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特許7522664組成物、甘味付与用シロップおよび飲料の調製のためのその使用、ならびに飲料の調製
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】組成物、甘味付与用シロップおよび飲料の調製のためのその使用、ならびに飲料の調製
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/60 20060101AFI20240718BHJP
   A23L 27/30 20160101ALI20240718BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20240718BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240718BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20240718BHJP
【FI】
A23L2/00 C
A23L27/30 A
A23L27/00 101A
A23L27/00 101Z
A23L2/60
A23L2/00 T
A23L27/30 Z
A23L27/10 C
A23L27/00 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020565887
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2019063536
(87)【国際公開番号】W WO2019224381
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】18174277.6
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510221733
【氏名又は名称】レッド・ブル・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】RED BULL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナハバガウアー,ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ウルバン-クリク,マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】ベーリンガー,フォルカー
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0293538(US,A1)
【文献】特開2014-087351(JP,A)
【文献】特開2016-082974(JP,A)
【文献】特許第7088936(JP,B2)
【文献】特表2010-507376(JP,A)
【文献】特表2013-515492(JP,A)
【文献】特表2010-521162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00 - 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
a1)50100g/lのスクロース、
b1)30~450mg/lのルブソシド、ならびに
c1)25~250mg/lの少なくとも1種のタンニン酸、
らびに
水を備え、
前記組成物は、水性飲料である、組成物。
【請求項2】
1)100~300mg/lのルブソシ
備える、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
f1)少なくとも1種のステビア化合物をさらに備え、
記少なくとも1種のステビア化合物は、レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびレバウジオシドDを備える混合物であり、ここで、レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびレバウジオシドDの総重量に基づいて、レバウジオシドAは、80.0~99.0重量%の範囲の量で存在し、レバウジオシドBは、0.1~1.5重量%の範囲の量で存在し、レバウジオシドDは、0.9~18.5重量%の範囲の量で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびレバウジオシドDの総重量に基づいて、
レバウジオシドAは90.5~94.0重量%の範囲の量で存在し、
レバウジオシドBは0.2~1.0重量%の範囲の量で存在し、
レバウジオシドDは5.8~8.5重量%の範囲の量で存在する;
または
レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびレバウジオシドDの総重量に基づいて、
レバウジオシドAは90.9~94.4重量%の範囲の量で存在し、
レバウジオシドBは0.2~0.5重量%の範囲の量で存在し、
レバウジオシドDは5.4~8.6重量%の範囲の量で存在する、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
カルダモン、ショウガ、ガランガル、シナモン、クローブ、ナツメグ、ナツメグ油、コーラナッツ、コーラナッツ抽出物、コカ葉、ナツメグ花、コショウ、マスタードシード油およびマスタードシード、ミント、タイム、ローズマリー、エルダーベリー、マツ、メース、カンゾウ、カンゾウ抽出物、ハイビスカス、緑茶、紅茶、マテ、ワユサ、ルイボス、ハニーブッシュ、ウーロン、アールグレイ、カモミール、セージ、レモン、レモン果汁濃縮物、オレンジ、オレンジ油、グレープフルーツ、タンジェリン、ライム、ライム油、ザボン、ベルガモット、ビターオレンジ、ユズ、デコポン、ミカン、マンダリン、シークヮーサー、カラメル、トンカビーン、ハチミツ、バニラ、カカオ、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種のフレーバー材料をさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
