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特許7522650曲面液晶パネル及び曲面液晶パネルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】曲面液晶パネル及び曲面液晶パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20240718BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13 101
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020209796
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022096694
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100174067
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 哲朗
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-90528(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0107750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に湾曲した第1基板と、
前記第1方向に湾曲し、前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板に挟持された液晶と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせ、前記液晶を封入する第1シール部と、
前記第1シール部の外周を囲む第2シール部と、を備え、
前記第2シール部の前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる力は、前記第1シール部の前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる力よりも、弱い、
曲面液晶パネル。
【請求項2】
前記第2シール部は、複数に分割されている、
請求項1に記載の曲面液晶パネル。
【請求項3】
前記第2シール部は、解体性接着剤又は解体性粘着剤から形成されている、
請求項1又は2に記載の曲面液晶パネル。
【請求項4】
前記第1シール部は、前記第1基板と前記第2基板が前記第1方向に湾曲した状態で、硬化する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の曲面液晶パネル。
【請求項5】
平面視した場合に、前記第1基板又は前記第2基板の湾曲の稜線の上、かつ前記第2シール部の外側に配置され、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる第3シール部を備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の曲面液晶パネル。
【請求項6】
第1基板と第2基板のうちの一方に液晶を封入する第1シール部を形成する工程と、
前記第1シール部を形成された前記第1基板と前記第2基板のうちの一方に、前記第1シール部の外周を囲む第2シール部を形成する工程と、
前記第1シール部と前記第2シール部とを形成された前記第1基板と前記第2基板のうちの一方と、前記第1基板と前記第2基板のうちの他方とを重ね合わせる工程と、
前記第2シール部を硬化させ、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と、
貼り合わされた前記第1基板と前記第2基板とを第1方向に湾曲させる工程と、
前記第1基板と前記第2基板が湾曲した状態で、硬化した前記第2シール部の前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる力を弱める工程と、
前記第1基板と前記第2基板が湾曲した状態で、前記第1シール部を硬化させる工程と、を含み、
前記第2シール部の弱められた前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる力は、硬化した前記第1シール部の前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる力よりも、弱い、
曲面液晶パネルの製造方法。
【請求項7】
前記第1シール部を形成する工程と前記重ね合わせる工程との間に、前記第1シール部に囲まれた領域に前記液晶を滴下する工程を含む、
請求項6に記載の曲面液晶パネルの製造方法。
【請求項8】
前記貼り合わせる工程と前記湾曲させる工程との間に、前記第1シール部に囲まれた領域に前記液晶を注入し、封止する工程を含む、
