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特許7522559多孔質複合材構造体を製造するためのツールアセンブリ、並びにこれに関連するシステム及び方法
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  • 特許-多孔質複合材構造体を製造するためのツールアセンブリ、並びにこれに関連するシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】多孔質複合材構造体を製造するためのツールアセンブリ、並びにこれに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/54 20060101AFI20240718BHJP
   B29C 70/44 20060101ALI20240718BHJP
   B29C 43/56 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B29C70/54
B29C70/44
B29C43/56
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020024106
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2020168854
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】16/291,300
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】タラ コバックス ベーカー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エル.セレンクシッツ
(72)【発明者】
【氏名】ホーリー ジェイ.トーマス
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-194815(JP,A)
【文献】米国特許第04379101(US,A)
【文献】特開2006-218827(JP,A)
【文献】特開2004-188965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
B29C 43/00-43/58
B29C 35/00-35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を含有する穿孔処理が施されていない未加工レイアップから多孔質複合構造体を製造するためのツールアセンブリであって、
前記未加工レイアップを保持するように構成された第1ツール部材及び第2ツール部材と、
前記未加工レイアップが硬化する間に、前記未加工レイアップを貫通するように流体を流すことにより、前記未加工レイアップに含まれる樹脂マトリクスを部分的に押しのけて孔を形成するように構成された流体移動装置と、
前記流体が前記未加工レイアップを貫通するように流れるときに、前記流体を分散させるように構成されたマニホールドシステムと、を含む、ツールアセンブリ。
【請求項2】
前記第1ツール部材は、第1内部空間を有する第1ボディ部と、前記第1内部空間と流体接続された第1流体口と、を含み、前記第1ツール部材は、さらに、前記第1内部空間と流体接続された複数の第1貫通孔を有する第1ツール面を含む、請求項1に記載のツールアセンブリ。
【請求項3】
前記第2ツール部材は、前記第1ツール部材の反対側に配置されており、第2内部空間を有する第2ボディ部と、前記第2内部空間と流体接続された第2流体口と、を含み、前記第2ツール部材は、さらに、前記第2内部空間と流体接続された複数の第2貫通孔を有する第2ツール面を含む、請求項2に記載のツールアセンブリ。
【請求項4】
前記第1ボディ部は、第1位置合わせ部をさらに含み、
前記第2ボディ部は、前記第1位置合わせ部に対応する第2位置合わせ部をさらに含む、請求項3に記載のツールアセンブリ。
【請求項5】
前記マニホールドシステムは、前記第1ツール部材の前記第1内部空間に配置された第1マニホールドを含む、請求項3又は4に記載のツールアセンブリ。
【請求項6】
前記第1マニホールドは、一次通路と、前記一次通路から延びる複数の二次通路と、を含む、請求項5に記載のツールアセンブリ。
【請求項7】
前記マニホールドシステムは、前記第2ツール部材の前記第2内部空間に配置された第2マニホールドをさらに含む、請求項3~6のいずれか1つに記載のツールアセンブリ。
【請求項8】
前記第2マニホールドは、一次通路と、前記一次通路から延びる複数の二次通路と、を含む、請求項7に記載のツールアセンブリ。
【請求項9】
前記流体移動装置は、前記未加工レイアップにおいて圧力差を生じさせる、請求項1~8のいずれか1つに記載のツールアセンブリ。
【請求項10】
樹脂を含有する穿孔処理が施されていない未加工レイアップから多孔質複合材構造体を製造するためのシステムであって、当該システムは、
第1ツール部材と、第2ツール部材と、前記未加工レイアップと、流体移動装置と、を備えるツールアセンブリを含み、
前記第1ツール部材は、第1内部空間を有する第1ボディ部と、前記第1内部空間と流体接続された第1流体口と、を含み、前記第1ツール部材は、さらに、前記第1内部空間と流体接続された複数の第1貫通孔を有する第1ツール面を含み、
前記第2ツール部材は、前記第1ツール部材の反対側に配置されており、第2内部空間を有する第2ボディ部と、前記第2内部空間と流体接続された第2流体口と、を含み、前記第2ツール部材は、さらに、前記第2内部空間と流体接続された複数の第2貫通孔を有する第2ツール面を含み、
前記未加工レイアップは、前記第1ツール部材の前記第1ツール面と、前記第2ツール部材の前記第2ツール面との間に配置されており
前記流体移動装置は、前記未加工レイアップが硬化する間に、前記第1内部空間、前記複数の第1貫通孔、前記未加工レイアップ、前記第2内部空間、及び前記複数の第2貫通孔を順に貫通するように流体を流すことにより、前記未加工レイアップに含まれる樹脂マトリクスを部分的に押しのけて孔を形成するように構成されている、システム。