タウリンおよび/またはカフェインをさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
レバウジオシドA、B、およびDの組み合わせは、前記飲料中に、0.01~1.0g/lの範囲の濃度で存在する、請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記飲料は、清涼飲料、またはエナジードリンクであることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記飲料は、成分b1)およびc1)を含有しない飲料と本質的に同じ甘味知覚を呈し、
ここで、成分b1)およびc1)を含有する前記飲料は、成分b1)およびc1)を含有しない飲料よりも、成分a1)を、少なくとも10重量%少なく備える、
こと特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
酸ガス入りでないもしくは炭酸ガス入りの飲料としての、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項11】
成分b1)およびc1)を含有しない組成物と比較した際に甘味知覚の低下を呈することなく、またはこれを本質的に呈することなく、飲料中のスクロース含有量を低減するための、請求項1~のいずれか1項に記載の、組成物の使用。
【請求項12】
前記飲料は、
スパイシーフレーバー物質;
ハーブフレーバー物質;
茶フレーバー物質;
柑橘フレーバー物質;および/または
香ばしい香気のフレーバー物質を備える、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
d1)ヘスペリチンおよび/またはタウマチンおよび/またはフロレチンおよび/またはトリロバチンおよび/またはモナチンおよび/またはベタインをさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
成分d1)は、1~750mg/Lのヘスペリチン、および/または、
0.01~10mg/Lのタウマチン、および/または、
1~250mg/Lのフロレチン、および/または
0.1~250mg/Lのトリロバチン、および/または
0.01~20mg/Lのモナチン、および/または
0.01~20mg/Lのベタインを含み、
成分f1)は、0.01~0.8g/Lの少なくとも1種のステビア化合物をさらに備える、請求項13に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載
本発明は、組成物、特に甘味付与用のおよび甘味付与された組成物、甘味付与用シロップおよび飲料の調製のためのそれらの使用、ならびに上記飲料の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な清涼飲料は、通常、スクロース、グルコース、フルクトース、またはそれらの混合物といった天然の糖を多量に含有する。こうした天然の糖のカロリー量は、3.6~3.9kcal/gの範囲である。清涼飲料などの飲料のカロリー量を低減するために、多くの試みがなされている。天然の糖をアスパルテームまたはアセスルファムカリウムなどの人工甘味料で置き換える試みもなされている。こうした人工甘味料は、通常、天然の糖の構造とは全く似ていない合成化合物である。ほかに、上述される天然の糖を補うものとして、スクラロース(塩素化炭水化物)およびステビオール配糖体がある。こうした甘味料はいずれも、カロリー量が非常に低いために、需要が依然として増大し続けている。また、ステビオール配糖体のなかには、甘味付与力が、天然の糖であるスクロースの約240~400倍であるものがある。ステビオール配糖体は、植物ステビア(Stevia rebaudiana Bertoni)の葉抽出物に由来する。植物ステビアの葉において見つかる4種の主要なステビオール配糖体は、ステビオシド(約5~10重量%)、レバウジオシドA(約2~4重量%)、レバウジオシドC(約1~2重量%)、およびズルコシドA(約0.5~1重量%)である。植物ステビアの葉抽出物において微量ながら見つかるさらなるステビオール配糖体は、レバウジオシドB、レバウジオシドD、およびレバウジオシドEである。すべてのステビオール配糖体が共通して含有するアグリコンは、ジテルペンのクラスに属するステビオールである。
【0003】
残念なことに、ステビオール配糖体を用いて甘味付与された飲料には顕著な欠点がいくつかあり、多くの消費者は、従来の飲料の高いカロリー量よりも、こうした欠点を重要視する。ステビオール配糖体は、苦いおよび/またはカンゾウ様の後味を呈することが知られており、金属のような後味を呈する場合もある。さらには、甘味知覚が顕著に遅れる、すなわち、甘味の開始までの時間が長い。また、ステビオール配糖体は、いわゆる鈍感または乾いた口の感覚を引き起こすこともある。
【0004】
上述される短所を克服するために、多くの試みがなされている。たとえば、WO2012/073121 A2号は、ステビア組成物からレバウジオシドCまたはズルコシドAまたはその両方を低減または除去することによって、ステビオール配糖体の有する苦い後味を低減または除去できると記載する。しかしながら、このようにレバウジオシドCおよび/またはズルコシドAを低減しても、苦い後味を確実には低減できないことが分かっている。また、レバウジオシドCまたはズルコシドAを含有しないステビア組成物であっても、消費者には、甘味知覚の開始が遅く感じられたり、場合によっては甘味知覚がさらに長く続いたりすることもある。
【0005】
WO2008/147726号は、a)尿素またはチオ尿素などの1種の甘味増強剤と、b)レバウジオシド化合物、スクラロース、アスパルテーム、またはアセスルファムカリウムなどの、炭水化物甘味料、天然高効力甘味料、合成高効力甘味料、またはそれらの組み合わせを備える少なくとも1種の甘味料と、c)炭水化物、ポリオール、アミノ酸、またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の甘味改善組成物とを少なくとも備える甘味料組成物によって、糖にさらに近いフレーバー特性が得られることを記載する。
【0006】
EP2474240 A1号によれば、レバウジオシドDと、乳酸ならびに酒石酸およびクエン酸の一方または両方を少なくとも備える酸味料とを使用し、リン酸を使用しないことにより、苦い後味を呈さない新しい甘味付与飲料調製物を得ることができる。
