(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】出力装置、出力システムおよび出力方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20240718BHJP
A61B 5/08 20060101ALI20240718BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240718BHJP
A61B 5/352 20210101ALI20240718BHJP
【FI】
A61B5/16 100
A61B5/08
A61B5/11 300
A61B5/11 310
A61B5/352 100
(21)【出願番号】P 2020170608
(22)【出願日】2020-10-08
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000214537
【氏名又は名称】長谷川香料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】野尻 健介
(72)【発明者】
【氏名】藤木 文乃
(72)【発明者】
【氏名】四宮 功貴
(72)【発明者】
【氏名】森 憲作
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-159919(JP,A)
【文献】特開2019-190862(JP,A)
【文献】特開2003-245357(JP,A)
【文献】特開2017-032202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、被験者が試料
を飲食している期間を含む測定期間、前記被験者の心周期に関する情報を取得する第1取得部と、
少なくとも、前記測定期間の前記被験者の前記試料への官能評価に関する情報を取得する第5取得部と、
前記心周期に関する情報に基づいて、前記被験者の心拍間隔の長さの経時変化を特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記心拍間隔の長さの経時変化に関する情報を、前記被験者の心理状態を表す指標として出力する出力部と
を備
え、
前記出力部は、さらに、前記第5取得部が取得した前記官能評価に関する情報を出力し、
前記官能評価は時系列官能評価である、出力装置。
【請求項2】
少なくとも、前記
測定期間の前記被験者の前記試料の嚥下に関する情報を取得する第2取得部をさらに有し、
前記出力部は、さらに、前記第2取得部が取得した前記嚥下に関する情報を出力する、
請求項1に記載の出力装置。
【請求項3】
出力される前記測定期間の前記心拍間隔の長さの経時変化に関する情報は、前記被験者の前記試料の嚥下に関する情報に基づいて、複数の期間に区分されている、請求項2に記載の出力装置。
【請求項4】
少なくとも、前記
測定期間の前記被験者の前記試料の咀嚼に関する情報を取得する第3取得部をさらに有し、
前記出力部は、さらに、前記第3取得部が取得した前記咀嚼に関する情報を出力する、
請求項1~3のいずれかに記載の出力装置。
【請求項5】
少なくとも、前記
測定期間の前記被験者の呼吸に関する情報を取得する第4取得部をさらに有し、
前記出力部は、さらに、前記第4取得部が取得した前記呼吸に関する情報を出力する、
請求項1~4のいずれかに記載の出力装置。
【請求項6】
前記官能評価に関する情報は、前記試料の質を表す語および前記被験者の感情を表す語の少なくとも一方を含む、請求項
1~5のいずれかに記載の出力装置。
【請求項7】
前記特定部により特定された前記心拍間隔の長さの経時変化に基づいて、前記被験者の心理状態を推定する推定部をさらに有し、
前記出力部は、さらに、前記推定部により推定された前記被験者の心理状態に関する情報を出力する、
請求項1~6のいずれかに記載の出力装置。
【請求項8】
前記第1取得部は、前記被験者が試料から刺激を受ける前および前記被験者が試料から刺激を受けなくなった後の少なくとも一方の前記被験者の前記心周期に関する情報も取得する、
請求項1~7のいずれかに記載の出力装置。
【請求項9】
被験者の心周期を測定する測定部と、
請求項1~8のいずれかに記載の出力装置と
を備える、出力システム。
【請求項10】
少なくとも、被験者が試料
を飲食している期間を含む測定期間、前記被験者の心周期に関する情報を取得することと、
少なくとも、前記測定期間の前記被験者の前記試料への官能評価に関する情報を取得することと、
前記心周期に関する情報に基づいて、前記被験者の心拍間隔の長さの経時変化を特定することと、
前記心拍間隔の長さの経時変化に関する情報を、前記被験者の心理状態を表す指標として出力することと
、
前記官能評価に関する情報を出力することと
を含み、
前記官能評価は時系列官能評価である、出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力装置、出力システムおよび出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食品の風味および香粧品の香り等の評価には、官能評価が用いられている。また、近年では、試料を飲食したときのヒトの呼吸と、試料に対するヒトの嗜好性との関係が研究されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように試料に対するヒトの嗜好性の把握、換言すれば、試料に対するヒトの心理状態の把握は、飲食品および香粧品等の分野において注目されている。