【請求項11】
前記第1ツール部材及び前記第2ツール部材の一部に重なるシール部材をさらに含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
樹脂を含有する穿孔処理が施されていない未加工レイアップから多孔質複合材構造体を製造するための方法であって、
複数の第1貫通孔を含む第1ツール面と、複数の第2貫通孔を含む第2ツール面との間に前記未加工レイアップを配置することと、
前記未加工レイアップが硬化する間に、前記複数の第1貫通孔、前記未加工レイアップ、及び前記複数の第2貫通孔を順に貫通する流体の流れを確立することにより、前記未加工レイアップに含まれる樹脂マトリクスを部分的に押しのけて孔を形成することと、を含む方法。
【請求項13】
前記未加工レイアップを貫通するように前記流体を流す前に、マニホールドによって前記流体を分散させることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記流体の流れを確立する前に、前記第1ツール面と、前記第2ツール面とを含むツールアセンブリを封止することをさらに含み、
前記流体の流れの形成は、前記ツールアセンブリを流体源に流体接続することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記流体の流れの形成中、前記未加工レイアップを加熱することをさらに含む、請求項12~14のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、多孔質複合材構造体に関し、より具体的には、多孔質複合材構造体を製造するためのツールアセンブリ、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音響処理された複合材構造体は、音エネルギーを分散又は吸収して音を低減する。この減音特性により、音響処理された複合材構造体は、航空宇宙産業を含む様々な産業で使用されている。音響処理された複合材構造体は、一般に、大量の空気流に関連する騒音を減衰させるために、吸気口の内側バレル(inlet inner barrels)、ファンダクトの壁、及び/又は排気ノズルなどのバイパスガスタービン航空エンジンに組み込まれる。
【0003】
従来型の音響処理された複合材構造体には、セプタム付ハニカムコア(septumized honeycomb core)、有孔表面シート(perforated facesheet)、及び不透過性表面シートを有するサンドイッチ構造体が含まれる。有孔表面シートに形成された貫通孔は、セプタム付ハニカムコアのキャビティと周囲環境とを流体接続する。したがって、空気が有孔表面シートを流れるとき、コアのキャビティがヘルムホルツ共鳴器(Helmholtz resonators)として機能して、関連する空気流の音を減衰させる。より具体的には、コア内の隣接するキャビティ間のコア壁は、空気流の音を減衰させるための音響セプタムとして機能する。
【0004】
しかしながら、セプタム付ハニカムコアは、高価であり、当該コアに表面シートを接合する処理には、複数回の硬化サイクルが必要となる場合がある。さらに、複合材構造体を穿孔するための現行の処理は、典型的には時間がかかる処理であり、材料費が高くなる。例えば、研磨穿孔(abrasive perforation)は、サイクル時間が著しく長くなったり、複雑なツールを使用したり、大規模な清掃が必要であったりする場合がある。機械的ドリル処理は、サイクル時間が著しく長くなったり、ドリルビットの交換に繰り返し費用がかかったり、ファイバを切断してしまう(結果として、表面シートの強度が低下する)場合がある。大型の音響パネルに何百万もの貫通孔を形成する場合、ドリル処理のサイクル時間は、より長くなる可能性がある。貫通孔の形成にはプラスチック製ピンマットを使用することも可能であるが、これらは再利用ができないため、一回限りの使用に合わせたサイズに輪郭付け及びトリミングされる。
【0005】
したがって、当業者は、音響処理された複合材構造体の分野における研究開発を続けている。
【発明の概要】
【0006】
多孔質複合材構造体を製造するためのツールアセンブリが開示される。ツールアセンブリは、未加工レイアップを保持するように構成された第1ツール部材及び第2ツール部材と、前記レイアップを貫通するように流体を流すように構成された流体移動装置と、前記流体が前記レイアップを貫通するように流れるときに、前記流体を分散させるように構成されたマニホールドシステムと、を含む。
【0007】
また、第1ツール部材と、第2ツール部材とを含むツールアセンブリが、さらに開示される。前記第1ツール部材は、第1内部空間と第1流体口とを有する第1ボディ部を含む。前記第1流体口は、前記第1内部空間と流体接続している。前記第1ツール部材は、前記第1内部空間と流体接続する複数の第1貫通孔を有する第1ツール面を、さらに含む。前記第2ツール部材は、第2内部空間と第2流体口とを有する第2ボディ部を含む。前記第2流体口は、前記第2内部空間と流体接続している。前記第2ツール部材は、前記第2内部空間と流体接続する複数の第2貫通孔を有する第2ツール面を、さらに含む。
【0008】
さらに、多孔質複合材構造体を製造するためのシステムが開示される。前記システムは、第1ツール部材と第2ツール部材とを有するツールアセンブリを含む。前記第1ツール部材は、第1内部空間と第1流体口とを有する第1ボディ部を含む。前記第1流体口は、前記第1内部空間と流体接続している。前記第1ツール部材は、前記第1内部空間と流体接続する複数の第1貫通孔を有する第1ツール面を、さらに含む。前記第2ツール部材は、第2内部空間と第2流体口とを有する第2ボディ部を含む。前記第2流体口は、前記第2内部空間と流体接続している。前記第2ツール部材は、前記第2内部空間と流体接続する複数の第2貫通孔を有する第2ツール面を、さらに含む。前記システムは、前記第1ツール部材の前記第1ツール面と、前記第2ツール部材の前記第2ツール面との間に配置されたレイアップを、さらに含む。
