(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-17
(45)【発行日】2024-07-25
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 303
(21)【出願番号】P 2021007259
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】水崎 晃彦
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-026990(JP,A)
【文献】特開2001-071534(JP,A)
【文献】特開2016-159567(JP,A)
【文献】特開2011-178105(JP,A)
【文献】特開2008-062534(JP,A)
【文献】特開2002-273868(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01201432(EP,A1)
【文献】特開2013-059965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、複数の前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるとともに、
上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向を回動の軸方向とする回動方向において前記キャリッジに対する前記インクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第1傾き調整機構
と、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向において前記キャリッジに対する前記インクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第2傾き調整機構
とを備え
、
前記第1傾き調整機構は、前記インクジェットヘッドが固定されるヘッド固定部材を備え、
前記第2傾き調整機構は、前記ヘッド固定部材を保持する保持部材を備え、
前記保持部材は、前記キャリッジに対して主走査方向を回動の軸方向とする回動が可能になっており、
前記ヘッド固定部材は、前記保持部材に対して副走査方向を回動の軸方向とする回動が可能になっていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記第1傾き調整機構は、前記保持部材に回動可能に保持される第1レバー部材と、前記第1レバー部材の回動方向の一方側に前記第1レバー部材を付勢する第1バネ部材と、前記第1レバー部材の回動方向の他方側に前記第1レバー部材を回動させるための第1のマイクロメータヘッドまたは第1の調整ネジとを備え、
前記第2傾き調整機構は、前記キャリッジに回動可能に保持される第2レバー部材と、前記第2レバー部材の回動方向の一方側に前記第2レバー部材を付勢する第2バネ部材と、前記第2レバー部材の回動方向の他方側に前記第2レバー部材を回動させるための第2のマイクロメータヘッドまたは第2の調整ネジとを備え、
前記第1レバー部材は、前記ヘッド固定部材に係合しており、前記第1レバー部材が回動すると、前記ヘッド固定部材は、前記保持部材に対して副走査方向を回動の軸方向として回動し、
前記第2レバー部材は、前記保持部材に係合しており、前記第2レバー部材が回動すると、前記保持部材は、前記キャリッジに対して主走査方向を回動の軸方向として回動することを特徴とする請求項
1記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記キャリッジに対する前記インクジェットヘッドの個々の副走査方向における位置を調整するための位置調整機構と、上下方向を回動の軸方向とする回動方向において前記キャリッジに対する前記インクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第3傾き調整機構とを備え、
前記保持部材は、前記位置調整機構の一部を構成するとともに、前記キャリッジに対して副走査方向への移動が可能になっており、
前記ヘッド固定部材は、前記第3傾き調整機構の一部を構成するとともに、前記保持部材に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能になっていることを特徴とする請求項
1または
2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
インクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、複数の前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるとともに、
上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向を回動の軸方向とする回動方向において前記キャリッジに対する前記インクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第1傾き調整機構と、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向において前記キャリッジに対する前記インクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第2傾き調整機構とを備え、
前記第2傾き調整機構は、前記インクジェットヘッドが固定されるヘッド固定部材を備え、
前記第1傾き調整機構は、前記ヘッド固定部材を保持する保持部材を備え、
前記保持部材は、前記キャリッジに対して副走査方向を回動の軸方向とする回動が可能になっており、
前記ヘッド固定部材は、前記保持部材に対して主走査方向を回動の軸方向とする回動が可能になっていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェットプリンタ(インクジェット装置)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、媒体に向かってインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、複数のインクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、主走査方向にキャリッジを移動させるためのガイド機構とを備えている。キャリッジは、キャリッジの背面を構成する背面部と、キャリッジの底面を構成する底面部と、主走査方向におけるキャリッジの側面を構成する2個の側面部とから構成されている。背面部は、ガイド機構の駆動する部位に固定されている。底面部には、複数のインクジェットプリンタが搭載されている。