【0007】
WO2011/146463 A2号からは、ステビオール配糖体を含有するともすれば甘い組成物の有する苦さを、レバウジオシドDを天然の組成物中の含量よりも多く添加することによってマスキングできると解釈できる。
【0008】
EP2486806 A1号は、84重量%レバウジオシドAおよび16重量%レバウジオシドDの混合物を使用した低カロリーのオレンジジュース飲料を開示する。従来のステビア抽出物で甘味付与した低カロリーのオレンジジュースとは異なり、官能評価において、スクロースに似た心地よい味と豊かな口の感覚とがあり、苦さも後味もないことを観察し得る。同様の成果が、ゼロカロリーの炭酸ガス入り飲料についても観察されている。
【0009】
WO2008/112967 A1号によれば、従来のステビオール配糖体を含有する飲料により生じる金属のような後味を、アニス酸の存在によりマスキングできる。
【0010】
そして、WO2012/109585 A1号は、ステビオール配糖体の有する苦さ、甘い後味、およびカンゾウの風味などの特質を、レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびステビオール配糖体の混合物を備える甘味付与用組成物により(特に、混合物中のステビオール配糖体総量に対するレバウジオシドBの比率が0.5%~約50%の範囲、より好ましくは約5%~約40%の範囲である場合に)克服できることを開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ステビオール配糖体の使用に関して上述される欠点は、依然として、十分には克服されていない。甘味および香気特性が大幅に改善されると同時に糖含有量が顕著に低減された飲料を得ることが、依然として望まれる。
【0012】
したがって、本発明の目的は、上述されるような先行技術の甘味付与用組成物の不利な点を有さずに十分な甘味特性を提供する、低カロリー飲料の提供である。本発明の目的は、特に、糖含有量が顕著に少ないながらも所定の甘味および/または香気特性を犠牲にしない飲料の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の根底にある問題が、驚くことに、
a1)スクロース、
b1)ルブソシドおよび/または少なくとも1種のルブソシド誘導体、ならびに
c1)少なくとも1種のタンニン、ならびに/または少なくとも1種のタンニン、特にタンニン酸および/もしくは少なくとも1種のタンニン酸誘導体を含有する組成物もしくは抽出物、ならびに/またはタンニン酸および/もしくは少なくとも1種のタンニン酸誘導体および/もしくは没食子酸および/もしくは少なくとも1種の没食子酸誘導体を含有する組成物もしくは抽出物、ならびに/または没食子酸および/もしくは少なくとも1種の没食子酸誘導体および/もしくは焦性没食子酸および/もしくは少なくとも1種の焦性没食子酸誘導体を含有する組成物もしくは抽出物、ならびに/または焦性没食子酸および/もしくは少なくとも1種の焦性没食子酸誘導体および/もしくはエラグ酸および/もしくは少なくとも1種のエラグ酸誘導体を含有する組成物もしくは抽出物、ならびに/またはエラグ酸および/もしくは少なくとも1種のエラグ酸誘導体を含有する組成物もしくは抽出物、ならびに、
d1)任意に、ヘスペリチンおよび/またはタウマチンおよび/またはフロレチンおよび/またはトリロバチンおよび/またはモナチンおよび/またはベタイン、
e1)任意に、甘味天然二糖、甘味天然単糖、甘味糖アルコール、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種のさらなる甘味天然炭水化物、ならびに/または
f1)任意に、特にステビオール配糖体、酵素処理ステビオール配糖体、特にグルコシル化ステビオール配糖体、レバウジオシド、およびそれらの混合物からなる群より選択される、少なくとも1種のステビア化合物
を備える組成物によって解決された。
【0014】
本発明に係る組成物は、たとえば、乾燥混合物、特に粉末および/もしくは粒子形態であってよい、または、水性系として(たとえばシロップまたは飲料として)存在してもよい。したがって、前述および後述されるとおりの本発明に係る組成物の成分に加えて、組成物はまた、通常はその主成分として、水を含有してもよい。消費者向けの飲料の形態であれば、これを、甘味付与された組成物とも称し得る。乾燥物質またはシロップとして存在する場合、これを使用して、たとえば甘味付与された飲料に到達できるため、これを甘味付与用組成物とも称し得る。
【0015】
好ましい一実施形態において、本発明に係る組成物は、水性系の形態である場合、特に、甘味付与された組成物、たとえば飲料の形態である場合に、
a1)30~120g/l、特に50~100g/l、より特に65~80g/lのスクロース、
b1)30~450mg/l、特に100~300mg/l、より特に160~220mg/lの、ルブソシドおよび/もしくは少なくとも1種のルブソシド誘導体、
c1)1~400mg/l、特に10mg/l~300mg/l、より特に25~250mg/lの、タンニン酸および/もしくは少なくとも1種のタンニン酸誘導体、ならびに/または
0.5~220mg/l、特に4mg/l~170mg/l、より特に12~140mg/lの、没食子酸および/もしくは少なくとも1種の没食子酸誘導体、ならびに/または
0.2~110mg/l、特に2mg/l~85mg/l、より特に6~70mg/lの、焦性没食子酸および/もしくは少なくとも1種の焦性没食子酸誘導体、ならびに/または
1~400mg/l、特に10mg/l~300mg/l、より特に25~275mg/lの、エラグ酸および/もしくは少なくとも1種のエラグ酸誘導体、ならびに
d1)1~750mg/L、特に10~500mg/L、より特に25~250mg/Lのヘスペリチン(hesperitin)、ならびに/または
0.01~10mg/L、特に0.05~5mg/L、より特に0.1~2mg/Lのタウマチン、ならびに/または
1~250mg/L、特に5~200mg/L、より特に10~150mg/Lのフロレチン、ならびに/または
0.1~250mg/L、特に1~200mg/L、より特に5~150mg/Lのトリロバチン、ならびに/または
