインビボ、エキソビボ(ex vivo)またはインビトロのいずれかでの細胞への遺伝子導入のためのウイルスコンストラクトが、本明細書において提供される。このようなウイルスベクター粒子として、それだけには限らないが、レトロウイルスベクター粒子、アデノウイルスベクター粒子、アデノ随伴ウイルス粒子、ヘルペスウイルス粒子、偽型ウイルス、レンチウイルスベクター粒子、ポックスウイルスベクター粒子、ワクシニアウイルスベクター粒子および非ウイルスベクターが挙げられる。好ましくは、ウイルスベクター粒子は、レトロウイルスベクター粒子である。
【0071】
レトロウイルスコンストラクト
いくつかの実施形態では、遺伝子療法使用のために使用されるベクター粒子は、レトロウイルスベクター粒子である。さらに他の実施形態では、レトロウイルスベクター粒子は、モロニーマウス白血病ウイルスに由来し、本明細書において上記で記載されるものなどのLNシリーズのベクターのものであり、Bender,et al., J. Virol., Vol. 61, pgs. 1639-1649 (1987)およびMiller, et al., Biotechniques, Vol. 7, pgs 980-990 (1989)にさらに記載されている。このようなベクターは、マウス肉腫ウイルスに由来するパッケージングシグナルの部分および突然変異したgag開始コドンを有する。用語「突然変異した」とは、本明細書において、gagタンパク質またはその断片または末端切断物が発現されないように、gag開始コドンが欠失または変更されていることを意味する。
【0072】
いくつかの実施形態では、レトロウイルスベクター粒子は、所望の細胞において発現されるべき少なくとも1種の異種ポリペプチドをコードする少なくとも1種のポリヌクレオチドを含む修飾されたエンベロープを含む。異種ポリペプチドは、一実施形態では、治療剤であり得る。治療剤は、チミジンキナーゼ、より好ましくは、HSV-TKである。
【0073】
さらに他の実施形態では、治療剤として、それだけには限らないが、例えば、上皮成長因子(EGF)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、エリスロポエチン、G-CSF、GM-CSF、TGFα、TGF-βおよび線維芽細胞成長因子などの成長因子、それだけには限らないが、インターロイキンおよび腫瘍壊死因子を含めたサイトカインが挙げられる。他の治療剤として、それだけには限らないが、抗凝固薬、抗血小板剤、抗炎症剤、腫瘍抑制タンパク質、第VII因子、第VIII因子および第IX因子を含めた凝固因子、プロテインS、プロテインC、抗トロンビンIIIおよびフォンウィルブランド因子が挙げられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、治療剤をコードするポリヌクレオチドは、適したプロモーターの制御下にある。使用され得る適したプロモーターとして、それだけには限らないが、レトロウイルスLTR、SV40プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ヒストンプロモーター、polIIIプロモーター、β-アクチンプロモーター、MMTVプロモーター、メタロチオネインプロモーターなどの誘導プロモーター、熱ショックプロモーター、アデノウイルスプロモーター、アルブミンプロモーター、ApoAIプロモーター、B19パルボウイルスプロモーター、ヒトグロビンプロモーター、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーターなどのウイルスチミジンキナーゼプロモーター、レトロウイルスLTR、ヒト成長ホルモンプロモーターおよびMxIFN誘導プロモーターが挙げられる。プロモーターはまた、治療剤をコードするポリヌクレオチドを制御する天然プロモーターであり得る。
【0075】
修飾されたエンベロープポリペプチドおよび治療剤をコードするポリヌクレオチドは、当業者に公知の遺伝子工学技術によって適当なベクター中に入れられ得る。修飾されたベクターが、レトロウイルスベクター粒子である場合には、修飾されたエンベロープポリペプチドおよび治療剤をコードするポリヌクレオチドは、適当なレトロウイルスプラスミドベクター中に入れられる。
【0076】
レトロウイルスプラスミドベクターは、1種または複数の(one on more)プロモーターを含む。使用され得る適したプロモーターとして、それだけには限らないが、レトロウイルスLTR、SV40プロモーターおよびMiller,et al., Biotechniques, Vol. 7, No. 9, 980-990 (1989)に記載されるヒトサイトメガロウイルス(CMV)または任意の他のプロモーター(例えば、それだけには限らないが、ヒストン、pol IIIおよびβ-アクチンプロモーターを含めた真核細胞プロモーターなどの細胞プロモーター)が挙げられる。使用され得る他のウイルスプロモーターとして、それだけには限らないが、アデノウイルスプロモーター、TKプロモーターおよびB19パルボウイルスプロモーターが挙げられる。適したプロモーターの選択は、本明細書に含有される技術から当業者には明らかとなる。
【0077】
一実施形態では、パッケージング細胞株を形質導入して、感染性レトロウイルスベクター粒子を作製する産生株細胞株を形成するために、修飾されたエンベロープをコードするポリヌクレオチドおよび治療剤をコードするポリヌクレオチドを含むレトロウイルスプラスミドベクターが使用される。一実施形態では、パッケージング細胞株は、gagおよびpolレトロウイルスタンパク質をコードするが、エンベロープまたはenvタンパク質はコードしないポリヌクレオチドを含む「プレ-パッケージング」細胞株である。このような細胞株は、レトロウイルスプラスミドベクターを用いる形質導入の際に、修飾された、またはキメラエンベロープおよび治療剤をコードするポリヌクレオチドを含む感染性レトロウイルス粒子を作製する。べクターは、当技術分野で公知の任意の手段によってパッケージング細胞を形質導入し得る。このような手段として、それだけには限らないが、エレクトロポレーションおよび本明細書において上記で記載されたものなどのリポソームの使用およびCaPO沈殿が挙げられる。このような産生株細胞は、修飾されたエンベロープ、野生型レトロウイルスエンベロープ、修飾されたまたはキメラエンベロープをコードするポリヌクレオチドおよび治療剤をコードするポリヌクレオチドを含む感染性レトロウイルスベクター粒子を作製する。
【0078】
別の実施形態では、本発明に従う修飾されたキメラエンベロープをコードする核酸配列を含み、gagおよびpolタンパク質をコードする核酸配列をさらに含み得るパッケージング細胞が提供される。本発明に従う修飾されたエンベロープを含むウイルス粒子を作製するための産生株細胞は、このようなパッケージング細胞中に、各場合において、治療剤をコードするポリヌクレオチドを含む、レトロウイルスベクター粒子またはレトロウイルスプラスミドベクターのいずれかを導入することによって製造される。したがって、産生株細胞株は、修飾されたキメラエンベロープおよび治療剤をコードするポリヌクレオチドを含む感染性レトロウイルス粒子を作製する。
【0079】
ターゲッティングされるレトロウイルスベクター送達
いくつかの実施形態では、ベクター粒子を、細胞外マトリックス成分にターゲッティングするための、例えば、修飾されたウイルスエンベロープポリペプチドなどの修飾されたウイルス表面タンパク質を有するベクター粒子が本明細書において提供される。ウイルス表面タンパク質は、細胞外マトリックス成分と結合する結合領域を含むターゲッティングポリペプチドを含むよう修飾される。
【0080】
いくつかの実施形態では、ターゲッティングポリペプチドは、レトロウイルスエンベロープの天然(すなわち、修飾されていない)受容体結合領域の2個の連続して番号付けられたアミノ酸残基の間に挿入される。なお他の実施形態では、受容体結合領域のアミノ酸残基は、除去され、ターゲッティングポリペプチドと置き換えられ得る。
【0081】
受容体結合領域を修飾する代替手段として、または修飾された受容体結合領域に加えて、レトロウイルス粒子は、エンベロープタンパク質の他の領域中に修飾を有してもよく、その結果、例えば、分泌シグナルまたは「リーダー」配列、ヒンジ領域または本体部分などのエンベロープの他の領域が、ターゲッティングポリペプチドを含み得る。このような修飾は、エンベロープの受容体結合領域以外の領域からアミノ酸残基が除去され、ターゲッティングポリペプチドと置き換えられるか、またはターゲッティングポリペプチドが、ウイルスエンベロープの受容体結合領域以外の領域の連続して番号付けされたアミノ酸残基の間に入れられる、レトロウイルスエンベロープ中のアミノ酸残基の欠失または置換を含み得る。
【0082】
別の代替実施形態では、レトロウイルスエンベロープは、細胞外マトリックス成分と結合するターゲッティングポリペプチドを含むためのその修飾に先立って、異なる指向性の領域を含むエンベロープであり得る。例えば、レトロウイルスエンベロープは、エコトロピック部分ならびに両種指向性および/または異種指向性部分を有するgp70タンパク質を含むモロニーマウス白血病ウイルスエンベロープであり得る。
【0083】
一般に、ターゲッティングポリペプチドは、それだけには限らないが、コラーゲン(I型コラーゲンおよびIV型コラーゲンを含む)、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカンおよびアルギニン-グリシン-アスパラギン酸またはRGD配列などのフィブロネクチンと結合する配列を含めた細胞外マトリックス成分と結合する結合領域を含む。ターゲッティングポリペプチド中に含まれ得る結合領域は、フォンウィルブランド因子またはその誘導体内に、それだけには限らないが、機能性ドメインであるポリペプチドドメインを含み、ここで、このようなポリペプチドドメインは、コラーゲンと結合する。一実施形態では、結合領域は、以下の構造式:Trp-Arg-Glu-Pro-Ser-Phe-Met-Ala-Leu-Ser(配列番号25)を有するポリペプチドである。
【0084】
ターゲッティングポリペプチドは、結合領域に加えて、結合領域のN末端および/またはC末端に位置する、1個または複数のアミノ酸残基のリンカー配列をさらに含んでもよく、それによって、このようなリンカーは、修飾されたエンベロープポリペプチドの回転柔軟性を増大し、および/または立体障害を最小にする。
【0085】
HSV-TK
チミジンキナーゼは、天然のヌクレオシド基質ならびにヌクレオシド類似体をリン酸化するサルベージ経路酵素である。一般に、チミジンキナーゼは、チミジンキナーゼを発現する細胞へのガンシクロビルまたはアシクロビルなどのヌクレオシド類似体の投与によって治療上使用され、ここで、チミジンキナーゼは、ヌクレオシド類似体をリン酸化して、細胞を死滅させることができる毒性生成物を作製する。
【0086】
本明細書において使用されるような外因性チミジンキナーゼをコードするポリヌクレオチド配列は、さまざまなチミジンキナーゼから調製され得る。いくつかの実施形態では、チミジンキナーゼ突然変異体は、例えば、霊長類ヘルペスウイルスおよび鳥類ヘルペスウイルスなどの非霊長類ヘルペスウイルスの両方を含めたヘルペスウイルス科(Herpesviridae)チミジンキナーゼに由来する。適したヘルペスウイルスの代表例として、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型、単純ヘルペスウイルス2型、水痘帯状疱疹ウイルス、マーモセットヘルペスウイルス、ネコヘルペスウイルス1型、仮性狂犬病ウイルス、ウマヘルペスウイルス1型、ウシヘルペスウイルス1型、シチメンチョウヘルペスウイルス、マレック病ウイルス、ヘルペスウイルスサイミリおよびエプスタイン-バーウイルスが挙げられる。
【0087】
TK遺伝子の改善
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列が本明細書において開示される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、野生型HSV-TKアミノ酸配列をコードする。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、突然変異したHSV-TKアミノ酸配列をコードする。
【0088】
本明細書において提供される最適化されたポリヌクレオチド配列の調製において使用され得る例示的手順として、それだけには限らないが、コドン最適化、スプライシング部位の修正、ポリ-ピリミジンのトラクトおよび過剰のGC含量の除去、単一のKozak配列の付加、不要なKozak配列の除去、レトロウイルスまたは他のベクターへのサブクローニングのための制限部位を含めること、核局在性配列の除去または核外輸送配列の付加、突然変異配列の付加、二重停止コドン配列の付加、タグ、リンカーおよび融合配列の付加、遺伝子合成会社への寄託のための配列ファイルの準備、レトロウイルスベクターへの合成された遺伝子のサブクローニング、レトロウイルスベクターに蛍光タンパク質遺伝子を含めること、レトロウイルスベクターに選択マーカー遺伝子を含めること、MaxiprepプラスミドDNAの調製、レトロウイルス産生株または他の細胞のトランスフェクション、レトロウイルスの実験室、パイロットまたはGMP規模の製造、レトロウイルスを用いた標的細胞の形質導入、GCVまたは類似体プロドラッグ媒介性細胞死滅アッセイ、ヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン(HAT)選択アッセイ、レトロウイルスによって形質導入された細胞株を製造するための選択マーカー薬物選択手順、レトロウイルスによって形質導入された標的細胞を検出し、記録するための蛍光顕微鏡観察および写真撮影、レトロウイルスによって形質導入された標的細胞の定量的蛍光検出、ウエスタンタンパク質発現アッセイ、HSV-TK解析に必要な他の手順およびアッセイまたはそれらの組合せが挙げられる。このような方法のプロトコールは、本明細書に記載されるか、市販されているかまたは公開文献およびデータベースに記載されている。
【0089】
いくつかの実施形態では、改善されたHSV-TK配列を得る方法が、本明細書において記載される。いくつかの実施形態では、方法は、a)スプライシング部位の修正および/もしくは除去、ならびに/またはb)単一Kozak配列への調整を含む。任意選択で、いくつかの実施形態では、方法は、HSV-TK配列のサブクローニングのための制限部位を含めることをさらに含む。任意選択で、またはさらに、いくつかの実施形態では、方法は、核局在性配列の除去をさらに含む。
【0090】
コードされるHSV-TKが、アミノ酸残基25、26、32、33、167、168またはそれらの組合せで突然変異しており、ポリヌクレオチド配列が、配列番号1または3のポリヌクレオチド配列と比較して突然変異している、ヒト単純ウイルス(HSV-TK)由来のウイルスチミジンキナーゼの突然変異形態をコードするポリヌクレオチド配列が本明細書において提供される。このような配列では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14の突然変異が行われ得る。
【0091】
修飾は、保存的または非保存的突然変異であり得る。突然変異は、コードされるアミノ酸が極性、非極性、塩基性または酸性アミノ酸に修飾されるよう行われ得る。
【0092】
コードされるHSV-TKが、核外輸送配列を含む、ヒト単純ウイルス(HSV-TK)由来のチミジンキナーゼの突然変異した形態をコードするポリヌクレオチド配列が本明細書において提供される。コードされるHSV-TKが、野生型HSV-TKと比較して機能において改善され、A168H dmNES (CLシステム=TRプロモーター領域と適宜融合しているMVエンハンサー)を含み、NESが、核外輸送配列を指す、ヒト単純ウイルス(HSV-TK)由来のチミジンキナーゼの突然変異した形態をコードするポリヌクレオチド配列が本明細書において提供される。一実施形態では、突然変異体HSV-TKA168HdmNESは、Reximmune-C2中に含むための突然変異体HSV-TK遺伝子である。一実施形態では、NESは、MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)に由来する。なお別の実施形態では、NESのポリヌクレオチド配列は、CTGCAGAAAAAGCTGGAAGAGCTGGAACTGGATGGC(配列番号23)である。他の実施形態では、NESポリペプチド配列は、LQKKLEELELDG(配列番号24)である。
【0093】
いくつかの実施形態では、突然変異が野生型HSV-TKのポリペプチド配列に行われていないヒト単純ウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)をコードするポリヌクレオチド配列に対する突然変異が本明細書において開示される。
【0094】
ヌクレオチド位置は、配列番号1(野生型(wt)HSV1-TKヌクレオチド配列)または配列番号3(Reximmune-C HSV-TKにおけるHSV-TK;SR39突然変異体およびHSV-TK核局在性シグナル(NLS)のR25G-R26S突然変異)における位置を参照して呼ばれる。
【0095】
一実施形態では、突然変異体HSV-TK SR39突然変異体領域のクローニング可能な二本鎖オリゴヌクレオチドの境界となるSac I-Kpn I制限部位が提供される。例えば、Sac IおよびKpn I部位が、それぞれ左側および右側に示されている示される配列番号6および7を参照のこと。太字、下線は、突然変異が行われ得る部位を示す。配列番号8および9は、Sac IおよびKpn Iで切断した後の例示的配列を示す。突然変異を行うために使用され得る例示的フォワードおよびリバースプライマーは、配列番号10および11として示されている。
【0096】
例示的最適化HSV-TKポリヌクレオチド配列は、例えば、配列番号12~22として提供される。
【0097】
しかし、このような参照がなされる場合には、本発明は、配列番号1または3に示されるようなまさにその配列に制限されるものではなく、その変異体および誘導体を含む。したがって、他のチミジンキナーゼ配列中のヌクレオチド位置の同定(すなわち、当業者が、配列番号1または3において列挙された位置に対応すると考える位置のヌクレオチドの同定)が考慮される。
【0098】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは、コドンが、同一のアミノ酸残基をコードする異なるコドンに変更されるような遺伝暗号に気付くことによって置き換えられる。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドは、HSV-TKをコードする核酸配列のコーディング領域内で置き換えられるが、核酸配列は野生型HSV-TKタンパク質発現を維持する。
【0099】
このような実施形態では、5/21種のコドンが、3番目の位置に「CまたはG」を含有し(24%)、0/21種のコドンが、3番目の位置に「C」を含有し(0%)、5/21種のコドンが、3番目の位置に「G」を含有し(24%)、16/21種のコドンが、3番目の位置に「AまたはT」を含有する(76%)。
【0100】
さらに他の実施形態では、16/21種のコドンが、3番目の位置に「CまたはG」を含有し(76%)、11/21種のコドンが、3番目の位置に「C」を含有し(52%)、5/21種のコドンが、3番目の位置に「G」を含有し(24%)、5/21種のコドンが、3番目の位置に「AまたはT」を含有する(24%)。
【0101】
いくつかの実施形態では、以下の稀なコドンは、HSV-TKまたはその変異体をコードするポリヌクレオチドのコーディング領域内で使用されない、または避けられる。アラニンについてはGCG、アルギニンについてはCGAまたはCGT、ロイシンについてはTTAまたはCTA、プロリンについてはCCG、セリンについてはTCG、トレオニンについてはACGおよびバリンについてはGTA。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載されるようなコドンを変更することは、活性の約2%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上のパーセンテージの増大をもたらす。