請求項6に記載の曲面液晶パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、曲面液晶パネル及び曲面液晶パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
搭載される機器のデザイン、設置場所等に応じた形状を有する表示装置が求められており、湾曲した表示面を有する液晶表示装置が開発されている。例えば、特許文献1は、曲面ディスプレイと、車両に曲面ディスプレイを取り付けるための本体部品とを備える車載デバイス、を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-181821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の曲面ディスプレイは、第1方向に曲げられた第1基板と、第1方向に曲げられ第1基板に対向配置された第2基板と、第1基板と第2基板とを貼り合わせるシール材と、を含んでいる。シール材は、第1方向に直交する第2方向に延在する第1シール部と、第1方向に延在する第2シール部とを有している。特許文献1では、第1シール部の第1方向の幅を、第2シール部の第2方向の幅よりも大きくすることにより、第1基板と第2基板における応力の集中を抑え、表示画面の四隅付近に生じる光漏れを低減している。
【0005】
特許文献1では、応力の集中は抑えられているが、せん断応力(重なっている第1基板と第2基板が湾曲することにより、シール材に掛かるねじれ)がシール材に掛かり続ける。したがって、シール材が劣化しやすく、気泡がシール材の外部から液晶中に侵入するおそれがある。
【0006】
本開示は、基板を貼り合わせ液晶を封入するシール部に掛かるせん断応力が抑制された、曲面液晶パネル及び曲面液晶パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の観点に係る曲面液晶パネルは、
第1方向に湾曲した第1基板と、
前記第1方向に湾曲し、前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板に挟持された液晶と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせ、前記液晶を封入する第1シール部と、
前記第1シール部の外周を囲む第2シール部と、を備え、
前記第2シール部の前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる力は、前記第1シール部の前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる力よりも、弱い。
【0008】
第2の観点に係る曲面液晶パネルの製造方法は、
第1基板と第2基板のうちの一方に液晶を封入する第1シール部を形成する工程と、
前記第1シール部を形成された前記第1基板と前記第2基板のうちの一方に、前記第1シール部の外周を囲む第2シール部を形成する工程と、
前記第1シール部と前記第2シール部とを形成された前記第1基板と前記第2基板のうちの一方と、前記第1基板と前記第2基板のうちの他方とを重ね合わせる工程と、
前記第2シール部を硬化させ、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる工程と、
貼り合わされた前記第1基板と前記第2基板とを第1方向に湾曲させる工程と、
前記第1基板と前記第2基板が湾曲した状態で、硬化した前記第2シール部の前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる力を弱める工程と、
前記第1基板と前記第2基板が湾曲した状態で、前記第1シール部を硬化させる工程と、を含み、
前記第2シール部の弱められた前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる力は、硬化した前記第1シール部の前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる力よりも、弱い。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、基板を貼り合わせ液晶を封入するシール部に掛かるせん断応力を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る曲面液晶パネルの平面図である。
図2図1に示す曲面液晶パネルをA-A線で矢視した断面図である。
図3】実施形態1に係る曲面液晶パネルの製造方法を示すフローチャートである。
図4】実施形態1に係る第1基板に形成された第1シール部と第2シール部とを示す模式図である。
図5】実施形態1に係る平板状態で重ね合わされた第1基板と第2基板とを示す模式図である。
図6】実施形態1に係る湾曲した第1基板と第2基板とを示す模式図である。
図7】実施形態1に係る上金型と下金型により押圧された曲面カバーと第1基板と第2基板とを示す模式図である。
図8】実施形態2に係る曲面液晶パネルの平面図である。