【0005】
そこで、本発明は、試料に対するヒトの心理状態を表す指標が出力される出力装置、出力システムおよび出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の出力装置は、少なくとも、被験者が試料から刺激を受けている期間、前記被験者の心周期に関する情報を取得する第1取得部と、前記心周期に関する情報に基づいて、前記被験者の心拍間隔の長さの経時変化を特定する特定部と、前記特定部により特定された前記心拍間隔の長さの経時変化に関する情報を、前記被験者の心理状態を表す指標として出力する出力部とを備える。
【0007】
上記目的を達成するための本発明の出力システムは、被験者の心周期を測定する測定部と、上記本発明の出力装置とを備える。
【0008】
上記目的を達成するための本発明の出力方法は、少なくとも、被験者が試料から刺激を受けている期間、前記被験者の心周期に関する情報を取得することと、前記心周期に関する情報に基づいて、前記被験者の心拍間隔の長さの経時変化を特定することと、前記心拍間隔の長さの経時変化に関する情報を、前記被験者の心理状態を表す指標として出力することとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の出力装置、出力システムおよび出力方法によれば、被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報が、被験者の心理状態を表す指標として出力される。よって、試料に対するヒトの心理状態を表す指標を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の出力システムの概略構成の一例を表すブロック図である。
【
図2】
図1に示した出力装置の構成の一例を表すブロック図である。
【
図3】
図1に示した評価受付部で受け付ける官能評価の語の一例を表す図である。
【
図4】
図2に示したCPUの機能構成の一例を表すブロック図である。
【
図5】
図2に示した表示部の表示画像の一例を表す図である。
【
図6】
図2に示した表示部の表示画像の他の例を表す図である。
【
図7】
図1に示した出力装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】RRI(R-R Interval)短縮の累積値について説明するための図である。
【
図9】変形例に係る出力装置の機能構成の一例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
[出力システム1の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る出力システム(出力システム1)の概略構成を示すブロック図である。この出力システム1は、たとえば、被験者が試料を飲食するときの複数の生理応答を測定し、この複数の生理応答の測定結果とともに、官能評価の結果を出力する。複数の生理応答のうちの少なくとも一つの測定結果は、試料に対する被験者の心理状態を表す指標として利用される。
【0013】
出力システム1は、出力装置100、心周期測定部210、嚥下検知部220、咀嚼検知部230、呼吸測定部240および評価受付部250を有している。出力装置100は、心周期測定部210、嚥下検知部220、咀嚼検知部230、呼吸測定部240および評価受付部250各々と接続可能に構成されている。出力装置100は、心周期測定部210、嚥下検知部220、咀嚼検知部230、呼吸測定部240および評価受付部250各々との間で各種の情報や指示を送受信する。
【0014】
〔出力システム1の具体的な構成〕
以下、出力システム1の具体的な構成を説明する。
【0015】
(出力装置100)
出力装置100は、たとえばサーバーまたはPC等のコンピューターである。出力装置100は、複数の装置から構成されてもよく、たとえば多数のサーバーによってクラウドサーバーとして仮想的に構成されてもよい。あるいは、出力装置100は、スマートフォン等のモバイル型のコンピューターであってもよい。
【0016】
図2は、出力装置100の概略構成を示すブロック図である。出力装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)120、RAM(Random Access Memory)130、ストレージ140、通信インターフェース150および表示部160を有する。各構成は、バス170を介して相互に通信可能に接続されている。
【0017】
CPU110は、ROM120またはストレージ140に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御や各種の演算処理を行う。CPU110の具体的な機能については後述する。ROM120は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM130は、作業領域として一時的にプログラムおよびデータを記憶する。
【0018】
