(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240718BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/33
(21)【出願番号】P 2020144128
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】浅田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517298(JP,A)
【文献】特表2005-509269(JP,A)
【文献】特開平05-318175(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110783254(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0374738(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0148415(US,A1)
【文献】特開2019-201206(JP,A)
【文献】特開2018-060993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0089937(US,A1)
【文献】特開2014-168791(JP,A)
【文献】特開2013-052439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
G09F 9/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各画素に、LEDチップを駆動する駆動回路および当該駆動回路に接続された接続電極を有する第1基板を準備し、
前記第1基板の上に、前記接続電極を覆う水溶性粘着層を配置し、
前記水溶性粘着層に対し、各接続電極と各LEDチップとが向かい合うように複数のLEDチップを有する第2基板を接着し、
加熱処理により、前記各接続電極と前記各LEDチップとを接合し、
水洗処理により、前記水溶性粘着層を除去することを含
み、
前記接続電極は、各画素に少なくとも2つ配置され、
前記駆動回路を形成する際に、平坦化層の一部を除去することにより、少なくとも2つの前記接続電極の間に開口部を形成することを含む、
表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記各接続電極と前記各LEDチップとを接合することは、前記接続電極と前記LEDチップの端子電極との間に、両者の構成材料を含む合金層を形成することを含む、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記加熱処理は、レーザー光の照射により行われる、請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記レーザー光は、赤外光または近赤外光である、請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記加熱処理は、リフロー処理である、請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記加熱処理と前記水洗処理との間に、前記第2基板と前記複数のLEDチップとを分離することを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記水溶性粘着層は、フラックス作用を有する樹脂またはフラックス剤を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、表示装置の製造方法に関する。特にLED(Light Emitting Diode)チップを実装した表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の表示装置として、各画素に微小なLEDチップを実装したLEDディスプレイの開発が進められている。通常、LEDディスプレイは、画素アレイを構成する回路基板上に、複数のLEDチップを実装した構造を有している。回路基板は、各画素に対応する位置に、LEDを発光させるための駆動回路を有する。これらの駆動回路は、それぞれ各LEDチップと電気的に接続される。
【0003】
前述の駆動回路とLEDチップとは、接続電極を介して電気的に接続される。具体的には、駆動回路側に設けられた電極パッドとLEDチップ側に設けられた電極パッドとが互いに電気的に接続される。例えば、特許文献1には、LEDチップと回路基板とを接着層を用いて接合する技術が記載されている。この技術では、LEDチップと回路基板とが接着層により接着されている。そのため、LEDチップ側の電極パッドには、導電性の突起部が設けられている。この突起部が、接着層を貫通して回路基板側の電極パッドに接触することにより、LEDチップ側の電極パッドと回路基板側の電極パッドとが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0031974号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術によって製造された最終製品は、回路基板とLEDチップとの間に接着層が残存する。接着層は、回路基板の全面に設けられているため、回路を構成する半導体素子が接着層を構成する有機物等に含まれるアルカリ成分により汚染され、動作不良を起こすおそれがある。
【0006】
