(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ビスフルオロアルキル-1,4-ベンゾジアゼピノン化合物を含む組み合わせ組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5513 20060101AFI20240718BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240718BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240718BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240718BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240718BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240718BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240718BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240718BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61K31/5513
A61K31/167
A61K31/44
A61K31/496
A61K31/506
A61K31/519
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 105
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2020563505
(86)(22)【出願日】2019-05-05
(86)【国際出願番号】 US2019030771
(87)【国際公開番号】W WO2019217250
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-04-11
(32)【優先日】2018-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520430712
【氏名又は名称】アヤラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、マッティ
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502933(JP,A)
【文献】Gavai AV et al.,ACS medicinal chemistry letters,2015年,Vol. 6,No. 5,pp.523-527.
【文献】Morgan KM et al.,Molecular cancer therapeutics,2017年,Vol. 16,No. 12,pp.2759-2769.
【文献】Rao SS et al.,Cancer research,2009年,Vol. 69,No. 7,pp.3060-3068.
【文献】Tijeras-Raballand A et al.,Molecular Cancer Therapeutics,Vol. 17,No. 1_Supplement,2018年01月,Abstract:B144,DOI: 10.1158/1535-7163.TARG-17-B144
【文献】Manigat L et al.,Neuro-Oncology,2015年,Vol. 17,Issue suppl_5,pp.v73-v77.,DOI: 10.1093/neuonc/nov212.16
【文献】LI M et al.,Molecular cancer therapeutics,2010年,Vol. 9,No. 12,pp.3200-3209.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の増殖性疾患を治療、抑制、または阻害する薬剤を調製するための、(i)式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物および/またはその少なくとも1つの塩と、(ii)
パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、ベネトクラクス、ボリノスタット、またはこれらの組み合わせと、を含む組成物の使用。
【化1】
式中、
R
1は、-CH
2CF
3または-CH
2CH
2CF
3であり、
R
2は、-CH
2CF
3、-CH
2CH
2CF
3、または-CH
2CH
2CH
2CF
3であり、
R
3は、H、-CH
3またはR
xであり、
R
4は、HまたはR
yであり、
R
xは、-CH
2OC(O)CH(CH
3)NH
2、-CH
2OC(O)CH(NH
2)CH(CH
3)
2、-CH
2OC(O)CH((CH(CH
3)
2)NHC(O)CH(NH
2)CH(CH
3)
2、
【化2】
であり、
R
yは、-SCH
2CH(NH
2)C(O)OH、-SCH
2CH(NH
2)C(O)OCH
3、または-SCH
2CH(NH
2)C(O)OC(CH
3)
3であり、
環Aは、フェニルまたはピリジニルであり、
各R
aは独立して、F、Cl、-CN、-OCH
3、C
1~3アルキル、-CH
2OH、-CF
3、シクロプロピル、-OCH
3、-O(シクロプロピル)および/または-NHCH
2CH
2OCH
3であり、
各R
bは独立して、F、Cl、-CH
3、-CH
2OH、-CF
3、シクロプロピル、および/または-OCH
3であり、
yは、ゼロ、1、または2であり、
zは、ゼロ、1、または2である。
【請求項2】
前記増殖性疾患が前癌状態または良性増殖性障害である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記良性増殖性障害は、デスモイド腫瘍を含む、請求項
2に記載の使用。
【請求項4】
前記増殖性疾患が癌である、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記癌は、腺様嚢胞癌(ACC)を含む、請求項
4に記載の使用。
【請求項6】
前記癌が、乳癌、子宮内膜癌、非小細胞肺癌、多発性骨髄腫、リンパ腫、または白血病を含む、請求項
4に記載の使用。
【請求項7】
前記乳癌が、トリプルネガティブ乳癌を含む、請求項
6に記載の使用。
【請求項8】
前記白血病が、T細胞急性リンパ芽球性白血病またはTリンパ芽球性白血病/リンパ腫を含む、請求項
6に記載の使用。
【請求項9】
前記
増殖性疾患が、Notch活性化突然変異を含む、請求項
1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記薬剤が、静脈内または経口投与用に処方される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記式(I)の化合物が以下の
化合物を含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の使用。
【化3】
【請求項12】
前記式(I)の化合物が以下の
化合物を含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の使用。
【化4】
【請求項13】
前記式(I)の化合物が以下の
化合物を含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の使用。
【化5】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追加の癌治療薬と組み合わせて、式(I)の化合物またはそのプロドラッグを含む、ビスフルオロアルキル-1,4-ベンゾジアゼピノン化合物を含む組成物、ならびに癌などの疾患および障害を治療するためのその使用方法を提供する。
【0002】
【背景技術】
【0003】
癌および他の増殖性疾患などのNotch経路に関連する状態の治療に有用なNotch阻害剤としてのベンゾジアゼピノン化合物が知られている。ベンゾジアゼピノン化合物を他の癌治療薬と組み合わせて使用すると、癌治療のためのベンゾジアゼピノン化合物の有効性が高まる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、追加の癌治療薬と組み合わせて、式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物および/またはその少なくとも1つの塩を含む組成物を提供する。
【0005】
【化2】
式中、
R
1は、-CH
2CF
3または-CH
2CH
2CF
3であり、
R
2は、-CH
2CF
3、-CH
2CH
2CF
3、または-CH
2CH
2CH
2CF
3であり、
R
3は、H、-CH
3またはRxであり、
R
4は、HまたはR
yであり、
R
xは、-CH
2OC(O)CH(CH
3)NH
2、-CH
2OC(O)CH(NH
2)CH(CH
3)
2、-CH
2OC(O)CH((CH(CH
3)
2)NHC(O)CH(NH
2)CH(CH
3)
2、
【0006】
【0007】
であり、
Ryは、-SCH2CH(NH2)C(O)OH、-SCH2CH(NH2)C(O)OCH3、または-SCH2CH(NH2)C(O)OC(CH3)3であり、
環Aは、フェニルまたはピリジニルであり、
各Raは独立して、F、Cl、-CN、-OCH3、C1~3アルキル、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、-OCH3、-O(シクロプロピル)および/または-NHCH2CH2OCH3であり、
各Rbは独立して、F、Cl、-CH3、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、および/または-OCH3であり、
yは、ゼロ、1、または2であり、
zは、ゼロ、1、または2である。
【0008】
本発明はまた、対象の増殖性疾患を治療、抑制または阻害する方法であって、式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物および/またはその少なくとも1つの塩を含む第1の組成物と、追加の癌治療薬を含む第2の組成物と、を含む医薬組成物を、該対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0009】
【0010】
式中、
R1は、-CH2CF3または-CH2CH2CF3であり、
R2は、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、または-CH2CH2CH2CF3であり、
R3は、H、-CH3またはRxであり、
R4は、HまたはRyであり、
Rxは、-CH2OC(O)CH(CH3)NH2、-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-CH2OC(O)CH((CH(CH3)2)NHC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、
【0011】
【0012】
であり、
Ryは、-SCH2CH(NH2)C(O)OH、-SCH2CH(NH2)C(O)OCH3、または-SCH2CH(NH2)C(O)OC(CH3)3であり、
環Aは、フェニルまたはピリジニルであり、
各Raは独立して、F、Cl、-CN、-OCH3、C1~3アルキル、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、-OCH3、-O(シクロプロピル)および/または-NHCH2CH2OCH3であり、
各Rbは独立して、F、Cl、-CH3、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、および/または-OCH3であり、
yは、ゼロ、1、または2であり、
zは、ゼロ、1、または2である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細を伴わずに実行されてもよいということが、当業者によって理解されるであろう。他の事例では、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、および構成要素は、詳細に説明されていない。
【0014】
一実施形態では、本発明の組成物または本発明の方法で使用するための組成物は、1つ以上のガンマセクレターゼ阻害剤を含む。一実施形態では、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ビスフルオロアルキル-1,4-ベンゾジアゼピノン化合物を含む。
【0015】
一実施形態では、本発明の組成物または本発明の方法で使用するための組成物は、1つ以上のNOTCH阻害剤を含む。一実施形態では、NOTCH阻害剤は、ビスフルオロアルキル-1,4-ベンゾジアゼピノン化合物を含む。
【0016】
ビスフルオロアルキル-1,4-ベンゾジアゼピノン化合物
【0017】
一実施形態では、本発明は、式(I)の構造によって表される化合物および/またはその少なくとも1つの塩を含む組成物を提供する。
【0018】
【0019】
式中、
R1は、-CH2CF3または-CH2CH2CF3であり、
R2は、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、または-CH2CH2CH2CF3であり、
R3は、H、-CH3またはRxであり、
R4は、HまたはRyであり、
Rxは、-CH2OC(O)CH(CH3)NH2、-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-CH2OC(O)CH((CH(CH3)2)NHC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、
【0020】
【0021】
であり、
Ryは、-SCH2CH(NH2)C(O)OH、-SCH2CH(NH2)C(O)OCH3、または-SCH2CH(NH2)C(O)OC(CH3)3であり、
環Aは、フェニルまたはピリジニルであり、
各Raは独立して、F、Cl、-CN、-OCH3、C1~3アルキル、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、-OCH3、-O(シクロプロピル)および/または-NHCH2CH2OCH3であり、
各Rbは独立して、F、Cl、-CH3、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、および/または-OCH3であり、
yは、ゼロ、1、または2であり、
zは、ゼロ、1、または2である。
【0022】
一実施形態では、本発明は、式(II)の構造によって表される化合物を含む組成物を提供する。
【0023】
【化8】
式中、R
3はHまたは-CH
3であり、yはゼロまたは1である。
【0024】
一実施形態では、本発明は、式(III)の化合物またはそのプロドラッグもしくは塩を含む組成物を提供する。
【0025】
【化9】
式中、
R
1は、-CH
2CF
3または-CH
2CH
2CF
3であり、
R
2は、-CH
2CF
3、-CH
2CH
2CF
3、または-CH
2CH
2CH
2CF
3であり、
R
3は、Hまたは-CH
3であり、
各R
aは独立して、F、Cl、-CN、-OCH
3、および/または-NHCH
2CH
2OCH
3であり、
yは、ゼロ、1、または2である。
【0026】
一実施形態では、R2は、-CH2CF3または-CH2CH2CF3である。一実施形態では、R1は-CH2CF3または-CH2CH2CF3であり、R2は-CH2CF3または-CH2CH2CF3である。別の実施形態では、R1は-CH2CH2CF3であり、R2は-CH2CH2CF3である。一実施形態では、yはゼロまたは1である。別の実施形態では、yは1または2である。別の実施形態では、yは1または2である。
【0027】
一実施形態では、式(III)の化合物は、(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(1)を含む。
【0028】
【0029】
別の実施形態では、式(III)の化合物は、(2R,3S)-N-((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(2)を含む。
【0030】
【化11】
別の実施形態では、式(III)の化合物は、(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)-3-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(3)を含む。
