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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】制御バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 5/04 20060101AFI20240718BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F16K5/04 G
F01P7/16 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020050177
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021148242
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】大関 哲史
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194167(JP,A)
【文献】特開2019-177446(JP,A)
【文献】特開2015-059615(JP,A)
【文献】特開2017-166569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 1/00-11/20
F16K 5/00- 5/22
11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流通する流通口を有するケーシングと、
前記ケーシングに形成された貫通孔を通じて前記ケーシングの内外を貫通する駆動軸と、
前記ケーシングの外部に配置され、前記駆動軸を回転させるアクチュエータと、
前記ケーシングの内部で前記駆動軸に連結されて、前記駆動軸とともに回転可能に構成されるとともに、前記駆動軸の回転に伴い前記流通口を通じた前記ケーシングの内外の連通及び遮断を切り替える弁体と、
前記ケーシングと前記駆動軸との間に介在して、前記貫通孔を通じた前記ケーシングの内外の連通を遮断するシール部材と、を備え、
前記駆動軸は、
駆動軸本体と、
前記駆動軸のうち少なくとも前記シール部材との摺動部分を金属材料により形成された摺動部と、を有し、
前記駆動軸本体は、前記摺動部よりも密度が小さい材料により形成され
前記駆動軸本体は、
前記摺動部に対して前記弁体側にある第1軸部と、
前記摺動部に対して前記アクチュエータ側にある第2軸部と、を備え、
前記摺動部は、前記第1軸部及び前記第2軸部と同軸に配置された柱状に形成され、
前記第1軸部は、前記弁体と一体に形成され、
前記ケーシングと前記弁体との間にスラスト受け部が介在している制御バルブ。
【請求項2】
前記摺動部は、前記駆動軸本体と同径に形成されるとともに、前記駆動軸本体に同軸で連結されている請求項に記載の制御バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷却水を用いてエンジンを冷却する冷却システムでは、ラジエータとエンジンとの間を循環するラジエータ流路とは別に、ラジエータをバイパスするバイパス流路やオイルウォーマを通過する暖機流路等が設けられていることがある。この種の冷却システムでは、流路の分岐部に接続されて、液体の分配先を適宜切り替える制御バルブを備えた構成が知られている。制御バルブとしては、ケーシング内に円筒状の弁体が回転可能に配置され、弁体の回転位置に応じて任意の流路が開閉されるものが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
下記特許文献1に記載の制御バルブにおいて、弁体には駆動軸が圧入されている。弁体は、電動モータ等のアクチュエータの駆動力によって、駆動軸と一体で回転する。
【0004】
駆動軸は、シール部材(シールリング)を介在させてケーシングに支持されている。駆動軸は、シール部材に摺動可能に圧入されている。駆動軸は、シール部材との接触箇所が摩耗することを抑制するため、金属材料により形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-194167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら金属材料は樹脂材料と比較して密度が大きいため、駆動軸の全体を金属材料で形成すると制御バルブ全体の重量が増加してしまう。また、金属材料は樹脂材料と比較して高価であるため、製造コストが増大することも懸念される。
【0007】
そこで本発明は、耐久性を確保しつつ、軽量化し、製造コストを低減することができる制御バルブを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る制御バルブは、液体が流通する流通口を有するケーシングと、前記ケーシングに形成された貫通孔を通じて前記ケーシングの内外を貫通する駆動軸と、前記ケーシングの外部に配置され、前記駆動軸を回転させるアクチュエータと、前記ケーシングの内部で前記駆動軸に連結されて、前記駆動軸とともに回転可能に構成されるとともに、前記駆動軸の回転に伴い前記流通口を通じた前記ケーシングの内外の連通及び遮断を切り替える弁体と、前記ケーシングと前記駆動軸との間に介在して、前記貫通孔を通じた前記ケーシングの内外の連通を遮断するシール部材と、を備え、前記駆動軸は、駆動軸本体と、前記駆動軸のうち少なくとも前記シール部材との摺動部分を金属材料により形成された摺動部と、を有し、前記駆動軸本体は、前記摺動部よりも密度が小さい材料により形成され、前記駆動軸本体は、前記摺動部に対して前記弁体側にある第1軸部と、前記摺動部に対して前記アクチュエータ側にある第2軸部と、を備え、前記摺動部は、前記第1軸部及び前記第2軸部と同軸に配置された柱状に形成され、前記第1軸部は、前記弁体と一体に形成され、前記ケーシングと前記弁体との間にスラスト受け部が介在している
