(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ブラインドの回転機構
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
E06B9/322
(21)【出願番号】P 2020186104
(22)【出願日】2020-11-06
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 公利
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】堀内 和哉
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 理恵
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-057294(JP,U)
【文献】特開2005-068701(JP,A)
【文献】特開2008-297719(JP,A)
【文献】特開2020-133352(JP,A)
【文献】特開2005-060990(JP,A)
【文献】特開平08-004453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24 - 9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部の操作により回転する回転軸を介して、スラットを傾動させるブラインドの回転機構であって、
前記回転軸と一体に回転し、突部を形成した回転体と、
前記回転体を収容する収容部を有するケースと、
前記突部に押されながら回転し、前記回転体の回転範囲を規定する一つ以上の係合子と、を備え、
前記係合子は、数量
を変更、又は
数量及び大きさを変更して前記収容部に収容されている、ブラインドの回転機構。
【請求項2】
前記係合子は、前記回転体の回転範囲に対応して、前記収容部に後から着脱自在に収容できる、請求項1記載のブラインドの回転機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドの回転機構に関する。特に、スラットを傾動させるブラインドの回転機構の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
操作部の操作により回転する回転軸を介して、スラットを傾動させるブラインドの回転機構が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によるブラインドの回転機構は、スラット群傾動用の回転軸の正方向回転及び逆方向回転の限界位置を与えるストッパ手段として、回転軸の軸方向の一部に設けられた突起と、突起に押されてボール収容部の内部を移動するボールと、を備えている。
【0005】
特許文献1によるブラインドの回転機構は、突起に押されたボールがボール収容部の内壁に形成した段部に移動することで、ボールの移動は規制されて、回転軸をそれ以上回転させることができない、という効果を有している。
【0006】
しかしながら、スラットの種類(幅、上下のスラット間隔、厚みなど)によって、スラットが全閉まで回転するために必要な回転軸の回転量は異なり、回転軸の回転範囲を規定するためには、スラットの種類毎にボール収容部の内壁の段部の位置を変更したケースを用意する必要があるという課題があった。
【0007】
スラットの種類に対応して、スラットが全閉まで回転するために必要な回転軸の回転量を調整可能とすることで、回転体又はケースの部品を共通化できるブラインドの回転機構が求められていた。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、回転軸の回転量を調整可能なブラインドの回転機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、回転ドラムを回転可能な回転軸と一体回転できる回転体を設け、回転体には外周方向に突出した突部を形成し、回転体を収容するケースには、係合子(鋼球)を移動可能に収容した収容部を形成し、突部は、係合子を押しながら回転でき、収容部に収容される係合子の数によって、回転体が回転可能な範囲を調整可能としたことで、回転体又はケースの部品を共通化できると考え、これに基づいて、以下のような新たなブラインドの回転機構を発明するに至った。