【0003】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、キャリッジは、主走査方向と上下方向とに直交する副走査方向を回動の軸方向とする回動方向において底面部の傾きを調整するための底面高さ位置調整部と、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向において底面部の傾きを調整するためのθ角度調整部とを備えている。そのため、このインクジェットプリンタでは、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、副走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾き、および、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きを一括で調整することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、副走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きがインクジェットヘッドごとにばらついても、複数のインクジェットヘッドの、副走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きを、インクジェットヘッドごとに調整をすることができない。また、このインクジェットプリンタでは、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きがインクジェットヘッドごとにばらついても、複数のインクジェットヘッドの、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きを、インクジェットヘッドごとに調整をすることができない。
【0006】
そのため、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、副走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きが、インクジェットヘッドごとにばらついたり、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きが、インクジェットヘッドごとにばらついたりすると、インクジェットヘッドから吐出されて印刷媒体に着弾するインク(インク滴)の着弾位置がインクジェットヘッドによって大きくばらつくおそれがある。また、印刷媒体に着弾するインクの着弾位置がインクジェットヘッドによって大きくばらつくと、印刷媒体の印刷品質が低下する。
【0007】
そこで、本発明の課題は、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドから吐出されるインクの着弾位置の、インクジェットヘッドごとのばらつきを抑制することが可能なインクジェットプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、インクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、複数のインクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるとともに、上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジに対するインクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第1傾き調整機構と、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジに対するインクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第2傾き調整機構とを備え、第1傾き調整機構は、インクジェットヘッドが固定されるヘッド固定部材を備え、第2傾き調整機構は、ヘッド固定部材を保持する保持部材を備え、保持部材は、キャリッジに対して主走査方向を回動の軸方向とする回動が可能になっており、ヘッド固定部材は、保持部材に対して副走査方向を回動の軸方向とする回動が可能になっていることを特徴とする。
【0009】
本発明のインクジェットプリンタは、副走査方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジに対するインクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第1傾き調整機構と、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジに対するインクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第2傾き調整機構とを備えている。
【0010】
そのため、本発明では、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、副走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのインクジェットヘッドごとのばらつき、および、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのインクジェットヘッドごとのばらつきの両方を抑制することが可能になる。したがって、本発明では、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドから吐出されるインクの着弾位置の、インクジェットヘッドごとのばらつきを効果的に抑制することが可能になる。
【0011】
