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特許7522567不織布積層体を製造するための方法および不織布積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】不織布積層体を製造するための方法および不織布積層体
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20240718BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20240718BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
D04H3/16
B32B5/26
B32B27/32 Z
B32B27/32 E
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020048658
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2020158948
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】10 2019 107 771.0
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】20161281
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ヴァーグナー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ボール
(72)【発明者】
【氏名】デートレフ・フライ
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/203484(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/187540(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/070518(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 3/16
B32B 5/26
B32B 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの不織布層を有する不織布積層体(1)を製造するための方法であって、2つの不織布層がスパンボンド不織布層(2,3)として製造され、各スパンボンド不織布層(2,3)の製造のために、連続フィラメント(5)が、少なくとも1つの紡糸口金(6)を用いて紡糸され、その後冷却され、引き続き延伸され、そして最終的に堆積デバイス上堆積されてスパンボンド不織布層が得られ、
ここで、少なくとも1つの第1のスパンボンド不織布層(2)、クリンプされた多成分フィラメントから、またはクリンプされた二成分フィラメント(5.1)から製造され、
そして、少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布層(3)連続フィラメントから製造され、ここで、前記の第2のスパンボンド不織布の連続フィラメントはポリプロピレンをベースとするエラストマーを有し、および
第2のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントのエラストマーのポリプロピレンが、70%超のメソペンタッド分率(mmmm)を有する、
前記方法。
【請求項2】
少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布層(3)、単一成分フィラメント(5.2)から製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの第3のスパンボンド不織布層(4)クリンプされた多成分フィラメントから製造され、ここで、第2のスパンボンド不織布層(3)が第1のスパンボンド不織布層(2)と第3のスパンボンド不織布層(4)との間に配置される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの第2のスパンボンド不織布層(3)連続フィラメントから製造される、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
第1のスパンボンド不織布層(2)および/または第3のスパンボンド不織布層(4)のクリンプされたフィラメント(5.1,5.3)が、サイドバイサイド構造を有するかまたはコア-シェル構造を有するクリンプされたフィラメント(5.1,5.3)として形成される、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
第1のスパンボンド不織布層(2)および/または第3のスパンボンド不織布層(4)のクリンプされたフィラメント(5.1,5.3)が、ポリプロピレンをベースとする少なくとも1種の成分有する、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
第1のスパンボンド不織布層(2)および/または第3のスパンボンド不織布層(4)のクリンプされたフィラメント(5.1,5.3)が、ポリプロピレンをベースとする2種の成分または少なくとも2種の成分を有し、2種の成分の2種のポリプロピレンそれらのメルトフローレート(MFR)で異なっている、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
第1のスパンボンド不織布層(2)および/または第3のスパンボンド不織布層(4)のクリンプされたフィラメント(5.1,5.3)が、それらの長さ1cmあたり2.5ループ(loops)超のクリンプ度を有する、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
第2のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメント(5)が、少なくとも1種のエラストマーからなるかまたは本質的に少なくとも1種のエラストマーからなる、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
第2のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントまたは単一成分フィラメント(5.2)のエラストマーのポリプロピレンが、80%超のメソペンタッド分率(mmmm)を有する、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
10μm~50μm繊度を有する、第2のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントまたは単一成分フィラメント(5.2)が製造される、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)および第2のスパンボンド不織布層(3)でできた積層体(1)、または少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)、第2のスパンボンド不織布層(3)および第3のスパンボンド不織布層(4)でできた積層体(1)がカレンダー加工される、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)および第2のスパンボンド不織布層(3)でできた積層体(1)、または少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)、第2のスパンボンド不織布層(3)および第3のスパンボンド不織布層(4)でできた積層体が、カレンダー(8)によって、10~50図形/cm 図形密度でカレンダー加工される、請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)および第2のスパンボンド不織布層(3)でできた積層体(1)、または少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)、第2のスパンボンド不織布層(3)および第3のスパンボンド不織布層(4)でできた積層体がカレンダー(8)によってカレンダー加工され、カレンダー(8)の少なくとも1つのカレンダーロール(9)の表面温度が60℃~90℃である、請求項1~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)および第2のスパンボンド不織布層(3)でできた積層体(1)、または少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)、第2のスパンボンド不織布層(3)および第3のスパンボンド不織布層(4)でできた積層体(1)が延伸されるか、あるいは機械方向(MD)におよび/または機械方向に直交する方向(CD)に延伸される、請求項1~14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