【0009】
さらに、多孔質複合材構造体を製造するための方法が開示される。
【0010】
一例において、本開示の方法は、複数の第1貫通孔を含む第1ツール面と、複数の第2貫通孔を含む第2ツール面との間に未加工レイアップを配置することと、前記複数の第1貫通孔、前記レイアップ、及び前記複数の第2貫通孔を貫通する流体の流れを確立することと、を含む。
【0011】
他の例において、本開示の方法は、ツールアセンブリにおける第1ツール部材の第1ツール面と、当該ツールアセンブリにおける第2ツール部材の第2ツール面との間にレイアップを配置することを含む。前記第1ツール部材は、第1内部空間と第1流体口とを有する第1ボディ部を含む。前記第1流体口は、前記第1内部空間と流体接続している。前記第1ツール部材は、前記第1内部空間と流体接続する複数の第1貫通孔を有する第1ツール面を、さらに含む。前記第2ツール部材は、第2内部空間と第2流体口とを有する第2ボディ部を含む。前記第2流体口は、前記第2内部空間と流体接続している。前記第2ツール部材は、前記第2内部空間と流体接続する複数の第2貫通孔を有する第2ツール面を、さらに含む。前記方法は、前記第1ツール部材から前記第2ツール部材への流体の流れを確立することを、さらに含み、その際、前記流体は、前記第1貫通孔、前記レイアップ、及び前記第2貫通孔を貫通するように流れる。
【0012】
また、複数のプライを含む未加工レイアップに複数の屈曲路を形成するための方法が開示される。前記複数のプライの各々は、樹脂マトリクスに埋め込まれた強化繊維を含み、前記方法は、(1)前記レイアップを支持することと、(2)前記レイアップが支持されている状態において、前記樹脂マトリクスの少なくとも一部を変位させるために前記レイアップを貫通するように流体を流すことにより、前記レイアップに前記複数の屈曲路を形成することと、を含む。
【0013】
本開示のツールアセンブリ、システム、多孔質複合材構造体を製造するための方法、及び、未加工レイアップに複数の屈曲路を形成するための方法についての様々な例は、以下の詳細な説明、添付図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示のツールアセンブリの一例を示す斜視図である。
図2図1のツールアセンブリの断面を示す側方立面図である。
図3A図1のツールアセンブリにおける第1ツール部材を示す上面図である。
図3B図3Aの第1ツール部材を示す斜視図である。
図3C図3Bの第1ツール部材を示す斜視断面図である。
図4A図1のツールアセンブリにおける第2ツール部材を示す上面図である。
図4B図4Aの第2ツール部材を示す斜視図である。
図4C図4Bの第2ツール部材を示す斜視断面図である。
図5】多孔質複合材構造体を製造するための本開示のシステムの一例の断面を示す側方立面図である。
図6図5のシステムにおける複数のプライを示す分解斜視図である。
図7図5のシステムを貫通する流体の流れを示す概略側面図である。
図8A】本開示のツールアセンブリの他の例による、第1ツール部材を示す斜視図である。
図8B図8Aの第1ツール部材の一部を示す側方断面図である。
図9】多孔質複合材構造体を製造するための本開示の方法の一例を示すフロー図である。
図10】航空機の製造及び保守方法を示すフロー図である。
図11】航空機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明においては、添付図面を参照するが、これらの図面は、本開示で説明する特定の例を示すものである。異なる構造及び動作を含む他の例も、本開示の範囲から逸脱するものではない。異なる図面において、同様の参照符号は、同じ特徴、要素、又はコンポーネントを指す場合がある。
【0016】
以下に、本開示による構成要件の例示的且つ非包括的な実施例を示すが、これらの実施例には、請求の範囲に記載されているものも、記載されていないものも含まれうる。本明細書において「例」という場合、これの例に関連して説明する1つ以上の特徴、構造、要素、コンポーネント、特性、及び/又は動作ステップが、本開示による構成要件の少なくとも1つの実施形態及び/又は実施態様に含まれていることを意味する。したがって、本開示において、「一例」、「いくつかの例」、及びこれらに類する用語は、同じ例について言及している場合もあるが、必ずしもそうとは限らない。さらに、1つの例を特徴付ける構成要件に、他の例を特徴付ける構成要件が含まれる場合もあるが、必ずしもそうとは限らない。
【0017】
図1を参照すると、一実施例に従って作製されたツールアセンブリ30の斜視図が示されている。ツールアセンブリ30は、第1ツール部材10を含み、当該ツール部材は、第2ツール部材20とは反対側に配置されている。第1ツール部材10及び第2ツール部材20は、互いに均等に対応するように同じサイズ及び形状に設定されていてもよい。
【0018】
図2、3A、及び3Bを参照すると、第1ツール部材10は、第1内部空間12と第1流体口13とを有する第1ボディ部11を含む。第1流体口13は、第1内部空間12と流体接続している。第1ツール部材10は、さらに、複数の第1貫通孔15を有する第1ツール面14を含む。複数の第1貫通孔15もまた、第1内部空間12と流体接続している。したがって、第1流体口13は、第1内部空間12を介して複数の第1貫通孔15と流体連通している。いくつかの例において、第1ツール面14は、第1ボディ部11と一体化している。他の例においては、複数の第1貫通孔15は、第1ツール面14の全体に亘って一様に分散している。
【0019】
引き続き図2を参照し、さらに図4A及び4Bを参照すると、第2ツール部材20は、第2内部空間22と第2流体口23とを有する第2ボディ部21を含む。第2流体口23は、第2内部空間22と流体接続している。第2ツール部材20は、さらに、複数の第2貫通孔25を有する第2ツール面24を含む。複数の第2貫通孔25もまた、第2内部空間22と流体接続している。したがって、第2流体口23は、第2内部空間22を介して複数の第2貫通孔25と流体連通している。いくつかの例において、第2ツール面24は、第2ボディ部21と一体化している。他の例において、複数の第2貫通孔25は、複数の第1貫通孔15と対応するように、第2ツール面24の全体に亘って一様に分散している。