なお、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、副走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きがインクジェットヘッドごとにばらついたり、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きがインクジェットヘッドごとにばらついたりしても、インクの吐出タイミングをインクジェットヘッドごとに調整することで、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドから吐出されるインクの着弾位置の、インクジェットヘッドごとのばらつきを抑制することも可能である。
【0012】
しかしながら、この場合には、たとえば、インクジェットヘッドによって印刷が行われる印刷媒体の厚さが変わると、印刷媒体の上面とインクジェットヘッドとの距離が変わるため、印刷媒体の厚さが変わったときに、インクの吐出タイミングをインクジェットヘッドごとに再調整する必要が生じる。これに対して、本発明では、印刷が行われる印刷媒体の厚さが変わっても、再調整の必要はない。また、たとえば、印刷媒体の表面に凹凸がある場合には、インクの吐出タイミングをインクジェットヘッドごとに調整しても、複数のインクジェットヘッドから吐出されるインクの着弾位置の、インクジェットヘッドごとのばらつきを抑制することは困難になるが、本発明では、印刷媒体の表面に凹凸があっても、複数のインクジェットヘッドから吐出されるインクの着弾位置の、インクジェットヘッドごとのばらつきを抑制することが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、第1傾き調整機構は、保持部材に回動可能に保持される第1レバー部材と、第1レバー部材の回動方向の一方側に第1レバー部材を付勢する第1バネ部材と、第1レバー部材の回動方向の他方側に第1レバー部材を回動させるための第1のマイクロメータヘッドまたは第1の調整ネジとを備え、第2傾き調整機構は、キャリッジに回動可能に保持される第2レバー部材と、第2レバー部材の回動方向の一方側に第2レバー部材を付勢する第2バネ部材と、第2レバー部材の回動方向の他方側に第2レバー部材を回動させるための第2のマイクロメータヘッドまたは第2の調整ネジとを備え、第1レバー部材は、ヘッド固定部材に係合しており、第1レバー部材が回動すると、ヘッド固定部材は、保持部材に対して副走査方向を回動の軸方向として回動し、第2レバー部材は、保持部材に係合しており、第2レバー部材が回動すると、保持部材は、キャリッジに対して主走査方向を回動の軸方向として回動する。
【0015】
本発明において、インクジェットプリンタは、キャリッジに対するインクジェットヘッドの個々の副走査方向における位置を調整するための位置調整機構と、上下方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジに対するインクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第3傾き調整機構とを備え、保持部材は、位置調整機構の一部を構成するとともに、キャリッジに対して副走査方向への移動が可能になっており、ヘッド固定部材は、第3傾き調整機構の一部を構成するとともに、保持部材に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能になっていることが好ましい。このように構成すると、インクジェットプリンタが、第1傾き調整機構および第2傾き調整機構に加えて、位置調整機構と第3傾き調整機構とを備えていても、インクジェットプリンタの構成を簡素化することが可能になる。
【0016】
また、上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、インクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、複数のインクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構とを備えるとともに、上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジに対するインクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第1傾き調整機構と、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジに対するインクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第2傾き調整機構とを備え、第2傾き調整機構は、インクジェットヘッドが固定されるヘッド固定部材を備え、第1傾き調整機構は、ヘッド固定部材を保持する保持部材を備え、保持部材は、キャリッジに対して副走査方向を回動の軸方向とする回動が可能になっており、ヘッド固定部材は、保持部材に対して主走査方向を回動の軸方向とする回動が可能になっていることを特徴とする。
本発明のインクジェットプリンタは、副走査方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジに対するインクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第1傾き調整機構と、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジに対するインクジェットヘッドの個々の傾きを調整するための第2傾き調整機構とを備えている。
そのため、本発明では、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、副走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのインクジェットヘッドごとのばらつき、および、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドの、主走査方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのインクジェットヘッドごとのばらつきの両方を抑制することが可能になる。したがって、本発明では、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドから吐出されるインクの着弾位置の、インクジェットヘッドごとのばらつきを効果的に抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明のインクジェットプリンタでは、キャリッジに搭載される複数のインクジェットヘッドから吐出されるインクの着弾位置の、インクジェットヘッドごとのばらつきを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの斜視図である。