第1のスパンボンド不織布層(2)がクリンプされた多成分フィラメントまたはクリンプされた二成分フィラメント(5.1)を有し、クリンプされたフィラメントが、それらの長さ1cmあたり2.5ループ(loops)超のクリンプ度を有し、
連続フィラメントを有する第2のスパンボンド不織布層(3)が供され、ここで、第2のスパンボンド不織布層(3)のこれらの連続フィラメントが、ポリプロピレンをベースとするエラストマーを有し、そして前記ポリプロピレンが、70%超メソペンタッド分率(mmmm)を有する
少なくとも2つのスパンボンド不織布層(2,3)でできた不織布積層体(1)。
【請求項17】
第3のスパンボンド不織布層(4)を含み、この第3のスパンボンド不織布層(4)がクリンプされた多成分フィラメントまたはクリンプされた二成分フィラメント(5.3)を有し、これらのクリンプされたフィラメントが、それらの長さ1cmあたり2.5ループ(loops)超のクリンプ度を有する、請求項16に記載の不織布積層体(1)。
【請求項18】
第1のスパンボンド不織布層(2)および/または第3のスパンボンド不織布層(4)の連続フィラメント(5)の繊度が1.0~2.0デニールである、請求項16または17に記載の不織布積層体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの不織布層を有する不織布積層体を製造するための方法であって、2つの不織布層がスパンボンド不織布層として製造され、各スパンボンド不織布層の製造のために、連続フィラメントが、少なくとも1つの紡糸口金を用いて紡糸され、その後冷却され、引き続き延伸され、そして最終的に堆積デバイス上に、特に堆積スクリーンベルト上に堆積されて不織布ウェブを得る方法に関する。本発明はさらに、少なくとも2つの不織布層でできた不織布積層体に関する。-連続フィラメントは、周知のように、それらのさながら無限の長さのために、例えば10mm~60mmという大幅に短い長さを有するステープル繊維とは異なる。本発明の枠内において使用される連続フィラメントは、熱可塑性プラスチックでできた連続フィラメントである。
【背景技術】
【0002】
上記のタイプの不織布積層体またはスパンボンド不織布積層体は、実際に、基本的には種々の実施形態において知られている。多くの場合、弾性特性を有する不織布または不織布積層体の製造が志向される。ここで、不織布または不織布積層体は一方で、柔らかく伸縮性であるべきであり、さらに、弾性復元力を有するべきである。そのような弾性の不織布を製造するために、従来技術から種々の方法が既に公知である。
【0003】
1つの公知の方法では、ライクラファイバーを不織布構造に埋め込むことによって不織布の弾性を達成する。しかしながら、ライクラファイバーのこの埋め込みは、追加的なプロセス工程を意味し、比較的費用・労力がかかる。さらに、ライクラファイバーは、不織布製品中で可視的であり、このことは多くの場合に望ましくない。対応の不織布ウェブの伸長を可能にするためには、ライクラファイバーが緊張状態で不織布ウェブに施与されなければならず、その後、不織布が、通常、弛緩または収縮状態で積層体に組み込まれる。その場合、ライクラファイバーがそれらの元の状態に戻る際に、不織布ウェブにおいてわずらわしいしわが生じる。
【0004】
不織布の弾性を達成するためには、さらに、ポリプロピレン繊維と熱可塑性ポリウレタン(TPU)の繊維との混合物でできた不織布ウェブを製造することが知られている。ここで、TPU繊維が、不織布の弾性特性を担っている。ポリプロピレン繊維は、スパンボンド不織布の製造の場合に、TPU繊維が繊維の紡糸後に延伸チャネルにもしくは装置のディフューザーにまたは他の繊維に付着することによって繊維堆積が不十分になることを阻止することが意図される。この方法の欠点は、ポリプロピレン繊維が弾性特性を有さず、不織布の伸長を妨げることである。不織布の弾性特性を保証するためには、それは延伸されなければならない。ここで、より高い伸長を達成するためには、元の不織布構造は、弛緩されるかまたは損傷を受ける。ポリプロピレン繊維は、延伸の際に、結合点から裂け、それにより結合点が弛緩されるかまたは破壊される。さらに別の欠点は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)は比較的高価であり、さらにTPUとポリプロピレンの混合物はリサイクルが困難なことである。TPUはさらに、不織布のカレンダー加工の際に、カレンダーロールの熱い表面に付着するという欠点を有する。従って、この公知の方法は満足できるものではない。
【0005】
さらに、EP 2 644 763 A1(特許文献1)から、伸縮性の不織布層によって両面で被覆された弾性コア層からなる不織布積層体が公知である。この不織布積層体は、その製造後に延伸される。そのために、カバー層は、十分な伸長性を有していなければならない。しかしながら、この公知の方法では、積層体の伸長性、最適な弾性復元力および積層体の柔軟性の間で、満足な妥協を達成することはできない。
【0006】
別の公知の方法では、延伸された弾性プラスチックフィルムが、フィラメントでできた不織布ウェブに積層される。しかしながら、この弾性フィルムの積層は、追加的なプロセスステップであり、従って費用・労力が伴う。さらに、不織布材料の特性が、積層されたフィルムによって影響されるかまたは決定されることが欠点である。当該フィルムのため、積層体は空気に対して十分な透過性を有しない。さらに、前記製造では、後にプラスチックフィルムの伸長が可能なように、非伸長性の不織布が伸長されたプラスチックフィルム上に施与される。これにより、わずらわしいしわが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】EP 2 644 763 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、上述の欠点を効果的に回避することができ、かつ、一方では十分に伸長可能であり、他方では満足できる弾性復元力を有し、さらに比較的高い柔軟性を有する不織布積層体を製造できる、冒頭で述べたタイプの方法を案出する、という技術的課題に基づくものである。本発明はさらに、対応する不織布積層体を案出するという技術的課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、少なくとも2つの不織布層を有する不織布積層体を製造するための方法であって、2つの不織布層がスパンボンド不織布層として製造され、1つのまたは各々のスパンボンド不織布層の製造のために、連続フィラメントが、少なくとも1つの紡糸口金を用いて紡糸され、その後冷却され、引き続き延伸され、そして最終的に堆積デバイス上に、特に堆積スクリーンベルト上に堆積されて不織布ウェブが得られ、
ここで、第1のスパンボンド不織布層または第1のスパンボンド不織布が、クリンプされた多成分フィラメントから、特にクリンプされた二成分フィラメントから製造され、
そして、少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布層または少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布が連続フィラメントから製造され、ここで、前記の第2のスパンボンド不織布の連続フィラメントはポリプロピレンをベースとするエラストマーを有する、方法を教示する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布層または少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布は、単一成分フィラメントから製造される。
【0011】
好ましくは、上記の第2のスパンボンド不織布の連続フィラメントまたは単一成分フィラメントは、ポリプロピレンをベースとするエラストマーからなるか、またはポリプロピレンをベースとするエラストマーから本質的になる。これらの連続フィラメントまたは単一成分フィラメントがポリプロピレンをベースとするエラストマーから本質的になるとは、特に、上記エラストマーに加えて、連続フィラメントまたは単一成分フィラメント中に少なくとも1種の添加剤が存在していてもよいことを意味する。好適には、上記連続フィラメントまたは単一成分フィラメントは、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%、非常に好ましくは少なくとも98重量%が、ポリプロピレンをベースとするエラストマーからなる。
【0012】
本発明の代替の実施形態によれば、少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布の連続フィラメントは二成分フィラメントであり、これらは、好ましくはコア-シェル構造、特に中央コア-シェル構造を有する二成分フィラメントとして形成される。
【0013】
