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特許7522599分電盤管理方法、分電盤、プログラム、及び分電盤管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】分電盤管理方法、分電盤、プログラム、及び分電盤管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20240718BHJP
   H02B 3/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
H02B1/40 A
H02B3/00 M
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020126828
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023710
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 大地
(72)【発明者】
【氏名】一村 省互
(72)【発明者】
【氏名】永利 英昭
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055485(JP,A)
【文献】特許第5890564(JP,B1)
【文献】特開2016-038277(JP,A)
【文献】特開2017-200298(JP,A)
【文献】特開2009-268210(JP,A)
【文献】特開平09-130927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40 - 1/44
H02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度情報を含み、前記分電盤を管理するための分電盤管理情報を取得する取得処理と、
前記分電盤管理情報のうちの少なくとも前記温度情報に基づいて、前記分電盤内の環境が判定条件を満たすか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理の結果に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカを遮断するための遮断信号を出力する遮断処理と、を含み、
前記分電盤内には複数の前記ブレーカが配置され、
前記複数のブレーカは、各々が以上のブレーカを含む複数のグループに区分けされ、
前記複数のグループは、前記複数の場所に一対一に対応付けられており、
前記遮断処理は、前記複数のブレーカのうちの特定のブレーカのみを遮断することを含み、
前記遮断処理は、前記複数のグループのうちの1つのグループに含まれる全てのブレーカを前記特定のブレーカとして遮断することを含む、
分電盤管理方法。
【請求項2】
前記判定処理は、前記複数の場所の各々について、その場所の環境が前記判定条件を満たすか否かを判定することを含む、
請求項1に記載の分電盤管理方法。
【請求項3】
前記判定条件は、前記複数の場所それぞれについて、個別に設定される、
請求項2に記載の分電盤管理方法。
【請求項4】
前記温度情報は、前記複数の場所それぞれについての温度を示す複数の局所温度の情報を含み、
前記判定条件は、前記複数の局所温度の間の関係に基づく関係条件を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の分電盤管理方法。
【請求項5】
前記分電盤管理情報は、前記分電盤内の環境に関する情報であって前記温度情報以外の情報である環境情報を更に含み、
前記取得処理は、前記環境情報を取得することを含み、
前記判定処理は、前記環境情報に更に基づいて、前記分電盤内の環境が前記判定条件を満たすか否かを判定することを含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の分電盤管理方法。
【請求項6】
前記分電盤管理情報は、前記分電盤を通過する電力に関する電力情報を含み、
前記取得処理は、前記電力情報を取得することを含み、
前記判定処理は、前記電力情報に更に基づいて、前記分電盤内の環境が前記判定条件を満たすか否かを判定することを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の分電盤管理方法。
【請求項7】
前記分電盤管理情報に基づく出力情報を出力する出力処理を、更に含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の分電盤管理方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の分電盤管理方法の管理対象である前記分電盤であって、
前記分電盤管理情報を出力する情報出力部を備える、
分電盤。
【請求項9】
1以上のプロセッサに、請求項1~7のいずれか1項に記載の分電盤管理方法を実行させるための、プログラム。
【請求項10】
分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度情報を含み、前記分電盤を管理するための分電盤管理情報を取得する取得部と、
前記分電盤管理情報のうちの少なくとも前記温度情報に基づいて、前記分電盤内の環境が判定条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカを遮断するための遮断信号を出力する遮断部と、を備え、
前記分電盤内には複数の前記ブレーカが配置され、
前記複数のブレーカは、各々が以上のブレーカを含む複数のグループに区分けされ、
前記複数のグループは、前記複数の場所に一対一に対応付けられており、
前記遮断部は、前記複数のブレーカのうちの特定のブレーカのみを遮断し、
前記遮断部は、前記複数のグループのうちの1つのグループに含まれる全てのブレーカを前記特定のブレーカとして遮断する、
分電盤管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、分電盤管理方法、分電盤、プログラム、及び分電盤管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分電盤用キャビネットと通知制御部とブレーカとを備えた分電盤が記載されている。
【0003】
分電盤用キャビネットは、分電盤用キャビネットの内部の温度を測定する温度センサを備えている。温度センサは、温度の検出結果を通知制御部に出力する。通知制御部は、温度センサによって計測された温度が所定の使用温度範囲内であれば正常状態であると判断し、温度センサによって計測された温度が使用温度範囲外になると異常状態であると判断する。通知制御部は、温度センサから取得した計測結果に基づいて、ブレーカの状態が異常状態であると判断すると、ブレーカの状態情報を通知部から本体の外部に通知させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-065371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、分電盤内の温度分布に基づいた制御を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る分電盤管理方法は、取得処理と、判定処理と、遮断処理と、を含む。前記取得処理は、分電盤を管理するための分電盤管理情報を取得することを含む。前記分電盤管理情報は、前記分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度情報を含む。前記判定処理は、前記分電盤管理情報のうちの少なくとも前記温度情報に基づいて、前記分電盤内の環境が判定条件を満たすか否かを判定することを含む。前記遮断処理は、前記判定処理の結果に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカを
