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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/514 20060101AFI20240718BHJP
   H01R 13/518 20060101ALI20240718BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
H01R13/514
H01R13/518
H01R13/42 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021001241
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2022106340
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100154900
【弁理士】
【氏名又は名称】関 京悟
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 悟
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-145119(JP,A)
【文献】特開2018-18793(JP,A)
【文献】特開2001-52798(JP,A)
【文献】特開2019-50176(JP,A)
【文献】特開2015-65170(JP,A)
【文献】特表2016-511520(JP,A)
【文献】米国特許第6247966(US,B1)
【文献】特開平11-74020(JP,A)
【文献】実開昭53-111290(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/514
H01R 13/518
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャビティが形成された外部ハウジングと、
前記複数のキャビティにそれぞれ挿入される複数の内部ハウジングと、
各内部ハウジングに収容される複数の端子と、
を備え、
各キャビティの内壁面には、各内部ハウジングを各キャビティに挿入するハウジング挿入方向に沿って延びるリテーナが形成されており、
各内部ハウジングの外壁面には、各内部ハウジングを各キャビティに挿入したときに前記リテーナを受け入れる溝部が形成されており、
各内部ハウジングを各キャビティに挿入すると、前記リテーナにより前記キャビティが係止されると同時に前記キャビティ内の端子も係止され、二次係止されるように構成されており、
前記複数のキャビティの前記リテーナは、互いに異なる形状を有し、
前記複数の内部ハウジングの前記溝部は、対応するキャビティの前記リテーナと相補的な形状となるように形成されている、
コネクタ。
【請求項2】
前記複数のキャビティの前記リテーナの前記ハウジング挿入方向に沿った方向に対して直交する断面の形状が互いに異なる、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
各キャビティの前記リテーナは、前記ハウジング挿入方向に沿って見たときに、各キャビティの前記内壁面から突出するリテーナ第1突出部と、前記リテーナ第1突出部から、前記リテーナ第1突出部の突出方向と異なる方向に突出するリテーナ第2突出部と、を含む、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記リテーナ第1突出部は、前記内壁面に対して直交する方向に突出しており、
前記リテーナ第2突出部は、前記内壁面に対して平行な方向に突出している、
請求項3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、本願の図40に示すように、複数のレセプタクルキャリア受容キャビティ100が形成されたシールドハウジング101と、複数のレセプタクルキャリア受容キャビティ100のそれぞれに挿入される図示しない複数のレセプタクルキャリアと、を備えた電気コネクタ組立体を開示している。各レセプタクルキャリア受容キャビティ100の内壁面には、突出部102が形成されている。この構成で、各レセプタクルキャリア受容キャビティ100に各レセプタクルキャリアを挿入すると、各レセプタクルキャリアが収容する複数の端子が上記の突出部102により二次係止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-511520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、各レセプタクルキャリアを対応するレセプタクルキャリア受容キャビティ100に挿入するに際し、各レセプタクルキャリアを、対応するレセプタクルキャリア受容キャビティ100ではない他のレセプタクルキャリア受容キャビティ100に挿入しないよう細心の注意を払う必要があった。裏を返せば、各レセプタクルキャリアを、対応するレセプタクルキャリア受容キャビティ100ではない他のレセプタクルキャリア受容キャビティ100に挿入してしまう所謂誤挿入問題が発生していた。
【0005】
本願発明の目的は、外部ハウジングに形成された複数のキャビティに複数の内部ハウジングを挿入するに際し、各内部ハウジングを対応するキャビティ以外のキャビティに挿入することを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態にかかるコネクタは、複数のキャビティが形成された外部ハウジングと、前記複数のキャビティにそれぞれ挿入される複数の内部ハウジングと、各内部ハウジングに収容される複数の端子と、を備え、各キャビティの内壁面には、各内部ハウジングを各キャビティに挿入するハウジング挿入方向に沿って延びるリテーナが形成されており、各内部ハウジングの外壁面には、各内部ハウジングを各キャビティに挿入したときに前記リテーナを受け入れる溝部が形成されており、各内部ハウジングを各キャビティに挿入すると、前記リテーナが前記溝部に挿入されることで、各内部ハウジングが収容する前記複数の端子が前記リテーナにより二次係止されるように構成されており、前記複数のキャビティの前記リテーナは、互いに異なる形状を有し、前記複数の内部ハウジングの前記溝部は、対応するキャビティの前記リテーナと相補的な形状となるように形成されている。
また、前記複数のキャビティの前記リテーナの前記ハウジング挿入方向に沿った方向に対して直交する断面の形状が互いに異なる。
また、各キャビティの前記リテーナは、前記ハウジング挿入方向に沿って見たときに、各キャビティの前記内壁面から突出するリテーナ第1突出部と、前記リテーナ第1突出部から、前記リテーナ第1突出部の突出方向と異なる方向に突出するリテーナ第2突出部と、を含む。
また、前記リテーナ第1突出部は、前記内壁面に対して直交する方向に突出しており、前記リテーナ第2突出部は、前記内壁面に対して平行な方向に突出している。
【発明の効果】
【0007】
これにより、外部ハウジングに形成された複数のキャビティに複数の内部ハウジングを挿入するに際し、各内部ハウジングを対応するキャビティ以外のキャビティに挿入することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】内部ハウジングが収容された外部ハウジングの斜視図である。
図2】内部ハウジングが収容されていない状態の外部ハウジングの斜視図である。
図3】3つの内部ハウジングの斜視図である。
図4】3つの内部ハウジングの他の方向から見た斜視図である。
図5】3つの内部ハウジングの更に他の方向から見た斜視図である。
図6】内部ハウジングが収容された外部ハウジングの正面図である。
図7】内部ハウジングが収容されていない外部ハウジングの正面図である。
図8】第1のキャビティのリテーナを示した図である。
図9】第2のキャビティのリテーナを示した図である。
図10】第3のキャビティのリテーナを示した図である。
図11】第1の内部ハウジングの左側面図である。
図12】第2の内部ハウジングの左側面図である。
図13】第3の内部ハウジングの左側面図である。
図14】第1の内部ハウジングの右側面図である。