本発明の方法の枠内において、クリンプされたフィラメントでできた第1のスパンボンド不織布層が最初に堆積デバイス上または堆積スクリーンベルト上に堆積され、次いで第2のスパンボンド不織布層が第1のスパンボンド不織布層上に堆積されることが推奨される。-本発明の枠内において非常に特に重要である特に好ましい実施態様は、第3のスパンボンド不織布層または第3のスパンボンド不織布が、クリンプされた多成分フィラメント-特にクリンプされた二成分フィラメント-から製造されることを特徴とする。ここで、第2のスパンボンド不織布層が、第1のスパンボンド不織布層と第3のスパンボンド不織布層との間に配置されることが特に好ましい。本発明の不織布積層体を製造する過程において、好適には、第1のスパンボンド不織布層が最初に堆積デバイス上または堆積スクリーンベルト上に堆積され、次いで、第2のスパンボンド不織布層が、第1のスパンボンド不織布層上に堆積される。最後に、この好ましい実施形態の枠内において、第3のスパンボンド不織布層が、第2のスパンボンド不織布層上に堆積され、その結果、第2のスパンボンド不織布層は、第1のスパンボンド不織布層と第3のスパンボンド不織布層との間のコア層となる。
【0014】
少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの第2のスパンボンド不織布層または第2のスパンボンド不織布を製造することは、本発明による方法の範囲内にある。これらの第2のスパンボンド不織布またはこれらの第2のスパンボンド不織布層が、第1のスパンボンド不織布層と第3のスパンボンド不織布層との間に2つまたは3つのコア層を形成し、その結果、少なくとも4層または5層の不織布積層体を形成することが推奨される。
【0015】
本発明に従って製造された不織布積層体が、少なくとも1つの方向において、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の弾性伸びを有することは、本発明の範囲内にある。ここで、伸びまたは伸縮性とは、特に、積層体が破壊されることなく、または特にフィラメント間の結合点が破壊されること、または言うに値する程度で破壊されることなく、積層体を伸長させるための能力を意味する。-本発明による不織布積層体は、クリンプされたフィラメントでできた伸縮性の不織布層またはカバー層と、少なくとも1つの弾性コア層との組み合わせを特徴とする。外側不織布層のフィラメントのクリンプ加工により、いわゆるハイロフトカバー層が使用される。ハイロフト不織布層と弾性コア層との組み合わせにより、不織布積層体の延伸という形態での追加的な活性化なしでさえも、全ての方向において最適な弾性挙動を不織布積層体に与える。一方では不織布積層体の弾性特性により、他方では積層体の柔軟な表面感触により、上記積層体は、衛生製品、例えばおむつにおける使用のために優れている。
【0016】
第2のスパンボンド不織布層または弾性スパンボンド不織布層と、クリンプされたフィラメントでできた少なくとも1つのスパンボンド不織布層との質量比が70:30~30:70であることは、本発明の範囲内にある。本発明の非常に推奨される実施形態によれば、第2のスパンボンド不織布層または弾性スパンボンド不織布層の質量分率は、クリンプされたフィラメントでできた少なくとも1つのスパンボンド不織布層の質量分率と比較して高い。好適には、第2のスパンボンド不織布層または弾性スパンボンド不織布層と、クリンプされたフィラメントでできた少なくとも1つのスパンボンド不織布層との間の質量比は、50:60~40:50、例えば55:45である。複数の紡糸口金または複数のスピニングビーム(Spinnbalken)を第2のスパンボンド不織布層のために使用することにより、第2のまたは弾性スパンボンド不織布層の質量分率を増加させることができる。
【0017】
第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントが、非対称繊維構造を有するクリンプされたフィラメントとして形成されることが推奨される。
【0018】
技術的課題の解決に関して特に重要である特に好ましい実施形態は、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントが、サイドバイサイド構造および/またはコア-シェル構造、特に偏心コア-シェル構造を有するクリンプされたフィラメントとして形成されることを特徴とする。特に好ましくは、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントは、サイドバイサイド構造および/またはコア-シェル構造、特に偏心コア-シェル構造を有するクリンプされた二成分フィラメントとして形成される。
【0019】
本発明の推奨される実施形態は、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントが、ポリプロピレンをベースとする、特にホモポリプロピレンをベースとする少なくとも1つの成分を有することを特徴とする。ここで、好適には、クリンプされたフィラメントの少なくとも1つの成分は、ポリプロピレン、特にホモポリプロピレンからなるか、または本質的にポリプロピレン、特に本質的にホモポリプロピレンからなる。本質的にとは、ここでは、ポリプロピレンまたはホモポリプロピレン以外の成分が少なくとも1種の添加剤を有することもできることを意味する。好適には、クリンプされたフィラメントの少なくとも1つの成分に、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも96重量%のポリプロピレンまたはホモポリプロピレンが存在する。1つの代替形態によれば、クリンプされたフィラメントの上記少なくとも1つの成分は、添加剤としてまたは潤滑剤として、少なくとも1種の脂肪酸アミド、特に添加剤としてまたは潤滑剤としてエルカ酸アミドを含有する。前記の少なくとも1つの成分は、1~3重量%の脂肪酸アミド、特にエルカ酸アミドを有することが推奨される。好適には、1,000~5,000ppmの添加剤または潤滑剤、好ましくは脂肪酸アミド、特にエルカ酸アミドが上記成分中に含まれる。潤滑剤により、特に、第1のスパンボンド不織布層および/または第3のスパンボンド不織布層の柔らかい感触が保証される。
【0020】
本発明の非常に好ましい実施形態は、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントが、ポリプロピレンをベースとする、特にホモポリプロピレンをベースとする2つの成分または少なくとも2つの成分を有することを特徴とする。ここで、少なくとも1つの成分は、ポリプロピレンのまたはホモポリプロピレンの混合物であってもよい。本発明の推奨される実施形態によれば、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントの2つの成分または少なくとも2つの成分は、ポリプロピレン、特にホモポリプロピレンから、または本質的にポリプロピレン、特に本質的にホモポリプロピレンからなる。ここで好ましくは、各成分は、少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも96重量%が、ポリプロピレンから、特にホモポリプロピレンからなる。第1のスパンボンド不織布層および/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントの2つの成分または少なくとも2つの成分が、少なくとも1種の添加剤を有し、好ましくは添加剤としてまたは潤滑剤として少なくとも1種の脂肪酸アミド、例えばエルカ酸アミドを有することは、本発明の範囲内にある。添加剤、特に脂肪酸アミド、例えばエルカ酸アミドは、好適には、各成分中に1~3重量%、または1,000~5,000ppm存在する。本発明の特に推奨される実施形態は、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントが二成分フィラメントとして形成されること、ならびに二成分フィラメントの両成分が、ポリプロピレン、特にホモポリプロピレンから、または本質的にポリプロピレンから、特に本質的にホモポリプロピレンからなることを特徴とする。ここで、少なくとも1つの成分は、ポリプロピレンのまたはホモポリプロピレンの混合物であってもよい。
【0021】
第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントの少なくとも1つの成分のためにまたは成分(複数)のために、チーグラー・ナッタ触媒に基づいて、またはメタロセン触媒に基づいて製造されるホモポリプロピレンが使用されることは、本発明の範囲内にある。好ましくは、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントの少なくとも1つの成分に使用されるポリプロピレンの分子量分布(MWD)は、1.6~4.5である。ここで、分子量分布はM/Mとして定義される。第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントのより低い融点成分または最も低い融点成分の融点が、140℃超、好ましくは150℃超であることが推奨される。
【0022】