【
図2】
図1に示すインクジェットプリンタの構成を説明するための概略図である。
【
図3】
図2に示すインクジェットヘッドおよび調整機構の斜視図である。
【
図6】
図3に示す調整機構を
図5と異なる方向から示す斜視図である。
【
図8】
図3に示すインクジェットヘッドおよび調整機構の正面図である。
【
図11】
図5のG-G方向から調整機構を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(インクジェットプリンタの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すインクジェットプリンタ1の構成を説明するための概略図である。
【0021】
本形態のインクジェットプリンタ1(以下、「プリンタ1」とする。)は、たとえば、業務用のインクジェットプリンタであり、印刷媒体2に印刷を行う。印刷媒体2は、たとえば、印刷用紙または布帛等である。プリンタ1は、印刷媒体2に向かってインクを吐出する複数のインクジェットヘッド3(以下、「ヘッド3」とする。)と、複数のヘッド3が搭載されるキャリッジ4とを備えている。本形態のプリンタ1は、たとえば、2個のヘッド3を備えており、2個のヘッド3がキャリッジ4に搭載されている。
【0022】
また、プリンタ1は、キャリッジ4を主走査方向(
図1等のY方向)へ移動させるキャリッジ駆動機構5と、キャリッジ4を主走査方向へ案内するためのガイドレール6と、印刷時の印刷媒体2が載置されるプラテン7と、上下方向(
図1等のZ方向)と主走査方向とに直交する副走査方向(
図1等のX方向)に印刷媒体2を送る媒体送り機構8と、ヘッド3に供給されるインクが収容される複数のインクタンク9とを備えている。
【0023】
プラテン7は、ヘッド3の下側に配置されている。ヘッド3は、下側に向かってインクを吐出する。ヘッド3の下面には、ノズル列が形成されている。ノズル列は、副走査方向に配列される複数のノズルによって構成されている。キャリッジ駆動機構5は、たとえば、2個のプーリと、2個のプーリに架け渡されるとともに一部がキャリッジ4に固定されるベルトと、プーリを回転させるモータとを備えている。媒体送り機構8は、たとえば、印刷媒体2に接触して印刷媒体2を送る搬送ローラと、搬送ローラを回転させるモータとを備えている。
【0024】
また、プリンタ1は、キャリッジ4に対するヘッド3の個々の傾きおよび位置を調整するための調整機構10を備えている。本形態のプリンタ1は、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3のうちの一方のヘッド3の傾きおよび位置を調整するための調整機構10と、2個のヘッド3のうちの他方のヘッド3の傾きおよび位置を調整するための調整機構10との2個の調整機構10を備えている。2個の調整機構10は、キャリッジ4に搭載されている。以下、調整機構10の構成を説明する。
【0025】
(調整機構の構成)
図3は、
図2に示すヘッド3および調整機構10の斜視図である。
図4は、
図3に示す調整機構10の平面図である。
図5は、
図3に示す調整機構10の斜視図である。
図6は、
図3に示す調整機構10を
図5と異なる方向から示す斜視図である。
図7は、
図3に示す調整機構10を
図5、
図6と異なる方向から示す斜視図である。
図8は、
図3に示すヘッド3および調整機構10の正面図である。
図9は、
図5のE部の拡大図である。
図10は、
図6のF部の拡大図である。
図11は、
図5のG-G方向から調整機構10を示す拡大側面図である。
【0026】
以下の説明では、主走査方向(Y方向)を「左右方向」とし、副走査方向(X方向)を「前後方向」とする。また、左右方向の一方側である
図3等のY1方向側を「右」側とし、その反対側である
図3等のY2方向側を「左」側とし、前後方向の一方側である
図3等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図3等のX2方向側を「後ろ」側とする。
【0027】
調整機構10は、前後方向(副走査方向)を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジ4に対するヘッド3の個々の傾きを調整するための第1傾き調整機構13と、左右方向(主走査方向)を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジ4に対するヘッド3の個々の傾きを調整するための第2傾き調整機構14とを備えている。また、調整機構10は、キャリッジ4に対するヘッド3の個々の前後方向の位置を調整するための位置調整機構15と、上下方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジ4に対するヘッド3の個々の傾きを調整するための第3傾き調整機構16とを備えている。さらに、調整機構10は、キャリッジ4に固定されるベース部材17を備えている。
【0028】
第1傾き調整機構13は、ヘッド3が固定されるヘッド固定部材20を備えている。第2傾き調整機構14は、ヘッド固定部材20を保持する保持部材21を備えている。保持部材21は、ベース部材17に対して左右方向を回動の軸方向とする回動が可能になっている。すなわち、保持部材21は、キャリッジ4に固定されるベース部材17に対して左右方向を回動の軸方向とする回動が可能になっており、キャリッジ4に対して左右方向を回動の軸方向とする回動が可能になっている。ヘッド固定部材20は、保持部材21に対して前後方向を回動の軸方向とする回動が可能になっている。
【0029】