【0010】
(1)本発明によるブラインドの回転機構は、操作部の操作により回転する回転軸を介して、スラットを傾動させるブラインドの回転機構であって、前記回転軸と一体に回転し、突部を形成した回転体と、前記回転体を収容する収容部を有するケースと、前記突部に押されながら回転し、前記回転体の回転範囲を規定する一つ以上の係合子と、を備え、前記係合子は、数量を変更、又は数量及び大きさを変更して前記収容部に収容されている。
【0011】
(2)前記係合子は、前記回転体の回転範囲に対応して、前記収容部に後から着脱自在に収容できるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるブラインドの回転機構は、スラットの種類に対応して、係合子の数量又は大きさを変更して収容部に収容することで、突部又は収容部に設けた段部を変更することなく、回転体又はケースの部品を共通化して回転体の回転範囲を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態によるブラインドの全体構成を示す正面図であり、複数のスラットを全開にした状態図である。
【
図2】第1実施形態によるブラインドに備わるヘッドボックスの内部構成を示す縦断面図である。
【
図3】第1実施形態によるブラインドに備わるヘッドボックスの内部構成を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態によるブラインドに備わる回転機構の内部構成を示す断面図であり、
図2のA-A矢視図である。
【
図5】第1実施形態によるブラインドに備わるヘッドボックスの内部構成を示す断面図であり、
図2のC-C矢視図である。
【
図6】第1実施形態によるブラインドに備わるヘッドボックスの内部構成を示す断面図であり、中央部の昇降ドラムにおける
図2のC-C矢視図に相当する図である。
【
図7】
図2のB-B矢視図であり、複数のスラットが全開の状態図である。
【
図8】
図2のB-B矢視図であり、
図7に示した状態から回転体を正回転して複数のスラットが全閉の状態図である。
【
図9】
図2のB-B矢視図であり、
図8に示した状態から回転体を逆回転して複数のスラットを反全閉にした状態図である。
【
図10】
図2のB-B矢視図に相当する図であり、スラットの幅を狭くしたことにより、収容部の内部に係合子を2個収容して、複数のスラットが全開の状態図である。
【
図11】
図2のB-B矢視図に相当する図であり、
図10に示した状態から回転体を正回転して複数のスラットを全閉にした状態図である。
【
図12】
図2のB-B矢視図に相当する図であり、
図10に示した状態から回転体を逆回転して複数のスラットを反全閉にした状態図である。
【
図13】第1実施形態によるブラインドに備わる回転機構の要部の構成を示す断面図であり、
図13(A)は、回転体を逆回転して複数のスラットを反全閉にした状態図、
図13(B)は、回転体を正回転して複数のスラットを全開にした状態図、
図13(C)は、回転体を正回転して複数のスラットを全閉にした状態図、
図13(D)は、幅を狭くしたスラットにおいて回転体を逆回転して複数のスラットを反全閉にした状態図、
図13(E)は、
図13(D)に示した状態から回転体を正回転して複数のスラットを全開にした状態図、
図13(F)は、回転体を正回転して複数のスラットを全閉にした状態図である。
【
図14】
図2のB-B矢視図に相当する図であり、外径が異なる複数の係合子を収容部の内部に収容した状態図である。
【
図15】本発明によるブラインドの動作を示す断面図であり、
図15(A)は、複数のスラットが全開状態で降下している状態図、
図15(B)は、
図15(A)に示した状態から操作コードを引いて複数のスラットを上昇させた状態図、
図15(C)は、
図15(B)に示した状態から操作コードを解放した状態図、
図15(D)は、
図15(A)に示した状態から操作棒を回転して複数のスラットを全閉にした状態図である。
【
図16】本発明の第2実施形態によるブラインドに備わる回転機構の内部構成を示す図であり、
図16(A)は、回転機構の縦断面図、