本発明の課題の一つは、簡易な方法により、接合前のLEDチップの位置ずれを防ぎつつLEDチップを回路基板に接合することにある。また、本発明の課題の他の一つは、実装前のLEDチップの位置ずれ防止に用いた接着層を簡易な方法で除去することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態における表示装置の製造方法は、各画素に、LEDチップを駆動する駆動回路および当該駆動回路に接続された接続電極を有する第1基板を準備し、前記第1基板の上に、前記接続電極を覆う水溶性粘着層を配置し、前記水溶性粘着層に対し、各接続電極と各LEDチップとが向かい合うように複数のLEDチップを有する第2基板を接着し、加熱処理により、前記各接続電極と前記各LEDチップとを接合し、水洗処理により、前記水溶性粘着層を除去することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法を示すフローチャート図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態における表示装置の概略の構成を示す平面図である。
【
図12】本発明の第1実施形態に係る表示装置の回路構成を示すブロック図である。
【
図13】本発明の第1実施形態に係る表示装置の画素回路の構成を示す回路図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に係る表示装置の画素の構成を示す断面図である。
【
図15】本発明の第2実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図16】本発明の第2実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図17】本発明の第3実施形態に係る表示装置の画素の構成を示す断面図である。
【
図18】本発明の第4実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図19】本発明の第4実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【
図20】本発明の第4実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができる。本発明は、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。しかしながら、図面は、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0010】
本発明の実施形態を説明する際、基板からLEDチップに向かう方向を「上」とし、その逆の方向を「下」とする。ただし、「上に」または「下に」という表現は、単に、各要素の上限関係を説明しているにすぎない。例えば、基板の上にLEDチップが配置されるという表現は、基板とLEDチップとの間に他の部材が介在する場合も含む。さらに、「上に」または「下に」という表現は、平面視において各要素が重畳する場合だけでなく、重畳しない場合をも含む。
【0011】
本発明の実施形態を説明する際、既に説明した要素と同様の機能を備えた要素については、同一の符号または同一の符号にアルファベット等の記号を付して、説明を省略することがある。また、ある要素について、RGBの各色に区別して説明する必要がある場合は、その要素を示す符号の後に、R、GまたはBの記号を付して区別する。ただし、その要素について、RGBの各色に区別して説明する必要がない場合は、その要素を示す符号のみを用いて説明する。
【0012】
<第1実施形態>
[表示装置の製造方法]
図1は、本発明の一実施形態における表示装置10の製造方法を示すフローチャート図である。
図2~
図10は、本発明の一実施形態における表示装置10の製造方法を示す断面図である。以下、
図1を用いて表示装置10の製造方法について説明する。その際、
図2~
図10を用いて各製造プロセスにおける断面構造について説明する。
【0013】
まず、
図1のステップS11において、各画素にLEDチップを駆動する駆動回路102および当該駆動回路102に接続された接続電極103を有する回路基板100を準備する。回路基板100は、複数の画素に相当する領域を有する。
図2に示すように、回路基板100は、絶縁表面を有する支持基板101の上に、各画素に対応してLEDチップを駆動する駆動回路102を有する。支持基板101としては、例えば、ガラス基板、樹脂基板、セラミックス基板または金属基板を用いることができる。各駆動回路102は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)で構成される。各接続電極103は、各画素に配置され、それぞれ駆動回路102に接続される。回路基板100の詳細な構造については、後述する。
【0014】
本実施形態では、支持基板101の上に、薄膜形成技術を用いて各駆動回路102および各接続電極103を形成する例を示すが、この例に限られるものではない。例えば、第三者から既製品として支持基板101の上に駆動回路102が形成された基板(いわゆるアクティブマトリクス基板)を取得してもよい。この場合、取得した基板上に、接続電極103を形成すればよい。また、本実施形態では、例えばフリップチップ型のLEDチップ202(
図14参照)を実装する回路基板100について説明する。ただし、LEDチップ202は、回路基板100に対向する面に2つの電極を有するフリップチップ型の例に限られない。例えばLEDチップ202は、回路基板100に近い側にアノード電極(もしくはカソード電極)を有し、回路基板100から遠い側にカソード電極(もしくはアノード電極)を有する構造であってもよい。すなわち、LEDチップ202は、アノード電極とカソード電極との発光層を挟んだ構造を有するフェイスアップ型のLEDチップであってもよい。
【0015】