本発明の実証された実施形態は、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントが、ポリプロピレンをベースとする、特にホモポリプロピレンをベースとする2つの成分または少なくとも2つの成分を有し、かつ、2つの成分の2種のポリプロピレンまたはホモポリプロピレンが、それらのメルトフローレート(MFR)において異なることを特徴とする。ここで好ましくは、1つの成分のメルトフローレートは、他方の成分のメルトフローレートの少なくとも1.2倍、好適には少なくとも1.3倍、好ましくは少なくとも1.4倍である。メルトフローレートは、本発明の枠内において、好適には、ISO1133に従って230℃/2.16kpで測定される。
【0023】
本発明の推奨される実施形態によれば、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントは、ポリプロピレンのまたは好ましくはホモポリプロピレンの混合物を含有する少なくとも1つの成分を有する。好適には、この少なくとも1つの成分は、ポリプロピレン、特にホモポリプロピレンのこの混合物から、または本質的にポリプロピレン、特にホモポリプロピレンのこの混合物からなる。好ましくは、この混合物は、2種のポリプロピレン、特に2種のホモポリプロピレンを含有する。1種のポリプロピレン、特にホモポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)が、別のポリプロピレン、特にホモポリプロピレンのメルトフローレートよりも大きいことは、本発明の範囲内にある。好適には、1種のポリプロピレン、特にホモポリプロピレンのメルトフローレートは、第2のポリプロピレン、特にホモポリプロピレンのメルトフローレートの少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍である。
【0024】
技術的課題の解決に関して本発明の枠内において特に重要である特に推奨される実施形態は、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントが、その長さ1cmあたり2.5ループ(Schlingen)(loops)超、好ましくはその長さ1cm当たり3ループ(loops)超のクリンプ度を有することを特徴とする。好適には、第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントも第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントも、この好ましいクリンプ度を有する。ここで、フィラメントの長さ1cmあたりのループまたはクリンプループ(loops)の数は特に、日本規格JIS L-1015-1981に従って、2mg/den(1/10mm)の予備伸長下でクリンプを計数することによって測定され、フィラメントの延伸長のベースとなる。ループまたはクリンプループの数を決定するために、0.05mmの感度が使用される。
【0025】
第1のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のクリンプされたフィラメントの繊度(Titer)が、0.8~2.2denの範囲、好ましくは1.0~2.0denの範囲であることは、本発明の範囲内にある。
【0026】
本発明による方法の非常に推奨される実施形態は、クリンプされたフィラメントでできた第1のスパンボンド不織布層が最初に、堆積デバイス上、特に堆積スクリーンベルト上に堆積され、次いで、この第1のスパンボンド不織布層が最初に圧密または予備圧密されることを特徴とする。予備圧密は、好適には、カレンダーを用いて、好ましくは130℃~140℃、例えば135℃のカレンダーの表面温度で実施される。クリンプされたフィラメントでできた第3のスパンボンド不織布層も予備圧密されること、特に好適には第1のスパンボンド不織布層のための前述の条件下で予備圧密化されることも、本発明の範囲内にある。第1および/または第3のスパンボンド不織布層に関して200%超の伸長を達成することができる。
【0027】
第2のスパンボンド不織布層の連続フィラメント-特に単一成分フィラメント-が、少なくとも1種のエラストマーからなるかまたは本質的になることは、本発明の範囲内にある。好ましくは、これらの連続フィラメントまたは単一成分フィラメントは、1種のエラストマーのみから、または本質的に1種のエラストマーのみからなる。本発明の特に好ましい実施形態は、第2のスパンボンド不織布層の連続フィラメントのための上記の少なくとも1種のエラストマーまたは上記エラストマーが、プロピレンとエチレンとのコポリマーであることを特徴とする。ここで好ましくは、プロピレンの割合は、60重量%を超え、好ましくは70重量%を超え、非常に好ましくは80重量%を超える。一変形形態に従うと、第2のスパンボンド不織布層の前記の少なくとも1種のエラストマーまたは前記エラストマーのメルトフローレート(MFR)は、10g/10分~30g/10分、好ましくは15g/10分~25g/10分である。メルトフローレートは、好ましくは、ISO1133に従って230℃/2.16kpで測定される。本発明の非常に推奨される実施形態は、エラストマー、またはエラストマーとして使用されるコポリマーが、50℃~170℃、好ましくは50℃~160℃、特に好ましくは50℃~130℃の融点を有することを特徴とする。
【0028】
本発明の枠内において特に重要なのは、第2スパンボンド不織布層の連続フィラメント、特に単一成分フィラメントのエラストマーのまたはコポリマーのポリプロピレンが、70%を超える、好ましくは80%を超える、好ましくは90%を超えるメソペンタッド分率(mmmm)を有する実施形態である。エラストマーが、70%を超える、好ましくは80%を超える、そして非常に好ましくは90%を超えるポリプロピレンのメソペンタッド分率(mmmm)を有する低結晶性アイソタクチックコポリマーであることは、本発明の範囲内にある。-好適には、10μm~50μm、好ましくは20μm~50μm、好ましくは20μm~45μm、特に好ましくは25μm~45μm、非常に特に好ましくは25μm~40μmの繊度(Titer)を有する第2のスパンボンド不織布層の連続フィラメントまたは単一成分フィラメントが製造される。
【0029】
第2のスパンボンド不織布層用の連続フィラメントまたは単一成分フィラメントの製造において、糸速度は好ましくは、500m/分~1500m/分の範囲内である。-本発明の特に推奨される実施形態は、第2のスパンボンド不織布層が予備圧密されていないか、またはカレンダー加工によらずに予備圧密されていることを特徴とする。従って、第2のスパンボンド不織布層の堆積後の繊維堆積物が予備圧密されないか、またはカレンダー加工によらずに予備圧密されることは、本発明の範囲内にある。
【0030】
さらに、少なくとも第1のスパンボンド不織布層および第2のスパンボンド不織布層の積層体、または少なくとも第1のスパンボンド不織布層、第2のスパンボンド不織布層および第3のスパンボンド不織布層の積層体がカレンダー加工されることは、本発明の範囲内にある。従って、個々のスパンボンド不織布層の堆積後、いわば積層体全体の最終的な圧密が少なくとも1つのカレンダーによって行われる。ここで好ましくは、カレンダー加工は、8%~15%のカレンダーのプレス面積率または融着面積率を用いて実施される。6%~19%、好ましくは6%~15%、好ましくは6%~12%の、カレンダーのプレス面の割合または融着面の割合でカレンダー加工を実施することは、本発明の範囲内にある。積層体のカレンダー加工のためのカレンダーは、10~50図形(Figuren)/cm、好ましくは10~40図形/cm、好ましくは10~35図形/cm、特に好ましくは12~33図形/cm、殊に特に好ましくは15~30図形/cmの図形密度(Figurendichte)を有することが推奨される。カレンダー加工の際の線圧は20N/mm~50N/mmの範囲であることが推奨される。カレンダーの少なくとも1つのカレンダーロールの表面温度が60℃~90℃、好ましくは65℃~85℃であることは、本発明の範囲内にある。結合パターンの選択によって、積層体のカレンダー加工での、機械方向(MD)および/または機械方向に直交する方向(CD)における積層体の剛性または弾性に影響を及ぼし得る。-好適には、カレンダーのまたはカレンダーの少なくとも1つのカレンダーロールの表面温度は、第1のスパンボンド不織布層および/または第3のスパンボンド不織布層の最低融点成分の溶融温度よりも低い。好ましくは、カレンダーのまたはカレンダーロールの表面温度と、第1および/または第3のスパンボンド不織布層の最低融点成分の溶融温度との温度差は、少なくとも60℃、好ましくは少なくとも65℃、好ましくは少なくとも70℃、非常に好ましくは少なくとも75℃である。これにより、後の延伸プロセスにおいて、第1のスパンボンド不織布層のフィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層のフィラメントが、それらの結合点から裂けない、ということを達成できる。
【0031】
第2のスパンボンド不織布層のエラストマーの溶融温度が、第1のスパンボンド不織布層および/または第3のスパンボンド不織布層の最低融点成分の溶融温度よりも低いことは、本発明の範囲内にある。本発明は、低融点の第2のスパンボンド不織布層(コア層)が、いわば、積層体のための結合体(Bindungsmasse)を形成するという知見に基づく。第1および第3のスパンボンド不織布層のフィラメントは、互いに単に弱いフィラメント結合点を形成するだけであり、従って、積層体の伸長の間に更なる移動の自由が確保される。この移動の自由によって初めて、必要とされる伸長性が、任意の後続の積層体の活性化または延伸において達成される。