【0031】
【0032】
別の実施形態では、式(III)の化合物は、(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(4)を含む。
【0033】
【0034】
別の実施形態では、式(III)の化合物は、(2R,3S)-N-((3S)-1-(2H3)メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H--1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(5)を含む。
【0035】
【0036】
別の実施形態では、式(III)の化合物は、式(VI)の化合物を含み、
【0037】
【0038】
一実施形態では、これは、(2R,3S)-N-((3S)-7-クロロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(6)、すなわちY=HおよびZ=Cl;(2R,3S)-N-((3S)-8-メトキシ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(7)、すなわち、Y=OCH3およびZ=H;(2R,3S)-N-((3S)-8-フルオロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(8)、すなわちY=FおよびZ=H;(2R,3S)-N-((3S)-7-メトキシ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(9)、Y=HおよびZ=OCH3;(2R,3S)-N-((3S)-7-フルオロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(10)、すなわちY=HおよびZ=F;または(2R,3S)-N-((3S)-8-クロロ-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2、3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(11)、すなわちY=ClおよびZ=H、を含む。
【0039】
別の実施形態では、式(III)の化合物は、式(VII)の化合物を含み、
【0040】
【0041】
一実施形態では、これは、(2R,3S)-N-((3S)-9-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(12)、すなわちX=OCH3、Y=HおよびZ=H;(2R,3S)-N-((3S)-8-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(13)、すなわち、X=H、Y=OCH3およびZ=H;(2R,3S)-N-((3S)-7-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(14)、すなわちX=H、Y=HおよびZ=OCH3;(2R,3S)-N-((3S)-8-シアノ-9-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(15)、すなわちX=OCH3、Y=CNおよびZ=H;(2R,3S)-N-((3S)-8,9-ジクロロ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(16)、すなわちX=Cl、Y=ClおよびZ=H;(2R,3S)-N-((3S)-9-フルオロ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(17)、すなわちX=F、Y=HおよびZ=H;または(2R,3S)-N-((3S)-9-クロロ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(18)、すなわちX=Cl、Y=HおよびZ=Hを含む。
【0042】
別の実施形態では、式(III)の化合物は、(2R,3S)-N-((3S)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(19)を含む。
【0043】
【0044】
別の実施形態では、式(III)の化合物は、(2R,3S)-N-((3S)-8-メトキシ-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(20)を含む。
【0045】
【0046】
別の実施形態では、式(III)の化合物は、(2R,3S)-N-((3S)-9-((2-メトキシエチル)アミノ)-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ)-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(21)を含む。
【0047】
【0048】
別の実施形態では、本発明は、式(I)の構造によって表される化合物および/またはその少なくとも1つの塩を含む組成物を提供する。
【0049】
【0050】
式中、
R1は、-CH2CF3であり、
R2は、-CH2CH2CF3、または-CH2CH2CH2CF3であり、
R3は、H、-CH3またはRxであり、
R4は、HまたはRyであり、
Rxは、-CH2OC(O)CH(CH3)NH2、-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-CH2OC(O)CH((CH(CH3)2)NHC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、
【0051】
【0052】
であり、
Ryは、-SCH2CH(NH2)C(O)OH、-SCH2CH(NH2)C(O)OCH3、または-SCH2CH(NH2)C(O)OC(CH3)3であり、
環Aは、フェニルまたはピリジニルであり、
各Raは独立して、Cl、C1~3アルキル、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、-OCH3、および/または-O(シクロプロピル)であり、
各Rbは独立して、F、Cl、-CH3、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、および/または-OCH3であり、
yは、ゼロ、1、または2であり、
zは、1または2である。
【0053】
別の実施形態では、環Aはフェニルであり、R3はHである。別の実施形態では、R2は-CH2CH2CF3であり、環Aはフェニルである。別の実施形態では、R2は-CH2CH2CF3であり、環Aはフェニルであり、Raは、C1~3アルキルまたは-CH2OHであり、各Rbは独立して、Fおよび/またはClであり、yは1である。
【0054】
別の実施形態では、本発明は、式(IV)の構造によって表される化合物を含む組成物を提供する。
【0055】
【0056】
別の実施形態では、本発明は、式(V)の構造によって表される化合物を含む組成物を提供し、
【0057】
【0058】
式中、R3は、HまたはRxである。
【0059】
別の実施形態では、本発明は、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-フルオロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(22)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-クロロフェニル)-9-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(23)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-クロロフェニル)-9-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(24)、(2R,3S)-N-(9-クロロ-5-(3,4-ジメチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(25)、(2R,3S)-N-(9-クロロ-5-(3,5-ジメチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(26)、(2R,3S)-N-((3S)-9-エチル-5-(3-メチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(27)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-クロロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(28)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-クロロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(29)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-メチルフェニル)-2-オキソ-9-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(30)、(2R,3S)-N-((3S)-9-クロロ-5-(3,5-ジメチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(31)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-メチルフェニル)-2-オキソ-9-(トリフルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(32)、(2R,3S)-N-((3S)-9-イソプロピル-5-(3-メチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(33)、(2R,3S)-N-((3S)-9-(シクロプロピルオキシ)-5-(3-メチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(34)、(2R,3S)-N-((3S)-9-(シクロプロピルオキシ)-5-(3-メチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(35)、(2R,3S)-N-((3S)-9-クロロ-5-(3-メチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(36)、(2R,3S)-N-((3S)-9-メチル-2-オキソ-5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-3-(4,4,4-トリフルオロブチル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(37)、(2R,3S)-N-((3S)-9-メチル-2-オキソ-5-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(38)、(2R,3S)-N-((3S)-9-クロロ-5-(2-メチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(39)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(4-フルオロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(40)、(2R,3S)-N-((3S)-9-クロロ-5-(3-シクロプロピルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(41)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-クロロフェニル)-9-メトキシ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(42)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(4-クロロフェニル)-9-メトキシ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(43)、(2R,3S)-N-((3S)-9-クロロ-5-(3-メチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(44)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-メチルフェニル)-9-メトキシ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(45)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(46)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(2-メチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(47)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-メチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(48)、(2R,3S)-N-((3S)-9-メトキシ-2-オキソ-5-(5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジニル)-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(49)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(5-クロロ-2-ピリジニル)-9-メトキシ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(50)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(4-メトキシフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(51)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(4-メチルフェニル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(52)、(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-フルオロフェニル)-9-(ヒドロキシメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミド(53)、((3S)-3-(((2R,3S)-3-カルバモイル-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノイル)アミノ)-5-(3-フルオロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-1-イル)メチルL-バリネート(54)、((3S)-3-(((2R,3S)-3-カルバモイル-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノイル)アミノ)-5-(3-フルオロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-1-イル)メチルL-アラニネート(55)、S-(((2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-5-(3-フルオロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノイル)アミノ)-L-システイン(56)、tert-ブチルS-(((2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-5-(3-フルオロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノイル)アミノ)-L-システイネート(57)、メチルS-(((2S,3R)-6,6,6-トリフルオロ-3-(((3S)-5-(3-フルオロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)カルバモイル)-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノイル)アミノ)-L-システイネート(58)、((3S)-3-(((2R,3S)-3-カルバモイル-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノイル)アミノ)-5-(3-フルオロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-1-イル)メチル(4-(ホスホノオキシ)フェニル)アセテート(59)、および((3S)-3-(((2R,3S)-3-カルバモイル-6,6,6-トリフルオロ-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ヘキサノイル)アミノ)-5-(3-フルオロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-1-イル)メチルL-バリル-L-バリネート(60)、およびこれらの塩、を含む組成物を提供する。