本実施形態では、支持基板101の上に9つの接続電極103を配置した例を示しているが、本実施形態ではフリップチップ型のLEDチップ202を実装するため、実際には、各画素に少なくとも2つの接続電極103が形成される。フリップチップ型のLEDチップは、N型半導体に接続される端子電極およびP型半導体に接続される端子電極を有する。そのため、本実施形態では、各画素に1つのLEDチップを配置するため、各画素に対して、少なくとも2つの接続電極103を配置する。ただし、LEDチップ202として上述のフェイスアップ型のLEDチップを用いた場合には、支持基板101上に、各画素に対して1つの接続電極103が形成されていればよい。
【0016】
接続電極103は、例えば、導電性を有する金属材料で構成される。本実施形態では、金属材料として、錫(Sn)を用いる。ただし、この例に限らず、後述するLEDチップ側の端子電極との間で共晶合金を形成し得る他の金属材料を用いることができる。接続電極103の厚さは、0.2μm以上5μm以下(好ましくは、1μm以上3μm以下)の範囲内で決めればよい。
【0017】
次に、
図1のステップS12において、
図3に示すように、回路基板100の上に接続電極103を覆う水溶性粘着層104を配置する。水溶性粘着層104は、粘着性を有する材料で構成される水溶性の層である。「粘着性を有する」とは、物質の接着および剥離が容易である特性を有することを意味する。すなわち、水溶性粘着層104に対して他の物質を接触させた場合、弱い力が加わっても他の物質を水溶性粘着層104の上に固定しておくことができる。しかしながら、さらに大きな力が加わると、他の物質を容易に水溶性粘着層104から剥離することができる。
【0018】
本実施形態では、水溶性粘着層104として、フラックス作用を有する樹脂またはフラックス剤を含む、シート状(もしくはフィルム状)の部材を用いる。本実施形態では、シート状の部材を用いる例を示したが、フラックス作用を有する樹脂またはフラックス剤を含む、液状(もしくはペースト状)の材料を塗布して水溶性粘着層104を形成してもよい。
【0019】
フラックス作用を有する水溶性の部材としては、例えば、国際公開第2020/116403号に記載された部材を用いることができる。また、水溶性粘着層104としては、フラックス作用を有する部材に限らず、例えば特開平5-209160号公報に記載された組成物で構成される部材を用いてもよい。さらに、水溶性粘着層104としては、例えば、重合禁止剤を含む水溶性の樹脂層を用いてもよい。樹脂材料に重合禁止剤を混合すると、樹脂を硬化させた場合に、重合が不十分になる。重合が不十分な樹脂層は、表面に粘着性を有するため、本実施形態の水溶性粘着層104として用いることができる。
【0020】
水溶性粘着層104としてフラックス作用を有する水溶性の部材を用いる場合、フラックス成分が接続電極103の表面に形成された酸化膜を除去する作用を奏する。そのため、接続電極103の表面を活性化させることが可能であり、後述する端子電極203との安定した接合を得ることができる。
【0021】
水溶性粘着層104の厚さは、例えば、5μm以下(好ましくは、1μm以上3μm以下)の範囲内で決めればよい。後述するように、水溶性粘着層104は、LEDチップを仮止めするための層であり、水洗処理により消失する。したがって、水洗処理後に残る水溶性粘着層104の成分を減らすためには、5μmを超えないようにすることが望ましい。また、水溶性粘着層104は、透明であることが好ましい。後述する接続電極103とLEDチップ202との位置合わせの際、回路基板100に配置された位置合わせ用のマーカーを視認しやすいからである。
【0022】
なお、
図3では、水溶性粘着層104が複数の接続電極103の上面のみに接する態様を示しているが、このような態様は、一例にすぎない。例えば、各接続電極103の間隔が広い場合、又は、水溶性粘着層104の膜厚が薄い場合、シート状の水溶性粘着層104は、各接続電極103の間において支持基板101側に撓んだり、支持基板101(もしくは駆動回路102)に接したりする場合もあり得る。さらに、複数の接続電極103の上に水溶性粘着層104を配置する際に、水溶性粘着層104に圧力を加えることにより、各接続電極103の形状に沿うように水溶性粘着層104を変形させてもよい。
【0023】
次に、
図1のステップS13に先立って、複数のLEDチップ202Rが設けられたキャリア基板191(
図6参照)を準備する。
【0024】
まず、
図4に示すように、キャリア基板181の上に、赤色に発光する複数のLEDチップ202Rを有する素子基板200を配置する。本実施形態では、キャリア基板181として、シリコンまたはアクリルで構成されたシート部材を用いる。キャリア基板181は、粘着性を有する。キャリア基板181の粘着力は、レーザー光の照射等により調整することが可能である。このようなキャリア基板181としては、公知のキャリア基板を用いることができる。
【0025】
図4に示す素子基板200は、半導体基板201に、赤色に発光する複数のLEDチップ202Rが設けられた基板である。本実施形態では、半導体基板201として、サファイア基板を用いるが、この例に限られるものではない。LEDチップ202Rは、サファイア基板上に成長させた窒化ガリウムを含む半導体材料で構成されている。半導体基板201を構成する材料とLEDチップ202Rを構成する材料との組み合わせは、発光色に応じて適宜決定すればよい。
【0026】
各LEDチップ202Rは、端子電極203Rを含む。端子電極203Rは、LEDチップ202Rと、前述の複数の接続電極103とを電気的に接続するための端子として機能する。本実施形態では、フリップチップ型のLEDを例示するため、実際には、1つのLEDチップ202Rに対して2つの端子電極203Rが設けられている。本実施形態では、
図4に示すように、各端子電極203Rがキャリア基板181の表面に接着される。
【0027】