【0103】
いくつかの実施形態では、スプライス供与部位に対応する少なくとも1つのヌクレオチドが、別のヌクレオチドによって置き換えられる、チミジンキナーゼをコードする核酸配列が本明細書において開示される。さらなる実施形態では、スプライス受容部位のヌクレオチドは、変更されない。いくつかの実施形態では、スプライス受容部位に対応する少なくとも1つのヌクレオチドが、別のヌクレオチドによって置き換えられる。
【0104】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列(例えば、配列番号1または3)の329位および330位のスプライス供与部位ヌクレオチドに対応するヌクレオチドのうち少なくとも1つが、別のヌクレオチドによって置き換えられるチミジンキナーゼをコードする核酸配列が、本明細書において開示される。いくつかの実施形態では、327位および555位のヌクレオチドの両方が、他のヌクレオチドによって置き換えられる。例えば、327位は、G~Aから選択されるアミノ酸残基に突然変異し得る。あるいは、またはさらに、555位は、G~Aから選択されるアミノ酸残基に突然変異し得る。一実施形態では、修飾されたHSV-TKは、HSV-TKが以下の方法で改善された配列番号18のポリヌクレオチド配列を有する:
HSV-TK NESdmNLS A168H、CO & SC
NES=MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)由来の核外輸送シグナル配列
dmNLS=二重突然変異HSV-TK核局在性配列
CO=最適化されたコドン
SC=327および555の修正されたスプライス供与/受容部位
下線を引いた配列
配列番号18
gtcaGCGGCCGCACCGGTACGCGTCCACCATGGCCCTGCAGAAAAAGCTGGAAGAGCTGGAACTGGATGGCAGCTACCCCGGCCACCAGCACGCCAGCGCCTTCGACCAGGCCGCCCGCAGCCGCGGCCACAGCAACGGCAGCACCGCaCTGCGgCCaGGATCTCAGCAGGAGGCCACCGAGGTGCGCCCCGAGCAGAAGATGCCCACCCTGCTGCGCGTGTACATCGACGGaCCaCACGGCATGGGCAAGACCACCACCACCCAGCTGCTGGTGGCCCTGGGCAGCCGCGACGACATCGTGTACGTGCCCGAGCCCATGACCTACTGGCGCGTGCTGGGCGCCAGCGAGACCATCGCCAACATCTACACCACCCAGCACCGCCTGGACCAaGGCGAGATCAGCGCCGGCGACGCCGCCGTGGTGATGACCAGCGCCCAGATtACaATGGGCATGCCCTACGCCGTGACCGACGCCGTGCTGGCaCCaCACATCGGCGGCGAGGCCGGCAGCAGCCACGCaCCaCCaCCaGCaCTGACCCTGATCTTCGACCGgCACCCaATCGCaCACCTGCTGTGCTACCCgGCaGCaCGCTACCTGATGGGCtccATGACaCCaCAaGCCGTGCTGGCCTTCGTGGCCCTGATCCCaCCaACaCTGCCCGGCACCAACATCGTGCTGGGCGCCCTGCCCGAGGACCGCCACATCGACCGCCTGGCCAAGCGCCAGCGCCCCGGCGAGCGCCTGGACCTGGCCATGCTGGCCGCCATCCGCCGCGTGTACGGCCTGCTGGCCAACACCGTGCGCTACCTGCAGTGCGGCGGCAGCTGGCGCGAGGACTGGGGCCAGCTGAGCGGCACCGCCGTGCCaCCaCAGGGCGCCGAGCCaCAGAGCAACGCCGGaCCaCGaCCaCACATCGGCGACACCCTGTTCACCCTGTTCCGgGCaCCaGAGCTGCTGGCaCCaAACGGCGACCTGTACAACGTGTTCGCCTGGGCCCTGGACGTGCTGGCCAAGCGCCTGCGCtccATGCACGTGTTCATCCTGGACTACGACCAGtcaCCgGCCGGCTGCCGCGACGCCCTGCTGCAGCTGACCAGCGGCATGGTGCAGACCCACGTGACaACaCCCGGCAGCATCCCaACaATCTGCGACCTGGCCCGCACCTTCGCCCGCGAGATGGGCGAGGCCAACTAATAGGGATCCCTCGAGAAGCTTgtca
【0105】
いくつかの実施形態では、野生型配列の554位および555位のスプライス受容部位ヌクレオチドに対応するヌクレオチドのうち少なくとも1つまたは662位および663位のスプライス受容部位ヌクレオチドに対応するヌクレオチドのうち少なくとも1つまたは541位および542位のスプライス受容部位に対応するヌクレオチドのうち少なくとも1つが、別のヌクレオチドによって置き換えられるチミジンキナーゼをコードする核酸配列が本明細書において開示される。例えば、541位は、G~Aから選択されるアミノ酸残基に突然変異し得る。542位は、G~Aから選択されるアミノ酸残基に突然変異し得る。554位は、G~Aから選択されるアミノ酸残基に突然変異し得る。555位は、G~Aから選択されるアミノ酸残基に突然変異し得る。662位は、G~Aから選択されるアミノ酸残基に突然変異し得る。663位は、G~Aから選択されるアミノ酸残基に突然変異し得る。
【0106】
Kozak配列は、mRNA内のAUG開始コドンの両側に隣接し、真核細胞のリボソームによる開始コドンの認識に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、わずか1つのKozak配列しか含まない。いくつかの実施形態では、Kozak配列は、DNA配列のコーディング部分の上流である。いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチドのKozak配列は、哺乳類細胞においてより高い効率の翻訳開始を伴うKozak配列を製造するよう修飾される。いくつかの実施形態では、Kozak配列の修飾は、コードされるHSV-TKポリペプチド産物におけるアミノ酸置換を引き起こさない。いくつかの実施形態では、Kozak配列の修飾は、コードされるHSV-TKポリペプチド産物において少なくとも1種のアミノ酸置換をもたらす。一実施形態では、修飾されたHSV-TKは、配列番号18または22のポリヌクレオチド配列を有する。
【0107】
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、60、75、80、85、90、95、100またはそれ以上のコドン置換を含む。いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、60、75、80、85、90、95、100またはそれ以上のコドン置換を含み、ここで、コドン置換は、その位置で野生型コドンよりも哺乳類細胞においてより高頻度の使用を有するコドンの置換を含む。しかし、いくつかの実施形態では、特定の状況に応じて、個々のアミノ酸のために、より好ましくないコドンが選択され得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、60、75、80、85、90、95、100またはそれ以上のコドン置換を含むHSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、配列番号1または3に対して、約65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%未満の配列同一性を有し、ここで、配列同一性は、グローバルアラインメント法を使用してコード配列の全長にわたって決定される。いくつかの実施形態では、対応するコードされるポリペプチド配列は、HSV-TKアミノ酸配列、例えば、配列番号2または4に対して、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、60、75、80、85、90、95、100またはそれ以上のコドン置換を含み、ここで、コドン置換は、その位置の野生型コドンの、哺乳類細胞において最高頻度の使用を有するコドンとの置換を含む。いくつかの実施形態では、対応するコードされるポリペプチド配列は、HSV-TKアミノ酸配列、例えば、配列番号2または4に対して、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、60、75、80、85、90、95、100またはそれ以上のコドン置換を含み、ここで、置換コドンは、約0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35以上またはそれより高い使用の頻度を有する。いくつかの実施形態では、対応するコードされるポリペプチド配列は、HSV-TKアミノ酸配列、例えば、配列番号2または4に対して、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0111】
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、約45、40、35、30、25、20未満またはそれより少ないコドンを含み、ここで、コドンは、約0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24または0.25未満の使用の頻度を有する。いくつかの実施形態では、対応するコードされるポリペプチド配列は、HSV-TKアミノ酸配列、例えば、配列番号2または4に対して、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0112】
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、少なくとも78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%またはそれ以上の、約0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35以上またはそれより高い使用の頻度を有するコドンを含む。いくつかの実施形態では、対応するコードされるポリペプチド配列は、HSV-TKアミノ酸配列、例えば、配列番号2または4に対して、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0113】
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、少なくとも35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%またはそれ以上の、哺乳類細胞において使用の最高頻度を有するコドンを含む。いくつかの実施形態では、対応するコードされるポリペプチド配列は、HSV-TKアミノ酸配列、例えば、配列番号2または4に対して、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、約21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%未満またはそれより少ない、約0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24または0.25未満の使用の頻度を有するコドンを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、約21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%未満またはそれより少ない、哺乳類細胞において約0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24または0.25未満の使用の頻度を有するコドンを含む。いくつかの実施形態では、対応するコードされるポリペプチド配列は、HSV-TKアミノ酸配列、例えば、配列番号2または4に対して、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、コドン置換を含み、ここで、少なくとも35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上のコドンが、野生型配列と比較して変更されている。いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、コドン置換を含み、ここで、少なくとも30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上のコドンが、野生型配列と比較して、哺乳類細胞において使用のより高い頻度を有するコドンに変更されている。いくつかの実施形態では、対応するコードされるポリペプチド配列は、HSV-TKアミノ酸配列、例えば、配列番号2または4に対して、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、コドン置換を含み、ここで、少なくとも19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上のコドンが、野生型配列と比較して、哺乳類細胞において使用のより高い頻度を有するコドンに変更されている。いくつかの実施形態では、対応するコードされるポリペプチド配列は、HSV-TKアミノ酸配列、例えば、配列番号2または4に対して、少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。
【0117】
選択されたヘルペスウイルス由来のウイルスチミジンキナーゼ遺伝子は、突然変異していない野生型チミジンキナーゼと比較して、チミジンキナーゼの生物活性を増大する1つまたは複数の突然変異を含むチミジンキナーゼ酵素をコードする核酸分子を構築するために、以下に記載されるように、容易に単離され、突然変異し得る。チミジンキナーゼの生物活性は、例えば、ヌクレオシド類似体取り込みの割合の決定またはヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体リン酸化の割合の決定を含めた、当技術分野で公知のアッセイのいずれかを利用して容易に決定され得る。さらに、熱安定性およびタンパク質安定性などの他の生物学的特性を特徴とするチミジンキナーゼ突然変異体は、容易に選択され得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、HSV-TKをコードするポリヌクレオチド配列は、予測されるシグナル配列を除去または修飾するよう修飾される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、核局在性配列(NLS)を除去または修飾するよう修飾される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、核局在性配列を除去するよう修飾される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、HSV-TKを核に排他的に局在するよう、もはや機能しないようにNLSを修飾するよう修飾される。
【0119】
いくつかの実施形態では、HSV-TKポリペプチド配列は、アミノ酸残基167、168または両方で突然変異しる。1つの例では、配列は、アミノ酸残基167で突然変異しる。別の例では、配列は、アミノ酸残基168で突然変異しる。別の例では、配列は、アミノ酸残基167および168で突然変異しる。アミノ酸残基167は、セリンまたはフェニルアラニンに突然変異し得る。アミノ酸残基168は、ヒスチジン、リシン、システイン、セリンまたはフェニルアラニンに突然変異し得る。いくつかの実施形態では、HSV-TKポリペプチド配列は、アミノ酸残基25および/または26で突然変異しる。アミノ酸残基25および/または26は、グリシン、セリンおよびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸に突然変異し得る。いくつかの実施形態では、HSV-TKポリペプチド配列は、アミノ酸残基32および/または33で突然変異しる。アミノ酸残基32および/または33は、グリシン、セリンおよびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸に突然変異し得る。いくつかの実施形態では、HSV-TKポリペプチドは、アミノ酸残基25、26、32および/または33で突然変異しる。アミノ酸残基25、26、32および/または33は、グリシン、セリンおよびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸に突然変異し得る。アミノ酸残基修飾は、配列番号2または4のポリペプチド配列と比較して行われ得る。
【0120】
本発明に従って、上記の核酸分子によってコードされる突然変異体チミジンキナーゼ酵素ならびにこのような分子を発現できるベクターが提供される。いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子と作動可能に連結されたプロモーターを含む発現ベクターが提供される。いくつかの実施形態では、ベクターは、核酸分子の発現を指示できるウイルスベクターである。このようなウイルスベクターの代表例として、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルス随伴ウイルスベクター、ポックスベクター、パルボウイルスベクター、バキュロウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターが挙げられる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の突然変異を含み、突然変異のうち少なくとも1つが、突然変異していない(すなわち、野生型)チミジンキナーゼと比較して、チミジンキナーゼの生物活性を増大する、チミジンキナーゼ酵素をコードする核酸分子の発現を指示できるウイルスベクターが提供される。
【0121】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される核酸分子は、ヌクレオシド類似体を、野生型チミジンキナーゼ酵素によるヌクレオシド類似体のリン酸化のレベルよりも、少なくとも10%高いレベルでリン酸化できるチミジンキナーゼ酵素をコードする。いくつかの実施形態では、チミジンキナーゼ酵素は、ヌクレオシド類似体を、野生型チミジンキナーゼ酵素によるヌクレオシド類似体のリン酸化のレベルよりも、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%または少なくとも500%高いレベルでリン酸化できる。適したヌクレオシド類似体の代表例として、ガンシクロビル、アシクロビル、ファムシクロビル、ブシクロビル(buciclovir)、ペンシクロビル、バルシクロビル(valciclovir)、トリフルオロチミジン、1-[2-デオキシ、2-フルオロ、β-D-アラビノフラノシル]-5-ヨードウラシル、ara-A、araT1-β-D-アラビノフラノキシルチミン、5-エチル-2’-デオキシウリジン、5-ヨード-5’-アミノ-2、5’-ジデオキシウリジン、イドクスウリジン、AZT、AIU、ジデオキシシチジンおよびAraCが挙げられる。いくつかの実施形態では、改善されたTK突然変異体は、チミジンキナーゼ活性を欠く。
【0122】
いくつかの実施形態では、開示されるHSV-TK突然変異体のチミジンキナーゼ活性のK値は、少なくとも2.5μmである。いくつかの実施形態では、開示されるHSV-TK突然変異体のK値は、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも15μm、少なくとも20μm、少なくとも25μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、少なくとも100μm、少なくとも150μm、少なくとも200μm、少なくとも250μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、少なくとも900μmまたは少なくとも1000μmである。いくつかの実施形態では、野生型HSV-TKと比較した、開示されるHSV-TK突然変異体のパーセントKは、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%または少なくとも500%である。