【0060】
別の実施形態では、本発明は、式(I)の構造によって表される化合物および/またはその少なくとも1つの塩を含む組成物を提供する。
【0061】
【0062】
式中、
R1は、-CH2CF3または-CH2CH2CF3であり、
R2は、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、または-CH2CH2CH2CF3であり、
R3は、H、-CH3またはRxであり、
R4は、HまたはRyであり、
Rxは、-CH2OC(O)CH(CH3)NH2、-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-CH2OC(O)CH((CH(CH3)2)NHC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、
【0063】
【0064】
であり、
Ryは、-SCH2CH(NH2)C(O)OH、-SCH2CH(NH2)C(O)OCH3、または-SCH2CH(NH2)C(O)OC(CH3)3であり、
環Aは、フェニルまたはピリジニルであり、
各Raは独立して、F、Cl、-CN、-OCH3、C1~3アルキル、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、-OCH3、-O(シクロプロピル)および/または-NHCH2CH2OCH3であり、
各Rbは独立して、F、Cl、-CH3、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、および/または-OCH3であり、
yは、ゼロ、1、または2であり、
zは、ゼロ、1、または2であり、
環Aがフェニルであり、zがゼロであり、yが1または2である場合、少なくとも1つのRaは、
C1~3アルキル、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、または-O(シクロプロピル)であることを条件とし、
R3がRxである場合、R4はHであることを条件とし、
R4がRyである場合、R3は、Hまたは-CH3であることを条件とする。
【0065】
別の実施形態では、上記の構造は、以下の条件の1つ以上を含む:環Aがフェニルであり、zがゼロであり、yが1または2である場合、少なくとも1つのRaはC1~3アルキル、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、または-O(シクロプロピル)であることを条件とし、R3が、Rxである場合、R4はHであることを条件とし、R4がRyである場合、R3は、Hまたは-CH3であることを条件とする。
【0066】
別の実施形態では、本発明は、以下の構造によって表される化合物を含む組成物を提供する。
【0067】
【0068】
別の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、1つ以上の化合物のプロドラッグを含む。
【0069】
全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,273,014号は、式(I)の様々な化合物および/またはその少なくとも1つの塩を開示し、
【0070】
【0071】
式中、R1は、-CH2CH2CF3であり、
R2は、-CH2CH2CF3、または-CH2CH2CH2CF3であり、
R3は、H、-CH3またはRxであり、
R4は、HまたはRyであり、
Rxは、-CH2OC(O)CH(CH3)NH2、-CH2OC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、-CH2OC(O)CH((CH(CH3)2)NHC(O)CH(NH2)CH(CH3)2、
【0072】
【0073】
であり、
Ryは、-SCH2CH(NH2)C(O)OH、-SCH2CH(NH2)C(O)OCH3、または-SCH2CH(NH2)C(O)OC(CH3)3であり、
環Aは、フェニルまたはピリジニルであり、
各Raは独立して、Cl、C1~3アルキル、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、-OCH3、および/または-O(シクロプロピル)であり、
各Rbは独立して、F、Cl、-CH3、-CH2OH、-CF3、シクロプロピル、および/または-OCH3であり、
yは、ゼロ、1、または2であり、
zは、1または2である。
【0074】
米国特許第9,273,014号は、式(22)の化合物も開示し、
【0075】
【化29】
これは、一実施形態では、化学名(2R,3S)-N-((3S)-5-(3-フルオロフェニル)-9-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミドを有する。米国特許第9,273,014号はまた、この化合物ならびに本発明の一部と見なされるべき、式(I)の他の化合物を合成するためのプロセスを開示している。
【0076】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,629,136号は、式(III)の化合物および/またはその少なくとも1つの塩を開示し、
【0077】
【0078】
式中、
R3は、Hまたは-CH3であり、
各Raは独立して、F、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3である。
【0079】
米国特許第8,629,136号は、式(1)の化合物も開示しており、
【0080】
【0081】
これは、一実施形態では、化学名(2R,3S)-N-((3S)-1-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-1,4-ベンゾジアゼピン-3-イル)-2,3-ビス(3,3,3-トリフルオロプロピル)スクシンアミドを有する。一実施形態では、化合物はNotch阻害剤である。米国特許第8,629,136号は、本発明の一部と見なされるべき、式(I)の他の化合物と同様にこの化合物を合成するためのプロセスを開示している。
【0082】
一実施形態では、本発明は、4mgの用量で処方された本明細書に記載の化合物を含む組成物を提供する。一実施形態では、本発明は、静脈内投与用に処方された、本明細書に記載の化合物を含む組成物を提供する。
【0083】
本発明は、その精神または本質的な属性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。本発明は、本明細書に記載の本発明の態様および/または実施形態のすべての組み合わせを包含する。本発明の任意のすべての実施形態は、追加のさらなる実施形態を説明するために、任意の他の実施形態(複数可)と併せて解釈され得ることが理解される。実施形態の各個々の要素は、追加の実施形態を説明するために、任意の実施形態からの任意のおよびすべての他の要素と組み合わされることを意味することも理解されるべきである。
【0084】
併用治療
【0085】
一実施形態では、本発明の組成物または本発明の方法で使用するための組成物は、上記の1つ以上のビスフルオロアルキル-1,4-ベンゾジアゼピノン化合物と組み合わせて1つ以上の癌治療薬を含む。
【0086】
癌の治療において、化学療法剤および/または他の治療(例えば、放射線療法)の組み合わせがしばしば有利である。追加の薬剤は、一次治療薬と同じまたは異なる作用機序を有し得る。例えば、投与される2つ以上の薬物が異なる方法または細胞周期の異なる段階で作用する場合、および/または2つ以上の薬物が重複しない毒性または副作用を有する場合、および/またはそれぞれ組み合わせた薬物が患者によって明らかにされた特定の病状(disease state)を治療するのに実証された効果を有する場合、薬物の組み合わせを使用することができる。
【0087】
一実施形態では、治療を必要とする哺乳動物に、本明細書に記載の組成物を投与し、かつ1つ以上の抗癌剤を投与するステップを含む、癌を治療するための方法を提供する。
【0088】
一実施形態では、「抗癌剤」という句は、以下の任意の1つ以上から選択される薬物を指す:アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、メタンスルホネート、ブスルファン、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、エチレンイミン誘導体、およびトリアゼン、またはそれらの組み合わせを含む);抗血管新生薬(マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤を含む);代謝拮抗剤(アデノシンデアミナーゼ阻害剤、葉酸拮抗薬、プリン類似体、およびピリミジン類似体を含む);抗生物質または抗体(モノクローナル抗体、CTLA-4抗体、アントラサイクリンを含む);アロマターゼ阻害剤;細胞周期応答修飾物質;酵素;ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ホルモン剤および抗ホルモン剤およびステロイド(合成類似体、グルココルチコイド、エストロゲン/抗エストロゲン[例えば、SERM]、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、プロゲステロン受容体アゴニスト、および黄体形成ホルモン放出[LHRH]アゴニストおよび拮抗薬を含む);インスリン様増殖因子(IGF)/インスリン様増殖因子受容体(IGFR)システムモジュレーター(IGFR1阻害剤を含む);インテグリンシグナル伝達阻害剤;キナーゼ阻害剤(マルチキナーゼ阻害剤および/またはSrcキナーゼまたはSrc/ab1の阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ[CDK]阻害剤、panHer、Her-1およびHer-2抗体、抗VEGF抗体を含むVEGF阻害剤、EGFR阻害剤、PARP(ポリADP-リボースポリメラーゼ)阻害剤、マイトジェン活性化タンパク質[MAP]阻害剤、MET阻害剤、MEK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PDGF阻害剤、およびその他のチロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤を含む;微小管破壊剤(microtubule-disruptor agent)、例えばエクテイナシジンまたはそれらの類似体および誘導体など;微小管安定剤、例えばタキサン、プラチナベースの抗腫瘍薬(プラチン(platin))、例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチンおよびサトラプラチン、ならびに天然に存在するエポチロンおよびそれらの合成および半合成類似体;微小管結合、不安定化剤(ビンカアルカロイドを含む);トポイソメラーゼ阻害剤;プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;白金配位錯体;シグナル伝達阻害剤;および抗癌剤および細胞傷害性剤として使用される他の薬剤、例えば生物学的応答修飾物質、増殖因子、および免疫変調成分など。
【0089】
一実施形態では、本発明の組成物は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物および1つ以上の標的治療薬を含む。一実施形態では、該標的治療薬は、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)の阻害剤を含む。一実施形態では、mTOR阻害剤はエベロリムスを含む。別の実施形態では、mTOR阻害剤はシロリムス(ラパマイシン)を含む。別の実施形態では、mTOR阻害剤はテムシロリムスを含む。
【0090】
別の実施形態では、mTOR阻害剤は、二重の哺乳類ラパマイシン標的タンパク質/ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤を含み、これは、一実施形態では、NVP-BEZ235(ダクトリシブ)、GSK2126458、XL765、またはこれらの組み合わせを含む。
【0091】
別の実施形態では、mTOR阻害剤は、第2世代のmTOR阻害剤を含み、これは、一実施形態では、AZD8055、INK128/MLN0128、OSI027、またはこれらの組み合わせを含む。
【0092】
別の実施形態では、mTOR阻害剤は、第3世代のmTOR阻害剤を含み、これは、一実施形態では、RapaLinkを含む。
【0093】
一実施形態では、本発明の組成物は、mTOR阻害剤および化学療法剤と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む。一実施形態では、mTOR阻害剤はエベロリムスを含む。一実施形態では、化学療法剤はシスプラチンを含む。
【0094】
一実施形態では、本発明の組成物は、PARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)阻害剤と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む。
【0095】
別の実施形態では、本発明の組成物は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物および多官能性アルキル化剤を含む。一実施形態では、多官能性アルキル化剤は、ニトロソウレア、マスタード、ナイトロジェンマスタード、メタンスルホネート、ブスルファン、エチレンイミン、またはこれらの組み合わせを含む。
【0096】
別の実施形態では、本発明の組成物は、ステロイドと組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む。
【0097】
別の実施形態では、本発明の組成物は、ビスホスホネートと組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む。
【0098】
別の実施形態では、本発明の組成物は、癌増殖遮断薬と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む。
【0099】
別の実施形態では、本発明の組成物は、プロテアソーム阻害剤と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む。
【0100】
別の実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上のインターフェロンと組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む。
【0101】
別の実施形態では、本発明の組成物は、1つ以上のインターロイキンと組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む。
【0102】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物およびアルキル化薬を含む組成物を提供する。一実施形態では、アルキル化薬は、プロカルバジン(マチュラン(MATULANE(米国登録商標)))、ダカルバジン(DTIC)、アルトレタミン(ヘキサレン(HEXALEN(米国登録商標)))、またはそれらの組み合わせを含む。
【0103】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物およびアルキル化様薬物を含む組成物を提供する。一実施形態では、アルキル化様薬物は、シスプラチン(プラチノール(Platinol))を含む。