ストレージ140は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムおよび各種データを格納する。たとえば、ストレージ140には、他の装置との間で各種情報を送受信したり、他の装置から取得する各種情報に基づいて出力する結果を決定したりするためのアプリケーションがインストールされている。また、ストレージ140には、出力する情報の候補および、各種情報に基づいて出力する結果を決定するために必要となる情報が記憶されている。なお、出力する結果を決定するために機械学習モデルを使用する場合は、機械学習に必要となる教師データや学習済みモデルが記憶されてもよい。
【0019】
通信インターフェース150は、他の装置と通信するためのインターフェースである。通信インターフェース150としては、有線または無線の各種規格による通信インターフェースが用いられる。
【0020】
表示部160は、たとえば、ディスプレイであり、各種情報を表示する。表示部160は、たとえば、タッチパネル式のディスプレイであってもよく、ユーザーからの各種入力を受け付けてもよい。
【0021】
(心周期測定部210)
心周期測定部210は、被験者の心周期を測定する。心周期測定部210は、たとえば、試料の飲食前から試料の飲食後までの期間にわたって、被験者の心周期を測定する。心周期測定部210は、たとえば、心電計であり、電極を含んでいる。この電極は、たとえば、被験者の胸部付近の皮膚に貼り付けられる。心周期測定部210は、脈波センサーであってもよいが、心電計であることが好ましい。心電計の方が、被験者の身体の自由を維持しやすいためである。たとえば、脈波センサーが被験者の指に装着されると、被験者は手を動かしにくくなり、タッチパネルの操作およびマウス操作等による官能評価の入力に影響を及ぼすおそれがある。これに対し、被験者の胸部付近に装着される心電計では、被験者は手を動かしやすくなる。心周期測定部210により測定された被験者の心周期のデータは、出力装置100に送られる。
【0022】
(嚥下検知部220)
嚥下検知部220は、被験者の嚥下を検知する。嚥下検知部220は、たとえば、被験者が試料を飲食している間、1回以上の嚥下を検知する。嚥下検知部220は、たとえば、マイクを含んでおり、嚥下音により被験者の嚥下を検知する。このマイクは、たとえば、被験者の喉付近に取り付けられる。嚥下検知部220を構成するマイクは、咽頭マイクであってもよい。嚥下検知部220は筋電位計であってもよい。この嚥下検知部220を構成する筋電位計の電極は、たとえば、被験者の喉付近の皮膚に貼り付けられ、被験者の嚥下運動に関与する筋肉の筋電位を測定する。嚥下運動に関与する筋肉は、たとえば、舌骨下筋群および舌骨上筋群等である。嚥下検知部220は、たとえば、マイクを含んでおり、嚥下音により被験者の嚥下を検知することが好ましい。これにより、咀嚼運動等の嚥下運動以外の被験者の運動の影響を抑え、より正確に被験者の嚥下を検知することが可能となる。嚥下検知部220により検知された被験者の嚥下のデータは、出力装置100に送られる。
【0023】
(咀嚼検知部230)
咀嚼検知部230は、被験者の咀嚼を検知する。咀嚼検知部230は、たとえば、被験者が試料を口に入れている間の咀嚼を検知する。咀嚼検知部230は、たとえば、筋電位計であり、電極を含んでいる。この電極は、たとえば、被験者の頬付近の皮膚に貼り付けられ、被験者の咀嚼運動に関与する筋肉の筋電位を測定する。咀嚼運動に関与する筋肉は、たとえば、咬筋等である。咀嚼検知部230により検知された被験者の咀嚼のデータは、出力装置100に送られる。
【0024】
(呼吸測定部240)
呼吸測定部240は、被験者の呼吸を測定する。呼吸測定部240は、たとえば、試料の飲食前から試料の飲食後までの期間にわたって、被験者の呼吸を測定する。呼吸測定部240は、たとえば、サーミスタ等の温度センサーを含んでおり、被験者の鼻孔近傍に配置される。この呼吸測定部240を構成するサーミスタは、被験者の呼息および吸息によって変化する鼻孔近傍の温度を連続して測定する。たとえば、呼息の際には、被験者の肺で温められた空気が温度センサーに当たるので、測定温度が上昇し、吸息の際には、鼻の外側の空気が温度センサーに当たるので、測定温度が下降する。このように、被験者の鼻呼吸波形が測定される。呼吸測定部240は、被験者の口呼吸波形、口鼻呼吸波形または呼吸努力波形等を測定してもよいが、被験者の鼻呼吸波形を測定することが好ましい。これにより、被験者が試料を飲食している期間、より自然に近い状態の呼吸を測定することが可能となる。呼吸測定部240により測定された被験者の呼吸のデータは、出力装置100に送られる。
【0025】
(評価受付部250)
評価受付部250は、被験者からの官能評価を受け付ける。評価受付部250は、たとえば、試料の飲食前から試料の飲食後までの期間にわたって、時系列で官能評価を受け付ける。被験者は、たとえば、経時的に、最も注意をひかれた(ドミナントまたは支配的なともいう)感覚および感情等を評価受付部250に入力する。これにより、評価受付部250は、被験者による時系列の官能評価(以下、時系列官能評価ともいう。)を受け付ける。被験者は、実験実施者に求められた基準で、感覚および感情等を評価受付部250に入力すればよく、たとえば、経時的に、最も強く感じた感覚および感情等を評価受付部250に入力してもよい。
【0026】