0.01~20mg/L、特に0.05~10mg/L、より特に0.1~5mg/Lのモナチン、ならびに/または
0.01~20mg/L、特に0.05~10mg/L、より特に0.1~5mg/Lのベタイン、
e1)0~60g/L、特に0.1~50g/L、より特に1~35g/Lの、さらなる甘味天然炭水化物または組成物中に存在するe1)に係る任意の個々の甘味天然炭水化物、ならびに
f1)0~1g/l、特に0.01~0.8g/l、より特に0.05~0.6g/l、好ましくは0.1~0.4g/lの少なくとも1種のステビア化合物、特に1種以上のレバウジオシドを備える。
【0016】
驚くことに、ステビア化合物および/または人工甘味料に依存することもなく、特に、ステビア化合物および人工甘味料を用いることもなく、成分a1)、b1)、およびc1)の組み合わせを使用するだけで、スクロースなどの天然の糖の量を顕著に低減できることが見いだされた。
【0017】
本発明に係る、改善された口の感覚および改善された香気特性を有する飲料は、好ましくは、スクロースおよびルブソシドに加えて、さらなる甘味天然炭水化物および/または甘味糖アルコールを含有する。好ましい一実施形態において、こうした甘味天然炭水化物およびこうした甘味糖アルコールは、組み合わせとして、本発明に係る飲料中に、40g/l以下、好ましくは5g/l~35g/lの範囲、より好ましくは10g/l~25g/lの範囲の濃度で存在する(周囲温度および1バールで測定)。本発明に係る意味において、周囲温度は、室温、すなわち20℃~25℃の範囲の温度を意味するものとする。
【0018】
好ましい一実施形態によれば、糖を顕著に低減できる本発明に係る組成物中に、甘味天然単糖が存在してよく、これは、好ましくは、フルクトース、グルコース、アラビノース、マンノース、ラムノース、キシロース、タガトース、ガラクトース、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0019】
代替的には、または、特に追加的には、本発明に係る組成物中に、スクロース以外に別の甘味天然二糖が存在してよく、これは、好ましくは、トレハロース、ラクトース、マルトース、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0020】
また、代替的には、または追加的には、本発明に係る組成物中に、甘味糖アルコールが存在してよく、これは、好ましくは、エリスリトール、グリセロール、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ガラクチトール、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0021】
本発明に係る組成物は、好ましくは、少なくとも1種の天然の甘味炭水化物、特に天然の甘味単糖および/または二糖を含有し、甘味糖アルコールを含有しない。
【0022】
本発明に係る組成物と共に使用するのに好適な、成分c1)に係るタンニンは、加水分解性タンニン、非加水分解性タンニン、またはそれらの混合物を備えてよく、加水分解性タンニンが好ましい。加水分解性タンニンは、ガロタンニンおよびエラジタンニンを備え、これらはいずれも1,2,3,4,6-ペンタ-O-ガロイル-β-d-グルコピラノースの誘導体である。したがって、好適なタンニンは、ガロタンニン、エラジタンニン、およびそれらの混合物からなる群より選択されてよい。ガロタンニンとは異なり、エラジタンニンは、一般的に大員環を形成している。エラジタンニンというクラスは、1,2,3,4,6-ペンタガロイルグルコースにおけるガロイル基の酸化性の結合によって主に形成されるポリフェノールに基づく。エラジタンニンではガロイル基はC-C結合で結合しているが、ガロタンニンにおけるガロイル基はデプシド結合によって結合している。エラジタンニンは、通常、とりわけ、糖部位に結合したガロイル単位および/またはサングイソルボイル(sanguisorboyl)単位と、ヘキサヒドロキシジフェノイル単位とを備える。特に好適なエラジタンニンは、たとえば、プニカラギンを備える。本発明に係る特に好適な組成物において、成分c1)に係る好適なタンニンは、タンニン酸および/または少なくとも1種のタンニン酸誘導体および/または没食子酸および/または少なくとも1種の没食子酸誘導体および/または焦性没食子酸および/または少なくとも1種の焦性没食子酸誘導体および/またはエラグ酸および/またはエラグ酸誘導体を備える。
【0023】
別の好ましい一実施形態によれば、上述される効果は、タンニンを含有する少なくとも1種の抽出物を備える組成物によっても得られる。追加的には、または代替的には、これらの抽出物は、タンニン酸および/または少なくとも1種のタンニン酸誘導体および/または没食子酸および/または少なくとも1種の没食子酸誘導体および/または焦性没食子酸および/または少なくとも1種の焦性没食子酸誘導体および/またはエラグ酸および/または少なくとも1種のエラグ酸誘導体を含有してもよい。このような好適な抽出物は、好ましくは、オーク(oak)抽出物、ザクロ(pomegranate)抽出物、マンサク(witch hazel)樹皮抽出物、ピンクガリカ(pink gallica)花弁抽出物、スターリーレディースマントル(starry lady’s mantel)抽出物、ミロバラン(myrobalan)抽出物、およびそれらの混合物からなる群より選択されてよい。本発明に関連して上述される抽出物は、一般的には乾燥物質の形態で、ほとんどの場合には粉末形態で存在する。好適な実施形態によれば、乾燥物質(特に粉末形態)である抽出物が水性系に添加されて、たとえば本発明に係る飲料が形成される。これらの抽出物は、通常、多量のタンニンを含有する。たとえば、オーク抽出物は、エラジタンニンなどのタンニンを約40重量パーセント含有するものが入手できる、または、好適なザクロ抽出物に関しては、プニカラギンが約40重量パーセントの量で存在する。
【0024】
さらに、
10~900mg/L、特に150~700mg/L、より特に300~600mg/Lのオーク抽出物、および/または
5~600mg/L、特に130~490mg/L、より特に220~390mg/Lのザクロ抽出物、および/または