【0009】
本態様によれば、シール部材との接触による摩耗を抑えるために高い耐久性を要とする摺動部を少なくとも金属材料により形成し、駆動軸本体を金属材料よりも密度の低い材料により形成した。これにより、駆動軸全体が金属材料により形成される場合と比較して、軽量化することができる。また、駆動軸のうち高価な金属材料により形成される箇所を摺動部に限定できるので、駆動軸全体を金属材料で形成する場合と比較して製造コストを低減することができる。
また、本態様によれば、シール部材を挟んで軸方向の両側に、駆動軸本体と摺動部との界面を位置させることができる。これにより、液体がこの界面を通ってアクチュエータの内部に浸入することを抑制できる。
また、本態様によれば、第1軸部と弁体とを別体に形成する場合と比較して、部品点数を削減できる。すなわち、第1軸部を弁体に組付ける必要がなくなるので、制御バルブの組立工数を削減できる。
また、本態様によれば、例えば、制御バルブの駆動時に、駆動軸の軸線と弁体の軸線との相対位置が変化することを抑制できる。すなわち、駆動軸と弁体との同軸度を確保しやすくなるので、弁体の駆動軸に対する振れ回りを抑制できる。
また、本態様によれば、ケーシングと弁体とが直接摺動することを抑制できるので、摺動抵抗を軽減できる。これにより、弁体の回転効率を向上できる。また、制御バルブの駆動時に、ケーシングと弁体とが摺動して、互いに摩耗することを抑制できる。したがって、ケーシングと弁体の耐久性を向上させることができる。
【0012】
上記態様の制御バルブにおいて、前記摺動部は、前記駆動軸本体と同径に形成されるとともに、前記駆動軸本体に同軸で連結されていてもよい。
本態様によれば、駆動軸を段差無く形成できる。これにより、駆動軸が例えば中間部に大径部を有する段付き形状に形成される場合と比較して、駆動軸を容易に製造できる。
また、本態様によれば、駆動軸が例えば中間部に大径部を有する段付き形状に形成される場合と比較して、駆動軸を小型化及び軽量化することができる。したがって、制御バルブを小型化及び軽量化することができる。
【発明の効果】
【0014】
上記各態様によれば、本発明は、耐久性を確保しつつ、軽量化し、製造コストを低減することができる制御バルブを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態の冷却システムのブロック図。
図2】第一実施形態の制御バルブの斜視図。
図3】第一実施形態の制御バルブの分解斜視図。
図4】第一実施形態の制御バルブの図2のIV-IV線に沿う断面図。
図5】第一実施形態における第一変形例の摺動部の周辺の拡大断面図。
図6】第二実施形態の制御バルブの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第一実施形態]
次に、本発明の第一実施形態を図1から図4に基づいて説明する。以下の説明では、冷却液を用いてエンジンを冷却する冷却システムに、本実施形態の制御バルブを採用した場合について説明する。
【0017】
[冷却システム]
図1は、冷却システム1のブロック図である。
図1に示すように、冷却システム1は、車両駆動源に少なくともエンジンを具備する車両に搭載される。なお、車両としては、エンジンのみを有する車両の他、ハイブリッド車両やプラグインハイブリッド車両等であっても構わない。
【0018】
冷却システム1は、エンジン2(ENG)、ウォータポンプ3(W/P)、ラジエータ4(RAD)、ヒータコア6(HTR)、EGRクーラ7(EGR)及び制御バルブ8(EWV)が各種流路10~14により接続されて構成されている。
ウォータポンプ3、エンジン2及び制御バルブ8は、メイン流路10上で上流から下流にかけて順に接続されている。メイン流路10では、ウォータポンプ3の動作により冷却液(請求項の液体に相当)がエンジン2及び制御バルブ8を順に通過する。
【0019】
メイン流路10には、ラジエータ流路11、バイパス流路12、空調流路13及びEGR流路14がそれぞれ接続されている。これらラジエータ流路11、バイパス流路12、空調流路13及びEGR流路14は、メイン流路10のうちウォータポンプ3の上流部分と制御バルブ8とを接続している。
【0020】
ラジエータ流路11には、ラジエータ4が接続されている。ラジエータ流路11では、ラジエータ4において、冷却液と外気との熱交換が行われる。バイパス流路12は、制御バルブ8を通過した冷却液を、ラジエータ4(ラジエータ流路11)を迂回してウォータポンプ3の上流部分に戻す。
【0021】
空調流路13には、ヒータコア6が接続されている。ヒータコア6は、例えば空調装置のダクト(不図示)内に設けられている。空調流路13では、ヒータコア6において、冷却液とダクト内を流通する空調空気との熱交換が行われる。
【0022】
EGR流路14には、EGRクーラ7が接続されている。EGR流路14では、EGRクーラ7において、冷却液とEGRガスとの熱交換が行われる。
【0023】
上述した冷却システム1では、メイン流路10においてエンジン2を通過した冷却液が、制御バルブ8内に流入した後、制御バルブ8の動作によって各種流路11~13に選択的に分配される。
【0024】
[制御バルブ]
