(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/32 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
B65D81/32 K
(21)【出願番号】P 2020140540
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-08-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開日 : 2020年7月14日~ 公開場所: 株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの各店舗 ウェブサイトの掲載日 : 2020年7月1日~ 公開場所(ウェブサイトのアドレス):https://www.sej.co.jp/products/a/item/092911/
(73)【特許権者】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日下部 萌香
(72)【発明者】
【氏名】眞野 広大
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-055727(JP,U)
【文献】特開2020-111386(JP,A)
【文献】特開2005-059904(JP,A)
【文献】特開平06-293366(JP,A)
【文献】登録実用新案第3048249(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、当該容器本体に収納する中容器とを備えた包装用容器であって、
前記中容器は、中容器フランジ部を備え、前記中容器フランジ部が前記容器本体の容器本体フランジ部に載置されて、前記容器本体に収納されており、
前記容器本体フランジ部には、前記中容器フランジ部よりも低い位置に凹部が形成され、
前記中容器は、前記中容器フランジ部よりも外側に延出し、前記容器本体の収納部に収容可能な摘まみ部を備えており、
当該摘まみ部は前記凹部に位置し、前記摘まみ部と前記凹部との間には空間が設けられていることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記中容器フランジ部と前記凹部の間には空間が設けられ、
前記空間は、前記容器本体フランジ部の外縁の下方へ窪ませた溝から指を水平方向へ挿入できるように、前記溝の外側と水平方向へ直線状に連通している、ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記容器本体フランジ部の外縁側には、上方へ隆起する外壁部が設けられていることを特徴とする請求項
1または2に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記外壁部は、内側へ向けて傾斜する傾斜面を備えることを特徴とする請求項
3に記載の包装用容器。
【請求項5】
前記凹部の両側には、前記中容器の摘まみ部が当接可能な当接壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項6】
前記中容器は、中容器本体と中蓋とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の包装用容器。
【請求項7】
前記中容器の中容器本体、及び/又は、中蓋は、仕切りを備えていることを特徴とする請求項6に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、容器本体と、当該容器本体に収納する中容器とを備えた包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の小売店で販売されている日配食品の調理麺では、包装用容器に中容器を収納して、各容器に麺類と具材等を分けて収容している。特に、近年では、スープの味を改善するために、従来の冷凍スープやゼラチンスープ等を用いずに、ストレートスープを用いているため、麺類、具材、ストレートスープを個別に収容する必要があり、特許文献1や特許文献2の包装用容器では、2つの中容器を用いている。ただ、この包装用容器では、中容器が容器本体に嵌合されて収納されているため、中容器を取り出す際に、嵌合を外した弾み等の影響により、中容器を安定して取り出すことが困難であった。一方、特許文献3の包装用容器では、中容器を取り出しやすくするために、中容器に設けられたフランジの一部(摘まみや突起)を持ち上げる構成となっている。しかしながら、この包装用容器では、中容器を容器本体に収納する際に、フランジの一部(摘まみや突起)を、干渉しないように折り曲げる必要があり、中容器を容器本体に収納しにくくなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6655750