保持部材21は、位置調整機構15の一部を構成している。保持部材21は、ベース部材17に対して前後方向への移動が可能となっている。すなわち、保持部材21は、キャリッジ4に固定されるベース部材17に対して前後方向への移動が可能になっており、キャリッジ4に対して前後方向への移動が可能になっている。ヘッド固定部材20は、第3傾き調整機構16の一部を構成している。ヘッド固定部材20は、保持部材21に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能になっている。
【0030】
第2傾き調整機構14は、保持部材21に加えて、ベース部材17に対する保持部材21の回動方向の一方側に保持部材21を付勢する板バネ22と、保持部材21に形成される後述の支点部21fに後ろ側から接触する支点部保持部材23と、支点部保持部材23を前側に付勢する圧縮コイルバネ24とを備えている。また、第2傾き調整機構14は、ベース部材17を介してキャリッジ4に回動可能に保持される第2レバー部材25と、第2レバー部材25の回動方向の一方側に第2レバー部材25を付勢するための板バネ26と、第2レバー部材25の回動方向の他方側に第2レバー部材25を回動させるための第2のマイクロメータヘッド27(以下、「第2マイクロメータヘッド27」とする。)とを備えている。
【0031】
支点部保持部材23および圧縮コイルバネ24は、位置調整機構15の一部を構成している。位置調整機構15は、保持部材21、支点部保持部材23および圧縮コイルバネ24に加えて、保持部材21を左側に付勢する板バネ28と、ベース部材17に対する保持部材21の前後方向の位置を調整するための偏心カム29とを備えている。
【0032】
ベース部材17は、キャリッジ4に固定される平板状のベース板部17aと、第2レバー部材25および第2マイクロメータヘッド27を保持する保持部17bと、板バネ26が固定されるバネ固定部17cと、板バネ28が固定されるバネ固定部17dと、保持部材21の左右方向の位置を規制する2本の規制ピン17eとを備えている。
【0033】
ベース板部17aは、略長方形の平板状に形成されている。ベース板部17aは、平板状に形成されるベース板部17aの厚さ方向と上下方向とが一致した状態で、かつ、略長方形状に形成されるベース板部17aの長辺方向と前後方向とが一致した状態で、キャリッジ4に固定されている。ベース板部17aには、ヘッド3の下端部が配置される長方形状の開口部17fが形成されている。
【0034】
保持部17b、バネ固定部17cおよびバネ固定部17dは、ベース板部17aの上面から上側に向かって立ち上がるブロック状に形成されている。保持部17bおよびバネ固定部17cは、ベース部材17の前端部に形成されている。また、保持部17bは、左右方向におけるベース部材17の略中心位置に形成され、バネ固定部17cは、ベース部材17の左端部に形成されている。
【0035】
バネ固定部17dは、ベース部材17の右端部に形成されている。また、バネ固定部17dは、前後方向におけるベース部材17の略中心位置に形成されている。2本の規制ピン17eは、ベース部材17の左端部に形成されている。また、2本の規制ピン17eは、バネ固定部17cよりも後ろ側に配置されている。2本の規制ピン17eは、左右方向において同じ位置に配置されるとともに、前後方向に間隔をあけた状態で配置されている。
【0036】
保持部材21は、全体として略長方形の枠状に形成されている。保持部材21は、ベース板部17aに載置されている。略長方形の枠状に形成される保持部材21の長辺方向は、前後方向と一致している。保持部材21の内周側には、ヘッド3の下端部が配置されている。保持部材21は、保持部材21の前面を構成する前壁部21aと、保持部材21の後面を構成する後壁部21bと、保持部材21の右側で前壁部21aと後壁部21bとを繋ぐ側壁部21cと、保持部材21の左側で前壁部21aと後壁部21bとを繋ぐ側壁部21dとを備えている。前壁部21aは、ベース部材17の保持部17bの後ろ側に配置されている。
【0037】
側壁部21cには、右側に向かって突出する突出部21eが形成され、側壁部21dには、左側に向かって突出する突出部21eが形成されている。突出部21eは、バネ固定部17dよりも後ろ側に配置されている。突出部21eの後端部は、略円柱状に形成された支点部21fとなっている。略円柱状に形成される支点部21fは、支点部21fの軸方向と左右方向とが一致した状態で配置されている。側壁部21cに形成される支点部21fと、側壁部21dに形成される支点部21fとは、前後方向において同じ位置に配置されている。2個の支点部21fは、キャリッジ4に対する保持部材21の回動の支点となっており、保持部材21は、2個の支点部21fの軸中心を通過する軸線L1を回動の中心にしてキャリッジ4に対して回動可能となっている。
【0038】
支点部保持部材23は、略直方体のブロック状に形成されている。圧縮コイルバネ24は、支点部保持部材23の後ろ側に配置されており、上述のように、支点部保持部材23を前側に付勢している。支点部保持部材23は、ベース部材17に対して前後方向に直線的に移動可能となっている。支点部保持部材23および圧縮コイルバネ24は、側壁部21cの右側と側壁部21dの左側との2箇所に配置されている。
【0039】
支点部保持部材23の前面の下端部には、支点部21fが接触する傾斜面23aが形成されている(
図11参照)。傾斜面23aは、前側に向かうにしたがって上側に向かうように傾斜している。支点部21fは、傾斜面23aによって上側への移動および後ろ側への移動が規制されている。すなわち、保持部材21は、支点部保持部材23によって上側への移動および後ろ側への移動が規制されている。また、圧縮コイルバネ24は、支点部保持部材23を介して保持部材21を前側に付勢している。
【0040】
板バネ22は、ベース部材17の保持部17bに取り付けられている。
図9に示すように、保持部材21の前壁部21aには、前側に向かって突出する突出部21gが形成されており、板バネ22のバネ部22aは、突出部21gの上面に接触している。すなわち、板バネ22は、保持部材21の前端部を下側に付勢している。
【0041】
第2レバー部材25は、左右方向に細長い略直方体状に形成されている。第2レバー部材25の中心部には、前後方向に貫通する丸穴状の挿入穴25aが形成されている(
図8~
図10参照)。挿入穴25aには、保持部17bに形成される円柱状の固定軸17gが挿入されており、第2レバー部材25の中心部は、固定軸17gに回動可能に支持されている。そのため、第2レバー部材25は、前後方向を回動の軸方向としてベース部材17に対して回動可能になっている。第2レバー部材25の右端部には、後ろ側に向かって突出する円柱状に係合ピン32が形成または固定されている(