【0123】
本発明の一実施形態内で、HSV-TK突然変異体の末端切断型誘導体が提供される。例えば、部位特異的突然変異誘発は、チミジンキナーゼ突然変異体のN末端の45個のアミノ酸を欠失し、その生物活性を保持する突然変異体の末端切断型を構築するよう容易に実施され得る。
【0124】
チミジンキナーゼ突然変異体の誘導体の発現のために構築されたヌクレオチド配列中の突然変異は、コード配列のリーディングフレーム相を保たなくてはならない。さらに、突然変異は、好ましくは、ハイブリダイズして、受容体mRNAの翻訳に悪影響を及ぼすであろうループまたはヘアピンなどの二次的mRNA構造を製造できる相補的領域を作製しない。このような誘導体は、上記で議論されたものを含めたさまざまな技術を使用して容易に構築され得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、HSV-TKポリペプチド配列は、アミノ酸残基167、168または両方で突然変異している。1つの例では、配列は、アミノ酸残基167で突然変異している。別の例では、配列は、アミノ酸残基168で突然変異している。別の例では、配列は、アミノ酸残基167および168で突然変異している。アミノ酸残基167は、セリンまたはフェニルアラニンに突然変異し得る。アミノ酸残基168は、ヒスチジン、リシン、システイン、セリンまたはフェニルアラニンに突然変異し得る。いくつかの実施形態では、HSV-TKポリペプチド配列は、アミノ酸残基25および/または26で突然変異している。アミノ酸残基25および/または26では、グリシン、セリンおよびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸に突然変異し得る。いくつかの実施形態では、HSV-TKポリペプチド配列は、アミノ酸残基32および/または33で突然変異している。アミノ酸残基32および/または33は、グリシン、セリンおよびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸に突然変異し得る。いくつかの実施形態では、HSV-TKポリペプチドは、アミノ酸残基25、26、32および/または33で突然変異している。アミノ酸残基25、26、32および/または33は、グリシン、セリンおよびグルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸に突然変異し得る。アミノ酸残基修飾は、配列番号2または4のポリペプチド配列と比較して行われ得る。
【0126】
本発明に従って、上記の核酸分子によってコードされる突然変異体チミジンキナーゼ酵素ならびにこのような分子を発現できるベクターが提供される。いくつかの実施形態では、本発明の核酸分子と作動可能に連結されたプロモーターを含む発現ベクターが提供される。いくつかの実施形態では、ベクターは、核酸分子の発現を指示できるウイルスベクターである。このようなウイルスベクターの代表例として、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルス随伴ウイルスベクター、poxベクター、パルボウイルスベクター、バキュロウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターが挙げられる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の突然変異を含み、少なくとも1つの突然変異が、突然変異していない(すなわち、野生型)チミジンキナーゼと比較して、チミジンキナーゼの生物活性を増大するアミノ酸置換をコードする、チミジンキナーゼ酵素をコードする核酸分子の発現を指示できるウイルスベクターが提供される。
【0127】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される核酸分子は、野生型チミジンキナーゼ酵素によるヌクレオシド類似体のリン酸化のレベルよりも少なくとも10%高いレベルでヌクレオシド類似体をリン酸化できるチミジンキナーゼ酵素をコードする。いくつかの実施形態では、チミジンキナーゼ酵素は、野生型チミジンキナーゼ酵素によるヌクレオシド類似体のリン酸化のレベルよりも少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも300%または少なくとも500%高いレベルでヌクレオシド類似体をリン酸化できる。適したヌクレオシド類似体の代表例として、ガンシクロビル、アシクロビル、ファムシクロビル、ブシクロビル(buciclovir)、ペンシクロビル、バルシクロビル(valciclovir)、トリフルオロチミジン、1-[2-デオキシ、2-フルオロ、β-D-アラビノフラノシル]-5-ヨードウラシル、ara-A、araT 1-β-D-アラビノフラノキシルチミン、5-エチル-2’-デオキシウリジン、5-ヨード-5’-アミノ-2、5’-ジデオキシウリジン、イドクスウリジン、AZT、AIU、ジデオキシシチジンおよびAraCが挙げられる。いくつかの実施形態では、改善されたTK突然変異体は、チミジンキナーゼ活性を欠く。
【0128】
本発明の一実施形態内では、チミジンキナーゼ突然変異体の末端切断型誘導体が提供される。例えば、部位特異的突然変異誘発は、チミジンキナーゼ突然変異体のN末端の45個アミノ酸を欠失し、それによって、生物活性を保持する末端切断型の突然変異体を構築するよう容易に実施され得る。
【0129】
チミジンキナーゼ突然変異体の誘導体の発現のために構築されたヌクレオチド配列中の突然変異は、コード配列のリーディングフレーム相を保たなくてはならない。さらに、突然変異は、好ましくは、ハイブリダイズして、受容体mRNAの翻訳に悪影響を及ぼすであろうループまたはヘアピンなどの二次的mRNA構造を製造できる相補的領域を作製しない。このような誘導体は、上記で議論されたものを含めたさまざまな技術を使用して容易に構築され得る。
【0130】
本発明者らは、本明細書において記載された方法を使用して、最適化されたHSV-TK遺伝子の候補の大部分が、レトロウイルス発現系と匹敵し、生物学的に有用なレトロウイルス力価をもたらすようであると決定した。
【0131】
さらに、これらの最適化のほとんどを組み込んだ最適化されたHSV-TK遺伝子(配列番号18)は、レトロウイルス形質導入送達後に、プロドラッグGCV酵素活性および癌細胞を死滅させるその能力の選択性を示した。コドン最適化され、スプライス修正された突然変異体HSV-TK遺伝子A168Hは、最高のGCV媒介性癌死滅活性を有すると思われた(配列番号12、16、18または22)。このHSV-TK遺伝子A168Hの同じ型で、アミノ酸159~161でLIFからIFLに突然変異したものは、GCV媒介性癌細胞死滅活性を示した。
【0132】
コドン最適化され、スプライス修正された突然変異体HSV-TK遺伝子A167F(配列番号13、17または19)は、レトロウイルス形質導入送達後に極めて高いGCV媒介性癌死滅活性を有していたが、より驚くべきことに、HAT培地を用いて選択された3T3 TK(-)細胞におけるレトロウイルス形質導入送達後のこの遺伝子の発現によって決定されるように、チミジンキナーゼ活性は有していなかった。本発明者らの知る限りでは、これは、これまでに生物学的に評価されたチミジン活性を有さない(HATアッセイ)GCV活性化のための最もGCV選択的なHSV-TK合成遺伝子産物である。
【0133】
二重突然変異体HSV-TK遺伝子A167F+A168H(配列番号14)は、予期しないことに、極めてわずかなGCV媒介性癌死滅活性および極めてわずかなチミジン活性(HATアッセイ)を示すことによって、GCVおよびチミジン酵素活性の両方を除去した。
【0134】
本発明者らは、細菌シトシンデアミナーゼ、酵母シトシンデアミナーゼ、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼなどの遺伝子の機能的HSV-TK融合物を製造し、リンカー配列を含み、HSV-TK GCV媒介性癌細胞死滅活性を保持することが可能であると明らかにした。
【0135】
一実施形態では、1種または複数の他の治療用遺伝子と融合されていない1種または複数の核局在性配列を保持する、GCV媒介性癌死滅活性を有するコドン最適化されたHSV-TK遺伝子が作製され得る。
【0136】
本明細書に記載される最適化されたHSV-TK遺伝子へのさらなる修飾および/またはその評価は、以下:HSV-TK内の公知の核局在性配列の除去、プロドラッグGCV酵素活性および癌細胞を死滅させるその能力の選択性の増大のうち1つまたは複数を含み得、HSV-TKの、他の遺伝子およびタンパク質との、より多くのタグ、融合タンパク質およびリンカーの使用、癌細胞におけるHSV-TK最適化遺伝子の、他の最適化自殺および癌死滅遺伝子との同時発現を評価し得、Reximmune-C型レトロウイルスベクター系中の最適化HSV-TK遺伝子、Reximmune-C型GMP生成物またはそれらの任意の組合せの製造および試験を含み得る。
【0137】
一実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列は、核外輸送シグナルを含む。例えば、ポリヌクレオチド配列は、TK168dmNESを含み得る。
【0138】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用するためのレトロウイルスベクターは、1種または複数のスプライシング部位修飾を含む。
【0139】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用するためのレトロウイルスベクターは、HSV-TK A167Fsm(配列番号13)を含む。
【0140】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用するためのレトロウイルスベクターは、HSV-TK A168Hsm(配列番号12)を含む。
【0141】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用するためのレトロウイルスベクターは、HSV-TK A167Fdm(配列番号17)を含む。
【0142】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用するためのレトロウイルスベクターは、HSV-TK A168dm(配列番号16)を含む。
【0143】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用するためのレトロウイルスベクターは、HSV-TK A167FdmおよびNES(配列番号19)を含む。
【0144】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用するためのレトロウイルスベクターは、HSV-TK A168HdmおよびNES(配列番号18)を含む。このような一実施形態では、配列は、HSV-TK A168Hを含む。
【0145】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用するためのレトロウイルスベクターは、HSV-TKを含み、このようなベクターは、改良された基質結合ドメインおよびmNLS/NESセットを含む。
【0146】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用するためのレトロウイルスベクターは、HSV-TKを含み、ベクターは、選択マーカー、蛍光を発する遺伝子および/または1種もしくは複数の死滅遺伝子を含む。
【0147】
別の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用するためのレトロウイルスベクターは、少なくとも2つの修飾を含む。
【0148】
本発明者らは、本明細書において記載される方法を使用して、最適化されたHSV-TK遺伝子の大部分は、レトロウイルス発現系と適合し、生物学的に有用なレトロウイルス力価を製造するようであると決定した。
【0149】
コドン最適化され、スプライス修正された突然変異体HSV-TK遺伝子A167F(配列番号13、17または19)は、HAT培地を用いて選択された3T3 TK(-)細胞においてレトロウイルス形質導入送達後にこの遺伝子を発現させることによって決定されるように、レトロウイルス形質導入送達後に極めて高いGCV媒介性癌死滅活性を有するが、より驚くべきことに、チミジンキナーゼ活性を有さない。これは、高度にGCV選択的HSV-TK合成遺伝子である。
【0150】
二重突然変異体HSV-TK遺伝子A167F+A168H(配列番号14)は、極めてわずかなGCV媒介性癌死滅活性および極めてわずかなチミジン活性しか示さず、したがって、適切な二重突然変異体は、驚くべきヌル特性を有し得る。
【0151】
本発明者らは、細菌シトシンデアミナーゼ、酵母シトシンデアミナーゼ、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼなどの遺伝子の機能的HSV-TK融合物を製造し、リンカー配列を含み、HSV-TK GCV媒介性癌細胞死滅活性を保持することが可能であると明らかにした。
【0152】
一実施形態では、1種または複数の他の治療用遺伝子と融合していない1種または複数の核局在性配列を保持する、GCV媒介性癌死滅活性を有する十分にコドン最適化されたHSV-TK遺伝子が作製され得る。
【0153】
本明細書において記載される最適化されたHSV-TH遺伝子へのさらなる修飾および/またはその評価は、以下:HSV-TK内の既知核局在性配列の除去、プロドラッグGCV酵素活性および癌細胞を死滅させるその能力についての選択性の増大のうち1つまたは複数を含み得、HSV-TKの、他の遺伝子およびタンパク質との、より多くのタグ、融合タンパク質およびリンカーの使用、癌細胞におけるHSV-TK最適化遺伝子の、他の最適化自殺および癌死滅遺伝子との同時発現を評価し得、Reximmune-Cレトロウイルスベクター系中の最適化HSV-TK遺伝子、Reximmune-C GMP生成物またはそれらの任意の組合せの製造および試験を含み得る。
【0154】
治療用ベクターは、単独でまたは他の治療的処置または活性薬剤とともに投与され得る。使用され得る他の活性薬剤の例として、それだけには限らないが、化学療法剤、抗炎症剤、HIVプロテアーゼ阻害剤などのプロテアーゼ阻害剤、AZTなどのヌクレオシド類似体が挙げられる。いくつかの実施形態では、治療方法は、対象に、治療用ウイルス粒子の投与に先立って、それと同時に、またはその後に、化学療法剤、生物学的薬剤または放射線療法を投与することをさらに含む。当業者ならば、本明細書において記載されるレトロウイルス粒子は、1種または複数の薬剤(例えば、レトロウイルスベクターおよび薬剤は両方とも静脈内に投与される)と同一経路によってか、または異なる経路によって(例えば、レトロウイルスベクターは、静脈内に投与され、1種または複数の薬剤は経口的に投与される)のいずれかで投与され得ることは理解するであろう。
【0155】
治療用ウイルス粒子の投与量は、好ましくは、ED50を含む循環濃度の範囲内にあり、毒性はほとんどないかまたは全くない。投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じてこの範囲内で変わり得る。治療上有効な用量は、細胞培養アッセイから最初に推定され得る。用量は、細胞培養において決定されるようなIC50(すなわち、最大半量感染または最大半量阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するよう、動物モデルにおいて処方され得る。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。血漿中のレベルは、例えば、RT-qPCRまたはddPCR法によって測定され得る。
【0156】
治療を必要とする対象に投与されるべき本明細書において開示されるレトロウイルス粒子の有効量または治療上有効なものは、種々の方法で決定され得る。例として、量は、動物モデルにおけるウイルス力価または有効性に基づいたものであり得る。あるいは、臨床試験において使用される投与計画は、一般的ガイドラインとして使用され得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、1日用量は、単回用量でまたは1日の種々の時間に小分けして投与され得る。いくつかの実施形態では、最適開始反応が得られる場合には、高投与量が必要とされ得、経時的に低減され得る。いくつかの実施形態では、治療は、数日間、数週間または数年間連続し得、または間隔を置いてであり、介在する休止期間を有し得る。いくつかの実施形態では、投与量は、個体が受けている可能性がある他の治療に従って修飾される。しかし、治療方法は、特定の濃度または範囲のレトロウイルス粒子に決して制限されず、治療されている各個体のためにおよび使用される各誘導体のために変わり得る。
【0158】
所与の個体に対して最大効果を達成するために、投与量の個別化が必要とされ得る。いくつかの実施形態では、治療されている個体に投与される投与量は、個体の年齢、疾患の重症度またはステージおよび治療の経過に対する応答に応じて変わる。いくつかの実施形態では、投与量を決定するための臨床パラメータとして、それだけには限らないが、腫瘍の大きさ、特定の悪性度について臨床試験において使用される腫瘍マーカーのレベルの変更が挙げられる。いくつかの実施形態では、治療医師が、所与の個体のために使用されるべき治療有効量を決定する。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される療法は、必要なだけ、治療医師によって必要と判断される期間投与される。
【0159】
それだけには限らないが、対象の細胞または系に対して特異的である治療用レトロウイルス粒子を含めた治療用ベクターは、治療を必要とする対象に、全身にかまたは領域的に(局所的に)送達される。例えば、治療用ベクターは、静脈内に全身に投与され得る。あるいは、治療用ベクターはまた、動脈内に投与され得る。治療用ベクターはまた、局所的に、静脈内に、動脈内に、腫瘍内に、結腸内に、気管内に、腹膜内に、鼻腔内に、血管内に、くも膜下腔内に、頭蓋内に、骨髄内に、胸膜内に、皮内に、皮下に、筋肉内に、眼内に、骨内におよび/または滑膜内にまたは定位的に(sterotactically)投与され得る。送達様式の組合せも使用され得、例えば、患者は、治療用ベクターの治療を用いて腫瘍反応を改善するために治療用ベクターを全身におよび領域的に(局所的に)受け取り得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、治療と必要とする対象に、複数の治療経過(例えば、第1および第2の治療経過)が投与される。いくつかの実施形態では、第1および/または第2の治療経過が、静脈内に投与される。他の実施形態では、第1および/または第2の治療経過は、それだけには限らないが、肝動脈、大動脈、冠動脈、肺動脈、腸骨動脈、腸腔動脈、胃動脈、脾動脈、腎動脈、生殖腺動脈、鎖骨下動脈、椎骨動脈、腋窩動脈、上腕動脈、橈骨動脈、尺骨動脈、頸動脈、大腿動脈、下腸間膜動脈および/または上腸間膜動脈による注入を含めた動脈内注入によって投与される。動脈内注入は、血管内手順、経皮的手順または開腹外科的アプローチを使用して達成され得る。いくつかの実施形態では、第1および第2の治療経過は、逐次投与され得る。さらに他の実施形態では、第1および第2の治療経過は、同時に投与され得る。さらに他の実施形態では、任意選択の第3の治療経過が、第1および第2の治療経過と逐次または同時に投与され得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示される治療用ベクターは累積方式で高用量で、逐次または同時投与された治療経過(単数または複数)とともに投与され得る。例えば、いくつかの実施形態では、それを必要とする患者は、全身に投与され得る、例えば、累積方式で少なくとも1×10TVP、少なくとも1×1010TVP、少なくとも1×1011TVP、少なくとも1×1012TVP、少なくとも1×1013TVP、少なくとも1×1014TVP、少なくとも1×1015TVP、少なくとも1×1016TVP、少なくとも1×1017TVP、少なくとも1×1018TVP、少なくとも1×1019TVP、少なくとも1×1020TVP、少なくとも1×1021TVPまたは少なくとも1×1022TVPの送達ベクターの第1の治療経過を用いて静脈内に投与され得る。第1の治療経過は全身に投与され得る。あるいは、第1の治療経過は、局所法で、例えば、動脈内に投与され得る、例えば、それを必要とする患者は、累積方式で、少なくとも1×10TVP、少なくとも1×1010TVP、少なくとも1×1011TVP、少なくとも1×1012TVP、少なくとも1×1013TVP、少なくとも1×1014TVP、少なくとも1×1015TVP、少なくとも1×1016TVP、少なくとも1×1017TVP、少なくとも1×1018TVP、少なくとも1×1019TVP、少なくとも1×1020TVP、少なくとも1×1021TVPまたは少なくとも1×1022TVPの送達ベクターを用いて動脈内注入によって投与され得る。