図9】実施形態3に係る曲面液晶パネルの平面図である。
図10図9に示す曲面液晶パネルをB-B線で矢視した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る曲面液晶パネルについて、図面を参照して説明する。
【0012】
<実施形態1>
図1図7を参照して、本実施形態に係る曲面液晶パネル100を説明する。曲面液晶パネル100は、図1図2に示すように、曲面カバー10と液晶パネル20とを備える。曲面カバー10は、液晶パネル20を湾曲させて支持する。曲面カバー10と液晶パネル20は、接着層12により接着されている。液晶パネル20は、図示しない表示制御部と駆動回路からの信号により、文字、カラー画像等を表示する。本明細書では、理解を容易にするため、図1における曲面液晶パネル100の右方向(紙面の右方向)を+X方向、上方向(紙面の上方向)を+Y方向、+X方向と+Y方向に垂直な方向(紙面の手前方向)を+Z方向として説明する。
【0013】
曲面液晶パネル100は、-Z側に配置されるバックライトと共に表示装置を構成する。曲面液晶パネル100を有する表示装置は、電子機器、車両等に搭載される。また、曲面液晶パネル100を有する表示装置は、サイネージディスプレイとしても利用される。
【0014】
曲面液晶パネル100の曲面カバー10は、接着層12を介して、液晶パネル20を湾曲した状態で支持する。曲面カバー10は、第1方向(本実施形態では-Z方向)に湾曲した、第1主面10aと第2主面10bとを有する。第1主面10aと第2主面10bの曲率半径は、例えば、800mm~1200mmである。曲面カバー10は、ガラス、透光性樹脂等から形成される。
【0015】
曲面液晶パネル100の接着層12は、曲面カバー10の第1主面10aに設けられる。接着層12は、液晶パネル20を曲面カバー10の第1主面10aに貼り付けている。接着層12は、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive Film)である。
【0016】
曲面液晶パネル100の液晶パネル20は、例えば、例えば、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)により駆動される透過型の液晶パネルである。液晶パネル20は、表示面(後述する、第1偏光板42)を曲面カバー10の第1主面10aに貼り付けられて、-Z方向に湾曲している。
【0017】
液晶パネル20は、図1図2に示すように、第1基板22と、第2基板24と、液晶26と、第1シール部32と、第2シール部34とを備える。また、液晶パネル20は、第1偏光板42と第2偏光板44とを備える。第1基板22と第2基板24は、液晶26を挟持する。第1シール部32と第2シール部34は、第1基板22と第2基板24とを貼り合わせる。第1偏光板42は第1基板22に貼り付けられ、第2偏光板44は第2基板24に貼り付けられる。なお、図2では、理解を容易にするために、液晶26のハッチングを省いている。
【0018】
液晶パネル20の第1基板22は、例えば、ガラス基板である。第1基板22は、-Z方向に湾曲している。第1基板22は、第2基板24の面24aと共に液晶26を挟持する面22aに、ストライプ状のカラーフィルタ、ブラックマトリクス、電極、配向膜等(いずれも図示せず)を有する。また、第1偏光板42が、第1基板22の面22aの反対側の面22bに貼り付けられる。
【0019】
液晶パネル20の第2基板24は、第1基板22と同様に、ガラス基板である。また、第2基板24も、-Z方向に湾曲している。第2基板24は、第1基板22の面22aと共に液晶26を挟持する面24aに、TFT、配線、電極、配向膜等(いずれも図示せず)を有する。また、第2偏光板44が、第2基板24の面24aの反対側の面24bに貼り付けられる。
第1基板22と第2基板24は、第1シール部32と第2シール部34により、所定の間隔(セルギャップ)に貼り合わされている。
【0020】
液晶パネル20の液晶26は、図2に示すように、第1基板22と第2基板24とに挟持されている。液晶26はネマチック液晶であり、液晶パネル20はTN(Twisted Nematic)モードで動作する。
【0021】
液晶パネル20の第1シール部32は、第1基板22と第2基板24との間に設けられて、第1基板22と第2基板24とを貼り合わせる。また、第1シール部32は、第1基板22と第2基板24に挟持されている液晶26を、第1基板22と第2基板24との間に、封入している。
【0022】
第1シール部32は、図1に示すように、枠形状を有し、第1基板22と第2基板24の外形に沿って形成されている。第1シール部32は、例えば、UV(UltraViolet)硬化型接着剤から形成される。第1シール部32は、後述するように、第1基板22と第2基板24が湾曲した状態で、硬化する。したがって、第1基板22と第2基板24の湾曲によるせん断応力が第1シール部32に掛かることを、抑制できる。第1シール部32に掛かるせん断応力を抑制できるので、第1シール部32の劣化を抑制できる。更に、第1シール部32の劣化を抑制できるので、第1シール部32の接着力が弱まることに起因して、気泡が外部から液晶26に侵入することを抑制できる。