5~600mg/L、特に130~490mg/L、より特に220~390mg/Lのマンサク樹皮抽出物、および/または
5~600mg/L、特に130~490mg/L、より特に220~390mg/Lのピンクガリカ花弁抽出物、および/または
5~600mg/L、特に130~490mg/L、より特に220~390mg/Lのスターリーレディースマントル抽出物、および/または
5~600mg/L、特に130~490mg/L、より特に220~390mg/Lのミロバラン抽出物
を備える、上述される本発明に係る組成物は、水性系の形態において、特に甘味付与された組成物、たとえば飲料の形態において、改善された甘味付与および/または香気特性の観点で良好な結果を呈することが見いだされた。
【0025】
本発明に係る組成物中にレバウジオシド化合物が存在する場合、その甘味付与力のために、甘味天然炭水化物および/または甘味糖アルコール(スクロースを除く)を全く含有しなくてもよい。驚くことに、いくつかの実施形態によれば、本発明に係る組成物を含有するまたはこれにより構成される飲料は、成分a1)、b1)、およびc1)に加えて少なくとも1種のレバウジオシド化合物をも備える場合に、特に口の感覚、後味、および香気特性の観点においてさらに良好な結果を与えることが見いだされた。
【0026】
一般的に、好適なレバウジオシド化合物は、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドC、レバウジオシドE、およびレバウジオシドFを備え、好ましくは、レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびレバウジオシドDを備え、本質的にレバウジオシドC、レバウジオシドE、および/またはレバウジオシドFを含まず、より特に、本質的にレバウジオシドC、レバウジオシドE、およびレバウジオシドFを含まない。
【0027】
レバウジオシドなどのステビア化合物が本発明に係る組成物中に存在する場合に、好適な実施形態において、レバウジオシドAは、85.0~95.0重量%の範囲、好ましくは86.0~94.3重量%の範囲の量で存在し得て、レバウジオシドBは、0.2~1.2重量%の範囲、好ましくは0.3~0.9重量%の範囲の量で存在し得て、および/またはレバウジオシドDは、4.8~13.8重量%の範囲、好ましくは5.4~13.1重量%の範囲の量で存在し得ることが見いだされた。
【0028】
少なくとも1種のステビア化合物を含有する、本発明に係るさらに好適な組成物において、この化合物は、レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびレバウジオシドDを備える(特にこれらからなる)混合物であり、ここで、レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびレバウジオシドDの総重量に基づいて、レバウジオシドAは、80.0~99.0重量%の範囲、特に85.0~95.0重量%の範囲、より好ましくは86.0~94.3重量%の範囲の量で存在し、レバウジオシドBは、0.1~1.5重量%の範囲、特に0.2~1.2重量%の範囲、より好ましくは0.3~0.9重量%の範囲の量で存在し、レバウジオシドDは、0.9~18.5重量%の範囲、特に4.8~13.8重量%の範囲または5.4~13.1重量%の範囲の量で存在する。
【0029】
このために、レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびレバウジオシドDの総重量に基づいて、レバウジオシドAが90.5~94.0重量%の範囲の量で存在し、レバウジオシドBが0.2~1.0重量%の範囲の量で存在し、レバウジオシドDが5.8~8.5重量%の範囲の量で存在する、または、レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびレバウジオシドDの総重量に基づいて、レバウジオシドAが90.9~94.4重量%の範囲の量で存在し、レバウジオシドBが0.2~0.5重量%の範囲の量で存在し、レバウジオシドDが5.4~8.6重量%の範囲の量で存在する組成物は、糖含有量が低減されているという観点においても好ましい。
【0030】
改善された香気特性は、本発明に係る組成物が、レバウジオシドC、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ステビオシド、ズルコシド、またはステビオールビオシド、または、レバウジオシドA~F、ステビオシド、ズルコシド、ルブソシド、およびステビオールビオシドのいずれとも異なる任意の他のステビオール配糖体を、レバウジオシドA、レバウジオシドB、およびレバウジオシドDの総重量に基づいて0.1重量%を超えて含有しない場合にも、得ることができる。
【0031】
好適なステビオール配糖体は、とりわけ、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドC、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ステビオシド、ズルコシド、ルブソシド、およびステビオールビオシドなどを含む。これらは、JECFA (2010) Steviol Glycosides, FAO JECFA Monograph 10, FAO, Romeに指定されるHPLC-UVによって検出/測定できる。特に好ましいステビオール配糖体は、グルコシル化ステビオール配糖体である。やや好適なステビオール配糖体の実施形態はまた、グリコシル化ステビオール配糖体およびグルコシル化ステビオール配糖体などの酵素処理ステビオール配糖体を含む。たとえば、グルコシル化能力のある好適な酵素として、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)などの異なる乳酸桿菌のグルカンスクラーゼおよびフルクタンスクラーゼ(fructansucrase)酵素を使用できる。好ましい一実施形態によれば、酵素処理ステビオール配糖体は、ステビオール配糖体のC19位(特には、この部位のみ)が、たとえば1つのグルコース残基で修飾されたものである。