【0162】
さらに他の実施形態では、それを必要とする対象は、高用量の送達ベクターの全身および動脈内注入投与の組合せを、逐次または同時のいずれかで受け取り得る。例えば、それを必要とする患者は、まず、累積方式で少なくとも1×10TVP、少なくとも1×1010TVP、少なくとも1×1011TVP、少なくとも1×1012TVP、少なくとも1×1013TVP、少なくとも1×1014TVP、少なくとも1×1015、少なくとも1×1016TVP、少なくとも1×1017TVP、少なくとも1×1018TVP、少なくとも1×1019TVP、少なくとも1×1020TVP、少なくとも1×1021TVPまたは少なくとも1×1022TVPの送達ベクターを用いて全身に、続いて、動脈内注入、例えば、肝動脈注入のさらなる治療経過、累積方式で、少なくとも1×10TVP、少なくとも1×1010TVP、少なくとも1×1011TVP、少なくとも1×1012TVP、少なくとも1×1013TVP、少なくとも1×1014TVP、少なくとも1×1015TVP、少なくとも1×1016TVP、少なくとも1×1017TVP、少なくとも1×1018TVP、少なくとも1×1019TVP、少なくとも1×1020TVP、少なくとも1×1021TVPまたは少なくとも1×1022TVPの投与される送達ベクターを用いて投与され得る。さらに別の実施形態では、それを必要とする患者は、動脈内注入および高用量の送達ベクターの全身投与の組合せを受け取り得る。例えば、それを必要とする患者は、まず、累積方式で、少なくとも1×10TVP、少なくとも1×1010TVP、少なくとも1×1011TVP、少なくとも1×1012TVP、少なくとも1×1013TVP、少なくとも1×1014TVP、少なくとも1×1015TVP、少なくとも1×1016TVP、少なくとも1×1017TVP、少なくとも1×1018TVP、少なくとも1×1019TVP、少なくとも1×1020TVP、少なくとも1×1021TVPまたは少なくとも1×1022TVPの送達ベクターを用いる動脈内注入によって、続いて、累積方式で、少なくとも1×10TVP、少なくとも1×1010TVP、少なくとも1×1011TVP、少なくとも1×1012TVP、少なくとも1×1013TVP、少なくとも1×1014TVP、少なくとも1×1015TVP、少なくとも1×1016TVP、少なくとも1×1017TVP、少なくとも1×1018TVP、少なくとも1×1019TVP、少なくとも1×1020TVP、少なくとも1×1021TVPまたは少なくとも1×1022TVPの全身投与される送達ベクターのさらなる治療経過によって投与され得る。治療経過はまた、同時に投与され得る、すなわち、例えば、動脈内注入、例えば、肝動脈注入の治療経過、累積方式で、少なくとも1×10TVP、少なくとも1×1010TVP、少なくとも1×1011TVP、少なくとも1×1012TVP、少なくとも1×1013TVP、少なくとも1×1014TVP、少なくとも1×1015TVP、少なくとも1×1016TVP、少なくとも1×1017TVP、少なくとも1×1018TVP、少なくとも1×1019TVP、少なくとも1×1020TVP、少なくとも1×1021TVPまたは少なくとも1×1022TVPの投与される送達ベクターと一緒の、累積方式で、少なくとも1×10TVP、少なくとも1×1010TVP、少なくとも1×1011TVP、少なくとも1×1012TVP、少なくとも1×1013TVP、少なくとも1×1014TVP、少なくとも1×1015TVP、少なくとも1×1016TVP、少なくとも1×1017TVP、少なくとも1×1018TVP、少なくとも1×1019TVP、少なくとも1×1020TVP、少なくとも1×1021TVPまたは少なくとも1×1022TVPの送達ベクターの高用量の送達ベクターの治療経過。
【0163】
さらに他の実施形態では、それを必要とする対象はさらに、第1および第2の治療経過と逐次または同時のいずれかで、送達ベクター、例えば、累積方式で、少なくとも1×10TVP、少なくとも1×1010TVP、少なくとも1×1011TVP、少なくとも1×1012TVP、少なくとも1×1013TVP、少なくとも1×1014TVP、少なくとも1×1015TVP、少なくとも1×1016TVP、少なくとも1×1017TVP、少なくとも1×1018TVP、少なくとも1×1019TVP、少なくとも1×1020TVP、少なくとも1×1021TVPまたは少なくとも1×1022TVPの送達ベクターの累積用量のさらなる治療経過(例えば、第3の治療経過、第4の治療経過、第5の治療経過)を受け取り得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象は、少なくとも1×1011TVPの用量を全身に(例えば、静脈内に)投与され、続いて、少なくとも1×1011TVPの用量の動脈内注入(例えば、肝動脈注入)によって投与される。他の実施形態では、治療を必要とする患者は、少なくとも1×1012TVPの累積用量を全身に(例えば、静脈内に)投与され、続いて、少なくとも1×1012TVPの用量の動脈内注入(例えば、肝動脈注入)によって投与され得る。一実施形態では、治療を必要とする患者は、少なくとも1×1013TVPの用量を全身に(例えば、静脈内に)投与され、続いて、少なくとも1×1013TVPの用量の動脈内注入(例えば、肝動脈注入)によって投与され得る。さらに他の実施形態では、治療を必要とする患者は、少なくとも1×1014TVPの用量を全身に(例えば、静脈内に)投与され、同時に、少なくとも1×1014TVPの用量の動脈内注入(例えば、肝動脈注入)によって投与され得る。さらに他の実施形態では、治療を必要とする患者は、少なくとも1×1015TVPの用量を全身に(例えば、静脈内に)投与され、一緒に、少なくとも1×1015TVPの用量の動脈内注入(例えば、肝動脈注入)によって投与され得る。さらに他の実施形態では、治療を必要とする患者は、少なくとも1×1016TVPの用量を全身に(例えば、静脈内に)投与され、同時に、少なくとも1×1016TVPの用量の動脈内注入(例えば、肝動脈注入)によって投与され得る。さらに他の実施形態では、治療を必要とする患者は、少なくとも1×1013TVPの用量を全身に(例えば、静脈内に)投与され、一緒に、少なくとも1×1017TVPの用量の動脈内注入(例えば、肝動脈注入)によって投与され得る。
【0165】
治療を必要とする対象はまた、全身にかまたは局所に(例えば、肝動脈注入などの動脈内注入)のいずれかで、送達ベクターの治療経過を既定の期間投与され得る。いくつかの実施形態では、期間は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年または少なくとも5年であり得る。投与は、慢性的な方法で、すなわち、規定されないかまたは不確定の期間起こり得る。
【0166】
治療用ベクターの投与はまた、周期的な方法で、例えば、少なくとも1日1回、少なくとも1日2回、少なくとも1日3回、少なくとも1日4回、少なくとも1日5回起こり得る。送達ベクターの周期的投与は、送達ベクターの時間ならびに投与様式に応じて変わり得る。例えば、非経口投与は、長期間にわたって1日に1回のみ起こり得るが、送達ベクターの経口投与は、1日に2回以上起こり得、これでは、送達ベクターの投与は、短期間にわたって起こる。
【0167】
一実施形態では、対象は、第1の治療経過と第2の治療経過との間に1~2日休止することが許される。いくつかの実施形態では、対象は、第1の治療経過と第2の治療経過との間に2~4日休止することが許される。他の実施形態では、対象は、第1と第2の治療経過との間に少なくとも2日間休止することが許される。さらに他の実施形態では、対象は、第1と第2の治療経過との間に少なくとも4日間休止することが許される。さらに他の実施形態では、対象は、第1と第2の治療経過との間に少なくとも6日間休止することが許される。いくつかの実施形態では、対象は、第1と第2の治療経過との間に少なくとも1週間休止することが許される。さらに他の実施形態では、対象は、第1と第2の治療経過との間に少なくとも2週間休止することが許される。一実施形態では、対象は、第1と第2の治療経過との間に少なくとも1ヶ月休止することが許される。いくつかの実施形態では、対象は、第2の治療経過と任意選択の第3の治療経過との間に少なくとも1~7日休止することが許される。さらに他の実施形態では、対象は、第2の治療経過と任意選択の第3の治療経過との間に少なくとも1~2週間休止することが許される。
【0168】
チミジンキナーゼ遺伝子療法治療に対して感受性がある患者の診断
放射活性トレーサー、コントラストイメージング技術および他のイメージング技術の使用を含めたイメージング試験が、チミジンキナーゼ遺伝子療法治療を含めた遺伝子療法治療に対して感受性があり、したがって、このような治療用処置から恩恵を受ける可能性がより高い患者を同定するために使用され得る。
【0169】
好ましい実施形態では、陽電子放射型断層撮影(PET)スキャンが、インビボでの発現のためにチミジンキナーゼコンストラクトを含有するレトロウイルスベクター粒子を形質導入できる患者を同定するために使用される。PETスキャンは、生物学的活性分子上に配置された放射活性トレーサーによって間接的に発せられるγ線の対を検出することによって、身体における機能的プロセスの3次元イメージを作り出す。PETスキャンは、陽性電荷を有する粒子(ポジトロン)によって発せられるエネルギーを検出する。
【0170】
チミジンキナーゼポリヌクレオチドを含有するレトロウイルスベクター粒子を投与される患者は、発現されたチミジンキナーゼによって切断され得る放射性トレーサー剤を同時投与される。一例として、HSV-TK酵素の高親和性基質であり、哺乳動物TK酵素に対して比較的低い親和性を有する[18F]FHBG(9-[4-[18F]フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)がある。Yaghoubi and Gambhir, Nat. Protocol 1:3069-75 (2006); Green et al., J. Nucl. Med. 45:1560-70 (2004)を参照のこと。[18F]FHBGは、HSV1-TKまたはHSV1-sr39TKによりリン酸化され、これは、次いで、チミジン(thymdine)キナーゼ酵素を発現する細胞内に捕捉される。したがって、本明細書において記載される突然変異したおよび/または最適化されたチミジンキナーゼコンストラクトを含めた、チミジンキナーゼポリヌクレオチドを含有するレトロウイルスベクターを投与された患者におけるインビボでのこの基質の切断は、対象および患者によるレトロウイルスベクター粒子の効率的な形質導入を、したがって、チミジンキナーゼ媒介性遺伝子療法に対して感受性の患者または対象の最初を示す。
【0171】
あるいは、ウイルスTK活性を測定するための他の方法は、5-メチル-5,6-ジヒドロチミジンおよび関連化合物を用いる化学交換飽和移動磁気共鳴イメージングを含む。
【0172】
したがって、本明細書において開示されるいくつかの実施形態では、チミジンキナーゼタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するレトロウイルスウイルス粒子が投与された患者におけるチミジンキナーゼ発現を検出するための方法および組成物が提供される。いくつかの実施形態では、チミジンキナーゼは、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)チミジンキナーゼに由来する。いくつかの実施形態では、チミジンキナーゼは、HSV-TKである。他の実施形態では、チミジンキナーゼは、HSV-TK1である。さらに他の実施形態では、チミジンキナーゼは、HSV-TK1の最適化版である。
【0173】
いくつかの実施形態では、HSV-TK遺伝子は、効率的発現および/または形質導入のためにコドン最適化される。他の実施形態では、チミジンキナーゼのアミノ末端は、ウイルスチミジンキナーゼ配列の核局在性配列(NLS)を除去または排除するよう変更される。他の実施形態では、チミジン(thymdine)キナーゼヌクレオチド配列は、アミノ末端に付着している核外輸送配列(NES)を含む。いくつかの実施形態では、核外輸送配列は、LQKKLEELELDG(配列番号24)である。
【0174】
なお他の実施形態では、チミジンキナーゼコード配列は、発現されたチミジンキナーゼタンパク質の基質結合を増大するように突然変異している。さらに他の実施形態では、チミジンキナーゼコード配列は、A168H突然変異を含む。
【0175】
HSV-TKタンパク質を含めたチミジンキナーゼによって標的とされる基質の他の例として、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体が挙げられる。チミジンキナーゼなどの治療用タンパク質が、本明細書において記載されるチミジンキナーゼ遺伝子療法ベクターを用いて治療された個人において発現されるか否かを調べるために使用され得る放射性トレーサーの例はまた、18F、64Cu、99mTe、11C、14C、124I、123I、131I、15O、13Nおよび/または82RbClを含み得る。
【0176】
PETのための9-[4-18F-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン(FHBG)の臨床試験は、以下のウェブサイト:www.clinicaltrials.govで見られ得る。臨床使用においてPETを用いてFHBGを測定する方法は、臨床試験NCT00871702、NCT00185848およびNCT01082926において見出され得る。
【0177】
手短には、患者は、1日目に治療用薬物製品の用量を受け取る。3~6日目に、好ましくは、4日目に、または本明細書において開示されるような修飾されたHSV-TKをコードする治療用薬物製品の用量を受け取った後の期間で、[18F]FHBGを静脈内に注入され、HSV-1 TKが発現されると示される腫瘍部位における蓄積についてのスキャニングのための投与後、1~5時間後に、好ましくは、0.5、1.0、1.5、2、2.5、3.0、3.5または4.0時間後にまたは他の適当な時間後にPETスキャンによって撮像される。本明細書において開示されるように、FHBGの取り込みを示す患者は、治験に登録され、示さないものは排除される。FHBGの量は、決定され、これまでの研究に基づく。FHBG/PETのためのさらなるプロトコールは、例えば、以下の参考文献15~39に見出され得る。
【0178】
したがって、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体を含めた、HSV-TKを含めたチミジンキナーゼのタグが付けられた基質を測定するための方法および組成物が、本明細書において提供され、方法は、a)HSV-TKをコードするポリヌクレオチドを用いて細胞を形質導入することと、b)放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を用いて細胞を処理することと、c)標的組織中に存在する放射活性シグナルの相対量を測定することとを含む。一実施形態では、工程c)は、PET(陽電子放射型断層撮影)スキャニングを使用して対象においてインビボで放射活性トレーサーの結果を測定することを含む。
【0179】
また、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体を含めた、HSV-TKを含めたチミジンキナーゼタグが付けられた基質を測定することを含む、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができる患者または対象を同定するための方法および組成物が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、方法は、a)HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与し、細胞をHSV-チミジンキナーゼをコードするポリヌクレオチドを用いて形質導入することと、b)放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を用いて細胞を処理することと、c)標的組織中に存在する放射活性シグナルの相対量を測定することと、d)放射活性標識されたHSV-TK基質のレベルが指定の閾値を上回る患者を同定することとを含む。一実施形態では、工程c)は、PET(陽電子放射型断層撮影)スキャニングを使用して対象においてインビボで放射活性トレーサーの結果を測定することを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子療法プロトコールから恩恵を受けることができる患者は、PETスキャンで指定の閾値を上回るレベルを示す患者または対象を含む。いくつかの実施形態では、放射活性HSV-TK基質のレベルは、少なくとも約2.0SUVであるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る。いくつかの実施形態では、放射活性HSV-TK基質のレベルは、少なくとも約1.9SUVであるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る。なお他の実施形態では、放射活性HSV-TK基質のレベルは、少なくとも約1.0SUV、約1.5SUV、約2.0SUVまたは約2.5SUVもしくはそれ以上であるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも10%上回る、バックグラウンドを少なくとも20%上回る、バックグラウンドを少なくとも30%上回る、バックグラウンドを少なくとも40%上回るもしくはバックグラウンドを少なくとも50%上回るもしくはそれ以上である。
【0180】