【0023】
液晶パネル20の第2シール部34は、第1シール部32と同様に、第1基板22と第2基板24とを貼り合わせる。第2シール部34は、枠形状を有し、第1シール部の外周を囲んでいる。第2シール部34は、例えば、解体性接着剤又は解体性粘着剤から形成される。解体性接着剤(解体性粘着剤)は、光照射、加熱等により接着力(粘着力)が弱まる接着剤(粘着剤)である。解体性接着剤としては、ライトメルト接着剤、ホットメルト接着剤等が挙げられる。また、解体性粘着剤としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のUV易剥離タイプ粘着剤(コーポニール(登録商標))が挙げられる。
【0024】
第2シール部34は、後述するように、第1基板22と第2基板24が平板状態で、硬化する。第2シール部34は、第1基板22と第2基板24が湾曲するまでの間、第1基板22と第2基板24が貼り合わせられている状態を維持する。また、第1基板22と第2基板24が湾曲した状態で、第2シール部34の第1基板と第2基板とを貼り合わせる力は、第1シール部32の第1基板と第2基板とを貼り合わせる力よりも弱い。本実施形態では、第2シール部34の剥離、軟化、液化、破断等により、第2シール部34の第1基板と第2基板とを貼り合わせる力が、第1シール部32の第1基板と第2基板とを貼り合わせる力よりも弱くなっている。以下では、第1基板と第2基板とを貼り合わせる力を、貼り合わせる力とも記載する。
【0025】
液晶パネル20の第1偏光板42は、第1基板22の面22bに貼り付けられる。また、第1偏光板42は、接着層12を介して、曲面カバー10の第1主面10aに貼り付けられている。液晶パネル20の第2偏光板44は、第2基板24の面24bに貼り付けられる。
【0026】
次に、曲面液晶パネル100の製造方法を説明する。図3は、曲面液晶パネル100の製造方法を示すフローチャートである。曲面液晶パネル100の製造方法は、第1基板22と第2基板24を準備する工程(ステップS10)と、第1基板22と第2基板24のうちの一方に液晶26を封入する第1シール部32を形成する工程(ステップS12)と、第1シール部32を形成された第1基板22と第2基板24のうちの一方に、第1シール部32の外周を囲む第2シール部34を形成する工程(ステップS14)と、第1シール部32に囲まれた領域に液晶26を滴下する工程(ステップS16)と、第1シール部32と第2シール部34とを形成された第1基板22と第2基板24のうちの一方と、第1基板22と第2基板24のうちの他方とを重ね合わせる工程(ステップS18)とを含む。
【0027】
曲面液晶パネル100の製造方法は、更に、第2シール部34を硬化させ、第1基板22と第2基板24とを貼り合わせる工程(ステップS20)と、第1基板22に第1偏光板42を貼り合わせる工程(ステップS22)と、貼り合わされた第1基板22と第2基板24とを第1方向(-Z方向)に湾曲させる工程(ステップS24)と、第1基板22と第2基板24が湾曲した状態で、硬化した第2シール部34の第1基板22と第2基板24とを貼り合わせる力を弱める工程(ステップS26)と、第1基板22と第2基板24が湾曲した状態で、第1シール部32を硬化させる工程(ステップS28)と、第2基板24に第2偏光板44を貼り付ける工程(ステップS30)とを含む。
【0028】
ステップS10では、第1基板22として、カラーフィルタ、ブラックマトリクス等を形成されたガラス基板(所謂、カラーフィルタ基板)を準備する。また、第2基板24として、TFT、配線等を形成されたガラス基板(所謂、TFT基板)を準備する。
【0029】
ステップS12では、ディスペンサーにより、第1基板22の面22aの上にUV硬化樹脂を塗布して、液晶26を封入する第1シール部32を形成する。なお、UV硬化樹脂は、セルギャップを維持するために、スペーサを含んでいる。次に、ステップS14では、ディスペンサーにより、第1シール部32を形成された第1基板22の面22aの上に、UV易剥離タイプ粘着剤を塗布して、第1シール部32の外周を囲む第2シール部34を形成する。これらにより、図4に示すように、第1シール部32と第2シール部34が第1基板22に形成される。
【0030】
図3に戻り、ステップS16では、第1基板22の面22aにおける第1シール部32に囲まれた領域に、液晶26を滴下する。そして、ステップS18では、図5に示すように、加熱した上定盤82と下定盤84とを用いて、液晶26を滴下された第1基板22と第2基板24を平板状態で重ね合わせる。
【0031】
図3に戻り、ステップS20では、第2シール部34を硬化させ、平板状態の第1基板22と第2基板24とを貼り合わせる。したがって、第2シール部34は、第1基板22と第2基板24が平板状態で、硬化する。
