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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】駐車管理システム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240718BHJP
【FI】
G07B15/00 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020156070
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022049829
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】前田 太志
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-338479(JP,A)
【文献】特開2018-022366(JP,A)
【文献】特開2006-048326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗者の顔画像を含む車両データを取得する車両データ取得部と、
照合用の顔画像を取得する照合画像取得部と、
前記車両データ取得部と前記照合画像取得部とで取得した顔画像の照合結果に応じて、該当車両に対応する車両データのうち、駐車場利用者に顔画像以外のデータであって該当車両を特定する特定データを出力し、顔画像を出力しない特定データ出力部と
を備える駐車管理システム。
【請求項2】
前記車両データ取得部は、搭乗者の顔画像に加え、車両の外観画像を車両データとして取得し、
前記特定データ出力部は、該当車両の外観画像のうち搭乗者の顔画像を非表示とした態様のデータを特定データとして出力する、請求項1に記載の駐車管理システム。
【請求項3】
前記特定データ出力部は、前記車両データ取得部と前記照合画像取得部とで取得した顔画像の照合に際して、一致する顔画像が特定されない場合、顔認識精度を低下させて得た顔画像を候補画像とし、当該候補画像に対応する特定データを出力する、請求項1及び2のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
【請求項4】
前記特定データ出力部は、前記照合画像取得部を設けた設備に対して特定データを出力する、請求項1~3のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
【請求項5】
顔画像の照合結果に応じた駐車料金の精算を行う精算処理部を備え、
前記精算処理部は、管理対象の駐車場と提携関係にある店舗に設けられた前記照合画像取得部により取得した顔画像のデータと、当該駐車場に駐車した車両に対応する顔画像のデータとが一致する場合、駐車料金の割引処理を行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
【請求項6】
前記照合画像取得部は、携帯型の通信端末に設けられた撮像部である、請求項1~5のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
【請求項7】
前記車両データ取得部は、管理対象の駐車場の入口に設けられ、車両の入場検知に応じて車両データの取得を開始する、請求項1~6のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場における車両の入出管理を行うに際して顔画像を利用する駐車管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両ナンバーを読み取って駐車管理に利用する駐車場管理システムとして、料金精算に際して入力された車両ナンバーについて、適合率の高い複数の車両ナンバーに対応した複数の車両画像を当該車両ナンバーとともに表示するもの(特許文献1参照)が知られている。
【0003】
また、例えば、駐車管理システムとして、搭乗者の顔を撮像して取得した顔データを蓄積し、蓄積された顔データの比較に基づき駐車料金の通知等を行うもの(特許文献2参照)が知られている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載するようなもののように、ナンバー認識を利用する技術では、精算に際して利用者がナンバー入力を行う必要がある。また、先行技術2のような顔認証ではナンバー入力を省略でき、さらに、顔認証における確実性を享受できるが、その反面、十分なプライバシー保護を図ることができるか、といったことが不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-22366号公報
【文献】特開2006-338479号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、顔画像のデータを駐車管理のための照合に利用するに際して、プライバシー保護を図りつつ、顔認証における確実性を維持することができる駐車管理システムを提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するための駐車管理システムは、搭乗者の顔画像を含む車両データを取得する車両データ取得部と、照合用の顔画像を取得する照合画像取得部と、車両データ取得部と照合画像取得部とで取得した顔画像の照合結果に応じて、該当車両に対応する車両データのうち、顔画像以外のデータであって該当車両を特定する特定データを出力する特定データ出力部とを備える。
【0008】
上記駐車管理システムでは、駐車管理のための車両の特定に際して、駐車する車両の搭乗者すなわち駐車場の利用者の顔画像を利用しつつ、駐車管理における車両の特定結果としては、顔画像以外のデータであって車両を特定するものを出力することで、利用者のプライバシー保護を図ることができる。
【0009】
本発明の具体的な側面では、車両データ取得部は、搭乗者の顔画像に加え、車両の外観画像を車両データとして取得し、特定データ出力部は、該当車両の外観画像のデータを特定データとして出力する。この場合、外観画像のデータが出力されることで、例えば利用者が自身の車両であるか否かの判断ができるとともに、搭乗者の顔画像が表示されることがないので、例えば、顔認証において間違いがあったとしても、当該顔認証の結果確認として顔画像(すなわち他の利用者の顔画像)が表示されてしまわないようにできる、つまり、顔画像の表示に伴う意図しないプライバシー侵害が回避される。
【0010】