図3は、評価受付部250で受け付ける官能評価の語の例が示された一覧300である。一覧300には、被験者が試料としてミルクチョコレートを食べるときに選択可能な感覚および感情等を表す複数の語が示されている。一覧300に示される複数の語は、予め実験実施者が選択しておいてもよく、予め被験者が選択しておいてもよい。一覧300には、たとえば、試料の質を表す語(被験者の感覚を表す語)および被験者の感情を表す語が表示される。試料の質を表す語は、たとえば、甘味、ミルク感および油脂感等であり、試料が飲食品のときには、試料の風味および食感等を表す語である。被験者の感情を表す語は、おいしい、幸せなおよび安心感等である。官能評価の語は、これ以外に、被験者が試料に対して感じる任意の語を含んでいてもよい。一覧300には、このような官能評価の語とともに、完全嚥下および風味を感じない等の被験者の飲食行動または感覚の状態を表す語が表示されていてもよい。被験者は、たとえば、官能評価の語とともに、自身の該当するタイミングで、飲食行動または感覚の状態を表す語を入力する。一覧300は紙などの印刷物でもよく、表示部160に表示されてもよい。
【0027】
たとえば、一覧300は、ディスプレイに表示されており、被験者が一覧300のいずれかの語を手動で操作することにより、評価受付部250は、官能評価を受け付ける。手動での操作は、たとえば、マウスによるクリック操作または、タッチパネルによる操作等である。評価受付部250は、被験者の手動での操作に代えて、被験者の視線による操作を受け付けてもよい。たとえば、被験者は視線計測器を装着し、用紙に印刷された一覧300のいずれかの語に一定時間以上視線を向ける。これにより、評価受付部250は、被験者による官能評価を受け付ける。評価受付部250が、被験者の視線による操作を受け付けることにより、手動での操作に起因する心周期測定部210等への影響を抑えることが可能となる。
【0028】
評価受付部250は、試料の質を表す語および被験者の感情を表す語の一方のみを受け付けてもよいが、試料の質を表す語および被験者の感情を表す語の両方を受け付けることが好ましい。これにより、心周期等の被験者の生理応答と、官能評価とのより詳細な関係を明らかにすることが可能となる。また、評価受付部250は、単一のタイミングでの官能評価を受け付けてもよいが、複数のタイミングでの官能評価、即ち、時系列での官能評価を受け付けることが好ましい。これにより、心周期等の被験者の生理応答と、官能評価との動的な関係を明らかにすることが可能となる。
【0029】
出力システム1は、さらに、開口検知部を含んでいてもよい。開口検知部は、被験者が試料を飲食するための開口を検知する。開口検知部は、たとえば、動画記録装置を含んでおり、被験者の口付近を撮影し、記録する。
【0030】
〔出力装置100の機能構成〕
次に、出力装置100、具体的には、CPU110の機能構成を説明する。
【0031】
図4は、CPU110の機能構成の一例を示すブロック図である。出力装置100では、たとえば、CPU110がストレージ140に記憶されたプログラムを読み込んで処理を実行することによって、第1取得部111、第2取得部112、第3取得部113、第4取得部114、第5取得部115、特定部116および出力部117として機能する。
【0032】
第1取得部111は、少なくとも、被験者が試料から刺激を受けている期間、被験者の心周期に関する情報を取得する。ここでは、被験者が試料から刺激を受けている期間は、被験者が試料を飲食している期間を含む期間である。第1取得部111は、被験者が試料から刺激を受けていない期間の被験者の心周期に関する情報を取得してもよい。被験者が試料から刺激を受けていない期間は、たとえば、被験者が試料から刺激を受ける前および被験者が試料から刺激を受けなくなった後の少なくとも一方を含む。第1取得部111は、たとえば、試料の飲食前から試料の飲食後までの期間にわたって心周期測定部210から送られる被験者の心周期のデータを取得する。このとき、第1取得部111は、少なくとも、被験者が試料から刺激を受ける前の期間および被験者が試料から刺激を受けている期間の被験者の心周期のデータを取得する。試料の飲食後の期間は、被験者が試料から刺激を受けている期間であってもよく、あるいは、被験者が試料から刺激を受けなくなった後の期間であってもよい。本明細書において刺激とは、実験実施者が意識的に被験者に与える刺激や被験者が意識的に感じている刺激を含むが、そのほかにも実験環境(温度、湿度、音、視認可能な物体など)などから無意識に受けている刺激も含んでよい。実験実施者は必要時には、意識的に与える刺激以外で被験者が受け得る刺激を低減するか被験者間で同様とするよう、実験環境などを調整することが好ましい。
【0033】
第2取得部112は、少なくとも、被験者が試料から刺激を受けている期間、被験者の試料の嚥下に関する情報を取得する。具体的には、第2取得部112は、被験者が試料を飲食している間、嚥下検知部220から送られる被験者の嚥下のデータを取得する。
【0034】
第3取得部113は、少なくとも、被験者が試料から刺激を受けている期間、被験者の試料の咀嚼に関する情報を取得する。具体的には、第3取得部113は、被験者が試料を飲食している間、咀嚼検知部230から送られる被験者の咀嚼のデータを取得する。
【0035】
第4取得部114は、少なくとも、被験者が試料から刺激を受けている期間、被験者の呼吸に関する情報を取得する。具体的には、第4取得部114は、試料の飲食前から試料の飲食後までの期間にわたって呼吸測定部240から送られる被験者の呼吸のデータを取得する。
【0036】