遮断するための遮断信号を出力することを含む。前記分電盤内には複数の前記ブレーカが配置される。前記複数のブレーカは、各々が以上のブレーカを含む複数のグループに区分けされる。前記複数のグループは、前記複数の場所に一対一に対応付けられている。前記遮断処理は、前記複数のブレーカのうちの特定のブレーカのみを遮断することを含む。前記遮断処理は、前記複数のグループのうちの1つのグループに含まれる全てのブレーカを前記特定のブレーカとして遮断することを含む。
【0007】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記分電盤管理方法の管理対象である。前記分電盤は、前記分電盤管理情報を出力する情報出力部を備える。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記分電盤管理方法を実行させるための、プログラムである。
【0009】
本開示の一態様に係る分電盤管理システムは、取得部と、判定部と、遮断部と、を備える。前記取得部は、分電盤を管理するための分電盤管理情報を取得する。前記分電盤管理情報は、前記分電盤内における複数の場所の温度の分布を特定可能な態様で示す温度情報を含む。前記判定部は、前記分電盤管理情報のうちの少なくとも前記温度情報に基づいて、前記分電盤内の環境が判定条件を満たすか否かを判定する。前記遮断部は、前記判定部による判定結果に基づいて、前記分電盤内に配置されるブレーカを遮断するための遮断信号を出力する。前記分電盤内には複数の前記ブレーカが配置される。前記複数のブレーカは、各々が以上のブレーカを含む複数のグループに区分けされる。前記複数のグループは、前記複数の場所に一対一に対応付けられている。前記遮断部は、前記複数のブレーカのうちの特定のブレーカのみを遮断する。前記遮断部は、前記複数のグループのうちの1つのグループに含まれる全てのブレーカを前記特定のブレーカとして遮断する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、分電盤内の温度分布に基づいた制御が可能となる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る分電盤管理システム及び分電盤を備える電力システムのブロック図である。
図2図2は、同上の分電盤の正面図である。
図3図3は、同上の分電盤に備えられる第1分岐ブレーカの内部回路図である。
図4図4は、同上の分電盤に備えられる第2分岐ブレーカの内部回路図である。
図5図5は、同上の分電盤のキャビネット内で温度を計測する複数の場所を示す概念図である。
図6図6は、同上の分電盤に備えられる複数の分岐ブレーカを一括で遮断するための構成の例を示す図である。
図7図7は、同上の分電盤管理システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)概要
以下、本実施形態の分電盤管理方法、分電盤管理方法による管理対象である分電盤1、及び分電盤管理方法の実行主体である分電盤管理システム100について、図面を参照しながら説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
本実施形態の分電盤管理方法(分電盤管理システム100)は、分電盤1を管理するための方法(システム)である。分電盤1は、電気の配線を幹線から複数に分岐させる、スイッチ・ブレーカ等を取り付けた装置である。本開示でいう「分電盤」は、主に住戸に設置されるいわゆる「住宅用分電盤」の他、主にビル又はマンション等の住戸以外の施設に設置されるいわゆる「標準分電盤」等と呼ばれるものも含む。本開示でいう「分電盤」は、高圧受電設備の受電したもとの電気を各場所へ分ける、いわゆるキュービクル等と呼ばれる高圧受電設備を含んでもよい。本実施形態では、分電盤1は「標準分電盤」であるとする。
【0014】
分電盤管理システム100は、図1に示すように、取得部911を備えている。取得部911は、本実施形態の分電盤管理方法における取得処理ST1(図7参照)の実行主体である。取得部911は、取得処理ST1として、分電盤1を管理するための分電盤管理情報を取得する。分電盤管理情報は、分電盤1内の温度に関する温度情報を含んでいる。本開示でいう「温度情報」は、分電盤1内における複数の場所A1~A10(図5参照)の温度の分布を特定可能な態様で示す情報を含んでいる。
【0015】
このように、本実施形態の分電盤管理システム100及び分電盤管理方法では、分電盤1内における複数の場所A1~A10の温度の分布を特定可能な態様で示す温度情報を含む分電盤管理情報が、取得される。そのため、本実施形態では、分電盤1内の温度分布に基づいた制御が可能となるという利点がある。ここでいう「制御」の対象となる装置としては、例えば、分電盤1内に配置されるブレーカ6(主幹ブレーカ2、分岐ブレーカ3)の他、分電盤1の内部又は外部に配置されてユーザに対して情報の発信を行うための報知部931及び通信部932等を含み得る。
【0016】
(2)詳細
以下、本実施形態の分電盤管理システム100及び分電盤1を含む電力システムについて、図1図6を参照して説明する。
【0017】
(2.1)分電盤
まず、分電盤管理方法及び分電盤管理システム100の管理対象である分電盤1について、説明する。
【0018】
図1図2に示すように、分電盤1は、キャビネット10と、複数のブレーカ6と、複数の温度センサ7と、電流計測装置8と、コントローラ9と、を備えている。
【0019】
図2に示すように、複数のブレーカ6は、1以上(ここでは2個)の主幹ブレーカ2と複数(ここでは26個)の分岐ブレーカ3とを含む。
【0020】
以下、2個の主幹ブレーカ2を区別する場合、主幹ブレーカ2001、主幹ブレーカ2002と表記する。なお、図1では、便宜上、2個の主幹ブレーカ2のうちの一方の主幹ブレーカ2とそれに電気的に接続される複数の分岐ブレーカ3のみを示しており、他方の主幹ブレーカ2とそれに電気的に接続される複数の分岐ブレーカ3の図示を省略している。
【0021】
図2に示すように、キャビネット10は、前面が開口した箱型である。以下では、分電盤1が壁に取り付けられた状態で、キャビネット10を正面から見たときの上下左右を基準として説明を行う。また、分電盤1が壁に取り付けられた状態でキャビネット10を正面から見たときの奥行方向を前後方向とし、キャビネット10の前面が前方を向いていることとして説明する。ただし、これらの方向は分電盤1の設置方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0022】
図2に示すように、主幹ブレーカ2及び分岐ブレーカ3は、キャビネット10の内部に内器として収容されている。キャビネット10の内部には2個の取付部材4が上下に並んで配置されている。複数の分岐ブレーカ3は、2個の取付部材4に複数個ずつ取り付けられている。以下、2個の取付部材4を区別する場合、上側の取付部材4を取付部材41と表記し、下側の取付部材4を取付部材42と表記する。
【0023】