【0104】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物および代謝拮抗剤を含む組成物を提供する。一実施形態では、代謝拮抗剤は、抗葉酸化合物(メトトレキサート)、アミノ酸拮抗薬(アザセリン)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0105】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物およびプリン拮抗薬を含む組成物を提供する。一実施形態では、プリン拮抗薬は、メルカプトプリン(6-MP)、チオグアニン(6-TG)、フルダラビンホスフェート、クラドリビン(ロイスタチン(Leustatin(米国登録商標)))、ペントスタチン(ナイペント(NIPENT(商標)))、またはこれらの組み合わせを含む。
【0106】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物およびピリミジン拮抗薬を含む組成物を提供する。一実施形態では、ピリミジン拮抗薬は、フルオロウラシル(5-FU)、シタラビン(ARA-C)、アザシチジン、またはこれらの組み合わせを含む。
【0107】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含み、植物アルカロイドと組み合わされている組成物を提供する。一実施形態では、植物アルカロイドは、ビンブラスチン(ベルバン(VELBAN(米国登録商標)))、ビンクリスチン(オンコビン(ONCOVIN(米国登録商標)))、エトポシド(VP-16、VEPE-SID(米国登録商標))、テニポシド(ブモン(VUMON(米国登録商標)))、トポテカン(ハイカムチン(HYCAMTIN(米国登録商標)))、イリノテカン(カンプトサール(CAMPTOSAR(米国登録商標)))、パクリタキセル(タキソール(TAXOL(米国登録商標)))、ドセタキセル(タキソテール(TAXOTERE(米国登録商標)))、またはこれらの組み合わせを含む。
【0108】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含み、FOLFIRIと組み合わされている組成物を提供し、一実施形態では、FOLFIRIは、フォリン酸(ロイコボリン(leucovorin))、フルオロウラシル(5-FU)およびイリノテカン(カンプトサール(CAMPTOSAR(米国登録商標)))を含む。別の実施形態では、本発明は、フォリン酸(ロイコボリン)、フルオロウラシル(5-FU)、イリノテカン(カンプトサール(CAMPTOSAR(米国登録商標)))、またはこれらの組み合わせと、組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。
【0109】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含み、抗生物質と組み合わされている組成物を提供する。一実施形態では、抗生物質は、アントラサイクリン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(ADRIAMYCIN)、ルベックス(RUBEX)、ドキシル(DOXIL(米国登録商標)))、ダウノルビシン(ダウノキソーム(DAUNOXOME(米国登録商標)))、ダクチノマイシン(コスメゲン(COSMEGEN(米国登録商標)))、イダルビンシン(イダマイシン(IDAMYCIN(米国登録商標)))、プリカマイシン(ミトラマイシン(MITHRAMYCIN(米国登録商標)))、ミトマイシン(ムタマイシン(MUTAMYCIN(米国登録商標)))、ブレオマイシン(ブレノキサン(BLENOXANE(米国登録商標)))またはこれらの組み合わせを含む。
【0110】
別の実施形態では、本発明は、癌ワクチンと組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物および免疫療法剤を含む組成物を提供する。一実施形態では、免疫療法剤はモノクローナル抗体を含む。一実施形態では、モノクローナル抗体は、一実施形態ではニボルマブを含む抗PD-1抗体を含む。
【0111】
別の実施形態では、モノクローナル抗体は、アレムツズマブ(キャンパス(CAMPATH(米国登録商標)))、トラスツズマブ(ハーセプチン(HERCEPTIN(米国登録商標)))、ベバシズマブ(アバスチン(AVASTIN(米国登録商標)))、セツキシマブ(アービタックス(ERBITUX(米国登録商標)))、またはこれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、放射性標識抗体を含み、これは、一実施形態では、イブリツモマブ(britumomab)、チウキセタン(ゼバリン(ZEVALIN(米国登録商標)))、またはこれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、化学標識抗体(chemolabeled antibody)、一実施形態ではブレンツリキシマブ ベドチン(アドセトリス(ADCETRIS(米国登録商標)))、トラスツズマブ エムタンシン(Ado-trastuzumab emtansine)(カドサイラ(KADCYLA(米国登録商標))、またTDM-1と呼ばれる)、デニロイキン ディフティトックス(オンタック(ONTAK(米国登録商標)))、またはこれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、一実施形態ではブリナツモマブ(ビーリンサイト(Blincyto(米国登録商標)))を含む二重特異性抗体を含む。
【0112】
別の実施形態では、本発明は、ホルモン療法と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物およびホルモン剤を含む組成物を提供する。一実施形態では、ホルモン剤は、タモキシフェン(ノルバデックス(NOLVADEX(米国登録商標)))、フルタミド(ユーレキシン(EULEXIN(米国登録商標)))、ゴナドトロピン放出ホルモン作動薬(リュープロリドおよびゴセレリン(ゾラデックス(ZOLADEX(米国登録商標)))、アロマターゼ阻害剤、アミノグルテチミド、アナストロゾール(アリミデックス(ARIMIDEX(米国登録商標)))、またはこれらの組み合わせを含む。
【0113】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物ならびに、アムサクリン、ヒドロキシ尿素(ハイドレア(Hydrea))、アスパラギナーゼ(エルスパー(EL-SPAR(米国登録商標)))、ミトキサントロン(ノバントロン(NOVANTRONE(米国登録商標)))、ミトタン、レチノイン酸誘導体、骨髄増殖因子、アミフォスチン、またはこれらの組み合わせ、を含む組成物を提供する。
【0114】
別の実施形態では、本発明は、1つ以上の癌幹細胞経路を阻害する薬剤と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。一実施形態では、そのような薬剤は、ヘッジホッグ、WNT、BMP、またはこれらの組み合わせの阻害剤を含む。
【0115】
一実施形態では、該抗癌剤は、BCMA標的キメラ抗原受容体T細胞免疫療法剤、p53-HDM2阻害剤、c-MET阻害剤、BCR-ABL阻害剤、抗インターロイキン-1ベータモノクローナル抗体、EGFR突然変異モジュレーター、PI3K-アルファ阻害剤、JAK1/2阻害剤、コルチゾール合成阻害剤、トロンボポエチン、P-セレクチン阻害剤受容体アゴニスト、抗CD20モノクローナル抗体、抗PD-1モノクローナル抗体、シグナル伝達阻害剤、CDK4/6阻害剤、BRAF阻害剤+MEK阻害剤、CD19標的キメラ抗原受容体T細胞免疫療法剤、ソマトスタチン類似体、またはこれらの組み合わせを含む。一実施形態では、該抗癌剤は、カプマチニブ、アシミニブ、カナキヌマブ、アルペリシブ、ルキソリチニブ、オシロドロスタット、エルトロンボパグ、クリザンリズマブ(crizanlizumab)、オファツムマブ、スパルタリズマブ(spartalizumab)、ミドスタウリン、リボシクリブ、ダブラフェニブ+トラメチニブ、チサゲンレクルユーセル、エベロリムス、パシレオチドまたはこれらの組み合わせを含む。
【0116】
別の実施形態では、本発明は、造血幹細胞移植アプローチと組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。
【0117】
別の実施形態では、本発明は、分離注入アプローチ(isolated infusion approache)と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。一実施形態では、分離注入アプローチは、圧倒的な全身損傷を引き起こすことなく腫瘍部位に非常に高用量の化学療法を送達するために、特定の組織への化学療法の注入を含む。
【0118】
別の実施形態では、本発明は、標的化送達メカニズム(targeted delivery mechanism)と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。一実施形態では、標的化送達メカニズムは、腫瘍細胞の化学療法の有効レベルを増加させる一方で、腫瘍特異性の増加および/または毒性の減少のために他の細胞の有効レベルを減少させる。一実施形態では、標的化送達メカニズムは、従来の化学療法剤、または放射性同位元素または免疫刺激因子を含む。
【0119】
別の実施形態では、本発明は、ナノ粒子と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。一実施形態では、ナノ粒子は、パクリタキセルなどの難溶性薬剤のビヒクルとして使用される。一実施形態では、磁性材料で作られたナノ粒子を使用して、外部から印加された磁場を使用して腫瘍部位に薬剤を集中させることもできる。
【0120】
別の実施形態では、本発明は、腺様嚢胞癌(ACC)を治療するための薬剤と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。一実施形態では、ACCを治療するための該薬剤は、アキシニブ、ボルテゾミブ(ベルケイド(Velcade))、ボルテゾミブ+ドキソルビシン、セツキシマブ、セツキシマブ+強度変調放射線療法(IMRT)、セツキシマブ+RT+シスプラチン、セツキシマブ+シスプラチン+5-FU、チダミド(CS055/HBI-8000)、セツキシマブと炭素イオン、シスプラチン、シスプラチンと5-FU、シスプラチンとドキソルビシンとブレオマイシン、シスプラチンとドキソルビシンとシクロホスファミド、ダサチニブ、ドビチニブ、エピルビシン、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムシタビンとシスプラチン、イマチニブ、イマチニブ+シスプラチン、ラパチニブ、ミトキサントロン、MK2206、ネルフィナビル、パクリタキセル、パクリタキセルとカルボプラチン、パニツムマブおよび放射線療法、PF-00562271、PF-00299804とフィギツムマブPX-478、PX-866、レゴラフェニブ、ソネプシズマブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ビノレルビン、ビノレルビンとシスプラチン、ボリノスタット、XL147とエルロチニブ、XL647、またはそれらの組み合わせを含む。
【0121】
別の実施形態では、本発明は、ペンブロリズマブ、ドセタキセル、ニボルマブとイピリムマブ、PSMA-PETイメージング、チダミド、APG-115、HDM201、DS-3032b、LY3039478、またはこれらの組み合わせ、と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。
【0122】
別の実施形態では、本発明は、トリプルネガティブ乳癌を治療するための薬剤と組み合わせて、本明細書に記載された式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する。一実施形態では、トリプルネガティブ乳癌を治療するための該薬剤は、オラパリブなどのPARP(ポリADP-リボースポリメラーゼ)阻害剤、ベバシズマブなどのVEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤、セツキシマブなどのEGFR(上皮増殖因子受容体)標的療法、またはそれらの組み合わせを含む。
【0123】
一実施形態では、治療を必要とする哺乳動物に、本明細書に記載の組成物を投与し、かつ1つ以上の抗癌剤を投与するステップを含む、癌を治療するための方法を提供する。
【0124】
一実施形態では、「抗癌剤」という句は、以下の任意の1つ以上から選択される薬物を指す:アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、エチレンイミン誘導体、およびトリアゼン);抗血管新生薬(マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤を含む);代謝拮抗剤(アデノシンデアミナーゼ阻害剤、葉酸拮抗薬、プリン類似体、およびピリミジン類似体を含む);抗生物質または抗体(モノクローナル抗体、CTLA-4抗体、アントラサイクリンを含む);アロマターゼ阻害剤;細胞周期応答修飾物質;酵素;ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ホルモン剤および抗ホルモン剤およびステロイド(合成類似体、グルココルチコイド、エストロゲン/抗エストロゲン[例えば、SERM]、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、プロゲステロン受容体アゴニスト、および黄体形成ホルモン放出[LHRH]アゴニストおよび拮抗薬を含む);インスリン様増殖因子(IGF)/インスリン様増殖因子受容体(IGFR)システムモジュレーター(IGFR1阻害剤を含む);インテグリンシグナル伝達阻害剤;キナーゼ阻害剤(マルチキナーゼ阻害剤および/またはSrcキナーゼまたはSrc/ab1の阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ[CDK]阻害剤、panHer、Her-1およびHer-2抗体、抗VEGF抗体を含むVEGF阻害剤、EGFR阻害剤、PARP(ポリADP-リボースポリメラーゼ)阻害剤、マイトジェン活性化タンパク質[MAP]阻害剤、MET阻害剤、MEK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PDGF阻害剤、およびその他のチロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤を含む;微小管破壊剤(microtubule-disruptor agent)、例えばエクテイナシジンまたはそれらの類似体および誘導体など;微小管安定剤、例えばタキサン、ならびに天然に存在するエポチロンおよびそれらの合成および半合成類似体;微小管結合、不安定化剤(ビンカアルカロイドを含む);トポイソメラーゼ阻害剤;プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;白金配位錯体;シグナル伝達阻害剤;および抗癌剤および細胞傷害性剤として使用される他の薬剤、例えば生物学的応答修飾物質、増殖因子、および免疫変調成分など。
【0125】
別の実施形態では、本発明は、以下のいずれか1つ以上と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する:レプラミド(REVLIMID(米国登録商標)、レナリドミド)、アバスチン(AVASTIN(米国登録商標)、ベバシズマブ)、ハーセプチン(HERCEPTIN(米国登録商標)、トラスツズマブ)、リツキサン(RITUXAN(米国登録商標)、リツキシマブ)、オプジーボ(OPDIVO(米国登録商標)、ニボルマブ)、グリベック(GLEEVEC(米国登録商標)、メシル酸イマチニブ)、イムブルビカ(IMBRUVICA(米国登録商標)、イブルチニブ)、ベルケイド(VELCADE(米国登録商標)、ボルテゾミブ)、ザイティガ(ZYTIGA(米国登録商標)、酢酸アビラテロン)、イクスタンジ(XTANDI(米国登録商標)、エンザルタミド)、アリムタ(ALIMTA(米国登録商標)、ペメトレキセド)、ガーダシル(GADASIL(米国登録商標))、イブランス(IBRANCE(登録商標)、パルボシクリブ)、パージェタ(PERJETA(米国登録商標)、ペルツズマブ)、タシグナ(TASIGNA(米国登録商標)、ニロチニブ)、ザイゲバ(XGEVA(米国登録商標)、デノスマブ)、アフィニトール(AFINITOR(米国登録商標)、エベロリムス)、ジャカフィ(JAKAFI(米国登録商標)、ルキソリチニブ)、タルセバ(TARCEVA(米国登録商標)、エルロチニブ)、キイトルーダ(KEYTRUDA(米国登録商標)、ペムブロリズマブ)、スーテント(SUTENT(米国登録商標)、リンゴ酸スニチニブ)、ヤーボイ(YERVOY(米国登録商標)、イピリムマブ)、ネクサバール(NEXAVAR(米国登録商標)、ソラフェニブ)、ゾラデックス(ZOLADEX(米国登録商標)、酢酸ゴセレリン)、アービタックス(ERBITUX(米国登録商標))、ダラザレックス(DAZALEX(米国登録商標)、ダラツムマブ)、ゼローダ(XELODA(米国登録商標)、カペシタビン)、ガジーバ(GAZYVA(米国登録商標)、オビヌツズマブ)、ベンクレクスタ(VENCLEXTA(登録商標)、ベネトクラクス)、およびテセントリク(TECENTRIQ(米国登録商標)、アテゾリズマブ)。