第5取得部115は、少なくとも、被験者が試料から刺激を受けている期間、被験者の試料への官能評価に関する情報を取得する。具体的には、第5取得部115は、試料の飲食前から試料の飲食後までの期間にわたって評価受付部250から送られる時系列官能評価を取得する。
【0037】
特定部116は、第1取得部111が取得した心周期に関する情報に基づいて、被験者の心拍間隔の長さの経時変化を特定する。具体的には、特定部116は、試料の飲食前から試料の飲食後までの期間にわたって、被験者のRRI(R-R Interval)の長さの経時変化を特定する。
【0038】
出力部117は、特定部116により特定された心拍間隔の長さの経時変化に関する情報を、被験者の心理状態を表す指標として出力する。具体的には、出力部117から、被験者のRRIの長さの経時変化が出力され、このRRIの長さの経時変化が、被験者の心理状態を表す指標として用いられる。RRIの長さの経時変化を、被験者の心理状態を表す指標として用いる方法の詳細については、後述する。
【0039】
出力部117は、たとえば、心拍間隔の長さの経時変化に関する情報とともに、第2取得部112により取得された被験者の嚥下に関する情報、第3取得部113により取得された被験者の咀嚼に関する情報、第4取得部114により取得された被験者の呼吸に関する情報および第5取得部115により取得された試料への官能評価に関する情報を出力する。出力部117により出力されたこれらの情報は、たとえば、表示部160に表示される。
【0040】
図5および
図6は、出力部117から出力された情報を表示する表示部160の画像の一例を表している。
図5は、所定の被験者Aが試料としてミルクチョコレートを食べたときの表示部160の画像を表し、
図6は、被験者Aが試料としてダークチョコレートを食べたときの表示部160の画像を表している。
【0041】
表示部160には、たとえば、被験者Aの心拍間隔の長さの経時変化に関する情報、被験者Aの嚥下に関する情報、被験者Aの咀嚼に関する情報、被験者Aの呼吸に関する情報および試料への官能評価に関する情報各々が、時間軸を揃えて表示される。
図5および
図6に示した例では、横軸が時間軸を表す。
【0042】
表示部160では、たとえば、時間軸が、第1期間、第2期間、第3期間および第4期間に区切られていてもよい。第1期間は、たとえば、被験者が試料から刺激を受ける前の安静期間(被験者が試料から刺激を受けていない期間)であり、具体的には、心周期測定部210等の測定開始から被験者Aが試料を口に入れるまでの期間である。第1期間の終了は、たとえば、開口検知部により決定される。第1期間の終了は、被験者Aの申告により決定されてもよい。第2期間は、被験者Aが試料を口に入れてから、試料を完全に嚥下するまでの期間である。完全に嚥下するまでの期間とは、嚥下によって、被験者Aの口中から試料が実質的に消失するまでの期間をいう。第2期間の終了は、たとえば、被験者Aの申告により決定される。たとえば、評価受付部250を介して、被験者Aによる第2期間の終了の申告を受け付けるようにしてもよい(
図3)。第3期間は、被験者Aが試料を完全に嚥下してから試料の風味を感じなくなるまでの期間である。第3期間の終了は、たとえば、被験者Aの申告により決定する。たとえば、評価受付部250を介して、被験者Aによる第3期間の終了の申告を受け付けるようにしてもよい(
図3)。第4期間は、被験者Aが試料の風味を感じなくなってから心周期測定部210等の測定終了までの期間である。
【0043】
被験者Aが試料を口に入れている間の心拍間隔は、平常時の被験者Aの心拍間隔よりも短くなり、被験者Aが試料を完全に嚥下した後、被験者Aの心拍間隔は平常時に近づく傾向がある。このことから、第2期間では、被験者Aの交感神経が優位の状態、即ち、被験者Aが緊張状態であり、第3期間から第4期間にかけて被験者Aの緊張状態が緩和されることが分かる。
【0044】
このように、時間軸を第1期間、第2期間、第3期間および第4期間に区切って、被験者Aの心拍間隔の長さの経時変化等を表示することにより、被験者Aの飲食行動の各状態と、被験者Aの心理状態とのより詳細な関係を把握することが可能となる。
【0045】
被験者Aの呼吸に関する情報は、たとえば、呼吸測定部240(温度センサー)で測定された温度の経時変化である。被験者Aの咀嚼に関する情報は、たとえば、咀嚼検知部230(筋電位計)で検知された咬筋電位の経時変化である。被験者Aの嚥下に関する情報は、たとえば、嚥下検知部220(マイク)で検知された嚥下音の大きさの経時変化である。
図5および
図6では、被験者Aの嚥下のタイミングを黒塗りの三角で表した。被験者Aの心拍間隔の長さの経時変化に関する情報は、たとえば、特定部116で特定されたRRIの長さの経時変化である。被験者Aの試料への官能評価に関する情報は、たとえば、評価受付部250で受け付けられた時系列の官能評価であり、試料の質を表す語および被験者Aの感情を表す語を含んでいる。
図5および
図6では、試料の質を表す語を白抜きの矢印、被験者Aの感情を表す語を黒塗りの矢印で各々表した。白抜きおよび黒塗りの矢印とともに示した細線の矢印は、被験者により申告された、唾液が出るという飲食行動の状態を表している。
【0046】
このように、出力装置100では、被験者Aの複数の生理応答の測定結果と、試料への官能評価とが一覧で出力されるので、複数の生理応答各々の測定結果と官能評価との関係、あるいは、複数の生理応答各々の測定結果の互いの相関関係を明らかにすることが可能となる。