主幹ブレーカ2001は、キャビネット10の内部において、上側の取付部材41よりも上側の領域に配置されている。主幹ブレーカ2002は、下側の取付部材42に取り付けられている。キャビネット10の上壁には、商用電源等の交流電源900に接続される電源線201(母線)等の配線を通すための貫通孔が設けられている。
【0024】
各主幹ブレーカ2は、直方体状のケース20を備えている。図2に示すように、ケース20の一端部には一次側の端子21が設けられ、ケース20の他端部には二次側の端子22が設けられる。なお、主幹ブレーカ2002の二次側の端子22は、後述のカバー512により覆われて隠れている。ケース20の内部には、一次側の端子21と二次側の端子22との間に電気的に接続された接点部23(図1参照)が収容されている。ケース20の前面には、接点部23を手動で開閉させるためのハンドル25が配置されている。また、主幹ブレーカ2は、接点部23を流れる主幹電流が予め決められた閾値を超えると、接点部23を強制的に開極させる過電流保護機能を備えている。さらに、主幹ブレーカ2は、漏電を検出する検出部24を有している。検出部24は、例えば零相変流器を含む。検出部24が主幹ブレーカ2に接続された回路での漏電を検出すると、主幹ブレーカ2は、接点部23を強制的に開極させる。すなわち、主幹ブレーカ2は漏電遮断器である。
【0025】
一次側の端子21は、交流電源900に電気的に接続される(図2参照)。本実施形態では、交流電源900の配電方式が単相三線式である場合を例に説明する。一次側の端子21には、2つの電圧極(L1相、L2相)と中性極(N相)との3本の電源線201が接続される。3本の電源線201は、交流電源900に電気的に接続されている。これにより、各主幹ブレーカ2は、3本の電源線201を介して交流電源900に電気的に接続される。
【0026】
二次側の端子22には、電圧極(L1相、L2相)と中性極との3本の導電バー5が電気的に接続される。ここで、一方の主幹ブレーカ2001の二次側の端子22は、3個の導電部材50を介して、3本の導電バー5に電気的に接続されている。他方の主幹ブレーカ2002の二次側の端子22は、一方の主幹ブレーカ2001に接続されている3本の導電バー5とは別の3本の導電バー5に、電気的に接続されている。各導電バー5は、金属製であって、上下方向に長尺となる帯板状に形成されている。各導電バー5は、例えば、金属板にプレス加工を施すことによって形成される。各導電バー5は、主幹ブレーカ2を介して電源線201に電気的に接続されている。
【0027】
2個の取付部材4の各々は、平面形状が矩形状の金属板である。キャビネット10の内部において、キャビネット10の後壁には一対のフレーム102が固定されている。一対のフレーム102の各々は、金属製であって、上下方向に長尺となる棒状に形成されている。一対のフレーム102は、左右方向において間隔を空けて対向するように配置されている。2個の取付部材4は、上下方向に並ぶように、一対のフレーム102に取り付けられている。各取付部材4は、一対のフレーム102間に跨って取り付けられている。各取付部材4は、一対のフレーム102に対して、例えばねじで固定されている。
【0028】
上側の取付部材41の左右方向における中央部に、上述の3本の導電バー5が取り付けられている。3本の導電バー5は、3個の導電部材50を介して、主幹ブレーカ2001の二次側の端子22に電気的に接続されている。3本の導電バー5は、長手方向が上下方向と平行し、前後方向において間隔をあけて並ぶように配置されている。取付部材41には、導電バー5に対して左右両側に、複数の分岐ブレーカ3が上下方向に並ぶように取り付けられている。ここでは、24個の分岐ブレーカ3が、導電バー5の左側と右側とに12個ずつ上下方向に並んで配置されている。導電バー5の前面は、導電バー5の前側に配置される合成樹脂製のカバー511で覆われている。
【0029】
下側の取付部材42の左右方向における中央部に、上述の別の3本の導電バー5が取り付けられている。この3本の導電バー5は、主幹ブレーカ2002の二次側の端子22に電気的に接続されている。導電バー5の前面は、導電バー5の前側に配置される合成樹脂製のカバー512で覆われている。また、取付部材42には、導電バー5に対して左右両側に、分岐ブレーカ3が取り付けられている。ここでは、2個の分岐ブレーカ3が、導電バー5の左側と右側とに1個ずつ配置されている。取付部材42において、導電バー5の右上側の部分(左右方向において、導電バー5を挟んで主幹ブレーカ2002と隣り合う領域)には、スペースを埋めるためのダミーブロック303が3個取り付けられている。
【0030】
2個の取付部材4のうちの一方(ここでは下側の取付部材42)には、ねじ端子43が設けられている。ねじ端子43は、接地線205、接地端子11、及び接地線206を介して接地されている。したがって、2個の取付部材4は、接地線205及び接地線206(及びフレーム102)を介して接地されている。
【0031】
複数の分岐ブレーカ3は、第1分岐ブレーカ301と第2分岐ブレーカ302とを含んでいる。第1分岐ブレーカ301は、例えば2P2Eタイプ(2極2素子)のブレーカである。第2分岐ブレーカ302は、例えば3P3Eタイプ(3極3素子)のブレーカである。ここでは、分電盤1は、24個の第1分岐ブレーカ301と、2個の第2分岐ブレーカ302とを備えている。
【0032】
24個の第1分岐ブレーカ301は、上側の取付部材41に取り付けられ、主幹ブレーカ2001に電気的に接続される。
【0033】
各第1分岐ブレーカ301は、図3に示すように、2個の第1端子t1と、2個の第2端子t2と、第3端子t3と、第4端子t4と、2個の接点部31と、接続回路32と、ケース30と、を備えている。
【0034】
2個の第1端子t1の各々には、対応する導電バー5が接続される。第1分岐ブレーカ301が100V用のブレーカである場合は、2個の第1端子t1のうちの一方に電圧極(L1相又はL2相)の導電バー5が接続され、2個の第1端子t1のうちの他方に中性極(N相)の導電バー5が接続される。第1分岐ブレーカ301が200V用のブレーカである場合は、2個の第1端子t1のうちの一方にL1相の導電バー5が接続され、2個の第1端子t1のうちの他方にL2相の導電バー5が接続される。
【0035】
2個の第2端子t2の各々には、対応する分岐線202が接続される。分岐線202には、負荷110が電気的に接続される。本開示における「負荷」は、例えば、接地極付きのコンセント等の配線器具、又は、照明器具及び空調装置等の種々の電気機器等である。
【0036】
2個の接点部31の各々は、対応する第1端子t1と第2端子t2との間に電気的に接続されている。2個の接点部31は、ハンドル33(図2参照)の操作に応じて、第1状態(閉極)及び第2状態(開極)の何れかに切り替えられる。第1分岐ブレーカ301は、分岐線202に流れる電流が予め決められた閾値を超えると、接点部31を強制的に開極させる過電流保護機能を備えている。さらに、第1分岐ブレーカ301は、漏電を検出する検出部34(図1参照)を有している。検出部34は、例えば零相変流器を含む。検出部34が第1分岐ブレーカ301に接続された回路での漏電を検出すると、第1分岐ブレーカ301は、接点部31を強制的に開極させる。すなわち、第1分岐ブレーカ301(分岐ブレーカ3)は漏電遮断器である。
【0037】
第3端子t3には、負荷110の接地分岐線203が電気的に接続される。接地分岐線203は、負荷110の接地極に電気的に接続されている。負荷110の接地極は、例えば、負荷110が接地極付きのコンセントであればコンセントの接地極であり、負荷110が照明器具等の電気機器であれば電気機器の接地端子である。