いくつかの実施形態では、良性または転移性病変のための治療を必要とし、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができる患者または対象を同定するための方法および組成物が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、良性または転移性病変の治療のための遺伝子療法から恩恵を受けることができる患者を同定するための方法は、遺伝子療法治療の投与後に、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体を含めた、HSV-TKを含めたチミジンキナーゼのタグが付けられた基質を測定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、a)HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与し、HSV-チミジンキナーゼをコードするポリヌクレオチドを用いて細胞を形質導入することと、b)細胞を、放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を用いて処理することと、c)標的組織中に存在する放射活性シグナルの相対量を測定することと、d)放射活性標識されたHSV-TK基質のレベルが指定の閾値を上回る患者を同定することと、e)前記患者または対象を遺伝子療法レトロウイルス粒子を用いて治療することとを含む。一実施形態では、工程c)は、PET(陽電子放射型断層撮影)スキャニングを使用して対象においてインビボで放射活性トレーサーの結果を測定することを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子療法プロトコールから恩恵を受けることができる患者は、PETスキャンで指定の閾値を上回るレベルを示す患者または対象を含む。いくつかの実施形態では、[18F]FHBGシグナルのレベルは、少なくとも約2.0SUVであるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る。いくつかの実施形態では、放射活性HSV-TK基質のレベルは、少なくとも約1.9SUVであるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る。なお他の実施形態では、放射活性HSV-TK基質のレベルは、少なくとも約1.0SUV、約1.5SUV、約2.0SUVまたは約2.5SUVもしくはそれ以上であるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも10%上回る、バックグラウンドを少なくとも20%上回る、バックグラウンドを少なくとも30%上回る、バックグラウンドを少なくとも40%上回るまたはバックグラウンドを少なくとも50%上回るもしくはそれ以上である。
【0181】
また、(a)対象において[18F]FHBGシグナルのレベルを決定することと、(b)FHBGのレベルが、少なくとも約2.0SUVであるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る、組成物を用いる治療のための対象を選択することとを含む方法が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、放射活性HSV-TK基質のレベルは、少なくとも約1.9SUVであるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る。なお他の実施形態では、放射活性HSV-TK基質のレベルは、少なくとも約1.0SUV、約1.5SUV、約2.0SUVまたは約2.5SUVもしくはそれ以上であるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも10%上回る、バックグラウンドを少なくとも20%上回る、バックグラウンドを少なくとも30%上回る、バックグラウンドを少なくとも40%上回るもしくはバックグラウンドを少なくとも50%上回るもしくはそれ以上である。
【0182】
さらに、(a)対象において[18F]FHBGシグナルのレベルを決定することと、(b)組成物を用いる治療から、対象におけるFHBGのレベルが、約2.0SUVより高いかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る対象を排除することと、(c)前記対象に抗癌剤を投与することとを含む方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、放射活性HSV-TK基質のレベルは、少なくとも約1.9SUVであるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る。なお他の実施形態では、放射活性HSV-TK基質のレベルは、少なくとも約1.0SUV、約1.5SUV、約2.0SUVもしくは約2.5SUVもしくはそれ以上であるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも10%上回る、バックグラウンドを少なくとも20%上回る、バックグラウンドを少なくとも30%上回る、バックグラウンドを少なくとも40%上回るもしくはバックグラウンドを少なくとも50%上回るもしくはそれ以上である。
【0183】
いくつかの実施形態では、本発明は、癌治療に対して感受性がある対象を同定するための方法を提供し、方法は、a)対象における[18F]FHBGの発現を同定することと、b)対象を治療することとを含む。
【0184】
また、蛍光イメージングシステムを使用して、HSV-TKによって媒介されるFHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体リン酸化を測定する組成物および方法が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、方法は、a)HSV-TKおよび第1の蛍光タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて細胞を形質導入することと、b)第1の蛍光または生物発光タンパク質と光学的に識別可能である、第2のまたは生物発光タンパク質をコードするポリヌクレオチドを用いて細胞を形質導入することと、c)HSV-TKによってリン酸化されていると細胞傷害性になる薬剤を用いて細胞を処理することと、d)第1の蛍光タンパク質と第2の蛍光タンパク質の発現の相対量を測定することとを含む。一実施形態では、工程d)は、Perkin Elmer Plateリーダー、蛍光光度計、蛍光活性化セルソーター(FACS)、セロメーターまたは分光光度計を含む。別の実施形態では、工程d)は、蛍光または生物発光イメージングシステムを使用して、対象においてインビボで第2の蛍光または生物発光タンパク質の蛍光結果を測定することを含む。
【0185】
チミジンキナーゼ診断的使用
いくつかの実施形態では、療法のための患者を選択する方法または療法から患者を排除するための方法が、本明細書において開示される。一実施形態では、チミジンキナーゼ遺伝子療法。他の実施形態では、チミジンキナーゼは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)である。なお他の実施形態では、チミジンキナーゼは、HSV-TK1である。
【0186】
本明細書において記載されるように、[18F]FHBGおよび他のHSV-TK標識された基質が、遺伝子療法のための対象の選択または排除のためのマーカーとして使用され得る。例えば、HSV-TKをコードするポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクター粒子の投与後にHSV-TKを発現する細胞は、ヌクレオシド類似体9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン([18F]FHBG)を選択的にリン酸化する。例えば、Yaghoubi and Gambhir, Nat. Protocols 1:3069-75 (2006)を参照のこと。測定の閾値を上回る[18F]FHBGイメージングは、次いで、HSV-TK陽性細胞を同定するために、また遺伝子療法のための患者を選択もしくは排除するために使用され得る。
【0187】
したがって、一実施形態では、対象は、HSV-TKポリペプチドをコードする遺伝子療法組成物を投与される。対象は、所定の期間の後に、標識されたヌクレオシド類似体HSV-TK基質を投与され、対象において標識された基質のバックグラウンドが到達されるまでモニタリングされる。標識活性は測定され、対象において病変を検出するスキャンに対して比較される。イメージング活性1)が、指定の閾値を上回り、2)対象における病変位置と相関する場合、対象は、HSV-TK遺伝子療法の候補である。
【0188】
いくつかの実施形態では、ヌクレオシド類似体は、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体である。いくつかの実施形態では、標識は、18F、64Cu、99mTe、11C、14C、124I、123I、131I、15O、13Nおよび/または82RbClである。好ましくは、標識されたヌクレオシド類似体HSV-TK基質は、[18F]FHBG((9-[4-18F-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である。
【0189】
いくつかの実施形態では、対象におけるクリアランスパターンは、バックグラウンドを測定し、例えば、[18F]FHBGイメージング活性を決定するための時間遅延の長さを左右する。ヒトでは、例えば、[18F]FHBGバックグラウンドは、図2に示されるように下腹部の外側のほとんどの組織から迅速に低下する。見られるように、[18F]FHBGの投与後7.6と42.6分の間で、レベルは肝臓、腎臓および膀胱において高い。これは、例えば、投与後に事実上バックグラウンド[18F]FHBGシグナルを示さない心臓および肺とは対照をなす。45.3分~80.3分後に、[18F]FHBGレベルは、肝臓および腎臓において有意に低下し、膀胱では高いシグナルが持続した。83.3分~155.6分では、肝臓および腎臓におけるレベルは、一層さらに低下し、膀胱では高いシグナルレベルを維持した。したがって、臓器および対象個体に応じて、HSV-TK遺伝子発現を測定するためにバックグラウンドレベルが低下するのに幾分かの時間が必要であり得る。心臓および肺において見られるように、下腹部領域の外側の臓器系における測定には、時間が必要でない場合もある。これらの臓器系では、遺伝子療法適合性のための十分な閾値は、例えば、少なくとも1.0SUVを上回る、少なくとも1.5SUVを上回る、少なくとも2.0SUVを上回る、少なくとも2.5SUVを上回る、少なくとも3.0SUVを上回る、少なくとも3.5SUVを上回るか、または少なくとも4.0SUVを上回るものであり得る。
【0190】
対照的に、例えば、肝臓および腎臓では、バックグラウンドレベルを上回るシグナルをイメージングするために幾分かの遅延が必要であり得る。Yaghoubi et al. Nat. Protocols at vol. 1, p. 3073を参照のこと。これらの臓器系におけるバックグラウンドシグナルのために、遺伝子療法治療のための適合性を決定するための十分な閾値は、例えば、所定の時間量後に測定された場合に、バックグラウンドを少なくとも10%上回る、バックグラウンドを少なくとも15%上回る、バックグラウンドを少なくとも20%上回る、バックグラウンドを少なくとも25%上回る、バックグラウンドを少なくとも30%上回る、バックグラウンドを少なくとも35%上回る、バックグラウンドを少なくとも40%上回る、バックグラウンドを少なくとも45%上回る、バックグラウンドを少なくとも50%上回る、バックグラウンドを少なくとも55%上回る、バックグラウンドを少なくとも60%上回る、バックグラウンドを少なくとも65%上回る、バックグラウンドを少なくとも70%上回る、バックグラウンドを少なくとも75%上回る、バックグラウンドを少なくとも80%上回る、バックグラウンドを少なくとも85%上回る、バックグラウンドを少なくとも90%上回る、バックグラウンドを少なくとも95%上回るまたはバックグラウンドを少なくとも100%もしくはそれ以上上回るものであり得る。例えば、図2に見られるように、肝臓におけるバックグラウンドシグナルは、[18F]FHBGの投与後少なくとも1~1-1/2時間後に相当に低い。したがって、肝臓では、各個体対象におけるクリアランス速度に応じて、[18F]FHBGシグナルレベルがバックグラウンドに低下した、およそ1~1-1/2時間後まで、[18F]FHBGシグナル測定値はとられてはならない。
【0191】
いくつかの臓器系では、例えば、高いバックグラウンドシグナルレベルが継時的に維持される膀胱では、HSV-TK遺伝子発現は、測定可能ではない場合がある。
【0192】
他の実施形態では、対象が、遺伝子療法プロトコールに含まれるべきか、または排除されるべきかを決定するために、投与された[18F]FHBG対測定された[18F]FHBGシグナルの比が測定される。例えば、例えば、500MBqの[18F]FHBGを用いて注入された対象が、例えば、50MBqの[18F]FHBGシグナルの閾値を超える場合には、対象は、治療用である本明細書において記載されたコンストラクトから、リン酸化されたガンシクロビルまたはその誘導体の治療有効量を製造でき、これは、対象が遺伝子療法状況において反応し得ることを示す。このような一実施形態では、対象は、本明細書において記載される遺伝子療法コンストラクトを用いる治療の候補である。
【0193】
他の実施形態では、対象は、100~750MBqもしくは100~600MBqもしくは100~500MBqもしくは200~500MBqもしくは200~400MBqまたは2.0~15.5MBq/kgもしくは2.0~12.0MBq/kgもしくは2.0~10.0MBq/kgもしくは2.0~7.5MBq/kgの[18F]FHBGを用いて注入され、例えば、10~100MBqまたは10~90MBqまたは10~80MBqまたは10~70MBqまたは10~60MBqまたは20~50MBqまたは20~40MBqの[18F]FHBGシグナルの閾値を超える。いくつかの実施形態では、200~500MBqの[18F]FHBGを用いる注入が行われ、例えば、20~50MBqの[18F]FHBGシグナルの閾値を超える。いくつかの実施形態では、注入された[18F]FHBGシグナル対測定された[18F]FHBGシグナルの比は、2:1、5:1、10:1、20:1 30:1、40:1または50:1である。いくつかの実施形態では、注入された[18F]FHBGシグナル対測定された[18F]FHBGシグナルの比は、約2:1~約50:1、約2:1~約40:1、約5:1~約30:1、約5:1~約20:1、約5:1~約10:1または約10:1である。
【0194】
別の実施形態では、対象が、十分なリン酸化されたFHBGを製造し、2.0SUVより高いかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回るシグナルを生成する場合には、対象は、本明細書において記載されるコンストラクトからTKの治療有効量を製造する可能性が高く、対象は、遺伝子療法状況において反応する可能性が高い。いくつかの実施形態では、対象は、別の抗癌剤または本明細書において記載される治療との併用療法のために選択され得る。
【0195】
他の実施形態では、対象は、十分なリン酸化されたFHBGを製造し、約1.5SUVより高い、約2.0SUVより高い、約2.5SUVより高い、約3.0SUVより高い、約4.0SUVより高いまたは約5.0SUVより高いシグナルを生成する。なお他の実施形態では、対象は、バックグラウンドを少なくとも10%上回る、バックグラウンドを少なくとも20%上回る、バックグラウンドを少なくとも30%上回る、バックグラウンドを少なくとも40%上回るまたはバックグラウンドを少なくとも50%もしくはそれ以上上回るシグナルを生成する。
【0196】

癌の限定されない例として、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌腫、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫/悪性神経膠腫などの脳腫瘍、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚路および視床下部神経膠腫、乳癌、気管支腺腫、バーキットリンパ腫、未知原発起源の癌腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、皮膚T-細胞リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイング肉腫、生殖細胞腫瘍、胆嚢癌、胃癌(gastric cancer)、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質性腫瘍、神経膠腫、ヘアリー細胞白血病、頭頸部癌、心臓癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼球内黒色腫、島細胞癌腫、カポジ肉腫、腎臓癌、咽頭癌、口唇および口腔癌、脂肪肉腫、肝臓癌、非小細胞および小細胞肺癌などの肺癌、リンパ腫、白血病、マクログロブリン血症、骨の悪性繊維性組織球腫/骨肉腫、髄芽腫、メラノーマ、中皮腫、潜在性原発性の転移性扁平上皮頸部癌、口腔(mouth)癌、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽頭癌腫、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔(oral)癌、中咽頭癌、骨肉腫/骨の悪性繊維性組織球腫、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣生殖細胞腫瘍、膵臓癌、膵臓癌島細胞、副鼻腔および鼻腔癌、上皮小体癌、陰茎癌、咽頭癌(pharyngeal cancer)、褐色細胞腫、松果体星状細胞腫、松果体胚細胞腫、下垂体腺腫、胸膜肺芽細胞腫、形質細胞腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌、腎盂および尿管移行細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、皮膚癌腫メルケル細胞、小腸癌、軟組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌(stomack cancer)、T細胞リンパ腫、咽頭癌(throat cancer)、胸腺腫、胸腺癌腫、甲状腺癌、絨毛性腫瘍(妊娠性)、未知原発部位の癌、尿道癌、子宮肉腫、膣癌、外陰部癌、ワンデルストームマクログロブリン血症およびウィルムス腫瘍を挙げることができる。
【0197】
他の実施形態では、治療されるべき癌は、原発性肝細胞癌腫、肝臓への転移性乳癌、肝臓への転移性膵臓癌、肝臓への転移性胃癌、肝臓への転移性食道癌、肝臓への転移性肺癌、肝臓への転移性黒色腫、肝臓への転移性卵巣癌腫および肝臓への転移性腎臓癌からなる群から選択される。
【0198】
製剤
治療用ベクターを含む医薬組成物は、選択された量の治療用ベクターを、1種または複数の生理学的に許容される担体または賦形剤と混合することによって任意の従来法で製剤化され得る。例えば、治療用ベクターは、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)などの担体中に懸濁され得る。活性化合物は、例えば、経口的に、非経口的に、静脈内に、皮内に、皮下にまたは局所に、液体、半液体または固体形態で任意の適当な経路によって投与され得、各投与経路に適した方法で.製剤化される。
【0199】
いくつかの実施形態では、治療用ベクターおよび生理学的に許容される塩および溶媒和物は、吸入または吹送による投与(口または鼻のいずれかによる)のために、または経口、頬側、非経口もしくは直腸投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、吸入による投与のために、治療用ベクターは、適した噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適したガスの使用を伴う、加圧パックまたは噴霧器からのエアゾールスプレー提示の形態で送達される。いくつかの実施形態では、加圧されたエアゾール投与量単位または定量を送達するためのバルブ。いくつかの実施形態では、吸入具または吸入器において使用するための、治療用化合物およびラクトースまたはデンプンなどの適した粉末基剤の粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンの)が製剤化される。