【0126】
別の実施形態では、本発明は、以下のいずれか1つ以上と組み合わせて、本明細書に記載の式(I)の構造によって表される1つ以上の化合物を含む組成物を提供する:アベマシクリブ、エパカドスタット、アパルタミド、カルフィルゾミブ、クリゾチニブ(PF-02341066)、GDC-0449(ビスモデギブ)、ONCOVEX
GM-CSF
、PLX4032(RG7204)、ポナチニブ、SGN-35(ブレンツキシマブベドチン)、ティボザニブ(AV-951)、T-DM1(トラスツズマブ-DM1)、およびXL184(カボザンチニブ)。
【0127】
したがって、本発明の組成物は、癌または他の増殖性疾患の治療に有用な他の抗癌治療と組み合わせて投与することができる。本明細書における本発明は、癌の治療のための薬剤を調製する際の本発明の組成物の使用をさらに含み、および/またはそれは、組成物が癌の治療のための他の抗癌剤または細胞傷害性剤および治療と組み合わせて使用されるという指示と一緒に、本発明の組成物の包装を含む。
【0128】
一実施形態では、癌を治療するための方法が提供され、それを必要とする哺乳動物に式(I)の化合物と、一実施形態でmTOR阻害剤を含む、追加の抗癌剤との組み合わせを投与することと、シスプラチンを投与することと、任意選択で、1つ以上の追加の抗癌剤を投与することと、を含む。
【0129】
一実施形態では、癌を治療するための方法が提供され、それを必要とする哺乳動物に式(I)の化合物と、一実施形態でmTOR阻害剤を含む、追加の抗癌剤との組み合わせを投与することと、ダサチニブを投与することと、任意選択で、1つ以上の追加の抗癌剤を投与することと、を含む。
【0130】
一実施形態では、癌を治療するための方法が提供され、それを必要とする哺乳動物に式(I)の化合物と、一実施形態でmTOR阻害剤を含む、追加の抗癌剤との組み合わせを投与することと、パクリタキセルを投与することと、任意選択で、1つ以上の追加の抗癌剤を投与することと、を含む。
【0131】
一実施形態では、癌を治療するための方法が提供され、それを必要とする哺乳動物に式(I)の化合物と、一実施形態でmTOR阻害剤を含む、追加の抗癌剤との組み合わせを投与することと、タモキシフェンを投与することと、任意選択で、1つ以上の追加の抗癌剤を投与することと、を含む。
【0132】
一実施形態では、癌を治療するための方法が提供され、それを必要とする哺乳動物に式(I)の化合物と、一実施形態でmTOR阻害剤を含む、追加の抗癌剤との組み合わせを投与することと、糖質コルチコイドを投与することと、任意選択で、1つ以上の追加の抗癌剤を投与することと、を含む。適切な糖質コルチコイドの例は、デキサメタゾンである。
【0133】
一実施形態では、癌を治療するための方法が提供され、それを必要とする哺乳動物に式(I)の化合物と、一実施形態でmTOR阻害剤を含む、追加の抗癌剤との組み合わせを投与することと、カルボプラチンを投与することと、任意選択で、1つ以上の追加の抗癌剤を投与することと、を含む。
【0134】
本発明の化合物は、前述の状態に関連する副作用に対処する際のそれらの特定の有用性のために選択される他の治療薬と処方または同時投与することができる。例えば、本発明の化合物は、悪心、過敏、および胃の刺激を防止するための薬剤、例えば制吐剤ならびにH1およびH2抗ヒスタミン薬と共に処方することができる。
【0135】
一実施形態では、式(I)の化合物またはそのプロドラッグと、キナーゼ阻害剤(小分子、ポリペプチド、および抗体)、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質、または抗血管過剰増殖化合物から選択される1つ以上の追加の薬剤と、任意の薬学的または食品グレードに許容される担体、アジュバントまたはビヒクルと、を含む医薬組成物が提供される。
【0136】
上記の他の治療薬は、本発明の化合物と組み合わせて使用される場合、例えば、医師用添付文書集(PDR)に示される量で、または当業者によって決定される量で使用され得る。本発明の方法では、そのような他の治療薬(複数可)は、本発明の化合物の投与の前、同時、または後に投与され得る。
【0137】
医薬組成物
【0138】
製剤
【0139】
また、本発明には、式(I)の化合物と、1つ以上の非毒性の、薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/またはアジュバント(本明細書では「担体」材料と総称される)と、必要に応じて、他の有効成分と、を含む医薬組成物群が含まれる。
【0140】
式(I)の化合物は、任意の適切な経路によって、好ましくはそのような経路に適合された医薬組成物の形態で、そして意図される治療に有効な用量で投与され得る。本発明の化合物および組成物は、例えば、従来の薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルを含む投薬単位製剤で投与することができる。例えば、薬学的担体は、マンニトールまたはラクトースと微結晶性セルロースとの混合物を含み得る。混合物は、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムおよび崩壊剤、例えばクロスポビドンなどの追加の成分を含み得る。担体混合物は、ゼラチンカプセルに充填するか、または錠剤として圧縮することができる。医薬組成物は、例えば、経口剤形または注入液として投与することができる。
【0141】
経口投与の場合、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、液体カプセル、懸濁液、または液体の形態であり得る。医薬組成物は、好ましくは、特定の量の有効成分を含む投薬単位の形態で作製される。例えば、医薬組成物は、約0.3~2000mg、好ましくは約0.3~500mg、より好ましくは約5~150mgの範囲の量の有効成分を含む錠剤またはカプセルとして提供され得る。ヒトまたは他の哺乳動物に適した1日量は、患者の状態および他の要因に応じて広範に変化し得るが、日常的な方法を使用して決定することができる。さらに、特定の用量が所望よりも高いか、または毎日の投薬レジメンで許容される場合、例えば、週2回の投薬または他の適切なスケジュールなどの修正された適切な投薬スケジュールを利用することによって、投薬を修正して所望の結果を達成することができる。そのような修正および変形は、当業者の適用範囲内および知識の範囲内である。
【0142】
本明細書で企図される任意の医薬組成物は、例えば、任意の許容可能かつ適切な経口製剤を介して経口的に送達することができる。例示的な経口製剤には、例えば、錠剤、トローチ、丸剤、ロゼンジ、水性および油性懸濁液、分散性粉末、ペレットまたは顆粒、エマルジョン、硬および軟カプセル、液体カプセル、シロップ、およびエリキシルが含まれるが、これらに限定されない。経口投与を目的とする医薬組成物は、経口投与を目的とする医薬組成物を製造するための当技術分野で知られている任意の方法に従って調製することができる。錠剤および他の経口製剤はまた、これらに限定されないが、バッカルの、チュアブルの、発泡性の、放出調節の、口腔内崩壊の、舌下の、経口溶液用、経口懸濁液用、トリチュレート(triturate)の、または本明細書に記載の組成物および方法に従って使用するのに適した任意の他の形態を含み得る。薬学的に口当たりの良い製剤を提供するために、本発明による医薬組成物は、甘味剤、香味剤、着色剤、粘滑剤、抗酸化剤、および保存剤から選択される少なくとも1つの薬剤を含むことができる。
【0143】
錠剤は、例えば、式(I)の少なくとも1つの化合物を、錠剤の製造に適した少なくとも1つの非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合することによって調製することができる。例示的な賦形剤には、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、およびリン酸ナトリウムなど;造粒および崩壊剤、例えば微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、およびアルギン酸など;結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、およびアカシアなど;および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびタルクなど、が含まれるが、これらに限定されない。さらに、錠剤は、コーティングされていないか、または既知の技術によってコーティングまたはカプセル化されて、不快な味の薬物の悪い味を隠すか、または消化管での有効成分の崩壊および吸収を遅らせ、それによって有効成分の効果をより長く持続させることができる。例示的な水溶性味マスキング材料には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースが含まれるが、これらに限定されない。例示的な時間遅延材料には、エチルセルロース、ポリ(メタ)アクリレート、およびセルロースアセテートブチレートが含まれるが、これらに限定されない。あるいは、必要に応じて、製剤は原薬のみを含むように調製することができる。
【0144】
硬ゼラチンカプセルは、例えば、式(I)の少なくとも1つの化合物を、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびカオリンなどの少なくとも1つの不活性固体希釈剤と混合することによって調製することができる。あるいは、必要に応じて、カプセルは原薬のみを含むように調製することができる。
【0145】
軟ゼラチンカプセルは、例えば、式(I)の少なくとも1つの化合物を、例えば、ポリエチレングリコールなどの少なくとも1つの水溶性担体および、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン、およびオリーブ油などの少なくとも1つの油媒体と混合することによって調製することができる。
【0146】
水性懸濁液は、例えば、式(I)の少なくとも1つの化合物を、水性懸濁液の製造に適した少なくとも1つの賦形剤と混合することによって調製することができる。水性懸濁液の製造に適した例示的な賦形剤には、例えば、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、およびアカシアガム;分散剤または湿潤剤、例えば天然に存在するホスファチド、例えばレシチンなど;アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアレートなど;エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレン-オキシセタノールなど;エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなど;エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートなど、が含まれるがこれらに限定されない。水性懸濁液はまた、例えば、エチルおよびn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエートなどの少なくとも1つの防腐剤、少なくとも1つの着色剤、少なくとも1つの香料、および/または、例えば、スクロース、サッカリン、およびアスパルテームを含むがこれらに限定されない少なくとも1つの甘味料、を含むことができる。
【0147】
油性懸濁液は、例えば、式(I)の少なくとも1つの化合物を、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、およびココナッツ油などの植物油中、または、例えば流動パラフィンなどの鉱油中、のいずれかに懸濁することによって調製することができる。油性懸濁液はまた、例えば蜜蝋、硬質パラフィン、およびセチルアルコールなどの少なくとも1つの増粘剤を含むことができる。口当たりの良い油性懸濁液を提供するために、上記で既に記載された甘味剤の少なくとも1つ、および/または少なくとも1つの香味剤を油性懸濁液に加えることができる。油性懸濁液は、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、およびα-トコフェロールなどの抗酸化剤を含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの防腐剤をさらに含むことができる。
【0148】
分散性粉末および顆粒は、例えば、式(I)の少なくとも1つの化合物を少なくとも1つの分散剤および/または湿潤剤、少なくとも1つの懸濁剤、および/または少なくとも1つの防腐剤と混合することによって調製することができる。適切な分散剤、湿潤剤、および懸濁剤は、すでに上記したとおりである。例示的な防腐剤には、例えば、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。さらに、分散性粉末および顆粒はまた、例えば甘味料、香料、および着色剤を含むがこれらに限定されない、少なくとも1つの賦形剤を含むことができる。
【0149】
式(I)の少なくとも1つの化合物のエマルジョンは、例えば、水中油型エマルジョンとして調製することができる。式(I)の化合物を含むエマルジョンの油相は、既知の方法で既知の成分から構成され得る。油相は、例えば、オリーブ油および落花生油などの植物油;例えば、流動パラフィンなどの鉱油、およびそれらの混合物によって提供することができるが、これらに限定されない。相は単に乳化剤を含み得るが、それは少なくとも1つの乳化剤と、脂肪または油、あるいは脂肪および油の両方との混合物を含み得る。適切な乳化剤には、例えば、天然に存在するホスファチド、例えば大豆レシチン;脂肪酸とヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート;部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、親水性乳化剤は、安定剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含まれる。油と脂肪の両方を含めることも好ましい。安定剤(複数可)と一緒にまたは無しで、乳化剤(複数可)は、いわゆる乳化ワックスを構成し、油および脂肪と一緒のワックスは、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を構成する。エマルジョンはまた、甘味剤、香味剤、防腐剤、および/または抗酸化剤を含むことができる。本発明の製剤での使用に適した乳化剤および乳化安定剤には、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、単独またはワックスと一緒のジステアリン酸グリセリル、または当技術分野で周知の他の材料が含まれる。
【0150】
別の実施形態では、式(I)の化合物は、ナノ粒子、脂質ナノ粒子、微小粒子またはリポソームとして処方することができる。
【0151】
式(I)の化合物はまた、例えば、任意の薬学的に許容され、適切な注射可能な形態を介して、静脈内、皮下、および/または筋肉内に送達され得る。例示的な注射可能な形態には、例えば、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液などの許容されるビヒクルおよび溶媒を含む滅菌水溶液;滅菌水中油型マイクロエマルジョン;および水性または油性懸濁液が含まれるが、これらに限定されない。
【0152】
例えば、組成物は、約0.2~150mgの範囲の量の有効成分を含む静脈内投与のために提供され得る。別の実施形態では、有効成分は、約0.3~10mgの範囲で存在する。別の実施形態では、有効成分は、約4~8.4mgの範囲で存在する。一実施形態では、有効成分は、約4mgの用量で投与される。別の実施形態では、有効成分は、約6mgの用量で投与される。別の実施形態では、有効成分は、約8.4mgの用量で投与される。