【0020】
任意ではあるが、第1ボディ部11は、第1位置合わせ部17を有していてもよく、第2ボディ部21は、第2位置合わせ部27を有していてもよい。第2位置合わせ部27は、第1位置合わせ部17と対応するサイズ及び形状に設定されていてもよい。第1位置合わせ部17及び第2位置合わせ部27は、例えば、第1ツール部材10と第2ツール部材20との間の水平な係合、及び/又は確実な係合を促す隆起や切込みなどを含みうる。
【0021】
ツールアセンブリ30にマニホールドシステムを組み込んでもよいし、当該ツールアセンブリと共にマニホールドシステムを使用してもよい。マニホールドシステムは、1つ以上のマニホールドを含みうる。次に図3Cを参照すると、第1ツール部材10が、第1内部空間12内に第1マニホールド16を含む例が示されている。第1マニホールド16は、第1ボディ部11と一体であってもよく(例えば、第1マニホールド16及び第1ボディ部11は、単一の一体型構造体であってもよい)、一次通路40と、当該一次通路40から延びる複数の二次通路41とを含みうる。いくつかの例において、二次通路41は、一次通路40に対して略垂直に延びていてもよい。さらに、この一次通路40は、第1流体口13から延びるとともに、当該第1流体口と流体接続していてもよい。
【0022】
図3Bの矢印91で示すように、流体は、第1流体口を通って第1ツール部材10に流入する。図3Cの矢印92及び93で示すように、流体は、次に、一次通路40に沿って移動し、複数の二次通路41に分かれて移動する。図3Bの矢印94で示すように、流体は、その後、複数の第1貫通孔15を流れることにより、第1ツール部材から出ていく。このようにして、第1マニホールド16は、流体が複数の第1貫通孔を流れる前に、当該流体を第1内部空間12の全体に亘って分散させる。
【0023】
次に図4Cを参照すると、第2ツール部材20は、第2内部空間22内に第2マニホールド26を含みうる。第2マニホールド26は、第2ボディ部21と一体であってもよく(例えば、第2マニホールド26及び第2ボディ部21は、単一の一体型構造体であってもよい)、一次通路40と、当該一次通路40から延びる複数の二次通路41とを含みうる。いくつかの例において、二次通路41は、一次通路40に対して略垂直に延びていてもよい。さらに、この一次通路40は、第2流体口23から延びるとともに、当該第2流体口と流体接続していてもよい。
【0024】
図4Bの矢印96で示すように、第1ツール部材10から流れてくる流体は、複数の第2貫通孔25を通過する。図4Cの矢印97及び98で示すように、流体は、次に、二次通路41に受け入れられ、一次通路40にて合流する。図4Bの矢印99で示すように、合流した流体は、その後、第2流体口23を通って第2ツール部材20から流出する。このようにして、第2マニホールド26は、流体が複数の第2貫通孔25を通過した後、当該流体を回収する。
【0025】
ある特定の実施形態においては、第1ツール部材10は、第1マニホールド16を含み、第2ツール部材20は、第2マニホールド26を含む。当業者であれば分かるように、本実施形態においては、2つのマニホールドにより、流体が第1ツール部材10から第2ツール部材20に流れるときに、第1ツール面14及び第2ツール面24の全体に均等に当該流体を分散させることができる。
【0026】
図8A及び8Bに示すように、第1ツール部材10の第1ツール面14は、上記例と同様に第1貫通孔15を含みつつ、複雑な湾曲輪郭形状を有しうる。これらの複雑な湾曲輪郭形状は、完成した多孔質複合材構造体の所望形状に対応しうる。ある特定の非限定的な例において、第1ツール面14は、円筒形状であってもよい。他の特定の非限定的な例において、第1ツール面14は、円錐台形状であってもよい。当業者であれば分かるように、第2ツール面24(図1)は、第1ツール面14の湾曲輪郭形状に密接に対応する湾曲輪郭形状を有しうる。
【0027】
図5を参照すると、多孔質複合材構造体を製造するための例示的なシステム300が示されている。このシステムは、図1に示すツールアセンブリ30と、レイアップ50とを含み、当該レイアップは、未加工/未硬化(すなわち、グリーンレイアップ(green layup)であって、第1ツール部材10の第1ツール面14と、第2ツール部材20の第2ツール面24との間に配置されている。
【0028】
上記システムは、第1ツール部材10及び第2ツール部材20の一部に重なるシール部材60を含みうる。第1ツール部材10、第2ツール部材20、及びこれらに重なるシール部材60により、気密真空チャンバ61が形成される。この気密真空チャンバ内にレイアップ50が配置され、当該レイアップ50を貫通する流体の流れ(図7に示す矢印95)が確立される。シール部材60は、シーラントテープ及び真空バッグのうちの少なくとも一方を含みうる。当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、他の方法を用いて封止を行うことも可能である。
【0029】
引き続き図5を参照すると、システム300は、流体源80を含みうる。流体源80は、例えば、大気、又は加圧窒素などの不活性ガスであってもよい。流体源80は、第1ツール部材10の第1流体口13と流体接続している。流体源80と第1流体口13との接続には第1流体ライン18を使用することができ、第1流体口13に第1流体ライン18を確実に取り付けるために第1カプリング19を使用することができる。
【0030】
システム300は、流体移動装置を含みうる。引き続き図5を参照すると、流体移動装置は、真空源70を含みうる。真空源70は、第2ツール部材20の第2流体口23と流体接続している。真空源70と第2流体口23との接続には第2流体ライン28を使用することができ、第2流体口23に第2流体ライン28を確実に取り付けるために第2カプリング29を使用することができる。
【0031】