図15】第2の内部ハウジングの右側面図である。
図16】第3の内部ハウジングの右側面図である。
図17】奥側における第1のキャビティに収納した第1の内部ハウジングの断面の一例を示した図である。
図18】正面側における第1のキャビティに収納した第1の内部ハウジングの断面の一例を示した図である。
図19】奥側における第2のキャビティに収納した第2の内部ハウジングの断面の一例を示した図である。
図20】正面側における第2のキャビティに収納した第2の内部ハウジングの断面の一例を示した図である。
図21】奥側における第3のキャビティに収納した第3の内部ハウジングの断面の一例を示した図である。
図22】正面側における第3のキャビティに収納した第3の内部ハウジングの断面の一例を示した図である。
図23】第2のキャビティに第1の内部ハウジングを挿入しようとした場合を示した図である。
図24】第3のキャビティに第1の内部ハウジングを挿入しようとした場合を示した図である。
図25】第1のキャビティに第2の内部ハウジングを挿入しようとした場合を示した図である。
図26】第3のキャビティに第2の内部ハウジングを挿入しようとした場合を示した図である。
図27】第1のキャビティに第3の内部ハウジングを挿入しようとした場合を示した図である。
図28】第2のキャビティに第3の内部ハウジングを挿入しようとした場合を示した図である。
図29】第1の電線に圧着された第1の端子を示す図である。
図30】第2の電線に圧着された第2の端子を示す図である。
図31】第1の端子が挿入された第1の内部ハウジングを外部ハウジングに挿入した状態を示した図である。
図32】第1の内部ハウジングに挿入された第1の端子と外部ハウジングのリテーナを示した図である。
図33】第2の内部ハウジングに挿入された第1の端子と外部ハウジングのリテーナを示した図である。
図34】第3の内部ハウジングに挿入された第1の端子と外部ハウジングのリテーナを示した図である。
図35】第1の内部ハウジングに挿入された第2の端子と外部ハウジングのリテーナを示した図である。
図36】第2の内部ハウジングに挿入された第2の端子と外部ハウジングのリテーナを示した図である。
図37】第3の内部ハウジングに挿入された第2の端子と外部ハウジングのリテーナを示した図である。
図38】第1の端子が半挿入状態である状態を示す図である。
図39】リテーナがフック形状を有しない場合に外部ハウジングが撓む状態を示した図である。
図40】外部ハウジングを撓ませようとする力とリテーナのフック形状により撓みの発生を抑制する状態の一例を示した図である。
図41】特許文献1の図2を簡略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、コネクタ1は、キャビティ11,12,13が形成された外部ハウジング2と、外部ハウジング2に収納される複数の内部ハウジング3,4,5を備える。なお後述するように、外部ハウジング2に形成されるキャビティの個数は3つである。
【0010】
キャビティ11,12,13には内部ハウジング3,4,5がそれぞれ収容される。内部ハウジング3は、キャビティ11に収容される。内部ハウジング4は、キャビティ12に収容される。内部ハウジング5は、キャビティ13に収容される。
【0011】
従って、内部ハウジング3に対応するキャビティはキャビティ11である。内部ハウジング4に対応するキャビティは、キャビティ12である。内部ハウジング5に対応するキャビティは、キャビティ13である。
【0012】
なお図1は、外部ハウジング2に内部ハウジング3,4,5が収容された状態の外部ハウジング2の斜視図であり、図2は外部ハウジング2に内部ハウジング3,4,5が収容されていない状態の外部ハウジング2の斜視図である。なお図1や他の図において、図を見やすくするために電線41,43の表示の一部を省略している。
【0013】
ここで、第1の内部ハウジング3の形状と、第2の内部ハウジング4の形状と、第3の内部ハウジング5の形状はそれぞれ類似した形状であるが、互いに異なる形状である。ここで図3及び図4は、内部ハウジング3,4,5の斜視図であり、図5は内部ハウジング3,4,5の下方から見た斜視図である。
【0014】
例えば図3図4図5に示すように、内部ハウジング3,4,5には、電線の端子を挿入するための孔3d,3e,4d,4e,5d,5eが設けられている。特に図5に示すように、第2の内部ハウジング4に形成された孔4dの個数が、第1の内部ハウジング3に設けられた孔3dの個数や第3の内部ハウジング5の孔5dの個数に比べて少ない。
【0015】
このように、第2の内部ハウジング4は、第1の内部ハウジング3及び第3の内部ハウジング5とは別の構成である。また同様にして、第1の内部ハウジング3と第3の内部ハウジング5は区別して利用される。そのため、外部ハウジング2のキャビティ11,12,13には、内部ハウジング3,4,5のうち、所定の内部ハウジングの収容を行う必要がある。
【0016】
図2に戻り、外部ハウジング2には、第1のキャビティ11と、第2のキャビティ12と、第3のキャビティ13が形成されている。このキャビティ11,12,13は、それぞれ外部ハウジング2の内壁面によって囲まれることにより形成されている空間である。
【0017】
キャビティ11,12,13は、互いに平行となるように延びている。キャビティ11,12,13に、それぞれ複数の内部ハウジング3,4,5の挿入方向に沿って延びている。
【0018】
図7に示すように、第1のキャビティ11の内壁面には、リテーナ31,32,33が形成されている。第2のキャビティ12の内壁面には、リテーナ34,35,36が形成されている。第3のキャビティ13の内壁面には、リテーナ37,38,39が形成されている。
【0019】
第1のキャビティ11に形成されたリテーナ31,32,33の形状の組み合わせと、第2のキャビティ12に形成されたリテーナ34,35,36の形状の組み合わせと、第3のキャビティ13に形成されたリテーナ37,38,39の形状の組み合わせは、互いに異なっている。
【0020】
図2に戻り、以下では、キャビティ11,12,13が延びる方向をY方向とし、キャビティ11,12,13が隣り合う方向をX方向とする。このX方向とY方向は互いに直交する方向である。さらに以下では、説明を簡易に行うため、X方向及びY方向は水平方向であるものとし、X方向とY方向の両方に対して直交する上下方向をZ方向として説明する。
【0021】
なお、このX方向、Y方向、Z方向については、内部ハウジング3,4,5の構成を説明する際に、キャビティ11,12,13に収容された状態における座標系として利用する。また、後述するようにY方向を正面・奥方向、X方向を左右方向、Z方向を上下方向として説明することがある。
【0022】
第1のキャビティ11は、第1の内部ハウジング3がY方向にスライド動作することで挿入可能であるように開口されている。なお、このY方向において第1のキャビティ11が第1の内部ハウジング3が挿入可能であるように開口している側を正面側とし、逆方向側を奥側とする。なお、この奥側には壁面が形成されている。
【0023】
図6は、第1のキャビティ11に第1の内部ハウジング3が収容され、第2のキャビティ12に第2の内部ハウジング4が収容され、第3のキャビティ13に第3の内部ハウジング5が収容された状態の一例を、正面側からの視点で示した図である。一方で図7は、外部ハウジング2のキャビティ11,12,13のいずれにも内部ハウジング3,4,5が収容されていない状態の一例を、正面側からの視点で示した図である。
【0024】
ここで図1図2図6図7に示すように、第1のキャビティ11は正面側からの視点における左側、第2のキャビティ12は正面側からの視点における中央、第3のキャビティ13は正面側からの視点における右側であり、それぞれZ方向の位置が揃った状態で、X方向に並んで形成されているものとする。言い換えると、X方向において、第2のキャビティ12が、第1のキャビティ11と、第3のキャビティ13の間に挟まれるように配置されている。
【0025】