【0153】
別の実施形態では、有効成分は、約0.3mgの用量で投与される。別の実施形態では、有効成分は、約0.6mgの用量で投与される。別の実施形態では、有効成分は、約1.2mgの用量で投与される。別の実施形態では、有効成分は、約2.4mgの用量で投与される。
【0154】
非経口投与用の製剤は、水性または非水性の等張性無菌注射溶液または懸濁液の形態であり得る。これらの溶液および懸濁液は、経口投与用の製剤で使用するために言及された担体または希釈剤の1つ以上を使用して、または他の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用することによって、無菌粉末または顆粒から、調製することができる。化合物は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、コーン油、綿実油、落花生油、ゴマ油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウム、トラガカントガム、および/または様々な緩衝液を含むがこれらに限定されない任意の適切な溶媒に溶解することができる。他のアジュバントおよび投与様式は、製薬分野でよく、広く知られている。有効成分はまた、生理食塩水、デキストロース、または水を含む適切な担体、またはシクロデキストリン(すなわち、CAPTISOL(登録商標))、共溶媒可溶化剤(すなわち、プロピレングリコール)もしくはミセル可溶化剤(すなわち、Tween80)を含む組成物として注射によって投与され得る。
【0155】
無菌の注射可能な製剤はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液であり得る。使用できる許容されるビヒクル、非経口的に許容される希釈剤、および溶媒の中には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の固定油は、従来、溶媒または懸濁媒体として使用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の刺激の少ない固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
【0156】
無菌の注射可能な水中油型ナノもしくはマイクロエマルジョンは、例えば、1)例えば、大豆油とレシチンの混合物などの油相に式(I)の少なくとも1つの化合物を溶解することと、2)油相を含む式(I)を水およびグリセロール混合物と組み合わせることと、3)組み合わせを処理してマイクロエマルジョンを形成することと、によって調製することができる。
【0157】
無菌の水性または油性懸濁液は、当技術分野で既に知られている方法に従って調製することができる。例えば、無菌の水溶液または懸濁液は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒、例えば、1,3-ブタンジオールを用いて調製することができ、無菌の油性懸濁液は、無菌の非毒性の許容可能な溶媒または懸濁媒体、例えば、無菌の固定油、例えば合成モノグリセリドまたはジグリセリドおよび、例えば、オレイン酸などの脂肪酸を用いて調製することができる。
【0158】
本発明の医薬組成物において使用され得る薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルは、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化性薬物送達システム(SEDDS)、例えばd-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸塩など、医薬品剤形で使用される界面活性剤、例えばTweensなど、ポリエトキシル化ヒマシ油、例えばCREMOPHOR(登録商標)界面活性剤(BASF)など、または他の同様のポリマー送達マトリックス、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含むが、これらに限定されない。アルファ-、ベータ-、およびガンマ-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン、または2-および3-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキル-シクロデキストリンなどの化学修飾誘導体、または他の可溶化誘導体もまた、本明細書に記載の式の化合物の送達を増強するために有利に使用され得る。
【0159】
本発明の薬学的に活性な化合物は、従来の薬局の方法に従って処理して、ヒトおよび他の哺乳動物を含む患者に投与するための薬剤を産生することができる。医薬組成物は、滅菌などの従来の医薬操作に供され得、および/または防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液などの従来のアジュバントを含み得る。錠剤および丸剤は、腸溶コーティングでさらに調製され得る。そのような組成物はまた、湿潤剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤などのアジュバントを含み得る。
【0160】
本発明の化合物および/または組成物で疾患状態を治療するために投与される化合物の量および投与レジメンは、年齢、体重、性別、対象の病状(medical condition)、疾患の種類、疾患の重症度、投与の経路および頻度、ならびに使用される特定の化合物を含む様々な因子に依存する。したがって、投与レジメンは広範に変化し得るが、標準的な方法を使用して日常的に決定することができる。約0.001~100mg/kg体重、好ましくは約0.005~約50mg/kg体重、最も好ましくは約0.01~10mg/kg体重の1日用量が適切であり得る。1日用量は1日1~4回で投与できる。
【0161】
一実施形態では、化合物は週に1回、対象に投与される。別の実施形態では、化合物は2週間に1回、対象に投与される。
【0162】
治療目的のために、本発明の活性化合物は、通常、示された投与経路に適切な1つ以上のアジュバントと組み合わされる。経口投与する場合、化合物は、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコールと混合し、次いで、投与に便利なように錠剤化またはカプセル化することができる。そのようなカプセルまたは錠剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中の活性化合物の分散体で提供され得るような制御放出製剤を含み得る。
【0163】
本発明の医薬組成物は、式(I)の少なくとも1つの化合物および/またはその少なくとも1つの塩、ならびに、任意選択で、任意の薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルから選択される、追加の薬剤を含む。本発明の代替組成物は、本明細書に記載の式(I)の化合物またはそのプロドラッグ、ならびに薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む。
【0164】
式(I)による化合物は、治療される状態に適した任意の手段によって投与することができ、それは、部位特異的治療の必要性または送達される式(I)化合物の量に依存し得る。本発明の化合物および組成物は、例えば、経口的に、粘膜的に、または血管内、腹腔内、皮下、筋肉内、および胸骨内を含めて非経口的に、投与することができる。別の実施形態では、本発明の化合物および組成物は、静脈内投与される。
【0165】
使用方法
【0166】
一実施形態では、本発明は、対象の増殖性疾患を治療、抑制または阻害するための記載された化合物または組成物の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、対象の増殖性疾患を治療、抑制または阻害する方法であって、式(I)の構造によって表される化合物を含む1つ以上のガンマセクレターゼ阻害剤を含む第1の組成物と、抗癌剤を含む第2の組成物と、を含む医薬組成物を、該対象に投与するステップを含む方法を提供する。
【0167】
【0168】
式中、
R1は、-CH2CF3または-CH2CH2CF3であり、
R2は、-CH2CF3、-CH2CH2CF3、または-CH2CH2CH2CF3であり、
R3は、Hまたは-CH3であり、
各Raは独立して、F、Cl、-CN、-OCH3、および/または-NHCH2CH2OCH3であり、
zは、ゼロ、1、または2である。
【0169】
一実施形態では、式Iの化合物は以下を含む。
【0170】
【0171】
別の実施形態では、式Iの化合物は、以下を含む。
【0172】
【0173】
別の実施形態では、式Iの化合物は、以下を含む。
【0174】
【0175】
一実施形態では、式(I)の化合物および抗癌剤を対象に投与するステップを含む、NOTCH活性化突然変異を含む疾患を治療するための方法が提供される。一実施形態では、NOTCH活性化突然変異は、任意のNOTCH活性化突然変異である。一実施形態では、NOTCH活性化突然変異は、NOTCH1活性化突然変異である。別の実施形態では、NOTCH活性化突然変異は、NOTCH2活性化突然変異である。別の実施形態では、NOTCH活性化突然変異は、NOTCH3活性化突然変異である。別の実施形態では、NOTCH活性化突然変異は、NOTCH4活性化突然変異である。
【0176】
一実施形態では、疾患はリンパ系新生物を含む。別の実施形態では、リンパ系新生物は、CD20白血病を含む。一実施形態では、リンパ系新生物は、慢性リンパ性白血病(CLL)を含む。別の実施形態では、リンパ系新生物は、小リンパ球性白血病(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、脾臓びまん性赤脾髄小細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、リンパ系新生物は、小児T細胞性急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫(T-ALL)、成人T-ALL、小児初期前駆T細胞急性リンパ芽球性白血病(ETP-ALL)、成人ETP-ALL、成人T細胞白血病/リンパ腫、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、疾患は、対象の低CD20発現レベルに関連している。一実施形態では、疾患は、リヒター症候群を含む。別の実施形態では、低CD20発現レベルに関連する疾患は、形質芽球性リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、HHV8関連多中心性キャッスルマン病から生じる大細胞型B細胞リンパ腫、ALK+大細胞型B細胞リンパ腫、またはそれらの組み合わせを含む。
【0177】
一実施形態では、本発明は、対象の増殖性疾患を治療、抑制または阻害するために、本明細書に記載の1つ以上の化合物または組成物の治療的に許容される量の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、対象の増殖性疾患を治療、抑制または阻害するために、本明細書に記載の1つ以上の化合物または組成物の治療有効量の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、対象の増殖性疾患を治療、抑制または阻害するために、本明細書に記載の1つ以上の化合物または組成物の相乗的有効量の使用を提供する。別の実施形態では、本発明は、対象の増殖性疾患を治療、抑制または阻害するために、本明細書に記載の1つ以上の化合物または組成物の相乗的治療有効量の使用を提供する。
【0178】
一実施形態では、増殖性疾患は、デスモイド腫瘍を含む。
【0179】
一実施形態では、増殖性疾患は、前癌状態または良性増殖性障害を含む。
【0180】
一実施形態では、本明細書で交換可能に使用される「前癌性」またはあるいは「前悪性」という用語は、癌のリスクの増加に関連する疾患、症候群または他の状態を指す。本発明の関連における前癌状態には、乳房石灰化、膣上皮内新生物、バレット食道、萎縮性胃炎、先天性角化異常症、鉄欠乏性嚥下困難、扁平苔癬、口腔粘膜下線維症、光線性角化症、日光弾性線維症、子宮頸部異形成、白板症および紅板症が含まれるが、これらに限定されない。
【0181】
一実施形態では、本明細書で使用される「良性過剰増殖性障害」という用語は、細胞の異常な増殖および分化、ならびに細胞増殖に起因する有機組織の量の増加が存在する状態を指す。良性過剰増殖性障害は、調節因子に対する応答の欠如または不適切な応答あるいは機能不全の調節因子に起因する可能性がある。良性過剰増殖性障害の非限定的な例は、乾癬および良性前立腺肥大症(BPH)である。
【0182】
別の実施形態では、増殖性疾患は癌を含む。
【0183】
一実施形態では、癌は、固形腫瘍を含む。別の実施形態では、癌は、血液学的悪性腫瘍を含む。
【0184】
一実施形態では、本明細書に記載の対象は癌を有する。一実施形態では、本発明の関連における「癌」という用語は、固形または非固形腫瘍の形態であるかどうかにかかわらず、すべてのタイプの新生物を含み、悪性および前悪性状態の両方ならびにそれらの転移を含む。一実施形態では、癌は、血液学的悪性腫瘍を含む。
【0185】
一実施形態では、癌は、癌腫、肉腫、骨髄腫、白血病、またはリンパ腫である。別の実施形態では、癌は混合型である。
【0186】
一実施形態では、混合型癌は、いくつかのタイプの細胞を含む。タイプ構成要素は、1つのカテゴリ内にある場合と、異なるカテゴリからのものである場合がある。いくつかの例は、腺扁平上皮癌、混合性中胚葉腫瘍、癌肉腫、奇形腫である。
【0187】
別の実施形態では、癌は、Notch活性化に依存している。別の実施形態では、癌は、Notch活性化突然変異を含む。別の実施形態では、癌は、Notch活性化に依存しない。
【0188】
別の実施形態では、癌腫は腺様嚢胞癌(ACC)を含む。
【0189】
別の実施形態では、癌腫は胃食道接合部癌を含む。
【0190】
一実施形態では、癌腫は腺癌である。別の実施形態では、癌腫は扁平上皮癌である。
【0191】
一実施形態では、肉腫は、骨肉腫または骨原性肉腫(骨)、軟骨肉腫(軟骨)、平滑筋肉腫(平滑筋)、横紋筋肉腫(骨格筋)、中皮肉腫または中皮腫(体腔の膜状の内層(membranous lining of body cavities))、線維肉腫(線維性組織)、血管肉腫または血管内皮腫(血管)、脂肪肉腫(脂肪組織)、神経膠腫または星状細胞腫(脳に見られる神経原性結合組織)、粘液肉腫(原始胚性結合組織)、および間葉性または混合性中胚葉性腫瘍(混合性結合組織型)を含む。
【0192】
一実施形態では、癌は骨髄腫を含み、これは、一実施形態では、骨髄の形質細胞に由来する癌である。形質細胞は、血液中に見られるタンパク質のいくつかを産生する。一実施形態では、癌は多発性骨髄腫を含む。
【0193】
別の実施形態では、癌は白血病(「非固形腫瘍」または「血液癌」)を含み、これは、一実施形態では、骨髄(血球産生部位)の癌である。一実施形態では、白血病は、骨髄性または顆粒球性白血病(骨髄性および顆粒球性白血球系列の悪性腫瘍);リンパ性、リンパ球性、またはリンパ芽球性白血病(リンパ性およびリンパ球性血球系列の悪性腫瘍);および真性多血症または赤血病(様々な血球産物の悪性腫瘍であるが、赤血球が優勢である)を含む。
【0194】
別の実施形態では、癌は、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)を含む。別の実施形態では、癌は、Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫(TLL)を含む。別の実施形態では、癌は慢性リンパ性白血病(CLL)を含む。
【0195】
別の実施形態では、癌はリンパ腫を含む。一実施形態では、リンパ腫は節外性リンパ腫を含む。一実施形態では、リンパ腫はホジキンリンパ腫を含む。別の実施形態では、リンパ腫は非ホジキンリンパ腫を含む。
【0196】
一実施形態では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。一実施形態では、トリプルネガティブ乳癌細胞は、エストロゲン、プロゲステロン、またはHER2の受容体を含まない。一実施形態では、ER、PRおよびHER2陰性である乳癌は、トラスツズマブなどのHER2を遮断することによって機能するホルモン療法または薬物療法で治療することはできない。
【0197】
別の実施形態では、癌は、Notch活性化に依存している。別の実施形態では、癌は、Notch活性化突然変異を含む。別の実施形態では、癌は、Notch活性化に依存しない。
【0198】