図2は、制御バルブ8の斜視図であり、図3は、制御バルブ8の分解斜視図である。図4は、制御バルブの図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図2図3に示すように、制御バルブ8は、ケーシング21と、駆動ユニット23(本願のアクチュエータに相当)と、弁体22と、駆動軸27と、を主に備えている。
【0025】
[ケーシング]
ケーシング21は、冷却液が流通する流通口(後述するラジエータ流出口60、バイパス流出口65及び空調流出口68)が形成された部材である。ケーシング21は、有底筒状のケーシング本体25と、ケーシング本体25の開口側の端部に取り付けられる端部カバー26と、を有している。ケーシング21の内部には、弁体22が回転可能に収容されている。ケーシング21のうちの、弁体22の回転軸線と合致する軸線をケーシング21の軸線O1と言う。また、以下の説明では、ケーシング21の軸線O1に沿う方向を単にケース軸方向と言う。また、ケース軸方向において、ケーシング本体25のケース周壁31に対してケーシング本体25の底壁部32に向かう方向をケース軸方向の一端側と言い、ケーシング本体25のケース周壁31に対して端部カバー26に向かう方向をケース軸方向の他端側と言う。さらに、ケーシング21の軸線O1に直交する方向をケース径方向と言う。また、ケーシング21の軸線O1回りの方向をケース周方向と言う。
【0026】
図3図4に示すように、底壁部32は、端部カバー26とケース軸方向で対向する底壁本体32aと、底壁本体32aの外周縁部からケース軸方向の一端側に突出する囲み壁32bと、を有している。
底壁本体32aには、底壁本体32aをケース軸方向に貫通する貫通孔28が形成されている。貫通孔28の軸線は、軸線O1上に位置している。底壁本体32aは、径方向の外側から内側に向かうに従い厚さが増大していることで、底壁本体32aのケース周壁31内への膨出量が増大している。貫通孔28は、底壁本体32aの肉厚の最も厚い部分を貫通するように形成されている。貫通孔28の内部には、駆動軸27の外周面を摺動可能に支持するための円筒状の滑り軸受29が保持されている。また、貫通孔28の弁体22側(ケース軸方向の他端側)の端縁には、貫通孔28の他の部位の内周面よりも内径の大きい拡径溝30が形成されている。拡径溝30の内部には、後述するシールリング35(請求項のシール部材に相当)が保持されている。
【0027】
ケーシング本体25は、樹脂材料によって外面形状が略直方体状に形成されている。ケース周壁31のケース軸方向の他端側の端部には、複数の取付片33が延設されている。制御バルブ8は、取付片33を介して図示しないエンジンブロック等に固定される。
【0028】
端部カバー26は、円環状のフレーム26aの軸線位置にボス部26cが配置されている。ボス部26cは、複数のスポーク部26bによってフレーム26aに支持されている。ボス部26cには、有底円筒状の滑り軸受16が取り付けられている。端部カバー26のうちの、フレーム26aと、ボス部26cと、隣接するスポーク部26bとに囲まれた開口部分は、ケーシング21の内部に冷却液を流入させる流入口17とされている。流入口17は、冷却システム1のメイン流路10(図1参照)のエンジン2の下流側に接続されている。端部カバー26は、ケーシング本体25と同様に樹脂材料によって形成されている。
【0029】
ケース周壁31の一面を成す壁には、ケース径方向の外側に膨出するラジエータポート41(図4参照)が形成されている。ラジエータポート41には、図示しないフェール開口とラジエータ流出口60(請求項の流通口に相当)がケース軸方向と直交する方向に並んで形成されている。フェール開口とラジエータ流出口60は、ラジエータポート41を貫通して形成されている。また、フェール開口とラジエータ流出口60とは、ケース周壁31の一面を成す壁のうちの、ケース軸方向の他端側に偏った位置に形成されている。
【0030】
ラジエータポート41の開口端面には、ラジエータジョイント42が接続されている。ラジエータジョイント42は、一部がラジエータ流出口60に挿入され、ラジエータ流出口60とラジエータ流路11(図1参照)の上流開口部との間を接続している。
また、ラジエータ流出口60には、シール機構36が設けられている。シール機構36は、シール筒部材37と、付勢部材38と、シール39,40と、を備えている。シール筒部材37は、ラジエータ流出口60の内部に、軸方向をラジエータ流出口60の開口方向に沿わせた状態で配置されている。シール筒部材37は、軸方向の他端開口部が弁体22によって開閉されることで、弁体22内とラジエータジョイント42内との連通及び遮断が切り替えられる。付勢部材38は、例えばウェーブスプリイング等によって構成されている。付勢部材38は、シール筒部材37とラジエータジョイント42との間に介在してシール筒部材37を弁体22に向かって付勢している。
【0031】
シール39は、XパッキンやYパッキン等の環状の部材である。シール39は、シール筒部材37の周囲を取り囲んでいる。シール39は、シール筒部材37外周面とラジエータ流出口60の内周面とに摺動可能に密接している。
シール40は、ラジエータポート41の内側であって、シール39よりもケース径方向の外側で、ラジエータジョイント42の周囲を取り囲んでいる。シール40は、Oリング等の環状の部材である。シール40は、ラジエータ流出口60の内周面と、ラジエータジョイント42のうちラジエータ流出口60に挿入された部分の外周面と、の間に介在することによって両者の間を液密に密閉している。
【0032】