本発明の別の側面では、特定データ出力部は、車両データ取得部と照合画像取得部とで取得した顔画像の照合に際して、一致する顔画像が特定されない場合、顔認識精度を低下させて得た顔画像を候補画像とし、当該候補画像に対応する特定データを出力する。この場合、より多くの候補画像から、特定されるべき車両を選択することが可能になる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、特定データ出力部は、照合画像取得部を設けた設備に対して特定データを出力する。この場合、照合画像取得部において照合用の顔画像を取得すると、即座に顔画像の照合を行うことができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、顔画像の照合結果に応じた駐車料金の精算を行う精算処理部を備え、精算処理部は、管理対象の駐車場と提携関係にある店舗に設けられた照合画像取得部により取得した顔画像のデータと、当該駐車場に駐車した車両に対応する顔画像のデータとが一致する場合、駐車料金の割引処理を行う。この場合、顔画像のデータを利用して、駐車料金の割引処理ができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、照合画像取得部は、携帯型の通信端末に設けられた撮像部である。この場合、携帯型の通信端末として、例えばスマホ(スマートフォン)やタブレット端末等の汎用型の装置を利用することで、簡易かつ安価に照合画像取得部を構成できる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、車両データ取得部は、管理対象の駐車場の入口に設けられ、車両の入場検知に応じて車両データの取得を開始する。この場合、利用者である搭乗者のプライバシー保護を図りつつ、入場から出場までの駐車管理全般において、車両データに含まれる搭乗者の顔画像を利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る駐車管理システムの概要を説明するための概念図である。
図2】駐車管理システムの一構成例について示すブロック図である。
図3】(A)は、搭乗者の顔画像を含む車両データを取得する様子の一例を示す図であり、(B)は、駐車管理される各種データについて一例を示すためのデータ表である。
図4】(A)は、事前精算時において照合用の顔画像を取得する様子の一例を示す図であり、(B)は、顔画像の照合について一例を示す概念図である。
図5】(A)~(C)は、照合結果に基づく対象車両の確認のための表示態様について一例を示す画像図である。
図6】照合結果の確認動作における駐車管理システムの一連の動作処理について一例を説明するためのフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る駐車管理システムの概要を説明するための概念図である。
図8】(A)は、割引適用時において照合用の顔画像を取得する様子の一例を示す図であり、(B)~(D)は、照合結果に基づく対象車両の確認のための表示態様について一例を示す画像図である。
図9】照合結果の確認動作における駐車管理システムの一連の動作処理について一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
以下、図1等を参照して、本発明の一実施形態に係る駐車管理システムについて説明する。本実施形態に係る駐車管理システム500は、車両VEの搭乗者PSすなわち駐車場の利用者USの顔画像を利用して駐車管理を行うシステムである。図1において概略を示すように、駐車管理システム500は、搭乗者PSの顔画像を含む車両データDD1を取得する車両データ取得部VAと、照合用の顔画像についての画像データである照合顔画像データDD2を取得する照合画像取得部MAと、駐車管理の全般を担う駐車管理装置100とを備える。
【0017】
車両データ取得部VAは、例えば駐車場の入場口に設けられた入場部10等で構成される。図示の一例では、車両データ取得部VAは、駐車場の入場部10のカメラ13によって撮像された車両VEや搭乗者PS(利用者US)を含んだ画像データを、車両データDD1として、駐車管理装置100に対して出力する。
【0018】
なお、本明細書において、車両データDD1については、上記のようなカメラ13での撮像により取得された原始的な画像データだけに限らず、これを解析・抽出して得られた種々のデータ等も含まれるものとする。すなわち、上記原始的な画像データから抽出した車両VEの全体を写した画像のデータや搭乗者PS(利用者US)の顔を写した顔画像のデータ、さらには、各種画像データに基づき抽出される各種数値データ等が含まれるものとする。具体的には、顔画像についてこれを特徴づける各種データ(例えば、輪郭や色、形状等を数値化した情報や、種々の顔特徴量等)も、車両データDD1であるものとする。また、例えば画像を解析して得た車両ナンバーについての数字や文字列のデータも含まれる。
【0019】
照合画像取得部MAは、例えば駐車場の精算を行うための設備等で構成される。図示の一例では、照合画像取得部MAは、駐車場の事前精算機20のカメラ20aによって撮像された利用者USを含んだ画像データを、照合顔画像データDD2として、駐車管理装置100に対して出力する。
【0020】
駐車管理装置100は、車両データ取得部VAからの車両データDD1と、照合画像取得部MAからの照合顔画像データDD2とに基づいて、顔画像を利用した照合を行い、顔画像の照合結果に応じて、該当車両を特定する特定データDDxを出力する。このため、駐車管理装置100は、例えば顔画像データ照合部60と、特定データ出力部90とを有する。すなわち、駐車管理装置100のうち、顔画像データ照合部60は、車両VEの入場時に取得して予め蓄積された車両データDD1と、駐車料金の精算時に照合画像取得部MAにおいて取得した照合顔画像データDD2とを照合して、一致する顔画像の抽出(特定)を可能にする。また、駐車管理装置100のうち、特定データ出力部90は、顔画像データ照合部60を利用して抽出(特定)された顔画像に対応する利用者USの車両VEの外観画像データを、特定データDDxとして、出力する。図示の例では、照合画像取得部MAを構成する事前精算機20に対して、特定データDDxが出力され、タッチパネル部等で構成される事前精算機20の表示部20bにおいて該当する車両VEの外観画像データが確認画面中に表示されている。
【0021】