さらに図7に示すように、第1のキャビティ11は、左リテーナ31が形成されている左側壁面21aと、右上リテーナ32及び右下リテーナ33が形成されている右側壁面21bに挟まれた空間を含んで形成されている。ここで第1のキャビティ11には、左側壁面21aと右側壁面21bに挟まれた空間の上方の空間を含めることができる。
【0026】
左側壁面21a及び右側壁面21bは、それぞれY方向に延びた形状である外部ハウジング2の内壁面であり、互いに対向している。したがって、第1の内部ハウジング3が第1のキャビティ11に収容された状態とは、左側壁面21aと右側壁面21bとの間に第1の内部ハウジング3が正面側から挿入され、かつ、左側壁面21aと右側壁面21bとの間に、第1の内部ハウジング3が挟まれるように配置され、固定された状態である。
【0027】
したがって図6に示すように、第1の内部ハウジング3が第1のキャビティ11に収容される際には、第1の内部ハウジング3の大部分が、左側壁面21aと右側壁面21bとの間に挟まれるように配置されるとともに、第1の内部ハウジング3の一部が、左側壁面21aと右側壁面21bに挟まれた空間の上方の空間に配置された状態となる。
【0028】
同様に図7に示すように、第2のキャビティ12は、正面側から第2の内部ハウジング4が挿入可能であるように開口されている。第3のキャビティ13は、正面側から第3の内部ハウジング5が挿入可能であるように開口されている。なお、それぞれの奥側には壁面が形成されている。
【0029】
第2のキャビティ12は、左側壁面22aと右側壁面22bとの間に挟まれた空間を含めた空間である。ここで左側壁面22aと右側壁面22bは、それぞれY方向に延びた形状である外部ハウジング2の内壁面であり、互いに対向している。第2の内部ハウジング4が第2のキャビティ12に収容された状態とは、左側壁面22aと右側壁面22bとの間に第2の内部ハウジング4が正面側から挿入され、かつ、左側壁面22aと右側壁面22bとの間に、第2の内部ハウジング4が挟まれるように配置され、固定された状態である。
【0030】
したがって図6に示すように、第2の内部ハウジング4が第2のキャビティ12に収容される際には、第2の内部ハウジング4の大部分が、左側壁面22aと右側壁面22bとの間に挟まれるように配置されるとともに、第2の内部ハウジング4の一部が、左側壁面22aと右側壁面22bに挟まれた空間の上方の空間に配置された状態となる。
【0031】
同様に図7に示すように、第3のキャビティ13は、左側壁面23aと右側壁面23bとの間に挟まれた空間を含めた空間である。ここで左側壁面23aと右側壁面23bは、それぞれY方向に延びた形状である外部ハウジング2の内壁面であり、互いに対向している。第3の内部ハウジング5が第3のキャビティ13に収容された状態とは、左側壁面23aと右側壁面23bとの間に第3の内部ハウジング5が正面側から挿入され、かつ、左側壁面23aと右側壁面23bとの間に、第3の内部ハウジング5が挟まれるように配置され、固定された状態である。
【0032】
したがって図6に示すように、第3の内部ハウジング5が第3のキャビティ13に収容される際には、第3の内部ハウジング5の大部分が、左側壁面23aと右側壁面23bとの間に挟まれるように配置されるとともに、第3の内部ハウジング5の一部が、左側壁面23aと右側壁面23bに挟まれた空間の上方の空間に配置された状態となる。
【0033】
なお、図7に示すように、外部ハウジング2の奥側の壁面には、収容された内部ハウジング3,4,5を取り外す際に、外部ハウジング2の奥側から正面側に向けて内部ハウジング3,4,5を押圧するための窓部が形成されている。
【0034】
例えば、内部ハウジング3,4,5の挿入側の端部に識別部を設けておき、作業者は、外部ハウジング2の奥側の壁面に設けられた窓部から識別部を確認することができる。これにより作業者は、外部ハウジング2内に挿入される内部ハウジングを外部ハウジング2の奥側壁面の外側から識別できる。
【0035】
ここで、図8図10図17図28図31図39は、それぞれ外部ハウジング2や内部ハウジング3,4,5の正面図、または正面方向からの視点における断面図を模式的に示したものである。
【0036】
図8に示すように、第1のキャビティ11において、左側壁面21aから内方に突出する左リテーナ31と、右側壁面21bから内方に突出する右上リテーナ32及び右下リテーナ33について説明する。
【0037】
左リテーナ31は、左側壁面21aから内方に突出する水平部31aと、水平部31aの先端から、垂直方向に突出する垂直部31bと、を含む。水平部31aは、リテーナ第1突出部の一具体例である。また、垂直部31bは、リテーナ第2突出部の一具体例である。
【0038】
なお、リテーナ第2突出部は、リテーナ第1突出部の先端に連結されているとともに、リテーナ第1突出部の突出方向と異なる方向に突出していればよい。後述する、リテーナ32~39の水平部や垂直部についても同様である。
【0039】
なお水平部31a及び垂直部31bは、それぞれY方向に延びた形状である。言い換えると、水平部31a及び垂直部31bは、第1のキャビティ11に第1の内部ハウジング3が収容される場合の収容方向に沿って延びた形状である。
【0040】
垂直部31bは、水平部31aの先端から上方に突出するように形成されている。
【0041】
右上リテーナ32は、右側壁面21bから内方に突出する水平部32aと、水平部32aの先端から、水平部32aの突出方向とは異なる方向に突出する垂直部32bと、を含む。なお、水平部32a及び垂直部32bは、第1のキャビティ11に第1の内部ハウジング3が収容される場合の収容方向に沿って延びた形状である。
【0042】
ここで、垂直部32bは、水平部32aの先端から上方に突出するように形成されている。
【0043】
右下リテーナ33は、右側壁面21bから内方に突出する水平部33aを含む。なお、水平部33aは、第1のキャビティ11に第1の内部ハウジング3が収容される場合の収容方向に沿って延びた形状である。
【0044】
なお、右下リテーナ33の水平部33aには、垂直部は形成されていない。
【0045】
右上リテーナ32は、右下リテーナ33に比べてY方向に長く形成されている。これにより、右上リテーナ32の正面側の端部は、右下リテーナ33の正面側の端部に比べて、正面方向に突出している。
【0046】
右上リテーナ32と右下リテーナ33は互いに平行に形成されているとともに、右上リテーナ32は右下リテーナ33より上方に形成されている。さらに、左リテーナ31と右下リテーナ33は、Z方向おいて略同様の位置に形成されているものとする。
【0047】
すなわち、右上リテーナ32は、左リテーナ31及び右下リテーナ33より上方に形成されている。
【0048】
図9に示すように、第2のキャビティ12の左側壁面22aには、左側壁面22aから内方に突出する左リテーナ34が形成されている。第2のキャビティ12の右側壁面22bには、右側壁面22bから内方に突出する右上リテーナ35及び右下リテーナ36を有する。
【0049】
左リテーナ34は、左側壁面22aから内方に突出する水平部34aと、水平部34aの先端から、水平部34aの突出方向とは異なる方向に突出する垂直部34bと、を含む。なお、水平部34a及び垂直部34bは、第2のキャビティ12に第2の内部ハウジング4が収容される場合の収容方向に沿って延びた形状である。
【0050】
ここで、垂直部34bは、水平部34aの先端から上方に突出するように形成されている。
【0051】
右上リテーナ35は、右側壁面22bから内方に突出する水平部35aと、水平部35aの先端から、水平部35aの突出方向とは異なる方向に突出する垂直部35bと、を含む。なお、水平部35a及び垂直部35bは、第2のキャビティ12に第2の内部ハウジング4が収容される場合の収容方向に沿って延びた形状である。
【0052】
ここで、垂直部35bは、水平部35aの先端から下方に突出するように形成されている。
【0053】
なお、右上リテーナ35では、正面側の一部にのみ垂直部35bが形成され、奥側には垂直部35bが形成されていなくても良い。
【0054】
右下リテーナ36は、右側壁面22bから内方に突出する水平部36aと、水平部36aの先端から、水平部36aの突出方向とは異なる方向に突出する垂直部36bと、を含む。なお、水平部36a及び垂直部36bは、第2のキャビティ12に第2の内部ハウジング4が収容される場合の収容方向に沿って延びた形状である。