キャリア基板181に対して素子基板200を接着した後、図示しないレーザー光の照射により半導体基板201と各LEDチップ202Rとを分離する。このプロセスは、レーザーリフトオフプロセスと呼ばれる。具体的には、レーザー光の照射により、半導体基板201と各LEDチップ202Rとの境界部分を変性させ、半導体基板201から各LEDチップ202Rを分離する。この場合、レーザー光としては、半導体基板201に吸収されず、かつ、LEDチップ202Rに吸収されるレーザー光を選定する。レーザー光としては、例えば紫外光を用いることができるが、半導体基板201及びLEDチップ202Rを構成する材料に応じて適切な波長のレーザー光を選択すればよい。
【0028】
上記プロセスにより半導体基板201と各LEDチップ202Rとを分離したら、次に、
図5に示すように、キャリア基板191上に、複数のLEDチップ202Rを有するキャリア基板181を接着する。本実施形態では、キャリア基板191として、シリコン材料で構成されたシート部材を用いる。キャリア基板191に対して各LEDチップ202Rを接着する前に、予めキャリア基板181の粘着力をレーザー光の照射等により弱めておくことが好ましい。キャリア基板181の粘着力を弱めておくことにより、各LEDチップ202Rからキャリア基板181を分離させやすくすることができる。
【0029】
キャリア基板191に各LEDチップ202Rを接着した後、キャリア基板181を剥がすことにより、キャリア基板181を除去する。キャリア基板181を除去することにより、複数のLEDチップ202Rが設けられたキャリア基板191を準備することができる。
【0030】
次に、
図1のステップS13において、水溶性粘着層104に対し、各接続電極103と各LEDチップ202Rとが向かい合うように複数のLEDチップ202Rを有するキャリア基板191を接着する。具体的には、
図6に示すように、水溶性粘着層104を介して各接続電極103と各端子電極203Rとが向かい合うように、水溶性粘着層104に対して各LEDチップ202Rが接着される。これにより、接続電極103の上に各LEDチップ202Rを仮止めすることができる。
【0031】
本実施形態では、説明を簡略にするため、接続電極103および端子電極203Rを1つずつしか図示していないが、実際には、1つのLEDチップ202Rに対して、2つの接続電極103および端子電極203Rが設けられている。ただし、LEDチップ202Rとして上述のフェイスアップ型のLEDチップを用いた場合、各画素に対して1つの接続電極103が設けられた構造であってもよい。
【0032】
表示装置が高精細になるほど、回路基板100に設けられる画素数は増え、各画素のサイズは小さくなる。各画素のサイズが小さくなると、各画素に配置するLEDチップ202Rのサイズも小さくなるため、LEDチップ202Rの搬送方法も難しくなる。したがって、接続電極103の上に直接的にLEDチップ202Rを載せた場合、わずかな振動でLEDチップ202Rの位置と接続電極103の位置とが合わなくなってしまうおそれがある。
【0033】
本実施形態では、そのような不具合を解消するために、接続電極103の上に水溶性粘着層104を設けている。すなわち、
図6に示す例では、LEDチップ202Rの端子電極203Rを水溶性粘着層104に接着することにより、振動によるLEDチップ202Rの位置ずれを防ぐことができる。この場合、強固に接着する必要はなく、仮止めが可能な程度の接着力を確保できればよい。
【0034】
次に、
図1のステップS14において、
図7に示すように、レーザー光40を照射して加熱処理を行うことにより、接続電極103とLEDチップ202Rとを接合する。このプロセスは、レーザー光40の照射により、接続電極103と端子電極203Rとを溶融接合させるプロセスである。
【0035】
レーザー光40としては、キャリア基板191及びLEDチップ202Rに吸収されずに、接続電極103または端子電極203Rで吸収されるレーザー光を選定する。本実施形態では、例えば、レーザー光40として、赤外光または近赤外光を用いることができる。レーザー光40の光源としては、YAGレーザーまたはYVO4レーザーなどの固体レーザーを用いることができる。ただし、レーザー光40は、LEDチップ202Rを構成する材料等に応じて、適切な波長のレーザー光を選択することが可能である。例えば、赤外光よりも短波長のレーザー光を吸収する半導体材料を用いる場合には、グリーンレーザー(緑色光)を用いることも可能である。
【0036】
レーザー光40の照射により、接続電極103と端子電極203Rとの間に共晶合金で構成される合金層105が形成される。前述のとおり、本実施形態において、接続電極103は、錫(Sn)で構成される。他方、端子電極203Rは、金(Au)で構成される。すなわち、本実施形態では、合金層105として、Sn-Au共晶合金で構成された層が形成される。ただし、接続電極103および端子電極203Rとしては、互いに共晶合金を形成し得る材料であれば、他の金属材料を用いてもよい。例えば、接続電極103及び端子電極203Rが、共に錫(Sn)で構成されていてもよい。
【0037】
上述のレーザー光40の照射により、接続電極103と端子電極203Rとの間に存在していた水溶性粘着層104は消失する。このとき、水溶性粘着層104の成分は、炭素原子として共晶合金の中に分散する場合がある。すなわち、上述の合金層105の内部、合金層105の周囲、または、接続電極103の周囲には、接続電極103および端子電極203Rよりも高い濃度で炭素が存在する場合がある。例えば、接続電極103の面積が、端子電極203Rの面積よりも大きい場合、平面視において合金層105が形成された周囲の領域は、接続電極103の表面が露出する。その場合、露出した接続電極103の表面には、水溶性粘着層104の消失によって生じた炭素が端子電極203Rよりも高い濃度で存在する場合がある。この場合、露出した接続電極103の表面の炭素濃度は、接続電極103の裏面(支持基板101側の面)における炭素濃度よりも高い。