【0032】
次に、ステップS22では、第1基板22の面22bに第1偏光板42を貼り付ける。そして、ステップS24では、接着層12を介して、曲面カバー10の第1主面10aに第1偏光板42を貼り付けることにより、貼り合わされた第1基板22と第2基板24とを第1方向(-Z方向)に湾曲させる。貼り合わされた第1基板22と第2基板24は、図6に示すように、曲面カバー10の第1主面10aに沿って-Z方向に湾曲する。
【0033】
ステップS26では、まず、図7に示すように、曲面カバー10と曲面カバー10に貼り付けられている第1基板22と第2基板24とを、上金型86と下金型88を用いて押圧し、第1基板22と第2基板24が湾曲した状態を維持する。ここで、下金型には、第1シール部32と第2シール部34にUV光を照射するために、開口部92、94が設けられている。また、上金型に接する曲面カバー10と下金型に接する第2基板24は、それぞれの金型に吸着されている。
【0034】
次に、硬化した第2シール部34に開口部94を介してUV光を照射することにより、硬化した第2シール部34の貼り合わせる力を弱める。この場合、第2シール部34の弱められた貼り合わせる力を、硬化した第1シール部32の貼り合わせる力よりも弱くする。本実施形態では、第2シール部34がUV易剥離タイプ粘着剤から形成されているので、第2シール部34はUV光の照射により第1基板22と第2基板24から剥離する。
【0035】
本実施形態では、第1基板22と第2基板24が平板状態で硬化した第2シール部34の、貼り合わせる力を弱めるので、湾曲した第1基板22と第2基板24に掛かる応力を抑制できる。
【0036】
図3に戻り、ステップS28では、第1シール部32に開口部92を介してUV光を照射することにより、第1基板22と第2基板24が湾曲した状態で、第1シール部32を硬化させる。これにより、第1基板22と第2基板24の湾曲によるせん断応力が第1シール部32に掛かることを抑制できる。さらに、第1シール部32の劣化を抑制でき、第1シール部32の接着力が弱まることに起因して、気泡が外部から液晶26に侵入することを抑制できる。
【0037】
ステップS30では、曲面カバー10と第2基板24のそれぞれから、上金型86と下金型88とを取り外した後、第2基板24の面24bに第2偏光板44と貼り付ける。以上により、曲面液晶パネル100を製造できる。
【0038】
以上のように、第1基板22と第2基板24が平板状態で硬化した第2シール部34の貼り合わせる力を、第1基板22と第2基板24が湾曲した状態で硬化した第1シール部32の貼り合わせる力よりも弱くするので、第1基板22と第2基板24の湾曲によるせん断応力が第1シール部32に掛かることを抑制できる。また、湾曲した第1基板22と第2基板24に掛かる応力も抑制できる。
【0039】
<実施形態2>
実施形態1では、第2シール部34は枠形状を有している。第2シール部34の形状は任意である。第2シール部34は、第1基板22と第2基板24が湾曲するまでの間、第1基板22と第2基板24が貼り合わせられている状態を維持すればよい。
【0040】
本実施形態の曲面液晶パネル100では、図8に示すように、複数に分割された第2シール部34a~34dを有する。第2シール部34a~34dは、それぞれ、矩形状に形成される。第2シール部34a~34dは、第1シール部32の外周に第1シール部32を囲んで配置されている。本実施形態の曲面液晶パネル100のその他の構成は、実施形態1の曲面液晶パネル100の構成と同様である。
【0041】
本実施形態の曲面液晶パネル100においても、実施形態1の曲面液晶パネル100と同様に、第2シール部34の貼り合わせる力を第1シール部32の貼り合わせる力よりも弱くするので、第1基板22と第2基板24の湾曲によるせん断応力が第1シール部32に掛かることを抑制できる。また、湾曲した第1基板22と第2基板24に掛かる応力も抑制できる。
【0042】
<実施形態3>
実施形態1と実施形態2では、曲面液晶パネル100は第1シール部32と第2シール部34とを有している。曲面液晶パネル100は他のシール部を有してもよい。
【0043】
本実施形態の曲面液晶パネル100は、第3シール部36を有する。本実施形態の曲面液晶パネル100のその他の構成は、実施形態1の曲面液晶パネル100の構成と同様である。
【0044】
第3シール部36は、第1基板22と第2基板24とを貼り合わせる。図9図10に示すように、第3シール部36は、平面視した場合に第1基板22又は第2基板24の湾曲の稜線M上に位置し、第2シール部34の外側に配置されている。本実施形態においては、第3シール部36は、第2シール部34の湾曲した辺の1/2長さの位置に配置されている。これにより、第3シール部36に阻害されることなく、第1基板22と第2基板24を湾曲させることができる。また、第3シール部36の貼り合わせる力は第1シール部32の貼り合わせる力よりも強いことが、好ましい。第3シール部36を形成する接着剤としては、解体性の性質を持たない接着剤(解体性接着剤でない接着剤)、もしくは第1シール部32の硬化に関わる化学反応プロセスと同じプロセスを必要としない接着剤を選択することが望ましい。例えば、第3シール部36として、加熱硬化型エポキシ樹脂、溶剤揮散型ゴム糊、硬化剤混合型2液混合エポキシ樹脂、熱溶融型スチレンブタジエンゴム、感圧型アクリル樹脂等を用いることができる。