図9参照)。係合ピン32の後端部は、保持部材21の突出部21gに形成される係合穴に挿入されている。
【0042】
板バネ26は、バネ固定部17cに固定されている。板バネ26は、第2レバー部材25の左端部に下側から接触する第2バネ部26aを備えている(
図8、
図10参照)。第2バネ部26aは、第2レバー部材25の左端部を上側に付勢している。本形態の第2バネ部26aは、第2レバー部材25の回動方向の一方側に第2レバー部材25を付勢する第2バネ部材である。なお、板バネ26は、第1傾き調整機構13の一部も構成している。
【0043】
第2マイクロメータヘッド27は、保持部17bに取り付けられている。具体的には、第2マイクロメータヘッド27のスピンドル33が下側に配置されるように、第2マイクロメータヘッド27が保持部17bに取り付けられている(
図8参照)。スピンドル33の下端は、第2レバー部材25の左端部の上面に接触している。
【0044】
プリンタ1のオペレータが第2マイクロメータヘッド27のシンブル(摘み)34を回すと、スピンドル33が上下動する。また、スピンドル33が上下動すると、固定軸17gを中心にして、第2レバー部材25が回動する。第2レバー部材25が回動すると、第2レバー部材25の右端部と一緒に係合ピン32が上下動するため、保持部材21の前端部が上下動する。保持部材21の前端部が上下動すると、軸線L1を中心にして保持部材21が回動する。すなわち、第2レバー部材25は、係合ピン32を介して保持部材21に係合しており、第2レバー部材25が回動すると、保持部材21は、キャリッジ4に対して左右方向を回動の軸方向として回動する。
【0045】
板バネ28は、上述のように、バネ固定部17dに固定されている。板バネ28には、保持部材21に接触するバネ部28aが形成されている。バネ部28aは、保持部材21に右側から接触しており、保持部材21を左側に付勢している。左側に付勢される保持部材21の側壁部21dの左面は、2本の規制ピン17eに接触している。
【0046】
偏心カム29は、ベース板部17aの右前端部に回動可能に取り付けられている。偏心カム29は、上下方向を回動の軸方向として回動可能となっている。偏心カム29のカム面は、保持部材21の前壁部21aの前面の右端部に接触している。プリンタ1のオペレータが偏心カム29を回動させると、保持部材21は、2本の規制ピン17eに沿って前後方向に直線的に移動する。すなわち、偏心カム29を回動させると、保持部材21は、キャリッジ4に対して前後方向に直線的に移動する。支点部保持部材23は、保持部材21の動きに応じて前後方向に直線的に移動する。
【0047】
上述のように、板バネ26は、第1傾き調整機構13の一部を構成している。第1傾き調整機構13は、ヘッド固定部材20および板バネ26に加えて、保持部材21に回動可能に保持される第1レバー部材35を備えている。板バネ26の一部を構成する後述の第1バネ部26bは、第1レバー部材35の回動方向の一方側に第1レバー部材35を付勢している。また、第1傾き調整機構13は、第1レバー部材35の回動方向の他方側に第1レバー部材35を回動させるための第1のマイクロメータヘッド37(以下、「第1マイクロメータヘッド37」とする。)を備えている。
【0048】
また、上述のように、ヘッド固定部材20は、第3傾き調整機構16の一部を構成している。第3傾き調整機構16は、ヘッド固定部材20に加えて、上下方向を回動の軸方向とするヘッド固定部材20の回動方向の一方側にヘッド固定部材20を付勢する板バネ38と、上下方向を回動の軸方向とする回動方向において保持部材21に対するヘッド固定部材20の傾きを調整するための偏心カム39とを備えている。
【0049】
ヘッド固定部材20は、ヘッド3の前端部が固定される第1固定部材41と、ヘッド3の後端部が固定される第2固定部材42との2個の部材によって構成されている。第1固定部材41と第2固定部材42とは、ヘッド3を介して一体化している。保持部材21の、前壁部21aの後ろ側には、第1固定部材41が載置される載置部が形成されており、第1固定部材41は、この載置部に載置されている。また、保持部材21の、後壁部21bの前側には、第2固定部材42が載置される載置部が形成されており、第2固定部材42は、この載置部に載置されている。
【0050】
第1固定部材41には、前側に向かって突出する円柱状の固定軸41aが形成されている。前壁部21aには、固定軸41aが挿入される挿入穴21hが形成されている(
図9参照)。挿入穴21hは、左右方向を長手方向とする長穴状に形成されている。固定軸41aは、前壁部21aに回動可能に保持されている。前壁部21aの上端面には、板バネ44が固定されている。板バネ44は、第1固定部材41の上端面に接触しており、第1固定部材41を下側に付勢している。また、後壁部21bの上端面には、板バネ45が固定されている。板バネ45は、第2固定部材42の上端面に接触しており、第2固定部材42を下側に付勢している。
【0051】
第2固定部材42の後面には、後ろ側に向かって突出する被支持部(図示省略)が形成されている。この被支持部は、たとえば、半球状に形成されており、後壁部21bに固定される球面軸受(球面滑り軸受)46に支持されている。半球状に形成される被支持部の後端と固定軸41aとは、左右方向においてほぼ同じ位置に配置されている。前後方向を回動の軸方向とするヘッド固定部材20の回動方向において、固定軸41aおよび被支持部は、保持部材21に対するヘッド固定部材20の回動の支点となっており、ヘッド固定部材20は、固定軸41aの軸中心および被支持部の後端を通過する軸線L2を回動の中心にして保持部材21に対して回動可能となっている。すなわち、ヘッド固定部材20は、軸線L2を回動の中心にしてキャリッジ4に対して回動可能となっている。
【0052】
また、球面軸受46に支持される第2固定部材42の被支持部は、上下方向を回動の軸方向とするヘッド固定部材20の回動方向において、保持部材21に対するヘッド固定部材20の回動の支点となっており、ヘッド固定部材20は、第2固定部材42の被支持部を回動の中心にして、かつ、上下方向を回動の軸方向として保持部材21に対して回動可能となっている。すなわち、ヘッド固定部材20は、第2固定部材42の被支持部を回動の中心にしてキャリッジ4に対して回動可能となっている。なお、ヘッド固定部材20と保持部材21との少なくともいずれか一方には、保持部材21に対してヘッド固定部材20が回動したときの、ヘッド固定部材20と保持部材21との干渉を防止するための切欠きが形成されている。