【文献】特許第6666486
【文献】特許第6300273
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、中容器を容器本体から容易に安定して取り出すことができると共に、中容器を容器本体に容易に収納もできる包装用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、容器本体と、当該容器本体に収納する中容器とを備えた包装用容器であって、前記中容器は、中容器フランジ部を備え、前記中容器フランジ部が前記容器本体の容器本体フランジ部に載置されて、前記容器本体に収納されており、前記容器本体フランジ部には、前記中容器フランジ部よりも低い位置に凹部が形成され、前記中容器フランジ部と前記凹部の間には空間が設けられていることを特徴とする。
【0006】
上記特徴によれば、例えば、指を中容器フランジ部と凹部の間の空間まで入れて、指の先端を中容器フランジ部に引っ掛けて上方へ持ち上げれば、容器本体から中容器を簡単に取り出すことができる。そして、中容器の中容器フランジ部が容器本体の容器本体フランジ部上に載置されて収容されているだけなので、中容器の取り出しが安定して容易に行える。同様に、中容器を容器本体に収容する際は、中容器の中容器フランジ部を容器本体の容器本体フランジ部上に載置させるだけで、中容器を容器本体に容易に収容できる。
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項2に係る包装用容器は、前記中容器フランジ部と前記凹部の間には空間が設けられ、
前記空間は、前記容器本体フランジ部の外縁の下方へ窪ませた溝から指を水平方向へ挿入できるように、前記溝の外側と水平方向へ直線状に連通している、ことを特徴とする。
【0008】
上記特徴によれば、「指先を差し込みやすく、中容器を取り出しやすい」という効果を奏している。
【0009】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項3に係る包装用容器は、前記容器本体フランジ部の外縁側には、上方へ隆起する外壁部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記特徴によれば、中容器の中容器フランジ部が容器本体フランジ部から外れることがなく、中容器は容器本体内に更に安定して収納される。
【0011】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項4に係る包装用容器は、前記外壁部は、内側へ向けて傾斜する傾斜面を備えることを特徴とする。
【0012】
上記特徴によれば、中容器を容器本体内に収容する際に、中容器フランジ部が傾斜面に沿って容器本体フランジ部へ案内されるので、中容器を容器本体に収容し易くなっている。
【0013】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、前記中容器は、前記中容器フランジ部よりも外側に延出し、前記容器本体の収納部に収容可能な摘まみ部を備えており、当該摘まみ部は前記凹部に位置し、前記摘まみ部と前記凹部との間には空間が設けられていることを特徴とする。
【0014】
上記特徴によれば、摘まみ部が、容器本体の収納部に収容されているので、収容された中容器が容器本体内で回転することを防止できる。また、摘まみ部と凹部との間の空間を利用して、指を摘まみ部にも引っ掛けることができるため、中容器を取り出す際は、中容器の摘まみ部も持ち上げることができ、中容器の取り出しがより一層容易となる。
【0015】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項5に係る包装用容器は、前記凹部の両側には、前記中容器の摘まみ部が当接可能な当接壁が設けられていることを特徴とする。
【0016】
上記特徴によれば、摘まみ部は当接壁に当接可能なので、収容された中容器が容器本体内で回転することをより確実に防止できる。
【0017】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項6に係る包装用容器は、前記中容器は、中容器本体と中蓋とを備えることを特徴とする。
【0018】
上記特徴によれば、中容器は、中容器本体と中蓋とを備えているので、素早く、スープや具材等の食材をきれいに取り出して、簡単に調理して食品を食すことができる。