フェール開口には、サーモスタット61が配置されている。サーモスタット61は、ケーシング21内を流れる冷却液の温度に応じてフェール開口を開閉する。フェール開口は、ラジエータジョイント42(ラジエータ流路11)に連通している。サーモスタット61は、ケーシング21内を流れる冷却液の温度が規定の温度よりも高まったときに、フェール開口を開いてケーシング21内の冷却液をラジエータ流路11に流出させる。
【0033】
ケース周壁31のケース軸方向の一端側の端部には、サーモスタット61の収容部に隣接してEGRポート62が形成されている。EGRポート62は、ケース周壁31にケース径方向の外側に膨出して形成されている。EGRポート62には、サーモスタット61の収容部内のサーモスタット61よりも上流側部分に連通するEGR流出口63が形成されている。EGRポート62の開口端面には、EGRジョイント52が接続されている。EGRジョイント52は、EGR流出口63とEGR流路14(図1参照)の上流開口部との間を接続している。
【0034】
ケース周壁31のラジエータポート41の形成される壁とケース径方向で対向する壁には、ケース径方向の外側に膨出するバイパスポート64が形成されている。バイパスポート64には、バイパスポート64をケース径方向に貫通するバイパス流出口65(請求項の流通口に相当)が形成されている。バイパス流出口65は、ケーシング21の軸線O1を間に挟んで、ラジエータ流出口60と対向する位置に形成されている。また、バイパス流出口65は、ラジエータ流出口60と同様にケース周壁31のケース軸方向の他端側に偏った位置に形成されている。バイパスポート64の開口端面には、バイパスジョイント66が接続されている。バイパスジョイント66は、バイパス流出口65とバイパス流路12(図1参照)の上流開口部とを接続している。バイパス流出口65には、ラジエータ流出口60に設けられるものと同様のシール機構36が設けられている。なお、各流出口に配置されるシール機構36は、同様の基本構造とされているため、バイパス流出口65のシール機構36とその周辺部の構造については説明を適宜省略する。
【0035】
ケース周壁31のうちの、ラジエータポート41の形成される壁に対してケース周方向で隣接する壁には、ケース径方向の外側に膨出する空調ポート67が形成されている。空調ポート67には、空調ポート67をケース径方向に貫通する空調流出口68(請求項の流通口に相当)が形成されている。空調ポート67の開口端面には、空調ジョイント69が接続されている。空調ジョイント69は、空調流出口68と空調流路13(図1参照)の上流開口部とを接続している。空調流出口68には、ラジエータ流出口60やバイパス流出口65に設けられるものと同様のシール機構36が設けられている。なお、各流出口に配置されるシール機構36は、同様の基本構造とされているため、空調流出口68のシール機構36とその周辺部の構造については説明を適宜省略する。
【0036】
[駆動ユニット]
駆動ユニット23は、ケーシング本体25(ケーシング21)の外部に配置されている。駆動ユニット23は、ケーシング本体25の底壁部32に取り付けられている。駆動ユニット23は、一部が囲み壁32bの内側に収容された状態で、底壁部32にボルト締結等によって固定されている。
【0037】
駆動ユニット23は、モータや減速機構、制御基板等から成るユニット本体23Aと、ユニット本体23Aを収容するユニットケース23Bと、を備えている。ユニット本体23Aの出力軸23Aaは、ユニットケース23Bを貫通している。
【0038】
[弁体]
弁体22は、ケーシング21の内部で駆動軸27に連結されて、駆動軸27とともに回転可能に構成されている。弁体22は、円筒形状の周壁部44と、周壁部44のケース軸方向の一端側から径方向の内側に向かって延設された接続フランジ部45と、接続フランジ部45の径方向の内側端部に連設された有底筒状の連結筒部46と、を備えている。これらの周壁部44、接続フランジ部45、及び、連結筒部46は、樹脂材料によって一体に形成されている。
【0039】
周壁部44は、駆動軸27の回転に伴いケーシング21内外の連通及び遮断を切り替える。周壁部44は、軸線O1と同軸に配置された円筒状に形成されている。周壁部44の外周面は、シール筒部材37における軸方向の弁体22側の端部と摺動可能に密接している。
【0040】
周壁部44には、周壁部44をケース径方向に貫通する弁孔47が複数形成されている。複数の弁孔47は、周壁部44のうち、上述した各流出口(バイパス流出口65、ラジエータ流出口60及び空調流出口68)と、ケース軸方向に重なる部分に形成されている。複数の弁孔47のうち、流出口とケース軸方向において互いに重なる位置に形成された複数の弁孔47は、ケース周方向に間隔を空けて形成されている。
弁孔47は、対応する流出口(バイパス流出口65、ラジエータ流出口60又は空調流出口68)とケース周方向で重なると、重なった弁孔47と流出口とは、シール筒部材37を介して連通する。これにより、弁孔47と連通した流出口に接続されているジョイント(バイパスジョイント66、ラジエータジョイント42又は空調ジョイント69)内と、弁体22内とが連通する。これにより、弁体22内の冷却液が弁孔47及び流出口を通じて対応する流路から各冷却対象に供給される。
【0041】
接続フランジ部45は、ケース径方向の内側に向かうに従い、ケース軸方向の他端側に向かって湾曲しつつ延在する周壁45aと、周壁45aのケース軸方向の他端部に連なる底フランジ45bと、を有している。周壁45aにおけるケース径方向の内側端部は、ケース軸方向に沿っている。また、底フランジ45bは、周壁45aのケース軸方向の他端部からケース径方向の内側に延びている。