【0032】
少なくとも第1のスパンボンド不織布層および第2のスパンボンド不織布層の積層体、または少なくとも第1のスパンボンド不織布層、第2のスパンボンド不織布層および第3のスパンボンド不織布層の積層体が延伸されるか、あるいは機械方向(MD)におよび/または機械方向に直交する方向(CD)に延伸されることは、本発明の範囲内にある。ここで、延伸は、本発明による方法の一実施形態によれば、積層体の製造直後にインラインで実施することができる。本発明による方法の別の実施形態によれば、延伸は、オフラインで、好ましくは別の設備または装置で実施される。例えば、製造された積層体を-好ましくは最終圧密後またはカレンダー加工後に-巻き取り、次いで後に、別の設備で-例えばおむつ用の設備で-、ほどかれ、延伸することができる。積層体は、延伸前に予熱することができる。
【0033】
延伸プロセスの一変形態様によれば、積層体の延伸は、機械方向(MD)に、2つのギアロールを有するギアロールペア少なくとも1つによって行うことができ、2つのギアロールは、互いにかみ合い、その間を積層体が通過する。ここで、複数の歯が、各ギアロールの円周上に分散して配置され、これらの歯は、各ギアロールの長手方向軸に平行に伸びる。
【0034】
別の変形形態によれば、積層体の延伸は、積層体を少なくとも2つの延伸ロールペアの間の間隙を通過させること、およびその際に第2の延伸ロールペアまたは下流の延伸ロールペアが、第1の延伸ロールペアよりも高い回転速度を有することによって、機械方向(MD)に行うことができる。いくつかの延伸ロールペアが関与することも可能であり、積層体が、第1の回転速度で回転している第1の延伸ロールペアのロールの間を通過する。この後に、少なくとも1つの第2の延伸ロールペアが続き、これにより積層体が導かれ、ここでこの第2の延伸ロールペアは、第1の延伸ロールペアよりも高い延伸ロールの回転速度を有する。第2の延伸ロールペアにはさらなる延伸ロールペアが続いていてもよく、そこを積層体が通過する。好適には、回転速度は、第2の延伸ロールペアから後続の延伸ロールペアにかけて連続的に低下する。使用される延伸ロールは加熱されていてもよい。延伸ロールペアを用いた延伸時の延伸距離は、機械方向に好ましくは200~500mmである。-一実施形態によれば、上述の2つの延伸手段を機械方向(MD)において組み合わせることができる。
【0035】
追加的にまたは代替的に、積層体を-好ましくは、最終圧密されたまたはカレンダー加工された積層体を-機械方向に直交する方向(CD)に延伸することができる。好適には、この延伸は、機械方向に直交する方向に、積層体がその間を通過する少なくとも1つの横方向延伸ロールペアによって実施される。2つの横方向延伸ロールは、それらの長手方向軸に沿って並び、互いに間隔を置いて配置されたロールディスクを有することが推奨される。積層体へのロールディスクの係合により、横方向または機械方向に直交する方向に延伸が行われる。機械方向(MD)における延伸は、機械方向に直交する方向(CD)における延伸と組み合わせることができる。
【0036】
上記の技術的課題を解決するために、本発明はさらに、少なくとも2つのスパンボンド不織布層でできた不織布積層体であって、第1のスパンボンド不織布層がクリンプされた多成分フィラメントまたはクリンプされた二成分フィラメントを有し、ここで、クリンプされたフィラメントが、それらの長さ1cmあたり2.5ループ(loops)を超えるクリンプ度、好ましくはそれらの長さ1cmあたり3ループ(loops)を超えるクリンプ度を有し、
連続フィラメントを有する第2のスパンボンド不織布層が提供され、ここで、第2のスパンボンド不織布層のこれらの連続フィラメントは、ポリプロピレンをベースとするエラストマーを有し、そして前記ポリプロピレンは、好ましくは、70%超、好ましくは80%超、好ましくは90%超のメソペンタッド分率(mmmm)を有する、不織布積層体を教示する。
【0037】
本発明による不織布積層体の好ましい実施形態によれば、第2のスパンボンド不織布の連続フィラメントは、単一成分フィラメントである。代替の実施形態によれば、第2のスパンボンド不織布の連続フィラメントは二成分フィラメントであり、これらは、好ましくはコア-シェル構造、特に中央コア-シェル構造を有する二成分フィラメントとして形成される。
【0038】
不織布積層体が第3のスパンボンド不織布層を含み、この第3のスパンボンド不織布層がクリンプされた多成分フィラメントまたはクリンプされた二成分フィラメントを有することは、本発明の範囲内にある。第3のスパンボンド不織布層のこれらのクリンプされたフィラメントが、それらの長さ1cmあたり2.5ループ(loops)超、好ましくはそれらの長さ1cmあたり3ループ(loops)超のクリンプ度を有することが推奨される。-本発明の特に好ましい実施形態は、第1のスパンボンド不織布層の連続フィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層の連続フィラメントの繊度が1.0~2.0denであることを特徴とする。好ましくは、第1のスパンボンド不織布層の連続フィラメントおよび/または第3のスパンボンド不織布層の連続フィラメントの繊度は、12μm~25μm、好ましくは14μm~20μm、特に好ましくは16μm~18μmである。
【0039】
不織布積層体が、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの第2のスパンボンド不織布層を有することは、本発明の範囲内にある。これらの第2のスパンボンド不織布またはこれらの第2のスパンボンド不織布層が、第1のスパンボンド不織布層と第3のスパンボンド不織布層との間に2つまたは3つのコア層を形成し、その結果、少なくとも4層または5層の不織布積層体を形成することが推奨される。
【0040】
本発明は、本発明による方法を使用すると、特性の最適な組合せを特徴とする不織布積層体を製造できるという知見に基づくものである。この不織布積層体は、一方で十分に柔軟に形成され、他方で優れた弾性特性を有する。当該不織布積層体は、一方では伸長可能であり、他方では十分な弾性復元力を有する。従来技術から知られている多くの弾性不織布または不織布積層体では、ゴムのような感触をもたらす。本発明の枠内において、この不利なゴム様の感触は回避することができる。本発明により製造された不織布積層体は、比較的簡単かつ安価な方法で製造することができる。製造に伴う費用・労力が、弾性不織布または弾性不織布積層体の製造のための従来技術から公知の多くの方法の場合よりも少ない。本発明に従って製造された不織布積層体は、衛生製品として使用することができ、例えば、フィギュアハギング下着様おむつ製品及び失禁用製品の分野で使用することができる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.少なくとも2つの不織布層を有する不織布積層体(1)を製造するための方法であって、2つの不織布層がスパンボンド不織布層(2,3)として製造され、各スパンボンド不織布層(2,3)の製造のために、連続フィラメント(5)が、少なくとも1つの紡糸口金(6)を用いて紡糸され、その後冷却され、引き続き延伸され、そして最終的に堆積デバイス上に、特に堆積スクリーンベルト(7)上に堆積されて不織布ウェブまたはスパンボンド不織布層が得られ、
ここで、少なくとも1つの第1のスパンボンド不織布層(2)または少なくとも1つの第1のスパンボンド不織布は、クリンプされた多成分フィラメントから、特にクリンプされた二成分フィラメント(5.1)から製造され、
そして、少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布層(3)または少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布は連続フィラメントから製造され、ここで、前記の第2のスパンボンド不織布の連続フィラメントはポリプロピレンをベースとするエラストマーを有する、前記方法。
2.少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布層(3)または少なくとも1つの第2のスパンボンド不織布が、単一成分フィラメント(5.2)から製造される、上記1に記載の方法。
3.少なくとも1つの第3のスパンボンド不織布層(4)または少なくとも1つの第3のスパンボンド不織布がクリンプされた多成分フィラメントから、特にクリンプされた二成分フィラメント(5.3)から製造され、ここで、第2のスパンボンド不織布層(3)が第1のスパンボンド不織布層(2)と第3のスパンボンド不織布層(4)との間に配置される、上記1または2に記載の方法。
4.少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの第2のスパンボンド不織布層(3)または第2のスパンボンド不織布が連続フィラメントから製造される、上記1~3のいずれか1つに記載の方法。