以上のように、駐車管理装置100は、車両データ取得部VAと照合画像取得部MAとで取得した顔画像の照合を顔画像データ照合部60で行い、顔画像の照合結果に応じて、特定データ出力部90によって特定データDDxを出力する態様となっている。この際において、特定データDDxは、利用者US(搭乗者PS)の顔画像そのものではなく、車両VEの外観画像データとしている。すなわち、特定データDDxは、該当車両VEに対応する車両データDD1のうち、顔画像以外のデータであって該当車両VEを特定するものとなっている。これにより、駐車管理システム500では、駐車管理のための車両VEの特定に際して、駐車する車両VEの搭乗者PSすなわち駐車場の利用者USの顔画像を利用しつつ、駐車管理における車両VEの特定結果としては、顔画像以外のデータであって車両を特定するものである特定データDDxを出力することで、利用者USのプライバシー保護を図ることができる。
【0022】
以下、図2等を参照して、本実施形態に係る駐車管理システム500のより具体的な一構成例やその動作内容について説明する。図2に示すように、駐車管理システム500は、既述の入場部10、事前精算機20及び駐車管理装置100のほか、例えば出場部30を備える。また、図中に示す携帯通信端末TIも駐車管理システム500の一部である、と捉えることもできる。携帯通信端末TIは、例えばスマートフォン(スマホ)やタブレット端末等で構成されてネットワーク回線INを介して駐車管理装置100との通信が可能となっている。なお、携帯通信端末TIは、駐車場と提携している店舗等に設置され、例えば駐車料金の割引情報の提供等を駐車管理装置100に対して行う。
【0023】
駐車管理システム500のうち、入場部10は、入場管理装置11と、ゲート装置12と、既述のカメラ13と、ループコイルCO1とを備える。
【0024】
入場管理装置11は、入場部10を構成するゲート装置12、カメラ13及びループコイルCO1に接続されるとともに、駐車管理装置100に接続され、駐車管理装置100からの指令信号等にしたがって、入場部10を構成する上記各部の動作制御をする。
【0025】
ゲート装置12は、例えば入場管理装置11を介した駐車管理装置100からの指令信号に従ってゲートバー12aを昇降させて車両の入場の許否を示す装置である。なお、ゲート装置12は、入場管理装置11を介した駐車管理装置100からの指令信号のほか、入場管理装置11からの直接の指令信号も受け付ける。
【0026】
カメラ13は、CMOS等で構成されるカメラ部(撮像部)を有する撮像装置であり、入場しようとする車両の全体外観を撮像する。図示の一例では、矢印A1に示す進行方向についてゲートバー12aの前方に配置されている。これにより、カメラ13は、車両の前方側について車両の全体を撮像するとともに、車両の搭乗者の顔を撮像することを可能としている。すなわち、カメラ13は、駐車場の入口において、車両や搭乗者(利用者)を含んだ画像データである車両データDD1を取得する。取得された車両データDD1は、駐車管理装置100に出力される。すなわち、カメラ13は、車両データ取得部VAとして機能する。
【0027】
また、カメラ13は、車両のナンバープレートの部分の撮像を可能としている。すなわち、駐車管理装置100は、車両ナンバーに基づく駐車管理も可能としている。
【0028】
ループコイルCO1は、ゲート装置12の手前側の停車範囲内の地中に埋設されており、ゲートバー12aの手前で停止した車両、すなわち駐車場の入口における車両の有無を検知する入口側車両検知部VD1として機能する。ここでは、ループコイルCO1は、接続されている入場管理装置11に対して車両を検知した旨を送信し、入場管理装置11は、ループコイルCO1での車両検知を契機として、カメラ13による撮像を開始するものとなっている。言い換えると、上記態様において、車両データ取得部VA(カメラ13)は、管理対象の駐車場の入口に設けられ、ループコイルCO1による車両の入場検知に応じて車両データDD1の取得を開始するものとなっている。
【0029】
なお、入口側車両検知部VD1については、種々のものでの代替が考えられ、例えば、ループコイルCO1に代えて、赤外光センサー等による車両検知とすることも考えられる。あるいは、カメラ13において車両であるか否かについての画像検知機能をもたせることで、入口側車両検知部VD1として機能させ、ループコイルCO1を省略する態様とすることも考えられる。
【0030】
以下、図示の構成における入場部10の動作について簡単に説明する。入場部10において、矢印A1に示す進行方向に関してゲートバー12aの手前側に車両が停止したことが、ループコイルCO1において検知されると、検知した旨の信号を受けた入場管理装置11は、カメラ13による撮像を開始させ、車両データDD1を取得する。その後、カメラ13による車両データDD1の取得及び駐車管理装置100への車両データDD1等各種管理情報の出力がなされると、入場管理装置11は、入場の許可を示すべく、ゲート装置12を動作させて、車両の駐車場内への入場を促す。以上の場合、入場完了以後の駐車管理は、取得した車両データDD1に基づいてなされることで、例えば駐車券の発行を省略した態様とすることが可能になる。
【0031】
次に、駐車管理システム500のうち、事前精算機20は、出場するために必要となる駐車料金の精算処理を事前に可能とするためのユーザー用インターフェース装置である。つまり、事前精算機20は、精算処理部として機能する。また、事前精算機20は、既述のように、カメラ20aと、表示部20bとを備える。
【0032】
カメラ20aは、CMOS等で構成されるカメラ部(撮像部)を有する撮像装置であり、事前精算のために事前精算機20の操作を行う利用者を撮像する。つまり、カメラ20aは、照合用の顔画像についての画像データである照合顔画像データDD2を取得する。取得された照合顔画像データDD2は、駐車管理装置100に出力される。すなわち、カメラ20aは、照合画像取得部MAとして機能する。
【0033】
表示部20bは、利用者による操作指令を受け付ける入力装置として機能するとともに、各種表示を行う表示部すなわち出力装置として機能するものであり、例えば液晶パネルや有機ELパネル上に、例えば表面型静電容量方式等によるタッチセンサーを設けて構成される。
【0034】
なお、詳しい図示や説明を省略するが、事前精算機20は、このほか、事前精算処理を行うための現金や各種カードの受付部等の各種装置や、駐車管理装置100との通信、さらには決済のための機能等を備える。
【0035】