【0055】
さらに垂直部36bは、水平部36aの先端から下方に突出するように形成されている。
【0056】
なお、右上リテーナ35は、右下リテーナ36に比べてY方向に長く形成されている。これにより、右上リテーナ35の正面側の端部は、右下リテーナ36の正面側の端部に比べて、正面方向に突出している。
【0057】
右上リテーナ35と右下リテーナ36は互いに平行に形成されているとともに、右上リテーナ35は右下リテーナ36より上方に形成されている。さらに、左リテーナ34と右下リテーナ36は、Z方向おいて略同様の位置に形成されているものとする。
【0058】
すなわち、右上リテーナ35は、左リテーナ34及び右下リテーナ36より上方に形成されている。
【0059】
図10に示すように、第3のキャビティ13の左側壁面23aには、左側壁面23aから内方に突出する左リテーナ37が形成されている。第3のキャビティ13の右側壁面23bには、右側壁面23bから内方に突出する右上リテーナ38が形成されている。
【0060】
左リテーナ37は、左側壁面23aから内方に突出する水平部37aと、水平部37aの先端から、水平部37aの突出方向とは異なる方向に突出する垂直部37bと、を含む。なお、水平部37a及び垂直部37bは、第3のキャビティ13に第3の内部ハウジング5が収容される場合の収容方向に沿って延びた形状である。
【0061】
さらに垂直部37bは、水平部37aの先端から下方に突出するように形成されている。
【0062】
右上リテーナ38は、右側壁面23bから内方に突出する水平部38aと、水平部38aの先端から、水平部38aの突出方向とは異なる方向に突出する垂直部38bと、を含む。水平部38a及び垂直部38bは、第3のキャビティ13に第3の内部ハウジング5が収容される場合の収容方向に沿って延びた形状である。
【0063】
さらに垂直部38bは、水平部38aの先端から下方に突出するように形成されている。なお、右上リテーナ38では、正面側の一部にのみ垂直部38bが形成され、奥側に垂直部38bが形成されていなくても良い。
【0064】
右下リテーナ39は、右側壁面23bから内方に突出する水平部39aと、水平部39aの先端から、水平部39aの突出方向とは異なる方向に突出する垂直部39bと、を含む。水平部39a及び垂直部39bは、第3のキャビティ13に第3の内部ハウジング5が収容される場合の収容方向に沿って延びた形状である。
【0065】
さらに垂直部39bは、水平部39aの先端から下方に突出するように形成されている。
【0066】
また、右上リテーナ38は、右下リテーナ39に比べてY方向に長く形成されている。これにより、右上リテーナ38の正面側の端部は、右下リテーナ39の正面側の端部に比べて、正面方向に突出している。
【0067】
なお、右上リテーナ38と右下リテーナ39は互いに平行に形成されているとともに、右上リテーナ38は右下リテーナ39より上方に形成されている。さらに、左リテーナ37と右下リテーナ39は、Z方向おいて略同様の位置に形成されているものとする。
【0068】
すなわち、右上リテーナ38は、左リテーナ37及び右下リテーナ39より上方に形成されている。
【0069】
したがって、夫々の垂直部の突出方向の組み合わせは、以下のように纏めることができる。
【0070】
まず、夫々のキャビティ11,12,13について、左リテーナ31,34,37と、右上リテーナ32,35,38との組み合わせに注目する。
【0071】
第1のキャビティ11では、左リテーナ31の垂直部31bは上方に突出し、右上リテーナ32の垂直部32bは上方に突出しており、“上:上”の組み合わせである。同様に、第2のキャビティ12に設けられたリテーナ34,35の垂直部34b,35bの方向は“上:下”の組み合わせであり、第3のキャビティ13に設けられたリテーナ37,38の垂直部37b,38bの方向は“下:下”の組み合わせである。
【0072】
このように、第1のキャビティ11に設けられたリテーナ31,32の垂直部31b,32bの突出方向の組み合わせと、第2のキャビティ12に設けられたリテーナ34,35の垂直部34b,35bの突出方向の組み合わせと、第3のキャビティ13に設けられたリテーナ37,38の垂直部37b,38bの突出方向の組み合わせは、互いに相違する。
【0073】
さらに、夫々のキャビティ11,12,13について、左リテーナ31,34,37と、右上リテーナ32,35,38と、右下リテーナ33,36,39の組み合わせに注目した場合も同様である。
【0074】
具体的には、図8に示すように、右下リテーナ33には垂直部は設けられていないので、第1のキャビティ11に設けられたリテーナ31,32の垂直部31b,32b、及び右下リテーナ33に存在していない垂直部の方向の組み合わせは“上:上:無し”である。図9に示すように、第2のキャビティ12に設けられたリテーナ34,35,36の垂直部34b,35b,36bの方向は“上:下:下”の組み合わせである。図10に示すように、第3のキャビティ13に設けられたリテーナ37,38,39の垂直部37b,38b,39bの方向は“下:下:下”の組み合わせである。従って、キャビティ11における組み合わせと、キャビティ12における組み合わせ、キャビティ13における組み合わせは、互いに相違している。
【0075】
ここで、図8及び図10に示すように、左リテーナ31の水平部31aは、左リテーナ37の水平部37aより僅かに下方である。図9及び図10に示すように、左リテーナ34についても同様であり、水平部34aは、左リテーナ37の水平部37aに比べて僅かに下方である。すなわち、図8から図10に示すように、夫々のキャビティ11,12,13が有する左リテーナ31,34,37同士をそれぞれ比較した場合に、下方に突出する垂直部が形成されているリテーナにおける水平部のZ方向の位置は、上方に突出する垂直部が形成されているリテーナの水平部のZ方向の位置より、僅かに上方である。
【0076】
右上リテーナ32,35,38や右下リテーナ36,39ついても同様である。なお、右下リテーナ33については垂直部が形成されていないが、右下リテーナ33については上方に突出する垂直部が設けられている場合と同様とする。すなわち、水平部33aのZ方向の位置は、右下リテーナ36の水平部36aや、右下リテーナ39の水平部39aに比べて、僅かに下方である。
【0077】
次に、図3図5及び図11図16図17図22を参照して、内部ハウジング3,4,5の構成について説明する。なお図11図16は、内部ハウジング3,4,5の左側面及び右側面を示した図である。
【0078】
図17は、第1の内部ハウジング3と外部ハウジング2について、Y方向奥側におけるXZ断面(図11のA断面)を正面側から示した図であり、図18は、Y方向正面側近傍におけるXZ断面(図11のB断面)を正面側から示した図である。
【0079】
同様に、図19は、第2の内部ハウジング4と外部ハウジング2について、Y方向奥側におけるXZ断面(図12のC断面)を正面側から示した図であり、図20は、Y方向正面側近傍におけるXZ断面(図12のD断面)を正面側から示した図である。
【0080】
同様に、図21は、第3の内部ハウジング5と外部ハウジング2について、Y方向奥側におけるXZ断面(図13のE断面)を正面側から示した図であり、図21は、Y方向正面側近傍におけるXZ断面(図12のF断面)を正面側から示した図である。
【0081】
図3図5に示すように、第1の内部ハウジング3は、Y方向に長く形成されている。なお図1及び図6に示すように、第1の内部ハウジング3は、第1のキャビティ11にY方向に沿って挿入されることにより、第1のキャビティ11に収容される。
【0082】
図3~5及び図11図12に示すように、第1の内部ハウジング3は、左側外壁面に溝部3aが形成されており、右側外壁面に溝部3b,3cが形成されているとともに、第1の内部ハウジング3を上下方向に貫通する2種類の孔3d,3eが形成されている。なお2種類の孔3d及び孔3eは、それぞれが複数の孔である。
【0083】