【0038】
第4端子t4は、接続回路32を介して、第3端子t3と電気的に接続されている。第4端子t4は、取付部材4(ここでは上側の取付部材41)に電気的に接続される。
【0039】
ケース30は、合成樹脂の成形品である複数の分割体を組み合わせることで、全体として直方体状に形成されている。ケース30は、2個の第1端子t1と、2個の第2端子t2と、第3端子t3と、第4端子t4と、2個の接点部31と、接続回路32と、を保持している。ケース30は、上下方向に扁平な薄箱状である。
【0040】
ケース30の長手方向の一端部(右端部又は左端部)には、3本の導電バー5のうち対応する導電バー5がそれぞれ挿入される3個のスリットが、前後方向に並んで設けられている。3個のスリットのうちの2個に、2個の第1端子t1をそれぞれ構成する2対の刃受け部材が配置されている。ケース30の長手方向の他端部(左端部又は右端部)には、2個の第2端子t2をそれぞれ構成する2個の速結端子と、第3端子t3を構成する速結端子と、が設けられている。ケース30の高さ方向の一面(後面)には、第4端子t4を構成する金属製の接触片が設けられている。
【0041】
ケース30は、第4端子t4を構成する接触片が取付部材41に接触し、2個の第1端子t1が左右方向の内側を向きかつ3本の導電バー5のうちの2本の導電バー5に接触し、2個の第2端子t2が左右方向の外側を向くように、取付部材41に取り付けられる。
【0042】
第2分岐ブレーカ302は、図4に示すように、3個の第1端子t1と、3個の第2端子t2と、3個の接点部31と、ケース30と、を備えている。
【0043】
3個の第1端子t1の各々には、対応する導電バー5が接続される。3個の第1端子t1には、2個の電圧極(L1相及びL2相)の導電バー5及び中性極(N相)の導電バー5がそれぞれ接続される。
【0044】
3個の第2端子t2の各々には、対応する分岐線202が接続される。分岐線202には、負荷110が電気的に接続される。
【0045】
3個の接点部31の各々は、対応する第1端子t1と第2端子t2との間に電気的に接続されている。3個の接点部31は、ハンドル33(図2参照)の操作に応じて、第1状態(閉極)及び第2状態(開極)の何れかに切り替えられる。第2分岐ブレーカ302は、分岐線202に流れる電流が予め決められた閾値を超えると、接点部31を強制的に開極させる過電流保護機能を備えている。さらに、第2分岐ブレーカ302は、漏電を検出する検出部34(図1参照)を有している。検出部34は、例えば零相変流器を含む。検出部34が第2分岐ブレーカ302に接続された回路での漏電を検出すると、第2分岐ブレーカ302は、接点部31を強制的に開極させる。すなわち、第2分岐ブレーカ302(分岐ブレーカ3)は漏電遮断器である。
【0046】
ケース30は、合成樹脂の成形品である複数の分割体を組み合わせることで、全体として直方体状に形成されている。ケース30は、3個の第1端子t1と、3個の第2端子t2と、3個の接点部31と、を保持している。ケース30の長手方向の一端部(右端部又は左端部)には、3個の第1端子t1をそれぞれ構成する3個のねじ端子が設けられている。ケース30の長手方向の他端部(左端部又は右端部)には、3個の第2端子t2をそれぞれ構成する3個のねじ端子が設けられている。
【0047】
ケース30は、3個の第1端子t1が左右方向の内側を向き、3個の第2端子t2が左右方向の外側を向くように、取付部材42に取り付けられる。
【0048】
複数の温度センサ7(図1参照)は、分電盤1のキャビネット10内に配置されている。ここでは、10個の温度センサ7が、キャビネット10内に配置されている。各温度センサ7は、キャビネット10内における所定の場所(A1~A10:図5参照)の温度(局所温度)を計測する。
【0049】
各温度センサ7は、赤外線センサ71を備えている。赤外線センサ71は、例えば熱型(非冷却型)の赤外線センサである。赤外線センサ71は、赤外線を吸収することで温度が上昇すると抵抗値が変化(増加)する熱型赤外線検出部を備えている。赤外線センサ71では、熱型赤外線検出部の抵抗値の変化を測定することで、赤外線センサ71が向けられている場所の温度を計測する。
【0050】
複数(10個)の温度センサ7は、キャビネット10内の異なる場所A1~A10の温度を計測する。以下では、10個の温度センサ7を区別する場合、温度センサ701~温度センサ710と表記する。温度センサ701~710は、場所A1~A10の温度をそれぞれ計測する。ここでは、各温度センサ7による温度の計測対象の場所(場所A1~A10)には、複数のブレーカ6のうちのいずれかのブレーカ6の少なくとも一部分が、含まれている。なお、図5では、便宜上、キャビネット10内の一部の部品の図示を省略し、場所A1~A10の各領域にドットハッチングを付している。
【0051】
場所A1は、主幹ブレーカ2001の少なくとも一部分を含む領域である。場所A1は、主幹ブレーカ2001の一次側の端子21を含んでいる。場所A1は、主幹ブレーカ2001の二次側の端子22を含んでいる。
【0052】
場所A2は、上側の取付部材41のうちで左上側の部分を含む領域である。場所A2は、上側の取付部材41の左上側に配置されている6個の第1分岐ブレーカ301の第2端子t2を含んでいる。
【0053】
場所A3は、上側の取付部材41のうちで左下側の部分を含む領域である。場所A3は、上側の取付部材41の左下側に配置されている6個の第1分岐ブレーカ301の第2端子t2を含んでいる。
【0054】
場所A4は、下側の取付部材42のうちで左側の部分を含む領域である。場所A4は、下側の取付部材42の左側に配置されている主幹ブレーカ2002の一次側の端子21を含んでいる。場所A4は、下側の取付部材42の左側に配置されている第2分岐ブレーカ302の第2端子t2を含んでいる。
【0055】
場所A5は、下側の取付部材42のうちで中央の部分を含む領域である。場所A5は、下側の取付部材42の中央に配置されている導電バー5を含んでいる。場所A5は、下側の取付部材42の左側に配置されている主幹ブレーカ2002の二次側の端子22を含んでいる。場所A5は、下側の取付部材42の左側に配置されている第2分岐ブレーカ302の第1端子t1を含んでいる。場所A5は、下側の取付部材42の右側に配置されている第2分岐ブレーカ302の第1端子t1を含んでいる。
【0056】
場所A6は、下側の取付部材42のうちで右側の部分を含む領域である。場所A6は、下側の取付部材42の右側に配置されている第2分岐ブレーカ302の第2端子t2を含んでいる。
【0057】
場所A7は、上側の取付部材41のうちで中央下側の部分を含む領域である。場所A7は、上側の取付部材41の中央に配置されている導電バー5の下半分を含んでいる。場所A7は、上側の取付部材41の左下側に配置されている6個の第1分岐ブレーカ301の第1端子t1を含んでいる。場所A7は、上側の取付部材41の右下側に配置されている6個の第1分岐ブレーカ301の第1端子t1を含んでいる。
【0058】
場所A8は、上側の取付部材41のうちで右下側の部分を含む領域である。場所A8は、上側の取付部材41の右下側に配置されている6個の第1分岐ブレーカ301の第2端子t2を含んでいる。
【0059】
場所A9は、上側の取付部材41のうちで右上側の部分を含む領域である。場所A9は、上側の取付部材41の右上側に配置されている6個の第1分岐ブレーカ301の第2端子t2を含んでいる。
【0060】