【0053】
板バネ38は、保持部材21の側壁部21dの前端部に取り付けられている。板バネ38のバネ部38aは、第1固定部材41に左側から接触しており、第1固定部材41を右側に付勢している。偏心カム39は、保持部材21の右前端部に回動可能に取り付けられている。偏心カム39は、上下方向を回動の軸方向として回動可能となっている。偏心カム39のカム面は、第1固定部材41の左側面に接触している。プリンタ1のオペレータが偏心カム39を回動させると、ヘッド固定部材20は、第2固定部材42の被支持部を中心にして保持部材21に対して回動する。
【0054】
第1レバー部材35は、左右方向に細長い略直方体状に形成されている。
図10に示すように、第1レバー部材35の右端部には、前後方向に貫通する丸穴状の挿入穴35aが形成されている。挿入穴35aには、前壁部21aに形成または固定される固定軸48が挿入されており、第1レバー部材35の右端部は、固定軸48に回動可能に支持されている。そのため、第1レバー部材35は、前後方向を回動の軸方向として保持部材21に対して回動可能になっている。
【0055】
図10に示すように、第1レバー部材35の左端部には、後ろ側に向かって突出する円柱状に係合ピン51が形成または固定されている。係合ピン51の後端部は、第1固定部材41の左端部に形成される係合穴41bに挿入されている。係合穴41bは、前後方向で第1固定部材41を貫通している。また、係合穴41bは、左右方向を長手方向とする長穴状に形成されている。
【0056】
板バネ26は、第1レバー部材35の左端部に下側から接触する第1バネ部26bを備えている。第1バネ部26bは、第1レバー部材35の左端部を上側に付勢している。本形態の第1バネ部26bは、第1レバー部材35の回動方向の一方側に第1レバー部材35を付勢する第1バネ部材である。
【0057】
第1マイクロメータヘッド37は、前壁部21aの左端部に取り付けられている。具体的には、第1マイクロメータヘッド37のスピンドル53が下側に配置されるように、第1マイクロメータヘッド37が前壁部21aの左端部に取り付けられている(
図8参照)。スピンドル53の下端は、第1レバー部材35の左端部の上面に接触している。
【0058】
プリンタ1のオペレータが第1マイクロメータヘッド37のシンブル54を回すと、スピンドル53が上下動する。また、スピンドル53が上下動すると、固定軸48を中心にして、第1レバー部材35が回動する。第1レバー部材35が回動すると、第1レバー部材35の左端部と一緒に係合ピン51が上下動するため、第1レバー部材35の左端部が上下動して、第1固定部材41が回動する。すなわち、第1レバー部材35が回動すると、軸線L2を中心にしてヘッド固定部材20が回動する。このように、第1レバー部材35は、係合ピン51を介してヘッド固定部材20に係合しており、第1レバー部材35が回動すると、ヘッド固定部材20は、キャリッジ4に対して前後方向を回動の軸方向として回動する。
【0059】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1マイクロメータヘッド37のシンブル54を回動させると、ヘッド固定部材20がキャリッジ4に対して前後方向を回動の軸方向として回動する。そのため、本形態では、シンブル54を回動させることで、前後方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジ4に対するヘッド3の個々の傾きを調整することが可能になる。したがって、本形態では、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3の、前後方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になる。
【0060】
また、本形態では、第2マイクロメータヘッド27のシンブル34を回動させると、保持部材21がキャリッジ4に対して左右方向を回動の軸方向として回動する。そのため、本形態では、シンブル34を回動させることで、左右方向を回動の軸方向とする回動方向においてキャリッジ4に対するヘッド3の個々の傾きを調整することが可能になる。したがって、本形態では、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3の、左右方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になる。
【0061】
このように本形態では、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3の、前後方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのヘッド3ごとのばらつき、および、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3の、左右方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になる。したがって、本形態では、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3から吐出されるインクの印刷媒体2への着弾位置の、ヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になる。
【0062】
また、本形態では、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3の、前後方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのヘッド3ごとのばらつき、および、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3の、左右方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になるため、印刷媒体2の厚さが変わっても、また、印刷媒体2の表面に凹凸があっても、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3から吐出されるインクの印刷媒体2への着弾位置の、ヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になる。
