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特許7522595インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
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  • 特許-インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 図1
  • 特許-インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 図2
  • 特許-インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240718BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240718BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240718BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240718BHJP
   B41J 2/155 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B41J2/14 301
B05C5/00 101
B05C11/00
B05C11/10
B41J2/155
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020116899
(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公開番号】P2022014539
(43)【公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】天方 穂高
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-073781(JP,A)
【文献】特開平04-224269(JP,A)
【文献】特開2016-215197(JP,A)
【文献】特開平04-365384(JP,A)
【文献】特開2018-126917(JP,A)
【文献】実開昭62-149859(JP,U)
【文献】特開2010-241003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B05C 5/00
B05C 11/00
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一側の面にインクを吐出する第一ノズル及び第二ノズルを含み、インクを収容するインク室と、
前記インク室内を進退動する第一ロッドと、
前記インク室内を進退動する第二ロッドと、
前記第一ロッドを進退動作させて前記第一ノズルからインクを吐出させる、第一圧電素子と、
前記第二ロッドを進退動作させて前記第二ノズルからインクを吐出させる、第二圧電素子と、
前記第一圧電素子の変位を拡大する第一変位拡大機構と、
前記第二圧電素子の変位を拡大する第二変位拡大機構と、
前記第一側とは反対方向となる第二側に、前記第一変位拡大機構及び前記第二変位拡大機構が固定される天板と、
前記第一圧電素子及び前記第二圧電素子を冷却する冷却機構と、を備えており、
前記冷却機構は、
冷却されたエアーを前記第一圧電素子及び前記第二圧電素子に前記第一変位拡大機構及び前記第二変位拡大機構の各ベース部に設けられた貫通孔を通して吹きつける
インクジェットヘッド。
【請求項2】
前記第一変位拡大機構は、前記第一圧電素子が取り付けられる第一ベース部と、第一板ばねとを有し、前記第二変位拡大機構は、前記第二圧電素子が取り付けられる第二ベース部と、第二板ばねとを有する請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記インク室のインクは加圧されている請求項1又は請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記第一ノズル、前記第一ロッド、前記第一圧電素子、前記第一板ばねは、同一軸上に配置される請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のインクジェットヘッドを備える、インクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドと、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドのノズルからインクを吐出し、記録媒体に画像を記録する。インクジェットヘッドには、圧電素子が設けられる。インクの吐出は、圧電素子を変形させることで行われる。画像の記録には、種々のインクが用いられる。例えば、高粘度のインクが用いられることもある。
【0003】
特許文献1には、高粘度のインクをノズルから吐出する為、変位拡大機構を用いた塗布ノズルヘッドが提案されている。変位拡大機構を用いることで、大きな変位量でプランジャを高速駆動させ、高粘度のインクをノズルから吐出することができる。
【0004】