【0200】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増量剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬上許容される賦形剤とともに、従来手段によって調製された錠剤またはカプセル剤として経口投与するために製剤化される。いくつかの実施形態では、錠剤は、当技術分野で周知の方法によってコーティングされる。いくつかの実施形態では、経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液、シロップもしくは懸濁液の形態であり、またはそれらは使用前に水もしくは他の適した媒体を用いて構成するための無水生成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、このような液体調製物は、沈殿防止剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用脂)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、非水性媒体(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画植物油)および保存料(例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)などの医薬上許容される添加物を用いて従来手段によって調製される。いくつかの実施形態では、調製物はまた、必要に応じて、バッファー塩、芳香料、着色料および甘味料を含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、活性化合物の制御された放出を与える製剤化された経口投与である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、従来法で製剤化された錠剤またはロゼンジ剤の形態で頬側用に製剤化される。
【0201】
いくつかの実施形態では、治療用ベクターは、注射による、例えば、ボーラス注射による、または連続注入による非経口投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、注射用製剤は、単位剤形で、例えば、添加された防腐剤とともに、アンプル中または複数回用量容器中にある。いくつかの実施形態では、組成物は油性または水性媒体中の、懸濁液、溶液またはエマルジョンとして製剤化される。いくつかの実施形態では、製剤は、沈殿防止剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含む。あるいは、いくつかの実施形態では、有効成分は、使用前に、適した媒体、例えば、滅菌パイロジェンフリー水を用いて構成するための粉末凍結乾燥形態である。
【0202】
いくつかの実施形態では、治療用ベクターは、デポー調製物として製剤化される。いくつかの実施形態では、このような長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下に、筋肉内にまたは腫瘍中に直接または腫瘍に近接して)によってかまたは筋肉内注射によって投与される。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、治療用化合物は、適したポリマー材料または疎水性材料(例えば、許容されるオイル中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化される。
【0203】
いくつかの実施形態では、活性剤は、ゲル、クリームおよびローションの形態で、皮膚および粘膜への局所(topical)適用用など、眼中などの、局所(local)または局所(topical)適用用に、眼への適用用に、または大槽内もしくは脊髄内適用用に製剤化される。いくつかの実施形態では、このような溶液、特に、眼の使用用に意図されるものは、適当な塩を用いて0.01%~10%の等張性溶液、pH約5~9として製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物は、吸入によるなどの局所適用用エアゾールとして製剤化される。
【0204】
薬物組成物中の活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収、不活性化および排泄速度、投与量スケジュールおよび投与される量ならびに当業者に公知の他の因子に応じて変わる。
【0205】
いくつかの実施形態では、組成物は、有効成分を含有する1種または複数の単位剤形を含むパックまたはディスペンサー装置中で提示される。いくつかの実施形態では、ブリスターパックなどのパックは、金属またはプラスチックホイルを含み得る。いくつかの実施形態では、パックまたはディスペンサー装置は、投与のための使用説明書を伴う。
【0206】
いくつかの実施形態では、活性薬剤は、パッケージング材料、本明細書において提供される薬剤および薬剤が提供される障害を示す表示を含有する製造品としてパッケージングされる。
【0207】
動物モデル
いくつかの実施形態では、本明細書において上記で記載されるレトロウイルスベクター粒子は、遺伝子療法治療の有効性の研究のための動物モデルの一部として、動物にインビボで投与される。いくつかの実施形態では、レトロウイルスベクター粒子は、同一種の異なる動物に変動する用量で投与される。次いで、動物は、所望の治療剤または診断剤のインビボ発現について評価される。いくつかの実施形態では、このような評価から得られたデータから、当業者は、ヒト患者に投与されるべきレトロウイルスベクター粒子の量を決定する。
【0208】
キット
また、本明細書に記載される方法において使用するための組成物を含むキットまたは薬物送達系も提供される。本明細書に記載されるレトロウイルス粒子の投与に必要なすべての必須材料および試薬は、キットに集められ得る(例えば、パッケージング細胞コンストラクトまたは細胞株、サイトカイン発現ベクター)。キットの成分は、上記のような種々の製剤で提供され得る。1種または複数の治療用レトロウイルス粒子は、1種または複数の薬剤(例えば、化学療法剤)とともに単一の医薬上許容される組成物または別個の医薬上許容される組成物に製剤化され得る。
【0209】
これらのキットまたは薬物送達系の成分は、乾燥形態または凍結乾燥形態で提供され得る。試薬または成分が、乾燥形態として提供される場合には、再構成は、一般に、別の容器手段中で提供され得る適した溶媒の添加によってである。
【0210】
キットの容器手段は、一般に、少なくとも1種の物質が入れられ得る、少なくとも1種のバイアル、試験管、フラスコ、瓶、シリンジおよび/または他の容器手段を含み得る。
【0211】
本明細書において開示されるキットはまた、レトロウイルス粒子の投与量および/または投与情報に関する使用説明書を含み得る。使用説明書は、治療方法を含めた本明細書に記載される方法のいずれかを実施するための使用説明書を含み得る。使用説明書は、満足のいく臨床エンドポイントの適応症または生じ得る任意の不都合な症状またはヒト対象で使用するために食品医薬品局などの監督官庁によって必要とされるさらなる情報をさらに含み得る。
【0212】
使用説明書は、キット内のまたはキットに貼られた、「印刷物」で、例えば、紙またはボール紙で、またはキットもしくはパッケージング材料に貼られた、もしくはキットの成分を含有するバイアルもしくは試験管に取り付けられた表示であり得る。使用説明書は、ディスク(フロッピーディスケットまたはハードディスク)、CD-またはDVD-ROM/RAMなどの光学CD、磁気テープ、RAMおよびROMなどの電気的ストラージ媒体、ICチップおよび磁気/光学ストラージ媒体などのこれらのハイブリッドなどのコンピュータで読み取り可能な媒体にさらに含まれ得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、キットまたは薬物送達系は、例えば、中に所望のバイアルが保持される注射または中空成形プラスチック容器などの商業的販売のための厳重な管理下にあるバイアルを含有するための手段を含む。容器の数または種類に関わらず、キットはまた、対象の身体内に最終的な複合組成物を注射/投与または配置するのを補助する機器を含み得るかまたはそれを用いてパッケージングされ得る。このような機器は、アプリケーター、吸入具、シリンジ、ピペット、鉗子、計量スプーン、点滴器または任意のこのような医学的に承認された送達媒体であり得る。
【0214】
パッケージおよびキットは、例えば、製品説明、投与様式および/または治療の適応症を明記する表示をさらに含み得る。本明細書において提供されるパッケージは、本明細書において記載される組成物のいずれかを含み得る。パッケージはさらに、1種または複数の疾患および/または状態を治療するための表示を含み得る。
【0215】
用語「パッケージング材料」とは、キットの成分を収納する物理的構造を指す。パッケージング材料は、成分を無菌的に維持し得、このような目的のために一般的に使用される材料(例えば、紙、波型のファイバー、ガラス、プラスチック、ホイル、アンプルなど)からなり得る。表示または添付文書は、適当な書面による使用説明書を含み得る。したがって、キットはさらに、本明細書に記載される任意の方法においてキット成分を使用するための表示または使用説明書を含み得る。キットは、パックまたはディスペンサー中の化合物を、本明細書に記載される方法において化合物を投与するための使用説明書と一緒に含み得る。
【実施例
【0216】
当業者が、本明細書に記載される組成物および方法をより良好に実施できるために、例示目的で以下の実施例を提供する。
【実施例1】
【0217】
臨床試験
原発性肝細胞癌腫または肝臓に転移性の腫瘍を有する難治性対象において用量漸増試験を実施して、Reximmune-C2(チミジンキナーゼおよびGM-CSF遺伝子)の安全性、薬物動態および薬物動力学を評価した。
【0218】
背景および論理的根拠
Reximmune-C2は、対象の治療用タンパク質をコードする内部ペイロードを含有する遺伝子送達プラットフォームを含む。遺伝子送達プラットフォームは、世界中で280人を超える対象に投与されており、およそ270人の対象が、ペイロードとしてdnG1を含有するベクターを用いて(Rexin-G)、16人の対象がペイロードとしてチミジンキナーゼ(vTK)および免疫促進剤顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を用いて(Reximmune-C)治療された。遺伝子送達プラットフォームは、高度に遺伝子操作された非組換えマウスモロニーウイルスベクター(MoMLV)である。これまでに、難治性原発性または転移性固形腫瘍を有する対象においてRexin-GおよびReximmune-Cの組合せを調べる第I相用量漸増試験が実施された(Genevieve試験)。この提案された第I相臨床試験(Genevieve2試験と題された)は、チミジンキナーゼおよびGM-CSFの組合せ中で改善された形態のチミジンキナーゼを使用して、Reximmune-C2単独-Rexin-Gを伴わない-を調べて行われた試験の延長である。
【0219】
元のGenevieve試験では、16人の対象が、8.0×1010cfus(pts数=7)である最高用量群および最長期間6サイクル(3~6サイクルの範囲)において、平均曝露で3用量レベルにわたって補充された。研究のパートAについては、治療は、これまでに決定された安全な、有効な(最適)用量のRexin-Gおよび漸増用量のReximmune-Cからなっていた。具体的には、1サイクルとして、1、3、5、8、10および12日目にRexin-G、2×1011cfu、3日目にReximmune-C、1.0、2.0または3.0×1010cfu(それぞれ、用量レベルI、II、III)および6~19日目に1gm p.o.1日3回でバラシクロビル。研究のパートBパートについては、毒性がなかったか、毒性がグレード1以下に消滅した対象が、合計6治療サイクルまで療法のさらなるサイクルを受け取ることができた。
【0220】
いずれの用量レベルでも用量を制限する毒性はなかった。研究中の16人の対象について無関係の有害事象が報告されたが、事象の数は少なく(ほとんどの場合に、望ましい期間あたり1または2の出現)、ほとんどは、グレード1または2であった。2人の対象において関連非重篤有害事象が起こり、両方ともグレード2であった。4人の対象は、重篤有害事象を経験し、それらのすべては、研究薬物と関連していないと考えられた。
【0221】
この第I相試験の継続の論理的根拠は、(1)チミジンキナーゼ自体が、特に、その腫瘍がバイスタンダー効果を実証する対象において有効な抗癌剤であると証明し得ること(2)対象の国際グループへの今までの遺伝子送達プラットフォームの投与が、極めて高度の安全性を実証したことおよび(3)動物における体内分布が、肝臓への高度の体内分布を示唆することである。さらに、GM-CSFの添加は、適当な免疫細胞の補充による免疫学的効果および腫瘍関連抗原による腫瘍細胞死滅の増強に寄与し得る。
【0222】
ウイルス粒子の体内分布は、肝臓へが最高であり、脾臓、次いで、肺が続く。これが、肝細胞腫瘍に最初に焦点を合わせることの論理的根拠であり、ここで、用量強度が最高でなくてはならない。また、これらの癌の有効な抗癌剤に対して、高い臨床的に満たされていない要求がある。
【0223】
本明細書において開示される実施形態は、特定の方法および成分および記載されるその他のプロセスに制限されないが、これはこれらが変わり得るからであるということは理解される。本明細書において使用される技術用語は、単に特定の実施形態を説明する目的で使用されるのであって、本発明の範囲を制限するよう意図されないということも理解されるべきである。本明細書においておよび、添付の特許請求の範囲において、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、別に明確に指示しない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「タンパク質」への言及は、1種または複数のタンパク質への言及であり、当業者に公知のその等価物などを含むということも留意しなくてはならない。
【0224】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。具体的な方法、装置および材料が記載されているが、本明細書に記載されるものと同様の任意の方法および材料または等価物は、本発明の実施または試験において使用され得る。
【0225】
学術論文、書籍、マニュアル、公開特許出願および交付済み特許を含めた、本明細書において引用されたすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲において使用される特定の用語および語句の意味が提供される。定義は、本来、制限であるものではなく、本発明の特定の態様のより明確な理解を提供するよう働く。
【実施例2】
【0226】
遺伝子療法適用についてのTK診断アッセイ
動物およびヒト研究によって、[18F]-FHBGを使用するPETイメージングによってvTK発現を測定することの有用性がこれまでに示されている。これらのイメージングツールは、適当な投薬および曝露の評価において個別化代用試験として利用され、どの対象が薬物候補から恩恵を受ける最良の機会を有しているかを調べるために第IB部分において使用されるであろう。
【0227】
この臨床試験は、2つの相に分けられる。Reximmune-C2が、5日のうち3日で単一静脈内用量として投与され、3~8日後に、[18F]FHBG PETスキャニングによってHSV-TK-m2発現の存在がモニタリングされる可能性がある第IA相(第IA相の模式図は、図3に示されている)。バルガンシクロビル(ガンシクロビルの経口形態)投薬を、PETスキャン結果に関わらず8日目に5日間開始する。およそ1週間の休薬期間が続く。各サイクルは3週間の期間とする。
【0228】
用量制限毒性(DLT)を経験するまで、またはNCI-CTCグレード2毒性の2症例が研究薬によって起こるまで(悪心/嘔吐、疲労、拒食症、脱毛症または貧血を除く)、第1およびその後のコホートにおいて3人の患者とする。DLTがない場合には、対象は次の用量レベルに移動する。DLTがない場合には、コホートは、6人の患者に拡大され、2人以上の患者がDLTを示す場合には、用量レベルは進行しない。
【0229】
最大投与用量(MAD)に到達すると、DLTがなかったコホート用量で出発し、ある用量レベルで2人の患者において用量制限毒性が観察されるまで継続する、修飾されたフィボナッチスケジュールが続く。推奨される第2相用量(RP2D)が規定されると、6~12人の患者が補充される。
【0230】
第IB相は、第IA相データに基づいて既定の腫瘍種およびステージの、1用量(RP2D)のReximmune-C2後、3~6日目に[18F]FHBGスキャン陽性である患者において、Reximmune-C2の活性を調査するために設計される。スキャンが陽性である場合には、患者は、プロトコールの第IB相治療相に承認され、RP2Dが、5日内に3用量として投与され、その相の8日目に開始する5日のバルガンシクロビルが続き、1週間の休薬期間が続く。各サイクルは、3週間の期間である。単回用量のReximmune-C2後に[18F]FHBG PETスキャンを有する陰性患者は、5日のバルガンシクロビルが投与され、研究は継続しない。
【0231】
患者DLTは、Reximmune-C2に起因し、薬物投与の最初のサイクル(3週間)の間に生じる以下の事象のうちいずれかの出現として規定される。
【0232】
グレード4の7連続日以上の好中球減少症(すなわち、絶対好中球数(ANC)<500個細胞/mm)または熱性好中球減少症(すなわち、ANC<1000個細胞/mmを伴う発熱≧38.5℃);グレード4の血小板減少症(<25,000個細胞/mmまたは血小板輸血を必要とする出血エピソード);適切な/最大医療介入および/または予防の使用にもかかわらないグレード3以上の吐き気および/または嘔吐;任意のグレード3以上の非血液学的毒性(グレード3注射部位反応、脱毛症、疲労を除く);Reximmune-C2を用いた治療と関連する毒性からの回復の遅延による3週間超の再治療遅延;および前投与の適当な使用にもかかわらないグレード3以上の過敏症反応(「じんま疹を伴うか伴わない、非経口薬物適用(単数または複数)を必要とする症候性気管支痙攣;アレルギー関連浮腫血管性浮腫」として規定される共通毒性基準によって)。
【0233】
Reximmune-C2は、注入ポンプによって15~60分かけて(用量に応じて)静脈内に注入される。Reximmune-C2は、-80℃±10℃で保存された30mlのバイアル中で提供される。
【0234】
この第I相試験では、漸増用量のReximmune-C2の安全性、薬物動態および薬物動力学が調べられる。Reximmune C2の最大耐用量が同定され、推奨される第2相用量が規定される。Reximmune-C2治療の任意の抗腫瘍活性および臨床反応が記載される。
【0235】
この試験での出発用量は、関連ベクタープラットフォーム薬物製品Rexin-GおよびReximmune-Cを用いるヒト臨床安全性実験およびReximmune-C2の21日ラットGLP毒性学研究の結果に基づいている。
【0236】
目的
研究の主目的は、肝臓への進行した原発性または転移性腫瘍を有すると診断されたこの研究に登録された患者における、1週目における5日内で静脈内に投与される一連の3用量と、それに続く、2週目におけるバルガンシクロビルの5日用量からなる3週間のサイクルにわたって投与されるReximmune-C2の、最大耐用量(MTD)、用量制限毒性(DLT)、安全性および推奨される第2相用量(RP2D)を決定することである。
【0237】
第2の目的として、(i)Reximmune-C2の血漿薬物動態の評価、(ii)一連の[18F]FHBG PETおよび/またはSPECTイメージングによるReximmune-C2からのHSV-TK-m2タンパク質発現の代用物の評価、(iii)Reximmune-C2の抗腫瘍活性の任意の予備的証拠の説明および評価および(iv)レトロベクターgp70 env、末梢血リンパ球(PBL)において複製可能なレトロウイルスに対する抗体、PBLのゲノムDNAへのベクター組込みおよび循環hGM-CSFタンパク質について試験する臨床研究を提供するためが挙げられる。