5.第1のスパンボンド不織布層(2)および/または第3のスパンボンド不織布層(4)のクリンプされたフィラメント(5.1,5.3)が、サイドバイサイド構造を有するかまたはコア-シェル構造、特に偏心コア-シェル構造を有するクリンプされたフィラメント(5.1,5.3)として形成される、上記1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.第1のスパンボンド不織布層(2)および/または第3のスパンボンド不織布層(4)のクリンプされたフィラメント(5.1,5.3)が、ポリプロピレンをベースとする、特にホモポリプロピレンをベースとする少なくとも1種の成分、好ましくは2種の成分または少なくとも2種の成分を有する、上記1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.第1のスパンボンド不織布層(2)および/または第3のスパンボンド不織布層(4)のクリンプされたフィラメント(5.1,5.3)が、ポリプロピレンをベースとする、特にホモポリプロピレンをベースとする2種の成分または少なくとも2種の成分を有し、2種の成分の2種のポリプロピレンまたはホモポリプロピレンがそれらのメルトフローレート(MFR)で異なっており、そして、好ましくは、一方の成分のメルトフローレートが、他方の成分のメルトフローレートより少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.4倍高い、上記1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.第1のスパンボンド不織布層(2)および/または第3のスパンボンド不織布層(4)のクリンプされたフィラメント(5.1,5.3)が、それらの長さ1cmあたり2.5ループ(loops)超、好ましくはそれらの長さ1cmあたり3ループ(loops)超のクリンプ度を有する、上記1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.第2のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメント(5)、特に単一成分フィラメント(5.2)が、少なくとも1種のエラストマーからなるかまたは本質的に少なくとも1種のエラストマーからなり、前記エラストマーが特にプロピレンとエチレンとのコポリマーであり、そして、前記コポリマーが好ましくは50℃~170℃、好ましくは50℃~160℃、特に好ましくは50℃~130℃の融点を有する、上記1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.第2のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントまたは単一成分フィラメント(5.2)のエラストマーのポリプロピレンが、70%超、好ましくは80%超、好ましくは90%超のメソペンタッド分率(mmmm)を有する、上記1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.10μm~50μm、好ましくは20μm~50μm、好ましくは20μm~45μm、特に好ましくは25μm~45μm、非常に特に好ましくは25μm~40μmの繊度を有する、第2のスパンボンド不織布層(3)の連続フィラメントまたは単一成分フィラメント(5.2)が製造される、上記1~10のいずれか1つに記載の方法。
12.少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)および第2のスパンボンド不織布層(3)でできた積層体(1)、または少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)、第2のスパンボンド不織布層(3)および第3のスパンボンド不織布層(4)でできた積層体(1)がカレンダー加工され、その際にカレンダー加工が、好ましくは、8%~15%のカレンダー(8)のプレス面積率または融着面積率で実施される、上記1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)および第2のスパンボンド不織布層(3)でできた積層体(1)、または少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)、第2のスパンボンド不織布層(3)および第3のスパンボンド不織布層(4)でできた積層体が、カレンダー(8)によって、10~50図形/cm 、好ましくは10~40図形/cm 、好ましくは10~35図形/cm 、特に好ましくは12~33図形/cm 、非常に特に好ましくは15~30図形/cm の図形密度でカレンダー加工される、上記1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)および第2のスパンボンド不織布層(3)でできた積層体(1)、または少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)、第2のスパンボンド不織布層(3)および第3のスパンボンド不織布層(4)でできた積層体がカレンダー(8)によってカレンダー加工され、カレンダー(8)の少なくとも1つのカレンダーロール(9)の表面温度が60℃~90℃、好ましくは65℃~85℃である、上記1~13のいずれか1つに記載の方法。
15.少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)および第2のスパンボンド不織布層(3)でできた積層体(1)、または少なくとも第1のスパンボンド不織布層(2)、第2のスパンボンド不織布層(3)および第3のスパンボンド不織布層(4)でできた積層体(1)が延伸されるか、あるいは機械方向(MD)におよび/または機械方向に直交する方向(CD)に延伸される、上記1~14のいずれか1つに記載の方法。
16.第1のスパンボンド不織布層(2)がクリンプされた多成分フィラメントまたはクリンプされた二成分フィラメント(5.1)を有し、クリンプされたフィラメントが、それらの長さ1cmあたり2.5ループ(loops)超、好ましくはそれらの長さ1cmあたり3ループ(loops)超のクリンプ度を有し、
連続フィラメントを有する第2のスパンボンド不織布層(3)が供され、ここで、第2のスパンボンド不織布層(3)のこれらの連続フィラメントが、ポリプロピレンをベースとするエラストマーを有し、そして前記ポリプロピレンが、70%超、好ましくは80%超、好ましくは90%超のメソペンタッド分率(mmmm)を有する、
特に上記1~15のいずれか1つに記載の方法によって製造される、少なくとも2つのスパンボンド不織布層(2,3)でできた不織布積層体(1)。
17.第3のスパンボンド不織布層(4)を含み、この第3のスパンボンド不織布層(4)がクリンプされた多成分フィラメントまたはクリンプされた二成分フィラメント(5.3)を有し、これらのクリンプされたフィラメントが、それらの長さ1cmあたり2.5ループ(loops)超、好ましくはそれらの長さ1cmあたり3ループ(loops)超のクリンプ度を有する、上記16に記載の不織布積層体(1)。
18.第1のスパンボンド不織布層(2)および/または第3のスパンボンド不織布層(4)の連続フィラメント(5)の繊度が1.0~2.0denである、上記16または17に記載の不織布積層体(1)。
【0041】
以下において、本発明を、単に1つの例示的な実施形態を示す図面に基づいて詳細に説明する。以下のように図示される:
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の不織布積層体のためのスパンボンド不織布層を製造するための紡糸装置の好ましい実施形態の断面図
図2】本発明の不織布積層体を製造するための装置の好ましい実施形態の側面図
図3】本発明の不織布積層体を機械方向(MD)に延伸するための延伸装置の第1の実施形態
図4】本発明の不織布積層体を機械方向(MD)に延伸するための延伸装置の第2の実施形態
図5】本発明の不織布積層体を機械方向に直交する方向(CD)に延伸するための延伸装置の一実施形態。(a)正面図、(b)側面図。
図6】本発明の不織布積層体の断面図 a)延伸されていない状態 b)部分的に延伸された状態、および c)完全に延伸された状態。
【0043】