【0042】
連結筒部46は、底フランジ45bの内周縁から、ケース軸方向の他端側に向かってケース軸方向に沿って延在する周壁46aと、周壁46aのケース軸方向の他端部に連なる底壁46bと、を有している。周壁46aの内周面は、ケース軸方向から見て、真円状に形成されている。また、底壁46bはケース軸方向に略直交している。底壁46bは、周壁46aのケース軸方向の他端部を閉塞している。
【0043】
弁体22における接続フランジ部45の底フランジ45bとケーシング21における底壁本体32aのケース軸方向の一端側の端部32cとの間には、ワッシャ34(請求項のスラスト受け部に相当)が介在している。ワッシャ34は、ケース軸方向と同軸に配置された環状の部材であって、例えば樹脂製である。ワッシャ34の厚さ方向は、ケース軸方向と一致している。ワッシャ34の内径は、駆動軸27の外径よりも大きく、ワッシャ34の外径は、周壁45aにおけるケース径方向の内側端部の内径よりも小さく形成されている。
【0044】
複数の弁孔47は、周壁部44のうち、上述した各流出口(バイパス流出口65、ラジエータ流出口60及び空調流出口68)と、ケース軸方向に重なる位置に設けられている。複数の弁孔47のうち、ケース軸方向において互いに重なる位置に形成された複数の弁孔47は、ケース周方向に間隔を空けて形成されている。
弁孔47は、対応する流出口(バイパス流出口65、ラジエータ流出口60又は空調流出口68)とケース周方向で重なると、重なった弁孔47と流出口とは、シール筒部材37を介して連通する。これにより、弁孔47と連通した流出口に接続されているジョイント(バイパスジョイント66、ラジエータジョイント42又は空調ジョイント69)内と、弁体22内とが連通される。
【0045】
[駆動軸]
駆動軸27は、駆動ユニット23の出力軸23Aaに連結されている。駆動軸27は、軸線O1と同軸に配置され、駆動ユニット23の駆動力によって出力軸23Aaと一体で軸線O1回りに回転する。駆動軸27は、ケーシング21の底壁本体32aに形成された貫通孔28を通じてケーシング21の内外を貫通している。駆動軸27は、駆動軸本体27Aと、摺動部27Bと、を有している。
【0046】
駆動軸本体27Aは、摺動部27Bよりも密度が小さい材料により形成されている。本実施形態では、例えば駆動軸本体27Aは、樹脂材料により形成され、摺動部27Bは、ステンレス等の金属材料により形成されている。
駆動軸本体27Aは、摺動部27Bに対してケース軸方向の他端側(すなわち弁体22側)にある第1軸部27Cと、摺動部27Bに対してケース軸方向の一端側(すなわち駆動ユニット23側)にある第2軸部27Dと、を備えている。
第1軸部27Cは、弁体22と一体に形成されている。第1軸部27Cは、連結筒部46の底壁46bからケース軸方向の他端側に向かって軸線O1と同軸で延在している。第1軸部27Cのケース軸方向の他端側の端部は、滑り軸受16を介して端部カバー26のボス部26cに回転可能に支持されている。
第2軸部27Dは、第1軸部27Cと同軸に形成されている。第2軸部27Dにおける
ケース軸方向の一端部は、ユニット本体23Aの出力軸23Aaに連結されている。第2軸部27Dにおけるケース軸方向の他端部は、貫通孔28内に挿入されるとともに、貫通孔28内で滑り軸受29に回転可能に支持されている。したがって、第2軸部27Dの外周面は、滑り軸受29によって摺動可能に支持されている。第2軸部27Dにおけるケース軸方向の他端側の端面には、ケース軸方向の他端側に向かって開口する嵌合凹部27D1が形成されている。
【0047】
摺動部27Bは、第1軸部27C及び第2軸部27D間を連結するとともに、軸線O1と同軸に配置された柱状の部材である。すなわち、摺動部27Bは、第1軸部27C及び第2軸部27Dと同軸に配置されている。摺動部27Bは、第1軸部27Cよりも大径に形成されている。摺動部27Bは、駆動軸本体27Aの第2軸部27Dと同径に形成されている。
摺動部27Bのケース軸方向の他端部は、連結筒部46に圧入又はその他の手段で固定されている。これにより、摺動部27Bは、連結筒部46に連結されている。
摺動部27Bのケース軸方向の一端部には、ケース軸方向の一端側に向かって突出する嵌合凸部27B1が形成されている。嵌合凸部27B1は嵌合凹部27D1に圧入又はその他の手段で固定されて嵌合凹部27D1と嵌合している。これにより、摺動部27Bは、第2軸部27Dに連結されている。なお、嵌合凸部27B1及び嵌合凹部27D1におけるケース軸方向から見た正面視形状は、第2軸部27Dと摺動部27Bとが相対回転不能になっていれば、真円状であっても、非真円状であってもよい。
摺動部27Bにおけるケース軸方向の中央部は、貫通孔28の内に挿入されるとともに、貫通孔28内で後述するシールリング35に回転可能に支持されている。したがって、摺動部27Bの外周面は、シールリング35によって回転可能に支持されている。
【0048】
[シールリング]
シールリング35は、オイルシールとも呼ばれ、底壁本体32aに形成された拡径溝30の内部に配置されている。シールリング35は、ケーシング21と駆動軸27との間に介在して、貫通孔28を通じたケーシング21の内外の連通を遮断する。具体的には、シールリング35は、摺動部27Bの外周面に摺動可能に密接して、冷却液の漏出を抑制している。