一実施形態では、本明細書に記載の癌は、Notch活性化遺伝子変化を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の癌は、Notch活性化変化を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の癌は、Notch活性化突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の癌は、Notch活性化遺伝子突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の癌は、Notch突然変異を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の癌は、Notch変更突然変異を含む。
【0199】
一実施形態では、Notch活性化遺伝子変化は、1つ以上のNotch関連遺伝子の突然変異を含む。一実施形態では、1つ以上のNotch関連遺伝子の突然変異は、Notch活性の機能獲得(GOF)を誘導する。
【0200】
別の実施形態では、1つ以上のNotch関連遺伝子の突然変異は、ミスセンス変異を含む。別の実施形態では、1つ以上のNotch関連遺伝子の突然変異は、ナンセンス変異を含む。別の実施形態では、1つ以上のNotch関連遺伝子の突然変異は、挿入変異を含む。別の実施形態では、1つ以上のNotch関連遺伝子の突然変異は、欠失変異を含む。別の実施形態では、1つ以上のNotch関連遺伝子の突然変異は、重複突然変異を含む。別の実施形態では、1つ以上のNotch関連遺伝子の突然変異は、フレームシフト突然変異を含む。別の実施形態では、1つ以上のNotch関連遺伝子の突然変異は、反復拡張を含む。別の実施形態では、1つ以上のNotch関連遺伝子の突然変異は、融合を含む。
【0201】
別の実施形態では、癌は、星状細胞腫、膀胱癌、乳癌、胆管癌(CCA)、結腸癌、結腸直腸癌、結腸直腸癌腫、上皮癌、上皮卵巣癌、線維肉腫、胆嚢癌、胃癌、神経膠芽腫、神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞癌、腎臓癌、肝臓癌、非小細胞肺癌(NSCLC)を含む肺癌、悪性線維性組織球腫(MFH)、悪性胸膜中皮腫(MPM)、髄芽細胞腫、黒色腫、中皮腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、卵巣腺癌、卵巣癌、膵臓腺癌、膵臓癌、前立腺癌、腎細胞癌(RCC)、横紋筋肉腫、精のう癌、および甲状腺癌を含む。一実施形態では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。
【0202】
本明細書で使用される場合、「癌」という用語は、癌腫、肉腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫、および混合型腫瘍の上記のカテゴリを含む。特に、癌という用語には、リンパ増殖性疾患、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肺癌、骨癌、肝臓癌、胃癌、膀胱癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、甲状腺癌、頭頸部癌、中枢神経系癌、脳癌、末梢神経系癌、皮膚癌、腎臓癌、および上記すべての転移を含む。より具体的には、本明細書で使用される場合、この用語は、肝細胞癌、血腫、肝芽細胞腫、横紋筋肉腫、食道癌、甲状腺癌、神経節芽細胞腫(ganglioblastoma)、神経膠芽腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、ユーイング肉腫、平滑筋肉腫、ラブドテリオ肉腫(rhabdotheliosarcoma)、浸潤性乳管癌、乳頭状腺癌、黒色腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌(高分化型、中分化型、低分化型または未分化型)、腎細胞癌、副腎腫、副腎様腺癌(hypernephroid adenocarcinoma)、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、精巣腫瘍、小細胞、非小細胞および大細胞肺癌を含む肺癌、膀胱癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、結腸癌、直腸癌、急性骨髄性白血病、急性骨髄球性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、マスト細胞白血病、多発性骨髄腫、骨髄性リンパ腫(myeloid lymphoma)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含むすべてのタイプの白血病およびリンパ腫を含む血液悪性腫瘍を指すことができる。
【0203】
別の実施形態では、本明細書に記載の組み合わせ組成物の投与は、固形腫瘍または血液悪性腫瘍の細胞の増殖を、組み合わせ組成物で治療されていない(すなわち、組成物のいずれか1つで治療されているか、別の癌治療によって治療されているか、または治療されていない)固形腫瘍または血液悪性腫瘍の細胞の増殖と比較して40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%減少させる。
【0204】
別の実施形態では、本発明は、新生物を有する対象の生存を増加または延長する方法を提供する。本明細書で使用される場合、「新生物」という用語は、細胞または組織の病理学的増殖およびその後の他の組織または器官への移動または浸潤を特徴とする疾患を指す。新生物の増殖は、通常、制御されておらず、進行性であり、正常細胞の増殖を誘発しない、またはその増殖の停止を引き起こすであろう条件下で起こる。新生物は、膀胱、結腸、骨、脳、乳房、軟骨、グリア、食道、ファロピウス管、胆嚢、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、胸膜、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿生殖路、尿管、尿道、子宮、および膣からなる群から選択される器官、またはそれらの組織または細胞型を含むがこれらに限定されない、様々な細胞型、組織、または器官に影響を及ぼし得る。新生物には、肉腫、癌腫、または形質細胞腫(形質細胞の悪性腫瘍)などの癌が含まれる。
【0205】
一実施形態では、本明細書に記載の対象は、放射線療法、化学療法、移植、免疫療法、ホルモン療法、または光線力学療法で治療されているか、または以前に治療されたことがある。
【0206】
一実施形態では、癌を治療するための方法であって、それを必要とする哺乳動物に、式(I)の化合物と1つ以上の抗癌剤との組み合わせを投与するステップを含む、該方法を提供する。一実施形態では、抗癌剤は、クロラムブシル、フルダライン(Fludarain)、ペントスタチン、シクロホスファミド、HDMP、ベンダムスチン、またはこれらの組み合わせを含む。
【0207】
別の実施形態では、抗癌剤は、シスプラチン、ダサチニブ、パクリタキセル、タモキシフェン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0208】
一実施形態では、「抗癌剤」または「追加の抗癌剤」は、以下の任意の1つ以上から選択される薬物を指す:アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、エチレンイミン誘導体、およびトリアゼンを含む);抗血管新生薬(マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤を含む);代謝拮抗剤(アデノシンデアミナーゼ阻害剤、葉酸拮抗薬、プリン類似体、およびピリミジン類似体を含む);抗生物質または抗体(モノクローナル抗体、アントラサイクリンを含む);アロマターゼ阻害剤;細胞周期応答修飾物質;酵素;ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ホルモン剤および抗ホルモン剤およびステロイド(合成類似体、グルココルチコイド、エストロゲン/抗エストロゲン[例えば、SERM]、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、プロゲステロン受容体アゴニスト、および黄体形成ホルモン放出[LHRH]アゴニストおよび拮抗薬を含む);インスリン様増殖因子(IGF)/インスリン様増殖因子受容体(IGFR)システムモジュレーター(IGFR1阻害剤を含む);インテグリンシグナル伝達阻害剤;キナーゼ阻害剤(マルチキナーゼ阻害剤および/またはSrcキナーゼまたはSrc/ab1の阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ[CDK]阻害剤、panHer、Her-1およびHer-2抗体、抗VEGF抗体を含むVEGF阻害剤、EGFR阻害剤、PARP(ポリADP-リボースポリメラーゼ)阻害剤、マイトジェン活性化タンパク質[MAP]阻害剤、MET阻害剤、MEK阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PDGF阻害剤、およびその他のチロシンキナーゼ阻害剤またはセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤を含む;微小管破壊剤(microtubule-disruptor agent)、例えばエクテイナシジンまたはそれらの類似体および誘導体など;微小管安定剤、例えばタキサン、ならびに天然に存在するエポチロンおよびそれらの合成および半合成類似体;微小管結合、不安定化剤(ビンカアルカロイドを含む);トポイソメラーゼ阻害剤;プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;白金配位錯体;シグナル伝達阻害剤;および抗癌剤および細胞傷害性剤として使用される他の薬剤、例えば生物学的応答修飾物質、増殖因子、および免疫変調成分など。
【0209】
一実施形態では、癌を治療するための方法であって、それを必要とする哺乳動物に、式(I)の化合物と、一実施形態では糖質コルチコイドを含む抗癌剤と、任意選択で、1つ以上の追加の抗癌剤との組み合わせを投与するステップを含む、該方法を提供する。適切な糖質コルチコイドの例は、デキサメタゾンである。
【0210】
一実施形態では、癌を治療するための方法であって、それを必要とする哺乳動物に式(I)の化合物と、一実施形態ではカルボプラチンを含む抗癌剤と、任意選択で、1つ以上の追加の抗癌剤との組み合わせを投与するステップを含む、該方法を提供する。
【0211】
対象の疾患を治療、抑制または阻害する方法の特定のレジメン、および本明細書に記載される治療の有効性を高めるための記載の化合物または組成物の使用は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって適切に変更することができる。当業者は、個々の必要性に基づいて、本発明に従って適切な治療計画を容易に決定することができるであろう。そのような計画を決定する際に考慮すべき因子には、対象の突然変異状態、年齢、および併存疾患、ならびに当業者によって容易に認識される他の様々な因子が含まれるが、これらに限定されない。
【0212】
定義
【0213】
本明細書で特に明記しない限り、単数形で行われる言及は複数形も含み得る。例えば、「a」および「an」は、1つまたは1つ以上を指す場合がある。
【0214】
本明細書に記載の定義は、参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願、および/または公開特許公報に記載の定義よりも優先される。
【0215】
以下に列挙されるのは、本発明を説明するために使用される様々な用語の定義である。これらの定義は、個別に、またはより大きなグループの一部として(特定の場合に制限されていない限り)明細書全体で使用される用語に適用される。
【0216】
本明細書で使用される場合、「投与する」という用語は、本発明の化合物と接触させることを指す。一実施形態では、組成物は局所的に適用される。別の実施形態では、組成物は全身的に適用される。投与は、細胞または組織培養物、あるいは生物、例えばヒトに達成することができる。
【0217】
本明細書で使用される場合、「投与すること(administering)」、「投与する(administer)」、または「投与(administration)」という用語は、1つ以上の化合物または組成物を、非経口的、経腸的、または局所的に対象に送達することを指す。非経口投与の例示的な例には、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、のう内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内および胸骨内注射および注入が含まれるが、これらに限定されない。経腸投与の例示的な例には、経口、吸入、鼻腔内、舌下、および直腸投与が含まれるが、これらに限定されない。局所投与の例示的な例には、経皮投与および膣内投与が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、薬剤または組成物は、非経口的に、任意選択で、対象への静脈内投与または経口投与によって投与される。
【0218】
一実施形態では、本発明の組成物は、薬学的に許容される組成物を含む。一実施形態では、「薬学的に許容される」という句は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わないヒトおよび動物の組織との接触での使用に好適であり、妥当な利益/リスク比に釣り合っている化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために本明細書で採用される。
【0219】
一実施形態では、本発明の組成物は、治療有効量で投与される。一実施形態では、「治療有効量」は、本発明の化合物単独の量、または請求された化合物の組み合わせの量、またはNOTCH受容体に対する阻害剤として作用するのに有効であるか、ガンマセクレターゼを阻害するのに有効であるか、または癌などの増殖性疾患を治療または予防するのに有効である他の有効成分と組み合わせた本発明の化合物の量を含むことを意図する。一実施形態では、本発明の組成物の「治療有効量」は、組成物が投与される対象に有益な効果を提供するのに十分な組成物の量である。
【0220】
本明細書で使用される場合、「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」は、哺乳動物、特にヒトにおける病状の治療をカバーし、以下を含む:(a)哺乳動物において、特に、そのような哺乳動物が病状にかかりやすいが、まだそれを有すると診断されていない場合に、病状が発生するのを防止すること、(b)病状を阻害する、すなわちその発症を阻止すること、および/または(c)病状を緩和する、すなわち、病状の退行を引き起こすこと。
【0221】
一実施形態では、「治療すること」は治療上の処置および予防的または防止的手段の療法を指し、その目的は、上述の標的とする病的状態または障害を予防または軽減することである。したがって、一実施形態では、治療することは、疾患、障害、もしくは状態と関連する症状、直接影響を与える、またはそれを治癒する、抑制する、阻害する、予防する、その重症度を低減する、その発症を遅らせる、それを低減すること、またはそれらの組み合わせを含み得る。したがって、一実施形態では、「治療すること」は、とりわけ、進行を遅らせること、寛解を促進すること、寛解を誘導すること、寛解を増強させること、回復を加速させること、代替療法の有効性を高めるもしくはそれに対する耐性を減少させること、またはそれらの組み合わせを指す。一実施形態では、「予防すること」は、とりわけ、症状の発症を遅らせること、疾患への再発を予防すること、再発エピソードの数もしくは頻度を減少させること、症候性エピソード間の潜伏期を増加させること、またはそれらの組み合わせを指す。一実施形態では、「抑制すること」または「阻害すること」は、とりわけ、症状の重症度を低減すること、急性エピソードの重症度を低減すること、症状の数を低減すること、疾患関連症状の発生を低減すること、症状の潜伏期を低減すること、症状を改善すること、二次症状を低減させること、二次感染を低減させること、患者の生存期間を延長させること、またはそれらの組み合わせを指す。
【0222】