【0038】
接続電極103と端子電極203Rとの間に共晶合金で構成された合金層105が形成されることにより、接続電極103と端子電極203Rとが合金層105を介して接合される。その結果、接続電極103に対して、強固にLEDチップ202Rを実装することができる。各接続電極103と各LEDチップ202Rの端子電極203Rとを接合したら、キャリア基板191を除去して
図8に示す状態を得る。以上のプロセスを経て、
図8に示すように、回路基板100上に、赤色に発光するLEDチップ202Rを実装することができる。
【0039】
図8に示す状態を得た後、
図1に示したステップS13およびステップS14を繰り返して、順次、緑色に発光するLEDチップ202Gおよび青色に発光するLEDチップ202Bを回路基板100上に実装する。これらのプロセスを経て、
図9に示す状態を得ることができる。
図9に示す状態では、回路基板100上に、赤色に発光するLEDチップ202R、緑色に発光するLEDチップ202G、及び青色に発光するLEDチップ202Bが実装されている。
【0040】
次に、
図1のステップS15において、水洗処理を行うことにより、水溶性粘着層104を除去する。このプロセスにより、各LEDチップ202の間に残っている水溶性粘着層104が一括して除去される。したがって、
図10に示すように、各LEDチップ202を実装した表示装置10には、水溶性粘着層104が残らない。すなわち、本実施形態によれば、簡易な方法により、接合前のLEDチップの位置ずれを防ぎことができる。また、本実施形態によれば、位置ずれの防止に用いた接着層を簡易な方法で除去することができ、回路を構成する半導体素子がアルカリ成分等により汚染されることを防ぐことができる。
【0041】
[表示装置の構成]
図11~
図14を用いて、本発明の一実施形態における表示装置10の構成について説明する。
【0042】
図11は、本発明の一実施形態における表示装置10の概略の構成を示す平面図である。
図11に示すように、表示装置10は、回路基板100、フレキシブルプリント回路基板160(FPC160)、およびICチップ170を有する。表示装置10は表示領域112、周辺領域114、および端子領域116に区分される。
【0043】
表示領域112は、LEDチップ202を含む複数の画素110が行方向(D1方向)および列方向(D2方向)に配置された領域である。具体的には、本実施形態では、LEDチップ202Rを含む画素110R、LEDチップ202Gを含む画素110G、およびLEDチップ202Bを含む画素110Bが配置される。表示領域112は、映像信号に応じた画像を表示する領域として機能する。
【0044】
周辺領域114は、表示領域112の周囲の領域である。周辺領域114には、各画素110に設けられた画素回路(
図14に示す画素回路120)を制御するためのドライバ回路(
図14に示すデータドライバ回路130およびゲートドライバ回路140)が設けられた領域である。
【0045】
端子領域116は、前述のドライバ回路に接続された複数の配線が集約された領域である。フレキシブルプリント回路基板160は、端子領域116において複数の配線に電気的に接続される。外部装置(図示せず)から出力された映像信号(データ信号)または制御信号は、フレキシブルプリント回路基板160に設けられた配線(図示せず)を介して、ICチップ170に入力される。ICチップ170は、映像信号に対して各種の信号処理を行ったり表示制御に必要な制御信号を生成したりする。ICチップ170から出力された映像信号および制御信号は、フレキシブルプリント回路基板160を介して、表示装置10に入力される。
【0046】
[表示装置10の回路構成]
図12は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の回路構成を示すブロック図である。
図12に示すように、表示領域112には、各画素110に対応して、画素回路120が設けられている。本実施形態では、画素110R、画素110Gおよび画素110Bに対応して、それぞれ画素回路120R、画素回路120Gおよび画素回路120Bが設けられている。すなわち、表示領域112には、複数の画素回路120が、行方向(D1方向)および列方向(D2方向)に配置されている。
【0047】
図13は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の画素回路120の構成を示す回路図である。画素回路120は、データ線121、ゲート線122、アノード電源線123およびカソード電源線124に囲まれた領域に配置される。本実施形態の画素回路120は、選択トランジスタ126、駆動トランジスタ127、保持容量128およびLED129を含む。LED129は、
図11に示したLEDチップ202に対応する。画素回路120のうち、LED129以外の回路要素は、回路基板100に設けられた駆動回路102に相当する。つまり、回路基板100に対してLEDチップ202を実装した状態で画素回路120が完成する。
【0048】
図13に示すように、選択トランジスタ126のソース電極、ゲート電極およびドレイン電極は、それぞれデータ線121、ゲート線122および駆動トランジスタ127のゲート電極に接続される。駆動トランジスタ127のソース電極、ゲート電極およびドレイン電極は、それぞれアノード電源線123、選択トランジスタ126のドレイン電極およびLED129に接続される。駆動トランジスタ127のゲート電極とドレイン電極との間には保持容量128が接続される。すなわち、保持容量128は、選択トランジスタ126のドレイン電極に接続される。LED129は、アノードおよびカソードが、それぞれ駆動トランジスタ127のドレイン電極およびカソード電源線124に接続される。