【0019】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項7に係る包装用容器は、前記中容器の中容器本体、及び/又は、中蓋は、仕切りを備えていることを特徴とする。
【0020】
上記特徴によれば、仕切りによって仕切られた各空間に薬味や具材やスープ等の具材を個別に収容できる。
【発明の効果】
【0021】
上述したように、本願発明の包装用容器は、中容器を容器本体から容易に安定して取り出すことができると共に、中容器を容器本体に容易に収納もできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)は本願発明の包装用容器の蓋体の平面図、(b)は蓋体の側面図、(c)はA-A端面図である。
【
図2】(a)は本願発明の包装用容器の中蓋の平面図、(b)は中蓋の側面図、(c)はB-B端面図である。
【
図3】(a)は本願発明の包装用容器の中容器本体の平面図、(b)は中容器本体の側面図、(c)はC-C端面図である。
【
図4】(a)は本願発明の包装用容器の容器本体の平面図、(b)は容器本体の側面図、(c)はD-D端面図である。
【
図5】(a)は本願発明の包装用容器の容器本体の凹部周辺の拡大平面図、(b)はE-E断面図、(c)はF-F端面図である。
【
図6】(a)は本願発明の包装用容器の容器本体の凹部周辺の拡大斜視図、(b)は容器本体の凹部周辺の内側から見た側面図である。
【
図7】本願発明の包装用容器を分解して示した側面図である。
【
図8】(a)は、食品を収容して密閉された状態の本願発明の包装用容器の平面図、(b)は包装用容器の側面図である。
【
図9】(a)は本願発明の包装用容器から蓋体を取り外した状態の平面図、(b)は当該状態の摘まみ部付近を拡大した平面図、(c)はG-G端面図(なお、外壁部周辺のみ断面図として示している)、(d)はH-H端面図である。
【
図10】(a)は、容器本体に収容された中容器の平面図、(b)は、I-I端面図である。
【符号の説明】
【0023】
200 中容器
440 中容器フランジ部
500 容器本体
530 容器本体フランジ部
531 凹部
X 空間
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、包装用容器の容器本体の開口面を上にして水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことである。
【0025】
まず、
図1には、本願発明の包装用容器600の蓋体100を示す。なお、
図1(a)は蓋体100の平面図、
図1(b)は蓋体100の側面図、
図1(c)はA-A端面図である。
【0026】
図1に示すように、蓋体100は下方に開口した浅皿型で、平面視略円形形状をしており、平坦な天板110と、当該天板110の縁部111から下方へ向けて連続する側壁120と、当該側壁120の下端に設けられた蓋体側嵌合部130とを備える。この蓋体側嵌合部130は、内側へ向けて凸条になっており、いわゆるアンダーカット部となっている。また、天板110の縁部111には、天板110から上方に突出する突部112が形成されており、この突部112の内側に後述する容器本体の底壁が配置できるようになっている。そのため、包装用容器600を段積みした場合は、上に段積みされた包装用容器600の容器本体の底壁が、下段の包装用容器600の蓋体100の突部112に囲まれるので、上段の包装用容器600がズレて落ちることがなく、安定して段積みすることが出来る。そして、側壁120及び蓋体側嵌合部130は、蓋体100の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。
【0027】
次に、
図2に本願発明の包装用容器600の中容器200を構成する中蓋300を示す。なお、
図2(a)は中蓋300の平面図、
図2(b)は中蓋300の側面図、
図2(c)はB-B端面図である。
【0028】
図2に示すように、中蓋300は上方に開口した浅皿型で、平面視略円形形状をしており、平坦な底壁310と、当該底壁310の縁部から上方へ立ち上がるように連続する中蓋嵌合部320と、底壁310上に食材等を個別に収容するための仕切り311と、食材等を深く収容可能な凹部312が設けられている。また、中蓋嵌合部320は、外側に向けて凸条になっており、いわゆるアンダーカット部となっている。さらに、中蓋嵌合部320の上端には、外側へ向けて略水平方向へ延出する平坦な中蓋フランジ部330が設けられている。そして、中蓋嵌合部320、及び中蓋フランジ部330は、中蓋300の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。
【0029】
また、