一実施形態では、本明細書で使用される「腫瘍のサイズを減少させる」という用語は、「固形腫瘍における応答評価基準」(RECIST)を使用して評価される。一実施形態では、RECISTは、標的病変の最長寸法を測定することによって腫瘍サイズの縮小を測定する。一実施形態では、標的病変は、そのサイズ(最も長い直径を有する病変)および正確な反復測定(画像化技術または臨床的のいずれかによる)に対するその適合性に基づいて選択される。一実施形態では、他のすべての病変(または疾患部位)は、非標的病変として識別され、ベースラインでも記録される。これらの病変の測定は必要ないが、フォローアップを通してそれぞれの有無を記録する。
【0223】
一実施形態では、本明細書で使用される「腫瘍の体積を減少させる」という用語は、放射線学的腫瘍応答評価基準を使用して評価される。これにより、世界保健機関(WHO)によると、腫瘍は平行移動面での最大直径(幅)と同じ画像での最大垂直直径(厚さ)の2次元で測定される。
【0224】
本発明の方法のいずれかによれば、一実施形態では、本明細書に記載の対象はヒトである。別の実施形態では、対象は哺乳動物である。別の実施形態では、対象は霊長類であり、一実施形態では、非ヒト霊長類である。別の実施形態では、対象はネズミ科(murine)であり、これは、一実施形態ではマウスであり、別の実施形態ではラットである。別の実施形態では、対象は、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、サル、クマ、キツネ、またはオオカミである。一実施形態では、対象は、ニワトリまたは魚である。
【0225】
一実施形態では、本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載の組成物の成分(すなわち、1つ以上の抗癌剤および式(I)の化合物を含む1つ以上のガンマセクレターゼ阻害剤)を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載の組成物の成分(すなわち、1つ以上の抗癌剤および式(I)の化合物を含む1つ以上のガンマセクレターゼ阻害剤)からなる。別の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、本質的に、本明細書に記載の組成物の成分(すなわち、1つ以上の抗癌剤および式(I)の化合物を含む1つ以上のガンマセクレターゼ阻害剤)からなる。
【0226】
本明細書に記載の要素またはステップを含む本発明の組成物および方法は、別の実施形態では、それらの要素またはステップからなり得、または別の実施形態では、本質的にそれらの要素またはステップからなり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、用語「含む(comprise)」は、製薬業界で知られているように、抗癌剤およびガンマセクレターゼ阻害剤などの示された活性剤の包含、ならびに他の活性剤、ならびに薬学的または生理学的に許容される担体、賦形剤、皮膚軟化剤、安定剤などの包含を指す。いくつかの実施形態では、「から本質的になる」という用語は、その有効成分のみが示された有効成分である組成物を指す。しかしながら、製剤を安定化、保存などするためのものであるが、示された有効成分の治療効果に直接関与しない他の化合物が含まれ得る。いくつかの実施形態では、「から本質的になる」という用語は、有効成分の放出を促進する構成成分を指すことができる。いくつかの実施形態では、「からなる」という用語は、有効成分および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む組成物を指す。
【0227】
投与のタイミングと部位
【0228】
一実施形態では、抗癌剤の投与は、式(I)の化合物の投与の前、同時、または後に行われる。
【0229】
一実施形態では、抗癌剤の投与は、式(I)の化合物の投与と同じ部位で行われる。
【0230】
一実施形態では、式(I)の化合物は毎日投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、1日2回または3回投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、週に2回投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、週に3回、4回、5回、または6回投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、毎週投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、隔週で投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、3週間に1回投与される。別の実施形態では、抗癌剤は、3週間に1回投与される。一実施形態では、抗癌剤は、疾患の進行の阻害が検出されるまで投与される。
【0231】
一実施形態では、式(I)の化合物は、抗癌剤の投与の数日前および後に投与される。一実施形態では、式(I)の化合物は、抗癌剤の投与の1、2、3、4、または5日前に投与される。一実施形態では、式(I)の化合物は、抗癌剤の投与の1、2、3、4、または5日後に投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、抗癌剤投与の1日前から9日後まで投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、抗癌剤投与の1日前、および1日後、8日後および9日後に投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、抗癌剤投与の1日前および9日後に投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、抗癌剤投与の1日前および投与後9日間毎日投与される。別の実施形態では、式(I)の化合物は、抗癌剤投与の1日前および抗癌剤投与後9日目に投与される。
【0232】
いくつかの実施形態では、本発明の1つ以上の組成物は、治療サイクル中に少なくとも1回投与される。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、同じ日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、異なる日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、本発明の1つ以上の組成物は、治療スケジュールに従って、同じ日に、および異なる日に対象に投与される。
【0233】
特定の実施形態では、本発明の1つ以上の組成物は、1つ以上の治療サイクルにわたって対象に投与される。治療サイクルは、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも28日、少なくとも48日、または少なくとも96日またはそれ以上であり得る。一実施形態では、治療サイクルは28日である。特定の実施形態では、組成物は、同じ治療サイクルにわたって、または各組成物に割り当てられた異なる治療サイクルにわたって同時に投与される。様々な実施形態では、治療サイクルは、対象の状態および必要性に基づいて医療専門家によって決定される。
【0234】
いくつかの実施形態では、組成物は、28日間の治療サイクルのうちの少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも14日、少なくとも21日投与され、あるいは28日すべてに投与される。特定の実施形態では、組成物は、対象に1日1回投与される。他の特定の実施形態では、組成物は1日2回投与される。特定の実施形態では、組成物は、1日2回を超えて投与される。
【0235】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1日1回投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1日2回投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1日3回投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1日4回投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、2日に1回、3日に1回、週に2回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回投与される。
【0236】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、7日~28日間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、7日~8週間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、7日~50日間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、7日~6ヶ月間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、7日~1年半の間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、14日~12ヶ月間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、14日~3年間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、数年間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、1ヶ月~6ヶ月間投与される。
【0237】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、7日間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、14日間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、21日間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、28日間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、50日間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、56日間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、84日間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、90日間投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の組成物は、120日間投与される。
【0238】
組成物がそれを必要とする対象に投与される回数は、医療専門家の裁量、障害、障害の重症度、および製剤に対する対象の反応に依存する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、それを必要とする軽度の急性状態の対象に1回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、中等度または重度の急性状態を有するそれを必要とする対象に2回以上投与される。対象の状態が改善しない場合、医師の裁量により、組成物を慢性的に、すなわち、対象の疾患または状態の症状を改善するか、さもなければ制御または制限するために、対象の生涯にわたる期間を含む長期間にわたって投与することができる。
【0239】
対象の状態が改善する場合、医師の裁量により、組成物を継続的に投与することができ、または、投与される薬物の用量は、一時的に低減されるか、または特定の期間の間一時的に中断され得る(すなわち、「休薬」)。休薬期間の長さは2日~1年の間で変化し、一例としてほんの2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、365日間が含まれる。休薬期間中の用量低減は、10%~100%であり、一例としてほんの10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%が含まれる。
【0240】
キット
【0241】
本発明はさらに、本発明の組成物と、任意選択で、1つ以上の追加の薬剤の組み合わせをキット形態で含み、例えば、キットとしてそれらが一緒にパッケージ化されるまたは一緒に販売される別個のパッケージに配置されるか、またはそれらが一緒に処方されるようにパッケージ化されている。
【0242】
特定の実施形態では、キットは、単位剤形の有効量の哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)の阻害剤と有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物とを含む、治療または予防組成物を含む。特定の実施形態では、細胞は、少なくとも1つの共刺激リガンドをさらに発現する。特定の実施形態では、キットは、治療用または予防用薬剤を含む滅菌容器を含み、そのような容器は、箱、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、パウチ、ブリスターパック、または当技術分野で知られている他の適切な容器形態であり得る。そのような容器は、プラスチック、ガラス、合わせ紙、金属箔、または薬剤を保持するのに適した他の材料で作ることができる。
【0243】
必要に応じて、組成物(複数可)は、新生物(例えば、多発性骨髄腫)を有するかまたは発症するリスクのある対象に組成物(複数可)を投与するための使用説明書と共に提供される。使用説明書は、一般に、新生物(例えば、多発性骨髄腫)の治療または予防のための組成物の使用に関する情報を含むであろう。他の実施形態では、使用説明書は、以下のうちの少なくとも1つを含む:治療薬の説明、新生物(例えば、多発性骨髄腫)またはその症状の治療または予防のための投与スケジュールおよび投与、注意、警告、効能、反対の効能(counter-indication)、過剰摂取情報、副作用、動物薬理学、臨床試験、および/または参照文献。使用説明書は、容器に直接印刷するか(存在する場合)、容器に貼付するラベルとして、または容器内または容器に付属する別のシート、パンフレット、カード、またはフォルダーとして印刷できる。
【0244】
本明細書では本発明の特定の特徴が図示され、説明されてきたが、多くの修正、置換、変更、および同等物が当業者に実施されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨に収まるように、すべてのそのような修正および変更を網羅することを意図していることを理解されたい。
【0245】
本明細書で引用されたすべての特許、特許出願、および科学刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0246】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより完全に例示するために提示される。しかしながら、それらは、決して本発明の広い範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0247】
実施例
【0248】
腫瘍増殖阻害研究の概要
【0249】
AL101の組み合わせの有効性を、ACC(腺様嚢胞癌)PDX(患者由来異種移植片)モデルACCX11で評価した。腫瘍細胞をヌードマウスに移植し、腫瘍が1.0~1.5cm3に達したら、研究前の動物に再移植するために腫瘍を採取した。研究前の動物に、ストック動物から採取された腫瘍断片を側腹部片側で移植した。腫瘍が150~300mm3の平均腫瘍体積に達したとき、動物を腫瘍体積によって処置群または対照群に無作為化した。投与は0日目に開始した。
【0250】
処置群または対照群あたり5匹のマウスに以下を投与した。
【0251】
(1)7.5mg/kgでのAL101、経口;qdx4
(2)3mg/kgでのシスプラチン、腹腔内;q7d
(3)3mg/kgでのシスプラチン、腹腔内;q7dを伴う、5mg/kgでのAL101、経口;qdx4、
(4)10Mg/kgでのエベロリムス;経口;qd
(5)10mg/kgでのエベロリムス;経口;qdを伴う、3mg/kgでのAL101、経口;qdx4
(6)6ml/kg体積(AL101処理の等体積)でのビヒクル対照
【0252】
すべての処置は、研究のエンドポイントまで(60日または腫瘍が1cm3に達するまでのいずれか早い方)実施される。
【0253】
処置され、適合させた対照マウスは、研究のエンドポイントで屠殺され、組織が収集され、将来の分析のために保存された。