以下、図示の構成における事前精算機20の動作のうち事前精算の処理を行うための前提としての受付処理について簡単に説明する。事前精算機20において、利用者による表示部20bでの入力操作に基づく事前精算の開始指令が受け付けられると、事前精算機20は、精算処理の対象車両を特定すべく、カメラ20aによる当該利用者の撮像を開始させ、照合顔画像データDD2を取得する。その後、取得された照合顔画像データDD2の駐車管理装置100への出力がなされると、駐車管理装置100において顔画像の照合処理がなされ、照合結果としての特定データDDxが駐車管理装置100から事前精算機20に対して出力される。事前精算機20は、駐車管理装置100からの照合結果に基づき、表示部20bにおいて該当する車両の外観画像データを表示させるとともに、利用者に対して照合内容すなわち特定結果を確認させる確認処理を行う。確認処理が完了する、すなわち該当車両の特定がなされると、事前精算機20は、当該車両に関する事前精算処理を開始する。
【0036】
なお、事前精算機20は、事前精算処理を完了すると、その旨の情報を駐車管理装置100に送信する。事前精算機20において、事前精算を済ませることで、利用者は、後述する出場部30における精算処理を要することなく迅速に自己の車両を出場させることができる。
【0037】
次に、駐車管理システム500のうち、出場部30は、出場管理装置としての精算装置31と、ゲート装置32と、カメラ33と、ループコイルCO2とを備える。
【0038】
精算装置31は、出場部30を構成するゲート装置32、カメラ33及びループコイルCO2に接続されるとともに、駐車管理装置100に接続され、駐車管理装置100からの指令信号等にしたがって、出場部30を構成する上記各部の動作制御をする出場管理装置であり、特に、精算処理を必要に応じて行う。具体的には、精算装置31は、車両の出場に際して、当該車両を特定する情報を抽出して駐車管理装置100に問い合わせ、当該車両の事前精算の有無を確認し、事前精算が完了していれば直ちに出場を許可する一方、精算が完了していなければ、出場するために必要な種々の精算処理を行う。このため、精算装置31には、駐車管理装置100との通信に加え、現金や各種カードの受付部等の各種装置、さらには決済のための機能等を備え、駐車料金の精算処理のためのユーザー用インターフェース装置として機能する。すなわち、精算装置31は、精算処理部として機能する。
【0039】
ゲート装置32は、例えば出場管理装置である精算装置31を介した駐車管理装置100からの指令信号に従ってゲートバー32aを昇降させて車両の出場の許否を示す装置である。なお、ゲート装置32は、精算装置31を介した駐車管理装置100からの指令信号のほか、精算装置31からの直接の指令信号も受け付ける。
【0040】
カメラ33は、CMOS等で構成されるカメラ部(撮像部)を有する撮像装置であり、出場しようとする車両を撮像して、当該車両を特定する情報を抽出する。カメラ33の一態様として、例えば、入場部10のカメラ13と同様、矢印A2に示す進行方向についてゲートバー32aの前方に配置され、車両の全体及び搭乗者を撮像して、これらを駐車管理装置100において照合させる構成とすることが考えられる。ただし、出場時の処理に関しては、該当車両の特定ができれば十分であるので、上記態様に限らず、車両を特定可能な種々の態様が考えられる。例えば、カメラ13において車両のナンバープレートの情報が入手可能となっている場合には、カメラ33は、車両のナンバープレートの部分の撮像をするものとし、精算装置31は、ナンバープレートの情報に基づいて精算・出場の処理を行ってもよい。
【0041】
ループコイルCO2は、ゲート装置32の手前側の停車範囲内の地中に埋設されており、ゲートバー32aの手前で停止した車両、すなわち駐車場の出口における車両の有無を検知する出口側車両検知部VD2として機能する。ここでは、ループコイルCO2は、接続されている出場管理装置である精算装置31に対して車両を検知した旨を送信し、精算装置31は、ループコイルCO2での車両検知を契機として、カメラ33による撮像を開始するものとなっている。
【0042】
最後に、駐車管理システム500のうち、駐車管理を司る本体部分である駐車管理装置100について説明する。駐車管理装置100は、例えば管理用サーバーやPC等で構成され、記憶部40と、主制御部50と、データ出入力インターフェースDIとを備える。なお、主制御部50には、既述の顔画像データ照合部60が含まれ、また、データ出入力インターフェースDIは、既述の特定データ出力部90として機能する。駐車管理装置100は、図示のように、データ出入力インターフェースDIを介して駐車管理システム500を構成する各部と直接的または間接的に接続され、各種情報の通信を行う。特に、本実施形態では、駐車管理を行うに際しての情報処理の一環として、既述のように、駐車管理装置100の顔画像データ照合部60において、顔画像の照合を行うとともに、照合の結果特定された車両に関する情報を、特定データDDxとして出力する。
【0043】
以下、駐車管理装置100を構成する上記各部のうち、顔画像の照合に関係する部分について、より詳細に説明する。
【0044】
駐車管理装置100のうち、記憶部40は、例えば各種ストレージデバイスで構成され、主制御部50において、駐車管理を行うために必要となる各種データやプログラムを格納する。ここでは、特に、記憶部40は、車両データ取得部VAで取得された車両データDD1、すなわち駐車管理を行うべく入場時に取得された画像データやこの画像データから抽出される各種データを格納するが、これらのうち、画像情報に関するデータを格納すべく、画像データ格納部41が設けられている。図示の一例では、画像データ格納部41は、車両の外観に関する画像データを格納する外観画像データ格納部41aと、利用者(搭乗者)の顔に関する画像データを格納する顔画像データ格納部41bとを有している。
【0045】
外観画像データ格納部41aには、撮像された車両の形状や色が分かる全体外観についての画像データが格納されている。また、外観画像データ格納部41aにおいて、上記画像データとともに、必要に応じて各車両に関して付随する情報が併せて格納されていてもよい。例えば、ナンバープレートが併せて撮像されている場合は、ナンバープレートの画像やこれを読み取った数字及び文字列についてのデータが併せて格納されていてもよい。また、例えば車両の全体画像のうち、フロントガラスの画像部分の範囲についての情報を抽出しておき、画像の出力時には、フロントガラスの部分を非表示とすることで、車両の全体画像は示しつつ、中にいる搭乗者の顔は表示されない態様にできるようにしておいてもよい。
【0046】
顔画像データ格納部41bには、各車両の搭乗者すなわち駐車場の利用者の顔を特定可能にすべく、顔画像に関する顔画像データが格納されている。具体的には、例えば顔画像における輪郭線等の各種形状や色、あるいは、帽子や眼鏡等を着用しているか否か等の情報、あるいはこれらの情報を数値化して比較可能とした情報が格納されている。