たとえば酵素処理できるステビオール配糖体は、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドC、レバウジオシドD、およびレバウジオシドEを含むレバウジオシド、ズルコシド化合物、ならびにそれらの混合物からなる群より選択されてよく、ステビオシド、および、特にレバウジオシドAなどのレバウジオシドが好ましい。本発明によれば、レバウジオシドA、B、およびDなどの個々のステビオール配糖体の高度精製物試料を使用できるだけでなく、レバウジオシドA、B、およびDの粗生成物試料を使用することも可能である。本発明に係る組成物はまた、たとえば、残留植物成分または残留水分を含有してもよい。しかしながら、レバウジオシドA、B、およびD開始成分などの精製ステビオール配糖体を使用することが好ましい。たとえば、本発明によれば、このような精製レバウジオシド100gが、いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される他のステビオール配糖体を約0.1g以下で含有していてもよい。
【0032】
本発明に係る好適な組成物は、カルダモン、ショウガ、ガランガル(galangal)、シナモン、クローブ、ナツメグ、ナツメグ油、コーラナッツ(colanut)、コーラナッツ抽出物、コカ葉、ナツメグ花、コショウ、マスタードシード油およびマスタードシード、ミント、タイム、ローズマリー、エルダーベリー(elderberry)、マツ(pine)、メース(mace)、カンゾウ、カンゾウ抽出物、ハイビスカス、緑茶、紅茶、ワユサ(guyausa)、ルイボス、ハニーブッシュ(honeybush)、ウーロン、アールグレイ、カモミール、セージ、レモン、レモン果汁濃縮物、オレンジ、オレンジ油、グレープフルーツ、タンジェリン、ライム、ライム油、ザボン(pomelo)、ベルガモット、ビターオレンジ(bitter orange)、ユズ、デコポン(dekopon)、ミカン、マンダリン、シークヮーサー、カラメル、トンカビーン、ハチミツ、バニラ、カカオ、およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種のフレーバー材料(flavoring ingredient)をさらに備えてよい。本発明に係る組成物のさらに好適な実施形態は、上述されるフレーバー剤(flavoring agents)に代えて、または特に、上述されるフレーバー材料の少なくとも1種に加えて、タウリンまたはカフェインを、より好ましくはタウリンおよびカフェインを備える。
【0033】
少なくとも1種の甘味単糖(好ましくはグルコース)、および/または、スクロースに加えて少なくとも1種の甘味二糖をも含有してよい、本発明に係る組成物(特に飲料形態)は、特にカロリー量が3.6kcal/gよりも大幅に低い場合であっても、甘味炭水化物のみを典型量で使用した場合に得られる改善された香気特性および幾分天然の甘味知覚をそれぞれ与えるまたは有する。
【0034】
本発明に係る組成物の好適な実施形態は、少なくとも1種の増粘剤および/または少なくとも1種の有機酸および/または少なくとも1種の無機酸、特にリン酸、をさらに備えてよい。これらの組成物をも備えることによって、飲料は、改善された口の感覚および/または爽やかさを有し得る。本発明に係る組成物の、口の感覚における改善は、増粘剤を使用することによっても生じ得る。上述される酸の生理学的に許容される塩も、代替的にまたは併用的に使用できる。フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、マンデル酸、シュウ酸およびサリチル酸、乳酸、酒石酸、アニス酸、リンゴ酸またはクエン酸、またはこれらの酸の混合物が使用される場合に、香気の発生と甘味の知覚との観点において好ましい結果を得ることができる。好ましくは、リンゴ酸、またはクエン酸、またはリンゴ酸およびクエン酸の混合物が、組成物中(特に本発明に係る飲料中)に存在する。ここで、2種の有機酸、好ましくはリンゴ酸およびクエン酸を使用するのが有利であることが見いだされた。これら有機酸(特に2種の有機酸)の相対量は広い範囲で変動してよい。好ましい一実施形態によれば、これら2種の有機酸(特にリンゴ酸およびクエン酸)は重量比1:1で使用される。また、リンゴ酸を用いた場合には、驚くことに、本発明に係る組成物により穏やかな香気特性を得ることができることが見いだされた。また、驚くことに、リンゴ酸と別の有機酸(特にクエン酸)とを併用すると、幾分フルーティで新鮮な味の印象を得ることができることも見いだされた。リンゴ酸およびクエン酸はいずれも、単独および組み合わせで、本発明に係る組成物を含有する(またはこれによって構成される)飲料の甘味および酸味特性を改善するのに好適であり、かつ、全般的な香気特性と甘味知覚とを心地よい程度に発生させることができる。
【0035】
好適な増粘剤は、デンプン、デンプンに基づく増粘剤、キサンタン、ペクチン、寒天、カラギーナン、アルギン酸、およびローカストビーンガム、またはそれらの混合物からなる群より選択される。好適な有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、グルコン酸、乳酸、グリコール酸、マンデル酸、シュウ酸、およびサリチル酸、またはそれらの混合物からなる群より選択される。
【0036】
本発明に係る組成物はまた、一実施形態において、少なくとも1種の人工甘味料、特にアスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、アリターム、グルチン(glucin)、アセスルファムカリウム、シクラメート、サッカリン、またはそれらの混合物を備えてもよい。
【0037】
特に、本発明に係る組成物は、炭酸ガス入りの飲料、特に清涼飲料またはエナジードリンクに甘味を付与するために使用できるが、炭酸ガス入りでない飲料に甘味を付与するためにも使用できる。本発明に係る組成物は、特に、タウリンおよび/またはカフェイン、より特にタウリンおよびカフェインを含有するエナジードリンクなどの(特に炭酸ガス入りの)エナジードリンクに甘味を付与するために使用できる。したがって、本発明に係る組成物は、それ自体、エナジードリンクのために使用できる、または、エナジードリンクの形態で存在できる。
【0038】