ここで、図11に示すように、第1の内部ハウジング3の左側の側面には、正面側からの視点においてX方向の右側方向に凹むように形成された、溝部3aを有する。言い換えると、溝部3aは、第1の内部ハウジングの左側の側面の一部がX方向の内側方向に凹むとともに、この凹みがY方向に長く延びた形状である。
【0084】
図17に示すように、溝部3aは、第1の内部ハウジング3が第1のキャビティ11に収容される際に、左リテーナ31と合致する位置に形成されている。
【0085】
図11に示すように、溝部3aには、上面から下方に突出する突出部3fが、Y方向に延びて形成されている。なお、突出部3fには、Y方向の所定の間隔ごとにスリットが設けられていても良い。
【0086】
図14に示すように、第1の内部ハウジング3の右側の側面には、正面側からの視点においてX方向の左側方向に凹むように形成された2つの溝部3b,3cを有する。なお、溝部3bは溝部3cよりも正面側に形成されている。なお、溝部3bと溝部3cは、一体に形成されている。
【0087】
図18に示すように、溝部3bは、第1の内部ハウジング3が第1のキャビティ11に収容される際に、右上リテーナ32と合致する位置に形成されている。
【0088】
図17に示すように、溝部3cは、第1の内部ハウジング3が第1のキャビティ11に収容される際に、右下リテーナ33と合致する位置に形成されている。
【0089】
図14に示すように、溝部3bには、上面から下方に突出する突出部3gが形成されている。また、溝部3cには、上面から下方に突出する突出部3hが形成されている。
【0090】
ここで、突出部3g及び突出部3hは、それぞれY方向に延びる形状である。なお、突出部3g及び突出部3hには、Y方向の所定の間隔ごとにスリットが設けられていても良い。なお、突出部3gと突出部3hは、一直線上に設けられている。
【0091】
図14に示すように、溝部3bは、第1の内部ハウジング3の正面近傍にのみ形成され、溝部3bの奥側は溝部3cと一体である。また、溝部3bを形成している底面のZ方向の上下位置は、溝部3cの底面より上方の位置とする。
【0092】
図17に示すように、この突出部3fは、第1の内部ハウジング3が第1のキャビティ11に収容される際に左リテーナ31と物理的に干渉しない。そのため、突出部3fは、第1のキャビティ11への第1の内部ハウジング3の収容を妨げない。
【0093】
この場合には、突出部3fにおける右側面3iが左リテーナ31の垂直部31bの左側面31eと対向した状態で、左リテーナ31が溝部3aに挿入される。
【0094】
したがって、突出部3fの右側面3iが垂直部31bの左側面31eに接触する力が加わった場合には、突出部3fの右側面3iは垂直部31bの左側面31eを受け止めるようにフックとして働く。
【0095】
ここで図14に示すように、複数の突出部3g及び複数の突出部3hが、それぞれY方向に連続している。
【0096】
図17及び図18に示すように、突出部3g及び突出部3hは、第1の内部ハウジング3が第1のキャビティ11に収容される際に右上リテーナ32と物理的に干渉しない。さらに突出部3hは右下リテーナ33と物理的に干渉せず、同様に突出部3gと右下リテーナ33は物理的に干渉しない。
【0097】
そのため、突出部3g及び突出部3hは、第1のキャビティ11への第1の内部ハウジング3の収容を妨げない。
【0098】
ここで図17及び図18に示すように、突出部3fが設けられた溝部3aは、対応するキャビティである第1のキャビティ11の左リテーナ31と相補的な形状である。また、突出部3gが設けられた溝部3bと突出部3hが設けられた溝部3cは、第1のキャビティ11の右上リテーナ32及び右下リテーナ33と相補的な形状である。
【0099】
また図17及び図18に示すように、突出部3gにおける左側面3jは、右上リテーナ32の垂直部32bの右側面32eと対向する。突出部3gの左側面3jが、垂直部32bの右側面32eと接触した場合には、突出部3gの左側面3jは垂直部32bの右側面32eを受け止めるようにフックとして働く。
【0100】
第2のキャビティ12に挿入される第2の内部ハウジング4についても同様である。
【0101】
図12に示すように、溝部4aには、溝部4aの上面から下方に突出する突出部4fが、Y方向に延びている。また図15に示すように、溝部4bには、溝部4bの下面から上方に突出する突出部4gが形成されている。溝部4cには、溝部4cの下面から上方に突出する突出部4hが形成されている。
【0102】
なお、突出部4f,4h,4gには、Y方向の所定の間隔ごとにスリットが設けられていても良い。
【0103】
ここで図19は、第2の内部ハウジング4と外部ハウジング2について、Y方向奥側におけるXZ断面の一部を示した図であり、図20は、第2の内部ハウジング4と外部ハウジング2について、Y方向正面側におけるXZ断面の一部を示した図である。
【0104】
図19に示すように、突出部4fにおける右側面4iが、左リテーナ34の垂直部34bの左側面34eと対向した状態で、左リテーナ34が溝部4aに挿入される。
【0105】
したがって、突出部4fの右側面4iが垂直部34bの左側面34eに接触する方向の力が加わった場合には、突出部4fの右側面4iは垂直部34bの左側面34eを受け止めるフックとして働く。
【0106】
図19に示すように、この突出部4fは、第2の内部ハウジング4が第2のキャビティ12に収容される際に左リテーナ34と物理的に干渉しない。そのため突出部4fは、第2のキャビティ12への第2の内部ハウジング4の収容を妨げない。
【0107】
また図15に示すように、溝部4bには、溝部4bの下面から上方に突出する突出部4gが形成されている。溝部4cには、溝部4cの下面から上方に突出する突出部4hが形成されている。
【0108】
図19及び図20に示すように、この突出部4gは、第2の内部ハウジング4が第2のキャビティ12に収容される際に右上リテーナ35と物理的に干渉しない。また、突出部4hは右下リテーナ36と物理的に干渉しない。
【0109】
このように、突出部4fが設けられた溝部4aは、対応するキャビティである第2のキャビティ12の左リテーナ34と相補的な形状である。また、突出部4gが設けられた溝部4bと突出部4hが設けられた溝部4cは、第2のキャビティ12の右上リテーナ35及び右下リテーナ36と相補的な形状である。
【0110】
なお図19及び図20に示すように、突出部4gにおける左側面4jは、右上リテーナ35の垂直部35bの右側面35eと対向する。突出部4gの左側面4jが、垂直部35bの右側面35eと接触した場合には、突出部4gの左側面4jは垂直部35bの右側面35eを受け止めるフックとして働く。同様に、突出部4hにおける左側面4kは、右下リテーナ36の垂直部36bの右側面36eと対向する。突出部4hの左側面4kが、垂直部36bの右側面36eと接触した場合には、突出部4hの左側面4kは垂直部36bの右側面36eを受け止めるフックとして働く。
【0111】
また、第3のキャビティ13に挿入される第3の内部ハウジング5についても同様である。
【0112】
図13に示すように、溝部5aには、溝部5aの下面から上方に突出する突出部5fが、Y方向に延びて配置されている。また図16に示すように、溝部5bには、溝部5bの下面から上方に突出する突出部5gが形成されている。溝部5cには、溝部5cの下面から上方に突出する突出部5hが形成されている。
【0113】
なお、突出部5f,5h,5gには、Y方向の所定の間隔ごとにスリットが設けられていても良い。
【0114】
ここで図21は、第3の内部ハウジング5と外部ハウジング2について、Y方向奥側におけるXZ断面の一部を示した図であり、図22は、第3の内部ハウジング5と外部ハウジング2について、Y方向正面側近傍におけるXZ断面の一部を示した図である。
【0115】
図21に示すように、突出部5fの上方に水平部37aが配置されるとともに、突出部5fにおける右側面5iが、左リテーナ37の垂直部37bの左側面37eと対向する。したがって、突出部5fの右側面5iが垂直部37bの左側面37eに接触する方向の力が加わった場合には、突出部5fの右側面5iは垂直部37bの左側面37eを受け止めるフックとして働く。
【0116】