【0047】
本実施形態では、外観画像データ格納部41aに格納された車両の情報と、その車両の利用者の顔情報すなわち顔画像データ格納部41bに格納された顔の情報とは、紐づけされており、顔画像に基づく照合で一致が確認されると、当該顔情報に対応する車両画像が抽出・出力可能となっている。
【0048】
駐車管理装置100のうち、主制御部50は、例えば各種演算処理を行うためのCPU等で構成されており、記憶部40に格納された各種データやプログラムを適宜読み出して、駐車管理に関する各種処理を統括的に行う。このため、図示の一例では、主制御部50は、既述の顔画像データ照合部60のほか、車両データ解析部51と、データ抽出部52と、判定部61と、外観画像選択部70と、類似度調整部80とを有する。言い換えると、主制御部50を構成するCPU等は、必要に応じて、記憶部40からデータやプログラムを適宜読み出して、上記各部として機能する。
【0049】
まず、車両データ解析部51は、入場部10において取得した画像データすなわち車両や搭乗者を含んだ原始的な画像データの解析をして、当該画像データから、車両の画像や、顔画像の切り出し等を行う。
【0050】
また、データ抽出部52は、車両データ解析部51で切り出された車両の画像や顔画像に含まれる各種データの抽出を行う。例えば、データ抽出部52は、車両の画像からナンバープレートの部分を切り出して、プレートに記載された陸運支局等の地域名、分類番号、かな文字及び一連指定番号等を読み取り、各数値や文字列のデータを抽出する。また、データ抽出部52は、顔画像から顔の輪郭部分や髪型、肌の色や目の大きさ、形状、色、さらには、眼鏡や帽子等の着用の有無や、搭乗者(利用者)ごとに固有のデータすなわち個人を特定可能とする特徴的データを数値化して抽出する。
【0051】
なお、車両データ解析部51やデータ抽出部52での処理により取得された各種データは、例えば記憶部40のうち画像データ格納部41の所定領域に格納される。言い換えると、画像データ格納部41には、車両や搭乗者(利用者)を特徴づける各種データが蓄積されている。
【0052】
顔画像データ照合部60は、上記のようにして取得された搭乗者(利用者)の顔画像について照合を行う。例えば本実施形態では、既述のように、事前精算機20における事前精算に際して、照合画像取得部MAとして機能するカメラ20aで撮像された利用者の顔画像を、顔画像データ格納部41bに蓄積された顔画像と照合することで、精算の対象となる車両を特定する。なお、顔画像を特定する手法については、顔認証に利用される種々の手法が適用可能であり、例えば機械学習による顔認識に基づいて、類似度を定める、といった手法をとることが考えられる。
【0053】
判定部61は、顔画像データ照合部60の結果に基づき、該当する顔画像が存在するかを判定する。例えば、上記のように、顔画像データ照合部60において類似度を定めるものであれば、判定部61は、類似度に関して予め閾値を定めておき、カメラ20aで撮像された利用者の顔画像との類似度について、当該閾値を超えるものが顔画像データ格納部41b中に存在するか否かを判定する。
【0054】
外観画像選択部70は、判定部61での判定結果に基づいて、条件を満たした1つまたは複数の顔画像に対応する車両画像、すなわち当該顔画像に紐づけられた車両の外観画像を選択する。選択された車両の外観画像についての画像データは、特定データ出力部90から事前精算機20に対して特定データDDxとして出力される。
【0055】
類似度調整部80は、判定部61における判定条件(判定基準)を調整するものであり、必要に応じて、例えば上記閾値を適宜変更する。上記のように、顔画像データ照合部60における照合及び判定部61における判定の結果、条件を満たすと、外観画像選択部70で選択された単数または複数の車両の外観画像が事前精算機20に対して出力され、事前精算機20における動作処理によって利用者が自己の車両を選択することになるが、いずれの車両も当該利用者のものに該当しない、という可能性もある。すなわち、顔認証において目的以外の顔が選ばれ、間違った車両が出力される、という可能性もある。本実施形態では、このような場合に、類似度調整部80において、類似度調整を行って再度顔認証をし直し、車両の選択を行えるようにしている。典型的には、顔認識精度を低下させる(判定部61における類似度の閾値を下げる)ことで、候補画像を増やす手法をとることが考えられる。言い換えると、車両データ取得部VAと照合画像取得部MAとで取得した顔画像の照合に際して、一致する顔画像が特定されない場合、類似度調整部80によって顔認識精度を低下させ、駐車管理装置100は、これによって得た顔画像を候補画像とし、当該候補画像に対応する特定データを特定データ出力部90が出力する、という態様としている。
【0056】
以下、図3を参照して、搭乗者PSの顔画像を含む車両データDD1を取得する様子の一例について、説明する。図3(A)に示すように、また、既述のように、入場部10での車両VEの入場に際して、入口側車両検知部VD1により車両VEが検知されると、これを契機として、カメラ13が始動し、カメラ13は、フレームF1で示す車両VEの前方側の全体を覆う範囲を撮像する。また、この際、併せて、フレームF2,F3で範囲を示すように、車両VEの搭乗者PSすなわち駐車場の利用者USの顔画像が撮像され、これらの画像が車両データDD1として、記憶部40を構成する入庫データベースに格納される。ここで、フレームF2,F3に示すように、車両VEの搭乗者PS(利用者US)については、車両VEの運転手に限らず、助手席等にいる同乗者についても併せて撮像される。つまり、1つの車両VEに対して複数人の搭乗者PSが紐づけられる場合もある。これにより、車両VEの運転手以外の搭乗者PSが、事前精算機20での事前精算を行う場合であっても、的確な顔認証による照合を行える。
【0057】
図3(B)は、上記のようにして取得された車両データDD1を含め、駐車管理において管理対象とされる各種データについて一例を示すためのデータ表である。すなわち、記憶部40を構成する入庫データベースに格納される各種データについての一例である。例えば、上記のような態様において、入口側車両検知部VD1により車両VEが検知されることで、入場処理が開始され、その際の時刻が入場時刻として記録される。また、これとともに、取得された車両データDD1に関して、例えば車両VEの外観画像データと対応する搭乗者PSの顔画像データとが記録される。さらに、車両データDD1に含まれるナンバープレートの画像から車両ナンバーの情報が抽出され、これも記録されるようにしてもよい。駐車管理のための情報としては、上記のほか、例えば駐車場と提携関係にある店舗の利用に基づく割引情報や、事前精算機20での事前精算がなされたか否かの情報、さらには、出場部30での出場検知に基づく出場時刻が記録されるものとすることが考えられる。