【0047】
〔出力装置100の処理方法〕
次に、出力装置100において実行される処理を説明する。
【0048】
図7は、出力装置100において実行される処理の手順、即ち、出力装置100による出力方法を示すフローチャートである。出力装置100による出力方法は、たとえば、出力装置100のストレージ140にプログラムとして記憶されており、CPU110が各部を制御することにより実行される。
【0049】
まず、出力装置100は、被験者の心周期に関する情報を取得する(ステップS101)。被験者の心周期に関する情報は、たとえば、心周期測定部210で測定された被験者の心周期のデータである。出力装置100は、たとえば、被験者の心周期に関する情報とともに、被験者の嚥下に関する情報、被験者の咀嚼に関する情報、被験者の呼吸に関する情報および試料への官能評価に関する情報を取得する。これらの情報は、被験者の心周期に関する情報と同じタイミングで取得されてもよく、異なるタイミングで取得されてもよい。
【0050】
次に、出力装置100は、ステップS101で取得した被験者の心周期に関する情報に基づいて、被験者の心拍間隔の長さの経時変化を特定する(ステップS102)。
【0051】
この後、出力装置100は、ステップS102の処理において特定された被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報を出力する(ステップS103)。被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報は、たとえば、被験者のRRIの長さの経時変化である。出力された被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報は、被験者の心理状態を表す指標として用いられる。出力装置100は、たとえば、被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報とともに、被験者の嚥下に関する情報、被験者の咀嚼に関する情報、被験者の呼吸に関する情報および試料への官能評価に関する情報を出力する。出力装置100は、たとえば、これらの情報を表示部160に表示することにより出力する。
【0052】
〔出力情報の利用方法〕
上記のようにして出力装置100により処理された被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報は、たとえば以下のようにして被験者の心理状態を表す指標として用いられる。
【0053】
図8は、出力装置100により出力された被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報、被験者の咀嚼に関する情報および被験者の嚥下に関する情報の一例を表している。具体的には、RRIの長さの経時変化、咬筋電位の経時変化および嚥下音の検知のタイミングが
図8に示されている。
【0054】
たとえば、第2A期間の被験者のRRI短縮の累積値(以下、累積値1151と表す)を、被験者の心理状態を表す指標として用いてもよい。第2A期間は、第2期間の一部であり、被験者が試料の咀嚼を開始してから咀嚼を終了するまでの期間である。第2A期間の開始および終了は、たとえば、咬筋電位の経時変化に基づいて決定される。即ち、第2A期間の開始および終了は、咀嚼検知部230からのデータに基づいて決定される。第2A期間の開始および終了は、被験者からの申告により決定されるようにしてもよい。
【0055】
RRI短縮は、たとえば、第1期間での被験者のRRIの長さの平均値Iaと比較したRRIの短縮である。累積値1151は、第2A期間において、平均値Iaを表す軸と、RRIの経時変化を表す線とで囲まれた領域の面積、即ち、第2A期間におけるRRI短縮の経時変化の積分値である。
【0056】
たとえば、被験者が好ましいと感じる試料を飲食したとき、累積値1151は小さくなり、被験者が好ましくないと感じる試料を飲食したとき、累積値1151は大きくなる。換言すれば、比較的小さな値の累積値1151は、被験者が快適な心理状態にあることを表し、比較的大きな値の累積値1151は、被験者が不快な心理状態にあることを表す。快適な心理状態は、たとえば、被験者が心地よさを感じている心理状態および試料からの刺激をさらに受けたいという積極的な心理状態等を含む。
【0057】
被験者の心理状態を表す指標として、第3期間以降、被験者の心拍間隔の長さが平均値Iaに戻るまでの時間を用いるようにしてもよい。たとえば、被験者が好ましいと感じる試料を飲食したとき、この時間は短くなり、被験者が好ましくないと感じる試料を飲食したとき、この時間は長くなる。
【0058】
被験者の心理状態を表す指標として、心拍間隔の長さの経時変化の微分値を用いるようにしてもよい。この微分値は、たとえば、第2期間と第3期間との境界近傍の微分値であり、被験者が好ましいと感じる試料を飲食したとき大きくなり、被験者が好ましくないと感じる試料を飲食したとき小さくなる。
【0059】
出力装置100により出力された他の情報を、被験者の心理状態を表す指標として用いるようにしてもよい。たとえば、第2A期間、第2期間または第3期間の長さを、被験者の心理状態を表す指標として用いるようにしてもよい。たとえば、被験者が好ましいと感じる試料を飲食したとき、第2A期間、第2期間および第3期間の長さは短くなり、被験者が好ましくないと感じる試料を飲食したとき第2A期間、第2期間および第3期間の長さは長くなる。