特許文献1に開示される装置は、液体材料を吐出するノズル穴と、上記ノズル穴に液体材料を供給する供給流路と、上記供給流路内の液体に当接して往復するプランジャと、上記プランジャに変位を与える変位拡大機構と、上記変位拡大機構に変位を与えるアクチュエータと、を含む構成であり、前記構成が1つのノズル毎に必要となり、複数のノズルを備えたヘッドを想定した場合、部品点数が多く、装置が大型化してしまう、といった問題が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-030865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、画像の記録に高粘度のインクが用いられる場合であっても、このインクを安定して吐出することが可能な、インクジェットヘッドと、インクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、第一側の面にインクを吐出する第一ノズル及び第二ノズルを含み、インクを収容するインク室と、前記インク室内を進退動する第一ロッドと、前記インク室内を進退動する第二ロッドと、前記第一ロッドを進退動作させて前記第一ノズルからインクを吐出させる、第一圧電素子と、前記第二ロッドを進退動作させて前記第二ノズルからインクを吐出させる、第二圧電素子と、前記第一圧電素子の変位を拡大する第一変位拡大機構と、前記第二圧電素子の変位を拡大する第二変位拡大機構と、前記第一側とは反対方向となる第二側に、前記第一変位拡大機構及び前記第二変位拡大機構が固定される天板と、を備えた、インクジェットヘッドであり、
さらに、前記第一圧電素子及び前記第二圧電素子を冷却する冷却機構と、を備えており、
前記冷却機構は、冷却されたエアーを前記第一圧電素子及び前記第二圧電素子に前記第一変位拡大機構及び前記第二変位拡大機構の各ベース部に設けられた貫通孔を通して吹きつけることを特徴とする。
【0008】
インクジェットヘッドにおいて、前記第一変位拡大機構は、前記第一圧電素子が取り付けられる第一ベース部と、第一板ばねとを有し、前記第二変位拡大機構は、前記第二圧電素子が取り付けられる第二ベース部と、第二板ばねとを有する、ようにしてもよい。
【0009】
インクジェットヘッドにおいて、前記インク室のインクは加圧されている、ようにしてもよい。
【0010】
インクジェットヘッドにおいて、前記第一ノズル、前記第一ロッド、前記第一圧電素子、前記第一板ばねは、同一軸上に配置される、ようにしてもよい。
【0012】
本発明の更に他の側面は、上述した何れか1つのインクジェットヘッドを備える、インクジェット記録装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像の記録に高粘度のインクが用いられる場合であっても、このインクを安定して吐出することが可能な、インクジェットヘッドと、インクジェット記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】インクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】インクジェットヘッドの概略構成を示す断面図である。切断位置は図1のA-A線に対応する。
図3】インクジェットヘッドの概略構成を示す断面図である。切断位置は図1のB-B線に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
【0016】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、図1を参照して説明する。インクジェット記録装置10は、各種の記録媒体15を搬送し、記録媒体15に柄を記録する。図1で記録媒体15の次の部分に付した模様は、記録媒体15に記録された柄に対応する。前述の部分は、後述するインクジェットヘッド30Kより搬送方向の下流側となる記録媒体15の部分である。搬送方向は、インクジェット記録装置10で記録媒体15が搬送される方向である。記録媒体15としては、建築用資材又は布帛が例示される。実施形態では、記録媒体15として、短尺の記録媒体を例示する。但し、記録媒体は、長尺であってもよい。柄の記録に用いるインクとして、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色を例示する。但し、柄の記録には、これら各色のインクとは異なる色のインクを用いてもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。
【0017】
インクジェット記録装置10は、搬送機20と、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kと、キャリッジ31と、メインタンク90Y,90M,90C,90Kと、補給流路91Y,91M,91C,91Kと、補給弁92Y,92M,92C,92Kとを備える。搬送機20は、記録媒体15を搬送方向に搬送する。インクジェット記録装置10では、搬送機20による記録媒体15の搬送は、連続的に行われる。搬送機20は、ベルトコンベアである。搬送機20は、公知のインクジェット記録装置の搬送機と同様である。従って、搬送機20に関するこの他の説明は、省略する。
【0018】
インクジェットヘッド30Yは、イエローインクによって記録媒体15に柄を記録する。インクジェットヘッド30Yでは、イエローインクが記録媒体15に向けて吐出される。インクジェットヘッド30Mは、マゼンタインクによって記録媒体15に柄を記録する。インクジェットヘッド30Mでは、マゼンタインクが記録媒体15に向けて吐出される。インクジェットヘッド30Cは、シアンインクによって記録媒体15に柄を記録する。インクジェットヘッド30Cでは、シアンインクが記録媒体15に向けて吐出される。インクジェットヘッド30Kは、ブラックインクによって記録媒体15に柄を記録する。インクジェットヘッド30Kでは、ブラックインクが記録媒体15に向けて吐出される。図1では、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの図示は、簡略化されている。インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kに関するこの他の説明は、後述する。
【0019】