ある特定の実施形態において、システム300は、流体源80及び真空源70の両方を含む。当業者であれば分かるように、真空源70は、流体源80から流体を引くことにより、システム300を貫通する流体の流れを確立する(例えば、図3B、3C、4B、4C,及び7に示す矢印91~99)。
【0032】
任意ではあるが、流体移動装置は、流体源80と流体連通する送風システムを含みうる。この送風システムは、ツールアセンブリ30に流体を流入させて、当該ツールアセンブリ内に流体の流れを確立することができる。一例において、送風システムは、真空源70と共に使用してもよい。他の例において、送風システムは、真空源70の代わりに使用してもよい。
【0033】
任意ではあるが、システム300は、流体がツールアセンブリ30を流れた後、当該流体を回収するための再循環システムを、さらに含んでもよい。この再循環システムは、真空源70と流体連通しており、回収された流体が流体源80に再度流入する前に、回収された流体をフィルタリングするための樹脂トラップを、さらに含む。
【0034】
任意ではあるが、第1流体ライン18又はその近くに、圧力センサや流量計などのセンサ33を配置して、第1流体ライン18における流体を検出してもよいし、第2流体ライン28又はその近くに、圧力センサや流量計などのセンサ35を配置して、第2流体ライン28における流体を検出してもよい。センサ33、35は、レイアップ50を硬化(又は、一体化)するために当該レイアップ50を加熱するときに(図9に示すブロック270)、流体がレイアップ50を流れているか否か(図9に示すブロック260)を示すことができる。
【0035】
レイアップ50は、一般に、複数のプライ51で構成される。このレイアップは、コア層56に接続されてもよい。例えば、レイアップ50は、3つのプライ51を含みうる。他の例において、レイアップ50は、コア層56(例えば、ハニカム)の上面に配置された複数のプライ51を含みうる。さらに他の例においては、複数のプライ51が、コア層56の両方の主面に配置されてもよい(例えば、サンドイッチ構造体)。当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、他の複合材料やレイアップ配置を採用することが可能である。
【0036】
図6及び7に示すように、レイアップ50での使用に適したタイプのプライ51の1つとして、プリプレグ、すなわち、樹脂マトリクス53に埋め込まれた強化繊維52がある。樹脂マトリクス53は、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂を含みうる。さらに、個々のプライ51は、これらの強化繊維で規定されるような様々な配向で積層されてもよい。図6に示すように、1つのプライを0°~90°の第1繊維配向54に配置し、他のプライを-45°~45°の第2繊維配向55に配置することにより、第1繊維配向54が、第2繊維配向55から約45°ずれた状態になる。
【0037】
図5に示すように、第1ツール部材10と第2ツール部材20との間にフェアリングバー(fairing bar)57を配置してもよい。フェアリングバー57は、レイアップ50の断面厚みと略等しく、第1ツール部材10と第2ツール部材20との間に配置されたときに、レイアップ50の周囲にフィットする。ツールアセンブリ30が真空源70と共に使用されると、真空源70が、レイアップ50において圧力差を生じさせる。第1ツール部材10と第2ツール部材20との間に配置されたフェアリングバー57は、レイアップ50が押しつぶされるのを防ぐ。当業者であれば分かるように、製造工程の全体に亘って複数の異なるフェアリングバーを使用することにより、レイアップ50を多孔質複合材構造体に成形する際の変化に対応したり、当該レイアップに追加されるプライに対応したりすることができる。また、当業者であれば分かるように、フェアリングバーが不要な場合もありうる。
【0038】
さらに図5を参照すると、システム300は、レイアップ50を含むツールアセンブリ30を収容するための断熱チャンバ100を、さらに含みうる。断熱チャンバ100は、ツールアセンブリ30を加熱することによりレイアップ50を硬化させることができる。したがって、断熱チャンバ100において硬化処理を行う間、ツールアセンブリ30を用いてレイアップ50に孔を形成することができる。断熱チャンバ100は、オーブン及びオートクレーブのうちの少なくとも一方を含みうる。
【0039】
図7を参照すると、第1貫通孔15、レイアップ50、及び第2貫通孔25に流体を流すことにより、当該流体が、各プライ51の強化繊維52の間にある樹脂マトリクス53を押しのけ、これによって、レイアップ50に孔が形成される。押しのけられた樹脂マトリクスは、流体の流れ(図7に示す矢印95)を許容するために、各プライの周囲又はこれらの間で移動すると考えられる。また、押しのけられた樹脂マトリクスが除去され、流体の流れ(図7に示す矢印95)と共に運ばれることも考えられる。押しのけられた樹脂マトリクスは、コア層56又は第2ツール部材に付着するか、或いは真空源に運ばれる。
【0040】
さらに、強化繊維52が不均一に配置されているため、レイアップ50を貫通する流体によって形成される経路が屈曲することになる。いかなる特定の理論にも限定されるものではないが、このような屈曲した経路により、多孔質複合材構造体が音を減衰させることができると考えられる。さらに、本開示に従って製造された多孔質複合材構造体は、セプタム付ハニカムコア層56に接合された従来型の穿孔表面シートと実質的に等しい音響抵抗を有すると考えられる。従来型の穿孔表面シートにおける貫通孔とは対照的に、本開示に従って形成された孔は、真っ直ぐではなく、又、一様な円形断面も有していない。
【0041】
図9を参照すると、図1に示すツールアセンブリ30を用いて多孔質複合材構造体を製造するための方法が、概括的に200で示されている。ブロック210及び220に示すように、未加工/未硬化のレイアップ50(すなわち、未加工レイアップ)を用意して、第1ツール部材10の第1ツール面14と、第2ツール部材20の第2ツール面24との間に配置する。第1ツール部材10、及び第2ツール部材は、固定位置にレイアップを保持して、製造処理中にレイアップ50に生じうる曲がり又は歪みを防止することを助ける。次に、第1ツール部材10から第2ツール部材20への流体の流れを確立し(ブロック260)、その際、流体は、第1貫通孔15、レイアップ50、及び第2貫通孔25(例えば、図3B、4B、及び7に示す矢印94、及び96)を貫通するように流れる(ブロック262~264)。