【0045】
第3シール部36は、実施形態1の曲面液晶パネル100の製造方法において、第1基板22と第2基板24の準備(ステップS10)と第1基板22と第2基板24との重ね合わせ(ステップS18)との間に形成される。また、第3シール部36は、第1基板22と第2基板24とを-Z方向に湾曲させる(ステップS24)前に、硬化される。
【0046】
本実施形態では、湾曲の稜線M上に位置する第3シール部36が、第1基板22と第2基板24が湾曲する前に、第1基板22と第2基板24とを貼り合わせるので、湾曲による第1基板22と第2基板24との間の位置ずれを抑制できる。また、実施形態1と同様に、第1基板22と第2基板24の湾曲によるせん断応力が第1シール部32に掛かることを抑制できる。
【0047】
<変形例>
以上、実施形態を説明したが、本開示は、要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
実施形態1の液晶パネル20は透過型液晶パネルであるが、液晶パネル20は反射型液晶パネルであってもよい。また、実施形態1の液晶パネル20はTNモードで動作するが、液晶パネル20はVA(Vertical Alignment)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード等で動作してもよい。さらに、実施形態1の液晶パネル20は-Z方向に湾曲しているが、液晶パネル20は+Z方向に湾曲してもよい。
【0049】
実施形態1の液晶パネル20は、曲面カバー10に貼り付けられることにより湾曲している。液晶パネル20は曲面カバー10に押圧されることにより湾曲してもよい。また、液晶パネル20は、湾曲した枠状のシャーシに嵌め込まれることにより、湾曲してもよい。
【0050】
実施形態1では、第1基板22がカラーフィルタ、電極、配向膜等を有し、第2基板24がTFT、配線、電極、配向膜等を有している。第1基板22がTFT、配線、電極、配向膜等を有し、第2基板24がカラーフィルタ、電極、配向膜等を有してもよい。また、第1基板22と第2基板24は、透光性樹脂から形成されてもよい。
【0051】
実施形態1では、第1シール部32と第2シール部34との間に隙間があるが、第1シール部32と第2シール部34は接してもよい。また、第2シール部34の材質は、解体性接着剤又は解体性粘着剤に限られない。第2シール部34は、第1基板22と第2基板24が湾曲するまでの間、第1基板22と第2基板24が貼り合わせられている状態を維持し、第2シール部34の貼り合わせる力が第1シール部32の貼り合わせる力よりも弱ければよい。
【0052】
実施形態3の第3シール部36は、実施形態2の曲面液晶パネル100に設けられてもよい。
【0053】
実施形態1の曲面液晶パネル100の製造方法では、第1シール部32と第2シール部34は第1基板22に形成されているが、第1シール部32と第2シール部34は第2基板24に形成されてもよい。また、第2シール部34の貼り合わせる力を弱めた後に第1シール部32を硬化させているが、第1シール部32を硬化させた後に第2シール部34の貼り合わせる力を弱めてもよい。
【0054】
実施形態1の曲面液晶パネル100の製造方法では、第2シール部34を形成した後に液晶26を滴下しているが、第1シール部32を形成した後で第1基板22と第2基板24を重ね合わせる前に液晶26を滴下すればよい。
【0055】
さらに、液晶26は、注入により、第1シール部32に囲まれた領域に封入されてもよい。この場合、第1シール部32は注入口を開けた状態で形成され、液晶26が第1シール部32に囲まれた領域に注入された後、第1シール部32の注入口が封止される。第1シール部32に囲まれた領域に液晶26を注入し封止する工程は、第1基板22と第2基板24とを貼り合わせた後で第1基板22と第2基板24とを湾曲させる前に、実施されればよい。
【0056】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。
【符号の説明】
【0057】
10 曲面カバー、10a 第1主面、10b 第2主面、12 接着層、20 液晶パネル、22 第1基板、22a,22b 第1基板の面、24 第2基板、24a,24b 第2基板の面、26 液晶、32 第1シール部、34 第2シール部、36 第3シール部、42 第1偏光板、44 第2偏光板、82 上定盤、84 下定盤、86 上金型、88 下金型、92,94 開口部、100 曲面液晶パネル、M 稜線
図1
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図7
図8
図9
図10