図2に示すように、中蓋300の両側には、中蓋フランジ部330から外側へ向けて延出する摘まみ部340が設けられている。この摘まみ部340は、中蓋フランジ部330から直線状に略水平方向へ延出しており、中蓋フランジ部330と摘まみ部340は面一となっている。なお、摘まみ部340は、中蓋300の両側に2つ設けられているが、これに限定されず、摘まみ部340を設けなくてもよい。若しくは、中蓋300の片側に設ける、又は、中蓋300の周方向に均等に複数設けるなど、中蓋フランジ部330の任意の場所に任意の数の摘まみ部340を設けてもよい。
【0030】
次に、
図3に本願発明の包装用容器600の中容器200を構成する中容器本体400を示す。なお、
図3(a)は中容器本体400の平面図、
図3(b)は中容器本体400の側面図、
図3(c)はC-C端面図である。
【0031】
図3に示すように、中容器本体400は上方に開口した深皿型で、平面視略円形形状をしており、平坦な底壁410と、当該底壁410の縁部から上方へ立ち上がるように連続する側壁420と、側壁420の上端に中容器嵌合部430とを備える。この中容器嵌合部430は、外側に向けて凸条になっており、いわゆるアンダーカット部となっている。さらに、中容器嵌合部430の上端には、外側へ向けて略水平方向へ延出する平坦な中容器フランジ部440が設けられている。そして、側壁420、中容器嵌合部430及び中容器フランジ部440は、中容器本体400の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。
【0032】
次に、
図4、
図5、及び
図6に本願発明の包装用容器600の容器本体500を示す。なお、
図4(a)は容器本体500の平面図、
図4(b)は容器本体500の側面図、
図4(c)はD-D端面図、
図5(a)は容器本体500の凹部周辺の拡大平面図、
図5(b)はE-E断面図、
図5(c)はF-F端面図、
図6(a)は容器本体500の凹部周辺の拡大斜視図、
図6(b)は容器本体500の凹部周辺の内側から見た側面図である。
【0033】
図4に示すように、容器本体500は上方に開口した深皿型で、平面視略円形形状をしており、平坦な底壁510と、当該底壁510の縁部から上方へ立ち上がるように連続する側壁520と、側壁520の上端に略水平方向へ延出する平坦な容器本体フランジ部530とを備える。さらに、容器本体フランジ部530の外縁側には、上方へ隆起した外壁部540が設けられ、外壁部540の外側から下方へ垂れ下がるスカート部550には、外側に向けて凸条の容器本体側嵌合部551が設けられている。この容器本体側嵌合部551は、蓋体100の蓋体側嵌合部130が外嵌合できるように構成されている。そして、側壁520、容器本体フランジ部530及び外壁部540は、容器本体500の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。
【0034】
また、容器本体500の両側の容器本体フランジ部530には、凹部531が形成されている。この凹部531は、
図5及び
図6に示すように、容器本体フランジ部530よりも低い位置に設けられ、容器本体フランジ部530を一段低く窪ませた形状をしている。さらに、凹部531の下方の側壁520には、下方へ略半球状にくり抜いた形状の窪み部521が設けられており、凹部531と窪み部521は上下方向に連続して配置されている。また、凹部531の外側に位置する外壁部540には、下方へ円弧状に窪ませた溝541が設けられており、凹部531と溝541は連続している。また、溝541は、容器本体フランジ部530よりも低くなっている。そのため、後述するように、側方から溝541に差し込んだ指先を凹部531まで到達させることが出来る。
【0035】
また、平坦な容器本体フランジ部530の外縁側の外壁部540には、容器本体フランジ部530の内側に向けて傾斜する傾斜面542が形成されている。さらに、凹部531が位置する外壁部540は、後述する摘まみ部を収容できるように平面視略コ字状に窪んだ収納部544を備える。さらに、凹部531の両側の外壁部540には、凹部531から立ち上がり、内側へ向けて突出した当接壁543が設けられている。
【0036】
なお、本実施形態に係る蓋体100、中蓋300、中容器本体400、及び容器本体500は、厚さが約0.1mmから1.0mm程度のシート状の素材を用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させたもの、紙や金属などを用いることが出来る。また、蓋体100、中蓋300、中容器本体400、及び容器本体500は、平面視略円形であるが、この他にも平面視多角形など、適宜形状を変更することできる。
【0037】
では次に、
図7及び