シールリング35は、例えばゴム等により形成されている。シールリング35は、拡径溝30の内面に当接する外周壁35aと、外周壁35aから径方向の内側に離間した位置に設けられ、摺動部27Bに密接する内周壁35bと、外周壁35aと内周壁35bとをケース軸方向の一端部で接続する接続壁35cと、を有している。
内周壁35bの外周面には、環状のスプリングが嵌め込まれている。スプリングは、弾性力により内周壁35bを摺動部27Bに押し付けている。これにより、内周壁35bと摺動部27Bとは密接して、冷却液の漏出を抑制している。
【0049】
[制御バルブの動作]
次に、上述した制御バルブ8の動作について説明する。
図1に示すように、メイン流路10において、ウォータポンプ3により送出される冷却液は、エンジン2で熱交換された後、制御バルブ8に向けて流通する。メイン流路10においてエンジン2を通過した冷却液は、流入口17を通して制御バルブ8のケーシング21内に流入する。
【0050】
制御バルブ8のケーシング21内に流入した冷却液のうち、一部の冷却液はEGR流出口63内に流入する。EGR流出口63内に流入した冷却液は、EGRジョイント52を通ってEGR流路14内に供給される。EGR流路14内に供給された冷却液は、EGRクーラ7において、冷却液とEGRガスとの熱交換が行われた後、メイン流路10に戻される。
【0051】
一方、制御バルブ8のケーシング21内に流入した冷却液のうち、EGR流出口63内に流入しなかった冷却液は、ケーシング21内の弁体22の回転位置に応じて、弁体22によって開かれているいずれかの流出口(ラジエータ流出口60、バイパス流出口65、空調流出口68)を通して各流路11~13に分配される。
【0052】
制御バルブ8において、弁孔と流出口との連通パターンを切り替えるには、駆動ユニット23によって駆動軸27を回転させる。弁体22は、駆動軸27の回転に伴い、軸線O1回りに回転する。これにより、弁体22は、ラジエータ流出口60、バイパス流出口65、空調流出口68を通じたケーシング21の内外の連通及び遮断を切り替える。より具体的には、設定したい連通パターンに対応する位置で弁体22の回転を停止させることで、弁体22の停止位置に応じた連通パターンで弁孔と流出口とが連通させることができる。
【0053】
[実施形態の効果]
このように、本実施形態では、シールリング35との接触による摩耗を抑えるために高い耐久性を要とする摺動部27Bを金属材料により形成し、駆動軸本体27Aを金属材料よりも密度の低い材料により形成した。駆動軸本体27Aは、ポリフェニレンスルフィド(PPS)によって形成されている。なお、駆動軸本体27Aは、例えばポリプロピレン(PP)等の樹脂材料によって形成されていてもよい。
この構成によれば、駆動軸27全体が金属材料により形成される場合と比較して、軽量化することができる。また、駆動軸27のうち高価な金属材料により形成される箇所を摺動部27Bに限定できるので、駆動軸27全体を金属材料で形成する場合と比較して製造コストを低減することができる。
【0054】
本実施形態では、駆動軸本体27Aは、摺動部27Bに対して弁体22側にある第1軸部27Cと、摺動部27Bに対して駆動ユニット23側にある第2軸部27Dと、を備え、摺動部27Bは、第1軸部27C及び第2軸部27Dと同軸に配置された柱状に形成されている。
この構成によれば、シールリング35を挟んでケース軸方向の両側に、駆動軸本体27Aと摺動部27Bとの界面を位置させることができる。これにより、冷却液がこの界面を通って駆動ユニット23の内部に浸入することを抑制できる。
【0055】
本実施形態では、第1軸部27Cは、弁体22と一体に形成されている。
この構成によれば、第1軸部27Cと弁体22とを別体に形成する場合と比較して、部品点数を削減できる。すなわち、第1軸部27Cを弁体22に組付ける必要がなくなるので、制御バルブ8の組立工数を削減できる。
また、本実施形態の構成によれば、例えば、制御バルブ8の駆動時に、駆動軸27の軸線と弁体22の軸線との相対位置が変化することを抑制できる。すなわち、駆動軸27と弁体22との同軸度を確保しやすくなるので、弁体22の駆動軸27に対する振れ回りを抑制できる。
【0056】
本実施形態では、摺動部27Bは、駆動軸本体27Aの第2軸部27Dと同径に形成されるとともに、駆動軸本体27Aの第1軸部27C及び第2軸部27Dに同軸で連結されている。
この構成によれば、駆動軸27のうち、少なくとも第2軸部27Dから摺動部27Bまでの外周面を面一に形成できる。これにより、駆動軸27が例えば中間部に大径部を有する段付き形状に形成される場合と比較して、駆動軸27を容易に製造できる。
また、本実施形態の構成によれば、駆動軸27が例えば中間部に大径部を有する段付き形状に形成される場合と比較して、駆動軸27を小型化及び軽量化することができる。したがって、制御バルブ8を小型化及び軽量化することができる。
【0057】
本実施形態では、ケーシング21における底壁本体32aのケース軸方向の一端側の端部32cと弁体22における接続フランジ部45の底フランジ45bとの間にワッシャ34が介在している。
この構成によれば、ケーシング21の端部32cと弁体22の底フランジ45bとが直接摺動することを抑制できるので、摺動抵抗を軽減できる。これにより、弁体22の回転効率を向上できる。また、制御バルブ8の駆動時に、ケーシング21の端部32cと弁体22の底フランジ45bとが摺動して、互いに摩耗することを抑制できる。したがって、ケーシング21と弁体22との耐久性を向上させることができる。
【0058】
第一実施形態では、第2軸部27Dと摺動部27Bとは、圧入固定により連結されているとしたが、これに限られない。例えば、第2軸部27Dと摺動部27Bとは、インサート成形により一体化されていてもよい。また、第2軸部27Dと摺動部27Bとは、接着剤により固定されていてもよい。