図1は、本発明の不織布積層体1用のスパンボンド不織布層2、3、4のうちの1つを製造するための紡糸装置の特に好ましい実施形態を示す。本発明によれば、不織布積層体1の個々の層は、スパンボンド型不織布(Spunbond-Vliese)(スパンボンド不織布(Spinnvliese))として製造される。従って、図1に従う紡糸装置を用いて、スパンボンド不織布またはスパンボンド型不織布を製造するためのスパンボンドプロセスを実施する。そのために、熱可塑性プラスチックでできた連続フィラメント5が紡糸口金6によって紡糸され、これらの連続フィラメント5は次いで、好ましくは、紡糸口金6の下方に、紡糸プロセス中に生じるガスを吸引するためのモノマー吸引装置10によって導かれる。連続フィラメント5の流れ方向において、好ましくは、モノマー吸引装置10の下方に、連続フィラメント5を冷却するための冷却装置11が設けられている。推奨される様式では、および、実施例では、この冷却装置11は、空気供給キャビンを有し、これは実施例では2つのキャビンセクション12、13に区分化される。これら2つのキャビンセクション12、13から、好ましくは、および実施例では、それぞれ異なる温度の処理空気または冷却空気がフィラメント束の方向に供給される。冷却装置11に、好ましくは、および実施例において、連続フィラメント5の流れ方向に延伸ユニット14が接続される。この延伸ユニット14は、推奨される様式では、および実施例では、連続フィラメント5の流れ方向に収束する中間チャネル15ならびにそれに続く延伸チャネル16を有する。非常に好ましい実施形態によると、および、実施例では、冷却装置11および延伸ユニット14からのアセンブリは、閉鎖系として形成される。この閉鎖系では、冷却装置11における冷却空気の供給以外は、さらなる空気供給は行われない。
【0044】
本発明の実証された実施形態に従うと、連続フィラメント5の流れ方向において、延伸ユニット14にディフューザー17が接続される。好適には、および、実施例では、連続フィラメント5は、ディフューザ17の後に、堆積スクリーンベルト7として形成されたスパンボンド不織布層2、3、4のための堆積ユニット上に堆積される。好ましくは、および、実施例では、さらに、延伸ユニット14または延伸チャネル16とディフューザ17との間に空気入口スリット18が配置され、その空気入口スリット18を通って空気体積流または二次空気体積流がディフューザ17に導入される。
【0045】
好ましい実施形態によると、および、実施例では、紡糸装置Sの堆積ユニットは、通気性の堆積スクリーンベルト7として形成される。好ましくは、および、実施例では、スパンボンド不織布層2から見て外側の、堆積スクリーンベルト7の下面から、堆積スクリーンベルト7を通して吸引空気が吸引される。そのために、少なくとも1つの吸引装置19が堆積スクリーンベルト7の下方に配置される。-好ましくは、スパンボンド不織布層2は、それの堆積の後に、特に好ましくは、および、実施例では、2つの予備圧密カレンダーロール21を有する予備圧密カレンダー20を用いて、予備圧密される。次に、スパンボンド不織布層2は、堆積スクリーンベルト7を用いて機械方向MDに更に送られる。
【0046】
図2は、第1のスパンボンド不織布層2、第2のスパンボンド不織布層3及び第3のスパンボンド不織布層4でできた3層の不織布積層体1を製造するための本発明の装置の好ましい実施形態を示す。ここで、スパンボンド不織布層2、3、4はそれぞれ、図1に従う紡糸装置Sを用いて製造される。便宜上、図2には、これらの紡糸装置Sのディフューザ17のみが示されている。好ましくは、および、図2に従う実施例では、最初に、図2の左側の第1の紡糸装置Sを用いて、連続フィラメント5が二成分フィラメント5.1の形態で製造され、堆積スクリーンベルト7上に堆積されて第1のスパンボンド不織布層2が得られる。二成分フィラメント5.1は、好ましくは、および、実施例では、サイドバイサイド構造を有し、これらの二成分フィラメント5.1の2つの成分は、好ましくは、および、実施例では、ホモポリプロピレンとして形成される。推奨される変形形態によれば、二成分フィラメント5.1の2つの成分のホモポリプロピレンは、少なくともそれらのメルトフローレート(Schmelzpunktrate)(MFR)が異なる。ここで好ましくは、1つの成分のメルトフローレートは、別の成分のメルトフローレートより少なくとも1.2倍、特に少なくとも1.3倍大きい。二成分フィラメント5.1は、好ましくは、および、実施例では、クリンプされたフィラメントとして形成され、それらは、好適には、それらの長さ1cmあたり2.5ループ(loops)超、特に好ましくはそれらの長さ1cmあたり3ループ(loops)超のクリンプ度を有する。第1のスパンボンド不織布層2は、実証されているように、および、実施例では、2つの予備圧密カレンダーロール21を有する予備圧密カレンダー20によって予備圧密される。
【0047】
機械方向MDにおいて、第1の左側の紡糸装置Sの後に中間紡糸装置Sが続き、当該中間紡糸装置Sを用いて、好適には、および、実施例では、連続フィラメントが単一成分フィラメント5.2の形態で製造され、堆積されて第2のスパンボンド不織布層3が得られる。第2のスパンボンド不織布のこれらの単一成分フィラメント5.2は、本発明において、ポリプロピレンをベースとするエラストマーを有する。好適には、単一成分フィラメント5.2は、このエラストマーからまたは本質的にこのエラストマーからなる。ここで、好ましくはそれは、プロピレンとエチレンとのコポリマーの形態のエラストマーである。このコポリマーは、50℃~160℃の融点を有することが推奨される。単一成分フィラメント5.2は、好適には、および、実施例では、クリンプされていない連続フィラメント5である。本発明の特に好ましい実施形態は、単一成分フィラメント5.2のエラストマーのまたはコポリマーのポリプロピレンが、90%を超えるメソペンタッド分率(mmmm)を有することを特徴とする。第2のスパンボンド不織布層3の単一成分フィラメント5.2は、好ましくは、および、実施例では、25μm~40μmの繊度を有する。第2のスパンボンド不織布層3が予備圧密されていないことは、本発明の範囲内にある。第1のスパンボンド不織布層2およびその上に配置された第2のスパンボンド不織布層3でできた部分積層体は、実施例において、引き続き、堆積スクリーンベルト7を用いて機械方向MDに、特に、図2の右側の第3の紡糸装置Sに、さらに送られる。
【0048】
第3の紡糸装置Sを用いて、好ましくは、および、実施例では、二成分フィラメント5.3の形態の連続フィラメント5が製造され、第3のスパンボンド不織布層4として、前記部分積層体の第2のスパンボンド不織布層3上に堆積される。二成分フィラメント5.3は、好ましくは、および、実施例では、 クリンプされた二成分フィラメント5.2であり、ここでこれらの二成分フィラメント5.2は、好ましくは、および、実施例では、それらの長さ1cmあたり2.5ループ(loops)超、特にそれらの長さ1cmあたり3ループ(loops)超のクリンプ度を有する。好ましくは、および、実施例では、二成分フィラメント5.3はサイドバイサイド構造を示し、好適には、二成分フィラメント5.3の2つの成分は、ポリプロピレン、特にホモポリプロピレンから、または本質的にポリプロピレン、特に本質的にホモポリプロピレンからなる。好適には、第3のスパンボンド不織布層4の二成分フィラメント5.3の2つの成分は、それらのメルトフローレート(MFR)が異なる。好ましくは、1つの成分のメルトフローレートは、別の成分のメルトフローレートより少なくとも1.2倍、特に少なくとも1.3倍大きい。堆積後、第3のスパンボンド不織布層4は、好ましくは、および、実施例では、予備圧密カレンダーロール21を有する予備圧密カレンダー20によって予備圧密される。
【0049】
特に好ましい実施形態に従うと、および実施例では、引き続き、第1のスパンボンド不織布層2、第2のスパンボンド不織布層3および第3のスパンボンド不織布層4でできた積層体1は、カレンダーロール9を有するカレンダー8によってカレンダー加工または最終圧密される。カレンダーは、好ましくは、および、実施例では、8%~15%のプレス面積率を有する。前記積層体は、カレンダー8によって15~30図形/cmの図形密度でカレンダー加工されることが推奨される。カレンダー8の少なくとも1つのカレンダーロール9の表面温度は65℃~85℃が有効であることが判明した。-カレンダー加工または最終圧密の後、特に好ましい実施形態に従うと、および、実施例では、不織布積層体1は延伸装置22によって延伸される。ここで延伸装置22による延伸は、一実施形態に従うと、不織布積層体1の形成後直ちに(インラインで)行うことができる。しかしながら、不織布積層体1が(オフラインで)、特に、別の位置で、または別のユニットにおいて延伸されることもまた、本発明の範囲内である。そのために、不織布積層体1は、好適には、その製造後に巻き取られ、後に、特に別の位置で少なくとも1つの延伸装置22を用いて延伸される。
【0050】
図3~5は、本発明に従って製造された不織布積層体1を延伸するための延伸装置22の好ましい実施形態を示す。2つの延伸装置22または全ての3つの延伸装置22を互いに組み合わせられることは、本発明の範囲内にある。基本的に、1つの延伸装置22だけを使用することもできる。図3および図4に示す延伸装置22は、不織布積層体1を機械方向MDに延伸するために使用され、図5に示す延伸装置22は、不織布積層体1を機械方向に直交する方向に、すなわちCD方向に延伸するために使用される。
【0051】
不織布積層体1をMD方向に延伸するための、図3に示す延伸装置22は、2つの互いにかみ合うギアロール24を有するギアロールペア23からなる。これらの2つのギアロール24は、各々、各ギアロール24の円周上に分散して配置された複数の歯を有し、これらの歯25が、各ギアロール24の長手方向軸に平行に伸びている。不織布積層体1は、長手方向に延伸するために2つのギアロール24の間を通され、ここで、2つのギアロール24の歯25が不織布積層体1に係合する。