【0238】
方法
研究デザイン:並行群、オープンラベル用量漸増、3センター臨床試験
【0239】
階層化:なし。
【0240】
療法:Reximmune-C2が、静脈内注入として別個の患者に投与される。第IA相では-Reximmune-C2を調べる-用量は、DLTが観察されるまで、患者のコホート間で漸増される。RP2Dでは、さらなる患者が補充される。第IB相では、患者は、HSV-TK-m2の発現について[18F]FHBG PETによってプレスクリーニングされる。HSV-TK-m2を発現するものは、さらなる用量のReximmune-C2を受け取る。患者は、過敏症反応が生じるまで前投薬されない。
【0241】
統計的手法:統計分析には、記述統計学が使用される。
【0242】
サンプルサイズ決定:正確なサンプルサイズは、観察された毒性に応じて変わるので規定され得ない。各スケジュールについて、3~6人の対象のコホートが、MTDが規定されるまで各用量レベルで治療される。MTDが同定されると、この用量レベルが、最大12人の患者に拡大され、用量およびスケジュールの耐容性および薬物動態をより良好に規定するために治療される。45~70人の対象が登録され、IA部分では33~46人を有すると予測される。
【0243】
登録基準
対象は、研究における無作為化に適格であるために、以下の組み入れ基準のすべてを満たさなければならない。
【0244】
1.標準療法に対して難治性であるか、またはそれに対する根治的標準療法が存在しない、組織学的に確認された、進行したステージの、原発性または転移性の肝臓の成人固形腫瘍の診断。
【0245】
2.X線写真上で測定可能または評価可能な疾患の証拠。
【0246】
3.米国国立癌研究所(National Cancer Institute)(NCI)共通毒性基準(CTC)(バージョン4.0)グレード<1に、任意の先行する放射線療法、化学療法または外科的手順のすべての急性毒性効果が消滅していなくてはならない。
【0247】
4.年齢は、>18歳でなくてはならない。
【0248】
5.ホルモン療法を除く抗新生物療法の最終用量が、>21日でなくてはならない。外部照射療法は、<25%骨髄含有骨格でなくてはならない。
【0249】
6.患者は、B型およびC型肝炎陽性であってもよい(患者は、その抗ウイルス薬物適用を継続し得る)。
【0250】
7.患者は、脳照射されており、6週間安定であれば、任意の数の頭蓋内転移を有してもよい。患者は、抗発作医薬を服用していてもよいが、ステロイドを使用していてはならない。
【0251】
8.カルノフスキーパフォーマンスステータスが、≧70でなくてはならない。
【0252】
9.少なくとも3ヶ月の平均余命
【0253】
10.患者は、PETスキャンのためにセントルークスメディカルセンター(St. Luke’s Medical Center)を訪問できなくてはならない。
【0254】
11.必要なベースライン実験室データとして以下が挙げられる:
【0255】
【表1】
【0256】
12.その疾患の新生物的性質を承知しており、続く手順、療法の実験性、代替案、可能性ある利益、副作用、危険および不快症状を知らされていることを示す、署名したインフォームドコンセント。
【0257】
13.予定された訪問、治療プランおよび実験室検査に従う意思および能力。
【0258】
以下のいずれかの存在が、研究登録から対象を排除する。
【0259】
1.任意のその他の治験剤を含めた任意の抗癌療法との併用療法。
【0260】
2.スクリーニングの6週間以内の既知頭蓋内浮腫またはCVA。
【0261】
3.妊娠中または母乳栄養中の女性。女性対象は、有効な避妊を使用することに同意しなくてはならないか、外科的に生殖不能でなくてはならないか、または閉経後でなくてはならない。男性対象は、有効な避妊を使用することに同意しなくてはならないか、または外科的に生殖不能でなくてはならない。有効な避妊の定義は、治験責任医師または指定された同僚の判断に基づく。すべての危険な状態にある女性対象は、研究治療の開始前7日内に陰性妊娠検査を有さなくてはならない。
【0262】
4.臨床的に有意な候補疾患(ニューヨーク心臓協会、クラスIIIまたはIV)。
【0263】
5.インフォームドコンセントを妨げる認知症または精神状態の変化。
【0264】
6.主席治験責任医師の判断において、研究参加または研究薬物投与と関連する危険を増大し得るか、または研究結果の解釈を干渉し得る、その他の重度の、急性もしくは慢性の医学的もしくは精神医学的状態または検査所見の異常は、対象をこの研究に不適切とする。
【0265】
7.ガンシクロビルクラスの抗ウイルス薬に対する既知副作用。
【0266】
8.HIV陽性であるとわかっている患者。
【0267】
9.患者は、スクリーニングの時点でステロイドを服用していてはならない。
【0268】
出発用量およびスケジュールの論理的根拠
Reximmune-Cは、1.0、2.0または3.0×1010cfu(サイクルの3日目に、それぞれ、用量レベルI、II、III)の範囲にわたって16人の患者に投薬された。いずれの用量レベルでも用量制限毒性はなかった。研究中の16人の患者について無関係の有害事象は報告されたが、事象の数は少なく(ほとんどの場合に、望ましい期間あたり1または2の出現)、ほとんどは、グレード1または2であった。2人の患者において関連非重篤有害事象が起こり、両方ともグレード2であった。4人の患者は、重篤有害事象を経験し、それらのすべては、研究薬物と関連していないと考えられた。Reximmune-Cの最適用量およびスケジュールを決定する前に治験を終えた。この治験、新規Genevieve-2試験では、最初の投薬は、21日目毒性学およびHSV-TK-m1研究に基づく。将来の投薬は、mLあたりのcfuよりもより正確な力価の尺度である総ウイルス粒子(TVP)を使用して進行する。
【0269】
スケジュールは、Reximmune-C2曝露は、腫瘍細胞のすべてを形質導入しないという論理的根拠に基づいている。したがって、患者は、5日の期間にわたってサイクル中で3回投薬される。
【0270】
GDSに対する曝露とHSV-TK-m2(およびhGM-CSF)の発現の間の時間は、48~72時間であると推定される。したがって、Reximmune-C2の3回目の用量の72時間後、バルガンシクロビルを開始する。用量(腎機能のために調整される)は、従来の抗ウイルス薬用量レベルで与える。バルガンシクロビルの可能性ある毒性およびガンシクロビルの5日間は、HSV-TK-m2を含有生する細胞の大部分を死滅させるのに十分であるはずであるという公開された知見のために、5日の療法を選択した。Reximmune-C2およびバルガンシクロビルの両方の可能性がある毒性のために、これに、およそ9日の休薬期間を続ける。hGM-CSFは、バルガンシクロビル添加の時点で、腫瘍細胞アポトーシスの際に現れ得る任意の腫瘍関連抗原(TAA)の提示に影響を及ぼすのに十分な濃度であり得る。
【0271】
薬物動態のために、血漿サンプルを、サイクル1中の第1および第3の用量の後におよびサイクル2中の第1の用量後に採取する。
【0272】
分布は、主として肝臓であるので、そこでおよび関連のために骨髄で毒性を注意深くモニタリングする。
【0273】
この臨床プロトコールは、原発性肝細胞または肝臓へ転移性の腫瘍のいずれかの進行した悪性腫瘍を有する患者への静脈内注入によるReximmune-C2の投与を求める。2つのパートとなる:第IA相(用量漸増3用量/週、どの3週間も)および第IB相(Reximmune-C2の1用量後のプレスクリーニングおよび[18F]FHBGスキャン)。PETスキャンが陽性である場合には、患者は研究を継続する。PETスキャンが陰性である場合には、患者は、5日のバルガンシクロビルを受け取り、治験を継続しない。第IA相のために、用量漸増は、加速された力価測定設計をたどり、研究薬物に起因するDLTの1症例またはNCI-CTCグレード2毒性の2症例のいずれか(悪心/嘔吐、疲労、拒食症、脱毛症または貧血を除く)が観察されるまで、用量レベルあたり3人の患者を組み込む。その後、臨床プロトコールにおける投薬は、用量制限毒性が達成されるまで、修飾されたフィボナッチスケジュールをたどる。
【0274】
治験設計
これは第1相、オープンラベル、4センター用量漸増試験である。DLTが観察され、MTDが規定されるまで、用量を増大する。
【0275】
Reximmune-C2は、15~60分かけてIV注入として投与される。33~70人の患者が研究の経過の間に治療されると予想される。
【0276】
第IA相のために、Reximmune-C2の用量は、6.0×1011TVPから漸増される。加速された用量漸増相では、各用量レベルで3人の患者のコホートが登録される。用量漸増増分は、DLTまたは2人のCTCグレード2以上毒性が観察されるまでに100%となる。加速された用量漸増が終了すると、標準用量漸増における新規患者の用量漸増は、修飾されたフィボナッチスキームをたどる(すなわち、67%、50%、40%、33%および25%の用量増分)。用量レベルあたり最小で3人の患者が登録される。第IB相のために、Reximmune-C2の用量は、RP2Dとなる。DLTが評価される。ある用量レベルで6人の患者のうち≧2人でDLTが観察される場合には、さらなる用量漸増はなく、この用量レベルが、最大投与用量(MAD)を規定する。
【0277】
MADを少し下回る用量は、MTDと考えられる。MTDが規定されると、第2相臨床研究のための推奨される用量として、薬物動態および薬物動力学パラメータおよび適合性をさらに特性決定するために、この用量レベルは、最大12人の患者に拡大され得る。
【0278】
患者の治療
それ自体に対するおよび環境に対する過度の曝露を最小化する手順に精通する有資格者のみが、適当な環境における生物学的薬剤の調製、取り扱いおよび安全な廃棄に取り組まなければならない。
【0279】
Reximmune C2は、HSV-TK-m2およびhGM-CSFをコードする遺伝子を含有するモロニーマウス複製不能なレトロベクター粒子である。薬物製品は、DMEM(低グルコース)、RD-レトロベクター粒子、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、ヒト血清アルブミン、n-酪酸、Pulmozyme(登録商標)、マグネシウムおよびその他の賦形剤を含有する。
【0280】
薬物製品は、1バイアルサイズ:20mmフィニッシュを有する30mLタイプ1透明ガラスバイアル(25mLの≧1.0×1010TVPを含有する)で入手可能である。バイアルは、20mmテフロンコートされた血清ストッパーおよび20mmフリップオフラッカー塗フリップトップで閉じられる。
【0281】
Reximmune-C2は、注入ポンプによって15分かけて最大100mL、30分かけて>100mL~200mL、45分かけて>200mL~300mL、60分かけて>300mL~400mLの容量が静脈内に投与される。400mLを超える容量が、治験責任医師およびGleneagles Medical Monitorによって決定される速度で投与される。スケジュールのためにMTDが同定されると、必要であれば(また治験責任医師およびGleneagles Medical Monitor間で一致するように)、投与の時間が変更され得る。
【0282】
バルガンシクロビルは経口的に投与され、食物とともに摂取されなければならない。血清クレアチニンまたはクレアチニンクリアランスレベルは、注意深くモニタリングされなければならない。投与量調整は、以下の表に示されるようなクレアチニンクリアランスに基づいて必要とされる。バルガンシクロビル投薬は、サイクルの7~9日目に始まり得るが、5連続日間与えられなければならない。
【0283】
クレアチニンクリアランスは、血清クレアチニンから以下の式によって算出され得る:
【0284】
男性について={(140-年齢[年])×(体重[kg])}/{(72)×(0.011×血清クレアチニン[micromol/L])}
【0285】
女性について=0.85×男性値。
【0286】
【表2】
【0287】
第1相研究の目的は、治験剤のMTD、DLT、安全性およびRP2Dを確立することである。したがって、毒性効果は主な研究エンドポイントであり、継続的に評価される。容易に測定され、再評価され得る患者が疾患を有する場合には、反応情報が得られる。これらの評価は、どのサイクルでも行われる。さらに、反応は、療法に対する確認された反応として実証されるために、少なくとも6週間離れた2つの実験の間に留意されなければならない。
【0288】
- 毒性について評価可能-すべての患者が、任意の研究薬物を受け取る場合には、毒性について評価可能となる。
- 反応について評価可能-少なくとも単一サイクルの治療を受け、腫瘍再評価を有していたすべての患者が、反応について評価可能と考えられる。さらに、早期の進行性の疾患を発症する患者はまた、反応について評価可能と考えられる。少なくとも2サイクルの治療の間、療法を受けている患者は、その反応が評価される。
【0289】
抗腫瘍有効性の決定は、評価の免疫関連反応基準(irRC)システムに従ってなされた目的腫瘍評価に基づき、治験責任医師による治療決定は、これらの評価に基づく。
【0290】
Reximmune-C2におけるGM-CSF導入遺伝子の存在および腫瘍効果に寄与する免疫応答の可能性を考え、免疫応答基準が、臨床反応のために利用される。免疫応答基準対RECIST1.1を使用する理由は以下のとおりである:(1)測定可能な抗腫瘍活性の出現は、細胞傷害性療法についてよりも免疫療法についてより長くかかり得る;(2)免疫療法に対する反応は、従来のPD後に起こる;(3)免疫療法の中断は、いくつかの場合には、PDが確認されるまで(普通、反応に対して行われるように)適当ではないことがある;(4)「臨床的に不充分な」PD(例えば、その他の反応性病変の存在下での少ない新規病変)の許容が推奨される;および(5)耐久性のあるSDが、抗腫瘍活性を表し得る。
【0291】
RECIST 1.1と免疫関連反応基準間との比較が、以下に列挙される:
【0292】
【表3】
【0293】
評価のタイミングおよび種類
すべてのベースラインイメージングベースの腫瘍評価は、治療の開始に先立って14日内に実施されるべきである。この研究の目的上、第IA相および第IB相の両方について、すべての患者の腫瘍評価は、治療の開始の9週間後に開始し、その後6週間ごとに再評価されなければならない(例えば、9週間、15週間、21週間など)。反応性腫瘍(irCRまたはirPR)を有するすべての患者は、反応の最初の実証の6週間以上後に確認される反応を有さなくてはならない。腫瘍進行を有するすべての患者は、進行の最初の実証の6週間以上後に確認される進行を有さなくてはならない。
【0294】
ベースラインおよびフォローアップの間に各々同定され、報告された病変を特性決定するために、評価の同一方法および同一技術が、使用されなくてはならない。治療の抗腫瘍効果を評価するために両方法が使用された場合には、イメージングベースの評価が、臨床実験による評価にとって好ましい。すべての測定値は、メートル表記法で記録されなければならない。
【0295】
CTおよびCT/PETは、腫瘍評価のための方法である。従来のCTは、連続してスライス厚が10mm以下の切断で実施されなければならない。スパイラルCTは、5mmの連続再構成アルゴリズムを使用して実施されなければならない。これは、胸部、腹部および骨盤に適用される。
【0296】
胸部CTは、肺病変の評価のために使用される。
【0297】
臨床病変は、それらが表在性である(例えば、皮膚結節、触知できるリンパ節)場合にのみ測定可能と考えられる。皮膚病変の場合には、病変の大きさを推定するための定規を含むカラー写真による実証が推奨される。
【0298】
18F]FHBG PET-CTスキャンは、患者が第IA相において第1のReximmune-C2の3用量(サイクル1)を受け取った後に、また第IB相におけるReximmune-C2のスクリーニング用量後に得る。第IA相では、治験責任医師の裁量で、メディカルモニターの承認をもって、その後のサイクルにおいてさらなる[18F]FHBG PET-CTスキャンを得てもよい。
【0299】
目的の反応評価のために臨床的に容易に近づけない腫瘍病変、例えば、内臓病変を測定するために、超音波が使用されてはならない。表在性の触知できる節、SC病変および甲状腺結節の臨床測定の可能性ある代替案である。超音波はまた、普通は、臨床検査によって評価される表在性病変の完全消失を確認するのに有用である可能性がある。
【0300】
内視鏡、腹腔鏡検査および放射性核種スキャンは、反応評価に使用されてはならない。
【0301】
供給源確認のために、すべての患者のファイルおよび放射線学的イメージが入手可能でなくてはならず、抗腫瘍活性の最終評価のための院外再検討のために提出され得る。
【0302】
腫瘍病変の測定可能性
ベースラインでは、腫瘍病変は、治験責任医師によって、以下に記載されるような基準によって測定可能または測定不能と分類される。
- 測定可能:少なくとも1次元(記録されるべき最長直径)で、従来技術を用いて≧20mmと、またはスパイラルCTスキャンを用いて≧10mmと正確に測定され得る病変。臨床病変は、それらが表在性である(例えば、皮膚結節、触知できるリンパ節)場合にのみ測定可能と考えられる。
- 測定不能:小さい病変(従来技術を用いて最長直径<20mmまたはスパイラルCTスキャンを用いて<10mm)および、骨病変、軟膜疾患、腹水症、胸腔または心膜液貯留、皮膚または肺のリンパ管炎、確認されずイメージング技術によってたどられる腹部腫瘤、嚢胞性病変、これまでに放射線照射された病変および間接的な証拠のみによって実証された疾患(例えば、アルカリホスファターゼなどの臨床検査によって)を含めたすべてのその他の病変。
【0303】
注記:細胞学および組織学:測定可能な疾患が、孤立性病変に制限される場合には、その新生物的性質は、細胞学/組織学によって確認されなければならない。
【0304】
療法に対する反応はまた、独立した、中心的、放射線学的盲検再検討によって評価され得る。
【0305】
腫瘍測定値の記録
臓器に含まれるすべてを代表する、最大10病変までのすべての測定可能な病変が、ベースラインで、および治療の間の規定された間隔で、標的病変として同定され、測定され、記録されなければならない。標的病変は、その大きさ(最長直径を有する病変)および正確な反復性測定(イメージング技術かまたは臨床的にのいずれか)に対するその適合性に基づいて選択されなければならない。
【0306】
各標的病変の最長直径を記録する。すべての標的病変の最長直径の合計を算出し、ベースラインとして記録する。最長直径の合計は、治療の間の疾患の測定可能な寸法の目的腫瘍反応をさらに特性決定するための参照として使用される。すべての測定値は、センチメートルでメートル表記法で記録されなければならない。
【0307】
すべてのその他の病変(または疾患の部位)は、非標的病変として同定されなければならず、同様にベースラインとして記録されなければならない。測定値は必要ではなく、これらの病変は、「存在」または「不在」としてたどられる。
【0308】
腫瘍反応の定義
腫瘍反応の評価のために、免疫関連反応基準基準に従う。
【0309】
免疫関連反応基準による全体的な反応の決定
固形腫瘍の標的病変
- 完全寛解(irCR)は、すべての病変の消失(測定可能であろうとなかろうと、および新規病変なし);最初に実証された日付から6週間以上の反復した連続評価による確認として定義される。
- 部分反応(irPR)は、最初の実証から少なくとも6週間後の連続評価によって確認された、ベースラインに対する腫瘍量の>50%減少として定義される。
- 進行性疾患(irPD)は、治療が開始してから記録された最初に実証された病変の日付から6週間以上の反復した連続評価によって確認される、最下点(最小の記録された腫瘍量)に対する腫瘍量の>25%増大または1つもしくは複数の新規病変の出現として定義される。
- 安定疾患(irSD)は、irPDの不在下でirCRまたはirPRの基準を満たさないこととして定義される。
【0310】
固形腫瘍の非標的病変
測定可能な腫瘍が、反応またはirSDの基準を満たした場合には、反応またはirSDとirPD間を区別するために、治療の間に現れるかまたは悪化させる任意の滲出液の新生物の起源の細胞学的確認が必須である。