【0059】
第一実施形態では、摺動部27Bと弁体22とは、圧入固定により連結されているとしたが、これに限られない。例えば、摺動部27Bと弁体22とは、インサート成形により一体化されていてもよい。また、摺動部27Bと弁体22とは、接着剤により固定されていてもよい。
【0060】
第一実施形態では、第1軸部27Cは、弁体22と一体に形成されているとしたが、これに限られない。例えば、第1軸部27Cは、弁体22と別体に形成され、連結筒部46の底壁46bに形成されたケース軸方向に貫通する挿入孔に挿入されていてもよい。
【0061】
第一実施形態では、摺動部27Bは、第2軸部27Dと同径に形成されているとしたが、これに限られない。例えば、摺動部27Bは、第2軸部27Dよりも大径又は小径に形成されていてもよい。
【0062】
第一実施形態では、摺動部27Bは、駆動軸本体27Aと同軸に形成されているとしたがこれに限られない。例えば、駆動軸本体27Aの軸線と摺動部27Bの軸線とは、ケース径方向にずれていてもよい。
【0063】
[第一変形例]
第一実施形態の第一変形例について図5に基づいて説明する。以下の第一変形例では、摺動部27Bは、ケース軸方向においてシール部分と対応する位置に設けられ、ケース軸方向の両端部にケース軸方向に凹む凹部(嵌合凹部27B2,27B3)を有している点で、第一実施形態と相異している。なお、第一変形例のうち、第一実施形態と同様の構成又は対応する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
図5は、摺動部27Bの周辺の拡大断面図である。
図5に示すように、第1軸部27Cは、ケース軸方向の一端部に、ケース軸方向の一端側に向かって突出する嵌合凸部27C1を有している。第2軸部27Dは、ケース軸方向の他端部に、ケース軸方向の他端側に向かって突出する嵌合凸部27D2を有している。
摺動部27Bのケース軸方向の両端部は、それぞれシールリング35よりもケース軸方向の両側に位置している。
【0065】
嵌合凹部27B2は、摺動部27Bのケース軸方向の他端部に設けられている。嵌合凹部27B2は、ケース軸方向の他端側に向かって開口している。嵌合凹部27B2は、嵌合凸部27C1に圧入又はその他の手段で固定されている。なお、嵌合凸部27C1及び嵌合凹部27B2におけるケース軸方向から見た正面視形状は、第1軸部27Cと摺動部27Bとが相対回転不能になっていれば、真円状であっても、非真円状であってもよい。
嵌合凹部27B3は、摺動部27Bのケース軸方向の一端部に設けられている。嵌合凹部27B3は、ケース軸方向の一端側に向かって開口している。嵌合凹部27B3は、嵌合凸部27D2に圧入又はその他の手段で固定されている。なお、嵌合凸部27D2及び嵌合凹部27B3におけるケース軸方向から見た正面視形状は、第2軸部27Dと摺動部27Bとが相対回転不能になっていれば、真円状であっても、非真円状であってもよい。
【0066】
摺動部27Bの外周壁は、駆動軸27の外周面のうちシールリング35が摺動する部分を含むケース軸方向の所定領域を構成している。摺動部27Bには、第一実施形態と同様の金属材料を用いることができる。摺動部27Bの外周面は、駆動軸本体27Aの外周面と面一に形成されている。
なお、摺動部27Bは、例えば駆動軸本体27Aに対してインサート成形されていてもよい。
【0067】
本変形例では、摺動部27Bは、ケース軸方向においてシール部分と対応する位置に設けられ、ケース軸方向の両端部にケース軸方向に凹む凹部(嵌合凹部27B2,27B3)を有している構成とした。
この構成によれば、駆動軸27全体が金属材料により形成される場合と比較して、軽量化することができる。また、駆動軸27のうち高価な金属材料により形成される箇所を摺動部27Bに限定できるので、駆動軸27全体を金属材料で形成する場合と比較して製造コストを低減することができる。
【0068】
[第二実施形態]
第二実施形態について図6に基づいて説明する。以下の第二実施形態では、駆動軸27が弁体22をケース軸方向に貫通してない点で、第一実施形態と相異している。なお、第二実施形態のうち、第一実施形態と同様の構成又は対応する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図6は、制御バルブ100の断面図である。図6は、第一実施形態の図4に対応した断面図であり、図4とは反対側の方向から見た断面を示している。
図6に示すように、弁体22は、接続フランジ部103と、連結筒部104と、を有している。
【0070】
接続フランジ部103は、周壁部44のケース軸方向の一端部からケース径方向の内側に向かって延設されている。接続フランジ部103は、ケース径方向の内側に向かうに従い、ケース軸方向の他端側に段階的に延在している。接続フランジ部103は、中央筒部103aと、外フランジ部103cと、内フランジ部103bと、を有している。
【0071】
中央筒部103aは、軸線O1と同軸に配置された円筒状に形成されている。外フランジ部103cは、中央筒部103aのケース軸方向の一端部からケース径方向の外側に張り出している。外フランジ部103cは、周壁部44におけるケース軸方向の一端部の内周面に連なっている。内フランジ部103bは、中央筒部103aのケース軸方向の他端部からケース径方向の内側に張り出している。
【0072】