図16(B)は、回転機構の分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0015】
[第1実施形態]
(ブラインドの構成)
最初に、本発明の第1実施形態によるブラインドの全体構成を説明する。
【0016】
(全体構成)
図1から
図3を参照すると、本発明の第1実施形態によるブラインドBdは、C形チャンネル状のヘッドボックスBhと複数のスラットStを備えている。ヘッドボックスBhは、複数のブラケットBrを介して、窓枠の上部又は天井面に取り付けできる。又、ヘッドボックスBhは、複数のラダーコードCeを介して、複数のスラットStを吊り下げている。
【0017】
図1から
図3を参照すると、ヘッドボックスBhは、操作ユニットUc、昇降軸91s、及び、複数のドラム装置9dを内部に配置している。又、ヘッドボックスBhは、回転軸92sと回転ドラム92dを内部に配置している。更に、ヘッドボックスBhは、ブレーキBkとストッパSpを内部に配置している。
【0018】
図1から
図3を参照すると、ブラインドBdは、操作部1aを更に備えている。操作部1aは、内部が中空の操作棒1Btと操作コード1cを備えている(
図15参照)。操作棒1Btをその軸周りに回転することで、操作ユニットUcの内部に配置した回転機構10を介して、複数のスラットStを角度調整できる。操作コード1cを操作することで、複数のスラットStを昇降できる。
【0019】
(ヘッドボックスの内部構成)
図2又は
図3を参照すると、操作ユニットUcは、コードリール12とクラッチ機構Ctを内部に備えている。コードリール12には、その外周に操作コード1cが巻き回されている(
図2参照)。クラッチ機構Ctは、操作コード1cの操作態様に対応して、コードリール12の回転を昇降軸91sに伝動又は遮断できる。
【0020】
図1から
図3を参照すると、昇降軸91sは、多角棒からなり、ヘッドボックスBhの長手方向に沿って配置されている。昇降軸91sの一端部側は、クラッチ機構Ctと回り止め可能に連結している。昇降軸91sは、ドラム装置9dに設けた昇降ドラム91dの中心部を挿通している。そして、昇降軸91sは、その回転を複数の昇降ドラム91dに伝動できる。
【0021】
図1又は
図2を参照すると、昇降ドラム91dは、昇降コードCrの一端部側を外周に巻き回している。昇降コードCrは、その他端部をボトムレールRbに係留している。昇降軸91sを一方の方向に回転することで、昇降ドラム91dは、昇降コードCrを巻き取りできる。そして、ボトムレールRbを介して、複数のスラットStを上昇できる(
図15(B)参照)。
【0022】
一方、
図1又は
図2を参照して、クラッチ機構Ctが解除されると、昇降コードCrが昇降ドラム91dから巻き解かれ、ボトムレールRbが上昇した状態においては、複数のスラットSt及びボトムレールRbの自重により複数のスラットStを降下できる(
図1又は
図15(A)参照)。
【0023】
図1を参照して、複数のスラットStが降下すべく、昇降軸91sが他方の方向に回転する過程では、ブレーキBkは、昇降軸91sの回転速度を制動し、複数のスラットStは低速で下降できる。
【0024】
図1を参照して、ストッパSpは、クラッチばねと円筒カム(いずれも図示せず)を内部に配置している。複数のスラットStが降下した状態(
図15(A)参照)から、操作コード1cを引くと、クラッチ機構Ctを介して昇降軸91sに駆動力が伝達され、昇降軸91sは、昇降ドラム91dが昇降コードCrを巻き取る方向に回転する。操作コード1cの引き動作を停止すると、クラッチ機構Ctによる駆動力の伝達が遮断され、昇降軸91sは、複数のスラットSt及びボトムレールRbの自重により、昇降ドラム91dが昇降コードCrを巻き解く方向に若干回転する。これにより、ストッパSpが作動して、複数のスラットStをその高さ位置で停止できる(
図15(B)参照)。複数のスラットStが下降する過程及び上昇過程では、ストッパSpが作動することなく、昇降軸91sの回転を継続できる。
【0025】
図1から
図3を参照すると、回転軸92sは、多角棒からなり、ヘッドボックスBhの長手方向に沿って配置されている。又、回転軸92sは、昇降軸91sと略平行に配置さている。回転軸92sの一端部側は、後述する操作ユニットUcの第2ケース12c内で回転自在に支持されている(