場所A10は、上側の取付部材41のうちで中央上側の部分を含む領域である。場所A10は、上側の取付部材41の中央に配置されている導電バー5の上半分を含んでいる。場所A10は、上側の取付部材41の左上側に配置されている6個の第1分岐ブレーカ301の第1端子t1を含んでいる。場所A10は、上側の取付部材41の右上側に配置されている6個の第1分岐ブレーカ301の第1端子t1を含んでいる。
【0061】
温度センサ7は、計測した温度の情報を、コントローラ9へ出力する。
【0062】
電流計測装置8は、複数の分岐ブレーカ3の各々に接続された負荷110に流れる電流を計測するように構成されている。電流計測装置8は、例えば、基板と、複数のコイル81と、を有している。基板は、一方向(上下方向)に長い板状である。基板には、複数の孔が形成されている。複数の孔には、導電バー5から延びて分岐ブレーカ3の第1端子t1に接続される端子がそれぞれ挿入される。コイル81は、例えばロゴスキコイルであり、基板の孔の周りに形成されている。本実施形態では、電流計測装置8は、複数の分岐ブレーカ3の各々に流れる電流を計測する。なお、電流計測装置8はロゴスキコイルを有するものに限定されず、例えば、変流器(カレントトランス)、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等のセンサを有するものでもよい。電流計測装置8は、計測した電流の情報を、コントローラ9へ出力する。
【0063】
コントローラ9は、キャビネット10内に配置されている。コントローラ9は、例えば、キャビネット10内において、主幹ブレーカ2001の右側の領域に配置されている。なお、図2では、コントローラ9の図示を省略している。
【0064】
本実施形態では、コントローラ9によって分電盤管理システム100が構成される。すなわち、本実施形態では、分電盤管理システム100は分電盤1のキャビネット10内に配置される。
【0065】
(2.2)分電盤管理システム
本実施形態において分電盤管理システム100を構成するコントローラ9は、図1に示すように、制御部91と、記憶部92と、出力部93と、を備えている。
【0066】
コントローラ9は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステ
ムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部91としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0067】
図1に示すように、制御部91は、取得部911と、判定部912と、遮断部913と、を備えている。なお、取得部911、判定部912、及び遮断部913は、実体のある構成を示しているわけではなく、制御部91により実現される機能を示している。
【0068】
取得部911は、分電盤10を管理するための分電盤管理情報を取得する。
【0069】
分電盤管理情報は、少なくとも温度情報を含む。温度情報は、分電盤10内における複数の場所A1~A10の温度の分布を特定可能な態様で示す情報である。すなわち、取得部911は、分電盤10内における複数の場所A1~A10の温度の分布を特定可能な態様で示す温度情報を取得する。
【0070】
具体的には、取得部911は、温度センサ701~710の各々から、各温度センサ701~710で計測された温度の情報を取得する。取得部911は、例えば常時又は間欠的に、温度センサ701~710の各々から温度の情報を取得する。取得部911が取得した温度の情報は、その温度を計測した温度センサ7の識別情報、又はその温度を計測した温度センサ7の場所の情報等と紐付けて、記憶部92に時系列で記憶される。
【0071】
すなわち、温度センサ7は、分電盤管理情報としての温度情報を出力する情報出力部150の一例である。
【0072】
本実施形態では、分電盤管理情報は、電力情報を更に含む。電力情報は、分電盤10を通過する電力に関する情報である。すなわち、取得部911は、電力情報を取得する。
【0073】
具体的には、取得部911は、電流計測装置8から、複数の分岐ブレーカ3の各々に流れる電流の情報を取得する。取得部911は、例えば常時又は間欠的に、電力計測装置8から電流の情報を取得する。取得部911が取得した電力の情報(電流の情報)は、その電流を計測したコイル81の識別情報、又はその電流が通過した分岐ブレーカ3の識別情報等と紐付けて、記憶部92に時系列で記憶される。
【0074】
すなわち、電流計測装置8は、分電盤管理情報としての電力情報を出力する情報出力部150の一例である。
【0075】
判定部912は、分電盤管理情報のうちの少なくとも温度情報に基づいて、分電盤10内の環境が判定条件を満たすか否かを判定する。判定部912は、本実施形態の分電盤管理方法における判定処理ST2(図7参照)の実行主体である。
【0076】
判定条件は、複数のブレーカ6のうちの少なくとも1つのブレーカ6を遮断することを決定するための遮断条件を含む。判定部912は、遮断条件が満たされたと判定すると、少なくとも1つのブレーカ6を遮断することを決定する。
【0077】
判定部912は、少なくとも温度情報に基づいて、分電盤10内の環境が遮断条件を満たすか否かを判定する。
【0078】
遮断条件は、例えば、キャビネット10内においていずれかのブレーカ6が配置されている場所の温度が閾値温度以上になる、という条件を含む。キャビネット10内の温度の上昇は、例えば、分電盤10の長期使用に伴う電線(電源線201、分岐線202等)の劣化、ねじ端子等のねじのゆるみ、小動物の侵入、メンテナンス不良等により、起こり得る。
【0079】
上述のように、複数の温度センサ701~710は、それぞれブレーカ6が配置されている複数の場所A1~A10の温度を計測している。本実施形態では、複数のブレーカ6の全てが、複数の温度センサ701~710による温度の計測対象の場所(場所A1~A10)のうちのいずれかに、含まれている。すなわち、複数のブレーカ6は、各々が1以上のブレーカ6を含む複数のグループに区分けされている。複数のグループは、複数の温度センサ701~710で温度が計測される複数の場所A1~A10に、それぞれ対応付けられている。これら複数のグループと複数の場所A1~A10との間の対応関係は、記憶部92に記憶されている。
【0080】
判定部912は、例えば、複数の場所A1~A10のいずれかの温度が閾値温度以上になると、その場所に対応付けられた(その場所に配置されている)ブレーカ6が遮断条件を満たしたと判断する。要するに、判定部912は、グループ単位で、ブレーカ6が遮断条件を満たすか否かを判定する。
【0081】
例えば、判定部912は、場所A1の温度が閾値温度以上になると、この場所A1に配置されている主幹ブレーカ2001が、遮断条件を満たしたと判断する。例えば、判定部912は、場所A2の温度が閾値温度以上になると、この場所A2に配置されている6個の分岐ブレーカ3(取付部材41の左上側に配置されている6個の第1分岐ブレーカ301)が、遮断条件を満たしたと判断する。
【0082】
閾値温度は、記憶部92に記憶されている。閾値温度は、複数の場所A1~A10それぞれについて、個別に設定可能であることが好ましい。なお、閾値温度は、場所A1~A10について互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、場所A1の温度と比較される閾値温度と、場所A2の温度と比較される閾値温度とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0083】