【0063】
本形態では、第2傾き調整機構14の一部を構成する保持部材21が位置調整機構15の一部を構成しており、保持部材21は、キャリッジ4に対して前後方向へ移動可能になっている。また、本形態では、第1傾き調整機構13の一部を構成するヘッド固定部材20が第3傾き調整機構16の一部を構成しており、ヘッド固定部材20は、保持部材21に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能になっている。そのため、本形態では、調整機構10が、第1傾き調整機構13および第2傾き調整機構14に加えて、位置調整機構15と第3傾き調整機構16とを備えていても、プリンタ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0064】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0065】
上述した形態において、第1傾き調整機構13は、第1マイクロメータヘッド37に代えて、第1レバー部材35の回動方向の他方側に第1レバー部材35を回動させるための第1の調整ネジを備えていても良い。この場合には、第1の調整ネジは、前壁部21aの左端部に取り付けられており、第1の調整ネジの下端は、第1レバー部材35の左端部の上面に接触している。前壁部21aには、第1の調整ネジが螺合するネジ穴が形成されている。
【0066】
また、上述した形態において、第2傾き調整機構14は、第2マイクロメータヘッド27に代えて、第2レバー部材25の回動方向の他方側に第2レバー部材25を回動させるための第2の調整ネジを備えていても良い。この場合には、第2の調整ネジは、保持部17bに取り付けられており、第2の調整ネジの下端は、第2レバー部材25の左端部の上面に接触している。保持部17bには、第2の調整ネジが螺合するネジ穴が形成されている。
【0067】
上述した形態において、調整機構10は、第2傾き調整機構14を備えていなくても良い。この場合であっても、第1傾き調整機構13によって、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3の、前後方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になるため、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3から吐出されるインクの印刷媒体2への着弾位置の、ヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になる。
【0068】
また、上述した形態において、調整機構10は、第1傾き調整機構13を備えていなくても良い。この場合であっても、第2傾き調整機構14によって、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3の、左右方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になるため、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3から吐出されるインクの印刷媒体2への着弾位置の、ヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になる。
【0069】
なお、本願発明者の検討によると、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3の、左右方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのヘッド3ごとのばらつきを抑制するよりも、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3の、前後方向を回動の軸方向とする回動方向における傾きのヘッド3ごとのばらつきを抑制する方が、キャリッジ4に搭載される2個のヘッド3から吐出されるインクの印刷媒体2への着弾位置の、ヘッド3ごとのばらつきを抑制することが可能になるため、調整機構10は、第1傾き調整機構13を備えていることが好ましい。
【0070】
上述した形態において、保持部材21が、キャリッジ4に対して前後方向を回動の軸方向とする回動が可能になっているとともに、ヘッド固定部材20が、保持部材21に対して左右方向を回動の軸方向とする回動が可能になっていても良い。また、上述した形態において、保持部材21は、位置調整機構15の一部を構成していなくても良い。また、ヘッド固定部材20は、第3傾き調整機構16の一部を構成していなくても良い。さらに、上述した形態において、調整機構10は、位置調整機構15を備えていなくても良いし、第3傾き調整機構16を備えていなくても良い。
【0071】
上述した形態において、キャリッジ4に搭載されるヘッド3の数は、3個以上であっても良い。この場合には、プリンタ1は、キャリッジ4に搭載されるヘッド3の数に応じた数の調整機構10を備えている。また、上述した形態において、プリンタ1は、プラテン7および媒体送り機構8に代えて、印刷媒体2が載置されるテーブルと、このテーブルを副走査方向(前後方向)に送るテーブル送り機構とを備えていても良いし、印刷媒体2が載置されるテーブルと、ガイドレール6が固定されるYバーを副走査方向(前後方向)に送るYバー送り機構とを備えていても良い。また、上述した形態において、プリンタ1は、3Dプリンタであっても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)
3 ヘッド(インクジェットヘッド)
4 キャリッジ
5 キャリッジ駆動機構
13 第1傾き調整機構
14 第2傾き調整機構
15 位置調整機構
16 第3傾き調整機構
20 ヘッド固定部材
21 保持部材
25 第2レバー部材
26a 第2バネ部(第2バネ部材)
26b 第1バネ部(第1バネ部材)
27 第2マイクロメータヘッド(第2のマイクロメータヘッド)
35 第1レバー部材
37 第1マイクロメータヘッド(第1のマイクロメータヘッド)
X 副走査方向
Y 主走査方向
Z 上下方向