【0042】
ブロック230及び240に示すように、第1ツール部材10の第1流体口13は、流体源80に接続され、第2ツール部材20の第2流体口23は、真空源70に接続される。このようにして、流体源80からの流体の流れを確立するために(例えば、図3B、3C、4B、4C、及び7に示す矢印91~99)、真空源70が用いられる。当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、流体の流れを確立するための他の方法を用いることも可能である。また、当業者であれば、流体源80及び真空源70を接続する順序は入れ替え可能であると理解するであろう。
【0043】
ブロック250を参照すると、流体の流れ(例えば、図3B、3C、4B、4C、及び7に示す矢印91~99)を確立するステップ(ブロック260)の前に、ツールアセンブリ30が封止される。ツールアセンブリ30の封止により、外部の流体がシステム300に流入するのを防止して、レイアップ50を貫通する流体の一方向の流れが、外部の流体によって弱まらないようにすることができる。
【0044】
次にブロック260を参照すると、流体の流れを確立するステップは、第1貫通孔15に流体を流す(例えば、図3B及び3Cに示す矢印91~94)前に、当該流体を分散させるステップ(ブロック261)と、流体が第2貫通孔25を流れた(例えば、図4B及び4Cに示す矢印96~99)後に、当該流体を回収するステップ(ブロック265)と、を含む。一例において、流体は、第1ツール部材10の第1内部空間12に含まれる第1マニホールド16を用いて分散される。他の例において、流体は、第2ツール部材20の第2内部空間22に含まれる第2マニホールド26を用いて回収される。さらに他の例において、流体は、第1ツール部材10の第1内部空間12に含まれる第1マニホールド16を用いて分散され、その後、第2ツール部材20の第2内部空間22に含まれる第2マニホールド26を用いて回収される。当業者であれば分かるように、本開示の範囲から逸脱することなく、他の方法、装置、又は構造を用いて流体を分散及び/又は回収することも可能である。
【0045】
次にブロック270を参照すると、流体の流れを確立する(例えば、図3B、3C、4B、4C、及び7に示す矢印91~99)ステップ(ブロック260)と同時に、レイアップ50を加熱する。すなわち、加熱(ブロック270)は、流体の流れを確立するステップ(ブロック260)と同時に行われる。加熱ステップ(ブロック270)は、オーブン又はオートクレーブなどの断熱チャンバ100にツールアセンブリ30を配置して、レイアップ50を貫通するように流体を流している(ブロック260)間に所定温度まで当該ツールアセンブリ30を加熱することにより、行われる。一実施形態において、上記所定温度は、(例えば、レイアップ50が熱硬化樹脂マトリクス53(図7)を含む場合)、レイアップ50の硬化温度に対応する。他の実施態様において、上記所定温度は、(例えば、レイアップ50が熱可塑性樹脂マトリクス53(図7)を含む場合)、レイアップ50の一体化温度に対応する。代替の態様において、加熱ステップ(ブロック270)は、流体の流れを確立するステップ(ブロック260)の前及び/又は後のいずれかにおいて行ってもよい。
【0046】
本開示の例は、図10に示す航空機の製造及び保守方法400、並びに、図11に示す航空機402に関連付けて説明することができる。生産開始前の工程として、航空機の製造及び保守方法400は、航空機402の仕様決定及び設計404と、材料調達406とを含みうる。生産中の工程としては、航空機402の部品/小組立品の製造408、並びに、システムインテグレーション410が行われる。その後、航空機402は、認証及び納品412の工程を経て、就航414に入る。顧客による就航期間中、航空機402は、定例の整備及び保守416のスケジュールに組み込まれる(これは、改良、再構成、改修なども含みうる)。
【0047】
方法400の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、限定するものではないが、航空機の製造業者、及び主要システムの下請業者をいくつ含んでいてもよい。第三者は、限定するものではないが、売主、下請業者、及び供給業者をいくつ含んでいてもよい。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織などであってもよい。
【0048】
図11に示すように、例示的な方法400によって製造される航空機402は、複数の高水準システム420と内装422とを備えた機体418を含みうる。複数のシステム420の例には、推進系424、電力系426、油圧系428、及び環境系430のうちの1つ又は複数が含まれる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。
【0049】
多孔質複合材構造体を製造するための本開示のツールアセンブリ、システム及び方法は、航空機の製造及び保守方法400の任意の1つ又は複数の段階において使用することができる。例えば、多孔質複合材構造体を製造するための本開示のツールアセンブリ、システム、及び方法は、材料調達406において使用することができる。例えば、部品/小組立品の製造408、システムインテグレーション410、及び/又は定例の整備及び保守416に対応する部品又は小組立品は、多孔質複合材構造体を製造するための本開示のツールアセンブリ、システム、及び方法を使用して作製又は製造することができる。また、他の例として、機体418及び内装422は、多孔質複合材構造体を製造するための本開示のツールアセンブリ、システム、及び方法を使用して構築することができる。また、1つ以上の装置の実施例、方法の実施例、又はこれらの組み合わせの1つ又は複数を、部品/小組立品の製造408、及び/又はシステムインテグレーション410などで利用して、機体418や内装422などの、航空機402の組立速度を大幅に速めたり費用を削減したりすることができる。同様に、システムの実施例、方法の実施例、又はこれらの組み合わせの1つ又は複数を、例えば、限定するものではないが、航空機402の就航中に利用して、整備及び保守416を行ってもよい。