要するに、判定部912は、複数の場所A1~A10の各々について、その場所の環境(温度)が判定条件(遮断条件)を満たすか否かを判定する。判定条件(遮断条件)は、複数の場所A1~A10それぞれについて、個別に設定される。
【0084】
遮断条件は、例えば、キャビネット10内の複数の領域の温度の間の差分に関する条件を含む。遮断条件は、2つの温度センサ7でそれぞれ計測された温度の差分が所定の閾値以上になる、という条件を含んでもよい。例えば、判定部912は、場所A2の温度が場所A6の温度よりも閾値以上高くなると、場所A2に配置されている6個の分岐ブレーカ3(取付部材41の左上側に配置されている6個の分岐ブレーカ3)が遮断条件を満たしたと判断する。
【0085】
また、遮断条件は、例えば、キャビネット10内で近接する領域の温度の間の関係に関する条件を含んでもよい。例えば、遮断条件は、ある温度センサ7で計測された温度が第1閾値温度以上となり、この温度センサ7の計測対象の領域と近接する領域を計測対象とする温度センサ7で計測された温度が第2閾値温度(<第1閾値温度)以上となる、という条件を含んでもよい。例えば、判定部912は、場所A8の温度が第1閾値温度以上となり、場所A6の温度、場所A7の温度、及び場所A9の温度がいずれも第2閾値温度以上となると、場所A8に配置されている6個の分岐ブレーカ3(取付部材41の右下側に配置されている6個の分岐ブレーカ3)が遮断条件を満たしたと判断する。
【0086】
要するに、判定条件(遮断条件)は、複数の局所温度の間の関係に基づく関係条件を含んでもよい。
【0087】
遮断条件は、例えば、キャビネット10内においていずれかのブレーカ6が配置されている場所の温度の単位時間あたりの変化量(増加量)が、変化量閾値以上になる、という条件を含んでもよい。例えば、判定部912は、場所A2の温度の単位時間あたりの増加量が変化量閾値以上になると、場所A2に配置されている6個の分岐ブレーカ3(取付部材41の左上側に配置されている6個の分岐ブレーカ3)が遮断条件を満たしたと判断する。
【0088】
判定部912は、電力情報に更に基づいて、分電盤10内の環境が遮断条件を満たすか否かを判定してもよい。すなわち、判定部912は、温度情報と電力情報との組み合わせに基づいて、分電盤10内の環境が遮断条件を満たすか否かを判定してもよい。
【0089】
例えば、場所A2の温度が閾値温度以上になり、かつ、この場所A2に配置されている6個の分岐ブレーカ3のうちの一つ(例えば、一番上の分岐ブレーカ3)を流れる電流が、閾値電流以上であったとする。この場合、判定部912は、この一番上の分岐ブレーカ3に接続されている負荷110に異常がある(負荷110に過大な電流が流れている)と判断して、この分岐ブレーカ3が遮断条件を満たしたと判断してもよい。
【0090】
判定部912は、ブレーカ6を遮断するため以外の判定を行ってもよい。すなわち、判定条件は、遮断条件以外の条件を含み得る。判定条件は、遮断条件以外の条件として、例えば、出力部93により分電盤1の外部に情報を出力することを決定するための出力条件を含み得る。
【0091】
図1に示すように、出力部93は、報知部931と通信部932とを備えている。報知部931は、スピーカ、光源、表示部等の報知手段を備え、報知手段を動作させることでユーザに報知を行う。通信部932は、通信インタフェースを備えており、例えばネットワーク等を介して外部の通信装置に接続される。
【0092】
出力条件は、遮断条件と同様、キャビネット10内の所定の場所A1~A10の温度が閾値温度以上になるという条件、複数の局所温度の間の関係に基づく関係条件、キャビネット10内の所定の場所A1~A10の温度の単位時間あたりの変化量が変化量閾値以上になるという条件等を、含み得る。
【0093】
遮断条件における閾値(閾値温度、変化量閾値)と、出力条件における閾値(閾値温度、変化量閾値)とは、同じであってもよいし互いに異なっていてもよい。例えば、出力条件における閾値は、遮断条件における閾値よりも小さな値に設定されていてもよい。
【0094】
遮断部913は、判定部912による判定処理の結果に基づいて、分電盤10内に配置されるブレーカ6を遮断するための遮断信号を出力する。遮断部913は、本実施形態の分電盤管理方法における遮断処理ST6(図7参照)の実行主体である。
【0095】
遮断部913は、複数のブレーカ6のうち、判定部912により遮断条件が満たされたと判断されたブレーカ6を遮断する。遮断部913は、例えばグループ単位でブレーカ6を遮断する。例えば、判定部912が、場所A2の温度が閾値温度以上になったため、この場所A2に配置されている6個の分岐ブレーカ3が遮断条件を満たしたと判断したとする。この場合、遮断部913は、この6個の分岐ブレーカ3に対して遮断信号を出力し、この6個の分岐ブレーカ3を遮断する。要するに、遮断部913は、複数のブレーカ6のうちの特定のブレーカのみを遮断する。遮断部913は、複数のグループのうちの1つのグループに含まれる全てのブレーカ6を特定のブレーカとして遮断する。
【0096】
ここでは、遮断信号は、遮断対象のブレーカ6に疑似漏電電流を流すための信号である。例えば、分岐ブレーカ3の1つの第1端子t1(電圧極に接続される第1端子t1)に接続され零相変流器(検出部34)の内部を通った電線が、抵抗とスイッチとの直列回路を介して、グランドに接続されているとする。遮断信号は、このスイッチをオンさせるための信号であり得る。このスイッチがオンされると、分岐ブレーカ3の検出部34が漏電(疑似的な漏電)の発生を検出し、接点部31を強制的に開極させて、これによりこの分岐ブレーカ3が遮断される。
【0097】
1つのグループに含まれる1以上のブレーカ6を一括で遮断するために、この1以上のブレーカ6は、共通の抵抗とスイッチとを介してグランドに接続されていてもよい。例えば、図6に示すように、1つのグループに含まれる6個のブレーカ6からの電線W1(各ブレーカ6において零相変流器の内部を通った電線)が、抵抗R1とスイッチS1との直列回路を介してグランドに接続されてもよい。この場合、遮断信号Si0によりスイッチS1がオンされると、ブレーカ6に漏電電流(疑似漏電電流)が流れ、ブレーカ6が遮断されることとなる。この場合、抵抗R1の抵抗値は、スイッチS1がオンされた場合に、漏電検出閾値とブレーカ6の個数(6個)との積で求まる大きさ以上の電流が抵抗R1を流れる大きさに、設定される。ここでいう「漏電検出閾値」は、ブレーカ6の検出部34(検出部24)が、漏電が発生していることを決定するために用いる電流の値である。例えば、漏電検出閾値が30mAであって、抵抗R1に接続されているブレーカ6の個数が6個である場合、抵抗R1の抵抗値は、スイッチS1がオンされた場合に抵抗R1に180mA以上の電流が流れる大きさに、設定される。
【0098】
記憶部92は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ等を備える。記憶部92は、判定部912が判定を行うための判定条件(閾値等を含む)、複数の温度センサ701~710(場所A1~A10)と複数のブレーカ6との間の対応関係の情報、取得部911が取得した情報等を記憶する。
【0099】
閾値の情報、複数の温度センサ701~710(場所A1~A10)と複数のブレーカ6との間の対応関係の情報等は、例えば、通信部932に接続された外部の通信装置或いはコントローラ9が備える操作部等を用いて、適宜設定(変更)され得る。
【0100】