【0060】
〔出力装置100および出力システム1の作用効果〕
本実施形態の出力装置100および出力システム1では、第1取得部111が取得した心周期に関する情報に基づいて、被験者の心拍間隔の長さの経時変化が特定され、この情報が、被験者の心理状態を表す指標として出力される。よって、試料に対するヒトの心理状態を表す指標を出力することができる。即ち、出力装置100および出力システム1では、新たな指標を用いて、試料に対する被験者の嗜好性を把握することが可能となる。
【0061】
また、出力装置100および出力システム1では、被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報とともに、被験者の嚥下に関する情報および被験者の咀嚼に関する情報が出力される。これにより、被験者の飲食行動を第1期間、第2期間(第2A期間)、第3期間および第4期間等の各期間に区分しやすくなる。よって、特定の期間の被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報を、被験者の心理状態を表す指標として用いることができる。特定の期間は、たとえば、第2期間、第2A期間および第3期間等、あるいは、複数の嚥下のうち、いずれかの嚥下の嚥下直前期間、嚥下期間または嚥下直後期間等である。
【0062】
特定の期間の開始および終了は、被験者からの申告により決定されてもよいが、嚥下検知部220および咀嚼検知部230から送られるデータに基づいて決定することが好ましい。これにより、より正確に特定の期間の開始および終了を決定することができる。また、被験者が申告する際に感じるストレスを軽減することができる。
【0063】
また、出力装置100および出力システム1では、被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報とともに、時系列の官能評価に関する情報が出力される。これにより、被験者の第1期間、第2期間、第3期間および第4期間の飲食行動の各状態と、各期間の被験者の心理状態とのより詳細な関係を把握することが可能となる。たとえば、第2期間の官能評価では、主に試料の質を表す語が確認され、第3期間の官能評価では、主に、被験者の感情を表す語が確認された。たとえば、このことにより、飲食行動の各期間での被験者の大脳の働き方の変化の傾向を把握しやすくなる。
【0064】
また、出力装置100および出力システム1では、被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報とともに、被験者の呼吸に関する情報が出力される。これにより、被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報および被験者の呼吸に関する情報を、被験者の心理状態を表す指標として用いることができ、これらの情報の相関関係を把握することが可能となる。たとえば、被験者の呼気および吸気と、被験者の心理状態とを関連付けて把握することが可能となる。特に、被験者の呼気は、被験者の心理状態を表す指標として有用である(特許文献1参照)。
【0065】
また、出力装置100および出力システム1では、被験者の嚥下に関する情報、被験者の咀嚼に関する情報および被験者の呼吸に関する情報各々を、被験者の心理状態を表す指標として用いるようにしてもよい。これにより、被験者の複数の生理応答各々と、被験者の心理状態との関係を把握することが可能となる。
【0066】
以上のように、本実施形態の出力装置100および出力システム1によれば、被験者の心拍間隔の長さの経時変化に関する情報が、被験者の心理状態を表す指標として出力される。よって、試料に対するヒトの心理状態を表す指標を出力することができる。
【0067】
<変形例>
上記実施形態では、出力装置100が、第1取得部111、第2取得部112、第3取得部113、第4取得部114、第5取得部115、特定部116および出力部117を有する例を説明したが、出力装置100は他の機能構成を有していてもよい。
【0068】
図9は、変形例に係る出力装置100(CPU110)の機能構成の一例を表している。たとえば、出力装置100は、さらに、推定部118を有していてもよい。推定部118は、特定部116により特定された心拍間隔の長さの継時変化に基づいて、被験者の心理状態を推定する。出力部117は、たとえば、被験者の心拍間隔の長さの継時変化に関する情報とともに、推定部118により推定された被験者の心理状態に関する情報を出力する。
【0069】
<その他の変形例>
本発明は、上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0070】
たとえば、出力装置100および出力システム1は、それぞれ上記の構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上記の構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0071】
たとえば、出力装置100は、少なくとも、第1取得部111、特定部116および出力部117を有していればよく、第2取得部112、第3取得部113、第4取得部114および第5取得部115を有していなくてもよい。あるいは、出力装置100は、さらに、被験者の生理応答に関する他の情報等を取得してもよい。