【0058】
以下、図4を参照して、事前精算機20の利用時すなわち事前精算時において照合用の顔画像を取得する様子の一例について、説明する。図4(A)に示すように、また、既述のように、事前精算機20のカメラ20aにより、フレームF4で範囲を示すように、利用者USの顔画像が撮像され、この画像が照合顔画像データDD2として、記憶部40に送信される。記憶部40を含む駐車管理装置100では、図4(B)に示すように、送信された照合顔画像データDD2である照合顔画像データXと、記憶部40に事前に蓄積されている多数の顔画像データA,…との照合がなされる。その後、図4(A)に示すように、照合結果としての特定データDDxが、駐車管理装置100から事前精算機20に返信(出力)され、事前精算機20の表示部20bにおいて、特定データDDxに基づく対象車両の確認表示等の動作がなされる。
【0059】
以下、図5を参照して、照合結果に基づく対象車両の確認のための表示態様について、具体的には、事前精算機20での特定データDDxに基づく表示態様について、一例を示す。
【0060】
まず、照合結果としての特定データDDxが、1つの車両についての画像データである場合、すなわち図2に示す判定部61での顔画像についての判定の結果、外観画像選択部70で選択された車両の外観画像が1つである場合、図5(A)に例示するように、事前精算機20の表示部20bにおいて、該当する1つの車両の外観画像GG1が、2つの選択ボタン(「はい」・「いいえ」)C1,C2とともに表示される。すなわち、当該外観画像GG1に示す車両が事前精算機20の操作を行う利用者のものであるか否かの確認表示がなされる。
【0061】
一方、照合結果としての特定データDDxが、複数の車両についての画像データである場合、図5(B)に例示するように、事前精算機20の表示部20bにおいて、該当する複数(例示では3つ)の車両の外観画像GG1,GG2,GG3が、表示される。なお、図示の場合、3つの外観画像GG1,GG2,GG3のうち一の選択を促すメッセージが、これらのどれも選択しない場合の選択ボタンC3とともに表示されている。
【0062】
なお、図5(B)において、3つの外観画像GG1,GG2,GG3のうち一がタッチされる(例えば外観画像GG2が選択される)と、図5(C)に例示するように、2つの選択ボタン(「はい」・「いいえ」)C1,C2とともに、選択された外観画像GG2が拡大表示される。
【0063】
なお、各外観画像GG1~GG3については、例えばフロントガラス部分のように、個人の顔が表示される可能性がある個所等、一部について表示させないように画像上の当該領域にマスク部MKを設けるようにしてもよい。すなわち、単純に事前精算機20等での表示に関しては、例えば第三者などにのぞき見(各種記録等を含む)されるおそれがあるので、個人情報がはっきりとはわからない画像や動画を表示するようにしてもよい。また、逆に、必要に応じて、例えば車両ナンバーについては、当該箇所の表示を行うこと等により、車両ナンバーに基づいて判断可能な態様としてもよい。
【0064】
以上のようにして、事前精算機20において、利用者による自己の車両選択(確認)処理がなされ、車両の確認が完了すると、当該車両についての精算処理が行われる。
【0065】
以下、図6のフローチャートを参照して、照合結果の確認動作における駐車管理システム500の一連の動作処理について一例を説明する。
【0066】
まず、利用者が事前精算機20の表示部20bすなわちタッチパネルを操作して、事前精算機20が起動し、事前精算機20のカメラ20aが当該利用者を撮像することで、照合顔画像が取得されると(ステップS101)、駐車管理装置100のうち、主制御部50の顔画像データ照合部60は、ステップS101で取得された顔画像について、予め蓄積されている顔画像のデータとの照合を行う(ステップS102)。
【0067】
主制御部50は、ステップS102での顔画像データの照合により、一致する顔画像があるか否か、すなわち判定部61において、ステップS101で取得された顔画像に対して、例えば閾値を超える顔画像が顔画像データ格納部41b中に存在するか否かを確認する(ステップS103)。
【0068】
ステップS103において、該当する顔画像が存在しない場合(ステップS103:No)、すなわち、車両データ取得部VAと照合画像取得部MAとで取得した顔画像の照合に際して、一致する顔画像が特定されない場合、つまり類似度について予め定めた閾値を超えるものがない場合、主制御部50は、類似度調整部80において、類似度調整を行って、つまり顔認識精度を低下させて、再度顔認証をし直し(ステップS104)、候補となる顔画像が存在するか否か、すなわち調整後の条件を満たす類似度のものが存在すあるか否かを確認する(ステップS105)。
【0069】
なお、主制御部50は、上記ステップS104からの動作を所定回数に達するまで繰り返し(ステップS104~S106)、所定回数に達しても、顔認識ができない場合(ステップS106:Yes)、エラーとして処理すべく、事前精算機20での事前精算処理を行うことなく、動作を終了する。
【0070】
一方、ステップS105において、候補となる顔画像が存在する場合(ステップS105:Yes)、あるいは、ステップS103において、該当する顔画像が存在する場合(ステップS103:Yes)、主制御部50は、該当する顔画像が複数であるか否かを確認する、すなわち1つであるか複数であるかを確認する(ステップS107)。
【0071】
ステップS107において、該当する顔画像が複数でない場合(ステップS107:No)、すなわち外観画像選択部70において選択された車両の外観画像が1つである場合、主制御部50は、特定データ出力部90を介して当該外観画像のデータを、顔画像の照合結果に対応する車両画像を示す特定データDDxとして出力し、事前精算機20に表示させる(ステップS108)。すなわち、図5(A)に例示したような1つの外観画像を伴う確認画像の表示が、事前精算機20の表示部20bにおいてなされる。
【0072】
ステップS108での表示動作に対して、利用者による操作による確認(承認)がなされた場合(ステップS109:Yes)、すなわち図5(A)の例示において「はい」を示す選択ボタンC1がタッチされた場合、事前精算機20による精算処理が行われ(ステップS110)、一連の動作が終了する。すなわち、事前精算機20から駐車管理装置100に対して、選択された車両についての精算処理を行うべく問合せがなされ、事前精算機20を精算用のインターフェースとする事前精算が行われ、これが完了することで、一連の動作が終了する。