【0050】
多孔質複合材構造体を製造するための本開示のツールアセンブリ、システム、及び方法について、航空機に関連させて説明したが、当業者であれば、多孔質複合材構造体を製造するための本開示のツールアセンブリ、システム、及び方法を様々な用途に利用可能であると容易に理解できるであろう。例えば、多孔質複合材構造体を製造するための本開示のツールアセンブリ、システム、及び方法は、ヘリコプタ、旅客船、自動車などの様々なビークルにおいて使用可能である。
【0051】
さらに、本開示は、以下の付記による例を含む。
【0052】
付記1.未加工レイアップを保持するように構成された第1ツール部材及び第2ツール部材と、前記レイアップを貫通するように流体を流すように構成された流体移動装置と、前記流体が前記レイアップを貫通するように流れるときに、前記流体を分散させるように構成されたマニホールドシステムと、を含む、ツールアセンブリ。
【0053】
付記2.前記第1ツール部材は、第1内部空間を有する第1ボディ部と、前記第1内部空間と流体接続された第1流体口と、を含み、前記第1ツール部材は、さらに、前記第1内部空間と流体接続された複数の第1貫通孔を有する第1ツール面を含む、付記1に記載のツールアセンブリ。
【0054】
付記3.前記第2ツール部材は、前記第1ツール部材の反対側に配置されており、第2内部空間を有する第2ボディ部と、前記第2内部空間と流体接続された第2流体口と、を含み、前記第2ツール部材は、さらに、前記第2内部空間と流体接続された複数の第2貫通孔を有する第2ツール面を含む、付記2に記載のツールアセンブリ。
【0055】
付記4.前記第1ツール面の形状は湾曲輪郭を有する、付記3に記載のツールアセンブリ。
【0056】
付記5.前記第2ツール面は、前記第1ツール面の前記湾曲輪郭に対応する湾曲輪郭形状を有する、付記4に記載のツールアセンブリ。
【0057】
付記6.前記複数の第1貫通孔は、前記第1ツール面の全体に亘って一様に分散配置されている、付記3又は4に記載のツールアセンブリ。
【0058】
付記7.前記複数の第2貫通孔は、前記第2ツール面の全体に亘って一様に分散配置されている、付記3~6のいずれか1つに記載のツールアセンブリ。
【0059】
付記8.前記第1ツール面は、前記第1ボディ部と一体化している、付記3~7のいずれか1つに記載のツールアセンブリ。
【0060】
付記9.前記第2ツール面は、前記第2ボディ部と一体化している、付記8に記載のツールアセンブリ。
【0061】
付記10.前記第1ボディ部は、第1位置合わせ部をさらに含み、前記第2ボディ部は、前記第1位置合わせ部に対応する第2位置合わせ部をさらに含む、付記3~9のいずれか1つに記載のツールアセンブリ。
【0062】
付記11.前記マニホールドシステムは、前記第1ツール部材の前記第1内部空間に配置された第1マニホールドを含む、付記3~10のいずれか1つに記載のツールアセンブリ。
【0063】
付記12.前記第1マニホールドは、前記第1ボディ部と一体化している、付記11に記載のツールアセンブリ。
【0064】
付記13.前記第1マニホールドは、一次通路と、前記一次通路から延びる複数の二次通路と、を含む、付記11又は12に記載のツールアセンブリ。
【0065】
付記14.前記二次通路は、前記一次通路に対して略垂直である、付記13に記載のツールアセンブリ。
【0066】
付記15.前記マニホールドシステムは、前記第2ツール部材の前記第2内部空間に配置された第2マニホールドをさらに含む、付記3~14のいずれか1つに記載のツールアセンブリ。
【0067】
付記16.前記第2マニホールドは、前記第2ボディ部と一体化している、付記15に記載のツールアセンブリ。
【0068】
付記17.前記第2マニホールドは、一次通路と、前記一次通路から延びる複数の二次通路と、を含む、付記15又は16に記載のツールアセンブリ。
【0069】
付記18.前記二次通路は、前記一次通路に対して略垂直である、付記17に記載のツールアセンブリ。
【0070】
付記19.前記流体移動装置は、前記レイアップにおいて圧力差を生じさせる、付記1~18のいずれか1つに記載のツールアセンブリ。
【0071】
付記20.多孔質複合材構造体を製造するためのシステムであって、当該システムは、第1ツール部材と、第2ツール部材と、未加工レイアップとを備えるツールアセンブリを含み、前記第1ツール部材は、第1内部空間を有する第1ボディ部と、前記第1内部空間と流体接続された第1流体口と、を含み、前記第1ツール部材は、さらに、前記第1内部空間と流体接続された複数の第1貫通孔を有する第1ツール面を含み、前記第2ツール部材は、前記第1ツール部材の反対側に配置されており、第2内部空間を有する第2ボディ部と、前記第2内部空間と流体接続された第2流体口と、を含み、前記第2ツール部材は、さらに、前記第2内部空間と流体接続された複数の第2貫通孔を有する第2ツール面を含み、前記未加工レイアップは、前記第1ツール部材の前記第1ツール面と、前記第2ツール部材の前記第2ツール面との間に配置されている、システム。
【0072】
付記21.前記第1ツール部材及び前記第2ツール部材の一部に重なるシール部材をさらに含む、付記20に記載のシステム。
【0073】
付記22.前記シール部材は、シーラントテープ及び真空バッグのちの少なくとも一方を含む、付記21に記載のシステム。
【0074】
付記23.前記シール部材、前記第1ツール部材、及び前記第2ツール部材は、気密真空チャンバを形成する、付記21又は22に記載のシステム。
【0075】
付記24.前記第1ツール部材の前記第1流体口と流体接続された流体源をさらに含む、付記20~23のいずれか1つに記載のシステム。