【0049】
データ線121には、LED129の発光強度を決める階調信号が供給される。ゲート線122には、階調信号を書き込む選択トランジスタ126を選択するためのゲート信号が供給される。選択トランジスタ126がON状態になると、階調信号が保持容量128に蓄積される。その後、駆動トランジスタ127がON状態になると、階調信号に応じた駆動電流が駆動トランジスタ127を流れる。駆動トランジスタ127から出力された駆動電流がLED129に入力されると、LED129が階調信号に応じた発光強度で発光する。
【0050】
再び
図12を参照すると、表示領域112に対して列方向(D2方向)に隣接する位置には、データドライバ回路130が配置される。また、表示領域112に対して行方向(D1方向)に隣接する位置には、ゲートドライバ回路140が配置される。本実施形態では、表示領域112を両側に、2つのゲートドライバ回路140を設けているが、いずれか一方のみであってもよい。
【0051】
データドライバ回路130およびゲートドライバ回路140は、いずれも周辺領域114に配置されている。ただし、データドライバ回路130を配置する領域は周辺領域114に限られない。例えば、データドライバ回路130は、フレキシブルプリント回路基板160に配置されていてもよい。
【0052】
図13に示したデータ線121は、データドライバ回路130からD2方向に延在し、各画素回路120における選択トランジスタ126のソース電極に接続される。ゲート線122は、ゲートドライバ回路140からD1方向に延在し、各画素回路120における選択トランジスタ126のゲート電極に接続される。
【0053】
端子領域116には、端子部150が配置されている。端子部150は、接続配線151を介してデータドライバ回路130と接続される。同様に、端子部150は、接続配線152を介してゲートドライバ回路140と接続される。さらに、端子部150は、フレキシブルプリント回路基板160と接続される。
【0054】
[表示装置10の断面構造]
図14は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の画素110の構成を示す断面図である。画素110は、絶縁基板11の上に設けられた駆動トランジスタ127を有する。絶縁基板11としては、ガラス基板または樹脂基板の上に絶縁層を設けた基板を用いることができる。
【0055】
駆動トランジスタ127は、半導体層12、ゲート絶縁層13およびゲート電極14を含む。半導体層12には、絶縁層15を介してソース電極16およびドレイン電極17が接続される。図示は省略するが、ゲート電極14は、
図13に示した選択トランジスタ126のドレイン電極に接続される。
【0056】
ソース電極16およびドレイン電極17と同一の層には、配線18が設けられている。配線18は、
図13に示したアノード電源線123として機能する。そのため、ソース電極16および配線18は、平坦化層19の上に設けられた接続配線20によって電気的に接続される。平坦化層19は、ポリイミド、アクリル等の樹脂材料を用いた透明な樹脂層である。接続配線20は、ITOなどの金属酸化物材料を用いた透明導電層である。ただし、この例に限らず、接続配線20として、その他の金属材料を用いることもできる。
【0057】
接続配線20の上には、窒化シリコン等で構成された絶縁層21が設けられる。絶縁層21の上には、アノード電極22およびカソード電極23が設けられる。本実施形態において、アノード電極22およびカソード電極23は、遮光性の金属材料からなる電極である。アノード電極22は、平坦化層19および絶縁層21に設けられた開口を介してドレイン電極17に接続される。
【0058】
アノード電極22およびカソード電極23は、それぞれ平坦化層24を介して実装パッド25aおよび25bに接続される。実装パッド25aおよび25bは、例えば、タンタル、タングステン等の金属材料で構成される。実装パッド25aおよび25bの上には、それぞれ接続電極103aおよび103bが設けられる。接続電極103aおよび103bは、それぞれ
図10に示した接続電極103に対応する。すなわち、本実施形態では、接続電極103aおよび103bとして、錫(Sn)で構成される電極を配置する。
【0059】
接続電極103aおよび103bには、それぞれLEDチップ202の端子電極203aおよび203bが接合されている。前述のとおり、本実施形態では、端子電極203aおよび203bは、金(Au)で構成される電極である。
図7を用いて説明したとおり、接続電極103aと端子電極203aとの間には、図示しない合金層105が存在する。
【0060】
LEDチップ202は、
図13に示した回路図において、LED129に相当する。すなわち、LEDチップ202の端子電極203aは、駆動トランジスタ127のドレイン電極17に接続されたアノード電極22に接続される。LEDチップ202の端子電極203bは、カソード電極23に接続される。カソード電極23は、
図13に示したカソード電源線124と電気的に接続される。
【0061】
以上の構造を有する本実施形態の表示装置10は、LEDチップ202がレーザー照射による溶融接合により強固に実装されているため、衝撃等に対する耐性が高いという利点を有する。
【0062】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なる方法で表示装置10を製造する方法について説明する。具体的には、本実施形態の表示装置10の製造方法は、各LEDチップ202と各接続電極103との接合にリフロー処理を用いる。本実施形態では、第1実施形態と相違する部分について説明する。本実施形態の説明に用いる図面について、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