【0073】
一方、ステップS108での表示動作に対して、利用者による操作により承認しない旨の選択がなされた場合(ステップS109:No)、すなわち図5(A)の例示において「いいえ」を示す選択ボタンC2がタッチされた場合、主制御部50は、ステップS104での類似度調整が所定回数に達しているか否かを確認し(ステップS111)、達していなければ(ステップS111:No)、上記ステップS104からの再度顔認証をし直す動作を繰り返す(ステップS104~S106)。ステップS111において、既に所定回数に達している場合(ステップS111:Yes)、エラーとして処理すべく、事前精算機20での事前精算処理を行うことなく、動作を終了する。
【0074】
ステップS107に示す該当する顔画像の個数確認において、該当する顔画像が複数である場合(ステップS107:Yes)、すなわち外観画像選択部70において選択された車両の外観画像が複数である場合、主制御部50は、特定データ出力部90を介して当該複数の外観画像のデータを、顔画像の照合結果に対応する車両画像を示す特定データDDxとして出力し、事前精算機20の表示部20aにおいて、図5(B)に例示したような表示をさせる(ステップS112)。すなわち、この場合、事前精算機20は、複数の候補から一を選択させる表示を行う。
【0075】
ステップS112での表示動作に対して、利用者による操作による一の選択がなされた場合(ステップS113:Yes)、すなわち図5(B)の例示において複数の車両の外観画像について、複数のうちから一が選択された場合、さらに、図5(C)に例示したような確認表示がなされる(ステップS114)。なお、ステップS113において、車両の外観画像がいずれも選択されなかった場合(ステップS113:No)、すなわち、図5(B)の例示において選択ボタンC3がタッチされた場合、主制御部50は、ステップS111からの動作すなわち再度顔認証をし直す動作を行う。
【0076】
また、ステップS114での確認表示に対して、選択された車両で問題ない旨の指令、すなわち図5(C)の例示で「はい」を示す選択ボタンC1がタッチされた場合(ステップS115:Yes)、事前精算機20による精算処理が行われ(ステップS110)、一連の動作が終了する。一方、ステップS115において、図5(C)の例示で「いいえ」を示す選択ボタンC2がタッチされた場合(ステップS115:No)、再度選択前の画面すなわち図5(B)に例示したような表示態様に戻して、再度の選択を受け付ける(ステップS112)。
【0077】
以上のように、本実施形態に係る駐車管理システム500は、搭乗者PSの顔画像を含む車両データDD1を取得する車両データ取得部VAと、照合用の顔画像を取得する照合画像取得部MAと、車両データ取得部VAと照合画像取得部MAとで取得した顔画像の照合結果に応じて、該当車両に対応する車両データDD1のうち、顔画像以外のデータであって該当車両を特定する特定データDDxを出力する特定データ出力部90とを備える。
【0078】
上記駐車管理システム500では、駐車管理のための車両の特定に際して、駐車する車両の搭乗者PSすなわち駐車場の利用者USの顔画像を利用しつつ、駐車管理における車両の特定結果としては、車両の外観画像のような顔画像以外のデータであって車両を特定するものであるものを出力することで、利用者のプライバシー保護を図ることができる。
【0079】
上記実施形態における以上の態様は、一例であり、種々の変形態様を取ることが可能である。例えば、上記のうち、出場部30について、カメラ33における検知に際して、上述した事前精算機20における事前精算のための車両確認と同様の処理により、顔画像に基づく照合を利用してもよい。すなわち、カメラ33が照合画像取得部MAとして機能するものとしてもよい。また、出場部30については、精算設備やゲート装置32を設けず、車両ナンバー等により出場する車両の確認のみを行い、駐車料金未精算の車両についての情報を記録しておく、といった態様としてもよい。
【0080】
〔第2実施形態〕
以下、図7等を参照しつつ、第2実施形態に係る駐車管理システム500について一例を説明する。本実施形態では、駐車場と提携している店舗等に設置される携帯通信端末TIが、照合画像取得部MAとして機能する態様となっている。その他の点については、第1実施形態の場合と同様であるので、同符号を適用し、必要に応じて、第1実施形態において説明した事項を参照する。
【0081】
図7は、本実施形態に係る駐車管理システム500の概要を説明するための概念図であり、図1に対応する図である。本実施形態では、図示のように、また、既述のように、携帯通信端末TIは、照合画像取得部MAとして機能すべく、カメラTIaと、表示部TIbとを備える。なお、携帯通信端末TIについては、既述のように、例えばスマートフォン(スマホ)やタブレット端末等で構成でき、これらに元々備えられているカメラやタッチパネル部を、上記カメラTIaや、表示部TIbとして使用することが可能である。また、携帯通信端末TIは、例えばネットワーク回線IN(図2参照)を介して駐車管理装置100との通信を可能となっている。なお、携帯通信端末TIは、例えば駐車場と提携している店舗の従業員CL等が所持し、カメラTIaによって撮像された利用者USを含んだ画像データを、照合顔画像データDD2として、駐車管理装置100に対して出力する。駐車管理装置100は、第1実施形態の場合と同様に入場部10において構成される車両データ取得部VAからの車両データDD1と、照合画像取得部MAすなわち携帯通信端末TIからの照合顔画像データDD2とに基づいて、顔画像を利用した照合を行い、顔画像の照合結果に応じて、該当車両を特定する特定データDDxを携帯通信端末TIに対して出力する。
【0082】
上記において、携帯通信端末TIは、利用者USが店舗を利用したことに伴う駐車料金の割引情報を、駐車管理装置100に対して送信する。この際の対象車両の特定として、上述した顔画像の照合を利用する。
【0083】