出力部93は、分電盤管理情報に基づく出力情報を出力する。出力部93は、本実施形態の分電盤管理方法における出力処理(ST4:図7参照)の実行主体である。出力部93は、少なくとも出力条件を満たした場合に、出力情報を出力する。
【0101】
出力部93は、上述のように、報知部931と通信部932とを備えている。
【0102】
報知部931は、報知手段として、スピーカ、光源、表示部等を含む。報知部931は、例えば、出力情報として、取得部911で取得された温度情報を出力する。報知部931は、例えば、出力情報として、温度情報及び温度センサ7の配置位置の情報(場所A1~A10の情報)等に基づいて得られる、キャビネット10内の温度分布の情報を出力する。報知部931は、例えば、出力情報として、キャビネット10内のある場所の温度が上昇している旨の警告を出力する。報知部931は、例えば、出力情報として、いずれかのブレーカ6を遮断すべきか否かをユーザに問い合わせる問い合わせ情報を出力する。報知部931が出力する出力情報は、分電盤管理情報に基づいて得られる他の情報を含んでもよい。
【0103】
通信部932は、通信手段として、通信インタフェースを備えている。通信部932は、ネットワークを介して外部の通信装置に接続され、外部の通信装置へ種々の情報を送信する。通信部932は、例えば、出力情報として、取得部911で取得された温度情報を出力する。通信部932は、例えば、出力情報として、温度情報と温度センサ7の配置位置の情報(場所A1~A10の情報)とを含む情報を出力する。通信部932は、例えば、出力情報として、いずれかのブレーカ6を遮断すべきか否かをユーザに問い合わせる問い合わせ情報を出力する。通信部932が出力する出力情報は、分電盤管理情報に基づいて得られる他の情報を含んでもよい。
【0104】
なお、出力部93は、出力条件が満たされた場合以外にも(例えば、ユーザからの要求に応じて)、出力情報を出力してもよい。
【0105】
(3)動作
以下、本実施形態の分電盤管理システム100の基本動作の一例について、図7を参照して説明する。
【0106】
上述のように、複数の温度センサ701~710は、キャビネット10内の複数の場所A1~A10の温度を計測し、計測した温度の情報をコントローラ9へ出力する。また、電流計測装置8は、各分岐ブレーカ3に流れる電流を計測し、計測した電流の情報をコントローラ9へ出力する。コントローラ9の取得部911は、これらの情報を、分電盤管理情報として取得する(ST1)。
【0107】
コントローラの判定部912は、取得した分電盤管理情報に基づいて、分電盤1内の環境が判定条件を満たすか否かを判定する(ST2)。判定部912は、複数の場所A1~A10の各々について、その場所の環境が判定条件を満たすか否かを判定する。判定条件は、ここでは、出力条件と遮断条件とを含む。
【0108】
判定部912は、出力条件を満たしたか否かを判定する(ST3)。判定部912は、複数の場所A1~A10の各々について、その場所の環境が出力条件を満たしたか否かを判定する。出力条件が満たされたと判定された場合(ST3:Yes)、出力部93は、出力情報を出力する(ST4)。
【0109】
判定部912は、遮断条件を満たしたか否かを判定する(ST5)。判定部912は、複数の場所A1~A10の各々について、その場所の環境が遮断条件を満たしたか否かを判定する。いずれかの場所A1~A10の環境が遮断条件を満たしたと判定された場合(ST5:Yes)、遮断部913は、遮断条件を満たした場所に対応付けられたブレーカ6に対して、遮断信号を出力する(ST6)。
【0110】
このように、本実施形態の分電盤管理システム100では、分電盤1内における複数の場所A1~A10の温度の分布を特定可能な態様で示す温度情報を含む分電盤管理情報が、取得される。そのため、本実施形態の分電盤管理システム100では、分電盤1内の温度分布に基づいた制御が可能となる。
【0111】
また、本実施形態の分電盤管理システム100では、分電盤管理情報に基づいて、遮断条件が満たされた場合に分電盤1内のブレーカ6を遮断している。そのため、例えば、火災の原因となり得る分電盤1の温度上昇時に、その温度上昇の原因となるブレーカ6を遮断することが可能となり、分電盤1の安全性を向上させることが可能となる。
【0112】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、分電盤管理方法(分電盤管理システム100)と同様の機能は、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上述の分電盤管理方法を実行させる。
【0113】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0114】
本開示における分電盤管理システム100は、例えばコントローラ9の制御部91等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における分電盤管理システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0115】
また、分電盤管理システム100における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは分電盤管理システム100に必須の構成ではない。分電盤管理システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、分電盤管理システム100の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0116】
一変形例において、分電盤管理情報は、環境情報を含んでいてもよい。環境情報は、分電盤1内の環境に関する情報であって、温度情報以外の情報である。環境情報は、取得部911(取得処理ST1)により取得される。環境情報は、例えば、分電盤1内の煙の濃度(存否)に関する情報、分電盤1内のにおいに関する情報、分電盤1内の一酸化炭素の濃度(存否)に関する情報、地震に関する情報、アークの発生に関する情報等を含み得る。
【0117】
一変形例において、複数の温度センサ7のうちのある温度センサ7による温度の計測対象の場所に、ブレーカ6が含まれていなくてもよい。
【0118】
一変形例において、複数のブレーカ6のうちのあるブレーカ6が、複数の温度センサ7による温度の計測対象の場所のうちのいずれにも含まれていなくてもよい。
【0119】
一変形例において、温度センサ7は、赤外線センサ71として、熱型赤外線検出部を画素とする検出部がアレイ状に配置された熱画像センサを備えていてもよい。
【0120】
一変形例において、分電盤1には、温度センサ7として、キャビネット10内の空間全体を撮像可能な熱画像センサが設けられていてもよい。この場合、取得部911は、温度情報として、熱画像センサで撮像されたキャビネット10内の温度分布を示す画像の情報を取得する。
【0121】
一変形例において、複数の温度センサ7によって、キャビネット10内のすべての領域がカバーされていてもよい。
【0122】
一変形例において、複数の温度センサ7による温度の計測対象の場所は、重複する領域が存在してもよい。
【0123】
一変形例において、複数の温度センサ7は、複数のブレーカ6に一対一で設けられていてもよい。例えば、各ブレーカ6に温度センサ7が内蔵されていてもよい。
【0124】
一変形例において、電力情報は、ブレーカ6に印可される電圧の情報を含んでいてもよい。すなわち、取得部911は、電力情報として、ブレーカ6に印可される電圧の情報を取得してもよい。ブレーカ6に印可される電圧は、適宜の電圧計等で計測可能である。