図2参照)。
【0026】
図2又は
図3及び
図5又は
図6を参照すると、回転軸92sの他端部は、ドラム装置9dに設けた回転ドラム92dの中心部を挿通している。そして、回転軸92sは、その回転を複数の回転ドラム92dに伝動できる。
【0027】
図5又は
図6を参照すると、回転ドラム92dは、ラダーコードCeの一端を係留している。ラダーコードCeは、少なくとも最上段に位置するスラットStの幅方向の端縁にスラットクリップを介して係留している。回転ドラム92dから二股に分岐したラダーコードCeは、複数のスラットStを支持している。二股に分岐したラダーコードCeの他端は、ラダーホルダHeに係留している(
図1参照)。ラダーホルダHeがボトムレールRbに嵌合することで、ラダーコードCeの他端は、ボトムレールRbを支持している(
図1参照)。回転軸92sを回転すると、回転ドラム92dを介して、複数のスラットSt及びボトムレールRbを一斉に傾動できる(
図15(D)参照)。
【0028】
(スラットの構成)
スラットSt及びボトムレールRbの構成は、以上述べた通りであるが、実施形態によるブラインドBdは、両端部の昇降コードCrを室外Ro側に配置している(
図5参照)。そして、両端部の昇降コードCrの他端部は、ボトムレールRbに係留している(
図1参照)。
図5を参照すると、両端部の昇降コードCrは、コードガイドSdeに設けたガイドローラRgに案内されて、昇降ドラム91dに巻き取り又は巻き解きされる。
【0029】
一方、実施形態によるブラインドBdは、中央部の昇降コードCrを室内Ri側に配置している(
図6参照)。そして、中央部の昇降コードCrの他端部は、ボトムレールRbに係留している(
図1参照)。
図6を参照すると、中央部の昇降コードCrは、コードガイドSdeに設けたガイドローラRgに案内されて、昇降ドラム91dに巻き取り又は巻き解きされる。
【0030】
(操作ユニットの構成)
次に、操作ユニットUcの構成を説明する。
図2又は
図3を参照すると、操作ユニットUcは、第1ケース11c、第2ケース12c、及び、第3ケース13cをヘッドボックスBhの端部に設置している。第1ケース11cと第2ケース12cは、重ね合わせることで内部に空洞を有する分割ケースである。そして、第1ケース11cと第2ケース12cは、コードリール12を内部の上部に収容している(
図2から
図4参照)。又、第1ケース11cと第2ケース12cは、後述するぜんまいバネ12sを内部の上部に収容している(
図2又は
図7参照)。
【0031】
図2又は
図3を参照すると、第3ケース13cは、第1ケース11cに隣接配置されている。第3ケース13cは、第2ケース12cと反対側に配置されている。第3ケース13cは、第1ケース11c側を開口した箱状に形成している。第3ケース13cは、第1ケース11cに着脱自在に固定できる。第3ケース13cは、クラッチ機構Ctを内部に配置している。
【0032】
図4を参照すると、コードリール12は、固定軸93sに回転自在に支持されている。固定軸93sの一端部は、第2ケース12cの側壁に固定されている。固定軸93sは、昇降軸91sと同軸上に配置されている。
【0033】
図2又は
図4を参照すると、コードリール12は、その外周に操作コード1cを巻き回している。操作コード1cは、第1ケース11cの内壁に形成した案内面111(
図4参照)に案内されて、第1ケース11cから導出している。そして、
図4を参照すると、操作コード1cは、チルト入力軸1tを経由して、操作棒1Btの内部を挿通している。操作コード1cの他端部には、コード止め11sを係留している(
図1参照)。
【0034】
図2又は
図4を参照すると、通常は、クラッチ機構Ctを介して、コードリール12の軸部と昇降軸91sが連結している。
図15(A)に示した状態から、コード止め11sを把持して操作コード1cを下方に引くと、コードリール12を巻き解く方向に回転できる。そして、昇降軸91sが一方の方向に回転することで、
図15(B)に示すように、複数のスラットStを上昇できる。
【0035】
図2を参照すると、コードリール12は、付勢手段となるぜんまいバネ12sを隣接配置している。
図7から