本発明に係る組成物はまた、たとえばエナジードリンクと共にまたはエナジードリンクとして使用される場合に、クエン酸ナトリウム、グルクロノラクトン(glucoronolactone)、イノシトール、少なくとも1種のビタミン、たとえば、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、リボフラビン、苛性カラメル(caustic caramel)、苛性亜硫酸カラメル(caustic sulfite caramel)、アンモニアカラメル(ammonia caramel)、亜硫酸アンモニアカラメル(sulfite ammonia caramel)、またはアスコルビン酸、またはそれらの混合物などのさらなる成分を備えてもよい。本発明に係る組成物は、飲料、特に清涼飲料もしくはエナジードリンクに甘味を付与するため、および/またはこれらを調製するために使用できる。本発明に係る組成物を使用することで得られる有益な効果は、特に、炭酸ガス入りの飲料についても得ることができる。
【0039】
本発明に係る組成物および本発明に係る飲料(たとえば清涼飲料またはエナジードリンク)はまた、一実施形態において、アミノ酸、着色剤、充填剤、加工デンプン、質感剤、防腐剤、酸化防止剤、乳化剤、安定剤、ゲル化剤、または任意のそれらの混合物などの一般的な添加剤を備えてもよい。
【0040】
興味深いことに、本発明に係る組成物は、(容易に保管および輸送できて必要時に特に炭酸ガス入りの飲料の調製に使用できる)シロップ形態の前駆組成物の調製にも好適である、または、このようなシロップ形態で存在する。
【0041】
好ましい実施形態に係る好適な飲料において、レバウジオシドA、B、およびDの組み合わせは、当該飲料中に、組み合わせとして、0.01~1.0g/l、好ましくは0.05~0.8g/l、より好ましくは0.1~0.6g/lの範囲の濃度で存在する(周囲温度および1バールで測定)。
【0042】
別の好ましい一実施形態によれば、レバウジオシドA、B、およびDの組み合わせは、天然の甘味炭水化物および/または甘味糖アルコール(スクロースおよびルブソシドを除く)を含まない(特にこれらの両方を含まない)飲料中に、0.05~0.5g/l、好ましくは0.075~0.3g/l、より好ましくは0.1~0.175g/lの範囲の濃度で存在する。そして、さらに別の好ましい一実施形態によれば、レバウジオシドA、B、およびDは、スクロースおよびルブソシドに加えて他の天然の甘味炭水化物および/または少なくとも1種の甘味糖アルコール(特に少なくとも1種の天然の甘味炭水化物)(スクロースは除く)を含有するが甘味糖アルコールは含有しない本発明に係る飲料中に、特に、0.075~0.5g/l、好ましくは0.1~0.4g/l、より好ましくは0.18~0.3g/lの範囲の濃度で存在する。
【0043】
本発明の課題は、a)本発明に係る組成物を提供する工程と、b)水を提供する工程と、c)a)およびb)において提供される成分を混合する工程とを備える方法によっても解決された。本発明に係る方法は、好適な一実施形態において、たとえば撹拌下において、組成物自体を水性系に添加することを備える。別の一実施形態において、本発明に係る組成物を構成する成分は、たとえば別々にまたは一緒に、水性系に添加されてよい。
【0044】
炭酸ガス入りの飲料が本発明に係るプロセスに従って調製される場合には、炭酸ガスを含ませる工程(工程d)が当該プロセスに追加されなければならない。別の一実施形態によれば、本発明に係るプロセスは、少なくとも1種の増粘剤、少なくとも1種の甘味天然炭水化物(スクロースに加えて)、少なくとも1種の甘味糖アルコール、少なくとも1種の有機酸、および/または少なくとも1種のフレーバー材料を、組成物に、または水と本発明に係る組成物とを備える混合物に、添加する工程をさらに備えてよい。上述される成分は、本発明に係る組成物と混合するよりも前の水に添加されてもよい。ここで、上述される、増粘剤、甘味天然炭水化物、甘味糖アルコール、有機酸、およびフレーバー材料についての定義が、一般情報と好ましい実施形態との両方の観点においてあてはまる。
【0045】
さらに、炭酸ガスを含ませる工程よりも前および/もしくは後に、好ましくは炭酸ガスを含ませる工程よりも前に、甘味天然炭水化物および/または少なくとも1種の甘味糖アルコールを、水と組成物とを備える混合物に添加することも可能である。
【0046】
本発明によれば、驚くことに、糖含有量を顕著に低減しながら改善された甘味および香気特性を有する飲料を与える組成物が見いだされた。好ましい一実施形態において、これらの効果は、ステビア化合物および/または人工甘味料を使用しない本発明に係る組成物によっても達成できる。
【0047】
また、驚くことに、ルブソシドを併用することによって、特にいわゆる開始期間中の、甘味付与特性を改善できることが見いだされた。また、成分c1)を本発明に係る組成物に添加することによって、たとえばルブソシドおよび/またはステビア化合物などにより引き起こされる長時間持続性の後味がある場合にこれを顕著に低減できるということも見いだされた。本発明に係る組成物を使用することによって、スクロース量が低減されているにもかかわらず、これより多量および/または通常量のスクロースのみで甘味付与された飲料の甘味特性と本質的に同程度の全般的甘味特性を有する甘味付与された飲料を得ることができる。したがって、本発明に係る組成物を用いることによって、炭酸ガス入りの飲料の場合であっても、天然の糖のみで甘味付与した飲料と同様の香気または甘味付与特性を達成できる。したがって、本発明に係る組成物を用ることにより、カロリー量が顕著に低減されているにもかかわらず改善された甘味および香気特性を呈し、好ましい一実施形態においては天然の糖および/または人工甘味料で甘味付与した従来の飲料と比べて味が顕著に異ならない、清涼飲料およびエナジードリンクなどの飲料(特に炭酸ガス入りの飲料)を調製することが可能である。また、このことは、消費者が感じる甘味知覚が遅れないということを含む。理論に拘束されるものではないが、この効果は成分a1)、b1)、およびc1)の併用にも基づくものであると考えられる。
【0048】
本発明に係る飲料は、(特に炭酸ガス入りの)清涼飲料およびエナジードリンクを備える。好適な清涼飲料はコーラフレーバーの清涼飲料も含み、ここで、コーラフレーバーの清涼飲料はコーラフレーバータイプの清涼飲料も包含する。また、こうした飲料は、本発明に係る組成物で甘味付与されている場合に、甘味知覚の開始が遅れず、または本質的に遅れず、むしろ、調和のとれた甘味付与特性を提供し、苦いまたはカンゾウ様の後味を有さない、または本質的に有さない。