図15及び
図16は、本発明の第2実施形態における表示装置の製造方法を示す断面図である。
【0064】
まず、第1実施形態と同様のプロセスにより、回路基板100を準備し、その後、複数のLEDチップ202Rが設けられたキャリア基板191を準備する。本実施形態では、各LEDチップ202Rの端子電極203Rに対し、予め接合部材204Rを設ける。接合部材204Rは、例えば、はんだ等の低融点金属で構成された部材である。
【0065】
本実施形態では、
図15に示すように、水溶性粘着層104に対して接合部材204Rを接着させる。つまり、各接続電極103と各端子電極203Rとが水溶性粘着層104及び接合部材204Rを介して向かい合う構成となる。これにより、接続電極103の上に各LEDチップ202Rを仮止めすることができる。
【0066】
次に、
図16に示すように、加熱処理を行うことにより、接続電極103とLEDチップ202Rとを接合する。このプロセスは、サーマルアニールにより接合部材204Rを溶融させ、接続電極103と端子電極203Rとを接合部材204Rを介して接合するリフロー処理である。これにより、接続電極103に対して、強固にLEDチップ202Rを実装することができる。
【0067】
本実施形態のようにリフロー処理を用いて接続電極103と端子電極203Rとを接合する場合、水溶性粘着層104は、フラックス作用を有する材料を含むことが望ましい。フラックス成分は、金属表面の酸化物を除去する効果を有する。そのため、接続電極103と接合部材204Rとの間にフラックス作用を有する水溶性粘着層104を有することにより、リフロー処理に際に、接続電極103又は端子電極203Rの表面に形成された酸化物を除去することができる。
【0068】
図16に示すリフロー処理の後は、第1実施形態と同様に、
図15及び
図16に示した処理を繰り返して、順次、緑色に発光するLEDチップ202Gおよび青色に発光するLEDチップ202Bを実装する。各LEDチップ202R、202Gおよび202Bを実装したら、最後に水洗処理を行うことにより、水溶性粘着層104を除去する。このプロセスにより、各LEDチップ202の間に残っている水溶性粘着層104が一括して除去される。
【0069】
<第3実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造の画素を有する表示装置10について説明する。具体的には、本実施形態の表示装置10は、画素110aにおいて、LEDチップ202の直下に開口部30が形成されている。本実施形態では、第1実施形態と相違する部分について説明する。本実施形態の説明に用いる図面について、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
図17は、本発明の第3実施形態に係る表示装置の画素110aの構成を示す断面図である。
図17に示すように、本実施形態の画素110aは、LEDチップ202の下方において、平坦化層24aに開口部30が形成されている。平坦化層24aの開口部30は、側面及び底面が絶縁層26で覆われている。絶縁層26としては、例えば窒化シリコン等で構成される薄膜を用いることができる。絶縁層26は、回路内部への水分等の侵入を防ぐパッシベーション層として機能する。
【0071】
平坦化層24aの開口部30は、アノード電極22と実装パッド25aとを接続するためのコンタクトホール31a、及び、カソード電極23と実装パッド26aとを接続するためのコンタクトホール31bと同時に形成することができる。コンタクトホール31a及び31bの内側では、絶縁層26にも開口部32a及び32bを形成する。開口部32aは、アノード電極22と実装パッド25aとを電気的に接続するために設けられる。開口部32bは、カソード電極23と実装パッド25bとを電気的に接続するために設けられる。ただし、この例に限らず、開口部32a又は32bは、コンタクトホール31a又は31bの全体を含むように設けられてもよい。
【0072】
他方、
図17に示すように、開口部30の内側は、絶縁層26がエッチングされずに残っている。すなわち、開口部30の内側は、側面及び底面を絶縁層26で覆うことにより、水分等の侵入を防ぐ構造となっている。
【0073】
以上のように、本実施形態の画素110aは、LEDチップ202の下方、すなわち、接続電極103aと接続電極103bとの間に開口部30を有する。これにより、LEDチップ202の直下には、第1実施形態の表示装置10における画素110よりも大きな空間が形成される。そのため、LEDチップ202を実装する際に用いた水溶性粘着層104を除去する際に、LEDチップ202の下方に水が到達しやすくなり、効率よく水溶性粘着層104を除去することができる。これにより、LEDチップ202と回路基板100との間に水溶性粘着層104が残るという不具合を防ぐことができる。
【0074】
<第4実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なる方法で表示装置10を製造する方法について説明する。具体的には、本実施形態の表示装置10の製造方法は、キャリア基板191に代えて、水溶性粘着シートで構成されるキャリア基板196を用いる。本実施形態では、第1実施形態と相違する部分について説明する。本実施形態の説明に用いる図面について、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0075】
図18~
図20は、本発明の第2実施形態における表示装置10の製造方法を示す断面図である。
【0076】