すなわち、図4(A)に対応する図8(A)に示すように、携帯通信端末TIのカメラTIaにより、フレームF5で範囲を示すように、利用者USの顔画像が撮像され、駐車管理装置100に対して照合顔画像データDD2が出力され、駐車管理装置100において顔画像についての照合がなされる。この後、照合結果としての特定データDDxが、駐車管理装置100から携帯通信端末TIに返信(出力)され、携帯通信端末TIの表示部TIbにおいて、特定データDDxに基づく対象車両の確認表示等の動作がなされる。また、図5(A)~図5(C)に対応する図8(B)~図8(D)に示すように、携帯通信端末TIの表示部TIbにおいて、該当する1つのまたは複数の車両の外観画像GG1~GG3や選択ボタンC1~C3が表示される。すなわち、利用者USまたは従業員CLによる携帯通信端末TIの操作に従って、第1実施形態の場合と同様に、車両の選択・確認がなされる。
【0084】
以下、図9のフローチャートを参照して、照合結果の確認動作における駐車管理システム500の一連の動作処理について一例を説明する。
【0085】
本実施形態においても、店舗の従業員が携帯通信端末TIの表示部TIbすなわちタッチパネルを操作してカメラTIaによる撮像をすることで、第1実施形態の場合と同様に、照合顔画像が取得されることに伴ってなされる一連の照合動作がなされ、かつ、照合結果の確認動作が行われる(ステップS201~S215)。なお、この場合、ステップS210では、図6のステップS110に示す事前精算機20による精算処理に代えて、携帯通信端末TIからの割引情報の適用が駐車管理装置100においてなされる。すなわち、図3(B)に示すデータ表のうち、該当する車両における割引情報が書き換えられる。
【0086】
本実施形態においても、駐車する車両の搭乗者PSすなわち駐車場の利用者USの顔画像を利用しつつ、駐車管理における車両の特定結果としては、車両の外観画像のような顔画像以外のデータであって車両を特定するものであるものを出力することで、利用者のプライバシー保護を図ることができる。特に、本実施形態では、駐車場と提携している店舗での利用に基づく駐車料金の割引適用に際して、プライバシー保護を図った顔画像の利用が可能となる。特に、本実施形態では、顔画像の照合結果に応じた駐車料金の精算を行う精算処理部としての事前精算機20等を備え、精算処理部(事前精算機20等)は、管理対象の駐車場と提携関係にある店舗に設けられた照合画像取得部MAすなわち携帯通信端末TIにより取得した顔画像のデータと、当該駐車場に駐車した車両に対応する顔画像のデータとが一致する場合、駐車料金の割引処理を行う。これにより、顔画像のデータを利用して、駐車料金の割引処理ができる。
【0087】
〔その他〕
この発明は、上記の上記各実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0088】
まず、上記実施形態では、説明の都合上、駐車管理システム500における入場部10や、出場部30、あるいは事前精算機20を1つずつとして記載しているが、これに限らず、これらあるいはこれらの一部を1つの駐車場において複数ずつ有する場合においても、本願を適用することができる。
【0089】
また、車両データ取得部VAを構成するカメラ13についても、種々の態様が可能であり、例えば、カメラ13として複数のカメラを設置して、搭乗者PSと車両VEとを個別に撮像するものとしてもよい。また、各カメラの設置位置についても適宜変更可能であり、例えば後部座席にいる人についても、撮像可能としてもよい。あるいは、入場管理装置11の直近横等にカメラ13を設けて、できるだけ近距離で搭乗者PSを撮像するものとしてもよい。さらに、複数のアングルから車両VEを撮像したり、広画角レンズにより車両全体を撮像したりする態様としてもよい。
【0090】
また、上記では、顔画像が一致しない場合は、認識制度を意図的に低下させて検索し、候補車両から利用者に選択させることで、確実に精算を行うことができるようにしている。これは、例えば複数の類似した顔画像が登録されている状態においては、目的の利用者の情報を選択肢として選出できない、といった事態も生じる可能性があり、このような場合に選択肢を増やすことを目的としたものである。なお、上述した駐車管理装置100を構成する各部での処理のうち、認識精度を意図的に低下させて類似度に基づく判定をすることについては、例えば以下のような方法がある。
【0091】
まず、照合画像取得部MAで取得した利用者の顔画像と、車両データ取得部VAでの取得に基づいて記録されている顔画像の全てを処理し、0~1の範囲で予め定めた「類似係数」を算出する。類似係数が1に近いほど一致度が高い設定となっているものとする。この場合において、例えばその閾値を通常0.8に設定しているが、これを意図的に低下させる場合は、その閾値を0.8より下げる(例えば0.65に下げる)。そうすることで、候補の選択肢が増える傾向にもっていくことができる。なお、このほか、判定に用いる画像自体を加工する、具体的には解像度を下げる、といった方法を採用することも考えられる。
【0092】
また、上記一例では、類似度の判定に際しての閾値の値を再び下げて同様の処理を行うに際して、所定回数までとしていたが(ステップS106等)、利用者の選択がなされるまで閾値の値を下げることを繰り返す態様としてもよい。また、類似度の判定結果の表示際して、利用者が最初に拒否した選択群(選択しなかったもの)を再び選択肢に入れる態様としてもよいし、排除したままとする態様としてもよい。
【0093】
また、事前精算等を考慮して、料金非加算時間(猶予時間)の設定や延長時間の設定をしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10…入場部、11…入場管理装置、12…ゲート装置、12a…ゲートバー、13…カメラ、20…事前精算機、20a…カメラ、20a…表示部、20b…表示部、30…出場部、31…精算装置、32…ゲート装置、32a…ゲートバー、33…カメラ、40…記憶部、41…画像データ格納部、41a…外観画像データ格納部、41b…顔画像データ格納部、50…主制御部、51…車両データ解析部、52…データ抽出部、60…顔画像データ照合部、61…判定部、70…外観画像選択部、80…類似度調整部、90…特定データ出力部、100…駐車管理装置、500…駐車管理システム、A…顔画像データ、A1,A2…矢印、C1~C3…選択ボタン、CL…従業員、CO1,CO2…ループコイル、DD1…車両データ、DD2…照合顔画像データ、DDx…特定データ、DI…データ出入力インターフェース、F1~F5…フレーム、GG1~GG3…外観画像、IN…ネットワーク回線、MA…照合画像取得部、PS…搭乗者、TI…携帯通信端末、TIa…カメラ、TIb…表示部、US…利用者、VA…車両データ取得部、VD1…入口側車両検知部、VD2…出口側車両検知部、VE…車両、X…照合顔画像データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9