【0311】
腫瘍反応の確認
irPRまたはirCRの状態が割り当てられるには、反応性腫瘍を有する患者における腫瘍測定値の変化は、反応の基準が最初に満たされた後≧6週間実施されなければならない反復研究によって確認されなければならない。irSDの場合には、フォローアップ測定は、6週間の最小間隔で研究エントリー後少なくとも1回irSD基準を満たしていなければならない。標的および非標的病変の両方存在する場合には、個々の評価を別個に記録する。反応の全体的な評価は、表IIIに表されるようなすべてのパラメータを含む。
【0312】
最良の全体的な反応は、治療の開始から疾患進行/再発までの記録される最良の反応である(腫瘍進行の参照として、治療が開始してから記録された最小の測定値をとり)。患者の最良の反応の割り当ては、測定および基準の確認の両方の達成に応じて変わる。
【0313】
患者は、無作為化後腫瘍評価がない場合に、反応について評価可能ではない(NE)と定義される。これらの患者は、腫瘍反応データの分析において失敗とカウントする。
【0314】
臨床有効性評価:パフォーマンスステータス
患者を、表IVに記載するように、カルノフスキーパフォーマンスステータススケールに従って段階分けする。
【0315】
【表4】
【0316】
腫瘍マーカー反応
評価の方法
多数の悪性腫瘍において有効性の十分に検証された尺度ではないが、腫瘍マーカーの連続決定が、療法の間の病気の経過をたどるための可能性のあるさらなる手段としての、容易に実施される、高価でない、定量的な臨床ツールの評価を可能にし得る。
【0317】
腫瘍マーカー減少または増加は、結果の目的手段として評価されない。特に、腫瘍マーカー値が上がることは、腫瘍進行の定義において考慮されないが、X線写真腫瘍進行が起こったか否かを実証するための反復性のX線写真評価を促さなくてはならない。
【0318】
算出されたエンドポイント定義
生存は、最初の研究薬物治療の日付から死亡の日付までの時間として定義される。死亡の確認がない場合には、生存時間は、フォローアップの最終日で打ち切られる。
【0319】
腫瘍反応速度は、目的のirCRまたはirPRの何らかの証拠を有する患者の割合として規定される。
【0320】
TTPは、治療から腫瘍進行の最初に確認される実証まで、または任意の原因による死亡までの時間と定義される。腫瘍進行の目的証拠を有さない患者および研究治療から除去されるかまたは研究治療以外の抗腫瘍治療が与えられる患者については、TTPは打ち切られる。腫瘍マーカー進行の基準を満たす腫瘍マーカー増大は、腫瘍進行の適切な目的証拠を構成しない。しかし、このような腫瘍マーカー増大は、目的腫瘍進行が起こったか否かを実証するための反復性のX線写真評価を促さなくてはならない。
【0321】
TTFは、治療から腫瘍進行の最初に確認される実証まで、または治療から離れる日付まで、またはどれでも最初に来る任意の原因による死亡までの時間と定義される。分析の時点で依然として治療中である患者および目的反応の間に医師によって療法から除去される患者および治療から離れる日付で、目的腫瘍進行の証拠がない患者は、離脱が医学事象の出現によらない限り、治療失敗を経験したと考えられない。これらの患者については、TTFは、研究から離れた日付で打ち切られる。TTFの打ち切りはまた、最初の目的腫瘍進行、研究から離れる日付または死亡の前に、研究治療以外の抗腫瘍治療が与えられる患者において実施される。腫瘍マーカー進行の基準を満たす腫瘍マーカー増大は、治療失敗の適切な目的証拠を構成しない。しかし、このような腫瘍マーカー増大は、目的腫瘍進行(ひいては、治療失敗)が起こったか否かを実証するための反復性のX線写真評価を促さなくてはならない。
【0322】
最初の決定的なパフォーマンスステータス悪化までの時間は、治療から、パフォーマンスステータスがベースラインでよりも悪くなかった最後の時間まで、または決定的な確認されたパフォーマンスステータス悪化の事前の実証がない中での任意の原因による死亡までの時間である。決定的なパフォーマンスステータス悪化がない患者および研究から除去されるかまたは研究治療以外の抗腫瘍治療を与えられた患者については、決定的なパフォーマンスステータス悪化は打ち切られる。
【0323】
最初の決定的な体重減少までの時間は、治療からベースラインからの体重減少パーセントが<5%であった最後の時間まで、または決定的な体重減少の事前の実証のない中での任意の原因による死亡までの時間と定義される。決定的な体重減少がない患者および研究から除去されるかまたは研究治療以外の抗腫瘍治療を与えられた患者については、決定的な体重減少は打ち切られる。
【0324】
データのさらなる評価は、最良の目的反応、確認されたおよび確認されていない目的反応割合、研究治療の期間、新規病変の最初の出現までの時間、腫瘍反応までの時間、24週での安定な疾患および24週での進行のない生存の割合を含み得る。データは、必要に応じて、RECIST 1.1基準によって評価され得る。
【0325】
治療投与評価
第IA相および第IB相の両方について、用量強度は、総用量/サイクル×治療の開始から最後の治療の間の週数+13日として規定される。
【0326】
相対用量強度パーセントは、同一期間に対して計画された用量強度によって除された実際の用量強度の割合として規定される。
【0327】
【表5】
【0328】
【表6】
【表7】
【0329】
本明細書において、好ましい実施形態が示され、記載されているが、このような実施形態は単に例として提供されるということは当業者には明らかであろう。多数の変法、変更および置換が、開示される実施形態から逸脱することなく当業者には自明であろう。実施形態の実施において、本明細書に記載される実施形態の種々の代替物が使用され得ることは理解されなくてはならない。以下の特許請求の範囲が、実施形態の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造ならびにその等価物がそれによって対象とされると意図される。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
遺伝子療法治療から恩恵を受けることができる患者を同定するための方法であって、
a)患者に、HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与することと、
b)患者に、放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を投与することと、
c)患者中に存在する放射活性シグナルの相対量および位置を測定することと、
d)患者における病変の位置を決定することと
を含み、特定の閾値を上回る放射活性シグナルを有し、放射活性シグナルの位置が、患者の工程(d)において測定された病変と相関する患者が、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができると同定される、方法。
[2]
HSV-TKの基質が、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、アシクロビル、バラシクロビル、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体からなる群から選択される、[1]に記載の方法。
[3]
HSV-TKの基質が、FHBG(9-(4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である、[1]に記載の方法。
[4]
放射活性トレーサーが、 18 F、 64 Cu、 99m Te、 11 C、 14 C、 124 I、 123 I、 131 I、 15 O、 13 Nおよび/または 82 RbClである、[1]に記載の方法。
[5]
放射活性トレーサーが 18 Fである、[1]に記載の方法。
[6]
HSV-TK基質が、[ 18 F]FHBG(9-(4- 18 F-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である、[1]に記載の方法。
[7]
放射活性トレーサーシグナルが、陽電子放射型断層撮影(PET)スキャニングを使用して測定される、[1]に記載の方法。
[8]
閾値レベルが、少なくとも2.0SUV(標準化取り込み値)を上回るかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る、[7]に記載の方法。
[9]
閾値レベルが、約1.0SUVと約3.0SUVの間であるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを約20%~約40%の間上回る、[7]に記載の方法。
[10]
HSV-TKレトロウイルス粒子を用いて患者を治療することをさらに含む、[8]および[9]に記載の方法。
[11]
コードされるHSV-TKポリヌクレオチドのウイルス核局在性配列(NLS)が突然変異している、[1]に記載の方法。
[12]
チミジンキナーゼポリヌクレオチドが、発現されるチミジンキナーゼタンパク質のアミノ末端にかまたはその付近に核外輸送配列(NES)を含むように突然変異している、[1]に記載の方法。
[13]
チミジンキナーゼポリヌクレオチドが、発現されるチミジンキナーゼタンパク質の基質結合を増大するように突然変異している、[1]に記載の方法。
[14]
突然変異が、A168Hである、[13]に記載の方法。
[15]
チミジンキナーゼポリヌクレオチドを、ウイルス核局在性配列(NLS)を除去し、発現されるチミジンキナーゼタンパク質のアミノ末端にかまたはその付近に核外輸送配列(NES)を含むように突然変異させることをさらに含む、[13]に記載の方法。
[16]
HSV-チミジンキナーゼポリヌクレオチドが、配列番号18である、[1]に記載の方法。
[17]
ウイルスエンベロープで発現されるターゲッティングタンパク質をさらに含む、[16]に記載の方法。
[18]
ターゲッティングタンパク質が、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカンまたはRGDと結合する、[17]に記載の方法。
[19]
ターゲッティングタンパク質が、コラーゲンと結合する、[17]に記載の方法。
[20]
ターゲッティングタンパク質が、配列番号25である、[19]に記載の方法。
[21]
病変の治療を必要とし、遺伝子療法治療から恩恵を受けることができる患者または対象を同定するための方法であって、
a)HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与し、患者から得た細胞を、HSV-チミジンキナーゼをコードするポリヌクレオチドを用いて形質導入することと、
b)細胞を、放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を用いて処理することと、
c)標的組織中に存在する放射活性シグナルの相対量を測定することと、
d)放射活性標識されたHSV-TK基質のレベルが、閾値を上回る患者を同定することと、
e)患者における病変の位置を決定することと、
e)患者における測定された放射活性シグナルが、特定の閾値を上回り、測定された放射活性シグナルの位置が、患者の工程(e)において測定された病変と相関する場合に、前記患者または対象を、HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を用いて治療することと
を含む、方法。
[22]
HSV-TKの基質が、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バル-ガンシクロビル、アシクロビル、バル-アシクロビル(val-acivlovir)、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体からなる群から選択される、[21]に記載の方法。
[23]
HSV-TKの基質が、FHBG(3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である、[21]に記載の方法。
[24]
放射活性トレーサーが、 18 F、 64 Cu、 99m Te、 11 C、 14 C、 124 I、 123 I、 131 I、 15 O、 13 Nおよび/または 82 RbClである、[21]に記載の方法。
[25]
放射活性トレーサーが 18 Fである、[21]に記載の方法。
[26]
HSV-TK基質が、[ 18 F]FHBG(9-(4- 18 F-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である、[21]に記載の方法。
[27]
放射活性トレーサーシグナルが、陽電子放射型断層撮影(PET)スキャニングを使用して測定される、[21]に記載の方法。
[28]
閾値レベルが、少なくとも2.0SUV(標準化取り込み値)を上回るかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る、[27]に記載の方法。
[29]
閾値レベルが、約1.0SUVと約3.0SUVの間である、[27]に記載の方法。
[30]
HSV-TKレトロウイルスベクター粒子が、第2の治療用ポリヌクレオチドを含む、[28]および[29]に記載の方法。
[31]
コードされるHSV-TKポリヌクレオチドのウイルス核局在性配列(NLS)が突然変異している、[21]に記載の方法。
[32]
チミジンキナーゼポリヌクレオチドが、発現されるチミジンキナーゼタンパク質のアミノ末端にかまたはその付近に核外輸送配列(NES)を含むように突然変異している、[21]に記載の方法。
[33]
チミジンキナーゼポリヌクレオチドが、発現されるチミジンキナーゼタンパク質の基質結合を増大するように突然変異している、[21]に記載の方法。
[34]
突然変異が、A168Hである、[23]に記載の方法。
[35]
チミジンキナーゼポリヌクレオチドを、ウイルス核局在性配列(NLS)を除去し、発現されるチミジンキナーゼタンパク質のアミノ末端にかまたはその付近に核外輸送配列(NES)を含むように突然変異させることをさらに含む、[23]に記載の方法。
[36]
HSV-チミジンキナーゼポリヌクレオチドが、配列番号18である、[21]に記載の方法。
[37]
ウイルスエンベロープで発現されるターゲッティングタンパク質をさらに含む、[36]に記載の方法。
[38]
ターゲッティングタンパク質が、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカンまたはRGDと結合する、[37]に記載の方法。
[39]
ターゲッティングタンパク質が、コラーゲンと結合する、[37]に記載の方法。
[40]
ターゲッティングタンパク質が、配列番号25である、[39]に記載の方法。
[41]
形質導入されたHSV-チミジンの酵素活性を測定するための方法であって、
a)HSV-TKポリヌクレオチドを含む遺伝子療法レトロウイルス粒子を投与し、患者から得た細胞を、HSV-チミジンキナーゼをコードするポリヌクレオチドを用いて形質導入することと、
b)細胞を、放射活性トレーサーに付着しているHSV-TKの基質を用いて処理することと、
c)標的組織中に存在する放射活性シグナルの相対量を測定することと
を含む、方法。
[42]
HSV-TKの基質が、FHBG(9-[4-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)、FHPG(9-([3-フルオロ-1-ヒドロキシ-2-プロポキシ]メチル)グアニン)、FGCV(フルオロガンシクロビル)、FPCV(フルオロペンシクロビル)、FIAU(1-(2’-デオキシ-2’-フルオロ-1-β-D-アラビノフラノシル)-5-ヨードウラシル)、FEAU(フルオロ-5-エチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FMAU(フルオロ-5-メチル-1-β-D-アラビノフラノシルウラシル)、FHOMP(6-((1-フルオロ-3-ヒドロキシプロパン-2-イルオキシ)メチル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、ガンシクロビル、バル-ガンシクロビル、アシクロビル、バルアシクロビル(val-ac
ivlovir)、ペンシクロビル、放射標識された、N-1に4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル側鎖を有するピリミジン(HHG-5-FEP)、および2,3-ジヒドロキシプロピル、アシクロビル-、ガンシクロビル-またはペンシクロビル-様側鎖を有する、5-(2-ヒドロキシエチル)-または5-(3-ヒドロキシプロピル)置換ピリミジン誘導体からなる群から選択される、[41]に記載の方法。
[43]
HSV-TKの基質が、FHBG(3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である、[41]に記載の方法。
[44]
放射活性トレーサーが、 18 F、 64 Cu、 99m Te、 11 C、 14 C、 124 I、 123 I、 131 I、 15 O、 13 Nおよび/または 82 RbClである、[41]に記載の方法。
[45]
放射活性トレーサーが 18 Fである、[41]に記載の方法。
[46]
HSV-TK基質が、[ 18 F]FHBG(9-(4- 18 F-フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン)である、[41]に記載の方法。
[47]
放射活性トレーサーシグナルが、陽電子放射型断層撮影(PET)スキャニングを使用して測定される、[41]に記載の方法。
[48]
閾値レベルが、少なくとも2.0SUV(標準化取り込み値)を上回るかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを少なくとも20%上回る、[47]に記載の方法。
[49]
閾値レベルが、約1.0SUVと約3.0SUVの間であるかまたはPETスキャンでのバックグラウンドを約20%~約40%の間上回る、[47]に記載の方法。
[50]
HSV-TKレトロウイルス粒子を用いて患者を治療することをさらに含む、[48]および[49]に記載の方法。
[51]
コードされるHSV-TKポリヌクレオチドのウイルス核局在性配列(NLS)が突然変異している、[41]に記載の方法。
[52]
チミジンキナーゼポリヌクレオチドが、発現されるチミジンキナーゼタンパク質のアミノ末端にかまたはその付近に核外輸送配列(NES)を含むように突然変異している、[41]に記載の方法。
[53]
チミジンキナーゼポリヌクレオチドが、発現されるチミジンキナーゼタンパク質の基質結合を増大するように突然変異している、[41]に記載の方法。
[54]
突然変異が、A168Hである、[53]に記載の方法。
[55]
チミジンキナーゼポリヌクレオチドを、ウイルス核局在性配列(NLS)を除去し、発現されるチミジンキナーゼタンパク質のアミノ末端に核外輸送配列(NES)を含むように突然変異させることをさらに含む、[53]に記載の方法。
[56]
HSV-チミジンキナーゼポリヌクレオチドが、配列番号18である、[41]に記載の方法。
[57]
ウイルスエンベロープで発現されるターゲッティングタンパク質をさらに含む、[56]に記載の方法。
[58]
ターゲッティングタンパク質が、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカンまたはRGDと結合する、[57]に記載の方法。
[59]
ターゲッティングタンパク質が、コラーゲンと結合する、[57]に記載の方法。
[60]
ターゲッティングタンパク質が、配列番号25である、[59]に記載の方法。
参考文献
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0330】
配列
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
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