キャリッジ31には、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kが搬送方向に並んで搭載される。インクジェット記録装置10では、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kは、搬送方向に、インクジェットヘッド30Y、インクジェットヘッド30M、インクジェットヘッド30C及びインクジェットヘッド30Kの順で設けられる。但し、搬送方向におけるインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの順序は、前述の順序とは異なる順序としてもよい。これらの順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0020】
メインタンク90Yは、イエローインクを収容する。補給流路91Yは、メインタンク90Yと、インクジェットヘッド30Yとを接続する。補給弁92Yは、補給流路91Yに設けられる。補給弁92Yは、電磁弁である。補給弁92Yが開放状態である場合、イエローインクは、メインタンク90Yから流出し、補給流路91Yを流れてインクジェットヘッド30Yに供給される。補給弁92Yが閉鎖状態である場合、イエローインクは、補給流路91Yを流れない。この場合、イエローインクは、メインタンク90Yからインクジェットヘッド30Yに供給されない。
【0021】
メインタンク90Mは、マゼンタインクを収容する。補給流路91Mは、メインタンク90Mと、インクジェットヘッド30Mとを接続する。補給弁92Mは、補給流路91Mに設けられる。補給弁92Mは、電磁弁である。補給弁92Mが開放状態である場合、マゼンタインクは、メインタンク90Mから流出し、補給流路91Mを流れてインクジェットヘッド30Mに供給される。補給弁92Mが閉鎖状態である場合、マゼンタインクは、補給流路91Mを流れない。この場合、マゼンタインクは、メインタンク90Mからインクジェットヘッド30Mに供給されない。
【0022】
メインタンク90Cは、シアンインクを収容する。補給流路91Cは、メインタンク90Cと、インクジェットヘッド30Cとを接続する。補給弁92Cは、補給流路91Cに設けられる。補給弁92Cは、電磁弁である。補給弁92Cが開放状態である場合、シアンインクは、メインタンク90Cから流出し、補給流路91Cを流れてインクジェットヘッド30Cに供給される。補給弁92Cが閉鎖状態である場合、シアンインクは、補給流路91Cを流れない。この場合、シアンインクは、メインタンク90Cからインクジェットヘッド30Cに供給されない。
【0023】
メインタンク90Kは、ブラックインクを収容する。補給流路91Kは、メインタンク90Kと、インクジェットヘッド30Kとを接続する。補給弁92Kは、補給流路91Kに設けられる。補給弁92Kは、電磁弁である。補給弁92Kが開放状態である場合、ブラックインクは、メインタンク90Kから流出し、補給流路91Kを流れてインクジェットヘッド30Kに供給される。補給弁92Kが閉鎖状態である場合、ブラックインクは、補給流路91Kを流れない。この場合、ブラックインクは、メインタンク90Kからインクジェットヘッド30Kに供給されない。
【0024】
インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kは、同様の構成を有する。メインタンク90Y,90M,90C,90Kは、同様の構成を有する。補給流路91Y,91M,91C,91Kは、同様の構成を有する。補給弁92Y,92M,92C,92Kは、同様の構成を有する。
【0025】
実施形態では、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kを区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「インクジェットヘッド30」という。メインタンク90Y,90M,90C,90Kを区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「メインタンク90」という。補給流路91Y,91M,91C,91Kを区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「補給流路91」という。補給弁92Y,92M,92C,92Kを区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「補給弁92」という。インクジェットヘッド30、メインタンク90、補給流路91及び補給弁92のうちの2個以上の組み合わせは、同一色用の組み合わせとなる。
【0026】
インクジェット記録装置10で記録媒体15に柄が記録される場合、搬送機20は、記録媒体15を搬送方向に連続的に搬送する。インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kは、所定のタイミングで対応する色のインクを記録媒体15に向けて吐出する。インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kから吐出された各色のインクは、記録媒体15の表面に着弾する。着弾した各色のインクによって記録媒体15の表面に柄が記録される。
【0027】
<インクジェットヘッド>
インクジェットヘッド30について、図2、3を参照して説明する。この説明では、インクジェットヘッド30を特定するために用いる各方向は、インクジェットヘッド30がインクジェット記録装置10に設けられた状態を基準とした方向に準ずる。
【0028】
インクジェットヘッド30は、インク室40と、天板50と、複数のロッド60と、複数の圧電素子70と、複数の変位拡大機構80を備える。インクジェットヘッド30では、インク室40及び天板50は、一体的にされる。インク室40は、複数のロッド60に対して1個設けられる。天板50は、複数の変位拡大機構80に対して1枚設けられる。複数のロッド60は、1個のノズル41に対して1個設けられる。