図21に示すように、この突出部5fは、第3の内部ハウジング5が第3のキャビティ13に収容される際に左リテーナ37と物理的に干渉しない。そのため突出部5fは、第3のキャビティ13への第3の内部ハウジング5の収容を妨げない。
【0117】
さらに図16に示すように、溝部5bには、溝部5bの下面から上方に突出する突出部5gが形成されている。さらに図16に示すように、溝部5cには、溝部5cの下面から上方に突出する突出部5hが形成されている。
【0118】
図21及び図22に示すように、この突出部5gは、第3の内部ハウジング5が第3のキャビティ13に収容される際に右上リテーナ38と物理的に干渉しない。また、突出部5hは右下リテーナ39と物理的に干渉しない。
【0119】
このように、突出部5fが設けられた溝部5aは、対応するキャビティである第3のキャビティ13の左リテーナ37と相補的な形状である。また、突出部5gが設けられた溝部5bと突出部5hが設けられた溝部5cは、第3のキャビティ13の右上リテーナ38及び右下リテーナ39と相補的な形状である。
【0120】
ここで図21及び図22に示すように、突出部5gにおける左側面5jは、右上リテーナ38の垂直部38bの右側面38eと対向するように配される。突出部5gの左側面5jが、垂直部38bの右側面38eに接触した場合には、突出部5gの左側面5jは垂直部38bの右側面38eを受け止めるフックとして働く。同様に、突出部5hにおける左側面5kは、右下リテーナ39の垂直部39bの右側面39eと対向する。突出部5hの左側面5kが、垂直部39bの右側面39eと接触した場合には、突出部5hの左側面5kは垂直部39bの右側面39eを受け止めるフックとして働く。
【0121】
次に、図23図28を参照して、内部ハウジング3,4,5を、目的とするキャビティ以外に誤って挿入しようとした場合について説明する。図23図28は、奥側における外部ハウジング2の断面と、それぞれの内部ハウジング3,4,5の断面とを重ね合わせて示した図である。
【0122】
ここで、図23に示すように、第1の内部ハウジング3を第2のキャビティ12に挿入しようとした場合には、溝部3cに設けられた突出部3hが、右上リテーナ35の水平部35aと物理的に干渉する。これにより、第2のキャビティ12への第1の内部ハウジング3の誤挿入を防止できる。
【0123】
また、図24に示すように、第1の内部ハウジング3を第3のキャビティ13に挿入しようとした場合には、突出部3fが、左リテーナ37の水平部37aと物理的に干渉する。また同時に、突出部3hが、右上リテーナ38の水平部38aと物理的に干渉する。これにより、第3のキャビティ13への第1の内部ハウジング3の誤挿入を防止できる。
【0124】
また、図25に示すように第2の内部ハウジング4を第1のキャビティ11に挿入しようとした場合には、溝部4cに設けられた突出部4hが、右下リテーナ33の水平部33aと物理的に干渉する。
【0125】
この場合には、突出部4gは突出部4hより正面側に形成されているので、突出部4gが右上リテーナ32の水平部32aに物理的に干渉するより先に、突出部4hが、右下リテーナ33の水平部33aと物理的に干渉した状態となる。これにより、第1のキャビティ11への第2の内部ハウジング4の誤挿入を防止できる。
【0126】
また、図26に示すように第2の内部ハウジング4を第3のキャビティ13に挿入しようとした場合には、溝部4aに設けられた突出部4fが、左リテーナ37の水平部37aと物理的に干渉する。これにより、第3のキャビティ13への第2の内部ハウジング4の誤挿入を防止できる。
【0127】
また、図27に示すように第3の内部ハウジング5を第1のキャビティ11に挿入しようとした場合には、溝部5cに設けられた突出部5hが、右下リテーナ33の水平部33aと物理的に干渉する。
【0128】
この場合には、突出部5gは突出部5hより正面側に形成されているので、突出部5gが右上リテーナ32の水平部32aに物理的に干渉するより先に、突出部5hが右下リテーナ33の水平部33aと物理的に干渉した状態となる。これにより、第1のキャビティ11への第3の内部ハウジング5の誤挿入を防止できる。
【0129】
また、図28に示すように、第3の内部ハウジング5を第2のキャビティ12に挿入しようとした場合には、溝部5aに設けられた突出部5fが、左リテーナ34の水平部34aと物理的に干渉する。これにより、第2のキャビティ12への第3の内部ハウジング5の誤挿入を防止できる。
【0130】
したがって、第1の内部ハウジング3は、3g,3hを有した溝部3a,3b,3cの形状と、第1のキャビティ11のリテーナ31,32,33の形状との組み合わせにより、第1のキャビティ11にのみ挿入可能であるように規制されるとともに、他のキャビティ12,13に挿入が不可能であるように規制される。
【0131】
同様にして、第2の内部ハウジング4は、突出部4f,4g,4hを有した溝部4a,4b,4cの形状と、第2のキャビティ12のリテーナ34,35,36の形状との組み合わせにより、第2のキャビティ12にのみ挿入可能であるように規制されるとともに、他のキャビティ11,13に挿入が不可能であるように規制される。
【0132】
さらに同様にして、第3の内部ハウジング5は、突出部5f,5g,5hを有した溝部5a,5b,5cの形状と、第3のキャビティ13のリテーナ37,38,39の形状との組み合わせにより、第3のキャビティ13にのみ挿入可能であるように規制されるとともに、他のキャビティ11,12に挿入が不可能であるように規制される。
【0133】
このように、内部ハウジングに設けられた全ての溝部の形状と、外部ハウジング2に設けられた全ての突出部の形状との組み合わせが、完全に一致した場合にのみ、キャビティへの挿入が可能となる。
【0134】
言い換えると、一部の溝部の形状と、一部の突出部の形状との組み合わせが一致していた場合であっても、全てが一致しておらず一致しない箇所がある場合に、外部ハウジング2への内部ハウジングの誤挿入の防止の目的を果たすことができる。
【0135】
なお、全ての溝部の形状と全ての突出部の形状の組み合わせが一致しない場合に、外部ハウジング2への誤挿入の防止の目的を果たすことができることは言うまでもない。
【0136】
次に、図3図5及び図29図30を参照して、第1の内部ハウジング3に形成された、上下方向に貫通する複数の孔と、孔に挿入される端子について説明する。
【0137】
図3図5に示すように、第1の内部ハウジング3には、Z方向に貫通する2種類の孔が、それぞれ複数形成されている。この2種類の孔を、第1の孔3dと、第2の孔3eとする。
【0138】
第1の孔3dは、第2の孔3eに比べてY方向における奥側に形成されている。典型的には図3図5に示すように、第1の孔3dは、X方向に2列であるとともに、Y方向に複数個が連続して形成されている。
【0139】
それぞれの第1の孔3dには、第1の電線41の先端部に圧着された第1の端子42が、上方から挿入される。
【0140】
図29は、第1の電線41と、第1の電線41に圧着された第1の端子42の一例である。典型的には第1の電線41は、信号の伝達に利用される電線である。ここでは、第1の電線41及び第1の端子42は、それぞれZ方向に延びる形状である。
【0141】
第1の端子42には、その側面から端子の延びる方向に対して直交方向に突出するように形成された第1の係止部42aを有する。
【0142】
図31は、第1の端子42が挿入された第1の内部ハウジング3が、外部ハウジング2内に収容された状態を示している。
【0143】
この第1の係止部42aは、第1の内部ハウジング3において2列で形成された第1の孔3dの左列に第1の端子42挿入される場合には、正面側からの視点における第1の端子42の左側に突出した状態となる。一方、第1の係止部42aは、第1の内部ハウジング3において2列で形成された第1の孔3dの右列に第1の端子42が挿入される場合には、正面側からの視点における第1の端子42の右側に突出した状態となる。
【0144】
図31に示すように、第1の内部ハウジング3が第1のキャビティ11に収容された場合において、第1の端子42が第1の孔3dに挿入される際の第1の係止部42aの位置は、左リテーナ31及び右下リテーナ33の下方である。
【0145】