【0125】
一変形例において、遮断信号は、遮断対象のブレーカ6に疑似漏電電流を流すための信号以外の信号であってもよい。例えば、ブレーカ6が遠隔操作が可能なリモコンブレーカの場合、遮断信号は、このブレーカに遮断動作を行わせるための信号であってもよい。この場合、ブレーカ6は漏電遮断器でなくてもよい。
【0126】
一変形例において、分電盤管理システム100は、分電盤1の外部に配置された処理装置により構成されてもよい。
【0127】
(5)態様
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0128】
第1の態様の分電盤管理方法は、取得処理(ST1)を含む。取得処理(ST1)は、分電盤(1)を管理するための分電盤管理情報を取得することを含む。分電盤管理情報は、分電盤(1)内における複数の場所(A1~A10)の温度の分布を特定可能な態様で示す温度情報を含む。
【0129】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に基づいた制御が可能となる、という利点がある。
【0130】
第2の態様の分電盤管理方法は、第1の態様において、判定処理(ST2)を更に含む。判定処理(ST2)は、分電盤管理情報のうちの少なくとも温度情報に基づいて、分電盤(1)内の環境が判定条件を満たすか否かを判定することを含む。
【0131】
この態様によれば、判定結果に基づいた制御が可能となる、という利点がある。
【0132】
第3の態様の分電盤管理方法では、第2の態様において、判定処理(ST2)は、複数の場所(A1~A10)の各々について、その場所の環境が判定条件を満たすか否かを判定することを含む。
【0133】
この態様によれば、場所ごとの判定結果に基づいた制御が可能となる、という利点がある。
【0134】
第4の態様の分電盤管理方法では、第3の態様において、判定条件は、複数の場所(A1~A10)それぞれについて、個別に設定される。
【0135】
この態様によれば、場所ごとに異なる判定条件を設定することが可能となる、という利点がある。
【0136】
第5の態様の分電盤管理方法では、第2~第4のいずれか1つの態様において、温度情報は、複数の場所(A1~A10)それぞれについての温度を示す複数の局所温度の情報を含む。判定条件は、複数の局所温度の間の関係に基づく関係条件を含む。
【0137】
この態様によれば、関係条件を用いた判定結果に基づいた制御が可能となる、という利点がある。
【0138】
第6の態様の分電盤管理方法は、第2~第5のいずれか1つの態様において、遮断処理(ST6)を更に含む。前記遮断処理(ST6)は、判定処理(ST2)の結果に基づいて、分電盤(1)内に配置されるブレーカ(6)を遮断するための遮断信号を出力することを含む。
【0139】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に基づいて、ブレーカ(6)の遮断を行うことが可能となる、という利点がある。
【0140】
第7の態様の分電盤管理方法では、第6の態様において、分電盤(1)内には複数のブレーカ(6)が配置される。遮断処理(ST6)は、複数のブレーカ(6)のうちの特定のブレーカのみを遮断することを含む。
【0141】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に基づいて、特定のブレーカの遮断を行うことが可能となる、という利点がある。
【0142】
第8の態様の分電盤管理方法では、第7の態様において、複数のブレーカ(6)は、各々が1以上のブレーカ(6)を含む複数のグループに区分けされる。遮断処理は、複数のグループのうちの1つのグループに含まれる全てのブレーカ(6)を特定のブレーカとして遮断することを含む。
【0143】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に基づいて、グループに含まれる1以上のブレーカ(6)の遮断を行うことが可能となる、という利点がある。
【0144】
第9の態様の分電盤管理方法では、第8の態様において、複数のグループは、複数の場所(A1~A10)に一対一に対応付けられている。
【0145】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に基づいて、分電盤(1)内の各場所に対応するブレーカ(6)の遮断を行うことが可能となる、という利点がある。
【0146】
第10の態様の分電盤管理方法では、第1~第9のいずれか1つの態様において、分電盤管理情報は、環境情報を更に含む。環境情報は、分電盤(1)内の環境に関する情報であって温度情報以外の情報である。取得処理(ST1)は、環境情報を取得することを含む。判定処理(ST2)は、環境情報に更に基づいて、分電盤(1)内の環境が判定条件を満たすか否かを判定することを含む。
【0147】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に加えて環境情報に基づいた制御が可能となる、という利点がある。
【0148】
第11の態様の分電盤管理方法では、第1~第10のいずれか1つの態様において、分電盤管理情報は、分電盤(1)を通過する電力に関する電力情報を含む。取得処理(ST1)は、電力情報を取得することを含む。判定処理(ST2)は、電力情報に更に基づいて、分電盤(1)内の環境が判定条件を満たすか否かを判定することを含む。
【0149】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に加えて電力情報に基づいた制御が可能となる、という利点がある。
【0150】
第12の態様の分電盤管理方法は、第1~第11のいずれか1つの態様において、出力処理(ST4)を更に含む。出力処理(ST4)は、分電盤管理情報に基づく出力情報を出力することを含む。
【0151】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に基づいて、出力情報の出力を行うことが可能となる、という利点がある。
【0152】
第13の態様の分電盤(1)は、第1~第12のいずれか1つの態様の分電盤管理方法の管理対象である分電盤(1)である。分電盤(1)は、分電盤管理情報を出力する情報出力部(150)を備える。
【0153】
第14の態様のプログラムは、1以上のプロセッサに、第1~第12のいずれか1つの態様の分電盤管理方法を実行させるための、プログラムである。
【0154】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に基づいた制御が可能となる、という利点がある。
【0155】
第15の態様の分電盤管理システム(100)は、取得部(911)を備える。取得部(911)は、分電盤(1)を管理するための分電盤管理情報を取得する。分電盤管理情報は、分電盤(1)内における複数の場所(A1~A10)の温度の分布を特定可能な態様で示す温度情報を含む。
【0156】
この態様によれば、分電盤(1)内の温度分布に基づいた制御が可能となる、という利点がある。
【符号の説明】
【0157】
1 分電盤
6 ブレーカ
150 情報出力部
100 分電盤管理システム
911 取得部
A1~A10 場所
ST1 取得処理
ST2 判定処理
ST4 出力処理
ST6 遮断処理
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7