【0049】
結論として、天然の糖であるスクロースの含有量が低減された飲料を得ることができるという点が、本発明に係る組成物のひとつの利点である。こうした天然の糖の量を、本発明に係る組成物を含有しない飲料よりも、たとえば少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%低減することが可能である。
【0050】
また、本発明によって、消費者の感覚的ニーズを満たすと同時に欧州委員会規則(EU)第1131/2011号の規定に準拠した炭酸ガス入りの低カロリー清涼飲料およびエナジードリンクの提供が達成された。
【0051】
また、本発明によって、驚くことに、本発明に係る甘味付与用組成物を、スパイシーフレーバー、特にカルダモン、ショウガ、ガランガル、シナモン、クローブ、ナツメグ、コーラナッツ、コカ葉、ナツメグ花、もしくはマスタードシード;またはハーブフレーバー、特にミント、タイム、ローズマリー、もしくはエルダーベリー;または茶フレーバー、特にハイビスカス、緑茶、紅茶、マテ、ワユサ、ルイボス、ハニーブッシュ、ウーロン、アールグレイ、カモミール、もしくはセージ;または柑橘フレーバー、特にレモン、オレンジ、グレープフルーツ、タンジェリン、ライム、ザボン、ベルガモット、ビターオレンジ、ユズ、デコポン、ミカン、マンダリン、もしくはシークヮーサー;または香ばしい香気(brown notes)、特にカラメル、トンカビーン、バニラ、もしくはカカオのための改変特性(modifying properties)を有するフレーバー物質(flavoring substances)として使用できることも見いだされた。より好ましくは、これらの組成物を、スパイシーフレーバー、特にカルダモン、ショウガ、ガランガル、もしくはシナモンのフレーバー;または柑橘フレーバーのための改変特性を有するフレーバー物質として使用できる。
【0052】
改変特性を有するフレーバー物質または改変特性を有するフレーバー(flavorings)という表現は、当業者に知られている。ガイダンスについては、2008年12月16日のEU規則(EC)第1334/2008号「食物の中におよび食物に対して使用するためのフレーバーおよびフレーバー特性を有する特定食物成分(Flavourings and certain food ingredients with flavouring properties for use in and on foods)」(理事会規則(EEC)第1601/91号、規則(EC)第2232/96号、および(EC)第110/2008号、ならびに指令2000/13/ECから改正されたもの)、および、2014年5月27日発行の「改変特性を有するフレーバー物質およびフレーバー増強剤の分類法についてのガイダンスメモ(Guidancenotes on the classificationof a flavouringsubstance with modifying propertiesand a flavour enhancer)」を参照できる。
【0053】
驚くことに、本発明に係る組成物を、成分b1)およびc1)、またはb1)、c1)、およびd1)、またはb1)、c1)、d1)、およびe1)および/もしくはf1)を含有しない甘味付与用組成物と比較した際に甘味知覚の低下を呈することなく(またはこれを本質的に呈することなく)、飲料中のスクロース含有量を低減するために効果的に使用できることも見いだされた。この点において、こうした飲料は、スパイシーフレーバー物質、特にカルダモン、ショウガ、ガランガル、シナモン、クローブ、ナツメグ、コーラナッツ、コカ葉、ナツメグ花、もしくはマスタードシード;および/またはハーブフレーバー物質、特にミント、タイム、ローズマリー、もしくはエルダーベリー;または茶フレーバー物質、特にハイビスカス、緑茶、紅茶、マテ、ワユサ、ルイボス、ハニーブッシュ、ウーロン、アールグレイ、カモミール、もしくはセージ;および/または柑橘フレーバー物質、特にレモン、オレンジ、グレープフルーツ、タンジェリン、ライム、ザボン、ベルガモット、ビターオレンジ、ユズ、デコポン、ミカン、マンダリン、もしくはシークヮーサー;および/または香ばしい香気のフレーバー物質、特にカラメル、トンカビーン、バニラ、もしくはカカオを備える本発明に係る組成物を用いて適切にもたらされ得る。好ましくは、本発明に係る組成物は、スパイシーフレーバー物質、たとえば、ショウガ、ガランガル、もしくはシナモン、および/または柑橘フレーバー物質を有する飲料と共に使用される。
【0054】
また、驚くことに、i)ルブソシドおよび/または少なくとも1種のルブソシド誘導体および/またはネオヘスペリチン(neohesperitin)および/またはタウマチンおよび/またはフロレチンおよび/またはトリロバチンおよび/またはモナチンおよび/またはヘスペレチンおよび/または少なくとも1種の酵素処理ステビオール配糖体、特にルブソシドまたは少なくとも1種のルブソシド誘導体またはネオヘスペリチンまたは少なくとも1種の酵素処理ステビオール配糖体、または任意のこれらの組み合わせと、ii)少なくとも1種のタンニン、特に、タンニン酸ならびに/または少なくとも1種のタンニン酸誘導体、またはタンニン酸および/もしくは少なくとも1種のタンニン酸誘導体を含有する組成物もしくは抽出物と、を備える組み合わせを、特に飲料に関して、人工甘味料(特にステビア化合物)の残留する甘味を短縮するため、および/または、人工甘味料の時間的な甘味知覚の開始を、天然の糖の時間的な甘味知覚の開始、特にスクロースの時間的な甘味知覚の開始へと移行させるために、使用できることも見いだされた。
【0055】
当業者により改変および変更が示唆される場合があり得るが、出願人の意図するところは、すべての変更および改変を、本出願に保証される特許において、当技術分野への寄与の範囲内に妥当かつほぼ確実に含まれるよう具現化することである。新規であると考えられる本発明の特徴が付属の請求項中に詳細に記載される。詳細な説明および請求項中に開示される特徴は、単独で、またはあらゆる組み合わせにおいて、本発明を様々な実施形態にて実現するために必須であり得る。