ここで、複数の第1の端子42は、右列および左列ごとにY方向に連続している。したがって、いずれの第1の端子42の第1の係止部42aについても同様に、それぞれの第1の係止部42aの上方に、左リテーナ31又は右下リテーナ33が挿入される。
【0146】
図32は、第1の内部ハウジング3が第1のキャビティ11に収容された場合における、第1の端子42と外部ハウジング2の位置関係の一例を示す図であり、判りやすくするために第1の内部ハウジングを省略した図である。
【0147】
図32に示すように、第1の内部ハウジング3において第1の左列に配置されている第1の端子42は、第1の係止部42aの上面42bが、外部ハウジング2のリテーナ31の水平部31aの先端部付近において、水平部31aの下面31cと対向する。
【0148】
例えば、左列の第1の孔3dに挿入されている第1の端子42について、第1の端子42を上方に引き上げる力が加わった場合には、第1の係止部42aの上面42bが左リテーナ31の下面31cに接した状態になる。これにより、第1の端子42が外部ハウジング2によって二次係止され、第1の孔3dから引き抜かれることが抑制された状態となる。
【0149】
右列の第1の孔3dに挿入されている第1の端子42についても同様に、第1の端子42を上方に引き上げる力が加わった場合には、第1の係止部42aの上面42bが、第1のキャビティ11の内方に向けて延びている右下リテーナ33の下面33cに接した状態になる。これにより、第1の端子42が外部ハウジング2によって二次係止され、第1の孔3dから引き抜かれることが抑制された状態となる。
【0150】
なお、第1の端子42では、第1の係止部42aの上方近傍は、X方向に凹んだ凹形状であることにより第1の係止部42aの上部を形成している。すなわち、第1の端子42では、この凹形状の箇所に、左リテーナ31や右上リテーナ32、右下リテーナ33が入り込む。この凹みは、第1の端子42に第1の電線41を圧着することにより形成される。
【0151】
第2の内部ハウジング4についても同様である。
【0152】
ただし、図33に示すように、第2の内部ハウジング4において、第1の端子42は、第1の係止部42aの上面42bが、第2のキャビティ12の内方に向けて延びている右下リテーナ36における垂直部36bの下面36dと上下方向で対向する。
【0153】
これにより、第1の端子42が外部ハウジング2によって二次係止され、第1の孔4dから引き抜かれることが抑制された状態となる。
【0154】
また、第3の内部ハウジング5についても同様である。
【0155】
ただし、図34に示すように、第3の内部ハウジング5において、第1の端子42は、第1の係止部42aの上面42bが、左リテーナ37における垂直部37bの下面37dと上下方向で対向する。
【0156】
また、右列の第1の孔3dに挿入されている第1の端子42は、第1の係止部42aの上面42bが、右下リテーナ39における垂直部39bの下面39dと上下方向で対向する。
【0157】
これにより、第1の端子42が外部ハウジング2によって二次係止され、第1の孔5dから引き抜かれることが抑制された状態となる。
【0158】
次に、図3図5及び図30を参照して、第2の孔3eに挿入される第2の電線43について説明する。
【0159】
ここで図3図5に示すように、第2の孔3eは、第1の孔3dに比べてY方向の正面側に形成されている。また、第2の孔3eは、Y方向に連続して形成されている。
【0160】
それぞれの第2の孔3eには、第2の電線43の先端部に圧着された第2の端子44が、上方から挿入される。
【0161】
図30は、第2の電線43に圧着された第2の端子44の一例である。典型的には第2の電線43は、電源の供給に利用される電線である。なお図3及び図4では、2本の第2の電線43がY方向に連続している状態を示している。ここでは、第2の電線43及び第2の端子44は、それぞれZ方向に延びる形状である。
【0162】
第2の端子44は、端子の延びる方向に対して直交方向に、第2の端子44の側面の一部から突出するように形成された第2の係止部44aを有する。ここで、第2の端子44が第2の孔3eに挿入される際には、第2の係止部44aが第2の端子44の右側となる。
【0163】
第1の内部ハウジング3が第1のキャビティ11に収容された場合において、第2の端子44が第2の孔3eに挿入される際の第2の係止部44aの位置は、右上リテーナ32の下方である。
【0164】
ここで、複数の第2の端子44は、Y方向に並んでいる。そのため、いずれの第2の端子44の第2の係止部44aについても同様に、第2の係止部44aの上方に右上リテーナ32が挿入される。
【0165】
図35は、第1の内部ハウジング3に挿入された第2の端子44を示したXZ断面図である。なお、この図35は、内部ハウジング3が外部ハウジング2に収容された状態であるが、図を判りやすくするために第1の内部ハウジング3の表示を省略し、外部ハウジング2についても右側壁面21bのみを示している。
【0166】
図35に示すように、第1の内部ハウジング3において第2の端子44は、第2の係止部44aの上面44bが、右上リテーナ32の水平部32aの先端部付近において、水平部32aの下面32cと上下方向で対向する。
【0167】
例えば、第2の端子44に対して上方に引き上げる力が加わった場合には、第2の係止部44aの上面44bが右上リテーナ32の下面32cに接した状態になる。これにより、第2の端子44は外部ハウジング2によって二次係止され、第2の孔3eから引き抜かれることが抑制される。
【0168】
なお、典型的には、電力を伝達させる電線である第2の電線43は、信号の伝達に利用される電線である第1の電線41に比べて径が太い電線が利用される。そのため、第2の端子44は、第1の端子42に比べて大型となる。
【0169】
そのため、第1の端子42において第1の係止部42aが形成される位置は、第2の端子44において第2の係止部44aが形成される位置と異なる。より具体的には、第1の端子において、その先端部から第1の係止部42aが形成されている箇所までの距離に比べて、第2の端子において、その先端部から第2の係止部44aが形成されている箇所までの距離の方が長くなる。
【0170】
したがって、第1の端子42では、第1の係止部42aが左リテーナ31及び右下リテーナ33に接することで二次係止されるようにした際に、同時に、第2の係止部44aを有する第2の端子44が、右上リテーナ32に接することで二次係止される状態となるように調整することができる。
【0171】
第1の内部ハウジング3を例に挙げて説明したが、第2の内部ハウジング4についても同様である。
【0172】
ただし、図36に示すように、第2の内部ハウジング4において、第2の端子44は、第2の係止部44aの上面44bが、第2のキャビティ12の内方に向けて延びている右上リテーナ35における垂直部35bの下面35dに接した状態になる。
【0173】
これにより、第2の端子44が外部ハウジング2によって二次係止され、第2の孔4eから引き抜かれることが抑制された状態となる。
【0174】
また、第3の内部ハウジング5についても同様である。
【0175】
ただし、図37に示すように、第3の内部ハウジング5において、第2の端子44は、第2の係止部44aの上面44bが、第3のキャビティ13の内方に向けて延びている右下リテーナ39における垂直部38bの下面38dに接した状態になる。
【0176】
これにより、第2の端子44が外部ハウジング2によって二次係止され、第2の孔5eから引き抜かれることが抑制された状態となる。
【0177】
さらに図38は、左列および右列に配置されたそれぞれの第1の端子42が、第1の内部ハウジング3に半挿入された状態で、外部ハウジング2に挿入しようとする場合の一例を示している。ここで、「第1の端子42が第1の内部ハウジング3に半挿入された状態」とは、第1の端子42が第1の内部ハウジング3の対応する孔に挿入されたものの、正規の位置まで挿入されていない状態を意味する。
【0178】
この場合には、左列に配置された第1の端子42の第1の係止部42aは、溝部3a内に突出する状態となっている。そのため、第1の内部ハウジング3を外部ハウジング2に挿入しようとした場合、左リテーナ31に対して、第1の係止部42aが物理的に干渉する。