【0076】
付記25.前記流体源は、大気である、付記24に記載のシステム。
【0077】
付記26.前記流体源は、不活性ガスを含む、付記24に記載のシステム。
【0078】
付記27.前記第1流体口と前記流体源とを流体接続する第1流体ラインをさらに含む、付記24~26のうちのいずれか1つに記載のシステム。
【0079】
付記28.前記第1流体口と前記第1流体ラインとを流体接続する第1カプリングをさらに含む、付記27に記載のシステム。
【0080】
付記29.前記第2ツール部材の前記第2流体口と流体接続された真空源をさらに含む、付記20~28のいずれか1つに記載のシステム。
【0081】
付記30.前記第2流体口と前記真空源とを流体接続する第2流体ラインをさらに含む、付記29に記載のシステム。
【0082】
付記31.前記第2流体口と前記第2流体ラインとを流体接続する第2カプリングをさらに含む、付記30に記載のシステム。
【0083】
付記32.断熱チャンバをさらに含み、前記ツールアセンブリは、前記断熱チャンバ内に配置される、付記20~31のいずれか1つに記載のシステム。
【0084】
付記33.前記断熱チャンバは、オーブン及びオートクレーブのうちの一方である、付記32に記載のシステム。
【0085】
付記34.前記レイアップは、複数のプライを含む、付記20~33のいずれか1つに記載のシステム。
【0086】
付記35.前記複数のプライのうちの少なくとも1つのプライは、樹脂マトリクスに埋め込まれた強化繊維を含む、付記34に記載のシステム。
【0087】
付記36.前記樹脂マトリクスは、熱硬化性樹脂を含む、付記35に記載のシステム。
【0088】
付記37.前記樹脂マトリクスは、熱可塑性樹脂を含む、付記35に記載のシステム。
【0089】
付記38.前記複数のプライのうちの1つのプライは、第1繊維配向を有し、前記複数のプライのうちの他のプライは、前記第1繊維配向とは異なる第2繊維配向を有する、付記34~37のいずれか1つに記載のシステム。
【0090】
付記39.前記第1繊維配向は、前記第2繊維配向から約45°ずれている、付記38に記載のシステム。
【0091】
付記40.前記レイアップに接続されたコア層をさらに含む、付記20~39のいずれか1つに記載のシステム。
【0092】
付記41.前記第1ツール部材と前記第2ツール部材との間に配置されたフェアリングバーをさらに含む、付記20~40のいずれか1つに記載のシステム。
【0093】
付記42.前記レイアップにおいて圧力差を生じさせるために、前記ツールアセンブリと流体連通する流体移動装置をさらに含む、付記20~41のいずれかに記載のシステム。
【0094】
付記43.付記20~42のいずれか1つに記載の前記システムを用いて製造される多孔質複合材構造体。
【0095】
付記44.多孔質複合材構造体を製造するための方法であって、複数の第1貫通孔を含む第1ツール面と、複数の第2貫通孔を含む第2ツール面との間に未加工レイアップを配置することと、前記複数の第1貫通孔、前記レイアップ、及び前記複数の第2貫通孔を貫通する流体の流れを確立することと、を含む方法。
【0096】
付記45.前記レイアップを貫通するように前記流体を流す前に、マニホールドによって前記流体を分散させることをさらに含む、付記44に記載の方法。
【0097】
付記46.前記流体の流れを確立する前に、前記第1ツール面と、前記第2ツール面とを含むツールアセンブリを封止することをさらに含む、付記44又は45に記載の方法。
【0098】
付記47.前記流体の流れの確立は、前記ツールアセンブリを流体源に流体接続することを含む、付記46に記載の方法。
【0099】
付記48.前記流体源は、真空源である、付記47に記載の方法。
【0100】
付記49.前記流体が前記レイアップを貫通するように流れた後、前記流体を回収することをさらに含む、付記44~48のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
付記50.前記流体の流れの確立中、前記レイアップを加熱することをさらに含む、付記44~49のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
付記51.前記レイアップを貫通する前記流体の流れは、前記レイアップを貫通する複数の屈曲路を形成する、付記44~50のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
付記52.付記44~51のいずれか1つに記載の方法により製造される多孔質複合材構造体。
【0104】
付記53.複数のプライを含む未加工レイアップに複数の屈曲路を形成するための方法であって、前記複数のプライの各々は、樹脂マトリクスに埋め込まれた強化繊維を含み、前記方法は、前記レイアップを支持することと、前記レイアップが支持されている状態において、前記樹脂マトリクスの少なくとも一部を押しのけるために前記レイアップを貫通するよう流体を流すことにより、前記レイアップに前記複数の屈曲路を形成することと、を含む、方法。
【0105】
付記54.前記レイアップを貫通するように前記流体を流す前に、マニホールドによって前記流体を分散させることをさらに含む、付記53に記載の方法。
【0106】
付記55.前記レイアップの支持は、第1ツール部材と第2ツール部材との間に前記レイアップを配置することを含む、付記53又は54に記載の方法。
【0107】
付記56.前記レイアップに前記複数の屈曲路を形成した後、前記レイアップを硬化させることをさらに含む、付記53~55のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
多孔質複合材構造体を製造するための本開示のツールアセンブリ、システム、及び方法の様々な例を図示及び説明してきたが、本明細書を読めば当業者には種々の改変が可能となろう。本願は、そのような改変も包含するものであり、限定は特許請求の範囲によってのみなされるものである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11