図9を参照すると、ぜんまいバネ12sの中心端は、固定軸93sに係止している。又、ぜんまいバネ12sの終端は、コードリール12に係止している。
【0036】
図15(A)に示した状態から、操作コード1cを下方に引くと、
図15(B)に示すように操作コード1cが巻き解かれてコードリール12は、ぜんまいバネ12sを蓄勢する方向に回転する。次いで、
図15(C)に示すように、操作コード1cを引く操作を停止して操作コード1cを引く力を緩めると、ぜんまいバネ12sの蓄勢力で操作コード1cを巻き取る方向にコードリール12が回転を開始し、クラッチ機構Ctが解除される(
図2参照)。そして、コードリール12と昇降軸91sの連結が解除されることで、昇降軸91sに対して、コードリール12はフリーとなり、ぜんまいバネ12sの蓄勢力で操作コード1cを巻き取る方向に回転できる。これにより、操作棒1Btの末端に向けてコード止め11sを引き上げることができる(
図15(C)参照)。
【0037】
(回転機構の構成)
次に、第1実施形態による回転機構10の構成を説明する。
図2又は
図3を参照すると、回転機構10は、後述する歯車列を含んでいる。第1ケース11cと第2ケース12cは、歯車列を内部の下部に収容している。
図3又は
図4を参照すると、歯車列は、ウォームホイルからなる第1歯車11g、ウォームギアからなる第2歯車12g、及び、ウォームギアからなる第3歯車13gで構成している。歯車列は、第1ケース11cと第2ケース12cを重ね合わせたケース体の内部に配置されている(
図2又は
図3参照)。
【0038】
図2又は
図4を参照すると、第1歯車11gは、チルト入力軸1tの上端部側に形成されている。チルト入力軸1tは、第1ケース11c及び第2ケース12cの下方の前方に傾斜して突出している。チルト入力軸1tは、第1ケース11c及び第2ケース12cに回転自在に支持されている。
【0039】
図1又は
図3を参照すると、チルト入力軸1tは、自在継手を介して、操作棒1Btと連結している。操作棒1Btをその軸周りに回転することで(
図15(D)参照)、操作棒1Btの回転を第1歯車11gに伝動できる。第2歯車12gは、その回転軸が第1ケース11cと第2ケース12cに回転自在に支持されている。第1歯車11gと第2歯車12gは、噛み合っている。第1歯車11gは、その回転を第2歯車12gに伝動できる。
【0040】
図2から
図4を参照すると、第3歯車13gは、その中心部に回転軸92sが嵌合している。回転軸92sは、その一端部側が第2ケース12cに回転自在に支持されている。回転体となる第3歯車13gは、回転軸92sと一体に回転できる。
【0041】
図2から
図4を参照すると、第2歯車12gと第3歯車13gは、噛み合っている。第2歯車12gは、その回転を第3歯車13gに伝動できる。
【0042】
図1から
図4を参照すると、このように、回転機構10の歯車列は、操作棒1Btの軸回りの回転を第1歯車11g→第2歯車12g→第3歯車13gを経由して、回転軸92sに伝動できる。
【0043】
図2、
図4及び
図7を参照すると、第3歯車13gは、第2ケース12cの内壁に向かって軸方向に突出した円柱状の回転体13を側面に形成している。回転体13は、外周方向に突出した突部13bを形成している(
図7参照)。
【0044】
図7を参照すると、第2ケース12cは、回転体13及び係合子となる鋼球14を収容できる略円形の凹部からなる収容部12dを内部に形成している。収容部12dは、大径部分と小径部分を形成している。収容部12dに回転体13が収容された状態において、大径部分には、係合子となる鋼球14が転動できる。即ち、鋼球14は、収容部12dの大径部分において、回転体13における突部13bを形成していない外周部分を転動できる。
小径部分は、回転体13における突部13bが形成された部分の外周と略同径に形成されている。小径部分には、係合子となる鋼球14が転動できない。そして、大径部分と小径部分との境界には、突部13bに押されて鋼球14が進入不能な段差を形成している。
【0045】
図7を参照すると、回転体13の外周と、第2ケース12cの内部に設けた収容部12dの間の空間(大径部分)は、鋼球14を収容する収容部11dを形成している(
図11参照)。
【0046】
図8又