まず、第1実施形態と同様のプロセスにより、回路基板100を準備する。第1実施形態では、回路基板100の上に各接続電極103を覆う水溶性粘着層104を配置したが、本実施形態では水溶性粘着層104を配置しなくてもよい。ただし、この例に限らず、第1実施形態と同様に、各接続電極103の上に水溶性粘着層104を配置してもよい。
【0077】
次に、第1実施形態において
図4を用いて説明したプロセスにより、複数のLEDチップ202Rが設けられたキャリア基板181を準備する。キャリア基板181を準備したら、次に、
図18に示すように、キャリア基板196上に、複数のLEDチップ202Rを有するキャリア基板181を接着する。本実施形態では、キャリア基板196として、水溶性粘着シート(水溶性粘着フィルムともいう)を用いる。水溶性粘着シートは、第1実施形態において説明した水溶性粘着層104と同一の材料をシート状に加工した部材である。すなわち、水溶性粘着シートで構成されたキャリア基板196は、水に溶けると共に、粘着性を有している。
【0078】
キャリア基板196に各LEDチップ202Rを接着した後、キャリア基板181を剥がすことにより、キャリア基板181を除去する。キャリア基板181を除去することにより、複数のLEDチップ202Rが設けられたキャリア基板196を準備することができる。
【0079】
次に、
図19に示すように、回路基板100の上に、各接続電極103と各LEDチップ202Rとが向かい合うようにキャリア基板196を配置する。具体的には、各接続電極103と各端子電極203Rとが向かい合うように、回路基板100上にキャリア基板196が配置される。
【0080】
このとき、
図20に示すように、回路基板100の端部に対してキャリア基板196の端部196aを接着する。これにより、キャリア基板196の位置が固定され、接続電極103の上に各LEDチップ202Rを仮止めすることができる。ただし、この例に限らず、キャリア基板196の端部196a以外の部分を接着してもよい。例えば、各接続電極103の間隔が十分に広い場合は、各接続電極103の間のスペースにキャリア基板196を接着することも可能である。
【0081】
回路基板100に対してキャリア基板196を接着した後、第1実施形態において
図7を用いて説明したプロセスと同様に、レーザー光を照射して接続電極103と端子電極203Rとを溶融接合する。これにより、回路基板100上に複数のLEDチップ202Rを実装することができる。
【0082】
各LEDチップ202Rの実装が完了したら、水洗処理により、水溶性粘着シートで構成されるキャリア基板196を除去する。このように、本実施形態では、水溶性のキャリア基板196を複数のLEDチップ202Rの移送に用いるため、水洗処理だけでキャリア基板196を除去することが可能である。したがって、キャリア基板196を除去する際に、回路基板100及び各LEDチップ202Rに対して不要なストレスを与えることがない。
【0083】
以上のようなプロセスを経て回路基板100上に複数のLEDチップ202Rを実装したら、第1実施形態と同様に、
図18~
図20を用いて説明した処理を繰り返して、順次、緑色に発光するLEDチップ202Gおよび青色に発光するLEDチップ202Bを実装する。本実施形態では、LEDチップ202GおよびLEDチップ202Bを回路基板100上に実装する際にもキャリア基板196として水溶性粘着シートを用いるため、水洗処理により、LEDチップ202GおよびLEDチップ202Bとキャリア基板196とを容易に分離することができる。
【0084】
(変形例)
本実施形態では、キャリア基板196として、単体の水溶性粘着シートを用いた例を示したが、この例に限られるものではない。例えば、キャリア基板196として、水溶性粘着シートと樹脂シートとを積層した基板を用いることも可能である。この場合、キャリア基板196の片面のみに粘着性をもたせることができるため、キャリア基板196に各LEDチップ202を接着した後、キャリア基板196の取り扱いが容易になるという利点がある。
【0085】
本変形例の場合、回路基板100上に各LEDチップ202を実装した後、水洗処理を行うと水溶性粘着シートの部分は溶解するため、樹脂シートはリフトオフにより除去される。したがって、本変形例のキャリア基板196も、水洗処理により容易に除去することが可能である。
【0086】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0087】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0088】
10…表示装置、11…絶縁基板、12…半導体層、13…ゲート絶縁層、14…ゲート電極、15…絶縁層、16…ソース電極、17…ドレイン電極、18…配線、19…平坦化層、20…接続配線、21…絶縁層、22…アノード電極、23…カソード電極、24…平坦化層、25a、25b…実装パッド、30…開口部、31a、31b…コンタクトホール、32a、32b…開口部、40…レーザー光、100…回路基板、101…支持基板、102…駆動回路、103、103a、103b…接続電極、103a、103b…接続電極、104…水溶性粘着層、105…合金層、110、110R、110G、110B…画素、112…表示領域、114…周辺領域、116…端子領域、120、120R、120G、120B…画素回路、121…データ線、122…ゲート線、123…アノード電源線、124…カソード電源線、126…選択トランジスタ、127…駆動トランジスタ、128…保持容量、129…LED、130…データドライバ回路、140…ゲートドライバ回路、150…端子部、151、152…接続配線、160…フレキシブルプリント回路基板、170…ICチップ、181、191、196…キャリア基板、200…素子基板、201…半導体基板、202、202R、202G、202B…LEDチップ、203、203a、203b、203R、203G、203B…端子電極、204R…接合部材、