連結筒部104は、内フランジ部103bの内周縁から、ケース軸方向の他端側に向かって延在する周壁104aと、周壁104aのケース軸方向の他端部からケース径方向の内側に向かって延在する底フランジ104bと、を有している。
【0073】
周壁104aの内側及び底フランジ104bの内側は、駆動軸27を挿入される挿入孔58を構成する。挿入孔58は、周壁104aの内周面により形成された大径部58aと、底フランジ104bの内周面により形成された小径部58bと、を有している。
大径部58aは、ケース軸方向から見て非真円状に形成されている。小径部58bは、ケース軸方向から見て真円状に形成されている。
【0074】
駆動軸27は、駆動軸本体27Aと、摺動部27Bと、を有している。駆動軸本体27Aは、ユニット本体23Aの出力軸23Aaからケース軸方向の他端側に延びている。駆動軸本体27Aは、ケース軸方向の他端部に嵌合凹部27D1を有している。摺動部27Bは、駆動軸本体27Aの他端部からケース軸方向の他端側に延びている。摺動部27Bは、ケース軸方向の一端部に嵌合凸部27B1を有している。摺動部27Bと駆動軸本体27Aとは、嵌合凹部27D1と嵌合凸部27B1との嵌合によって連結している。
摺動部27Bは、挿入部50と、突出部51と、を備えている。
挿入部50は、大径部50aと、大径部50aからケース軸方向の他端側に延びる小径部50bと、を有している。
【0075】
大径部50aは、ケース軸方向から見て、挿入孔58の大径部58aに対応した非真円状に形成されている。
【0076】
挿入部50の大径部50aは、挿入孔58の大径部58aに挿入されている。非円形状に形成された挿入部50の大径部50aと挿入孔58の大径部58aとは、ケース周方向で互いに係合し、弁体22に対する駆動軸27の回転が規制されている。
小径部50bは、ケース軸方向から見て真円状に形成されている。挿入部50の小径部50bは、挿入孔58の小径部58bに挿入されている。
【0077】
突出部51は、挿入部50の小径部50bからケース軸方向の他端側に突出している。突出部51は、挿入孔58の小径部58bを通じて底フランジ104bに対してケース軸方向の他端側に突出している。突出部51には、ケース軸方向の他端側から、円環状のワッシャ102が圧入又はその他の手段によって固定されている。ワッシャ102は、樹脂材料によって形成されている。なお、ワッシャ102は、金属材料によって形成されていてもよい。ワッシャ102の外径は、挿入孔58の小径部58bの内径よりも大きく、周壁104aの外径よりも小さい。挿入部50の大径部50aとワッシャ102とは、連結筒部104の底フランジ104bをケース軸方向の両側から挟み込んでいる。これにより、挿入部50及び突出部51が弁体22にケース軸方向両側から係合され、駆動軸27の弁体22に対するケース軸方向の移動が規制される。摺動部27Bは、挿入部50と挿入孔58とのケース周方向での係合と、挿入部50及び突出部51と弁体22とのケース軸方向での係合と、により弁体22に固定されている。
【0078】
また、制御バルブ100は、弁体22におけるケース軸方向の他端側に、軸カバー101を備えている。軸カバー101は、駆動軸27からケース軸方向に離間した位置に設けられている。軸カバー101は、弁体22にケース軸方向の他端部に嵌め込まれて弁体22に固定された円環状のフレーム101aと、フレーム101aからケース径方向の内側に向かって延びる複数のスポーク部101bと、スポーク部101bによって軸線位置で支持され、ケース軸方向の他端側に突出するハブ101cと、を有している。フレーム101a、スポーク部101b及びハブ101cは、弁体22と同様の樹脂材料によって一体に形成されている。
【0079】
端部カバー26のボス部26c内には、円筒状の滑り軸受16が取り付けられている。滑り軸受16の内部には、ハブ101cが挿入されている。ボス部26cは、滑り軸受16を介して、ハブ101cを摺動可能に支持している。すなわち、弁体22におけるケース軸方向の他端側は、軸カバー101によって回転可能に支持されている。
【0080】
本実施形態では、弁体22におけるケース軸方向の一端側は、駆動軸27により回転可能に支持されている。弁体22におけるケース軸方向の他端側は、駆動軸27からケース軸方向に離間した軸カバー101によって回転可能に支持されている。
この構成によれば、弁体22におけるケース軸方向の一端部を駆動軸27で支持し、他端部を軸カバー101で支持できる。これにより、駆動軸27が弁体22をケース軸方向に貫通している構成に比べ、弁体22を両持ちで支持しつつ、駆動軸27の長さを短縮できる。すなわち、駆動軸27及び軸カバー101間に駆動軸27及び軸カバー101を接続する軸部が存在しない分、制御バルブ100を軽量化することができる。
【0081】
上述した各実施形態及び各変形例に限られず、駆動軸27のうち少なくともシールリング35との摺動部分に摺動部27Bが形成されていれば、摺動部27Bの形成範囲は、適宜変更可能である。
【0082】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
8,100…制御バルブ
21…ケーシング
22…弁体
23…駆動ユニット(アクチュエータ)
27…駆動軸
27A…駆動軸本体
27B…摺動部
27C…第1軸部
27D…第2軸部
28…貫通孔
34…ワッシャ(スラスト受け部)
35…シールリング(シール部材)
60…ラジエータ流出口(流通口)
65…バイパス流出口(流通口)
68…空調流出口(流通口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6