図9を参照して、回転体13を一方又は他方の方向に回転すると、鋼球14は、突部13bに押されながら回転する。そして、突部13bに押された1個の鋼球14が収容部12dの一方の段差に当接することで、回転体13のそれ以上の回転を停止する。つまり、回転軸92sを停止できる(
図2参照)。
【0047】
図7に示すように、突部13bが略水平に配置した状態から、回転体13を時計方向に回転すると、鋼球14は、突部13bに押されながら回転する。そして、突部13bに押された1個の鋼球14は、収容部12dの一方の段差に当接する(
図8参照)。一方、
図7に示した状態から、回転体13を反時計方向に回転すると、突部13bに押された1個の鋼球14が収容部12dの他方の段差に当接する(
図9参照)。
【0048】
一方、
図10を参照して、2個の鋼球14を収容部12dに収容することで、回転体13の回転範囲を変更できる。このように、回転機構10は、回転体13の回転範囲を規定する係合子となる一つ以上の鋼球14を含んでいる。
【0049】
(回転機構の動作及び作用)
次に、実施形態による回転機構10の動作を説明しながら、回転機構10の作用及び効果を説明する。
図7を参照すると、突部13bは、略水平状態に配置されている。収容部12dには、1個の鋼球14を収容している。
図7に示した状態では、複数のスラットStは、略水平状態に配置されている。つまり、複数のスラットStは、全開状態である。又、
図7から
図10及び
図13(A)から
図13(C)では、スラットStの幅が「35」mmのものを例示している。
【0050】
図7に示した状態から、操作棒1Btを一方の方向に回転操作することで(
図1参照)、第1ケース11cと第2ケース12cに収容した歯車列を介して(
図3参照)、回転体13を時計方向に回転できる(
図8参照)。
【0051】
図8に示した状態では、1個の鋼球14が突部13bと収容部12dの一方の段差に挟まれた状態となっており、これ以上の回転体13の一方の方向への回転が規制されている。
図8に示した状態では、複数のスラットStは、その幅方向の一端部同士が重なり合っている。つまり、複数のスラットStは、正方向に回転した全閉状態である。
【0052】
図7に示した状態から、
図8に示した状態に至る過程では、1個の鋼球14は、「35」mm幅のスラットStの全開から正方向に全閉するまでの回転体13の回転範囲を規定している。
【0053】
図9に示した状態では、1個の鋼球14は突部13bと収容部12dの他方の段差に挟まれた状態となっており、これ以上の回転体13の他方の方向への回転が規制されている。
図9に示した状態では、複数のスラットStは、その幅方向の他端部同士が重なり合っている。つまり、複数のスラットStは、逆方向に回転した反全閉状態である。
【0054】
図7に示した状態から、
図9に示した状態に至る過程では、1個の鋼球14は、「35」mm幅のスラットStの全開から逆方向に全閉するまでの回転体13の回転範囲を規定している。
【0055】
図10を参照すると、突部13bは、略水平状態に配置されている。収容部12dには、2個の鋼球14を収容している。
図10に示した状態では、複数のスラットStは、略水平状態に配置されている。つまり、複数のスラットStは、全開状態である。又、
図10から
図12及び
図13(D)から
図13(F)では、スラットStの幅が「25」mmのものを例示している。
【0056】
図10に示した状態から、操作棒1Btを一方の方向に回転操作することで(
図1参照)、第1ケース11cと第2ケース12cに収容した歯車列を介して(
図3参照)、回転体13を時計方向に回転できる(
図11参照)。
【0057】
図11に示した状態では、突部13bに押された2個の鋼球14が収容部12dの一方の段差に当接することで、回転体13の一方の方向への回転が規制され、回転体13の回転は停止される。
図11に示した状態では、複数のスラットStは、その幅方向の一端部同士が重なり合っている。つまり、複数のスラットStは、正方向に回転した全閉状態である。
【0058】
図10に示した状態から、
図11に示した状態に至る過程では、2個の鋼球14は、「25」mm幅のスラットStの全開から正方向に全閉するまでの回転体13の回転範囲を規定している。
【0059】
図10に示した状態から、