【0072】
また、出力装置100は、複数の装置によって構成されてもよく、あるいは単一の装置によって構成されてもよい。
【0073】
また、出力システム1および出力装置100の各構成が有する機能は、他の構成によって実現されてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、試料が飲食物である例を説明したが、試料は香粧品等であってもよい。このとき、たとえば、被験者が試料から刺激を受けている期間は、被験者が試料の匂いを嗅いでいる期間を含む。
【0075】
また、上述した実施形態では、第1期間を安静期間として説明したが、第1期間が、被験者が試料から刺激を受けている期間を含んでいてもよい。たとえば、第1期間のうち、被験者が試料の匂いを嗅いでいる期間を、被験者が試料から刺激を受けている期間としてもよく、このとき、第1期間を、安静期間と、被験者が試料の匂いを嗅いでいる期間とに区切って表示部160に表示してもよい。上述した実施形態では、時間軸を第1期間、第2期間、第3期間および第4期間に区切って表示部160に表示する例を説明したが(
図5および
図6参照)、他の観点で時間軸を複数の期間に区切って表示してもよく、あるいは、時間軸を区切らずに表示するようにしてもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、主に、被験者が飲食品から受ける刺激(代表的には、味覚、嗅覚、食感およびそれらを総合した感覚)を説明したが、被験者が受ける刺激は、視覚、聴覚、触覚、冷感および熱感等、ヒトの感覚機能のいずれによる刺激であってもよい。被験者が受ける刺激は、1つの感覚機能による刺激であってもよく、任意の組み合わせの2つ以上の感覚機能による刺激であってもよい。たとえば、被験者は試料から以下のような刺激を受けてもよい。被験者が試料のパッケージまたは試料の形状を見ることにより、被験者は視覚による刺激を受ける。被験者が試料に触れることにより、被験者は触覚による刺激を受ける。被験者が試料の名称を聞くことにより、被験者は聴覚による刺激を受ける。
【0077】
また、被験者が受ける刺激は、仮想的な現実から受ける刺激であってもよい。仮想的な現実は、たとえば、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)およびSR(Substitutional Reality)等を含むxRである。
【0078】
また、上記の実施形態におけるフローチャートの処理単位は、各処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理ステップの分類の仕方によって、本願発明が制限されることはない。各処理は、さらに多くの処理ステップに分割することもできる。また、1つの処理ステップが、さらに多くの処理を実行してもよい。
【0079】
上述した実施形態に係る解析システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、解析システムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【0080】
<実施例>
次に、本実施形態の出力システム1を用いた実施例を説明する。
【0081】
被験者A、被験者Bおよび被験者Cが、各々、試料としてミルクチョコレートおよびダークチョコレートを食べたときの被験者A、被験者Bおよび被験者Cの各情報を出力システム1により出力した。
図5は、被験者Aがミルクチョコレートを食べたとき、
図6は、被験者Aがダークチョコレートを食べたときに各々、出力システム1により出力された各情報である。被験者Bおよび被験者Cについても、同様に、出力システム1により各情報を出力した。
【0082】
なお、出力された被験者A、被験者Bおよび被験者C各々の官能評価に関する情報により、被験者A、被験者Bおよび被験者Cはいずれも、ミルクチョコレートを食べたときに好ましく感じ、ダークチョコレートを食べたときに好ましくないと感じることが確認されている。
【0083】
ここでは、第2A期間のRRI短縮の累積値1151(
図8参照)の値を、被験者A、被験者Bおよび被験者Cの心理状態を表す指標として用いた。被験者A、被験者Bおよび被験者C各々では、ミルクチョコレートを食べたときの累積値1151の値が、ダークチョコレートを食べたときの累積値1151の値よりも58.0%、49.2%および25.3%小さくなっていた。即ち、被験者A、被験者Bおよび被験者Cにおいて、好ましいと感じる試料を食べたときの累積値1151の値が、好ましくないと感じる試料を食べたときの累積値1151の値よりも小さくなることが確認された。したがって、累積値1151は、被験者の嗜好性と相関関係があり、被験者の心理状態を表す指標となり得ることが分かった。
【符号の説明】
【0084】
1 出力システム、
100 出力装置、
110 CPU、
120 ROM、
130 RAM、
140 ストレージ、
150 通信インターフェース、
160 表示部、
170 バス、
111 第1取得部、
112 第2取得部、
113 第3取得部、
114 第4取得部、
115 第5取得部、
116 特定部、
117 出力部、
118 推定部、
210 心周期測定部、
220 嚥下検知部、
230 咀嚼検知部、
240 呼吸測定部、
250 評価受付部。