【0179】
同様に、右列に配置された第1の端子42の第1の係止部42aは、溝部3c内に突出する状態となっている。そのため、第1の内部ハウジング3を外部ハウジング2に挿入しようとした場合、右下リテーナ33に対して、第1の係止部42aが物理的に干渉する。
【0180】
これにより、第1の端子42が半挿入状態であることを検知することができる。
【0181】
この第1の端子の半挿入の検知は、第2の内部ハウジング4及び第3の内部ハウジング5においても同様に行うことができる。
【0182】
第2の端子44についても同様にして、右上リテーナ32,35,38との物理的な干渉の有無により、半挿入の検知を行うことができる。
【0183】
ここでさらに、外部ハウジング2に設けられたリテーナ31,32,34~39には、それぞれ水平部31a,32a,34a~39aの先端に垂直部31b,32b,34b~39bが設けられていることから、正面方向からの視点においてフック状であることの効果について説明する。
【0184】
まず、リテーナがフック状ではない場合の例について説明する。図39は、左リテーナ31には垂直部31bが無く、すなわち、フック状ではない状態を仮定した図である。
【0185】
ここで、第1の内部ハウジング3に対して第1の端子42が半挿入状態であり、さらに、第1の内部ハウジング3を無理に第1のキャビティ11に挿入しようとした場合には、外部ハウジング2の内壁が薄肉であるために、左側壁面21aが左方向に撓む。これにより、第1の内部ハウジング3がリテーナ31を押し退けて、外部ハウジング2に挿入できてしまうことが考えられる。
【0186】
次に、リテーナがフック状である場合の一例について説明する。図40に示すように、左リテーナ31は垂直部31bを有しており、外部ハウジング2を撓ませるような力が加わった際には、左リテーナ31の垂直部31bと、第1の内部ハウジング3の突出部3fが当たった状態となる。これにより、第1のキャビティ11の内壁面と第1の内部ハウジング3の外壁面は互いに拘束された状態となり、外部ハウジング2の撓み変形の発生を抑制できる。
【0187】
さらにこの場合には、外部ハウジング2に撓み変形が発生しないことから、第1の端子42が半挿入状態である第1の内部ハウジング3を無理に第1のキャビティ11に挿入しようとした場合であっても、第1の内部ハウジング3の挿入方向において第1の端子42が左リテーナ31と当たる状態となり、第1の内部ハウジング3の挿入を停止させることができる。したがって、第1の端子42が半挿入状態である第1の内部ハウジング3は、外部ハウジング2に挿入できなくなる。
【0188】
なお、第1の内部ハウジング3の左リテーナ31がフック状であることについて説明したが、他の内部ハウジング4,5、及び、フック状である他のリテーナについても同様である。さらに、第1の端子42の半挿入により、外部ハウジング2を撓ませる力が発生することについて説明したが、別の理由により外部ハウジング2を撓ませる力が発生する場合についても同様である。
【0189】
このように、外部ハウジング2が薄肉に形成されており、かつ、外部ハウジング2の変形する力が加わった場合であっても、垂直部31b,32b,34b~39bがフックとして引っかかることで、外部ハウジング2の変形を抑制できる。さらに、端子42,44が半挿入状態である内部ハウジング3~5が、外部ハウジング2に挿入されることを抑制できる。
【0190】
以上の構成によれば、複数のキャビティに複数の内部ハウジングを挿入するに際し、各内部ハウジングを対応するキャビティ以外のキャビティに挿入することを規制することができる。また、上記の規制を実現するために新たな構造を追加したことにならないので、コネクタの小型化にも寄与する。
【0191】
さらに、以上の構成によれば、キャビティの内壁面と内部ハウジングの外壁面が互いに拘束される機能を簡素な形状のリテーナで実現することができる。
【0192】
さらに、内部ハウジング3,4,5が外部ハウジング2に収容された際に、それぞれ異なる種類の端子を用いた複数の電線が1つの内部ハウジングに挿入されている場合であっても、外部ハウジング2のキャビティを形成している内壁面から突出したリテーナと、各端子の係止部を接させた状態とすることで、各端子の二次係止を実現する。
【0193】
さらに、コネクタ1では、内部ハウジング3,4,5に対して挿入された端子42,44のうちのいずれかが半挿入状態である場合には、内部ハウジングを外部ハウジング2に挿入する際に、端子の係止部がリテーナと物理的に干渉することによって、端子の半挿入状態を検知できる。
【0194】
さらに、各内部ハウジングに挿入された何れかの端子が十分に挿入されていなかった場合、リテーナが当該端子を二次係止することなく、リテーナが当該端子とハウジング挿入方向において物理的に干渉する。この結果、リテーナが当該端子に乗り上げてリテーナが形成されたキャビティの内壁面が内部ハウジングの外壁面から離れる方向に変形し、外部ハウジングが破損する虞がある。そこで、以上の構成によれば、リテーナが屈曲形状を有し、対応する溝部がリテーナと相補的な形状に形成されているので、キャビティの内壁面と内部ハウジングの外壁面が互いを拘束し、外部ハウジングの破損を防止できる。
【0195】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0196】
図1に示すように、外部ハウジング2には、3つの内部ハウジング3,4,5が収容されるものとして説明したが、これに限られず、4以上の内部ハウジングを収容されるものとしてもよい。さらに外部ハウジング2では、複数のキャビティに形成される突出部の個数を増加させることで、突出部の組み合わせのパターンを増加させることができる。
【0197】
本明細書において「相補的な形状」とは、内部ハウジングをキャビティに挿入した際に内部ハウジングとキャビティの内壁面の間に隙間が一切形成されないことを意味するものではない。内部ハウジングをキャビティに容易に挿入できるよう、内部ハウジングをキャビティに挿入した際に内部ハウジングとキャビティの内壁面の間にはある程度の隙間が形成される。この隙間は、内部ハウジングや外部ハウジングの寸法上の製造誤差を吸収する役割も同時に有する。
【符号の説明】
【0198】
1 コネクタ
2 外部ハウジング
3 内部ハウジング
3a 第1の溝部
3b 第2の溝部
3c 第3の溝部
3d 第1の孔
3e 第2の孔
3f 突出部
3g 突出部
3h 突出部
3i 右側面
3j 左側面
4 第2の内部ハウジング
4a 第1の溝部
4b 第2の溝部
4c 第3の溝部
4d 第1の孔
4e 第2の孔
4f 突出部
4g 突出部
4h 突出部
4i 右側面
4j 左側面
4k 左側面
5 第3の内部ハウジング
5a 第1の溝部
5b 第2の溝部
5c 第3の溝部
5d 第1の孔
5e 第2の孔
5f 突出部
5g 突出部
5h 突出部
5i 右側面
5j 左側面
5k 左側面
11 第1のキャビティ
12 第2のキャビティ
13 第3のキャビティ
21a 左側壁面
21b 右側壁面
22a 左側壁面
22b 右側壁面
23a 左側壁面
23b 右側壁面
31 左リテーナ
31a 水平部
31b 垂直部
31c 下面
31e 左側面
32 右上リテーナ
32a 水平部
32b 垂直部
32c 下面
32e 右側面
33 右下リテーナ
33a 水平部
33c 下面
34 左リテーナ
34a 水平部
34b 垂直部
34e 左側面
35 右上リテーナ
35a 水平部
35b 垂直部
35d 下面
35e 右側面
36 右下リテーナ
36a 水平部
36b 垂直部
36d 下面
36e 右側面
37 左リテーナ
37a 水平部
37b 垂直部
37d 下面
37e 左側面
38 右上リテーナ
38a 水平部
38b 垂直部
38d 下面
38e 右側面
39 右下リテーナ
39a 水平部
39b 垂直部
39d 下面
39e 右側面
41 第1の電線
42 第1の端子
42a 第1の係止部
42b 上面
43 第2の電線
44 第2の端子
44a 係止部
44b 上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41