図12に示した状態では、突部13bに押された2個の鋼球14が収容部12dの他方の段差に当接することで、回転体13の他方の方向への回転が規制され、回転体13の回転は停止される。
図12に示した状態では、複数のスラットStは、その幅方向の他端部同士が重なり合っている。つまり、複数のスラットStは、逆方向に回転した反全閉状態である。
【0060】
図10に示した状態から、
図12に示した状態に至る過程では、2個の鋼球14は、「25」mm幅のスラットStの全開から逆方向に全閉するまでの回転体13の回転範囲を規定している。
【0061】
図13(C)及び
図13(F)において矢印で示したとおり、1個の鋼球14を収容したスラットStの幅が「35」mmよりも、2個の鋼球14を収容したスラットStの幅が「25」mmの方が回転体13の回転範囲を小さくすることができる。つまり、収容する鋼球14の数を増やすと回転体13の回転範囲は小さくなる。
【0062】
図14を参照すると、収容部12dには、2個の鋼球14と鋼球14より外径の小さい1個の鋼球14mを収容している。
図14に示した状態では、突部13bは、水平状態から、突部13bに押された2個の鋼球14及び1個の鋼球14mが収容部12dの一方の段差に当接することで、回転体13の一方の方向への回転が規制され、回転体13の回転は停止される。スラットStは、「25」mm幅より小さいもの使用している。収容部12dの内部に、2個の鋼球14及び1個の鋼球14mを収容することで、スラットStの回転角度を微調整できる。
【0063】
図8から
図14を参照すると、実施形態による回転機構10は、スラットStの幅に対応して、収容部12dの内部に、数量又は大きさの異なる鋼球を収容することで、スラットStの全開から全閉するまでの回転体13の回転範囲を変更できる。
【0064】
図8から
図14を参照すると、実施形態による回転機構10は、回転体13(実態として、第3歯車13gに設けた円柱体)の回転範囲を調整可能な係合子となる鋼球を設けることで、突部13b又は収容部12dに設けた段差段部を変更することなく、第3歯車13g又は第1ケース11cから第3ケース13cに至る部品を共通化して、回転体13の回転範囲を調整できる。
【0065】
[第2実施形態]
(回転機構の構成)
次に、第2実施形態による回転機構20の構成を説明する。なお、第1実施形態で用いた符号を付した構成品と同じ符号を付した構成品は、それらの作用を同じにするので説明を省略することがある。
【0066】
図16を参照すると、回転機構20は、第1実施形態による第2ケース12c(
図2参照)に変えて、第2ケース22cを使用している。第1ケース11cと第2ケース22cは、重ね合わせることで内部に空洞を有する分割ケースである。そして、第1ケース11cと第2ケース22cは、コードリール12を内部の上部に収容している。
【0067】
図16を参照すると、回転機構20は、第2ケース22cに形成した収容部12dを封鎖できる円筒状のボックスキャップ23cを備えている。ヘッドボックスBhの端部に取り付けたエンドキャップEcをヘッドボックスBhから取り外し(
図16(B)参照)、第2ケース22cからボックスキャップ23cを取り外すことで、所定数量及び種類の異なる鋼球14を収容部12dの内部に収容できる。
【0068】
図16を参照すると、第1実施形態による回転機構10は、装置を組み立て段階で所定数量及び種類の異なる鋼球14を収容部12dの内部に収容していたのに対し、第2実施形態による回転機構20は、装置を組み立て後に、所定数量及び種類の異なる鋼球14を収容部12dの内部に収容できる。
【0069】
第2実施形態による回転機構は、係合子を後から収容部の内部に着脱自在に収容可能にすることで、スラットの変更又はスラットの回転角度の調整が必要になった場合でも、係合子を後から追加又は削減可能にして組立ができる。
【0070】
本発明によるブラインドの回転機構は、スラットを全閉状態から全開状態に至る回転角度を調整可能な実施形態を開示したが、スラットを全閉状態から半開状態に至る回転角度を係合子の数で規定できる。
【符号の説明】
【0071】
1a操作部
10 回転機構(ブラインドの回転機構)
12c 第2ケース(ケース)
12d 収容部
13 回転体
14 鋼球(係合子)
92s 回転軸
Bd ブラインド