図8を参照して、本願発明の包装用容器600への食品の収容方法について説明する。なお、
図7は、本願発明の包装用容器600を分解して示した側面図、
図8(a)は、食品を収容して密閉された状態の包装用容器600の平面図、
図8(b)は包装用容器600の側面図である。
【0038】
例えば、包装用容器600につけ麺等の食材を収容する場合は、
図7に示すように、まず、容器本体500に麺等の食材を収容する。次に、中容器本体400内にスープ等の液体を充填して収容し、中容器本体400の上から中蓋300を被せて、中蓋300の中蓋嵌合部320を中容器本体400の中容器嵌合部430に内嵌合させる。これにより、中蓋300と中容器本体400とからなる中容器200は、スープがこぼれないように密封された状態となる。次に、中容器200の中容器本体400の中容器フランジ部440を、容器本体500の容器本体フランジ部530上に載置させて、中容器200を容器本体500内に収納する。なお、中容器200は、中容器フランジ部440が容器本体500の容器本体フランジ部530上に載置されているだけで、中容器200は容器本体500の一部に嵌合等により固定されていない。次に、中蓋300の底壁310の仕切り311によって仕切られた各空間に薬味や具材等を個別に収容し、中蓋300の上から蓋体100を被せる。蓋体100の蓋体側嵌合部130は容器本体500の容器本体側嵌合部551に外嵌合し、蓋体100は、中容器200を収納した容器本体500を密封する。すると、
図8に示すように、食品が収容された状態の包装用容器600が完成する。
【0039】
食品が収容された状態の包装用容器600は、店頭等に陳列されて販売されている。そして、包装用容器600を購入した消費者は食品を食す際、まず、
図9に示すように、包装用容器600から蓋体100を取り外す。なお、
図9(a)は包装用容器600から蓋体100を取り外した状態の平面図、
図9(b)は当該状態の摘まみ部340付近を拡大した平面図、
図9(c)はG-G端面図(なお、外壁部540周辺のみ断面図として示している)、
図9(d)はH-H端面図である。
【0040】
図9(a)及び(b)に示すように、中容器200が容器本体500に収容されている状態では、中容器200の摘まみ部340が凹部531に重なるようになっている。さらに、摘まみ部340が、容器本体500の収納部544に収容されているので、収容された中容器200が容器本体500内で回転することを防止できる。また、凹部531の両側の当接壁543の間には摘まみ部340が位置しており、この摘まみ部340は当接壁543に当接可能なので、収容された中容器200が容器本体500内で回転することをより確実に防止できる。
【0041】
また、中容器200の中容器フランジ部440は容器本体500の容器本体フランジ部530に載置しているので、中容器200は容器本体500内に安定して収納されている。さらに、容器本体フランジ部530の外縁側には、容器本体フランジ部530よりも上方へ隆起した外壁部540が設けられているので、中容器200の中容器フランジ部440が容器本体フランジ部530から外れることがなく、中容器200は容器本体500内に更に安定して収納されている。また、外壁部540には、内側へ向けて傾斜する傾斜面542が設けられているので、中容器200を容器本体500内に収容する際に、中容器フランジ部440が傾斜面542に沿って容器本体フランジ部530へ案内されるので、中容器200を容器本体500に収容し易くなっている。
【0042】
また、
図9(c)に示すように、容器本体フランジ部530には、容器本体フランジ部530よりも低い位置に凹部531が形成されているので、容器本体フランジ部530上に載置された中容器フランジ部440と凹部531の間には、空間Xが設けられる。同様に、中容器200の摘まみ部340は、中容器フランジ部440よりも外側に延出しており、摘まみ部340は凹部531上に位置している。そのため、摘まみ部340と凹部531の間にも、空間Xが存在することになる。また、外壁部540の溝541と空間Xは連通し、空間Xと窪み部521も連通している。
【0043】
なお、中容器200を容器本体500に収納した際に、中容器200の摘まみ部340が、収納部544に収容されず、外壁部540に誤って載ってしまった場合であっても、摘まみ部340が収納部544に収容されるまで、中容器200を容器本体500内で回転させればよい。その際に、中容器200の回転に伴って、摘まみ部340は、外壁部540の傾斜面542上をなめらかに滑り、当接壁543を乗り越えて、窪んだ収納部544へ落ちるように収容される。そのため、中容器200を容器本体500に収納する作業者は、摘まみ部340が収納部544に収容されたことを、目視だけでなく、感覚的にも認識でき、作業性が良いのである。