【0029】
インクジェットヘッド30では、ノズル41の数は、5個とされている。従って、インクジェットヘッド30は、ロッド60を5個備える。5個のロッド60は、同一仕様のロッドである。実施形態では、5個のロッド60を区別する場合、「ロッド60a」、「ロッド60b」、「ロッド60c」、「ロッド60d」及び「ロッド60e」という。区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「ロッド60」という。
【0030】
同様に、図2、3のインクジェットヘッド30では、圧電素子70を5個備える。5個の圧電素子70は、同一仕様の圧電素子である。実施形態では、5個の圧電素子70を区別する場合、「圧電素子70a」、「圧電素子70b」、「圧電素子70c」、「圧電素子70d」及び「圧電素子70e」という。区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「圧電素子70」という。
【0031】
同様に、図2、3のインクジェットヘッド30では、変位拡大機構80を5個備える。5個の変位拡大機構80は、同一仕様の変位拡大機構である。実施形態では、5個の変位拡大機構80を区別する場合、「変位拡大機構80a」、「変位拡大機構80b」、「変位拡大機構80c」、「変位拡大機構80d」及び「変位拡大機構80e」という。区別しない場合、又はこれらを総称する場合、「変位拡大機構80」という。
【0032】
インク室40には、メインタンク90から補給流路91を流れてきたインクが貯留される。インク室40内のインクは加圧された状態で貯留される。
【0033】
天板50は、複数の変位拡大機構80a,80b,80c,80d,80eに対応させた状態で、各変位拡大機構80a,80b,80c,80d,80eの高さ方向上側に設けられる。天板50は、高さ方向上側の各面の高さが等しく設定された複数の変位拡大機構80a,80b,80c,80d,80eの各天面に接する。
【0034】
ロッド60はインク室40内を進退動する。インクがノズル41より吐出されていない時は、ロッド60は変位拡大機構80の板ばね82によってノズル41に押しつけられており、ロッド60は下がった状態である。それが圧電素子70に電圧が印加されると、板ばね82が変形し、ロッド60が上へ引き上げられ、ノズル41よりインクが吐出される。
【0035】
圧電素子70としては、d33モードの積層型の圧電素子が採用される。更に、圧電素子70としては、100nm以上変形可能な大型の圧電素子が採用される。参考例として、公知のインクジェットヘッドでは、圧電素子の変位量は、数十nm程度とされる。
【0036】
変位拡大機構80は、ベース部81と、板ばね82を含む。ベース部81には圧電素子70が取り付けられる。板ばね82は、ベース部81に取り付けられた圧電素子70の変位を拡大してロッド60に伝える。なお、図2、3では、1つの変位拡大機構80には1つの圧電素子70が取り付けられているが、1つの変位拡大機構80に2つ以上、複数の圧電素子70が取り付けられていてもよく、取り付けられる圧電素子70の数については限定されない。
【0037】
ノズル41aと、ロッド60aと、圧電素子70aと、板ばね82aの位置関係をみてみると、それらの中心が同一軸上に配置されるように設計される。このことにより、効率的に変位量を伝えることができ、また、場所を取らずにコンパクトな設計とすることができる。
【0038】
同様に、ノズル41bと、ロッド60bと、圧電素子70bと、板ばね82bの位置関係についても、それらの中心が同一軸上に配置されるように設計される。このようにノズルごとに、ロッド60と、圧電素子70、板ばね82の中心が、同一軸上に配置されることで、インクジェットヘッド30をコンパクトにすることができる。
【0039】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
【0040】
(1)図1のインクジェット記録装置10では、所謂、ライン型のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置を例に説明したが、これに限らず、キャリッジを主走査方向に往復移動させながら画像の記録をおこなうシリアル型のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置であってもよい。シリアル型のインクジェットヘッド及びこれを備えるインクジェット記録装置は、既に実用化された公知の構成である。従って、これらに関するこの他の説明は、省略する。
【0041】
(2)インクジェットヘッド30において使用される圧電素子70は通常のものと比べて大型であり、発熱量も大きくなるので、圧電素子70を冷却する冷却機構を設けるとよい。冷却機構としては、例えば、各変位拡大機構80のベース部81に貫通孔を設け、それらの貫通孔から冷却されたエアーを圧電素子70に吹きけるような構成のものであってもよい。他には、変位拡大機構80に放熱用のフィンを取り付ける、或いは、変位拡大機構80の部材を熱伝導性の良い材料とするなどの構成が挙げられる。
【符号の説明】
【0042】
10 インクジェット記録装置、 15 記録媒体、 20 搬送機
30,30Y,30M,30C,30K インクジェットヘッド
31 キャリッジ、 40 インク室、 41 ノズル、 50 天板
60,60a,60b,60c,60d,60e ロッド
70,70a,70b,70c,70d,70e 圧電素子
80,80a,80b,80c,80d,80e 変位拡大機構
81 ベース部、82 板ばね
90,90Y,90M,90C,90K メインタンク
91,91Y,91M,91C,91K 補給流路
92,92Y,92M,92C,92K 補給弁
図1
図2
図3