【0052】
図4は、不織布積層体1をMD方向に延伸するための延伸装置22のさらなる実施形態を示す。好ましくは、および図4による実施例では、各々が2つの延伸ロール27からなる延伸ロールペア26が備えられ、不織布積層体1は、延伸ロールペア26のニップを通過する。好適には、および、実施例では、2つの延伸ロール27.1を有する第1の延伸ロールペア26.1、ならびに2つの延伸ロール27.2を有する第2の延伸ロールペア26.2が備えられる。好ましくは、および、実施例では、第2の延伸ロールペア26.2の延伸ロール27.2は、第1の延伸ロールペア26.1の延伸ロール27.1よりも高い回転速度で回転し、その結果、不織布積層体1の延伸が起こる。推奨される様式では、および、実施例では、延伸ロール27.3を有する第3の延伸ロールペア26.3および延伸ロール27.4を有する第4の延伸ロールペア26.4が備えられる。実証されるように、および、実施例では、延伸ロール27の回転速度は、第2の延伸ロールペア26.2から第4の延伸ロールペア26.4に向かって低下する。基本的に、さらに別の延伸ロールペア26もまた関与してもよい。
【0053】
図5は、機械方向に直交する方向に、すなわちCD方向に不織布積層体1を延伸するための延伸装置22の好ましい実施形態を示す。そのために、好ましくは、および、実施例において、2つの横方向延伸ロール29を有する少なくとも1つの横方向延伸ロールペア28が使用される。2つの横方向延伸ロール29は、それらのそれぞれの長手方向軸に沿って並んで互いに間隔aで配置されたロールディスク32を複数有する。不織布積層体1は、2つの横方向延伸ロール29の間を通過し、不織布積層体1へのロールディスク32の係合によって、不織布積層体1の延伸が横方向に又は機械方向に直交する方向に(CD方向に)実施される。好ましくは、および、実施例において、横方向延伸ロール29はそれぞれ、並んで配置された複数のロールディスク32から構成される。ここで、ロールディスク32の厚さdは、0.4mm~2mm、好ましくは0.5mm~1.8mm、特に好ましくは0.6mm~0.8mmであることが推奨される。好適には、横方向延伸ロールの2つのロールディスク32間の間隔aは、5mm未満、好ましくは3mm未満、非常に好ましくは2.5mm未満である。2つの横方向延伸ロール29の侵入深度(Eintauchtiefe)tは、2mm~10mm、好ましくは3mm~9mm、好ましくは4mm~9mmであることが推奨される。特に、横方向延伸ロール29(それらのロールディスク32が0.5mm~0.9mmの厚さdおよび1.5mm~2.5mmの相互距離aを有し、6mm~8mmの侵入深度tを有する)を備えた横方向延伸ロールペア28が有用であることがわかった。
【0054】
図6に、本発明の不織布積層体1の延伸を示す。図6a)は、未だ延伸されていない状態の不織布積層体1を示す。図6b)は、不織布積層体1の部分的な延伸を示す。最後に、図6c)に、不織布ラミネート1の最大限の延伸を示す。
【実施例
【0055】
実施例:
以下において、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。好ましい実施形態によれば、本発明の不織布積層体1は、第1のスパンボンド不織布層2、その上に配置された第2のスパンボンド不織布層3、およびさらにその上に配置された第3のスパンボンド不織布層4を有する。従って、第1および第3のスパンボンド不織布層2、4は、弾性コア層としての第2スパンボンド不織布層3のためのカバー層またはハイロフトカバー層を形成する。好適には、および、実施例において、第1スパンボンド不織布層2と第3スパンボンド不織布層4の連続フィラメント5は、サイドバイサイド配置を有する二成分フィラメント5.1、5.3からなり、第2スパンボンド不織布層3の連続フィラメント5は、好適には、および、実施例において、単一成分フィラメント5.2からなる。第1のスパンボンド不織布層2および第3のスパンボンド不織布層4の二成分フィラメント5.1および5.3は、クリンプされた二成分フィラメント5.1、5.3として形成される。ここで、推奨される様式では、および、実施例では、第1のスパンボンド不織布層2の二成分フィラメント5.1も第3のスパンボンド不織布層4の二成分フィラメント5.3も、それらの長さ1cmあたり3ループ(loops)より大きいクリンプ度を有する。
【0056】
推奨される様式では、および、実施例では、第1のスパンボンド不織布層2の二成分フィラメント5.1の第1の成分も、第3のスパンボンド不織布層4の二成分フィラメント5.3の第1の成分も、本質的にホモポリプロピレンから、好ましくは少なくとも95重量%がこのホモポリプロピレンからなる。特に好ましい一変形形態に従うと、二成分フィラメント5.1および5.3の第一成分は、97~99重量%のホモポリプロピレン、および1~3重量%の潤滑剤、好ましくは脂肪酸アミド、特に好ましくは2%のエルカ酸アミドを有する。二成分フィラメント5.1および二成分フィラメント5.3の第1の成分のメルトフローレート(MFR)は、28g/10分~42g/10分の間、好ましくは30g/10分~40g/10分の間であることが推奨される。-好適には、および、実施例では、第1のスパンボンド不織布層2の二成分フィラメント5.1および第3のスパンボンド不織布層4の二成分フィラメント5.3の第2の成分は、ホモポリプロピレンの混合物から、または本質的にホモポリプロピレンの混合物からなる。ここで、この混合物の1つのホモポリプロピレンは、好ましくは、この混合物の第2のホモポリプロピレンよりも高いメルトフローレート(MFR)を有する。二成分フィラメント5.1および5.3の第2の成分の混合物における2つのホモポリプロピレンの質量比は、好ましくは、60:40~70:30であり、ここで、より高い質量分率を有するホモポリプロピレンがより高いメルトフローレート(MFR)も有することが推奨される。好適には、二成分フィラメント5.1のおよび二成分フィラメント5.3の第2の成分は、少なくとも1種の添加剤を、特に好ましくは潤滑剤の形態で含む。好ましくは、1重量%~3重量%のこの添加物または潤滑剤が、第2の成分中に存在する。潤滑剤は、好ましくは脂肪酸アミド、特にエルカ酸アミドである。-二成分フィラメント5.1および二成分フィラメント5.3の第1成分と第2成分との質量比は、好ましくは、および、実施例において、60:40~80:20、好ましくは65:35~75:25、例えば70:30である。
【0057】
好適には、および、実施例において、第2のスパンボンド不織布層3の単一成分フィラメント5.2は、ポリプロピレンをベースとするエラストマーからなる。第2スパンボンド不織布層3の単一成分フィラメント5.2のために、プロピレンとエチレンとのコポリマーを使用することが推奨され、ここで好ましくは、プロピレン含有率は、70重量%超、好ましくは80重量%超である。特に好ましくは、単一成分フィラメント5.2のエラストマーは、プロピレン部分またはポリプロピレン部分を有する低結晶性アイソタクチックコポリマーであり、ここでポリプロピレンは90%を超えるメソペンタッド分率(mmmm)を有する。
【0058】
以下の表1に、本発明の不織布積層体1を製造するための特に好ましい実施形態のためのパラメータを示す。不織布積層体1は、3つのスパンボンド不織布層2、3、4からなる。第1のスパンボンド不織布層2および第3のスパンボンド不織布層4の二成分フィラメント5.1および5.3は、それぞれホモポリプロピレン1の形態の第1の成分を有する。この第1の成分は、好適には、潤滑剤としてエルカ酸アミドを2重量%添加されてもよい。ホモポリプロピレン1は、本発明の好ましい実施形態によれば、36g/10分のメルトフローレートを有する。第1のスパンボンド不織布層2および第3のスパンボンド不織布層4の二成分フィラメント5.1および二成分フィラメント5.3の第2成分X2は、ホモポリプロピレン1とホモポリプロピレン2との混合物からなる。従って、1つの混合物成分は、第1の成分X1のホモポリプロピレン1に相当する。混合物におけるホモポリプロピレン1とホモポリプロピレン2との質量比は、65:35であってもよい。第2の成分には、エルカ酸アミドの形態の潤滑剤を例えば2重量%の量で添加することができる。ホモポリプロピレン2は、好適には、13g/分のメルトフローレートを有する。第1のスパンボンド不織布層2および第3のスパンボンド不織布層4の二成分フィラメント5.1および二成分フィラメント5.3の第1成分X1と第2成分X2との質量比は70:30である。第2スパンボンド不織布層3のために、プロピレンとエチレンとのコポリマーの形態のエラストマーでできた単一成分フィラメントが使用される。ここで、プロピレンの割合は、好適には、80重量%を超える。ポリプロピレンのメソペンタッド分率(mmmm)は、90%を超える。表1の最後の2つの欄に、それぞれの紡糸装置Sの紡糸口金6におけるスループットに関して特に好ましい値、ならびにそれぞれの紡糸装置Sにおける好ましいキャビン圧力を示す。
【0059】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6