【0044】
次に、包装用容器600から蓋体100を取り外した後は、中容器200に収容されているスープ等の液体を容器本体500に収容されている麺類等の食材に注ぐために、
図10に示すように、容器本体500から中容器200を取り出す。なお、
図10(a)は、容器本体500に収容された中容器200の平面図、
図10(b)は、I-I端面図である。
【0045】
中容器200を取り出す際は、中容器200の両側の外壁部540の溝541から、例えば、指F1を差し込む。そして、指F1を中容器フランジ部440と凹部531の間の空間Xまで入れて、指F1の先端を中容器フランジ部440に引っ掛ける。そして、両側の指F1によって中容器フランジ部440を上方へ持ち上げれば、容器本体500から中容器200を簡単に取り出すことができる。そして、中容器200は、容器本体500に嵌合等によって固定されておらず、中容器200の中容器フランジ部440が容器本体500の容器本体フランジ部530上に載置されて収容されているだけなので、中容器200の取り出しが安定して容易に行える。同様に、中容器200を容器本体500に収容する際は、中容器200の中容器フランジ部440を容器本体500の容器本体フランジ部530上に載置させるだけで、中容器200を容器本体500に容易に収容できる。さらに、中容器フランジ部440と凹部531の間の空間Xから、容器本体500内の食材から出た蒸気等を逃すこともでき、また、凹部531は、後述するように、容器本体500内の食品を食する際の飲み口として利用もできる。
【0046】
また、摘まみ部340と凹部531との間にも空間Xがあるため、指F1を摘まみ部340にも引っ掛けることができる。そのため、中容器200を取り出す際は、中容器200の摘まみ部340も持ち上げることができ、中容器200の取り出しがより一層容易となる。また、摘まみ部340は、外側に延出したそのままの状態で、容器本体500の収納部544に収容されている。そのため、中容器200を容器本体500に収容する際に、摘まみ部340が干渉することがなく、また、摘まみ部340を折り畳む等の特段の作業も必要なく、中容器200を容易に収容することが出来る。
【0047】
また、指F1を差し込む入り口部分となる容器本体500の溝541は、中容器200の中容器フランジ部440よりも低い位置にある。そのため、てこの原理を利用して、溝541を起点に指F1を上方へ折り曲げれば、指F1の先端で中容器フランジ部440を容易に持ち上げて、中容器200を簡単に取り出すことができる。また、凹部531の下側には下方へ窪んだ窪み部521が設けられているため、指F1を中容器フランジ部440の下側へ深く潜り込ませることができることから、指F1で中容器200をより簡単に取り出すことが出来る。
【0048】
そして、中容器200を容器本体500から取り出した後は、中容器200の中蓋300を中容器本体400から取り外し、中容器本体400に収容されているスープ等の液体を、容器本体500内の麺類等の食材に注ぐ。さらに、中蓋300に収納されている薬味や具材等の食材を、容器本体500内の麺類等の食材の上に移動させれば、食品の調理が完了し、消費者は食品を食すことが出来る。このように、中容器200は、中容器本体400と中蓋300とを備えているので、素早く、スープや具材等の食材をきれいに取り出して、簡単に調理して食品を食すことができる。
【0049】
なお、中容器200は、中容器本体400と、中容器本体400に取り付けられる中蓋300とを備えているが、これに限定されず、中容器200は中蓋300を備えず、中蓋300の代わりに中容器本体400の開口面をフィルム等でシールして密閉してもよい。また、その場合は、摘まみ部340を中容器本体400の中容器フランジ部440に設けてもよい。また、包装用容器600は、蓋体100を備えているが、これに限定されず、包装用容器600は蓋体100を備えず、蓋体100の代わりに容器本体500の開口面をフィルム等でシールして密閉してもよい。また、中蓋300は、食材等を個別に収容するための仕切り311を備えているが、これに限定されず、仕切り311を備えなくてもよい。さらに、中容器本体400は、仕切りを備えていないが、これに限定されず、複数のスープや具材等を個別に収容するための仕切りを備えてもよい。また、中蓋300には薬味や具材を、中容器本体400にはスープを、容器本体500内の麺類等の食材を収納しているが、これに限定されず、各容器には任意の食材を収容してもよい。
【0050】
なお、本願発明の包装用容器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。